JP2003335694A - イソ化ホップエキスを有効成分とする多剤耐性克服剤 - Google Patents

イソ化ホップエキスを有効成分とする多剤耐性克服剤

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JP2003335694A
JP2003335694A JP2002144369A JP2002144369A JP2003335694A JP 2003335694 A JP2003335694 A JP 2003335694A JP 2002144369 A JP2002144369 A JP 2002144369A JP 2002144369 A JP2002144369 A JP 2002144369A JP 2003335694 A JP2003335694 A JP 2003335694A
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iso
multidrug resistance
hop
hop extract
acid
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JP2002144369A
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English (en)
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Kanta Sakamoto
坂本  幹太
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Asahi Breweries Ltd
Original Assignee
Asahi Breweries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ビール中の苦味の主成分として数百年にわたっ
て飲用され、安全性の高いイソ化ホップエキスまたはホ
ップイソα酸に多剤耐性癌細胞に対する薬剤耐性克服作
用があることを見出した。イソ化ホップエキスまたはホ
ップイソα酸がp-糖蛋白質の発現抑制作用、さらには多
剤耐性克服作用を有することについては、本願発明者ら
によって初めて見出された。 【解決手段】本発明はイソ化ホップエキスを有効成分と
することを特徴とする多剤耐性克服剤。ホップイソα酸
を有効成分とすることを特徴とする多剤耐性克服剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビール中の苦味成
分、イソ化ホップエキスまたはホップイソα酸を有効成
分とする多剤耐性克服剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の日本において、癌は日本人の死因
の約1/4を占める最も社会的に影響の大きい疾病のひ
とつとなっている。現在、癌の治療法としては、外科的
療法、放射線療法、化学療法などが実施されているが、
これらの方法だけで十分な治療効果を得るには至ってい
ない。
【0003】癌の化学療法において、癌細胞が使用され
ている薬剤に対して抵抗性を示すこと、すなわち薬剤耐
性の発現が重大な問題となっている。
【0004】薬剤耐性の主要な原因のひとつとして、p-
糖蛋白質が挙げられる。p-糖蛋白質は細胞膜に存在する
蛋白で、薬剤を細胞外に排出するポンプとして作用し、
細胞内の薬物濃度を低下させる働きを持つ。一部の癌細
胞は、このp-糖蛋白質をコードするMDR1遺伝子が高発現
し、細胞膜上のp-糖蛋白質量が増加していることが知ら
れている。このような癌細胞では細胞内の薬物濃度が低
下し、有効濃度以下となってしまうため、薬剤に対し耐
性を生じるに至る。また、p-糖蛋白質は基質特異性が低
く、MDR1が高発現した癌細胞においては、それまで
使用していた薬剤のみならず、その他の薬剤に対しても
同時に耐性を獲得し、化学療法が事実上不可能になるこ
とも少なくない。このような現象を多剤耐性という。多
剤耐性により癌細胞が抵抗性を生じる薬剤としては、ア
ドリアマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ア
クチノマイシンD、コルヒチン、コルセミド、ピューロ
マイシン、エメチン、アンスラサイクリン、ダウノマイ
シン、メイタンシンなどの、化学構造や作用機序の異な
る薬剤が挙げられる。これらは化学療法上よく用いられ
る、代表的な薬剤であることからも、多剤耐性の問題の
深刻さが理解できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの課題を解決す
るために、p-糖蛋白質の機能を阻害する物質の探索・開
発が試みられている。例えばこれまでにベラパミルなど
のカルシウム拮抗薬、シクロスポリンA、FK506な
どの免疫抑制剤がp-糖蛋白質の機能を阻害することが報
告されている。しかし、これらを薬剤耐性解除の目的で
投与した場合、それらの本来持つ作用であるカルシウム
拮抗作用、免疫抑制作用が強力な副作用として現れ、実
際の投与には適さない。またシクロスポリン誘導剤であ
るSDZPSC833やキノリン誘導体であるMS−2
09なども開発が進められているが、効果や毒性の問題
から臨床での適用には至っていないのが現状である。
【0006】近年、遺伝子レベルでの細胞機能の解析が
進むにつれ、細胞上にすでに発現している有害な蛋白質
の機能を阻害するよりも、有害な蛋白質自体を発現しな
いようにする薬剤の開発が盛んになっている。例えば特
許第214500号においては、植物成分のひとつであるケル
セチンが亜砒酸の刺激によるp-糖蛋白の発現増加を抑制
することが示されている。また、Kimらはケルセチン
が多剤耐性癌細胞のビンブラスチンやビンクレスチンに
対する感受性を上昇させることを報告している(Kim et
al., Exp. Mol. Med., 30, 87-92 (1998))。しかし、
ケルセチンは構造中に糖を持たないフラボノイドであ
り、水にほとんど溶解しないため製剤上取り扱いにくい
物質である。またこれらのin vitroの実験結果の濃度
で、ヒトに対し十分な効果が得られるかなど、臨床への
摘要については未知数である。
【0007】また、人間には多様な遺伝子が存在し、遺
伝子異常により生じる癌細胞の性質も多岐にわたってい
る。事実、癌細胞ごとに有効な薬物の差異も大きく、あ
る種の固形がんなど、有効な薬剤が未だに見いだされて
いない癌種も少なくない。臨床的には、癌の克服にはさ
らに多様な薬剤が必要となっている。
【0008】すなわち、MDR1遺伝子の発現を効果的に抑
制し、p-糖蛋白質量を減じる新たな物質が開発された場
合、産業上の有用性には計り知れないものがある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題について鋭意検討した結果、ビール中の苦味の主成分
として数百年にわたって飲用され、安全性の高いイソ化
ホップエキスまたはホップイソα酸に多剤耐性癌細胞に
対する薬剤耐性克服作用があることを見出し、本発明を
完成させた。従って、本発明はイソ化ホップエキスまた
はホップイソα酸を有効成分とすることを特徴とする多
剤耐性克服剤を提供することである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いるイソ化ホップエキ
スは異性化ホップエキスともいわれ、通常のホップエキ
スを化学的処理(2価の金属イオン、特にMgイオンを
触媒として希アルカリと加熱)して、含まれているα酸
をイソα酸に異性化(イソ化)させたものである。上記
のホップイソα酸はこのイソ化ホップエキスを液体クロ
マトグラフ法等で分離精製して取得できる。
【0011】ホップイソα酸はビールの苦味の本体をな
す成分で、ホップのルプリン粒に含まれているα酸が麦
汁煮沸での高温によって異性化(イソ化)して生成する
ものであり、イソα酸にはイソフムロン、イソコフムロ
ン、イソアドフムロンの3種類の化合物があるが、本発
明においてこれら1種類を単独で用いてもよいし、2種類
以上の混合物を用いてもよい。
【0012】本発明の多剤耐性克服剤を他の抗癌剤を組
み合わせて投与する場合は、例えば錠剤、カプセル剤、
軟カプセル剤、散剤、注射剤、貼付剤などの適宜な剤型
を持って投与できる。これらの剤型による各所製剤に当
たっては、賦形剤、溶解補助剤、結合剤、安定剤、香味
剤などを使用することができる。
【0013】錠剤、カプセル剤などに混和することので
きる補助薬の具体例は次のものである。トラガントゴ
ム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチンのよう
な結合剤、微晶性セルロースのような賦形剤、コーンス
ターチ、全ゲル化スターチ、アルギン酸などのような崩
壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、スク
ロース、ラクトースまたはサッカリンのような甘味剤、
ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味
剤、単位使用形態がカプセル剤の場合、上記のタイプの
材料のほかに脂肪油のような液状担体を含有することが
できる。種々の他の材料は被覆剤としてまたは用量単位
の物理的形態を別の方法で変化するために存在させるこ
とができる。例えば、錠剤はシェラック、シュガーまた
は両方を被覆することができる。シロップまたはエリキ
シルは活性化合物、甘味剤としてスクロース、防腐剤と
してメチル及びプロピルパラベン、染料、及びチェリー
またはオレンジ香味のような香味剤を含有することがで
きる。
【0014】注射用の滅菌組成物は注射用水、ゴマ油、
ヤシ油、ピーナッツ油、綿実油などの天然由来植物油な
どの賦形剤中に活性物質を溶解または懸濁させることに
よって、通例の医薬実施に従って処方することができ
る。緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤などを必要に応じて混和
することができる。
【0015】本発明の多剤耐性克服剤は、静脈内注射、
皮下注射、筋肉内注射などの各種注射あるいは経口投
与、経皮投与などの種々の方法によって行うことができ
るが、液状にして注射剤、点滴剤として投与することが
望ましい。特に好ましい投与の形態は静脈内投与であ
り、その投与量は、制癌剤の種類にもよるが、一般には
1日1〜1000mgが好ましく、一日数回に分けて投
与されてもよい。ホップイソα酸投与から1〜4日後に
他の抗癌剤を投与することにより、もしくはホップイソ
α酸と他の抗癌剤を同時に投与することにより、その抗
癌剤の治療効果を高め、或いはその効果を持続させるこ
とができる。薬剤耐性によっておこる疾病の種類や症状
あるいは投与方法などにより、その投与量は変化するこ
とが一般的であり、上記範囲外で投与することもでき
る。
【0016】
【発明の効果】イソ化ホップエキスまたはホップイソα
酸がp-糖蛋白質の発現抑制作用、さらには多剤耐性克服
作用を有することについては、本願発明者らによって初
めて見出された。ホップイソα酸はビール苦味成分とし
て長年にわたって飲用され,安全性が高いので,直ちに
臨床に用いることができるため現在開発中の薬剤よりも
有利であり、他の抗癌剤と組み合わせて投与することに
より臨床の癌治療に多大な貢献をもたらすことが期待で
きる。
【0017】
【実施例】以下、実施例を挙げるが本発明はこれに限定
されるものではない。実施例1 薬剤耐性癌細胞内への抗癌剤取り込み増強効
果 ヒト卵巣癌細胞 A2780のアドリアマイシン耐性株2780AD
(A.M.Roganら、Science, 224巻、 994− 996頁、1984
年)を5%牛胎児血清を含むRPMI−1640培養液中に1×
106 個/ml懸濁し、直径16cm、24穴のマルチウエル培養
プレートに1穴あたり1mlの癌細胞懸濁液を播種し、5
%CO2、37℃で培養した。24時間後に培養液を20nM 3H−
ビンクリスチン(1×104 dpm/pmol) 、5%牛胎児血
清、10mMヘペス緩衝液を含むRPMI−1640培養液 0.5mlと
交換した。DMSOに溶解した後、生理リン酸緩衝液で希釈
した被験化合物を5μl加え(反応液中濃度は 1.0また
は10.0μg/ml)、5%CO2 、37℃で2時間培養を続け
た後、細胞を冷却した生理リン酸緩衝液で洗浄した。こ
れを 0.5mlの0.2N NaOHを加え、バイアルに移し、56℃
で30〜60分間温浴し、細胞を溶解させた。アシッド・ア
クアゾール2を4ml加え、液体シンチレーションカウン
ターで細胞内に取り込まれた H−ビンクリスチンの量
を測定した。効果は試料無添加の対照群に取り込まれた
ビンクリスチンの量を100として、試料添加群に取り込
まれたビンクリスチンの量を百分率(%)で表わした。
結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2(錠剤、カプセル剤) イソ化ホップエキス 0.1 乳糖 0.75 ステアリン酸マグネシウム 0.15 合 計 1.0 上記の各重量部(g)を均一に混合し、常法に従って錠
剤、カプセル剤とした。
【0020】実施例3(散剤、顆粒剤) イソ化ホップエキス 0.2 澱粉 0.3 乳糖 0.5 合 計 1.0 上記の各重量部(g)を均一に混合し、常法に従って散
剤、顆粒剤とした。
【0021】実施例4(注射剤) イソ化ホップエキス 0.1 界面活性剤 0.9 生理食塩水 9.0 合 計 10.0 上記の各重量部(g)を加熱混合、滅菌して注射剤とし
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C088 AB34 AC02 BA08 CA03 MA17 MA35 MA37 MA41 MA43 MA52 MA66 NA05 NA14 ZB21 ZB26 4C206 AA01 AA02 CB25 KA01 KA18 MA01 MA04 MA37 MA55 MA57 MA61 MA63 MA72 MA86 NA05 NA14 ZB21 ZB26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イソ化ホップエキスを有効成分とすること
    を特徴とする多剤耐性克服剤。
  2. 【請求項2】イソ化ホップエキスを分離精製して得られ
    るホップイソα酸を有効成分とすることを特徴とする多
    剤耐性克服剤。
JP2002144369A 2002-05-20 2002-05-20 イソ化ホップエキスを有効成分とする多剤耐性克服剤 Pending JP2003335694A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010209022A (ja) * 2009-03-11 2010-09-24 Sapporo Breweries Ltd 心理状態改善剤

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