JP2003329876A - 偏波保持光ファイバカプラおよびその製造方法 - Google Patents

偏波保持光ファイバカプラおよびその製造方法

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JP2003329876A
JP2003329876A JP2002141974A JP2002141974A JP2003329876A JP 2003329876 A JP2003329876 A JP 2003329876A JP 2002141974 A JP2002141974 A JP 2002141974A JP 2002141974 A JP2002141974 A JP 2002141974A JP 2003329876 A JP2003329876 A JP 2003329876A
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polarization
optical fiber
maintaining optical
fiber coupler
less
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JP2002141974A
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Shigeru Hirai
茂 平井
Daisuke Saito
大輔 斉藤
Masayuki Kitani
昌幸 木谷
Ichiro Tsuchiya
一郎 土屋
Minoru Nakayama
中山  実
Yoshiaki Shimazaki
善昭 島崎
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Toyokuni Electric Cable Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Toyokuni Electric Cable Co Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高湿の環境下で使用されたときの中心波
長の変動が抑制された偏波保持光ファイバカプラを提供
する。 【解決手段】 偏波保持光ファイバカプラ1は、第1の
偏波保持光ファイバ10と第2の偏波保持光ファイバ2
0とが並列配置されて溶融延伸されてなる。溶融延伸に
より形成された光結合部30において、偏波保持光ファ
イバ10,20それぞれの中心軸を結ぶ方向についての
幅Dの最小値が80μm以上であり、アスペクト比η
(=D/d)の最小値が1.85以下である。光結合部
30で最小幅Dminとなる位置において長手方向に垂直
な断面の形状が全周に亘って外側に凸であるのが好適で
あり、また、断面の形状が楕円形であるのが好適であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、第1の偏波保持光
ファイバと第2の偏波保持光ファイバとが並列配置され
て溶融延伸されてなる偏波保持光ファイバカプラ、およ
び、このような偏波保持光ファイバカプラを製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】偏波保持光ファイバは、その光軸に垂直
な断面を見たときに、高屈折率のコア領域と、このコア
領域を取り囲む低屈折率のクラッド領域と、このクラッ
ド領域内にコア領域を挟んで設けられた1対の応力付与
領域と、を備えるものである。そして、このような偏波
保持光ファイバでは、光軸に垂直であって1対の応力付
与領域を互いに結ぶ第1方位と、光軸および第1方位の
双方に垂直な第2方位とで、互いに異なる応力がコア領
域に作用する。偏波保持光ファイバは、このような応力
の非軸対称性に因り、互いに直交する第1方位および第
2方位それぞれの偏波成分の伝搬光の伝搬定数が異な
り、偏波状態を保持したまま光を伝搬させることができ
る。
【0003】また、偏波保持光ファイバカプラは、この
ような偏波保持光ファイバを使用して作成されたもので
ある(例えば特開平6−59154号公報を参照)。す
なわち、偏波保持光ファイバカプラは、第1の偏波保持
光ファイバと第2の偏波保持光ファイバとが並列配置さ
れて溶融延伸されてなる。その溶融延伸した箇所におい
て、光結合部が構成されており、第1および第2の偏波
保持光ファイバそれぞれの第1方位が互いに平行とされ
ている。このような偏波保持光ファイバカプラは、偏波
状態を保持したまま光を光結合部において合流または分
岐することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示されたような偏波保持光ファイバカプラが高温
高湿の環境下で使用されると中心波長が変動することを
本願発明者は見出した。この原因は必ずしも明確ではな
いが、高湿の環境下で使用されると偏波保持光ファイバ
カプラの表面近傍に水分が拡散し、この水分が拡散して
屈折率が変化した部分に伝搬光のエネルギ分布の裾が及
んで、これにより中心波長が変動するからであると考え
られる。
【0005】本発明は、上記の原因に関する考察に基づ
いてなされたものであり、高温高湿の環境下で使用され
たときの中心波長の変動が抑制された偏波保持光ファイ
バカプラ、および、このような偏波保持光ファイバカプ
ラを製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る偏波保持光
ファイバカプラは、第1の偏波保持光ファイバと第2の
偏波保持光ファイバとが並列配置されて溶融延伸されて
なる偏波保持光ファイバカプラであって、溶融延伸によ
り形成された光結合部において、第1および第2の偏波
保持光ファイバそれぞれの中心軸を結ぶ方向についての
最小幅が80μm以上であり、最小アスペクト比が1.
85以下であることを特徴とする。本発明に係る偏波保
持光ファイバカプラは、光結合部で最小幅となる位置に
おいて第1および第2の偏波保持光ファイバそれぞれの
長手方向に垂直な断面の形状が全周に亘って外側に凸で
あるのが好適であり、また、断面の形状が楕円形である
のが好適である。
【0007】この偏波保持光ファイバカプラは、最小幅
および最小アスペクト比それぞれが上記範囲であること
により、表面部分における伝搬光のエネルギ割合が極め
て小さくなり、高温高湿の環境下で使用されたときに表
面近傍に水分が拡散して屈折率が変化したとしても、中
心波長の変動が抑制されたものとなる。特に、光結合部
で最小幅となる位置における断面の形状が上記のような
ものであることにより、中心波長の変動が更に抑制され
たものとなる。
【0008】本発明に係る偏波保持光ファイバカプラ
は、光結合部においてアスペクト比が1.9以下である
長手方向の範囲の長さが10mm以上20mm以下であ
るのが好適である。また、光結合部において、最小幅が
80μm以上100μm以下であり、アスペクト比が
1.7以上1.9以下である長手方向の範囲の長さが1
0mm以上15mm以下であるのが好適である。この場
合には、偏波保持光ファイバカプラは、挿入損失の波長
依存性が小さく帯域幅が広い。
【0009】本発明に係る偏波保持光ファイバカプラに
用いられる第1および第2の偏波保持光ファイバそれぞ
れは、光軸中心を含むコア領域と、このコア領域を取り
囲むクラッド領域と、コア領域を挟んでクラッド領域内
に設けられた1対の応力付与領域とを有し、1対の応力
付与領域それぞれのコア最近端と光軸中心との間の距離
が15μm以上であり、1対の応力付与領域に起因する
複屈折が2.5×10 -4以上3.5×10-4以下である
のが好適である。この偏波保持光ファイバを用いること
で、上述したような偏波保持光ファイバカプラを製造す
ることができる。
【0010】本発明に係る偏波保持光ファイバカプラ製
造方法は、第1の偏波保持光ファイバと第2の偏波保持
光ファイバとが並列配置されて溶融延伸されてなる偏波
保持光ファイバカプラを製造する方法であって、並列配
置された第1および第2の偏波保持光ファイバを加熱し
て溶融延伸する為の加熱源を、第1および第2の偏波保
持光ファイバそれぞれの長手方向の長さ4mm〜16m
mの一定範囲に亘って走査することにより、光結合部を
形成して偏波保持光ファイバカプラを製造することを特
徴とする。また、長手方向の長さが20mm以下である
セラミック製ヒータを加熱源として用い、長手方向の長
さ6mm〜16mmの一定範囲に亘って加熱源を走査す
るのが好適である。この製造方法によれば、上述したよ
うな偏波保持光ファイバカプラを容易に製造することが
できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明にお
いて同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を
省略する。
【0012】図1は、本実施形態に係る偏波保持光ファ
イバカプラ1の斜視図である。図2は、本実施形態に係
る偏波保持光ファイバカプラ1において用いられる偏波
保持光ファイバ10の断面図である。偏波保持光ファイ
バ20は偏波保持光ファイバ10と同様の構成である。
偏波保持光ファイバカプラ1は、図1に示されるよう
に、第1の偏波保持光ファイバ10と第2の偏波保持光
ファイバ20とは、第1方位が互いに平行となるように
並列配置されて溶融延伸されてなるものである。
【0013】第1の偏波保持光ファイバ10は、石英ガ
ラスを主成分とする光ファイバであって、図2に示され
るように、光軸に垂直な断面を見たときに、高屈折率の
コア領域11と、このコア領域11を取り囲む低屈折率
のクラッド領域12と、このクラッド領域12内にコア
領域11を挟んで設けられた1対の応力付与領域13,
14と、を備える。同様に、第2の偏波保持光ファイバ
20は、光軸に垂直な断面を見たときに、高屈折率のコ
ア領域21と、このコア領域21を取り囲む低屈折率の
クラッド領域22と、このクラッド領域22内にコア領
域21を挟んで設けられた1対の応力付与領域23,2
4と、を備える。
【0014】例えば、コア領域11,21は、GeO2
が添加された石英ガラスからなる。クラッド領域12,
22は純石英ガラスからなる。また、応力付与領域1
3,14,23,24それぞれは、B23が添加された
石英ガラスからなる。そして、このような偏波保持光フ
ァイバ10,20では、光ファイバ母材を加熱線引きす
ることで製造される際の残留応力に因り、光軸に垂直で
あって1対の応力付与領域を互いに結ぶ第1方位と、光
軸および第1方位の双方に垂直な第2方位とで、互いに
異なる応力がコア領域11,21に作用する。偏波保持
光ファイバ10,20は、このような応力の非軸対称性
に因り、互いに直交する第1方位および第2方位それぞ
れの偏波成分の伝搬光の伝搬定数が異なり、偏波状態を
保持したまま光を伝搬させることができる。
【0015】好適には、1対の応力付与領域13,14
それぞれのコア最近端と光軸中心との間の距離が15μ
m以上であり、1対の応力付与領域13,14に起因す
る複屈折が2.5×10-4以上3.5×10-4以下であ
る。同様に、好適には、1対の応力付与領域23,24
それぞれのコア最近端と光軸中心との間の距離が15μ
m以上であり、1対の応力付与領域23,24に起因す
る複屈折が2.5×10-4以上3.5×10-4以下であ
る。これは、応力付与領域のコア最近端と光軸中心との
間の距離が15μm未満であると、光結合部30におけ
る伝搬光のエネルギ分布の裾が応力付与領域まで及び、
応力付与領域における屈折率不整に因る放射損失が大き
くなるからである。
【0016】また、図1に示されるように、偏波保持光
ファイバカプラ1は、溶融延伸した箇所において、第1
の偏波保持光ファイバ10および第2の偏波保持光ファ
イバ20それぞれの側面が融着していて光結合部30が
構成されており、また、第1の偏波保持光ファイバ10
および第2の偏波保持光ファイバ20それぞれの第1方
位が互いに平行とされている。光結合部30では、偏波
保持光ファイバ10,20のコア領域11,21の外径
が溶融延伸前と比較して小さくなっている。また、光結
合部30とこれ以外の箇所との間のテーパ部では、コア
領域11,21の外径が長手方向に沿って変化してい
る。
【0017】そして、このような偏波保持光ファイバカ
プラ1は、偏波状態を保持したまま光を光結合部30に
おいて合流または分岐することができる。例えば、偏波
保持光ファイバカプラ1は、第1の偏波保持光ファイバ
10のポートP11に第1方位の偏波成分を有する光を入
射して、結合部30において偏波状態を保持したまま該
光を分岐し、入射光の50%強度の光を第1の偏波保持
光ファイバ10のポートP12より出力するとともに、入
射光の50%強度の光を第2の偏波保持光ファイバ20
のポートP22より出力する。また、偏波保持光ファイバ
カプラ1は、第1の偏波保持光ファイバ10のポートP
12に第1方位の偏波成分を有する光を入射するととも
に、第2の偏波保持光ファイバ20のポートP22に第2
方位の偏波成分を有する光を入射して、これらの光を光
結合部30において偏波状態を保持したまま合流し、そ
の合流した光を第1の偏波保持光ファイバ10のポート
11より出力する。以上では第1方位の偏波成分の光に
ついて説明したが、第2方位の偏波成分の光についても
同様である。
【0018】さらに、このような偏波保持光ファイバカ
プラ1は、直交する偏波成分の光を光都合部30におい
て合流または分岐する機能を有することもできる。例え
ば、偏波保持光ファイバカプラ1は、第1の偏波保持光
ファイバ10のポートP11に使用波長λの光を入射し
て、光結合部30において偏波状態を保持したまま該光
を分岐し、第1方位の偏波成分の光(fast軸光)を第1
の偏波保持光ファイバ10のポートP12より出力し、第
2方位の偏波成分の光(slow軸光)を第2の偏波保持光
ファイバ20のポートP22より出力する。また、偏波保
持光ファイバカプラ1は、第1の偏波保持光ファイバ1
0のポートP12に使用波長λで第1方位に偏波成分を有
する光を入射するとともに、第2の偏波保持光ファイバ
20のポートP22に使用波長λで第2方位の偏波成分を
有する光を入射して、これらの光を光結合部30におい
て合流し、その合流した光を第1の偏波保持光ファイバ
10のポートP11より出力する。
【0019】上記の分岐の場合について更に説明する
と、例えば、ポートP11からポートP 12への第1方位の
偏波成分の使用波長λの光の透過率が97%であり、ポ
ートP 11からポートP22への第1方位の偏波成分の使用
波長λの光の透過率が3%である。また、ポートP11
らポートP12への第2方位の偏波成分の使用波長λの光
の透過率が2%であり、ポートP11からポートP22への
第2方位の偏波成分の使用波長λの光の透過率が98%
である。
【0020】図3は、本実施形態に係る偏波保持光ファ
イバカプラ1の光結合部30における断面図である。こ
の図に示されるように、偏波保持光ファイバ10,20
それぞれの中心軸を結ぶ方向についての幅をDとし、こ
の方向に垂直な方向についての幅をdとする。このと
き、アスペクト比ηは両者の比(D/d)で定義され
る。偏波保持光ファイバカプラ1は、光結合部30にお
いて、幅Dの最小値Dminが80μm以上であり、アス
ペクト比の最小値ηminが1.85以下である。このよ
うな条件を満たす偏波保持光ファイバカプラ1は、表面
部分における伝搬光のエネルギ割合が極めて小さくな
り、高温高湿の環境下で使用されたときに表面近傍に水
分が拡散して屈折率が変化したとしても、中心波長の変
動が抑制されたものとなる。
【0021】図4は、本実施形態に係る偏波保持光ファ
イバカプラ1の長手方向の各位置における幅dを示す図
である。この図に示されるように、偏波保持光ファイバ
10,20それぞれの本来の外径は125μmである
が、光結合部30では幅dが小さくなっている。そし
て、偏波保持光ファイバカプラ1は、光結合部30にお
いてアスペクト比ηが1.9以下である長手方向の範囲
の長さLが10mm以上20mm以下であるのが好適で
ある。また、光結合部30において、最小幅Dminが8
0μm以上100μm以下であり、アスペクト比ηが
1.7以上1.9以下である長手方向の範囲の長さが1
0mm以上15mm以下であるのが好適である。
【0022】図5は、本実施形態に係る偏波保持光ファ
イバカプラ1の光結合部30におけるより好ましい断面
形状を示す図である。この図に示されるように、偏波保
持光ファイバカプラ1は、光結合部30で最小幅Dmin
となる位置において、偏波保持光ファイバ10,20そ
れぞれの長手方向に垂直な断面の形状が全周に亘って外
側に凸であるのが好適である。すなわち、断面の周上の
任意位置での接線が周と交わることがない。言い換えれ
ば、断面の周上の任意の2点を結ぶ線分は必ず断面内に
ある。また、より好適には断面形状が楕円形である。偏
波保持光ファイバカプラは、このような断面形状である
ことにより、表面部分における伝搬光のエネルギ割合が
更に小さくなり、高温高湿の環境下で使用されたときに
表面近傍に水分が拡散して屈折率が変化したとしても、
中心波長の変動が更に抑制されたものとなる。
【0023】次に、本実施形態に係る偏波保持光ファイ
バカプラ1の具体的な実施例について説明する。図6お
よび図7それぞれは、試作した偏波保持光ファイバそれ
ぞれの諸元を纏めた図表である。図6には、試作した5
つの偏波保持光ファイバそれぞれについて、光結合部で
の最小幅Dmin、最小アスペクト比ηmin、アスペクト比
ηが1.9以下である長手方向の範囲の長さL、およ
び、帯域幅が示されている。また、図7には、試作した
5つの偏波保持光ファイバそれぞれについて、偏波保持
光ファイバの複屈折率、カプラ分岐比および帯域幅が示
されている。なお、ここでは、帯域幅は、図8に示され
るように、挿入損失と最小挿入損失との差が0.3dB
以下である波長帯域の幅Δλで定義される。また、挿入
損失は、放射に因る損失(過剰損失)とクロストークに
因る損失とを加えたものである。実際に使用される光源
の出力波長のばらつきを考慮すると、挿入損失の波長依
存性が小さく、帯域幅が20nm以上であることが望ま
しい。融着率が大きく最小アスペクト比ηminが1.6
以下であって、アスペクト比ηが1.9以下である長手
方向の範囲の長さLが10mm未満であるときには、帯
域幅が20nm未満と小さい。偏波保持光ファイバの複
屈折率が大きいと帯域幅が狭くなり、複屈折率が3.5
×10-4超であれば帯域幅が20nm未満となる。一
方、偏波保持光ファイバの複屈折率が小さいとカプラ分
岐比が悪くなり、複屈折率が2.5×10 -4未満であれ
ば分岐比クロストークが4%超となる。
【0024】図9は、偏波保持光ファイバの中心波長の
変動を説明する図である。この図に示されるように、一
般に、高温高湿の条件下で使用された偏波保持光ファイ
バの挿入損失特性は、当初の挿入損失特性に対して短波
長側にシフトしたものとなる。すなわち、高温高湿の条
件下で使用されることにより、偏波保持光ファイバの損
失特性の中心波長(挿入損失が最小である波長)は短波
長側にシフトする。
【0025】図10は、偏波保持光ファイバの中心波長
の経時変化を示す図である。この図には、実施例の偏波
保持光ファイバ(Dmin≧80μm、アスペクト比ηmin
≦1.85)、および、実施例の偏波保持光ファイバ
(アスペクト比ηmin≧1.90)、それぞれについて
中心波長の経時変化が示されている。ここでは、各偏波
保持光ファイバは温度が85℃で湿度が85%の環境下
で使用された。この図に示されるように、比較例のもの
と比較して、実施例の偏波保持光ファイバの中心波長の
経時変化は緩やかである。
【0026】ところで、実使用では、温度85℃で湿度
85%の環境下で2000時間経過後において、挿入損
失の変化量が0.2dB以下であることが望まれる。こ
れを中心波長シフト量に換算すれば、温度85℃で湿度
85%の環境下で2000時間経過後において、中心波
長シフト量が20nm未満であることが望まれる。ま
た、温度85℃で湿度85%の環境下で500時間経過
後においては、中心波長シフト量が5nm未満であるこ
とが望まれる。図10に示されるように、実施例の偏波
保持光ファイバは、この条件を満足している。
【0027】図11は、偏波保持光ファイバの中心波長
シフト量とアスペクト比ηminとの関係を示す図であ
る。ここでの中心波長シフト量は、温度85℃で湿度8
5%の環境下で500時間経過後のものである。この図
には、最小幅Dminが70mm,80mmおよび85m
mそれぞれである場合について、中心波長シフト量とア
スペクト比ηminとの関係が示されている。この図に示
されるように、最小幅Dm inが80μm以上であって最
小アスペクト比ηminが1.85以下であれば、温度8
5℃で湿度85%の環境下で500時間経過後において
は、中心波長シフト量が5nm未満となる。
【0028】次に、本実施形態に係る偏波保持光ファイ
バカプラ製造方法について説明する。図12は、本実施
形態に係る偏波保持光ファイバカプラ製造方法の説明図
である。偏波保持光ファイバカプラの製造に際しては、
初めに、偏波保持光ファイバ10,20それぞれの長手
方法の一部領域において被覆が除去され、1対の応力付
与領域を結ぶ線が互いに平行になるように偏波保持光フ
ァイバ10,20が並列配置されて、同図(a)〜
(c)それぞれに示されるように偏波保持光ファイバ1
0,20の被覆除去部が加熱され溶融延伸される。な
お、同図(a)〜(c)それぞれに示されるように、偏
波保持光ファイバ10,20それぞれの両端に被覆15
a,15b,25a,25bが残っている。
【0029】同図(a)に示される溶融延伸工程では、
偏波保持光ファイバ10,20の被覆除去部を加熱する
過熱源としてバーナ91が用いられる。このバーナ91
が長手方向に走査されることで、偏波保持光ファイバ1
0,20の長手方向に沿って一定長さの範囲で光結合部
が形成される。
【0030】同図(b)に示される溶融延伸工程では、
偏波保持光ファイバ10,20の被覆除去部を加熱する
過熱源として1対のヒータ92a,92bが用いられ
る。1対のヒータ92a,92bは、偏波保持光ファイ
バ10,20を挟んで配置され、各々の長手方向の長さ
が短尺である。この1対のヒータ92a,92bが長手
方向に走査されることで、偏波保持光ファイバ10,2
0の長手方向に沿って一定長さの範囲で光結合部が形成
される。
【0031】同図(c)に示される溶融延伸工程では、
偏波保持光ファイバ10,20の被覆除去部を加熱する
過熱源としてCO2レーザ光源93およびミラー94が
用いられる。ミラー94は、CO2レーザ光源93から
出力されたレーザ光を反射して、その反射したレーザ光
を偏波保持光ファイバ10,20の被覆除去部へ照射さ
せる。また、このミラー94は、偏波保持光ファイバ1
0,20の被覆除去部へのレーザ光照射の位置を走査す
ることができる。この走査により、偏波保持光ファイバ
10,20の長手方向に沿って一定長さの範囲で光結合
部が形成される。
【0032】特に、加熱源は、偏波保持光ファイバ1
0,20それぞれの長手方向の長さ4mm〜16mmの
一定範囲に亘って走査されるのが好適である。また、加
熱源は、長手方向の長さが20mm以下であるセラミッ
ク製ヒータであるのが好適であり、この場合に、長手方
向の長さ6mm〜16mmの一定範囲に亘って走査され
るのが好適である。このようにすることにより、アスペ
クト比ηが1.9以下である長手方向の範囲の長さLが
10mm以上20mm以下(好適には10mm以上15
mm以下)である光結合部を容易に形成することができ
る。また、偏波保持光ファイバカプラの全長を短くする
ことができる点でも好適である。最小アスペクト比を
1.85以下にするためには、偏波保持光ファイバ1
0,20それぞれを実質的に1500℃以上に加熱する
ことができる加熱源を用いることが必要である。
【0033】この製造方法の具体的な一例は以下のよう
なものである。用意した偏波保持光ファイバは、1対の
応力付与領域それぞれのコア最近端と光軸中心との間の
距離が16μmであり、複屈折率が2.8×10-4であ
った。長手方向の長さが15mmであるセラミック製ヒ
ータを加熱源として用い、このヒータを8.4mmの範
囲に亘って走査した。融着温度および延伸温度それぞれ
は1500℃〜1600℃となるように設定した。製造
された偏波保持光ファイバカプラは、光結合部における
最小幅Dminが86μmであり、最小アスペクト比ηmin
が1.78であり、アスペクト比ηが1.9以下である
長手方向の範囲の長さLが15mmであった。偏波保持
光ファイバカプラの全長は64mmであった。
【0034】この偏波保持光ファイバカプラの諸特性は
以下のとおりであった。ポートP11からポートP12への
第1方位の偏光成分の光(fast軸光)の透過特性は、最
小挿入損失が0.25dBであり、中心波長が979n
mであり、帯域幅が31nmであった。ポートP11から
ポートP22への第2方位の偏光成分の光(slow軸光)の
透過特性は、最小挿入損失が0.20dBであり、波長
980nm付近において波長依存性が小さく略平坦であ
った。また、温度85℃で湿度85%の環境下で500
時間経過後において中心波長は976nmであり、中心
波長シフト量が3nmであった。
【0035】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり、本発明に
係る偏波保持光ファイバカプラは、溶融延伸により形成
された光結合部において、第1および第2の偏波保持光
ファイバそれぞれの中心軸を結ぶ方向についての最小幅
が80μm以上であり、最小アスペクト比が1.85以
下であるので、高温高湿の環境下で使用されたときの中
心波長の変動が抑制されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る偏波保持光ファイバカプラ1
の斜視図である。
【図2】本実施形態に係る偏波保持光ファイバカプラ1
において用いられる偏波保持光ファイバの断面図であ
る。
【図3】本実施形態に係る偏波保持光ファイバカプラ1
の光結合部30における断面図である。
【図4】本実施形態に係る偏波保持光ファイバカプラ1
の長手方向の各位置における幅dを示す図である。
【図5】本実施形態に係る偏波保持光ファイバカプラ1
の光結合部30におけるより好ましい断面形状を示す図
である。
【図6】試作した偏波保持光ファイバそれぞれの諸元を
纏めた図表である。
【図7】試作した偏波保持光ファイバそれぞれの諸元を
纏めた図表である。
【図8】偏波保持光ファイバにおける帯域幅を説明する
図である。
【図9】偏波保持光ファイバの中心波長の変動を説明す
る図である。
【図10】偏波保持光ファイバの中心波長の経時変化を
示す図である。
【図11】偏波保持光ファイバの中心波長シフト量とア
スペクト比ηminとの関係を示す図である。
【図12】本実施形態に係る偏波保持光ファイバカプラ
製造方法の説明図である。
【符号の説明】
1…偏波保持光ファイバカプラ、10…偏波保持光ファ
イバ、11…コア領域、12…クラッド領域、13,1
4…応力付与領域、15a,15b…被覆、20…偏波
保持光ファイバ、21…コア領域、22…クラッド領
域、23,24…応力付与領域、25a,25b…被
覆、30…光結合部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 大輔 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 木谷 昌幸 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 土屋 一郎 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 中山 実 埼玉県行田市埼玉4125 トヨクニ電線株式 会社埼玉工場内 (72)発明者 島崎 善昭 埼玉県行田市埼玉4125 トヨクニ電線株式 会社埼玉工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の偏波保持光ファイバと第2の偏波
    保持光ファイバとが並列配置されて溶融延伸されてなる
    偏波保持光ファイバカプラであって、 溶融延伸により形成された光結合部において、前記第1
    および前記第2の偏波保持光ファイバそれぞれの中心軸
    を結ぶ方向についての最小幅が80μm以上であり、最
    小アスペクト比が1.85以下である、ことを特徴とす
    る偏波保持光ファイバカプラ。
  2. 【請求項2】 前記光結合部で前記最小幅となる位置に
    おいて前記第1および前記第2の偏波保持光ファイバそ
    れぞれの長手方向に垂直な断面の形状が全周に亘って外
    側に凸であることを特徴とする請求項1記載の偏波保持
    光ファイバカプラ。
  3. 【請求項3】 前記断面の形状が楕円形であることを特
    徴とする請求項2記載の偏波保持光ファイバカプラ。
  4. 【請求項4】 前記光結合部においてアスペクト比が
    1.9以下である長手方向の範囲の長さが10mm以上
    20mm以下であることを特徴とする請求項1記載の偏
    波保持光ファイバカプラ。
  5. 【請求項5】 前記光結合部において、前記最小幅が8
    0μm以上100μm以下であり、アスペクト比が1.
    7以上1.9以下である長手方向の範囲の長さが10m
    m以上15mm以下である、ことを特徴とする請求項1
    記載の偏波保持光ファイバカプラ。
  6. 【請求項6】 前記第1および前記第2の偏波保持光フ
    ァイバそれぞれは、光軸中心を含むコア領域と、このコ
    ア領域を取り囲むクラッド領域と、前記コア領域を挟ん
    で前記クラッド領域内に設けられた1対の応力付与領域
    とを有し、 前記1対の応力付与領域それぞれのコア最近端と前記光
    軸中心との間の距離が15μm以上であり、 前記1対の応力付与領域に起因する複屈折が2.5×1
    -4以上3.5×10 -4以下である、 ことを特徴とする請求項1記載の偏波保持光ファイバカ
    プラ。
  7. 【請求項7】 第1の偏波保持光ファイバと第2の偏波
    保持光ファイバとが並列配置されて溶融延伸されてなる
    偏波保持光ファイバカプラを製造する方法であって、 並列配置された前記第1および前記第2の偏波保持光フ
    ァイバを加熱して溶融延伸する為の加熱源を、前記第1
    および前記第2の偏波保持光ファイバそれぞれの長手方
    向の長さ4mm〜16mmの一定範囲に亘って走査する
    ことにより、光結合部を形成して前記偏波保持光ファイ
    バカプラを製造する、 ことを特徴とする偏波保持光ファイバカプラ製造方法。
  8. 【請求項8】 前記長手方向の長さが20mm以下であ
    るセラミック製ヒータを前記加熱源として用い、前記長
    手方向の長さ6mm〜16mmの一定範囲に亘って前記
    加熱源を走査する、ことを特徴とする請求項7記載の偏
    波保持光ファイバカプラ製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100386656C (zh) * 2005-02-22 2008-05-07 上海康阔光通信技术有限公司 熔锥型保偏光纤器件及宽带保偏光纤分路器

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