JP2003332452A - 半導体識別回路 - Google Patents

半導体識別回路

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JP2003332452A JP2002142358A JP2002142358A JP2003332452A JP 2003332452 A JP2003332452 A JP 2003332452A JP 2002142358 A JP2002142358 A JP 2002142358A JP 2002142358 A JP2002142358 A JP 2002142358A JP 2003332452 A JP2003332452 A JP 2003332452A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で、高い信頼性のもとに個々の半
導体集積回路装置又は半導体チップの識別を可能にした
半導体識別回路を提供する。 【解決手段】 互いに同じ製造過程をもって同一の形態
として形成された第1と第2ゲート回路を含み、上記第
1のゲート回路の第1の入力と出力とを接続し、上記第
2のゲート回路の第1の入力に上記第1のゲート回路の
共通接続された入力と出力を接続し、上記第1及び第2
のゲート回路の第2の入力には、動作制御信号を供給し
て動作状態のときに上記第1ゲート回路と第2ゲート回
路の論理しきい値の差によって決まる固有の識別情報を
上記第2のゲート回路の出力信号に基づいて形成する単
位識別回路の複数個を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体集識別回
路に関し、半導体集積回路装置又は半導体チップに固有
の識別情報を割り当て、個々の半導体集積回路装置又は
半導体チップの識別を行う技術に利用して有効な技術に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、本発明を成した後の調査に
よって、後で説明する本発明に関連するとされるものと
して、特開平6−196435号公報、特開平10−0
55939号公報、特開平11−214274号公報、
特開平7−335509号公報、特開平7−05023
3号公報記載の発明が存在するとの報告を受けた。それ
ら公報に記載の発明は、いずれも、各チップに固有の識
別情報を書き込むために、格別な製造工程を要するもの
と認められる。しかし、それら公報には、後で説明する
本発明のように格別の製造工程の追加や変更を必要とし
ないでも済む半導体集積回路装置の識別方法に関する記
載は認められない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】半導体集積回路装置
は、それに固有の識別情報が付与されていれば、その識
別情報に基づいて種々の望むべき利用行為が可能とな
る。半導体集積回路装置に、その一個一個のようなレベ
ルで固有の識別情報を設定しておくことができるなら
ば、その固有の識別情報の利用の元で、本発明者が明ら
かにした後で説明するような新しい、製造方法や製品管
理技術を提供することができる。
【0004】半導体集積回路装置の実使用段階のような
段階で不具合が発生したような場合、その半導体集積回
路装置から固有の識別情報を得ることができるならば、
その不具合をもたらした要因の追求を容易にする。例え
ば、半導体メーカにとって、半導体集積回路装置の固有
の識別情報に基づいて、その製造時期、製造ライン、製
造ロット、検査来歴、設計情報、等々の情報を把握でき
る。それによって、不具合の発生要因の追求が容易にな
り、その対策も容易になる。
【0005】半導体集積回路装置を構成するパッケージ
に付されるインク印刷法やレーザ刻印法によるようなマ
ーキングは、一種の識別情報とみなされ得る。その種の
マーキングは、半導体集積回路装置の製品型名が主体と
なっているが、その製品型名と共に、年、週などの製造
時期のコード表示が含まれることも有る。しかしなが
ら、その種のマーキング表示では、それによって表示可
能な情報量の少なさに応じて、工業製品として多量に製
造されたり長期間に渡って製造されたりする半導体集積
回路装置の一個一個のようなレベルでの固有の識別情報
を設定することは困難である。
【0006】半導体集積回路装置を構成する半導体チッ
プに対して、ヒューズ素子のようなプログラム可能な素
子を設定し、そのプログラム可能な素子に固有の識別情
報を与えることを想定することは可能である。しかしそ
の種の想定し得る技術は、元々の半導体集積回路装置が
プログラム素子を要しないものであったなら、そのプロ
グラム可能な素子のために新たな製造工程を要してしま
い、半導体集積回路装置の製造プロセスの複雑化や、価
格の上昇を引き起こしてしまう難点を持つ。半導体集積
回路装置が、元々、プログラム可能な素子を持っている
なら、新たな製造プロセスの複雑化は無い。その場合で
あっても、プログラム可能な素子に対して固有の認識情
報を書き込むための製造工程の追加や変更が必要とな
る。
【0007】シリコン・シグネチャーと称されるような
既知の技術では、製品型名や固有情報を電気的に読み出
しできるような形態を持って半導体集積回路装置に書き
込むようにされる。しかしながら、その種の技術では、
上記と同様にその情報を書き込むための製造工程の追加
や変更が必要になる。
【0008】したがって、この発明の一つの目的は、簡
単な構成で個々の半導体集積回路装置又は半導体チップ
の識別を可能にした半導体識別回路を提供することにあ
る。この発明の他の目的は、高い信頼性のもとに個々の
半導体集積回路装置又は半導体チップの識別を可能にし
た半導体識別回路を提供することにある。この発明の前
記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の
記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次
の通りである。すなわち、互いに同じ製造過程をもって
同一の形態として形成された第1と第2ゲート回路を含
み、上記第1のゲート回路の第1の入力と出力とを接続
し、上記第2のゲート回路の第1の入力に上記第1のゲ
ート回路の共通接続された入力と出力を接続し、上記第
1及び第2のゲート回路の第2の入力には、動作制御信
号を供給して動作状態のときに上記第1ゲート回路と第
2ゲート回路の論理しきい値の差によって決まる固有の
識別情報を上記第2のゲート回路の出力信号に基づいて
形成する単位識別回路の複数個を備える。
【0010】
【発明の実施の形態】図1には、この発明に係る半導体
識別回路の一実施例の基本的回路図が示されている。こ
の実施例では、2入力のナンドゲート回路G1〜G4が
用いられる。ゲート回路G1は、一方の入力と出力とが
結合される。このゲート回路G1の共通化された入出力
がゲート回路G2の一方の入力と接続される。ゲート回
路G2の出力はゲート回路G3の一方の入力に接続され
る。ゲート回路G3の出力はゲート回路G4の一方の入
力に接続される。そして、これらのゲート回路G1〜G
4の他方の入力には、動作制御信号Gが共通に供給され
る。
【0011】図2には、図1の半導体識別回路の一実施
例の具体的回路図が示されている。ゲート回路G1は、
直列形態にされたNチャネルMOSFETQ1とQ3、
並列形態にされたPチャネルMOSFETQ2とQ4か
ら構成される。上記MOSFETQ1とQ3のゲートが
共通に接続されて第1の入力とされる。上記MOSFE
TQ2とQ4のゲートが共通に接続されて第2の入力と
される。上記MOSFETQ3のソースは回路の接地電
位VSSが供給され、上記MOSFETQ1のドレイン
は、PチャネルMOSFETQ2とQ4のドレインに接
続される。PチャネルMOSFETQ2とQ4のソース
には電源電圧VDDが印加される。他のゲート回路G2
〜G4も上記同様な回路により構成される。
【0012】上記ゲート回路G1〜G4は、半導体集積
回路装置の設計及び製造の上では、現実的に制御可能な
範囲内において、互いに同じ特性を持つように構成され
る。複数のゲート回路を互いに同じ特性とする技術につ
いて、以下に概略的に説明する。ゲート回路G1〜G4
において、その特性である論理しきい値は、概略的に
は、それを構成するPチャネルMOSFETとNチャネ
ルMOSFETとに決まると理解されているであろう。
その観点ではチャネル幅Wとチャネル長Lとの比W/L
は同じであるがサイズが異なるMOSFETによっても
同じ特性のCMOSゲート回路を構成できると理解され
得る。しかしながら、半導体集積回路装置の製造バラツ
キによる電気特性への影響は、異なったサイズの素子に
対しては異なったものとなる。
【0013】実施例では、かかる複数のゲート回路G1
〜G4のそれぞれは、好適には、それぞれを構成する素
子の相互、すなわちPチャネル型MOSFETの相互、
及びNチャネル型MOSFETの相互が互いに同じ構
造、同じサイズを持って構成される。言うまでもなくそ
れら素子は、同じ素子は同じプロセスの元で一括製造さ
れると言う半導体集積回路装置の特徴に従って製造され
る。これによって複数のゲート回路G1〜G4は、半導
体集積回路装置の製造上の加工寸法のバラツキ、各種層
の厚さバラツキ、不純物濃度バラツキ等々の製造バラツ
キによる影響を均等に受けるようにされる。
【0014】図1のように1つの入力と出力が短絡させ
られたゲート回路G1の出力電圧は、論理しきい値電圧
に到達する。ゲート回路G2が、完全に同じ電気的特性
を持っていれば、2つのゲート回路G1とG2の論理し
きい値は等しくなる。しかし、これは理想的な状態であ
り実際の半導体素子においては、僅かな特性の違いが存
在するため、ゲート回路G1とG2の論理しきい値電圧
に差が生じる。
【0015】ゲート回路G1とG2の論理しきい値のバ
ラツキの要因としては、MOSトランジスタ特性のバラ
ツキが支配的であると捉えてよい。そして、MOSトラ
ンジスタ特性のバラツキの原因としては、MOSトラン
ジスタのゲート幅や、ゲート絶縁膜膜厚、導電決定不純
物濃度とその分布などを挙げることができる。これらの
バラツキはマクロ的な部分とミクロ的とに分けることが
できる。マクロ的な部分としては、同一ロット内の複数
のウエハ間のゲート幅バラツキなどである。
【0016】本願発明においては、主としてミクロ的な
部分のバラツキを利用するものであり、比較的に近接し
た位置に配置された素子問におけるバラツキを用いる。
このようなミクロ的なバラツキは、比較的に近接した素
子間にランダムに発生するものとして観測されるからで
ある。すなわち、図1のゲート回路G1とG2の論理し
きい値のバラツキもランダムであると考えられる。この
論理しきい値のバラツキが、本願の解決しようとする課
題である「半導体素子の持つ特徴的な特性のバラツキを
固有の識別情報として抽出する」という解決手段の基と
なっている。
【0017】CMOSゲート回路を用いた場合には、論
理しきい値に生じるバラツキがNチャネル型MOSトラ
ンジスタの持つバラツキにPチャネル型MOSトランジ
スタの持つバラツキが加えれたものと見做すことがで
き、バラツキ範囲が広くなり識別番号ないし識別情報の
発生を効果的に行うようにすることができる。
【0018】図1に示した実施例では、2つのゲート回
路G1とG2の論理しきい値の大きさの判定する。つま
り、ゲート回路G1の短絡された入出力ノードの電圧
(論理しきい値に相当する)をゲート回路G2の入力と
して供給し、その大小比較結果を後段のゲート回路G
3、G4により増幅してCMOSレベルの2値信号を得
るものである。したがって、厳密にはゲート回路G3と
G4は、ゲート回路G1とG2のようにPチャネル型M
OSFETの相互、及びNチャネル型MOSFETの相
互が互いに同じ構造、同じサイズを持って構成される必
要は無いが、後述する理由から同じ構造、同じサイズを
持って構成される。
【0019】単に識別情報を得るだけが目的なら、上記
ゲート回路G1ないしG4をCMOSインバータ回路に
置き換えることができる。しかしながら、CMOSイン
バータ回路に置き換えると、上記入出力が短絡されたイ
ンバータ回路及びそれを受けるインバータ回路に大きな
貫通電流が流れてしまい、低消費電力をその特徴の1つ
とするCMOS回路には好ましくなくい。この実施例で
は、ゲート回路の他方の入力に動作制御信号Gを供給す
ることにより、上記識別情報を得るときのみに動作制御
信号Gをハイレベルとして、上記各ゲート回路G1〜G
4を一方の入力に供給された信号に従った動作、つまり
はインバータ回路と見做せるような動作を行わせること
によって上記識別情報を得るものである。かかる識別信
号を取り出した後は、上記動作制御信号をロウレベルに
し、各論理ゲート回路G1〜G4の出力信号をハイレベ
ルに固定させる。
【0020】図3には、上記半導体識別回路の動作の一
例を説明するための波形図が示されている。動作制御信
号Gをロウレベルからハイレベルに変化させると、上記
各ゲート回路G1〜G4が実質的に動作状態となり、ゲ
ート回路G1の出力ノードN1がその論理しきい値に対
応した電圧にされる。ゲート回路G2は、その論理しき
い値によってノードN1の電圧を判定し、その出力ノー
ドN2の電位を決める。この例では、ゲート回路G1の
論理しきい値が、ゲート回路G2の論理しきい値により
も僅かに大きいので、ゲート回路G2での増幅動作によ
ってノードN2の電位が上記ノードN1に対して小さい
電圧にされる。このノードN2の電圧は、ゲート回路G
3により増幅されてノードN3のようにハイレベルに大
きくされる。そして、ゲート回路G4により更に増幅さ
れてノードN4のように回路の接地電位VSSに到達す
る。
【0021】この実施例では、回路が停止状態すなわち
動作制御信号Gがロウレベルであるとき、図2のNチャ
ネルMOSFETQ3、Q7、Q11、Q15がオフ状
態となり、前記のCMOSインバータ回路を用いた場合
のような貫通電流が抑制される。また、ゲート回路とし
てナンド(NAND)回路を用いた利点は、CMOS論
理LSIの標準素子であるため、適用する製品を限定し
ないことである。つまり、完全論理記述型回路で構成さ
れるため、回路設計が容易になるものである。
【0022】図3の実施例では、動作制御信号Gが、直
列のNチャネルMOSFETのQ3、Q7、Q11、Q
15のゲートに接続されているが、NチャネルMOSF
ETQ1、Q5、Q9、Q13に接続されて、ノードN
1、N2、N3はNチャネルMOSFETのQ3、Q
7、Q11、Q15のゲートに接続されてもよい。
【0023】トランジスタレベル回路記述において重要
なのは、個々のNAND素子中のMOSFETの信号接
続位置である。上記の停止状態では各ゲート回路G1〜
G4の出力すなわちノードN1、N2、N3の電位が自
動的に電源電圧となるため、それら信号の接続先のPチ
ャネルMOSFETのNBTIによる特性の変動を防止
できる効果がある。
【0024】MOSトランジスタは、そのしきい値電圧
が電界強度と温度とに依存するような電界ストレスによ
って不所望に変動することが有る。特にNBTI(Nega
tiveBias Temperature Instability)と称される現象
は、Pチャネル型MOSFETで顕著に現われる現象で
ある。この防御策として、目的外の時間においてPMO
Sのゲートに印加される電圧を高い電圧にする方法がよ
く用いられる。この実施例では、上記動作制御信号Gの
ハイレベルにより論理しきい値判定動作を行わせ、かか
る論理しきい値判定動作以外の時には、動作制御信号G
をロウレベルにしてPチャネル型MOSFETのゲート
には、電源電圧を供給するようにゲート電圧を固定電圧
にするものである。これにより、Pチャネル型MOSF
ETは、ゲート、ドレイン及びソースと基板(チャネ
ル)の全てが電源電圧に等しい同電位となり、上記MO
SFETの経時変化による論理しきい値の変動が極力抑
えられる。
【0025】図4には、この発明に係る多ビット識別番
号発生回路の一実施例の回路図が示されている。この実
施例は、図1の1ビット識別番号発生回路を4個連結
し、デコーダないしシフトレジスタの選択出力信号G0
〜G3の遷移に従い、出力端子N44から4ビツトの識
別番号を逐次取り出す回路例である。端子Tは、通常ハ
イレベル状態である。
【0026】1ビットの識別番号発生回路、つまり単位
識別番号発生回路UC0〜UC3のそれぞれは、前記図
1の半導体識別回路が用いられる。単位識別番号発生回
路UC0において、4段目のゲート回路G04は、前記
のように動作制御信号G0等で制御されるのではなく、
上記のように定常的にハイレベルにされる信号Tが供給
される。これにより、等価的にインバータ回路として動
作する。他の単位識別番号発生回路UC1〜UC3は、
上記4段目のゲート回路G14〜G34には、前段の単
位識別番号発生回路の出力信号が伝えられる。例えば、
最上段の単位識別番号発生回路UC0の出力信号は、上
記ゲート回路G04の出力信号がインバータ回路IV0
によって反転されて出力される。このインバータ回路I
V0の出力信号が、次段の単位識別番号発生回路UC1
の上記4段目のゲート回路G14のゲート制御信号とし
て入力される。
【0027】以下、単位識別番号発生回路UC1、UC
2及びUC3には、それぞれ4段目のゲート回路G1
4、G24及びG34の出力側にそれぞれインバータ回
路IV1、IV2、IV3が設けられ、上記インバータ
回路IV1の出力信号は次段の単位識別番号発生回路U
C2の4段目のゲート回路G24のゲート制御信号とし
て入力され、上記インバータ回路IV2の出力信号は次
段の単位識別番号発生回路UC3の4段目のゲート回路
G34のゲート制御信号として入力される。
【0028】各1ビット識別番号発生回路UC0〜UC
3には、それを活性化するためのデコーダ又はシフトレ
ジスタで構成された選択回路の出力信号G0、G1、G
2及びG3が動作制御信号として供給されており、各出
力信号G0〜G3は、図5の#1から#4サイクルのご
とく遷移する。#5サイクル目は上記#1サイクルと同
じである。
【0029】#1サイクルでは動作制御信号G0がハイ
レベルとなり、他の動作制御信号G1〜G3はロウレベ
ルとなる。上記信号G0のハイレベルにより単位識別番
号発生回路UC0が動作状態となり、ゲート回路G01
とG02の論理しきい値の大小に対応した信号がゲート
回路G03により増幅され、例えばN31のようにロウ
レベルにされる。この信号N31は、信号T1のハイレ
ベルによりゲートを開いて、等価的にインバータ回路と
して動作するゲート回路G04及びインバータ回路IV
0を介して増幅される。
【0030】このとき、他の動作制御信号G1〜G3は
上記のようにロウレベルであるので、第3段目のゲート
回路G13、G23及びG33の各出力信号はハイレベ
ルとなり、それぞれに対応した第4段目のゲート回路G
14、G24及びG34のゲートを開いて、インバータ
回路と等価な動作を行うものとされる。この結果、上記
単位識別番号発生回路UC0の上記信号N31に対応し
たインバータ回路IV0の出力信号のロウレベルは、そ
れ以降の各ゲート回路及びインバータ回路が等価的にイ
ンバータ回路の縦列回路となるので、それらによって順
次に伝えられて、出力N44からはN31に対応したロ
ウレベルの上記単位識別番号発生回路UC0の識別信号
が出力される。
【0031】#2サイクルでは動作制御信号G1がハイ
レベルとなり、他の動作制御信号G0、G2、G3はロ
ウレベルとなる。上記信号G1のハイレベルにより単位
識別番号発生回路UC1が動作状態となり、ゲート回路
G11とG12の論理しきい値の大小に対応した信号が
ゲート回路G13により増幅され、例えばN32のよう
にロウレベルにされる。このとき、単位識別番号発生回
路UC0において信号T1のハイレベルと、動作制御信
号G0のロウレベルによるゲート回路G03の出力信号
N31のハイレベルとにより、ゲート回路G04の出力
信号がロウレベルとなり、インバータ回路IV0の出力
信号がハイレベルにされているので、ゲート回路G14
がゲートを開いて、上記N32の信号がゲート回路G1
4及びインバータ回路IV1を介して出力される。
【0032】このとき、他の動作制御信号G2、G3は
上記のようにロウレベルであるので、第3段目のゲート
回路G23及びG33の各出力信号はハイレベルとな
り、それぞれに対応した第4段目のゲート回路G24及
びG34のゲートを開いて、インバータ回路と等価な動
作を行うものとされる。この結果、上記単位識別番号発
生回路UC1の上記信号N32に対応したインバータ回
路IV1の出力信号のロウレベルは、それ以降の各ゲー
ト回路及びインバータ回路が等価的にインバータ回路の
縦列回路となるので、それらによって順次に伝えられ
て、出力N44からはN32に対応したロウレベルの上
記単位識別番号発生回路UC1の識別信号が出力され
る。
【0033】#3サイクルでは動作制御信号G2がハイ
レベルとなり、他の動作制御信号G0、G1、G3はロ
ウレベルとなる。上記信号G2のハイレベルにより単位
識別番号発生回路UC2が動作状態となり、ゲート回路
G21とG22の論理しきい値の大小に対応した信号が
ゲート回路G23により増幅され、例えばN33のよう
にハイレベルにされる。このとき、前段の単位識別番号
発生回路UC1において信号T1のハイレベルと、動作
制御信号G0、G1のロウレベルによるゲート回路G0
3の出力信号N31及びG13の出力信号N32のハイ
レベルにより、ゲート回路G14の出力信号がロウレベ
ルとなり、インバータ回路IV1の出力信号がハイレベ
ルにされているので、ゲート回路G24がゲートを開い
て、上記N33の信号がゲート回路G24及びインバー
タ回路IV2を介して出力される。
【0034】このとき、他の動作制御信号G3は上記の
ようにロウレベルであるので、第3段目のゲート回路G
33の出力信号はハイレベルとなり、それぞれに対応し
た第4段目のゲート回路G34のゲートを開いて、イン
バータ回路と等価な動作を行うものとされる。この結
果、上記単位識別番号発生回路UC2の上記信号N33
に対応したインバータ回路IV2の出力信号のハイレベ
ルは、それ以降の各ゲート回路及びインバータ回路が等
価的にインバータ回路の縦列回路となるので、それらに
よって順次に伝えられて、出力N44からはN33に対
応したハイレベルの上記単位識別番号発生回路UC2の
識別信号が出力される。
【0035】#4サイクルでは動作制御信号G3がハイ
レベルとなり、他の動作制御信号G0〜G2はロウレベ
ルとなる。上記信号G3のハイレベルにより単位識別番
号発生回路UC3が動作状態となり、ゲート回路G31
とG32の論理しきい値の大小に対応した信号がゲート
回路G33により増幅され、例えばN34のようにロウ
レベルにされる。このとき、前段の単位識別番号発生回
路UC2において信号T1のハイレベルと、動作制御信
号G0、G1、G2のロウレベルによるゲート回路G0
3の出力信号N31、G13の出力信号N32及びG2
3の出力信号N33のハイレベルにより、ゲート回路G
24の出力信号がロウレベルとなり、インバータ回路I
V2の出力信号がハイレベルにされているので、ゲート
回路G34がゲートを開いて、上記N34の信号をイン
バータ回路IV3を介して出力させる。
【0036】#5サイクル以降に同じ動作制御信号G0
〜G3を発生させると、上記と同じ動作が繰り替えされ
るが、上記4ビット分の識別番号をレジスタ等の記憶回
路に保持しておけば、#5以降は全信号G0〜G3をロ
ウレベルに固定し、前記のような動作停止状態にして、
消費電流の削減と素子特性の劣化を防止する。
【0037】本回路の重要な利用目的に後述するような
半導体の追跡があるが、そのためにはこの回路自体の信
頼性を工場出荷段階で保証することが重要である。通
常、半導体製品は出荷直前の最終検査の前に加速試験、
いわゆるバーインを行う。加速には、温度、印加電圧を
実使用条件より高く設定する環境加速の方法と、特定回
路の動作頻度を増やす方法が採られることが一般的であ
る。
【0038】図5の#11から#14サイクルには、回
路の動作頻度を増やすための方法を示している。サイク
ル#11は、待機状態にあたる。信号Tは、ハイレベル
にされる。サイクル#12は、待機状態にて、信号Tを
ロウレベルにする。チェイン接続されたナンドゲート回
路とインバータ回路G04、IV0、G14、IV1、
G24、IV2及びG34、IV3の状態が遷移する。
サイクル#13は、全ての1ビット識別番号活性回路U
C0〜UC3を活性化する。これにより、前記#1〜#
4サイクルのような通常動作に比べて4倍の活性化率を
作り出すことができる。そして、サイクル#14は、再
び待機状態に戻る。上記#11〜#13のサイクルを繰
り返すことにより、特定回路の動作頻度を増やして初期
不良の洗い出しを効率よく行うようにすることができ
る。
【0039】上記動作制御信号G0〜G3を形成する回
路は、デコーダ又はシフトレジスタで構成される。デコ
ーダの場合には、上記4つの動作制御信号を形成するた
めには、2ビットの信号を供給し、それをデコードして
上記4通り動作制御信号G0〜G3を形成する。全信号
G0〜G3をロウレベルにしたり、あるいはバーインの
ために全信号G0〜G3をハイレベルにするためには、
更に1ビットずつの制御信号が必要になる。シフトレジ
スタの場合には、ハイレベルを順次にシフトさせれば上
記通常動作のためのG0〜G3を発生させることができ
る。シフトレジスタの各ビットR0〜R3にロウレベル
を設定すれば上記動作停止状態を作り出すことができる
ので、バーインのために全信号G0〜G3をハイレベル
にするために、更に1ビットの制御信号を追加してゲー
ト回路を制御して各動作制御信号G0〜G3を強制的に
ハイレベルにするようにすればよい。
【0040】図6には、この発明に係る多ビット識別番
号発生回路の他の一実施例の回路図が示されている。こ
の実施例は、前記図4の変形例であり、各単位識別番号
発生回路UC0〜UC3が、4個のナンドゲート回路に
より構成される。つまり、図4の実施例において、各単
位識別番号発生回路UC0〜UC3のそれぞれにおい
て、第3段目のゲート回路G03〜G33と出力部に設
けられたインバータ回路IV0〜IV3とが省略され
る。このように素子数を節減しつつ機能は同等である。
また、インバータ回路を削除したことで、レイアウト的
な均等性が高まる利点がある。
【0041】図6の実施例のように同じゲート回路を並
べて回路を構成する場合、Nチャネル型MOSトランジ
スタのための単位領域の複数個、及びPチャネル型MO
Sトランジスタのための単位領域の複数個を行列状に配
列させることが容易である。すなわち、得るべき回路規
模に応じて、基本パターン繰返し単位が、半導体基板上
において規則正しく配置させることができる。このよう
な規則的なレイアウトではなく、同じ領域列を成すべき
複数の単位領域が、他の回路を構成する素子領域など挟
んで配置されてしまうようなことによって、互いに比較
的大きな距離を持って配置されるような場合、次のよう
な難点が生ずる。すなわち複数の単位領域が、半導体集
積回路装置の製造条件の変動に基づくようなパターンの
寸法のマクロ的な変動もしくはパターン歪みのマクロ的
な変動による影響を強く受けるようになり、相対的に大
きなパターン形状の相違を生ずることになる。
【0042】半導体チップを実装することなどによって
半導体チップに与えられてしまう機械的応力は、半導体
チップの部分部分によって異なる可能性が大きいので、
複数の単位領域の相互では互いに比較的大きく異なった
ものとなる可能性を持つ。回路に電源電流が流れること
によってもたらされる動作温度の上昇は、複数の単位領
域相互に対して一様でなくなる。ゲート絶縁膜の厚さ
や、導入不純物の微妙な濃度変化も、また複数の単位領
域相互が比較的離れていることによって比較的大きくな
ってしまう危険性を持つ。これに対して、規則的なレイ
アウトによる場合、同じ領域列に有る複数の単位領域
は、それらが比較的近接して配置され、互いに同じサイ
ズ、同じ方向を持って構成されていることから、上述の
ような相対的なパターン寸法、パターン歪み、機械的応
力、動作温度、膜厚、不純物濃度による影響を受け難
い。
【0043】いわゆる位相シフトマスク技術は、半導体
集積回路装置を構成する回路素子、配線等を、いわゆる
サブミクロンレベルに微細化する上での有効な技術と理
解される。かかる位相シフトマスク技術では、マスクと
する感光材層を感光せしめる際の光の位相差のわずかな
変化にも起因して、得るべきパターンの左右形状の相違
のように、パターンに非対称性ないしは歪みをもたらす
ことが有る。規則的な素子レイアウトは、その種のパタ
ーン歪みが有っても、複数の単位領域相互の電気特性の
偏りを充分に小さくする事が可能である。
【0044】上のような観点での構成上の相違ととも
に、半導体におけるキャリヤ・モビリテイの結晶方位依
存性による影響もまた、前述のようなミクロ的な特性を
利用する本発明にとっては軽視できないものである。規
則的なレイアウトによる場合、第1領域列をなす複数の
ゲート電極層の全てが互いに同じ方向かつ同じパターン
とされていること、同様に第2領域列をなす複数のゲー
ト電極層の全ても互いに同じ方向かつ同じパターンとさ
れていることから、それら第1領域列に属するMOSト
ランジスタの相互、及び第2領域列に属するMOSトラ
ンジスタの相互は、上述の結晶方位性に基づく特性の違
いを生じない。
【0045】このように、素子の規則的なレイアウト配
置を可能とする前記図6の実施例のような識別番号発生
回路は、半導体集積回路装置の設計上、及び製造上から
は、前述のようなマクロ的バラツキないしは特性の偏り
が、著しく小さくなるように考慮され、前述のようなミ
クロ的なバラツキを適切に利用できるように考慮された
ものであることが理解されるであろう。
【0046】図6の構成によって得られるMOSトラン
ジスタの電気特性の偏りを更に充分に排除する必要が或
る場合には、図6の基本繰返し単位の複数によって構成
される全体配列の端部効果を解消するためのダミー領域
を設定することができる。ダミー領域は、上記全体配列
の上記端部を、レイアウト的に上記全体配列の内部と対
等にするための構成であり、少なくとも上記基本繰返し
単位における端部の複数の単位領域を持って構成する事
ができる。
【0047】この種のダミー領域を設定しない場合に
は、上記全体配列における端部の外側がどのような構成
にされるかによって、かかる端部の加工形状が影響を受
けることが有り、また半導体基板とその表面の絶縁膜と
の間でもたらされる応力のような素子特性に影響を与え
かねない力の加わり方が、かかる端部とそれ以外の部分
と異なってくることがある。それらは電気特性の偏りを
もたらす要因ともなる。上のようなダミー領域を設定す
る場合には、上述の電気特性の偏りをもたらす要因を充
分に排除する。ダミー領域は、回路として利用しない領
域とすることも、電気特性の偏りを留意しなくて良い他
の回路を構成するための構成とすることもできる。
【0048】図7には、この発明に用いられる1ビット
固定番号発生回路の一実施例の回路図が示されている。
前記図6のような多ビット識別番号発生回路から発生す
る、識別情報の一部を常に一定な値にするための方法を
示している。つまり、前記図6の識別番号発生回路を構
成する単位識別番号発生回路UC0〜UC3のうち、任
意の1つが図7の1ビット固定番号発生回路に置き換え
られる。1ビット固定番号発生回路は、スイッチSWが
設けられて、電源電圧VDDのようなハイレベル又は回
路の接地電位VSSのようなロウレベルを初段のゲート
回路に供給する。上記スイッチSWは、マスタースライ
ス方式によりゲート回路の入力端子を電源電圧線に接続
するか、あるいは回路の接地電位線に接続するかの選択
的な配線形成により実現される。あるいは、ヒューズの
切断の有無に置き換えることもできる。
【0049】図8には、この発明に係る多ビット識別番
号発生回路の一実施例のブロック図が示されている。こ
の実施例は、多ビット識別番号発生回路の故障被害を軽
減する方法に向けられている。前記図4や図6に示した
多ビット識別番号発生回路においては、複数の1ビット
識別番号発生回路をチェインに連結すことで容易にビッ
ト数を増やすことができる。しかし、連結数を増やす
と、その途中の一部が故障すると、全体の機能が停止あ
るいは低下してしまう危険性も高くなる。これでは、万
が一のサンプルの来歴調査のために備えた識別番号が取
り出せないという矛盾が生じる。
【0050】そこで、この実施例では多数の1ビット識
別番号発生回路を小さなブロックBL0,BL1等に分
けて、仮にその中の一つのブロックが故障してもその被
害が、そのブロック内に留まり、全体の機能を著しく低
下させないように工夫されている。例えば、各小ブロッ
クBL0,BL1等の前記図4又は図6の実施例のよう
にビット数を4ビットとし、かかるブロック数が32個
とすると、識別番号の総数は128ビットとなる。
【0051】各小ブロックBL0、BL1の出力部にデ
コーダ又はレジスタによる選択回路により選択信号H
0,H1等を発生させ、小ブロックBL0、BL1…B
L31(図示せず)を選択信号H0、H1等により順次
に選択し、前記図4、図6等で説明した小ブロック内で
の単位識別番号発生回路のチェイン連結と同様にしてシ
リアルに出力させるようにするものである。この構成で
は、仮に、1ブロックが故障したとすると、全体の12
8ビット中の4ビット、すなわち約3%が欠落する。こ
の時、識別能力は低下するが、完全に機能を失うことを
防ぐことができる。予め、識別能力に余裕を持たせてお
けば、小規模の故障では全く問題を回避することができ
る。
【0052】図9には、この発明に係る多ビット識別番
号発生回路の一実施例のレイアウト図が示されている。
この実施例では、3入力のナンドゲート回路を用いて、
多ビット識別番号発生回路が行列配置される。例えば、
同図に代表として例示的に示されている1ビット識別番
号発生回路のように、入力A、B、Cの3入力を持つナ
ンドゲート回路の入力Aを列(COL)選択用に用い、
入力Bを行(ROW)選択用に用い、残りの入力Cを論
理しきい値の大小比較用に用いる。1ビット識別番号発
生回路では、初段のゲート回路の入力Cと出力とが接続
されて、その論理しきい値に対応した電圧を発生させ
る。第2段目のゲート回路は、その論理しきい値により
上記初段のゲート回路の論理しきい値の大小を比較す
る。第3段目と第4段目のゲート回路は、増幅回路とし
て動作するが、第3段目のゲート回路は入力Bが前段か
らの出力Piを受ける入力として用いられ、第4段目の
ゲート回路の出力は、次段の1ビット識別番号発生回路
への第3段目のゲート回路への入力信号とされる。
【0053】つまり、前記図7に示した小ブロックを構
成する複数の1ビット識別番号発生回路の複数個(0〜
j)が上記第3と第4段目のゲート回路を用いてチェイ
ン連結され、同図において行方向に配置される。同様な
小ブロックの構成するチェイン連結された複数の1ビッ
ト識別番号発生回路の複数個(0〜i)が列方向に複数
個配置される。これにより、(j+1)×(i+1)ビ
ットからなる多ビットの識別番号発生回路が実現され
る。上記小ブロックは、前記図6の実施例のような単位
識別番号発生回路UC0〜UC3を上記行方向に直線的
に並べて配置されたものと等価である。ただし、行選択
のために上記3番目の入力端子が必要になるものであ
る。
【0054】上記行列配置された1ビット識別番号発生
回路を行選択信号RW0〜RWiと列選択信号COL0
〜COLjを発生させる。例えば、行選択信号RW0を
選択状態にし、列選択信号COL0〜COLjを順次に
選択すれば第1行目の0〜jの複数ビットの識別番号が
その出力部に設けられたゲート回路及び3状出力回路を
通して出力線PPに出力される。次に、行選択信号RW
1を選択状態にし、列選択信号COL0〜COLjを順
次に選択すれば第2行目の0〜jの複数ビットの識別番
号がその出力部に設けられたゲート回路及び3状出力回
路を通して出力される。以下、同様にして第i番目の行
までの各0〜jの複数ビットの識別番号を出力させるこ
とができる。
【0055】この構成は、多ビットの識別番号発生回路
を規則的に半導体基板上にレイアウトする上で好適なも
のとなる。このような回路素子の半導体基板上への規則
的なレイアウト配置によって、前記のように半導体集積
回路装置の設計上、及び製造上からは、前述のようなマ
クロ的バラツキないしは特性の偏りが、著しく小さくな
るように考慮され、前述のようなミクロ的なバラツキを
適切に利用できるように考慮されたものである。行列配
置された単位識別番号発生回路と前記出力部との間、あ
るいは行選択回路や列選択回路の間又は他の回路領域と
の間には、適宜にダミー領域が配置される。
【0056】図10には、この発明に係る半導体識別回
路の他の一実施例の基本的回路図が示されている。図1
0(A)では論理記号により回路構成を示し、図10
(B)は回路素子により回路構成を示している。図10
(A)に示したように、この実施例回路では、クロック
ドインバータ回路CN1〜CN4が用いられる。クロッ
クドインバータ回路CN1は、入力と出力とが結合され
る。このクロックドインバータ回路CN1の共通化され
た入出力がクロックドインバータ回路CN2の入力と接
続される。以下、クロックドインバータ回路CN3、C
N4も同様に直列形態に接続される。これらのクロック
ドインバータ回路CN1〜CN4のクロック端子には、
クロック信号GとG/が供給される。ここで、クロック
信号G/は、クロック信号Gの反転信号を表している。
この説明では、便宜上クロック信号G、G/としている
が、実際には前記動作制御信号Gである。
【0057】図10(B)に示したように、クロックド
インバータ回路CN1は、電源電圧VDDと回路の接地
電位VSSの間に直列形態にされたNチャネルMOSF
ETQ1とQ3及びPチャネルMOSFETQ2とQ4
から構成される。上記MOSFETQ1とQ2のゲート
及びドレインがそれぞれ共通に接続されて入力及び出力
とされる。上記MOSFETQ3のゲートにはクロック
信号Gが供給され、MOSFETQ4のゲートにはクロ
ック信号G/が供給される。上記MOSFETQ3のソ
ースは回路の接地電位が供給され、上記MOSFETQ
4のソースは電源電圧VDDが供給される。他のクロッ
クドインバータ回路CN1〜CN4も上記同様な回路に
より構成される。
【0058】上記クロックドインバータ回路CN1〜C
N4は、前記図1の実施例と同様に半導体集積回路装置
の設計及び製造の上では、現実的に制御可能な範囲内に
おいて、互いに同じ特性を持つように構成される。つま
り、かかる複数のクロックドインバータ回路CN1〜C
N4のそれぞれは、好適には、それぞれを構成する素子
の相互、すなわちPチャネル型MOSFETの相互、及
びNチャネル型MOSFETの相互が互いに同じ構造、
同じサイズを持って構成される。言うまでもなくそれら
素子は、同じ素子は同じプロセスの元で一括製造される
と言う半導体集積回路装置の特徴に従って製造される。
これによって複数のクロックドインバータ回路CN1〜
CN4は、半導体集積回路装置の製造上の加工寸法のバ
ラツキ、各種層の厚さバラツキ、不純物濃度バラツキ等
々の製造バラツキによる影響を均等に受けるようにされ
る。
【0059】上記のように入力と出力が短絡させられた
クロックドインバータ回路CN1の出力電圧は、論理し
きい値電圧に到達する。クロックドインバータ回路CN
2が、完全に同じ電気的特性を持っていれば、2つのク
ロックドインバータ回路CN1とCN2の論理しきい値
は等しくなる。しかし、これは理想的な状態であり実際
の半導体素子においては、僅かな特性の違いが存在する
ため、クロックドインバータ回路CN1とCN2の論理
しきい値電圧に差が生じる。これをクロックドインバー
タ回路CN3、CN4により増幅して前記同様な1ビッ
トの識別番号を発生させる。
【0060】このようなクロックドインバータ回路CN
1〜CN4を用いた場合でも、前記2入力のナンドゲー
ト回路を用いた場合と同様に、回路が停止状態すなわち
クロック信号Gがロウレベル、クロック信号G/がハイ
レベルであるとき、図10(B)のNチャネルMOSF
ETQ3、Q7、Q11、Q15がオフ状態となり、P
チャネルMOSFETQ4、Q8、Q12、Q16がオ
フ状態となり、前記のCMOSインバータ回路を用いた
場合のような貫通電流が抑制される。
【0061】図11には、この発明に係る多ビット識別
番号発生回路の他の一実施例の回路図が示されている。
この実施例は、図10の1ビット識別番号発生回路を4
個組み合わせて4ビットからなる識別番号を得るもので
ある。回路の簡素化のために増幅回路として動作するク
ロックドインバータ回路CN3、CN4は共用させられ
る。つまり、入力と出力とが共通接続された4つのクロ
ックドインバータ回路を並列に設け、それを4つのクロ
ックドインバータ回路の入力に共通に供給する。そし
て、上記4つのクロックドインバータ回路に対しては、
クロック端子に動作制御信号として相補信号A0,A0
/、A1,A1/、A2,A2/、A3,A3/が供給
される。これに対応して、増幅回路として動作するクロ
ックドインバータ回路のクロック端子にはG、G/の動
作制御信号が供給される。
【0062】前記同様なデコーダ又はシフトレジスタR
0により、相補信号A0,A0/を活性化し、それに対
応した2つのクロックドインバータ回路を動作状態にし
て、その論理しきい値の差分に対応した信号を形成し、
それを動作制御信号G、G/により動作状態されたクロ
ックドインバータ回路により増幅して、出力段に設けら
れたラッチ回路に保持させる。
【0063】デコーダ又はシフトレジスタR1〜R3に
より、相補信号A1,A1/〜A3,A3/を順次に活
性化し、それに対応した2つのクロックドインバータ回
路を順次に動作状態にして、それぞれの論理しきい値の
差分に対応した信号を順次に形成し、それを動作制御信
号G、G/により動作状態されたクロックドインバータ
回路により増幅して、出力段に設けられたラッチ回路に
順次に保持させる。このようにして、出力から4ビット
の識別番号を得ることができる。
【0064】図12には、前記図11の多ビット識別番
号発生回路の一実施例の具体的回路図が示されている。
上記各クロックドインバータ回路が前記図10(B)に
示したような直列形態のNチャネルMOSFET及びP
チャネルMOSFETから構成され、同じパターンの回
路素子が直列に並べて構成できることが判る。出力部に
設けられたラッチ回路を構成するCMOSインバータ回
路もクロックドインバータ回路と同様に4つのMOSF
ETで構成し、そのクロック端子には定常的に動作状態
になるようにPチャネルMOSFETのゲートには、回
路の接地電位を、NチャネルMOSFETのゲートには
電源電圧を供給するようにしてもよい。このようにすれ
ば、全回路が同じ回路構成となり、前記多ビットの識別
番号発生回路を規則的に半導体基板上にレイアウトする
上で好適なものとなる。
【0065】図13には、この発明に係る多ビット識別
番号発生回路の更に他の一実施例の回路図が示されてい
る。この実施例は、図11の実施例の変形例であり、対
応する2つのクロックドインバータ回路が一対一に接続
されている。他は、前記図11の実施例と同様である。
この実施例でも回路の簡素化のために増幅回路として動
作する2つのクロックドインバータ回路は共用させら
れ、出力部にはラッチ回路が設けられている。
【0066】図14には、前記図13の多ビット識別番
号発生回路の一実施例の具体的回路図が示されている。
上記各クロックドインバータ回路が前記図10(B)に
示したような直列形態のNチャネルMOSFET及びP
チャネルMOSFETから構成され、同じパターンの回
路素子が直列に並べて構成できることが判る。図12と
の相違は、前記のように2つのクロックドインバータ回
路を一対一に対応させて接続される部分のみであり、他
は前記図12の実施例と同様である。この実施例でも、
全回路を同じ回路構成とすることができ、前記多ビット
の識別番号発生回路を規則的に半導体基板上にレイアウ
トする上で好適なものとなる。
【0067】図15及び図16には各々、この発明に係
る半導体集積回路装置の識別システムにおける照合アル
ゴリズムの一実施例の構成図が示されている。ここでは
CMOSゲート回路の論理しきい値の比較結果情報を用
いた方法を説明するが、論理しきい値の大きさの順位を
用いる方法も全体の流れは同じである。以下の説明にお
いて、図面上の…等は、(1)(2)…等に置き換えて説
明している。
【0068】図15には、登録方法の説明図が示されて
いる。 (1) 識別番号発生回路から256ビットのCMOSゲー
ト回路の論理しきい値の比較結果情報を読み出す。 (2) それを識別番号管理台帳に登録し、測定データなど
の情報を格納したデータベースと関連付けるために管理
番号を設ける。 (3) 登録数を1つ増やす。ここでは、新規に登録される
識別番号は、常に登録済みのものと重複しないことが前
提だが、新規登録時に登録済みのものとの重複を確認
し、何ならかの警告を発するというような手順を追加す
ることも有効である。
【0069】図16には、照合方法の説明図が示されて
いる。このシステムでは、登録時と照合時の環境や条件
の違いによる識別番号の変動を許容することが特徴であ
る。 (1) 識別番号発生回路から256ビットのCMOSゲー
ト回路の論理しきい値の比較結果情報を読み出す。これ
を被識別番号という。 (2) 管理台帳から登録識別番号を順次取り出す。 (3) 登録識別番号と被識別番号を比較する。比較方法に
ついては、後述する。 (4) 登録識別番号と被識別番号の比較結果の違いが小さ
いものを一致候補にする。(2) 〜(4) 繰り返すことで、
最終的に全ての登録識別番号の中で最も違いが小さいも
のが同一最有力候補となる。
【0070】図17には、図16の比較方法の一例の説
明図が示されている。被識別番号は、256ビットのC
MOSゲート回路の論理しきい値の比較結果出力の一部
である24ビットを取り出して示したものである。識別
番号1〜5は、登録識別番号である。その中の網掛け部
分は、被識別番号のビットと異なつた部分である。右端
に不一致ビット数の合計を示す。
【0071】識別番号発生回路の”0”、”1”出力パ
ターンは、個々のユニット毎に特有であるから、同一ユ
ニットから出力された識別番号であるかは、パターンを
構成するビット数の一致の割合で判定できる。ここでの
識別番号は説明のための例に過ぎないが、識別番号5の
不一致ビット数が1で、それ以外は5から17と明らか
に識別番号5の一致率が際立つて高い。よつて識別番号
5を最有力候補とすることができる。
【0072】図18には、この発明が適用される半導体
集積回路装置の一実施例の構成図が示されている。まず
本体LSIのプロープ検査を行う。この時、例えばLS
Iに搭載されたメモリ部に不良があった場合、不良メモ
リセルを予備メモリセルに置き換えるための救済情報を
作成する。通常の汎用メモリなどでは、この後レーザ救
済などを行うが、この実施例の半導体集積回路装置で
は、本体LSIはそのままダイシングされ組立てられ
る。さらにその後エージング、選別などの工程で検出さ
れた不良情報をプローブ検査時の救済情報に追加する。
最終救済情報は、プログラミング専用チップに書き込ま
れる。本体LSIとプログラム専用チップはマルチチッ
プモジュールとして組み合わせて使用する。
【0073】図19には、この発明が適用される上記マ
ルチチップモジュールの一実施例のブロック図が示され
ている。本体LSIとプログラム専用チップとは、デー
タ交換制御回路を通してクロックに同期してデータがシ
リルアルに伝達される。つまり、本体LSIの識別番号
発生回路で生成された識別番号は、データ交換制御回路
を通してプログラム専用チップに伝えられる。
【0074】プログラム専用チップでは、1つのユニッ
ト分に対応した複数の登録番号(識別番号)とその欠陥
救済情報が一対一に対応してプログラミングデータとし
て保持されている。プログラム専用チップは、上記本体
LSIから前記データ交換制御回路を介して伝えられた
識別番号が計数器を介して被識別番号レジスタに登録さ
れる。
【0075】照合回路は、かかる被識別番号とプログラ
ミングデータの中の登録識別番号との比較照合を行う。
この照合動作は、前記図17に示したアルゴリズムに従
って登録時と照合時の環境や条件の違いによる識別番号
の変動を許容しつつ判定を行う。一致候補番号が検出さ
れると、プログラミングデータの中のレジスタデータが
データ読み出し回路に読み出される。そして、データ交
換制御回路を介して前記識別番号とは逆に、プログラム
専用チップから本体LSIに向けて、救済情報が伝えら
れる。この救済情報は、シリアル/パラレル変換されて
データレジスタに保持され、欠陥救済に用いられる。
【0076】プログラム専用チップは、1つのユニット
に対応した複数チップの欠陥救済情報を持っているの
で、1ユニット分の複数の本体LSIに対して1種類の
プログラム専用チップが形成されて共通に組み合わされ
て用いられる。そのため、本体LSIとプログラム専用
チップとを一対一に対応させて製造、管理及び組み立て
る必要はない。
【0077】図20には、プログラム専用チップの一実
施例のブロック図が示されている。プログラム専用チッ
プは、特に制限されないが、識別番号解読回路、照合回
路及びプログラミングデータとデータ読み出し回路等か
ら構成される。登録識別番号、レジスタデータはフュー
ズのレーザー照射による選択的な切断によって登録され
る。
【0078】照合回路では、前記図17の判定アルゴリ
ズムに対応し、減算器を用いて減算結果の絶対値から比
較器1で上限値と比較して、乖離検出を行う。比較器2
では順次置き換えられる最小累積距離を基準にして上記
累算器から出力される累積距離を比較して判定回路によ
り、前記乖離検出信号とともに1〜Nから1つの一致候
補番号を出力する。この一致候補番号によりレジスタデ
ータが選択されて、データ読み出し回路に伝えられる。
上記データ読み出し回路は、ECC機能(誤り訂正機
能)を持つようにされる。これによりデータの信頼性が
高められる。
【0079】図21には、本願に係る識別番号発生回路
を搭載した半導体集積回路装置の、いわゆる後工程と言
われる一実施例の製造工程(1) ないし(13)の構成図が示
されている。この実施例では、本体LSIをDRAMと
SRAMが混載された大規模システムLSIとし、プロ
グラム専用チップはレーザ切断メタルフューズの使用を
前提としている。以下、図21図を用いて製造工程の流
れを説明する。
【0080】(1) 本体LSIをプローブ試験テスタによ
り試験する。DRAMやSRAMの不良メモリセル救済
情報、内部電源回路トリミング設定値、ディレイ回路設
定値などと一緒に、LSI内の識別番号をホストコンピ
ュータに転送する。ホストコンピュータは、送られた情
報やその他の製造管理情報などと連結しデータベースに
格納する。 (2) 本体LSIウエハをダイシングする。 (3) 本体LSIのみ、マルチチップモジュール基板に仮
実装する。本図では、本体LSIは1つであるが複数で
あることもある。
【0081】(4) 選別試験テスタにより本体LSIから
識別番号を読み出し、ホストコンピュータに送る。ホス
トコンピュータは、識別番号から本体LSIを認識し、
個々の本体LSIに必要な情報をテスタに返す。必要な
情報とは、上記の不良メモリセル救済情報や、本体LS
1識別情報などホストコンピュータによりデータベース
で管理されていたものである。これを本体LSIレジス
タ情報と呼ぶ。選別試験テスタは、本体LSIレジスタ
情報を、例えば不良メモリセル救済情報であれば、本体
LSI内の救済回路の救済アドレスレジスタに格納し、
内部電源回路設トリミング定値であれば内部回路内のト
リミング値設定レジスタに格納する。
【0082】選別試験テスタは、本体LSIレジスタ情
報設定後、プローブ試験ではできないような高速動作試
験などを行う。さらにここで新たに不良になったものに
ついては、その不良情報をホストコンピュータに転送す
る。ホストコンピュータは、送られた不良情報とで採取
した情報を合わせ再救済や調整が可能であるか解析し、
再びデータベースに格納する。
【0083】(5) プログラム専用チップに、本体LSI
に必要なレジスタ情報をプログラムする。さらに必要で
あれば、製造管理情報や、顧客情報、暗号、機能情報な
どのプログラムを行う。プログラム専用チップは、1チ
ップに複数の本体LSIの情報を格納できる。例えば、
100個の本体LSI分の容量があるとすると、レーザ
切断装置は、ホストコンピユータから100個の本体L
SI分の識別番号とレジスタ情報を受け取り、受け取っ
た情報をもとに、100個のプログラム専用チップに全
て同じ100本体LSI分のレジスタ情報をプログラム
する。
【0084】ここで、プログラム専用チップのフューズ
切断時間を見積もってみる。例えば、1個の本体LSI
当たりのプログラムビツト数が1000ビット、1個の
プログラム専用チップに100本体LS1分格納(登
録)できるとすると、1つのプログラム専用チップは1
0万本(1000×100)のヒユーズを搭載する。最
新のレーザ切断装置の能力は、毎秒5000パルス以上
であるので、約20秒で10万本すなわち1個のプログ
ラム専用チップの切断が可能である。100チップで
は、2000秒(33分)である。また、プログラム専
用チップの面積は、1つのフューズの大きさを15平方
マイクロンとすると、フューズ部だけで1.5平方ミリ
メートル、周辺回路やパッドを含めると約3平方ミリメ
ートルである。
【0085】(6) レーザ切断不良チップを除去するた
め、プローブ検査を行う。なお本工程の前に、チップを
保護する保護膜を付ける工程を付加することもある。検
査データパターンは、ホストコンピュータから受け取
る。ここで、レーザ切断不良チップが発生することもあ
るので、前記工程(5) でプログラムされるチップ数は、
100個よりも多めとする。この数は歩留の実績によっ
て調整する。ここで、プログラム専用チップが本体LS
Iより少なく不足した場合、余った本体LSIは回収さ
れ別のグループに混成される。逆に、プログラム専用チ
ップが余った場合は廃棄する。いずれにしても損害にな
るが、貴重な本体LSIを廃棄するよりは経済的であ
る。
【0086】(7) プログラム専用チップをダイシングす
る。ダイシングされたチップは、工程(6) において同一
のプログラムがされた100個と余裕分がピックアップ
され、本体LSIに対応するグループ(ロット)にまと
められる。 (8) プログラム専用チップをマルチチップモジュールパ
ッケージに実装する。この時、前記工程(4) と(6) で対
応付けられたグル一プが組み合わされなければならな
い。しかし、個々の本体LSIとプログラム専用チップ
を一対一で対応させる必要がないので、従来の組立工程
と比べ大幅な工程の変更は必要ない。なお、本実施例で
は、本組立工程では後の分離工程(10)のために、完全な
封止やキャップは行わないとしているが、必ずしもこの
方法に限定するものではない。
【0087】(9) 完成したマルチチップモジュールが最
終選別試験される。プログラム専用チツプには、上記実
施例では、100チップ分の救済情報が収められて(登
録されて)いる。ボード上の本体LSIが立ち上がる
際、本体LSIとプログラム専用チップの間でデータ交
換が行われる。具体的には、本体LSIから識別番号が
プログラム専用チップに送られ、プログラム専用チップ
は、送られた識別番号と登録された識別番号を比較し、
モジュールに実装された本体LSIを認識し、救済情報
など必要なレジスタ情報を本体LSIに送る。本体LS
Iは、送られたレジスタ情報をもとに内部の初期設定を
行う。その後、最終試験が行われる。含格したものは、
次の封止工程に送られ、不合格のものは、分離工程に送
られると同時に、不良情報がホストコンピュータに送ら
れ、再生可能であるか解析される。
【0088】(10) 最終試験に合格したモジュールは封
止またはキヤップされ出荷される。 (11) 不合格品のうち再生可能可能品は、プログラム専
用チップが分離される。 (12) 再生可能品は回収され、新たな数量単位にまとめ
られる。 (13) 回収された再生可能品を、再び選別試験にかけ
る。その際、本体LSIから識別番号が読み出され、そ
れに対応する過去のプロープ試験情報、選別試験情報、
最終選別試験情報などがホストコンピュータから取り出
される。また図示していないが、この新たな再生可能品
について、非再生品と同様にプログラム専用チップが作
成され同様の工程を進行する。プログラム専用チップと
して、電気的にプログラム可能な素子によるものに置き
換えることもできる。この場合、工程数が削減できる。
【0089】図22には、本願に係る識別番号発生回路
を搭載した半導体集積回路装置を回路実装ボードに組み
立てる場合の一実施例の製造工程(1) ないし(15)の構成
図が示されている。
【0090】(1) 本体LSIをプローブ試験テスタによ
り試験する。DRAMやSRAMの不良メモリセル救済
情報、内部電源回路トリミング設定値、ディレイ回路設
定値などと一緒に、LSI内の識別番号をホストコンピ
ュータに転送する。ホストコンピュータは、送られた情
報やその他の製造管理情報などを連携しデータベースに
格納する。 (2) 本体LSIウエハをダイシングする。 (3) 本体LSIをパッケージに組み立てる。 (4) 図21の工程(4) と同じ。 (5) 図21の工程(5) と同じ。 (6) プログラム専用チップをダイシングする。ダイシン
グされたチップは、図21の実施例と同様に、本体LS
Iに対応するグループ(ロット)にまとめられる。
【0091】(7) 図21の工程(7) と同じ。 (8) 本体LSIとプログラム専用チップを回路実装ボー
ドに実装する。この時、前記工程(4) と(6) とで対応付
けられたグループが組み合わされなければならない。し
かし、個々の本体LSIとプログラム専用チップを一対
一で対応させる必要がないので、従来の組立工程と比べ
大幅な工程の変更は必要ない。 (9) 完成したボードが実装試験される。ボード上の本体
LSIが立ち上がる際、本体LSIとプログラム専用チ
ップの間でデータ交換が行われる。本体LSIまたはプ
ログラム専用チップおよびボード実装にともなう不具合
が確認されたものは、分離工程に送られると同時に、不
良情報がホストコンピュータに送られ、再生可能である
か解析される。
【0092】(10) 試験に合格したボードは出荷され
る。 (11) 不合格品のうち再生可能ボードは、プログラム専
用チップが分離される。 (12) 再生可能ボードは回収され、新たな数量単位にま
とめられる。 (13) 回収された再生可能ボードに対するプログラム専
用チップが作られる。今回のレジスタ情報は、前回のレ
ジスタ情報に実装試験結果が加えられたものである。 (14) 回収されたボードは再び実装工程に戻され、前記
工程(13)で作成されたプログラム専用チップとともに1
つの実装ボードに実装され、以降同様の工程を進行す
る。 (15) 図21の工程(13)と同様。 なお、ここに示した実施例は、一実施例にすぎず、適用
される製品や既存の生産ラインの形態により変化する。
【0093】図23には、本願に係る識別番号発生回路
を搭載した半導体集積回路装置の他の一実施例の製造工
程(1) ないし(11)の構成図が示されている。 (1) 本体LSIをプローブ試験テスタにより試験する。
DRAMやSRAMの不良メモリセル救済情報、内部電
源回路トリミング設定値、ディレイ回路設定値などと一
緒に、LSI内の識別番号をホストコンピュータに転送
する。ホストコンピュータは、送られた情報やその他の
製造管理情報などを連携しデータベースに格納する。
【0094】(2) 本体LS1ウエハをダイシングし、救
済可能チップを選別する。 (3) 本体LSIをベビーボードに仮組み立てする。 (4) 組み立て不良などをチェック後に、エージングを行
う。このとき、ベビーボード上のチップからは識別番号
を読み出し、ホストコンピュータからは個々のチップに
対応した救済データを取り出、ベビーボード上のチップ
に格納させる。 (5) テスタによる選別を行う。 (6) ベビーボードから本体LSIを分離する。 (7) 本体LSIを出荷する。 (8) 顧客にて本体LSIと同時にプログラムデバイスを
回路実装ボードに実装する。
【0095】(9) 本体LSIから識別番号を取り出す。 (10) 通信回線を通してメーカー側のホストコンピュー
タをアクセスして上記実装された本体LSIに対応した
データを受け取り、上記プログラムデバイスに転送され
てデータを格納する。通信回線を用いずに例えばCDR
OMのような電子メディアを使って配布してもよい。 (11) 最終ボードをテスタにより選別する。
【0096】以上の各実施例の半導体集積回路装置の製
造方法においては、 (1) 本体LSIとプログラム専用チップの組み合わ
せは、プログラム専用チップに登録される本体LSI数
であるため、一対一の管理が不要となり、生産性が向上
するとともに既存の生産設備の変更が少なくて済む。
【0097】(2) プログラム専用チップにレーザ切
断フューズが使用できる。メタルフューズの他の電気的
プログラミング可能な素子に対しての長所は、標準CM
OSプロセスに対して変更が小規模、本体LS1の仕様
に合わせた設計変更が容易であり、プロセスの世代に依
存しないことなどである。標準プロセスからの変更点
は、最終配線層形成とパッシベーション工程である。
【0098】(3) 本体LSIレジスタは、ラッチ回
路でよいので面積が小さく、本体LSIのチップサイズ
低減になる。
【0099】(4) 本体LSIにチップ識別番号発生
回路を搭載すれば、本体チップにプログラマブル素子プ
ロセスを追加する必要がない。
【0100】(5) プログラム専用チップの置き換え
(リペア)ができる。モジュールやポードに実装後に本
体LSIに修正や問題が発生した時、プログラム内容を
変更したチップを交換することで対応できる。
【0101】(6) ホストコンピュータを中心とした
情報の交換を、ネツトワークを利用して実現することで
離れた場所の製造工場を使用することができ、経済的な
生産活動が可能となる。
【0102】図24は、本願発明に係るチップ識別番号
発生回路の利用例の他の構成図が示されている。この実
施例は、企業間の電子部品調達市場における不正行為や
様々なトラブルを軽減することを目的としている。
【0103】工場から出荷される半導体LSIには、前
記のようなチップ識別番号発生回路が組み込まれてい
る。工場すなわちメーカは、出荷品全てのチップ識別番
号を採取する。チップ識別番号は、ランダムであるので
管理上都合の良いLSI管理番号と対応させる。さらに
各種の管理情報、例えば生産ライン名や製造日などと関
連付ける。
【0104】図24の(1) のように顧客Aに直接納入す
る場合、製品を梱包したユニット(箱など)番号や顧客
番号などの帳票データなどの情報をデータベースの管理
情報に追加する。品物を受け取った顧客Aは、受け入れ
検査時にチップ識別番号を全LSIまたは抜き取ったL
SIから読み出す。次に顧客Aは、例えばインターネツ
トなどのネットワークを通じメーカのデータベースにア
クセスする。データベースから、入荷したユニツトに含
まれるLSIのチップ識別番号を取り出し、入荷したL
SIから読み出した識別番号と比較する。識別番号どう
しが一致すれば、製品の納入が正しいことが確認でき
る。この手法は汎用品でも顧客カスタム品でも可能であ
るが、特にカスタム品の場合有効である。
【0105】図24において、仲介業者(卸業者)が介
入する場合を想定してみる。工場出荷は、上記と同じで
ある。受け取った1次卸業者は、通常梱包を開梱しない
が、ユニット番号をメーカのサーバに照会すると同時
に、次の納品先情報などを登録する。さらに2次、3次
の卸業者も同様にする。最終顧客は、前記(1) と同様に
入荷したLSIの識別番号をLSIから読み出し、メー
カのデータベースに照会する。以上のシステムを構築す
ることで次のような効果が期待できる
【0106】(1)納入品の取り違えが防止できる。 (2)仲介業者による中古品の入れ替えなどの不正行為
を防止できる。 (3)返品による不良品および中古品の再販を防止でき
る。 (4)流通ルートの確認ができる。
【0107】図25には、この発明に係る識別番号発生
回路を組み込んだ半導体チップの回路設計方法の一実施
例のフローチャート図が示されている。この実施例のよ
うな回路設計ソフトウェアをデザイン企業や製造専門企
業に提供する。あるいは、同一機能をEDAベンダのツ
ールに組み込むようにするものである。
【0108】(1)メニューをプルダウンして選択す
る。 (2)メニューデータが生成される。2回目以後は、こ
のメニューデータを指定するだけで所望のIPを選択で
きる。 (3)メニューデータを分析し、違反などを検出する。 (4)メニューデータに従い、必要な情報を、ローカル
データベースから取り出す。ローカルデータベースにな
い最新の情報は、インターネット等のネットワークを介
し、製造専門会社のデータベース等から取得する。 (5)データベースから収集した情報をもとにに、ソフ
トIPに必要なデータを生成処理を行う。 (6)ソフトIPが生成可能か判断する。不可能であれ
ば、ハードIP設計を選択する。
【0109】図26には、この発明に係る識別番号発生
回路を内蔵したLSI設計方法の一実施例のフローチャ
ート図が示されている。この実施例では、特に制限され
ないが、特定用途向けLSI(ASIC)の設計フロー
に向けられている。
【0110】論理合成ツールは、前記図25に示した設
計フローでのソフトIP生成の判断結果により、真理値
表やRTL記述、状態遷移図などからゲートレベルの論
理回路(ネットリスト)を生成する。また、図示してい
ないが、多くの場合、RTLなどは、VHDLやVeril
og HDL等の機能記述言語をもとに生成される。論理
合成の際必要とされるのは、セルライブラリ情報であ
り、これにはトランジスタレベルの接続情報や、ディレ
ー情報、レイアウト情報などが含まれている。また、通
常RTLなどには、制約情報と呼ばれるタイミング誤差
許容値やレイアウト配置間隔、最大信号配線長などの情
報が付加されている。DFTツールはゲートレベルの論
理回路にLSIの検査に有効な診断論理を付加し、自動
配置配線ツールによって最終的なレイアウトデータを作
成する。
【0111】セルライブラリに登録されているセルの種
類は、インバータやNAND(ナンド)、フリップフロ
ップなどの最も基本的な回路構成要素が主なものであ
る。一般にセルライブラリのデータ、例えばレイアウト
情報などは人手により作成される。しかし、規模が大き
い物や、例えばメモリのように基本的な機能は変わらな
いがその構成がわずかづつ異なる物については、自動セ
ル生成ツールやラムコンパイラなどが用いられることが
ある。
【0112】ここで、本願発明でいうハードIPとソフ
トIPについて簡単に説明する。現在、半導体産業にお
いて、特に特定用途向けLSI設計製造においては、顧
客(例えばゲーム機や自動車メーカなど)から受けた仕
様をもとに、設計から製造までを1つの企業で行う総合
企業形態と、設計だけを専業とするいわゆるLSIデザ
イン企業と、製造を専業とするいわゆるファンドリ企業
によって分業化される形態に分類される。
【0113】また、最近では分業化の流れに乗り、IP
を供給する企業(IPベンダ)やそれらの流通市場や、
標準化支援団体などが生まれている。IPはLSIの設
計効率を向上する上でも重要な存在となってきており、
総合企業においても無視できないものとなっている。
【0114】IPには、大きくハードIPとソフトIP
と呼ばれるものがある。両者の違いを、LSIデザイン
企業とファンドリ企業による分業形態を対象した場合を
比較してみる。LSIデザイン企業(ファブレス企業)
は、顧客の仕様をもとに図68のVHDLやVerilog
HDL等の機能記述言語を用いたデータや、真理値表や
ネットリスト、RTL記述、状態遷移図などのデータ、
制約情報などを作成する。ただし、顧客自身が、これら
のデータまで作成しLSIデザイン企業に渡す場合もあ
る。
【0115】次にLSIデザイン企業は、冒頭で述べた
論理合成ツールを使用してネットリストを作成する。論
理合成の際に、用いられる回路素子は、セルライブラリ
に登録されているものに限られる。それらは、製品を製
造する製造専門会社が認定したものであり、一般に製造
会社が自ら提供するのは、先に述べたインバータ回路や
NANDゲート回路のような基本的なものである。
【0116】ただし実際には、製造専門会社も、自社の
競争力をたかめるため、より複雑なものを提供してい
る。しかし、製造専門会社だけで、例えばPLLやSR
AM、演算回路など複雑で高機能な回路を準備すること
は困難であるため、それらを設計し供給するIPベンダ
が多く登場する。IPの中でもPLLなどは、回路自身
が複雑で、かつ使用するプロセスに特性が大きく依存す
るため、IPベンダは一般的にハードIPという形で供
給する。ハードIPは、簡単にいうとセルライブラリ
に、IPベンダが設計したセルレイアウトが登録される
ものである。それ故、ハードIPベンダはハードIPを
供給する場合に、製造専門会社はもちろん、そのプロセ
ス世代毎にもIPを変更し、製造会社の認定を受け、さ
らに各LSIデザイン企業の持つセルライブラリに登録
してもらわなければならない。
【0117】一方、ソフトIPの場合、IPベンダは、
先のVHDLやVerilog HDL等の機能記述言語を用
いたデータや、真理値表やネットリスト、RTL記述、
状態遷移図などのデータ、制約情報などを、LSIデザ
イン企業やファンドリ企業、あるいはその上の顧客に供
給するのみである。そのため現在、特定用途向けLSI
の市場では、ソフトIPの普及が先行しており今後もそ
の優位性は変わらないと考えられる。また、ラムコンパ
イラもあくまでセルライブラリの部品の作成を自動化す
るものであり、ハードIPの範疇に含まれる。
【0118】上記のように、ハードIPによる供給形態
は、IPの流通や普及の点で劣り、さらにハードIPを
供給する側にもプロセス毎の設計変更などの負担などの
短所がある。対して、この実施例の識別番号発生回路は
完全論理記述型回路で構成されるためソフトIP化が比
較的容易である。例えば、セルライブラリにCMOSナ
ンドゲート回路(当然ある)が既に登録されていれば、
ネットリストやRTL記述のみでIPを設計企業に供給
できる。自動配置配線処理は配置や配線の結果が不規則
でることが弱点として上げられるが、この実施例の識別
番号発生回路は、前記のような規則的な素子配置を考慮
したものであり、かかる自動配置配線処理にも好適なも
のとなる。
【0119】近年、LSIにID番号や各種の固有情報
(以降、これを一般情報と呼ぶ)などを組み込む応用例
が増えている。例えば、製品の製造ライン番号や、製造
週番号、製品のグレード、製造管理情報であったりす
る。これらは、一般にレーザフューズやEPROMなど
を用いてID番号をプログラムしている。このプログラ
ムにおいて、当然レーザプログラムのミスはあってはな
らないし、しかも、レーザフューズ方式は、ほとんどウ
ェハ状態で加工されるが、レーザ工程以降の工程で変化
してもならない。その情報が、生命・財産にかかわる内
容のものであればなおさら重要である。
【0120】しかし、プログラム後ダイシングされチッ
プがひとつひとつばらばらな状態では、レーザプログラ
ム時に書き込まれた一般情報は読み出すことはできて
も、それが正しいかどうかを確認することは、非常に困
難であるという重要な問題がある。その対策として次の
ようなものが考えられる。一つには、パリティビット付
加し、データの変動を検出するものである。パリティ検
査のための機能は、チップに内蔵してもよいが、測定器
において判定してもよい。しかし、厳密な意味で、チッ
プに書き込まれているデータを確認したことにはならな
い。
【0121】他の一つは、読み出した情報の信頼性を確
保するため、何らかの方法で読み出した一般情報を記録
する仕掛けを作り、情報の重複を確認する方法である。
この方法では、最悪重複したチップを全て不良品扱いと
することで製品の事故は防ぐことができる。しかし、現
実には複数のチップの読み出し情報が重複した場合、ど
れが正しいものであるか確認は困難であり、チップの管
理及び処置が複雑となる。つまり、先に上げた問題の本
質的な解決方法は、いったんばらばらにされたチップを
識別し、そのチップの正しい情報を知り得て、それと比
較することであると考えられる。
【0122】そこで、チップに固有の識別番号を付け加
え、その情報を元に正しい番号をデータベース等から得
るという発想も考えられるが、それ自体を同じレーザフ
ューズで書き込んでも、それはいたちごっこになるだけ
である。
【0123】一方、情報論(例えば、情報論:瀧康夫
著、岩波新書刊)によれば、符号間の距離(例えばハミ
ング距離)が大きければ、それらに雑音が乗っても、元
の情報の変化の検出とさらに修復も可能であるというこ
とが周知(例えば、誤り訂正符合とその応用:映像情報
メディア学会編、オーム社刊)である。ここでは符合と
は、レーザフューズで書き込んだ情報であり、雑音とは
その一部が変化したことに相当する。
【0124】つまり、上記固有情報に、符号間の距離の
大きなチップ固有識別番号を加えることで、全体の情報
の一部が多少変化しても、他の識別番号すなわちチップ
と十分区別できるようになる。そこで、本願発明に係る
識別番号発生回路の利用が有効となるものである。
【0125】図27には、この発明に係る識別番号発生
回路内蔵の半導体チップを用いた半導体集積回路装置の
製造方法の一実施例のフローチャート図が示されてい
る。一般情報とチップに符号間の距離の大きな固有の識
別番号を合わせた情報(以降、これを管理情報と呼ぶ)
を指示されたウェハ上のレーザフューズにプログラムす
る。固有識別番号は、内蔵の識別番号発生回路で生成さ
れたものが用いられる。
【0126】一般情報と固有識別番号は、管理情報とし
て、データベース上に保存され管理される。管理情報
は、例えば一般情報+チップの識別番号から構成され
る。上記一般情報の設定に、前記図7の固有情報回路を
利用することができる。
【0127】半導体集積回路装置又はICカードの組み
立て後の検査工程では、管理情報を読み出してデータベ
ースを参照し同一の管理情報があるか確認する。同一の
管理情報がデータベース内に存在すれば、レーザによる
プログラムは正しいと判定される。同一の管理情報がデ
ータベース内に見付からない時は、最も類似した管理情
報を抽出する。次に、読み出した情報と抽出した管理情
報のそれぞれの一般情報どうしを比較する。
【0128】この読み出しの際、一般情報の部分につい
ては、例えば電源電圧条件を変えるなど複数の条件で読
み出し、固有識別番号については1回のみ読み出すこと
で、短時間にデータの書き込みが十分安定しているか確
認することができる。なお、試験中は高速にデータベー
ス上の管理情報との照合を行う必要がある。例えば、検
査が始まる前に予め参照される管理情報のデータを試験
装置に付随するワークステーション等に格納しておいて
もよい。
【0129】上記の方法によって、プログラム情報の迅
速で正確な確認が出来るようになる。しかも、固有識別
番号の書き込みをレーザフューズ等で逐一行うと、加工
時間とチップ面積の増加をもたらす可能性があるが、本
願発明に係るゲート回路の論理しきい値のバラツキを用
いたチップ識別番号発生回路を用いることで、簡単にし
かも自動的に固有識別番号を得ることができる。
【0130】つまり、レーザプログラムに先立つ、プロ
ーブ検査等で取得されたチップ識別番号および、ロット
やウェハ等の情報を、管理情報データベースに登録す
る。指示されたウェハ上のチップに対応する管理情報を
レーザフューズへ書き込むというものである。
【0131】図28には、この発明に係る識別番号発生
回路を搭載した半導体チップを用いた半導体集積回路装
置の組み立て工程(いわゆる後工程)の一実施例のフロ
ーチャート図が示されている。
【0132】(1)プローブ検査では、識別番号発生回
路によるID番号、ロット名、ウェハ番号、チップ番号
等をデータベースに登録する。 (2)登録時に既に登録されたID番号に類似した新た
なID番号が発生した場合、何らかの警告を発しチップ
を処置する。 (3)組み立て試験以降の工程では、既にチップはダイ
シング工程にてバラバラに分かれているため、識別番号
発生回路によるID番号と、工程番号、当該工程ロット
名をデータベースに登録する。 (4)本願に係る識別番号発生回路によって取得できる
ID番号は、組み立て工程の機械的、熱的ストレスやバ
ーイン工程の電気的ストレス等で変動する可能性がある
ため、最新検査工程で取得されたID番号をデータベー
スに格納する。 (5)後工程内のチップ追跡の必要がない場合、最終出
荷選別工程でのみ識別番号発生回路によるID番号を取
得しデータベースに登録する。 (6)各試験工程で、不良になったチップの既取得ID
番号情報は、削除するか印を付けて以降の検索処理時間
を軽減する。
【0133】(7)マーキング工程では、製品を製造し
たラインを示す記号や番号、製造した時期を示す年番号
や週番号が刻印されることがある。個別サンプルの識別
を行う上で、これらの刻印は検索のための情報となる。
そこで、出荷選別2では、識別番号発生回路によるID
番号とこれらの刻印情報をデータベースに登録する。共
通の刻印情報を持つチップでは、識別番号発生回路によ
るID番号は全て独立である必要があるが、異なる刻印
情報を持つチップでは、識別番号発生回路によるID番
号に同一あるいは類似しても構わない。すなわち、各チ
ップに搭載する識別番号発生回路によるID番号の識別
能力を抑えることが可能で、識別番号発生回路の規模お
よび識別番号のビット数を削減できる。 (8)各工程毎の識別番号発生回路によるID番号の登
録時に、ID番号をもとにロットの混入・混合を検出
し、何らかの警告を発する。
【0134】この実施例では、全ての工程とデータベー
ス間がオンラインで直結しているが、現実には立地条件
により通信回線による接続が困難である場合や、通信速
度が遅い、バッチ処理が介在するなどの理由でリアルタ
イム性に欠けるような状況が発生する。そのような場
合、いったんローカルなデータベースに蓄える。さら
に、即時性が必要でない場合、記憶媒体に保存し、デー
タベースまで輸送するか、現物と一緒に、次工程に搬送
する。
【0135】各工程の試験装置や処理計算機などの制約
などによって、データベースに集められるデータの形式
が異なる場合がある。そのような場合、データフォーマ
ットのを変換する処理を、データベース登録直前に挿入
すればよい。
【0136】図29には、この発明に係る識別番号発生
回路を利用した半導体集積回路装置の救済方法の一実施
例の構成図が示されている。この実施例では、 (1) 本体チップのプローブ検査が実施される。この検査
によりDRAM等の救済データを識別番号発生回路から
取り出した識別番号とともにホストコンピュータに送
る。 (2) ダイシングして完全動作品と救済可能品のみを取り
出す。 (3) 救済データ専用EEPROMのプローブ試験を実施
する。 (4) 正常動作品をダイシングし、ストックして置く。 (5) 本体LSIと救済データ専用EEPROMを同一モ
ジュールに実装する。 (6) 実装済モジュールの本体LSIの識別番号を読み出
し、対応する救済データを救済データ専用EEPROM
に書き込む。 (7) 選別試験を行う。 (8) 良品LSIは出荷し、不良LSIのうち再度救済可
能なものはステップ前記(6) に戻り、対応する救済デー
タを救済データ専用EEPROMに書き込む。
【0137】これにより、半導体集積回路装置の救済が
簡単にしかも合理的に行うようにすることができる。な
お、半導体集積回路装置の救済の他にも上記識別番号を
利用した検査コストの低減が可能である。半ウェハ上に
半導体チップが形成された時点で行われるプローブ試験
において、例えば、フラッシュメモリのような半導体チ
ップでは、同じ回路機能で動作電圧が3.0V、2.5
V及び1.8Vのように異なるものを別品種として製造
するものがある。
【0138】このとき、1.8Vに対応した電圧設定に
よりテストを実施し、正しくメモリ動作が行われるか否
かの判定が行われる。この判定により良品とされた半導
体チップには、その識別番号に1.8V動作確認の電圧
情報が記録される。動作確認の情報は、半導体チップそ
れ自体に不揮発的に書き込み保持される。そのために、
半導体チップ内には、フラッシュメモリからなるような
管理メモリが設定される。
【0139】上記1.8Vで不良となったチップについ
ては、2.5Vに電圧設定してメモリ動作が行われるか
否かの判定が行われる。この判定により良品とされた半
導体チップには、その識別番号に2.5V動作確認の電
圧情報が記録される。そして、上記2.5Vで不良とな
ったチップについては、2.5Vに電圧設定してメモリ
動作が行われるか否かの判定が行われる。この判定によ
り良品とされた半導体チップには、その識別番号に3.
0V動作確認の電圧情報が記録される。この3.0Vで
不良となったチップは不良チップとして廃棄される。
【0140】この実施例においては、例えば上記1.8
Vで動作するものとされた半導体チップについて、2.
5Vや3.0Vでの動作試験を行うことなく、2.5V
や3.0Vでの動作が可能なものとして扱われる。同様
に、上記2.5Vで動作するものとされた半導体チップ
について、3.0Vでの動作試験を行うことなく3.0
Vでの動作が可能なものとして扱われる。このため、
1.8Vで動作するものとされた半導体チップを2.5
Vや3.0Vでの動作させたときに不良となる可能性を
持つが、その確率は小さいと考えられるので逐一各電圧
での動作を行うことよりもそれを省略してテスト時間の
短縮化を図った方が全体としての製造のコストの低減が
可能になる。
【0141】そして、フラッシュメモリ単体として組み
立てるとき、あるいはマイクロプロセッサ等と組み合わ
せて1つの半導体集積回路装置として組み立てられると
き、上記識別番号からホストコンピュータに記憶された
動作電圧情報を得て、適合するものが組み合わられる。
このとき、2.5Vで動作する半導体集積回路装置は、
前記1.8Vの動作確認のチップも用いることができ、
3.0Vで動作する半導体集積回路装置は、前記1.8
Vと2.5Vで動作するチップも用いることができる。
【0142】以上本発明者よりなされた発明を実施例に
基づき具体的に説明したが、本願発明は前記実施例に限
定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種
々変更可能であることはいうまでもない。例えば、図1
において、ナンド(NAND)ゲートに代えて、ノア
(NOR)ゲート回路を用いるものであってもよい。た
だし、ノアゲート回路では、動作制御信号Gのハイレベ
ルによりロウレベルの出力信号を形成するので、次段の
ゲート回路のPチャネルMOSFETにはロウレベルの
電圧が与えられてしまうので、NBTIによる素子特性
の劣化の観点からは前記実施例のようなナンドゲートが
有効である。
【0143】レジスタ等のような適当な記憶回路を設
け、電源投入時のみに上記識別番号発生回路を動作状態
にし、それ以外は、識別番号発生回路の全ての電源を遮
断してしまうことにより、ノアゲート回路を用いた場合
やCMOSクロックドインバータ回路を用いた場合の素
子特性の劣化を実質的に問題にならないようにするもの
であってもよい。この発明は、半導体集積回路装置又は
半導体チップに固有の識別情報を割り当てて、個々の半
導体集積回路装置又は半導体チップの識別を行うように
した半導体集積回路装置又は半導体チップの識別方法と
半導体集積回路装置の製造方法、半導体集積回路装置及
び半導体チップに広く利用することができる。
【0144】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下
記の通りである。互いに同じ製造過程をもって同一の形
態として形成された第1と第2ゲート回路を含み、上記
第1のゲート回路の第1の入力と出力とを接続し、上記
第2のゲート回路の第1の入力に上記第1のゲート回路
の共通接続された入力と出力を接続し、上記第1及び第
2のゲート回路の第2の入力には、動作制御信号を供給
して動作状態のときに上記第1ゲート回路と第2ゲート
回路の論理しきい値の差によって決まる固有の識別情報
を上記第2のゲート回路の出力信号に基づいて形成する
単位識別回路の複数個を備えることにより、論理しきい
値のバラツキに対応した固有の識別情報を簡単に効率よ
く得ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る半導体識別回路の一実施例を示
す基本的回路図である。
【図2】図1の半導体識別回路の一実施例を示す具体的
回路図である。
【図3】図1の半導体識別回路の動作の一例を説明する
ための波形図である。
【図4】この発明に係る多ビット識別番号発生回路の一
実施例を示す回路図である。
【図5】図4の多ビット識別番号発生回路の動作を説明
するための波形図である。
【図6】この発明に係る多ビット識別番号発生回路の他
の一実施例を示す回路図である。
【図7】この発明に用いられる1ビット固定番号発生回
路の一実施例を示す回路図である。
【図8】この発明に係る多ビット識別番号発生回路の一
実施例を示すブロック図である。
【図9】この発明に係る多ビット識別番号発生回路の一
実施例を示すレイアウト図である。
【図10】この発明に係る半導体識別回路の他の一実施
例を示す基本的回路図である。
【図11】この発明に係る多ビット識別番号発生回路の
他の一実施例を示す回路図である。
【図12】図11の多ビット識別番号発生回路の一実施
例を示す具体的回路図である。
【図13】この発明に係る多ビット識別番号発生回路の
更に他の一実施例を示す回路図である。
【図14】図13の多ビット識別番号発生回路の一実施
例を示す具体的回路図である。
【図15】この発明に係る半導体集積回路装置の識別シ
ステムにおける照合アルゴリズムの登録方法の一実施例
を示す構成図である。
【図16】この発明に係る半導体集積回路装置の識別シ
ステムにおける照合アルゴリズムの照合方法の一実施例
を示す構成図である。
【図17】図16の比較方法の一例を示す説明図であ
る。
【図18】この発明が適用される半導体集積回路装置の
一実施例を示す構成図である。
【図19】この発明が適用されるマルチチップモジュー
ルの一実施例を示すブロック図である。
【図20】図19のプログラム専用チップの一実施例を
示すブロック図である。
【図21】本願に係る識別番号発生回路を搭載した半導
体集積回路装置の一実施例の製造工程を説明するための
構成図である。
【図22】本願に係る識別番号発生回路を搭載した半導
体集積回路装置を回路実装ボードに組み立てる場合の一
実施例の製造工程を説明するための構成図である。
【図23】本願に係る識別番号発生回路を搭載した半導
体集積回路装置の他の一実施例の製造工程を説明するた
めの構成図である。
【図24】本願発明に係るチップ識別番号発生回路の利
用例を説明するための構成図である。
【図25】この発明に係る識別番号発生回路を組み込ん
だ半導体チップの回路設計方法の一実施例を示すフロー
チャート図である。
【図26】この発明に係る識別番号発生回路を内蔵した
LSI設計方法の一実施例を示すフローチャート図であ
る。
【図27】この発明に係る識別番号発生回路内蔵の半導
体チップを用いた半導体集積回路装置の製造方法の一実
施例のフローチャート図である。
【図28】この発明に係る識別番号発生回路を搭載した
半導体チップを用いた半導体集積回路装置の組み立て工
程の一実施例を示すフローチャート図である。
【図29】この発明に係る識別番号発生回路を利用した
半導体集積回路装置の救済方法の一実施例を示す構成図
である。
【符号の説明】
G1〜G4、G01〜G34…ナンドゲート回路、IV
0〜IV3…インバータ回路、R0〜R3…デコーダ又
はレジスタ、SW…スイッチ、BL1,BL2…小ブロ
ック、CN1〜CN4…クロックドインバータ回路、Q
1〜Q16…MOSFET。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村中 雅也 東京都小平市上水本町5丁目22番1号 株 式会社日立超エル・エス・アイ・システム ズ内 Fターム(参考) 5F038 AV06 DF06 DT13 EZ20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに同じ製造過程をもって同一の形態
    として形成された第1と第2ゲート回路を含み、 上記第1のゲート回路は、第1の入力と出力とが接続さ
    れ、 上記第2のゲート回路の第1の入力は、上記第1のゲー
    ト回路の共通接続された入力と出力に接続され、 上記第1及び第2のゲート回路の第2の入力には、動作
    制御信号が供給されてなり、上記第1ゲート回路と第2
    ゲート回路の論理しきい値の差によって決まる固有の識
    別情報を上記第2のゲート回路の出力信号に基づいて形
    成する単位識別番号発生回路の複数個を備えてなること
    を特徴とする半導体識別回路。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 上記第2のゲート回路に対しては、第2のゲート回路と
    同様な構成にされた1ないし複数のゲート回路が更に縦
    列形態に接続されてなることを特徴とする半導体識別回
    路。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 上記複数の単位識別番号発生回路は、順序回路により形
    成された動作制御信号に対応して順次に動作状態にさ
    れ、 上記複数の単位識別番号発生回路の出力部には、上記動
    作順序に対応した各単位識別番号発生回路の識別情報を
    シリアルに出力させるゲート回路が設けられてなること
    を特徴とする半導体識別回路。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 上記各ゲート回路は、CMOS構成のゲート回路であ
    り、上記動作制御信号により単位識別番号発生回路が非
    動作状態にされるときに、次段のゲート回路のPチャネ
    ルMOSFETをオフ状態にさせるものであることを特
    徴とする半導体識別回路。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 上記複数の単位識別番号発生回路は、行列配置されてな
    り、 上記複数の単位識別番号発生回路を構成するゲート回路
    は、3入力のゲート回路からなり、第1の入力により前
    記論理しきい値を取り出し、第2の入力に行方向の動作
    制御信号を供給し、第3の入力に列方向の動作制御信号
    を供給してなることを特徴とする半導体識別回路。
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