JP2003340729A - ワイヤーソー及びその製造方法 - Google Patents

ワイヤーソー及びその製造方法

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    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23DPLANING; SLOTTING; SHEARING; BROACHING; SAWING; FILING; SCRAPING; LIKE OPERATIONS FOR WORKING METAL BY REMOVING MATERIAL, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23D61/00Tools for sawing machines or sawing devices; Clamping devices for these tools
    • B23D61/18Sawing tools of special type, e.g. wire saw strands, saw blades or saw wire equipped with diamonds or other abrasive particles in selected individual positions
    • B23D61/185Saw wires; Saw cables; Twisted saw strips

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】低密度の砥粒分布にした電着ワイヤーソー及び
ワイヤーソーの製造方法を提供する。 【解決手段】砥粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を有
する電着液の中で長尺線状体を走行させて、前記長尺線
状体の外周面に砥粒を付着させる砥粒付着工程と、前記
砥粒付着工程で前記外周面に付着させた砥粒を前記外周
面に電着する砥粒電着工程を含み、前記砥粒付着工程に
おいて、前記長尺線状体の外周面に所望の密度で砥粒が
分布するように、前記砥粒沈降領域へ供給する砥粒含有
スラリーの供給量を制御した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤーソー、ワ
イヤーソーの製造方法及びワイヤーソーの製造装置に関
する。さらに詳しくは、本発明は、特に、単結晶シリコ
ン、水晶、アモルファスシリコン等の高脆性材料の切断
加工に用いて、目詰まりすることなく切断可能であり、
かつ使用中に断線する確率がほとんどないワイヤーソ
ー、前記ワイヤーソーを製造することができるワイヤー
ソーの製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスには、メモリー等の集積
回路の基板に用いられる単結晶シリコン、発振子に用い
られる水晶、太陽電池に用いられるアモルファスシリコ
ンなどの脆性材料が使用されており、これらの材料を高
精度・低価格で製造する技術は極めて重要である。
【0003】半導体デバイスの製造に用いる基板等を得
るために、柱状の素材インゴットを径方向に切断して薄
板であるウェハーを多数枚切り出すスライシング工程が
ある。スライシング工程には、スライシング加工による
欠損やクラック層の大きさをできる限り小さくし、一つ
のインゴットからできるだけ多数枚のウェハーをできる
だけ速く切り出すことが要求される。
【0004】このスライシング工程には、従来、内周刃
を用いる方法と、遊離砥粒を用いるワイヤーソーによる
方法がある。
【0005】内周刃は、薄い金属製リングの内周部にダ
イヤモンド砥粒をメッキ法により固着したものであり、
工具1枚あたりの切断能率が高く、シリコンインゴット
等の切断に広く用いられている。しかし、内周刃の内径
を大きくすることは、インゴットの大口径化(直径30
0mm化)に伴い製造上の限界があり、また、多数の工
具で同時加工を行うマルチソーを実現することが困難で
あるという欠点がある。
【0006】一方、遊離砥粒を用いたワイヤーソーによ
る方法は、遊離砥粒としてGC砥粒(高純度炭化珪素系
砥粒)等を含んだ加工液(ペーストないしスラリー)を
ワイヤーに供給しながら、ワイヤーを加工対象に押し当
てつつワイヤーを走行させて切断する方法である。この
方法は、長いワイヤーを2個の多溝プーリー間に複数回
巻きにすることにより、マルチソーを容易に実現でき、
多数枚のウェハーをインゴットから同時に切り出すこと
で加工能率の向上を図ることができ、またインゴットの
大口径化への対応も容易である。
【0007】しかし、遊離砥粒を用いたワイヤーソーに
よる方法は、ワイヤー1本あたりの加工能率が低く、ま
た、遊離砥粒としてGC砥粒等を用いた加工液を大量に
流出しながら加工を行うため、使用環境・廃棄物処理に
おいて問題を抱えている。
【0008】最近、上記両者の長所を兼ね備えた工具と
して、ダイヤモンド砥粒を金属メッキあるいは樹脂によ
りワイヤーに固着させた、電着ワイヤーソーあるいはレ
ジンワイヤーソーのような固定砥粒ワイヤーソーが提案
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ダイヤモンド砥粒を金
属メッキによりワイヤーに固着させた電着ワイヤーソー
は、金属メッキによりダイヤモンド砥粒を固着するため
砥粒保持力が高く、理想的な工具と言える。
【0010】しかし、従来の電着ワイヤーソーの製造方
法(例えば、特開平11−277398号公報、特開平
9−254008号公報等)では、ワイヤーに砥粒溜ま
りを通過させることによってワイヤーに砥粒を付着させ
るので、ワイヤーに対する砥粒の付着量が必要以上に多
くなり過ぎ(ワイヤーの外周面の砥粒による被覆率は、
一般的に50%以上)、ワイヤーに固着させる単位長さ
当たりの砥粒量を少なくして低密度の砥粒分布にした電
着ワイヤーソーを製造することは困難である。そのた
め、従来の製造方法で製造された電着ワイヤーソーは、
弾性率が高く、捻りに対して弱いので、使用中に断線す
る恐れが高かった。また、ワーク(切断対象)及び加工
条件に応じて適切な砥粒分布(特に、低密度の砥粒分
布)の電着ワイヤーソーを選択して使用することができ
なかった。さらに、従来の電着ワイヤーソーの製造方法
では、製造速度を速くすることが困難であった。
【0011】なお、特開平9−254008号公報に記
載の固定砥粒ワイヤーの製造方法では、ワイヤーの外周
面に対して螺旋帯状に砥粒を固定しようとすると、砥粒
を固着させながらワイヤーを軸回りに回転させる必要が
あり、この時に砥粒がワイヤーから脱落してしまう恐れ
があるため、製造速度を大きくするのに限界(製造速度
であるワイヤー送り速度は200mm/分程度)があ
る。
【0012】以上の理由から、砥粒保持力に劣るもの
の、製造速度を重視して、ダイヤモンド砥粒を樹脂によ
りワイヤーに固着させたレジンワイヤーソーが製造され
ている。しかし、熱硬化性樹脂を用いてレジンワイヤー
ソーを製造する場合、ワイヤーの劣化を防ぐために、熱
硬化性樹脂に対して必要充分な熱をかけることができ
ず、耐熱性に優れた樹脂を採用することが難しい問題が
ある。
【0013】なお、加熱が不要な光硬化性樹脂を用いて
レジンワイヤーソーを製造する場合、アクリル樹脂のラ
ジカル反応を利用することとなるが、耐熱性に優れた多
官能モノマーは硬化収縮が大きく使用できないため、や
はり耐熱性に問題がある。また、耐熱性を高めるために
金属粉末を添加することが考えられるが、金属粉末は光
を通さないため、金属粉末を添加した光硬化性樹脂は光
硬化させることが難しくなる。
【0014】本発明の目的は、一視点において、弾性率
が低く、捻りに対して強く、使用中に断線する恐れが少
ないと共に、製造速度を速くして製造することができる
ワイヤーソーを提供することである。また、本発明の目
的は、一視点において、低密度の砥粒分布にした電着ワ
イヤーソーを製造することができるワイヤーソーの製造
方法を提供することである。また、本発明の目的は、一
視点において、低密度の砥粒分布にした電着ワイヤーソ
ーを製造することができるワイヤーソーの製造装置を提
供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第1の
視点において、長尺線状体の外周面に電着層で固定され
た複数の砥粒を有するワイヤーソーであって、長尺線状
体外周面の砥粒による被覆率は35%以下であるワイヤ
ーソーにより、上記目的を達成することができる。
【0016】本発明のワイヤーソーでは、前記長尺線状
体外周面の全面に渡って前記砥粒が略均一な密度で分散
して分布することができる。また、本発明のワイヤーソ
ーでは、前記長尺線状体外周面に前記砥粒が高密度で分
布する高密度領域と低密度で分布する低密度領域を、前
記長尺線状体の長さ方向に交互に繰り返す領域を有する
ことができる。
【0017】本発明によれば、第2の視点において、長
尺線状体の外周面に電着層で固定された複数の砥粒を有
するワイヤーソーであって、前記長尺線状体の長さ方向
において、長尺線状体外周面に砥粒が高密度で分布する
高密度領域と低密度で分布する低密度領域が交互に繰り
返す領域を有し、前記高密度領域の少なくとも一につい
て、長尺線状体外周面の砥粒による被覆率Aは1〜35
%であり、前記低密度領域の少なくとも一について、長
尺線状体外周面の砥粒による被覆率Bは0.2〜28%
であり、前記高密度領域と前記低密度領域の少なくとも
一組について、B/Aは0.2〜0.8であり、前記長
尺線状体の長さ方向における前記高密度領域と前記低密
度領域の長さは、それぞれ、1〜1000mmであるワ
イヤーソーにより、上記目的を達成することができる。
【0018】本発明によれば、第3の視点において、砥
粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を少なくとも一部に
有する液状体で砥粒を外周面に付着させた長尺線状体に
おける、前記外周面に付着させた砥粒を前記外周面に電
着する電着工程を含むワイヤーソーの製造方法により、
上記目的を達成することができる。本発明のワイヤーソ
ーの製造方法では、砥粒が分散して沈降する砥粒沈降領
域を少なくとも一部に有する電着液で長尺線状体の外周
面に砥粒を付着させる砥粒付着工程を、前記電着工程よ
りも前に有することができる。
【0019】本発明によれば、第4の視点において、砥
粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を少なくとも一部に
有する電着液の中で長尺線状体を走行させて、前記長尺
線状体の外周面に砥粒を付着させる砥粒付着工程と、前
記砥粒付着工程で前記外周面に付着させた砥粒を前記外
周面に電着する砥粒電着工程を含み、前記砥粒付着工程
において、前記長尺線状体の外周面に所望の密度で砥粒
が分布するように、前記砥粒沈降領域へ供給する砥粒な
いし砥粒含有物の供給量を制御するワイヤーソーの製造
方法により、上記目的を達成することができる。
【0020】本発明によれば、第5の視点において、長
尺線状体に電着層を形成することができる電着漕と、砥
粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を前記電着漕に貯え
られた電着浴の中に形成するように、砥粒ないし砥粒含
有物を放出する砥粒放出部を有するワイヤーソーの製造
装置により、上記目的を達成することができる。本発明
のワイヤーソーの製造装置は、長尺線状体の外周面に所
望の密度で砥粒が分布するように、前記砥粒放出部から
放出する砥粒ないし砥粒含有物の放出量を制御する砥粒
放出量制御部を有することができる。なお、本発明にお
いて数値範囲の記載は、両端値のみならず、その中に含
まれる全ての任意の中間値を含むものとする。
【0021】
【発明の実施の形態】[ワイヤーソー]本発明のワイヤ
ーソーの長尺線状体外周面の砥粒による被覆率(百分
率)は、好ましくは1〜35%(より好ましくは1〜2
5%、さらに好ましくは5〜25%)である。前記被覆
率を35%以下にすることにより、ワイヤーソーの剛性
を抑えることができる。その結果、本発明のワイヤーソ
ーは、捻った時に生じる剪断力が小さくなり、破断しに
くくなる。
【0022】長尺線状体は、外周面に電着層(例えば、
電気メッキ層等)を形成できる材料であれば従来からワ
イヤーソーに使用されている長尺線状体でよく、1層以
上の被覆層で被覆されていてもかまわない。長尺線状体
は、例えば、導電性を有するワイヤー(例えば、鋼製の
ワイヤー)、あるいは、このワイヤーの外周面に1層以
上の導電層(例えば、導電性を有するメッキ層等の電着
層)を被覆した導電層被覆ワイヤーにすることができ
る。長尺線状体は、これらのワイヤーのうちの2本以上
を縒り合わせたものにすることができる。
【0023】本発明のワイヤーソーの一形態としては、
長尺線状体の外周面の全面に渡って砥粒が略均一な密度
(面密度)で分散して分布するワイヤーソーがある。こ
の形態のワイヤーソーは、長さ方向に長さL(L=1〜
1000mm)で区分される区間(但し、最終の末端部
は前記長さL以下)に分割することができるが、これら
の区分された各々の区間の、長尺線状体外周面の砥粒に
よる被覆率は、好ましくは1〜35%(より好ましくは
1〜25%、さらに好ましくは5〜25%)である。な
お、前記区分された区間の長さLが1000mmよりも
小さくなるにつれて(例えば、800mm、600m
m、400mm、200mm、100mm、50mm、
10mm、5mm、1mm)、前記被覆率が1〜35%
(さらには1〜25%、さらには5〜25%)であると
いう条件を満たす場合は、砥粒がより均一に分散してい
るので好ましい。
【0024】この形態のワイヤーソーは、前記長さLで
区分された各々の区間毎に、長尺線状体外周面の砥粒に
よる被覆率が存在するが、これらの被覆率の中の最大値
と最小値の差の絶対値は、好ましくは3(%)以下(よ
り好ましくは0〜2(%)、さらに好ましくは0〜1
(%))である。この形態のワイヤーソーとしては、例
えば、前記被覆率の最大値が15%で最小値が12%で
あるワイヤーソー(前記被覆率のうちの最大値と最小値
の差の絶対値は3(%))がある。
【0025】また、本発明のワイヤーソーの他の形態と
しては、長尺線状体外周面に砥粒が高密度(高面密度)
で分布する(好ましくは均一に分布する)高密度領域と
低密度(低面密度)で分布する(好ましくは均一に分布
する)低密度領域が、長尺線状体の長さ方向に交互に繰
り返す領域を有するワイヤーソーがある。この形態のワ
イヤーソーの前記高密度領域の少なくとも一つ(ワイヤ
ーソーに存在する前記高密度領域の全数の好ましくは5
0%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは
90%以上、最も好ましくは全て)において、長尺線状
体外周面の砥粒による被覆率Aは、好ましくは1〜35
%(より好ましくは1〜25%、さらに好ましくは5〜
25%)である。また、前記低密度領域の少なくとも一
つ(ワイヤーソーに存在する前記低密度領域の全数の好
ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、特に
好ましくは90%以上、最も好ましくは全て)におい
て、長尺線状体外周面の砥粒による被覆率Bは、好まし
くは0.2〜28%(より好ましくは0.2〜23%、
さらに好ましくは1〜20%)である。前記高密度領域
と前記低密度領域の少なくとも一組(好ましくは全ての
組み合わせのうちの50%以上、より好ましくは80%
以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは全て
の組み合わせ)について、好ましくは、B/Aは0.2
〜0.8である。
【0026】この形態のワイヤーソーの前記高密度領域
の各々は、長尺線状体の外周面の砥粒による被覆率を有
するが、これらの被覆率(百分率)の中の最大値と最小
値の差の絶対値は、好ましくは3(%)以下(より好ま
しくは0〜2(%)、さらに好ましくは0〜1(%))
である。また、この形態のワイヤーソーの前記低密度領
域の各々は、長尺線状体の外周面の砥粒による被覆率を
有するが、これらの被覆率(百分率)の中の最大値と最
小値の差の絶対値は、好ましくは3(%)以下(より好
ましくは0〜2(%)、さらに好ましくは0〜1
(%))である。
【0027】長尺線状体の外周面に砥粒が高密度で分布
する高密度領域と低密度で分布する低密度領域を、長尺
線状体の長さ方向に交互に繰り返す領域を有する本発明
のワイヤーソーの例を、図3〜5により説明する。な
お、図3〜5では、砥粒を固定する電着層を省略してい
る。図3は、前記本発明のワイヤーソーの一例の概略斜
視図である。図3のワイヤーソー30は、略円柱状の長
尺線状体31の外周面に砥粒32が高密度で分布する高
密度領域33、砥粒32が低密度で分布する低密度領域
34、砥粒32が高密度で分布する高密度領域35を、
この順に長尺線状体31の長さ方向に有する。
【0028】長尺線状体31の前記高密度領域33と3
5の、長尺線状体外周面33sと35sの各々の砥粒3
2による被覆率Aは、それぞれ1〜35%の範囲内であ
る。また、長尺線状体31の前記低密度領域34の、長
尺線状体外周面34sの砥粒32による被覆率Bは0.
2〜28%の範囲内である。前記高密度領域33と前記
低密度領域34について、B/Aは0.2〜0.8の範
囲内である。また、前記高密度領域35と前記低密度領
域34について、B/Aは0.2〜0.8の範囲内であ
る。
【0029】図4は、図3のワイヤーソーの概略断面図
であって、(a)は高密度領域の径方向の概略断面図で
あり、(b)は低密度領域の径方向の概略断面図であ
る。高密度領域33では(a)に示すように長尺線状体
外周面33sに砥粒32が高密度で分布し、低密度領域
34では(b)に示すように長尺線状体外周面34sに
砥粒32が低密度で分布する。
【0030】図5は、本発明のワイヤーソーの他の一例
の長尺線状体の外周面を、長尺線状体の長さ方向に切断
し平面にした展開図である。前記展開図には、砥粒52
が高密度で分布する長方形の高密度領域53、55と、
砥粒52が低密度で分布する長方形の低密度領域54、
56が存在する。高密度領域53、低密度領域54、高
密度領域55、低密度領域56の順に高密度領域と低密
度領域が長尺線状体の長さ方向に交互に繰り返してい
る。
【0031】高密度領域53、55の各々における長尺
線状体外周面53s、55sの砥粒52による被覆率A
は、それぞれ1〜35%の範囲内である。低密度領域5
4、56の各々における長尺線状体外周面54s、56
sの砥粒52による被覆率Bは、それぞれ0.2〜28
%の範囲内である。高密度領域53,55と低密度領域
54,56の間の4通りの組み合わせについて、B/A
は0.2〜0.8の範囲内である。
【0032】本発明のワイヤーソーの長尺線状体の外周
面に砥粒を固定するための砥粒固定電着層の厚さは、例
えば、固定する砥粒の径の5〜200%の厚さにするこ
とができる。また、本発明のワイヤーソーには、前記砥
粒固定電着層を被覆する少なくとも1層の被覆層を設け
ることができる。前記被覆層の材料は、前記砥粒固定電
着層の材料と同じ材料にすることができ、また、相違す
る材料にすることができる。前記被覆層は、電着で形成
した層にすることができ、また、電着以外の方法で形成
した層にすることができる。砥粒の先端部が前記砥粒固
定電着層から突出している場合、砥粒の先端部は、前記
被覆層から突出させることができ、また、前記被覆層に
埋没させることができる。
【0033】砥粒は、切断対象に応じて適宜選択するこ
とができる。切断対象の硬度が小さい場合は、アルミナ
砥粒等の普通砥粒にすることができる。砥粒は、好まし
くは、立方晶窒化ホウ素の硬度以上の高い硬度を有する
超砥粒(例えば、ダイヤモンド砥粒、立方晶窒化ホウ素
砥粒、又はこれらの混合物等)にする。長尺線状体の径
との関係から、砥粒の平均粒径は、好ましくは、長尺線
状体の径の35%以下(より好ましくは1〜35%、さ
らに好ましくは5〜35%)にする。また、砥粒の平均
粒径は、良好な研削力を確保できるように1μm以上に
設定し、好ましくは1μm以上60μm以下(より好ま
しくは2μm以上55μm以下、さらに好ましくは3μ
m以上50μm以下)にする。
【0034】また、砥粒としては、砥粒表面が少なくと
も1層の被覆層で被覆されている砥粒である被覆砥粒を
用いることができる。前記被覆層は、例えば、ニッケル
メッキ層等の金属メッキ層にすることができ、好ましく
は、長尺線状体に対して親和性(例えば、化学的親和
性)を有するもの(より好ましくは、長尺線状体の素材
と同じないし性質が近い素材の被覆層)にする。例え
ば、長尺線状体が鋼(スチール)の場合は、前記被覆層
はニッケル層等の金属層(好ましくは、ニッケルメッキ
層等の金属メッキ層)にする。
【0035】被覆層を有さない裸の砥粒(例えば、ダイ
ヤモンド砥粒)の場合、ワイヤーソーにおける長尺線状
体に対して前記砥粒は電着層(例えば、メッキ層)で物
理的に保持される。これに対して、長尺線状体(例え
ば、鋼)に対して親和性(例えば、化学的親和性)を有
する被覆層(例えば、ニッケルメッキ層等の金属メッキ
層)で被覆されている被覆砥粒の場合、ワイヤーソーに
おける長尺線状体に対して前記被覆砥粒は電着層(例え
ば、金属メッキ層)で物理的に保持されるだけでなく、
化学的にも保持されることが可能になる。
【0036】そのため、被覆砥粒を用いて本発明のワイ
ヤーソーを製造する際に長尺線状体に被覆砥粒を仮固定
する場合は、被覆層を有さない裸の砥粒(例えば、ダイ
ヤモンド砥粒)を仮固定する場合(例えば、実施例1の
第1の電着漕C1において、付着させた砥粒をメッキ層
で固定する場合)と比較して、より少量の電着層(例え
ば、メッキ層)で長尺線状体に仮固定(プーリーで脱落
しない程度での固定)することができる。被覆砥粒を用
いる場合の砥粒仮固定用メッキ層の厚さは、走行する長
尺ワイヤーに固定した砥粒がプーリーで長尺ワイヤーか
ら脱落しない程度の厚さにし、好ましくは付着させた砥
粒の径の1〜10%程度の厚さにする。
【0037】被覆砥粒としては、被覆率(被覆砥粒にお
ける被覆層の重量百分率)が、例えば30〜55重量%
のものを用いることができる。被覆率が前記範囲のもの
は市販されている。被覆砥粒としては、例えば、金属層
(ニッケル、チタン、銅等の金属層)が砥粒の表面を被
覆しているものがある。被覆砥粒は、樹脂ボンドを用い
たダイヤモンドホイール(ダイヤモンド砥粒を用いた環
状の砥石車)に用いられる被覆砥粒として市販されてい
るものを使用することができる。
【0038】また、ニッケル層(例えば、ニッケルメッ
キ層)で被覆されているダイヤモンド砥粒は、メッキ液
中に分散させた後に、若干プラス(正)に帯電するた
め、この帯電により陰極である長尺線状体(例えば、鋼
製のワイヤー)に引き付けられることになる。このた
め、特に、微粒(例えば、平均粒径20μm以下)の場
合、重力に逆らい電気的に長尺線状体に近づくことがで
きるため、長尺線状体の下側(重力方向に向いている
側)にも砥粒を付着させることが可能になる。
【0039】[ワイヤーソーの製造方法]本発明のワイ
ヤーソーの製造方法は、好ましくは、大多数の砥粒が略
同一方向に分散して沈降する砥粒沈降領域を少なくとも
一部に有する液状体の前記砥粒沈降領域で砥粒を外周面
に付着させた長尺線状体における、前記外周面に付着さ
せた砥粒を前記外周面に電着する砥粒電着工程を含む。
前記外周面に付着させた砥粒を前記外周面に電着するに
は、例えば、電気メッキにより行うことができる。
【0040】本発明のワイヤーソーの製造方法の電着工
程では、電着層(例えば、電気メッキ層等)形成の邪魔
になる砥粒が長尺線状体の外周面に1〜数層しか乗って
いない状態で電着層を形成することができるため、長尺
線状体の近傍での金属イオンの供給が速やかに行われる
から、電流密度を高く設定しても「焼け・水素発生」等の
不具合を生じない。その結果、本発明のワイヤーソーの
製造方法によれば、不具合を生じさせることなしに電着
工程における電流密度を高く設定して、製造速度を速く
することができる。
【0041】本発明のワイヤーソーの製造方法は、前記
砥粒電着工程よりも前に、大多数の砥粒が分散して略同
一方向に沈降する砥粒沈降領域を少なくとも一部に有す
る電着液で長尺線状体の外周面に砥粒を付着させる砥粒
付着工程を有することができる。前記砥粒付着工程にお
いては、砥粒が長尺線状体の外周面に付着するように、
砥粒の沈降方向に対する長尺線状体の走行方向を適宜設
定して、前記砥粒沈降領域で長尺線状体を走行させる。
なお、砥粒の沈降方向に対する長尺線状体の走行方向を
適宜変化させることにより、長尺線状体の外周面への砥
粒の付着量を変化させることができる。長尺線状体は、
砥粒沈降方向(一般的に、重力方向)と略直角(好まし
くは70〜110°、より好ましくは80〜100°)
に交差するように、前記砥粒沈降領域内を走行させるこ
とができる。
【0042】前記砥粒沈降領域の範囲の変更(拡張又は
減少)、前記砥粒沈降領域における長尺線状体の走行距
離の変更(増加又は減少)、前記砥粒沈降領域における
砥粒の分散の程度(一定体積当たりに分散する砥粒の重
量ないし数)の変更(増加又は減少)のうちの少なくと
も一により、長尺線状体の外周面に付着させる砥粒の
量、あるいは、長尺線状体の外周面における砥粒の分布
の程度を変更(増加又は減少)することができる。
【0043】前記砥粒付着工程は、例えば、砥粒を電着
することができる電着漕に貯えられた電着液(例えば、
電気メッキ液)の少なくとも一部に分散した大多数の砥
粒が略同一方向に沈降する砥粒沈降領域の中を、砥粒が
長尺線状体の外周面に付着するように長尺線状体を走行
させる工程にすることができる。
【0044】前記砥粒沈降領域としては、例えば、液状
体(例えば、電着液)に分散した大多数(好ましくは7
0%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましく
は90%以上、特に好ましくは95〜100%)の砥粒
が砥粒の重さで重力方向に自然に沈降する砥粒沈降領域
がある。
【0045】前記砥粒付着工程において、長尺線状体の
外周面に、長尺線状体の長さ方向に所望の密度(面密
度)で砥粒が分布するように、前記砥粒沈降領域へ供給
する砥粒ないし砥粒含有物(スラリーないしペースト状
の砥粒含有物)の供給量を制御することができる。例え
ば、前記供給量を時間の経過に対して略一定に制御し
て、単位時間当たりに沈降する砥粒の量を略一定に制御
した砥粒沈降領域で長尺線状体を走行させることによ
り、長尺線状体の長さ方向において長尺線状体外周面へ
付着する砥粒の量(単位長さないし単位面積当たりの砥
粒量)及び分散の程度を略均一にすることができる。ま
た、前記供給量を高くする時間帯と低くする時間帯を交
互に繰り返すように制御して、砥粒沈降方向に対して直
角の方向の断面における単位時間当たりに沈降する砥粒
の量が多い時間帯と少ない時間帯が交互に繰り返すよう
に制御した砥粒沈降領域で長尺線状体を走行させること
により、砥粒が高密度で分散して付着する領域と砥粒が
低密度で分散して付着する領域とが長尺線状体の長さ方
向において交互に繰り返す領域を長尺線状体外周面に形
成することができる。
【0046】砥粒付着工程において、被覆層が磁性体
(好ましくは、強磁性体)である被覆砥粒(例えば、被
覆層がニッケル層である被覆砥粒)を長尺線状体の外周
面に付着させる場合、長尺線状体が磁化可能である時
(例えば、長尺線状体が鋼製のワイヤーである時)は、
被覆砥粒を付着させる前に長尺線状体を磁化することが
できる。前記長尺線状体は、永久磁石(例えば、アルニ
コ磁石)を用いて磁化することができる。
【0047】長尺線状体を磁化することにより、前記被
覆砥粒は長尺線状体に引き付けられて磁気的に付着し、
一度付着すると容易に脱落しない。特に、製造速度(長
尺線状体の走行速度)を速めた場合(例えば、1000
mm/分)、液状体(例えば、メッキ液等の電着液)と
の摩擦により砥粒が長尺線状体から脱落することを防止
することができる。また、前記被覆砥粒が分散して沈降
する砥粒分散沈降領域を、前記長尺線状体が前記被覆砥
粒の沈降方向に対して略直角方向に走行するだけで、前
記長尺線状体の周方向の全周に渡る外周面(重力方向を
向く外周面部分を含む)に前記被覆砥粒を付着させるこ
とができる。なお、前記長尺線状体の磁化の程度、ある
いは、前記砥粒分散沈降領域における前記長尺線状体の
走行距離、走行時間、走行速度等を適宜設定することに
より、前記長尺線状体の周方向の全周に渡る外周面に前
記被覆砥粒を分散させて付着させることができる。
【0048】また、本発明のワイヤーソーの製造方法
は、前記砥粒付着工程よりも前に、良好に電着ができる
ように長尺線状体を前処理する前処理工程、前記砥粒電
着工程で形成する電着層を形成しやすいように長尺線状
体の外周面に下地電着層(好ましくは、形成しようとす
る電着層と同じ素材の下地電着層)を形成する下地電着
層形成工程のいずれか又は双方を有することができる。
前記前処理工程としては、例えば、長尺線状体に付着し
ている油分等の付着物を、前記付着物を溶解ないし分散
させる溶媒で除去する付着物除去工程と、長尺線状体に
形成されている非導電性被膜(非導電性酸化物被膜等)
を溶解して除去する非導電性被膜の溶解除去工程があ
る。
【0049】本発明のワイヤーソーの製造方法で用いる
長尺線状体としては、外周面に電着層(電気メッキ層
等)を形成できるものであれば、従来からワイヤーソー
に使用されているものを適宜選択して用いることがで
き、1層以上の被覆層で被覆されているものでもかまわ
ない。長尺線状体は、例えば、導電性を有するワイヤー
(例えば、鋼製のワイヤー)、あるいは、このワイヤー
の外周面に1層以上の導電層(例えば、導電性を有する
メッキ層等の電着層)を被覆したワイヤーにすることが
できる。また、長尺線状体は、これらのワイヤーのうち
の2本以上を縒り合わせたものにすることができる。
【0050】本発明のワイヤーソーの製造方法で用いる
砥粒の平均粒径は、砥粒を液状体(例えば、電気メッキ
液)に分散させることができる範囲に設定し、好ましく
はさらに前記液状体と共に移送ないし循環させることが
可能な範囲に設定する。砥粒の平均粒径は、好ましくは
1μm以上60μm以下(より好ましくは2μm以上5
5μm以下、さらに好ましくは3μm以上50μm以
下)にする。平均粒径が60μmを越える砥粒は、液状
体に分散させることや液状体と共に移送ないし循環させ
ることが困難になる傾向があるからである。また、砥粒
を付着させようとする長尺線状体の径との関係から、砥
粒の平均粒径は、好ましくは長尺線状体の径の35%以
下(より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25
%以下)にする。
【0051】[ワイヤーソーの製造装置]本発明のワイ
ヤーソーの製造装置は、本発明で特定する電着漕、砥粒
放出部及び砥粒放出量制御部の他に、長尺線状体を巻い
ておくための第1のロール、第1のロールから引き出し
た長尺線状体を巻き取るための第2のロール、前記各ロ
ールを中心軸回りに回転させるためのモータ等のような
長尺線状体を走行させるための手段、プーリー等の長尺
線状体の走行方向を変更するための手段を有することが
できる。
【0052】
【実施例】[実施例1]本発明の一実施例のワイヤーソ
ーの製造方法を図面の図1に基づいて説明する。図1
は、本実施例のワイヤーソーの製造方法の概略を説明す
るための、長尺ワイヤーの走行方向の概略部分断面図で
ある。長尺ワイヤーWは、ロールRに巻かれており、先
端部がモータ等の回転軸(図示せず)に巻き取られるこ
とによりプーリーPに案内されて走行するものである。
この実施例のワイヤーソーの製造方法では、脱脂漕A
1、第1の水洗漕A2、酸洗漕A3、第2の水洗漕A
4、下地メッキ漕B、第1の電着漕C1、第2の電着漕
C2、埋込漕D、水洗漕A5のそれぞれに貯えられてい
る所定の液状体の中を長尺ワイヤーWが順次通過するよ
うにプーリーPを設けている。
【0053】また、走行する長尺ワイヤーが下地メッキ
漕B、第1の電着漕C1、第2の電着漕C2、及び埋込
漕Dのそれぞれの漕で電気メッキされるように、前記そ
れぞれの漕のメッキ浴の中に陽極電極(図示せず)を設
けると共に、走行する長尺ワイヤーを陰極電極Z1、Z
2、Z3、Z4、Z5及びZ6に接触させている。な
お、陰極電極についてより詳細に説明すれば、次のとお
りである。
【0054】陰極電極Z1は、第2の水洗漕A4の水に
浸った後かつ下地メッキ漕Bのメッキ浴に浸る前の長尺
ワイヤー部分に接触する。陰極電極Z2は、下地メッキ
漕Bのメッキ浴に浸った後かつ第1の電着漕C1のメッ
キ浴に浸る前の長尺ワイヤー部分に接触する。陰極電極
Z3及びZ4は、第1の電着漕C1のメッキ浴に浸った
後かつ第2の電着漕C2のメッキ浴に浸る前の長尺ワイ
ヤー部分に接触する。陰極電極Z5は、第2の電着漕C
2のメッキ浴に浸った後かつ埋込漕Dのメッキ浴に浸る
前の長尺ワイヤー部分に接触する。陰極電極Z6は、埋
込漕Dのメッキ浴に浸った後かつ水洗漕A5の水に浸る
前の長尺ワイヤー部分に接触する。
【0055】長尺ワイヤーWの走行について詳細に説明
すれば、次のとおりである。まず最初に、ロールRから
引き出された鋼線である長尺ワイヤーWの一部分である
長尺ワイヤー部分は、脱脂漕A1の脱脂用の液(水酸化
ナトリウム水溶液)の中を通過するので、長尺ワイヤー
部分に油分が付着している場合には、長尺ワイヤー部分
から油分を除去することができる。次に、長尺ワイヤー
部分は、第1の水洗漕A2の水の中を通過するので、長
尺ワイヤー部分に付着している前記脱脂用の液を除去す
る(水で置換する)ことができる。
【0056】次に、長尺ワイヤー部分は、酸洗漕A3の
酸洗用の液(塩酸)の中を通過するので、長尺ワイヤー
部分の表面に酸化物層が形成されている場合には、長尺
ワイヤー部分から酸化物層を除去することができる。次
に、長尺ワイヤー部分は、第2の水洗漕A4の水の中を
通過するので、長尺ワイヤー部分に付着している前記酸
洗用の液を除去する(水で置換する)ことができる。
【0057】次に、長尺ワイヤー部分は、下地メッキ漕
Bのメッキ浴の中を通過するので、酸化物層のない長尺
ワイヤー部分の表面(外周面)に、長尺ワイヤー部分の
外周面を被覆するように電気メッキにより管状の下地メ
ッキ層が形成される。下地メッキ層は、砥粒電着用のメ
ッキ層が長尺ワイヤーに形成され易いように、あらかじ
め形成する層である。長尺ワイヤーに形成する下地メッ
キ層の厚さは、1〜10μm程度にしている。
【0058】次に、長尺ワイヤー部分は、第1の電着漕
C1のメッキ浴の中を通過する。第1の電着漕C1のメ
ッキ浴の一部の領域には、第1の砥粒沈降領域T1を設
けている。前記砥粒沈降領域では、メッキ浴の液面に対
して砥粒を分散した状態で供給しているので、砥粒は分
散した状態でメッキ浴中を沈降する。
【0059】第1の電着漕C1のメッキ浴において、長
尺ワイヤー部分は、第1の電着漕C1のメッキ浴の第1
の砥粒沈降領域T1を通過するので、長尺ワイヤー部分
(下地メッキ層を備えている)の上側(メッキ浴の液面
側)から重力方向に砥粒が沈降して供給されるから、長
尺ワイヤー部分の外周面の一部(主として、メッキ浴の
液面に向かい合う側の略半周面)にだけ砥粒が付着す
る。次に、長尺ワイヤー部分は、第1の電着漕C1のメ
ッキ浴の砥粒沈降領域以外の領域(砥粒が供給されない
領域)を引き続き通過するのでメッキ層が形成される。
形成されるこのメッキ層(砥粒固定用メッキ層)によっ
て、長尺ワイヤー部分の下地メッキ層(場合によって
は、下地メッキ層の上に第1の電着漕C1で新たに形成
された電気メッキ層)に付着した砥粒は、下地メッキ層
(場合によっては、下地メッキ層の上に第1の電着漕C
1で新たに形成された電気メッキ層)に固定される。こ
の砥粒固定用メッキ層の厚さは、走行する長尺ワイヤー
に固定した砥粒がプーリーで長尺ワイヤーから脱落しな
い程度の厚さにし、好ましくは付着させた砥粒の径の5
〜25%程度の厚さにする。ここで、第1の電着漕C1
で長尺ワイヤーに砥粒を固定させた側を長尺ワイヤーの
「表側」と呼び、砥粒を固定させなかった側を長尺ワイ
ヤーの「裏側」と呼ぶことにする。
【0060】第1の電着漕C1のメッキ浴を通過した長
尺ワイヤー部分は、第2の電着漕C2のメッキ浴に進入
する前に、砥粒を固着させた表側が重力方向を向くよう
にプーリー11及び12によって走行方向が180°反
転する。
【0061】次に、長尺ワイヤー部分は、第2の電着漕
C2のメッキ浴の中を通過する。第2の電着漕C2に
は、第1の電着漕C1と同様に、メッキ浴の一部の領域
に第2の砥粒沈降領域T2を設けている。前記砥粒沈降
領域では、メッキ浴の液面に対して砥粒を分散した状態
で供給しているので、砥粒は分散した状態でメッキ浴中
を沈降する。
【0062】第2の電着漕C2のメッキ浴において、長
尺ワイヤー部分は、第2の電着漕C2のメッキ浴の第2
の砥粒沈降領域T2を、砥粒を固定させた側(表側)が
下方向(第2の電着漕C2の内側の底面)を向き第1の
電着漕C1で砥粒を固定させなかった側(裏側)がメッ
キ浴の液面側を向くようにして通過する。そのため、長
尺ワイヤー部分の前記裏側にだけ砥粒が付着する。次
に、長尺ワイヤー部分は、第2の電着漕C2のメッキ浴
の第2砥粒沈降領域T2以外の領域を引き続き通過する
ので当該長尺ワイヤー部分にはメッキ層が形成される。
第2の電着漕C2で形成されるメッキ層によって、長尺
ワイヤー部分のメッキ層(第1の電着漕で形成されたメ
ッキ層)に付着した砥粒は、付着した前記メッキ層に固
定される。第2の電着漕C2で形成するメッキ層の厚さ
は、走行する長尺ワイヤー部分に固定した砥粒がプーリ
ーで長尺ワイヤー部分から脱落しない程度の厚さにし、
好ましくは付着させた砥粒の径の5〜25%程度の厚さ
にする。
【0063】次に、長尺ワイヤー部分は、埋込漕Dのメ
ッキ浴の中を通過するので、埋込漕Dにおいて長尺ワイ
ヤー部分の表面に電気メッキにより新たなメッキ層が形
成される。このメッキ層は、第1及び第2の電着漕のメ
ッキ浴で長尺ワイヤーの表面に電着された砥粒が完全に
埋没するように形成する埋込メッキ層である。埋込メッ
キ層の厚さは、砥粒が完全に埋没する程度の厚さにし、
例えば、埋め込む砥粒の径の20〜80%(好ましくは
25〜75%、より好ましくは30〜70%)にする。
【0064】最後に、長尺ワイヤー部分は、水洗漕A5
の水の中を通過して、長尺ワイヤー部分に付着している
メッキ浴のメッキ液を除去する(水で置換する)。
【0065】[実施例2]実施例1では、下地メッキ漕
B、第1の電着漕C1、第2の電着漕C2、及び埋込漕
Dを用いて、下地メッキ層から埋込層までのメッキ層を
形成していたが、1つの電着漕だけを用いて同様にメッ
キ層を形成することができる。この場合の一例を図2に
基づいて説明する。図2は、本発明の他の実施例のワイ
ヤーソーの製造方法で使用することができる電着漕20
の概略部分断面図である。
【0066】電着漕20には、砥粒循環装置29が設け
られている。この砥粒循環装置について説明すると、次
のとおりである。まず最初に、砥粒ないし砥粒含有物
(砥粒を含有するスラリーないしペースト)を砥粒投入
口29aから供給する。供給された前記砥粒ないし砥粒
含有物は、砥粒供給部29bに到達して撹拌され、砥粒
が分散した状態で砥粒放出口29cからメッキ液中に放
出される。放出された砥粒ないし砥粒含有物における砥
粒の大多数は、分散した状態で砥粒回収口29dに向か
って沈降し、砥粒沈降領域Tが形成される。
【0067】沈降する砥粒は、砥粒回収口29dから砥
粒回収部29eに入り込み回収される。回収された砥粒
は、メッキ液と共に、砥粒回収部29eに設けられてい
るポンプによって、略U字形状の戻り管部29fを経て
砥粒供給部29bに移送される。砥粒供給部29bに到
達した砥粒とメッキ液は、砥粒供給部29bで撹拌さ
れ、砥粒放出口29cからスラリー(砥粒が分散したメ
ッキ液)としてメッキ液中に放出される。放出されたス
ラリーに含まれている砥粒の大多数は、分散した状態で
砥粒回収口29dに向かって沈降するので、砥粒沈降領
域Tが連続して維持される。なお、砥粒循環装置を循環
する砥粒は長尺ワイヤーに付着して量が次第に減少する
ので、必要に応じて、砥粒ないし砥粒含有物(砥粒を含
有するスラリーないしペースト)を砥粒投入口29aか
ら供給する。
【0068】一方、実施例1と同様に、脱脂漕、第1の
水洗漕、酸洗漕、第2の水洗漕のそれぞれに貯えられた
所定の液体を通過した長尺ワイヤーW’は、プーリー2
1〜28に案内されて、メッキ液20aが満たされてい
る電着漕20内を走行するので、メッキ層が形成され
る。より詳細には、次のとおりである。
【0069】プーリー21及び22に案内されてメッキ
浴に進入し砥粒沈降領域Tに進入する前までの長尺ワイ
ヤーW’の一部分である長尺ワイヤー部分は、外周面に
下地メッキ層が形成される。次に、下地メッキ層を形成
した長尺ワイヤー部分は、砥粒沈降領域Tを通過するこ
とにより、前記下地メッキ層に砥粒を付着させる。詳細
には、長尺ワイヤー部分の外周面の一部(主として、砥
粒循環装置29の砥粒放出口29cが存在する側を向い
ている略半周面部分)に砥粒を付着させる。
【0070】砥粒沈降領域Tの通過により下地メッキ層
に砥粒を付着させた長尺ワイヤー部分は、プーリー23
に到達する前までにメッキ層が形成されるので、下地メ
ッキ層に付着した砥粒は前記下地メッキ層に固定され
る。プーリー23及び24に案内されて砥粒沈降領域T
に再び進入する前までの長尺ワイヤー部分は、プーリー
23及び24に案内されることにより、走行方向が18
0°反転してメッキ浴の中を走行するので、砥粒を付着
させた側(表側)の中央部が下(砥粒循環装置29の砥
粒回収口29d)を向き、砥粒を付着させなかった側
(裏側)の中央部が上(砥粒循環装置29の砥粒放出口
29c)を向くようになると共にさらにメッキ層が形成
される。
【0071】砥粒沈降領域Tの再度の通過により前記裏
側のみに砥粒を付着させた長尺ワイヤー部分は、プーリ
ー25に到達する前までにメッキ層が形成されるので、
前記裏側に付着した砥粒は付着したメッキ層に固定され
る。このようにして砥粒を固定させた長尺ワイヤー部分
は、プーリー25、26、27及び28に案内されてメ
ッキ浴の中を走行するので、前記長尺ワイヤー部分には
固定した砥粒を埋没する程度の厚さでさらに埋込メッキ
層が形成される。
【0072】なお、プーリー21〜28は、それぞれ、
配設位置を移動させて固定することができる。そのた
め、プーリー21〜28のそれぞれの配設位置を適宜設
定することにより、各メッキ層(下地メッキ層、砥粒を
長尺ワイヤーに固定するためのメッキ層及び埋込メッキ
層)の厚さを調節することができる。また、実施例1の
第1〜2の電着漕C1〜2の砥粒沈降領域T1〜2で砥
粒が沈降するように、砥粒循環装置29を第1〜2の電
着漕C1〜2のそれぞれに設けることができる。
【0073】また、実施例1及び2において、砥粒を先
に固定した側(表側)を有する長尺ワイヤー部分の走行
方向を180°反転させた後、長尺ワイヤー部分の外周
面の砥粒未固定側(裏側)に砥粒を電着する際、前記表
側と前記裏側へのメッキ層の形成量の差をなくして周方
向に均一な厚さでメッキ層を形成するため、前記表側の
メッキ層の形成速度が遅くなるように、前記表側が遮蔽
物に接触するように走行させてメッキ液が前記表側から
排除されるようにすることができる。長尺ワイヤー部分
の外周面における前記裏側に砥粒を電着する際のメッキ
層の厚さは、好ましくは、前記裏側に付着させた砥粒の
径の5〜25%程度にする。
【0074】また、長尺ワイヤー部分の外周面に電着し
た砥粒の完全な埋め込みを行う場合、埋込率(砥粒径に
対する前記埋込メッキ層の厚さの割合)は、好ましくは
20〜80%(より好ましくは25〜75%、さらに好
ましくは30〜70%、)である。長尺ワイヤーの送り
速度(走行速度)は、速ければ速いほど製造速度が速く
なるが、設定する電流密度、メッキ槽の大きさに応じ
て、適切に定める。
【0075】[実施例3]本発明の他の一実施例のワイ
ヤーソーの製造方法を図6に基づいて説明する。図6
は、本実施例のワイヤーソーの製造方法の概略を説明す
るための、長尺ワイヤーの走行方向の概略部分断面図で
あり、図1と共通のものには図1と同じ符号を付し、説
明を省略する。
【0076】実施例1と同様に、脱脂漕A1、第1の水
洗漕A2、酸洗漕A3、第2の水洗漕A4、下地メッキ
漕Bを経た長尺ワイヤーWの一部分である長尺ワイヤー
部分は、陰極電極Z2の近傍に設けられている永久磁石
であるアルニコ磁石Mにより磁化されて、強磁性体(例
えば、鉄、コバルト、ニッケル)を引き付けることがで
きるようになる。
【0077】磁化された長尺ワイヤー部分は、電着漕C
1’のメッキ浴の中を通過する。電着漕C1’のメッキ
浴の一部の領域には、砥粒沈降領域T1’を設けてい
る。前記砥粒沈降領域では、メッキ浴の液面に対して平
均粒径15μmのニッケル被覆砥粒(砥粒表面がニッケ
ル層で被覆されている砥粒であって、ニッケル被覆砥粒
の全重量に占めるニッケル層の重量が30重量%である
もの)を分散した状態で供給しているので、ニッケル被
覆砥粒は分散した状態でメッキ浴中を沈降する。なお、
ニッケル被覆砥粒は、水に分散させたスラリーとしてメ
ッキ浴の液面ないしその下側近傍に供給することができ
る。
【0078】電着漕C1’のメッキ浴において、磁化さ
れた長尺ワイヤー部分は、電着漕C1’のメッキ浴の砥
粒沈降領域T1’を通過すると、実施例1とは異なり、
長尺ワイヤー部分(下地メッキ層を備えている)の上側
(メッキ浴の液面側)だけでなく、長尺ワイヤー部分の
外周面の全面に渡ってニッケル被覆砥粒を分散して付着
させることができる。従って、実施例1で設けていた第
2の電着漕C2は、設ける必要がないので設けていな
い。
【0079】次に、長尺ワイヤー部分は、電着漕C1’
のメッキ浴の砥粒沈降領域以外の領域(砥粒が供給され
ない領域)を引き続き通過するのでメッキ層が形成され
る。形成されるこのメッキ層(砥粒固定用メッキ層)に
よって、長尺ワイヤー部分の下地メッキ層(場合によっ
ては、下地メッキ層の上に電着漕C1’で新たに形成さ
れた電気メッキ層)に付着した砥粒は、下地メッキ層
(場合によっては、下地メッキ層の上に電着漕C1’で
新たに形成された電気メッキ層)に固定される。この砥
粒固定用メッキ層の厚さは、走行する長尺ワイヤーに固
定した砥粒がプーリーで長尺ワイヤーから脱落しない程
度の厚さにし、好ましくは付着させた砥粒の径の1〜1
0%程度の厚さにする。
【0080】次に、長尺ワイヤー部分は、実施例1と同
様に、埋込漕Dのメッキ浴の中を通過して、ニッケル被
覆砥粒が完全に埋没する程度の厚さの埋込メッキ層が形
成され、最後に、水洗漕A5の水の中を通過して、長尺
ワイヤー部分に付着しているメッキ浴のメッキ液を除去
する(水で置換する)。ワイヤーソーの製造方法におけ
る製造条件例は、例えば、以下のものがある。
【0081】〈製造条件例〉 メッキ浴の種類:ワット浴(硫酸ニッケル、塩化ニッケ
ル、硼酸で調整) メッキ浴のpH:3.0〜6.0 メッキ浴の温度:30〜50℃ ワイヤー送り速度:50〜5000mm/分 電流密度:0.5〜15A/dm ワイヤー径:φ0.05〜0.30mm 砥粒:ダイヤモンド砥粒(平均粒径1〜80μm)
【0082】上記実施例のワイヤーソーの製造方法は、
砥粒によるメッキ阻害が起こり難く、ワット浴を用いた
場合でも電流密度を高めることができる。このため、製
造速度を速くすることができ、かつ、メッキ浴の手入れ
が簡便なため、低コストでの製造が可能である。また、
全自動化しやすくなり長距離のワイヤーソーの製造に耐
えうる。
【0083】
【発明の効果】本発明のワイヤーソーは、長尺線状体の
外周面に電着層で固定された複数の砥粒を有するワイヤ
ーソーであって、長尺線状体外周面の砥粒による被覆率
は35%以下であるから、剛性が低く、表面の弾性率が
小さく、捻りに対する強度が強く、破断しにくく、切味
が良好であると共に、製造速度を速くして製造すること
ができる。
【0084】本発明のワイヤーソーの製造方法は、砥粒
が分散して沈降する砥粒沈降領域を少なくとも一部に有
する液状体で砥粒を外周面に付着させた長尺線状体にお
ける、前記外周面に付着させた砥粒を前記外周面に電着
する電着工程を含むので、長尺線状体の外周面に電着さ
せる砥粒の分布の程度を制御してワイヤーソーを製造す
ることができる。特に、長尺線状体の外周面に電着させ
る砥粒の分布を低密度にしたワイヤーソーを製造するこ
とができる。
【0085】本発明のワイヤーソーの製造方法におい
て、長尺線状体の外周面に電着させる砥粒の分布を低密
度の範囲にする場合は、剛性が低く、表面の弾性率が小
さく、捻りに対する強度が強く、破断しにくく、切味が
良好なワイヤーソーを、製造速度を速くして製造するこ
とができる。また、ガラス、水晶などの比較的ねばい材
料をワイヤーソーで切断する場合、目詰まりしやすいた
め砥粒間隔を開けたワイヤーソーを用いる必要がある。
本発明のワイヤーソーの製造方法によれば、このような
砥粒間隔を開けたワイヤーソーを製造することができ
る。
【0086】本発明のワイヤーソーの製造装置は、長尺
線状体に電着層を形成することができる電着漕と、砥粒
が分散して沈降する砥粒沈降領域を前記電着漕に貯えら
れた電着浴の中に形成するように、砥粒ないし砥粒含有
物を放出する砥粒放出部を有するので、長尺線状体の外
周面に電着させる砥粒の分布の程度を制御してワイヤー
ソーを製造することができる。特に、長尺線状体の外周
面に電着させる砥粒の分布を低密度にしたワイヤーソー
を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1のワイヤーソーの製造方法の
概略を説明するための、長尺ワイヤーの走行方向の概略
部分断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例2のワイヤーソーの製
造方法で使用することができる電着漕の概略部分断面図
である。
【図3】図3は、本発明のワイヤーソーの一例の概略斜
視図である。
【図4】図4は、図3のワイヤーソーの概略断面図であ
って、(a)は高密度領域の径方向の概略断面図であ
り、(b)は低密度領域の径方向の概略断面図である。
【図5】図5は、本発明のワイヤーソーの一例の長尺線
状体の外周面を、長尺線状体の長さ方向に切断し平面に
した展開図である。
【図6】図6は、本実施例のワイヤーソーの製造方法の
概略を説明するための、長尺ワイヤーの走行方向の概略
部分断面図である。
【符号の説明】
A1 脱脂槽(水酸化ナトリウム水溶液) A2 水洗槽 A3 酸洗槽(塩酸) A4 水洗槽 Z1 電極1 B 下地メッキ槽 Z2 電極2 C1 電着槽1 Z3 電極3 Z4 電極4 C2 電着槽2 Z5 電極5 D1 埋込槽 Z6 電極6 A5 水洗糟
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 剛志 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 小森 理晴 愛知県津島市神守町字二ノ割16番地の1 株式会社ノリタケスーパーアブレーシブ電 着工場内 Fターム(参考) 3C063 AA08 AB09 BB02 BB23 BC02 CC13 EE10 EE31 FF23 FF30

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長尺線状体の外周面に電着層で固定された
    複数の砥粒を有するワイヤーソーであって、 前記長尺線状体の長さ方向において、長尺線状体外周面
    に砥粒が高密度で分布する高密度領域と低密度で分布す
    る低密度領域が交互に繰り返す領域を有し、 前記高密度領域の少なくとも一について、長尺線状体外
    周面の砥粒による被覆率Aは1〜35%であり、 前記低密度領域の少なくとも一について、長尺線状体外
    周面の砥粒による被覆率Bは0.2〜28%であり、 前記高密度領域と前記低密度領域の少なくとも一組につ
    いて、B/Aは0.2〜0.8であり、 前記長尺線状体の長さ方向における前記高密度領域と前
    記低密度領域の長さは、それぞれ、1〜1000mmで
    あることを特徴とするワイヤーソー。
  2. 【請求項2】長尺線状体の外周面に電着層で固定された
    複数の砥粒を有するワイヤーソーであって、 長尺線状体外周面の砥粒による被覆率は35%以下であ
    ることを特徴とするワイヤーソー。
  3. 【請求項3】前記長尺線状体外周面の全面に渡って前記
    砥粒が略均一な密度で分散して分布することを特徴とす
    る請求項2に記載のワイヤーソー。
  4. 【請求項4】前記長尺線状体外周面に前記砥粒が高密度
    で分布する高密度領域と低密度で分布する低密度領域
    を、前記長尺線状体の長さ方向に交互に繰り返す領域を
    有することを特徴とする請求項2に記載のワイヤーソ
    ー。
  5. 【請求項5】砥粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を少
    なくとも一部に有する電着液の中で長尺線状体を走行さ
    せて、前記長尺線状体の外周面に砥粒を付着させる砥粒
    付着工程と、 前記砥粒付着工程で前記外周面に付着させた砥粒を前記
    外周面に電着する砥粒電着工程を含み、 前記砥粒付着工程において、前記長尺線状体の外周面に
    所望の密度で砥粒が分布するように、前記砥粒沈降領域
    へ供給する砥粒ないし砥粒含有物の供給量を制御するこ
    とを特徴とするワイヤーソーの製造方法。
  6. 【請求項6】砥粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を少
    なくとも一部に有する液状体で砥粒を外周面に付着させ
    た長尺線状体における、前記外周面に付着させた砥粒を
    前記外周面に電着する電着工程を含むことを特徴とする
    ワイヤーソーの製造方法。
  7. 【請求項7】砥粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を少
    なくとも一部に有する電着液で長尺線状体の外周面に砥
    粒を付着させる砥粒付着工程を、前記電着工程よりも前
    に有することを特徴とする請求項6に記載のワイヤーソ
    ーの製造方法。
  8. 【請求項8】長尺線状体に電着層を形成することができ
    る電着漕と、 砥粒が分散して沈降する砥粒沈降領域を前記電着漕に貯
    えられた電着浴の中に形成するように、砥粒ないし砥粒
    含有物を放出する砥粒放出部を有することを特徴とする
    ワイヤーソーの製造装置。
  9. 【請求項9】長尺線状体の外周面に所望の密度で砥粒が
    分布するように、前記砥粒放出部から放出する砥粒ない
    し砥粒含有物の放出量を制御する砥粒放出量制御部を有
    することを特徴とする請求項8に記載のワイヤーソーの
    製造装置。
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