JP2003334092A - エタノール生産制御方法 - Google Patents

エタノール生産制御方法

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JP2003334092A
JP2003334092A JP2003065349A JP2003065349A JP2003334092A JP 2003334092 A JP2003334092 A JP 2003334092A JP 2003065349 A JP2003065349 A JP 2003065349A JP 2003065349 A JP2003065349 A JP 2003065349A JP 2003334092 A JP2003334092 A JP 2003334092A
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JP
Japan
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dna
promoter
gene
pyruvate decarboxylase
pyruvate
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JP2003065349A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Ishida
亘広 石田
Masakata Hirai
正名 平井
Takao Imaeda
孝夫 今枝
Tsutomu Miyazaki
力 宮崎
Tateo Tokuhiro
健郎 徳弘
Satoshi Saito
聡志 齋藤
Osamu Saotome
理 早乙女
Noriko Hoya
典子 保谷
Yasuo Matsuo
康生 松尾
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子を有する宿主生物
中でエタノール生産を制御する技術を提供する。 【解決手段】 宿主生物に内在するピルビン酸脱炭酸酵
素の対ピルビン酸基質親和性と同等かあるいはそれを超
える対ピルビン酸基質親和性を備える外来の乳酸脱水素
酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAが導入
されている形質転換体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乳酸の高生産技
術に関し、詳しくは、酵母における乳酸生産に適した高
発現系に関する。
【0002】
【従来の技術】組換えDNA技術の進歩により、微生
物、カビ、動植物および昆虫などの宿主で外来遺伝子を
発現させ、その形質転換体を増殖させることによって、
目的遺伝子産物を取得する技術が発展してきた。例え
ば、酵母などの培養によれば、発酵生産により大量の目
的遺伝子産物を生産させることも可能である。
【0003】これまで、酵母によってL−乳酸を生産さ
せようとする試みはいくつか存在している。ウシ由来の
乳酸脱水素酵素(LDH)遺伝子を酵母サッカロマイセ
ス・セレビシエに導入し、L−乳酸を生産させる試みが
ある(Eri Adahi et al., "Modification of metabolic
pasthway of Saccaromyces cerevisiae by the express
ion of lactate dehydrogenase and deletion of pyruv
ate genes fo the lactic acid fermentation at low p
H value", J. Ferment. Bioeng. Vol.86, No.3, 284-28
9, 1988、Danio Porro et al., "Development of metab
olically engineered Saccaromyces cerevisiae cells
for the production of lactic asid",Biotechnol.Pro
g. Vol.11, 294-298, 1995, 特表2001−51658
4号公報)。しかしながら、いずれの報告においても、
L−乳酸の高生産は認められていない。
【0004】サッカロマイセス・セレビシエにおけるピ
ルビン酸脱炭酸酵素は複数のアイソザイムを持つことが
知られており、通常の酵母においては、ピルビン酸脱炭
酸酵素1が機能しており、本遺伝子などの破壊が原因で
このタンパク質が発現しない状態となると、ピルビン酸
脱炭酸酵素5が機能し、エタノール生産が維持される機
構を備えている("Autoregulation of yeast pyruvate
decarboxylase gene expression requires the enzyme
but not its catalytic activity", Ines Eberhardt, H
akan Cederberg, Haijuan Li, Stephan Koning, Frank
Jordan and Stephan Hohmann, Eur. J. Biochem. Vol.2
62, 191-201, 1999)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、サッカロ
マイセス・セレビシエ中でL−乳酸を高生産させる技術
は完成していなかった。本発明の目的は、酵母サッカロ
マイセス・セレビシエなどのピルビン酸脱炭酸酵素遺伝
子を有する宿主生物中でエタノール生産を制御し乳酸を
安定的に大量生産させるための技術を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、サッカロ
マイセス・セレビシエ中での乳酸生産させる場合に発現
させる乳酸脱水素酵素(LDH)について着目して検討
したところ、以下の発明を完成した。以上のことから、
以下の発明を開示することができる。本発明の一つの側
面は、宿主生物に内在するピルビン酸脱炭酸酵素の対ピ
ルビン酸基質親和性と同等かあるいはそれを超える対ピ
ルビン酸基質親和性を備える外来の乳酸脱水素酵素活性
を有するタンパク質をコードするDNAが導入されてい
る形質転換体として開示される。本形質転換体におい
て、前記外来タンパク質をコードするDNAは、宿主染
色体上のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のプロモーターあ
るいは当該プロモーターと置換された当該プロモーター
のホモログによって制御可能に導入されている形質転換
体も提供される。本発明の形質転換体における前記外来
タンパク質は、ウシ由来の乳酸脱水素酵素あるいはその
ホモログであることが好ましい。このタンパク質は、特
に、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質
かあるいはそのホモログとすることが有用である。ま
た、当該タンパク質は、配列番号3に示すDNA配列に
よってコードされていることが好ましい。このDNA配
列は、配列番号4に示すDNA配列として形質転換体に
保有されていることが好ましい。前記宿主染色体上のプ
ロモーターは、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子プロモー
ターであることが好ましい形態である。また、このプロ
モーターとしては、配列番号2に示すDNA配列あるい
はそのホモログを利用することが好ましい。本形質転換
体において、前記宿主生物は、サッカロマイセス属であ
ることが好ましく、より好ましくは、サッカロマイセス
・セレビシエである。本発明の他の側面は、本形質転換
体を培養する工程と、前記工程で得られる培養物から乳
酸を分離する工程、とを備える、乳酸の製造方法として
開示される。この方法によれば、安定的に効率よく乳酸
を製造することができる。すなわち、本発明によれば、
以下の手段が提供される。
【0007】(1)宿主生物に内在するピルビン酸脱炭
酸酵素の対ピルビン酸基質親和性と同等かあるいはそれ
を超える対ピルビン酸基質親和性を備える外来の乳酸脱
水素酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAが
導入されている形質転換体。 (2)前記外来タンパク質をコードするDNAは、宿主
染色体上のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のプロモーター
あるいは当該プロモーターと置換された当該プロモータ
ーのホモログによって制御可能に導入されている、
(1)記載の形質転換体。 (3)前記宿主生物は、サッカロマイセス属である、
(1)または(2)に記載の形質転換体。 (4)前記宿主生物は、サッカロマイセス・セレビシエ
である、(1)または(2)に記載の形質転換体。 (5)前記外来タンパク質は、ウシ由来の乳酸脱水素酵
素あるいはそのホモログである、(1)〜(4)のいず
れかに記載の形質転換体。 (6)宿主生物に内在するピルビン酸脱炭酸酵素の対ピ
ルビン酸基質親和性と同等かあるいはそれを超える対ピ
ルビン酸基質親和性を備える外来の乳酸脱水素酵素活性
を有するタンパク質をコードするDNAが導入されてお
り、前記外来タンパク質をコードするDNAは、宿主染
色体上のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のプロモーターあ
るいは当該プロモーターと置換された当該プロモーター
のホモログによって制御可能に導入されている形質転換
体。 (7)前記宿主染色体上のプロモーターは、ピルビン酸
脱炭酸酵素1遺伝子プロモーターである、(6)記載の
形質転換体。 (8)前記宿主生物は、サッカロマイセス属である、
(6)または(7)に記載の形質転換体。 (9)前記宿主生物は、サッカロマイセス・セレビシエ
である、(6)または(7)に記載の形質転換体。 (10)前記外来タンパク質は、ウシ由来の乳酸脱水素
酵素あるいはそのホモログである、(6)〜(9)のい
ずれかに記載の形質転換体。 (11)ウシ由来の乳酸脱水素酵素あるいはそのホモロ
グをコードするDNAが、サッカロマイセス属の宿主染
色体上のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子のプロモーター
あるいは当該プロモーターと置換された当該プロモータ
ーのホモログによって制御可能に導入されている形質転
換体。 (12)前記宿主は、サッカロマイセス・セレビシエで
ある、(10)記載の形質転換体。 (13)(1)〜(12)のいずれかに記載の形質転換
体を培養する工程と、前記工程で得られる培養物から乳
酸を分離する工程、とを備える、乳酸の製造方法。
【0008】本発明の形質転換体は、宿主生物に内在す
るピルビン酸脱炭酸酵素の対ピルビン酸基質親和性と同
等かあるいはそれを超える対ピルビン酸基質親和性を備
える外来の乳酸脱水素酵素活性を有するタンパク質をコ
ードするDNAが導入され、当該外来タンパク質が発現
されるようになっている。ピルビン酸は、エタノール生
産に繋がるピルビン酸脱炭酸酵素と乳酸生産を触媒する
乳酸脱水素酵素などの共通の基質である。本形質転換体
においては、乳酸脱水素酵素の方がピルビン酸脱炭酸酵
素よりもピルビン酸に対する基質親和性が高いので、ピ
ルビン酸脱炭酸酵素によって触媒されるエタノール生産
が抑制され、外来の乳酸脱水素酵素による乳酸生産が促
進される。これにより、形質転換体による乳酸生産を増
大させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 (形質転換体)形質転換体において発現される外来タン
パク質は、乳酸脱水素酵素(LDH)活性を有し、か
つ、形質転換しようとする宿主生物に内在するピルビン
酸脱炭酸酵素との関係において、その酵素の対ピルビン
酸基質親和性と同等かあるいはそれを超える対ピルビン
酸基質親和性を備えている。ここで、LDHは、酵母な
どの生物の解糖系において、ピルビン酸から乳酸を生産
する反応を媒介する酵素として知られている。ここで、
乳酸は、L(+)−乳酸とD(−)−乳酸とを含むが、
好ましくは、L(+)−乳酸である。L(+)−乳酸
は、L(+)−LDHによって産生され、D(−)−乳
酸は、D(−)−LDHによって生産される。
【0010】本発明で用いる外来タンパク質としてLD
Hを用いることができる。生物の種類に応じてあるいは
生体内においても各種同族体が存在する。本発明におけ
るLDH活性を備えるタンパク質としては、天然由来の
LDHの他、化学合成的あるいは遺伝子工学的に人工的
に合成されたLDHも包含している。LDHとしては、
好ましくは、酵母などの真核微生物由来であり、より好
ましくは、植物、動物、昆虫などの高等真核生物由来で
あり、さらに好ましくは、ウシを始めとする哺乳類を含
む高等真核生物由来である。最も好ましくは、ウシ由来
のLDHである。例えば、ウシ由来のLDHとして配列
番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質を挙げる
ことができる。ウシ由来LDHとしては、筋肉由来、心
臓由来などのLDHがあり、いずれも使用することがで
きる。なお、酵素番号としては、EC 1.1.1.2
7を挙げることができる。
【0011】さらに、本発明における外来タンパク質
は、これらのLDHのホモログも包含している。LDH
ホモログは、天然由来のLDHのアミノ酸配列におい
て、1もしくは数個のアミノ酸配列の置換、欠失、挿入
および/または付加されたアミノ酸配列でありかつLD
H活性を有しているタンパク質、および、天然由来のL
DHとアミノ配列の相同性が少なくとも70%、好まし
くは80%以上を有しかつLDH活性を有しているタン
パク質を含んでいる。なお、アミノ酸配列における変異
の数は、もとのタンパク質の機能が維持できる限り制限
されないが、全アミノ酸の70%以内であることが好ま
しく、より好ましくは、30%以内であり、さらに好ま
しくは20%以内である。例えば、配列番号1に示すア
ミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸の置換、
欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を有
し、かつLDH活性を有しているタンパク質、あるい
は、配列番号1に示すアミノ酸配列との相同性が少なく
とも70%、好ましくは80%を有し、かつLDH活性
を有するタンパク質は、好ましいホモログである。な
お、配列の相同性は、BLAST(http://blast.genome.ad.j
p/)、FASTA(http://fasta.genome.ad.jp/SIT/FASTA.htm
l)などによる相同性検索を利用して決定することができ
る。
【0012】なお、アミノ酸配列における改変は、改変
しようとするアミノ酸配列に、部位特異的変位導入法
(Current Protocols I Molecular Biology edit. Ausu
bel etal., (1987) Publish . John Wily & Sons Secto
in 8.1-8.5)等を用いて、適宜、置換、欠失、挿入、お
よび/または付加変異を導入することにより行うことが
できる。また、このような改変は、人工的に変異を導入
しあるいは合成したものに限られず、人工的な変異処理
に基づいてあるいはこれに限られず自然界におけるアミ
ノ酸の変異によっても生じたものも包含される。
【0013】また、本発明で用いる外来タンパク質は、
ピルビン酸に対して高い基質親和性を有していることが
好ましい。ここで基質親和性とは、式(1)にに示すミ
カエリス−メンテン(Michaelis-Menten)の式における
Km値である。
【数1】v=k2[S]/([S]+Km) …………(1) ただし、vは定常初速度、[S]は基質濃度、[ES]は酵
素と基質との複合体の濃度、Eは酵素の全濃度、k2
ES→E+Sの場合の速度定数である。ミカエリス−メンテ
ンの式は、以下の式(2)に示す基質S、酵素E、基質
−酵素複合体ES、および生成物Pとの関係に基づいて
いる。kは、基質Sと酵素Eが複合体ESを形成する
ときの平衡定数であり、kは、複合体ESから生成物
Pと酵素Eとが生成する平衡定数であり、k−1は、複
合体ESが酵素Eと基質Sとに解離するときの平衡定数
である。
【数2】
【0014】ここで、定数からKmは以下の式(3)で
定義することができる。
【数3】 さらに、式(4)に示すように、各種濃度で書き換える
ことができる。
【数4】Km=(E-[ES])[S]/[ES] (4)
【0015】基質親和性は、例えば、酵素濃度一定下
で、基質濃度[S]と初速度vとの関係を求め、基質濃
度を横軸に初速度を縦軸にとったグラフなどから求める
ことができる。また、Lineweaver-Burkプロットによっ
ても求めることができる。
【0016】本発明の外来タンパク質の対ピルビン酸基
質親和性は、宿主生物のピルビン酸脱炭酸酵素との関係
において、この酵素の対ピルビン酸基質親和性と同等か
あるいはそれを超えていることが好ましい。基質親和性
の比較は、好ましくは、温度およびpHなどの条件を共
通とする。温度やpH条件は、宿主生物におけるこれら
の酵素の触媒する環境を考慮して決定することができ
る。例えば、温度30〜37℃、pHを6.0〜7.5
の条件下で両酵素の基質親和性を測定することが好まし
い。
【0017】本外来タンパク質の対ピルビン酸基質親和
性は、好ましくは、約1.5mM以下である。1.5m
Mを超えると、宿主生物のもつピルビン酸脱炭酸酵素と
ピルビン酸とが反応しやすくなるからである。より好ま
しくは約1mM以下である。さらに好ましくは、約0.
5mM以下であり、もっとも好ましくは、約0.1mM
以下である。また、本外来タンパク質の対ピルビン酸基
質親和性は、宿主生物のピルビン酸脱炭酸酵素の対ピル
ビン酸基質親和性と同等かそれよりも高いことが好まし
い。宿主生物の当該酵素のピルビン酸基質親和性よりも
低ければ、宿主生物のピルビン酸脱炭酸酵素とピルビン
酸とが反応しやすくなるからである。なお、本明細書に
おいて基質親和性が同等とは、対比する双方の基質親和
性、すなわち、Km値が同等であることを意味し、基質
親和性が高いとは、対比しようとするタンパク質のKm
値が対比すべき他方のタンパク質のKm値よりも低いこ
とを意味する。
【0018】本形質転換体においては、このような外来
タンパク質をコードするDNAが導入されている。本D
NAは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAなど、そ
の由来を問うものではない。また、本DNAは、LDH
をコードする天然由来の塩基配列を有していてもよい
し、かかる塩基配列の一部あるいは全体が改変された塩
基配列であって、LDH活性を有するタンパク質をコー
ドするものであってもよい。また、LDHホモログをコ
ードする合成あるいは天然由来の塩基配列を有するDN
Aであってもよい。
【0019】本発明で使用するDNAは、形質転換しよ
うとする宿主生物において多用されるコドン用法を用い
た塩基配列を有することができる。例えば、本DNA
は、サッカロマイセス属、とくに、サッカロマイセス・
セレビシエにおけるコドン用法を用いて遺伝暗号化され
た塩基配列を有することができる。
【0020】なお、DNAは、化学的に合成することも
できるし、長鎖DNAの合成方法として知られている藤
本らの手法(藤本英也、合成遺伝子の作製法、植物細胞
工学シリーズ7 植物のPCR実験プロトコール、19
97、秀潤社、p95−100)を採用することもでき
る。
【0021】(DNA構築物)本外来タンパク質のアミ
ノ酸配列をコードするDNAを導入し、このDNAがコ
ードするタンパク質を発現させることにより、宿主細胞
において乳酸を生産させることができる。形質転換にあ
たっては、本DNAからなるDNAセグメントを、宿主
細胞内で発現可能とするDNA構築物を用いる。形質転
換のためのDNA構築物の態様としては、特に限定しな
いでプラスミド(DNA)、バクテリオファージ(DN
A)、レトロトランスポゾン(DNA)、人工染色体
(YAC、PAC、BAC、MAC等)を、外来遺伝子
の導入形態(染色体外あるいは染色体内)や宿主細胞の
種類に応じて選択して採用することができる。また、線
状あるいは環状の形態を問うものではない。したがっ
て、本DNA構築物は、本DNAの他、これらのいずれ
かの態様のベクターの構成セグメントを備えることがで
きる。好ましい原核細胞性ベクター、真核細胞性ベクタ
ー、動物細胞性ベクター、植物細胞性ベクターは当該分
野において周知である。
【0022】なお、プラスミドDNAとしては、例え
ば、pRS413、pRS415、pRS416、YC
p50、pAUR112またはpAUR123などのY
Cp型大腸菌−酵母シャトルベクター、pYES32ま
たはYEp13などのYEp型大腸菌−酵母シャトルベ
クター、pRS403、pRS404、pRS405、
pRS406、pAUR101またはpAUR135な
どのYIp型大腸菌−酵母シャトルベクター、大腸菌由
来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC
18、pUC19、pUC119、pTV118N、p
TV119N、pBluescript、pHSG29
8、pHSG396又はpTrc99AなどのColE
系プラスミド、pACYC177又はpACYC184
などのp1A系プラスミド、pMW118、pMW11
9、pMW218又はpMW219などのpSC101
系プラスミド等)、枯草菌由来のプラスミド(例えば、
pUB110、pTP5等)などを挙げることができ
る。ファージDNAとしては、λファージ(Charo
n4A、Charon21A、EMBL3、EMBL
4、λgt100、gt11、zap)、φX174、
M13mp18又はM13mp19などを挙げることが
できる。レトロトランスポゾンとしては、Ty因子など
を挙げることができる。YACとしては、pYACC2
などを挙げることができる。
【0023】本DNA構築物を作製するには、本DNA
を含むフラグメントなどを適当な制限酵素で切断し、使
用するベクターDNAの制限酵素部位あるいはマルチク
ローニングサイトに挿入などすることによる。本DNA
構築物の第1の態様は、本DNAからなるDNAセグメ
ントを発現可能に連結されるプロモーターセグメントを
備えている。すなわち、プロモーターにより制御可能に
そのプロモーターの下流側に本DNAセグメントが連結
されている。
【0024】本DNA産物、すなわち、LDH活性を備
えるタンパク質の発現にあっては、酵母における発現が
好ましいことから、酵母中で発現するプロモーターを使
用することが好ましい。かかるプロモーターとしては、
例えば、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子プロモーター、g
al1プロモーター、gal10プロモーター、ヒート
ショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモータ
ー、PH05プロモーター、PGKプロモーター、GA
Pプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモ
ーターなどを使用することが好ましい。特に、サッカロ
マイセス属由来のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子プロモ
ーターが好ましく、サッカロマイセス・セレビシエ由来
のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子プロモーターを利用す
ることがより好ましい。これらのプロモーターは、サッ
カロマイセス属(セレビシエ)のエタノール発酵経路に
おいて高発現されているからである。なお、かかるプロ
モーター配列は、サッカロマイセス属酵母のピルビン酸
脱炭酸酵素1遺伝子のゲノムDNAを鋳型とするPCR
増幅法によって単離することができる。サッカロマイセ
ス・セレビシエ由来の当該プロモーターの塩基配列を、
配列番号2に示す。なお、本DNA構築物におけるプロ
モーターセグメントには、この配列番号2記載の塩基配
列からなるDNAの他、この塩基配列において1若しく
は数個の塩基が欠失,置換若しくは付加された塩基配列
からなり、かつプロモーター活性を有するDNA、配列
番号2で示される塩基配列の全部若しくは一部の配列か
ら調製されたDNAあるいはその相補鎖とストリンジェ
ントな条件でハイブリダイズし、かつプロモーター活性
を有するDNA(換言すれば、当該プロモーターのホモ
ログ)を用いることができる。
【0025】また、本DNA構築物の他の態様である第
2のDNA構築物は、本DNAの他、宿主染色体を相同
組換えのためのDNAセグメントを備える。相同組換え
用DNAセグメントは、宿主染色体において本DNAを
導入しようとするターゲット部位近傍のDNA配列と相
同なDNA配列である。相同組換え用DNAセグメント
は、少なくとも1個備えられ、好ましくは、2個備えら
れている。例えば、2個の相同組換え用DNAセグメン
トを、染色体上のターゲット部位の上流側と下流側のD
NAに相同なDNA配列とし、これらのDNAセグメン
トの間に本DNAを連結することが好ましい。
【0026】相同組換えにより宿主染色体に本DNAを
導入する場合、宿主染色体上のプロモーターにより制御
可能な状態で本DNAを導入することができる。この場
合、本DNAの導入によって、同時に、本来当該プロモ
ーターによって制御されるべき内在性遺伝子を破壊し、
この内在性遺伝子に替えて外来の本DNAを発現させる
ことができる。特に、当該プロモーターが、宿主細胞に
おいて高発現プロモーターである場合に有用である。
【0027】かかる発現系を宿主染色体上に創出するに
は、宿主染色体において高発現遺伝子をターゲットと
し、この遺伝子を制御するプロモーターの下流にプロモ
ーターにより制御を受けるように本DNAを導入するよ
うにすることが好ましい。酵母などのエタノール発酵性
微生物を宿主とする場合、ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子
(特に、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子)をターゲット
とし、内在性のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子プロモータ
ーの制御下にLDH活性タンパク質をコードするDNA
を導入することができる。この場合、相同組換え用DN
Aセグメントは、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子のLD
Hの構造遺伝子領域あるいはその近傍の配列(開始コド
ンの近傍の配列、開始コドンの上流域の配列、構造遺伝
子内の配列などを含む)と相同とすることができる。好
ましくは、サッカロマイセス属(特にセレビシエ)を宿
主として、この宿主のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子を
ターゲットとするDNA構築物とする。かかるDNA構
築物によれば、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子の破壊と
この構造遺伝子部分のLDHによる置換を一つのベクタ
ーで達成することができる。ピルビン酸脱炭酸酵素1
は、ピルビン酸からアセトアルデヒドへの付加逆反応を
媒介する酵素であり、この遺伝子を破壊することによ
り、アセトアルデヒドを経たエタノール生産が抑制され
ることが期待されるとともに、ピルビン酸を基質とする
LDHによる乳酸生産が促進されることが期待できる。
【0028】なお、第1のDNA構築物であっても、宿
主染色体との相同組換えのためのDNAセグメントを備
えることにより、相同組換え用のDNA構築物とするこ
とができる。第1のDNA構築物にあっては、DNA構
築物中のプロモーターセグメントを、宿主染色体との相
同組換え用のDNAセグメントに兼用することもでき
る。例えば、宿主サッカロマイセス・セレビシエに対し
て、サッカロマイセス・セレビシエ宿主染色体にあるプ
ロモーター、例えば、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子プ
ロモーターをプロモーターセグメントとして有するDN
A構築物は、当該遺伝子1をターゲット部位とするター
ゲティングベクターを構成する。この場合、ピルビン酸
脱炭酸酵素1遺伝子の構造遺伝子領域に対する相同配列
を備えることが好ましい。
【0029】なお、DNA構築物には、ターミネーター
他、必要に応じてエンハンサーなどのシスエレメント、
スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マ
ーカー、リボソーム結合配列(SD配列)を連結するこ
とができる。選択マーカーとしては、特に限定しない
で、薬剤抵抗性遺伝子、栄養要求性遺伝子などを始めと
する公知の各種選択マーカー遺伝子を利用できる。例え
ば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺
伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等を使用することができ
る。
【0030】(DNA構築物による形質転換)一旦、D
NA構築物が構築されたら、適当な宿主細胞に、トラン
スフォーメーション法や、トランスフェクション法、接
合法、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション
法、リポフェクション法、酢酸リチウム法、パーティク
ルガン法、リン酸カルシウム沈殿法、アグロバクテリウ
ム法、PEG法、直接マイクロインジェクション法等の
各種の適切な手段のいずれかにより、これを導入するこ
とができる。DNA構築物の導入後、その受容細胞は、
選択培地で培養される。
【0031】宿主細胞は、Eshrichia coli、Bacillus s
ubtilisなどの細菌、サッカロマイセス・セレビシエ、シ
ゾサッカロマイセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母、
sf9、sf21等の昆虫細胞、COS細胞、チャイニ
ーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)などの動物細
胞、サツマイモ、タバコなどの植物細胞などとすること
ができる。好ましくは、酵母などのアルコール発酵を行
う微生物あるいは耐酸性微生物であり、例えば、サッカ
ロマイセス・セレビシエなどのサッカロマイセス属を始
めとする酵母である。具体的には、サッカロマイセス・
セレビシエIFO2260株や同YPH株である。
【0032】DNA構築物によって形質転換された形質
転換体においては、DNA構築物の構成成分が染色体上
あるいは染色体外因子(人工染色体を含む)上に存在す
ることになる。なお、DNA構築物が染色体外に維持さ
れている場合、あるいは、ランダムインテグレーション
により染色体に組み込まれている場合には、LDHの基
質であるピルビン酸を基質とする他の酵素、例えば、ピ
ルビン酸脱炭酸酵素の遺伝子(サッカロマイセス属酵母
においては、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子)は、ター
ゲティングベクターによりノックアウトされていること
が好ましい。上述のDNA構築物であって、相同組換え
を達成できるDNA構築物が導入されると、宿主染色体
上の所望のプロモーターあるいは当該プロモーターと置
換された当該プロモーターのホモログの下流に当該プロ
モーターによって制御可能に連結された本DNAである
DNAセグメントが存在することになる。サッカロマイ
セス属酵母の形質転換体にあっては、宿主染色体上にお
いて、ピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子プロモーターある
いは当該プロモーターと置換された当該プロモーターの
ホモログの下流に当該プロモーターによって制御可能に
本DNAを備えることが好ましい。また、通常、相同組
換え体における本DNAの下流側には、選択マーカー遺
伝子や、破壊された構造遺伝子の一部(DNA構築物上
の相同配列に対応する部位)が存在する。
【0033】なお、所望のプロモーター下に本DNAが
導入されたか否かの確認は、PCR法やサザンハイブリ
ダイゼーション法により行うことができる。例えば、形
質転換体からDNAを調製し、導入部位特異的プライマ
ーによりPCRを行い、PCR産物について、電気泳動
において予期されるバンドを検出することによって確認
できる。あるいは蛍光色素などで標識したプライマーで
PCRを行うことでも確認できる。これらの方法は、当
業者において周知である。
【0034】(乳酸の製造)DNA構築物が導入されて
得られる形質転換体を培養することにより、培養物中に
外来遺伝子の発現産物である乳酸が生成する。培養物か
ら乳酸を分離する工程を実施することにより、乳酸を得
ることができる。なお、本発明において培養物とは、培
養上清の他、培養細胞あるいは菌体、細胞若しくは菌体
の破砕物を包含している。本発明の形質転換体の培養に
あたっては、形質転換体の種類に応じて培養条件を選択
することができる。このような培養条件は、当業者にお
いては周知である。大腸菌や酵母等の微生物を宿主とし
て得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物
が資化可能な炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形
質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれ
ば、天然培地、合成培地のいずれも使用することができ
る。炭素源としては、グルコース、フルクトース、スク
ロース、デンプン、セルロース等の炭水化物、酢酸、プ
ロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等の
アルコールを用いることができる。窒素源としては、ア
ンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは
有機酸のアンモニウム塩またはその他の含窒素化合物の
他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等を
用いることができる。無機物としては、リン酸第一カリ
ウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナ
トリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カ
ルシウムなどを用いることができる。
【0035】培養は、通常、振とう培養または通気攪拌
培養等の好気条件下、30℃で6〜24時間行う。培養
期間中、pHは2.0〜6.0に保持することが好まし
い。また、pHの調整は、無機あるいは有機酸、アルカ
リ溶液等を用いて行うことができる。培養中は、必要に
応じてアンピシリン、テトラサイクリンなどの抗生物質
を培地に添加することができる。
【0036】動物細胞を宿主として得られた形質転換体
を培養する倍地としては、一般に使用されているRPM
I1640倍地、DMEM倍地またはこれらの培地にウ
シ胎児血清などを添加した培地を用いることができる。
培養は、通常、5%CO存在下、37℃で1〜30日
行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリン
などの抗生物質を培地に添加してもよい。
【0037】培養は、回分式であっても連続式であって
もよい。培養方式としては、アンモニアやカルシウム塩
などのアルカリにより中和しつつ乳酸アンモニウムや乳
酸カルシウムなどの乳酸塩として得る方式のほか、フリ
ーの乳酸として得る方式も採用できる。培養終了後、培
養物から遺伝子産物である乳酸を分離するには、通常の
精製手段などを各種組み合わせて使用することができ
る。例えば、形質転換細胞内に生産された場合は、常法
により菌体を超音波破壊処理、摩砕処理、加圧破砕など
に細胞を破壊して,遺伝子産物を細胞と分離することが
できる。この場合、必要に応じてプロテアーゼを添加す
る。また、培養上清に乳酸が生産された場合には、この
溶液を、ろ過、遠心分離などにより固形分を除去する。
【0038】例えば、培養工程終了後は、培養液をベル
トプレス、遠心分離、フィルタープレスなどの少なくと
も1種の固液分離処理によって固液分離工程を実施する
ことができる。分離したろ液については、精製工程を実
施することが好ましい。精製工程においては、例えば、
乳酸を含むろ液を電気透析によって乳酸以外の有機酸や
糖類を除去して乳酸あるいは乳酸アンモニウム水溶液と
することができる。乳酸アンモニウム液の場合、バイポ
ーラ膜等によってアンモニアを分解し、乳酸水溶液とア
ンモニア水とすることができる。該ろ液中の乳酸以外の
有機酸や糖類の含量が比較的少ない場合には、電気透析
をせず、必要に応じて水分を蒸発させて濃縮し、バイポ
ーラ膜の処理を行うこともできる。なお、培養液、粗抽
出画分に対しては、上記方法に限られず、有機溶剤によ
る分離抽出、蒸留等の各種精製分離法等を利用して、乳
酸あるいはその塩を精製することができる。また、必要
に応じて、培養液、粗抽出画分及びその精製物に対して
エステル化、ラクチド化、オリゴマーあるいはプレポリ
マー化等の処理を行うことにより、各種の乳酸誘導体を
得ることができる。必要に応じて、乳酸発酵液から乳
酸、その塩及びその誘導体の1種あるいは2種以上を採
取することができる。
【0039】
【実施例】以下に、本発明の具体例を記載するが、本発
明は以下の具体例に限定する趣旨ではない。
【0040】(実施例1:L−乳酸脱水素酵素遺伝子の
DNA配列の設計)高等真核生物であるウシ由来のタン
パク質であるL−乳酸脱水素酵素を、酵母サッカロマイ
セス・セレビシエ属において効率的に生産するために、
ウシ由来L−乳酸脱水素酵素のアミノ酸配列をコードす
るDNAに対して、以下の項目を設計指針として、天然
にない新規な遺伝子配列を設計した。 1)サッカロマイセス・セレビシエにおいて多用されて
いるコドンを用いた。 2)開始コドンをはさんでコザック配列(ANNATG
G)を付加した。 3)mRNAの不安定配列や繰り返し配列をできる限り
排除した。 4)全領域にわたってGC含量の偏りに差がでないよう
にした。 5)設計した配列中に遺伝子クローニングに不適当な制
限酵素部位ができないようにした。 6)染色体導入型ベクターに組み込むための両末端に有
用な制限酵素EcoRI、XhoI、AflIII部位を付加した。 酵母におけるコドンの使用頻度は、コドンユーセージデ
ータベース(http://www.kazusa.or.jp/codon/)から得
られるサッカロマイセス・セレビシエのコドンユーセー
ジを図2に示す。この図において特定アミノ酸に対応し
て多用されているコドンを特定した(下線をしたコド
ン)。
【0041】図1に示すコドンユーセージにおける多用
コドンの適用の他、上記2)〜5)の設計指針に基づい
て得られたLDH活性を有するタンパク質をコードする
新規なDNA配列(999bp)(以下、LDHKCB
遺伝子と称す。)を配列番号3に示す。また、配列番号
3に示すDNA配列とその開始コドンの上流側および終
止コドンの下流側とを含むDNA配列(1052bp)
(以下、LDHKCB配列と称す。)を配列番号4に示
す。
【0042】配列番号3に記載のDNA配列において
は、メチオニン以外の全てのアミノ酸において、もとの
DNA配列で使用したのと異なるコドンを使用してい
た。なお、新たに採用されたコドンは、全て図1に示す
多用コドンであった。さらに、もとのウシ由来のLDH
遺伝子とLDHKCB遺伝子とについて、コンピュータ
ーによるホモロジー解析を行った結果を図2に示す。図
2から明らかなように、DNA配列のほぼ全域にわたっ
て多数の置換を要することがわかった。
【0043】(実施例2:LDHKCB配列の全合成)
本実施例では、長鎖DNAの合成方法として知られてい
る藤本らの手法(藤本英也、合成遺伝子の作製法、植物
細胞工学シリーズ7 植物のPCR実験プロトコール、
1997、秀潤社、p95−100)を用いた。この方
法の原理は、100mer程度のオリゴヌクレオチドプ
ライマーを3’末端に10〜12mer程度のオーバー
ラップを持つように作製し、お互いのオリゴヌクレオチ
ドプライマーのオーバーラップ領域を利用して、欠損部
分を伸張させ、さらに両末端のプライマーを用いてPC
Rを行うことによって増幅するというものである。この
操作を順次繰り返し、目的とする長鎖DNAを合成す
る。PCR増幅装置には、Gene Amp PCR s
ystem9700(PE、Applied Bios
ystems)を使用した。具体的には、最初に連結さ
せたい2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを混合
し、KOD−plus−DNA polymerase
(東洋紡)存在下で、96℃、2分、68℃2分、54
℃2分、72℃30分の反応条件でDNA伸張反応を行
った。次に、本試料の1/10量を鋳型にして、両末端
のプライマー存在下で、96℃2分後、96℃で30
秒、55℃で30秒、72℃で90秒を1サイクルと
し、これを25サイクル行い、その後4℃とするPCR
反応をおこなった。反応におけるバッファ、dNTPm
ixなどは、DNA polymeraseに附属のも
のを使用した。一連のオーバーラップPCR法を図3に
従って順次行っていき、最終目的とすつ遺伝子断片を作
製した。図3に示す各種プライマー(BA、B01、BB、B0
2、BC、B03、BD、B04、BE、B05、BF、B06、BG、B07、B
H、B08、BI、B09、BJ、B10、BK、B11、BL、B12、BM、B1
3、BN、B14の全28種のプライマーのDNA配列を配列
番号5〜32にそれぞれ示す。合成したLDHKCB配
列について、塩基配列を確認した後、EcoRIにて制
限酵素処理し、同様にEcoRIにて酵素処理したpC
R2.1 TOPO Vector(Invitirog
en)に常法により連結した。このベクターをpBTO
PO−LDHKCBベクターと称した。
【0044】(実施例3:酵母染色体導入用ベクターの
構築)実施例2において全合成したLDHKCB配列を
用いて、酵母染色体導入型ベクターを構築した。このベ
クターを、pBTRP-PDC1-LDHKCBと称し、このプラスミド
マップを図4に示す。 1.pBTrp-PDC1-LDHKCB構築のためのPDC1P断片の単離 PDC1P断片は、サッカロマイセス・セレビシエYPH株(St
ratagene社)のゲノムDNAを鋳型として使用したPCR
増幅法によって単離を行った。
【0045】サッカロマイセス・セレビシエYPH株のゲ
ノムDNAは、ゲノム調製キットであるFast DNA Kit
(Bio 101社)を用い、詳細は、附属のプロトコールに
従い、調製した。DNA濃度は分光光度計Ultro
spec 3000(Amersham Pharmac
ia Biotech社)にて測定した。
【0046】PCR反応には、増幅酵素として、増幅断片
の正確性が高いとされるPyrobest DNA Polymerase(宝
酒造)を使用した。上記手法にて調製したサッカロマイ
セス・セレビシエYPH株のゲノムDNA50ng/サ
ンプル、プライマーDNA50pmol/サンプル、及
びPyrobestDNApolymerase 0.
2ユニット/サンプルを合計で50μlの反応系に調製
した。反応溶液を、PCR増幅装置 Gene Amp
PCR system 9700(PE Applled
Biosystem社)によってDNA増幅を行つた。
PCR増幅装置の反応条件は、96℃で2分の後、96
℃で30秒、55℃で30秒、72℃で90秒を1サイ
クルとし、これを25サイクル行い、その後4℃とし
た。PCR増幅断片を1%TBEアガロースゲル電気泳
動にて遺伝子増幅断片の確認を行つた。なお反応に使用
したプライマーDNAは、合成DNA(サワデーテクノ
ロジー社)を用い、このプライマーのDNA配列は以下
の通りであった。
【0047】・PDC1P−LDH−U(31mer,
Tm値58.3℃)未端に制限酵素BamH1サイトを付
加:ATA TAT GGA TCC GCG TTT AT
T TAC CTA TCTC (配列番号33) ・PDC1P−LDH−D(31mer、Tm値54.
4℃)末端に制限酵素EcoRIサイトを付加:ATA
TAT GAA TTC TTT GAT TGA TTT
GAC TGTG (配列番号34)
【0048】2.プロモーター及び目的遺伝子を含む組
換えベクターの構築 サッカロマイセス・セレビシエ由来のビルビン酸脱炭酸
酵素1遺伝子(PDC1)プロモーター配列の制御下
で、目的遺伝子としてウシ由来のL-乳酸脱水素酵素遺伝
子(LDH遺伝子)を使用した。
【0049】本組換えベクター構築のために新たに構築
した染色体導入型ベクターをpBTrp−PDC1−L
DHKCBと名付けた。以下に本ベクター構築例の詳細
を記す。なお本実施例の概要を図5〜8に示す。但し、
ベクター構築の手順はこれに限定されるものではない。
ベクターの構築にあたって、必要な遺伝子断片であるP
DCl遺伝子のプロモーター断片(PDC1P)971
bpと、PDCl遺伝子下流領域断片(PDC1D)5
18bpは、上述のように、サッカロマイセス・セレビ
シエYPH株のゲノムDNAを鋳型として使用したPC
R増幅法によって単離を行った。PCR増幅の手順は上
記の通りであるが、PDCl遺伝子下流領域断片の増幅
には、以下のプライマーを使用した。 ・PDC1D−LDH−U(34mer、Tm値55.
3℃)未端に制限酵素XhoIサイトを付加:ATA
TAT CTC GAG GCC AGC TAA CTT
CTT GGTCGA C (配列番号35) ・PDC1D−LDH−D(31mer、Tm値54.
4℃)末端に制限酵素ApaIサイトを付加:ATA
TAT GAA TTC TTT GAT TGA TTT
GAC TGTG (配列番号36)
【0050】上記反応にて取得したPDC1P及びPD
C1D各遺伝子増幅断片をそれぞれ、エタノール沈殿処
理によって精製した後、PDC1P増幅断片を制限酵素
BamHI/EcoRI及びPDC1D増幅断片を制限
酵素XhoI/ApaIにて制限酵素反応処理を行っ
た。なお、以下に用いた酵素類はすべて宝酒造社製のも
のを用いた。また、エタノール沈殿処理、制限酵素処理
の一連操作の詳細なマニュアルはMolecular
Cloning A Laboratory Manua
l second editlon (Maniatis
et al.,Cold Spring Harbor L
aboratory press.1989)に従っ
た。
【0051】ベクターの構築における一連の反応操作
は、一般的なDNAサブクローニング法に準じて行っ
た。すなわち、制限酵素BamHI/EcoRI(宝酒
造社)及び脱リン酸化酵素Alkaline Phos
phatase(BAP、宝酒造社)を施したpBlu
escriptII SK+ベクター(東洋紡社)に、
上記PCR法にて増幅し制限酵素処理を施したPDC1
P断片をT4 DNA Ligase反応によって連結さ
せた(図5上段)。T4 DNA Ligase反応に
は、LigaFast Rapid DNA Ligat
ion System(プロメガ社)を用い、詳細は付
属のプロトコールに従った。
【0052】次にLigation反応を行った溶液を
用いて、コンピテント細胞への形質転換を行った。コン
ピテント細胞は大腸菌JM109株(東洋紡社)を用
い、詳細は付属のプロトコールに従って行った。得られ
た培養液は抗生物質アンピシリン100μg/mlを含
有したLBプレートにまいて一晩培養した。生育したコ
ロニーにつき、インサート断片のプライマーDNAを用
いたコロニーPCR法による確認、及びミニプレップに
よるプラスミドDNA調製溶液に対する制限酵素処理に
よる確認を行い、目的とするベクターpBPDC1Pベ
クターを単離した(図5中段)。
【0053】ついで、図5の中段に示すように、株式会
社豊田中央研究所によって構築されたpBTOPO−L
DHKCBベクターを制限酵素EcoRI処理及び末端
修飾酵素T4 DNA polymerase処理するこ
とで得られるLDHKCB遺伝子断片を、同じく制限酵
素EcoRI処理、末端修飾酵素T4 DNA poly
merase処理を行ったpBPDC1Pベクター中
に、上述と同様の操作でサブクローニングを行い、pB
PDC1P−LDHKCBベクターを作製した(図5下
段)。
【0054】一方、図6に示すように、トヨタ自動車
(株)によって構築されたpYLDlベクターを制限酵
素EcoRI/AatII処理及び末端修飾酵素T4
DNApolymerase処理することで得られるL
DH遺伝子(ビフィドバクテリウム・ロンガム由来)断
片を、同じく制限酵素EcoRI処理、末端修飾酵素T
4 DNA polymerase処理を行ったpBPD
C1Pベクター中に、上述と同様の操作でサブクローニ
ングを行い、pBPDC1P−LDH1ベクターを作製
した(図6)。なお、上記のpYLDlベクターは大腸
菌に導入され(名称: 「E.coll pYLD
1」)、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託
センター(〒305-8566 日本国茨城県つくば市東1丁目
1番地1 中央第6)に、受託番号FERM BP−74
23としてブダベスト条約に基づき国際寄託されている
(原寄託日:平成11(1999)年10月26日)。
【0055】続いて、図7に示すように、このベクター
をXhoI/ApaI処理し、同様に制限酵素処理を施
した増幅PDC1D断片を連結させてpBPDC1P−
LDHベクターを作製した(図7上段)。最後にpBP
DC1P−LDHIIベクターをEcoRV処理したも
のに、pRS404ベクター(Stratagene
社)をAatII/SspI処理、T4 DNApol
ymerase処理して得られたTrpマーカー断片を
連結させて、pBTrp−PDCl−LDHベクターを
構築した。
【0056】次に、図8に示すように、pBPDC1P
−LDHKCBベクターをApaI/EcoRIにて制
限酵素処理し、一方、pBTrp−PDC1−LDHベ
クターを、制限酵素ApaIおよびStuIで処理した
Trpマーカーを含む断片に処理し、増幅させた断片を
連結させて、最終コンストラクトである染色体導入型p
BTrp−PDC1−LDHKCBベクターを構築し
た。
【0057】構築した染色体導入型pBTrp−PDC
1−LDHKCBベクターの確認の為に塩基配列決定を
行った。塩基配列解析装置としてABI PRISM 3
10Genetic Analyzer(PE Appl
ied Blosystems社)を使用し、試料の調
製法、及び機器の使用方法等の詳細は本装置付属のマニ
ュアルに従った。試料となるベクターDNAはアルカリ
抽出法により調製したものを用い、これをGFX DN
A Purification kit(Amersha
n Pharmacia Blotech社)にてカラム
精製した後、分光光度計Ultro spec 3000
(Amershan Pharmacia Blotec
h社)にてDNA濃度を測定したものを用いた。
【0058】(実施例4:酵母の形質転換)酵母への遺
伝子導入法は、Itoらの手法(Ito, H., Y. Fukuda,
K.Murata and A. Kimura, Transformation of intact y
east cells treated with alkali cations J. Bacterio
l. Vol.153, p163-168)に従った。すなわち、宿主であ
る酵母IFO2260株(社団法人発酵研究所に登録さ
れている菌株)のトリプトファン合成能を欠損した株
を、10mlYPD培地にて30℃で対数増殖期まで培
養を行い、集菌およびTEバッファによる洗浄を行っ
た。次に、0.5ml TEバッファと0.5ml 0.
2Mの酢酸リチウムを加え、30℃にて1時間の振とう
培養を行った後に、実施例3の手法を用いて構築した染
色体導入型ベクターpBTrp−PDCl−LDHKC
Bベクターを、制限酵素ApaIおよびSacI(いず
れも宝酒造)で処理して、これを添加した。
【0059】本酵母懸濁液を30℃で30分振とう培養
後、150μlの70%ポリエチレングリコール400
0(和光純薬)を加え、よく攪拌した。さらに、30℃
にて1時間振とう培養した後、42℃にて5分間ヒート
ショックを与え、菌体を洗浄した後、200μlの水に
懸濁したものをトリプトファン選択培地に塗沫した。
【0060】得られたコロニーを新たなトリプトファン
選択培地に画線培養し、安定性が確認できた選抜株につ
いて、遺伝子導入の有無をPCR解析によって確認し
た。PCRに鋳型として用いる酵母のゲノムDNAは、
シングルコロニーを2mlYPD培地で一晩振とう培養
を行った後、集菌し、50mM Tris−HCl 50
0μlおよびガラスビーズ(425〜600μm、Ac
id washed、SIGMA)を加え、4℃で15
分間ボルテックスを行うことにより調製した。本溶液の
上清を用いてエタノール沈殿を行い、滅菌水50μlに
溶解した、調製したゲノムDNA5μlを鋳型として、
50μlの反応系でPCRを行った。DNA増幅酵素と
しては、EX Taq DNA Polymerase
(宝酒造)を用い、PCR増幅装置Gene Amp P
CR system 9700(PE Applied B
iosystems)を使用した。PCR増幅装置の反
応条件は、96℃2分の後、96℃で30秒、55℃で
30秒、72℃で90秒を1サイクルとし、これを30
サイクル行い、その後4℃とした。使用したプライマー
の配列は以下の通りであった。 LDH−KCB−U:TGG TTG ATG TTA T
GG AAG AT(20mer)(配列番号37) LDH−KCB−D:GAC AAG GTA CAT A
AA ACC CAG(21mer)(配列番号38) PDC1P−U3:GTA ATA AAC ACA CC
C CGC G(19mer)(配列番号39)
【0061】安定したトリプトファン合成能を有し、か
つ、これらのプライマーのもとでPCR増幅が確認でき
たものを、LDHKCB遺伝子が適切に導入された形質
転換株であると判断した。本実施例においては、かかる
形質転換株として、KCB−27株、KCB−210
株、およびKCB−211株の3種の菌株を取得するこ
とができた。これら酵母サッカロマイセス・セレビシエ
形質転換体のゲノム染色体上の構造を図9に示す。
【0062】(実施例5:形質転換体におけるL−乳酸
生産量の測定)作製した3種の形質転換株について発酵
試験を行った。前培養として、グルコース濃度2%のY
PD液体培地で一晩培養を行い、これを集菌および洗浄
後、グルコース濃度15%のYPD液体培地に菌体濃度
が1%(0.5g/50ml)になるように植菌し、3
0℃の静置培養にて数日間発酵を行った。本発酵液を2
4時間ごとに採取し、溶液中に含まれるL−乳酸量を想
定した。生産量の測定は、バイオセンサBF−4(王子
計測機器)を用い、測定方法の詳細は、附属の取り扱い
説明書に従った。
【0063】グルコース濃度15%で発酵3日目におけ
る培養液中のL−乳酸量およびエタノール量を測定した
結果を図10および表1に示す。また、KCB−27株
については、0〜5日目のL−乳酸量とエタノール量と
の経緯を図11と表2に示す。
【表1】
【表2】 LDHKCB遺伝子が導入された形質転換体(KCB−
27株、KCB−210株、KCB−211株)では、
それぞれLDHKCB遺伝子が1コピーしか導入されて
いないのにもかかわらず、培養液1Lあたり、4.5〜
5.0%(45.0〜50.0g)のL−乳酸生産が認
められた。一方、これらの形質転換体では、エタノール
生産量は5%となり、形質転換前の親株であるIFO2
260株と対比すると、2.5%程度減少していた。本
結果は、過去に報告されているサッカロマイセス・セレ
ビシエにおけるL−乳酸生産と比較して飛躍的な生産量
の増大であることは明らかであった。また、かかる生産
量の増大は、酵母由来のピルビン酸脱炭酸酵素の対ピル
ビン酸基質親和性よりも、同等かあるいは高い基質親和
性を有するLDHを導入したことによるものと考えられ
る。また、染色体上のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子の
プロモーターの制御下に導入したことによるものと考え
られる。以上の結果からすると、1コピーによってもか
かる生産量の増大を得られることから、2コピー以上が
導入された場合には、さらなる生産量の増大を確保でき
ることが推測される。
【0064】(実施例6:各種真核生物由来のL−乳酸
脱水素酵素の対ピルビン酸基質親和性(ミカエリス定
数、Km値)の測定 ウシ由来のL−乳酸脱水素酵素の対ピルビン酸基質親和
性(ミカエリス定数、Km値)を以下に示す手法により
測定した。また、乳酸菌由来のL−乳酸脱水素酵素の対
ピルビン酸基質親和性との比較を行った。なお、対ピル
ビン酸基質親和性(Km値)の測定においては、最初
に、精製されたL−乳酸脱水素酵素にピルビン酸、及び
NADH、FBPを添加して酵素反応を行い、NADH
の減少率を分光光度計(Ubest-55、日本分光)ABS:340
nmにて測定し、各L−乳酸脱水素酵素活性を求めた。次
に、各ピルビン酸濃度におけるL−乳酸脱水素酵素活性
の値をもとに、ピルピン酸飽和曲線及び各逆数から算出
されるLineweaver-Burkプロットを作製し、L−乳酸脱
脂水素酵素における対ピルビン酸基質親和性(ミカエリ
ス定数、Km値)を求めた。
【0065】精製されたウシ筋肉由来L−乳酸脱水素酵
素0.05μg(SIGMA社製)にpH7.0に調製
した50mMMOPS緩衝液(ナラカイ)、0.15m
MNADH(SIGMA社製)、1mM FBP(SI
GMA)を加えた溶液を、37℃下で2〜3分保温し
た。次に、濃度調製した0.01〜100mMのピルビ
ン酸(和光純薬)を加え、すばやく混和後、分光光度計
(Ubset-55、日本分光)にセットし、ABS:340nmにおけ
る1分間の吸光度変化を求めた。なお、LDH活性は、
以下の式(数5)により求めた。
【数5】 なお、本手法は、1. Minowa T., Iwata S., Sakai H.,
and Ohta T. Sequenceand characteristics of the Bif
idobacterium longum gene encoding L-lactate dehydr
ogenase and primary struture of the enzyme; a new
feature of the allosteric site. Gene, 1989,Vol.8
5, 161-168及び2. SIGMA、LACTATE DEHYDROGENASE(LDH/
LD)付属の取り扱い説明書に記載の方法に準じて行っ
た。
【0066】得られたLDH活性をもとに、縦軸に[V]
=LDH酵素活性(U/mg)、横軸に[S]=ピルビン
酸濃度(mM)で示したピルビン酸飽和曲線を作成し
た。このグラフを図12に示す。さらに、縦軸に1/
[V]、横軸に1/[S]と、各値の逆数から算出されるLi
neweaver-Burkプロットを作製した。本酵素についての
本プロットを図13に示す。Lineweaver-Burkプロット
における1/[V]軸との交点が1/Vmax、1/[S]軸
との交点が−1/Kmとなることを利用して、対ピルビ
ン酸濃度基質親和性(Km値)を算出した。
【0067】各Lineweaver-Burkプロットにより、ウシ
筋肉由来のL−乳酸脱水素酵素の対ピルビン酸基質親和
能は、0.1mMであった。なお、本発明者らは、乳酸
菌ビフィドバクテリウム・ロンガム由来のL−乳酸脱水
素酵素の対ピルビン酸基質親和性は1.0mMであると
いう知見を有している。
【0068】ここで、乳酸菌ビフィドバクテリウム・ロ
ンガム(Bifidobacterium longum)由来のL−乳酸脱水
素酵素をコードするDNAを宿主に導入して高発現させ
た組換え酵母におけるL−乳酸とアルコールの生産量を
以下のとおりであった(発酵条件は、グルコース15%
を含むYPD培地中での30℃、3日間であった)。な
お、当該乳酸菌由来の組換え酵母を得るためのベクター
(pBTrp−PDC1P−LDH;7.11kb)及
びその構築工程を図14及び図15に示す。なお、当該
形質転換酵母においては、当該遺伝子は、宿主染色体上
のPDC遺伝子座にノックインによりPDC1プロモー
ターにより制御可能に導入された。なお、この形質転換
酵母は、当該L−乳酸脱水素酵素遺伝子が宿主染色体上
の一対のPDC遺伝子座にそれぞれ導入された2コピー
体であることが確認されている。なお、当該ベクターの
構築及び酵母の形質転換の操作は、図14及び図15に
示す事項以外は、実施例3及び4に準じて行った。
【0069】表3に示すように、この結果と実施例5に
おいて試験したウシ筋肉由来のL−乳酸脱水素酵素によ
る結果と対比すると、ウシ筋肉由来LDH導入酵母によ
るL−乳酸生産量は、乳酸菌由来LDH導入酵母の約2
倍であった。
【表3】
【0070】(実施例7:酵母由来のピルビン酸脱炭酸
酵素の対ピルビン酸基質親和性(ミカエリス定数、Km
値)の測定 酵母由来のピルビン酸脱炭酸酵素活性及び対ピルビン酸
基質親和性(Km値)の測定においては、最初に、精製
されたピルビン酸脱炭酸酵素にピルビン酸、及びNAD
H、チアミンを添加して酵素反応を行い、NADHの減
少率を分光光度計(Ubest-55、日本分光)ABS:340nmに
て測定し、酵母由来ピルビン酸脱炭酸酵素活性を求め
た。次に、各ピルビン酸濃度におけるピルビン酸脱炭酸
酵素活性の値をもとに、ピルピン酸飽和曲線及び各逆数
から算出されるLineweaver-Burkプロットを作製し、ピ
ルビン酸脱炭酸酵素における対ピルビン酸基質親和性
(ミカエリス定数、Km値)を求めた。
【0071】精製された酵母由来ピルビン酸脱炭酸酵素
0.05μg(SIGMA社製)にpH7.0に調製し
た34mMイミダゾール−HCl緩衝液(和光純薬)、
0.15mM NADH(SIGMA社製)、0.2m
M Tiamine Pyrophosphate (SIGMA)を加えた溶液を3
7℃下で2〜3分保温した。次に、濃度調製した0.0
1〜100mMのピルビン酸(和光純薬)を加え、すば
やく混和後、分光光度計(Ubset-55、日本分光)にセッ
トし、ABS:340nmにおける1分間の吸光度変化を求め
た。なお、PDC活性は、以下の式(数6)により求め
た。
【数6】 なお、本手法は、Pronk, J. T., Steensma, H. Y. and
Dijken, J.P. Pyruvate, Metabolism in Sccharomyces
serevisiae. YEAST, 1996, Vol.12, 1607-1633に記載
される方法に準じた。
【0072】得られたPDC活性をもとに、縦軸に[V]
=PDC酵素活性(U/mg)、横軸に[S]=ピルビン
酸濃度(mM)で示したピルビン酸飽和曲線を作成し
た。本グラフを図16に示す。さらに、縦軸に1/
[V]、横軸に1/[S]と、各値の逆数から算出されるLi
neweaver-Burkプロットを作製した。これらのグラフを
図17に示す。Lineweaver-Burkプロットにおける1/
[V]軸との交点が1/Vmax、1/[S]軸との交点が−
1/Kmとなることを利用して、対ピルビン酸濃度基質
親和能(Km値)を算出した。
【0073】Lineweaver-Burkプロットから、酵母由来
のピルビン酸脱炭酸酵素の対ピルビン酸Km値は、0.
346mMであった。実施例6におけるウシ由来L−乳
酸脱水素酵素の対ピルビン酸Km値0.1mMと比較す
ると、3.46倍高かった。換言すれば、ウシ由来L−
乳酸脱水素酵素は、酵母由来のピルビン酸脱炭酸酵素よ
りも3.46倍高い基質親和性を有していることがわか
った。また、ビフィドバクテリウム・ロンガム由来L−
乳酸脱水素酵素の対ピルビン酸Km値1.0mMと比較
すると、0.346倍であった。換言すれば、当該乳酸
菌由来のL−乳酸脱水素酵素は、酵母由来ピルビン酸脱
炭酸酵素の0.346倍の基質親和性しか有していない
ことがわかった。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、ピルビン酸脱炭酸酵素
遺伝子を有する宿主生物中でエタノール生産を制御し乳
酸を安定的に大量生産させるための技術を提供すること
ができる。
【0075】「配列表フリーテキスト」 配列番号3:L−乳酸脱水素酵素をコードする修飾DNA 配列番号4:L−乳酸脱水素酵素をコードする修飾DNA 配列番号5〜39:プライマー
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha <120> Method of Controling Ethanol production <130> 030083 <140> <141> <150> JP2002-65880 <151> 2002-03-11 <160> 39 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 332 <212> PRT <213> Bovine <400> 1 Met Ala Thr Leu Lys Asp Gln Leu Ile Gln Asn Leu Leu Lys Glu Glu 1 5 10 15 His Val Pro Gln Asn Lys Ile Thr Ile Val Gly Val Gly Ala Val Gly 20 25 30 Met Ala Cys Ala Ile Ser Ile Leu Met Lys Asp Leu Ala Asp Glu Val 35 40 45 Ala Leu Val Asp Val Met Glu Asp Lys Leu Lys Gly Glu Met Met Asp 50 55 60 Leu Gln His Gly Ser Leu Phe Leu Arg Thr Pro Lys Ile Val Ser Gly 65 70 75 80 Lys Asp Tyr Asn Val Thr Ala Asn Ser Arg Leu Val Ile Ile Thr Ala 85 90 95 Gly Ala Arg Gln Gln Glu Gly Glu Ser Arg Leu Asn Leu Val Gln Arg 100 105 110 Asn Val Asn Ile Phe Lys Phe Ile Ile Pro Asn Ile Val Lys Tyr Ser 115 120 125 Pro Asn Cys Lys Leu Leu Val Val Ser Asn Pro Val Asp Ile Leu Thr 130 135 140 Tyr Val Ala Trp Lys Ile Ser Gly Phe Pro Lys Asn Arg Val Ile Gly 145 150 155 160 Ser Gly Cys Asn Leu Asp Ser Ala Arg Phe Arg Tyr Leu Met Gly Glu 165 170 175 Arg Leu Gly Val His Pro Leu Ser Cys His Gly Trp Ile Leu Gly Glu 180 185 190 His Gly Asp Ser Ser Val Pro Val Trp Ser Gly Val Asn Val Ala Gly 195 200 205 Val Ser Leu Lys Asn Leu His Pro Glu Leu Gly Thr Asp Ala Asp Lys 210 215 220 Glu Gln Trp Lys Ala Val His Lys Gln Val Val Asp Ser Ala Tyr Glu 225 230 235 240 Val Ile Lys Leu Lys Gly Tyr Thr Ser Trp Ala Ile Gly Leu Ser Val 245 250 255 Ala Asp Leu Ala Glu Ser Ile Met Lys Asn Leu Arg Arg Val His Pro 260 265 270 Ile Ser Thr Met Ile Lys Gly Leu Tyr Gly Ile Lys Glu Asp Val Phe 275 280 285 Leu Ser Val Pro Cys Ile Leu Gly Gln Asn Gly Ile Ser Asp Val Val 290 295 300 Lys Val Thr Leu Thr His Glu Glu Glu Ala Cys Leu Lys Lys Ser Ala 305 310 315 320 Asp Thr Leu Trp Gly Ile Gln Lys Glu Leu Gln Phe 325 330 <210> 2 <211> 971 <212> DNA <213> Saccharomyces cerevisiae <400> 2 aagggtagcc tccccataac ataaactcaa taaaatatat agtcttcaac ttgaaaaagg 60 aacaagctca tgcaaagagg tggtacccgc acgccgaaat gcatgcaagt aacctattca 120 aagtaatatc tcatacatgt ttcatgaggg taacaacatg cgactgggtg agcatatgct 180 ccgctgatgt gatgtgcaag ataaacaagc aagacggaaa ctaacttctt cttcatgtaa 240 taaacacacc ccgcgtttat ttacctatct ttaaacttca acaccttata tcataactaa 300 tatttcttga gataagcaca ctgcacccat accttcctta aaagcgtagc ttccagtttt 360 tggtggttcc ggcttccttc ccgattccgc ccgctaaacg catatttttg ttgcctggtg 420 gcatttgcaa aatgcataac ctatgcattt aaaagattat gtatgctctt ctgacttttc 480 gtgtgatgaa gctcgtggaa aaaatgaata atttatgaat ttgagaacaa ttctgtgttg 540 ttacggtatt ttactatgga ataattaatc aattgaggat tttatgcaaa tatcgtttga 600 atatttttcc gaccctttga gtacttttct tcataattgc ataatattgt ccgctgcccg 660 tttttctgtt agacggtgtc ttgatctact tgctatcgtt caacaccacc ttattttcta 720 actatttttt ttttagctca tttgaatcag cttatggtga tggcacattt ttgcataaac 780 ctagctgtcc tcgttgaaca taggaaaaaa aaatatatta acaaggctct ttcactctcc 840 ttgcaatcag atttgggttt gttcccttta ttttcatatt tcttgtcata ttcctttctc 900 aattattatt ttctactcat aaccacacgc aaaataacac agtcaaatca atcaaagatc 960 ccccaattct c 971 <210> 3 <211> 999 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Modified DNA coding lactate dehydrogenase <400> 3 atggctactt tgaaagatca attgattcaa aatttgttga aagaagaaca tgttccacaa 60 aataaaatta ctattgttgg tgttggtgct gttggtatgg cttgtgctat ttctattttg 120 atgaaagatt tggctgatga agttgctttg gttgatgtta tggaagataa attgaaaggt 180 gaaatgatgg atttgcaaca tggttctttg tttttgagaa ctccaaaaat tgtttctggt 240 aaagattata atgttactgc taattctaga ttggttatta ttactgctgg tgctagacaa 300 caagaaggtg aatctagatt gaatttggtt caaagaaatg ttaatatttt taaatttatt 360 attccaaata ttgttaaata ttctccaaat tgtaaattgt tggttgtttc taatccagtt 420 gatattttga cttatgttgc ttggaaaatt tctggttttc caaaaaatag agttattggt 480 tctggttgta atttggattc tgctagattt agatatttga tgggtgaaag attgggtgtt 540 catccattgt cttgtcatgg ttggattttg ggtgaacatg gtgattcttc tgttccagtt 600 tggtctggtg ttaatgttgc tggtgtttct ttgaaaaatt tgcatccaga attgggtact 660 gatgctgata aagaacaatg gaaagctgtt cataaacaag ttgttgattc tgcttatgaa 720 gttattaaat tgaaaggtta tacttcttgg gctattggtt tgtctgttgc tgatttggct 780 gaatctatta tgaaaaattt gagaagagtt catccaattt ctactatgat taaaggtttg 840 tatggtatta aagaagatgt ttttttgtct gttccatgta ttttgggtca aaatggtatt 900 tctgatgttg ttaaagttac tttgactcat gaagaagaag cttgtttgaa aaaatctgct 960 gatactttgt ggggtattca aaaagaattg caattttaa 999 <210> 4 <211> 1052 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Modified DNA coding lactate dehydrogenase <400> 4 acagaattca caatggctac tttgaaagat caattgattc aaaatttgtt gaaagaagaa 60 catgttccac aaaataaaat tactattgtt ggtgttggtg ctgttggtat ggcttgtgct 120 atttctattt tgatgaaaga tttggctgat gaagttgctt tggttgatgt tatggaagat 180 aaattgaaag gtgaaatgat ggatttgcaa catggttctt tgtttttgag aactccaaaa 240 attgtttctg gtaaagatta taatgttact gctaattcta gattggttat tattactgct 300 ggtgctagac aacaagaagg tgaatctaga ttgaatttgg ttcaaagaaa tgttaatatt 360 tttaaattta ttattccaaa tattgttaaa tattctccaa attgtaaatt gttggttgtt 420 tctaatccag ttgatatttt gacttatgtt gcttggaaaa tttctggttt tccaaaaaat 480 agagttattg gttctggttg taatttggat tctgctagat ttagatattt gatgggtgaa 540 agattgggtg ttcatccatt gtcttgtcat ggttggattt tgggtgaaca tggtgattct 600 tctgttccag tttggtctgg tgttaatgtt gctggtgttt ctttgaaaaa tttgcatcca 660 gaattgggta ctgatgctga taaagaacaa tggaaagctg ttcataaaca agttgttgat 720 tctgcttatg aagttattaa attgaaaggt tatacttctt gggctattgg tttgtctgtt 780 gctgatttgg ctgaatctat tatgaaaaat ttgagaagag ttcatccaat ttctactatg 840 attaaaggtt tgtatggtat taaagaagat gtttttttgt ctgttccatg tattttgggt 900 caaaatggta tttctgatgt tgttaaagtt actttgactc atgaagaaga agcttgtttg 960 aaaaaatctg ctgatacttt gtggggtatt caaaaagaat tgcaatttta ataactcgag 1020 cttggttgaa cacgttgcca aggcttaagt ga 1052 <210> 5 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 5 acagaattca caatggctac tttgaaagat caattgattc aaaatttgtt gaaagaagaa 60 catgttccac aaaataaaat tactattgtt ggtgttggtg 100 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 6 acagaattca caatggctac 20 <210> 7 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 7 atgataacaa ccacaaccac gacaaccata ccgaacacga taaagataaa actactttct 60 aaaccgacta cttcaacgaa accaactaca ataccttcta 100 <210> 8 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 8 atgataacaa ccacaaccac 20 <210> 9 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 9 tggttgatgt tatggaagat aaattgaaag gtgaaatgat ggatttgcaa catggttctt 60 tgtttttgag aactccaaaa attgtttctg gtaaagatta 100 <210> 10 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 10 tggttgatgt tatggaagat 20 <210> 11 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 11 taacaaagac catttctaat attacaatga cgattaagat ctaaccaata ataatgacga 60 ccacgatctg ttgttcttcc acttagatct aacttaaacc 100 <210> 12 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 12 taacaaagac catttctaat a 21 <210> 13 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 13 tgaatctaga ttgaatttgg ttcaaagaaa tgttaatatt tttaaattta ttattccaaa 60 tattgttaaa tattctccaa attgtaaatt gttggttgtt 100 <210> 14 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 14 tgaatctaga ttgaatttgg t 21 <210> 15 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 15 taacatttaa caaccaacaa agattaggtc aactataaaa ctgaatacaa cgaacctttt 60 aaagaccaaa aggtttttta tctcaataac caagaccaac 100 <210> 16 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 16 taacatttaa caaccaacaa a 21 <210> 17 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 17 agagttattg gttctggttg taatttggat tctgctagat ttagatattt gatgggtgaa 60 agattgggtg ttcatccatt gtcttgtcat ggttggattt 100 <210> 18 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 18 agagttattg gttctggttg t 21 <210> 19 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 19 cagaacagta ccaacctaaa acccacttgt accactaaga agacaaggtc aaaccagacc 60 acaattacaa cgaccacaaa gaaacttttt aaacgtaggt 100 <210> 20 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 20 cagaacagta ccaacctaaa a 21 <210> 21 <211> 100 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 21 ctttgaaaaa tttgcatcca gaattgggta ctgatgctga taaagaacaa tggaaagctg 60 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Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 27 gacaaggtac ataaaaccca gttttaccat aaagactaca acaatttcaa tgaaactgag 60 tacttcttct tcgaacaaac ttttttagac gactatgaaa 100 <210> 28 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 28 gacaaggtac ataaaaccca g 21 <210> 29 <211> 60 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 29 aaaaaatctg ctgatacttt gtggggtatt caaaaagaat tgcaatttta ataactcgag 60 <210> 30 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 30 aaaaaatctg ctgatacttt g 21 <210> 31 <211> 52 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 31 acgttaaaat tattgagctc gaaccaactt gtgcaacggt tccgaattca ct 52 <210> 32 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 32 acgttaaaat tattgagctc g 21 <210> 33 <211> 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Sequence:primer <400> 39 gtaataaaca caccccgcg 19
【図面の簡単な説明】
【図1】サッカロマイセス・セレビシエにおけるコドン
用法と使用頻度を示す図である。
【図2】ウシ由来のLDHの塩基配列とこれを改変設計
した塩基配列とのホモロジー解析結果を示す図である。
上段がウシ由来のLDH塩基配列であり、下段が改変塩
基配列であり、改変塩基配列においてウシ由来の塩基配
列と異なる塩基が記号(A,T,CあるいはG)で記載
されている。
【図3】実施例1で用いたPCRによる長鎖DNA合成
に使用したプライマー構成と、合成ステップ(ステップ
1〜4)を示す図である。
【図4】構築されたベクターpBTrp−PDC1−L
DHKCBのプラスミドマップを示す図である。
【図5】図4に示すベクターの構築工程の一部を示す図
である。
【図6】pBTrp−PDC1−LDHの構築工程の一
部を示す図である。
【図7】pBTrp−PDC1−LDHの構築工程の一
部を示す図である。
【図8】図5に示すベクターの構築工程の一部(最終工
程)を示す図である。
【図9】実施例において得られた形質転換体における染
色体DNA上のターゲット部位の構造変化を示す図であ
る。
【図10】実施例における乳酸生産量とエタノールを示
す図である。
【図11】実施例における乳酸生産量とエタノール生産
量との経緯を示す図である。
【図12】ウシ由来のL−乳酸脱水素酵素のピルビン酸
飽和曲線を示す図である。
【図13】ウシ由来のL−乳酸脱水素酵素のLineweaver
-Burkプロットを示す図である。
【図14】乳酸菌Bifidobacterium longum由来のL−乳
酸脱水素酵素をコードするDNAセグメントを有するを
ベクター(pBTrp−PDC1P−LDH;7.11
kb)の構築工程の一部を示す図である。
【図15】乳酸菌Bifidobacterium longum由来のL−乳
酸脱水素酵素をコードするDNAセグメントを有するを
ベクター(pBTrp−PDC1P−LDH;7.11
kb)の構築工程の一部を示す図であって、図14に示
す工程の後段の工程を示す図である。
【図16】酵母由来のピルビン酸脱炭酸酵素のピルビン
酸飽和曲線を示す図である。
【図17】酵母由来のピルビン酸脱炭酸酵素のLineweav
er-Burkプロットを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 正名 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 今枝 孝夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 宮崎 力 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 徳弘 健郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 齋藤 聡志 愛知県豊田市トヨタ町一番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 早乙女 理 愛知県豊田市トヨタ町一番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 保谷 典子 愛知県豊田市トヨタ町一番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松尾 康生 愛知県豊田市トヨタ町一番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA03 BA08 CA02 DA12 EA04 GA11 GA19 4B064 AD33 CA06 CA19 CC24 CD09 DA16 4B065 AA21Y AA26X AA80X AA90Y AB01 AC14 BA02 BB15 BC03 CA10

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 宿主生物に内在するピルビン酸脱炭酸酵
    素の対ピルビン酸基質親和性と同等かあるいはそれを超
    える対ピルビン酸基質親和性を備える外来の乳酸脱水素
    酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAが導入
    されている形質転換体。
  2. 【請求項2】 前記外来タンパク質をコードするDNA
    は、宿主染色体上のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のプロ
    モーターあるいは当該プロモーターと置換された当該プ
    ロモーターのホモログによって制御可能に導入されてい
    る、請求項1記載の形質転換体。
  3. 【請求項3】前記宿主生物は、サッカロマイセス属であ
    る、請求項1または2に記載の形質転換体。
  4. 【請求項4】前記宿主生物は、サッカロマイセス・セレ
    ビシエである、請求項1または2に記載の形質転換体。
  5. 【請求項5】前記外来タンパク質は、ウシ由来の乳酸脱
    水素酵素あるいはそのホモログである、請求項1〜4の
    いずれかに記載の形質転換体。
  6. 【請求項6】 宿主生物に内在するピルビン酸脱炭酸酵
    素の対ピルビン酸基質親和性と同等かあるいはそれを超
    える対ピルビン酸基質親和性を備える外来の乳酸脱水素
    酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAが導入
    されており、 前記外来タンパク質をコードするDNAは、宿主染色体
    上のピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子のプロモーターあるい
    は当該プロモーターと置換された当該プロモーターのホ
    モログによって制御可能に導入されている形質転換体。
  7. 【請求項7】前記宿主染色体上のプロモーターは、ピル
    ビン酸脱炭酸酵素1遺伝子プロモーターである、請求項
    6記載の形質転換体。
  8. 【請求項8】前記宿主生物は、サッカロマイセス属であ
    る、請求項6または7に記載の形質転換体。
  9. 【請求項9】前記宿主生物は、サッカロマイセス・セレ
    ビシエである、請求項6または7に記載の形質転換体。
  10. 【請求項10】前記外来タンパク質は、ウシ由来の乳酸
    脱水素酵素あるいはそのホモログである、請求項6〜9
    のいずれかに記載の形質転換体。
  11. 【請求項11】ウシ由来の乳酸脱水素酵素あるいはその
    ホモログをコードするDNAが、サッカロマイセス属の
    宿主染色体上のピルビン酸脱炭酸酵素1遺伝子のプロモ
    ーターあるいは当該プロモーターと置換された当該プロ
    モーターのホモログによって制御可能に導入されている
    形質転換体。
  12. 【請求項12】前記宿主は、サッカロマイセス・セレビ
    シエである、請求項11記載の形質転換体。
  13. 【請求項13】請求項1〜12のいずれかに記載の形質
    転換体を培養する工程と、 前記工程で得られる培養物から乳酸を分離する工程、と
    を備える、乳酸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006020602A (ja) * 2004-07-09 2006-01-26 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 乳酸生産方法
US7964382B2 (en) 2003-05-22 2011-06-21 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho DNA encoding a protein having D-lactate dehydrogenase activity and uses thereof

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