JP2003342489A - 藍藻類からのフィコシアニンの抽出方法 - Google Patents

藍藻類からのフィコシアニンの抽出方法

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JP2003342489A
JP2003342489A JP2002153780A JP2002153780A JP2003342489A JP 2003342489 A JP2003342489 A JP 2003342489A JP 2002153780 A JP2002153780 A JP 2002153780A JP 2002153780 A JP2002153780 A JP 2002153780A JP 2003342489 A JP2003342489 A JP 2003342489A
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Yoshiji Fukuda
芳次 福田
Akiko Sekiya
亜紀子 関谷
Masaki Sakakibara
正樹 榊原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 藍藻類から青みが強く色調の鮮やかなフ
ィコシアニンを抽出する方法を提供すること。 【解決手段】 藍藻類をカルシウム・イオンを含有する
溶液に懸濁した懸濁液を調製し、該懸濁液に塩基性化合
物の添加と超音波照射処理とを行って、藍藻類中のフィ
コシアニンが懸濁液中に抽出した抽出液を得たのち、フ
ィコシアニンが懸濁液中に抽出した抽出液から藍藻類の
残渣を分離することを特徴とする、藍藻類からのフィコ
シアニンの抽出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、藍藻類からのフィ
コシアニンの抽出方法に関する。本発明は特に、生のス
ピルリナ(Spirulina)からのフィコシアニン
の抽出方法として好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術】藍藻類、特にスピルリナには、青色を呈
するフィコシアニンが含まれていることが知られてお
り、従来から食品用着色料として利用するために種々の
フィコシアニンの抽出方法が提案されてきた。
【0003】藍藻類に含まれるフィコシアニンを抽出す
る方法としては、例えば、(1)生の藍藻類をカルシウ
ム・イオンを含む第一水相と接触させる工程、(2)第
1水相を藍藻類より分離する工程、(3)藍藻類を塩基
性化合物含有の第2水相と接触させる工程、(4)前記
(3)工程によりフィコシアニンを含有する第2水相と
残存藍藻類とを分離する工程からなる抽出方法が、特公
昭63−55920号公報等に報告されている。しかし
ながら、該抽出方法では、(2)の工程で藍藻類と第1
水相を接触させたのち、該藍藻類より第1水相を分離す
ることが必要であり、抽出方法が煩雑となる欠点を有し
ている。さらに(4)工程において、フィコシアニンを
含有する第2水相から残存藻類類を分離する際、スピル
リナ等の浮上性の藍藻類を原料として使用する場合、第
2水相に藻体が残るばかりでなく夾雑するクロロフィル
等の色素の除去が不十分となり、青みが強く良好な色調
のフィコシアニンが得られない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、藍藻
類から、青みが強く色調の鮮やかなフィコシアニンを抽
出する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、カルシウム塩を含有す
る藍藻類の懸濁液に、塩基性の添加と超音波処理とを行
い、藍藻類に含まれるフィコシアニンを懸濁液中に抽出
した後、懸濁液中の藍藻の残渣を分離する抽出方法は、
カルシウム塩を含有する藍藻類の懸濁液から藍藻類を分
離すること無しに、藍藻類を塩基性化合物含有の水相に
接触させることができること、超音波処理により藍藻の
細胞に含まれるフィコシアニンの水相への移行を促進す
ること、浮遊性のスピルリナを原料として使用してもフ
ィコシアニンの抽出液に藻体が残らず、交雑するクロロ
フィル等の色素の除去が可能となり、青みが強く良好な
色調のフィコシアニンが得られること等を見出し、本発
明をなすに至った。
【0006】即ち、本発明は、カルシウム塩を含有する
藍藻類の懸濁液に、塩基性化合物の添加と超音波照射処
理とを行い藍藻類中のフィコシアニンが懸濁液中に抽出
した抽出液を得たのち、該抽出液から藍藻類の残渣を分
離することを特徴とする、藍藻類からのフィコシアニン
の抽出方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明について、詳細に説
明する。本発明で用いることのできる藍藻類は、スピル
リナ(Spirulina)属、アファニゾメノン(A
phanizomenon)属、フィッシェレラ(Fi
sherella)属、アナベナ(Anabaena)
属、ネンジュモ(Nostoc)属、シネコキスチス
(Synechocystis)属、シネココッカス
(Synechococcus)属、トリポスリクス
(Tolypothrix)属、スイゼンジノリ(Ap
hanothece)属、マスティゴクラディス(Ma
stigoclaus)属、プルロカプサ(Pleur
ocapsa)属等が挙げられるが、工業的規模で生産
され、その安全性が確認されているスピルリナに属する
ものが望ましい。
【0008】本発明で用いる藍藻類としては、生の藍藻
類や、乾燥処理した藍藻類等が挙げられるが、生の藍藻
類が好ましい。
【0009】生の藍藻類は、例えば、水中で培養された
藻を遠心分離、濾過等の方法により収穫され、通常水分
を70〜90重量%含有している。藍藻類は、通常水中
で自然光、又は人工光により培養されるが、光が照射さ
れ光合成を行っている状態の藍藻を収穫するのが好まし
い。特に自然光下の屋外培養槽で培養されている藍藻に
おいては、夜間若しくは光照射が始まった直後に収穫さ
れた藍藻よりは、光合成が継続して行われ、水温も上昇
してくる午前10時以降から日没までに収穫された藍藻
がより好ましい。
【0010】乾燥処理した藍藻類としては、例えば、前
記の方法で培養した生の藍藻類を、凍結乾燥処理したも
のや、スプレー乾燥処理したもの等が挙げられる。
【0011】本発明の抽出方法で用いる懸濁液を得るに
は、例えば、 藍藻類を懸濁した水溶液にカルシウム塩を加える、 カルシウム塩の水溶液に藍藻類を加え懸濁する、 等の方法が挙げられるが、本発明の抽出方法においては
の方法が好ましい。以下の懸濁液に関する説明はの
方法を前提として行う。
【0012】本発明で用いるカルシウム塩の水溶液の調
製に用いるカルシウム塩としては、例えば、塩化カルシ
ウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム等の水溶性の
カルシウム塩が挙げられるが、中でも、塩化カルシウム
が好ましい。
【0013】カルシウム塩の水溶液中のカルシウム塩の
濃度は、0.01〜2.0モル/リットルが好ましく、
0.1〜0.5モル/リットルがより好ましい。
【0014】藍藻類をカルシウム塩の水溶液に懸濁し、
懸濁液を得る際は、藍藻分の濃度が、乾燥固形分として
0.1〜20.0重量%となる範囲でカルシウム塩の水
溶液に懸濁するのが好ましく、2.0〜8.0重量%と
なる範囲がより好ましい。
【0015】懸濁液の調製は、懸濁液の温度が4〜45
℃となる範囲で行うのが好ましく、20〜35℃がより
好ましい。
【0016】懸濁液は、調製後すぐに次の工程に用いる
ことができるが、調製後静置するのが好ましい。静置時
間は、5分〜8時間が好ましく、30分〜1時間がより
好ましい。
【0017】次に、懸濁液に塩基性化合物の添加と、超
音波照射処理を行う。懸濁液への塩基性化合物の添加と
超音波照射処理の順序は制限は無く、超音波照射を行っ
た後に塩基性化合物を添加しても良いし、塩基性化合物
を添加した後に超音波照射処理を行っても良いが、本発
明の抽出方法においては、塩基性化合物を添加した後に
超音波照射処理を行うのが好ましい。以下の、塩基性化
合物の添加と超音波照射処理の説明は、好ましい順序で
ある、塩基性化合物の添加後に超音波照射処理すること
を前提に説明する。
【0018】本発明の抽出方法で用いる塩基性化合物と
しては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム等のアルカリ化合物;炭酸ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸リチウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム等の
アルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、酢酸リチウム等のアルカリ金属の酢酸塩等が挙げ
られる。
【0019】懸濁液に塩基性化合物を添加する際は、塩
基性化合物の水溶液とした上で懸濁液に加えても良い
し、固体の塩基性化合物を直接懸濁液に加えても良い
が、塩基性化合物の水溶液とした上で懸濁液に加えるの
が好ましい。塩基性化合物の水溶液のpHは、8.0〜
12.0の範囲が好ましく、9.0〜11.0がより好
ましい。塩基性化合物としては、炭酸ナトリウムと炭酸
水素ナトリウムが好ましく、炭酸ナトリウムと炭酸水素
ナトリウムを両方用いるのがより好ましい。
【0020】上記懸濁液に塩基性化合物を混合する際
は、懸濁液中の塩基性化合物の濃度が0.001〜0.
1モル/リットルとなる様に混合するのが好ましく、
0.005〜0.05モル/リットルがより好ましい。
塩基性化合物を添加した直後の懸濁液のpHは、7.5
〜10.0の範囲が好ましく、8.5〜9.5がより好
ましい。
【0021】懸濁液に塩基性化合物を添加した後は、攪
拌等により均質にする。懸濁液の温度は、4〜45℃の
範囲が好ましく、15〜35℃の範囲がより好ましい。
懸濁液へ塩基性化合物を添加した後は、更に攪拌または
静置するのが、フィコシアニンが藍藻細胞から懸濁液と
塩基性化合物の混合液中に移行しやすくなるので好まし
い。攪拌、静置の時間は、10分間〜8時間で良く、2
〜5時間が好ましい。
【0022】次に、超音波照射処理を行う。超音波照射
処理により、藍藻に特徴的な細胞内構造であるガス胞を
破壊し、ガス胞に由来する気泡の細胞外への排出と、藍
藻のチラコイド膜上の会合体(フィコビリゾーム)とし
て存在しているフィコシアニンを水相へ優先的に可溶化
させる。この超音波処理により、細胞からのフィコシア
ニンの水相への移行を促進するとともに、分離工程での
浮上性藻による分離不良を防止することが出来る。
【0023】超音波照射処理を行う際の照射方法は、藍
藻類の細胞を破壊し、フィコシアニンの懸濁液中への移
行を促進させることができれば制限はなく、バッチ式や
連続式等が挙げられるが、なかでも、連続的に超音波を
照射する連続式が好ましい。連続式の超音波照射処理装
置としては、例えば、(株)日本精機製作所の生産用多
連式超音波分散装置等が挙げられる。
【0024】超音波照射処理は、藍藻類からフィコシア
ニンの懸濁液への移行を促進できるような条件で行えば
良いが、超音波照射により懸濁液に与えられる仕事量と
しては、懸濁液1リットルに対して、1〜300kJが
好ましく、5〜200kJがより好ましく、10〜10
0kJが特に好ましい。
【0025】超音波照射処理の条件としては出力、周波
数、照射時間等が挙げられる。超音波の周波数として
は、10〜100kHzが好ましく、10〜50kHz
がより好ましく、15〜30kHzが特に好ましい。超
音波照射の出力は、50〜600Wが好ましく、100
〜400Wがより好ましく、200〜400Wが特に好
ましくい。前記仕事量を与える超音波照射処理を行うに
は、出力と照射時間とを適宜調整すればよいが、懸濁液
1リットルを超音波処理する時には、例えば、周波数2
0kHzにおいて、出力が50Wの時は、20秒〜10
0分の照射時間が好ましく、2分〜70分がより好まし
く、3分30秒〜35分が特に好ましい。出力が300
Wの時は、3秒〜20分の照射時間が好ましく、20秒
〜12分がより好ましく、30秒〜7分が特に好まし
い。出力が500Wの時は、2秒〜10分の照射時間が
好ましく、10秒〜7分がより好ましく、20秒〜4分
が特に好ましい。具体的には、例えば、後述する実施例
1に示すように、周波数が19.5kHz、超音波照射
部の容積が10mL、出力が300Wの連続式超音波破
砕装置を用いて破砕処理するには、懸濁液を5mL/秒
の速度で超音波照射部に送り破砕処理すればよい。
【0026】本発明の抽出方法においては、塩基性化合
物の添加と懸濁液の超音波照射処理とを行った後、藍藻
類の残渣からのフィコシアニン色素の分離を行うが、塩
基性化合物の添加と超音波照射処理とを行って得られた
抽出液にリン酸塩を添加すると、リン酸塩が、懸濁液中
のカルシウム塩と反応し、リン酸カルシウムの沈殿を生
じることにより、フィコシアニン色素と夾雑しているク
ロロフィル等の他の色素を共沈させることができ、フィ
コシアニン色素の純度を高くすることができるので好ま
しい。
【0027】リン酸塩は、固体のまま添加しても良い
し、水溶液とした状態で添加しても良い。リン酸塩とし
ては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリ
ウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸ナトリウム;
リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二
カリウム等のリン酸カリウム;リン酸マグネシウム;リ
ン酸二水素アンモニウム等の水溶性無機塩が挙げられる
が、中でも、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムが好ま
しく、リン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0028】リン酸塩は、リン酸塩の濃度が抽出液中で
0.001〜0.5モル/リットルの濃度になるよう抽
出液に添加するのが好ましく、0.01〜0.1モル/
リットルがより好ましい。また、リン酸塩を加えた後の
抽出液のpHが、5.0〜8.0の範囲に入るようリン
酸塩を加えるのが好ましく、5.3〜7.0となる様に
リン酸塩を加えるのがより好ましい。
【0029】塩基性化合物の添加と超音波照射処理とを
行った抽出液に対して、分離処理を行い、フィコシアニ
ン色素が含有している液から藍藻の残渣を分離する。分
離処理を行う手段としては、種々の方法が挙げられ、例
えば、ろ紙やろ布等のろ材を用いたろ過方法や、沈殿か
ら上澄を回収することにより行うデカンテーション法、
遠心分離方法等が挙げられる。なかでも、遠心分離によ
る分離が好ましい。
【0030】遠心分離は、抽出液から残渣を除去できる
条件であれば良いが、重力加速度が1,000〜30,
000Gで10秒〜2時間の遠心分離条件が好ましく、
重力加速度が3,000〜10,000Gで1〜30分
間の遠心分離条件が、より好ましい。遠心分離機として
は、ディスラッジ型遠心分離機、アルファ型遠心分離
機、シャープレス型遠心分離機があるが、作業性が向上
することから、ディスラッジ型遠心分離機とアルファ型
遠心分離機の組み合わせによる連続遠心分離が好まし
い。
【0031】分離処理により得られたフィコシアニン抽
出液は、この状態で使用に供することも可能であるが、
更に濃縮しても良い。濃縮方法としては、溶液に夾雑し
ている低分子性色素、有機不純物、及び無機イオン含量
を低下させ、精製度を向上することができるため、限外
濾過による濃縮が好ましい。限外濾過に用いる限外濾過
膜は、分画分子量が1000〜30,000のものが好
ましく、5000〜20,000のものがより好まし
い。
【0032】本発明の抽出方法で得られるフィコシアニ
ン抽出液は、糖類、塩類等、例えばグリセロール、クエ
ン酸ナトリウム等を加えて安定化させ溶液状の色素液と
して提供可能である。さらにこのフィコシアニン濃縮液
は、乾燥工程を経ることにより、乾燥粉末にすることも
できる。乾燥方法は、フィコシアニンが変性劣化しない
条件であれば何れでも良いが、熱風噴霧乾燥、凍結乾燥
が特に好ましく用いられる。
【0033】本発明の抽出方法は、工業的にフィコシア
ニンを大量生産できる方法であり、得られるフィコシア
ニンは、従来にない鮮やかな青色を有する色素である。
例えば色差計を使用した色調測定においても、従来の工
業的抽出方法で得られた色素と明確に区別することが出
来る。
【0034】
【実施例】次に、実施例、比較例により本発明を具体的
に説明する。例中において、「部」、「%」は、特にこ
とわりのない限り、重量基準である。
【0035】実施例1 人工光を使用し、7日間連続光照射下の培養槽でスピル
リナを培養生産し、収穫した。得られた生の藻体1kg
(固形分量18.0%)を1%塩化カルシウム溶液6L
(0.09モル/リットル)に加え、攪拌機により20
℃で45分間攪拌を行いスピルリナ懸濁液を得た。炭酸
ナトリウム3gと炭酸水素ナトリウム3gを50mlの
水に溶解し、スピルリナ懸濁液に添加(懸濁液中の塩基
性化合物の濃度は、0.01モル/リットル)した。こ
の懸濁液を2分間攪拌後、20℃で5時間、静置した。
この懸濁液を連続式超音波破砕装置〔(株)日本精機製
作所RUS−300TCVP型、周波数19.5kH
z、超音波照射部の容積10mL、出力300W〕に導
き、懸濁液を5mL/秒の速度で超音波照射部に送り超
音波処理を行い、抽出液を得た。得られた抽出液にリン
酸二水素ナトリウムが6.8g/リットル、リン酸水素
二ナトリウムが2.2g/リットルの濃度になる様に加
え、攪拌後、遠心分離機に導き、重力加速度が10,0
00Gで、15分間の遠心分離を行った。得られたフィ
コシアニンの抽出液は、分画分子量15,000の分離
膜を使用した限外濾過により低分子成分及び塩類を除去
した後、凍結乾燥を行い、フィコシアニン色素乾燥物を
45gを得た。これを、フィコシアニン色素1とする。
【0036】フィコシアニン色素1の0.1gを100
mlの水に溶解したフィコシアニン色素液を調製し、下
記に示す測定方法に従い吸光度と色調を測定した。吸光
度と色調の測定結果を、藻類乾燥重量100gあたり得
られた色素乾燥物の重量と共に、第1表に示す。
【0037】(吸光度の測定)フィコシアニン色素液を
水で10倍希釈し、618nm(フィコシアニンの吸収
極大波長)と280nm(タンパク質の吸収極大波長)
における吸光度を測定した。波長618nmの吸光度
(Aat618nm)の測定値が高いほど色素乾燥物中
のフィコシアニン含有量が高いことを示す。波長280
nmの吸光度(Aat280nm)の測定値が高いほど
色素乾燥物中のタンパク質含有量が高いことを示す。ま
た、Aat280nmとAat618nmとの比(Aa
t280nm/Aat618nm)は、色素乾燥物中の
フィコシアニン単位量当たりのタンパク質含有量を示
し、この値が小さい程、夾雑タンパク質が除かれ純度の
高いフィコシアニンが得られていることを示す。尚、吸
光度の測定は、(株)島津製作所製のUV2200型を
用いて行った。
【0038】(色調の測定)色調の測定には、波長61
8nmの吸光度が0.6になる様にフィコシアニン色素
液を水で希釈したものを用いた。色調は、ハンター(H
unter)の表色法に従い、a値とb値とを測定し、
これらの値から(a+b1/2値算出した。b値
は青色の強さを表し、−b値が大きいほど、青みが強い
ことを示す。(a+b1/2は彩度を表し、この
値が大きいほど、色合いが鮮やかであることを示す。
尚、色調の測定は、日本電色工業(株)製SZ−Σ90
型を用いて行った。
【0039】比較例1 実施例1で用いた生のスピルリナ藻体1kgを1%塩化
カルシウム水溶液6L(0.09モル/リットル)に加
え、攪拌機により20℃で45分間攪拌を行いスピルリ
ナ懸濁液を得た。スピルリナ懸濁液からスピルリナを濾
布により濾過分離し、該スピルリナを炭酸ナトリウムと
炭酸水素ナトリウムをそれぞれ0.5g/L濃度で含有
する水溶液6L(水溶液中の塩基性化合物の濃度は0.
01モル/リットル)に懸濁した。懸濁液を20℃で2
時間攪拌後、次いで1時間放置した。この懸濁液を傾斜
して上清を回収し回収液を得ると共に、残存藻類に、該
残存藻類の乾燥重量に対し5重量%の割合で濾過助剤と
して硫酸アルミナを添加した後、減圧濾過を行い回収液
を得た。これらの回収液を合わせた液を、遠心分離機に
導き、重力加速度が10,000Gで、15分間の遠心
分離を行った。得られたフィコシアニンの抽出液は、限
外濾過処理及び凍結乾燥を実施例1と同様に行い、フィ
コシアニン色素乾燥物38gを得た。これを比較対照用
フィコシアニン1′とする。
【0040】フィコシアニン色素1′の0.1gを10
0mlの水に溶解し、比較対照用フィコシアニン色素液
を調製した。実施例1と同様に吸光度と色調を測定し、
その結果を第1表に示す。
【0041】
【表1】
【0042】フィコシアニン色素1は、フィコシアニン
色素1′と比較して、藻類からより多くのフィコシアニ
ンが回収でき、また、夾雑タンパク質が除かれ純度も高
く、色調も青みが強く鮮やかである。
【0043】
【発明の効果】本発明は、藍藻類、特にスピルリナから
色調の鮮やかなフィコシアニンを高純度で、かつ、大量
安価に生産できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム塩を含有する藍藻類の懸濁液
    に、塩基性化合物の添加と超音波照射処理とを行い藍藻
    類中のフィコシアニンが懸濁液中に抽出した抽出液を得
    たのち、該抽出液から藍藻類の残渣を分離することを特
    徴とする、藍藻類からのフィコシアニンの抽出方法。
  2. 【請求項2】 藍藻類が、生のスピルリナである、請求
    項1記載の藍藻類からのフィコシアニンの抽出方法。
  3. 【請求項3】 カルシウム塩が、塩化カルシウムであ
    る、請求項1記載の藍藻類からのフィコシアニンの抽出
    方法。
  4. 【請求項4】 カルシウム塩を含有する藍藻類の懸濁液
    に、塩基性化合物を添加したのち超音波照射処理を行
    う、請求項1、2または3記載の藍藻類からのフィコシ
    アニンの抽出方法。
  5. 【請求項5】 抽出液を得たのち、該抽出液にリン酸塩
    を添加し、次いで、藍藻類の残渣を分離する、請求項4
    記載の藍藻類からのフィコシアニンの抽出方法。
  6. 【請求項6】 超音波照射処理を、15〜30KHzの
    周波数で、100〜400Wの出力で行う、請求項4記
    載の藍藻類からのフィコシアニンの抽出方法。
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