JP2003334692A - 洋上接合治具 - Google Patents

洋上接合治具

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な作業で2つの構造物を互いに引き寄
せ、使用する機材も少なく、2つ構造物が衝突して損傷
することを防止でき、繰り返し使用可能な洋上接合治具
を提供すること。 【解決手段】 脚部、胴部及び胴部とからなる第1部材
10と第2部材20を、それぞれ軸止して回転自在に重
ね、距離調節手段40が第1部材10と第2部材20の
各腕部の間隔を狭めると第1部材10と第2部材20の
各脚部の間隔も狭まる構成となっており、第1部材10
と第2部材20の各脚部が各浮体ユニット70に着脱可
能に取り付けられている洋上接合治具1を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洋上で浮体ユニッ
トを接合して浮体式構造物を設置する際に、2基の浮体
ユニットを引き寄せて接触させ、両浮体ユニットを相互
に固定し、両浮体ユニット間で生じる相対的動揺を抑制
する治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、大型浮体式構造物を洋上に設置す
るにあたっては、ドックで浮体ユニットをそれぞれ建造
し、その設置海域で各浮体ユニット間を順次連結し、大
型浮体式構造物を形成する。2基の浮体ユニットの連結
作業では、一方の浮体ユニットを仮繋留し、一次引き寄
せによって2基の浮体ユニットを数十cm以内に引き寄
せて接近させる。そして、二次引き寄せによって互いの
浮体ユニットを接触させて所定位置に位置させ、両浮体
ユニット間を固定して浮体ユニット相互の相対的動揺を
抑制し、両浮体ユニットの間から海水を排水する。その
後、浮体ユニット同士を溶接して接合する。
【0003】二次引き寄せを行い、両浮体ユニット間を
固定する従来技術には、水平誘導・機械接合法(第1従
来技術)、喫水差方式(第2従来技術)、ヒンジ方式
(第3従来技術)がある。第1従来技術においては、2
基の浮体ユニットの各甲板同士及び各底部同士をワイヤ
で繋いで引き寄せて接触させ、甲板同士間及び底部同士
間をボルトとナットで繋いで固定する。また、甲板同士
の間に治具を渡して繋ぎ、2基の浮体ユニット間の相対
的動揺を抑制する。さらに、鋼管を各浮体ユニットの底
部に取り付けており、この鋼管内にワイヤを通して底部
同士を繋ぎ引き寄せる。
【0004】また、第2従来技術では、まず、一方の浮
体ユニットの喫水を深くとり、他方の浮体ユニットの喫
水を浅くとる。GPSを利用して各浮体ユニットの位置
決めを行い、喫水の深い浮体ユニットを浮上させ、両浮
体ユニットの甲板同士及び底部同士の位置を合わせ、甲
板同士間及び底部同士間を仮付け溶接する。さらに、第
3従来技術では、第1従来技術または第2従来技術と同
様の方法で2基の浮体ユニットを互いに引き寄せて接触
させ、ヒンジを双方の甲板の間に渡して繋ぎ、各甲板と
ヒンジを溶接する。そして、浮体ユニットの底部同士を
ワイヤで繋いで引き寄せ接触させ、底部同士を溶接して
繋ぐ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1従
来技術にあっては、二次引き寄せ及び固定の作業が2つ
の段階に分かれており、すなわち、第1段階でワイヤを
ジャッキで巻き上げて各浮体ユニットの甲板同士及び底
部同士を引き寄せ、第2段階で甲板同士及び底部同士を
ボルトとナットで繋ぐことが必要であることから、作業
が複雑化し、各段階で使用する機材の数も多くなるとい
う不具合があった。そして、浮体ユニットに鋼管を取り
付け、この鋼管にワイヤを通して底部同士を繋ぐ特別な
作業も必要となっている。
【0006】また、第2従来技術にあっては、浮体ユニ
ットの喫水を調整する時間がかかるという不具合があっ
た。そして、波高が高くなると、浮体ユニットの甲板同
士及び底部同士が衝突して損傷するおそれもある。さら
に、第3従来技術にあっては、多数のヒンジが必要であ
り、これらのヒンジは溶接されてしまうので再利用でき
ず、浮体式構造物を設置した後は廃棄物となってしまう
という不具合があった。
【0007】本発明は、上記した従来の技術の問題点を
除くためになされたものであり、その目的とするところ
は、簡易な作業で2つの構造物を引き寄せることがで
き、使用機材も少なくてすみ、構造物同士が引き寄せら
れて接触するときの衝撃を緩和でき、繰り返し使用可能
な洋上接合治具を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、その課題を解
決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明
は、2つの構造物を引き寄せて接触させ相互に固定する
洋上接合治具において、腕部と、前記構造物の一方に着
脱可能に取り付けられる脚部と、当該腕部及び当該脚部
の間にある胴部とからなる第1部材を有し、腕部と、前
記構造物の一方に着脱可能に取り付けられる脚部と、当
該腕部及び当該脚部の間にある胴部とからなる第2部材
を有し、前記第1部材の胴部と前記第2部材の胴部と
は、交差するとともに同一の軸を中心に互いに回転自在
に取り付けられており、前記第1部材の腕部と前記第2
部材の腕部との間隔の調節を行う距離調節手段を備える
洋上接合治具であることを特徴とする。
【0009】請求項1の発明によると、距離調節手段が
第1部材の腕部と第2部材の腕部との間隔を狭めると、
軸周りに第1部材と第2部材がそれぞれ回転して、第1
部材の脚部と第2部材の脚部との間隔が狭まり、第1部
材の脚部と第2部材の脚部にそれぞれ取り付けられた2
つの構造物は互いに引き寄せられる。請求項2の発明
は、請求項1に記載の洋上接合治具であって、前記距離
調節手段は、形状記憶合金からなる第1連結部材と、当
該第1連結部材の温度調節を行う第1温度調節手段とか
ら構成され、前記第1連結部材を前記第1部材の腕部と
前記第2部材の腕部との間に掛け渡してある洋上接合治
具であることを特徴とする。
【0010】請求項2の発明によると、形状記憶合金は
常温で弾性係数が小さく、大きな負荷によりマルテンサ
イト相での弾性限界を超える変形を生じさせると、除荷
後も歪が残り変形したままとなる。また、形状記憶合金
を加温すると弾性係数は大きくなるとともに、形状記憶
合金に残っていた歪はなくなって原形に復帰する。かか
る形状記憶合金の特性を利用して第1連結部材を形成す
る。
【0011】また、第1部材の脚部と第2部材の脚部を
それぞれ各構造物に取り付けるときは、第1部材の腕部
と第2部材の腕部との間隔を開き、この間隔を前記一次
引き寄せ後の2つの構造物間の間隔に見合った距離とす
る。そして、第1連結部材を第1部材の腕部と第2部材
の腕部との間隔に見合った形状とするため、第1連結部
材に常温で負荷をかけて変形させる。第1連結部材の弾
性係数は小さいので、第1連結部材の形状は除荷後も変
形後の形状を維持する。
【0012】さらに、2つの構造物がそれぞれ動揺して
相互の相対的位置が変化すると、第1部材の脚部と第2
部材の脚部との間隔が変化し、第1部材の腕部と第2部
材の腕部との間隔も変化し、これに応じて第1連結部材
が変形する。第1連結部材は常温で変形後の形状を維持
するので、第1連結部材は、相対的位置の変化を打ち消
すような力を第1部材の脚部と第2部材の脚部を介して
構造物に殆ど及ぼさない。
【0013】そして、第1連結部材を第1温度調節手段
によって加温し、その弾性係数を大きくする。弾性係数
が大きくなると、第1連結部材の弾性変形可能な変形量
が大きくなり、構造物同士の相対的位置の変化によって
第1連結部材に生じる変形が弾性変形となり、この変形
と拮抗する力を第1部材の脚部と第2部材の脚部を介し
て構造物へ及ぼす。したがって、2つの構造物がそれぞ
れ動揺して生じる相対的位置の変化が調節され抑制され
る。
【0014】また、第1連結部材を加温して原形に復帰
させるにつれて、第1部材の腕部と第2部材の腕部との
間隔が狭まり、第1部材の脚部と第2部材の脚部との間
隔も狭まり、構造物が相互に引き寄せられる。請求項3
の発明は、請求項2に記載の洋上接合治具であって、前
記第1連結部材は線状をなし、前記第1部材の腕部が前
記第1連結部材を把持している位置から、前記第2部材
の腕部が前記第1連結部材を把持している位置までの間
を、この間で最短距離をなす経路からずれて前記第1連
結部材を導く迂回手段が、前記第1部材及び前記第2部
材のうち少なくとも一方に取り付けられている洋上接合
治具であることを特徴とする。
【0015】請求項3の発明によると、第1連結部材の
形状が線状であるとは、その長さ/幅の比が大きな値と
なっていることであり、具体的には例えば紐状、ワイヤ
ー状、棒状等の形状をとる。また、第1連結部材を線状
としてその軸方向の長さを長くすると、第1連結部材が
軸方向に弾性変形可能な長さの量は長くなる。第1部材
の腕部が第1連結部材を把持している位置から、第2部
材の腕部が第1連結部材を把持している位置までの間の
第1連結部材の軸方向の長さは、途中が迂回手段に導か
れることで長くなり、第1連結部材が調節し抑制できる
2つの構造物の相対的位置の変化の量が大きくなる。
【0016】請求項4の発明は、請求項3に記載の洋上
接合治具であって、前記迂回手段は円盤状部材からな
り、前記第1連結部材は前記第1部材の腕部と前記第2
部材の腕部との間で前記円盤状部材の外周面上を巻回し
ている洋上接合治具であることを特徴とする。請求項4
の発明によると、迂回手段を円盤状部材とし、第1連結
部材をこの円盤状部材の外周上に掛けて巻回させると、
円盤状部材の直径と巻回する回数に応じて第1連結部材
の軸方向の長さが長くなる。したがって、第1連結部材
が調節し抑制できる2つの構造物の相対的位置の変化の
量はより大きなものとなる。
【0017】請求項5の発明は、請求項1ないし請求項
4のいずれか1項に記載の洋上接合治具であって、前記
第1部材の腕部と前記第2部材の脚部とを相互に引き寄
せ合う方向に付勢力を付与する付勢力付与手段を有する
洋上接合治具であることを特徴とする。請求項5の発明
によると、かかる付勢力を付勢力付与手段から付与する
と、第1部材の脚部と第2部材の脚部の間隔は広がろう
とする。したがって、2つの構造物が急激に接近し合う
ことが防止される。
【0018】請求項6の発明は、請求項5に記載の洋上
接合治具であって、前記付勢力付与手段は、形状記憶合
金からなる第2連結部材と、当該第2連結部材の温度調
節を行う第2温度調節手段とから構成され、前記第2連
結部材を前記第1部材の腕部と前記第2部材の脚部との
間に掛け渡してある洋上接合治具であることを特徴とす
る。
【0019】請求項6の発明によると、第2連結部材を
第2温度調節手段によって温度調節すると、その弾性係
数が調節される。そして、第2連結部材の弾性係数を調
節して付勢力付与手段が付与する付勢力は調節される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。まず、図1ないし図7を参照して本発明
に係る実施の形態の構成を説明する。2基の浮体ユニッ
ト70が浮体式構造物を設置する予定海域に既に曳航さ
れている。浮体ユニット70の概形は扁平な板状の直方
体をなしており、上面に甲板72が形成されており、側
面の1つが接合面74となっている。これらの2基の浮
体ユニット70を互いに引き寄せ、固定する作業で使用
する洋上接合治具1について以下説明する。
【0021】洋上接合治具1は、図1ないし図3に示す
ように、第1部材10、第2部材20、迂回手段30、
距離調節手段40、付勢力付与手段50とから構成され
ている。なお、図2の洋上接合治具1の側面図において
は、付勢力付与手段50を省略してある。そして、図4
(i)、(ii)に示すように、第1部材10は脚部1
2、胴部13及び腕部14とからなっている。脚部1
2、胴部13及び腕部14はそれぞれ矩形の断面が軸方
向に連続する四角柱をなし、胴部13の一方の端部と脚
部12の端部とが曲がって接続しており、胴部13の他
方の端部と腕部14の端部とが曲がって接続しており、
脚部12と腕部14がそれぞれ胴部13から連なってい
る方向は互いに逆の方向を向いており、第1部材10を
正面側から見ると脚部12、胴部13及び腕部14がジ
グザグに曲がって連続している。
【0022】また、第1部材10の脚部12側の端部に
は脚部軸孔15が形成されており、胴部13の真中から
脚部12側に寄った部分に中心軸孔16が形成されてお
り、脚部軸孔15と中心軸孔16はともに第1部材10
の正面側から裏面側まで貫通している。さらに、胴部1
3のほぼ真中から腕部14側の端までの部分と、脚部1
2、腕部14はともに同じ厚さであるが、胴部13のほ
ぼ真中から脚部12側の端までの部分は、他の部分の厚
さの半分の寸法となっており、第1部材10を正面側か
ら見ると、脚部12、胴部13及び腕部14が同一面を
形成しており、第1部材10を裏面側から見ると、胴部
13の中心軸孔16まわりが薄くなって窪んでいる。
【0023】また、第2部材20は第1部材10と同一
の形状を有し、脚部22、胴部23及び腕部24とから
なっている。そして、1つの第1部材10と1つの第2
部材20とが対をなして組み合わさっており、第1部材
10の胴部13の裏面の窪みと第2部材20の胴部23
の裏面の窪みとが向かい合って交差して重なっている。
かかる対をなす第1部材10と第2部材20が2組あ
り、1本の中心軸64が第1部材10、第2部材20、
後述する迂回手段30の円盤、第1部材10、第2部材
20の各中心軸孔を順番に貫いている。
【0024】また、2つの第1部材10の各腕部14は
互いにグリップ62によって繋がれて一体化しており、
2つの第1部材20の各腕部24も互いにグリップ62
によって繋がれて一体化している(図2及び図3を参
照)。グリップ62には後述する第1連結部材41の一
端をボルト止めして把持可能な構成を有する。2つの第
2部材20の各腕部24も同様にグリップ62によって
繋がれて一体化している。そして、グリップ62は後述
する付勢力付与手段50のコイルばねの上端を把持可能
な構成を有する。
【0025】さらに、2つの第1部材10の各脚部12
は脚部固定ブロック63によって繋がれて一体化してい
る。脚部固定ブロック63と各脚部12の脚部軸孔15
を脚部軸65が貫通しており、脚部軸65周りで各脚部
12は一緒に旋回可能となっているとともに、脚部固定
ブロック63を甲板72上にボルト止めして固定可能な
構成となっている。同様に、2つの第2部材20の各脚
部22も脚部固定ブロック63によって繋がれて一体化
している。したがって、第1部材10の腕部14と第2
部材20の腕部24が接近すると、第1部材10の脚部
12と第2部材20の脚部22が接近し、脚部固定ブロ
ック63同士も接近する構成となっている。さらに、脚
部固定ブロック63には後述する付勢力付与手段50の
コイルばねの下端を把持可能な構成を有する。
【0026】また、迂回手段30が1対の第1部材10
及び第2部材20と、他の1対の第1部材10及び第2
部材20との間に挟まれている。図5(i)、(ii)
に示すように、迂回手段30は板状の円盤からなり、中
心軸孔32が円盤面の中心を正面側から裏面側へ貫通し
ている。この中心軸孔32を中心軸64が貫通してい
る。また、溝33が迂回手段30の外周面上に螺旋を描
いて円盤面の正面側から裏面側にかけて形成されてい
る。この溝33は断面がほぼ半円状をなし、迂回手段3
0の外周面上を1回転以上旋回している。
【0027】また、距離調節手段40は第1連結部材4
1と第1温度調節手段42とから構成されている。第1
連結部材41は形状記憶合金により形成され、ワイヤー
状をなす。第1連結部材41は、その一端を一方のグリ
ップ62にボルト止めして把持されており、他端を他方
のグリップ62に同様に把持されており、グリップ62
を介して第1部材10の腕部14及び第2部材20の腕
部24との間に掛け渡されている(図1及び図3を参
照)。そして、第1連結部材41の中間は、溝33に沿
って迂回手段30の外周面上をほぼ1周して巻回してい
る。第1連結部材41に歪が内在しないとき、各グリッ
プ62の間隔は最も接近し、第1部材10の脚部12と
第2部材20の脚部22とが接触する状態となってい
る。
【0028】また、第1温度調節手段42は第1連結部
材41に通電して加熱することを可能とする電流装置か
らなり、各グリップ62が把持する第1連結部材41の
両端は、それぞれ第1温度調節手段42の電流装置と接
続されている。なお、迂回手段30と各グリップ62は
それぞれ絶縁体により形成されており、第1連結部材4
1を流れる電流は迂回手段30、各グリップ62に流れ
ない構成となっている。
【0029】また、図1に示すように、付勢力付与手段
50は第2連結部材51と第2温度調節手段52とから
構成されている。第2連結部材51は形状記憶合金によ
り形成されたコイルばねである。第2連結部材51の上
端は、各第1部材10の腕部14を繋ぐグリップ62に
把持されており、下端は第2部材20の脚部22にある
脚部固定ブロック63に把持されており、第2連結部材
51はグリップ62と脚部固定ブロック63とを介して
第1部材10の腕部14と第2部材20の脚部22との
間に掛け渡されている。同様に、第2部材20の腕部2
4と第1部材10の脚部12との間にも、他の第2連結
部材51が掛け渡されている。第2連結部材51のコイ
ルばねは、歪を内在しない状態で縮んだ状態となってい
る。そして、第2温度調節手段52は第1温度調節手段
42と同様の構成となっており、第2連結部材51の両
端は第2温度調節手段52と接続され通電加熱が可能と
なっている。また、グリップ62と脚部固定ブロック6
3はそれぞれ絶縁体により形成されており、第2連結部
材51を流れる電流はグリップ62、脚部固定ブロック
63に流れない構成となっている。
【0030】本実施の形態は上記のように構成されてお
り、次にその作用について説明する。図6に示すよう
に、2基の浮体ユニット70は互いに前記一次引き寄せ
によって既に引き寄せられており、それぞれの接合面7
4を向かい合わせて位置しており、接合面74同士の間
隔は数十cm程度となっている。そして、複数の洋上接
合治具1が2つの接合面74間の間隙を跨いで、2つの
甲板72間に掛け渡されて設置し、一方の脚部固定ブロ
ック63を一方の甲板72にボルト止めにより固定して
おり、他方の脚部固定ブロック63を他方の甲板72に
ボルト止めにより固定している。
【0031】まず、各浮体ユニット70の甲板72間に
掛け渡されている洋上接合治具1の距離調節手段40の
作用について説明する。第1温度調節手段42の電源を
投入すると、第1温度調節手段42から第1連結部材4
1へ電流が流れ、第1連結部材41は通電加熱される。
このとき、電流は迂回手段30、グリップ62を流れな
いので、これらは発熱しない。第1連結部材41の温度
が常温から上昇すると、第1連結部材41は形状記憶の
処理で与えられた原形に復帰しようとする。加熱前の第
1連結部材41の軸方向の長さが伸長して変形してお
り、伸びた状態から原形に加熱して復帰すると、各グリ
ップ62の間隔が狭まり、第1部材10の脚部12と第
2部材20の脚部22が接近し、各浮体ユニット70の
接合面74同士も互いに接近し、脚部固定ブロック63
同士も接近し、甲板72同士が引き寄せられる。
【0032】また、第1連結部材41の温度が上昇する
と、第1連結部材41の弾性係数が大きくなる。このと
き、第1連結部材41は超弾性の効果を示し、第1連結
部材41の弾性変形可能な変形量は大きくなる。また、
第1連結部材41は2つのグリップ62間で迂回手段3
0の外周面上をほぼ1周しており、軸方向の長さは、迂
回手段30に導かれずに2つのグリップ62間を最短距
離で繋いでいるときよりも長い。このため、第1連結部
材41の軸方向に弾性変形可能な長さは長くなってい
る。したがって、波力によって各浮体ユニット70の甲
板72同士が離れようとし、脚部固定ブロック63同士
の間隔が開き、第1部材10の脚部12と第2部材20
の脚部22との間隔も開き、グリップ62同士の間隔も
開き、第1連結部材41が軸方向に伸長しても、第1連
結部材41の伸長は弾性変形の範囲内に収まり、第1連
結部材41は伸長前の長さに縮もうとし、浮体ユニット
70の甲板72同士の間隔が広がることは抑制される。
【0033】また、第1温度調節手段42の電源が投入
されていないときは、第1連結部材41の温度は常温で
あり、第1連結部材41の弾性係数は小さい。かかる状
態で、第1部材10の腕部14と第2部材20の腕部2
4との間隔が変化し、第1連結部材41が変形しても、
この変形は弾性変形可能な範囲を超え、第1連結部材4
1は変形したままとなり変形前の形状に復帰しない。そ
して、変形後の第1連結部材41は、第1部材10の腕
部14と第2部材20の腕部24に力を殆ど及ぼさな
い。
【0034】次に、各浮体ユニット70の甲板72間に
掛け渡されている洋上接合治具1の付勢力付与手段50
の作用について説明する。第2温度調節手段52の電源
を投入し、第2温度調節手段52から第2連結部材51
へ電流を流すと、第2連結部材51は通電加熱される。
このとき、電流はグリップ62、脚部固定ブロック63
を流れないので、これらは発熱しない。第2連結部材5
1の温度が上昇すると、第2連結部材51の弾性係数は
大きくなる。第2連結部材51の弾性係数が大きくなる
と、第2連結部材51が弾性変形可能な変形量が大きく
なる。
【0035】また、波力によって各浮体ユニット70の
甲板72同士の相対的位置が変化すると、第1部材10
の脚部12と第2部材20の脚部22との間隔が変化
し、第1部材10の脚部12と第2部材20の腕部24
との間隔も変化し、第2連結部材51が伸縮して変形す
る。加熱された第2連結部材51は超弾性の効果によ
り、第2連結部材51の変形量は弾性変形可能な変形量
の中に収まり、第2連結部材51は変形する前の形状に
復帰しようとする。第2連結部材51は、この復帰しよ
うとする力を第1部材10の脚部12と第2部材20の
腕部24に付勢する。この付勢力が、第1部材10の脚
部12と第2部材20の腕部24との間隔の変化を打ち
消そうとし、第1部材10の脚部12と第2部材20の
脚部22との間隔の変化を打ち消そうとし、各浮体ユニ
ット70の甲板72同士の相対的位置の変化を打ち消そ
うとする。したがって、第2連結部材51からの付勢力
によって、波力に起因する各浮体ユニット70の甲板7
2同士の相対的位置の変化が抑制される。かかる抑制を
行うことで、波力によって各浮体ユニット70の甲板7
2同士が衝突して損傷することを防止できる。
【0036】次に、各浮体ユニット70の甲板72間に
掛け渡されている洋上接合治具1を用いた各浮体ユニッ
ト70の二次引き寄せについて説明する。一次引き寄せ
が終わった各浮体ユニット70は、波力によって相互に
接近したり離れたりしようとし、各浮体ユニット70間
の相対的位置が変化する。洋上接合治具1を各浮体ユニ
ット70の甲板72同士の間に掛け渡して設置した直後
は、第1温度調節手段42及び第2温度調節手段52の
電源は投入されておらず、第1連結部材41及び第2連
結部材51はともに常温であり、それぞれの弾性係数は
小さい。各浮体ユニット70の甲板72同士の相対的位
置が変化して、第1部材10の脚部12と第2部材20
の脚部22との間隔が変化し、第1連結部材41及び第
2連結部材51に変形が生じても、第1連結部材41及
び第2連結部材51は変形したままで変形前の形状に復
帰せず、各浮体ユニット70の甲板72同士の相対的位
置は波力によって変化したままとなる。
【0037】そこで、洋上接合治具1を2つの甲板72
間に掛け渡して設置したら、第1温度調節手段42の電
源は投入せず、第2温度調節手段52の電源のみ投入す
る。第2連結部材51の弾性係数が大きくなり、各浮体
ユニット70の甲板72同士が接触するときの衝撃が緩
和される。次いで、第2連結部材51を流れる電流を徐
々に減少させ、第2連結部材51の温度を徐々に下げて
いく。第2連結部材51を流れる電流の調節と並行し
て、第1温度調節手段42の電源を投入し、第1連結部
材41を流れる電流を徐々に増大させ、第1連結部材4
1の温度を徐々に上げていく。第2連結部材51の温度
を下げて、付勢力付与手段50による各浮体ユニット7
0の甲板72同士の相対的な位置変化の抑制を徐々に小
さくし、第1連結部材41の温度を上げて、距離調節手
段40により各浮体ユニット70の甲板72同士を接近
させ、甲板72同士の間隔が拡大することを抑制する。
第2温度調節手段52と第1温度調節手段42をそれぞ
れ並行して調節することで、付勢力付与手段50と距離
調節手段40がそれぞれ各浮体ユニット70の甲板72
同士の相対的な位置変化に及ぼす作用を調節でき、甲板
72同士を最終的に接触し合うまで引き寄せることがで
きる。
【0038】次いで、各浮体ユニット70の甲板72同
士が接触したら、甲板72同士を互いに固定して、各浮
体ユニット70間における相対的動揺を抑制する(図7
を参照)。そして、各浮体ユニット70同士を溶接して
接合する。接合を完了したら、洋上接合治具1の脚部固
定ブロック63を各浮体ユニット70の甲板72から取
り外し、洋上接合治具1を撤去する。
【0039】したがって、第1連結部材41と第2連結
部材51の温度を第1温度調節手段42と第2温度調節
手段52とにより調節し、洋上接合治具1が各浮体ユニ
ット70に及ぼす力を調節することができ、浮体ユニッ
ト70同士が引き寄せられて接触するときの衝撃を緩和
することができる。また、洋上接合治具1を使用して浮
体ユニット70同士の二次引き寄せを行い、互いを固定
するので、必要な作業機材の数を減らすことができ、大
型機材も必要ではなくなり、洋上接合治具1の設置・除
去の作業量を少なくすることができ、作業期間を短縮す
ることができる。
【0040】さらに、作業終了後は洋上接合治具1を浮
体ユニット70から撤去するので、撤去した洋上接合治
具1を別の作業で繰り返し使用でき、廃棄物の発生を防
止できる。なお、本実施の形態においては、洋上接合治
具1を各浮体ユニット70の甲板72同士の間に掛け渡
して使用することとしたが、洋上接合治具1を各浮体ユ
ニット70の底部同士の間に掛け渡して、底部同士を引
き寄せて互いを固定することが可能であることは勿論で
ある。
【0041】また、洋上接合治具1に第1部材10と第
2部材20とからなる対が2組あり、1対の第1部材1
0と第2部材20とからなる組と、他の1対の第1部材
10と第2部材20とからなる組との間に迂回手段30
の円盤を挟むこととしたが、替わりに、洋上接合治具1
は第1部材10と第2部材20とからなる対を1組だけ
有し、第1部材10と第2部材20との間に迂回手段3
0の円盤を挟み、第2連結部材51を第1部材10の腕
部14と第2部材20の脚部22との間に直接掛け渡す
ことも可能である。
【0042】さらに、距離調節手段40は形状記憶合金
により形成された第1連結部材41と第1温度調節手段
42とから構成されるとしたが、替わりに油圧シリンダ
等によって距離調節手段40を構成し、この油圧シリン
ダ等によって第1部材10の腕部14と第2部材20の
腕部24とを動かし、これらの間隔を調節することも可
能である。同様に、付勢力付与手段50を油圧シリンダ
等によって構成し、この油圧シリンダ等を用いて付勢力
を付与することも可能である。
【0043】また、第1部材10と第2部材20はとも
に同一の中心軸64の周りを回転可能な構成としたが、
替わりに2本の軸を有する別の部材の各軸に第1部材1
0と第2部材とをそれぞれ回転可能に取り付けることも
可能である。また、迂回手段30、グリップ62、脚部
固定ブロック63をそれぞれ絶縁体により形成すること
としたが、第1連結部材41と迂回手段30との間、第
1連結部材41とグリップ62との間、第2連結部材5
1とグリップ62との間、第2連結部材51と脚部固定
ブロック63との間にそれぞれ絶縁体を挟み、これらの
間を絶縁することも可能である。
【0044】また、洋上接合治具1は付勢力付与手段5
0を備える構成としたが、付勢力付与手段を備えない構
成の洋上接合治具を用いて2基の浮体ユニットを引き寄
せ、相互を固定し、各浮体ユニット間における相対的動
揺を抑制することも可能である。また、浮体ユニット7
0の概形は扁平な板状の直方体をなすとしたが、他の形
状とすることが可能であることは勿論である。たとえ
ば、浮体ユニットを半浮遊式浮体ユニットとすることも
可能である。
【0045】(実施例)次に、本発明に係る洋上接合治
具1を用いて2基の浮体ユニット70を引き寄せた実施
例を以下に示す(図8ないし図19を参照)。まず、本
実施例の構成を説明する。図8及び図9に示すように、
試験水槽90にモデル化した2基の浮体ユニット70
a、70bを浮かべ、浮体ユニット70aと70bの間
を2基の洋上接合治具1によって繋いだ。試験水槽90
は図8及び図9において右方に造波板91を備えてお
り、造波板91は図8及び図9の右側から左側に向かっ
て進行する波を発生可能である。かかる試験水槽90に
おいて、造波板91が発生させる波の進行方向をX軸と
し、水平面内でX軸と直交してY軸をとり、XY平面と
垂直にZ軸をとった。
【0046】各浮体ユニット70a、70bは、その長
さLを600mm、幅Wを1100mm、高さを100
mmとし、重量を28.91kgfとし、喫水を50m
mとした。また、各浮体ユニット70a、70bの上面
を甲板72とし、幅W方向の一方の側面を接合面74と
した。浮体ユニット70a、70bはそれぞれの接合面
74同士が間隙を開けて向かい合っており、それぞれの
長さL方向をX軸方向と一致させ、造波板91がある側
から順番に浮体ユニット70a、70bを並べて試験水
槽90に浮かべた。
【0047】また、2基の洋上接合治具1を各浮体ユニ
ット70の接合面74同士がなす間隙を跨いで甲板72
同士の間に掛け渡して設置した。各洋上接合治具1は付
勢力付与手段を有していない点を除いて、他の構成は前
述の実施の形態における洋上接合治具と同様である。ま
た、各洋上接合治具1の第1部材の脚部は、脚部固定ブ
ロックを介して浮体ユニット70aの接合面74に沿っ
た甲板72の縁沿いに固定されており、第2部材の脚部
も同様に浮体ユニット70bの甲板72に固定されてい
る。そして、第1部材の脚部と第2部材の脚部が接近し
て接触すると、脚部固定ブロック同士も接触し、各浮体
ユニット70a、70bの甲板72同士も接触する構成
となっている。
【0048】そして、各洋上接合治具1の脚部固定ブロ
ック同士の最大間隔を42mmとし、各グリップにおけ
る第1連結部材の把持位置間の最短距離を116mmと
し、迂回手段の円盤の半径は40mmとした。また、第
1連結部材はNi−Ti合金(Ni:50%、Ti:5
0%)からなる直径0.4mmの形状記憶合金線とし、
300℃ないし600℃で1時間ほど熱処理を行って形
状記憶の処理を施した。さらに、第1連結部材の途中を
迂回手段の円盤外周面上で1周させた。
【0049】また、洋上接合治具1の各脚部固定ブロッ
ク間の最大間隔を42mmとなっているとき、第1連結
部材の長さを375.2mmとし、脚部固定ブロック同
士が接触しているとき、第1連結部材の長さを361.
84mmとした。第1連結部材の伸び率は直線状態にお
いて3.9%であり、電気抵抗は89×10-8Ω・mで
ある。また、グリップと迂回手段はポリカーボネイトに
よって形成し、第1連結部材とグリップ及び迂回手段他
との間を絶縁した。
【0050】また、浮体ユニット70aの甲板72上で
あって長さL方向の縁沿いに観測点A、B、Cをそれぞ
れ設けた。浮体ユニット70aの接合面74側の端から
575mm離れた位置を観測点Aとし、同じく330m
m離れた位置を観測点Bとし、同じく25mm離れた位
置を観測点Cとした。同様に、浮体ユニット70bの甲
板72上であって長さL方向の縁沿いに観測点D、E、
Fをそれぞれ設け、浮体ユニット70bの接合面74側
の端から25mm離れた位置を観測点Dとし、同じく3
30mm離れた位置を観測点Eとし、同じく575mm
離れた位置を観測点Fとした。さらに、洋上接合治具1
の中心軸上に観測点Gを設けた。そして、試験水槽90
の外部にはセンサ92を設置し、各観測点A、B、C、
D、E、F、Gの位置を記録可能とした。
【0051】次に、本実施例の測定結果を示す。測定は
造波板91で発生させる波の条件を変えつつ行い、波は
造波板91から浮体ユニット70a、70bに向けてX
軸方向に進行させた。まず、波条件1では、造波板91
が発生させる波を以下のものとした。波の波長浮体ユニ
ット長比λ/Lを0.80、周期を0.55sec、振
動数を1.818Hzとした。なお、波長浮体ユニット
長比λ/Lとは、波の波長λと浮体ユニット長さLとの
比であり、波が浮体ユニット70a、70bに及ぼす影
響の大きさを表す。波長浮体ユニット長比λ/Lが0の
場合、水面は静水面となっており、浮体ユニット70
a、70bは波から影響を受けず、波長浮体ユニット長
比λ/Lが大きくなると浮体ユニット70a、70bは
波の影響で大きく動揺することとなる。波条件1の場合
は海洋の気象が比較的穏やかな場合を表している。一般
に、海洋で2基の浮体ユニットの二次引き寄せを行い固
定する作業が実施されるときの波条件は、波長浮体ユニ
ット長比λ/Lが0.80前後以下となっている。波を
発生させた後にセンサ92で観測点A、B、C、D、
E、F、Gの位置計測を開始し、計測開始から5秒後に
第1温度調節手段の電源を投入し、計測開始から180
秒後に第1温度調節手段の電源を切り、全体の計測時間
を240秒間とした。
【0052】図10(i)は計測開始時(0秒)に、観
測点A、B、C、D、E、FがXZ平面内でとる相対的
位置を示したものである。横軸にはX軸方向の相対的位
置をとっており、観測点CとDの中間点を横軸の0目盛
上に一致させてある。縦軸は、Z軸方向の高さをとって
おり、観測点CとDの中間点を基準として各観測点A、
B、C、D、E、Fの相対的高さを表し、縦軸の1目盛
間隔は0.2mmである。観測点A、B、Cを結ぶライ
ンは浮体ユニット70aの甲板72がXZ平面内で占め
る位置を示し、観測点D、E、Fを結ぶラインは浮体ユ
ニット70bの甲板72がXZ平面内で占める位置を示
す。ラインABCとラインDEFを比較すると、浮体ユ
ニット70aの甲板72と浮体ユニット70aの甲板7
2の相対的位置がわかる。
【0053】同様に、図10(ii)、(iii)、
(iv)、(v)に、それぞれ計測開始時(0秒)から
0.5秒後、1.0秒後、1.5秒後、2.0秒後、
2.5秒後における各観測点A、B、C、D、E、Fが
XZ平面内で占める相対的位置を示したものである。図
10(i)ないし(v)を比較すると、第1温度調節手
段の電源を投入前は、浮体ユニット70aの甲板72と
浮体ユニット70bの甲板72がそれぞれ独立して動揺
していることがわかる。
【0054】また、図11(i)ないし(v)は、図1
0(i)ないし(v)と同様に、それぞれ計測開始時
(0秒)から100秒後、100.5秒後、101秒
後、101.5秒後、102秒後における各観測点A、
B、C、D、E、FがXZ平面内で占める相対的位置を
示したものである。100秒から102秒までの間は、
第1温度調節手段の電源が投入されており、浮体ユニッ
ト70aと70bは互いに引き寄せられ、図10に示し
た場合と比べると、観測点CとDの間の距離が短くなっ
ている。これは、当初接合面74同士の間にあった間隙
が0となっているからである。また、浮体ユニット70
aと70bの動揺はほぼ一致しており、浮体ユニット7
0aと70bは一体となってXZ面内で動揺しているこ
とがわかる。
【0055】さらに、図12は、観測点CとD間のX軸
方向の間隔の変化を示したものである。横軸には時間を
とり、計測開始時(0秒)からの経過時間を示し、縦軸
は観測点CとD間のX軸方向の間隔をとっている。図1
2より、第1温度調節手段の電源を投入した後、浮体ユ
ニット70aと70bは互いに引き寄せられていること
がわかる。
【0056】また、図13は、XZ平面内で浮体ユニッ
ト70a、70bの各甲板72がX軸となす傾きを比較
したものである。横軸には時間をとり、計測開始時(0
秒)からの経過時間を示す。縦軸には角度をとり、XZ
面内で観測点AとCを結ぶラインがX軸との間になす角
度と、同じく観測点FとDを結ぶラインがX軸との間に
なす角度との差を示す。これらの角度の差はほぼ0ra
dとなっており、浮体ユニット70a、70bは一体と
なって動揺しており、浮体ユニット70a、70b間の
相対的動揺は殆ど抑制されていることがわかる。
【0057】また、図14は観測点CとDの間のZ軸方
向間隔の変化を表したものである。横軸には時間をと
り、計測開始時(0秒)からの経過時間を示し、縦軸に
はXZ面内で観測点CとDの間のZ軸方向の間隔を示
す。浮体ユニット70aと70bが引き寄せられた後
も、観測点CとDの間には±5mm程度のZ軸方向の間
隔が生じている。これは、浮体ユニット70aと70b
が引き寄せられた後も、観測点CとDとは接しておら
ず、両者の間隔が55mm程離れているからであり、観
測点CとDとを結ぶラインが浮体ユニット70aと70
bの動揺とともにXZ面内で傾斜するからである。
【0058】したがって、本実施例より、実際に二次引
き寄せ作業が実施される波条件1若しくはこれよりも穏
やかな波条件の下では、本発明に係る洋上接合治具1を
用いて浮体ユニット70aと70bとを引き寄せて互い
に固定でき、浮体ユニット70aと70bとの間の相対
的動揺を抑制できることを確認した。次に、波条件2の
ときの計測結果を図15から図19に示す。波条件2で
は、波長浮体ユニット長比λ/Lを2.50、周期を
0.98sec、振動数を1.015Hzの波とした。
図15ないし図19は、図10ないし図14と同様にそ
れぞれ計測結果を表したものである。なお、波条件2は
荒天時を表しており、一般に海洋で二次引き寄せの作業
は実施されない。
【0059】かかる波条件2の場合でも、図15ないし
図19より、波条件1の場合と同様に洋上接合治具1を
用いて浮体ユニット70aと70bとを引き寄せて互い
に固定でき、浮体ユニット70aと70bとの間の相対
的動揺を抑制できることがわかる。すなわち、実際に洋
上接合治具1を用いて作業を実施する気象条件下で、洋
上接合治具1は充分有効に機能することが確認された。
【0060】
【発明の効果】本発明は、上記のような洋上接合治具で
あるので、以下のような効果がある。すなわち、洋上接
合治具の脚部を2つの構造物に取り付け、第1部材の腕
部と第2部材の腕部とを接近させるだけの簡易な作業
で、2つの構造物を互いに引き寄せ、構造物同士を互い
に固定し、構造物間の相対的動揺を抑制することがで
き、また、使用する機材も少なくてすみ、さらに、2つ
構造物の間隔を調節できるので、2つ構造物が接触する
ときの衝撃を緩和でき、また、引き寄せて互いに固定し
た構造物から洋上接合治具を撤去できるので、繰り返し
使用可能な洋上接合治具を提供することができるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る洋上接合治具の正面
図である。
【図2】第2連結部材を省略した洋上接合治具の側面図
である。
【図3】洋上接合治具の上面図である。
【図4】第1部材の説明図であって、(i)は正面図、
(ii)は裏面図である。
【図5】迂回手段の説明図であって、(i)は正面図、
(ii)は側面図である。
【図6】一次引き寄せが終了した状態の浮体ユニットの
状況の説明図である。
【図7】浮体ユニットを引き寄せ、互いに固定した状況
の説明図である。
【図8】実施例における浮体ユニットのと洋上接合治具
の上面図である。
【図9】実施例における浮体ユニットのと洋上接合治具
の正面図である。
【図10】波条件1の下で第1温度調節手段投入前に観
測点A、B、C、D、E、FがXZ平面内で占める位置
の観測結果である。
【図11】波条件1の下で第1温度調節手段投入後に観
測点A、B、C、D、E、FがXZ平面内で占める位置
の観測結果である。
【図12】波条件1の下で観測点CとD間のX軸方向の
間隔変化の観測結果である。
【図13】波条件1の下でXZ平面内で各浮体ユニット
の甲板がX軸となす傾きの観測結果である。
【図14】波条件1の下で観測点C、D間のZ軸方向の
間隔変化の観測結果である。
【図15】波条件2の下で第1温度調節手段投入前に観
測点A、B、C、D、E、FがXZ平面内で占める位置
の観測結果である。
【図16】波条件2の下で第1温度調節手段投入後に観
測点A、B、C、D、E、FがXZ平面内で占める位置
の観測結果である。
【図17】波条件2の下で観測点CとD間のX軸方向の
間隔変化の観測結果である。
【図18】波条件2の下でXZ平面内で各浮体ユニット
の甲板がX軸となす傾きの観測結果である。
【図19】波条件2の下で観測点C、D間のZ軸方向の
間隔変化の観測結果である。
【符号の説明】
1 洋上接合治具 10 第1部材 12 第1部材脚部 13 第1部材胴部 14 第1部材腕部 15 脚部軸孔 16 中心軸孔 20 第2部材 22 第2部材脚部 23 第2部材胴部 24 第2部材腕部 30 迂回手段 32 迂回手段中心軸孔 33 溝 40 距離調節手段 41 第1連結部材 42 第1温度調節手段 50 付勢力付与手段 51 第2連結部材 52 第2温度調節手段 62 グリップ 63 脚部固定ブロック 64 中心軸 65 脚部軸 70 浮体ユニット 72 甲板 74 接合面 90 試験水槽 91 造波板 92 センサ L 浮体ユニット長さ W 浮体ユニット幅 A、B、C、D、E、F、G 観測点 λ 波の波長 λ/L 波長浮体ユニット長比
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高石 敬史 東京都調布市深大寺東町7丁目28番10号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの構造物を引き寄せて接触させ相互
    に固定する洋上接合治具において、 腕部と、前記構造物の一方に着脱可能に取り付けられる
    脚部と、当該腕部及び当該脚部の間にある胴部とからな
    る第1部材を有し、 腕部と、前記構造物の一方に着脱可能に取り付けられる
    脚部と、当該腕部及び当該脚部の間にある胴部とからな
    る第2部材を有し、 前記第1部材の胴部と前記第2部材の胴部とは、交差す
    るとともに同一の軸を中心に互いに回転自在に取り付け
    られており、 前記第1部材の腕部と前記第2部材の腕部との間隔の調
    節を行う距離調節手段を備えることを特徴とする洋上接
    合治具。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の洋上接合治具であっ
    て、前記距離調節手段は、形状記憶合金からなる第1連
    結部材と、当該第1連結部材の温度調節を行う第1温度
    調節手段とから構成され、 前記第1連結部材を前記第1部材の腕部と前記第2部材
    の腕部との間に掛け渡してあることを特徴とする洋上接
    合治具。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の洋上接合治具であっ
    て、前記第1連結部材は線状をなし、 前記第1部材の腕部が前記第1連結部材を把持している
    位置から、前記第2部材の腕部が前記第1連結部材を把
    持している位置までの間を、この間で最短距離をなす経
    路からずれて前記第1連結部材を導く迂回手段が、前記
    第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも一方に取り
    付けられていることを特徴とする洋上接合治具。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の洋上接合治具であっ
    て、前記迂回手段は円盤状部材からなり、 前記第1連結部材は前記第1部材の腕部と前記第2部材
    の腕部との間で前記円盤状部材の外周面上を巻回してい
    ることを特徴とする洋上接合治具。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    に記載の洋上接合治具であって、前記第1部材の腕部と
    前記第2部材の脚部とを相互に引き寄せ合う方向に付勢
    力を付与する付勢力付与手段を有することを特徴とする
    洋上接合治具。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の洋上接合治具であっ
    て、前記付勢力付与手段は、形状記憶合金からなる第2
    連結部材と、当該第2連結部材の温度調節を行う第2温
    度調節手段とから構成され、 前記第2連結部材を前記第1部材の腕部と前記第2部材
    の脚部との間に掛け渡してあることを特徴とする洋上接
    合治具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008246348A (ja) * 2007-03-29 2008-10-16 Fujifilm Corp マイクロ化学チップ及びその製作方法

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