JP2003335588A - 断熱構造及びその製造方法 - Google Patents

断熱構造及びその製造方法

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JP2003335588A
JP2003335588A JP2002148354A JP2002148354A JP2003335588A JP 2003335588 A JP2003335588 A JP 2003335588A JP 2002148354 A JP2002148354 A JP 2002148354A JP 2002148354 A JP2002148354 A JP 2002148354A JP 2003335588 A JP2003335588 A JP 2003335588A
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Mitsuyoshi Machida
町田  光義
Koichi Hayashi
浩一 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陶磁器製タンク本体の内面に防露層を形成し
てなる防露タンクにおいて、および、陶磁器製水洗式便
器の底面に防露層を形成してなる防露便器において、防
露層の断熱効果をより一層高めた防露タンクおよび防露
便器を提供すること。 【解決手段】 熱伝導性に優れた基材からなる構造体の
内面又は外面の少なくとも何れかの面に、中空内部が減
圧状態又は真空であるセラミックス微細中空粒子を有す
断熱層を形成してなることを特徴とする断熱構造にする
ことによる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱伝導性に優れ
た、金属や陶磁器などの基材からなる構造体の断熱構造
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱伝導性に優れた基材として、例えば、
陶磁器を利用した水洗式便器の陶磁器製タンクでは、タ
ンク内の水は、使用の都度頻繁に入れ替えられるため、
陶磁器製タンクの外表面はその水温とほぼ等しい低温度
となっているため、トイレ空間内温度との温度差によっ
て、前記外表面には空気中の水分が凝縮して結露するこ
とがしばしば起こる。また、便器では、同様に、便器側
のボール部およびトラップ部にも使用の都度タンク内の
低温度の水が通るため、湿度が高い梅雨時や暖房を行う
冬場には、便器のボール部から台座部にかけての外表面
に結露することがしばしば起こる。
【0003】この結露水は、トイレ使用者に不快感を与
える上に、放置していると床まで達して床を腐らせる原
因となる。そのため、従来はタンクの内側および便器の
底面に発泡ポリスチレン等の断熱材を装着させた陶磁器
製防露タンクおよび防露便器が実用化されている。この
種の防露タンクの製造は、陶磁器製タンクの内寸法より
やや小さい発泡ポリスチレン等の断熱内槽を前記タンク
内に挿入し、断熱内槽の上端周縁および下面排水口周縁
をシリコーン樹脂等で接着する方法が採られている。ま
た、防露便器の製造も、発泡ポリスチレン等の断熱カバ
ーを使用する点とシリコーン樹脂等で周縁部を接着する
点は同一である。
【0004】
【発明の解決すべき課題】陶磁器製タンクは機械加工し
た物とは異なり寸法誤差が大きいために、上記のように
断熱内槽とタンク内壁との間に空隙を設けてこの寸法誤
差を吸収するようにしているが、前記断熱材と空隙のた
めに、最低限必要な貯留水を確保するためには、陶磁器
製タンクの内寸を大きくせざるを得ず、陶磁器製タンク
の小型化、軽量化に自ずと限界を有していた。この課題
は、陶磁器製のタンクに限らず、金属からなる水栓金具
・配管、ホウロウ製品など断熱構造を必要とする構造体
に共通に持っているものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、熱伝導性に優れた基材からなる構造体の内
面又は外面の少なくとも何れかの面に、中空内部が減圧
状態又は真空であるセラミックス微細中空粒子を有す断
熱層を形成してなることを特徴とする断熱構造を提供す
る。中空内部が真空あるいは減圧状態のセラミックス微
細粒子を用いることにより、個々の粒子の熱伝導率が非
常に小さいため、この粒子からなる断熱層も非常に小さ
い熱伝導率、すなわち非常に高い断熱性を有するように
なる。ここで、セラミックス微細中空粒子の中空内部の
真空度が高い方が熱伝導率は小さくなり、粒子径が大き
い方が構造保持材と組み合わせて層を形成した場合に真
空部分の体積を大きく取れるので好適である。また、セ
ラミックス微細中空粒子からなる断熱層を介在させるこ
とによって、この層は巨視的には真空の層と見なすこと
も出来る。魔法びん等で知られるように、真空層の断熱
効果は一般の断熱材と比較しても非常に大きい。真空度
によっても異なるが、例えば0.1Pa程度の真空度を
持つ真空層は、発泡ポリスチレンと比較するとその熱伝
導率は約10分の1に小さくなる。従って、従来の断熱
層に比べはるかに薄い断熱層で同様の効果を呈すること
ができるのである。
【0006】また、本発明の好ましい態様では、前記断
熱層は、最外層に保護層を有していることを特徴とする
断熱構造とし、断熱層からの中空粒子の脱離や水の浸透
による断熱層の劣化・性能低下を防ぐために、断熱層と
馴染みのよい樹脂などで保護層を形成するようにするこ
とが望ましい。
【0007】また、本発明の好ましい態様では、前記セ
ラミックス微細中空粒子は、構造保持部材により固定さ
れ断熱層を形成していることを特徴とする断熱構造とし
た。上記セラミックス微細中空粒子自体には焼結性等が
無いので、単独で緻密かつある程度の厚みに多層配列さ
せることは困難である。そのため、前記セラミックス微
細中空粒子同士を緻密に接合させると共に、基材である
陶磁器表面と接着させるための構造保持材があるほうが
望ましい。
【0008】また、本発明の好ましい態様では、前記構
造体が、陶磁器製タンク及び/又は陶磁器製便器である
ことを特徴とする断熱構造を提供する。上記の如くセラ
ミックス微細中空粒子からなる断熱層を形成することに
より、例えば、陶磁器製タンク本体と低温の貯留水との
間に断熱層が形成されたことになり、低温の水によって
熱が奪われて陶磁器製タンク外表面の温度が低下するの
を防止することが出来る。その結果、タンク外表面と雰
囲気との温度差を生じなくなるため、空気中の水分が凝
縮して結露を発生させることが無くなる。結露が発生し
なくなるので、結露水が床まで達して床を腐らせること
が無くなり、結露水によりトイレ使用者に不快感を与え
るようなことが無くなるので好適である。
【0009】さらに、本発明のセラミックス微細中空粒
子からなる断熱層は、上記のように非常に高い断熱性を
有するので、従来断熱層として用いられていた発泡ポリ
スチレンと比較すると、同じ断熱性を得るために必要な
層の厚みが小さくて済むことになる。また、発泡ポリス
チレン製やポリプロピレン製断熱内槽の場合には、タン
ク本体と槽の間に空気層が存在したため、タンク本体の
内容積に対して実際に貯留できる水の量はかなり少なく
なってしまっていたが、セラミックス微細中空粒子を構
造保持材を用いて緻密多層配列させた層は、タンク本体
の内壁面に密着した層であり厚みも小さいため、従来よ
りも多量の水を貯めることが可能となる。このことは言
い換えると、同じ量の貯留水を得る場合に、従来と比較
してタンク本体のサイズを小さくできることを意味して
いる。更に陶磁器製タンクの場合と同様に、水洗式便器
の底面内側と便器の外表面との間に断熱層が形成された
ことにより、便器のボール面に溜まった低温の水によっ
て便器外表面の温度が低下するのを防止することが出来
る。その結果、便器の外表面と雰囲気との温度差を生じ
なくなるため。空気中の水分が凝縮して結露を発生させ
ることが無くなる。結露が発生しなくなるので、結露水
が床まで達して床を腐らせることが無くなる上に、湿度
が高い梅雨時や暖房を行う冬場においても、結露水によ
りトイレ使用者に不快感を与えるようなことが無くなる
ので好適である。
【0010】また、本発明の好ましい態様にいては、前
記構造体が、水栓金具であることを特徴とする断熱構造
を提供する。水栓金具は、内部に流路が形成され、水及
び/又は湯が通水、滞留などを繰り返している。そのた
め、水の場合には、陶磁器同様、水栓金具表面と設置空
間内の温度差により、結露が生じる。また、水栓金具の
場合の問題としては、高温の湯を連続して吐出させた場
合、水栓金具自体の温度が高くなり、特に、浴室などで
は、やけどなどの問題が懸念される。通常、スパウトと
呼ばれる先端突出部も含めて水栓金具を2重構造にし
て、最表面が熱くならないようにしている。本発明によ
れば、陶磁器の場合と同様に断熱層により湯の熱を水栓
金具表面に伝わることが防止できるので、水栓金具をコ
ンパクトに設計できるとともに、水栓金具の加熱による
問題を回避できる。
【0011】また、本発明の好ましい態様においては、
構造保持材はアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、
シリコーン樹脂、ポリビニルアセタール、ポリウレタ
ン、ポリスチレンの内の一種もしくはこれらの内の2種
以上を成分とするようにする。陶磁器製タンク本体の内
壁面に用いられる場合には、常に水と接していることに
なるから、構造保持材の持つ性質としては耐水性が高い
ことが要求され、耐水性の高いものとしてアクリル樹
脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂等を好適に用いることができる。ま
た、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビ
ニルアセタールは耐熱性の点でも問題ないので、湯水が
通過する水栓金具にも適用できる。
【0012】他の発明では、中空内部が減圧状態又は真
空であるセラミックス微細中空粒子と構造保持材と溶剤
とを少なくとも含む混合物を、刷毛、ローラー、エアス
プレー、エアレススプレー、ディッピングのうち何れか
の方法により熱伝導性に優れた基材からなる構造体の表
面に塗布し、その後乾燥することで断熱層を形成するこ
とを特徴とする断熱構造が製造されるようにする。構造
部材の表面に、中空内部が減圧状態又は真空であるセラ
ミックス微細中空粒子と構造保持材を少なくとも含む混
合物を、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプ
レー、ディッピング等の方法で塗布することによって複
雑な形状の表面でも簡単に断熱層を形成できるので、従
来の発泡ポリスチレン断熱内槽のように、品番毎に専用
の金型を準備したり断熱内槽とタンク内壁をシリコーン
樹脂等で接着する必要が無くなり、コストと手間を省く
ことが出来るので好適である。また、前記断熱内槽とタ
ンク内壁の接着が不完全な場合に生じる貯留水の空隙へ
の浸入に起因する断熱性の著しい低下も起こらなくなる
ので、性能維持の面からも好ましい製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施の形態の一
例に基づいて詳述すると、図1に示す水洗式の洋風便器
は一般的に、陶磁器製のロータンク11と便器本体14
とからなり、別々に製造されるが密結して使用される。
ここにおけるロータンク11の内部には水が貯められる
ようになっており、必要時においてこの貯留水13は便
器本体14のリム部、ボール面、トラップ部を順に通っ
て排水される仕組みになっているが、一部はトラップ部
の封水16として便器本体14に残留する。そして、ロ
ータンク11の内壁面には断熱層12が形成されてい
る。この断熱層12は、ロータンク11から低温である
貯留水13への熱の移動を防ぎ、ロータンクの表面温度
の低下を防ぐためのものであり、中空内部が減圧状態又
は真空であるセラミックス微細中空粒子と構造保持材を
組み合わせたものを好適に用いることができる。この貯
留水13への熱伝達を防止する断熱層12の存在によ
り、ロータンク11の外表面の温度低下が抑制され、空
気中の水分が凝縮されて結露の発生を回避することが可
能となる。
【0014】さらに、便器本体14の底面にも断熱層1
5が形成されている。この断熱層15は、便器本体14
からボール面とトラップ部の中間に残った低温である封
水16への熱の移動を防ぐためのものであり、中空内部
が減圧状態又は真空であるセラミックス微細中空粒子と
構造保持材を組み合わせたものを好適に用いることがで
きる。断熱層15が存在しないと便器本体の外表面は、
封水と略同じ温度まで低下してしまう。この便器本体1
4側から低温である封水16への熱伝達を防止する断熱
層15の存在により、便器本体14の外表面の温度低下
が抑制され、空気中の水分が凝縮されて結露を発生する
ことを回避することが可能となる。
【0015】本発明における熱伝導性に優れた構造体で
ある陶磁器製タンクおよび便器を製造する方法は、例え
ば、陶磁器製のタンク本体および便器本体を準備する工
程、セラミックス微細中空粒子と構造保持材を準備する
工程、前記セラミックス微細中空粒子と構造保持材を混
合して塗料を調製する工程、前記塗料を陶磁器製タンク
本体および便器本体に適用して断熱層を形成する工程、
乾燥する工程、を経て行う。また、構造体表面に上記保
持材をベースにした接着層を塗布して、その上に、セラ
ミックス中空粒子を吹き付け、出来る限り緻密に配列さ
せ、更に、その上から接着層を薄く塗布してセラミック
ス中空粒子相互を出来る限り近接させて積層するように
して断熱層を形成してもよい。断熱層は、厚み方向に1
つ以上の中空粒子の中空部が存在するように配置、すな
わち、図2に示すように陶磁器構造体21上に形成され
た断熱層22では、伝導により伝わる熱が必ず、セラミ
ックス微細中空粒子23の中空部に到達し、それ以上伝
わらないするように配置することが望ましい。図2は、
タンクの例を示したもので、タンク内の低温の水へ陶磁
器の熱が流れて陶磁器表面温度を下げてしまうが、中空
部でその流れを阻止している。そのためには、図3のよ
うに粒子間の隙間に最小限の保持材と粒径の異なるセラ
ミック中空粒子を充填させるようにして断熱層の中空粒
子の占有率を高めるようにすることが望ましい。粒子は
粒度分布を持つ平均粒子経で、100μm程度のものが
塗布作業性、断熱機能性の点で好適に利用できるが、そ
の他の平均粒径を持つものを混在させて利用しても良い
ことは、上記した通りである。また、断熱層の厚みは、
2mm〜5mm程度で効果を呈する。
【0016】本発明のセラミックス微細中空粒子は、住
友スリーエム社製のグラスバブルズ(商品名)やポッタ
ーズ・バロティーニ社製のガラスビーズなどの市販のも
のを入手することにより用いることができるが、公知の
製造方法を用いて、製造してもよい。中空粒子は、その
構造が破壊されて内部が減圧又は真空でなくなってしま
うと断熱性が著しく低下するので、高い強度を持った材
質で構成されていることが望ましい。具体的には、セラ
ミックスやガラスがこれに該当し、組成としては例え
ば、酸化珪素、ホウ化珪素、酸化ジルコニウム、酸化チ
タン等を挙げることができる。
【0017】本発明の構造保持材としては、アクリル樹
脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビ
ニルアセタール、ポリウレタン、ポリスチレンなどの合
成樹脂を挙げることができる。これらの構造保持材はい
ずれも、セラミックス微細中空粒子との結合強度がある
こと、セラミックス微細中空粒子を緻密多層配列できる
こと、基材である陶磁器素地との接着強度があること、
耐水性が高いこと等の性質を満たすものである。また、
耐熱性を要求されるような構造体では、アクリルシリコ
ーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアセタール等が好適に
利用できる。また、これらの構造保持材を更に最外層に
一層設けて保護膜を形成しても良い。もちろんその他の
上記によって形成された断熱層と馴染みの良い(接着強
度に優れた)素材であれば、撥水、親水、高強度などの
保護膜の目的に合わせて適宜選択すれば良い。更に、表
層に適用する際には、着色材や抗菌材などを構造保持材
に添加しても良い。
【0018】セラミックス微細中空粒子と構造保持材を
混合して塗料を調製する方法は、構造保持材を含有する
溶液中にセラミックス中空粒子を配合する際に、粒子の
中空構造が破壊されないような方法とすることが好まし
い。具体的には、ロールミル、アジテーターなどの一般
的な塗料用顔料の分散機が好適に用いられる。
【0019】塗料を陶磁器製タンク本体および便器本体
に適用する方法は、通常用いられている方法を適宜選択
して用いることができる。具体的には、刷毛塗り、ロー
ラー塗り、エアスプレーコーティング、エアレススプレ
ーコーティング、ディップコーティング等である。さら
に、上記塗料を塗布後に乾燥させる方法は、自然乾燥、
加熱乾燥等の方法を用いることができ、塗料中に含有さ
れる構造保持材の性質によって、乾燥方法は適宜選択さ
れる。
【0020】
【実施例】(実施例1)[グラスバブルズ+PVB] 陶石、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地
泥漿を用いて、焼成後に内径φ65mm×高さ75mm
×厚さ10mmとなるような円筒状容器の成形体を、石
膏型を用いて鋳込み成形により作製した。また、珪砂、
長石、乳濁剤等を原料として調製した釉薬スラリーを前
記円筒状容器の成形体の内面を除く外側表面だけにスプ
レーコーティングした後、1100〜1200℃で焼成
することにより試験体Aを得た。次に、セラミックス微
細中空粒子(住友3M製、グラスバブルズK−1、平均
粒径65μm)からなる粉末10gとポリビニルブチラ
ール(PVB;積水化学工業製、エスレックB)1.5
g、試薬級のステアリン酸1.5g、溶媒としてアセト
ン50gを撹拌・混合し、塗料を得た。前記セラミック
ス微細中空粒子を含有する塗料を上記円筒状容器試験体
Aの内面に刷毛を用いて塗布し、常温で一晩乾燥させて
内面に断熱層を設けた円筒状容器の試験体Bを得た。前
記円筒状容器の内面に塗布した断熱層の厚みを測定した
ところ約4.5mmであり、試験体Bの容器内には最大
で185mlの水を貯めることができた。なお、試験体
Bの断熱層部分の断面を拡大すると、図2に示すような
構造となっていた。
【0021】結露試験は、前記内面に断熱層を設けた円
筒状容器の試験体Bを温度30℃、相対湿度80%に調
節された恒温恒湿槽内に3時間静置した後、15℃の水
道水150mlを容器内に入れ、10分間静置して容器
内の水を捨て、この操作を4回繰り返して容器外側表面
の結露状態を目視で判定した。その結果、結露は生じな
かった。
【0022】(比較例1)[素地のみ] 実施例1と同じ方法で、外側表面だけが施釉された内径
φ65mm×高さ75mm×厚さ10mmの陶磁器製円
筒状容器の試験体Aを準備した。試験体Aの内面には何
も処理をせず(断熱層0mm)陶磁器素地が剥き出しの
状態とし、容器内に貯めることができる最大の水量を測
定したところ、約200mlであった。
【0023】実施例1と同一の方法で結露試験を行った
ところ、容器外表面には大量の結露が発生していて、結
露水が容器の底面まで達していた。
【0024】(比較例2)[グラスバブルズ+PVB、
薄膜] 実施例1と同じ方法で、外側表面だけが施釉された内径
φ65mm×高さ75mm×厚さ10mmの陶磁器製円
筒状容器の試験体Aを準備した。さらに、上記実施例1
と同一のセラミックス微細中空粒子を含有する塗料を上
記円筒状容器試験体Aの内面に刷毛を用いて塗布し、常
温で一晩乾燥させて内面に断熱層を設けた円筒状容器の
試験体Cを得た。前記円筒状容器の内面に塗布した断熱
層の厚みを測定したところ約1.2mmであり、試験体
Cの容器内には最大で195mlの水を貯めることがで
きた。
【0025】実施例1と同一の方法で結露試験を行った
ところ、容器外表面には大量の結露が発生していて、結
露水が容器の底面まで達していた。
【0026】(比較例3)[発砲ポリスチレン製(EP
S)防露層] 実施例1と同じ方法で、外側表面だけが施釉された内径
φ65mm×高さ75mm×厚さ10mmの陶磁器製円
筒状容器の試験体Aを準備した。直方体の発泡ポリスチ
レン製ブロックを準備し、内部をくり抜いて外面を試験
体Aの内部に収まるように削り、内径φ47mm×高さ
60mm×厚さ9mmの断熱内槽Eを作製した。上記試
験体Aの容器内部に前記断熱内槽Eを設置することによ
り、試験体Dを得た。断熱内槽が設けられた円筒状容器
試験体Dの内壁面から断熱内槽の内面までの厚さを測定
したところ、空気層込みで11.0mmであり、試験体
Dの容器内には最大で100mlしか水を貯めることが
できなかった。
【0027】実施例1と同一の方法で結露試験を行った
ところ、容器外表面に結露は生じなかった。
【0028】
【表1】
【0029】評価結果をまとめて表1に示す。表1か
ら、セラミックス微細中空粒子を構造保持材と組み合わ
せて緻密多層配列させた断熱層を用いることにより、従
来の発泡ポリスチレン製の断熱内槽と比較して、薄い断
熱層でも同等の防露効果を得ることが可能であり、従来
と同じ貯水量とするならば、陶磁器製容器のサイズを小
さくすることができるようになる。本実施例の断熱層
を、より大きな実際の陶磁器製タンクの内壁面あるいは
便器本体の底面に適用した場合も、同等の防露効果が得
られるものと推察される。
【0030】(実施例2)黄銅製水栓金具の内表面に実
施例1と同様な製造方法により断熱層を形成した。この
水栓金具を浴室内に設置し、湯を吐出している時のスパ
ウト部は、手で触れることができる状態であった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、熱伝導性に優れた基材
からなる構造体の内面又は外面の少なくとも何れかの面
に、中空内部が減圧状態又は真空であるセラミックス微
細中空粒子が混在した断熱層を有してなることを特徴と
する断熱構造とすることで、、断熱層の厚さを薄くして
も十分な断熱効果を呈することができる構造体を提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施態様である防露タンクと
防露便器の構成を示す断面図。
【図2】 実施例1において作製した試験体の部分拡大
断面図。
【図3】 本発明に他の実施態様に係わる断熱層の部分
拡大図。
【符号の説明】
11…陶磁器製ロータンク本体 12、15、22…断熱層 13…貯留水 14…水洗式便器本体 16…封水 21…陶磁器構造体 23…セラミックス微細中空粒子 24…構造保持材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導性に優れた基材からなる構造体の
    内面又は外面の少なくとも何れかの面に、中空内部が減
    圧状態又は真空であるセラミックス微細中空粒子を有す
    断熱層を形成してなることを特徴とする断熱構造。
  2. 【請求項2】 前記断熱層は、最外層に保護層を有して
    いることを特徴とする請求項1記載の断熱構造。
  3. 【請求項3】 前記セラミックス微細中空粒子は、構造
    保持部材により固定され断熱層を形成していることを特
    徴とする請求項1又は2記載の断熱構造。
  4. 【請求項4】 前記構造体が、陶磁器製タンク及び/又
    は陶磁器製便器であることを特徴とする請求項1乃至3
    記載の断熱構造。
  5. 【請求項5】 前記構造体が、水栓金具であることを特
    徴とする請求項1乃至3記載の断熱構造。
  6. 【請求項6】 前記構造保持材は、アクリル樹脂、アク
    リルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアセ
    タール樹脂の内の一種もしくはこれらの内の2種以上を
    成分とすることを特徴とする請求項3乃至5に記載の断
    熱構造。
  7. 【請求項7】 中空内部が減圧状態又は真空であるセラ
    ミックス微細中空粒子と構造保持材と溶剤とを少なくと
    も含む混合物を、刷毛、ローラー、エアスプレー、エア
    レススプレー、ディッピングのうち何れかの方法により
    熱伝導性に優れた基材からなる構造体の表面に塗布し、
    その後乾燥することで断熱層を形成することを特徴とす
    る断熱構造の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102007002904A1 (de) 2007-01-19 2008-07-24 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren zur Herstellung von Vakuumhohlkugeln aus Glas, Vakuumhohlkugeln sowie deren Verwendung
WO2016153543A3 (en) * 2015-03-24 2016-11-17 Hrl Laboratories, Llc Thermal and environmental barrier coating for ceramic substrates
US10647618B2 (en) 2014-09-19 2020-05-12 Hrl Laboratories, Llc Thermal and environmental barrier coating for ceramic substrates

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