JP2003329770A - 目標追尾装置及び方法並びにプログラム - Google Patents

目標追尾装置及び方法並びにプログラム

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JP2003329770A
JP2003329770A JP2002140593A JP2002140593A JP2003329770A JP 2003329770 A JP2003329770 A JP 2003329770A JP 2002140593 A JP2002140593 A JP 2002140593A JP 2002140593 A JP2002140593 A JP 2002140593A JP 2003329770 A JP2003329770 A JP 2003329770A
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time
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JP2002140593A
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English (en)
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Takeshi Amishima
武 網嶋
Masayoshi Ito
正義 系
Yoshio Kosuge
義夫 小菅
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 観測情報の収集に要する待ち時間なしに追尾
精度の高い延期決定型の目標追尾処理を実行することが
できる目標追尾装置を提供する。 【解決手段】 目標指定後の数〜数十スキャン分の収集
データを使用する換わりに、目標指定時までに所定スキ
ャン分の観測値を、観測ベクトルメモリ2に予め保持し
ておき、観測ベクトルメモリ2からオペレータによって
指定された目標に関する観測値を時間的に遡って読み出
して当該目標の航跡及びこれを含む仮説を求め、これら
仮説のうち最も信頼度が高いものに従って追尾処理を実
施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はレーダなどのセン
サで取得した目標の観測情報に基づいて複数の目標の航
跡を推定する目標追尾装置に係り、特に追尾開始前に蓄
積しておいた観測情報を用いて目標の運動に関する仮説
を立て、最も信頼度の高い仮説に従って追尾処理を実施
する目標追尾装置及び方法並びにプログラムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の目標追尾装置では、レーダなどの
センサから時々刻々入力される目標位置の観測値などの
観測情報を用いて、以下のような手順で複数の目標の航
跡が求められていた。先ず、前時刻までに得られた既存
の航跡に対して追尾フィルタをかけることで目標の現在
位置を予測し、各航跡において現時刻の目標位置を示す
観測値が存在すると予測される存在期待領域(以下、こ
の領域をゲートと称する)を算出する。続いて、当該ゲ
ート内で実測された目標の観測値と上記既存の各航跡と
を相関処理することで、現時刻の目標の航跡を推定す
る。なお、各サンプリング時刻より高々1個(0個の場
合は、その時刻に航跡の観測値が探知されなかったこと
を想定する)の観測値を選択することによって得られる
1本の時系列データを航跡と呼ぶ。一般に、1つの目標
に対して複数の航跡が計算される。
【0003】ここで、実際の観測環境においては、セン
サから目標以外の誤信号が得られたり、センサが目標の
観測に失敗して目標の観測値が得られない場合がある。
また、複数の目標が狭い領域に密集している場合、1つ
の航跡のゲート内に複数の目標の観測値が得られること
がある。さらには、これまで探知されていなかった新た
な目標の観測値が突然得られる場合もある。このような
状況においても、複数の目標の追尾を正しく続けるため
には、各航跡と観測値との相関を精度よく行うことが必
要となる。
【0004】上記のような不具合を解消する目標追尾装
置として、例えば特開平8−271617号公報に開示
されるものがある。図12は特開平8−271617号
公報に開示される従来の目標追尾装置の構成を示すブロ
ック図である。図において、100は目標観測装置であ
って、レーダなどのセンサを用いて空間中の目標位置を
示す観測値を取得し目標追尾装置101に送出する。ま
た、各観測時点における上記観測値を時系列に並べるこ
とで、101は目標追尾装置で、目標観測装置100か
ら得られる観測情報に基づいて目標の追尾を行う。10
2は目標表示装置であって、ディスプレイ上に航跡を表
示し追尾している目標の状態をユーザに提示する。10
3は既存の各クラスタに含まれる各航跡に対して現時刻
のゲートを算出するゲート算出部である。104は観測
ベクトル選択部であって、目標観測装置100によって
取得された現時刻における全ての目標の観測値のうちか
らゲート算出部103が算出した各航跡のゲートに含ま
れる観測値を選択する。105は目標追尾装置101内
のクラスタの状態を示したシステム内クラスタ表を格納
する記憶部である。
【0005】106はクラスタ新設・統合部であって、
観測ベクトル選択部104からの観測値とシステム内ク
ラスタ表における既存のクラスタとの関係に基づいて既
存のクラスタを統合し、また新しいクラスタを作成す
る。後述するように、航跡の推定では、空間内の全ての
航跡を互いにゲートが重なり合う航跡群ごとに一括して
相関の仮説を構成して処理する。このような仮説作成処
理の単位となる航跡群をクラスタと呼んでいる。また、
仮説とは、クラスタ内のいくつかの航跡を選択して構成
される航跡の集合である。さらに、各仮説は、クラスタ
内のいずれの航跡の組み合わせが正しいかを判断させる
ものである。107はクラスタ新設・統合部106によ
って作成されるクラスタ内観測ベクトル表を格納する記
憶部である。クラスタ内観測ベクトル表は、観測ベクト
ル選択部104から入力した観測値を各クラスタごとの
観測値群として格納する。
【0006】108はクラスタ内仮説状況データ群を格
納する記憶部であって、クラスタ内仮説表、仮説内航跡
表及びクラスタ内航跡−観測ベクトル表を格納する。1
08aは記憶部108中でクラスタ内にある全ての仮説
を示したクラスタ内仮説表として機能する記憶領域であ
る。108bは記憶部108中で各仮説ごとに仮説内に
ある全ての航跡を示した仮説内航跡表として機能する記
憶領域である。108cは記憶部108中でクラスタ内
にある全ての航跡とこれらを構成する観測値との関係を
示したクラスタ内航跡−観測ベクトル表として機能する
記憶領域である。109はゲート内判定行列算出部であ
って、クラスタ内観測ベクトル表及びクラスタ内仮説状
況データ群からのデータを入力してクラスタ内ゲート内
判定行列を算出する。
【0007】110はクラスタ内の現時刻の観測値と航
跡との関係を示すクラスタ内ゲート内判定行列を格納す
る記憶部である。111はクラスタ内ゲート内判定行列
を入力してクラスタ内航跡相関行列を算出する航跡相関
行列算出部である。112はクラスタ内で仮説の拡張可
能性を示すクラスタ内航跡相関行列を格納する記憶部で
ある。113は仮説更新部で、前時刻までの観測値によ
る仮説の状況とクラスタ内航跡相関行列から現時刻に入
力した観測値とに対応する新たな仮説を作成する。11
4は仮説縮小部であって、仮説に対して行った評価結果
より一部の仮説を削除することで仮説数を縮小する。1
15はクラスタ内に複数の仮説が存在する場合にその中
から最善の仮説を1つ選択して目標の数とその航跡を決
定する航跡決定部である。
【0008】次に動作について説明する。図13は図1
2中の目標追尾装置の動作を示すフロー図であり、この
図に沿って目標追尾動作を詳しく説明する。先ず、目標
追尾装置101内の観測ベクトル選択部104は、目標
観測装置100の不図示のセンサによって離散的に観測
される目標の観測値を順次入力する(ステップST10
0)。これら観測値は、観測空間における目標位置を時
間経過に伴って示す観測情報として目標表示装置102
のディスプレイ上に表示される。ここで、目標表示装置
102に表示された観測情報を参照して、ユーザが追尾
すべき目標を指定する。これにより、当該目標に対する
追尾動作が開始される。追尾が開始された後、目標観測
装置100から現時刻tにおける当該目標の観測値が
入力すると、ゲート算出部103は、前時刻までに観測
された既存のクラスタ群に含まれる全ての航跡に対し
て、当該時刻tにおける観測値の存在期待領域である
ゲートを算出する(ステップST101)。
【0009】次に、観測ベクトル選択部104では、目
標観測装置100からの観測値とゲート算出部103か
らの各航跡のゲートとを入力して、これらゲート内にい
ずれの観測値が存在するかを調べる。これにより、観測
ベクトル選択部104は、現時刻tで取得された全て
の観測値のうち、ゲート算出部103が算出した各航跡
のゲートに含まれる観測値を選択する(ステップST1
02)。
【0010】一方、既存のクラスタや仮説、航跡が存在
しない追尾開始時において、観測ベクトル選択部104
は、現時刻tにおける観測値を既存のクラスタとは関
係しない独立した観測値としてクラスタ新設・統合部1
06に送出する。
【0011】クラスタ新設・統合部106は、既存のク
ラスタとは関係しない独立した観測値で構成される新た
なクラスタを新設して、記憶部105中のシステム内ク
ラスタ表に定義する。また、クラスタ新設・統合部10
6は、観測ベクトル選択部104から入力した観測値と
システム内クラスタ表における既存のクラスタとの関係
を調査して、当該観測値が互いに異なるクラスタに含ま
れる複数の航跡のゲート内に存在するか否かを判定す
る。このとき、当該観測値が互いに異なるクラスタに含
まれる複数の航跡のゲート内に存在すれば、クラスタ新
設・統合部106は、これらのクラスタを1つのクラス
タに統合してシステム内クラスタ表に再定義する。この
ようなクラスタ新設・統合部106による処理がステッ
プST103に相当する。
【0012】また、観測ベクトル選択部104は、シス
テム内クラスタ表に定義されている各クラスタ内のいず
れかの航跡と相関し得るものとして選択した全ての目標
の観測値を、記憶部107中のクラスタ内観測ベクトル
表に書き込む。
【0013】次に、目標追尾装置101は、システム内
クラスタ表に定義された各クラスタの状態を更新するた
め、ステップST104からステップST107までの
一連の処理を実行する。先ず、ゲート内判定行列算出部
109は、クラスタ内の現時刻tの全ての観測値と航
跡とが相関し得るか否かを示すクラスタ内ゲート内判定
行列を算出する(ステップST104)。
【0014】ここで、クラスタ内ゲート内判定行列は、
現時刻tでのクラスタ内の観測値数がm、現時刻t
でのクラスタ内の既存航跡、即ち前時刻tk−1まで
に既に作成されたクラスタ内の航跡の数がNk−1(N
k−1=0の場合を含む)、現時刻tでのクラスタ内
の航跡数がN=Nk−1+mの時に、下記式(1)
に示す行列Ω(H)のように定義される。
【数1】
【0015】但し、上記式(1)で示すクラスタ内ゲー
ト内判定行列の各行は、現時刻tの観測値Z
k,j(j=1,2,・・・,m)に対応する。ま
た、各列は、現時刻tでのクラスタ内の航跡T(i
=0,1,2,・・・,N)に対応する。行列の各要
素は、行に対応する観測値が列に対応する航跡のゲート
内にあるか否かを表している。具体的には、以下のよう
に設定される。
【0016】先ず、i=0の列は、観測値が誤信号によ
る値である場合を示している。実際に全ての観測値は誤
信号である可能性があるとして、ωj,0 =1のよう
に設定する。
【0017】次に、1≦i≦Nk−1の各列は、クラス
タ内の既存の航跡Tに対応している。ここで、観測値
k,j(j=1,2,・・・,m)が、既存の航跡
(i=0,1,2,・・・,N)のゲートに含ま
れる場合、ωj,i =1のように設定する。また、観
測値Zk,jが、既存の航跡Tのゲートに含まれない
場合には、ωj,i =0のように設定する。
【0018】さらに、Nk−1+1≦i≦Nの各列
は、現時刻tで新たに現れたクラスタ内の航跡に対応
する。これら列は、全ての観測値がそれぞれ新たに発見
された目標である可能性を表すものである。ここで、1
個の観測値が1本の新たな航跡に対応するように要素を
設定する。つまり、j=i−Nk−1の場合には、ω
,i =1のように設定する。反対に、j≠i−N
k−1の場合には、ωj,i =0のように設定する。
【0019】続いて、航跡相関行列算出部111は、ク
ラスタ内ゲート内判定行列から全てのクラスタ内航跡相
関行列を算出する(ステップST105)。ここで、ク
ラスタ内航跡相関行列とは、実際に仮説として取り得る
クラスタ内の観測値と航跡との相関関係を示すものであ
る。一般に、1つのクラスタ内ゲート内判定行列から複
数のクラスタ内航跡相関行列が生成される。現時刻t
におけるクラスタ内航跡相関行列は、クラスタ内ゲート
内判定行列から下記式(2)に示す行列Ω(H k,s
のように定義される。
【数2】
【0020】ここで、クラスタ内航跡相関行列の各行
は、クラスタ内ゲート内判定行列の場合と同様に、現時
刻tでのクラスタ内の観測値に対応しており、各列は
クラスタ内の航跡に対応している。また、行列の各要素
は、行に対応する観測値が列に対応する航跡と相関して
いるか否かを示すものである。具体的には、以下のよう
に定義される。
【0021】先ず、観測値Zk,j(j=1,2,・・
・,m)が航跡T(i=0,1,2,・・・,
)と相関がある場合には、ωj,i k,s=1のよ
うに定義する。また、観測値Zk,jが航跡Tと相関
がないと、ωj,i k,s=0のように定義する。
【0022】実際に、航跡相関行列算出部111がクラ
スタ内ゲート内判定行列からクラスタ内航跡相関行列を
作成する際には、次に示す(ア)から(ウ)までの3つ
の基準を同時に満たす全ての組み合わせを、各々別個の
クラスタ内航跡相関行列として算出する。
【0023】(ア)クラスタ内ゲート内判定行列におい
て、1である要素に対応するクラスタ内航跡相関行列の
要素のみを1とでき、その他の要素は0とする。 (イ)クラスタ内航跡相関行列のi=0の列以外の全て
の列では、高々1つの要素のみを1とし他の要素は0と
する。 (ウ)クラスタ内航跡相関行列の全ての行では、必ず1
つの要素を1とし他の要素は0とする。
【0024】次に、クラスタ内の仮説を更新するため、
仮説更新部113は、クラスタ内の既存の仮説、即ち前
時刻tk−1で作成された仮説に、上述のようにして算
出したクラスタ内航跡相関行列を組み合わせて、現時刻
の新たな仮説を作成する(ステップST106)。
【0025】ここで、クラスタ内から選択した既存の仮
説を親仮説とし、この親仮説より生まれる子仮説を現時
刻tの新たな仮説とする。以下に、ステップST10
6における詳細な動作を説明する。
【0026】先ず、仮説更新部113は、クラスタ内の
既存の仮説を親仮説として1個選択し、この親仮説から
派生する子仮説群を導くために、記憶部112内のクラ
スタ内航跡相関行列の1個を選択する。このあと、仮説
更新部113は、上記親仮説に対してクラスタ内航跡相
関行列が組み合わせ可能か否かを判定する。
【0027】具体的には、上述のようにして選択された
クラスタ内航跡相関行列において、いずれかの観測値に
相関がある既存の航跡が親たな仮説内に含まれていない
場合、両者を組み合わせ不可能とする。一方、その他の
全ての場合を組み合わせ可能と判定する。
【0028】次に、上述のようにして組み合わせ可能と
判定された場合に限り、既存の仮説内の既存の航跡に対
して、これと相関がある新しい観測値を追加して航跡を
伸張すること、新たな航跡を仮説に追加すること、ある
観測値を誤信号として取り扱うことによって子仮説を作
成する。以上の処理は、ステップST105で算出した
クラスタ内航跡相関行列を全て選択し終わるまで繰り返
し実行される。
【0029】このあと、仮説更新部113は、上述した
一連の仮説更新処理が終了したか否かを判断しながら、
クラスタ内の残余の仮説がなくなるまで処理を繰り返
す。
【0030】なお、多くの場合、1つの既存の仮説が複
数のクラスタ内航跡相関行列と組み合わされて、複数の
子仮説が作成される。このため、ステップST106の
仮説更新処理によってクラスタ内の仮説数は増加する。
【0031】以上の手順でステップST106のクラス
タ内の仮説更新の処理が終了すると、目標追尾装置10
1は、ステップST107のクラスタ内の仮説削除の処
理を実行する。
【0032】図14は図13中の仮説削除処理の動作を
示すフロー図であり、この図に沿ってステップST10
7における処理動作の詳細を説明する。先ず、目標追尾
装置101内の仮説縮小部114は、各仮説が成立する
確率を求めるなどの何らかの方式によって、ステップS
T106で作成した現時刻tの各仮説の尤もらしさを
評価してその評価値を算出する(ステップST107−
1)。次に、全ての仮説の中から評価値が高いものを順
に選択してゆき、所定の基準に達した時点で残りの仮説
を削除するなどの方法で仮説の縮小を行う(ステップS
T107−2)。
【0033】また、以下の手順で仮説縮小処理を実行し
てもよい。 (1)最も信頼度の高い仮説のみを残す。 (2)信頼度がある基準値以下の仮説はすてる。 (3)過去N時刻分の内容が同一の仮説を統合する。 (4)航跡数が同じで各航跡の内容(位置、速度など)
がほぼ同一の仮説を統合する。
【0034】このあと、目標追尾装置101は、システ
ム内クラスタ表に定義された全てのクラスタについてス
テップST104からステップST107までの処理を
実行したか否かを判断する(ステップST108)。こ
のとき、全てのクラスタについて処理が終了していなけ
れば、ステップST104の処理に戻る。一方、全ての
クラスタについて処理が終了したと判断されると、ステ
ップST109の処理に移行する。
【0035】ステップST109において、航跡決定部
115は、クラスタ内の現時刻tの仮説中から最善の
仮説を1つ選択することによって目標の数及び航跡を決
定する。これら複数の目標の航跡群は、目標表示装置1
02のディスプレイ上に表示される。
【0036】以上述べた一連の処理は、目標追尾装置1
01によって追尾終了が検出されるまで繰り返し実行さ
れる(ステップST110)。
【0037】図15は目標追尾において各航跡と観測値
との相関処理が困難となる状況を説明する図である。図
において、T1,T2は前時刻までに得られた既存の航
跡で、P1,P2は各航跡T1,T2の現時刻の予測位
置である。また、G1,G2は既存の各航跡T1,T2
について現時刻の観測値が得られると予測されるゲート
である。さらに、Z1,Z2,Z3は現時刻に目標観測
装置100のセンサによって実際に取得された観測値の
位置を示している。
【0038】次に概要について説明する。図に示すよう
に、2つの航跡T1,T2のゲートG1,G2領域が重
なり合うと共に、各航跡T1,T2のゲートG1,G2
内には複数の観測値Z1〜Z3が得られている。このよ
うな状況では、各航跡T1,T2にいずれの観測値Z1
〜Z3が対応するかの相関を一意に決定することが困難
となる。
【0039】このような場合、実際の相関の仮説とし
て、例えば観測値Z1が航跡T1に対応し、観測値Z2
が航跡T2に対応し、観測値Z3は誤信号又はこれまで
探知されていなかった新目標による観測値であると考え
ることもできる。また、観測値Z1が誤信号又は新目標
によるものであり、観測値Z2が航跡T1に対応し、観
測値Z3が航跡T2に対応すると考えることもできる。
【0040】さらに、センサの観測条件が劣悪な場合に
は、航跡T1又は航跡T2の観測値が探知されていない
という仮説を考慮しなければならないこともある。この
ように航跡T1,T2と観測値Z1〜Z3との相関が一
意に定まらない状況においては、現時刻の情報のみから
無理に相関を決定することなく、上述したような種々の
仮説について各々追尾を続行し、次時刻以降において確
率の高いものを選択する延期決定型の方式が有効とな
る。従来の目標追尾装置では、このような方式によって
追尾を行っている。
【0041】なお、図15に示すように、ゲートG1,
G2が重なり合う航跡T1,T2の間では、相関処理に
おける干渉が生じる。このため、航跡T1,T2につい
て一括して仮説を構成する必要がある。一方、ゲートG
1,G2の領域が重ならない航跡T1,T2同士は、そ
れぞれ独立に処理することができる。このように航跡の
推定は、空間内の全航跡を互いにゲートが重なり合う航
跡群毎に分割して処理することができる。このような処
理単位が、上述したクラスタである。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】従来の目標追尾装置は
以上のように構成されているので、追尾すべき目標の指
定時点以降の航跡を予測する仮説を作成するにあたり、
既存の航跡と相関をとるべき当該目標の観測情報をその
指定時から収集し始める。このため、信頼度の高い仮説
を立てて当該目標の運動諸元の安定な推定を行うには上
記観測情報の収集に要する待機時間が不可避的に生じて
しまうという課題があった。この待機時間は、一般的に
数十秒〜数分程度にもなっていた。
【0043】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、目標指定される前に蓄積した観測
情報を時間経過に逆行して順次処理して仮説の生成に要
する航跡を求め、当該仮説のうち最も信頼度の高いもの
に従って追尾処理を実施することで、観測情報の収集に
要する待ち時間なしに追尾精度の高い延期決定型の目標
追尾処理を実行することができる目標追尾装置及び方法
並びにプログラムを得ることを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】この発明に係る目標追尾
装置は、追尾開始時点から過去の観測時点に遡って目標
の位置に関する観測情報を時系列に取り込んで、当該目
標の追尾開始時点までの各観測時点で予測される航跡の
組み合わせを示す仮説群を作成する仮説作成手段と、仮
説作成手段が作成した仮説群のうち信頼度が最も高い航
跡を含む仮説を、当該目標の追尾開始時点以降の追尾処
理に用いる仮説として選択する仮説選択手段とを備える
ものである。
【0045】この発明に係る目標追尾装置は、追尾開始
時点前の追尾処理にて得られた仮説が存在する場合、当
該既存の仮説内の航跡を構成する観測情報から、仮説作
成手段が仮説作成に用いる観測情報を除去する除去手段
と、仮説選択手段が選択した仮説内の航跡と除去手段が
観測情報を除去した仮説内の航跡とを統合してなる仮説
を、当該目標の追尾開始時点以降の追尾処理における仮
説として求める仮説統合手段とを備えるものである。
【0046】この発明に係る目標追尾装置は、仮説作成
手段が、追尾開始時点から過去の観測時点に遡って目標
の位置に関する観測情報を時系列に取り込んで、当該目
標の追尾開始時点までの各観測時点で予測される航跡を
求めるにあたり、前観測時点までの観測情報から求めた
航跡と相関しない観測情報を用いて航跡を求めず、且
つ、1つの航跡からなる仮説のみを作成するものであ
る。
【0047】この発明に係る目標追尾装置は、仮説作成
手段が追尾開始時点までの各観測時点で予測される航跡
を求めるにあたり、各観測時点での航跡の信頼度が所定
の基準値を満たすか否かを判定する判定手段を備え、仮
説選択手段が、仮説作成手段が各観測時点ごとに作成し
た仮説群のうち信頼度が最も高い航跡を含む仮説を選択
し、仮説作成手段が、仮説選択手段が各観測時点ごとに
選択した仮説のうち判定手段の判定結果が基準値に満た
ない航跡を含む仮説について、当該観測時点での航跡の
予測結果を除去し、所定数の観測時点分の過去の観測情
報を用いて当該航跡の予測を継続して仮説を作成するも
のである。
【0048】この発明に係る目標追尾装置は、仮説選択
手段が選択した仮説内の航跡の信頼度が所定の基準値を
満たすか否かを判定する判定手段を備え、仮説作成手段
が、判定手段の判定結果が基準値に満たない場合、追尾
すべき目標の指定時点における観測情報として取り込む
べき情報の許容範囲を拡大させて仮説群を作成するもの
である。
【0049】この発明に係る目標追尾装置は、仮説作成
手段が、追尾結果として提示すべき航跡数が既知である
場合、当該航跡数の航跡からなる仮説以外の仮説を削除
する、又は、当該航跡数の航跡を含む仮説のみを作成す
るものである。
【0050】この発明に係る目標追尾方法は、追尾開始
時点以前の目標の位置に関する観測情報を逆方向処理用
データとして時系列に保持しておき、追尾開始時点前の
追尾処理にて得られた仮説が存在する場合、当該既存の
仮説内の航跡を構成する観測情報から逆方向処理用デー
タを除去する除去ステップと、追尾開始時点から過去の
観測時点に遡って逆方向処理用データより観測情報を時
系列に取り込んで、当該目標の追尾開始時点までの各観
測時点で予測される航跡の組み合わせを示す仮説群を作
成する仮説作成ステップと、仮説作成ステップにて作成
した仮説群のうち信頼度が最も高い航跡を含む仮説を、
当該目標の指定時点以降の追尾処理に用いる仮説として
選択する仮説選択ステップと、仮説選択ステップにて選
択した仮説内の航跡と除去ステップにて逆方向処理用デ
ータを除去した仮説内の航跡とを統合してなる仮説を求
める仮説統合ステップと、仮説統合ステップにて求めた
仮説を用いて、当該目標の追尾開始時点以降の追尾処理
を実行する追尾処理ステップとを備えるものである。
【0051】この発明に係る目標追尾方法は、仮説作成
ステップにて、追尾開始時点から過去の観測時点に遡っ
て目標の位置に関する観測情報を時系列に取り込んで、
当該目標の追尾開始時点までの各観測時点で予測される
航跡を求めるにあたり、前観測時点までの観測情報から
求めた航跡と相関しない観測情報を用いて航跡を求め
ず、且つ、1つの航跡からなる仮説のみを作成するもの
である。
【0052】この発明に係る目標追尾方法は、仮説作成
ステップにて、追尾開始時点までの各観測時点で予測さ
れる航跡を求めるにあたり、各観測時点での航跡の信頼
度が所定の基準値を満たすか否かを判定する判定ステッ
プを備え、仮説選択ステップにて、仮説作成ステップに
て各観測時点ごとに作成した仮説群のうち信頼度が最も
高い航跡を含む仮説を選択し、仮説作成ステップにて、
仮説選択ステップで各観測時点ごとに選択した仮説のう
ち、判定ステップにおける判定結果が基準値に満たない
航跡を含む仮説について、当該観測時点での航跡の予測
結果を除去し、1観測時点だけ過去の観測情報を用いて
当該航跡の予測を継続して仮説を作成するものである。
【0053】この発明に係る目標追尾方法は、仮説選択
ステップにて選択した仮説内の航跡の信頼度が所定の基
準値を満たすか否かを判定する判定ステップを備え、仮
説作成ステップにて、判定ステップにおける判定結果が
基準値に満たない場合、追尾すべき目標の指定時点にお
ける観測情報として取り込むべき情報の許容範囲を拡大
させて仮説群を作成するものである。
【0054】この発明に係る目標追尾方法は、仮説作成
ステップにて、追尾結果として提示すべき航跡数が既知
である場合、航跡数の航跡からなる仮説以外の仮説を削
除する、又は、航跡数の航跡を含む仮説のみを作成する
ものである。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.ここで、後述する「逆方向」の処理と
は、時間的に逆方向に処理を行うことを意味する。具体
的には、過去の記録に関して時間的に遡りながら追尾を
行うことである。また、「順方向」の処理とは、時間の
経過に従って所定の処理を実行することである。さら
に、「前時刻」とは、ある時点を基準にして「逆方向」
に一観測値収集時間だけ遡った時刻を意味する。また、
「次時刻」とは、ある時点を基準にして「順方向」に一
観測値収集時間だけ経過した時刻を意味する。なお、上
述した従来の目標追尾装置は、順方向に目標追尾処理を
行っている。従って、特に記載しない限り、順方向目標
追尾とは、従来の目標追尾装置による追尾処理を意味す
る。
【0056】図1はこの発明の実施の形態1による目標
追尾装置の構成を示すブロック図である。図において、
1は目標観測装置であって、レーダなどのセンサを用い
て空間中の目標の位置を観測して観測値を取得する。2
は観測ベクトルメモリで、過去の一定スキャン分の観測
値を随時蓄積し新規のデータが入力されるごとに蓄積内
容を追加更新する。3は実施の形態1による目標追尾装
置であって、後述する各構成部を具現化するプログラム
を実行するコンピュータ装置などから構成される。ま
た、目標追尾装置3は、オペレータから目標指定がある
と逆方向目標追尾処理を行う。4はディスプレイ上に航
跡を表示して追尾している目標の航跡などをユーザに提
示する目標表示装置である。5はゲート算出部であっ
て、既存の各クラスタに含まれる各航跡に対して現時刻
におけるゲートを算出する。6は観測データ削除部(削
除手段)で、観測ベクトルメモリ2から読み出した観測
値から順方向目標追尾処理による観測値を削除する。
【0057】7は観測ベクトル選択部であって、過去の
各時刻における観測値全体からゲート算出部5が算出し
た各航跡のゲートに含まれる観測値を選択する。8は目
標追尾装置3内のクラスタの状態を示したシステム内ク
ラスタ表を格納する記憶部である。9はクラスタ新設・
統合部(仮説作成手段)であって、観測ベクトル選択部
7からの観測値とシステム内クラスタ表における既存の
クラスタとの関係に基づいて既存のクラスタを統合し、
また新しいクラスタを作成する。航跡の推定では、空間
内の全ての航跡を互いにゲートが重なり合う航跡群ごと
に一括して相関の仮説を構成して処理する。このような
仮説作成処理の単位となる航跡群をクラスタと呼んでい
る。また、仮説とは、クラスタ内のいくつかの航跡を選
択して構成される航跡の集合である。さらに、各仮説
は、クラスタ内のいずれの航跡の組み合わせが正しいか
を判断させる基準となるものである。
【0058】10はクラスタ新設・統合部9によって作
成されるクラスタ内観測ベクトル表を格納する記憶部で
ある。クラスタ内観測ベクトル表は、観測ベクトル選択
部7から入力した観測値を各クラスタごとの観測値群と
して格納する。11はクラスタ内仮説状況データ群を格
納する記憶部であって、クラスタ内仮説表、仮説内航跡
表及びクラスタ内航跡−観測ベクトル表を格納する。1
1aは記憶部11中でクラスタ内にある全ての仮説を示
したクラスタ内仮説表として機能する記憶領域である。
11bは記憶部11中で各仮説ごとに仮説内にある全て
の航跡を示した仮説内航跡表として機能する記憶領域で
ある。11cは記憶部11中でクラスタ内にある全ての
航跡とこれらを構成する観測値との関係を示したクラス
タ内航跡−観測ベクトル表として機能する記憶領域であ
る。
【0059】12はゲート内判定行列算出部(仮説作成
手段)であって、クラスタ内観測ベクトル表及びクラス
タ内仮説状況データ群からのデータを入力してクラスタ
内ゲート内判定行列を算出する。13はクラスタ内の現
時刻の観測値と航跡との関係を示すクラスタ内ゲート内
判定行列を格納する記憶部である。14はクラスタ内ゲ
ート内判定行列を入力してクラスタ内航跡相関行列を算
出する航跡相関行列算出部(仮説作成手段)である。1
5はクラスタ内で仮説の拡張可能性を示すクラスタ内航
跡相関行列を格納する記憶部である。16は仮説更新部
(仮説作成手段)で、前時刻までの観測値による仮説の
状況と、クラスタ内航跡相関行列から現時刻に入力した
観測値とに対応する新たな仮説を作成する。
【0060】17は仮説縮小部であって、仮説に対して
行った評価結果より一部の仮説を削除することで仮説数
を縮小する。18は確立航跡選択部(仮説選択手段)
で、追尾処理にて得られた各航跡の尤もらしさを示す評
価値を算出して当該評価値が高い航跡を選出する。19
は確立航跡選択部18で選出された航跡を保存する確立
航跡用メモリである。20は仮説統合部(仮説統合手
段)であって、削除観測データ用メモリ21の保存デー
タから得られる順方向の目標追尾処理による航跡と確立
航跡用メモリ19からの逆方向の追尾処理による航跡と
を統合した仮説を生成する。21は観測データ削除部6
で削除された観測データを保存する削除観測データ用メ
モリである。
【0061】次に動作について説明する。図2は図1中
の目標追尾装置の概略的な動作を示すフロー図であり、
この図に沿って概要について説明する。先ず、目標追尾
装置は、追尾維持中の目標があるか否かを判定する(ス
テップST1)。ここで、追尾維持中の目標がある場
合、不図示の順方向目標追尾装置は、各時刻において取
得される当該目標位置についての観測値を用いて順方向
の追尾処理を実行する(ステップST2)。このとき、
各時刻における観測値及び目標の追尾航跡は、上記従来
の目標追尾装置と同様に目標表示装置4に表示される。
また、上記観測値は、観測ベクトルメモリ2にも送出さ
れ格納されている。
【0062】この観測ベクトルメモリ2には、一定スキ
ャン分の観測値が随時蓄積され、新規の観測値が入力さ
れるごとに蓄積内容が追加更新される。ここでは、一定
スキャン分を現時刻から過去L観測値収集時間までのサ
ンプルとする。例えば、現時刻がtの場合、時刻
,tk−1,tk−2,・・・,tk−Lの観測値
が、観測ベクトルメモリ2に随時蓄積される。
【0063】一方、ステップST1にて追尾維持中の目
標がない場合、目標表示装置4には、目標観測装置1か
ら不特定の様々な観測対象物の観測値が表示されてい
る。
【0064】ステップST2において、目標追尾装置3
は、オペレータからの目標指定の待ち状態にある。この
とき、目標表示装置4の不図示の入力装置を介してオペ
レータから情報が入力されると、目標追尾装置3は、当
該操作がオペレータからの目標指定であるか否かを判定
する(ステップST3)。
【0065】ここで、オペレータからの目標の指定であ
ると、目標追尾装置3は、逆方向の目標追尾処理を実行
する(ステップST4)。この目標の指定とは、例えば
追尾維持中の目標があるとき、目標表示装置4に表示さ
れた各時刻における観測値に基づいて、オペレータが新
たな目標を指定する場合に該当する。この逆方向目標追
尾処理が終了すると、目標追尾装置は、当該処理により
得られた統合仮説を用いて順方向目標追尾処理を継続す
る。
【0066】また、ステップST3において、目標表示
装置4上に表示した観測値を基にして、オペレータから
目標の指定が行われない場合、不図示の順方向目標追尾
装置は、順方向の追尾処理をそのまま継続する。
【0067】図3は図2中の逆方向目標追尾処理の動作
を示すフロー図であり、この図に沿って逆方向目標追尾
処理を詳細に説明する。ここで、不図示の順方向目標追
尾装置による追尾維持中の目標が存在し、当該目標に対
して順方向の追尾処理が実行されている場合を考える。
このとき、図2中のステップST3にてオペレータから
目標が指定されると、目標追尾装置3は、上記順方向目
標追尾装置で目標の追尾を継続して行っている航跡を含
む仮説について処理を行う。この仮説を維持仮説と呼
び、追尾航跡を維持航跡と呼ぶ。以下、維持仮説ごとに
処理を行うものとする。
【0068】先ず、オペレータから目標の指定がある
と、目標追尾装置3内の観測データ削除部6は、順方向
目標追尾装置のクラスタ内仮説状況データ群を読み込ん
で、維持仮説内の維持航跡に用いられている観測値(現
在、追尾維持中の目標航跡を構成する探知データ)を観
測ベクトルメモリ2から除去する(ステップST1a、
除去ステップ)。同時に、観測データ削除部6に除去さ
れた観測値は、削除観測データ用メモリ21に保存され
る。このように、維持航跡に用いられている観測値を削
除する理由は、逆方向目標追尾における仮説を作成する
際に、既に順方向で追尾した目標の航跡に対応する観測
値を使用しないようにするためである。
【0069】次に、ゲート算出部5は、目標の指定時刻
における観測値から、目標指定位置に対応する当該目標
の観測値を抽出するため、初期処理として指定位置に相
関する観測値のゲートを算出する(ステップST2
a)。図4は図3中の初期処理における動作を示すフロ
ー図であり、この図に沿って逆方向追尾処理における初
期処理を詳細に説明する。先ず、ゲート算出部5は、オ
ペレータが指定した位置情報を入力して、当該指定位置
に対してカルマンフィルタなどの予測処理を施して、当
該指定位置に相関する観測値の存在期待領域であるゲー
トを算出する(ステップST2a−1)。次に、観測ベ
クトル選択部7は、観測データ削除部6が除去した残り
の観測値から上記ゲート内に存在するものを抽出し、オ
ペレータが所望する目標の観測値として決定する(ステ
ップST2a−2)。
【0070】具体的に説明すると、目標表示装置4に
は、目標観測装置1から順次入力される観測情報によっ
て、各観測時における目標の位置を示す観測値が時々刻
々と表示される。このため、オペレータが目標を指定す
る際、目標表示装置4が次の観測値を表示するための遷
移状態であると、当該目標の位置が正確に指定されない
場合がある。そこで、本発明では、オペレータによる指
定位置に対してカルマンフィルタなどの予測処理を施し
てゲートを算出し、指定時における観測値との相関をと
る。これにより、目標指定時に観測された複数の観測値
のうち当該ゲート内に存在する観測値を、オペレータが
指定した真の目標の観測値として正確に指定することが
できる。
【0071】続いて、クラスタ新設・統合部9は、観測
ベクトル選択部7が選択した観測値でクラスタ(初期ク
ラスタ)を構成する。このとき、1つの観測値が1つの
クラスタを構成する。また、各クラスタごとに、観測値
が新たな航跡又は誤信号であるという仮説(初期仮説)
を構成する(ステップST2a−3)。このデータは、
システム内クラスタ表、クラスタ内観測ベクトル表、及
びクラスタ内仮説状況データ群に格納される。ここまで
の動作が初期処理に相当する。
【0072】ここで、目標の指定を行った時刻がt
あると、観測ベクトルメモリ2に格納されている観測値
について逆方向処理が行われる。つまり、目標の指定時
刻t から、時刻tk−1,tk−2,・・・,t
k−Lの順で、各時刻に対応した観測値を用いて処理が
実行される。
【0073】以下、時刻tk−aにおける観測値を用い
た処理を説明する。ここで、1≦a≦Lである。ステッ
プST3aにおいて、目標追尾装置3は、観測ベクトル
メモリ2から時刻tk−aにおける観測値を入力する。
当該観測値を用いて、目標追尾装置3内のゲート算出部
5は、既存のクラスタ群に含まれる全ての航跡に対し
て、時刻t k−aにおける観測値の存在期待領域である
ゲートを算出する(ステップST4a)。ここで、既存
のクラスタ群に含まれる航跡とは、目標指定時刻t
ら次時刻tk−a+1までの観測値から得られた全ての
航跡に相当する。次に、観測ベクトル選択部7が、ゲー
ト内にいずれの観測値が存在するかを調べることによ
り、時刻tk−aに相関し得る観測値を決定する(ステ
ップST5a)。
【0074】続いて、クラスタ新設・統合部9では、既
存のクラスタとは関係しない独立した観測値で構成され
る新たなクラスタを新設して、記憶部8中のシステム内
クラスタ表に定義する。また、クラスタ新設・統合部9
は、観測ベクトル選択部7から入力した観測値とシステ
ム内クラスタ表における既存のクラスタとの関係を調査
して、当該観測値が互いに異なるクラスタに含まれる複
数の航跡のゲート内に存在するか否かを判定する。この
とき、当該観測値が互いに異なるクラスタに含まれる複
数の航跡のゲート内に存在すれば、クラスタ新設・統合
部9は、これらのクラスタを1つのクラスタに統合して
システム内クラスタ表に再定義する。このようなクラス
タ新設・統合部9による処理がステップST6a(仮説
作成ステップ)に相当する。
【0075】また、観測ベクトル選択部7は、システム
内クラスタ表に定義されている各クラスタ内のいずれか
の航跡と相関し得るものとして選択した全ての目標の観
測値を、記憶部10中のクラスタ内観測ベクトル表に書
き込む。つまり、目標指定時刻tから次時刻t
k−a+1までの観測値から得られた航跡によって構成
される各クラスタと相関する時刻tk−aにおける観測
値がそれぞれクラスタ内観測ベクトル表に書き込まれ
る。
【0076】次に、目標追尾装置3は、システム内クラ
スタ表に定義された各クラスタの状態を更新するため、
ステップST7aからステップST10aまでの一連の
処理を実行する。先ず、ゲート内判定行列算出部12
は、クラスタ内の時刻tk−aの各観測値と航跡とが相
関し得るか否かを示すクラスタ内ゲート内判定行列を算
出する(ステップST7a、仮説作成ステップ)。
【0077】ここで、クラスタ内ゲート内判定行列と
は、時刻tk−aでのクラスタ内の観測値数が
k−a、時刻tk−aでのクラスタ内の既存航跡、即
ち次時刻tk− a+1までに既に作成されたクラスタ内
の航跡の数がNk−a+1(Nk−a+ =0の場合を
含む)、時刻tk−aでのクラスタ内の航跡数がN
k−a=N −a+1+mk−aの時に、下記式(3)
に示す行列Ω(Hk−a)のように定義される。
【数3】
【0078】但し、上記式(3)で示すクラスタ内ゲー
ト内判定行列の各行は、時刻tk− の観測値Z
k−a,j(j=1,2,・・・,mk−a)に対応す
る。また、各列は、時刻tk−aでのクラスタ内の航跡
(i=0,1,2,・・・,N k−a+1)に対応
する。行列の各要素は、行に対応する観測値が列に対応
する航跡のゲート内にあるか否かを表している。具体的
には、以下のように設定される。
【0079】先ず、i=0の列は、観測値が誤信号であ
る場合を示している。実際に全ての観測値は誤信号であ
る可能性があるとし、ωj,0 k−a=1のように設定
する。
【0080】次に、1≦i≦Nk−a+1の各列は、ク
ラスタ内の既存の航跡Tに対応している。ここで、観
測値Zk−a,j(j=1,2,・・・,mk−a
が、既存の航跡T(i=1,2,・・・,N
k−a+1)のゲートに含まれる場合、ωj,i k−a
=1のように設定する。また、観測値Zk−a,jが、
既存の航跡Tのゲートに含まれない場合には、ω
j,i k−a=0のように設定する。
【0081】さらに、Nk−a+1+1≦i≦Nk−a
の各列は、時刻tk−aで新たに現れたクラスタ内の航
跡に対応する。これら列は、全ての観測値がそれぞれ新
たに発見された目標である可能性を表すものである。こ
こで、1個の観測値が1本の新たな航跡に対応するよう
に要素を設定する。つまり、j=i−Nk−a+1の場
合には、ωj,i k−a=1のように設定する。反対
に、j≠i−Nk−a+ の場合には、ωj,i k−a
=0のように設定する。
【0082】続いて、航跡相関行列算出部14は、クラ
スタ内ゲート内判定行列から全てのクラスタ内航跡相関
行列を算出する(ステップST8a)。ここで、クラス
タ内航跡相関行列とは、実際に仮説として取り得るクラ
スタ内の観測値と航跡との相関関係を示すものである。
一般に、1つのクラスタ内ゲート内判定行列から複数の
クラスタ内航跡相関行列が生成される。時刻tk−a
おけるクラスタ内航跡相関行列は、クラスタ内ゲート内
判定行列から、下記式(4)に示す行列Ω(H
k−a,s)のように定義される。
【数4】
【0083】ここで、クラスタ内ゲート内判定行列の場
合と同様に、クラスタ内航跡相関行列の各行は、時刻t
k−aでのクラスタ内の観測値に対応しており、各列は
クラスタ内の航跡に対応している。また、行列の各要素
は、行に対応する観測値が列に対応する航跡と相関して
いるか否かを示すものである。具体的には、以下のよう
に定義される。
【0084】先ず、観測値Zk−a,j(j=1,
2,...,mk−a)が航跡T(i=0,1,2,
・・・,Nk−a)と相関がある場合には、ωj,i
k−a,s=1のように定義する。また、観測値Z
k−a,jが航跡Tと相関がないと、ωj,i
k−a,s=0のように定義する。
【0085】実際に、クラスタ内ゲート内判定行列から
クラスタ内航跡相関行列を作成する際には、次に示す
(ア)から(ウ)までの3つの基準を同時に満たす全て
の組み合わせを、各々別個のクラスタ内航跡相関行列と
して算出する。
【0086】(ア)クラスタ内ゲート内判定行列におい
て、1である要素に対応するクラスタ内航跡相関行列の
要素のみを1とでき、その他の要素は0とする。 (イ)クラスタ内航跡相関行列のi=0の列以外の全て
の列では、高々1つの要素のみを1とし他の要素は0と
する。 (ウ)クラスタ内航跡相関行列の全ての行では、必ず1
つの要素を1とし他の要素は0とする。
【0087】次に、クラスタ内の仮説を更新するため、
仮説更新部16は、クラスタ内の既存の仮説、即ち時刻
k−a+1で作成された仮説に、上述のようにして算
出したクラスタ内航跡相関行列を組み合わせて、時刻t
k−aの新たな仮説を作成する(ステップST9a、仮
説作成ステップ)
【0088】ここで、クラスタ内から選択した既存仮説
を親仮説とし、この親仮説より生まれる子仮説を時刻t
k−aの新たな仮説とする。以下に、ステップST9a
における詳細な動作を説明する。
【0089】先ず、仮説更新部16は、クラスタ内の既
存の仮説を親仮説として1個選択し、この親仮説から派
生する子仮説群を導くために、記憶部15内のクラスタ
内航跡相関行列の1個を選択する。このあと、仮説更新
部16は、上記親仮説に対してクラスタ内航跡相関行列
が組み合わせ可能か否かを判定する。
【0090】具体的には、上述のようにして選択された
クラスタ内航跡相関行列において、いずれかの観測値に
相関がある既存の航跡が親たな仮説内に含まれていない
場合、両者を組み合わせ不可能とする。一方、その他の
全ての場合を組み合わせ可能と判定する。
【0091】次に、上述のようにして組み合わせ可能と
判定された場合に限り、既存の仮説内の既存の航跡に対
して、これと相関がある新しい観測値を追加して航跡を
伸張すること、新たな航跡を仮説に追加すること、ある
観測値を誤信号として取り扱うことによって子仮説を作
成する。以上の処理は、ステップST8aで算出したク
ラスタ内航跡相関行列を全て選択し終わるまで繰り返し
実行される。
【0092】このあと、仮説更新部16は、上述した一
連の仮説更新処理を終了したか否かを判断しながら、ク
ラスタ内の残余の仮説がなくなるまで上記処理を繰り返
す。
【0093】なお、多くの場合、1つの既存の仮説が複
数のクラスタ内航跡相関行列と組み合わされて、複数の
子仮説が作成される。このため、ステップST9aの仮
説更新処理によってクラスタ内の仮説数は増加する。
【0094】以上の手順でステップST9aのクラスタ
内の仮説更新の処理が終了すると、目標追尾装置3は、
図3に示すステップST10aのクラスタ内の仮説削除
の処理を実行する。
【0095】図5は図3中のクラスタ内の仮説削除処理
における動作を示すフロー図であり、この図に沿ってス
テップST10aにおける処理動作の詳細を説明する。
先ず、目標追尾装置3内の仮説縮小部17は、航跡数が
1個の仮説(高々1個の航跡を有する仮説)以外を削除
する(ステップST10a−1)。さらに、仮説縮小部
17は、ステップST10a−1で残った各仮説が有す
る航跡が新たな航跡である場合も、当該仮説を削除する
(ステップST10a−2)。
【0096】次に、仮説縮小部17は、各仮説が成立す
る確率を求めるなどの何らかの方式によって、ステップ
ST10a−1及びステップST10a−2で削除され
なかった残りの仮説の尤もらしさ(信頼度)を評価して
その評価値を算出する(ステップST10a−3)。具
体的には、上述したD.B.Reidの文献に開示され
る方法をそのまま利用してもよい。次に、全ての仮説の
中から評価値が高いものを順に選択して、所定の基準に
達した時点で残りの仮説を削除するなどの方法で仮説の
縮小を行う(ステップST10a−4)。
【0097】このあと、目標追尾装置3は、システム内
クラスタ表に定義された全てのクラスタについてステッ
プST7aからステップST10aまでの処理を実行し
たか否かを判断する(ステップST11a)。このと
き、全てのクラスタについて処理が終了していなけれ
ば、ステップST7aの処理に戻る。一方、全てのクラ
スタについて処理が終了したと判断されると、ステップ
ST12aの処理に移行する。
【0098】ステップST12aにおいて、目標追尾装
置3は、ステップST4aからステップST11aまで
の処理が、時間的に遡った最も過去の時刻tk−Lの観
測値(観測値)まで処理を終了したか否かを判断する。
この結果、時刻tk−Lの観測値まで処理が終了した場
合には、ステップST13aの処理に移行する。また、
時刻tk−Lの観測値まで処理が終了していない場合に
は、ステップST3aの処理に戻って各時刻の観測値を
観測ベクトルメモリ2から入力し、上述した処理を繰り
返す。
【0099】ステップST13a(仮説選択ステップ)
において、目標追尾装置3内の確立航跡選択部18は、
クラスタ内で生成された全ての航跡の尤もらしさ(信頼
度)を評価して評価値を算出し、その評価値が最も高い
ものを確立航跡として選択する。ここで、航跡の尤もら
しさは、当該航跡を含む全ての仮説の尤もらしさ(信頼
度)の和から求められる。このようにして得られた確立
航跡は、その評価値とともに、確立航跡用メモリ19に
保存される。
【0100】次に、目標追尾装置3は、上述した処理を
維持仮説数分だけ実行したか否かを判断する(ステップ
ST14a)。このとき、維持仮説数分の処理が終了し
ていれば、目標追尾装置3は、ステップST15の処理
に移行する。また、維持仮説数分の処理が終了していな
ければ、ステップST1aの処理に戻って、観測データ
削除部6が、次の維持仮説内の維持航跡に用いられてい
る観測値を観測ベクトルメモリ2から除去し、ステップ
ST2aからステップST14aまでの処理を繰り返
す。
【0101】ステップST15a(仮説統合ステップ)
において、仮説統合部20は、確立航跡用メモリ19、
削除観測データ用メモリ21、及び、順方向目標追尾装
置のクラスタ内仮説状況データ群を用いて、確立航跡と
維持航跡を統合する。つまり、ステップST1aにて時
刻tk−Lから時刻tまでの順方向目標追尾による観
測値が削除された維持航跡に、確立航跡を構成する時刻
から時刻tk−Lまでの逆方向目標追尾による観測
値を追加して航跡を統合する。そして、仮説統合部20
は、仮説縮小部17と同様な方法を用いて、統合した航
跡(以下、統合航跡と呼ぶ)を含む仮説の尤もらしさを
評価し、その評価値を算出する。
【0102】上述した一連の処理により決定された航跡
群(統合航跡群)は、仮説統合部20から目標表示装置
4に送られてそのディスプレイ上に表示される。
【0103】これにより、目標追尾装置3は、目標の指
定があった時刻tの処理を終了する。そして、時刻を
時刻tk+1に更新して、順方向目標追尾装置は、上記
統合仮説を基にして順方向の目標追尾処理を継続する
(追尾処理ステップ)。
【0104】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、目標指定後の数〜数十スキャン分の収集データを使
用する換わりに、目標指定時までに所定スキャン分の観
測値を予め保持しておき、当該保持データからオペレー
タによって指定された目標に関する観測値を時間的に遡
って読み出して当該目標の航跡及びこれを含む仮説を求
め、これら仮説のうち最も信頼度が高いものに従って追
尾処理を実施することで、追尾精度の高い延期決定型追
尾処理において、目標指定後に観測値収集に要する待ち
時間が生じることなく、瞬時に目標の指定時点での運動
諸元を表示することができる。
【0105】なお、上記実施の形態1では、順方向目標
追尾装置と逆方向目標追尾装置を別個に設ける例を示し
たが、それぞれの装置に特有のデータを別個に保存する
ようにして各構成要素を共有するようにしてもよい。つ
まり、従来の目標追尾装置に、観測ベクトルメモリ2、
確立航跡選択部18、確立航跡用メモリ19及び仮説統
合部20を新たに追加し、他の構成要素はオペレータに
よる目標指定をきっかけとして順方向目標追尾モードや
逆方向目標追尾モードに適宜切り換わるように構成して
もよい。これは、当該目標追尾装置としてコンピュータ
装置を機能させるプログラムに、上記目標追尾処理のモ
ード切り替え機能を導入することで容易に具現化するこ
とができる。
【0106】また、上記実施の形態1では、現在の観測
時点から過去の観測情報に遡って処理する方法について
示したが、これとは反対に過去の観測情報の中から、現
在の観測時点にたどり着くものを求める方法によって当
該目標の航跡及びこれを含む仮説を求めてもよい。
【0107】実施の形態2.この実施の形態2による目
標追尾装置は、上記実施の形態1と基本的な構成は同様
であるが、各構成部の処理内容が上記実施の形態1と異
なる。以下、上記実施の形態1で示した図2、図3及び
図4のフロー図、並びに、従来の技術で示した図14の
フロー図、図1に示した目標追尾装置のブロック図を用
いて、実施の形態2の動作を詳しく説明する。
【0108】先ず、図2に示すステップST2におい
て、順方向目標追尾装置は、各時刻において取得される
観測値を用いて順方向の追尾処理を実行しているものと
する。このとき、各時刻における観測値及び目標の追尾
航跡は、上記従来の目標追尾装置と同様に目標表示装置
4に表示される。この表示内容を基にして、オペレータ
から目標指定があると(ステップST3)、目標追尾装
置3は、逆方向の目標追尾処理を実行する(ステップS
T4)。
【0109】以下、この実施の形態2による目標追尾装
置3の逆方向目標追尾処理を、図3に示すフロー図を参
照して詳しく説明する。先ず、オペレータによる目標の
指定後、ステップST5aまでの処理は、上記実施の形
態1と同様であるので重複する説明を省略する。続くス
テップST6aにおいて、クラスタ新設・統合部9は、
観測ベクトル選択部7から入力した観測値とシステム内
クラスタ表における既存のクラスタとの関係を調査し
て、当該観測値が互いに異なるクラスタに含まれる複数
の航跡のゲート内に存在するか否かを判定する。このと
き、当該観測値が互いに異なるクラスタに含まれる複数
の航跡のゲート内に存在すれば、クラスタ新設・統合部
9は、これらのクラスタを1つのクラスタに統合してシ
ステム内クラスタ表に再定義する。さらに、観測ベクト
ル選択部7は、システム内クラスタ表に定義されている
各クラスタ内のいずれかの航跡と相関し得るものとして
選択した全ての目標の観測値を、記憶部10中のクラス
タ内観測ベクトル表に書き込む。
【0110】但し、この実施の形態2では上記実施の形
態1と異なって、クラスタ新設・統合部9は、いずれの
クラスタ内の航跡とも相関し得ない独立した観測値によ
り構成される新たなクラスタの新設を行わない。
【0111】次に、目標追尾装置3は、システム内クラ
スタ表に定義された各クラスタの状態を更新するため、
ステップST7aからステップST10aまでの一連の
処理を実行する。先ず、ゲート内判定行列算出部12
は、クラスタ内の時刻tk−aの各観測値と航跡とが相
関し得るか否かを示すクラスタ内ゲート内判定行列を算
出する(ステップST7a)。
【0112】ここで、クラスタ内ゲート内判定行列と
は、時刻tk−aでのクラスタ内の観測値数が
k−a、時刻tk−aでのクラスタ内の既存航跡、即
ち次時刻tk− a+1までに既に作成されたクラスタ内
の航跡の数がNk−a+1(Nk−a+ =0の場合を
含む)、時刻tk−aでのクラスタ内の航跡数がN
k−a=N −a+1+mk−aの時に、上記式(3)
に示す行列Ω(Hk−a)のように定義される。
【0113】このとき、この実施の形態2では、上記式
(3)において上記実施の形態1と異なり、時刻t
k−aで新たに現れるクラスタ内の航跡はないものとす
る。これは、全ての観測値がそれぞれ新たに発見された
目標である可能性を表すための列を作成しないことを意
味する。
【0114】上記式(3)で示すクラスタ内ゲート内判
定行列の各行は、時刻tk−aの観測値Z
k−a,j(j=1,2,・・・,mk−a)に対応す
る。また、各列は、時刻tk−aでのクラスタ内の航跡
(i=0,1,2,・・・,Nk−a)に対応す
る。行列の各要素は、行に対応する観測値が列に対応す
る航跡のゲート内にあるか否かを表している。具体的に
は、以下のように設定する。
【0115】先ず、i=0の列は、観測値が誤信号であ
る場合を示している。実際には、全ての観測値は誤信号
である可能性があるとして、ωj,0 k−a=1のよう
に設定する。
【0116】次に、1≦i≦Nk−a+1の各列は、ク
ラスタ内の既存の航跡に対応する。観測値Zk−a,j
(j=1,2,...,mk−a)が、既存航跡T
(i=1,2,・・・,Nk−a+1)のゲートに含
まれる場合には、ωj,i k−a=1のように設定す
る。また、観測値Zk−a,jが既存航跡Tのゲート
に含まれない場合には、ωj,i k−a=0のように設
定する。
【0117】続いて、航跡相関行列算出部14は、クラ
スタ内ゲート内判定行列から全てのクラスタ内航跡相関
行列を算出する(ステップST8a)。クラスタ内航跡
相関行列とは、実際に仮説として取り得るクラスタ内の
観測値と航跡との相関関係を示すものである。一般に、
1つのクラスタ内ゲート内判定行列から複数のクラスタ
内航跡相関行列が生成される。時刻tk−aにおけるク
ラスタ内航跡相関行列は、クラスタ内ゲート内判定行列
から上記式(4)に示す行列Ω(Hk−a,s)のよう
に定義される。
【0118】ここで、クラスタ内ゲート内判定行列の場
合と同様に、クラスタ内航跡相関行列15の各行は、時
刻tk−aでのクラスタ内の観測値に対応し、各列は、
クラスタ内の航跡に対応する。また、行列の各要素は、
行に対応する観測値が列に対応する航跡と相関している
か否かを示すものである。具体的には以下のように定義
される。
【0119】つまり、観測値Zk−a,j(j=1,
2,・・・,mk−a)が航跡T(i=0,1,2,
・・・,Nk−a)と相関がある場合には、ωj,i
k−a, =1のように設定する。また、観測値Z
k−a,jが航跡Tと相関がない場合、ωj,i
k−a,s=0のように設定する。
【0120】実際に、クラスタ内ゲート内判定行列から
クラスタ内航跡相関行列を作成する際には、上記実施の
形態1で示した(ア)から(ウ)までの条件に、以下に示
す(エ)の条件を加えたの4つの条件を同時に満たす全
ての組み合わせを、各々別個のクラスタ内航跡相関行列
として算出する。
【0121】(エ)クラスタ内航跡相関行列のi=1,
2,・・・,Nk−aとj=1,2,・・・,mk−a
の要素の和は、高々1とする。ここで、(エ)は、高々
1つの航跡のみが存在するような仮説を生成することを
意味する。
【0122】このあと、上記実施の形態1と同様にして
クラスタ内の仮説を更新する(ステップST9a)。
【0123】クラスタ内の仮説の更新処理が終了する
と、クラスタ内の仮説削除の処理に進む(ステップST
10a)。このステップST10aにおいて、仮説縮小
部17は、従来の技術と同様に、図14に示す手順に従
って仮説の縮小を行う。
【0124】つまり、仮説縮小部17は、各仮説が成立
する確率を求めるなどの何らかの方式によって、ステッ
プST10aで作成した現時刻tの各仮説の尤もらし
さ(信頼度)を評価してその評価値を算出する(ステッ
プST107−1)。次に、全ての仮説の中から評価値
が高いものを順に選択してゆき、所定の基準に達した時
点で残りの仮説を削除するなどの方法で仮説の縮小を行
う(ステップST107−2)。
【0125】但し、上記実施の形態1で示した図5の処
理に比べると、ステップST6aからステップST8a
まで、高々1つの航跡をもつ仮説、及び、新たな航跡を
持つ仮説を生成しなかったため、図5中のステップST
10a−1及びステップST10a−2に該当する処理
がなく、処理ステップ数が少なくて済む。
【0126】このあと、目標追尾装置3Aは、上記実施
の形態1同様にしてステップST15aまでステップご
とに処理を実行する。
【0127】上述した一連の処理により決定された航跡
群(統合航跡群)は、仮説統合部20から目標表示装置
4に送られてディスプレイ上に表示される。
【0128】これにより、目標追尾装置3は、目標の指
定があった時刻tの処理を終了する。そして、時刻を
時刻tk+1に更新して、順方向目標追尾装置は、上記
統合仮説を基にして順方向の目標追尾処理を継続する。
【0129】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、いずれのクラスタ内の航跡とも相関し得ない独立し
た観測値について構成する新クラスタを生成せず、クラ
スタ内ゲート内判定行列の算出において新たな目標に対
する列を作成せず、さらに、クラスタ内航跡相関行列の
作成に際し、高々1個の航跡のみが存在する仮説のみを
作成するので、クラスタ内の仮説の更新の処理が軽減さ
れ、計算時間を短縮することができる。
【0130】実施の形態3.図6はこの発明の実施の形
態3による目標追尾装置の構成を示すブロック図であ
る。図において、3Aは実施の形態3による目標追尾装
置であって、各構成部を具現化するプログラムを実行す
るコンピュータ装置などから構成される。22は信頼度
比較部(判定手段)で、確立航跡の尤もらしさ(信頼
度)を示す評価値を所定の基準値と比較して尤もらしさ
が十分に高い航跡を選出する。23は処理時刻リミッタ
部であって、観測ベクトルメモリ2に格納されている最
も過去の観測値の時刻まで処理が終了したか否かを判定
する。なお、図1と同一構成要素には同一符号を付して
重複する説明を省略する。
【0131】次に動作について説明する。ここで、図2
に示すステップST2において、順方向目標追尾装置
は、各時刻において取得される観測値を用いて順方向の
追尾処理を実行しているものとする。このとき、各時刻
における観測値及び目標の追尾航跡は、上記従来の目標
追尾装置と同様に目標表示装置4に表示される。この表
示内容を基にして、オペレータから目標指定があると
(ステップST3)、目標追尾装置3Aは、逆方向の目
標追尾処理を実行する(ステップST4)。
【0132】図7は図6中の目標追尾装置による逆方向
目標追尾処理を示すフロー図であり、この図に沿って上
記実施の形態1と異なる処理について詳しく説明する。
先ず、オペレータによる目標の指定後、上記実施の形態
1と同様にして、各維持仮説についての探知データ除去
処理(ステップST1a)から、全てのクラスタについ
ての仮説の削除処理(ステップST10a)までの処理
を行う。
【0133】ここで、1つの維持仮説について、目標追
尾装置3Aは、各時刻tk−aにおける観測値(観測
値)を入力して、ステップST1aからステップST1
0aまでの処理を実行する。この一連の処理ごとに、目
標追尾装置3A内の確立航跡選択部18は、クラスタ内
で生成された全ての航跡の尤もらしさを評価して評価値
を算出する。そして、評価値が一番大きい航跡を選択す
る(ステップST11a−1、仮説選択ステップ)。こ
のステップST11a−1にて選択された航跡を確立航
跡と呼ぶ。
【0134】このあと、目標追尾装置3A内の信頼度比
較部22は、ステップST11a−1にて選択された確
立航跡の評価値と所定の基準値とを比較して、当該評価
値が十分大きいか否かを判定する(ステップST11a
−2、判定ステップ)。ここで、上記基準値としては、
これをパラメータとして運動諸元が既知の目標について
追尾処理を試行して許容すべき追尾精度を満たした値を
設定する。
【0135】ステップST11a−2にて、尤もらしさ
を示す評価値が上記基準値以上で十分大きいと判定され
ると、信頼度比較部22は、当該確立航跡を確立航跡用
メモリ19に格納すると共に、ステップST14aの処
理に移行する。これらの処理は、次の維持仮説について
も同様に実行される(ステップST14a)。
【0136】一方、上記評価値が上記基準値未満で十分
大きくないと判定されると、信頼度比較部22は、時刻
k−aにおける観測値から得られた確立航跡を確立航
跡用メモリ19に格納せず、前時刻tk−a−1の観測
値を取り込み、上記処理を継続する。
【0137】このとき、ステップST12aにおいて、
処理時刻リミッタ部23は、観測ベクトルメモリ2に格
納されている最も過去の観測値の時刻tk−Lまで処理
が終了したか否かを判定している。ここで、時刻t
k−Lまでの処理が終了したと判断されると、信頼度比
較部22は、当該時刻における確立航跡を確立航跡用メ
モリ19に格納し、次の維持仮説についての処理に移行
する(ステップST14a)。
【0138】なお、この実施の形態3は、上記実施の形
態1の換わりに上記実施の形態2に適用しても良い。こ
こでは、説明を省略する。
【0139】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、観測ベクトルメモリ2に格納された各時刻における
観測値を処理して確立航跡を生成するにあたり、尤もら
しさが十分大きいと判定された確立航跡があれば、観測
ベクトルメモリ2中の最も過去の観測値について処理を
行わずに上記航跡を採用するので、計算時間を短縮する
ことができる。
【0140】実施の形態4.図8はこの発明の実施の形
態4による目標追尾装置の構成を示すブロック図であ
る。図において、3Bは実施の形態4による目標追尾装
置であって、各構成部を具現化するプログラムを実行す
るコンピュータ装置などから構成される。22aは信頼
度比較部(判定手段)で、上記実施の形態3と同様に確
立航跡の尤もらしさ(信頼度)を示す評価値を所定の基
準値と比較して尤もらしさが十分に高い航跡を選出する
と共に、ゲート再計算を実行させる信号として上記比較
結果をゲート算出部5に送出する。24は初期ゲートサ
イズ判定部であって、ゲート算出部5が目標指定時に算
出した初期ゲートがある許容される大きさより大きいか
否かを判定する。なお、図1及び図6と同一構成要素に
は同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0141】次に動作について説明する。ここで、図2
に示すステップST2において、順方向目標追尾装置
は、各時刻において取得される観測値を用いて順方向の
追尾処理を実行しているものとする。このとき、各時刻
における観測値及び目標の追尾航跡は、上記従来の目標
追尾装置と同様に目標表示装置4に表示される。この表
示内容を基にして、オペレータから目標指定があると
(ステップST3)、目標追尾装置3Bは、逆方向の目
標追尾処理を実行する(ステップST4)。
【0142】図9は図8中の目標追尾装置による逆方向
目標追尾処理を示すフロー図であり、この図に沿って上
記実施の形態1と異なる処理について詳しく説明する。
先ず、オペレータによる目標の指定後、上記実施の形態
1と同様にして、各維持仮説についての探知データ除去
処理(ステップST1a)から、全てのクラスタについ
ての仮説の削除処理(ステップST10a)までの処理
を行う。但し、ステップST2bの処理については、最
初は、上記実施の形態1と同様の処理を行う。
【0143】次に、ステップST12aにおいて、過去
Lサンプルまで終了したと判断されると、目標追尾装置
3B内の確立航跡選択部18は、上記過去Lサンプルま
でに得られた航跡の尤もらしさを示す評価値を算出す
る。このとき、評価値が一番大きい航跡が選択される
(ステップST13a、仮説選択ステップ)。このステ
ップST13aにて選択された航跡を確立航跡と呼ぶ。
【0144】続いて、ステップST13a−1におい
て、目標追尾装置3B内の信頼度比較部22aは、ステ
ップST13aにて選択された確立航跡の評価値と所定
の基準値とを比較して、当該評価値が十分大きいか否か
を判定する(ステップST13a−1、判定ステッ
プ)。ここで、尤もらしさを示す評価値が上記基準値以
上で十分大きいと判定されると、信頼度比較部22a
は、当該確立航跡を確立航跡用メモリ19に格納すると
共に、ステップST14aの処理に移行する。これらの
処理は、次の維持仮説についても同様に実行される(ス
テップST14a)。
【0145】一方、ステップST13a−1で、確立航
跡の尤もらしさの評価値が十分大きいと判定されなかっ
た場合、信頼度比較部22aは、ゲート再計算を実行さ
せる信号として比較結果をゲート算出部5に送出する。
これにより、ステップST2bの処理に戻る。
【0146】図10は図9中の初期処理の動作を示すフ
ロー図であり、この図に沿ってゲート再計算処理につい
て説明する。先ず、信頼度比較部22aからの比較結果
を受けると、ゲート算出部5は、当該比較結果に基づい
て目標指定時に算出した初期ゲートを再計算する(ステ
ップST2b−1)。ここで、初期ゲートの再計算は、
前回用いた初期ゲートより大きくなるように算出する。
例えば、信頼度比較部22aの比較結果から、尤もらし
さを示す評価値が所定の基準値より小さかった場合、初
期ゲートがより大きくなるように設定する。
【0147】次に、初期ゲートサイズ判定部24は、初
期ゲートの大きさが所定の許容すべき閾値より大きいか
否かを判定する(ステップST2b−2)。ここで、所
定の許容すべき閾値により規定される大きさは、ゲート
が著しく大きすぎることにより目標の指定位置から遠く
離れた観測値と相関がとれてしまうことを防ぐために設
定した最大許容ゲートサイズを意味する。このとき、初
期ゲートが閾値を超えてしまうと、ステップST2bの
処理を終了して確立航跡用メモリ19に当該確立航跡を
格納し、ステップST14aの処理を継続する。
【0148】一方、初期ゲートが閾値を超えない場合、
ステップST2b−3からステップST2b−4までの
処理を実行する。これらステップST2b−3からステ
ップST2b−4までの処理は、上記実施の形態1の図
4に示したステップST2a−2からステップST2a
−3までの処理と同様である。
【0149】また、ステップST13a−1で確立航跡
の尤もらしさの評価値が十分大きいと判断された場合、
上記実施の形態1と同様に、ステップST14aの処理
に移行して次の維持仮説についても同様に実行される。
全ての維持仮説数分の処理が終了すると、ステップST
15aにて統合航跡を含む仮説(統合仮説)生成する。
【0150】上述した一連の処理により決定された航跡
群(統合航跡群)は、仮説統合部20から目標表示装置
4に送られてディスプレイ上に表示される。これによ
り、目標追尾装置3は、目標の指定があった時刻t
処理を終了する。そして、時刻を時刻tk+1に更新し
て、順方向目標追尾装置は、上記統合仮説を基にして順
方向の目標追尾処理を継続する。
【0151】なお、この実施の形態4は、上記実施の形
態1の換わりに上記実施の形態2に適用しても良い。こ
こでは、説明を省略する。
【0152】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、確立航跡の尤もらしさが十分大きくない場合、即ち
確立した航跡が十分信頼できない場合、初期ゲートを広
げるので、目標指定時に得られる観測値をより多く選択
することができ、目標からの観測値を選択する可能性を
増大させることができる。これにより、確立航跡の尤も
らしさがより大きい航跡を確立することができ、追尾性
能を向上させることができる。
【0153】実施の形態5.この実施の形態5による目
標追尾装置は、上記実施の形態1と基本的な構成は同様
であるが、各構成部の処理内容が上記実施の形態1と異
なる。以下、上記実施の形態1で示した図2、図3、図
4及び図11のフロー図、並びに、従来の技術で示した
図14のフロー図、図1に示した目標追尾装置のブロッ
ク図を用いて、実施の形態5の動作を詳しく説明する。
【0154】先ず、図2に示すステップST2におい
て、順方向目標追尾装置は、各時刻において取得される
観測値を用いて順方向の追尾処理を実行しているものと
する。このとき、各時刻における観測値及び目標の追尾
航跡は、上記従来の目標追尾装置と同様に目標表示装置
4に表示される。この表示内容を基にして、オペレータ
から目標指定があると(ステップST3)、目標追尾装
置3は、逆方向の目標追尾処理を実行する(ステップS
T4)。
【0155】以下、この実施の形態5による目標追尾装
置3の逆方向目標追尾処理を、図3に示すフロー図を参
照して詳しく説明する。先ず、オペレータによる目標の
指定後、ステップST9aまでの処理は、上記実施の形
態1と同様であるので重複する説明を省略する。
【0156】次に、目標追尾装置3はクラスタ内の仮説
削除処理に進む(ステップST10a)。図11はこの
発明の実施の形態5による目標追尾装置の仮説削除処理
を示すフロー図であり、この図に沿ってステップST1
0aにおける処理を詳細に説明する。先ず、仮説縮小部
17は、航跡数が高々m個以外の仮説を削除する(ステ
ップST10c−1)。ここで、mの値は、オペレータ
によって目標指定された地点での航跡数が何らかの方法
で既知であることを前提としている。また、当該mの値
は、オペレータにより入力される。
【0157】また、仮説縮小部17は、航跡数がm個で
も新たな航跡を含んでいる仮説を削除する(ステップS
T10c−2)。続いて、仮説縮小部17は、上記実施
の形態1と同様に各仮説が成立する確率を求めるなどの
何らかの方式によって、ステップST10c−1及びス
テップST10c−2で削除されなかった残りの仮説の
尤もらしさを評価してその評価値を算出する(ステップ
ST10c−3)。
【0158】このあと、仮説縮小部17は、全ての仮説
の中から評価値が高いものを順に選択してゆき、所定の
基準に達した時点で残りの仮説を削除するなどの方法で
仮説の縮小を行う(ステップST10c−4)。
【0159】このステップST10aの処理が終了した
後、ステップST11a以後の処理は、上記実施の形態
1と同様の処理を行う。
【0160】上述した一連の処理により決定された航跡
群(統合航跡群)は、仮説統合部20から目標表示装置
4に送られてディスプレイ上に表示される。これによ
り、目標追尾装置3は、目標の指定があった時刻t
処理を終了する。そして、時刻を時刻tk+1に更新し
て、順方向目標追尾装置は、上記統合仮説を基にして順
方向の目標追尾処理を継続する。
【0161】以上のように、この実施の形態5によれ
ば、目標数が予め既知である場合に、仮説を削除する際
に高々m個の航跡をもつ仮説のみを残すので、複数の指
定目標について運動諸元を推定することができる。
【0162】なお、上記実施の形態2の概念を用いるこ
とによって、高々m個の航跡を含む仮説のみを生成する
ことも、明らかに可能である。ここでは、説明を省略す
る。
【0163】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、追尾
開始時点から過去の観測時点に遡って目標の位置に関す
る観測情報を時系列に取り込んで、当該目標の追尾開始
時点までの各観測時点で予測される航跡の組み合わせを
示す仮説群を作成し、これら仮説群のうち信頼度が最も
高い航跡を含む仮説を選択するので、追尾精度の高い延
期決定型追尾処理において、目標指定後に観測値収集に
要する待ち時間が生じることなく、瞬時に目標の指定時
点での運動諸元を表示することができるという効果があ
る。
【0164】この発明によれば、追尾開始時点前の追尾
処理にて得られた仮説が存在する場合、当該既存の仮説
内の航跡を構成する観測情報から、追尾開始時点から過
去の観測時点に遡って仮説作成する際に用いる観測情報
を除去し、当該仮説内の航跡と信頼度が最も高い航跡を
含む仮説として選択された仮説内の航跡とを統合してな
る仮説を、当該目標の追尾開始時点以降の追尾処理に用
いるので、既存の仮説を利用して精度の高い追尾処理を
実行することができるという効果がある。
【0165】この発明によれば、追尾開始時点から過去
の観測時点に遡って目標の位置に関する観測情報を時系
列に取り込んで、当該目標の追尾開始時点までの各観測
時点で予測される航跡を求めるにあたり、前観測時点ま
での観測情報から求めた航跡と相関しない観測情報を用
いて航跡を求めず、且つ、1つの航跡からなる仮説のみ
を作成するので、仮説作成に係る処理ステップが軽減さ
れ、追尾処理に係る計算時間を短縮することができると
いう効果がある。
【0166】この発明によれば、追尾開始時点までの各
観測時点で予測される航跡を求めるにあたり、各観測時
点での航跡の信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判
定し、各観測時点ごとに作成した仮説群のうち信頼度が
最も高い航跡を含む仮説のうち判定結果が基準値に満た
ない航跡を含む仮説について、当該観測時点での航跡の
予測結果を除去し、所定数の観測時点分の過去の観測情
報を用いて当該航跡の予測を継続して仮説を作成するの
で、追尾処理に係る計算時間を短縮することができると
いう効果がある。
【0167】この発明によれば、仮説内の航跡の信頼度
が所定の基準値を満たすか否かを判定し、当該判定結果
が基準値に満たない場合、追尾すべき目標の指定時点に
おける観測情報として取り込むべき情報の許容範囲を拡
大させて仮説群を作成するので、目標指定時に得られる
観測情報をより多く選択することができ、目標からの観
測情報を選択する可能性を増大させることができる。こ
れにより、信頼度がより大きい航跡を確立することがで
き、追尾性能を向上させることができるという効果があ
る。
【0168】この発明によれば、追尾結果として提示す
べき航跡数が既知である場合、上記航跡数の航跡からな
る仮説以外の仮説を削除する、又は、上記航跡数の航跡
を含む仮説のみを作成するので、複数の指定目標につい
て追尾処理することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による目標追尾装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1中の目標追尾装置の概略的な動作を示す
フロー図である。
【図3】 図2中の逆方向目標追尾処理の動作を示すフ
ロー図である。
【図4】 図3中の初期処理における動作を示すフロー
図である。
【図5】 図3中のクラスタ内の仮説削除処理における
動作を示すフロー図である。
【図6】 この発明の実施の形態3による目標追尾装置
の構成を示すブロック図である。
【図7】 図6中の目標追尾装置による逆方向目標追尾
処理を示すフロー図である。
【図8】 この発明の実施の形態4による目標追尾装置
の構成を示すブロック図である。
【図9】 図8中の目標追尾装置による逆方向目標追尾
処理を示すフロー図である。
【図10】 図9中の初期処理の動作を示すフロー図で
ある。
【図11】 この発明の実施の形態5による目標追尾装
置の仮説削除処理を示すフロー図である。
【図12】 従来の目標追尾装置の構成を示すブロック
図である。
【図13】 図12中の目標追尾装置の動作を示すフロ
ー図である。
【図14】 図13中の仮説削除処理の動作を示すフロ
ー図である。
【図15】 目標追尾において各航跡と観測値との相関
処理が困難となる状況を説明する図である。
【符号の説明】
1 目標観測装置、2 観測ベクトルメモリ、3,3
A,3B 目標追尾装置、4 目標表示装置、5 ゲー
ト算出部、6 観測データ削除部(削除手段)、7 観
測ベクトル選択部、8 記憶部(システム内クラスタ
表)、9 クラスタ新設・統合部(仮説作成手段)、1
0 記憶部(クラスタ内観測ベクトル表)、11 記憶
部(クラスタ内仮説状況データ群)、11a 記憶領域
(クラスタ内仮説表)、11b 記憶領域(仮説内航跡
表)、11c 記憶領域(クラスタ内航跡−観測ベクト
ル表)、12 ゲート内判定行列算出部(仮説作成手
段)、13 記憶部(クラスタ内ゲート内判定行列)、
14 航跡相関行列算出部(仮説作成手段)、15 記
憶部(クラスタ内航跡相関行列)、16 仮説更新部
(仮説作成手段)、17 仮説縮小部、18 確立航跡
選択部(仮説選択手段)、19 確立航跡用メモリ、2
0 仮説統合部(仮説統合手段)、21 削除観測デー
タ用メモリ、22,22a 信頼度比較部(判定手
段)、23 処理時刻リミッタ部、24 初期ゲートサ
イズ判定部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小菅 義夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5J070 AC01 AH19 AH39 AK22 BB06

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 追尾開始時点から過去の観測時点に遡っ
    て目標の位置に関する観測情報を時系列に取り込んで、
    当該目標の上記追尾開始時点までの各観測時点で予測さ
    れる航跡の組み合わせを示す仮説群を作成する仮説作成
    手段と、 上記仮説作成手段が作成した仮説群のうち信頼度が最も
    高い航跡を含む仮説を、当該目標の追尾開始時点以降の
    追尾処理に用いる仮説として選択する仮説選択手段とを
    備えた目標追尾装置。
  2. 【請求項2】 追尾開始時点前の追尾処理にて得られた
    仮説が存在する場合、当該既存の仮説内の航跡を構成す
    る観測情報から、仮説作成手段が仮説作成に用いる観測
    情報を除去する除去手段と、 仮説選択手段が選択した仮説内の航跡と上記除去手段が
    観測情報を除去した仮説内の航跡とを統合してなる仮説
    を、当該目標の追尾開始時点以降の追尾処理における仮
    説として求める仮説統合手段とを備えたことを特徴とす
    る請求項1記載の目標追尾装置。
  3. 【請求項3】 仮説作成手段は、追尾開始時点から過去
    の観測時点に遡って目標の位置に関する観測情報を時系
    列に取り込んで、当該目標の上記追尾開始時点までの各
    観測時点で予測される航跡を求めるにあたり、前観測時
    点までの観測情報から求めた航跡と相関しない観測情報
    を用いて航跡を求めず、且つ、1つの航跡からなる仮説
    のみを作成することを特徴とする請求項1又は請求項2
    記載の目標追尾装置。
  4. 【請求項4】 仮説作成手段が追尾開始時点までの各観
    測時点で予測される航跡を求めるにあたり、各観測時点
    での航跡の信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定
    する判定手段を備え、 仮説選択手段は、上記仮説作成手段が各観測時点ごとに
    作成した仮説群のうち信頼度が最も高い航跡を含む仮説
    を選択し、 上記仮説作成手段は、上記仮説選択手段が各観測時点ご
    とに選択した仮説のうち上記判定手段の判定結果が基準
    値に満たない航跡を含む仮説について、当該観測時点で
    の航跡の予測結果を除去し、所定数の観測時点分の過去
    の観測情報を用いて当該航跡の予測を継続して仮説を作
    成することを特徴とする請求項1から請求項3のうちの
    いずれか1項記載の目標追尾装置。
  5. 【請求項5】 仮説選択手段が選択した仮説内の航跡の
    信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定する判定手
    段を備え、 仮説作成手段は、上記判定手段の判定結果が基準値に満
    たない場合、追尾すべき目標の指定時点における観測情
    報として取り込むべき情報の許容範囲を拡大させて仮説
    群を作成することを特徴とする請求項1から請求項3の
    うちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
  6. 【請求項6】 仮説作成手段は、追尾結果として提示す
    べき航跡数が既知である場合、上記航跡数の航跡からな
    る仮説以外の仮説を削除する、又は、上記航跡数の航跡
    を含む仮説のみを作成することを特徴とする請求項1記
    載の目標追尾装置。
  7. 【請求項7】 追尾開始時点以前の目標の位置に関する
    観測情報を逆方向処理用データとして時系列に保持して
    おき、上記追尾開始時点前の追尾処理にて得られた仮説
    が存在する場合、当該既存の仮説内の航跡を構成する観
    測情報から上記逆方向処理用データを除去する除去ステ
    ップと、 上記追尾開始時点から過去の観測時点に遡って上記逆方
    向処理用データより観測情報を時系列に取り込んで、当
    該目標の上記追尾開始時点までの各観測時点で予測され
    る航跡の組み合わせを示す仮説群を作成する仮説作成ス
    テップと、 上記仮説作成ステップにて作成した仮説群のうち信頼度
    が最も高い航跡を含む仮説を、当該目標の指定時点以降
    の追尾処理に用いる仮説として選択する仮説選択ステッ
    プと、 仮説選択ステップにて選択した仮説内の航跡と上記除去
    ステップにて上記逆方向処理用データを除去した仮説内
    の航跡とを統合してなる仮説を求める仮説統合ステップ
    と、 上記仮説統合ステップにて求めた仮説を用いて、当該目
    標の追尾開始時点以降の追尾処理を実行する追尾処理ス
    テップとを備えた目標追尾方法。
  8. 【請求項8】 仮説作成ステップにて、追尾開始時点か
    ら過去の観測時点に遡って目標の位置に関する観測情報
    を時系列に取り込んで、当該目標の上記追尾開始時点ま
    での各観測時点で予測される航跡を求めるにあたり、前
    観測時点までの観測情報から求めた航跡と相関しない観
    測情報を用いて航跡を求めず、且つ、1つの航跡からな
    る仮説のみを作成することを特徴とする請求項7記載の
    目標追尾方法。
  9. 【請求項9】 仮説作成ステップにて、追尾開始時点ま
    での各観測時点で予測される航跡を求めるにあたり、各
    観測時点での航跡の信頼度が所定の基準値を満たすか否
    かを判定する判定ステップを備え、 仮説選択ステップにて、上記仮説作成ステップで各観測
    時点ごとに作成した仮説群のうち信頼度が最も高い航跡
    を含む仮説を選択し、 上記仮説作成ステップにて、上記仮説選択ステップにて
    各観測時点ごとに選択した仮説のうち、上記判定ステッ
    プにおける判定結果が基準値に満たない航跡を含む仮説
    について、当該観測時点での航跡の予測結果を除去し、
    1観測時点だけ過去の観測情報を用いて当該航跡の予測
    を継続して仮説を作成することを特徴とする請求項7又
    は請求項8記載の目標追尾方法。
  10. 【請求項10】 仮説選択ステップにて選択した仮説内
    の航跡の信頼度が所定の基準値を満たすか否かを判定す
    る判定ステップを備え、 仮説作成ステップにて、上記判定ステップにおける判定
    結果が基準値に満たない場合、追尾すべき目標の指定時
    点における観測情報として取り込むべき情報の許容範囲
    を拡大させて仮説群を作成することを特徴とする請求項
    7又は請求項8記載の目標追尾方法。
  11. 【請求項11】 仮説作成ステップにて、追尾結果とし
    て提示すべき航跡数が既知である場合、上記航跡数の航
    跡からなる仮説以外の仮説を削除する、又は、上記航跡
    数の航跡を含む仮説のみを作成することを特徴とする請
    求項7記載の目標追尾方法。
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