JP2003342648A - 鉄鋼ダスト還元焙焼用ロータリーキルンの操業方法 - Google Patents
鉄鋼ダスト還元焙焼用ロータリーキルンの操業方法Info
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- JP2003342648A JP2003342648A JP2002157283A JP2002157283A JP2003342648A JP 2003342648 A JP2003342648 A JP 2003342648A JP 2002157283 A JP2002157283 A JP 2002157283A JP 2002157283 A JP2002157283 A JP 2002157283A JP 2003342648 A JP2003342648 A JP 2003342648A
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 亜鉛量が多く、鉄量が少ない鉄鋼ダストの亜
鉛揮発率を向上することが可能な還元焙焼用ロータリー
キルンの操業方法を提供する。 【解決手段】 亜鉛を含有する鉄鋼ダストに炭素質還元
剤を添加して行う還元焙焼により、亜鉛を揮発回収する
操業方法であり、鉄の総量が、鉄鋼ダスト中の亜鉛に対
して、0.5以上の質量比となるように、前記鉄鋼ダス
トに鉄または鉄酸化物を添加する。鉄の総量の質量をT
−Feで表し、鉄鋼ダスト中の亜鉛の質量をZnで表す
と、質量比に関して、T−Fe/Zn≧0.5となる。
鉛揮発率を向上することが可能な還元焙焼用ロータリー
キルンの操業方法を提供する。 【解決手段】 亜鉛を含有する鉄鋼ダストに炭素質還元
剤を添加して行う還元焙焼により、亜鉛を揮発回収する
操業方法であり、鉄の総量が、鉄鋼ダスト中の亜鉛に対
して、0.5以上の質量比となるように、前記鉄鋼ダス
トに鉄または鉄酸化物を添加する。鉄の総量の質量をT
−Feで表し、鉄鋼ダスト中の亜鉛の質量をZnで表す
と、質量比に関して、T−Fe/Zn≧0.5となる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に亜鉛及び鉄を
含有する鉄鋼ダストに、炭素質還元剤を添加して行う還
元焙焼により、亜鉛を揮発回収する鉄鋼ダスト還元焙焼
用ロータリーキルンの操業方法に関し、特に、亜鉛の揮
発率を向上させる方法に関する。
含有する鉄鋼ダストに、炭素質還元剤を添加して行う還
元焙焼により、亜鉛を揮発回収する鉄鋼ダスト還元焙焼
用ロータリーキルンの操業方法に関し、特に、亜鉛の揮
発率を向上させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄スクラップなどを電気炉などの製鋼炉
で処理する際に発生する鉄鋼ダストの平均的化学組成
を、表1に鉄鋼ダストAとして示した。
で処理する際に発生する鉄鋼ダストの平均的化学組成
を、表1に鉄鋼ダストAとして示した。
【0003】
【表1】
【0004】鉄鋼ダストAは、表1に示されるように、
鉄以外に多量の亜鉛とその他、少量の有価金属を含有し
ている。
鉄以外に多量の亜鉛とその他、少量の有価金属を含有し
ている。
【0005】そのため、資源リサイクルの対象として、
鉄鋼ダストから主に亜鉛を回収している。亜鉛の回収法
としては、ロータリーキルンによる還元焙焼法を採用す
るのが一般的である。
鉄鋼ダストから主に亜鉛を回収している。亜鉛の回収法
としては、ロータリーキルンによる還元焙焼法を採用す
るのが一般的である。
【0006】この還元焙焼法においては、鉄鋼ダストは
必要に応じて予め適当な大きさのペレットに成形され、
石炭またはコークス等の炭素質還元剤とともに、ロータ
リーキルンに連続的に装入される。ロータリーキルン内
は、重油の燃焼と、装入した炭素質還元剤の燃焼とによ
り、最高温度が1100〜1200℃にコントロールさ
れて、鉄鋼ダストは還元焙焼される。このとき、揮発し
た金属亜鉛蒸気は、ロータリーキルン内で再酸化され
て、粉体状酸化亜鉛となり、排ガスとともに集塵機に導
入され、粗酸化亜鉛として回収される。回収された粗酸
化亜鉛の多くは、その後、亜鉛製錬所に送られて、亜鉛
地金となる。一方、揮発せずにロータリーキルン中に残
った残渣は、還元鉄ペレットとしてキルン排出端より回
収される。このような還元焙焼法における亜鉛の揮発率
は、通常85%以上である。
必要に応じて予め適当な大きさのペレットに成形され、
石炭またはコークス等の炭素質還元剤とともに、ロータ
リーキルンに連続的に装入される。ロータリーキルン内
は、重油の燃焼と、装入した炭素質還元剤の燃焼とによ
り、最高温度が1100〜1200℃にコントロールさ
れて、鉄鋼ダストは還元焙焼される。このとき、揮発し
た金属亜鉛蒸気は、ロータリーキルン内で再酸化され
て、粉体状酸化亜鉛となり、排ガスとともに集塵機に導
入され、粗酸化亜鉛として回収される。回収された粗酸
化亜鉛の多くは、その後、亜鉛製錬所に送られて、亜鉛
地金となる。一方、揮発せずにロータリーキルン中に残
った残渣は、還元鉄ペレットとしてキルン排出端より回
収される。このような還元焙焼法における亜鉛の揮発率
は、通常85%以上である。
【0007】ところで従来、還元鉄ペレットの大部分は
産業廃棄物として埋め立て処分場に埋め立てられてい
た。しかし、近年、環境負荷への配慮から、鉄鋼ダスト
そのものの発生量を抑制する動きがあり、鉄鋼ダスト産
出者である鉄鋼メーカーにおいて、鉄鋼ダストより鉄を
回収し、亜鉛を濃縮して排出する傾向がある。そのた
め、亜鉛の著しく高い鉄鋼ダストが産出されるようにな
ってきた。
産業廃棄物として埋め立て処分場に埋め立てられてい
た。しかし、近年、環境負荷への配慮から、鉄鋼ダスト
そのものの発生量を抑制する動きがあり、鉄鋼ダスト産
出者である鉄鋼メーカーにおいて、鉄鋼ダストより鉄を
回収し、亜鉛を濃縮して排出する傾向がある。そのた
め、亜鉛の著しく高い鉄鋼ダストが産出されるようにな
ってきた。
【0008】鉄鋼ダストの組成の違いは、従来のロータ
リーキルンによる還元焙焼法で鉄鋼ダストを処理すると
き、充分な亜鉛揮発率が得られないという問題がある。
リーキルンによる還元焙焼法で鉄鋼ダストを処理すると
き、充分な亜鉛揮発率が得られないという問題がある。
【0009】亜鉛揮発率の低い鉄鋼ダストの組成の一例
を、表1に鉄鋼ダストBとして示す。
を、表1に鉄鋼ダストBとして示す。
【0010】鉄鋼ダストBは、従来より亜鉛量が多く、
鉄量が少ない。このような鉄鋼ダストのうちには、炭素
質還元剤をいくら増やしても亜鉛揮発率が70%未満に
留まるものがあった。
鉄量が少ない。このような鉄鋼ダストのうちには、炭素
質還元剤をいくら増やしても亜鉛揮発率が70%未満に
留まるものがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、亜鉛
量が多く、鉄量が少ない鉄鋼ダストの亜鉛揮発率を向上
することが可能な還元焙焼用ロータリーキルンの操業方
法を提供することを課題とする。
量が多く、鉄量が少ない鉄鋼ダストの亜鉛揮発率を向上
することが可能な還元焙焼用ロータリーキルンの操業方
法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の鉄鋼ダスト還元
焙焼用ロータリーキルンの操業方法は、亜鉛を含有する
鉄鋼ダストに炭素質還元剤を添加して行う還元焙焼によ
り、亜鉛を揮発回収する操業方法であり、鉄の総量が、
鉄鋼ダスト中の亜鉛量に対して、0.5以上の質量比と
なるように、前記鉄鋼ダストに鉄または鉄酸化物を添加
する。
焙焼用ロータリーキルンの操業方法は、亜鉛を含有する
鉄鋼ダストに炭素質還元剤を添加して行う還元焙焼によ
り、亜鉛を揮発回収する操業方法であり、鉄の総量が、
鉄鋼ダスト中の亜鉛量に対して、0.5以上の質量比と
なるように、前記鉄鋼ダストに鉄または鉄酸化物を添加
する。
【0013】鉄の総量の質量をT−Feで表し、鉄鋼ダ
スト中の亜鉛の質量をZnで表すと、質量比に関して、
T−Fe/Zn≧0.5となる。
スト中の亜鉛の質量をZnで表すと、質量比に関して、
T−Fe/Zn≧0.5となる。
【0014】鉄の総量が、鉄鋼ダスト中の亜鉛量に対し
て、0.8以上であることが好ましく、1.0以上であ
ることがさらに好ましい。
て、0.8以上であることが好ましく、1.0以上であ
ることがさらに好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】鉄鋼ダスト中において、亜鉛は主
に酸化亜鉛の形態で存在する。この酸化亜鉛が、還元焙
焼操業過程において、どのような反応にあずかって金属
亜鉛蒸気となるかを説明する。
に酸化亜鉛の形態で存在する。この酸化亜鉛が、還元焙
焼操業過程において、どのような反応にあずかって金属
亜鉛蒸気となるかを説明する。
【0016】まず、石炭あるいはコークス等の炭素質還
元剤は、ロータリーキルン炉内ガス中の二酸化炭素(C
O2)と反応して一酸化炭素(CO)を生成する。従
来、このCOガスが、直接、鉄鋼ダスト中の酸化亜鉛を
還元して、金属亜鉛蒸気が生成すると考えられていた。
元剤は、ロータリーキルン炉内ガス中の二酸化炭素(C
O2)と反応して一酸化炭素(CO)を生成する。従
来、このCOガスが、直接、鉄鋼ダスト中の酸化亜鉛を
還元して、金属亜鉛蒸気が生成すると考えられていた。
【0017】しかし、本発明者等の研究により、以下の
ことがわかった。
ことがわかった。
【0018】すなわち、鉄鋼ダスト中の鉄酸化物が、最
初に、COガスによって金属鉄まで還元され、その後、
亜鉛と鉄が、ある温度を境に対酸素親和性が逆転するた
めに、COガスによって生成した金属鉄は酸化亜鉛を還
元し、金属亜鉛蒸気を発生させる。ただし、COガスに
よって酸化亜鉛が直接、還元されるという反応も、一部
で起きると考えられる。
初に、COガスによって金属鉄まで還元され、その後、
亜鉛と鉄が、ある温度を境に対酸素親和性が逆転するた
めに、COガスによって生成した金属鉄は酸化亜鉛を還
元し、金属亜鉛蒸気を発生させる。ただし、COガスに
よって酸化亜鉛が直接、還元されるという反応も、一部
で起きると考えられる。
【0019】従って、酸化亜鉛を充分に還元揮発させる
ためには、一定量以上の金属鉄の存在、言い換えると、
鉄鋼ダスト中の亜鉛と鉄の質量比が重要になる。もし、
鉄量が不足していれば、限られた操業条件内では、酸化
亜鉛は充分に還元揮発されないことになる。
ためには、一定量以上の金属鉄の存在、言い換えると、
鉄鋼ダスト中の亜鉛と鉄の質量比が重要になる。もし、
鉄量が不足していれば、限られた操業条件内では、酸化
亜鉛は充分に還元揮発されないことになる。
【0020】そこで、鉄鋼ダスト中の鉄量と亜鉛量の質
量比が、比較的、小さい鉄鋼ダストを原料として、鉄酸
化物の一つであるFe2O3を添加して、鉄鋼ダストの還
元焙焼を実施した。
量比が、比較的、小さい鉄鋼ダストを原料として、鉄酸
化物の一つであるFe2O3を添加して、鉄鋼ダストの還
元焙焼を実施した。
【0021】その結果、鉄鋼ダスト中に含まれる鉄量
と、添加する鉄酸化物中の鉄量との総量が、鉄鋼ダスト
中の亜鉛量に対して、0.5以上の質量比となるよう
に、鉄酸化物を添加すると、亜鉛の揮発率が向上するこ
とがわかり、本発明を完成するに到った。鉄の総量の質
量をT−Feで表し、鉄鋼ダスト中の亜鉛の質量をZn
で表すと、質量比に関して、T−Fe/Zn≧0.5と
なる。
と、添加する鉄酸化物中の鉄量との総量が、鉄鋼ダスト
中の亜鉛量に対して、0.5以上の質量比となるよう
に、鉄酸化物を添加すると、亜鉛の揮発率が向上するこ
とがわかり、本発明を完成するに到った。鉄の総量の質
量をT−Feで表し、鉄鋼ダスト中の亜鉛の質量をZn
で表すと、質量比に関して、T−Fe/Zn≧0.5と
なる。
【0022】後から添加する鉄酸化物に代えて、鉄、す
なわち金属状の鉄でもよい。金属鉄を用いる場合は、C
Oガスで還元される必要もなく、そのままで酸化亜鉛を
還元できる。また、鉄酸化物にはFe2O3ばかりでな
く、FeOやFe3O4などもあるが、COガスによって
金属鉄にまで還元されるので、いずれでもよい。
なわち金属状の鉄でもよい。金属鉄を用いる場合は、C
Oガスで還元される必要もなく、そのままで酸化亜鉛を
還元できる。また、鉄酸化物にはFe2O3ばかりでな
く、FeOやFe3O4などもあるが、COガスによって
金属鉄にまで還元されるので、いずれでもよい。
【0023】本発明における鉄または鉄酸化物の粒径
は、還元反応の促進という観点から、小さい方がよい。
粒径が小さいと、金属鉄と亜鉛の接触面積が増加するた
めに、鉄による還元作用が増加し、酸化亜鉛の還元揮発
反応が増加する。少なくとも、後から添加する鉄または
鉄酸化物の粒径は、1mm以下であることが好ましい。
は、還元反応の促進という観点から、小さい方がよい。
粒径が小さいと、金属鉄と亜鉛の接触面積が増加するた
めに、鉄による還元作用が増加し、酸化亜鉛の還元揮発
反応が増加する。少なくとも、後から添加する鉄または
鉄酸化物の粒径は、1mm以下であることが好ましい。
【0024】また、鉄あるいは鉄酸化物は増やせば増や
すほど、亜鉛の揮発率は向上するので、鉄あるいは鉄酸
化物の添加量の上限値は設けない。しかし、鉄鋼ダスト
中に含まれる鉄量と、後から添加する鉄または鉄酸化物
中の鉄量との総量が、鉄鋼ダスト中の亜鉛量に対して、
1.5以上の質量比になると、亜鉛揮発率の増加量が小
さくなる。従って、それ以上に、鉄あるいは酸化鉄の添
加量を増やす必要はない。
すほど、亜鉛の揮発率は向上するので、鉄あるいは鉄酸
化物の添加量の上限値は設けない。しかし、鉄鋼ダスト
中に含まれる鉄量と、後から添加する鉄または鉄酸化物
中の鉄量との総量が、鉄鋼ダスト中の亜鉛量に対して、
1.5以上の質量比になると、亜鉛揮発率の増加量が小
さくなる。従って、それ以上に、鉄あるいは酸化鉄の添
加量を増やす必要はない。
【0025】
【実施例】(実施例1、比較例1)表1に化学組成を示
した鉄鋼ダストBに、鉄酸化物を配合し、実験室的規模
の還元焙焼を実施した。鉄酸化物は、表2に示すように
添加する質量を変化させて、鉄鋼ダストBとFe2O3と
の質量合計は、300gとした。鉄鋼ダストBは、鉄鋼
ダスト中の亜鉛量に対して、特に鉄量が少ない。鉄酸化
物としては、試薬のFe2O3(粒径<10μm)を用い
た。
した鉄鋼ダストBに、鉄酸化物を配合し、実験室的規模
の還元焙焼を実施した。鉄酸化物は、表2に示すように
添加する質量を変化させて、鉄鋼ダストBとFe2O3と
の質量合計は、300gとした。鉄鋼ダストBは、鉄鋼
ダスト中の亜鉛量に対して、特に鉄量が少ない。鉄酸化
物としては、試薬のFe2O3(粒径<10μm)を用い
た。
【0026】鉄鋼ダストBと、後から加えた鉄酸化物
は、試験炉である回転焙焼炉に装入する前に、よく混合
した後、ペレタイザーで粒度3.35〜5.6mmのペ
レットとした。これに、炭素質還元剤として、粒度1.
0〜2.0mmのコークス塊を添加した。コークス塊の
添加量は、鉄鋼ダストB中の亜鉛分を化学式ZnOとし
て求められる亜鉛の質量を還元するのに足る化学量論
量、鉄鋼ダストB中の鉄分を化学式Fe2O3として求め
られる鉄の質量、および、添加したFe2O3の全量を還
元するのに足る化学量論量の合計の2倍、すなわち2等
量とした。この2等量という数値は、コークス塊を多
少、少なめにしても、亜鉛揮発率が低下しないように、
炭素質還元剤の量が過剰となるように決定した。
は、試験炉である回転焙焼炉に装入する前に、よく混合
した後、ペレタイザーで粒度3.35〜5.6mmのペ
レットとした。これに、炭素質還元剤として、粒度1.
0〜2.0mmのコークス塊を添加した。コークス塊の
添加量は、鉄鋼ダストB中の亜鉛分を化学式ZnOとし
て求められる亜鉛の質量を還元するのに足る化学量論
量、鉄鋼ダストB中の鉄分を化学式Fe2O3として求め
られる鉄の質量、および、添加したFe2O3の全量を還
元するのに足る化学量論量の合計の2倍、すなわち2等
量とした。この2等量という数値は、コークス塊を多
少、少なめにしても、亜鉛揮発率が低下しないように、
炭素質還元剤の量が過剰となるように決定した。
【0027】得られたペレットとコークス塊とを、水平
式回転焙焼炉に装入し、1100℃で1時間、還元焙焼
した。1100℃という設定温度は、実機のロータリー
キルンの操業における温度としてはやや低めの温度であ
る。なお、重油の燃焼により生成するガスの代替とし
て、還元焙焼中の焙焼炉内に、常時、窒素85%、二酸
化炭素15%のガスを流し続けた。還元焙焼終了後、焙
焼炉内に残渣として残った還元ペレットを取り出し、還
元ペレット中に残留している亜鉛質量を分析した。得ら
れた亜鉛の質量と、装入した鉄鋼ダストBに含まれる亜
鉛の質量との比から、亜鉛揮発率を求めた。
式回転焙焼炉に装入し、1100℃で1時間、還元焙焼
した。1100℃という設定温度は、実機のロータリー
キルンの操業における温度としてはやや低めの温度であ
る。なお、重油の燃焼により生成するガスの代替とし
て、還元焙焼中の焙焼炉内に、常時、窒素85%、二酸
化炭素15%のガスを流し続けた。還元焙焼終了後、焙
焼炉内に残渣として残った還元ペレットを取り出し、還
元ペレット中に残留している亜鉛質量を分析した。得ら
れた亜鉛の質量と、装入した鉄鋼ダストBに含まれる亜
鉛の質量との比から、亜鉛揮発率を求めた。
【0028】表2に、鉄の総量の質量をT−Feで表
し、鉄鋼ダスト中の亜鉛の質量をZnで表した場合の質
量比(T−Fe/Zn)、および、測定された亜鉛揮発
率を示す。
し、鉄鋼ダスト中の亜鉛の質量をZnで表した場合の質
量比(T−Fe/Zn)、および、測定された亜鉛揮発
率を示す。
【0029】
【表2】
【0030】表2より、質量比(T−Fe/Zn)の値
が増加するにつれて、亜鉛揮発率が向上していることが
わかる。しかし、亜鉛揮発率を向上しようとして、炭素
質還元剤を過剰(2等量)に加えても、比較例1のよう
に、鉄鋼ダスト中の鉄分が少ないと、充分な亜鉛揮発率
が得られない。充分な亜鉛揮発率を得るためには、炭素
質還元剤の量ばかりでなく、実施例1のように、鉄の総
量も制御する必要がある。
が増加するにつれて、亜鉛揮発率が向上していることが
わかる。しかし、亜鉛揮発率を向上しようとして、炭素
質還元剤を過剰(2等量)に加えても、比較例1のよう
に、鉄鋼ダスト中の鉄分が少ないと、充分な亜鉛揮発率
が得られない。充分な亜鉛揮発率を得るためには、炭素
質還元剤の量ばかりでなく、実施例1のように、鉄の総
量も制御する必要がある。
【0031】実施例1のように、質量比(T−Fe/Z
n)の値が高くなればなるほど、亜鉛揮発率が向上して
いることは、それ以上に高くする必要が無いというよう
な質量比(T−Fe/Zn)の値の無いことを意味して
いる。しかし、例えば質量比(T−Fe/Zn)の値が
1.5以上になると、酸化亜鉛と鉄の接触面積の増加が
起こらなくなるためか、亜鉛揮発率の増加量が小さくな
る。そこで、鉄酸化物の添加量の上限を、質量比(T−
Fe/Zn)の値が1.5以下となるように定めてもよ
い。
n)の値が高くなればなるほど、亜鉛揮発率が向上して
いることは、それ以上に高くする必要が無いというよう
な質量比(T−Fe/Zn)の値の無いことを意味して
いる。しかし、例えば質量比(T−Fe/Zn)の値が
1.5以上になると、酸化亜鉛と鉄の接触面積の増加が
起こらなくなるためか、亜鉛揮発率の増加量が小さくな
る。そこで、鉄酸化物の添加量の上限を、質量比(T−
Fe/Zn)の値が1.5以下となるように定めてもよ
い。
【0032】また、本実施例に用いた鉄鋼ダストBのよ
うに、鉄鋼ダスト中に含まれる亜鉛量と比較して鉄量が
非常に少ない場合、後から加える鉄量が非常に多くなる
ので、その分、鉄鋼ダストの処理量が減少することにな
る。従って、鉄鋼ダストの処理量が少なくならないよう
に、後から加える鉄量の上限が規定されてもよい。
うに、鉄鋼ダスト中に含まれる亜鉛量と比較して鉄量が
非常に少ない場合、後から加える鉄量が非常に多くなる
ので、その分、鉄鋼ダストの処理量が減少することにな
る。従って、鉄鋼ダストの処理量が少なくならないよう
に、後から加える鉄量の上限が規定されてもよい。
【0033】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、鉄鋼ダスト中の亜鉛量に比較して鉄量が少なく、そ
のために亜鉛揮発率の低い鉄鋼ダストであっても、亜鉛
の揮発率、すなわち亜鉛の回収率を大幅に増加させるこ
とができる。
ば、鉄鋼ダスト中の亜鉛量に比較して鉄量が少なく、そ
のために亜鉛揮発率の低い鉄鋼ダストであっても、亜鉛
の揮発率、すなわち亜鉛の回収率を大幅に増加させるこ
とができる。
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フロントページの続き
(72)発明者 金坂 淳
愛媛県新居浜市磯浦町17−5 住友金属鉱
山株式会社新居浜研究所内
Fターム(参考) 4K001 AA30 BA14 CA23 DA07 GA07
HA01 KA06
Claims (2)
- 【請求項1】 亜鉛を含有する鉄鋼ダストに炭素質還元
剤を添加して行う還元焙焼により、亜鉛を揮発回収する
操業方法において、鉄の総量が、鉄鋼ダスト中の亜鉛量
に対して、0.5以上の質量比となるように、前記鉄鋼
ダストに鉄または鉄酸化物を添加することを特徴とする
鉄鋼ダスト還元焙焼用ロータリーキルンの操業方法。 - 【請求項2】 鉄の総量が、鉄鋼ダスト中の亜鉛量に対
して、1.5以下の質量比となることを特徴とする請求
項1に記載の鉄鋼ダスト還元焙焼用ロータリーキルンの
操業方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002157283A JP2003342648A (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | 鉄鋼ダスト還元焙焼用ロータリーキルンの操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002157283A JP2003342648A (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | 鉄鋼ダスト還元焙焼用ロータリーキルンの操業方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003342648A true JP2003342648A (ja) | 2003-12-03 |
Family
ID=29773213
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002157283A Pending JP2003342648A (ja) | 2002-05-30 | 2002-05-30 | 鉄鋼ダスト還元焙焼用ロータリーキルンの操業方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003342648A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008261006A (ja) * | 2007-04-12 | 2008-10-30 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | ニッケル精製工程から発生する鉄澱物の処理方法 |
JP2008291292A (ja) * | 2007-05-23 | 2008-12-04 | Takeshi Azagami | 溶融亜鉛の製造方法 |
CN104087754A (zh) * | 2014-07-07 | 2014-10-08 | 中南大学 | 一种铁酸锌活化焙烧-物相调控锌铁分离的方法 |
JP2020097760A (ja) * | 2018-12-17 | 2020-06-25 | 住友金属鉱山株式会社 | 酸化亜鉛鉱の製造方法 |
-
2002
- 2002-05-30 JP JP2002157283A patent/JP2003342648A/ja active Pending
Cited By (6)
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