JP2003326634A - 熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルム - Google Patents

熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルム

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JP2003326634A
JP2003326634A JP2002136318A JP2002136318A JP2003326634A JP 2003326634 A JP2003326634 A JP 2003326634A JP 2002136318 A JP2002136318 A JP 2002136318A JP 2002136318 A JP2002136318 A JP 2002136318A JP 2003326634 A JP2003326634 A JP 2003326634A
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alkoxide
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ring
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JP2002136318A
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Kouji Shiho
浩司 志保
Sachiko Okada
幸子 岡田
Isamu Yonekura
勇 米倉
Hitoshi Kato
仁史 加藤
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JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の樹脂フィルムよりも優れたガスバリア
性及び防湿性を有するとともに、耐熱性にも優れ、か
つ、食品や医薬品等の包装材料として用いた場合であっ
ても人体に悪影響を及ぼすおそれのない樹脂フィルムを
提供する。 【解決手段】 樹脂フィルムは、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂からなる基層フィルムに、(A)金属アルコキシ
ド及び金属アルコキシドの誘導体から選ばれる少なくと
も1種の化合物と、分子内に2個以上の水酸基を有する
化合物との反応生成物、または、(B)上記(A)の加
水分解物を含む金属酸化物膜が積層されてなるものであ
る。金属アルコキシドは、タンタルアルコキシド、チタ
ニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、シラ
ンアルコキシド及びジルコニウムアルコキシドからなる
群より選ばれる少なくとも1種である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品、医薬品、化
粧品、煙草、トイレタリー、電子材料等の分野における
包装材料や封止材料等として用いるための樹脂フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、酸素や水分によって経時的に変質
し易い食品等の内容物を包装するための材料や、有機E
L素子等の防湿及び酸素遮断の必要な電子材料を封止す
るための材料として、防湿性及びガスバリア性に優れた
フィルム材が、種々開発されている。例えば、特開平7
−266485号公報には、高分子樹脂組成物からなる
基材上に、1種以上の金属アルコキシド或いはその加水
分解物と、分子中に少なくとも2個以上のイソシアネー
ト基を有するイソシアネート化合物との混合溶液を主剤
とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガス
バリア性被膜層を形成してなるガスバリア材が、開示さ
れている。また、該公報には、前記コーティング剤の成
分として更に、塩化錫、メラミン或いはメラミン樹脂、
またはホルムアルデヒドを追加して、ガスバリア性を一
段と向上させることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記公報中の実施例で
は、ポリエチレンテレフタレートの基材上に、前記コー
ティング剤を塗布して、ガスバリア性(酸素透過度が小
さいこと)に優れたガスバリア材を得ている。しかしな
がら、食品、医薬等の分野においては、長期保存性の向
上等のために、より優れたガスバリア性を有するガスバ
リア材が求められている。また、基材の材質として、上
記公報の技術で用いているようなポリエチレンテレフタ
レート等の樹脂を選択した場合には、当該樹脂の耐熱性
を考慮して、樹脂フィルムを製造する際の加熱温度を一
定以下にするように留意する必要がある。この点、樹脂
フィルムの製造時の加熱温度の上限値を高めることがで
きれば、コーティング方法の選択肢の幅が広がるので、
好都合である。
【0004】さらに、上記公報に記載されている塩化錫
等を樹脂フィルム中に含ませて、該樹脂フィルムを食品
や医薬品等の包装材料として用いた場合には、塩化錫等
が人体に接触あるいは経口的に摂取される可能性があ
り、好ましくない。したがって、本発明は、従来の樹脂
フィルムよりも優れたガスバリア性及び防湿性を有する
とともに、耐熱性にも優れ、かつ、食品や医薬品等の包
装材料として用いた場合であっても人体に悪影響を及ぼ
すおそれのない樹脂フィルムを提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、耐熱性に優れた熱可
塑性ノルボルネン系樹脂を用いて、基層フィルムを形成
するとともに、該基層フィルム上に、金属アルコキシド
もしくはその誘導体と、2個以上の水酸基を有する化合
物との反応生成物、または該反応生成物の加水分解物か
らなる金属酸化物膜を積層させることによって、従来の
樹脂フィルムよりも優れたガスバリア性及び防湿性を有
するとともに、耐熱性にも優れ、かつ、人体に悪影響を
及ぼすおそれのない樹脂フィルムを得ることができるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明(請求項1)の熱可塑性
ノルボルネン系樹脂フィルムは、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂からなる基層フィルムに、下記(A)及び
(B): (A)金属アルコキシド及び金属アルコキシドの誘導体
から選ばれる少なくとも1種の化合物と、分子内に2個
以上の水酸基を有する化合物との反応生成物、(B)上
記(A)の加水分解物、から選ばれる少なくとも1種の
化合物を含む金属酸化物膜が積層されてなることを特徴
とする。このように構成した樹脂フィルムは、金属酸化
物膜の材料として、分子内に2個以上の水酸基を有する
化合物を用いているため、優れたガスバリア性及び防湿
性を有する。また、該樹脂フィルムは、基層フィルムの
材料として熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いているた
め、耐熱性に優れており、金属酸化物膜を形成させる際
の加熱温度等の条件を広くすることができ、かつ、透明
性や低複屈折性等の光学特性にも優れる。さらに、該樹
脂フィルムは、人体に対して刺激性または有毒性を有す
る材料を用いていないため、人体に悪影響を及ぼすこと
がなく、食品等の包装材料として好適に用いることがで
きる。
【0007】ここで、上記金属アルコキシドとしては、
例えば、タンタルアルコキシド、チタニウムアルコキシ
ド、アルミニウムアルコキシド、シランアルコキシド及
びジルコニウムアルコキシドからなる群より選ばれる少
なくとも1種を挙げることができる(請求項2)。
【0008】上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の一例と
しては、一般式:
【化3】 (ただし、式中、nは0又は1であり、mは0又は1以
上の整数である。Xは式:−CH=CH−で表される基
又は式:−CHCH−で表される基である。R
、R及びRは、各々独立して、水素原子;ハロ
ゲン原子;酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基
を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜30の
炭化水素基;極性基;又はRとR、RとR、又
はRとR とが相互に結合して形成された炭素環又は
複素環である。なお、炭素環又は複素環は、単環構造で
もよいし、他の環が縮合して多環構造を形成したもので
もよく、芳香環でもよいし、非芳香環でもよい。また、
上記炭素数1〜30の炭化水素基及び上記極性基は、炭
素数1〜5のアルキレン基を介して結合するものであっ
てもよい。)で表される構造単位を含む重合体を挙げる
ことができる(請求項3)。
【0009】上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の他の例
としては、一般式:
【化4】 (ただし、式中、nは0又は1であり、mは0又は1以
上の整数である。R、R、R及びRは、各々独
立して、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非
置換の炭素数1〜30の炭化水素基;極性基;又はR
とR、RとR、又はRとRとが相互に結合し
て形成された炭素環又は複素環である。なお、炭素環又
は複素環は、単環構造でもよいし、他の環が縮合して多
環構造を形成したものでもよく、芳香環でもよいし、非
芳香環でもよい。また、上記炭素数1〜30の炭化水素
基及び上記極性基は、炭素数1〜5のアルキレン基を介
して結合するものであってもよい。)で表される構造単
位を含む重合体を挙げることができる(請求項4)。
【0010】上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルム
は、上記基層フィルムと上記金属酸化物膜の間に、無機
酸化物の蒸着膜を介在させてなるものとして構成するこ
とができる(請求項5)。このように無機酸化物の蒸着
膜を介在させることによって、樹脂フィルムの防湿性を
更に高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂フィルムは、基層フィルムと金属酸化物膜
とを積層させてなるものである。本発明において、基層
フィルムを構成する樹脂としては、熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂が用いられる。
【0012】ここで、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と
は、下記一般式:
【化5】 で表されるノルボルナン骨格を有する単量体を少なくと
も原料の一部として(共)重合することにより得られる
樹脂をいう。
【0013】熱可塑性ノルボルネン系樹脂の一例として
は、一般式:
【化6】 (ただし、式中、nは0又は1であり、mは0又は1以
上の整数である。Xは式:−CH=CH−で表される基
又は式:−CHCH−で表される基である。R
、R及びRは、各々独立して、水素原子;ハロ
ゲン原子;酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基
を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜30の
炭化水素基;極性基;又はRとR、RとR、又
はRとR とが相互に結合して形成された炭素環又は
複素環である。なお、炭素環又は複素環は、単環構造で
もよいし、他の環が縮合して多環構造を形成したもので
もよく、芳香環でもよいし、非芳香環でもよい。また、
上記炭素数1〜30の炭化水素基及び上記極性基は、炭
素数1〜5のアルキレン基を介して結合するものであっ
てもよい。)で表される構造単位を含む重合体(以下、
重合体Aと略す。)を挙げることができる。
【0014】重合体Aを製造するための単量体として
は、例えば、
【化7】 (ただし、式中のn、m、R、R、R、Rは、
重合体Aの一般式で定義したとおりである。)で表され
る単量体(以下、単量体aと略す。)を挙げることがで
きる。単量体aの具体例としては、例えば、8−メトキ
シカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12, .17,10]−3−ドデセン、8−
n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8
−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8
−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。
中でも、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.1 ,10]−3−ドデセンは、耐
熱性に優れかつ低い吸湿性を有することから、好ましく
用いられる。
【0015】重合体Aを製造するには、例えば、メタセ
シス触媒の存在下で単量体aを開環重合すればよい。な
お、単量体aは、1種を単独で用いてもよいし、あるい
は2種以上を併用してもよい。また、重合に際し、単量
体a以外の単量体を併用してもよい。単量体a以外の単
量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ
[5.2.1.02,6]−3−デセン、ジシクロペン
タジエン等のシクロオレフィン化合物等が挙げられる。
単量体a以外の単量体の使用量は、通常、全単量体中の
割合で0〜25モル%である。開環重合の際の溶媒とし
ては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアル
カン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオク
タン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサ
ン等のハロゲン化アルカン等が挙げられる。中でも、芳
香族炭化水素は、分子内の少なくとも一部に極性基を有
する重合体Aに対する溶解性が高いので、好ましく用い
られる。溶媒の使用量は、溶媒:単量体の重量比で、通
常、1:1〜10:1であり、好ましくは1:1〜5:
1である。
【0016】メタセシス触媒は、(a)W、Mo、Re
のいずれかの元素を含む化合物(例えば、WCl、M
oCl、ReOCl等)と、(b)周期律表のIA
族、IIA族、IIB族、IIIB族、IVA族あるい
はIVB族に属する元素を含み、かつ、少なくとも1つ
の当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を有す
る化合物(例えば、n−CLi、(C
Al等)との組み合わせからなるものである。メタセシ
ス触媒は、触媒の活性を高めるために、アルコール類、
アルデヒド類、ケトン類、アミン類等の添加剤を更に含
むことができる。
【0017】重合体Aの分子量の調節は、分子量調節剤
を反応系に共存させることによって行なうことができ
る。好適な分子量調節剤としては、例えば、エチレン、
プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィ
ン類やスチレン等を挙げることができる。分子量調節剤
の使用量は、単量体1モルに対して0.005〜0.6
モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
【0018】重合体Aは、重合体の構造中に残存するオ
レフィン性不飽和結合を水素添加したものであってもよ
い。水素添加は、重合体の溶液に水素添加用触媒(例え
ば、パラジウム、白金、ニッケル等の不均一系触媒や、
ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム等の均一
系触媒)を添加した後、この溶液に常圧〜300気圧、
好ましくは3〜200気圧の水素ガスを、0〜200
℃、好ましくは20〜180℃で接触させることによっ
て行なうことができる。水素添加を行なった場合、重合
体中のオレフィン性不飽和結合の水素添加率は、通常、
50%以上、好ましくは70%以上である。水素添加を
行なうことによって、重合体Aの熱安定性等を向上させ
ることができる。なお、重合体A中の芳香環は、上記水
素添加によって実質的に水素添加されないことが必要で
ある。すなわち、水素添加に際し、水素ガスの圧力、反
応温度、触媒の種類及び添加量等を適宜調整して、重合
体中のオレフィン性不飽和結合のみを水素添加し、芳香
環を水素添加しないようにすることが必要である。
【0019】重合体Aの30℃のクロロホルム中で測定
した固有粘度(ηinh)は、好ましくは0.2〜5d
l/g、さらに好ましくは0.3〜4dl/g、特に好
ましくは0.5〜3dl/gである。該固有粘度が0.
2dl/g未満であると、重合体Aからなる基層フィル
ムの強度が低下し、5dl/gを超えると、基層フィル
ムを製造する際の加工性が悪化する。
【0020】重合体Aの分子量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチ
レン換算の数平均分子量(Mn)で、通常、8,000
〜1,000,000、好ましくは10,000〜50
0,000、さらに好ましくは20,000〜100,
000、特に好ましくは30,000〜100,000
であり、重量平均分子量(Mw)で、通常、20,00
0〜3,000,000、好ましくは30,000〜
1,000,000、さらに好ましくは40,000〜
500,000、特に好ましくは40,000〜30
0,000である。Mw、Mnが上記範囲より大きい場
合、溶液粘度が高くなりすぎて、基層フィルムの製造時
の加工性が悪化することがあり、上記範囲より小さい場
合、基層フィルムの強度が低下することがある。
【0021】重合体Aの分子量分布(Mw/Mnの比)
は、通常、1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好
ましくは2.5〜5、特に好ましくは2.5〜4.5で
ある。該値が1.5未満であると、基層フィルムの強度
(特に靱性)が低下することがあり、該値が10を超え
ると、基層フィルムの表面にべとつきが発生することが
ある。重合体Aのガラス転移温度(Tg)は、通常、8
0〜350℃、好ましくは100〜250℃である。該
温度が80℃未満であると、基層フィルムの耐熱性が低
下するおそれがあり、該温度が350℃を超えると、延
伸加工時の加工温度が高くなり、基層フィルムが劣化す
るおそれがある。
【0022】重合体Aの23℃における飽和吸水率は、
通常、0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.7
重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であ
る。該値が0.05重量%未満であると、基層フィルム
と他の材料(例えば、ハードコート層)との密着性や接
着性が低下する等のおそれがあり、該値が1重量%を超
えると、吸水によって、基層フィルムの光学特性の劣化
や寸法の変化が生じることがある。なお、本明細書中に
おける「飽和吸水率」は、ASTMD570に準拠し、
23℃の水中に重合体を1週間浸漬して、重合体の重量
の増加を測定することによって算出される値である。
【0023】重合体AのSP値(溶解度パラメーター)
は、好ましくは10〜30(MPa 1/2)、さらに好
ましくは12〜25(MPa1/2)、特に好ましくは1
5〜20(MPa1/2)である。該値を10〜30
(MPa1/2)の範囲内とすることによって、重合体A
を一般的な汎用溶剤に良好に溶解させることができ、基
層フィルムを安定して製造することができるとともに、
良好かつ均一な基層フィルムの物性(ハードコート層と
の接着性等)を得ることができる。
【0024】熱可塑性ノルボルネン系樹脂の他の例とし
ては、一般式(2):
【化8】 (ただし、式中、nは0又は1であり、mは0又は1以
上の整数である。R、R、R及びRは、各々独
立して、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非
置換の炭素数1〜30の炭化水素基;極性基;又はR
とR、RとR、又はRとRとが相互に結合し
て形成された炭素環又は複素環である。なお、炭素環又
は複素環は、単環構造でもよいし、他の環が縮合して多
環構造を形成したものでもよく、芳香環でもよいし、非
芳香環でもよい。また、上記炭素数1〜30の炭化水素
基及び上記極性基は、炭素数1〜5のアルキレン基を介
して結合するものであってもよい。)で表される構造単
位を含む重合体(以下、重合体Bと略す。)が挙げられ
る。
【0025】重合体Bを製造するための単量体として
は、例えば、上述の重合体Aを製造するための単量体a
と同様の単量体(以下、単量体bという。)を挙げるこ
とができる。中でも、8−メトキシカルボニルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
センは、耐熱性に優れかつ低い吸湿性を有することか
ら、好ましく用いられる。なお、単量体bは、1種を単
独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよ
い。重合体Bを製造するための単量体としては、単量体
bの他に、必要に応じて、単量体b以外の単量体を用い
てもよい。単量体b以外の単量体としては、例えば、シ
クロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロ
オクテン、オクタヒドロナフタレン、シクロペンタジエ
ン等のシクロオレフィン化合物等が挙げられる。単量体
b以外の単量体の使用量は、通常、全単量体中の割合で
0〜25モル%である。重合体Bを製造するには、例え
ば、下記一般式(5)で表される遷移金属錯体化合物か
らなる触媒の存在下に、単量体b、及び必要に応じて用
いられる単量体b以外の単量体を付加重合すればよい。
【0026】
【化9】 (式中、Mは、周期律表の第4族、第8族、第9族また
は第10族から選ばれる遷移金属原子を示す。Aおよ
びAは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分
岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、芳香族炭化水
素基、炭化水素基で置換されたシリル基、アルコキシ
基、アリロキシ基、エステル基、アミド基、アミノ基、
スルホンアミド基、ニトリル基またはニトロ基を示し、
これらのうちの2個以上の基が互いに連結して環を形成
していてもよい。Lは、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化
水素基、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有
基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有
基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有
基を示す。2つのXは、互いに同一でも異なっていても
よく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素
基、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素原子含有
基、窒素原子含有基、ホウ素原子含有基、硫黄原子含有
基、リン原子含有基、ケイ素原子含有基、ゲルマニウム
原子含有基またはスズ原子含有基を示し、これらのうち
の2個以上の基が互いに連結して環を形成していてもよ
い。Yは、酸素原子、硫黄原子または窒素原子からなる
ヘテロ原子であって、Yが酸素原子または硫黄原子であ
るときはAは存在せず、Yが窒素原子であるときはA
が存在し、Aは、炭素数1〜20の直鎖状もしくは
分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基または置換も
しくは非置換の炭素数6〜20のアリール基を示す。)
付加重合の際の溶媒としては、例えば、上述の重合体A
の製造の際に用いる溶媒と同様の溶媒を用いることがで
きる。
【0027】重合体Bの分子量の調節は、例えば、付加
重合反応系に、環状非共役ポリエンを共存させることに
よって行なうことができる。環状非共役ポリエンの具体
例としては、例えば、1,4−シクロヘキサジエン、1
−メチル−1,4−シクロヘキサジエン等の置換もしく
は非置換のシクロヘキサジエン化合物類;1,4−シク
ロヘプタジエン等の置換もしくは非置換のシクロヘプタ
ジエン化合物類;1,4−シクロオクタジエン、1,5
−シクロオクタジエン等の置換もしくは非置換のシクロ
オクタジエン化合物類;1,5,9−シクロドデカトリ
エン等の置換もしくは非置換のシクロドデカトリエン類
等を挙げることができる。中でも、置換もしくは非置換
のシクロオクタジエン化合物類は、各種の単量体bに有
効であるので、好ましく用いられる。環状非共役ポリエ
ンの使用量は、触媒である遷移金属錯体化合物に対し
て、通常、モル比で0.01〜500倍、好ましくは
0.1〜100倍、更に好ましくは0.2〜50倍の範
囲である。
【0028】重合体Bは、重合体Aと同様に、熱安定性
等を向上させるために、重合体の構造中に残存するオレ
フィン性不飽和結合を水素添加して用いることもでき
る。なお、重合体B中の芳香環が水素添加によって実質
的に水素添加されないようにすべきことは、重合体Aの
場合と同様である。重合体Bの30℃のクロロホルム中
で測定した固有粘度(ηinh)は、好ましくは0.2
〜5dl/g、さらに好ましくは0.4〜1.5dl/
gである。該固有粘度が0.2dl/g未満であると、
基層フィルムの強度が低下するおそれがあり、5dl/
gを超えると、基層フィルムを製造する際の加工性が悪
化するおそれがある。
【0029】重合体Bの分子量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチ
レン換算の数平均分子量(Mn)で、好ましくは、8,
000〜100,000であり、重量平均分子量(M
w)で、好ましくは、20,000〜1,000,00
0である。Mw、Mnが上記範囲より大きい場合、溶液
粘度が高くなりすぎて、基層フィルムの製造時の加工性
が悪化することがあり、上記範囲より小さい場合、基層
フィルムの強度が低下することがある。重合体Bの分子
量分布(Mw/Mnの比)は、好ましくは2〜10であ
る。該値が2未満であると、基層フィルムの強度(特に
靱性)が低下することがあり、該値が10を超えると、
基層フィルムの表面にべとつきが発生することがある。
【0030】重合体Bのガラス転移温度(Tg)は、通
常、100〜350℃、好ましくは100〜300℃で
ある。該温度が100℃未満であると、基層フィルムの
耐熱性が低下するおそれがあり、該温度が350℃を超
えると、延伸加工時の加工温度が高くなり、基層フィル
ムが劣化するおそれがある。重合体Bの23℃における
飽和吸水率は、通常、0.05〜1重量%、好ましくは
0.1〜0.7重量%、さらに好ましくは0.1〜0.
5重量%である。該値が0.05重量%未満であると、
基層フィルムと他の材料(例えば、ハードコート層)と
の密着性や接着性が低下することがあり、該値が1重量
%を超えると、吸水によって、基層フィルムの光学特性
の劣化や寸法の変化が生じることがある。
【0031】重合体BのSP値(溶解度パラメーター)
は、好ましくは10〜30(MPa 1/2)、さらに好
ましくは12〜25(MPa1/2)、特に好ましくは1
5〜20(MPa1/2)である。該値を10〜30
(MPa1/2)の範囲内とすることによって、重合体B
を一般的な汎用溶剤に良好に溶解させることができ、基
層フィルムを安定して製造することができるとともに、
良好かつ均一な基層フィルムの物性(ハードコート層と
の接着性等)を得ることができる。
【0032】基層フィルムに積層される金属酸化物膜
は、(A)金属アルコキシド及び金属アルコキシドの誘
導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と、分子内に
2個以上の水酸基を有する化合物との反応生成物、また
は、(B)反応生成物(A)の加水分解物を含むもので
ある。ここで、金属アルコキシドとしては、例えば、タ
ンタル、チタニウム、アルミニウム、ケイ素、ジルコニ
ウムからなる群より選ばれる金属元素を含むアルコキシ
ドを挙げることができる。
【0033】本発明で好適に用いられる金属アルコキシ
ドとしては、例えば、下記一般式(6): RM(OR’)n−m (6) (式中、Mはタンタル、チタニウム、アルミニウム、ケ
イ素またはジルコニウムであり、Rは炭素数1〜8の一
価の有機基であり、R’は炭素数1〜6のアルキル基、
アシル基またはアリール基であり、nはMの原子価であ
り、mは0〜n−1の整数である。R及びOR’は各
々、複数個の基として存在する場合、互いに同一の基で
あっても、異なる基であってもよい。)で表されるもの
が挙げられる。ここで、Rで示される一価の有機基とし
ては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基
等のアリール基、N−(2−アミノエチル)−3−アミ
ノプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチル基、3−アミノプロピル基、2−ヒドロキシ
エチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ
プロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシア
ナートプロピル基、3−ウレイドプロピル基、3−(メ
タ)アクリルオキシ基、ビニル基等を挙げることができ
る。
【0034】金属アルコキシドの具体例としては、例え
ば、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキ
シド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペン
タブトキシド等のタンタルアルコキシド類;チタニウム
テトラメトキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタ
ニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブト
キシド等のチタニウムアルコキシド類;アルミニウムト
リメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニ
ウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシ
ド等のアルミニウムアルコキシド類;
【0035】テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プ
ロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ
アセチルオキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエ
トキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−
プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシ
シラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチル
トリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラ
ン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、
フェニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリエトキシシラン、
【0036】3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピル
トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリアセトキシシラン、3−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,
3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−
アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメト
キシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラ
ン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−
ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピ
ルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシ
ラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラ
ン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、
3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイ
ドプロピルトリエトキシシラン、メチルトリアセチルオ
キシシラン、メチルトリフェノキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
【0037】ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエ
トキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ
−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジ
メトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、
ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエ
トキシシラン、n−ペンチル・メチルジメトキシシラ
ン、n−ペンチル・メチルジエトキシシラン、シクロヘ
キシル・メチルジメトキシシラン、シクロヘキシル・メ
チルジエトキシシラン、フェニル・メチルジメトキシシ
ラン、フェニル・メチルジエトキシシラン、ジ−n−ペ
ンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシ
シラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−
ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキ
シシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n
−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエト
キシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシ
クロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジアセ
チルオキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン等のシ
ランアルコキシド類;ジルコニウムテトラブトキシド、
ジルコニムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテト
ラエトキシド、ジルコニウムテトラメトキシド等のジル
コニウムアルコキシド類を挙げることができる。
【0038】上記金属アルコキシドの中でも、タンタル
ペンタエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシ
ド、チタニウムテトラブトキシド、アルミニウムトリイ
ソプロポキシド、およびジルコニウムテトラブトキシド
は、ガスバリア性と水蒸気バリア性の点で、好ましく用
いられる。これらの金属アルコキシドは、単独で用いて
もよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】金属アルコキシドの誘導体の具体例として
は、例えば、金属アルコキシドと、β−ジケトン、β−
ケトエステル、β−ジカルボン酸エステル、乳酸、乳酸
エチル、1,5−シクロオクタジエンから選ばれる少な
くとも1種の化合物との反応生成物を挙げることができ
る。β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセト
ン、プロピオニルアセトン、メチルジアセチルメタン、
ジプロピオニルメタン、n−ブチリルアセトン、イソブ
チリルアセトン、3−メチル−2,4−ヘキサンジオ
ン、ジアセチルエチルメタン、n−バレリルアセトン、
プロピオニル−n−ブチリルメタン、3−メチル−2,
4−ヘキサンジオン、ジアセチルエチルメタン、n−バ
レリルアセトン、プロピオニル−n−ブチリルメタン、
3−メチル−2,4−ヘプタンジオン、イソバレリルア
セトン、ピバロイルアセトン、イソプロピルジアセチル
メタン、カプロイルアセトン、ジ−n−ブチリルメタ
ン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタン
ジオン、ベンゾイルアセトン、3−フェニル−2,4−
ペンタンジオン、ジベンゾイルメタン、エトキシカルボ
ニルジアセチルメタン、1,1,1,5,5,5−ヘキ
サフルオロ−2,4−ペンタンジオン等の化合物が挙げ
られる。中でも、アセチルアセトン及びプロピオニルア
セトンは、特に好ましく用いられる。
【0040】β−ケトエステルとしては、例えば、メチ
ルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、メチル
−α−メチルアセトアセテート等の化合物が挙げられ
る。中でも、メチルアセトアセテート及びエチルアセト
アセテートは、特に好ましく用いられる。β−ジカルボ
ン酸エステルとしては、例えば、マロン酸ジメチル、マ
ロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジヘキシ
ル、マロン酸ジオクチル、マロン酸ジウンデシル、マロ
ン酸ジヘキサデシル、マロン酸ジ−9−オクタデシル、
マロン酸ジ−9,12−オクタデカジエニル、マロン酸
ジ−9,11,13−オクタデカトリエニル等の化合物
が挙げられる。中でも、マロン酸ジメチル及びマロン酸
ジエチルは、特に好ましく用いられる。
【0041】金属アルコキシドと、β−ジケトン等から
選ばれる化合物との反応は、金属アルコキシド1モルに
対して、β−ジケトン等から選ばれる化合物を好ましく
は0.1〜1,000モル、さらに好ましくは0.5〜
100モル、特に好ましくは1〜10モル用いて行なう
ことができる。反応温度は、好ましくは−30〜150
℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは0
〜70℃である。反応の際の圧力は常圧でよいが、必要
に応じて加圧下または減圧下で反応させることもでき
る。
【0042】また、反応は、必要に応じて、溶媒の存在
下で行なうことができる。溶媒としては、例えば、n−
ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、
シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペン
タジエン水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デ
ュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒド
ロナフタレン、スクワラン等の炭化水素系溶媒;ジエチ
ルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコ
ールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチ
ルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシ
エタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジ
オキサン等のエーテル系溶媒;プロピレンカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリド
ン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチル
スルホキシド、塩化メチレン、クロロホルム等の極性溶
媒等が挙げられる。
【0043】分子内に2個以上の水酸基を有する化合物
としては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパ
ノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエ
タノールアミン等のアミノアルコール類;エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペン
タンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、
オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、
ジエチレングリコール、ビストリメチレングリコール、
グリセロールモノメチルエーテル、グリセロールモノエ
チルエーテル、ヒドロキノン、グリセロール等のアルコ
ール類(ただし、アミノアルコールを除く。);カテコ
ール、レゾルシン、ヒドロキノン、フロログルシン等の
フェノール類等が挙げられる。
【0044】このうち、特に好適に用いられる化合物と
して、アミノアルコール類の中では、トリエタノールア
ミン及びジエタノールアミンが挙げられ、アルコール類
(ただし、アミノアルコールを除く。)の中では、ジエ
チレングリコール、ブタンジオール及びペンタンジオー
ルが挙げられ、フェノール類の中では、ヒドロキノンが
挙げられる。これらの化合物の中でも、トリエタノール
アミンが特に優れている。
【0045】金属アルコキシドまたはその誘導体と、分
子内に2個以上の水酸基を有する化合物との反応は、金
属アルコキシドまたはその誘導体1モルに対して、2個
以上の水酸基を有する化合物を好ましくは0.01〜
1,000モル、さらに好ましくは0.1〜100モ
ル、特に好ましくは1〜10モル用いて行なうことがで
きる。反応温度は、好ましくは−30〜150℃、より
好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは0〜70℃
である。反応の際の圧力は、常圧でよいが、必要に応じ
て加圧下または減圧下で反応させてもよい。
【0046】反応は、分子内に1個の水酸基を有する化
合物を併用して行なってもよい。分子内に1個の水酸基
を有する化合物としては、例えば、モノエタノールアミ
ン、メタノール、エタノール、フェノール、メチルフェ
ノール等が挙げられる。分子内に1個の水酸基を有する
化合物の使用量は、分子内に2個以上の水酸基を有する
化合物1モルに対して、好ましくは10モル以下、より
好ましくは5モル以下、特に好ましくは3モル以下であ
る。該使用量が10モルを超えると、金属アルコキシド
またはその誘導体と、分子内に2個以上の水酸基を有す
る化合物との反応が阻害されるので、好ましくない。
【0047】金属アルコキシド系化合物と、分子内に2
個以上の水酸基を有する化合物との反応生成物の加水分
解物は、例えば、当該反応生成物を、好ましくは金属原
子1当量に対し0.01〜1,000モルの水の存在下
に、室温〜100℃の温度で撹拌下に処理することによ
って合成することができる。加水分解の際、塩酸等の酸
を触媒として用いることが好ましい。例えば、金属アル
コキシド系化合物と、分子内に2個以上の水酸基を有す
る化合物との反応生成物100重量部と、0.1N程度の
塩酸20〜100重量部とを混合して撹拌することによ
って、効率良く反応させることができる。反応生成物の
加水分解物は、加水分解され得る部分の全部が加水分解
されたものであってもよいし、あるいは、加水分解され
得る部分の一部のみが加水分解されたものであってもよ
い。
【0048】金属酸化物膜は、オルトカルボン酸エステ
ルをさらに含有することができる。オルトカルボン酸エ
ステルは、金属酸化物膜を基層フィルム上に形成する工
程において、周囲の大気中に存在する水分と反応し、湿
気による樹脂フィルムの物性への悪影響を軽減すること
ができる。オルトカルボン酸エステルの具体例として
は、例えば、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエ
チル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、
オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸ト
リエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチ
ル、オルト安息香酸トリメチル、オルト安息香酸トリエ
チル等を挙げることができる。
【0049】金属酸化物膜中のオルトカルボン酸エステ
ルの使用量は、好ましくは、5〜20重量%である。オ
ルトカルボン酸エステルを添加する場合、酸を併用する
ことが好ましい。酸を併用することによってオルトカル
ボン酸エステルと水との反応が促進され、湿気による樹
脂フィルムへの悪影響を効果的に抑制することができ
る。ここで、酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、トリク
ロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、安息香酸等
が挙げられる。
【0050】金属酸化物膜を形成するためのコーティン
グ用組成物は、液状組成物として調製される。その際に
用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール等のアルコール系溶媒や、エチレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレング
リコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレング
リコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、
乳酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
【0051】次に、本発明のフィルムの製造方法につい
て説明する。本発明の樹脂フィルムは、基層フィルム上
に、金属酸化物膜を形成するためのコーティング用組成
物を塗布して塗膜を形成した後、熱処理または光処理す
ることによって製造することができる。基層フィルムの
形成方法としては、例えば、インフレーション法やTダ
イ法等を用いて、熱可塑性ノルボルネン系樹脂をフィル
ム化する方法や、テンター方式やチューブラー方式等を
用いて、1軸または2軸方向に延伸してフィルム化する
方法等を挙げることができる。基層フィルムの厚さは、
好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜10
0μmである。コーティング用組成物を基層フィルム上
に塗布するには、例えば、グラビアコーター等のロール
コート、スプレーコート、スピンコート、ディッピン
グ、刷毛、バーコード、アプリケータ等の適宜の塗装手
段を用いて、液状物であるコーティング用組成物を1回
または複数回塗布すればよい。
【0052】コーティング用組成物からなる金属酸化物
膜の厚さ(溶媒が除去された後の固形分の厚さ)は、好
ましくは0.001〜20μmであり、更に好ましくは
0.005〜2μmである。該厚さが0.001μm未
満では、本発明で目的とする酸素バリア性及び防湿性を
十分に得ることができず、20μmを超えると、酸素バ
リア性及び防湿性の効果が頭打ちになる一方、製造コス
トが増大し、かつ生産効率が低下するので、好ましくな
い。本発明においては、分子内に2個以上の水酸基を有
する化合物を、金属酸化物膜の材料の一つとして用いて
いるため、コーティング用組成物(金属酸化物膜を形成
させるための組成物)を空気中で基層フィルム上に塗布
しても、良好なガスバリア性及び防湿性を有する樹脂フ
ィルムを得ることができる。他方、分子内に2個以上の
水酸基を有する化合物を含まないコーティング用組成物
を用いた場合には、コーティング用組成物を空気中で基
層フィルム上に塗布すると、空気に含まれる酸素の作用
によって、コーティング用組成物からなる金属酸化物膜
の均質性が損なわれ、樹脂フィルムのガスバリア性及び
防湿性が低下する。
【0053】コーティング用組成物の塗布は、周囲の大
気中の水蒸気含有量が5g/m以下、好ましくは3g
/mの雰囲気下で行なうことが望ましい。水蒸気含有
量が5g/mを超えると、樹脂フィルムの防湿性やガ
スバリア性が低下するおそれがある。ただし、コーティ
ング用組成物中にオルトカルボン酸エステルを含む場合
には、周囲の大気中の水蒸気含有量が5g/mを超え
る雰囲気下で、コーティング用組成物の塗布(すなわ
ち、金属酸化物膜の形成)を行なっても、防湿性及びガ
スバリア性が低下することなく、高品質の樹脂フィルム
を得ることができる。
【0054】金属酸化物膜の形成を熱処理によって行な
う場合、加熱温度は、好ましくは50℃以上であり、よ
り好ましくは80〜400℃であり、さらに好ましくは
100〜300℃である。加熱時間は、膜厚等の条件に
応じて適宜定めることができるが、好ましくは10秒間
以上であり、より好ましくは30秒間〜90分間であ
り、さらに好ましくは1〜60分間である。加熱処理
は、酸素、オゾン等の酸化性ガスを含む雰囲気(例え
ば、空気)中で行なわれる。
【0055】金属酸化物膜の形成を光処理によって行な
う場合、光源としては、例えば、低圧または高圧の水銀
ランプ、重水素ランプ、アルゴン、クリプトン、キセノ
ン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴン
レーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、Xe
Br、KrF、KrCl、ArF、ArCl等のエキシ
マレーザー等を使用することができる。光源の出力は、
好ましくは10〜5,000Wであり、より好ましくは
100〜1,000Wである。照射時間は、好ましくは
10秒間〜60分間、より好ましくは、1〜30分間で
ある。光源の波長は、特に限定されないが、170〜6
00nmの波長を含むことが好ましい。光処理は、上述
の加熱処理の場合と同様に、酸素等の酸化性ガスを含む
雰囲気(例えば、空気)中で行なわれる。光処理時の温
度は、特に限定されないが、通常、常温〜300℃であ
る。また、光照射に際して、特定の部位のみを照射する
ために、マスクを介して照射するようにしてもよい。本
発明において、熱処理と光処理の双方を行なうことは、
防湿性及びガスバリア性をより一層向上させるので、好
ましい。
【0056】本発明の樹脂フィルムの厚さ(すなわち、
基層フィルムと金属酸化物膜の合計の厚さ)は、好まし
くは5〜200μm、より好ましくは10〜100μm
である。本発明においては、基層フィルムと金属酸化物
膜の間に、無機酸化物の蒸着膜を介在させることができ
る。このような蒸着膜を介在させることによって、防湿
性を更に向上させることができる。
【0057】蒸着膜の材質としては、例えば、ケイ素
(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(M
g)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(S
n)、インジウム(In)、ナトリウム(Na)、ホウ
素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム
(Zr)、イットリウム(Y)、アンチモン(Sb)等
の酸化物や、インジウム・スズ複合酸化物(ITOと略
す。)、アンチモン・スズ複合酸化物(ATOと略
す。)等の複合酸化物を使用することができる。蒸着膜
は、化学気相成長法、物理気相成長法等により形成する
ことができる。蒸着膜の膜厚は、使用する金属酸化物の
種類等によっても異なるが、例えば、5〜300nmで
ある。蒸着膜は、基層フィルムの片面のみに形成させて
もよいし、あるいは基層フィルムの両面に形成させても
よい。本発明の樹脂フィルムの構造としては、例えば、
基層フィルム/金属酸化物膜の2層構造や、基層フィル
ム/蒸着膜/金属酸化物膜の3層構造や、基層フィルム
/蒸着膜/金属酸化物膜/ハードコート層の4層構造等
の構造をとることができる。なお、ハードコート層の材
質としては、例えば、ポリエステル系樹脂等を挙げるこ
とができる。
【0058】
【実施例】[1.基層フィルムの作製] 基層フィルムA 上述の一般式(1)で表される構造単位を含む重合体A
からなる基層フィルムAを、次のようにして作製した。
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ
[4.4.0.12.5 .1 7.10]−3−ドデセン200
部と、5−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン50部と、1
−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン750
部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60
℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒
としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のト
ルエン溶液0.62部と、t−ブタノール及びメタノー
ルで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メ
タノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:
1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.
7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌する
ことによって開環重合反応させて、開環重合体を含む溶
液を得た。この重合反応における重合転化率は97%で
あり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホ
ルム中で測定した固有粘度(ηinh )は0.66dl/
gであった。
【0059】次に、開環重合体を含む溶液4,000部
をオートクレーブに仕込み、この溶液に、RuHCl
(CO)[P(C6 5 3 3 0.48部を添加し、
水素ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃の条
件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行なった。
得られた反応溶液(水素添加重合体を含む溶液)を冷却
した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメ
タノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥し
て、水素添加重合体を得た。得られた水素添加重合体に
ついて、400MHz、1H−NMRを用いてオレフィ
ン性不飽和結合の水素添加率を測定したところ、99.
9%であった。一方、水素添加重合体中の芳香環は、実
質的に水素添加されていなかった。また、当該水素添加
重合体について、DSC法によりガラス転移温度(T
g)を測定したところ、160℃であった。また、当該
水素添加重合体について、GPC法(溶媒:テトラヒド
ロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量
(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定したとこ
ろ、数平均分子量(Mn)は47,000、重量平均分
子量(Mw)は187,000、分子量分布(Mw/M
n)は3.98であった。また、当該水素添加重合体に
ついて、23℃における飽和吸水率を測定したところ
0.3%であった。また、SP値を測定したところ、1
9(MPa1/2)であった。また、当該水素添加重合体
について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(η
inh )を測定したところ、0.68dl/gであった。
【0060】次に、水素添加重合体をトルエンに30重
量%の濃度(室温での溶液粘度は、30,000mPa
・s)になるように溶解し、井上金属工業製INVEX
ラボコーターを用い、アクリル酸系化合物によって親水
化表面処理(接着性を良好にするための処理)を施した
厚さ100μmのPETフィルム(東レ(株)製、ルミ
ラーU94)に、乾燥後のフィルム厚みが100μmに
なるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、90
℃で二次乾燥を行った。PETフィルムより剥がしたフ
ィルム(基層フィルム)を「フィルムA」とした。得ら
れたフィルムの残留溶媒量は、0.5重量%であった。
【0061】 基層フィルムB 上述の一般式(2)で表される構造単位を含む重合体B
からなる基層フィルムBを、次のようにして作製した。
不活性ガス雰囲気下において、オートクレーブ中に乾燥
トルエン90mlを加え、これに8−メチル−8−メト
キシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.1 2,5
7,10〕−3−ドデセンを3.4g(14.6ミリ
モル)加え、触媒として、上述の一般式(5)において
が9−アントラセン基、Aが−CH、Lが−C
CN、Xが−CH(CH、Yが酸素原子、M
がニッケルである遷移金属錯体化合物65マイクロモル
を添加し、室温(約22℃)下で3時間、重合反応を行
なったところ、重量平均分子量が10.2×10、M
w/Mnの値が1.7であるシクロオレフィン系重合体
3.0gが得られた。この反応におけるシクロ単量体の
重合転化率は、88%であった。得られたシクロオレフ
ィン系重合体を、上述の基層フィルムAの製造方法と同
様にして加工し、基層フィルムBを得た。
【0062】[2.コーティング用組成物の調製] コーティング用組成物No.1 タンタルペンタエトキシド8.1gのテトラヒドロフラ
ン(THF)67mLの溶液に、窒素雰囲気下でトリエ
タノールアミン10gとTHF67mLの混合溶液を室
温で攪拌しながら15分間かけて添加した。添加終了
後、さらに1時間室温で溶液を攪拌した。溶液(反応
液)は無色透明から微白濁に変化した。その後、減圧下
で溶液を濃縮し、残渣をヘキサンで洗浄した後に、少量
のテトラヒドロフランに再溶解し、ヘキサンで再沈させ
た。得られた白色固体を濾別し、減圧乾燥し、反応生成
物を得た。H−NMRによって反応生成物を分析した
ところ、タンタルペンタエトキシドのエトキシ由来のピ
ークは消失し、トリエタノールアミン由来のピークが出
現していた。収率は80%であった。原料タンタルペン
タエトキシドのエトキシル基の反応転化率は100モル
%であった。GPC分析によって反応生成物の数平均分
子量を測定したところ、数平均分子量は1,500であ
った。次いで、得られた反応生成物をプロピレングリコ
ールモノプロピルエーテル95gに溶解した後、膜厚
0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルター
で濾過し、コーティング用組成物No.1を得た。
【0063】 コーティング用組成物No.2 窒素置換を十分に行なった200mLのナス型フラスコ
内に、窒素雰囲気下、タンタルペンタエトキシド8.1
2g(20mmol)とテトラヒドロフラン(THF)
50mLを仕込み、攪拌下、ジエチレングリコール8.
1g(76mmol)を室温で15分かけて添加した。
その後さらに室温で1時間攪拌した。その後、減圧下で
溶媒を完全に除去し、反応生成物(白色固体)7.8g
を得た。H−NMRによって反応生成物を分析したと
ころ、タンタルペンタエトキシドの未反応エトキシル基
由来のピークとジエチレングリコールとの反応体に由来
するピークが確認でき、その積分比は1:20であっ
た。この比よりタンタルペンタエトキシドのエトキシル
基の反応転化率を算出すると、91モル%であった。G
PC分析によって反応生成物の数平均分子量を測定した
ところ、数平均分子量は730であった。また、タンタ
ル含有率を元素分析によって計算したところ、40.9
重量%であった。次いで、得られた反応生成物をプロピ
レングリコールモノプロピルエーテル95gに溶解した
後、膜厚0.1μmのポリテトラフルオロエチレン製フ
ィルターで濾過し、コーティング用組成物No.2を得
た。
【0064】 コーティング用組成物No.3 窒素置換を十分に行なった200mLのナス型フラスコ
内に、窒素雰囲気下、タンタルペンタエトキシド8.1
2g(20mmol)とテトラヒドロフラン(THF)
50mLを仕込み、攪拌下、ヒドロキノン5.5g(5
0mmol)を室温で15分かけて添加した。その後、
さらに室温で1時間攪拌した。反応終了後、生成した固
体を濾別して単離し、減圧下で溶媒を完全に除去し、反
応生成物(白色固体)8.6gを得たH−NMRによ
って反応生成物を分析したところ、タンタルペンタエト
キシドの未反応エトキシル基由来のピークと、ヒドロキ
ノンとの反応体に由来するピークが確認でき、その積分
比は1:21であった。この比よりタンタルペンタエト
キシドのエトキシル基の反応転化率を算出すると、94
モル%であった。また、タンタル含有率を元素分析より
計算したところ、39.8重量%であった。次いで、得
られた反応生成物をプロピレングリコールモノプロピル
エーテル95gに溶解した後、膜厚0.1μmのポリテ
トラフルオロエチレン製フィルターで濾過し、コーティ
ング用組成物No.3を得た。
【0065】 コーティング用組成物No.4 タンタルペンタエトキシド8.12gの代わりにチタニ
ウムテトライソプロポキシド7.11g(25.0mm
ol)を用いた他は、コーティング用組成物No.2の
場合と同様にして、反応生成物6.8gを得た。該反応
生成物(白色固体)をH−NMRによって分析したと
ころ、チタニウムテトライソプロポキシドの未反応プロ
ポキシル基由来のピークと、ジエチレングリコールとの
反応体に由来するピークが確認でき、その積分比は1:
36であった。GPC分析によって数平均分子量を測定
したところ、数平均分子量は680であった。次いで、
コーティング用組成物No.2の場合と同様にして、反
応生成物からコーティング用組成物No.4を調製し
た。
【0066】 コーティング用組成物No.5 タンタルペンタエトキシド8.12gの代わりにアルミ
ニウムイソプロポキシド6.74g(33.3mmo
l)を用いた他は、コーティング用組成物No.2の場
合と同様にして、反応生成物6.5gを得た。該反応生
成物(白色固体)をH−NMRによって分析したとこ
ろ、アルミニウムイソプロポキシドの未反応プロポキシ
ル基に由来するピークと、ジエチレングリコールとの反
応体に由来するピークが確認でき、その積分比は1:3
0であった。GPC分析によって数平均分子量を測定し
たところ、数平均分子量は750であった。次いで、コ
ーティング用組成物No.2の場合と同様にして、反応
生成物からコーティング用組成物No.5を調製した。
【0067】 コーティング用組成物No.6 タンタルペンタエトキシド8.12gの代わりにテトラ
エトキシシラン5.21g(25.0mmol)を用い
た他は、コーティング用組成物No.2の場合と同様に
して、反応生成物5.0gを得た。該反応生成物(白色
固体)をH−NMRによって分析したところ、テトラ
エトキシシランの未反応エトキシル基に由来するピーク
と、ジエチレングリコールとの反応体に由来するピーク
が確認でき、その積分比は1:25であった。GPC分
析によって数平均分子量を測定したところ、数平均分子
量は830であった。次いで、コーティング用組成物N
o.2の場合と同様にして、反応生成物からコーティン
グ用組成物No.6を調製した。
【0068】 コーティング用組成物No.7 タンタルペンタエトキシド8.12gの代わりにジルコ
ニウムブトキシド9.59g(25.0mmol)を用
いた他は、コーティング用組成物No.2の場合と同様
にして、反応生成物8.5gを得た。該反応生成物(白
色固体)をH−NMRによって分析したところ、ジル
コニウムブトキシドの未反応ブトキシ基に由来するピー
クと、ジエチレングリコールとの反応体に由来するピー
クが確認でき、その積分比は1:25であった。GPC
分析によって数平均分子量を測定したところ、数平均分
子量は900であった。次いで、コーティング用組成物
No.2の場合と同様にして、反応生成物からコーティ
ング用組成物No.7を調製した。
【0069】 コーティング用組成物(比較例) ジエチレングリコールを用いない他は、コーティング用
組成物No.2の場合と同様にして実験したところ、反
応生成物は得られなかった。
【0070】[3.樹脂フィルムの作製]表1に示すよ
うに、湿度3g/mの雰囲気下で、コーティング用組
成物No.1〜No.7を基層フィルムAまたはB上に
グラビアコーターによって塗布し、熱風乾燥機によって
120℃で1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプを1分
間照射して、膜厚0.5μmの金属酸化物膜を形成さ
せ、樹脂フィルムを得た。なお、表1中、基層フィルム
と金属酸化物膜の間に蒸着膜を設けてなる樹脂フィルム
は、基層フィルム上に100nmの厚さになるように蒸
着膜形成材料(Al)を真空蒸着し、蒸着膜を形
成させた後、該蒸着膜上に金属酸化物膜用組成物を塗布
し、3層構造のフィルムとしたものである。
【0071】
【表1】
【0072】[4.樹脂フィルムの物性の評価]得られ
た樹脂フィルム(実施例1〜9、比較例1)の水蒸気透
過率、酸素透過率を測定した。測定方法は次のとおりで
ある。 水蒸気透過率 モダンコントロール社製の「MOCON PERMAT
RAN」を用い、温度40℃、湿度90RH%の雰囲気
下で測定した。 酸素透過率 モダンコントロール社製の「MOCON OXTRAN
2/20」を用い、温度25℃、湿度90RH%の雰囲
気下で測定した。測定結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】表2から、本発明の樹脂フィルム(実施例
1〜9)では、防湿性(水蒸気透過率)及びガスバリア
性(酸素透過率)が優れており、かつ、透明性も良好で
あるのに対し、金属酸化物膜を有しない樹脂フィルム
(比較例1)では、防湿性(水蒸気透過率)及びガスバ
リア性(酸素透過率)が劣ることがわかる。
【0075】
【発明の効果】本発明の樹脂フィルムは、従来の樹脂フ
ィルムよりも優れたガスバリア性及び防湿性を有すると
ともに、耐熱性にも優れ、かつ、食品や医薬品等の包装
材料として用いた場合であっても人体に悪影響を及ぼす
おそれがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米倉 勇 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 加藤 仁史 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB10B AB12B AB19B AH06B AH08B AK02A AK42 AT00A BA02 EH46 EH462 EJ54 EJ542 EJ86 EJ862 GB23 GB41 GB66 GB90 JB16A JD02 JD05 JJ03 4J032 CA34 CB01 CB04 CD02 CE03 CG08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる基
    層フィルムに、下記(A)及び(B)から選ばれる少な
    くとも1種の化合物を含む金属酸化物膜が積層されてな
    ることを特徴とする熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィル
    ム。 (A)金属アルコキシド及び金属アルコキシドの誘導体
    から選ばれる少なくとも1種の化合物と、分子内に2個
    以上の水酸基を有する化合物との反応生成物。 (B)上記(A)の加水分解物。
  2. 【請求項2】 上記金属アルコキシドが、タンタルアル
    コキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアル
    コキシド、シランアルコキシド及びジルコニウムアルコ
    キシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請
    求項1に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、一
    般式: 【化1】 (ただし、式中、nは0又は1であり、mは0又は1以
    上の整数である。Xは式:−CH=CH−で表される基
    又は式:−CHCH−で表される基である。R
    、R及びRは、各々独立して、水素原子;ハロ
    ゲン原子;酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基
    を有していてもよい置換又は非置換の炭素数1〜30の
    炭化水素基;極性基;又はRとR、RとR、又
    はRとR とが相互に結合して形成された炭素環又は
    複素環である。なお、炭素環又は複素環は、単環構造で
    もよいし、他の環が縮合して多環構造を形成したもので
    もよく、芳香環でもよいし、非芳香環でもよい。また、
    上記炭素数1〜30の炭化水素基及び上記極性基は、炭
    素数1〜5のアルキレン基を介して結合するものであっ
    てもよい。)で表される構造単位を含む重合体である請
    求項1又は2に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、一
    般式: 【化2】 (ただし、式中、nは0又は1であり、mは0又は1以
    上の整数である。R、R、R及びRは、各々独
    立して、水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ
    又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非
    置換の炭素数1〜30の炭化水素基;極性基;又はR
    とR、RとR、又はRとRとが相互に結合し
    て形成された炭素環又は複素環である。なお、炭素環又
    は複素環は、単環構造でもよいし、他の環が縮合して多
    環構造を形成したものでもよく、芳香環でもよいし、非
    芳香環でもよい。また、上記炭素数1〜30の炭化水素
    基及び上記極性基は、炭素数1〜5のアルキレン基を介
    して結合するものであってもよい。)で表される構造単
    位を含む重合体である請求項1又は2に記載の熱可塑性
    ノルボルネン系樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 上記基層フィルムと上記金属酸化物膜の
    間に、無機酸化物の蒸着膜を介在させてなる請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂
    フィルム。
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