JP2003329955A - 揺動型走査装置 - Google Patents

揺動型走査装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 揺動によって操作を行う揺動型走査装置にお
いて、その構造に由来した制約を解消し、可動子の角度
にかかわらず均一な光量で照射する。 【解決手段】 可動子の速度に応じて照射の強度を変化
させ、強度の変化により、可動子の速度に応じた光量の
低下を補償するので、可動子の角度にかかわらず均一な
光量で照射できる。すなわち、本発明による改良前の構
成においては、光量は一点鎖線Bで示されるように中立
点Cの近傍で極小値をとる脈流であったところ、本実施
形態によれば光量補償制御により、実線Aで示されるよ
うに光量を一定値にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、揺動可能に保持さ
れた可動子に光学素子を備えた揺動型走査装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザ式の測距装置などにおける
走査機構として、磁界中のコイルへの通電によって生ず
る電磁力を利用した揺動型走査装置が提案されている。
【0003】この揺動型走査装置は、図4に示される機
構部10と、図示しない制御部とから構成されている。
機構部10は、コイルが形成された平板状の可動子1の
上面にミラー2を形成し、この可動子1をトーションバ
ー3により揺動自在に保持すると共に、永久磁石4によ
る磁界中に配置したものである。
【0004】可動子1のコイルに電流IAを流すと、永
久磁石4による磁界とコイルによる磁界との相互作用に
よって電流値に応じた力FAが生じ、可動子1をトーシ
ョンバー3のねじり方向の弾性変形に対する復元力(弾
性力)に釣り合う位置まで旋回させる。
【0005】また、この揺動の周波数を、可動子1の質
量・形状やトーションバー3の弾性率などによって定ま
る可動子1の固有振動周波数に等しく設定する構成(い
わゆる共振型ガルバノミラー機構)とした場合には、可
動子1の共振により、高速で走査でき且つ小電力で大き
い運動が得られるため特に好適である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、走査装置に
よる光量は、強度と時間との積で表されるところ、上記
従来の構成では、可動子1の運動が単振動であるため、
可動子1の速度が遅くなる2つの停止姿勢の近傍の領域
に比して、可動子1の速度が最大となる中立姿勢の領域
では、光量が不足することになる。このような光量の変
化は、2つの停止姿勢の近傍の領域と中立姿勢の領域と
の間の信号対雑音比(SN比)の不均衡を生じさせ、ま
た、例えば対象物における反射光量に応じて傷の大きさ
を検出する探傷装置の場合には、誤検出を生じさせてい
た。
【0007】そこで本発明の目的は、揺動によって走査
を行う揺動型走査装置において、その構造に由来した制
約を解消し、可動子の角度にかかわらず均一な光量で照
射することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の本発明は、請求項
1に記載のとおり、揺動可能な可動子と、前記可動子に
一体的に形成された光学素子とを備え、対象物を照射す
る揺動型走査装置において、前記可動子の速度に応じ
て、前記照射の強度を変化させる出力制御部を更に備
え、前記出力制御部は、前記強度の変化により、前記可
動子の速度に応じて光量を補償することを特徴とする揺
動型走査装置である。
【0009】第1の本発明では、出力制御部が、可動子
の速度に応じて照射の強度を変化させ、強度の変化によ
り、可動子の速度が大きい場合の光量の低下を補償する
ので、可動子の角度にかかわらず均一な光量で照射でき
る。
【0010】第2の本発明は、請求項2に記載のとお
り、請求項1に記載の揺動型走査装置であって、前記出
力制御部が、前記可動子が2つの停止姿勢の間の中立姿
勢からいずれかの停止姿勢に至るまで、前記強度を漸減
させることを特徴とする揺動型走査装置である。
【0011】第2の本発明では、中立姿勢の近傍におい
て揺動(旋回)速度が最大となる構造において、可動子
の角度にかかわらず均一な光量で照射できる。
【0012】第3の本発明は、請求項3に記載のとお
り、請求項1または2に記載の揺動型走査装置であっ
て、前記可動子の現在角度を検出する角度検出手段を更
に備え、前記出力制御部が、前記角度検出手段が検出し
た角度に基づいて前記強度を制御することを特徴とする
揺動型走査装置である。
【0013】第3の本発明では、可動子の現在角度に基
づいた正確な制御を実行できる。
【0014】第4の本発明は、請求項4に記載のとお
り、請求項1ないし3のいずれか1に記載の揺動型走査
装置であって、前記可動子が弾性体を介して基準位置に
保持されると共に、前記可動子の揺動を制御する揺動制
御部を更に備え、当該揺動制御部が、前記可動子をその
固有振動周波数に略等しい周波数で駆動することを特徴
とする揺動型走査装置である。
【0015】第4の本発明では、いわゆる共振型ガルバ
ノミラー機構において本発明の効果を実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の好適な実施形態につい
て、以下に図面に従って説明する。図1において、本発
明の実施形態に係る揺動型走査装置は、照射対象となる
照射平面50をレーザ光で線方向に照射するものであ
る。
【0017】機構部10は、上記従来例のものと同様で
あり、揺動する平板状の可動子1を備えている。レーザ
ダイオードLDは、図示しない筐体の適宜箇所に固定さ
れており、その光軸は、可動子1の図中下面側に形成さ
れた平板状のミラー2の中心点に向けられている。
【0018】ミラー駆動回路21は、発振回路20から
のクロックパルス信号に基づいて、機構部10の可動子
1のコイルに電流IAを供給することで機構部10を制
御する。角度検出回路22は、機構部10への給電がオ
フされた際の可動子1の姿勢の復帰に伴うコイルからの
誘起起電力を検出することで、可動子1の現在の位置
(旋回角度)を算出し、タイミング信号として出力す
る。レーザ強度変調信号発生回路23は、角度検出回路
22からのタイミング信号に基づいて、レーザ駆動/変
調回路24にレーザ強度変調信号を出力する。レーザ駆
動/変調回路24は、レーザダイオードLDへの給電に
よりこれらを駆動する。角度検出回路22およびレーザ
強度変調信号発生回路23は、照射光量均一化回路25
を構成する。
【0019】なお、発振回路20からレーザ駆動/変調
回路24までを含む制御系は、ハードウェア的にはCP
U(中央処理装置)を中心としたワンチップマイクロプ
ロセッサとして構成されており、動作プログラムや処理
プログラムを記憶させたROMと、データやプログラム
を一時的に保持するRAMと、入出力インターフェイス
とを含んでいる。また、この制御系のROMにおける所
定のアドレスには、機構部10の動作の定常状態におけ
る時刻と可動子1の角度とを互いに関連づけて記憶させ
た時間テーブル、および定常状態における時刻と照射の
強度とを互いに関連づけて記憶させた強度テーブルを、
予め格納しておく。
【0020】以上のとおり構成された実施形態の動作に
ついて説明する。本実施形態では、ミラー駆動回路21
からの駆動信号として、IA=Acos(2πnt)の
正弦波電流が機構部10に出力され、これによって可動
子1が揺動する。ここでAは振幅、nは周波数、tは時
間である。周波数nは、可動子1の固有振動周波数に等
しくする。可動子1の揺動に対応して、レーザダイオー
ドLDが点灯され、これによって照射平面50における
左停止点L、中立点C、および右停止点Rの間の領域
が、図中左右方向に走査される。左停止点Lおよび右停
止点Rは、可動子1の動作方向が反転する折り返し点に
対応し、中立点Cは左停止点Lと右停止点Rとの中間点
である。
【0021】ここで、本実施形態では、可動子1の速度
に対応する可動子1の位置(回動角度)に応じて、レー
ザダイオードLDの照射の強度を変化させ、可動子1の
速度に応じた光量の低下を補償する光量補償制御が行わ
れる。
【0022】まず、可動子1の速度に対応する線走査速
度は、図2に示される左停止点Lから漸増し、中立点C
で最大となった後漸減して、右停止点Rで0となる。そ
して逆方向の揺動により線走査速度が負になると共に、
その絶対値は漸増し、中立点Cで最大となった後漸減し
て、左停止点Lで0となる。以上が揺動の1周期におけ
る線走査速度の変化である。
【0023】ここで、機構部10のコイルからは、可動
子1の角度に対応(比例)した逆起電力が得られるの
で、逆起電力が0を挟んで正から負へ(または、負から
正へ)と変化する点(以下適宜ゼロクロス点ZCとい
う)を検出することにより、可動子1が停止姿勢に到達
したタイミングを検出することができる。
【0024】すなわち、本実施形態では、角度検出回路
22においてゼロクロス点ZCが検出されたことを条件
にタイミング信号が出力され、レーザ強度変調信号発生
回路23においては、このタイミング信号の受信をトリ
ガとして、上述の強度テーブルの参照により、各時刻に
おける強度指令値が読み出され、レーザ駆動/変調回路
24に出力される。レーザ駆動/変調回路24では、こ
の強度指令値に従って駆動信号が変調され、レーザダイ
オードLDからは強度指令値どおりの光量でレーザ光が
出力される。
【0025】なお、図2に示されるレーザ強度変調信号
は、逆起電力信号が負となる時間領域においては強度指
令値がゼロクロス点ZCを挟んで正側に反転され、その
結果レーザ光は、ゼロクロス点ZCで極小値をとりなが
ら脈動的に変化することになる。
【0026】以上のとおり、本実施形態では、レーザ強
度変調信号発生回路23が、可動子1の速度に応じて照
射の強度を変化させ、強度の変化により、可動子1の速
度に応じた光量の低下を補償するので、可動子1の角度
にかかわらず均一な光量で照射できる。すなわち、本発
明による改良前の構成においては、光量は図2において
一点鎖線Bで示されるように中立点Cの近傍で極小値を
とる脈流であったところ、本実施形態によれば上記光量
補償制御により、実線Aで示されるように光量を一定値
にすることができる。
【0027】また本実施形態では、レーザ強度変調信号
発生回路23が、可動子1が中立姿勢(中立点C)から
いずれかの停止姿勢(左停止点Lまたは右停止点R)に
至るまで、強度を漸減させるので、中立姿勢(中立点
C)の近傍において揺動(旋回)速度が最大となる構造
においても、可動子1の角度にかかわらず均一な光量で
照射できる。
【0028】また本実施形態では、角度検出回路22が
逆起電力により検出した角度に基づいて、レーザ強度変
調信号発生回路23が強度を制御するので、可動子1の
現在角度に基づいた正確な制御を実行できる。
【0029】なお、上記実施形態では、レーザ光の強度
をレーザダイオードLDへの電流値の可変によって制御
するが、供給電流値の変更によって照射強度を変更する
ことが困難な光源、例えばガスレーザのような光源を用
いる場合には、光源への供給電流値を一定にしておき、
外部変調器を利用して、照射強度の制御を外的に行うこ
ととしてもよい。すなわち、このような変形例では、図
3に示すように、レーザ光源LEと可動子1との間の光
路中に、外部変調器26を介装し、この外部変調器26
に、レーザ強度変調信号発生回路23からの信号を入力
する。またレーザ駆動回路27は、一定値の電流をレー
ザ光源に常時供給する。外部変調器26としては、電気
信号により光学的な異方性を生じさせる電気光学効果素
子や、結晶材料と圧電素子とを組み合わせてなる光の回
折を生じさせる音響光学素子、あるいは光強度を無段階
的に調整できる液晶シャッタなどを利用するのが好適で
あって、これらの構成によっても、上記実施形態と同様
の効果を得ることができる。
【0030】また、上記実施形態では、レーザ強度変調
信号発生回路23をディジタル回路として構成とした
が、これをアナログ回路として構成してもよい。その場
合には例えば、逆起電力信号を帯域フィルタで濾波する
と共に増幅回路で増幅し、位相調整回路・整流回路・バ
イアス調整回路を通じて処理することにより、図2にお
けるレーザ強度変調信号の破線aの領域をゼロクロス点
ZCから反転させ且つバイアス電流I0を加えることで
レーザ強度変調信号を得るのが好適であって、これらの
構成によっても、上記実施形態と同様の効果を得ること
ができる。
【0031】また、上記実施形態では、可動子1または
ミラー2の揺動をいずれも単振動としたが、本発明にお
ける可動子の運動は、揺動すなわち往復動であれば正弦
波振動である必要はない。
【0032】また、上記実施形態では、角度検出回路2
2が逆起電力を利用して可動子1の位置を検出すること
としたが、本発明における角度検出手段は可動子の角度
を検出できるものであれば他の構成でもよい。すなわ
ち、角度検出手段は例えば、可動子1による光束の遮断
を検出する構成としたり、あるいは、上記実施形態にお
ける可動子1の裏面側に平板状の裏面ミラーを更に形成
し、この裏面ミラーにレーザを照射しつつ、その反射側
に対向して設けられた受光素子で反射光を検出する構成
とすることができる。
【0033】また、上記実施形態では、レーザ強度変調
信号発生回路23におけるレーザ強度変調信号の信号発
生タイミングを、角度検出回路22からのタイミング信
号に基づいて決定したが、このような構成に代えて、こ
れを発振回路20からのクロックパルス信号に基づいて
決定する構成としてもよい。
【0034】また、本発明は、トーションバー3のよう
な弾性変形部材によって可動子1の支持・可動子1の変
位の許容と復元動作とが行われる形式の走査装置におい
て特に好適に適用できるが、同様の構成を、弾性変形部
材によらずに可動子を支持する構造の揺動型走査装置
や、可動子をその共振周波数とは無関係に動作させる形
式の非共振型の機構部(ガルバノミラー機構)について
適用することも可能である。
【0035】また上記各実施形態では、可動子1を一方
向に揺動させる構成としたが、本発明における可動子は
2以上の複数方向に揺動するものであってもよい。特
に、互いに直交する2方向に可動子が揺動する形式の機
構部について本発明を適用することも可能であり、この
場合には2次元の走査が可能であることから、本発明に
よる効果を画像再生装置や、3次元の測距装置・形状測
定装置などにおいて実現できる。
【0036】また、上記実施形態では、可動子1に一体
的にミラー2を設けた構成としたが、可動子1に固定な
いし一体的に形成される光学素子は、走査動作に関与す
る部材であれば他の部材でもよく、例えば発光素子、受
光素子または透光性の光学部材を可動子1に固定して
も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さ
らに、可動子1に一体的に光学素子を形成する透過型の
構成としては、上述した外部変調器を可動子1に一体的
に設けてもよい。
【0037】また上記各実施形態では、レーザ式の照射
装置や測距装置に本発明を適用した例について説明した
が、本発明は他の方式の測距装置や、画像入力装置、画
像再生装置、複写機、レーザ加工装置など、走査動作を
必要とするどのような装置にも適用でき、かかる構成も
本発明の範疇に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の概略構成を示すブロック
図である。
【図2】 線走査速度・逆起電力信号・レーザ強度変調
信号および照射光量を示すタイミング図である。
【図3】 外部変調器を用いた変形例の概略構成を示す
ブロック図である。
【図4】 本発明の実施形態および従来例に係る機構部
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 可動子、2 ミラー、3 トーションバー、4 永
久磁石、10 機構部、20 発振回路、21 ミラー
駆動回路、22 角度検出回路、23 レーザ強度変調
信号発生回路、24 レーザ駆動/変調回路、25 照
射光量均一化回路、26 外部変調器、27 レーザ駆
動回路、C 中立点、L 左停止点、R右停止点、LD
レーザダイオード。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C362 BA18 2H045 AB16 AB23 CB35 5C072 AA03 CA06 DA04 HA02 HA14 HB02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揺動可能な可動子と、前記可動子に一体
    的に形成された光学素子とを備え、対象物を照射する揺
    動型走査装置において、 前記可動子の速度に応じて、前記照射の強度を変化させ
    る出力制御部を更に備え、 前記出力制御部は、前記強度の変化により、前記可動子
    の速度に応じて光量を補償することを特徴とする揺動型
    走査装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の揺動型走査装置であっ
    て、 前記出力制御部が、前記可動子が2つの停止姿勢の間の
    中立姿勢からいずれかの停止姿勢に至るまで、前記強度
    を漸減させることを特徴とする揺動型走査装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の揺動型走査装
    置であって、 前記可動子の現在角度を検出する角度検出手段を更に備
    え、 前記出力制御部が、前記角度検出手段が検出した角度に
    基づいて前記強度を制御することを特徴とする揺動型走
    査装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1に記載の
    揺動型走査装置であって、 前記可動子が弾性体を介して基準位置に保持されると共
    に、前記可動子の揺動を制御する揺動制御部を更に備
    え、当該揺動制御部が、前記可動子をその固有振動周波
    数に略等しい周波数で駆動することを特徴とする揺動型
    走査装置。
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