JP2003326355A - 機械加工用サスペンションアーム素材およびその製造方法とその鋳造装置および生産システム - Google Patents

機械加工用サスペンションアーム素材およびその製造方法とその鋳造装置および生産システム

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JP2003326355A
JP2003326355A JP2002120088A JP2002120088A JP2003326355A JP 2003326355 A JP2003326355 A JP 2003326355A JP 2002120088 A JP2002120088 A JP 2002120088A JP 2002120088 A JP2002120088 A JP 2002120088A JP 2003326355 A JP2003326355 A JP 2003326355A
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machining
suspension arm
arm material
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cooling member
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Shigeru Yanagimoto
茂 柳本
Kunio Hirano
邦雄 平野
Tomoo Uchida
友生 内田
Masashi Fukuda
政志 福田
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Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自在結合部となる部位の機械的特性を改善した
機械加工用サスペンションアーム素材、及びそれを安定
して容易に製造する方法、それに用いる生産システムを
提供する。 【解決手段】アーム部の少なくとも一端に他部材を取り
付ける自在結合部を有するサスペンションアームの製造
に用いる機械加工用サスペンションアーム素材の製造方
法において、注湯口に設けられた開閉栓の端面が鋳型内
面の一部を構成すると共に冷却部材が一部を構成する閉
塞性の鋳型を用い、該注湯口から充填した金属溶湯を冷
却部材で冷却して凝固殻を形成する工程と、機械加工後
に自在結合部となる部位を含む位置の冷却部材を優先的
に開放して冷媒を直接部材に接触させてさらに強制冷却
して凝固させて鋳塊を得る工程とを含むことを特徴とす
る機械加工用サスペンションアーム素材の製造方法によ
って解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、サスペンション
アームの製造に用いる機械加工用サスペンションアーム
素材とその製造方法、および、その鋳造装置、その生産
システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】サスペンションは車両の走行性能を左右
する機構であり、そこに用いられるサスペンションアー
ムは重要な部品である。サスペンションアームは、各種
形状があるが、例えば、アーム部の一端または両端に種
々形状の他の部材を取付けるための取付部(自在結合
部)が設けられたものである。サスペンションアームの
自在結合部は、例えば、一端にはゴムブッシュ挿入穴が
設けられゴムブッシュが組付けられるとともに、他端に
はサスペンションアームと一体となるボールジョイント
挿入部が設けられる。
【0003】サスペンションアームは強度部品であり、
機械的強度の高い材料が用いられている。近年、走行性
能の向上の要求に伴い、サスペンション機構は複雑化
し、それに伴って、サスペンションアームの形状も複雑
となる傾向にある。また、サスペンション機構の軽量化
ニーズが高く、部品をアルミニウム化することが検討さ
れている。
【0004】サスペンションアームは、例えば砂型鋳造
法によりサスペンションアームの形状を鋳造した後に、
自在結合部として軸部やゴムブッシュ挿入穴の機械加工
を施して最終製品形状として必要な所定の寸法形状に仕
上げていた。あるいは軸部やゴムブッシュ挿入穴等の自
在結合部を含む最終製品形状を、金型を用いた鋳造法に
より直接成形するなどの方法が採られてきた。
【0005】一方、アルミニウム合金を素材とした鍛造
品が用いられている。しかし、サスペンションアーム
は、自在結合部の形状が複雑であるため一体成形品を鍛
造すると製造コストが高いという欠点がある。複雑な形
状の鍛造方法の一種に、金属材料をほぼ鍛造品形状に鋳
造した後その鋳造品を鍛造する方法がある。ほぼ鍛造品
形状の鋳造体を鍛造することにより、押出し棒、連続鋳
造棒を利用して鍛造のみによって成形を行う場合と比較
して容易に所望の形状の鍛造品を得ることができる。
【0006】一方、異形な形状であって品質の良い鋳造
体を容易に量産的に製造する方法が、例えば特開平9−
174198号公報で開示されている。開閉栓の端面が
鋳型内面の一部を構成すると共に冷却部材が一部を構成
する閉塞性の鋳型を用い、開閉栓から充填した金属溶湯
を冷却部材で強制冷却し、この冷却部材側から開閉栓側
に向けて一方向に凝固させて金属鋳塊(塑性加工部材)
を製造する方法である。
【0007】この製造方法を用いて一方向からの凝固に
よって製造された金属鋳塊にあっては、その内部品質
が、鋳巣、引け巣、ピンホール、酸化物の巻き込み等の
欠陥のない良好なものとなる。しかも、閉塞性の鋳型に
注湯するので、溶湯の計量を実施することなく注湯量が
常に一定となり、さらには、メニスカス部に大きな曲面
が形成されることもなく、金属鋳塊の寸法や重量に大き
なバラツキが発生する虞れもない。
【0008】一方、その金属組織は強制冷却する冷却部
材側と開閉栓側とで異なり、開閉栓側では、デンドライ
トアームスペーシング(dendrite arm spacing、デンド
ライト2次枝間隔、以下「DAS」という)が大きく、
また結晶粒径も大きくなる傾向にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
金属鋳塊の金属組織において、冷却部材から遠い箇所で
は、DASが大きく、また結晶粒径が大きくなるので、
引張強度や0.2%耐力、伸びといった機械的特性は、
一般に弱くなる傾向にある。
【0010】ところで、図6(a)はサスペンションア
ームの一例を示し、符号516はアーム部を示す。ま
た、符号35a、35bはアスクル側結合部との接触
面、符号34a、34bはブッシュ挿入穴または自在結
合部の穴を示し、これらは他部材を取り付ける自在結合
部の例である。このような異形形状であるサスペンショ
ンアームの場合、それを製造するに用いる機械加工用サ
スペンションアーム素材は、ブッシュやボールジョイン
トにてボディーまたはアクスルと結合する自在結合部と
なる部位の鋳塊の板厚が一定でなく、一部に厚さが厚い
部位を有するので、その製造時に他の薄板部位に比較し
て当該部位は凝固速度の遅れが発生し、その結果、機械
的特性が低下するだけでなく鋳巣、引け巣、ピンホール
などの鋳造欠陥が生じ易かった。例えば、機械加工後の
自在結合部の穴(34a、34b(図6(a)))、
(38a、38b(図8(a)))にブッシュを圧入す
る際に、材料強度が低かったり、巣欠陥が有ると、圧入
時の締め付け力が弱くて固定力が低下する。又、機械加
工後の穴(35c(図6(a))、38c(図8
(a)))にボールジョイントを挿入し、その後穴の端
部をカシメてボールジョイントを包み込むように固定す
るが、部材の強度が低かったり内部に欠陥が有るとカシ
メ部から割れが入るか、カシメ力が弱くてボールジョイ
ントを固定できなかったりするおそれがある。又、溶質
元素を多く含む合金にあっては、凝固によって生じるア
ルミ以外の第2相晶出粒子の粒子径が粗大になり、機械
的特性を更に劣化させることになる。さらに、板厚部に
発生する凝固遅れから凝固状態のアンバランスが発生
し、凝固が完了しないうちに開閉栓が凝固して固着して
しまうなど、鋳造が安定しないという問題を保有してい
た。
【0011】この発明は上記に鑑み提案されたもので、
自在結合部となる部位の機械的特性を改善した機械加工
用サスペンションアーム素材、及びそれを安定して容易
に製造する方法、それに用いる生産システムを提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。 1)上記課題を解決するための第1の発明は、アーム部
の少なくとも一端に他部材を取り付ける自在結合部を有
するサスペンションアームの製造に用いる機械加工用サ
スペンションアーム素材の製造方法において、注湯口に
設けられた開閉栓の端面が鋳型内面の一部を構成すると
共に冷却部材が一部を構成する閉塞性の鋳型を用い、該
注湯口から充填した金属溶湯を冷却部材で冷却して凝固
殻を形成する工程と、機械加工後に自在結合部となる部
位を含む位置の冷却部材を優先的に開放して冷媒を直接
部材に接触させてさらに強制冷却して凝固させて鋳塊を
得る工程とを含むことを特徴とする機械加工用サスペン
ションアーム素材の製造方法である。 2)上記課題を解決するための第2の発明は、開閉栓を
鋳塊の機械加工により打ち抜かれる部位または機械加工
によって除去される部位に配設することを特徴とする
1)に記載の機械加工用サスペンションアーム素材の製
造方法である。 3)上記課題を解決するための第3の発明は、開閉栓を
鋳塊の機械加工後に自在結合部となる部位に配設するこ
とを特徴とする1)に記載の機械加工用サスペンション
アーム素材の製造方法である。 4)上記課題を解決するための第4の発明は、開閉栓を
複数箇所に配設することを特徴とする2)または3)に
記載の機械加工用サスペンションアーム素材の製造方法
である。 5)上記課題を解決するための第5の発明は、冷媒が、
水であることを特徴とする1)乃至4)のいずれか1項
に記載の機械加工用サスペンションアーム素材の製造方
法である。 6)上記課題を解決するための第6の発明は、冷媒の流
量を、鋳塊の冷却を受ける面の1平方センチメートル当
たり、毎分20〜500mlの範囲にて直接部材に接触
させることを特徴とする1)乃至5)のいずれか1項に
記載の機械加工用サスペンションアーム素材の製造方法
である。 7)上記課題を解決するための第7の発明は、強制冷却
して凝固させた鋳塊に塑性加工を加えることを特徴とす
る1)乃至6)のいずれか1項に記載の機械加工用サス
ペンションアーム素材の製造方法である。 8)上記課題を解決するための第8の発明は、所定の加
工率以上の塑性加工を加えることを特徴とする7)に記
載の機械加工用サスペンションアーム素材の製造方法で
ある。 9)上記課題を解決するための第9の発明は、所定割合
以上の加工率は一回の塑性加工で達成されることを特徴
とする8)に記載の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造方法である。 10)上記課題を解決するための第10の発明は、所定
割合以上の加工率は複数回の塑性加工で達成されること
を特徴とする8)に記載の機械加工用サスペンションア
ーム素材の製造方法である。 11)上記課題を解決するための第11の発明は、所定
割合は20%であることを特徴とする8)乃至10)の
いずれか1項に記載の機械加工用サスペンションアーム
素材の製造方法である。 12)上記課題を解決するための第12の発明は、所定
割合は40%であることを特徴とする8)乃至10)の
いずれか1項に記載の機械加工用サスペンションアーム
素材の製造方法である。 13)上記課題を解決するための第13の発明は、塑性
加工は機械加工用部材の部分的な範囲に対する塑性加工
であることを特徴とする7)乃至12)のいずれか1項
に記載の機械加工用サスペンションアーム素材の製造方
法である。 14)上記課題を解決するための第14の発明は、塑性
加工は少なくとも機械加工後に自在結合部となる部位を
含む範囲に対する塑性加工であることを特徴とする7)
乃至13)のいずれか1項に記載の機械加工用サスペン
ションアーム素材の製造方法である。 15)上記課題を解決するための第15の発明は、塑性
加工は鍛造(冷間、熱間)、鍛伸据込加工、ロータリフ
ォージング(転動加工)から選ばれるいずれか1種また
は2種以上であることを特徴とする7)乃至14)のい
ずれか1項に記載の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造方法である。 16)上記課題を解決するための第16の発明は、金属
がアルミニウムまたはアルミニウム合金であることを特
徴とする1)乃至15)のいずれか1項に記載の機械加
工用サスペンションアーム素材の製造方法である。 17)上記課題を解決するための第17の発明は、アー
ム部の少なくとも一端に他部材を取り付ける自在結合部
を有するサスペンションアームの製造に用いる機械加工
用サスペンションアーム素材であって、1)乃至15)
のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンションアー
ム素材の製造方法によって製造された機械加工用サスペ
ンションアーム素材である。 18)上記課題を解決するための第18の発明は、冷却
部材側における金属組織の平均DASに対して開閉栓側
における金属組織の平均DASが1.1〜6倍であるこ
とを特徴とする17)に記載の機械加工用サスペンショ
ンアーム素材である。 19)上記課題を解決するための第19の発明は、冷却
部材側における金属組織の平均結晶粒径に対して開閉栓
側における金属組織の平均結晶粒径が1.05〜4.5
倍であることを特徴とする17)または18)に記載の
機械加工用サスペンションアーム素材である。 20)上記課題を解決するための第20の発明は、第2
相晶出粒子径が、冷却部材側の平均粒子径に対して開閉
栓側の平均粒子径が1.2〜7倍であることを特徴とす
る17)乃至19)のいずれか1項に記載の機械加工用
サスペンションアーム素材である。 21)上記課題を解決するための第21の発明は、自在
結合部となる冷却部材側の部位の引張強度が開閉栓側の
引張強度に対して0.8〜1倍であることを特徴とする
17)乃至20)のいずれか1項に記載の機械加工用サ
スペンションアーム素材である。 22)上記課題を解決するための第22の発明は、自在
結合部となる冷却部材側の部位の耐力が開閉栓側の耐力
に対して0.8〜1倍であることを特徴とする17)乃
至21)のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンシ
ョンアーム素材である。 23)上記課題を解決するための第23の発明は、自在
結合部となる冷却部材側の部位の伸びが開閉栓側の伸び
に対して0.7〜1倍であることを特徴とする17)乃
至22)のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンシ
ョンアーム素材である。 24)上記課題を解決するための第24の発明は、自在
結合部となる冷却部材側の部位の伸びが開閉栓側の伸び
に対して0.8〜1倍であることを特徴とする17)乃
至22)のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンシ
ョンアーム素材である。 25)上記課題を解決するための第25の発明は、アー
ム部の少なくとも一端に他部材を取り付ける自在結合部
を有するサスペンションアームの製造に用いる機械加工
用サスペンションアーム素材の生産システムが、注湯口
に設けられた開閉栓の端面が鋳型内面の一部を構成する
と共に、注湯口から充填した金属溶湯を冷却する冷却部
材が一部を構成する閉塞性の鋳型と、凝固を開始するた
めの冷却部材を冷却する手段と、機械加工用部材の自在
結合部を含む範囲に優先的に冷媒を直接接触させて強制
冷却するために自在結合部を含む範囲の冷却部材を優先
的に開放する手段と、冷媒を直接機械加工用部材に接触
させる手段と、を有する鋳造装置を含むことを特徴とす
る機械加工用サスペンションアーム素材の生産システム
である。 26)上記課題を解決するための第26の発明は、冷却
部材の開放手段が冷却部材を水平方向に直線状及び/又
は旋回してスライドさせて開放する機構を有しているこ
とを特徴とする25)に記載の機械加工用サスペンショ
ンアーム素材の生産システムである。 27)上記課題を解決するための第27の発明は、冷却
部材の開放手段が冷却部材の一端が蝶番にて鋳造装置又
は他の冷却部材に固定された状態で、他端を止めている
留め金をはずすことによって冷却部材を開放する機構で
あることを特徴とする25)に記載の機械加工用サスペ
ンションアーム素材の生産システムである。 28)上記課題を解決するための第28の発明は、冷却
部材の開放手段が冷却部材の一端が蝶番にて鋳造装置又
は他の冷却部材に固定された状態で、開放する冷却部材
に取り付けられた伸縮自在の駆動装置を作動させること
によって冷却部材を開放する機構であることを特徴とす
る25)に記載の機械加工用サスペンションアーム素材
の生産システムである。 29)上記課題を解決するための第29の発明は、冷却
部材の開放手段が伸縮自在の駆動装置を作動させること
によって冷却部材を開放する機構であることを特徴とす
る25)に記載の機械加工用サスペンションアーム素材
の生産システムである。 30)上記課題を解決するための第30の発明は、駆動
装置が油圧式シリンダー方式、空圧式シリンダー方式、
電動式シリンダー方式、電磁式シリンダー方式、から選
ばれる1種または2種以上の組み合わせであることを特
徴とする28)または29)に記載の機械加工用サスペ
ンションアーム素材の生産システムである。 31)上記課題を解決するための第31の発明は、冷媒
を直接機械加工用部材に接触させる手段が、冷媒を噴霧
状にして、その流量を鋳塊の冷却を受ける面の1平方セ
ンチメートル当たり、毎分20〜500mlの範囲とし
て、直接部材に接触させる機構を有していることを特徴
とする25)乃至30)のいずれか1項に記載の機械加
工用サスペンションアーム素材の生産システムである。 32)上記課題を解決するための第32の発明は、アー
ム部の少なくとも一端に他部材を取り付ける自在結合部
を有するサスペンションアームの製造に用いる機械加工
用サスペンションアーム素材の生産システムが、鋳造装
置の後に鋳塊の重量を自動計量する自動重量計量装置が
配設されていることを特徴とする25)乃至31)のい
ずれか1項に記載の機械加工用サスペンションアーム素
材の生産システムである。 33)上記課題を解決するための第33の発明は、アー
ム部の少なくとも一端に他部材を取り付ける自在結合部
を有するサスペンションアームの製造に用いる機械加工
用サスペンションアーム素材の生産システムが、鋳造装
置の後に、所定の加工率以上の塑性加工を加える塑性加
工装置が配設されていることを特徴とする25)乃至3
2)のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンション
アーム素材の生産システムである。 34)上記課題を解決するための第34の発明は、塑性
加工装置が、鍛造(冷間、熱間)装置、鍛伸据込加工装
置、ロータリフォージング(転動加工)装置から選ばれ
るいずれか1種または2種以上の塑性加工装置であるこ
とを特徴とする33)に記載の機械加工用サスペンショ
ンアーム素材の生産システムである。 35)上記課題を解決するための第35の発明は、アー
ム部の少なくとも一端に他部材を取り付ける自在結合部
を有するサスペンションアームの製造に用いる機械加工
用サスペンションアーム素材に用いる鋳塊を製造する鋳
造装置において、注湯口に設けられた開閉栓の端面が鋳
型内面の一部を構成すると共に、注湯口から充填した金
属溶湯を冷却する冷却部材が一部を構成する閉塞性の鋳
型と、凝固を開始するための冷却部材を冷却する手段
と、機械加工用部材の自在結合部を含む範囲に優先的に
冷媒を直接接触させて強制冷却するために自在結合部を
含む範囲の冷却部材を優先的に開放する手段と、冷媒を
直接機械加工用部材に接触させる手段と、を含むことを
特徴とする鋳造装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。先ず、この発明の機械加工用サ
スペンションアーム素材の製造方法について、それに用
いる生産システムとともに説明する。
【0014】図1は、この発明の機械加工用サスペンシ
ョンアーム素材を製造するに用いる生産システムに含ま
れる、注湯口に設けられた開閉栓の端面が鋳型内面の一
部を構成すると共に、注湯口から充填した金属溶湯を冷
却する冷却部材が一部を構成する閉塞性の鋳型と、凝固
を開始するための冷却部材を冷却する手段と、機械加工
用部材の自在結合部を含む範囲に優先的に冷媒を直接接
触させて強制冷却するために自在結合部を含む範囲の冷
却部材を優先的に開放する手段と、冷媒を直接機械加工
用部材に接触させる手段と、を有する鋳造装置(以降
「本発明の鋳造装置」ともいう。)の一例を概略的に示
す断面側面図である。図1は、この装置によって得られ
た機械加工用サスペンションアーム素材400(図2
(a))の断面A−Aに相当する位置での鋳造装置の断
面側面図である。
【0015】本発明の生産システムは、上記の鋳造装置
を含む以外に、溶解炉で調整した金属溶湯を凝固させて
得た鋳塊を機械加工に供する素材の形状に加工するもの
であれば従来公知の装置を含むものとすることができ
る。例えば金属溶湯を調整する溶解炉、鋳塊の熱処理装
置、トリム加工装置、各装置間をつなぐ搬送装置を組み
合わせて構成することができる。
【0016】ここで例示する鋳造装置110は、機械加
工に用いられるサスペンションアーム素材の最終形状に
鋳造成形された各種金属鋳塊(鋳造体)を製造するため
のもの、またはさらに冷間鍛造や熱間鍛造にみられるバ
リを出す自由鍛造加工工程やバリを出さない密閉鍛造加
工工程、あるいは鍛伸据込加工工程、ロータリーフォー
ジング(転動加工)加工工程等の塑性加工を経て、機械
加工に用いられるサスペンションアーム素材の最終形状
とされる金属鋳塊(鋳造体)を製造するためのものであ
る。これらの金属鋳塊(鋳造体)を本明細書中では「機
械加工用部材」ともいう。鋳造体の原材料としては、鉄
鋼を挙げることができるが、特にアルミニウム、亜鉛、
マグネシウム等の非鉄金属やそれぞれの合金を適用する
のが好適である。
【0017】この図に示すように、鋳造装置110は、
主鋳型3と、注湯口3eと、開閉栓4と、固定冷却板6
と、冷却板駆動装置8に連接した可動冷却板7と、可動
冷却板7を冷却するスプレー14と、固定冷却板6を冷
却するスプレー120と、を備えて構成してある。そし
て、固定冷却板を含んだ上部(開閉栓の駆動機構以外の
開閉栓の部分及び主鋳型3。)は電気式加熱炉(図中省
略)の内部に設置されている。このような構成を有して
いる鋳型は、注湯口に設けられた開閉栓の端面が鋳型内
面の一部を構成すると共に、注湯口から充填した金属溶
湯を冷却する冷却部材が一部を構成する閉塞性の鋳型と
なっている。
【0018】冷却部材は固定冷却板6と可動冷却板7と
を含んで構成されいている。固定冷却板6、可動冷却板
7は、耐火性に優れ熱伝導率の高いものを材料とするこ
とが好ましい。鉄や銅、アルミニウムなどの耐火性に優
れかつ熱伝導率の高い金属、あるいはグラファイト、炭
化ケイ素、四窒化三ケイ素などの熱伝導率の高い耐火材
によって成形したものを挙げることができる。冷却部材
は冷却効率を上げるためにフィン状の形状とする、もし
くは細孔(6a、7a)を設けることが好ましい。
【0019】この固定冷却板6、可動冷却板7には、そ
の下部にケース101およびスプレーノズル14、スプ
レーノズル120を設けてある。スプレーノズル120
は、凝固を開始するための冷却部材を冷却する手段の一
例である。スプレーノズル14は冷媒を直接機械加工用
部材に接触させる手段の一例である。後述する条件を満
たせば、凝固を開始するための冷却部材を冷却する手段
と冷媒を直接機械加工用部材に接触させる手段とを同一
のスプレーノズルで兼用することも可能である。
【0020】ケース101は有底(底部は図示せず。)
で、固定冷却板6、可動冷却板7の下面側を囲むように
取り付けてある。スプレーノズル14、スプレーノズル
120はその先端の噴射孔から冷却媒体(冷媒)、例え
ば水を主成分とした冷媒を噴射して冷却部材に冷媒を接
触させ、スプレーノズル14はさらに機械加工用部材に
直接冷媒を接触させるためのものであり、噴射孔を固定
冷却板6、可動冷却板7の下面に対向させた状態で当該
ケース101に取り付けてある。これら固定冷却板6、
可動冷却板7、ケース101、スプレーノズル14、ス
プレーノズル120は、ケース101を介して図示せぬ
昇降駆動装置に連結することにより、この昇降駆動装置
の駆動によって一体的に上下動させることが可能であ
る。また、各スプレーノズルの位置を調整できる機構を
設けると容易に最適な冷却状態とすることができるので
好ましい。冷却媒体としては、水の他に、アルコール、
アルコール混合水でも良い。また、冷却媒体として、液
体の他に、気体を用いて冷却を実施することも可能であ
る。
【0021】機械加工用部材に直接冷媒を接触させる際
の冷媒の流量は、鋳塊の冷却を受ける面の1平方センチ
メートル当たり20〜500ml(より好ましくは40
〜200ml。)であるのが好ましい。本発明の鋳造装
置には、図示していないがスプレーノズル14の流量を
上記の範囲に設定できる調整機構を有している。流量が
毎分20ml未満であると鋳塊1の下面と下面に接触し
ている冷却媒体との間に蒸気膜が形成され、冷却能力が
低下するので凝固が遅くなって鋳造組織が悪くなるおそ
れがある。500mlを超えると鋳塊1の下面と固定冷
却板6の上面との境界面に冷却媒体が入り込んで鋳型内
部が冷却媒体で濡れてしまい、次の鋳造の段階で、注湯
された溶湯中に水素ガスが吸収されて鋳塊の品質を低下
させるおそれがある。製造工程が開始されたときに滲入
した冷却媒体と注湯された溶湯2との間で水蒸気が発生
し鋳造のトラブルを引き起こすおそれが高まるので好ま
しくない。
【0022】機械加工用部材の自在結合部を含む範囲に
対応した箇所に可動冷却板7が設けられている。冷却部
材を優先的に開放することにより機械加工用部材の自在
結合部を含む範囲に優先的に冷媒を直接接触させること
ができるからである。
【0023】可動冷却板を開放するための開放手段(開
閉手段)の一例を説明する。可動冷却板7はそれを駆動
するための冷却板駆動装置8にシリンダー式ピストンを
介して、例えばピストンシリンダー8aから伸びるピス
トンロッド8bを介して接続され、ピストンシリンダー
8aはケース101に固定された支持具9に載置されて
いるのでケース101の昇降動作とともに昇降できる構
造となっている。可動冷却板7はピストンロッド8bが
前後に動作することによって開閉され、機械加工用部材
の自在結合部を含む範囲が優先的に開閉される。この方
法は、冷却部材である可動冷却板7を水平方向に直線状
及び/又は旋回してスライドさせて開放するので、装置
が簡単であるので好ましい。
【0024】開放手段(開閉手段)の別の例を、図3に
示す。この場合は、可動冷却板20aの一端が喋番20
cに連接され、他端に開閉動作機構を行う為のシリンダ
ー式ピストン21bが連接された装置である。シリンダ
ー式ピストンはケース101もしくはケースを載置した
昇降可能な台(図中省略)に固定されて、固定冷却板6
と同一の動作が可能とする。可動冷却板は、シリンダー
式ピストン21bが前後に動作することによって開閉さ
れ、機械加工用部材の自在結合部を含む範囲が優先的に
開閉される。この方法は、冷却部材である可動冷却板の
一端が蝶番にて鋳造装置又は他の冷却部材に固定された
状態で冷却部材を開放する機構なので、装置をコンパク
トにできるので好ましい。他端を留め金で止めることに
よって確実に閉じることができる。留め金を用いた場合
は、はずす機構を設けることが必要になる。
【0025】開放手段が伸縮自在の駆動装置を作動させ
ることによって冷却部材を開放する機構であるのが、連
続運転を容易にすることができるので好ましい。駆動装
置の一例であるシリンダー式ピストンは、油圧式シリン
ダー方式、空圧式シリンダー方式、電動式シリンダー方
式、電磁式シリンダー方式から選ばれる何れか1種また
は2種以上の組み合わせが利用できる。
【0026】さらに別の開放手段(開閉手段)の例とし
ては、可動冷却板7が、ケース101に連接した3次元
的に動作可能なシリンダーもしくはアームあるいはレー
ルに保持されて、可動冷却板7が上下に動作することで
開口部に着脱する装置であっても良い。
【0027】可動冷却板7が閉じている状態で、固定冷
却板6と接触する時のその間の隙間は0.3mm以内
(より好ましくは0.1mm以内。)であるのが好まし
い。隙間への金属溶湯の流出、隙間へ差し込んしまう鋳
造トラブルや、鋳造体が固定冷却板の下面を鋳ぐるんで
鋳造体が取り出せなくなるのを防ぐ為である。金属溶湯
の流出、隙間への差し込みをシールする他の方法とし
て、固定冷却板6もしくは可動冷却板7の、接触面の片
方もしくは両方にシール材を組み込むことが挙げられ
る。シール材としては、耐火断熱性と耐摩耗性に優れ、
熱変形しない特性を具備していることが必要で、カーボ
ン、窒化ケイ素、炭化珪素、ボロン入り窒化ケイ素等が
挙げられる。
【0028】本例では、主鋳型3は、上述した固定冷却
板6よりも細径の上壁3bと、この上壁3bの下面周縁
部に鋳型を形成するように設けた側壁3cと、上壁3b
の上面周縁部に溶湯受槽を形成するように設けた受槽壁
3aとを一体に成形したものである。この主鋳型3は、
固定冷却板6の上方域に配設してあり、該固定冷却板6
が下動した場合に底面が開口する一方、固定冷却板6が
上動した場合に底面が覆われ、上壁3bと、側壁3c
と、固定冷却板6と、可動冷却板7との間に閉塞された
キャビティ102を画成するようになる。主鋳型3の材
料としては、製造すべき鋳造体1の原材料、その溶湯と
の濡れ性、使用温度、耐食性等の条件から統合的に判断
し、ケイ酸カルシウム(CaSiO3)、酸化カルシウ
ム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミ
ニウム(Al23)および酸化マグネシウム(MgO)
を主成分とした断熱耐火物、または窒化ケイ素、四窒化
三ケイ素、窒化ホウ素を含む四窒化三ケイ素、炭化ケイ
素、グラファイト、窒化ホウ素、二酸化チタン、酸化ジ
ルコニウムおよび窒化アルミニウムの単体あるいはこれ
らの混合耐火物、さらには鉄や銅などの金属の中から適
宜選定することができる。なお、図には明示していない
が、主鋳型3の適宜箇所には、注湯の際にキャビティ1
02内の空気を外部に放出するための通気路を設けてお
くことが好ましい。
【0029】主鋳型3は、上記した一体のものである例
以外に、溶湯を保持する溶湯受槽を形成する受槽壁3a
と、鋳型を構成する鋳型の上壁3b、側壁3cとの二体
を組み合わせたもの、更には受槽壁3aと、鋳型の上壁
3bと、鋳型の側壁3cとの三体を組み合わせたもので
あっても良い。二体ものは、溶湯受槽と鋳型とを分離し
て、溶湯受槽と鋳型の補修を簡便に行うことが可能であ
り、更に三体ものは鋳型の上壁3bと鋳型の側壁3cの
補修が単独に行える。これによりランニングコストの低
減を図ることが可能である。
【0030】側壁3cをさらに複数に分割して複雑な形
状のサスペンションアームに対応できるようにしたもの
が好ましい。特に自在結合部に対応する箇所を分割した
ものは、多種の形状に容易に対応ができるので好まし
い。
【0031】さらには、鋳型の上壁3bを部分的に分割
することによって、刺し子として差し替えたり、注湯口
3eの部分を他と分割して注湯口部だけを交換すること
も可能である。これにより、注湯口3eが破損しても、
上壁3bを全て交換するのではなく、部分的に交換出来
るので、よりコストが安く済む。さらには、注湯口3e
の材質を耐摩耗性に優れた窒化ケイ素とし、それ以外を
炭化珪素にするなど、部分的に安価な材質との組み合わ
せとすることが可能である。これは、特に後述するよう
に複雑な形状のサスペンションアームに対応するために
注湯口を多数設けた場合は、特に効果的である。
【0032】鋳型の側壁3cを部分的に分割することに
よって、異形形状の側壁3cの製造に対して、内面加工
を放電加工機で行っていたものが、上下方向に分割する
ことでワイヤーカットにて加工することが可能となる。
更に、図2(a)に示す機械加工用サスペンションアー
ム素材のように自在結合部が多種の形状であるような場
合であっても、例えば自在結合部に対応する部位16a
の鋳型側壁を構成する部位のみを鋳型3bから切り離し
て取り替え可能とすることができるので好ましい。鋳型
を部分的に製作することができるので、鋳型の製作に大
型の機械加工機を使用しなくて済むので製作費が安価に
なるだけでなく、鋳型の更新費用も少なくて済む。
【0033】3体に分割された主鋳型3では、側壁3c
の上面と鋳型上壁面3bとが接触する面と、側壁3cの
下面が固定冷却板6と接触する面と、分割された鋳型の
各面同志が接触する分割面との、少なくとも一つの接触
面以上にスリットを形成することが好ましい。キャビテ
ィー内102の空気が、注湯中に溶湯と置換されること
によって発生する余剰な空気を、円滑に放出することに
有効となるからである。スリットの形状は、幅は3〜5
0mm(より好ましくは5〜30mm。)、深さは0.
03〜0.1mm(より好ましくは0.04〜0.08
mm。)であって、鋳型の外壁まで貫通していて空気の
鋳型外部への通路が形成されているものが好ましい。
【0034】また、上記主鋳型3には、上壁3bに注湯
口3eを貫設してある。注湯口3eは、その下端部が一
様の内径を有する一方、その上端部が上方に向けて漸次
内径が増大するテーパ状3dを成している。このテーパ
状を成す部分の仰角は、水平に対して15°〜75°、
好ましくは30°〜60°である。この実施形態では、
主鋳型3として、炭化ケイ素によって構成したものを適
用してある。他に材質として窒化ケイ素を挙げることが
できる。
【0035】開閉栓を設けた注湯口3eは、鋳造体の形
状やその後の工程に応じて、その位置や数を変更させて
もよい。開閉栓を設けた注湯口3eは、鋳造体上に注湯
口痕を形成する。
【0036】開閉栓を鋳塊の機械加工後に自在結合部と
なる部位に配設することが好ましい。このようにするこ
とにより自在結合部となる部位が優先的に冷却される状
態でその上部に設けられた注湯口から溶湯が注入される
ので、その溶湯はより効果的に抜熱される。その結果、
自在結合部となる部位の機械特性が改善される。また、
注湯口痕が最終製品に痕跡として残らないとすることも
できるからである。図2(a)は、注湯口痕がサスペン
ションアーム素材の自在結合部に対応する3ヶ所(17
a、17b、17c)に存在する場合を示す。図4
(a)は、注湯口痕がアーム部の中央部に1ヶ所、図4
(b)は2ヶ所、図4(c)は自在結合部と本体とそれ
ぞれ1ヶ所に存在する例を示す。この時の溶湯受槽は、
注湯口の数に関係なく1つで共用しても良いし、注湯口
に合わせて個別に設置しても良いし、両方を合わせて設
置しても良い。サスペンションアーム素材の各部位に求
められる機械特性に適した合金溶湯をそれぞれ注入する
ことができるからである。
【0037】そしてこれらの注湯口の位置は、キャビテ
ィー102への溶湯注入時の湯流れのバランスの点から
最適な状態が確保される位置に設定することが好まし
い。良好な充填状態が得られるからである。例えば、平
面投影面の重心とすることができる。
【0038】または、注湯口の位置を鋳塊の機械加工に
より打ち抜かれる部位または機械加工によって除去され
る部位に配設することが好ましい。注湯口痕が最終製品
に痕跡として残ることが不都合な場合、残らない部位
(例えば、切削等で除去される部位)とすることができ
るからである。また、凝固時のミクロシュリンケージ等
の欠陥を注湯口痕に集めて凝固させて最終的に除去する
ことができるからである。
【0039】湯流れのバランスの最適な状態は、異なる
注湯口から流入された溶湯が、固定冷却板6上で合流す
る時に、湯境、湯切れ、巻き込みなどが鋳塊の凝固状態
に悪影響を及ぼして鋳造欠陥が発生しないかどうかをモ
ニターしながら決めることができる。更に、異なる注湯
口の開閉のタイミングも同じ理由によって凝固状態を最
適にする条件とすることができる。例えば、最終凝固箇
所の開閉栓を最後に閉める、または複雑な形状の箇所を
最後に閉めることにより良好な鋳造体を得ることができ
る。例えば図2(a)の注湯口痕(17a、17b、1
7c)に該当する注湯口や、図7(a)の注湯口痕(2
00a、200b)に対応する注湯口の開閉のタイミン
グを調節することにより良好な鋳造体を得ることができ
る。
【0040】開閉栓4は、注湯口のテーパ部と嵌合し
て、キャビティを閉塞させる形状である。例えば、注湯
口3eのテーパ部の上端開口よりも細径の円柱状を成す
もので、その下端部にテーパ部4aおよび嵌合部4bを
有しているものである。テーパ部4aは、下端に向けて
漸次外径が減少する部分である。嵌合部4bは、上述し
た注湯口3eの下端部に嵌合する大きさに形成した円柱
状部分である。この開閉栓4は、その軸心を注湯口3e
の軸心に合致させた状態で上下方向に沿って移動可能に
配設してあり、図示せぬ栓駆動装置の駆動によって上下
動することが可能である。開閉栓4の材料としては、例
えば、ケイ酸カルシウム(CaSiO3)、酸化カルシ
ウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アル
ミニウム(Al23)、酸化マグネシウム(MgO)等
を主成分とした断熱耐火物や、炭化ケイ素、四窒化三ケ
イ素あるいはこれらの混合物等のように、耐火・断熱性
の他に機械的強度の高い非金属を適用することが好まし
いが、鉄や鋳鋼等、溶湯との反応性のない、あるいは反
応性のごく小さい金属材料を適用することも可能であ
る。
【0041】なお、鋳型の上方域を覆う上蓋を設けるこ
とができる。
【0042】次に上述した生産システムを使った本発明
の製造方法の一例を説明する。上記のように構成した鋳
造装置110によって鋳造体1を製造する場合には、先
ず、昇降駆動装置によって固定冷却板6を上動させ、該
固定冷却板6と主鋳型3の上壁3bおよび側壁3cとの
間にキャビティ102を画成する。また、栓駆動装置に
よって開閉栓4を下動させ、該開閉栓4の嵌合部4bを
注湯口の下端部に嵌合させる。さらに、開閉栓4のテー
パ部4aを注湯口のテーパ状部分3dに当接させる。
【0043】この状態においては、開閉栓4によって注
湯口3eが閉成されることになり、上壁3bの上部に構
成された受槽壁3aで囲まれた受槽とキャビティ102
との間が遮断された状態となる。なお、キャビティ10
2の内壁面には、鋳造体1との型離れを促進する目的
で、また開閉栓4には、溶湯2との反応を防止する目的
で、それぞれに離型剤を塗布しておくとよい。
【0044】次いで、電気炉(図を省略)を駆動させ、
この状態から受槽に所定量の溶湯2を供給する。電気炉
を駆動するのは、受槽において溶湯2を所定の温度に維
持することが目的である。
【0045】次いで、栓駆動装置によって開閉栓4を上
動させ、該開閉栓4の嵌合部4bを注湯口3eの下端部
から抜去させる。
【0046】この状態においては、注湯口3eが開成さ
れ、受槽とキャビティ102との間が互いに連通される
ことになる。当該受槽に貯留した溶湯2が注湯口3eを
通じて連続的にキャビティ102に注入され、キャビテ
ィ内が金属溶湯で満たされるようになる(1c)。開閉
栓4を上動させる際には、固定冷却板6、可動冷却板を
100℃以上に加熱しておくことが好ましく、これより
低い温度では鋳造体に鋳造欠陥の一種である「きらわ
れ」が発生するので好ましくない。加熱温度の上限は、
溶湯2と同じ温度程度が適当である。さらに、上述した
「きらわれ」の発生を防止するべく固定冷却板6、可動
冷却板7に予め離型剤を塗布しておくとよい。また、固
定冷却板6、可動冷却板7の表面をショットブラストに
より粗い面とするのも、「きらわれ」の発生を防止する
のに有効である。
【0047】キャビティ102の空間すべてに溶湯が充
填された後においては、開閉栓4を再び下動させること
によって注湯口3eを閉成する。冷却途中で開閉栓を小
開して溶湯をキャビティ内に補充することもできる。そ
して、注湯の完了前、あるいは注湯の完了後、固定冷却
板6、可動冷却板7の温度が所定温度(T1)に達した
時に、固定冷却板6に対してスプレーノズル120、可
動冷却板7に対してスプレーノズル14から冷却水を噴
射し始める。所定温度(T1)は、鋳型内に注入された
溶湯が冷却部材に到達したことを確認するための値とし
て決めることができる。例えば、冷却部材の形状、材質
によるが、6061合金の場合は200〜500℃とす
ることができる。なお、固定冷却板6、可動冷却板7
の、溶湯が最も遅く到達する部位に熱電対を挿入し、そ
の熱電対で固定冷却板6、可動冷却板7の温度変化をモ
ニタするのが好ましい。
【0048】固定冷却板6、可動冷却板7に対して冷却
水が噴射されると、キャビティ102内に充填された溶
湯1cが下方(冷却部材側)から上方に向けて順次凝固
され少なくとも冷却部材側に凝固殻が形成される。この
時、凝固界面(溶湯と凝固部との境界面)(1b)が固
定冷却板6、可動冷却板7から閉ループを形成すること
なく漸次上方に移動するようにして凝固されることが好
ましい。可動冷却板7の温度が所定温度(T2)に達し
た時に、冷却板駆動装置8を駆動させて可動冷却板7を
開放する。
【0049】所定温度(T2)は、次のように決めるこ
とができる。冷却部材を開放する時点では、鋳型内の凝
固界面1bの位置が、冷却部材を開放しても鋳塊や溶湯
の自重で破れない位置まで進んでいる必要がある。すな
わちこの状態まで凝固殻が形成されている状態が必要で
ある。これは、鋳塊の形状や合金種にを考慮して設定さ
れるが、事前に予備実験によって求めることができる。
例えば、冷却部材を開放しないで、冷却部材から5mm
の位置の鋳塊内に熱電対を挿入して温度を測定して、前
進していく凝固界面の位置を固相温度から推定して、こ
れにより凝固殻の厚さが所定以上になる状態の温度を求
めることができる。
【0050】可動冷却板7が開放されることによってス
プレーノズル14によって放出された冷却媒体は、凝固
殻が形成した鋳塊1aの下面に直接接触してさらに鋳塊
の自在結合部位を優先的に強制冷却するので、自在結合
部位に該当するキャビティー内102の未凝固溶湯の冷
却速度が大きくなる。その結果、自在結合部位の鋳造組
織は改善される。例えば、自在結合部位内の機械特性の
差を小さくすることができる。
【0051】さらに凝固の終了タイミングを、自在結合
部位とその他の部位とでほぼ同時とすることも可能とな
る。自在結合部などの肉厚部は溶湯量が他の部位に比べ
て多いので、凝固が完了するのに時間を要するので、そ
の間に注湯口付近の凝固が完了して注湯口内部まで凝固
が進み開閉栓の開閉が困難になり、次の鋳造スタートが
出来なくなるなどのトラブルが発生していたが、本発明
の方法、鋳造装置では自在結合部位を優先的に冷却をし
ているので凝固の終了タイミングを最適にすることがき
るのでこのトラブルの発生を抑えることができるので、
安定的に製造することができる。キャビティ102内の
溶湯1cの凝固が完了した後に、主鋳型3に対して固定
冷却板6を下動させれば、主鋳型3から鋳造体1が離型
され当該固定冷却板6の上面に鋳造体を取り出すことが
できる。
【0052】なお、上記各所定温度について、運転管理
上においては、所定温度を管理する代わりに、あらかじ
め温度条件を満足するようにタイマー設定して管理する
方法を用いることができる。
【0053】得られた鋳造体に、熱処理を施すことが好
ましい。熱処理としては、例えば人工時効処理(T6)
を挙げることができる。熱処理として、溶体化処理、戻
し処理を組み合わせるのが好ましい。機械特性、品質を
より改善できるからである。
【0054】こうして本発明の製造方法または生産シス
テムで製造された鋳造体(鋳塊)1は、凝固界面が閉ル
ープを形成することなくほぼ一方向性を保持して凝固を
行っているため、鋳巣、引け巣、ピンホール、酸化物の
巻き込み等の欠陥の発生を抑えて内部品質が良好な機械
加工用サスペンションアーム素材である。
【0055】こうして本発明の製造方法または生産シス
テムで製造された鋳造体(鋳塊)1は、自在結合部とな
る部位において改善された機械特性を有する機械加工用
サスペンションアーム素材である。こうして本発明の製
造方法または生産システムで製造された鋳造体(鋳塊)
1は、自在結合部となる部位内において、例えば冷却部
材側と開閉栓側との間において、機械特性のバラツキが
小さい機械加工用サスペンションアーム素材である。
【0056】本発明の製造方法または生産システムは、
注湯口から充填した金属溶湯を冷却部材で冷却して凝固
殻を形成する工程と、機械加工後に自在結合部となる部
位を含む位置の冷却部材を優先的に開放して冷媒を直接
部材に接触させてさらに強制冷却して凝固させて鋳塊を
得る工程とを含むので、自在結合部となる部位の機械特
性を改善した機械加工用サスペンションアーム素材を容
易に安定的に製造することができる。本発明の製造方法
または生産システムでは、キャビティ102の上方が上
壁3bおよび開閉栓4の先端面によって閉塞された状態
となるため、溶湯の計量を実施することなく注湯量が常
に一定となるので重量バラツキを抑えて安定的に機械加
工用サスペンションアーム素材を量産することができ
る。さらには、本発明の製造方法または生産システムで
は、キャビティ内のメニスカス部に大きな曲面が形成さ
れることもないので機械加工用サスペンションアーム素
材として充分な寸法形状のものを安定的に量産すること
ができる。
【0057】このようにして得られた鋳造体(鋳塊)
は、例えば、図5(a)、(b)に示すような機械加工
用サスペンションアーム素材となり、この素材は機械加
工工程に供せられる。そして、機械加工後にサスペンシ
ョンアーム(図5(c))となる。この場合では、注湯
口痕(31a、31b)は、ブッシュを挿入するための
穴(32a、32b)を形成する機械加工後にも製品外
観に残る(31a’、31b’)。他の注湯口痕(31
c)は、ボールジョイントが挿入される穴(33c)を
形成する機械加工に供された後には製品に残らない。図
5(a)に示した素材を用いた図6(a)に示すような
他の機械加工後の製品では、アスクル側の結合部との接
触面(35a、35b)を機械加工によって形成するこ
とによって、図5(a)の注湯口痕(31a、31b)
は削除される。更に、図7(a)に示すような素材を用
いた、さらに別の機械加工後の製品では、注湯口痕(2
00a、200b)は、図8(a)に示す別のサスペン
ションアームのように機械加工によって取り除かれる。
【0058】次に、上述した鋳造装置の後に、塑性加工
を加える塑性加工装置が配設されている生産システムの
態様の例について説明する。
【0059】ここで、所定の加工率以上の塑性加工を加
えるのが好ましい。塑性加工装置は、成形する形状にあ
わせた加工装置を用いることができる。例えば、鍛造
(冷間、熱間)装置、鍛伸据込加工装置、ロータリフォ
ージング(転動加工)装置から選ぶことができる。ま
た、2種以上を組み合わせた塑性加工装置とすることが
できる。塑性加工装置は、所定の加工率を加えることが
可能であればより好ましい。鋳造装置と塑性加工用装置
との間は自動搬送装置で結ばれているのが好ましい。自
動搬送装置には、鋳造体の計量装置、鋳造体の整列装置
が設けられているのが安定した量産を行えるので好まし
い。
【0060】鋳造装置の後に鋳塊の重量を自動計量する
自動重量計量装置が配設されていることが好ましい。計
量された値を用いて注湯量の管理、制御をすることによ
り、±1kg以内に鋳塊の重量バラツキを抑えることが
可能になり、その結果、重量バラツキの小さい鋳塊を後
工程の塑性加工工程に供することができるので、成形時
の製品寸法のバラツキを小さくすることができ、また塑
性加工時の金型への負荷のバラツキを抑えることができ
るので金型の寿命を向上させることができる。
【0061】例えば、アッパーアーム形状を成形する場
合は、鍛造(冷間、熱間)装置、直線アームの場合は鍛
伸据込加工装置またはロータリフォージング(転動加
工)装置を用いることが好ましい。
【0062】所定割合は20%(より好ましくは40
%。)であることが好ましい。この値以上の加工率を加
えることにより、より機械的強度をより改善できるから
である。
【0063】加える塑性加工が、機械加工用部材の部分
的な範囲に対する塑性加工であることが好ましい。
【0064】次に、塑性加工装置が配設されている生産
システムを用いたサスペンションアーム素材の製造方法
の一例について説明する。
【0065】鋳造体に塑性加工を加えることにより、鋳
造では形状が得られない複雑形状の機械加工用サスペン
ションアーム素材や、薄肉形状の機械加工用サスペンシ
ョンアーム素材を得ることができる。また、鋳造体に塑
性加工を加えることにより、可動冷却板7を開放して直
接冷却媒体を鋳塊1に接触させて得られた鋳造体の開閉
栓側と冷却板側とに生じている機械的特性の差を塑性加
工によってより改善した機械加工用サスペンションアー
ム素材を得ることができる。
【0066】この時所定の塑性加工率を20%(より好
ましくは40%。)として、それ以上の加工率の塑性加
工を加えることによって、機械加工用サスペンションア
ーム素材全体の強度のアップと、強度のばらつきを均一
化することができる。
【0067】所定割合以上の加工率が、一回の塑性加工
で達成されることが好ましい。この場合は、加工工数が
少なくなるので低コストで機械加工用サスペンションア
ーム素材を製造できるからである。
【0068】所定割合以上の加工率が、複数回の塑性加
工で達成されることが好ましい。より複雑な形状の機械
加工用サスペンションアーム素材の形状を得ることがで
きるからである。
【0069】機械加工時の素材や最終製品であるサスペ
ンションアームに要求されている各部の機械的特性に適
合するように各部位の特性を調整することができるから
である。特に、塑性加工が、少なくとも機械加工後に自
在結合部となる部位を含む範囲に対する塑性加工とする
ことによって、自在結合部の機械特性を改善することが
できる。
【0070】上記の塑性加工をどのような組み合わせで
実施するかは、サスペンションアームの形状やそこに使
用される合金によって選択することができる。
【0071】次ぎに、塑性加工装置が配設されている生
産システムを用いたサスペンションアーム素材の製造方
法の例として、塑性加工の一例として鍛造を用いた例に
ついて説明する。自在結合部位の3ヶ所に注湯口痕を備
えた図9(a)の鋳造体を熱間条件で型鍛造して得られ
る機械加工用サスペンションアーム素材を図10(a)
に示す。鍛造品にはバリ40aが付随しており、3ヶ所
の注湯口痕(17a、17b、17c)は痕跡(17
a’、17b’、17c’)として残っている。アーム
の中間には肉薄部(41,42)が形成され、肉薄部は
次のトリム工程にて打ち抜かれて穴(44,45)とな
る(図11(a))。同時にバリ40aも除去されて、
機械加工に供されるサスペンションアーム素材として完
成する。この穴(44,45)は打ち抜くことが強度設
計上可能なので、部材の軽量化を図るために設けられた
もので複雑な形状の一例である。
【0072】この後、自在結合部に機械加工を施して、
ブッシュ又はボールジョイントを挿入するための穴を形
成して、自動車のサスペンション部品のサスペンション
アームとしてとして使用される。
【0073】次ぎに、塑性加工の一例として鍛造を用い
た別の例について説明する。図12(a)は、注湯口痕
がサスペンションアーム素材の投影面の重心部近傍に存
在するときの鋳造体の形状を示す。注湯口痕24は鍛造
により図13(a)のように薄肉部に痕跡24a’とし
て存在する。この痕跡は図14(a)に示すように、次
のトリム工程にて打ち抜かれて穴44となり、機械加工
用サスペンションアーム素材には残らない。
【0074】次ぎに、塑性加工の一例として鍛造を用い
たさらに別の例について説明する。図15(a)は、自
在結合部に有る3ヶ所の注湯口痕(17a、17b、1
7c)は 鍛造によって図16(a)の溝部47の底部
46に痕跡17b’として存在するが、次のトリム工程
にて除去されて自在結合部に対応する溝部300となり
機械加工用サスペンションアーム素材(図17(a))
には残らない。
【0075】次ぎに、塑性加工の一例として鍛造を用い
たさらに別の例について説明する。図22は、サスペン
ションアームの他の例である直線アーム用の素材であ
る。自在結合部に対応する部位は2ヶ所(71、72)
にあって、注湯口痕は自在結合部に対応する部位に残っ
ている(73a、73b)。これを鍛造して平面を見た
のが図23(a)であり、トリムして機械加工用サスペ
ンションアーム素材としたものを平面方向から見たのが
図23(b)である。機械加工してサスペンションアー
ムとなったものを平面方向から見たものを図23(c)
に示す。又、図23(c)のA−A断面を見たのが図2
7(d)である。
【0076】次ぎに、塑性加工の一例として鍛造を用い
たさらに別の例について説明する。図25(a)は、直
線アーム用のアーム部中央に注湯口痕81がある鋳塊
(図24(a))を鍛造し周囲に発生したバリをトリム
した後の機械加工用サスペンションアーム素材を用いて
機械加工した後のサスペンションアームの平面図を示し
たものである。リム82の薄肉部を打ち抜かないので、
注湯口の痕跡83が残っている。図25(c)は、図2
5(a)の断面A−Aを示したものである。
【0077】次ぎに、部分的な塑性加工の一例として鍛
造を用いた例について説明する。図15(a)に示す鋳
塊のアーム部16を残して、自在結合部に対応する部位
(16a、16b、16c)の3ヶ所を部分的に鍛造し
た状態を図18(a)に示す。それぞれの自在結合部位
に対応する部位にはバリ(52a、52b、52c)が
発生し、注湯口痕は痕跡として(17a’、17b’、
17c’)が存在するが、トリム工程にてバリ及び注湯
口痕(17a’、17b’)は、いずれも除去されて機
械加工用サスペンションアーム素材(図19(a))を
得る。部分鍛造は、要求に応じて、自在結合部の全ての
箇所としなくても良く、逆に自在結合部を残してアーム
部の必要な箇所だけを鍛造しても良い。更に、それらの
組み合わせでも良い。複雑な形状を有する自在結合部等
の部位の形状が鋳造では得られないために、部分的な鍛
造を加えることによって、薄肉軽量化や剛性を高めるこ
とができる。また、該部位の機械的特性について鋳塊の
状態よりも特性を改善することができる。本発明によれ
ば正確な形状の鋳造体を得ることができるので、形状を
整える目的においては部分的な鍛造ですむので、必要以
上に鋳塊全体を鍛造に供することがない。その結果、鍛
造の設備が小さくて済み、設備投資金額及び運転経費か
ら見て経済的な製造方法、生産システムである。
【0078】図20は自在結合部の加工率を高くするの
に適した鋳塊の例の図である。注湯口側の部位61の加
工率を冷却板側の部位62よりも高めるために、鋳塊の
高さ(厚さ)を変えて注湯口側の部位61の加工率が高
くなるようにしたものである。
【0079】図21は、下型91に鋳塊92を収容し
て、上型90と下型91とに挟みこんで鍛造する方法に
おいて、自在結合部に対応する部位における、バリ出し
鍛造時の金型と鋳塊とバリの状態の断面を示した図であ
る。この時、自在結合部に対応する部位は下型91と上
型90との間にバリ93を成形することによって加工率
を高くする方法にて成形される。
【0080】アーム部の中間に2つ以上の注湯口痕が存
在するように注湯口を配置することがあるが、次工程ま
たは最終製品に不都合が生じないものであれば、それら
の注湯口痕が、トリムの工程にて打ち抜かれて機械加工
用素材に残っても、残らなくても良い。鍛造方法は、鍛
造時にバリを出して鍛造する自由鍛造や、バリを出さず
に金型内で鍛造形状を造り上げる密閉鍛造など、素材に
成形するに鍛造のしやすさに合わせて選択することがで
きる。
【0081】鍛造済品もしくは得られたバリをトリム工
程で除去した鍛造済品は、熱処理を施すことが好まし
い。熱処理としては、例えば人工時効処理(T6)を挙
げることができる。熱処理として、溶体化処理、戻し処
理を組み合わせるのが好ましい。機械特性、品質をより
改善できるからである。このようにして塑性加工を経た
鋳造体(鋳塊)は機械加工用サスペンションアーム素材
となり、この素材は機械加工工程に供せられる。そし
て、機械加工後にサスペンションアームとなる。
【0082】こうして本発明の製造方法または生産シス
テムで製造された鍛造済品もしくは鍛造済トリム済品
は、自在結合部となる部位において、より改善された機
械特性を有する機械加工用サスペンションアーム素材で
ある。こうして本発明の製造方法または生産システムで
製造された鍛造済品もしくは鍛造済トリム済品は、自在
結合部となる部位内において、例えば冷却部材側と開閉
栓側との間において、機械特性のバラツキがより小さい
機械加工用サスペンションアーム素材である。「鍛造済
トリム済品」とは、鍛造後にトリム工程でバリを除去し
たものあるいは貫通孔をトリム工程で貫通したものであ
る。
【0083】次に、本発明の機械加工用サスペンション
アーム素材の特徴について説明する。この鋳塊400
(図2(a))をアルミニウムもしくはアルミニウム合
金で製造した場合の、自在結合部にあたる機械加工用サ
スペンションアーム素材の凝固方向を含む縦断面の金属
組織について、DAS、結晶粒径、第2相晶出粒子の大
きさに関して説明する。結晶粒径は、例えば偏光顕微鏡
(倍率:×40〜×100)を用いて観察できる。な
お、DASの測定は、軽金属学会発行の「軽金属(19
88)、vol.38,No.1、p54」に記載の
「デンドライトアームスペシング測定手順」に基づいて
行い、また結晶粒径の測定は、同学会発行の「軽金属
(1983)、vol.33,No.2、p111」に
記載の「金属組織」に基づいて行うことができる。第2
相晶出粒子径の測定は画像処理装置を用いることができ
る。第2相晶出粒子とは、共晶ケイ素およびその他の金
属間化合物をいう。画像解析処理装置は、例えばニコン
社製「コスモゾーンR500」を用いることができる。
顕微鏡観察倍率は共晶ケイ素粒子径については、例えば
800倍で行うことができる。更に、鋳造組織内に存在
する鋳巣、ピンホール欠陥、ミクロシュリンケージ等の
空洞欠陥は、顕微鏡倍率は、欠陥の大きさにより20倍
から100倍を利用し、観察視野内の欠陥の大きさと数
の分布とで評価することができる。
【0084】DASについては、上記した一方向性結晶
成長の下で、可動冷却板7(ボトム面B)側から開閉栓
4(トップ面T)側に向かって増大する傾向があるのが
好ましい。ボトム面B側のDASをd1、トップ面T側
のDASをd2と表すと、強制冷却によりd1<d2と
なる。ただし、d2<1.1d1であるとd2の増大傾
向が微小であり一方向性結晶成長の効果がほとんどなく
鋳造欠陥が多くなる条件も含まれてしまう。一方、d2
>6d1であるとd2の増大が過大であり、鋳塊の工業
生産の面から現実的ではない。そこで、d2=1.1d
1〜6d1の範囲にあることが好ましい。より好ましく
はd2=1.1d1〜5d1である。また、一方向性結
晶成長の効果を高くするためには、ボトム面B側でのD
ASは40μm以下であることが好ましい。
【0085】このように強制冷却することにより、20
0μm以上のミクロポロシティ、ミクロシュリンケージ
などの鋳造欠陥が100平方mm以内に1個以内、50
〜200μmの空洞欠陥が10個以内という健全な鋳塊
を製造することができる。
【0086】また、機械加工用サスペンションアーム素
材の金属組織において、等軸晶組織構造を形成する結晶
の結晶粒径についても、DASと同様に、上記した一方
向性結晶成長の下では、ボトム面B側からトップ面T側
に向かって増大する傾向があるのが好ましい。ボトム面
B側の結晶粒径をd1′、トップ面T側の結晶粒径をd
2′と表すと、強制冷却によりd1′<d2′となる。
ただし、d2′<1.05d1′であるとd2′の増大
傾向が微小であり一方向性結晶成長の効果がほとんどな
く鋳造欠陥が多くなる条件も含まれてしまう。一方、d
2′>4.5d1′であるとd2′の増大が過大であ
り、鋳塊の工業生産の面から現実的ではない。そこで、
d2′=1.05d1′〜4.5d1′の範囲にあるこ
とが好ましい。より好ましくはd2′=1.05d1′
〜4d1′である。また、一方向性結晶成長の効果を高
くするためには、ボトム面B側での結晶粒径d1′は平
均して100μm以下であることが好ましい。
【0087】第2相晶出粒子径が、冷却部材側の平均粒
子径に対して開閉栓側の平均粒子径が1.2〜7倍であ
ることが好ましい。第2相晶出粒子が、冷却部材側の平
均粒子径に対して開閉栓側の平均粒子径が1.2〜7倍
(より好ましくは1.25〜5倍)であるのが好まし
い。1.2倍未満では、一方向状態での凝固が達成され
たとは断じ難く、凝固界面が閉ループになって自在結合
部に対応する部位16a、16b、16c(図2
(a))内部に欠陥を生じさせやすくなるので好ましく
ない。
【0088】自在結合部となる部位における、冷却部材
側の引張強度に対して開閉栓側の引張強度が0.8〜1
倍(より好ましくは0.85〜1倍。さらにより好まし
くは0.85〜0.95倍。)の範囲であるのが好まし
い。自在結合部となる部位における、冷却部材側の耐力
に対して開閉栓側の耐力が0.8〜1倍(より好ましく
は0.85〜1倍。さらにより好ましくは0.85〜
0.95倍。)の範囲であるのが好ましい。自在結合部
となる部位における、冷却部材側の伸びに対して開閉栓
側の伸びが0.7〜1倍(より好ましくは0.75〜1
倍、さらに好ましくは0.8〜1倍。)の範囲であるの
が好ましい。これらの範囲未満では冷却媒体が直接鋳塊
1aに接触して凝固したとは断じ得なず、自在結合部の
機械的特性の均一化が確保出来ない。これらの範囲を超
えると一方向状態での凝固が達成されたとは断じ難く、
凝固界面が閉ループになって自在結合部に対応する部位
16a、16b、16c(図2(a))内部に欠陥を生
じさせやすくなるので好ましくない。
【0089】この実施形態では、上記のように、溶湯が
上方に順次凝固される鋳造装置を用いて各種形状の鋳塊
を製造する。さらに鋳塊に対して塑性加工を施し、この
塑性加工により、自在結合部位の機械的特性を改善し、
バラツキをなくして機械的特性を全体として均一なもの
としている。すなわち、前述のような、キャビティ内の
溶湯を上方に順次凝固させるとともに、自在結合部とな
る部位を含む位置の冷却部材を優先的に開放して冷媒を
直接部材に接触させてさらに強制冷却して凝固させて鋳
塊を得ることができる本発明の鋳造装置を用いて各種形
状の鋳塊を製造し、必要に応じてさらに鋳塊に対して前
述したような塑性加工を施すことにより、本発明の機械
加工用サスペンションアーム素材を得ることができる。
【0090】なお、ここで、材料の塑性変形を利用して
目的の形状、性質を与える加工を総称して塑性加工とい
うこととする。例えば鍛造(冷間、熱間)、鍛伸据込加
工、ロータリフォージング(転動加工)等を挙げること
ができる。また、塑性加工の加工率Kは、例えば据込加
工のような場合は、(初期高さ−変形後の高さ)÷(初
期高さ)×100%であり、また押出しのような場合
は、(初期断面積−変形後の断面積)÷(初期断面積)
×100%である。また複雑な成形形状においては、成
形シュミレーションによって塑性加工率を算出すことが
できる。
【0091】以下に、具体的な実施例を示して説明す
る。 (実施例1)サスペンションアームの一種であるアッパ
ーアームを製造するに用いる機械加工用素材を製造し
た。JISAC4C合金溶湯を他の溶解設備(図省略)
で溶製し、その溶湯を図1に示す鋳造装置110の受槽
壁3aで囲まれた溶湯受槽に移送し、それを鋳型3に注
湯して、重量が2.5kgの鋳塊400(図2(a))
を鋳込んだ。ブッシュが挿入される部位に対応する部位
16a、16bは、一辺が40mmの正方形で、高さが
60mm、かつ3°の鋳型からの抜き勾配を備えた自在
結合部に対応する部位であり、ボールジョイントが挿入
される部位に対応する部位16cの冷却板側及び注湯口
側の、それぞれの頂部の半径は25mmで、高さが60
mm、かつ3°の鋳型からの抜き勾配を備えた自在結合
部に対応する部位であり、そして、アーム部の板厚が3
5mm、鋳塊の外接円径がφ400のアッパーアーム素
材400(図2(a))を鋳造した。溶製した合金の化
学成分は表1に示す通りであり、鋳造条件は表2に示す
通りであった。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】得られたアッパーアーム素材に525℃×
8時間保持の均質化処理を施した。このアッパーアーム
素材に人工時効処理(T6処理)を行って機械加工に供
するアッパーアーム素材を得た。ここで、T6処理条件
として、525℃×8時間保持後に水焼き入れを行う溶
体化処理処理と、その後に170℃×8時間保持の戻し
処理とを行った。
【0095】得られたアッパーアーム素材の機械特性等
を調べる目的で、T6処理を施した状態のアッパーアー
ム素材から自在結合部に対応する部位16a(図2
(a))を切り出し、角柱体130(図29)とした。
角柱体130には、注湯口痕17cが付いている。
【0096】その後、角柱体130から引っ張り試験用
の短冊体を切り出し、引っ張り試験片に削り出した。試
験片の形状は、ASTM規格の「E8−99、Fig
8」における公称径0.113インチの寸法規格に合致
している。引張試験片の採取位置は、図29に示す角柱
部材130のX,Y,Z位置であって、Xは得られた鋳
塊のトップ面Tの近傍、Yは中間、Zはボトム面Bの近
傍にそれぞれ対応している。
【0097】引張試験は、島津製作所製のオートグラフ
を用いて行い、引張試験速度は1mm/分にて行った。
評価項目は引張強度、0.2%耐力、および伸びの3項
目である。
【0098】更に、引っ張り試験片採取場所と同一ヶ所
から、金属組織を観察するための試験片を採取した。
【0099】(比較例1)上記実施例1と比較するため
に、従来の鋳造方法である図26の鋳造装置115を使
用して鋳塊116(図27(a))を得た。この鋳造方
法は、固定冷却板6の自在結合部に該当する部位は開放
しないので、冷却媒体14aは直接鋳塊に接触すること
はない。自在結合部に該当する部位を開放する機構を有
していないこと以外は実施例1と同様の装置を用いた。
この装置を用いて、表3の鋳造条件の下で、実施例1と
同一合金溶湯、同一形状の鋳塊を鋳造し、同一熱処理条
件にて均質化処理を施した後、実施例1と同じ要領で引
張試験片を作成した。又、顕微鏡観察用の試験片の採取
位置も同一であり、観察項目や、観察方法も同一とし
た。
【0100】
【表3】
【0101】試験結果1 DASの測定結果を表4に、第2相晶出粒子径の測定結
果を表5に、欠陥の大きさの分布を表6に示す。平均値
を比較すると、実施例1、比較例1ともに鋳塊下面より
1mm内部の平均DAS、平均第2相粒子径はほぼ同じ
であるのに、DASの各測定位置と下面との比は(各測
定点の値/下面の値)、下面から上面に向かうにつれて
漸増しており、上面から1mm内部の実施例1の値は
4.27であり、比較例1の値は7.28であった。第
2相粒子の平均径の比も同様なことが言え、実施例1の
値は4.73、比較例1では8.12であった。内部に
存在する欠陥の状況は、比較例に比べて、実施例の方が
欠陥の大きさと数は激減していた。機械的特性(表7)
についても、鋳塊下面近傍の値は実施例、比較例ともに
ほぼ同一であるが、上面と下面との比は実施例1の方が
比較例1の値よりも大きな値を示した。可動冷却板7を
開放して凝固途中で鋳塊下面に直接冷却水を接触するこ
とによって、明らかに鋳塊の金属組織の上下の差は小さ
く、機械的特性の差も小さくなって、上下のばらつきが
解消された。
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】(実施例2)JIS6061合金につい
て、実施例1と同一の図1の鋳造装置110を使用し
て、同一形状の鋳塊400(図2(a))を得た。溶製
した合金の化学成分は表1に示す通りであり、鋳造条件
は表8に示す通りであった。溶湯には、記載を省略した
溶解設備の中の溶湯中に金属組織の微細化材として、A
l―5%Ti―1%B(濃度はいずれも質量%)をTi
量で0.01%添加した。得られた鋳塊に550℃×8
時間保持による均質化処理を施し、その後この鋳塊から
自在結合部に対応する部位16a(図2(a))を切り
出して角柱体130(図28(a))とした。この角柱
体130を420℃に予備加熱し、400トンメカニカ
ルプレスを使用し、表9に示す条件で据え込み鍛造加工
を行って鍛伸部材133(図28(b))を作成した。
据え込み鍛造加工は図28(a)、28(b)の矢印に
示すように、高さ60mmを薄くする方向で行い、加工
率(据込率)Kは、0,20,40,60%の4水準と
した。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】据え込み加工後、鍛伸部材に人工時効処理
(T6)を実施した。溶体化処理条件は520℃×6時
間、戻し処理は180℃×8時間であった。その後、金
属組織観察用の試験片をトップ面より1mm内部、同1
0mm内部、中心部、ボトム面から10mm内部、同1
mm内部の合計5ヶ所から採取した。次いで引っ張り試
験片を加工率にかかわらず、図28(c)に示すように
鍛伸部材133のトップ面から5mm内部(X)、中心
部(Y)、ボトム面から5mm内部(Z)の3ヶ所から
採取した。
【0110】(比較例2)図26の鋳造装置115を用
い、実施例2と同一の溶湯を使用して表10の条件にて
鋳造し、図27の鋳塊を得た。これより自在結合部に対
応する部位116aから角柱体130(図28(a))
を切り出し、熱間で据え込み鍛造して鍛伸部材133を
得た。該鍛伸部材をT6処理した後に金属組織観察用の
試験片と引っ張り試験片とを採取し、引っ張り試験に供
した。これらの条件は全て実施例2と同じであった。
【0111】
【表10】
【0112】試験結果2 DAS、結晶粒径、欠陥の大きさの結果を表11,1
2,13に示す。DAS及び結晶粒径の大きさは、下面
にては差が無く、上面に行くほど大きくなる事と、各測
定位置と下面との比も同じく大きくなった。しかも、上
面より1mm内部のそれらの比は、比較例2よりも実施
例2の方が、明らかに小さかった。また、比較例2に比
べて実施例2の方が、内部に存在する欠陥の数、大きさ
が改善されているのがわかる。次に鍛伸加工材の機械的
特性の結果を表14に、測定位置と下面との比を表15
に示す。実施例2と比較例2との加工率0%の、引っ張
り強度(強度)、耐力(0.2%耐力)、伸びともに下
面での値はほぼ等しいが、上面では低くなり比較例2の
方がその差は大きい。塑性加工を加えると、加工率が大
きくなるにつれて上面と下面との差は縮まる傾向にあっ
て、実施例2では、加工率が20%を超えると強度、耐
力、伸びともに比は0.9を超え、飽和に近づいた。し
かし、比較例2は60%に達しても飽和にならず、強
度、耐力の比はともに、0.8未満で、伸びは0.7未
満であった。これからも、直接、冷却水を鋳塊下面に接
触させる効果が確認出来た。
【0113】
【表11】
【0114】
【表12】
【0115】
【表13】
【0116】
【表14】
【0117】
【表15】
【0118】試験結果に基づき、実施例2と同様の方法
で得られた鋳造体を、符号16b(図2(a))の部位
が符号301(図17(a))に示す形状となるように
鍛造しさらにバリをトリム加工することでアッパーアー
ム素材を得た。得られた形状を、鍛造シュミレーションで
゛確認したところ符号301の部位の塑性加工率は43
%相当であった。
【0119】(実施例3)実施例2の鋳塊から切り出し
た角柱体130(図28(a)、図29)を、熱間鍛造
にて据え込み加工を行い、鍛伸部材を作成した。鍛伸加
工は、表9の加工率Kが20%の鍛造条件を2回繰り返
して実施し合計で40%とした。図28(a)、図28
(b)の矢印に示すように、厚さ60mmを薄くする方
向で、加工率20%を2回行い、合計の加工率Kが40
%となるように実施した。その後、試験片の熱処理と試
験片の採取を行い、次いで引っ張り試験を行って機械的
特性値を得たが、それらはいずれも実施例2で行ったの
と同じ要領であった。
【0120】(比較例3)比較例2で得た角柱体を、実
施例3と同じ要領で、鍛伸部材を作成し、実施例3で行
ったのと同じ要領で機械的特性値を得た。
【0121】(比較例4)比較例4として、実施例2で
使用したのと同一の溶湯を使用して、特公昭54−42
847号公報にて開示されている気体加圧式ホットトッ
プ鋳造法によって、50mmφの連続鋳造棒(鋳塊)を
鋳込んだ。その時の鋳造条件を表16に示す。
【0122】
【表16】
【0123】得られた連続鋳造棒(鋳塊を)均質化処理
後、40mmφへと皮むきし、更に厚さ60mmに輪切
りに切断した。その後輪切りにした面を据え込み面とし
て、実施例3と同じ要領にて2回の 熱間鍛造を行って
合計の加工率Kが40%の鍛伸部材を得た。機械的性質
の値の採取の仕方も実施例3と同一であった。結果を実
施例3と比較した。
【0124】試験結果3 機械的特性の測定結果を表17に、比を表18に示す。
実施例3は、合計40%の加工率で、上下の差はほぼ無
くなって、飽和の機械的特性を示すのに対して、比較例
3は、上下の差が大きく有り、強度、耐力ともに比は
0.8以下であり、伸びも0.7以下であった。更に連
続鋳造棒を使用した比較例4は、各測定点ともにほぼ同
じ値を示した。実施例3と比較例4の値を比較してみる
と、それらはほぼ同じ値を示し、当発明による鋳塊は、
塑性加工により、現在多用されている連続鋳造棒に匹敵
する特性を示すことがわかる。
【0125】
【表17】
【0126】
【表18】
【0127】試験結果に基づき、実施例3と同様の方法
で得られた鋳造体を、符号16b(図2(a))の部位
が符号150(図19(a))に示す形状となるように
鍛造しさらにバリをトリム加工することでアッパーアー
ム素材を得た。得られた形状を、鍛造シュミレーションで
゛確認したところ符号150の部位の塑性加工率は45
%相当であった。以上述べたように、この発明の実施形
態では、自在結合部の冷却を、凝固途中で冷却板の一部
を開放して冷却水を直接鋳塊下面に接触することによっ
て凝固速度を速めて鋳塊400(図2(a))を得る。
これにより、開閉栓側で劣っていた機械的特性を著しく
改善することができ、その素材全体の強度をアップする
ことができるとともに、素材内での強度のバラツキも小
さくすることができる。更に、鋳塊400(図2
(a))に塑性加工を施して塑性加工部材を得るように
すると、開閉栓側の機械的特性を更に改善することがで
き、その部材全体の強度や伸びをアップすることができ
るとともに、それらのバラツキもより小さくすることが
できる。そして機械加工用サスペンションアーム素材と
して、鋳造体を使用するか、さらに塑性加工を経たもの
を使用するかは、サスペンションアームに求められる、
コストと設計上の機械的特性や形状とのバランスにより
決定される。しかし、材料特性にばらつきが少ないもの
ほど、使用上の制約が少ないので有利といえる。
【0128】従来から、一方向性凝固鋳造法による鋳塊
は、内部品質に優れ、また寸法や重量のバラツキも小さ
いため、VTRヘッドドラム用素材としては活用されて
いた。本発明の素材は、前述したように、これらの特性
に加え、部材全体の機械的特性を向上させ、また機械的
特性のバラツキも小さいものとしたので、強度を要する
サスペンションアーム用機械加工部材としても大いに利
用できるようになった。
【0129】なお、上記の各実施例では、塑性加工を鍛
伸加工、熱間鍛造であるとして説明したが、本発明は、
サスペンションアームに用いる機械加工部材を製造する
ためにその他の、例えば冷間鍛造、ロータリフォージン
グ(転動加工)、等の塑性加工技術を適用することがで
きる。
【0130】また、上記の塑性加工済の鋳造体は、鋳塊
に塑性加工を施して得られるものであるが、この塑性加
工済の鋳造体は、最終的な機械加工用サスペンションア
ーム素材であってもよいし、機械加工用サスペンション
アーム素材とするにはその後さらに何らかの加工を要す
る中間加工品であってもよい。
【0131】また、塑性加工時の加圧方向を、幅方向や
厚さ方向として説明したが、この方向は任意の方向であ
っても同様の効果を発揮させることができる。
【0132】上記したような製造方法によって、鋳塊、
あるいは少なくとも20%以上の塑性加工が施されて機
械的特性のバラツキをなくした機械加工用サスペンショ
ンアーム素材は、本発明の効果を得られる範囲であれ
ば、機械加工用サスペンションアーム用素材だけではな
く、他の用途として例えば以下の例があげられる。
【0133】先ず、自動車の足廻り部品としては、AB
Sポンプハウジング等が挙げられる。次に、自動車のエ
ンジン廻り部品としては、コネクティングロッド、GD
Iボディー、内燃エンジンピストン等が挙げられる。オ
ートバイ用には、クッションアーム、ブラケット、フォ
ークボトムブリッジ等が挙げられる。また、自転車部品
としては、ギヤークランク等が挙げられる。
【0134】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は、注湯
口に設けられた開閉栓の端面が鋳型内面の一部を構成す
ると共に冷却部材が一部を構成する閉塞性の鋳型を用
い、該注湯口から充填した金属溶湯を冷却部材で冷却し
て凝固殻を形成する工程と、機械加工後に自在結合部と
なる部位を含む位置の冷却部材を優先的に開放して冷媒
を直接部材に接触させてさらに強制冷却して凝固させて
鋳塊を得る工程とを含むことを特徴とする機械加工用サ
スペンションアーム素材の製造方法であるので、機械特
性が改善された機械加工用サスペンションアーム素材を
容易に安定して量産できる。
【0135】また、強制冷却して凝固させた鋳塊に所定
の加工率以上の塑性加工を加えることにより、開閉栓側
の機械的特性を改善し冷却部材側との差を小さくした機
械加工用サスペンションアーム素材を容易に安定して量
産できる。また得られた、機械加工用サスペンションア
ーム素材は、従来の一方向性結晶成長による塑性加工部
材よりも機械特性を改善することができる。
【0136】本発明の機械加工用サスペンションアーム
素材は、一方向性結晶成長による塑性加工部材であるの
で内部品質に優れ、また寸法や重量のバラツキも小さい
上にさらに素材の強度がアップし、また塑性加工を加え
ることで強度のバラツキも均一化させるようにしたの
で、高性能なサスペンション機構に用いることが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の機械加工用サスペンションアーム素
材を製造する方法に用いる鋳造装置の例を概略的に示す
断面側面図である。
【図2】本発明の機械加工用サスペンションアーム素材
の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図で
ある。
【図3】この発明の機械加工用サスペンションアーム素
材を製造する方法に用いる鋳造装置の別の例を概略的に
示す図である。
【図4】本発明の機械加工用サスペンションアーム素材
の例の図である。注湯口痕が、(a)はアーム部の中央
部に1箇所、(b)は2箇所、(c)は自在結合部と本
体とにそれぞれ1箇所、存在する例の図である。
【図5】本発明の機械加工用サスペンションアーム素材
の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図で
ある。(c)は機械加工後のサスペンションアームの図
である。
【図6】本発明の機械加工用サスペンションアーム素材
の機械加工後の例の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図である。
【図7】本発明の機械加工用サスペンションアーム素材
の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図で
ある。
【図8】本発明の機械加工用サスペンションアーム素材
の機械加工後の例の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図である。
【図9】本発明の機械加工用サスペンションアーム素材
の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図で
ある。
【図10】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造途中の説明の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図である。
【図11】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の鍛造トリム後の一例の図である。(a)は平面図
で、(b)は側面図である。
【図12】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図
である。
【図13】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造途中の説明の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図である。
【図14】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の鍛造トリム後の一例の図である。(a)は平面図
で、(b)は側面図である。
【図15】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図
である。
【図16】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造途中の説明の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図である。
【図17】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の鍛造トリム後の一例の図である。(a)は平面図
で、(b)は側面図である。
【図18】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造途中の説明の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図である。
【図19】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の鍛造トリム後の一例の図である。(a)は平面図
で、(b)は側面図である。
【図20】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造途中の説明の図である。
【図21】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の製造途中の説明の図である。
【図22】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材に用いる鋳造体の例の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図である。
【図23】本発明のサスペンションアームの製造途中の
説明の図である。(a)、(a−1)はサスペンション
アーム素材の製造途中の説明図で、(b)、(b−1)
はサスペンションアーム素材の機械加工前の図、
(c)、(c−1)は機械加工後の図、(d)は(c)
の断面図である。
【図24】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図
である。
【図25】本発明の機械加工用サスペンションアーム素
材の機械加工後の例の図である。(a)は平面図で、
(b)は側面図で、(c)は断面図である。
【図26】比較例に用いた装置の概略図である。
【図27】比較例の機械加工用サスペンションアーム素
材の例の図である。(a)は平面図で、(b)は側面図
である。
【図28】実施例の試験評価方法を説明する図である。
【図29】実施例の試験評価方法を説明する図である。
【符号の説明】
1:鋳造体、1a:凝固途中の鋳塊、1b:凝固界面、
1c:キャビティ内を満たしている金属溶湯、2:受槽
内の溶湯、3:主鋳型、3a:受槽壁、3b:上壁、3
c:側壁、3d:注湯口のテーパ状部分、3e:注湯
口、4:開閉栓、4a:開閉栓のテーパ部、4b:開閉
栓の嵌合部、6:固定冷却板、7:可動冷却板、6a、
7a:冷却部材に設けられた細孔、8:冷却板駆動装
置、8a:ピストンシリンダー、8b:ピストンロッ
ド、9:支持具、14:可動冷却板を冷却するスプレ
ー、16:アーム部、16a、16b、16c:自在結
合部に対応する部位、17a、17b、17c:注湯口
痕、17a’、17b’、17c’:塑性加工後に残る
痕跡、20a:可動冷却板、20c:喋番、21b:シ
リンダー式ピストン、24:注湯口痕、24a’:塑性
加工後に残る痕跡、31a、31b、31c:注湯口
痕、31a’、31b’:機械加工後に残る注湯口痕、
32a、32b、34a、34b、38a、38b:ブ
ッシュ挿入穴または自在結合部の穴、33c、35c、
38c:機械加工後のボールジョイント用穴、35a、
35b:アスクル側結合部との接触面、40a:バリ、
41,42:肉薄部、44,45:トリム工程にて打ち
抜かれた穴、47:鍛造済品の溝部、46:鍛造済品の
底部、52a、52b、52c:バリ、61:注湯口側
の部位、62:冷却板側の部位、71、72:自在結合
部に対応する部位、73a、73b:注湯口痕、81:
注湯口痕、82:リム、83:加工後に残る注湯口痕の
痕跡、90:上型、91:下型、92:鋳塊、93:バ
リ、101:ケース、102:キャビティ、110:鋳
造装置、115:比較例に用いた鋳造装置、116:比
較例の鋳塊116a:比較例の自在結合部に対応する部
位、120:固定冷却板を冷却するスプレー、130:
試験片用角柱体、133:試験片用鍛伸部材、150:
自在結合部に対応する部位、200a、200b:注湯
口痕、300:自由結合部に対応する溝部、301:自
在結合部に対応する部位、400:機械加工用サスペン
ションアーム素材、516:アーム部、X,Y,Z:引
張試験片の採取位置位置、
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22C 9/22 B22C 9/22 Z B22D 25/02 B22D 25/02 Z B60G 7/00 B60G 7/00 (72)発明者 内田 友生 福島県喜多方市字長内7840 昭和電工株式 会社内 (72)発明者 福田 政志 福島県喜多方市字長内7840 昭和電工株式 会社内 Fターム(参考) 3D001 AA17 DA04 4E087 BA04 BA20 BA24 CA02 CA11 CA47 CB01 CB03 CB12 HA21 HA82 4E093 PA03 TA10

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アーム部の少なくとも一端に他部材を取り
    付ける自在結合部を有するサスペンションアームの製造
    に用いる機械加工用サスペンションアーム素材の製造方
    法において、注湯口に設けられた開閉栓の端面が鋳型内
    面の一部を構成すると共に冷却部材が一部を構成する閉
    塞性の鋳型を用い、該注湯口から充填した金属溶湯を冷
    却部材で冷却して凝固殻を形成する工程と、機械加工後
    に自在結合部となる部位を含む位置の冷却部材を優先的
    に開放して冷媒を直接部材に接触させてさらに強制冷却
    して凝固させて鋳塊を得る工程とを含むことを特徴とす
    る機械加工用サスペンションアーム素材の製造方法。
  2. 【請求項2】開閉栓を鋳塊の機械加工により打ち抜かれ
    る部位または機械加工によって除去される部位に配設す
    ることを特徴とする請求項1に記載の機械加工用サスペ
    ンションアーム素材の製造方法。
  3. 【請求項3】開閉栓を鋳塊の機械加工後に自在結合部と
    なる部位に配設することを特徴とする請求項1に記載の
    機械加工用サスペンションアーム素材の製造方法。
  4. 【請求項4】開閉栓を複数箇所に配設することを特徴と
    する請求項2または3に記載の機械加工用サスペンショ
    ンアーム素材の製造方法。
  5. 【請求項5】冷媒が、水であることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンシ
    ョンアーム素材の製造方法。
  6. 【請求項6】冷媒の流量を、鋳塊の冷却を受ける面の1
    平方センチメートル当たり、毎分20〜500mlの範
    囲にて直接部材に接触させることを特徴とする請求項1
    乃至5のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンショ
    ンアーム素材の製造方法。
  7. 【請求項7】強制冷却して凝固させた鋳塊に塑性加工を
    加えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項
    に記載の機械加工用サスペンションアーム素材の製造方
    法。
  8. 【請求項8】所定の加工率以上の塑性加工を加えること
    を特徴とする請求項7に記載の機械加工用サスペンショ
    ンアーム素材の製造方法。
  9. 【請求項9】所定割合以上の加工率は一回の塑性加工で
    達成されることを特徴とする請求項8に記載の機械加工
    用サスペンションアーム素材の製造方法。
  10. 【請求項10】所定割合以上の加工率は複数回の塑性加
    工で達成されることを特徴とする請求項8に記載の機械
    加工用サスペンションアーム素材の製造方法。
  11. 【請求項11】所定割合は20%であることを特徴とす
    る請求項8乃至10のいずれか1項に記載の機械加工用
    サスペンションアーム素材の製造方法。
  12. 【請求項12】所定割合は40%であることを特徴とす
    る請求項8乃至10のいずれか1項に記載の機械加工用
    サスペンションアーム素材の製造方法。
  13. 【請求項13】塑性加工は機械加工用部材の部分的な範
    囲に対する塑性加工であることを特徴とする請求項7乃
    至12のいずれか1項に記載の機械加工用サスペンショ
    ンアーム素材の製造方法。
  14. 【請求項14】塑性加工は少なくとも機械加工後に自在
    結合部となる部位を含む範囲に対する塑性加工であるこ
    とを特徴とする請求項7乃至13のいずれか1項に記載
    の機械加工用サスペンションアーム素材の製造方法。
  15. 【請求項15】塑性加工は鍛造(冷間、熱間)、鍛伸据
    込加工、ロータリフォージング(転動加工)から選ばれ
    るいずれか1種または2種以上であることを特徴とする
    請求項7乃至14のいずれか1項に記載の機械加工用サ
    スペンションアーム素材の製造方法。
  16. 【請求項16】金属がアルミニウムまたはアルミニウム
    合金であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれ
    か1項に記載の機械加工用サスペンションアーム素材の
    製造方法。
  17. 【請求項17】アーム部の少なくとも一端に他部材を取
    り付ける自在結合部を有するサスペンションアームの製
    造に用いる機械加工用サスペンションアーム素材であっ
    て、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の機械加工
    用サスペンションアーム素材の製造方法によって製造さ
    れた機械加工用サスペンションアーム素材。
  18. 【請求項18】冷却部材側における金属組織の平均DA
    Sに対して開閉栓側における金属組織の平均DASが
    1.1〜6倍であることを特徴とする請求項17に記載
    の機械加工用サスペンションアーム素材。
  19. 【請求項19】冷却部材側における金属組織の平均結晶
    粒径に対して開閉栓側における金属組織の平均結晶粒径
    が1.05〜4.5倍であることを特徴とする請求項1
    7または18に記載の機械加工用サスペンションアーム
    素材。
  20. 【請求項20】第2相晶出粒子径が、冷却部材側の平均
    粒子径に対して開閉栓側の平均粒子径が1.2〜7倍で
    あることを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1
    項に記載の機械加工用サスペンションアーム素材。
  21. 【請求項21】自在結合部となる冷却部材側の部位の引
    張強度が開閉栓側の引張強度に対して0.8〜1倍であ
    ることを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1項
    に記載の機械加工用サスペンションアーム素材。
  22. 【請求項22】自在結合部となる冷却部材側の部位の耐
    力が開閉栓側の耐力に対して0.8〜1倍であることを
    特徴とする請求項17乃至21のいずれか1項に記載の
    機械加工用サスペンションアーム素材。
  23. 【請求項23】自在結合部となる冷却部材側の部位の伸
    びが開閉栓側の伸びに対して0.7〜1倍であることを
    特徴とする請求項17乃至22のいずれか1項に記載の
    機械加工用サスペンションアーム素材。
  24. 【請求項24】自在結合部となる冷却部材側の部位の伸
    びが開閉栓側の伸びに対して0.8〜1倍であることを
    特徴とする請求項17乃至22のいずれか1項に記載の
    機械加工用サスペンションアーム素材。
  25. 【請求項25】アーム部の少なくとも一端に他部材を取
    り付ける自在結合部を有するサスペンションアームの製
    造に用いる機械加工用サスペンションアーム素材の生産
    システムが、注湯口に設けられた開閉栓の端面が鋳型内
    面の一部を構成すると共に、注湯口から充填した金属溶
    湯を冷却する冷却部材が一部を構成する閉塞性の鋳型
    と、凝固を開始するための冷却部材を冷却する手段と、
    機械加工用部材の自在結合部を含む範囲に優先的に冷媒
    を直接接触させて強制冷却するために自在結合部を含む
    範囲の冷却部材を優先的に開放する手段と、冷媒を直接
    機械加工用部材に接触させる手段と、を有する鋳造装置
    を含むことを特徴とする機械加工用サスペンションアー
    ム素材の生産システム。
  26. 【請求項26】冷却部材の開放手段が冷却部材を水平方
    向に直線状及び/又は旋回してスライドさせて開放する
    機構を有していることを特徴とする請求項25に記載の
    機械加工用サスペンションアーム素材の生産システム。
  27. 【請求項27】冷却部材の開放手段が冷却部材の一端が
    蝶番にて鋳造装置又は他の冷却部材に固定された状態
    で、他端を止めている留め金をはずすことによって冷却
    部材を開放する機構であることを特徴とする請求項25
    に記載の機械加工用サスペンションアーム素材の生産シ
    ステム。
  28. 【請求項28】冷却部材の開放手段が冷却部材の一端が
    蝶番にて鋳造装置又は他の冷却部材に固定された状態
    で、開放する冷却部材に取り付けられた伸縮自在の駆動
    装置を作動させることによって冷却部材を開放する機構
    であることを特徴とする請求項25に記載の機械加工用
    サスペンションアーム素材の生産システム。
  29. 【請求項29】冷却部材の開放手段が伸縮自在の駆動装
    置を作動させることによって冷却部材を開放する機構で
    あることを特徴とする請求項25に記載の機械加工用サ
    スペンションアーム素材の生産システム。
  30. 【請求項30】駆動装置が油圧式シリンダー方式、空圧
    式シリンダー方式、電動式シリンダー方式、電磁式シリ
    ンダー方式、から選ばれる1種または2種以上の組み合
    わせであることを特徴とする請求項28または29に記
    載の機械加工用サスペンションアーム素材の生産システ
    ム。
  31. 【請求項31】冷媒を直接機械加工用部材に接触させる
    手段が、冷媒を噴霧状にして、その流量を鋳塊の冷却を
    受ける面の1平方センチメートル当たり、毎分20〜5
    00mlの範囲として、直接部材に接触させる機構を有
    していることを特徴とする請求項25乃至30のいずれ
    か1項に記載の機械加工用サスペンションアーム素材の
    生産システム。
  32. 【請求項32】アーム部の少なくとも一端に他部材を取
    り付ける自在結合部を有するサスペンションアームの製
    造に用いる機械加工用サスペンションアーム素材の生産
    システムが、鋳造装置の後に鋳塊の重量を自動計量する
    自動重量計量装置が配設されていることを特徴とする請
    求項25乃至31のいずれか1項に記載の機械加工用サ
    スペンションアーム素材の生産システム。
  33. 【請求項33】アーム部の少なくとも一端に他部材を取
    り付ける自在結合部を有するサスペンションアームの製
    造に用いる機械加工用サスペンションアーム素材の生産
    システムが、鋳造装置の後に、所定の加工率以上の塑性
    加工を加える塑性加工装置が配設されていることを特徴
    とする請求項25乃至32のいずれか1項に記載の機械
    加工用サスペンションアーム素材の生産システム。
  34. 【請求項34】塑性加工装置が、鍛造(冷間、熱間)装
    置、鍛伸据込加工装置、ロータリフォージング(転動加
    工)装置から選ばれるいずれか1種または2種以上の塑
    性加工装置であることを特徴とする請求項33に記載の
    機械加工用サスペンションアーム素材の生産システム。
  35. 【請求項35】アーム部の少なくとも一端に他部材を取
    り付ける自在結合部を有するサスペンションアームの製
    造に用いる機械加工用サスペンションアーム素材に用い
    る鋳塊を製造する鋳造装置において、注湯口に設けられ
    た開閉栓の端面が鋳型内面の一部を構成すると共に、注
    湯口から充填した金属溶湯を冷却する冷却部材が一部を
    構成する閉塞性の鋳型と、凝固を開始するための冷却部
    材を冷却する手段と、機械加工用部材の自在結合部を含
    む範囲に優先的に冷媒を直接接触させて強制冷却するた
    めに自在結合部を含む範囲の冷却部材を優先的に開放す
    る手段と、冷媒を直接機械加工用部材に接触させる手段
    と、を含むことを特徴とする鋳造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102489673A (zh) * 2011-12-01 2012-06-13 南车戚墅堰机车车辆工艺研究所有限公司 机车定位转臂铸件的铸造方法
CN112276046A (zh) * 2020-09-15 2021-01-29 安徽省一鸣新材料科技有限公司 一种泡沫铝生产用冷却装置
CN113369430A (zh) * 2021-06-30 2021-09-10 重庆凯斯瑞机电设备有限公司 高强度下横臂锻造工艺

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