JP2003339146A - ボイスコイルモータおよび磁気ディスク装置 - Google Patents

ボイスコイルモータおよび磁気ディスク装置

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JP2003339146A
JP2003339146A JP2002143213A JP2002143213A JP2003339146A JP 2003339146 A JP2003339146 A JP 2003339146A JP 2002143213 A JP2002143213 A JP 2002143213A JP 2002143213 A JP2002143213 A JP 2002143213A JP 2003339146 A JP2003339146 A JP 2003339146A
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JP
Japan
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yoke
front yoke
magnet
viscoelastic body
back yoke
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Application number
JP2002143213A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nishizawa
宏 西澤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組み立て作業の単純化、コストの低減、金属
接触音の発生防止、および振動の低減が可能なボイスコ
イルモータを提供する。 【解決手段】 ボイスコイルモータは、フロントヨーク
15と、一つの面内2つの極を有するように着磁されたマ
グネット16が取り付けられたバックヨーク4と、フロン
トヨーク15とバックヨーク4との間に設けられる磁気ギ
ャップ内に回動可能に支持されるコイル9とを有する。
フロントヨーク15とバックヨーク4との位置関係はマグ
ネット9の吸引力により保持される。フロントヨーク15
とバックヨーク4との間に粘弾性体15bを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナルコンピ
ュータなどの外部記憶装置に用いられる揺動型ボイスコ
イルモータ(以下、ボイスコイルモータをVCMとい
う)およびそれを用いた磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な従来の磁気ディスク装置におけ
る揺動型VCMの構造は、特開平5-266609号公報や、特
開2001-344916号公報に見られるように、上・下ヨー
ク、マグネット、コイル、ピボット軸受けなどを具備し
ていた。そして、フロントヨークとバックヨークとはネ
ジなどの締結部品により組み立てられ固定されると共に
直接的に接触するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、パーソナルコン
ピュータは一層小型化され、性能も向上しており、磁気
ディスク装置に要求される性能も高まっている。小型で
大容量、高速な磁気ディスク装置が望まれている。
【0004】しかしながら、上記従来のVCMや磁気デ
ィスク装置においては、以下に述べる問題があった。V
CMや磁気ディスク装置の小型者・薄型化・低価格化が
さらに求められる中、従来の構成では、VCMを構成す
る部品をネジなどの締結部品により組み立てられ固定さ
れると共に直接的に接触するように構成されていため、
締結部品自身のコストが上昇すると共に組み立て作業が
煩雑であるためにコストの上昇を引き起こしていた。さ
らには、ヨークの固定のために設けられているネジ穴な
どに残留する、加工時の作業油などにより磁気ディスク
装置としてのコンタミネーション発生の可能性が増大し
て、信頼性の低下を起こす危険性を有するなどの問題が
あった。
【0005】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたもので、コストの低減と組み立て作業の単
純化を実現することのできるVCMを提供することを目
的とする。また、本発明は、このVCMを具備した安価
で信頼性の高い磁気ディスク装置を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のVCMは、フロ
ントヨークと、一つの面内2つの極を有するように着磁
されたマグネットが取り付けられたバックヨークと、前
記フロントヨークと前記バックヨークとの間に設けられ
た空間内に回動可能に支持されたコイルとを有するボイ
スコイルモータであって、前記フロントヨークと前記バ
ックヨークとの位置関係が前記マグネットの吸引力によ
り保持されると共に、前記フロントヨークと前記バック
ヨークとの間に粘弾性体を有することを特徴とする。こ
の構成により、フロントヨークとバックヨークとが締結
部品なしに保持できるので、組み立て作業の単純化およ
びコストの低減が可能となる。また、ヨーク同士が金属
接触することがないので不要な騒音が発生しない。さら
に、粘弾性により不要な振動エネルギーが熱エネルギー
に変換されるので、安定したVCMの推力が得られる。
【0007】また、本発明のVCMは、前記粘弾性体が
前記フロントヨークに取り付けられていることを特徴と
する。この構成により、フロントヨークを単にバックヨ
ークに対して乗せるように組み立てることが可能となる
ので、作業性が向上し、コストの低減が可能となる。
【0008】さらに、本発明のVCMは、前記粘弾性体
が前記コイルの回動方向に対して前記フロントヨークの
複数箇所に取り付けられていることを特徴とする。この
構成により、コイルが揺動する際に発生する磁気的な反
作用としての吸引力の変化を複数箇所により支持するこ
とが可能となるので、バランスが良好となり、静音化を
確実に行うことができる。
【0009】そして、本発明の磁気ディスク装置は、フ
ロントヨークと、一つの面内2つの極を有するように着
磁されたマグネットが取り付けられたバックヨークと、
前記フロントヨークと前記バックヨークとの間に設けら
れた空間内に回動可能に支持されたコイルとを有するボ
イスコイルモータと、磁気ディスクと、磁気ヘッドとを
具備する磁気ディスク装置であって、前記フロントヨー
クと前記バックヨークとの位置関係が前記マグネットの
吸引力により保持されると共に、前記フロントヨークと
前記バックヨークとの間に粘弾性体を有することを特徴
とする。この構成により、フロントヨークとバックヨー
クとが締結部品なしに保持できるので、コストの低減が
可能となる。また、ヨーク同士が金属接触することがな
いので不要な騒音が発生しない。さらに、粘弾性により
不要な振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、良好
なセトリング特性が確保できる。また、ヨーク固定のた
めのネジ穴を不要にできるので、コスト低減ができる。
さらに、これにより加工時の作業油などの残留の確実な
防止と、コンタミネーション発生の可能性の防止とが可
能な信頼性の高い磁気ディスク装置が実現できる。
【0010】また、本発明の磁気ディスク装置は、前記
粘弾性体は前記フロントヨークに取り付けられているこ
とを特徴とする。この構成により、フロントヨークを単
にバックヨークに対して乗せるように組み立てることが
可能となるため、作業性が向上し、コストの低減が可能
となる。
【0011】さらに、本発明の磁気ディスク装置は、前
記粘弾性体が前記コイルの回動方向に対して前記フロン
トヨークの複数箇所に取り付けられていることを特徴と
する。この構成により、VCMのコイルが揺動する際に
発生する磁気的な反作用としての吸引力の変化を複数箇
所により支持することが可能となるので、バランスが良
好となり、静音化を確実に行うことができ、磁気ディス
ク装置を高速化しても良好なセトリング特性が得られ
る。これによって、磁気ディスク装置を高速化すること
も可能となる。
【0012】そして、本発明の磁気ディスク装置は、前
記粘弾性体の振動に対する減衰特性が温度に対して正の
特性を有していることを特徴とする。この構成により、
温度上昇とともに主にVCMのコイルの抵抗が上昇し、
VCMの推力(回転トルク)が減少することに対して相
対的に温度特性をキャンセルすることができる。これに
より、制振特性における温度特性を低減することが可能
となり、信頼性の高い磁気ディスク装置が実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1から図4を用いて説明する。図1は本発明の実
施の形態の磁気ディスク装置(以下、「磁気ディスク装
置」を「HDD」という)の要部平面図、図2は本発明
の実施の形態におけるVCM(以下、「本実施の形態の
VCM」という)の要部斜視図、図3は本実施の形態の
VCMのフロントヨークの斜視図、図4は本実施の形態
のVCMの要部断面図である。
【0014】まず、図1を用いてHDDの構成を説明す
る。回路部分を除くHDDを以下HDA(Head Disk As
sembly)と略す。HDA1は、上方が開口した略矩形箱
状をしたアルミニウム製などのシャーシ2と、シャーシ
2の上端開口部を塞ぐカバー(図示せず)とを有してい
る。また、HDA1内には、アルミニウムやガラスなど
の非磁性基材上にスパッタリングなどによりCo-Cr系
などの磁性材を付着させ、所要の潤滑材や保護膜など形
成した磁気記録媒体としてのディスク10が配置されてい
る。ディスク10の下に配置されたスピンドルモータ14
は、ディスク10を一定速度で回転させる。スピンドルモ
ータ14の軸受けには、流体軸受けを用いてあり、モータ
の形態は周対向型のDDモータである。これにより、デ
ィスク10を高い回転精度で回転できるように構成してあ
る。ディスク10の半径方向の振れについては、RRO(R
epeatable Run-Out)・NRRO(Non-Repeatable Run-Ou
t)などで規定され、高精度の要求を満たすように設計さ
れている。
【0015】ディスク10に対して情報の記録または再生
を行う磁気ヘッド7は、磁気ヘッド7を支持するサスペ
ンション6の先に、ジンバルばね(図示せず)に取り付
けられて、ロードビーム(図示せず)により付勢力が伝
達されるようになされている。磁気ヘッド7は、スライ
ダー(図示せず)に書き込み用の薄膜ヘッドと、読み出
し用のGMRヘッドとが取り付けられている。また、ス
ライダーは、所要の形状を持たせたABS(Air Bearin
g Surface )面を持つ負圧スライダーとして構成されて
いる。
【0016】サスペンション6は、ピボット軸受け5に
よりディスク10のトラック方向(半径方向)に対して回
動自在に支持されている。アクチュエータはサスペンシ
ョン6とコイルアーム8とで構成されている。アクチュ
エータは、VCMにより回動および位置決めされ、磁気
ヘッド7 を所要のトラック方向に移動または位置決めす
るようになされている。ディスク10の外周側には、アク
チュエータの待避位置にランプ(退避部材)12が設けら
れており、HDDの動作停止の際にアクチュエータを待
避位置にアンロードし、HDDの非動作時にアクチュエ
ータを待避位置に保持する。
【0017】シャーシ2の下面には、図示していない、
モータなどの動作等を制御する駆動回路や、R/W(Re
ad/Write )回路、HDC(Hard Disk Controller)な
どが実装された回路基板が固定されHDDとなる。この
HDDは、CSS(ContactStart Stop)でなくロード
/アンロード機構の形態をとっている。
【0018】ディスク10は、HDDが動作または非動作
のとき、スピンドルモータ14により回転または停止す
る。ディスク10の表面には、図示していないが、データ
およびサーボ情報が記録されるトラックが同心円状に配
置されている。トラックは、さらに細かな512バイト
単位などのセクターに分割されている。また、トラック
位置に関係なく線記録密度がほぼ一定になるようにゾー
ンビット記録をするようになされている。
【0019】コイルアーム8とサスペンション6とは、
ピボット軸受け5に回動自在に支持されており、ピボッ
ト軸受け5に対してそれぞれが反対の位置関係に配置さ
れている。また、サスペンション6の先端部には、ラン
プ12に待避するためのタブ11が設けられている。タブ11
は、アクチュエータが待避位置に移動したときにランプ
12により保持される部分であり、ランプ12に接触する凸
部が形成されている(図示せず)。これは、ランプ12と
の摩擦を低減してコンタミネーションを防止すると共に
ディスク10上から待避位置または逆への移動の際に磁気
ヘッド7の姿勢が変化することによるディスク10との接
触を防止するためである。
【0020】本実施の形態におけるHDAは、1プラッ
ター1ヘッドと称され、ディスク10の上面のみを記録面
とし、1つの磁気ヘッドを用いる形態としている。磁気
ヘッド7は、図示しない回路基板からのデータをディス
ク10に記録、またディスク10に記録されたデータの読み
出しを行う。記録については、16−17の変調方式
(16ビットを17ビットに変換して記録する)を用い
てバイト単位でコードの変換を行ない、記憶容量の向上
と記録再生特性の向上を実現している。これらの信号
は、ヘッドアンプ(図示せず)に接続されているFPC
(Flexible PrintedCircuit)を介して磁気ヘッド7と
の間で授受される。
【0021】磁気ヘッド7は、スライダ−に取り付けら
れ、サスペンション6により与えられる付勢力によりデ
ィスク10に付勢されている。スライダーは、前述のよう
に所要の形状を持たせたABS面を持つ負圧スライダー
として構成されており、ディスク10の回転により発生す
る空気流の流入により、所要の正・負圧を生じ、非常に
わずかな浮上量(10〜数10nm)にて安定して浮動
するようになされている。
【0022】VCMは、下ヨーク(バックヨーク)4、
上ヨーク(フロントヨーク)15、ピボット軸受け5、コ
イルアーム8、コイル9、およびマグネット16から構成
されている。アクチュエータのコイルアーム8に固定さ
れたコイル9の下端面には、所定の空隙を介してマグネ
ット16が対向配置されている。マグネット16は下ヨーク
4に固定されている。コイル9の上方には、所定の空隙
を介して上ヨーク15が対向配置されている。この構成に
より磁気回路を形成し、コイルアーム8を上ヨーク15と
マグネット16とに挟まれた空間(磁気ギャップ)に配置
してあるので、コイル9がピボット軸受け5を中心に回
動可能となっている。マグネット16には、エネルギー積
の高いNd-Fe 系の焼結製のもので表面をNi などによ
る防錆処理を施し面内の2極に着磁したものを用いてあ
る。
【0023】ランプ12は、図示していないが、タブ11に
対応する斜面、平面などから構成される複合平面を有し
ており、アンロード時のサスペンション揺動に伴うタブ
11の運動方向、すなわちディスク10の径方向外側に向け
て、上記複合平面が配置されて、シャーシ2に固定され
ている。なお、アクチュエータとVCMとランプ12と
で、ロード/アンロード機構を構成している。
【0024】図2を用いてVCMのさらに詳細な構成に
ついての説明を行う。図2において、マグネット16は、
一つの面内に2つの極を有するように(以下、「面内2
極に」と表現する)着磁されており、上面に、S極16
S、N極16N、およびその間に挟まれているニュートラル
ゾーン16aを有する。マグネット16は下ヨーク4に対し
て嫌気性の接着剤などを用いて固定されている。マグネ
ット16の上方には、コイル9および上ヨーク15が空隙を
間に挟んで配置されている。下ヨーク4は、シャーシ2
に形成された取り付け穴3に装着され、下ヨーク4に設
けられた取り付け部4bに形成された貫通孔4cによりシ
ャーシ2に取り付けられる。シャーシ2の取り付け穴3
のピボット軸受け5に近い部分には、ピボット軸受け5
と同心円となるように配置されたガイド部3aが設けら
れている。同様に、下ヨーク4のピボット軸受け5に近
い部分には、ガイド部3aに対してピボット軸受け5と
同心円状に移動できるようなガイド壁4aが対応するよ
うに配置されている。このガイド部3a とガイド壁4a
とが対応するよう移動することにより、ピボット軸受け
5をVCMの回動中心とし、しかも下ヨーク4に取り付
けられたマグネット16がピボット軸受け5、つまりVC
Mの回動中心に対して、同心円状に移動可能になる。下
ヨーク4のピボット軸受け5に対して遠くに位置する端
面に調整部29が設けられており、シャーシ2との間で調
整可能になされている。取り付け穴3と貫通孔4cと
は、下ヨーク4がアクチュエータの回動する面と平行な
面内に適当な隙間ができるように配設されている。シャ
ーシ2に設けられた位置決め用の穴13は、ピボット軸受
け5に対してその半径方向で、コイル9の外側に配置さ
れている。形状は、ピボット軸受け5に対してその半径
方向が長い長穴としてある。これらの隙間や、穴などに
ついては適宜その寸法を設定することができ、HDAと
して組み立てたられたときには、図示しないが適当なシ
ール、薄膜状フィルム等により、空隙を封止して外気か
らの粉塵等の混入を防ぐようにされる。
【0025】図3は、コイル9の上方よりバックヨーク
4に対して固定されるフロントヨーク15が示してある。
フロントヨーク15には、バックヨーク4に対して接触す
るための脚部15a が四隅に設けられている。より詳しく
は、VCMの回動方向に対して内周側と外周側とにそれ
ぞれ2箇所の脚部15aが設けられている。脚部15aの先端
および下部外壁には粘弾性体15bが予め取り付けられて
いる。粘弾性体15bの取り付け方法に関しては、粘弾性
体の仕様に合わせて適宜選択することができる。塗布
や、焼き付け、嵌め込み、接着などの方法などがある。
【0026】図4はVCMの断面図を示している。フロ
ントヨーク15に設けられた脚部15aの先端および下部外
壁に取り付けられた粘弾性体15bによって、フロントヨ
ーク15とバックヨーク4とが直接接触しないように締結
部品なしで組み立てられる。締結部品なしで組み立てら
れるために、組み立て作業が単純になる。また、ネジ穴
などの加工が不要となるので、コストの低減が可能であ
る。さらに、これにより、加工時の作業油などの残留が
確実に防止できるので、コンタミネーション発生の可能
性も防止できる。さらに、フロントヨーク15を単にバッ
クヨーク4に対して乗せるように組み立てることが可能
となるので、作業が簡単になり、作業性が向上する。こ
の粘弾性体15bには、振動に対する減衰特性が温度に対
して正の特性を持つ材料を使用することが好適である。
【0027】次にHDDの動作を説明する。回路基板に
より、スピンドルモータが駆動され、ディスク10が所定
の回転速度で回転する。本実施の形態においては、50
-1(3,000rpm)で回転する。ランプ12に退避
していた磁気ヘッド7がVCMによりピボット軸受け5
を中心に回動し、磁気ヘッド7をディスク面へとロード
する。ディスク10の回転により発生した空気流が、スラ
イダーとディスク10との間を通る。これにより、スライ
ダーはサスペンション6の付勢力に抗して、ディスク10
との間で非常に僅かな浮上量(10〜数10nm)にて
安定して浮動する。これにより、磁気ヘッド7のロード
が完了する。続いて、トラック情報などを読み取り、ア
クワイヤーと呼ばれるトラック認識などの一連の動作が
行われる。
【0028】次にVCMの動作について説明する。VC
Mはコイル9に通電されると、マグネット16からの磁束
とコイル9の電流とによってフレミングの左手の法則に
従って推力が発生する。コイル9は、マグネット16が固
定されているので、その反作用として推力を発生し、ア
クチュエータをピボット軸受け5に対して回動させる。
これにより、アクチュエータはコイル9への通電量に応
じた角度回動される。サスペンション6に支持された磁
気ヘッド7は、ディスク10の半径方向に沿って、ディス
ク10上を浮上状態で移動し、所望のトラック上に位置決
めされ、ディスク10に対して情報の記録、再生が行なわ
れる。
【0029】アクチュエータの回動に対しての反作用は
マグネット16に働くが、実質的には、マグネット16が取
り付けられているバックヨーク4に対して働く。しか
し、バックヨーク4は、シャーシ2に対してネジにより
十分強く固定されているので動くことはない。フロント
ヨーク15にはマグネット16が取り付けられていないの
で、アクチュエータの回動に対しての反作用は発生する
ことがない。したがって、基本的にフロントヨーク15
は、磁気吸引力のみによりバックヨーク4に対して固定
してもよいことになる。
【0030】しかしながら、コイル9への通電により磁
気回路において磁気的なアンバランスが生じる。これに
よって、フロントヨーク15のバックヨーク4に対する磁
気吸引力が変化して、フロントヨーク15の座りが変化す
ることがある。そして、この変化によってヨーク同士が
直接接触するように構成された従来のVCMでは、特に
反転時などに音が発生する。しかしながら、本実施の形
態によれば、フロントヨーク15の脚部15aの先端に取り
付けられ、バックヨーク4との間に介在させた粘弾性体
15bにより、この音の発生を確実に防止できる。
【0031】さらに、粘弾性体15bとして振動に対する
減衰特性が温度に対して正の特性を持つものを使用して
あるために、温度によらずに安定した制振効果が得られ
る。以下、この点について説明する。まず、VCMのコ
イル9の抵抗とマグネット16の磁束密度の各々の温度特
性により、通常のVCMにおける推力の温度特性として
は負の特性を持つ(図5(a))。VCMの推力は、V
CMのコイル9の電流値を[I]、コイル9に鎖交する
磁束を[B]、コイル9の長さを[L]とすると、B×
I×Lに比例する、いわゆるBIL則に従って発生す
る。本実施の形態においては、温度によってコイル9の
長さ方向については、電気銅の線膨張係数が17×10
6と十分小さいので無視できる値である。一方、コイル
9の電気抵抗は、電気銅のため+0.39%/℃であり
(図5(b))、マグネット16の磁束密度の温度特性
は、Nd-Fe系のマグネットとしているので、約−0.
13%/℃(図5(c))と温度変化に対してかなりの
変化をする。また、コイル9の電気抵抗と、マグネット
16の磁束密度は、0〜100℃程度の範囲まではほぼリ
ニア(1次的)に変化し、温度が上がれば推力が低下す
る傾向にある。この種のHDDは通常−20〜60℃程
度で使用される。すると、温度差として約80℃にもな
る。この温度差と前述の値とを用いると、定電圧で駆動
した場合のVCMの推力として約40%程度も変化する
ことになる。
【0032】これに対して、図示しない制御回路として
は、速度検出や、一定期間で検出されるマークなどの信
号や、コイル9の逆起電力(BEMF)等を用いて推力
を一定にするように電流値を制御しながらVCMの推力
に対する特性を改善しながら用いている。このために、
同等の推力(回転トルク)を発生させるために温度が高
いほど電流値が大きくなるように変化する。磁気回路
は、マグネット16とバックヨーク4とフロントヨーク15
とで構成されており、この中の磁気ギャップにコイル9
が配置されている。コイル9に流す電流値は、温度が高
い場合に同じ推力を発生させるためには、より大きな電
流を流す必要がある。電流は推力を発生させるととも
に、この電流によりアンペールの法則に基づき磁束が発
生する。温度が高いほど大きな電流を流し、これにより
大きな磁束が発生する。一方、マグネット16の磁束密度
は温度が高いほど低くなるために、磁気ギャップにおけ
る磁束の変化が大きくなる。より正確には、マグネット
16により発生する磁束に対してコイル9のより発生する
磁束の比率が大きくなる。このため、磁気吸引力の変化
は高温の方が相対的に大きくなる。前述のように、フロ
ントヨーク15は、磁気ギャップにおける磁気吸引力によ
って固定されているので、高温になるほど前述の磁気的
なアンバランスによる、フロントヨーク15の座りが変化
することになる。この変化によって、ヨーク同士が直接
接触するように構成されたVCMでは、特に反転時など
音が発生する。しかしながら、本実施の形態によれば、
フロントヨーク15に取り付けられた粘弾性体15bに、振
動に対する減衰特性が温度に対して正の特性を有するも
のを使用しているため、温度が高くなるに従って減衰特
性が高くなるので、高温時にコイル9の電流値が増加し
ても十分な制振効果が得られる。また、粘弾性体15bの
減衰特性については、温度に対して正の特性を有するこ
とで十分であるが、マグネット16と係数の絶対値が近い
物質を選択すれば良いことは容易に理解されよう。さら
に、この粘弾性体15bの減衰特性は、温度に対して正の
特性を有するものであれば適宜選択することが可能であ
る。
【0033】また、今後さらにHDDの高速化が行なわ
れる中、アクチュエータのセトリングはますます重要な
ファクターとなってくる。VCMにおいては、推力の増
大が図られていく。前述したように、アクチュエータの
回動に対しての反作用は、マグネット16に働き、実質的
にはマグネット16が取り付けられているバックヨーク4
に対して働く。本実施の形態によれば、このバックヨー
ク4の振動に対してフロントヨーク15が粘弾性体15bを
介して制振作用を与えることが可能となる。これは、バ
ックヨーク4の振動エネルギーを粘弾性体15bが熱エネ
ルギーに変換するとともに、一部のエネルギーをフロン
トヨーク15に与えることによって減衰させることができ
るからである。
【0034】なお、本発明は以上説明した実施の形態に
限定されるものではなく、本発明の思想を用いて適宜変
更することも可能であることは明らかである。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、フロン
トヨークとバックヨークとが接触する部分に粘弾性体を
介在させることにより、組み立て作業の単純化、コスト
の低減、金属接触音の発生防止、および振動の低減が可
能になるという優れた効果を有するVCMを提供するこ
とができる。また、本発明は、このVCMを具備した安
価で信頼性の高い磁気ディスク装置を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のHDDの要部平面図、
【図2】本発明の実施の形態におけるVCMの要部斜視
図、
【図3】本発明の実施の形態のVCMのフロントヨーク
の斜視図、
【図4】本発明の実施の形態のVCMの要部断面図、
【図5】本発明の実施の形態のVCMの温度と推力(回
転トルク)との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 HDA 2 シャーシ 3 取り付け穴 3a ガイド部 4 バックヨーク(下ヨーク) 4a ガイド壁 4b 取り付け部 4c 貫通穴 5 ピボット軸受け 6 サスペンション 7 磁気ヘッド 8 コイルアーム 9 コイル 10 ディスク 11 タブ 12 ランプ 14 スピンドルモータ 15 フロントヨーク(上ヨーク) 15a 脚部 15b 粘弾性体 16 マグネット 16a ニュートラルゾーン 16N N極 16S S極 29 調整部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フロントヨークと、一つの面内2つの極
    を有するように着磁されたマグネットが取り付けられた
    バックヨークと、前記フロントヨークと前記バックヨー
    クとの間に設けられた空間内に回動可能に支持されたコ
    イルとを有するボイスコイルモータであって、前記フロ
    ントヨークと前記バックヨークとの位置関係が前記マグ
    ネットの吸引力により保持されると共に、前記フロント
    ヨークと前記バックヨークとの間に粘弾性体を有するこ
    とを特徴とするボイスコイルモータ。
  2. 【請求項2】 前記粘弾性体は前記フロントヨークに取
    り付けられていることを特徴とする請求項1記載のボイ
    スコイルモータ。
  3. 【請求項3】 前記粘弾性体は前記コイルの回動方向に
    対して前記フロントヨークの複数箇所に取り付けられて
    いることを特徴とする請求項2記載のボイスコイルモー
    タ。
  4. 【請求項4】 フロントヨークと、一つの面内2つの極
    を有するように着磁されたマグネットが取り付けられた
    バックヨークと、前記フロントヨークと前記バックヨー
    クとの間に設けられた空間内に回動可能に支持されたコ
    イルとを有するボイスコイルモータと、磁気ディスク
    と、磁気ヘッドとを具備する磁気ディスク装置であっ
    て、前記フロントヨークと前記バックヨークとが前記マ
    グネットの吸引力により保持されると共に、前記フロン
    トヨークと前記バックヨークとの間に粘弾性体を有する
    ことを特徴とする磁気ディスク装置。
  5. 【請求項5】 前記粘弾性体は前記フロントヨークに取
    り付けられていることを特徴とする請求項4記載の磁気
    ディスク装置。
  6. 【請求項6】 前記粘弾性体は前記コイルの回動方向に
    対して前記フロントヨークの複数箇所に取り付けられて
    いることを特徴とする請求項5記載の磁気ディスク装
    置。
  7. 【請求項7】 前記粘弾性体の振動に対する減衰特性
    は、温度に対して正の特性を有していることを特徴とす
    る請求項4ないし6のいずれか記載の磁気ディスク装
    置。
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