JP2003342401A - プラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理方法

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JP2003342401A
JP2003342401A JP2002153868A JP2002153868A JP2003342401A JP 2003342401 A JP2003342401 A JP 2003342401A JP 2002153868 A JP2002153868 A JP 2002153868A JP 2002153868 A JP2002153868 A JP 2002153868A JP 2003342401 A JP2003342401 A JP 2003342401A
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Katsunori Oya
克典 大矢
Hiroto Yamaguchi
裕人 山口
Atsushi Koike
淳 小池
Masahiro Kanai
正博 金井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板がポリカーボネート樹脂のような耐熱性
の低い絶縁基板材料へのイオン照射において、中性化器
を必要とせず、またRFによりセルフバイアスを誘起する
ことなく、基板にプラズマ生成室で生成されたイオンを
比較的低エネルギーで照射し、基板の熱損傷を低減させ
る。 【解決手段】 電極2に高周波の電圧を与えた時、絶縁
基板2上には電極3の電位がプラズマ電位よりも高いと
き電子が入射し、逆に低いときにイオンが入射する。ま
た、電子はイオンに比べて質量が低いため移動速度が速
く絶縁基板2上に瞬時に蓄積するため、絶縁基板2上に
チャージアップしたイオンの正電荷は瞬時に除去可能で
ある。従って、一周期の内、絶縁基板に電子を引き込む
時間は短時間でよく、そのために電極3の電位の振幅が
プラズマ電位に対して負にシフトするように電極3にバ
イアスを与え、イオン及び電子の入射量を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の形成及びエ
ッチング処理等の基板処理を行なうプラズマ処理方法で
あり、特に樹脂材料等の耐熱性の低い絶縁基板のプラズ
マ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造や情報記録媒体製造の高集積
化、高密度化に伴うプラズマ処理に関して、近年イオン
照射を目的としたイオン源が使用されている。これらの
装置のイオン源には一般的にカウフマン型イオン源及び
ECRイオン源等がある。カウフマン型イオン源は熱フィ
ラメントで熱電子を放出させ、この熱電子を導入したガ
ス分子に衝突しガス分子をイオン化することによりプラ
ズマ生成室においてイオンを生成させる。また、ECRイ
オン源はプラズマ生成室に石英板等のマイクロ波透過窓
を介してマイクロ波を導入し、さらにプラズマ生成室外
部のソレノイドコイルによりプラズマ生成室内で電子サ
イクロトン共鳴条件が満たされるような軸方向磁場を発
生させイオンを生成する方法がある。
【0003】これらのイオン源のプラズマ生成室で生成
したイオンを基板に照射する方法としてプラズマと基板
の間に配置したイオン引出電極によりイオンビームとし
て引き出し、引き出されたイオンビームを基板に照射す
る方法がある。
【0004】また、他のプラズマ生成室で生成されたイ
オンを基板に照射させる方法として、基板裏面に配置し
た電極にRFバイアスを印加し基板表面にセルフバイアス
を誘起させて、イオンを引込む方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで基板が絶縁体や
電気的に絶縁されていると、前者のイオン引出電極によ
りイオンビームを引き出し照射する方法では、イオンビ
ームの正の電荷が蓄積し基板表面が正にチャージアップ
する。このチャージアップが進行すると、基板内部また
は接地電位部分との間で放電が起こり被処理物の破壊に
つながるため、電子をイオンビームあるいは被処理物に
照射する中性化器を備えチャージアップの防止が必要で
あった。
【0006】一般に中性化器はイオンビーム中に曝した
熱フィラメントが使用されることが多く、熱フィラメン
トによる中性化器は簡単な構成で多量の電子を供給する
事が可能である。しかし、熱フィラメントより放射され
る熱輻射は高く、情報記録媒体に使用される耐熱性の低
いポリカーボネート等の樹脂基板に対しては熱損傷を与
えるため、上記の中性化器の採用は困難であった。
【0007】また、後者のRFによって基板表面にセルフ
バイアスを誘起させて、プラズマ生成室において生成し
たイオンを引込む方法は、そのセルフバイアスを誘起さ
せるために高い圧力、出力及び周波数を維持する必要が
ある。その誘起されるセルフバイアスは制御性が悪く周
波数が高いため、高エネルギーのイオン及び電子が基板
に入射することとなり、基板温度が上昇する。従って、
上述の耐熱温度の低いポリカーボネートのような樹脂材
料の基板であると熱損傷は免れなかった。
【0008】本発明の目的は基板がポリカーボネート樹
脂のような耐熱性の低い絶縁基板材料へのイオン照射に
おいて、中性化器を必要とせず、またRFによりセルフバ
イアスを誘起することなく、基板にプラズマ生成室で生
成されたイオンを比較的低エネルギーで照射し、基板の
熱損傷を低減させたプラズマ処理方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、プラズマ生成室で生成したイオンを、基板
の後方に設置した電極に高周波電圧を印加することによ
り該基板に照射するプラズマ処理方法において、前記高
周波電圧はイオンが追従可能な周波数の電圧であり、プ
ラズマ電位に対して前記高周波電圧の振幅の最大電位が
少しだけ大きくなるように、前記高周波電圧を負にバイ
アスすることを特徴とする。
【0010】上記のプラズマ処理方法において、前記電
極に印加する高周波電圧の周波数は10MHz以下であるこ
とが好ましい。
【0011】さらに、前記基板は耐熱性の低い絶縁性の
樹脂基板である場合に本発明のプラズマ処理方法は特に
有効であり、この場合、前記電極に印加した高周波電圧
の電位がプラズマ電位よりも低い時間を、樹脂基板上が
イオンの正電荷でチャージアップする時間よりも短くす
ることが好ましい。
【0012】さらに、前記高周波電圧の波形は正弦波ま
たはパルス波等を適用できる。
【0013】上記のような発明では、耐熱性の低い絶縁
性の樹脂基板上にイオンを照射して基板上を処理するプ
ラズマ処理において、プラズマ電位に対して前記高周波
電圧の振幅の最大電位が少しだけ大きくなるように、前
記高周波電圧に負のバイアスを与えること、特に、前記
電極に印加した高周波電圧の電位がプラズマ電位よりも
低い時間を、樹脂基板上がイオンの正電荷でチャージア
ップする時間よりも短くすることにより、イオンビーム
の正の電荷が蓄積し基板表面が正にチャージアップする
前に基板表面に電子が照射され、基板上に蓄積した正電
荷が除去される。そのため、チャージアップの防止のた
めに中性化器を必要とせず、またRFによりセルフバイア
スを誘起することなく、基板にプラズマ生成室で生成さ
れたイオンを比較的低エネルギーで照射し、基板の熱損
傷を低減させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0015】図1は、本発明のプラズマ処理方法を適用
した装置の一様態を表す概略図である。
【0016】図1で示す形態のプラズマ生成室1の容器
はステンレスまたはアルミなどの金属製容器であり電気
的に接地されている。プラズマ生成室1には室内を排気
する排気系を複合した複合排気系10が備えられ、不図
示のゲートバルブにより気密が保てるようになってい
る。複合排気系10は大気圧から1×10-5Pa程度まで排
気可能な排気システムであり、不図示の排気速度調整器
であるコンダクタンスバルブにより排気速度の調整が可
能となっている。プラズマ生成方法は本実施形態ではカ
ウフマン型プラズマ生成方法である。プラズマ生成方法
はECRプラズマ等も好適であり、本発明ではその際のプ
ラズマ生成方法の種類に特に制限はない。
【0017】プラズマ生成室1の中には熱フィラメント
5、熱フィラメント5を囲う筐体6、電磁石コイル4、
絶縁基板2、電極3が配置されている。熱フィラメント
5は図1に示されるように2つの筐体6の内部にそれぞ
れ配置され、筐体6は開口が互いに対向するように配置
されている。これによって熱フィラメント5よりの熱輻
射が直接、絶縁基板2に放射されないような形態となっ
ている。電磁石コイル4は筐体6を間に挟むように配置
されている。絶縁基板2はポリカーボネート樹脂のよう
な耐熱性の低い基板であり、ステンレスなどの金属から
なる電極3に配置される。電極3にはファンクションシ
ンセサイザー9及び電力増幅器8が直列に接続されてお
り、正弦波、矩形波、パルス、三角波、ノコギリ波など
の各種の高周波の電圧が印加可能である。
【0018】熱フィラメント5により放出された熱電子
は、不図示のガス導入手段によりプラズマ生成室1に導
入されたソースガスをイオン化する。また、電磁石コイ
ル4により作られる磁場により熱電子のソースガスへの
衝突確率が増加し、高密度なプラズマが生成される。さ
らに、熱フィラメント5上の磁束線7は筐体6に遮られ
る事なく絶縁基板2に対して向かうように電磁石コイル
4により形成されている。従って、絶縁基板2への多量
のイオン及び電子の照射が可能となる。
【0019】一般的なRF電源から印加することが出来る
電圧の周波数は13.56MHzであり、10MHz以上の周波数で
はイオンが追従することはできない。従って13.56MHz
の高周波を印加した場合、絶縁基板表面上には電子によ
りセルフバイアスが誘起されるため、正のイオンは基板
に入射する。しかし本発明はセルフバイアスを誘起する
ことが目的ではなく、電極3に印加した高周波電圧で形
成される電界によりイオン及び電子を絶縁基板に入射さ
せることが目的である。従って、10MHz以下の周波数の
電圧を印加する必要があり、このため一般的なRF電源を
使用せずに上述したような装置の形態をとった。
【0020】図2に図1の装置形態において電極3に印
加する高周波の波形の一態様を示す。波形は正弦波であ
る。通常、プラズマに曝された絶縁基板2は電気的に中
性であり電極3に電位を与えない時、イオン及び電子は
同じ電荷量が絶縁基板2に入射する。またこの時、絶縁
基板2の電位はフローティング電位であり、イオンに比
べ質量の軽い電子の移動度が高いためプラズマ電位より
も低い電位に維持される。
【0021】電極3に負の一定電位を与えた時、絶縁基
板2上には正のイオンがプラズマ電位と電極3の電位と
の電位差により決定されるエネルギーをもって入射す
る。しかし、電極3とプラズマは絶縁基板2により絶縁
されているため、コンデンサのように絶縁基板2上には
正電荷が蓄積しチャージアップする。やがて、電極3よ
り発生する電界は正電荷がチャージアップした絶縁基板
2上で遮蔽されるため、プラズマ電位と電極3の電位と
の電位差のエネルギーをもったイオンは入射しなくな
る。一方、電極3に正の一定電位を与えた時は、初めは
絶縁基板2上に電子が入射するが、負電荷が蓄積しチャ
ージアップすると、絶縁基板2表面の負電荷で電子の入
射が遮られる。また、このようなチャージアップ状態で
のイオン及び電子は電極3に電位を与えない時と同じ挙
動を示す。
【0022】従って、絶縁基板2上に継続的に一定以上
のエネルギーをもったイオンを入射させるためには10MH
z以下の高周波電圧を電極3に与えて、絶縁基板2表面
に電子及びイオンを交互に入射させ、それぞれにチャー
ジアップした電荷を除去しながら絶縁基板2を処理する
必要がある。ここで通常のRF放電と異なることは、電極
3に印加した電位とプラズマとの電位差によりイオンを
絶縁基板に入射させる目的のため、電極3に印加する高
周波電圧はイオンが追従可能な周波数(10MHz以下)の
電圧である点である。
【0023】図2に示すような高周波の電圧を与えた
時、絶縁基板2上には電極3の電位がプラズマ電位(点
線で図示)よりも高いとき電子が入射し、逆に低いとき
にイオンが入射する。また前述したように電子はイオン
に比べて質量が低いため移動速度が速く絶縁基板2上に
瞬時に蓄積するため、電子の瞬間的な蓄積で、絶縁基板
2上にチャージアップしたイオンの正電荷は除去可能で
ある。従って、一周期の内、絶縁基板に電子を引き込む
(入射させる)時間(電極3の電位がプラズマ電位より
も高い時間)は図2中の時間t1のように短時間でよ
く、そのために図2に示すように電極3の電位の振幅が
プラズマ電位に対して負にシフトするように電極3にバ
イアスを与え、イオン及び電子の入射量を制御すること
が好適である。
【0024】プラズマ電位と電極3の電位との電位差に
よりイオン及び電子が絶縁基板上に入射し、電荷が蓄積
する。ここで電荷の蓄積によりチャージアップした絶縁
基板2上の電荷量はQ=CV=itで表わされる。Cは
絶縁基板2の静電容量、Vはここではプラズマ電位と電
極3の電位との電位差、iは電流、tはチャージアップ
に要する時間である。従って、継続的に絶縁基板2をイ
オンにより処理するためには、上述のチャージアップに
要する時間よりも少ない時間となる周波数を与えてやれ
ば好適である。例えば絶縁基板2の静電容量C、プラズ
マ電位と電極3の電位との電位差V、イオン電流iが以
下の値であるとチャージアップに要する時間tは次のよ
うに与えられる。
【0025】絶縁基板2の静電容量C:4×10-12[F] プラズマ電位と電極3の電位との電位差V:200[V] イオン電流i:4[mA] チャージアップに要する時間t:2×10-7[sec]
【0026】ここで電子により正電荷を除荷する時間は
一周期の数%でよく、上記のチャージアップに要する時
間tをほぼ一周期としてよい。従って、与える周波数は
上記の条件の場合5MHz程度でよい。これにより、基
板2の形状及び材質からなる静電容量とプラズマ生成室
から決まるプラズマ電位及びイオン電流の諸条件をもと
に、電極3に与える振幅、バイアス及び周波数を決める
ことにより低損傷で効率的な基板2のプラズマ処理が可
能となる。
【0027】また、電極3に与える高周波電圧の波形は
特に正弦波に制限するものではなく、図3に示すパルス
波の電圧を印加することも好適である。図3に示すよう
に電極3の電位の振幅がプラズマ電位に対して負にシフ
トするように電極3にバイアスが与えられており、更に
最大電位及び最小電位のデューティは最大電位印加時間
が一周期に比べて少なくなるように設定されている(最
大電位印加時間t1<最小電位印加時間t2)。電極3
に印加する最大電位はプラズマ電位よりも少しだけ高く
なるように設定されており、これにより絶縁基板2に電
子を入射させる電位を与える。従って、これまで記述し
たように絶縁基板2の電子による正電荷の除荷は電子の
移動速度がイオンに比べて速いために瞬時に行なわれる
ので、上記のようなデューティの設定が好適であり、低
損傷で効率的な基板のプラズマ処理が可能となる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施の形態について図面を参
照して具体的に説明する。
【0029】(実施例1)図1に示した実施形態におい
て、以下のような条件でミリング処理を施した。
【0030】基板2の材質:ポリカーボネート、基板2
の直径:86mm、基板2の厚み:1.1mm、基板2上の堆積
膜:TbFeCo1000nm、TbFeCoミリング処理量:200nm、プ
ラズマ生成室1の圧力:0.133Pa、ソースガス:Ar、イ
オン電流密度1〜4mA/cm2、電極3に印加する高周波電
圧:正弦波(周波数1.25〜5MHz、振幅210V(P-P)、バイ
アス−95V) プラズマ電位はプローブを絶縁基板2の位置直上に配置
し測定したところ5V程度であった。また、上記のイオン
電流密度は絶縁基板2を設置せずに直流電圧−200Vを印
加し、上記のイオン電流密度となるように熱フィラメン
ト5の電流を設定した後、ポリカーボネートの絶縁基板
2を設置しミリング処理を施した。
【0031】実施例1の結果を図4に示す。この図に示
すようにイオン電流密度が4mA/cm2の時はイオンの入射
量が多いため、ポリカーボネートの絶縁基板2が熱変形
した。しかしイオン電流密度が1、2及び3mA/cm2の時、
ポリカーボネートの絶縁基板2を変形させることなくミ
リング処理を実施できた。また、ミリング処理時間は電
極3に印加する高周波電圧の周波数の増加に伴いミリン
グ処理時間は低下した。これはポリカーボネートの絶縁
基板2のイオン及び電子によるチャージアップの除荷が
効率的に行なわれミリング処理速度が向上したことにあ
る。また、印加した高周波電圧の周波数は10MHz以下で
あるのでイオンは電極3の電位に応答し効率的なミリン
グ処理が可能であった。また本実施形態では基板2の材
料に耐熱性の低いポリカーボネートを使用したが、ガラ
ス2−P樹脂のようにポリカーボネートよりも若干耐熱性
の高い材料であれば、イオン電流密度、高周波特性を変
えるなどしてミリング速度を増加させることが可能であ
る。従って、本発明はプラズマ処理する絶縁基板2の材
料を制限するものではなく基板2の材料にあわせて適宜
条件を合わせることが好適である。また本発明のプラズ
マ処理方法は本実施形態にあるようにミリング処理に制
限するものではなくエッチング、CVD、スパッタリング
などによる堆積膜の形成等のプラズマ処理方法も好適で
ある。
【0032】(比較例1)実施例1に示した実施形態に
おいて、他の条件は変えずに電極3にRF電源を接続し1
3.56MHzの高周波電圧を与えセルフバイアスを誘起させ
ミリング処理を行なったところ、電力密度が7W/cm2以上
のRF出力を与えないと安定的なRF放電が行われなかっ
た。また、このような高い電力密度を与えるとポリカー
ボネートの絶縁基板2は変形した。よって、比較例1は
耐熱性の低い樹脂基板のミリング処理には受け入れられ
ない方法であった。
【0033】(実施例2)実施例1の実施形態及び条件
にて電極3に図3に示したようなパルス電圧を印加し、
ミリング処理を行なった。パルスの主な条件は以下の通
りである。
【0034】電極3に印加する高周波電圧:パルス(周
波数1.25〜5MHz、振幅振幅210V(P-P)、バイアス−95V、
デューティ10%) 実施例2の結果を図5に示す。この図に示すようにミリ
ング処理時間は電極3に印加する高周波電圧の周波数の
増加に伴いミリング処理時間は低下し、実施例1と同様
の結果である。また、波形が正弦波と異なり電極3の電
位の変動が2値であるため、負の最小電位によるイオン
の絶縁基板2への入射量が実施例1に比べて多く、さら
にデューティの変化により効率的なミリング処理が行な
われ処理時間が減少した。実施例1と同様、イオン電流
密度が4mA/cm2の時はイオンの入射量が多いため、絶縁
基板2が熱変形した。また、イオン電流密度が3mA/c
m2、電極3に印加する高周波電圧の周波数が5MHzでは絶
縁基板2が熱変形したが、2.5MHzの時は熱変形しなかっ
た。しかし、イオン電流密度が3mA/cm2の時、高周波電
圧の周波数が2.5MHzの時に比べて5MHzの方がミリング処
理時間は減少した。これは、2.5MHzの時では電極3の電
位が最小電位にあるときにイオンのチャージアップした
時間が存在することにあり、エネルギーをもったイオン
によるミリング処理が効率的に行なわれていないことに
ある。
【0035】本実施例では図5から分かるように、イオ
ン電流密度2mA/cm2で、電極3に印加する高周波電圧の
周波数が2.5MHzまたは5MHzが好適である。これはポリカ
ーボネートの絶縁基板2のイオン及び電子によるチャー
ジアップの除荷が効率的に行なわれミリング処理速度が
向上したことにある。また、電極3に印加する高周波電
圧の周波数は10MHz以下であるのでイオンは電極3の電
位に応答し効率的なミリング処理が可能であった。
【0036】また、本実施例では基板2の材料に耐熱性
の低いポリカーボネートを使用したがガラス2−P樹脂の
ようにポリカーボネートよりも若干耐熱性の高い材料で
あればイオン電流密度、高周波特性を変えるなどしてミ
リング速度を増加させることが可能である。従って、本
発明は基板材料を制限するものではなく基板材料にあわ
せて適宜条件を合わせることが好適である。また、本発
明のプラズマ処理方法は本実施形態にあるようにミリン
グ処理に制限するものではなくエッチング、CVD、ス
パッタリングなどによる堆積膜の形成等のプラズマ処理
方法も好適である。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐熱性の低い絶縁性の樹脂基板上にイオンを照射して基
板上を処理するプラズマ処理において、プラズマ電位に
対して前記高周波電圧の振幅の最大電位が少しだけ大き
くなるように、前記高周波電圧に負のバイアスを与え、
前記電極に印加する高周波電圧の電位がプラズマ電位よ
りも低い時間を、樹脂基板上がイオンの正電荷でチャー
ジアップする時間よりも短くする。その結果、イオンビ
ームの正の電荷が蓄積し基板表面が正にチャージアップ
する前に、基板表面に電子を照射し、基板上に蓄積した
正電荷を除去することが可能となる。従って、チャージ
アップの防止のために中性化器を必要とせず、またRFに
よりセルフバイアスを誘起することなく、基板にプラズ
マ生成室で生成されたイオンを比較的低エネルギーで照
射し、基板の熱損傷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理方法を適用した装置の一
様態を表す概略図である。
【図2】図1の装置形態において電極に印加する高周波
の波形の一態様を示す図である。
【図3】図1の装置形態において電極に印加する高周波
の波形の別の態様を示す図である。
【図4】本発明の実施例1の結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 プラズマ生成室 2 絶縁基板 3 電極 4 電磁石コイル 5 熱フィラメント 6 筐体 7 磁束線 8 電力増幅器 9 ファンクションシンセサイザー 10 複合排気系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 淳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 金井 正博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4F073 AA06 BA26 BB01 CA01 CA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ生成室で生成したイオンを、基
    板の後方に設置した電極に高周波電圧を印加することに
    より該基板に照射するプラズマ処理方法において、 前記高周波電圧はイオンが追従可能な周波数の電圧であ
    り、 プラズマ電位に対して前記高周波電圧の振幅の最大電位
    が少しだけ大きくなるように、前記高周波電圧を負にバ
    イアスすることを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 【請求項2】 前記電極に印加する高周波電圧の周波数
    は10MHz以下である、請求項1に記載のプラズマ処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記基板は耐熱性の低い絶縁性の樹脂基
    板である、請求項1または2に記載のプラズマ処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記電極に印加した高周波電圧の電位が
    プラズマ電位よりも低い時間を、樹脂基板上がイオンの
    正電荷でチャージアップする時間よりも短くする、請求
    項3に記載のプラズマ処理方法。
  5. 【請求項5】 前記高周波電圧の波形が正弦波またはパ
    ルス波である、請求項1から4のいずれか1項に記載の
    プラズマ処理方法。
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