JP2003328008A - 通電熱加工装置 - Google Patents

通電熱加工装置

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JP2003328008A
JP2003328008A JP2002132999A JP2002132999A JP2003328008A JP 2003328008 A JP2003328008 A JP 2003328008A JP 2002132999 A JP2002132999 A JP 2002132999A JP 2002132999 A JP2002132999 A JP 2002132999A JP 2003328008 A JP2003328008 A JP 2003328008A
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magnetizing
supplying
mold
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JP2002132999A
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English (en)
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Koyo Ozaki
公洋 尾崎
Keizo Kobayashi
慶三 小林
Kotaro Kikuchi
光太郎 菊池
Hikari Kikuchi
光 菊池
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SS ALLOY KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
SS ALLOY KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通電発熱で被加工物に焼結処理を施す通電熱
加工装置において、焼結処理の際に被加工物に良好な磁
気特性を付与できようにすることにより、コストの低廉
化を図り得るとともに、配向性、透磁率等を向上する。 【解決手段】 型60内の被加工物を挟持した状態で当
該被加工物に焼結用電流を供給するための対向電極50
と、上記型60の周囲に配設され、当該被加工物を磁化
させる磁化用コイル80と、上記対向電極50に上記焼
結用電流を供給するとともに上記磁化用コイル80に磁
化用電流を供給する電源装置110とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末焼結材料から
なる被加工物に対し電流を供給して通電加熱による焼結
処理を行う装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、特許第3132560号公報に記
載されているような熱加工装置が知られている。この熱
加工装置は、粉末焼結材料からなる被加工物を装填する
筒状の型と、この型に摺接状態で下部から内嵌される下
型としての下部電極と、同上部から内嵌される上型とし
ての上部電極と、これら両電極に電流を供給する電源装
置と、両電極を介して型内の被加工物を加圧する加圧装
置と、上記電流を制御する制御手段とを備えた基本構成
を有している。
【0003】かかる装置の型内に被加工物を装填した
後、型内の被加工物を上下の電極を介して加圧装置によ
り所定の圧力で加圧しつつ、電源装置からの電流を上下
の電極を介して被加工物に供給することにより、被加工
物は通電発熱で高温になり、焼結処理が施される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、焼結処理に
より得られた焼結製品の一つとして磁性材料があり、か
かる磁性材料の磁気特性は、電子機器の進歩に伴って改
良が要請されている。例えば、MHz、GHzの高周波
領域で使用される磁性材料は、過電流損失の影響で透磁
率が低下するため、その対策が進められている。
【0005】しかしながら、上述した従来の熱加工装置
による場合には、焼結処理の際に焼結製品に所望の磁気
特性を付与することが、その装置構成の故に困難であ
り、焼結製品に所望の磁気特性を付与するには、焼結処
理の後に別の磁化装置を用いて別途処理を行う必要があ
るため、コストが高くなる。
【0006】また、磁気特性に重要な結晶粒子等の微細
構造を調整することが難しく、磁性材料に必要な配向性
の向上などの面でも改善の余地があった。
【0007】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたものであり、焼結処理の際に被加工物に
磁気特性を付与することができ、これによりコストの低
廉化を図り得るとともに、配向性、透磁率等を向上する
ことができる通電熱加工装置を提供することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、粉末焼結材料
からなる被加工物に電流を供給することによる通電発熱
で被加工物に焼結する通電熱加工装置であって、内部に
被加工物が装填される型と、この型内の被加工物を挟持
した状態で当該被加工物に焼結用電流を供給するための
対向電極と、上記型の周囲に配設され、当該被加工物を
磁化させる磁化用コイルと、上記対向電極に上記焼結用
電流を供給するとともに上記磁化用コイルに磁化用電流
を供給する電源装置とを備えているものである。
【0009】この発明によれば、型に装填された粉末焼
結材料からなる被加工物は、焼結用電流を対向電極に供
給することにより発熱して焼結され、焼結製品になる。
この焼結処理の際に、磁化用電流を磁化用コイルに供給
することにより焼結製品に磁気特性を与えることが可能
となる。よって、焼結処理の後に別の磁化装置を用いて
別途処理を行う必要がなく、コストの低廉化が図れる。
【0010】しかも、焼結工程における適当な段階で焼
結材料の磁化が行われ、この状態で焼結が行われること
により、配向性が良く磁気特性にすぐれた焼結体が得ら
れる。
【0011】また、上記磁化用コイルにより磁場を生成
すると、焼結完了前の粉末の焼結材料は磁場の方向に配
向するので、磁化用コイルの形状、方向等の設定によ
り、材料の磁気特性における配向を自由に設計すること
が可能となる。
【0012】本発明において、上記電源装置は対向電極
に対して焼結用電流を供給する第1電源と磁化用コイル
に対して磁化用電流を供給する第2電源とを有し、この
電源装置の第1電源からの焼結用電流と第2電源からの
磁化用電流とを独立して制御する制御手段を更に備える
ことが好ましい。
【0013】このように焼結用電流と磁化用電流とを独
立して制御可能とすれば、焼結エネルギーと磁化エネル
ギーの個々をそれぞれ適正に制御することができ、これ
により材料の磁気特性がより一層向上される。
【0014】また、本発明において、上記型内の被加工
物に押圧力を加える加圧装置を更に備えることが好まし
い。このようにすれば、焼結材料は、その種類に応じて
常に最適の圧力が付与された状態で焼結処理が施される
ことになり、焼結製品の品質が焼結材料の種類によって
ばらつくような不都合が回避される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づい
て説明する。図1及び図2は本発明に係る通電熱加工装
置の一実施形態を示すものであって、図1は一部断面正
面図、図2は概略斜視図である。
【0016】これらの図に示すように、熱加工装置10
は、焼結材料(被加工物)Mに対してパルス電流を印加
することによる通電加熱で当該焼結材料Mに焼結処理を
施すものであり、縦長の直方体状の枠体20と、この枠
体20内に設けられる薄板製の筒状の安全カバー30
と、この安全カバー30に内装される熱加工炉40と、
この熱加工炉40の上下から当該熱加工炉40内に摺接
状態で嵌挿される対向電極50と、この対向電極50の
各先端側が内嵌される型60と、対向電極50の上方側
の電極(上部電極51)を押圧する加圧装置70と、上
記熱加工炉40内で対向電極50および型60の周囲に
配置された磁化用コイル80とを備えている。
【0017】上記対向電極50および磁化用コイル80
へは後記第1電源111及び第2電源112から焼結用
電流及び磁化用電流がそれぞれ供給されるようになって
いる。
【0018】さらに、上記枠体20の近傍には、熱加工
炉40内の空気を吸引除去して当該熱加工炉40内を真
空環境にする真空ポンプ90(図4参照)が設けられ、
この真空ポンプ90の駆動により型60内が真空にされ
た状態で焼結材料Mに対して熱加工が施されるようにな
っている。
【0019】熱加工装置10の各部の具体的構造を説明
する。上記枠体20は、平面視で正方形状を呈する基礎
板21と、この基礎板21の四隅部に立設された4本の
円柱状のガイド支柱22と、このガイド支柱22の頂部
にボルト止めで固定された平面視で正方形状の天板23
とを備えている。また、上記天板23の下方には、四隅
部が上記各ガイド支柱22に摺動可能に貫通された平面
視で正方形状の可動板24が配置されている。そして、
上記加圧装置70により可動板24を介して上部電極5
1に加圧力を加え得るようにしている。
【0020】上記熱加工炉40は、円筒状の加工炉本体
41と、その上面開口を閉止する天板43と、底面開口
を閉止する底板44とを備えている。上記天板43及び
底板44は加工炉本体41の上端及び下端に設けられた
フランジ部にボルトで固定されている。
【0021】上記対向電極50は、型60の上部に設け
られる上部電極51と、同下部に設けられる下部電極5
2とからなっている。上記上部電極51は、型60のキ
ャビティ内に上から摺接状態で嵌挿される黒鉛製の上パ
ンチ51aと、この上パンチ51aに連結された上部電
極本体51bとを備えている。一方、下部電極52は、
図2に示すように、型60のキャビティ内に下から嵌挿
される黒鉛製の下パンチ52aと、この下パンチ52a
に連結された下部電極本体52bとを備えている。電極
本体51b,52bには必要に応じて高さ寸法調節のた
めのスペーサが組み込まれるようになっている。
【0022】上部電極本体51b及び下部電極本体52
bは、熱加工炉40の天板43及び底板44に設けられ
た電極挿通部に絶縁部材を介して挿通されており、上部
電極本体51bは天板43の電極挿通部に対して上下摺
動可能となっている。
【0023】そして、型60内に装填された焼結材料M
は、上下のパンチ51a,52aに押圧挟持された状態
で、電源から上下の電極51,52へのパルス電流の供
給に応じ、通電発熱と焼結材料Mの粒子間で生起される
アーク放電による放電発熱とによって加熱され、焼結さ
れるようになっている。
【0024】上記加圧装置70は、上部電極51を介し
て型60内の焼結材料Mに加圧力を加えるものであり、
具体的構造としては例えば図1及び図2に示すように、
枠体20の天板23上面の中央部に縦置きでボルト止め
により固定された油圧シリンダ71と、この油圧シリン
ダ71から天板23に設けられた貫通孔を通って下方に
突出したピストンロッド72と、このピストンロッド7
2の下端部に固定されたプレスラム73とを備えてい
る。このプレスラムに可動板及び上部電極が接続されて
いる。
【0025】上記油圧シリンダ71に対し、油圧の給排
をコントロールする油圧ユニット75が接続されてい
る。
【0026】また、磁化用コイル80は、図3にも示す
ように、導電性を有する長尺の線状体または管状体を素
材としてこれを適宜屈曲させることにより、型60の外
径よりも多少大径で型60の周囲に配置されるコイル部
81と、その両端から外方に延びるリード部82とを有
するように形成され、両端部が熱加工炉40の天板43
及び底板44に固定され、かつ、後記第2電源112に
電気的に接続されている。
【0027】図4は制御装置100、電源装置110等
からなる熱加工装置10の制御系統の一実施形態を示す
ブロック図である。
【0028】この図に示すように、制御装置100は、
熱加工装置10の全体的な運転制御を行うためのもので
あって、いわゆるマイクロコンピュータによって構成さ
れ、演算処理装置であるCPU101が内蔵されている
とともに、制御装置100に対して所定のデータを入力
したりCPU101の演算結果を出力したりする入出力
装置102と、データを一時的に記憶する読み書き自在
の記憶装置であるRAM103と、制御プログラムを記
憶した読み込み専用の記憶装置であるROM104とを
備えて構成されている。
【0029】また、電源装置110は、対向電極50に
焼結用電流を供給する第1電源111と、磁化用コイル
80に磁化用電流を供給する第2電源112とを有して
いる。
【0030】上記焼結用電流は好ましくはパルス電流で
ある。第1電源111内には、図略のパルス電源回路が
設けられており、このパルス電源回路へ制御装置100
を介して入出力装置102からの入力信号を伝達するこ
とにより、種々のパルス特性調整要素の変更が可能にな
っている。具体的には、パルスは1Hz〜500Hzの
範囲内でのパルス周期の変更及びパルス間隔、パルス幅
の変更が可能であるとともに、パルスの電流エネルギー
が50〜5000Aの範囲で変更可能になっている。
【0031】特に放電焼結を行なう場合に適した機能と
して、第1電源111内のパルス電源回路は、電源電圧
が2〜24Vの範囲で、アーク放電を発生させるような
絶縁破壊のためにパルス印加当初に0.01秒〜0.1
秒の瞬時だけ、同一単位系で電圧の値が焼結材料Mの固
有電気抵抗の値の50〜5000倍となる高周波高電圧
を発生させることができるようになっている。
【0032】また、第2電源112から磁化用コイル8
0に供給する磁化用電流も好ましくはパルス電流であ
り、パルスの周波数、電流エネルギー等が変更可能とな
っている。
【0033】上記第1電源111と第2電源112とは
それぞれ個別に電流の調節を行い得る。そして、制御装
置100から第1電源111及び第2電源112に対し
てそれぞれ制御信号が出力され、それにより第1電源1
11からの焼結用電流と第2電源112からの磁化用電
流とが互いに独立して制御されるようになっている。ま
た、上記油圧ユニット75及び真空ポンプ90も制御装
置100からの制御信号により制御されるようになって
いる。
【0034】さらに当実施形態では、上部電極の上方部
及び下部電極の下方部にこれらの部分を冷却する冷却水
路53,54が形成され、冷却水源120から流量制御
弁121,122を介して冷却水路53,54に冷却水
を供給する冷却系統が設けられるとともに、上記流量制
御弁121,122も制御装置100からの制御信号に
より制御されるようになっている。
【0035】なお、制御装置100には、制御に必要な
加工状況等を検出する各種のセンサ130からの信号が
入力されるようになっている。かかるセンサとしては、
対向電極50の各所の温度を検出する温度センサ、加圧
装置70による押圧力を検出する感圧センサ等が配備さ
れる。
【0036】以上のような当実施形態の通電熱加工装置
の作用を、次に説明する。
【0037】上記制御装置100は、入出力装置102
から入力された所定の指令信号および後述する各種のセ
ンサからの検出信号に基き、ROM104から読み取っ
た制御プログラムに従って電源装置110の第1電源1
11及び第2電源112、油圧ユニット75、真空ポン
プ90等にそれぞれ所定の制御信号を出力する。それに
より、真空ポンプ90の駆動で熱加工炉40内が減圧状
態とされ、加圧装置70の駆動で上部電極51に対する
プレスラム73の押圧力が調節されるとともに、第1電
源111から対向電極50に焼結用のパルス電流が供給
されて、型60内の焼結材料Mが加圧及び発熱により焼
結され、さらにこの焼結工程中に、第2電源111から
磁化用コイル80に磁化用のパルス電流が供給されて、
焼結材料Mが磁化される。
【0038】より具体的に説明すると、第1電源111
から対向電極50に焼結用のパルス電流が供給されるこ
とにより、直接通電加熱で焼結材料Mの温度が上昇し、
焼結される。この場合、好ましくは前述のようにパルス
印加当初に瞬時だけ高周波高電圧を発生させることによ
り、効果的にアーク放電が生起され、放電スタート後
は、定常状態に戻しても放電が持続する。このようにア
ーク放電を利用して焼結を行うようにすると、アーク放
電の温度はミクロ的に数万度(原子水準)と理論解析さ
れており、ミクロ的に高温として焼結を達成しつつ、マ
クロ的に材料の温度を低くし、熱的悪影響を防止するこ
とができる。
【0039】このパルス電流の放電効果は、粉状である
焼結材料Mの焼結初期において効果があり、焼結が進ん
で粒子の間隙が少なくなるに連れて通電性が進み、焼結
材料Mのもつ固有抵抗によるジュール発熱に移る。
【0040】また、本実施形態においては、型60とし
て通電可能な黒鉛製のものを採用しているため、対向電
極50に供給されたパルス電流は、この型60にも通電
されて発熱し、型60そのものがカーボンヒーターとし
ての役割を果すことから、型60は、この点で焼結材料
Mに対する均質な焼結処理に貢献する。
【0041】また、この焼結行程において、加圧装置に
よる押圧力が制御されることにより、焼結材料Mは、そ
の種類に応じて常に最適の圧力が付与された状態で焼結
処理が施されることになり、焼結製品の品質が焼結材料
Mの種類によってばらつくような不都合が回避される。
【0042】さらに本実施形態の熱加工装置10におい
ては、焼結工程における適当な段階で、第2電源112
から磁化用コイル80に磁化用電流が供給されることに
より、磁化用コイル80の内方の焼結材料Mが存在する
区域に磁場が生成され、それにより焼結材料Mが磁場の
方向に配向する。そして、このように磁場の生成によっ
て焼結材料Mの磁化が行われつつ、この状態で焼結が行
われることにより、配向性が良く磁気特性にすぐれた磁
性焼結体が容易に製作されることとなる。
【0043】なお、本発明は、上記の実施形態に限定さ
れるものではなく、以下の内容をも包含するものであ
る。
【0044】(1)上記の実施形態においては、型60
として黒鉛製のものが採用され、この黒鉛製の型60へ
の通電による発熱をも焼結材料Mの加熱源として利用し
ているが、本発明は、特に型60を加熱源としなくて
も、アーク放電及びジュール熱を利用して焼結を行い得
ることから、型60を特に黒鉛製にする必要はない。
【0045】(2)上記の実施形態においては、焼結材
料Mに対する加圧手段として油圧ユニット110からの
油圧で作動する加圧装置70が採用されているが、加圧
装置70は、例えば電動モータの駆動で所定の押圧ロッ
ドを作動させて焼結材料Mを押圧するような構造のもの
であってもよい。
【0046】(3)上記の実施形態においては、電源装
置110の第1電源111から対向電極50へパルス電
流が供給されるようにしているが、本発明は、対向電極
50に供給される電流がパルス電流であることに限定さ
れるものではなく、パルス状態ではない通常の直流電流
あるいは交流電流であってもよい。
【0047】(4)電源装置110の第2電源112か
ら磁化用コイル80に供給される電流もパルス電流に限
定されず、通常の直流電流あるいは交流電流であっても
よい。
【0048】
【実施例】実施例1 図1〜図4に示す装置を用い、型60は黒鉛製で内径φ
20mmの円筒状とし、磁化用コイル80はφ6mmの銅管
を素材としてφ50mmで5巻のコイルとした。そして、
先ず磁化用コイル80により磁場を生じさせることの効
果を調べるため、上記型60内に磁性粉末からなる焼結
材料Mを20g充填し、加圧装置70による押圧力を加
えず、かつ、第1電源111をオフにして対向電極50
への焼結用電流の供給を行わない状態で、上記磁化用コ
イル80に第2電源112から電流を供給した。この実
験において、上記磁化用コイル80に与える電流を10
Aから100Aに増加させると、磁化効果が増大して、
型60内の焼結材料Mは磁化用コイル80の軸方向(型
60の上下方向)に躍動的に飛散し、粉体では磁化効果
が極めて大きいことを確認した。また、型60内の焼結
材料が飛散しないように電流量を30Aとし、かつ、パ
ルス周波数を1Hzに設定したパルス電流を磁化用コイ
ル80に与えると、そのパルス振動に応じて型60内で
磁性粉末からなる焼結材料Mが振動し、配列することを
目視確認した。なお、この実験では焼結材料Mとして、
磁化配向を確認しやすい燐片状鉄紛を使用した。
【0049】次に、熱加工炉40内を真空にした状態
で、上記のように型60内の焼結材料Mを磁化するとと
もに、加圧装置70による加圧を行い、かつ、第1電源
111から対向電極50へ焼結用電流の供給して100
0°C、10分間の通電焼結を行い、焼結された試片を
顕微鏡で観察すると、鉄紛粒子が磁化方向に配列してい
ることを確認できた。
【0050】なお、この装置から第2電源112を外
し、第1電源111のみを用いてこれに対向電極50と
磁化用コイル80とを並列に接続し、同様の実験を行う
と、焼結材料を磁化することは可能であるが、対向電極
50と磁化用コイル80とに対して個別に電流を制御す
ることができないため、並列配線の系のうちで抵抗の少
ない方へ多量の電流が流れ、焼結エネルギーと磁化エネ
ルギーの個々の制御が不完全になり、その結果、磁化組
織も非配向部分の多い不完全な組織を示した。
【0051】実施例2 磁性材料の要求特性は用途により分かれるが、通信用の
トランスでは高周波帯域における透磁率の維持が必要な
特性である。この特性を有する磁性材料としては、結晶
粒子が特定方向に揃う結晶磁気異方性をもつ配向性Mn
−Znフェライト等が報告されている。しかし、従来で
はこのような材料を製作することが難しく、原料の粉末
性状を工夫したり、焼結の密度、異種材料の積層化等を
改善する試みがなされてきた。
【0052】本発明の装置では、焼結用の対向電極50
及びこれに対する第1電源111と磁化用コイル80及
びこれに対する第2電源112とを備え、第1電源11
1からの焼結用電流と第2電源112からの磁化用電流
とを独立して制御するようにしているため、焼結工程に
おいて焼結用電流を適宜制御しつつ、材料の結晶構造の
変化する最も重要な焼結温度域で磁化用電流を供給して
磁化を制御し、結晶粒子に効果的な磁気配向性を生じさ
せる機能を発揮することができる。
【0053】具体的には、原料を上記型60内に充填
し、無加圧の状態で上記磁化用コイル80に100Aの
磁化電流を供給して粉末粒子の状態で先ず配向させ、次
に200Kgの圧力をかけ、かつ、対向電極50へ焼結
用電流を供給して1100°C、30分間の通電焼結を
行い、この過程で相変態の予測される850°Cと11
00°Cとで各々5分間磁化電流の供給を行った。そし
て、得られた燒結体につき、X線回折により結晶配向性
を調べるとともに、電子顕微鏡により組織を観察した。
【0054】その結果、燒結体試料取出し時にマーキン
グした位置と磁化用コイル80との相関関係が得られ、
焼結時に磁化用電流を与えて焼結材料を磁化することに
より焼結体の磁気特性が著しく結晶構造的に改善される
ことを確認できた。
【0055】図5に、上記実施例で製作された磁性材料
と市販のこの種の材料との磁気特性の比較データをグラ
フで示す。同グラフ中、Aは市販材料の磁気特性、Bは
本発明の装置による上記実施例で製作された磁性材料の
磁気特性である。
【0056】この比較データから、上記実施例で製作さ
れた磁性材料は高周波帯域で大幅に透磁率が改善される
ことが解る。
【0057】
【発明の効果】以上のように、本発明の装置は、型内の
被加工物を挟持した状態で当該被加工物に焼結用電流を
供給するための対向電極と、上記型の周囲に配設され、
当該被加工物を磁化させる磁化用コイルと、上記対向電
極に上記焼結用電流を供給するとともに上記磁化用コイ
ルに磁化用電流を供給する電源装置とを備えているた
め、上記対向電極への電流の供給により被加工物が焼結
されるとともに、この焼結の際に、磁化用コイルへの電
流供給により焼結製品に磁気特性を与えることができ、
焼結の後に別の磁化装置を用いて別途処理を行う必要が
なく、コストの低廉化を図ることができ、しかも、配向
性が良く磁気特性にすぐれた焼結体を得ることができ
る。また、磁化用コイルの形状、方向等の設定により、
材料の磁気特性における配向を自由に設計することが可
能となる等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通電熱加工装置の一実施形態を示
す断面図である。
【図2】図1に示す通電熱加工装置の斜視図である。
【図3】磁化用コイルの拡大平面図である。
【図4】通電熱加工装置における制御系統を示すブロッ
ク図である。
【図5】本発明の実施例および比較例につき、高周波帯
での初透磁率を示すグラフである。
【符号の説明】
10 熱加工装置 40 熱加工炉 50 対向電極 60 型 70 加圧装置 80 磁化用コイル 100 制御装置 110 電源装置 111 第1電源 112 第2電源
フロントページの続き (72)発明者 小林 慶三 愛知県名古屋市守山区大字下志段味字穴ケ 洞2266番地の98 独立行政法人産業技術総 合研究所中部センター内 (72)発明者 菊池 光太郎 広島県東広島市西条町寺家7403−5 (72)発明者 菊池 光 京都府宇治市五ケ庄梅林60−11 マンショ ン禅601号 Fターム(参考) 4K018 CA04 EA22 KA42 5E062 CC05 CE01 CG02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末焼結材料からなる被加工物に電流を
    供給することによる通電発熱で被加工物を焼結する通電
    熱加工装置であって、 内部に被加工物が装填される型と、 この型内の被加工物を挟持した状態で当該被加工物に焼
    結用電流を供給するための対向電極と、 上記型の周囲に配設され、当該被加工物を磁化させる磁
    化用コイルと、 上記対向電極に上記焼結用電流を供給するとともに上記
    磁化用コイルに磁化用電流を供給する電源装置とを備え
    ていることを特徴とする通電熱加工装置。
  2. 【請求項2】 上記電源装置は対向電極に対して焼結用
    電流を供給する第1電源と磁化用コイルに対して磁化用
    電流を供給する第2電源とを有し、この電源装置の第1
    電源からの焼結用電流と第2電源からの磁化用電流とを
    独立して制御する制御手段を更に備えることを特徴とす
    る請求項1記載の通電熱加工装置。
  3. 【請求項3】 上記型内の被加工物に押圧力を加える加
    圧装置を更に備えることを特徴とする請求項1または2
    記載の通電熱加工装置。
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