JP2003342182A - 亜鉛補給用組成物および当該組成物の製造におけるカカオ豆加工物の使用 - Google Patents

亜鉛補給用組成物および当該組成物の製造におけるカカオ豆加工物の使用

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JP2003342182A JP2002156348A JP2002156348A JP2003342182A JP 2003342182 A JP2003342182 A JP 2003342182A JP 2002156348 A JP2002156348 A JP 2002156348A JP 2002156348 A JP2002156348 A JP 2002156348A JP 2003342182 A JP2003342182 A JP 2003342182A
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Haruhiko Tsutsumi
晴彦 堤
Taku Mato
卓 間藤
Tomohisa Nomura
智久 野村
Naoko Matsui
直子 松井
Ryoichi Ito
良一 伊藤
Hiroyuki Inagaki
宏之 稲垣
Mariko Yoshikawa
真理子 吉川
Masanori Kamei
優徳 亀井
Shuichi Hashizume
秀一 橋爪
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収率の低い亜鉛の高められた生体吸収率を
示す亜鉛補給用組成物を提供すること。 【解決手段】 カカオ豆加工物を含むことを特徴とする
亜鉛補給用組成物。カカオ豆加工物を各種の食品、経腸
栄養剤、亜鉛内服療法用薬剤等の組成物に使用すること
で、当該組成物からの亜鉛の吸収を顕著に高めることが
できる。したがって、当該カカオ豆加工物を各種の食品
や経腸栄養剤或いは経口薬剤に含有させて、優れた吸収
率を示す亜鉛補強用組成物を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛の高い吸収性
を示す亜鉛補給用組成物および当該組成物の製造のため
のカカオ豆加工物の使用に関する。
【0002】
【従来の技術】亜鉛はヨウ素、銅、マンガン、モリブデ
ン、セレン等と同様に生体に不可欠な微量元素であり、
これらは食餌から摂取されることを要する。例えばマン
ガンはピルビン酸カルボキシラーゼの活性中心を提供
し、モリブデンはキサンチン脱水素酵素の活性に、また
セレンはグルタチオンペルオキシダーゼの活性に不可欠
の役割を有している。
【0003】亜鉛も同じくアルカリホスファターゼ、カ
ルボキシペプチダーゼ、カーボニックアンヒドラター
ゼ、アルコール脱水素酵素、ヌクレオチドポリメラーゼ
等をはじめとした70種以上の金属酵素の必須構成成分
となって各種の代謝に密接に関連しており、生体の成
長、発育そして正常機能の維持にとって不可欠なものと
なっている。また亜鉛はZnフィンガー等の核となって
遺伝子の発現・翻訳或いはタンパク質間相互作用を制御
し、更には神経伝達に不可欠なことも知られており、最
近ではうつ病や癲癇との関連も指摘されてきている。
【0004】したがって、生体において亜鉛が欠乏した
場合、亜鉛欠乏症候群(腸性肢端皮膚炎)をはじめとす
る皮膚・粘膜異常、発育遅延や精神症状のほか、免疫不
全や性機能不全等を引き起こすことが知られている。特
に、昨今、亜鉛欠乏と味覚障害の関係についての感心が
高まっているが、この関係については味を感じる味蕾が
およそ1ヶ月という短いサイクルで再生されるために当
該再生に多くの亜鉛が必要とされることが原因と考えら
れている。すなわち、亜鉛欠乏による障害は、細胞分裂
の盛んな細胞、例えば臭細胞、腸管粘膜、皮膚、味蕾、
造精細胞に顕著に現れ、事実これらの細胞には比較的多
量の亜鉛が含まれる。熱傷の治癒時に多量の亜鉛が必要
とされることや、亜鉛不足と性欲減退、前立腺肥大の関
係が示唆されている。
【0005】このように生体にとって極めて重要な微量
元素である亜鉛は基本的に食餌からその必要量を摂取す
る必要がある。従来、我が国においては亜鉛欠乏症が認
められないとの理由から亜鉛の所要量については特に設
定されていなかったが、最近では亜鉛の1日あたりの所
要量が成人男性で12mg、女性で9mgとされている
(「第6次改訂日本人の栄養所要量」による)。
【0006】ここで、上記所要量の算定においては亜鉛
の吸収量がその摂取量の1/4と見積もられている。具
体的に、成人男性における1日あたりの亜鉛所要量の1
2mgに関しては、食餌からの当該量の亜鉛の摂取によ
りそのうちの3mgのみが体内に吸収されると見込まれ
ている。言い換えれば、亜鉛の吸収率は高々25%に過
ぎず、これは亜鉛がその生体における重要性にも拘らず
極めて摂取・吸収し難い微量元素であることを意味す
る。
【0007】いっぽう、カカオ豆は、亜鉛やマグネシウ
ム等のミネラル分を多量に含む食品素材であることが知
られている。亜鉛についていえば、カカオ豆から製造さ
れるココアパウダーではその5g(ココア約1杯分)あ
たり約0.4mg程度の亜鉛が含まれていることが知ら
れている。これは、亜鉛をもっとも多く含む食品の1つ
である生牡蠣の可食部100gあたり13.2mgに比
べれば少ないものの、なお比較的多量の亜鉛がカカオ豆
に含まれているということができる。
【0008】当該カカオ豆に含まれるミネラル分の利用
に関しては、特開2002−65210号公報に、カカ
オ豆等を爆砕し当該爆砕物からミネラル組成物を調製す
る方法が開示されている。当該爆砕処理により、カカオ
豆等においてミネラルと共に存在して当該ミネラルの効
率的な溶出を妨げるタンパク質やリグニンといった成分
と該ミネラルとの結合が緩和され、それによりマグネシ
ウムを豊富に含むミネラル組成物が得られることが開示
されている。しかしながら、当該公報は主にマグネシウ
ムに関するものであり亜鉛に関する記載はない。
【0009】また、特開平9−205991号公報に
は、ココアパウダー、ビタミンB群とミネラルからなる
ココア飲料用粉末が開示されている。当該ココア飲料用
粉末は、ココアの有する独特の風味に加えてビタミンB
群やミネラルの生理機能が働いて、健康維持にも有用な
飲料食品を提供するとされる。しかしながら、やはり当
該公報にも亜鉛に関する記載はない。
【0010】更に、特開平6−62746号公報には、
カカオ豆由来のカカオニブに対してミネラルを含む水溶
液を添加し、これを加熱および加圧して反応させ、得ら
れた反応物を乾燥焙炒するミネラル強化カカオニブの製
造方法が開示されている。具体的には、カカオニブに対
して炭酸カルシウム/水酸化カルシウムおよびクエン酸
鉄溶液を加えて130℃、1気圧で10乃至20分反応
させた後、当該反応物を乾燥、焙炒する方法が記載され
ており、当該加熱および加圧処理を行なうことにより、
単にカカオマスとミネラルを配合した場合に比べて高い
ミネラルの吸収性が得られることが開示されている。し
かしながら、上記のとおり当該公報は、カカオニブの特
殊な処理によるミネラルの吸収率向上に関するものであ
る。また、当該公報において実際に検討されているのは
カルシウムと鉄についてのみであり、亜鉛に関しては同
様な効果が期待できるとの記載に留まる。
【0011】そして、上記先行文献のいずれにも、カカ
オ豆加工物の有する、優れた亜鉛の吸収効果は開示も示
唆もされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、生体にとって極めて重要な微量元素であるにも拘ら
ずその吸収率が低く、よって、その有効な摂取が困難な
亜鉛の高められた吸収率を示す亜鉛補給用組成物を提供
することを目的とする。すなわち、本発明は、亜鉛の補
給が必要な対象者において効率的に亜鉛を吸収させ、亜
鉛欠乏による種々の弊害を除去、緩和するための方法を
提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、驚くべき
ことに、カカオ豆加工物が、それに含まれる或いはそれ
と共に存在する亜鉛の生体における吸収率を高めること
を見出した。つまり、カカオ豆加工物は、本来、それ自
体が比較的多量の亜鉛を含む亜鉛供給源ともみなされる
が、さらにそれは生体に摂取されるべき亜鉛の吸収を促
進してその生物学的な利用効率を高める効果および/ま
たは極めて吸収性の高い亜鉛を提供する効果をも有し、
単なる亜鉛の供給源以外の機能を有することが見出され
たのである。言い換えれば、カカオ豆加工物を各種の食
品、経腸栄養剤、亜鉛内服療法用薬剤等に使用すること
で、当該食品等からの亜鉛の吸収を顕著に高めることが
でき、したがって、当該カカオ豆加工物を各種の食品や
経腸栄養剤或いは経口薬剤に含有させて、優れた吸収率
を示す亜鉛補強用組成物が得られることを確認したので
ある。よって、本発明の第1は、(1)カカオ豆加工物
を含むことを特徴とする亜鉛補給用組成物である。
【0014】カカオ加工物としては種々の形態のものが
知られているが、特にココアパウダーは粉末状であり且
つ風味も優れており、各種の剤系への加工性に優れてい
るので、当該ココアパウダーが本発明のカカオ加工物と
して好適に利用できる。したがって、本発明の第2は、
(2)前記カカオ豆加工物がココアパウダーである上記
(1)の亜鉛補給用組成物である。
【0015】上記のとおり、本発明の亜鉛補給用組成物
は食品、経腸栄養剤あるいは薬剤の形態となしうる、し
たがって本発明の第3乃至第6は、(3)食品の形態で
投与される上記(1)または(2)の亜鉛補給用組成
物、(4)経腸栄養剤の形態で投与される上記(1)ま
たは(2)の亜鉛補給用組成物、および(5)薬剤の形
態で投与される上記(1)または(2)の亜鉛補給用組
成物である。
【0016】上記に関連して、本発明では、優れた吸収
率を示す亜鉛補給用組成物の製造方法も提供される。す
なわち、本発明の第6乃至第10は、(6)亜鉛補給用
組成物の製造のためのカカオ豆加工物の使用、(7)前
記カカオ豆加工物がココアパウダーである上記(6)の
使用、(8)前記組成物が食品である上記(6)または
(7)の使用、(9)前記組成物が経腸栄養剤である上
記(6)または(7)の使用、および(10)前記組成
物が薬剤である上記(6)または(7)の使用である。
【0017】本発明によれば、亜鉛欠乏の兆候を有する
患者のみならず、例えば乳児或いは外傷や外科手術等の
多量の出血を経験した患者および熱傷患者を含む比較的
多量の亜鉛摂取が必要とされる対象者、或いは健常者に
おいても効率的な亜鉛の吸収を達成してその摂取を強化
することができ、したがって、本発明の亜鉛補給用組成
物はそれらの対象者において亜鉛欠乏による病的症状の
改善や健康状態の維持・増進に役立てることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本明細書で用いる「カカオ豆加工
物」の用語は、生のカカオ豆或いは焙炒したカカオ豆か
ら調製されたものを包含することを意図する。カカオ豆
から調製されたカカオ豆加工物の例には、生の或いは焙
炒したカカオ豆を粗砕または粉砕したものや当該粉砕物
等から更にカカオバターを搾油したもの等のほか、例え
ば任意に付加的な加熱処理或いはpH調整のための各種
塩溶液処理を施したもの、更には上記のものからの抽出
物も含まれる。原料のカカオ豆はシェルやジャームを含
んでいてもよく、またそれらが除去されたカカオニブの
形態であってもよい。好ましい本発明のカカオ豆加工物
の例は、シェルおよびジャームを除去した後に焙炒され
たカカオ豆を磨砕、搾油、粗砕、微粉砕して得られるも
のを含む。本発明において特に好ましいカカオ豆加工物
はココアパウダーであり、当該ココアパウダーは例えば
森永製菓株式会社より商品名「ピュアココア」として市
販されている。
【0019】本発明の亜鉛補給用組成物は、上記のカカ
オ豆加工物を亜鉛吸収向上のための有効成分として含有
する。本発明の亜鉛補給用組成物に添加されるカカオ豆
加工物の添加量は、当該組成物の形態や目的とする品質
・特性等によって調節することができ、また後述のよう
にカカオ豆加工物自体を本発明の亜鉛補給用組成物の全
てとなし得る場合もあるが、一般的には組成物の総量に
対して1乃至90重量%、好ましくは1乃至20重量
%、より好ましくは1乃至8重量%程度である。
【0020】本発明のカカオ豆加工物は、亜鉛の吸収促
進体としてだけでなく亜鉛の供給源としても作用する。
すなわち、本発明のカカオ豆加工物自体が元来比較的多
量の亜鉛を含んでいるので、目的とする組成物の形態や
品質或いは特性等によっては本発明の組成物に付加的に
亜鉛を配合する必要がない場合もあり、この場合、本発
明のカカオ豆加工物自体が亜鉛補給用組成物の全てとな
り得る。
【0021】なお、医薬品等としてより多量の亜鉛の摂
取が意図される場合には、カカオ豆加工物に加えて更に
亜鉛を組成物に対して配合してもよい。亜鉛は金属亜鉛
として配合する事もできるが各種の亜鉛塩として配合す
ることが好ましい。硫酸亜鉛等が利用可能である。
【0022】本発明の亜鉛補給用組成物に付加的に亜鉛
を配合する場合、その配合量も、当該組成物の形態や目
的とする品質・特性、更にはそれが投与される対象者の
年齢や性別、亜鉛欠乏の有無等に応じて、適宜、調節す
ることができる。
【0023】本発明の亜鉛補給用組成物が食品の形態、
例えば飲料や各種の菓子類、ゼリー等の半固形食品、冷
菓、冷凍やレトルト食品を含む一般的な食品等である場
合、当該組成物は医師の適切な監視下に置かれないで喫
食される場合がある。したがって、そのような食品形態
の組成物においては、当該食品から1日あたりに供給さ
れると想定される亜鉛量が、健常者においては許容上限
摂取量(30mg)を超えないようにすることが好まし
い。また、一方で、そのような食品の形態である亜鉛補
給用組成物には、その食品の1単位あたりに換算して1
日の所要量の少なくとも3乃至50%程度の亜鉛が含ま
れることが好ましい。
【0024】上記のとおり、本発明の食品形態である亜
鉛補給用組成物は各種の食品にカカオ豆加工物、好まし
くはココアパウダーを添加することで製造することがで
き、当該組成物にはさらに亜鉛が配合されてもよい。そ
のようなカカオ豆加工物の添加や亜鉛の配合には当業者
に公知・慣用のいかなる技術を用いてもよく、また当該
配合に適した食品の組成も当業者に公知のいかなるもの
を用いてもよい。
【0025】例えば、本発明の亜鉛補給用組成物はイン
スタントココアやチョコレートのような食品の形態とす
ることができ、その場合、該インスタントココアの例で
は、亜鉛吸収を促進する成分であるココアパウダー15
重量%に、砂糖54重量%、全脂粉乳10重量%、脱脂
粉乳20重量%、食塩0.5重量%、香料0.5重量%
が配合される。また、チョコレートも当業者に公知のい
かなる方法によっても製造してよく、そこにおいて任意
に配合することのできる亜鉛、例えば亜鉛を豊富に含有
することが知られる他の食品素材の加工品等としても配
合され得る亜鉛の量も、上記のようにその所要量や許容
上限摂取量を勘案して適宜調整してよい。
【0026】また、本発明の亜鉛補給用組成物は経腸栄
養剤の形態とすることもできる。当該経腸栄養剤には本
発明の優れた亜鉛吸収促進効果および/または高い亜鉛
吸収性を示すカカオ豆加工物、好ましくはココアパウダ
ーが添加され、また亜鉛の供給源として硫酸亜鉛等が更
に配合されてよい。
【0027】本発明の経腸栄養剤形態の亜鉛補給用組成
物における好ましい組成としては、乾燥物重量基準で例
えば炭水化物20乃至98.9重量%、脂肪0.05乃
至15重量%、総蛋白質0.05乃至40重量%、カカ
オ豆加工物1乃至20重量%を含むもの、より好ましく
は炭水化物50乃至80重量%、脂肪5乃至10重量
%、総蛋白質10乃至25重量%、カカオ豆加工物5乃
至15重量%を含むものが例示できる。上記の炭水化
物、脂肪及び蛋白質としては、従来から経腸栄養剤に利
用されている各種のものを使用することができ、例え
ば、炭水化物としてはグルコース、蔗糖、デキストリ
ン、デンプン、オリゴ糖類、多糖類等を、脂肪としては
カカオ脂、コーン油、大豆油、米脂、綿実油、オリーブ
油等を、蛋白質としてはカゼイン、カゼイン酵素分解
物、大豆蛋白、酵素分解ゼラチン(水溶性ゼラチン)等
を使用できる。
【0028】以下の実施例で示されるように、本発明の
経腸栄養剤形態の亜鉛補給用組成物においては、一般的
な経腸栄養剤の周知の組成に対して更に過剰の亜鉛を配
合する必要はないが、特に多量の亜鉛吸収が要求される
場合には当該亜鉛を該組成物に付加的に配合してよい。
該亜鉛は、好ましくは硫酸亜鉛等の塩として配合され
る。
【0029】本発明の経腸栄養剤形態の亜鉛補給用組成
物には、必要に応じて各種添加物を更に配合することが
できる。該添加物としては、各種ビタミン類;カルシウ
ム、鉄、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン等
のミネラル類;酸化防止剤;乳化剤;安定剤;防腐剤等
が挙げられるがこれに限定されない。
【0030】上記のようにして配合された本発明の経腸
栄養剤形態の亜鉛補給用組成物は、その後、当業者にと
って慣用の方法、例えばレトルトパウチ等によって充填
した後に加熱殺菌して製品とすることができ、その対象
者への投与も周知・慣用の方法を用いて行なって何ら差
し支えがない。
【0031】また、本発明の亜鉛補給用組成物は経口の
薬剤として調製することができる。一般的に亜鉛欠乏の
症状が見られる患者には硫酸亜鉛100mgを1日3回
服用させる亜鉛内服療法が用いられているが、当該内服
療法のための薬剤に対してカカオ豆加工物を添加するこ
とにより、当該療法の有効性を更に高めることができ
る。
【0032】したがって、上記の硫酸亜鉛にカカオ豆加
工物、好ましくココアパウダーを添加し、更に薬学的に
許容される添加剤を加えて、亜鉛内服療法のための製剤
とすることができる。その際の添加剤としては、製剤分
野において通常用いられる各種の添加剤が使用可能であ
り、例えば、ゼラチン、乳糖、白糖、酸化チタン、澱
粉、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、
マイクロクリスタリンワックス、白色ワセリン、メタケ
イ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸カルシウム、
クエン酸、クエン酸三ナトリウム、ヒドロキシプロピル
セルロース、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレン硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、ステ
アリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、植物
油、ベンジルアルコール、アラビアガム、プロピレング
リコール、ポリアルキレングリコール、シクロデキスト
リンまたはヒドロキシプロピルシクロデキストリン等が
挙げられる。
【0033】これらの添加剤との混合物として製剤化さ
れる剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤等の固形製剤;または例えばシロップ剤等の液
体製剤が挙げられ、これらは、製剤分野における通常の
方法によって調製することができる。なお、シロップ剤
等の液体製剤にあっては、用時に水または他の適当な媒
体に溶解または懸濁させる形であってもよい。
【0034】これらの製剤は、本発明のカカオ豆加工物
を、全薬剤の0.1〜50重量%、好ましくは1〜20
重量%の割合で含有することができる。
【0035】かくして、本発明のカカオ豆加工物を含む
ことを特徴とする各種態様の亜鉛補給用組成物が製造さ
れ、亜鉛の補給が必要とされる対象者の治療のみならず
健常者の健康維持・増進に役立てることができる。
【0036】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0037】
【実施例】実施例1:カカオ豆加工物による血中亜鉛濃
度の上昇効果 6週齢のWister系雄性ラット12匹を8日間予備
飼育した後、各6匹ずつコントロール食群とココア1
2.5%食群の2群に分けた。コントロール食群には
「CLEA Rodent Diet CE−2 ペレ
ット状(直径12.5mm)」(商品名、日本クレア社
製)を飼料として与え、また12.5%ココア食群には
「CLEA Rodent Diet CE−2 粉末
状」(商品名、日本クレア社製)とピュアココア(商品
名、森永製菓株式会社製)を重量比7:1で混合した
後、打錠して成型したものを飼料として与えた。これら
の飼料により22日間ラットを飼育し、飼育終了後にラ
ットから血液を採取して血中の亜鉛濃度を測定した。上
記飼料の熱量および亜鉛量を表1に示し、またラット血
中の亜鉛濃度を表2に示した。
【0038】
【表1】
【表2】 上記の結果から、本発明のカカオ豆加工物は亜鉛の吸収
を促進してその生物学的な利用効率を高める効果および
/または極めて吸収性の高い亜鉛を提供する効果を有す
ることが明らかとなった。
【0039】実施例2:経腸栄養剤としての臨床効果 救命救急センターに入院された患者の急性期の患者は総
じて血中の亜鉛濃度が正常域以下に低下している。この
原因は出血による血中亜鉛自体の減少や損傷した組織の
修復・回復のために多量の亜鉛が動員されるためだと考
えられている。本実施例では、市販の経腸栄養剤と同時
にカカオ豆加工物を含む組成物を投与した際の、これら
急性期の患者における血中亜鉛濃度の動態について検討
した。
【0040】対照群となる非ココア入り経腸栄養剤投与
群は、救命救急センター(埼玉医科大学総合医療センタ
ー)に入院した患者39症例からなり、群内の各患者に
は市販の経腸栄養剤「MA−8」(商品名、クリニコ社
製)を定法により投与した。一方、ココア入り経腸栄養
剤投与群(試験群)も同じく救命救急センターに入院し
た6症例の患者からなり、試験群の患者には上記の市販
経腸栄養剤の投与終了後、直ちに本発明の組成物、すな
わち市販の調製ココア24gを20mlのお湯に溶解し
たものを経腸栄養剤のチューブに注射器で注入して投与
した。投与は1日3回行なった。結果を図1(対照群)
および図2(試験群)に示す。
【0041】試験群であるココア入り経腸栄養剤投与群
(図2)においては良好な亜鉛の吸収が観察され、血中
亜鉛濃度の明白な上昇が観察された。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、優れた亜鉛吸収性を示
す亜鉛補給用組成物が提供され、該組成物は、亜鉛欠乏
の兆候を有する患者のみならず、例えば乳児或いは外傷
や外科手術等の多量の出血を経験した患者および熱傷患
者を含む比較的多量の亜鉛摂取が必要とされる対象者、
或いは健常者においても効率的な亜鉛の吸収を達成して
その摂取を強化することができる。したがって、本発明
の亜鉛補給用組成物はそれらの対象者において亜鉛欠乏
による病的症状等の改善や健康状態の維持・増進に役立
てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非ココア入り経腸栄養剤投与群の血中亜鉛濃度
の経時変化。
【図2】ココア入り経腸栄養剤投与群の血中亜鉛濃度の
経時変化。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 直子 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 伊藤 良一 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 稲垣 宏之 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 吉川 真理子 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 亀井 優徳 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 (72)発明者 橋爪 秀一 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 森永製菓株式会社研究所内 Fターム(参考) 4B014 GB01 GG06 4B018 LB01 LE03 MD05 MD57 4C088 AB12 AC04 BA01 MA43 NA20 ZC21

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カカオ豆加工物を含むことを特徴とす
    る亜鉛補給用組成物。
  2. 【請求項2】 前記カカオ豆加工物がココアパウダー
    である請求項1に記載の亜鉛補給用組成物。
  3. 【請求項3】 食品の形態で投与される請求項1また
    は2に記載の亜鉛補給用組成物。
  4. 【請求項4】 経腸栄養剤の形態で投与される請求項
    1または2に記載の亜鉛補給用組成物。
  5. 【請求項5】 薬剤の形態で投与される請求項1また
    は2に記載の亜鉛補給用組成物。
  6. 【請求項6】 亜鉛補給用組成物の製造のためのカカ
    オ豆加工物の使用。
  7. 【請求項7】 前記カカオ豆加工物がココアパウダー
    である請求項6に記載の使用。
  8. 【請求項8】 前記組成物が食品である請求項6また
    は7に記載の使用。
  9. 【請求項9】 前記組成物が経腸栄養剤である請求項
    6または7に記載の使用。
  10. 【請求項10】 前記組成物が薬剤である請求項6また
    は7に記載の使用。
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