JP2003339167A - 誘導加熱装置、およびこれを用いた誘導加熱調理器と炊飯器 - Google Patents

誘導加熱装置、およびこれを用いた誘導加熱調理器と炊飯器

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JP2003339167A JP2002144230A JP2002144230A JP2003339167A JP 2003339167 A JP2003339167 A JP 2003339167A JP 2002144230 A JP2002144230 A JP 2002144230A JP 2002144230 A JP2002144230 A JP 2002144230A JP 2003339167 A JP2003339167 A JP 2003339167A
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Hidekazu Yamashita
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Masanori Ogawa
正則 小川
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真 北畠
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Tetsuya Tawara
哲哉 田原
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一博 登
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低損失、高効率、構成が簡単な誘導加熱装置
を提供する。 【解決手段】 加熱コイル21と双方向スイッチング素
子22の直列回路に接続した直流電源23、共振コンデ
ンサ24を設け、高効率の誘導加熱を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般家庭や業務用
などで使用される誘導加熱調理器、誘導加熱式炊飯器、
誘導加熱加工機、誘導加熱式融雪装置などの誘導加熱装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平11−111441号に示
されている誘導加熱装置は、図14に示されているよう
に、100V50Hzや60Hzの商用電源を用いた交
流電源1、加熱コイル2、加熱コイル2に接続されIG
BT(絶縁ゲート形バイポーラトランジスタ)とダイオ
ードを内蔵させて実現したスイッチング素子3、スイッ
チング素子3をオンオフさせる駆動回路4を設けてい
る。
【0003】スイッチング素子3は内蔵されたダイオー
ドを有することにより、逆方向、すなわちIGBTのエ
ミッタからコレクタの向きに電圧がかかった場合におい
て、ほぼ素通りの状態となり、スイッチで言うところの
オン状態となるものである。
【0004】さらに、共振コンデンサ5を加熱コイル2
と並列に接続し、4本のダイオード6、7、8、9で構
成した全波式のダイオードブリッジ10、およびダイオ
ードブリッジ10の出力端子間に並列に接続した平滑用
コンデンサ11を接続したものとなっている。
【0005】負荷鍋12は、加熱コイル5に磁気結合し
たものとなっている。
【0006】以上の構成において、交流電源1は、ダイ
オードブリッジ10によってリプルを含んだ直流に変換
された電圧を平滑用コンデンサ11の端子間に発生さ
せ、駆動回路4が高周波でスイッチング素子3をオンオ
フし、加熱コイル2に高周波電流を供給することによっ
て、加熱コイル2と磁気的に結合した負荷鍋12に誘導
電流を発生させるなどして、鉄損を生じさせて加熱する
ものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
においては、スイッチング素子3がスイッチとしてオン
オフの制御ができるのは、コレクタからエミッタに流れ
る電流のみであり、逆方向すなわちエミッタからコレク
タに向かう電流については、ダイオード部分を通ること
から制御ができず、オンの状態のみに限られるという特
性であった。
【0008】このため、特にスイッチング素子3のオン
期間を長くした場合には、加熱コイル2と共振コンデン
サ5の共振作用が強くなり、スイッチング素子3内のダ
イオードに流れる電流が大きくなるとともに、その時間
も長くなり、ダイオードとしての順電圧降下があるため
かなりの損失が発生するものとなる。
【0009】また、スイッチング素子3のダイオード部
分に流れる電流は、加熱コイル2に蓄えられた磁気エネ
ルギの一部が再び平滑用コンデンサ11に逆流、すなわ
ち回生されている動作が行われていることになり、無効
電力が発生していると見ることができる。
【0010】これらの結果、特に加熱パワーを大きくし
た場合に、装置の効率を上げることが難しくなるという
第1の課題を有しているものであった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記第1の課
題を解決するために、加熱コイルと双方向スイッチング
素子の直列回路と、前記加熱コイルと双方向スイッチン
グ素子の直列回路の両端に接続した直流電源と、前記加
熱コイルと前記双方向スイッチング素子の接続点と前記
直流電源の端子間に接続された共振コンデンサと、前記
双方向スイッチング素子をオンオフさせる駆動回路を有
する構成とすることにより、前記双方向スイッチング素
子に流れる逆方向電流も制御し、前記双方向スイッチン
グ素子の損失を低減するとともに、回生電流も低減して
高効率の装置を実現するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、上記課題を解決するために、加熱コイルと双方向ス
イッチング素子の直列回路と、前記加熱コイルと双方向
スイッチング素子の直列回路の両端に接続した直流電源
と、前記加熱コイルと前記双方向スイッチング素子の接
続点と前記直流電源の端子間に接続された共振コンデン
サと、前記双方向スイッチング素子をオンオフさせる駆
動回路を有する構成とすることにより、前記加熱コイル
と前記共振コンデンサの共振現象のが生じている期間中
に、前記双方向スイッチング素子の逆阻止期間を設ける
ことができることから、その分前記双方向スイッチング
素子に流れる電流が減少し、前記双方向スイッチング素
子の損失を低減するとともに、回生電流も低減して高効
率の装置を実現するものである。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
誘導加熱装置の駆動回路は、双方向スイッチング素子を
オフした後、逆阻止状態としてから前記双方向スイッチ
ング素子をオンさせることにより、やはり前記加熱コイ
ルと前記共振コンデンサの共振現象のが生じている期間
中に、前記双方向スイッチング素子の逆阻止期間を設け
ることができることから、その分前記双方向スイッチン
グ素子に流れる電流が減少し、次にオンさせる際の損失
を抑え、前記双方向スイッチング素子の損失を低減する
とともに、回生電流も低減して高効率の装置を実現する
ものである。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1記載の
誘導加熱装置の駆動回路は選択手段を有し、前記選択手
段が第1の信号を出力する場合は、双方向スイッチング
素子をオフした後、逆阻止状態としてから前記双方向ス
イッチング素子をオンさせ、前記選択手段が第2の信号
を出力する場合は、双方向スイッチング素子をオフした
後、逆阻止状態となる前に前記双方向スイッチング素子
をオンさせることにより、負荷の種類に応じて選択手段
が第1の信号と第2の信号とを使い分けることが可能と
なり、広い負荷の範囲において、十分な加熱パーが得ら
れ、また高効率の運転が可能な誘導加熱装置を実現する
ことができるものである。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項1記載の
誘導加熱装置の駆動回路は、双方向スイッチング素子の
順導通期間の後、順阻止期間、逆導通期間、逆阻止期間
の順に設けた後、再び順導通期間に入らせることによ
り、加熱パワーと前記双方向スイッチング素子の印加電
圧の関係、周波数との関係などをある程度の範囲で調整
可能とすることができるものとなり、より広い負荷の特
性に対応し、高効率で十分な加熱パワーが供給できる誘
導加熱装置を実現するこどができるものである。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項4記載の
誘導加熱装置の駆動回路は、逆導通期間を変化させ、周
波数が略一定の状態で加熱パワーを変化させることによ
り、負荷の種類や加熱パワーが変化しても、周波数が一
定となり、近接した誘導加熱装置との干渉が抑えられ、
騒音の低減も可能な誘導加熱装置を実現するものであ
る。
【0017】請求項6に記載の発明は、請求項1から請
求項5のいずれか1項に記載の誘導加熱装置の直流電源
は、交流電源と前記交流電源の出力に接続された整流ブ
リッジを有する構成としたことにより、一般的な交流電
源が使用では、簡単な構成で実現できてかつ高効率の誘
導加熱装置を実現できるものである。
【0018】請求項7に記載の発明は、請求項1から請
求項6のいずれか1項に記載の誘導加熱装置双方向スイ
ッチング素子は、SiC半導体を用いたことにより、前
記双方向スイッチング素子のオン損失とスイッチング損
失を効果的に抑えて、さらに高効率とするものである。
【0019】請求項8に記載の発明は、請求項1から請
求項7のいずれか1項に記載の誘導加熱装置を有する構
成とすることにより、構成が簡単で高効率の誘導加熱調
理器を実現するものである。
【0020】請求項9に記載の発明は、請求項1から請
求項7のいずれか1項に記載の誘導加熱装置を有する構
成とすることにより、構成が簡単で高効率の炊飯器を実
現するものである。
【0021】
【実施例】次に、本発明の具体例を説明する。
【0022】(実施例1)図1は、本発明の第1の実施
例における、鍋を加熱する誘導加熱装置の回路図であ
る。
【0023】直径0.35mmのエナメル線35本をよ
ったリッツ線を、平板の渦巻き状に巻いて構成した加熱
コイル21と、SiC半導体すなわち炭化珪素半導体を
MOS構造としたを用いた双方向スイッチング素子22
は直列に接続され、加熱コイル21と双方向スイッチン
グ素子22の直列回路の両端には直流電源23が接続さ
れている。
【0024】また、加熱コイル21と双方向スイッチン
グ素子22の接続点と直流電源23のプラス端子間には
プラスチックフィルム形の共振コンデンサ24が接続さ
れている。
【0025】そして、双方向スイッチング素子22を2
5kHzでオンオフさせる駆動回路25を有しており、
駆動回路25は、双方向スイッチング素子22をオフし
た後、一旦逆阻止状態とした後に、再び双方向スイッチ
ング素子22をオンさせるものとなっている。
【0026】直流電源23は、100V60Hzの商用
電源を用いた交流電源26と、交流電源26の出力に接
続された整流ブリッジ27、チョークコイル28、平滑
コンデンサ29を有しており、25kHzという高周波
に対するインピーダンスを低くすることで、電圧の安定
化を図るとともに、交流電源26への高周波電流の逆流
を抑える作用をするものとなっている。
【0027】なお、鍋である負荷30は、加熱コイル2
1に底面が対向させている。
【0028】図2は、本実施例の動作波形図を示したも
ので、直径22cmのホーロー鍋が負荷29として置か
れている状態で、装置に1200Wの入力電力を受けて
動作している状態におけるものである。(ア)は交流電
源26の出力電圧VACの波形、(イ)は双方向スイッ
チング素子22の端子間電圧VSWの波形、(ウ)は双
方向スイッチング素子22に流れる電流ISWの波形を
示している。
【0029】VAC波形は、60Hzで実効値100V
の正弦波であり、そのピークの絶対値は、実効値のルー
ト2倍に相当する141Vとなる。
【0030】また、VSW波形は正弦波の包烙線(エン
ベロープ)を有し、双方向スイッチング素子22のスイ
ッチング周波数の高周波で埋め尽くされた電圧波形とな
っており、プラス側の最大電圧は550V、マイナス側
の最大値は60Vとなっている。
【0031】またISW波形についても、正弦波の包烙
線(エンベロープ)をプラス側に持ち、双方向スイッチ
ング素子22のスイッチング周波数の高周波で埋め尽く
された電流波形となっており、電流ピークは53Aとな
っている。
【0032】なお、この状態において交流電源26から
の出力電流波形は、電圧VACと同じ正弦波であり、位
相も等しく、力率がほぼ1のものとなり、送配電系統の
損失を極力抑えた高能率のものとなっている。
【0033】図3は、図2のt1およびt2付近の位相
で、時間方向を拡大した動作波形図を示しており、この
期間においてはVACの絶対値はほぼ141Vある。
(ア)は駆動回路25からのオンオフ信号Sg、(イ)
は双方向スイッチング素子22の端子間電圧VSW、
(ウ)は双方向スイッチング素子22に流れる電流IS
Wの波形を示している。
【0034】t3において、駆動回路25によって双方
向スイッチング素子22がターンオフすると、ISWは
零となり、加熱コイル21と共振コンデンサ24による
共振回路が形成される。
【0035】共振によって発生する電圧により、双方向
スイッチング素子22には、最大550Vの電圧が印加
され、その後更に加熱コイル21と共振コンデンサ24
の共振により共振電圧波形がVSWに印加され、t4に
おいて再びVSWが零となる。
【0036】その後t5まで逆阻止状態とし、t5にて
双方向スイッチング素子22は、駆動回路25によって
オンされ、順導通期間に入るものとなる。
【0037】このような動作を繰り返すことにより、加
熱コイル21に高周波電流が供給されるものとなる。
【0038】また、本実施例では双方向スイッチング素
子23として、SiC半導体を使用していることから、
簡単な構成で低損失の双方向スイッチング素子23が実
現され、さらに高温での動作も可能であるため、誘導加
熱装置においては、非加熱物に近い高温の雰囲気中にあ
っても冷却が簡単に行うことができ、例えば冷却ファン
なども不要、もしくは風量の少ないもので間に合うとい
う構成となり、装置の小形化・軽量化と同時に、冷却フ
ァンに要する電力の削減や冷却風によって非加熱物が冷
却されてしまうというようなムダが省け、非常に高効率
の誘導加熱装置が実現されるものとなる。
【0039】(実施例2)第2の実施例における誘導加
熱装置は、共振コンデンサ33の一端は実施例1と同
様、加熱コイル21と双方向スイッチング素子22の接
続点に接続しているが、もう一つの端子は直流電源23
のマイナス端子に接続しており、これによって共振コン
デンサ33は、双方向スイッチング素子22の両端子間
に接続された状態となっている。
【0040】駆動回路34は、電圧比較器を用いた選択
手段35と発振回路36を備えており、選択手段35が
ハイ、すなわち第1の信号を出力する場合は、双方向ス
イッチング素子22をオフした後、逆阻止状態としてか
ら双方向スイッチング素子22をオンさせるものとなっ
ている。
【0041】また、選択手段35がロー、すなわち第2
の信号を出力する場合は、双方向スイッチング素子22
をオフした後、逆阻止状態となる前に双方向スイッチン
グ素子22をオンさせるものとなっているものである。
【0042】入力電流検知回路37は、交流電源26か
らの流入電流のピーク値を検知し、装置の入力電流を検
知することで、加熱パワーにほぼ対応した電力値を知る
ためのものであり、電圧検知回路38は、双方向スイッ
チング素子22に印加される電圧のピーク値を検出する
ものである。
【0043】したがって、選択手段35は、入力電流検
知回路37と電圧検知回路38の出力電圧の大小比較を
行い、前者が大の場合にはハイを、後者が大の場合には
ローを出力するものとなっている。
【0044】本実施例において、その他の部分の構成に
おいては、実施例1の場合と同じである。
【0045】次に、本実施例の誘導加熱装置の動作につ
いて、説明する。
【0046】まず、負荷30の鍋が、底の直径が22c
mである場合などは、装置の入力電流に対する、双方向
スイッチング素子22の電圧が比較的低いものとなり、
選択手段35の出力はハイとなって、ちょうど実施例1
と同様の動作でもって駆動回路34による動作が行われ
るものとなり、加熱コイル21への高周波電流の供給に
よる負荷30の誘導加熱が行われるものとなる。
【0047】すなわち、逆阻止状態の後、VSW=0と
なる時点で双方向スイッチング素子22がオンされて、
順導通状態となり、逆導通電流が流れないことから、双
方向スイッチング素子22の損失は少なくてすむものと
なり、また回生動作が無いことから、直流電源23から
能率良く加熱の電力が供給されるものとなる。
【0048】次に底の直径が80mmという比較的小さ
いポットを加熱する場合の動作について説明する。
【0049】このような場合には、装置の入力電流に対
し、双方向スイッチング素子22の印加電圧のピーク値
が比較的大きくなり、選択手段35の出力がローとな
る。
【0050】よって、駆動回路34は逆阻止状態となる
前に、双方向スイッチング素子22をオンさせて、逆導
通状態とすることになる。
【0051】図6は、本実施例において、比較的小さい
負荷を加熱する場合の動作波形図を示している。
【0052】(ア)は交流電源26の出力電圧VACの
波形、(イ)は双方向スイッチング素子22の端子間電
圧VSWの波形、(ウ)は双方向スイッチング素子22
に流れる電流ISWの波形を示している。
【0053】VAC波形は、60Hzで実効値100V
の正弦波であり、そのピークの絶対値は、実効値のルー
ト2倍に相当する141Vとなる。
【0054】また、VSW波形は正弦波の包烙線(エン
ベロープ)を有し、双方向スイッチング素子22のスイ
ッチング周波数の高周波で埋め尽くされた電圧波形とな
っており、プラス側への最大電圧は550Vに達する。
【0055】またISW波形についても、正弦波の包烙
線(エンベロープ)をプラス側とマイナス側の両方に持
ち、双方向スイッチング素子22のスイッチング周波数
の高周波で埋め尽くされた電流波形となっており、電流
ピークはプラス側が50A、マイナス側が25Aとなっ
ている。
【0056】なお、この状態においても交流電源26か
らの出力電流波形は、電圧VACと同じ正弦波であり、
位相も等しく、力率がほぼ1のものとなり、送配電系統
の損失を極力抑えた高能率のものとなっている。
【0057】図6は、図5のt1およびt2付近の位相
で、時間方向を拡大した動作波形図を示しており、この
期間においてはVACの絶対値はほぼ141Vある。
(ア)は駆動回路34からのオンオフ信号Sg、(イ)
は双方向スイッチング素子22の端子間電圧VSW、
(ウ)は双方向スイッチング素子22に流れる電流IS
Wの波形を示している。
【0058】t6において、駆動回路25によって双方
向スイッチング素子22がターンオフすると、ISWは
零となり、加熱コイル21と共振コンデンサ33による
共振回路が形成される。
【0059】共振によって発生する電圧により、双方向
スイッチング素子22には、最大550Vの電圧が印加
され、その後更に加熱コイル21と共振コンデンサ33
の共振により共振電圧波形がVSWに印加され、t7に
おいて再びVSWが零となる。
【0060】t7にて双方向スイッチング素子22は、
駆動回路34によってオンされ、逆導通期間に入り、t
8以降は順導通期間となる。
【0061】このような動作を繰り返すことにより、加
熱コイル21に高周波電流が供給されるものとなる。
【0062】図7は、本実施例において、底の直径が2
2cmの鍋を負荷30とした場合の、入力パワーと双方
向スイッチング素子22の損失を示したもので、aは図
6に示したように逆導通期間を設けた場合、bは図3に
示すように逆阻止期間を設けた場合の特性を示している
ものである。
【0063】すなわちbの逆阻止期間を設けた場合に
は、双方向スイッチング素子22に流れる電流が少なく
てすむ分、入力パワーに対する損失はaに比べて小とな
るものとなる。
【0064】よって、本実施例においては、直径22c
mの鍋は選択手段35の出力がハイとなって、逆阻止期
間を有するものとなるので、双方向スイッチング素子2
2の損失が小さい高効率の運転が実現されるものとな
る。
【0065】図8は、入力パワーに対する双方向スイッ
チング素子22の印加電圧のピーク値VSWを示してい
るが、aとbは直径22cmの鍋を負荷30とした場合
で、cとdは直径80mmのポットを負荷30としてい
るものであり、破線で示したaとcは逆導通期間を設け
た場合、実線で示したbとdは逆阻止期間を設けた場合
の特性を示したものとなっている。
【0066】また、一点鎖線eは選択手段35のしきい
値(スレッショルド)を示すもので、一点鎖線eよりも
上側では、選択手段35は出力がローとなり、駆動回路
34は逆導通期間を有する動作となり、cのカーブで入
力パワーに対するVSWが決まる特性となって実際の動
作がなされるものとなる。
【0067】ここで、双方向スイッチング素子22に
は、印加することのできる最大電圧値、すなわち耐圧と
いう仕様が存在し、現実にはそれを越えないように、所
定のVSW以下での運転を制限する構成となる。
【0068】本実施例では、VSWの最大値を700V
としていることから、c曲線においては760Wの入力
パワーを実現することができるものとなる。
【0069】一方、逆阻止期間を設けて動作させた場合
にはd曲線でVSW=700Vまでで、動作が可能とな
り、最大入力パワーは650Wにとどまるものとなる。
【0070】したがって、本実施例は選択手段34によ
り、直径が大きい負荷30では低損失で高効率の運転が
でき、また直径が小さい負荷30では高パワーでの運転
が可能となる。
【0071】ただし、直径が小さい負荷30で低パワー
でも良い場合、すなわち650W以下などの時には、選
択手段からハイを出力するという構成としてもよく、そ
の場合には逆阻止期間が有る分、双方向スイッチング素
子22の損失が減り、効率も良くなると言う優れた効果
が得られるものとなる。
【0072】(実施例3)図9は、本実施例の第3の実
施例における誘導加熱装置の交流電源26のピーク付近
での拡大動作波形図を示したもので、この期間において
はVACの絶対値はほぼ141Vある。(ア)は駆動回
路25からのオンオフ信号Sg、(イ)は双方向スイッ
チング素子22の端子間電圧VSW、(ウ)は双方向ス
イッチング素子22に流れる電流ISWの波形を示して
いる。
【0073】本実施例においては、回路構成上は実施例
1と同等であるが、駆動回路25の動作のみが異なるも
のとなっている。
【0074】本実施例においては、双方向スイッチング
素子22の順導通期間の後、順阻止期間、逆導通期間、
逆阻止期間の順に設けた後、再び順導通期間に入らせる
ものとしている。
【0075】加えて、駆動回路25は、逆導通期間を変
化させ、周波数が25kHzのほぼ一定の状態で、加熱
パワーを変化させるものとなっている。
【0076】図9においては、順導通期間Ton1が終
了すると、t9において双方向スイッチング素子22が
オフされると、VSWには共振電圧波形が印加される順
阻止期間Toff1となり、再びVSW=0となるt1
0において、駆動回路25は一旦双方向スイッチング素
子22をオンとし、逆導通期間Ton2に入る。
【0077】T11においては、駆動回路25によって
双方向スイッチング素子22はオフされて逆阻止期間T
off2に入る。
【0078】t12には、電流ISWが再び零となり、
駆動回路25から双方向スイッチング素子22がオンさ
れ、以降は順導通期間Ton1となる。
【0079】以上のような動作を繰り返されることによ
り、負荷30の誘導加熱が行われるものとなる。
【0080】特に本実施例においては、逆導通期間To
n2と逆阻止期間Toff2を存在させ、かつ逆導通期
間Ton2の長さを変化させることにより、入力パワ
ー、すなわち加熱パワーに対するVSWの絶対値の最大
値、ISWの絶対値の最大値、動作周波数、双方向スイ
ッチング素子22の損失などの特性が変化するものとな
り、負荷30の種類、および入力パワーに応じて、例え
ば最も効率が高くなるようにTon2の期間を調整する
ことも可能となる。
【0081】また、周波数を一定として種類の異なる負
荷30の加熱を行わせたり、周波数一定で加熱パワーを
変化させることも可能となる。
【0082】周波数が一定で制御ができるということ
は、複数の誘導加熱装置を近接して動作させた場合に
も、動作周波数の差に起因して発生する耳障りな干渉音
の発生はなく、静かな装置の実現も可能となるものであ
る。
【0083】(実施例4)第4の実施例における誘導加
熱装置は、駆動回路25が、双方向スイッチング素子2
2をオフした後、双方向スイッチング素子22の端子間
電圧の絶対値がほぼ極小となる時点で、双方向スイッチ
ング素子22をオンさせるものとなっているが、その他
の構成については、第1の実施例と全くの同等のものと
なっている。
【0084】図10は、第2の実施例における誘導加熱
装置が負荷30として銅バリの磁性ステンレス鍋が置か
れた状態で、300Wの装置への入力パワーで誘導加熱
している時の、動作波形図を示すもので、交流電源26
の出力電圧VACの瞬時値の絶対値がほぼ141Vにな
っている期間を拡大したもので、(ア)は駆動回路25
からのオンオフ信号Sg、(イ)は双方向スイッチング
素子22の端子間電圧VSW、(ウ)は双方向スイッチ
ング素子22に流れる電流ISWの波形を示している。
【0085】銅バリの磁性ステンレス鍋は、加熱コイル
21との磁気的結合が強いことから、双方向スイッチン
グ素子22のオフ期間中の共振コンデンサ24と加熱コ
イル21の共振電圧の減衰が大きく、また加熱のパワー
も実施例1よりも小さいため、t13においてターンオ
フされた後のVSWのピーク値は、320Vにとどま
り、その後再びVSWが零となることはないものとな
る。
【0086】本実施例においては、駆動回路25による
双方向スイッチング素子22のスイッチング周波数は、
やはり25kHzとなっている。
【0087】VSWが零でない時に、双方向スイッチン
グ素子22がオンされると、平滑コンデンサ29と共振
コンデンサ24を通じて双方向スイッチング素子22に
短絡電流が流れて、双方向スイッチング素子22の損失
が大となる傾向がある。
【0088】本実施例では、特に双方向スイッチング素
子22の端子間電圧の絶対値がほぼ極小となるt14の
時点で、双方向スイッチング素子22をオンさせること
により、その際に発生する前記短絡電流を極小に抑え、
極力損失を抑えて、連続的な加熱動作を行わせている。
【0089】なお、t14におけるVSWの絶対値は4
0Vとなっている。
【0090】同時に、上記短絡電流が流れることにより
発生する電磁的ノイズも極小とすることができ、ラジオ
などに与える妨害電波の発生も最小限に抑えることがで
きるものとなる。
【0091】(実施例5)図8は、本発明の第5の実施
例に用いている双方向スイッチング素子22の詳細回路
図を示している。
【0092】その他の部分については、実施例1と全く
同等であり、動作も同じである。
【0093】図8においては、シリコン半導体によるM
OSFET41と、並列に接続されたダイオード42に
よって構成したスイッチング素子43、同様にシリコン
半導体によるMOSFET44と、並列に接続されたダ
イオード45によって構成したスイッチング素子46が
使用されており、スイッチング素子43、46のゲート
端子Gとソース端子Sはいずれも共通に接続された上
で、駆動回路50に接続されているものとなっている。
【0094】ここで、ダイオード42、45は、MOS
FETを製造する際に、寄生的に形成されるものを、そ
のまま使用しても良い。
【0095】従来の技術に用いられているダイオードブ
リッジは、ダイオード素子2個分の順方向の電圧降下が
発生するのに対し、ダイオード42、45はいずれか1
個分のみが直列に入るだけであるので、その分電圧降下
は小さく、損失が小さいものとなる。
【0096】さらに、ダイオード42、45に順方向電
流が流れている期間に、MOSFET41、44のゲー
ト・ソース間電圧を+20Vとしてオンさせていること
から、MOSFET41、45にも電流が分流し、さら
に電圧降下による損失は低減されるものとなる。
【0097】スイッチング素子43のドレイン端子Dは
端子Aとして、またスイッチング素子46のドレイン端
子Dは端子Bとして双方向スイッチング素子33の両端
子となっている。
【0098】駆動回路50からの出力電圧VGSが20
ボルトとなると、MOSFET41、44は共にオンと
なり、VGSが0ボルトとなると、共にオフの状態とな
る。
【0099】オンの場合、A端子の電位が高い場合に
は、電流がMOSFET41のドレインDからソースS
に流れ、ダイオード45を経てB端子に達し、逆にB端
子の電位が高い場合には、電流がMOSFET44のド
レインDからソースSに流れ、ダイオード42を経てA
端子に達するものとなる。
【0100】またオフの場合には、A端子が高電位の場
合は、MOSFET41のドレインDとソースS間に順
方向の阻止電圧が加わるものとなり、B端子が高電位の
場合は、MOSFET44のドレインDとソースS間に
順方向の阻止電圧が加わるものなる。
【0101】したがって、双方向スイッチング素子33
として動作するものとなる。
【0102】(実施例6)図12は、本発明の第6の実
施例における誘導加熱調理器の断面図を示している。
【0103】図12において、100V60Hzの交流
電源をとるため、電源プラグ101から電源コード10
2が、誘導加熱装置103に接続されている。
【0104】本実施例においては、誘導加熱装置103
は、ちょうど実施例1と同等の構成となっているが、図
1に示す加熱コイル21のみを省いた状態にあるものと
なっていて、図13の加熱コイル104が、その代わり
に接続されている。
【0105】加熱コイル104の下側には、放射状にフ
ェライトコア105が8本設けられている。
【0106】誘導加熱装置103の動作と停止、および
加熱パワーを変化させるための操作部106を接続して
いる。
【0107】セラミック製のトッププレートが、加熱コ
イル104の上側に設けられており、鉄やステンレスな
どの鍋である負荷108を誘導加熱するものとなってい
る。
【0108】以上の構成により、負荷108が誘導加熱
されるが、特に本実施例においては、電源プラグから導
かれた交流電源をダイオードブリッジなどによる整流を
行うことなしに、双方向スイッチング素子22による直
接の高周波電流への変換によって加熱コイル104が誘
導加熱動作を行うことから効率が高いという効果を得て
いるものである。
【0109】(実施例7)図13は、本発明の第7の実
施例における炊飯器の要部の構成図を示している。
【0110】図13において、外コイル201と内コイ
ル202は、それぞれリッツ線を9ターンずつ巻いて構
成したもので、外コイル201と内コイル202は直列
に接続されて加熱コイル203としている。
【0111】特に外コイル201は、平板状ではなく、
特に外側が上にせりあがった形状となっている。
【0112】フェライトコア204は、加熱コイル20
3の下方に放射状に8本設けられており、加熱コイル2
03の磁界を有効に利用して高効率の誘導加熱動作が行
われるものとなっている。
【0113】負荷205は、外側に磁性ステンレス層、
内側にアルミ層を有し、中に米と水を適量入れて加熱す
ることにより、飯が炊けるものとなっている。
【0114】また、このような加熱コイル203構成、
フェライトコア204の配置、および負荷205の形状
としたことにより、負荷205の加熱パワーの分布が良
くなり、加熱による水の対流が程良く得られ、非常に美
味な飯を炊くことができるものとなる。
【0115】加熱コイル203は、例えば図1に示した
実施例1の誘導加熱装置の加熱コイル21に代わって接
続されるものであり、交流電源をダイオードブリッジな
どによる整流を行うことなしに、双方向スイッチング素
子22による直接の高周波電流への変換によって加熱コ
イル203が誘導加熱動作を行うことから効率が高いと
いう効果を得ているものである。
【0116】
【発明の効果】以上のように、本発明は特に、加熱コイ
ルと双方向スイッチング素子の直列回路と、前記加熱コ
イルと双方向スイッチング素子の直列回路の両端に接続
した直流電源と、前記加熱コイルと前記双方向スイッチ
ング素子の接続点と前記直流電源の端子間に接続された
共振コンデンサと、前記双方向スイッチング素子をオン
オフさせる駆動回路を有する構成とすることにより、高
効率の装置を実現するものである。
【0117】また、高効率で構成の簡単な誘導加熱調理
器と炊飯器を実現するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における誘導加熱装置の回路
【図2】同、動作波形図
【図3】同、拡大動作波形図
【図4】本発明の実施例2における誘導加熱装置の回路
【図5】本発明の実施例2における誘導加熱装置の動作
波形図
【図6】同、拡大動作波形図
【図7】同、入力パワーと双方向スイッチング素子の損
失のグラフ
【図8】同、入力パワーとVSWピーク値のグラフ
【図9】本発明の実施例3における誘導加熱装置の動作
波形図
【図10】本発明の実施例4における誘導加熱装置の動
作波形図
【図11】本発明の実施例5における双方向スイッチン
グ素子の回路図
【図12】本発明の実施例6における誘導加熱調理器の
断面図
【図13】本発明の実施例7における炊飯器の要部構成
【図14】従来の技術における誘導加熱装置の回路図
【符号の説明】
21、104、203 加熱コイル 22 双方向スイッチング素子 23 直流電源 24、33 共振コンデンサ 25、34、50 駆動回路 35 選択手段 26 交流電源 27 整流ブリッジ 103 誘導加熱装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 秀和 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小川 正則 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 北畠 真 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 長潟 信義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 田原 哲哉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 登 一博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3K051 AA03 CD44 3K059 AA02 AA03 CD02 CD19 CD22 4B055 AA03 AA09 DB14 5H007 AA02 BB04 CA02 CB09 CC07 DA04 DC02 DC05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱コイルと双方向スイッチング素子の
    直列回路と、前記加熱コイルと双方向スイッチング素子
    の直列回路の両端に接続した直流電源と、前記加熱コイ
    ルと前記双方向スイッチング素子の接続点と前記直流電
    源の端子間に接続された共振コンデンサと、前記双方向
    スイッチング素子をオンオフさせる駆動回路を有する誘
    導加熱装置。
  2. 【請求項2】 駆動回路は、双方向スイッチング素子を
    オフした後、逆阻止状態としてから前記双方向スイッチ
    ング素子をオンさせる請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 【請求項3】 駆動回路は選択手段を有し、前記選択手
    段が第1の信号を出力する場合は、双方向スイッチング
    素子をオフした後、逆阻止状態としてから前記双方向ス
    イッチング素子をオンさせ、前記選択手段が第2の信号
    を出力する場合は、双方向スイッチング素子をオフした
    後、逆阻止状態となる前に前記双方向スイッチング素子
    をオンさせる請求項1に記載の誘導加熱装置。
  4. 【請求項4】 駆動回路は、双方向スイッチング素子の
    順導通期間の後、順阻止期間、逆導通期間、逆阻止期間
    の順に設けた後、再び順導通期間に入らせる請求項1に
    記載の誘導加熱装置。
  5. 【請求項5】 駆動回路は、逆導通期間を変化させ、周
    波数が略一定の状態で加熱パワーを変化させる請求項4
    に記載の誘導加熱装置。
  6. 【請求項6】 直流電源は、交流電源と前記交流電源の
    出力に接続された整流ブリッジを有する請求項1から5
    のいずれか1項に記載の誘導加熱装置。
  7. 【請求項7】 双方向スイッチング素子は、SiC半導
    体を用いた請求項1から請求項6のいずれか1項に記載
    の誘導加熱装置。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれか1項に記載の
    誘導加熱装置を有する誘導加熱調理器。
  9. 【請求項9】 請求項1から7のいずれか1項に記載の
    誘導加熱装置を有する炊飯器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011229215A (ja) * 2010-04-15 2011-11-10 Sumitomo Electric Ind Ltd 直流‐交流変換装置
JP2013188007A (ja) * 2012-03-07 2013-09-19 Mitsubishi Electric Corp 電力変換器
JP2019041437A (ja) * 2017-08-22 2019-03-14 日立アプライアンス株式会社 電力変換装置

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