JP2003342702A - アルミニウムの表面硬化方法 - Google Patents
アルミニウムの表面硬化方法Info
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Abstract
せ、機械的な摺動部品や機械の構造部材あるいは軽量な
研磨工具として利用することができるようにする。 【解決手段】アルミニウム微粉末に有機質粘結剤を混合
した粘性物質をアルミニウムの表面に塗布し、乾燥後非
酸化性または中性雰囲気中で300〜600℃の範囲で
加熱して有機質粘結剤を炭化し、さらにこの活性炭素と
アルミニウム微粉末を反応させ、高硬度の炭化アルミニ
ウム被膜をアルミニウム表面に形成させる。
Description
点である耐摩耗性を向上させ、機械的な摺動部品へ又は
軽量研磨工具として利用することができるアルミニウム
の表面硬化法に関する。
く、長年その解決のため多くの研究が成されてきた。し
かし産業工業技術として利用できる耐摩耗性の解決方法
は未だ見いだされてない。
究は成されているが、その一つとしてアルミニウムの窒
化がある。この窒化方法は鋼に広く利用されており、こ
の窒化方法はアルミニウムへの利用が考えられ、研究が
進められてきた。ところが、アルミニウムの表面は大気
中で酸化し、約100オングストロームの酸化被膜が存
在し、この酸化被膜がアンモニアガスによる窒化を不可
能にしている。そのため、この問題を解決するため、プ
ラズマを用い、表面を清浄化した状態でのプラズマ窒化
が試みられた。しかしながら、アルミニウムは非常に酸
化しやすく、窒化中に酸化膜が発生し安定した一定の組
成の窒化膜は得られていない。このような理由からアル
ミニウムの窒化処理は実用化されていない。
利用も研究されている。この溶射法は超高温で超高速な
フレームの中に酸化物や炭化物の微粉末を混合して、瞬
間的に溶融し、処理物の表面に吹き付け、セラミックの
被覆層を形成させる方法である。原理的にはアルミニウ
ム表面に被覆が可能で硬化膜の形成は可能である。
の大きさ数ミリ程度であることから、生産性は非常に小
さく、また曲面や穴への溶射はできない。すなわち、部
品全体を一度に処理することはできない。この様な背景
から、部品全体を一回の処理で硬化被膜を得る方法が工
業技術として要請されるのが現状である。
用できる方法は溶射方法だけである。しかし、この方法
では例えば歯車やシャフトのような複雑形状の部品は、
全表面に均一に硬化膜を形成させることはできない。ま
た硬化膜の生成速度が遅く、非常にコストが高いものに
なり、工場技術としては利用できない。すなわち、鋼の
表面硬化法としての浸炭のように一回に多量の処理はで
きない。
解消し、アルミニウムの表面に高硬度の炭化アルミニウ
ム被膜を生成させることにより、アルミニウムの欠点で
ある耐摩耗性を向上させ、機械的な摺動部品や機械の構
造部材あるいは軽量な研磨工具として利用することがで
きるようにするアルミニウムの表面硬化法を提供するこ
とをその技術的課題とするものである。
め、本発明に係るアルミニウムの表面硬化法は、アルミ
ニウム微粉末に有機質粘結剤を混合した粘性物質をアル
ミニウムの表面に塗布し、乾燥後非酸化性または中性雰
囲気中で300〜600℃の範囲で加熱して有機質粘結
剤を炭化し、さらにこの活性炭素とアルミニウム微粉末
を反応させ、高硬度の炭化アルミニウム被膜をアルミニ
ウム表面に形成させることを特徴とする。
ガスを混入して浸炭性雰囲気にしてカーボンポテンシャ
ルを調整するのが好ましい。
部品の表面に硬化被膜を作成し、耐摩耗性を持たせるた
めに、ビッカース硬さHvで900以上ある非常に硬い
炭化アルミニウム(主成分としてAl4C3)に着目
し、この炭化アルミニウムの被膜をアルミニウム表面に
形成させる方法である。
明者等はアルミニウム合金の射出成形(MIM)を研究し
た過程で見出したものである。すなわち、約10ミクロ
ンのアルミニウム微粉末に粘結剤としてワックス10〜
50%を添加し、塊状の試料を中性雰囲気中でワックス
が炭化し、次に発生した活性炭素とアルミニウム微粉末
を600℃前後の温度で反応させて、炭化アルミニウム
を合成する方法が基本になっている。
結剤を10ミクロン程度のアルミニウム微粉末に50〜
100%配合し、流動性を持たせて状態で混練し、その
後アルミニウム製部品の表面に塗布する。次に、加熱炉
で徐々に加熱し、昇温途中で有機質粘結剤を炭化して活
性炭にし、その後さらに450〜600℃の温度で数時
間加熱してアルミニウム微粉末と反応させて炭化アルミ
ニウム被膜を形成させる方法である。生成したアルミニ
ウム被膜の硬さはビッカース硬さHv900〜1000
で非常に硬い被膜である。なお、炭化アルミニウムの硬
化被膜は加熱前の塗布材の厚さに比例するところから、
塗布する有機質粘結剤の膜厚は有機質粘結剤の炭化歩留
まりから予め調べて決定する。
いため、再現性をチェックして行う。この点は硬化被膜
の厚さ及ビ炭化アルミニウムの組成に影響を及ぼすた
め、本発明の技術のキーポイントになるところである。
常に高いが、600℃程度の温度で炭化アルミニウムが
生成することを知見した。なお、鉄の炭化物も600℃
前後で生成することも明らかであり、原理的にも本発明
が成立することは明らかである。
とする。300℃以下では粘結剤の炭化が進まず、また
600℃以上ではアルミニウム部品の変形が懸念される
からである。
が、600℃近くの温度で加熱されるため、大部分の有
機質物質は熱分解によって消失し、炭化の歩留まりは非
常に悪い。このことから炭化被膜は非常に気孔に富んだ
ものとなり、硬化層は不完全なものとなる。この点から
有機質粘結剤の選定は重要な問題である。そのため、い
ろいろな有機質物質を検討した結果、炭素元素の割合が
少ないデキシトリンのような鎖状に連結した鎖式炭素化
合物よりも、ベンゼン環を含む芳香族化合物が適当であ
る。例えば、エポキシ系またはフェノール系である。い
ずれにしても、炭化条件が確立できれば有機質粘結剤の
種類は問わない。
な関係がある。すなわち、本発明は約500℃以下の温
度での炭化現象と500℃以上の炭化物生成反応とから
なり、特に500℃以上の温度では加熱では活性炭は反
応が高く、雰囲気中の微量の酸素、水分により酸化燃焼
し、目的とする炭素量に保持することは難しく、そのた
め、均質な炭化物被膜を得ることができない。この問題
の解決には、炭素の燃焼を阻止することが必要であり、
それには雰囲気に浸炭性を与える対策が必要である。そ
のためには鋼の浸炭と同じように炭化水素ガスを微量添
加して、高カーボンポテンシャル雰囲気とし、即ち雰囲
気に浸炭性を持たせる。本発明の場合、600℃の低温
であるため、添加する炭化水素は煤を発生しやすい。そ
のため、浸炭性の低いメタンガスを0.2〜20%添加
する。
の作用と特徴を述べる。
の被覆層を厚さを数ミクロンオーダーで均一に製造する
ことは困難である。また、溶射法は原理から明らかなよ
うに、小さなフレームのスポットの表面移動で作業を行
うところから、生産速度が非常に遅く生産性が劣る。さ
らに、決定的な欠点として歯車のような複雑な形状の部
品を一回で処理することはできない。
ルミニウム微粉末の混合物を塗装方式で表面全体に塗布
し、乾燥後、加熱炉で有機質粘結剤の炭化及ビ炭化アル
ミニウムの合金を行うところから、表面形状に制約なく
処理でき、また、一回に多量処理の出来るところから、
生産性は優れている。さらに、硬化層の厚さの管理が容
易であるという特徴がある。その結果、溶射法が抱えて
いる問題点は解決でき、アルミニウムの表面を硬化させ
る工業技術として利用できる。例えば、今回の炭化アル
ミニウムの硬化層の厚さを10ミクロン程度にすれば窒
化層と同じになり、プラズマ窒化と同等な性能が期待で
き、新しい技術としての位置付けはある。
耐摩耗材の硬さは相手材との関係から決まる問題で、必
ずしも高い硬さが良いとは限らない。例えば、鋼の場
合、耐摩耗性を要求するところの焼き入れ硬さはビッカ
ース硬さでHv500〜600である。今回の炭化アル
ミニウムの硬さもこの範囲で調整できれば、鋼の利用さ
れている分野に直接応用できる。そこで、炭化アルミニ
ウムの硬さに及ぼす炭素の影響を調べた。
合を制御することにより制御し、その結果、炭化アルミ
ニウム被膜の硬さはビッカース硬さで500〜1000
の範囲で任意に制御できることが明らかになった。この
理由は炭化アルミニウムの組成、Al4C3の組成にな
っていればHv1000の硬さは得られるが炭素量が少
なくなれば、炭化アルミニウムの化合物層内に1ミクロ
ン程度の微細なアルミニウム粒子が存在し、徐々に硬さ
は低下する。すなわち、硬さは炭素量で管理ができるこ
とになる。このことはまた、硬さをHv500〜600
とすることにより、熱処理で発生した歪みを加圧によっ
て矯正でき、寸法精度の良い部品の製造が可能である。
特にシャフト類の部品の処理にはこの特徴が生かされる
であろう。
接着性が問題になるが、この硬化法が明らかなように、
炭素とアルミニウムとの反応性が良く、炭素は接着剤の
役割を果たし、硬化被膜と母材との接合性は優れてい
る。
結実験について述べる。すなわち、粒径10ミクロンの
アルミニウム微粉末に15%のパラフィンワックスを混
合して、70℃前後に加熱して十分混練し、1mmのア
ルミニウム板の表面に押しつけながら均一に1mm厚さ
に塗布した。その後、加熱炉でパラフィンワックスに気
泡の発生がなく、綿密な炭化層を得るため、100℃/
時の加熱速度で600℃にし、さらに、600℃で炭化
アルミニウムの合成を行うため、3〜4時間保持した。
なお、加熱中の雰囲気は酸化防止のため、10%H2−
N2の窒素雰囲気で行った。その結果、混合したパラフ
ィンワックスは黒色に炭化し、最終的には黒色の炭化ア
ルミニウム層になった。この試料について硬さを測定し
た結果、炭化アルミニウム層はビッカース硬さはHv9
00〜1000で満足すべき値が得られた。また、アル
ミニウム板と炭化アルミニウム層の接合性は界面を横切
った方向で連続的にマイクロビッカース硬さを測定した
結果、界面での異常な硬さ低下は無く、接合性に問題は
がなかった。これは炭素とアルミニウムとの親和力が優
れているためである。
ため、アルミニウム微粉末との混合物は流動性はなく、
塗料のようにアルミニウムの処理部品に均一に塗布する
ことはできない。そのため、塗料に使用されている有機
質樹脂について検討した。本発明に利用する有機質粘結
剤は600℃近くに加熱されるため、加熱分解して炭化
し、さらに発生した活性炭素がアルミニウム微粉末と反
応して炭化アルミニウムになる。この場合、炭化の歩留
まり及ビ再現性が問題になる。いろいろ、試行錯誤を繰
り返した結果、エポキシ系樹脂が適当であることが明ら
かになった。
った。すなわち、アルミニウム微粉末に液状の100%
エポキシ樹脂をアルミニウム1に対し1〜1/4の割合
で配合し、さらに流動性をよくするため、割合1程度の
有機溶剤を添加して、アルミニウム板上に刷毛塗りし
た。厚さは約0.01〜0.10mm程度である。な
お、加熱条件は実施例1と同じである。
の硬さはHv900〜1000で実施例1と同じ表面硬
化被膜が得られた。
て繰り返して実験を繰り返す過程で、試験片の表面全体
に均一な硬化被膜層が得られず、局部的に酸化性ガスの
影響によって、硬化被膜層が薄くなったり、局部的に消
失している現象がみられた。これは窒素雰囲気に含まれ
る不純物として微量の酸素ガスまたは水分が炭化物と反
応するためである。問題を解決するため、雰囲気に浸炭
性ガス、すなわち、炭素ポテンシアルを与えるために浸
炭能の高い炭化水素ガスを1%以下の範囲で添加した。
その結果、雰囲気ガスによる酸化の問題は解決された。
ガスが適当である。プロパンガスも考えられるが、浸炭
性が高く煤が発生するため適当ではない。
果。均一な黒色の炭化アルミニウム被膜層が得られた。
ウムに課せられた本質的な問題である。本発明は、塗装
方式で処理物の表面にアルミニウム微粉末に有機質粘結
材を配合した液状塗装材を塗布し、熱処理により炭化及
ビ炭化アルミニウムの合成反応を加熱炉で一度に多量処
理する。そのため、処理費は低コストで、しかも作業が
安定しているところから、工業技術としては優れた方法
である。
かかるような機械部品に利用することができる。すなわ
ち、軽荷重のかかる精密機械部品である。歯車、シャフ
トなどが好適である。また、ロボット用部品のように、
耐摩耗性を要求するピストン、軸承部品類等に利用する
ことができる。
小型化、軽量化が要求されており、本発明により、ロボ
ットの機械構造部品の利用への用途が期待される。
Claims (2)
- 【請求項1】 アルミニウム微粉末に有機質粘結剤を混
合した粘性物質をアルミニウムの表面に塗布し、乾燥後
非酸化性または中性雰囲気中で300〜600℃の範囲
で加熱して有機質粘結剤を炭化し、さらにこの活性炭素
とアルミニウム微粉末を反応させ、高硬度の炭化アルミ
ニウム被膜をアルミニウム表面に形成させることを特徴
とするアルミニウムの表面硬化方法。 - 【請求項2】 前記加熱の際の雰囲気に微量の炭化水素
ガスを混入して浸炭性雰囲気にしてカーボンポテンシャ
ルの調整する、請求項1記載のアルミニウムの表面硬化
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002144701A JP3722088B2 (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | アルミニウムの表面硬化方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2003342702A true JP2003342702A (ja) | 2003-12-03 |
JP3722088B2 JP3722088B2 (ja) | 2005-11-30 |
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---|---|---|---|
JP2002144701A Expired - Lifetime JP3722088B2 (ja) | 2002-05-20 | 2002-05-20 | アルミニウムの表面硬化方法 |
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WO2010086961A1 (ja) | 2009-01-28 | 2010-08-05 | 東洋アルミニウム株式会社 | 炭素被覆アルミニウム材とその製造方法 |
-
2002
- 2002-05-20 JP JP2002144701A patent/JP3722088B2/ja not_active Expired - Lifetime
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