JP2003336745A - パワーステアリング用オイルシール - Google Patents

パワーステアリング用オイルシール

Info

Publication number
JP2003336745A
JP2003336745A JP2002143707A JP2002143707A JP2003336745A JP 2003336745 A JP2003336745 A JP 2003336745A JP 2002143707 A JP2002143707 A JP 2002143707A JP 2002143707 A JP2002143707 A JP 2002143707A JP 2003336745 A JP2003336745 A JP 2003336745A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
parts
oil seal
range
power steering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002143707A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Kataoka
英郎 片岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Keeper Co Ltd
Original Assignee
Keeper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Keeper Co Ltd filed Critical Keeper Co Ltd
Priority to JP2002143707A priority Critical patent/JP2003336745A/ja
Publication of JP2003336745A publication Critical patent/JP2003336745A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮永久ひずみを小さくし且つ異音の発生を
防止する。 【解決手段】 結合アクリロニトリル量が15〜30重
量%である水素化NBRを基材とするパワーステアリン
グ用オイルシールにおいて、ゴム組成物の損失正接ta
nδが、測定方法として引張振動法を用い且つ測定条件
を測定温度100℃及び周波数100Hzとした場合
に、0.15〜0.19の範囲にあるようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オイルシールに関
する。さらに詳述すると、本発明は、結合アクリロニト
リル量が15〜30質量%である水素化NBRを基材と
するパワーステアリング用オイルシールに関する。
【0002】
【従来の技術】パワーステアリング機構における往復運
動部分の密封に用いられ外周ゴム嵌合型と呼ばれるオイ
ルシールは、一般に、金属環の外周部をゴム材料で覆い
このゴム材料の外周部分をハウジングに嵌合させて使用
されるオイルシールであり、例えば図1に示すようなば
ね入りちりよけ付き外周ゴムオイルシールやばね入り外
周ゴムオイルシールなどが例に挙げられる。図示の外周
ゴムオイルシールの場合、金属環1を覆うゴム材料2に
よってちりよけリップ3とシール用リップ4が構成さ
れ、ガータースプリング5が装着されている。そして、
シールを保持するためのハウジング6の内側の空間(ハ
ウジング穴)7内に所要の嵌合代を以て圧入させること
によって嵌合力を発現させ、ハウジング6から抜け出さ
ないようにすると共にハウジング6との嵌合面・外周ゴ
ム表面8の密封性を確保している。
【0003】そして、ゴム材料2としては、耐油性・耐
熱性・耐寒性に優れたものとして、結合アクリロニトリ
ル量が15〜30質量%である水素化NBR(アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム)が従来使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゴム材
料2を用いた従来のパワーステアリング用オイルシール
では、スティックスリップ現象により異音が発生してし
まうという問題がある。この対策として、結合アクリロ
ニトリル量が15〜30質量%である水素化NBRに固
体潤滑剤(グラファイトや二硫化モリブデン等)やオイ
ル(シリコーンオイル等)を配合したゴム材料を用いて
異音の発生を抑えるものもあるが、この場合、当該ゴム
材料の圧縮永久ひずみが大きくなるため、密封性の寿命
低下や、オイルシール外周部とハウジングとの間より油
漏れが生じてしまう危険がある。
【0005】そこで本発明は、圧縮永久ひずみを小さく
でき尚且つ異音の発生も防止できるパワーステアリング
用オイルシールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明者等が種々研究・実験した結果、ゴム組成物
をある一定範囲の損失正接tanδを有するものとする
ことで、潤滑剤等を用いることなく、パワーステアリン
グ用オイルシールにおける異音の発生を抑えることがで
きることを知見するに至った。
【0007】請求項1記載の発明は、かかる知見に基づ
くものであって、結合アクリロニトリル量が15〜30
質量%である水素化NBRを基材とするパワーステアリ
ング用オイルシールにおいて、ゴム組成物の損失正接t
anδが、測定方法として引張振動法を用い且つ測定条
件を測定温度100℃及び周波数100Hzとした場合
に、0.15〜0.19の範囲にあるようにしている。
【0008】したがって、損失正接tanδが上記条件
で0.15〜0.19の範囲にあるとき、潤滑剤等を用
いることなく即ち圧縮永久ひずみを大きくしてしまうこ
となく、異音の発生を抑えることができる。ここで、従
来のパワーステアリング用オイルシールに用いられるゴ
ム組成物の損失正接tanδを同条件で測定したところ
0.12程度であり、本発明に係るゴム組成物は従来品
と明確に区別される。
【0009】また、損失正接tanδの値が上記所定範
囲にあるようにするには、例えばゴム組成物に配合する
架橋剤の種類及び量を次のように調整することによって
可能である。
【0010】即ち、請求項2記載の発明は、請求項1記
載のパワーステアリング用オイルシールにおいて、ゴム
組成物は、有機過酸化物の群または多官能性不飽和化合
物の群からなる架橋剤が、水素化NBRの質量を100
としたときに、有機過酸化物の群の質量を2.5倍した
値と多官能性不飽和化合物の群の質量との和が10〜1
4となる範囲で含有されるものであり、尚且つ水素化N
BR100質量部に対して有機過酸化物の群が3.2〜
5.6質量部の範囲で含有されるものとしている。
【0011】この場合、ゴム組成物の損失正接tanδ
の値が上記所定範囲となり、潤滑剤等を用いることなく
即ち圧縮永久ひずみを大きくしてしまうことなく、異音
の発生を抑えることができる。
【0012】また、請求項3記載の発明は、請求項1ま
たは2に記載のパワーステアリング用オイルシールにお
いて、ゴム組成物は、水素化NBR100質量部に対し
て、カーボンブラックが40〜80質量部、ホワイトカ
ーボンが10〜30質量部、ケイ酸カルシウムが10〜
30質量部の範囲で含有されるものであり、ゴム硬さが
タイプAデュロメータ硬さ試験で75〜85の範囲にあ
るものとしている。この場合、ゴム組成物は更に耐摩耗
性・耐熱性等のより優れたものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のパワーステアリン
グ用オイルシールの実施の一形態について詳細に説明す
る。このパワーステアリング用オイルシールは、次のゴ
ム組成物を用いることを特徴とするものである。即ち、
このゴム組成物は、結合アクリロニトリル量が15〜3
0質量%である水素化NBRを基材とし、且つ損失正接
tanδが、測定方法として引張振動法を用い且つ測定
条件を測定温度100℃及び周波数100Hzとした場
合に、0.15以上0.19以下の範囲にあるものであ
る。
【0014】結合アクリロニトリル量(換言すればアク
リロニトリルの含有量)が15質量%以上30質量%以
下である水素化NBRは、耐油性・耐熱性・耐寒性に優
れたゴム材料として既知のものである。
【0015】損失正接tanδとは、ゴム等の粘弾性体
の性質を表す値であって、弾性項を基準とするときの粘
性項の割合を意味する。即ち、損失正接tanδの値が
小さいほど弾性が強く、値が大きいほど粘性が強い。こ
こで、本実施形態における損失正接tanδの値は、日
本工業規格(JIS K7198)に示されている引張
振動法を用いて測定されたものであり、測定条件は、測
定温度100℃及び周波数100Hzとしている。
【0016】本発明者等が種々研究・実験した結果、ゴ
ム組成物の損失正接tanδが、0.15未満であると
スティックスリップ現象により異音が発生してしまい、
0.19を超えると圧縮永久ひずみが大きくなってしま
うが、0.15〜0.19の範囲にあるとき、圧縮永久
ひずみが小さく且つ異音の発生も抑えられることが知見
された。
【0017】損失正接tanδの値を上記所定範囲とす
るには、必ずしも特定の方法に限定されるものではない
が、例えばゴム組成物に配合する架橋剤の種類及び量を
以下のように調整することによって可能である。即ち、
ゴム組成物は、有機過酸化物の群または多官能性不飽和
化合物の群からなる架橋剤が、水素化NBRの質量を1
00としたときに、有機過酸化物の群の質量を2.5倍
した値と多官能性不飽和化合物の群の質量との和が10
〜14となる範囲で含有されるものとし、尚且つ水素化
NBR100質量部に対して有機過酸化物の群が3.2
〜5.6質量部の範囲で含有されるものとする。この場
合、有機過酸化物の群が水素化NBR100質量部に対
して5.6質量部であるとき、多官能性不飽和化合物は
配合しない。
【0018】本発明者等が種々研究・実験した結果、有
機過酸化物の群または多官能性不飽和化合物の群からな
る架橋剤の含有量が、水素化NBRの質量を100とし
たときに、有機過酸化物の群の質量を2.5倍した値と
多官能性不飽和化合物の群の質量との和が、10未満で
あると損失正接tanδの値が0.19を超えて圧縮永
久ひずみが大きくなってしまい、14を超えると損失正
接tanδの値が0.15未満となり異音が発生してし
まうが、10〜14の範囲にあるとき損失正接tanδ
の値が0.15〜0.19の範囲となり圧縮永久ひずみ
が小さく且つ異音の発生も抑えられることが知見され
た。
【0019】本発明に用いる有機過酸化物としては、例
えば次に挙げる物質の利用が好適である。即ち、第三ブ
チルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチ
ルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシ
ド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼ
ンヒドロペルオキシド、ジ−第三ブチルペルオキシド、
ジクミルペルオキシド、第三ブチルクミルペルオキシ
ド、1,1−ジ−第三ブチルペルオキシ・シクロヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)
ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオ
キシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシ
イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベ
ンゾイルペルオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(第三ブチ
ルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
n−ブチル−4,4−ビス(第三ブチルペルオキシ)バレ
レート、ベンゾイルペルオキシド、第三ブチルペルオキ
シイソブチレート、第三ブチルペルオキシ2−エチルヘ
キサノエート、第三ブチルペルオキシベンゾエート、第
三ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、第三ブ
チルペルオキシアリルモノカルボナート、p−メチルベ
ンゾイルペルオキシド等である。
【0020】本発明に用いる多官能性不飽和化合物とし
ては、例えば次に挙げる物質の利用が好適である。即
ち、エチレングリコール・ジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパン・トリメタクリレート、多官能性メタク
リレートモノマー、多価アルコールメタクリレートおよ
びアクリレート、トリアリル・イソシアヌレート等であ
る。
【0021】さらに、ゴム組成物は、水素化NBR10
0質量部に対して、カーボンブラックが40質量部以上
80質量部以下の範囲で含有されるものが好ましい。本
発明者等が種々研究・実験した結果、カーボンブラック
の含有量が、40質量部未満であると耐摩耗性が低下し
てしまい、80質量部を超えるとリップの追随性に関す
るゴム硬さの限界に至る期間が早まるためシール寿命が
短くなってしまうが、40〜80質量部の範囲にあると
き耐摩耗性に優れ且つシール寿命が延びることが知見さ
れた。本発明に用いるカーボンブラックとしては、例え
ば、HAF(high abrasion furnace black)、MAF
(medium abrasion furnace black)、FEF(fast ex
truding furnace black)、SRF−HS−HM(semi-
reinforcing furnace black)、MT(medium thermal
furnace black)、アセチレンブラック等の利用が好適
である。
【0022】さらに、ゴム組成物は、水素化NBR10
0質量部に対して、ホワイトカーボン(シリカ)が10
質量部以上30質量部以下の範囲で含有されるものが好
ましい。本発明者等が種々研究・実験した結果、ホワイ
トカーボンの含有量が、10質量部未満であると耐熱性
が悪く、30質量部を超えると加工性が悪くなってしま
うが、10〜30質量部の範囲にあるとき耐熱性・加工
性が共に優れたものとなることが知見された。本発明に
用いるホワイトカーボンとしては、例えば、乾式法ホワ
イトカーボン、湿式法ホワイトカーボン等の利用が好適
である。
【0023】さらに、ゴム組成物は、水素化NBR10
0質量部に対して、ケイ酸カルシウムが10質量部以上
30質量部以下の範囲で含有されるものが好ましい。本
発明者等が種々研究・実験した結果、ケイ酸カルシウム
の含有量が、10質量部未満であると耐摩耗性が悪く、
30質量部を超えると圧縮永久ひずみが大きくなってし
まうが、10〜30質量部の範囲にあるとき耐摩耗性に
優れ且つ圧縮永久ひずみが小さくなることが知見され
た。尚、ケイ酸カルシウムには、CaO:SiO のモ
ル比が、3:1、2:1、3:2、1:1の化合物があ
る。本実施形態では、CaO:SiOのモル比が1:
1のケイ酸カルシウムを用いる。ただし、必ずしもこの
例に限定されるものではない。
【0024】上記に例示した有機過酸化物、多官能性不
飽和化合物、カーボンブラック、ホワイトカーボン、ケ
イ酸カルシウムの群のうちの好適な組み合わせの例およ
び水素化NBR100質量部に対する好適な配合量を表
1から表6に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】尚、表1、表2、表5、表6中に、1,3−
ビスベンゼンとあるのは、1,3−ビス(第三ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼンを指し、また表3中に、
2,5−ジメチル−2,5−ジヘキサンとあるのは、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサンを
指す。
【0032】本実施形態のオイルシールは、ベースゴム
として結合アクリロニトリル量が15〜30質量%であ
る水素化NBRを用い、この水素化NBR100質量部
に対して、例えば表1から表6に示すいずれかの例の諸
材料を配合して、周知のオイルシール製法のゴム混練工
程及び成形工程を経て、図1に示すような外周ゴム嵌合
型オイルシールとして製作される。ただし、表1から表
6は好適な例であって、この例に限定されず、上記に例
示した有機過酸化物、多官能性不飽和化合物、カーボン
ブラック、ホワイトカーボン、ケイ酸カルシウムの群の
中の任意の物質を組み合わせて用いることも可能であ
る。また、ゴム組成物に配合することでパワーステアリ
ング用オイルシールとして好ましい物性とできる周知の
材料(例えば、ビニルトリスシラン、セルロースパウダ
ー、酸化亜鉛、2−メルカプトベンツイミダゾール亜鉛
塩、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、トリ
メリット酸エステルなど)を更に配合するようにしても
良い。例えば、結合アクリロニトリル量が15〜30質
量%である水素化NBR100質量部に対し、トリメリ
ット酸エステルを10質量部程度配合することによっ
て、耐寒性の効果を得ることができる。
【0033】また、ゴム組成物は、日本工業規格(JI
S K6253)に示されたタイプAデュロメータ硬さ
試験において、ゴム硬さが75以上85以下の範囲にあ
るものが好ましい。本発明者等が種々研究・実験した結
果、タイプAデュロメータ硬さ試験でゴム硬さが、75
未満であるとスティックスリップ現象により異音が発生
してしまい、85を超えるとリップの追随性に関するゴ
ム硬さの限界に至る期間が早まるためシール寿命が短く
なってしまうが、75〜85の範囲にあるとき耐異音性
能に優れ且つシール寿命が延びることが知見された。ゴ
ム組成物のゴム硬さを上記所定範囲とするためには、適
正な加硫を行うことが好ましく、例えば1次加硫を17
0℃で15分行い、2次加硫を150℃で4時間行うこ
とが好ましい。
【0034】
【実施例】次に、本発明の効果を裏付ける実験およびそ
の結果について説明する。上記実施形態に従ったパワー
ステアリング用オイルシール(実施例1〜4)と、比較
用のパワーステアリング用オイルシール(比較例1〜
5)とを、実際に次のように作製した。
【0035】[実施例1]結合アクリロニトリル量が2
5質量%でありヨウ素価15である水素化NBRをベー
スゴムとして用い、この水素化NBR100質量部に対
して、 多官能性不飽和化合物としてトリアリル・イソシア
ヌレートを4質量部、 有機過酸化物として1,3−ビス(第三ブチルペルオ
キシイソプロピル)ベンゼンの40質量%含有品を8質
量部(即ち、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプ
ロピル)ベンゼンを3.2質量部)、 ビニルトリスシランを1.5質量部、 ケイ酸カルシウム(CaO:SiOのモル比が
1:1のもの)を20質量部、 湿式法ホワイトカーボンを20質量部、 FEFカーボンブラックを50質量部、 セルロースパウダーを10質量部、酸化亜鉛を5質
量部、2−メルカプトベンツイミダゾール亜鉛塩を1質
量部、2,2,4−トリメチル−1,2一ジヒドロキノ
リンを1質量部、トリメリット酸エステルを10質量部 配合して、周知のオイルシール製法のゴム混練工程及び
成形工程を経て、図1に示すようなオイルシールを製作
した。尚、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロ
ピル)ベンゼンの40質量%含有品は、残りの60質量
%として、ゴムの特性には影響を及ぼさない炭酸カルシ
ウムが含有されているものを用いた。
【0036】[実施例2]実施例1のゴム組成物におい
て、トリアリル・イソシアヌレートの配合量を2質量部
とし、周知のオイルシール製法のゴム混練工程及び成形
工程を経て、図1に示すようなオイルシールを製作し
た。
【0037】[実施例3]実施例1のゴム組成物におい
て、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)
ベンゼンの40質量%含有品の配合量を10質量部(即
ち、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)
ベンゼンの配合量を4質量部)とし、周知のオイルシー
ル製法のゴム混練工程及び成形工程を経て、図1に示す
ようなオイルシールを製作した。
【0038】[実施例4]実施例1のゴム組成物におい
て、トリアリル・イソシアヌレートを配合せず、1,3−
ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの
40質量%含有品の配合量を14質量部(即ち、1,3−
ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの
配合量を5.6質量部)とし、周知のオイルシール製法
のゴム混練工程及び成形工程を経て、図1に示すような
オイルシールを製作した。
【0039】[比較例1]実施例1のゴム組成物におい
て、トリアリル・イソシアヌレートの配合量を3質量部
とし、且つ1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロ
ピル)ベンゼンの40質量%含有品の配合量を6質量部
(即ち、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼンの配合量を2.4質量部)とし、周知のオ
イルシール製法のゴム混練工程及び成形工程を経て、図
1に示すようなオイルシールを製作した。
【0040】[比較例2]実施例1のゴム組成物におい
て、トリアリル・イソシアヌレートを配合せず、1,3−
ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの
40質量%含有品の配合量を8質量部(即ち、1,3−ビ
ス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの配
合量を3.2質量部)とし、周知のオイルシール製法の
ゴム混練工程及び成形工程を経て、図1に示すようなオ
イルシールを製作した。
【0041】[比較例3]実施例1のゴム組成物におい
て、トリアリル・イソシアヌレートの配合量を5質量部
とし、且つ1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロ
ピル)ベンゼンの40質量%含有品の配合量を10質量
部(即ち、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロ
ピル)ベンゼンの配合量を4質量部)とし、周知のオイ
ルシール製法のゴム混練工程及び成形工程を経て、図1
に示すようなオイルシールを製作した。
【0042】[比較例4]実施例1のゴム組成物におい
て、トリアリル・イソシアヌレートを配合せず、1,3−
ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの
40質量%含有品の配合量を15質量部(即ち、1,3−
ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの
配合量を6質量部)とし、周知のオイルシール製法のゴ
ム混練工程及び成形工程を経て、図1に示すようなオイ
ルシールを製作した。
【0043】[比較例5]実施例1のゴム組成物におい
て、ビニルトリスシラン、ケイ酸カルシウム、ホワイト
カーボンを配合せず、FEFカーボンブラックの配合量
を50質量部とし、周知のオイルシール製法のゴム混練
工程及び成形工程を経て、図1に示すようなオイルシー
ルを製作した。
【0044】[試験]上記実施例1〜4および比較例1
〜5の各オイルシールについて、損失正接tanδの
測定、異音の有無の確認試験、摩耗幅の測定、圧
縮永久ひずみの測定を行った。
【0045】損失正接tanδの測定は、記実施例1〜
4および比較例1〜5におけるゴム組成物について、日
本工業規格(JIS K7198)に示されている引張
振動法を用い同規格に従って測定し、測定条件は、測定
温度100℃及び周波数100Hzとした。
【0046】異音の有無の確認試験は、上記実施例1〜
4および比較例1〜5の各オイルシールをパワーステア
リング機構に用いて、30時間のならし運転の後、手動
で軸(シャフト)の揺動運動を行い、サウンドスコープ
を使用して異音発生の有無を耳で確認することにより行
った。なお、油種にはPSF(パワーステアリング用オ
イル)を用い、ならし運転の条件は、油圧を0.3Mp
a、油温を100℃、軸(シャフト)の揺動サイクルを
20cpm、リップの潤滑状態をドライとした。
【0047】摩耗幅の測定は、異音の有無の確認試験の
終了後、オイルシールのリップ先端部をマイクロスコー
プで計測することにより行った。
【0048】圧縮永久ひずみは、日本工業規格(JIS
K6262)に従って測定し、測定条件は「150℃
×72h」とした。
【0049】試験結果を表7に示す。尚、表7中に、1,
3−ビスベンゼンとあるのは、1,3−ビス(第三ブチルペ
ルオキシイソプロピル)ベンゼンを指し、シリカとある
のは、湿式法ホワイトカーボンを指す。
【表7】
【0050】以下、表7に基づいて考察する。実施例1
〜4および比較例1〜5のうち、異音がなく、しかも耐
圧縮永久ひずみ性能に優れているもの(即ち、圧縮永久
ひずみが小さいもの)は、実施例1〜4および比較例5
である。ここで、圧縮永久ひずみ(100分率表示)が
27%以上であると、長期間使用すると外周ゴム部の永
久変形が大きくなり、オイルシール外周部とハウジング
との間より油漏れが生じてしまう危険があり、従って圧
縮永久ひずみが27%未満のものを耐圧縮永久ひずみ性
能に優れていると判断した。実施例1〜4および比較例
5はいずれも、水素化NBR100質量部に対して、1,
3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼ
ンの40質量%含有品とトリアリル・イソシアヌレート
との総量が10〜14質量部の範囲にある。即ち、水素
化NBRの質量を100としたときに、有機過酸化物の
群の質量を2.5倍した値と多官能性不飽和化合物の群
の質量との和が10〜14となる範囲にあり、損失正接
tanδが0.15〜0.19の範囲にある。
【0051】一方、比較例1,2はいずれも、1,3−ビ
ス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの4
0質量%含有品とトリアリル・イソシアヌレートとの総
量が10質量部未満である。即ち、水素化NBRの質量
を100としたときに、有機過酸化物の群の質量を2.
5倍した値と多官能性不飽和化合物の群の質量との和が
10未満であり、損失正接tanδが0.19を超えて
いる。そして、異音は発生していないが、圧縮永久ひず
みが27%以上であり耐圧縮永久ひずみ性能が悪い。
【0052】また、比較例3,4はいずれも、1,3−ビ
ス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの4
0質量%含有品とトリアリル・イソシアヌレートとの総
量が14質量部を超えている。即ち、水素化NBRの質
量を100としたときに、有機過酸化物の群の質量を
2.5倍した値と多官能性不飽和化合物の群の質量との
和が14を超えており、損失正接tanδが0.15未
満となっている。そして、圧縮永久ひずみが27%未満
であり耐圧縮永久ひずみ性能は良いが、異音が発生して
しまっている。
【0053】以上から、損失正接tanδが0.15〜
0.19の範囲にあるゴム組成物を用いることで、耐異
音性能と耐圧縮永久ひずみ性能との両性能に優れたパワ
ーステアリング用オイルシールが得られることが確認で
きた。また、有機過酸化物の群または多官能性不飽和化
合物の群からなる架橋剤を、水素化NBRの質量を10
0としたときに、有機過酸化物の群の質量を2.5倍し
た値と多官能性不飽和化合物の群の質量との和が10〜
14となる範囲であって尚且つ水素化NBR100質量
部に対して有機過酸化物の群を3.2〜5.6質量部と
なる範囲で、配合することで、損失正接tanδが0.
15〜0.19の範囲にあるゴム組成物が得られること
が確認できた。
【0054】ところで、摩耗幅が0.6mm以上である
と、パワーステアリング用オイルシールとしての耐久性
を満たさない虞がある。即ち、実施例1〜4は耐摩耗性
に優れているが、比較例5は耐摩耗性が悪い。これは、
比較例5にはケイ酸カルシウムが含有されていないこと
が原因と考えられる。
【0055】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能
である。
【0056】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1記載のパワーステアリング用オイルシールによれば、
潤滑剤等を用いることなく即ち圧縮永久ひずみを大きく
してしまうことなく、異音の発生を抑えることができ
る。
【0057】さらに、請求項2記載のパワーステアリン
グ用オイルシールによれば、ゴム組成物に配合する架橋
剤の種類及び量を調整することで、損失正接tanδの
値を調整し、圧縮永久ひずみを小さくし尚且つ異音の発
生を防止できる。
【0058】さらに、請求項3記載のパワーステアリン
グ用オイルシールによれば、更に耐摩耗性、耐熱性、加
工性等に優れ且つシール寿命が延びるという効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パワーステアリング用オイルシールの一例を示
す概略断面図である。
【符号の説明】
2 ゴム組成物 6 ハウジング 8 外周ゴム表面(嵌合面)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合アクリロニトリル量が15〜30質
    量%である水素化NBRを基材とするパワーステアリン
    グ用オイルシールにおいて、ゴム組成物の損失正接ta
    nδが、測定方法として引張振動法を用い且つ測定条件
    を測定温度100℃及び周波数100Hzとした場合
    に、0.15〜0.19の範囲にあることを特徴とする
    パワーステアリング用オイルシール。
  2. 【請求項2】 前記ゴム組成物は、有機過酸化物の群ま
    たは多官能性不飽和化合物の群からなる架橋剤が、前記
    水素化NBRの質量を100としたときに、前記有機過
    酸化物の群の質量を2.5倍した値と前記多官能性不飽
    和化合物の群の質量との和が10〜14となる範囲で含
    有されるものであり、尚且つ前記水素化NBR100質
    量部に対して前記有機過酸化物の群が3.2〜5.6質
    量部の範囲で含有されるものであることを特徴とする請
    求項1記載のパワーステアリング用オイルシール。
  3. 【請求項3】 前記ゴム組成物は、前記水素化NBR1
    00質量部に対して、カーボンブラックが40〜80質
    量部、ホワイトカーボンが10〜30質量部、ケイ酸カ
    ルシウムが10〜30質量部の範囲で含有されるもので
    あり、ゴム硬さがタイプAデュロメータ硬さ試験で75
    〜85の範囲にあることを特徴とする請求項1または2
    に記載のパワーステアリング用オイルシール。
JP2002143707A 2002-05-17 2002-05-17 パワーステアリング用オイルシール Pending JP2003336745A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002143707A JP2003336745A (ja) 2002-05-17 2002-05-17 パワーステアリング用オイルシール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002143707A JP2003336745A (ja) 2002-05-17 2002-05-17 パワーステアリング用オイルシール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003336745A true JP2003336745A (ja) 2003-11-28

Family

ID=29703638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002143707A Pending JP2003336745A (ja) 2002-05-17 2002-05-17 パワーステアリング用オイルシール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003336745A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2053288A2 (en) 2007-10-22 2009-04-29 Carl Freudenberg KG Oil seals
KR101179909B1 (ko) 2010-07-20 2012-09-05 평화오일씰공업주식회사 차량의 써머스탯 오링의 고무 조성물
JP2016094528A (ja) * 2014-11-13 2016-05-26 Nok株式会社 水素化ニトリルゴム組成物とオイルシール
WO2016098647A1 (ja) * 2014-12-18 2016-06-23 Nok株式会社 水素化ニトリルゴム組成物及びドライブトレイン用オイルシール

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2053288A2 (en) 2007-10-22 2009-04-29 Carl Freudenberg KG Oil seals
KR101179909B1 (ko) 2010-07-20 2012-09-05 평화오일씰공업주식회사 차량의 써머스탯 오링의 고무 조성물
JP2016094528A (ja) * 2014-11-13 2016-05-26 Nok株式会社 水素化ニトリルゴム組成物とオイルシール
WO2016098647A1 (ja) * 2014-12-18 2016-06-23 Nok株式会社 水素化ニトリルゴム組成物及びドライブトレイン用オイルシール
JP2016117792A (ja) * 2014-12-18 2016-06-30 Nok株式会社 水素化ニトリルゴム組成物及びドライブトレイン用オイルシール
KR20170095305A (ko) * 2014-12-18 2017-08-22 엔오케이 가부시키가이샤 수소화나이트릴 고무 조성물 및 드라이브트레인용 오일씰
CN107108977A (zh) * 2014-12-18 2017-08-29 Nok株式会社 氢化丁腈橡胶组合物以及动力传动系统用油封
US10442919B2 (en) 2014-12-18 2019-10-15 Nok Corporation Hydrogenated nitrile rubber composition and drivetrain oil seal
CN113583318A (zh) * 2014-12-18 2021-11-02 Nok株式会社 动力传动系统用油封
KR102401850B1 (ko) * 2014-12-18 2022-05-25 엔오케이 가부시키가이샤 수소화나이트릴 고무 조성물 및 드라이브트레인용 오일씰

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100854944B1 (ko) 수소화 니트릴 고무 조성물
JP4502483B2 (ja) 水素化ニトリルゴム組成物
JP5895938B2 (ja) ウォーターポンプ用リップシール
JP6183447B2 (ja) ウォーターポンプ用リップシール
JP4124338B2 (ja) 水素化ニトリルゴム組成物
JP6288398B2 (ja) フッ素ゴム組成物
JPWO2013038835A1 (ja) 水素化ニトリルゴム組成物
JP6677967B2 (ja) 水素化ニトリルゴム組成物及びドライブトレイン用オイルシール
KR20190075916A (ko) 댐퍼 고무 부재 및 토셔널 댐퍼
JP2003336745A (ja) パワーステアリング用オイルシール
JP2007231061A (ja) Nbr組成物
JP5464738B2 (ja) リップシール用水素化ニトリルゴム組成物
JP2009102646A (ja) R152a、R134a用水素化ニトリルゴム系シール成形材料
CN111094501B (zh) 机械密封用密封构件
JP2006213743A (ja) 水素化ニトリルゴム組成物
JP2005344037A (ja) 水素化nbrゴム組成物
JPH11100465A (ja) 水素化nbr組成物
JP2005016684A (ja) 密封板付転がり軸受及び転がり軸受用密封板
JP2594714B2 (ja) 潤滑性ゴム組成物およびこの組成物の成形方法
KR20040002077A (ko) 저압용 파워 스티어링 호스 조성물
JP2005163984A (ja) 転動装置
JP2016121240A (ja) エチレンアクリルゴム組成物及びエチレンアクリルゴム