JP2003326114A - 排水の濾過方法 - Google Patents

排水の濾過方法

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JP2003326114A JP2003086380A JP2003086380A JP2003326114A JP 2003326114 A JP2003326114 A JP 2003326114A JP 2003086380 A JP2003086380 A JP 2003086380A JP 2003086380 A JP2003086380 A JP 2003086380A JP 2003326114 A JP2003326114 A JP 2003326114A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、ダイシング、CMP等の機械的加工に
より発生する研磨屑、研削屑が混入された排水は、凝集
沈殿法またはフィルタ濾過と遠心分離を組み合わせた二
通りで処理されていた。しかし前者では、濾過水に薬品
が混入し、濾過水の再利用が行えず、また後者は、シス
テムとして大きくなり、イニシャルコスト、ランニング
コストが高い問題を有していた。 【解決手段】 第1のタンク75には、凹凸を有した第
1のフィルタ10にトラップされた固形物12を第2の
フィルタ13として活用して濾過をする。この第2のフ
ィルタ13の表面に外力を与えると、固形物13の移動
が可能となり目詰まりを防止することができる。そして
濾過の継続が可能となり、CMP排水の濃度を高めるこ
とが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水の濾過方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、産業廃棄物を減らすこと、また産
業廃棄物を分別し再利用することまたは産業廃棄物を自
然界に放出させないことが、エコロジーの観点から重要
なテーマであり、21世紀へ向けての企業課題である。
この産業廃棄物の中には、被除去物が含まれた色々な流
体がある。
【0003】これらは、汚水、排水、廃液等の色々な言
葉で表現されているが、以下、水や薬品等の流体中に被
除去物である物質が含まれているものを排水と呼び説明
する。これらの排水は、高価な濾過処理装置等で前記被
除去物が取り除かれ、排水がきれいな流体となり再利用
されたり、分別された被除去物または濾過できず残った
ものを産業廃棄物として処理している。特に水は、濾過
により環境基準を満たすきれいな状態にして川や海等の
自然界に戻されたり、また再利用される。
【0004】しかし、濾過処理等の設備費、ランニング
コスト等の問題から、これらの装置を採用することが非
常に難しく、環境上の問題になっている。
【0005】このことからも判るように、排水処理の技
術は、環境汚染の意味からも、またリサイクルの点から
も重要な問題であり、低イニシャルコスト、低ランニン
グコストのシステムが早急に望まれている。
【0006】一例として、半導体分野に於ける排水処理
を以下に説明していく。一般に、金属、半導体、セラミ
ック等の板状体を研削または研磨する際、摩擦による研
磨(研削)治具等の温度上昇防止、潤滑性向上、研削屑
または切削屑の板状体への付着等が考慮され、水等の流
体が研磨(研削)治具や板状体にシャワーリングされて
いる。
【0007】具体的には、半導体材料の板状体である半
導体ウェハをダイシングしたり、バックグラインドする
際、純水を流す手法が取られている。ダイシング装置で
は、ダイシングブレードの温度上昇防止のために、また
ダイシング屑がウェハに付着するのを防止するために、
半導体ウェハ上に純水の流れを作ったり、ブレードに純
水が当たるように放水用のノズルが取り付けられ、シャ
ワーリングされている。またバックグラインドでウェハ
厚を薄くする際も、同様な理由により純水が流されてい
る。
【0008】前述したダイシング装置やバックグライン
ド装置から排出される研削屑または研磨屑が混入された
排水は、濾過されてきれいな水にして自然界に戻した
り、あるいは再利用され、濃縮された排水は、回収され
ている。
【0009】現状の半導体製造に於いて、Siを主体と
する被除去物(屑)の混入された排水の処理には、凝集
沈殿法、フィルタ濾過と遠心分離機を組み合わせた方法
の二通りがある。
【0010】前者の凝集沈殿法では、凝集剤としてPA
C(ポリ塩化アルミニウム)またはAl2(SO4)3
(硫酸バンド)等を排水の中に混入させ、Siとの反応
物を生成させ、この反応物を取り除くことで、排水の濾
過をしていた。
【0011】後者の、フィルタ濾過と遠心分離を組み合
わせた方法では、排水を濾過し、濃縮された排水を遠心
分離機にかけて、シリコン屑をスラッジとして回収する
とともに、排水を濾過してできたきれいな水を自然界に
放出したり、または再利用していた。
【0012】例えば、図18に示すように、ダイシング
時に発生する排水は、原水タンク201に集められ、ポ
ンプ202で濾過装置203に送られる。濾過装置20
3には、セラミック系や有機物系のフィルタFが装着さ
れているので、濾過された水は、配管204を介して回
収水タンク205に送られ、再利用される。または自然
界に放出される。
【0013】一方、濾過装置203は、排水に圧力を加
えてフィルタFに供給しているので、フィルタFに目詰
まりが発生するため、定期的に洗浄が施される。例え
ば、原水タンク201側のバルブB1を閉め、バルブB
3と原水タンクから洗浄水を送付するためのバルブB2
が開けられ、回収水タンク205の水で、フィルタFが
逆洗浄される。これにより発生した高濃度のSi屑が混
入された排水は、原水タンク201に戻される。また濃
縮水タンク206の濃縮水は、ポンプ208を介して遠
心分離器209へ輸送され、遠心分離器209により汚
泥(スラッジ)と分離液に分離される。Si屑から成る
汚泥は、汚泥回収タンク210に集められ、分離液は分
離液タンク211に集められる。更に分離液が集められ
た分離液タンク211の排水は、ポンプ212を介して
原水タンク201に輸送される。
【0014】これらの方法は、例えば、Cu、Fe、A
l等の金属材料を主材料とする固形物または板状体、セ
ラミック等の無機物から成る固形物や板状体等の研削、
研磨の際に発生する屑を回収する際も採用されていた。
【0015】一方、CMP(Chemical-Mechanical Poli
shing)が新たな半導体プロセス技術として登場してき
た。このCMPは、半導体装置の理想的な多層配線構造
を実現するために配線を被覆する層間絶縁膜上面の平坦
化を目的として層間絶縁膜の上面の凹凸を研磨する技術
である。
【0016】このCMP技術により、第1に平坦なデバ
イス面形状を実現できる。この結果、リソグラフィ技術
を使った微細パターンを精度良く形成でき、またSiウ
ェハの貼り付け技術の併用等で、三次元ICの実現の可
能性をもたらすものである。
【0017】第2に、基板とは異なる材料の埋め込み構
造を実現できる。この結果、配線の埋め込み構造を容易
に実現できるメリットを有する。従来のICの多層配線
で層間膜の溝にCVD法でWを埋め込み、表面をエッチ
バックして平坦化するタングステン(W)埋め込み技術
が採用されていたが、最近はCMPにより平坦化する方
がプロセスも簡略化できる点があり、CMPが脚光を浴
びている。
【0018】これらCMPの技術および応用は、サイエ
ンスフォーラム発行の「CMPのサイエンス」に詳述さ
れている。
【0019】続いて、CMPの機構を簡単に説明する。
図19に示すように、回転定盤250上の研磨布251
に半導体ウェハ252を載せ、研磨材(スラリー)25
3を流しながら擦り合わせ、研磨加工、化学的エッチン
グすることにより、ウェハ252表面の凹凸を無くして
いる。研磨材253の中の溶剤による化学反応と、研磨
布と研磨剤の中の研磨砥粒との機械的研磨作用で平坦化
されている。研磨布251としては、例えば発泡ポリウ
レタン、不織布などが用いられ、研磨材は、シリカ、ア
ルミナ等の研磨砥粒を、pH調整材を含んだ水に混合し
たもので、一般にはスラリーと呼ばれている。このスラ
リー253を流しながら、研磨布251にウェハ252
を回転させながら一定の圧力をかけて擦り合わせるもの
である。尚、254は、研磨布251の研磨能力を維持
するもので、常に研磨布251の表面をドレスされた状
態にするドレッシング部である。またM1〜M3は、モ
ーター、255〜257は、ベルトである。
【0020】上述した機構は、例えば図20に示すよう
に、システムとして構築されている。このシステムは、
大きく分けると、ウェハカセットのローディング・アン
ローデイングステーション260、ウェハ移載機構部2
61、図19で説明した研磨機構部262、ウェハ洗浄
機構部263およびこれらを制御するシステム制御から
成る。
【0021】まずウェハが入ったカセット264は、ウ
ェハカセット・ローデイング・アンローディングステー
ション260に置かれ、カセット264内のウェハが取
り出される。続いて、ウェハ移載機構部261、例えば
マニプュレータ265で前記ウェハを保持し、研磨機構
部262に設けられた回転定盤250の上に載置され、
CMP技術を使ってウェハが平坦化される。この平坦化
の作業が終わると、スラリーの洗浄を行うため、前記マ
ニプュレータ266によりウェハがウェハ洗浄機構部2
63に移され、洗浄される。そして洗浄されたウェハ
は、ウェハカセット266に収容される。
【0022】例えば、1回の工程で使われるスラリーの
量は、約500cc〜1リットル/ウェハである。ま
た、前記研磨機構部262、ウェハ洗浄機構部263で
純水が流される。そしてこれらの排水は、ドレインで最
終的には一緒になるため、約5リットル〜10リットル
/ウェハの排水が1回の平坦化作業で排出される。例え
ば3層メタルであると、メタルの平坦化と層間絶縁膜の
平坦化で約7回の平坦化作業が入り、一つのウェハが完
成するまでには、5〜10リットルの七倍の排水が排出
される。
【0023】よって、CMP装置を使うと、純水で希釈
されたスラリーがかなりの量排出されるので、その廃水
の処理を効率良くできる方法が問題視されている。現在
では、これらの排水は、凝集沈殿法や図18で示したフ
ィルタ濾過と遠心分離を組み合わせた従来からの方法で
処理されていた。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、凝集沈
殿法は、凝集剤として化学薬品が投入される。しかし完
全に反応する薬品の量を特定するのは非常に難しく、ど
うしても薬品が多く投入され未反応の薬品が残る。逆に
薬品の量が少ないと、全ての被除去物が凝集沈降され
ず、被除去物が分離せず残ってしまう。特に、薬品の量
が多い場合は、上澄液に薬品が残る。これを再利用する
場合、濾過流体に薬品が残留するため、化学反応を嫌う
ものには再利用できない問題があった。
【0025】例えばダイシングの場合、排水はシリコン
屑と蒸留水から成り、凝集沈殿法で濾過された水は、薬
品が残留するため、ウェハ上に流すと、好ましくない反
応を引き起こすため、ダイシング時に使用する水として
再利用できない問題があった。
【0026】また薬品と被除去物の反応物であるフロッ
クは、あたかも藻の如き浮遊物で生成される。このフロ
ックを形成する条件は、PH条件が厳しく、攪拌機、P
H測定装置、凝集剤注入装置およびこれらを制御する制
御機器等が必要となる。またフロックを安定して沈降さ
せるには、大きな沈殿槽が必要となる。例えば、3立方
メートル(m3)/1時間の排水処理能力であれば、直
径3メートル、深さ4メートル程度のタンク(約15ト
ンの沈降タンク)が必要となり、全体のシステムにする
と約11メートル×11メートル程度の敷地も必要とさ
れる大がかりなシステムになってしまう。
【0027】しかも沈殿槽に沈殿せず浮遊しているフロ
ックもあり、これらはタンクから外部に流出する恐れが
あり、全てを回収する事は難しかった。つまり設備の大
きさの点、このシステムによるイニシャルコストが高い
点、水の再利用が難しい点、薬品を使う点から発生する
ランニングコストが高い点等の問題があった。
【0028】一方、図18の如き、5立方メートル(m
3)/1時間のフィルタ濾過と遠心分離機を組み合わせ
た方法では、濾過装置203にフィルタF(UFモジュ
ールと言われ、ポリスルホン系ファイバで構成されたも
の、またはセラミックフィルタ)を使用するため、水の
再利用が可能となる。しかし、濾過装置203には4本
のフィルタFが取り付けられ、フィルタFの寿命から、
約50万円/本と高価格なフィルタを、少なくとも年に
1回程度、交換する必要があった。しかも濾過装置20
3の手前のポンプ202は、フィルタFが加圧型の濾過
方法であるためモータの負荷が大きく、ポンプ202が
高容量であった。また、フィルタFを通過する排水の
内、2/3程度は、原水タンク201に戻されていた。
更には被除去物が入った排水をポンプ202で輸送する
ため、ポンプ202の内壁が削られ、ポンプ2の寿命も
非常に短かった。
【0029】これらの点をまとめると、モータの電気代
が非常にかかり、ポンプPやフィルタFの取り替え費用
がかかることからランニングコストが非常に大きい問題
があった。
【0030】更に、CMPに於いては、ダイシング加工
とは、比較にならない量の排水が排出される。しかもス
ラリーに混入される砥粒の粒径は0.2μm、0.1μ
m、0.1μm以下の極めて微細なものである。従って
この微細な砥粒をフィルタで濾過すると、フィルタの孔
に砥粒が侵入し、すぐに目詰まりを起こし、目詰まりが
頻繁に発生するため、排水を大量に処理できない問題が
あった。
【0031】今までの説明からも判るように、地球環境
に害を与える物質を可能な限り取り除くため、または濾
過流体や分離された被除去物を再利用するために、排水
の濾過装置は、色々な装置を追加して大がかりなシステ
ムとなり、結局イニシャルコスト、ランニングコストが
膨大と成っている。従って今までの汚水処理装置は、到
底採用できるようなシステムでなかった。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題に鑑
みてなされ、第1に、固形物を含む流体が貯留された原
水タンクの中に凹凸を有した第1のフィルタが設けられ
た濾過装置を配置し、前記濾過装置を吸引することによ
り前記第1のフィルタの全面に前記固形物を含む積層物
を形成し、前記原水タンクに砥粒が混入されたスラリー
および砥粒で削られた屑を含む排水を前記濾過装置によ
り吸引することにより、前記積層物の表面に前記砥粒ま
たは/および屑をトラップすると共に、前記凹凸を有し
た第1のフィルタの最表面に捕獲された前記積層物は剥
離されず、前記積層物の表面の前記固形物、前記砥粒ま
たは/および屑を前記積層物から遊離するように、前記
積層物の表面に外力が加えられ、前記原水タンクの中の
流体を濾過装置により濾過し、原水タンクの排水の前記
砥粒または/および屑の混入率を高めたことで解決する
ものである。
【0033】第1のフィルタに、積層物を形成すること
により、流体や排水の通路を第1のフィルタよりも多く
確保して目詰まりを抑制し、しかも凹凸を有した形状と
するため、外力を与えても、積層物の極表面に位置する
固形物が遊離するだけで、または積層物にトラップされ
た屑だけが遊離するだけで、第1のフィルタに直接付着
した積層物は離間せずに付着している。これは積層物も
含めたフィルタの表面に外力を与えることによりリフレ
ッシュを可能にし、長時間の濾過が可能となる。よって
排水の屑の濃度を高めることができ、屑の回収を行う
際、その効率は大幅に向上する。CMPの排水は、各層
毎に施され、その排水は膨大であるが、屑を高濃縮する
ことができるので、廃棄処理量を大幅に削減することが
できる。第2に、前記外力は、気体が下方から前記積層
物を通過した際に発生するものであり、前記吸引力は
0.01〜5メートル/Dayであることで解決するも
のである。
【0034】吸引力が非常に小さいため、積層物の固形
物を離間させることができる。 第3に、前記原水タン
クの排水の粘度が所定の値に高められた後、前記排水の
少なくとも一部を前記原水タンクから移し、前記排水の
粘度を下げることで解決するものである。
【0035】CMPの排水は、粘度が上昇する。それに
よって気泡が積層物の表面に当接しにくくなる。またフ
ィルタのリフレッシュ機能が低下する。よって所定の粘
度になったら、排水の一部を原水タンクから移し、製造
現場から供給される排水により薄められる。よってその
粘度を低下させることができ、そのリフレッシュ機能も
向上させることができる。
【0036】第4に、砥粒は、シリカ系、アルミナ系、
酸化セリウム系、ダイヤモンド系も酸化クロム系、酸化
鉄系、酸化マンガン系、BaCO4系、酸化アンチモン
系、ジルコニア系またはイットリア系であり、スラリー
の中には、希釈剤および調整剤が含まれていることで解
決するものである。
【0037】第5にね前記CMPは、半導体の絶縁膜、
ポリシリコン、シリコン、酸化シリコン、Al、ガラ
ス、タングステンまたは銅を研磨することで解決するも
のである。
【0038】第6に、固形物を含む流体が貯留されたタ
ンクの中に凹凸を有した第1のフィルタが設けられた濾
過装置を配置し、前記濾過装置を吸引することにより前
記第1のフィルタの全面に前記固形物を含む積層物を形
成し、砥粒が混入されたスラリーおよび砥粒で削られた
屑を含む排水が貯留された原水タンクに前記濾過装置を
配置し、前記濾過装置を吸引することにより、前記積層
物の表面に前記砥粒または/および屑をトラップすると
共に、前記凹凸を有した第1のフィルタの最表面に捕獲
された前記積層物は剥離されず、前記積層物の表面の前
記固形物、前記砥粒または/および屑を前記積層物から
遊離するように、前記積層物の表面に外力が加えられ、
前記原水タンクの中の流体を濾過装置により濾過し、原
水タンクの排水の前記砥粒または/および屑の混入率を
高めたことで解決するものである。
【0039】第1に述べた方法と異なり、積層物の形成
は、原水タンクと別のタンクで形成しても良い。別のタ
ンクで形成することにより、予め積層物の付いたフィル
タを用意でき、距離的に離れた所への移送が容易にな
る。
【0040】第7に、前記外力は、気体が下方から前記
積層物を通過した際に発生するものであり、前記吸引力
は0.01〜5メートル/Dayであることで解決する
ものである。
【0041】第8に、前記原水タンクの排水の粘度が所
定の値に高められた後、前記排水の少なくとも一部を前
記原水タンクから移し、前記排水の粘度を下げることで
解決するものである。
【0042】第9に、砥粒は、シリカ系、アルミナ系、
酸化セリウム系、ダイヤモンド系も酸化クロム系、酸化
鉄系、酸化マンガン系、BaCO4系、酸化アンチモン
系、ジルコニア系またはイットリア系であり、スラリー
の中には、希釈剤および調整剤が含まれていることで解
決するものである。
【0043】第10に、前記CMPは、半導体の絶縁
膜、ポリシリコン、シリコン、酸化シリコン、Al、ガ
ラス、タングステンまたは銅を研磨することで解決する
ものである。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明の目的は、半導体、金属、
無機物または有機物等の被除去物が混入された流体(排
水)から、被除去物とは異なる固形物から成るフィルタ
を用いて被除去物を除去することにある。
【0045】また本発明の他の目的は、流体に固形物を
混入し、前記流体を第1のフィルタに通過させて、前記
第1のフィルタ表面に前記固形物を含む第2のフィルタ
を形成して、前記流体に含まれる被除去物を除去するこ
とにある。
【0046】また本発明の他の目的は、流体に含まれる
被除去物と異なる固形物を含むフィルタを準備し、前記
フィルタを使用して前記流体中の被除去物を除去するこ
とにある。
【0047】更に本発明の他の目的は、被除去物を含む
流体と該被除去物と異なる固形物とを第1のフィルタを
有するタンク内に導入し、前記流体を前記第1のフィル
タに通過させることにより、前記第1のフィルタ表面に
前記固形物を含む第2のフィルタを形成して、前記流体
中の前記被除去物を除去することにある。
【0048】まず本発明では、被除去物は、濾過したい
排水の中に含まれる固体物質をいい、固形物は、前記被
除去物が入った排水を濾過するため、砂のように固体物
質が集められて層となったフィルタ膜の構成物質をい
う。例えば固形物としては、第1のフィルタ膜の上に積
層されるため、積層された膜は、第1のフィルタ膜の濾
過精度よりも更に高い濾過精度を有し、外力を与えるこ
とで個々に分離されることが望ましい。
【0049】具体的には、被除去物は約0.3μm、
0.2μm、0.1μmまたはそれ以下の粒子が大量に
入ったものであり、例えばCMPに用いる砥粒や砥粒に
より削られて発生する半導体材料屑、金属屑および/ま
たは絶縁膜材料屑である。
【0050】更に具体的には、被除去物は、結晶イッン
ゴットをウェハ状にスライスする時、半導体ウェハをダ
イシングする時、バックグラインドする時等で発生する
屑であり、主に半導体材料、絶縁材料、金属材料であ
り、Si、酸化Si、Al、SiGe、封止樹脂等の有
機物およびその他の絶縁膜材料や金属材料が該当する。
また化合物半導体では、GaAs等の化合物材料が該当
する。
【0051】また最近では、CSP(チップスケールパ
ッケージ)の製造に於いてダイシングを採用しているの
で、このダイシングの際に発生する半導体材料、セラミ
ック材、封止樹脂も被除去物となる。
【0052】更に、半導体分野以外でも被除去物が発生
する所は数多くある。例えばガラスを採用する産業に於
いては、液晶パネル、EL表示装置のパネル等は、ガラ
ス基板のダイシング、基板側面の研磨等を行うため、こ
こで発生するガラス屑が被除去物に該当する。また電力
会社や鉄鋼会社では石炭を燃料として採用しており、石
炭から発生する粉体が該当し、更には煙突から出る煙の
中に混入される粉体も被除去物に相当する。また鉱物の
加工、宝石の加工、墓石の加工から発生する粉体もそう
である。更には、旋盤等で加工した際に発生する金属
屑、セラミック基板等のダイシング、研磨等で発生する
セラミック屑等が該当する。
【0053】これらの屑は、研磨、研削または粉砕等の
加工により発生し、屑を取り去る為に水や薬品等の流体
の中に取り込まれ、排水として生成されるものである。
【0054】また固形物は、被除去物(CMPの砥粒)
の粒度分布(〜約0.14μm)よりも広い範囲(〜約
500μm)で分布している物質であり、例えばSi等
の半導体材料、アルミナ等の絶縁物質、金属等の切削
屑、研磨屑または粉砕屑であり、また前記粒度分布を持
った固形物質、例えばケイソウ土やゼオライト等であ
る。
【0055】では、本発明の実施の形態を図面を参照し
て説明する。
【0056】本実施の形態では、流体として水が採用さ
れ、水の中には、半導体ウェハのダイシング屑が含まれ
た場合について詳述する。
【0057】本発明の1つの特徴は、フィルタにあり、
まずフィルタの構造、形成方法およびその作用について
説明する。
【0058】フィルタの構造は、以下の通りである。図
1aの符号10は第1のフィルタ膜で、11はフィルタ
孔である。またフィルタ孔11の開口部および第1のフ
ィルタ膜10の表面に層状に形成されている膜は、固形
物12の集合体である。この固形物12はフィルタ孔1
1を通過できない大きな固形物12Aとフィルタ孔11
を通過できる小さな固形物12Bに分けられる。図では
黒丸で示したものが通過できる小さな固形物12Bであ
る。
【0059】またここで採用可能なフィルタ膜は、原理
的に考えて有機高分子系、セラミック系とどちらでも採
用可能である。しかしここでは、平均孔径0.25μ
m、厚さ0.1mmのポリオレフィン系の高分子膜を採
用した。またこのポリオレフィン系から成るフィルタ膜
の表面写真を図1bに示した。
【0060】次に、フィルタの形成方法について説明す
る。図1aの第1のフィルタ膜10の上方には、固形物
が混入された水があり、第1のフィルタ膜10の下方
は、第1のフィルタ膜10により濾過された濾過水が生
成されている。矢印の方向に水を流し、フィルタ膜10
を使って水を濾過するため、水は、自然落下されるか、
加圧されて図の下方に移る。また、濾過水がある側から
水が吸引される。また第1のフィルタ膜10は、水平に
配置されているが縦置きでも良い。
【0061】前述したようにフィルタ膜を介して水を加
圧したり、吸引したりする結果、水は、第1のフィルタ
膜10を通過する。その際、フィルタ孔11を通過でき
ない大きな固形物12Aは、第1のフィルタ膜10の表
面に捕獲される。
【0062】研削、研磨または粉砕等の機械加工により
発生する前記固形物は、その大きさ(粒径)がある範囲
で分布し、しかもそれぞれの固形物の形状が異なってい
る。一例として、図2aに、Siのダイシング屑の粒径
分布を示し、その電子顕微鏡写真を図2bに示す。この
ように粒径が0.1〜200μmで分布し、屑の形状も
多種多様の形状をしている。
【0063】そして第1のフィルタ膜10が浸かってい
る水の中で固形物がランダムに位置している。そして大
きな固形物から小さな固形物までが不規則にフィルタ孔
11に移動していく。そしてランダムに捕獲された大き
な固形物12Aが第2のフィルタ膜13の初段の層とな
り、この層がフィルタ孔11よりも小さなフィルタ孔を
形成し、この小さなフィルタ孔を介して大きな固形物1
2Aから小さな固形物12Bまで捕獲されていく。この
時、固形物の形状がそれぞれ異なるために、固形物と固
形物の間には、色々な形状の隙間ができ、水はこの隙間
を通路として移動し、最終的に水は濾過される。これ
は、砂浜の水はけが良いのと非常に似ている。
【0064】更に、フィルタの作用について説明する。
この第2のフィルタ膜13は、大きな固形物12Aから
小さな固形物12Bをランダムに捕獲しながら徐々に成
長し、水(流体)の通路を確保しながら小さな固形物1
2Bをトラップする様になる。この状態を示すのが、図
3である。しかも第2のフィルタ膜13は、層状に残存
しているだけで固形物は砂のように容易に移動可能なの
で、層の付近に気泡を通過させたり、水流を与えたり、
音波や超音波を与えたり、機械的振動を与えたり、更に
はスキージ等でこすったりする事で、簡単に第2のフィ
ルタ膜13の表層を排水側に移動させることができる。
この砂のように個々に分離される構造が、第2のフィル
タ膜13の濾過能力が低下しても、第2のフィルタ膜1
3に外力を加えることで、簡単にその能力を復帰できる
要因となる。また別の表現をすれば、フィルタ能力の低
下の原因は、主に目詰まりであり、この目詰まりを発生
させている第2のフィルタ膜13の表層の固形物を再度
流体中に移動させる事ができ、目詰まりを繰り返し解消
させ、濾過能力の維持を実現している。
【0065】尚、図2aに於いて、粒径分布を測定した
装置は、0.1μmよりも小さい粒が検出不能であった
ため、0.1μmよりも小さい切削屑の分布は示されて
いない。しかし図2bを観察すると、実際は、これより
も小さいものが含まれている。実験に依れば、この切削
屑が混入された水を濾過した際、この切削屑が第1のフ
ィルタ膜に形成され、0.1μm以下の切削屑まで捕獲
することが判った。
【0066】例えば0.1μmまでの切削屑を取り除こ
うとすれば、このサイズよりも小さな孔が形成されたフ
ィルタを採用するのが一般的な考えである。しかし大き
な粒径と小さな粒径が分布される中で、この間のサイズ
のフィルタ孔を採用しても、0.1μm以下の切削屑が
捕獲できることが前述の説明から判る。
【0067】逆に、固形物の粒径のピークが0.1μm
ひとつであり、その分布も数μmと非常に狭い範囲で分
布されていたら、フィルタは直ぐに目詰まりを起こすだ
ろう。図2aからも判るように、固形物であるSiのダ
イシング屑は、大きな粒径と小さな粒径のピークが2つ
現れており、しかも〜200μmの範囲で分布されてい
るので、濾過能力が向上されている。また図2bに示す
ように、電子顕微鏡等で観察すると、固形物の形状が多
種多様であることが判る。つまり少なくとも粒径のピー
クが2つあり、固形物の形状が多種多様であるから、固
形物同士に色々な隙間が形成され、水の通路となり、こ
れにより目詰まりが少なく、0.1μm以下の屑も捕獲
できるフィルタが実現されたものと考えられる。
【0068】しかし固形物の分布が図の右や左にずれる
ようであれば、その分布に従い第1のフィルタの孔径を
変えても良い。例えば右にずれるようであれば、0.2
5μmよりも大きい孔径を採用してもよい。一般に、孔
径を大きくすれば、フィルタ膜を通過する固形物が増え
るが、濾過水を循環させる時間を長くすれば、最終的に
は、殆どが第2のフィルタ膜12Bでトラップできる。
当然ではあるがフィルタの孔径を小さくすれば、小さな
固形物が捕獲できるまでの時間は、短くなる。
【0069】以上、第1のフィルタ膜10の表面に、
0.1μm以下〜200μmまでの粒径分布を有する固
形物を第2のフィルタ膜13として形成すると、0.1
μm以下の固形物までも取り除けることが判る。また最
大粒径は、200μmに限ることはなく、これ以上でも
良い。例えば〜500μmで分布された固形物でも濾過
は可能である。
【0070】よって図4の様に、固形物から成るフィル
タを形成した後、排水側の流体に被除去物14、15が
混入された排水を通過させれば、この被除去物までも取
り除けることが判る。
【0071】次に、固形物12(または固形物と被除去
物)から成る第2のフィルタ膜13を同一タンク内で形
成し、続いてこの第2のフィルタ膜13を使って濾過す
る方法と、第2のフィルタ13を別のタンク内で形成し
て、このフィルタを移して濾過する方法とがある。
【0072】図5および図6は、前者の方法に該当す
る。すなわち、図5では、第1の貯留槽70aと第2の
貯留槽70bの間に第1のフィルタ膜10を挟み、この
第1のフィルタ膜10表面に第2のフィルタ膜13を成
膜した後、被除去物が入った流体を入れて濾過する方法
である。
【0073】図5aでは、貯留槽70を第1の貯留槽7
0aと第2の貯留槽70bに区分けする位置に第1のフ
ィルタ膜10を取り付け、パイプ72から第1の貯留槽
70aに固形物12(例えばSiのダイシング屑)が入
った流体73を流し込み、自然落下、第1の貯留槽70
aの流体の加圧またはパイプ74を吸引して、前記流体
を第2の貯留槽70bに移動させるものである。この
際、第1のフィルタ膜10上に固形物12が捕獲され、
第2のフィルタ膜13が形成される。その後、図5bの
ようにパイプ72を介して被除去物14、15の混入し
た流体73’を第1の貯留槽70aに供給し、そのまま
濾過を開始する方法である。
【0074】また図5a’に於いては、第1の貯留槽7
0aに貯められた流体73は、固形物12と被除去物1
4、15が混入され、第2のフィルタ膜13は、固形物
12と被除去物14、15で構成されている。この場
合、パイプ72からは、被除去物と固形物が混入された
流体73がながれても良いし、またはパイプ72からは
被除去物の混入された流体が流され、貯留槽70の外か
ら第1の貯留槽70aに固形物を投入しても良い。そし
て図5bのようにパイプ72を介して被除去物14、1
5の混入した流体73’を第1の貯留槽70aに供給
し、そのまま濾過を開始する方法である。
【0075】図6aは、第1のタンク75にパイプ76
を介して固形物(例えばSiのダイシング屑)12の入
った流体73を流し込み、第1のフィルタ膜10が取り
付けられた濾過装置35が前記流体73で完全に浸った
ら、濾過装置35に取り付けられたパイプ34を介して
流体を吸引する方法を示している。この吸引の結果、第
1のフィルタ膜10には前記固形物12が捕獲され、第
2のフィルタ膜13が形成される。そして図6bの如
く、パイプ76を介して被除去物14、15の混入され
た流体を第1のタンク75に供給し、第2のフィルタ膜
13で被除去物14、15が捕獲できていることを確認
した後、濾過を行う方法である。
【0076】また図6a’に於いて、第1のタンク75
に貯められた流体73は、固形物12と被除去物14、
15が混入され、第2のフィルタ膜13は固形物12と
被除去物14、15で構成されている。この場合、パイ
プ76から被除去物と固形物が混入された流体73を流
しても良いし、またはパイプ76からは被除去物の混入
された流体が流され、第1のタンク75の外から固形物
を投入しても良い。そして図6bの如く、パイプ76を
介して被除去物14、15の混入された流体73’を第
1のタンク75に供給し、第2のフィルタ膜13で被除
去物14、15が捕獲できている事を確認した後、被除
去物の入った流体73’を入れて濾過を行う方法であ
る。
【0077】図7および図8は、後者の方法に該当す
る。固形物、または固形物と被除去物を含むフィルタを
別のタンクで予め準備し、このフィルタを被除去物の入
った流体を入れるタンクに移して被除去物を濾過する方
法である。
【0078】図7aでは、貯留槽70を第1の貯留槽7
0aと第2の貯留槽70bに区分けする位置に第1のフ
ィルタ膜10を取り付け、パイプ72から第1の貯留槽
70aに固形物12(例えばSiのダイシング屑)が入
った流体73を流し込み、自然落下、第1の貯留槽70
aの流体の加圧またはパイプ74を吸引して、前記流体
を第2の貯留槽70bに移動させるものである。
【0079】この時、第1のフィルタ膜10上に固形物
12が捕獲され、第2のフィルタ膜13が形成される。
そして所定の膜厚に成ったら貯留槽70から取り出し、
図7bの如くフィルタを準備しておく方法である。そし
てこのフィルタを図7Cの如く濾過装置35に貼り合わ
せ、この濾過装置35を図7dの如く別のタンク75に
浸漬し、パイプ34を吸引して濾過する方法である。図
5、図6は、排水の入るタンク内で第2のフィルタを形
成するため、第2のフィルタが形成されるまでは濾過が
できないが、ここではフィルタが準備されているので、
直ちに濾過が開始できるメリットを有する。また第2の
フィルタ13の形成場所と排水の入るタンクとが距離的
に離れていても、フィルタを簡単に持ち運ぶ事ができる
メリットを有する。
【0080】ここで図7aに於いて、第1の貯留槽70
aの流体73に被除去物を混入させ、固形物と被除去物
から成る第2のフィルタを形成してもよい。
【0081】図8は、濾過装置35として準備する方法
である。図8aに於いて、固形物12だけを含む流体を
濾過装置35に取り付けられた第1のフィルタ膜10に
通過させ、第1のフィルタ膜10上に第2のフィルタ膜
13を形成し、予め図8bの如く濾過装置35を準備
し、この濾過装置35を図8Cの如く第2のタンク76
に浸漬し、被除去物の混入した流体を濾過する方法であ
る。
【0082】濾過装置35の構造は、図9、図10で詳
述するが、パイプ34に吸引ポンプを設け、パイプ34
を介して流体を吸引し、第2のフィルタ膜13を形成す
る方法を採用している。
【0083】前述したように、予め第2のフィルタ13
が形成された濾過装置35を準備しておくため、距離的
に離れた所にある第2のタンク76へ容易に持ち運びが
可能であり、しかも第2のタンク内で第2のフィルタを
形成することなく直ちに濾過が開始できるメリットを有
する。
【0084】以上、固形物でフィルタを構成する方法、
固形物と被除去物でフィルタを構成する方法、また前者
のいずれかの方法で形成されたフィルタを前もって準備
する方法に於いて、第1のフィルタ膜の孔径は、固形物
(Siのダイシング屑)の粒径分布の間に設定される。
例えば前記孔径を0.25μmにすると、0.25μm
以下の固形物(Siのダイシング屑)、被除去物(砥
粒)は通過する。しかし0.25μm以上の固形物(S
iのダイシング屑)や被除去物(砥粒)は捕獲され、第
1のフィルタ膜10の表面には、固形物および/または
被除去物から成る第2のフィルタ膜13が形成される。
この第2のフィルタ膜13が成長すると、次第に0.2
5μm以下、特に0.1μm近傍やそれよりも小さい固
形物や被除去物が捕獲できるようになる。次に、より好
ましい濾過装置35の具体例を図9、図10を参照して
説明する。この濾過装置35は、タンク(原水タンク)
に浸漬し、吸引するタイプのものである。
【0085】図9aに示す符号30は、額縁の如き形状
の枠であり、この枠の両面には、フィルタ膜31、32
が貼り合わされている。そして枠30、フィルタ膜3
1、32で囲まれた空間33には、パイプ34を吸引す
ることにより、フィルタ膜により濾過された濾過水が発
生する。そして枠30にシールされて取り付けられてい
るパイプ34を介して濾過水が取り出されている。もち
ろんフィルタ膜31、32と枠30は、排水がフィルタ
膜以外から前記空間に侵入しないように完全にシールさ
れている。
【0086】図9aのフィルタ膜31は、薄い樹脂膜な
ので、吸引されると内側に反り、破壊に至る場合もあ
る。そのため、この空間をできるだけ小さくする必要が
ある。一方、濾過能力を大きくするためには、この空間
を沢山形成する必要があり、改良したものを図9bに示
す。図9bでは、空間33が9個しか示されていない
が、実際は数多く形成される。また実際に採用したフィ
ルタ膜31、32は、約0.1mm厚さのポリオレフィ
ン系の高分子膜であり、図9bの如く、薄いフィルタ膜
が袋状に形成されており、図面ではFTで示した。この
袋状のフィルタFTの中に、パイプ34が一体化された
枠30が挿入され、前記枠30と前記フィルタFTが貼
り合わされている。符号RGは、押さえ手段であり、フ
ィルタ膜31が貼り合わされた枠を両側から押さえるも
のである。そして押さえ手段の開口部OPからは、フィ
ルタ膜31、32が露出している。詳細については、図
10で説明する。
【0087】図9Cは、濾過装置35自身を円筒形にし
たものである。パイプ34に取り付けられた枠は、円筒
形で、側面には開口部OP1、OP2が設けられてい
る。開口部OP1と開口部OP2に対応する側面が取り
除かれているため、開口部間には、フィルタ膜31を支
持する支持手段SUSが設けられることになる。そして
側面にフィルタ膜が貼り合わされる。
【0088】更に図10を参照して改良された濾過装置
35を詳述する。まず図9bの枠30に相当する部分
は、図10bでは30aに相当する。
【0089】符号30aは、段ボールの様な形状に成っ
ている。0.2mm程度の薄い樹脂シートSHT1、S
HT2の間に縦方向にセクションSCが複数個設けら
れ、樹脂シートSHT1、SHT2,セクションSCで
囲まれて空間33が設けられる。この空間33の水平断
面は、縦3mm、横4mmから成る矩形であり、別の表
現をすると、この矩形断面を持ったストローが何本も並
べられ一体化されたような形状である。符号30aは、
両側のフィルタ膜FTを一定の間隔で維持しているの
で、以下スペーサと呼ぶ。
【0090】このスペーサ30aを構成する薄い樹脂シ
ートSHT1,SHT2の表面には、直径1mmの孔H
Lがたくさん開けられ、その表面にはフィルタ膜FTが
貼り合わされている。よって、フィルタ膜FTで濾過さ
れた濾過水は、孔HL、空間33を通り、最終的にはパ
イプ34から出ていく。
【0091】またフィルタ膜FTは、スペーサ30aの
両面SHT1、SHT2に貼り合わされている。このシ
ートSHT1,SHT2には、孔HLの形成されていな
い部分があり、ここに直接フィルタ膜FT1が貼り付け
られると、孔HLの形成されていない部分に対応するフ
ィルタ膜FT1は、濾過機能が無く排水が通過しないた
め、被除去物が捕獲されない部分が発生する。この現象
を防止するため、フィルタ膜FTは、少なくとも2枚貼
り合わされている。一番表側のフィルタ膜FT1は、被
除去物を捕獲するフィルタ膜で、このフィルタ膜FT1
からスペーサ30aの表面SHT1に向かうにつれて、
フィルタ膜FT1の孔よりも大きな孔を有するフィルタ
膜が設けられる。ここではフィルタ膜FT2が一枚貼り
合わされている。依って、スペーサ30aの孔HLが形
成されていない部分でも、間にフィルタ膜FT2が設け
られているため、フィルタ膜FT1全面が濾過機能を有
するようになり、フィルタ膜FT1全面に被除去物が捕
獲され、第2のフィルタ膜が表裏の面SH1、SH2全
面に形成されることになる。また図面の都合で、フィル
タ膜SHT1、SHT2が矩形状のシートの様に表され
ているが、実際は図9bに示すように袋状に形成されて
いる。
【0092】次に、袋状のフィルタ膜SHT1、SHT
2、スペーサ30aおよび押さえ手段RGがどのように
取り付けられているを、図10a、図10Cおよび図1
0dを参照して説明する。
【0093】図10aは完成図であり、図10Cは、図
10aのA−A線に示すように、パイプ34頭部からパ
イプ34の延在方向(縦方向)に切断した図を示し、図
10dは、B−B線に示すように、濾過装置35を水平
方向に切断し時の断面図である。
【0094】図10a、図10C、図10dから明らか
なように、袋状のフィルタ膜FTに挿入されたスペーサ
30aは、フィルタ膜FTも含めて4側辺が押さえ手段
RGで挟まれている。そして袋状にとじた3側辺および
残りの1側辺は、押さえ手段RGに塗布された接着剤A
D1で固定される。また残りの1側辺(袋の開口部)と
押さえ手段RGとの間には、空間SPが形成され、空間
33に発生した濾過水は、空間SPを介してパイプ34
へと吸引される。また押さえ金具RGの開口部OPに
は、接着剤AD2が全周に渡り設けられ、完全にシール
され、フィルタ以外から流体が侵入できない構造になっ
ている。
【0095】よって空間33とパイプ34は連通してお
り、パイプ34を吸引すると、フィルタ膜FTの孔、ス
ペーサ30aの孔HLを介して流体が空間33に向かっ
て通過し、空間33からパイプ34を経由して外部へ濾
過水を輸送できる構造となっている。
【0096】斯上した濾過装置35の動作を概念的に示
したものが図11である。ここでは、パイプ34側をポ
ンプ等で吸引すれば、ハッチング無しの矢印のように、
水が流れ濾過されることになる。
【0097】まず、濾過装置35は、固形物16が混入
した流体が貯められているタンクの中に浸漬され、パイ
プ34を介して吸引される。そして白矢印のように流体
は通過していく。そして小さな固形物16Bは通過する
が、大きな固形物16Aは、第1のフィルタ膜31、3
2に捕獲され、徐々に小さな固形物16Bも捕獲される
ようになる。そして固形物が所定の混入率よりも少なく
なったら、第2のフィルタ膜36が完成することにな
る。
【0098】続いて、図12に示すように、この第2の
フィルタ膜36が形成された濾過装置35を、被除去物
の混入した排水37に配置する。そしてパイプ34を吸
引する事により、第2のフィルタ膜36で被除去物が捕
獲される。この際、第2のフィルタ膜36は、固形物1
6が集合しているため、第2のフィルタ膜36に外力を
加えることで、第2のフィルタ膜36を取り除いたり、
また第2のフィルタ36の表層を取り除いたりすること
ができる。また被除去物である砥粒14、被研磨物(研
削物)15も固体が集合したものであるため、外力を加
えることで簡単に第2のフィルタ膜36から離間させる
ことができ、排水37へ移動させることができる。
【0099】この取り除きまたは離間は、気泡の上昇
力、水流、音波、超音波振動、機械的振動、スキージを
使って表面をこする、あるいは攪拌機等で簡単に実現で
きる。また浸漬される濾過装置35自身が排水(原水)
の中で可動できる構造とし、第2のフィルタ膜36の表
層に水流を発生させて第2のフィルタ36や被除去物1
4、15を取り除いても良い。例えば図12に於いて、
濾過装置35の底面を支点として矢印Yのように左右に
動かしても良い。この場合、濾過装置自身が可動である
ため水流が発生し、第2のフィルタ36の表層を取り除
くことができる。また後述の気泡発生装置54も一緒に
採用する場合、前記可動構造を採用すれば、気泡を濾過
面全面に到達させることができ、効率良く除去物を排水
側に移動させることができる。
【0100】また、図9Cで示した円筒形の濾過装置を
採用すれば、濾過装置自身を中心線CLを軸にして回転
させることができ、図12の板状のフィルタを左右に動
かす方法よりも排水の抵抗を低減できる。この回転によ
り、フィルタ膜表面に水流が発生し、第2のフィルタ膜
表層の被除去物を排水側に移動させることができ、濾過
能力を維持する事ができる。
【0101】図12では、第2のフィルタ膜の表層を取
り除く方法として、気泡の上昇を活用した。斜線でハッ
チングされた矢印の方向に気泡が上昇し、この気泡の上
昇力や気泡の破裂が直接被除去物や固形物に外力を与
え、また気泡の上昇力や気泡の破裂により発生する水流
が被除去物や固形物に外力を与えている。そしてこの外
力により第2のフィルタ膜36の濾過能力は、常時リフ
レッシュし、ほぼ一定の値を維持することになる。
【0102】本発明のポイントは、濾過能力の維持にあ
る。つまり第2のフィルタ膜36に目詰まりが発生して
その濾過能力が低下しても、前記気泡のように、第2の
フィルタ膜36を構成する固形物16や被除去物14,
15に外力を与えることで、第2のフィルタ膜36を構
成する固形物16や被除去物14、15を排水側に動か
すことができ、濾過能力を長期にわたり維持させること
ができる。
【0103】これは、外力を与えることで第2のフィル
タの厚みをほぼ一定にしていると思われる。またあたか
も被除去物1つ1つが濾過水の入り口に栓をかけてお
り、栓が外力により外れ、外れた所から濾過水が浸入
し、また栓が形成されたら再度外力により外すの繰り返
しを行っているようなものである。しかも、気泡のサイ
ズ、その量、気泡を当てている時間を調整することによ
り、常に濾過能力を維持できるメリットを有する。
【0104】尚、濾過能力を維持できれば、外力が常に
加わっていても良いし、間欠的に加わっても良い。
【0105】また全ての実施の形態に言えることである
が、フィルタ膜は、原水に完全に浸されている必要があ
る。第2のフィルタ膜は、長時間空気に触れると膜が乾
燥し、剥がれたり、崩れたりするからである。また空気
に触れているフィルタが少しでもあると、フィルタ膜は
空気を吸引するため、濾過能力が低下するからである。
【0106】前述したように、本発明の原理から考える
と、第2のフィルタ膜36が第1のフィルタ膜31、3
2に形成されている限り、第1のフィルタ膜31、32
は、シート状の高分子膜でもセラミックでも良し、吸引
型でも加圧型でも良い。しかし実際採用するとなると、
第1のフィルタ膜31、32は、高分子膜で、しかも吸
引型が良い。その理由を以下に述べる。
【0107】まずシート状のセラミックフィルタを作る
となるとかなりコストは上昇し、クラックが発生した
ら、リークが発生し、濾過ができなくなる。また加圧型
であると、排水を加圧する必要がある。例えば図13の
タンク50を例に取ると、圧力を加えるのに、タンクの
上方は開放型ではなく密閉型でなくてはならない。しか
し密閉型であると、気泡を発生させることが難しい。一
方、高分子膜は、色々なサイズのシートや袋状のフィル
タが安価で手に入る。また柔軟性があるためクラックが
発生せず、またシートに凹凸を形成することも容易であ
る。凹凸を形成することで、第2のフィルタ膜がシート
に食い付き、排水中での剥離を抑制することができる。
しかも吸引型であれば、タンクは開放型のままで良い。
【0108】また加圧型であると第2のフィルタ膜の形
成が難しい。図12に於いて、空間33内の圧力を1と
仮定すれば、排水は1以上の圧力をかける必要がある。
従ってフィルタ膜に負荷がかかり、更には捕獲された被
除去物が高い圧力で固定され、被除去物が移動しにくい
と思われる。では上述した高分子膜をフィルタ膜として
採用した吸引型の機構の実施の形態を図13を参照して
説明する。本構造でも第2のフィルタ膜を形成するのに
3つの方法が可能である。
【0109】すなわち第1の方法は、第1のフィルタ膜
が取り付けられた濾過装置53を原水タンク50に装着
する。更に原水タンク50の中の流体には固形物を混入
しておく。そしてパイプ56を吸引して第2のフィルタ
膜を形成し、第2のフィルタ膜が完成した後、パイプ5
1を介して被除去物が混入した排水を原水タンク50に
供給し、濾過を開始する。
【0110】第2の方法は、第1のフィルタ膜が取り付
けられた濾過装置53を原水タンク50に装着する。更
に原水タンク50の中の排水には固形物と被除去物を混
入しておく。そしてパイプ56を吸引して第2のフィル
タ膜を形成する。第2のフィルタ膜が完成した後、パイ
プ51を介して被除去物が混入した排水を供給し、濾過
を開始する。
【0111】第3の方法は、第1のフィルタ膜に第2の
フィルタ膜が形成された濾過装置を原水タンク50を用
いず別のタンクで準備し、これを原水タンク50に設置
する方法である。そしてパイプ51からは被除去物が混
入した排水が供給され、排水が前記濾過装置35を完全
に浸したら濾過を開始する。
【0112】尚、ここで第2のフィルタ膜を構成する固
形物としては、ダイシング屑を用いた。
【0113】図13における符号50は、原水タンクで
ある。このタンク50の上方には、排水供給手段として
パイプ51が設けられている。このパイプ51は、被除
去物が混入した流体の通過する所である。例えば、半導
体分野で説明すると、ダイシング装置、バックグライン
ド装置、ミラーポリッシング装置またはCMP装置から
流れ出る被除去物が混入された排水(原水)が通過する
所である。尚、この排水は、CMP装置から流れる砥
粒、砥粒により研磨または研削された屑が混入された排
水として説明していく。
【0114】原水タンク50に貯められた原水52の中
には、第2のフィルタ膜が形成された濾過装置53が複
数個設置される。この濾過装置53の下方には、例えば
パイプに小さい孔を開けたような、また魚の水槽に使う
バブリング装置の如き、気泡発生装置54が設けられ、
ちょうどフィルタ膜の表面を通過するようにその位置が
調整されている。55は、エアーブローである。
【0115】濾過装置53に固定されたパイプ56は、
図12のパイプ34に相当するものである。このパイプ
56には、濾過装置53で濾過された濾過流体が通過
し、第1のバルブ58を介して原水タンク50側に向か
うパイプ59と、再利用(または排水される)側に向か
うパイプ60に選択輸送される。また原水タンク50の
側壁および底面には、第2のバルブ61、第3のバルブ
62、第4のバルブ63および第5のバルブ64が取り
付けられている。またパイプ65の先に取り付けられて
いるものは、別途設けられた濾過装置66である。
【0116】パイプ51から供給された原水52は、原
水タンク50に貯められ、濾過装置53により濾過され
る。この濾過装置に取り付けられたフィルタ膜の表面
は、気泡が通過し、気泡の上昇力や破裂により、フィル
タ膜にトラップした被除去物を動かし、常にその濾過能
力が低下しないように維持されている。
【0117】また第2のフィルタ膜が付いた濾過装置が
新規に取り付けられたり、休日により長期間停止された
り、またはパイプ56に所定の混入率よりも多い被除去
物が混入されている場合は、バルブ58を使って、濾過
流体がパイプ59を介して原水タンク50に循環する様
に設計されている。それ以外は、バルブ58は、パイプ
60に切り替えられており、濾過流体は再利用された
り、排水処理側に移送される。
【0118】第2のフィルタ膜が付けられた濾過装置5
3が新規に原水タンク50に取り付けた場合、フィルタ
膜のサイズ、吸引速度によって循環の時間は異なるが、
およそ1時間循環させている。もしも第2のフィルタ膜
の一部が崩れていても、この時間で自己修復され、0.
1μm以下のシリコン屑まで捕獲できる膜となる。しか
しフィルタ膜のサイズの小さいものであれば30分でも
良いことが判っている。従って循環時間が判っていれ
ば、タイマーで設定し、所定の時間が経過したら自動的
に第1のバルブ58が切り替わるようにしても良い。
【0119】ここで、濾過装置は、図10の構造を採用
しており、フィルタ膜を取り付ける枠(押さえ金具R
G)の大きさは、縦:約100cm、横:約50cm、
厚み:5〜10mmである。
【0120】被除去物が所定の混入率(濃度)よりも高
かった場合、濾過流体は異常水と判断し、自動的に循環
が開始したり、またはポンプ57が止められ濾過が停止
される。また循環する時は、排水がタンク50から溢れ
る事を考慮して、パイプ51からタンク50への流体供
給が停止されても良い。この様なケースを以下に簡単に
述べる。
【0121】第1のケースは、濾過装置35が新規に取
り付けられた場合である。
【0122】輸送工程等で第2のフィルタ膜が破損して
いる場合があるので、循環させる事によりフィルタ膜に
被除去物を捕獲させて補修する。第2のフィルタ膜で目
的の粒子径が捕獲されるまで(被除去物が所定の第1の
混入率に成るまで)第2のフィルタ膜を成長させる。そ
して第1の所定値に成った後に、第1のバルブ58を介
して濾過流体をパイプ60へ移送する。
【0123】第2のケースは、休日、長期休暇、メンテ
ナンス等で濾過を停止し、再度濾過を開始する場合であ
る。
【0124】第2のフィルタ膜は、被除去物から構成さ
れ、且つ排水中に在るため、長時間濾過を停止すると、
膜表層の一部が崩れてくる恐れがある。循環は、この膜
の崩れを補修するために用いる。実験では、固形物から
成る第2のフィルタ膜は、第1のフィルタ膜に強固に付
いており、またその表面を被除去物でカバーしているた
め、前記膜の崩れは殆ど無い。しかしここでは念のため
循環させている。そして第1の所定値に濾過流体が成っ
たら、第1のバルブ58を切り替え、パイプ60へ移送
する。尚気泡は、少なくとも第1の所定値になり、濾過
が開始されたら発生させる。
【0125】第3のケースは、濾過流体に捕獲されるべ
き被除去物が混入されている場合である。
【0126】第2のフィルタ膜の一部が崩れたり、また
フィルタ膜が破れている時、濾過流体には、被除去物が
大量に混入される。
【0127】第2のフィルタ膜の一部が崩れ、所定の濃
度(第2の所定値)よりも高くなった場合は、第1のバ
ルブ58により濾過流体がパイプ59を介して循環する
ようにし、濾過作業を停止する。そして循環を開始して
第2のフィルタ膜を補修し、濾過流体の中の被除去物が
所定の混入率(第1の所定値)になったら、第1のバル
ブ58を切り替えて、濾過流体をパイプ60に移送す
る。尚気泡は、少なくとも第1の所定値になり、濾過が
開始されたら発生させる。
【0128】また第1のフィルタ膜が破れた場合は、第
1のフィルタ膜を付け替えるか濾過装置53自身を付け
替える必要がある。しかし、濾過装置35は、接着剤A
D1、AD2で一体となっているため、第1のフィルタ
膜だけを付け替えるのは実質不可能である。よってここ
では第2のフィルタ膜が形成された新しい濾過装置53
に取り替えられる。この場合は、第2のフィルタ膜が所
定の被除去物を捕獲できることを確認し、捕獲できてい
ない場合は、循環させて濾過能力を向上させる。また捕
獲できている事が確認されれば、第1のバルブ58で切
り替え、濾過流体をパイプ60に移送する。
【0129】第4のケースは、原水タンク50の排水レ
ベルが下がり、フィルタ膜が大気に接触する場合であ
る。
【0130】フィルタ膜が大気に接触する前に、排水に
設けられたレベルセンサ(図15の符号FS)により濾
過を停止する。この時は、気泡の発生も停止する。パイ
プ51からは排水が供給されているため、また気泡によ
り乱流が発生し第2のフィルタ膜が崩れる恐れがあるか
らである。そして濾過が可能な所定の排水レベルになっ
たら、循環を開始する。そして循環している間被除去物
を検出し、濾過流体の中の被除去物が所定の混入率(第
1の所定値)になったら、第1のバルブ58を切り替え
て、濾過流体をパイプ60に移送する。
【0131】尚、濾過流体の中の被除去物の濃度を示す
第1の所定値と第2の所定値は、同じでも良いし、第2
の所定値は、第1の所定値からある幅を持って大きく設
定されても良い。
【0132】またセンサ67は、固形物や被除去物を常
時センシングしている。センサとしては、受光・発光素
子の付いた光センサが、常に計測できるため好ましい。
発光素子は、発光ダイオードやレーザが考えられる。ま
たセンサ67は、パイプ56の途中あるいはパイプ59
の途中に取り付けても良い。
【0133】続いて、CMP装置から流れる被除去物が
混入された排水がどのように濾過されるかについて説明
する。
【0134】図14a、bは、CMP用スラリーの中に
含まれる砥粒の粒径分布を示すものである。この砥粒
は、Si酸化物から成る層間絶縁膜をCMPするもので
あり、材料はSi酸化物から成り、一般にシリカと呼ば
れているものである。最小粒子径は約0.076μm、
最大粒子径は、0.34μmであった。この大きな粒子
は、この中の粒子が複数集まって成る凝集粒子である。
また平均粒径は、約0.1448μmであり、この近傍
0.13〜0.15μmで分布がピークとなっている。
またスラリーの調整剤としては、KOHまたはNH3が
一般的に用いられる。またPHは、約10から11の間
である。
【0135】図14Cは、CMP排水が濾過され、砥粒
が捕獲されている事を示すデータである。実験では、前
述したスラリーの原液を、純水で50倍、500倍、5
000倍に薄め、試験液として用意した。この3タイプ
の試験液は、従来例で説明したように、CMP工程に於
いて、ウェハが純水で洗浄されるため、排水は、50倍
〜5000倍程度になると想定して用意され、それぞれ
を図13の原水タンク50に入れ、濾過装置53を使っ
て濾過をした。
【0136】濾過前の試験液の光透過率を400nmの
波長の光で調べると、50倍の試験液は、22.5%、
500倍の試験液は、86.5%、5000倍の試験液
は、98.3%である。排水に砥粒が含まれているの
で、光は散乱され、濃くなるに従い透過率が小さくなっ
ていることが判る。
【0137】一方、濾過後の透過率は、3つのタイプと
も99.8%となった。つまり濾過する前の光透過率よ
りも濾過後の光透過率の値が大きいため、砥粒は捕獲で
きている事が判る。尚、50倍希釈の試験液の透過率デ
ータは、その値が小さいため図面上では省略されてい
る。
【0138】以上の結果から、固形物16A、16Bで
形成された第2のフィルタ膜を有するフィルタで、CM
Pから排出される被除去物を濾過すると、透過率で9
9.8%程度まで濾過できることが判った。
【0139】第2のフィルタ膜を形成する固形物は、研
磨、研削、粉砕等で機械的に作られても良いし、自然界
から集めても良い。またその粒径分布は、図2の如き粒
度分布を持たせることが好ましい。特に粒径分布は、1
μm以下で第1のピークを、20〜50μmで第2のピ
ークを持たせ、第1のピーク近傍の小さな固形物の割合
よりも、第2のピーク近傍の大きな固形物の割合の方が
大きいことが好ましい。
【0140】一方被除去物は、加工により生成されたま
まの粒径分布で排水に取り込まれ、これを濾過しても良
い。また、この排水の中に別途微粒子を混入し、被除去
物と前記微粒子を含む全体の粒径分布が図2の分布、ま
たはそれに近い分布になるように調整しても良い。例え
ばCMPの排水中の被除去物は、図14のように、約
0.1μm近傍をピークとし、これを中心に1μm以下
の狭い範囲で分布されているため、図2aの約1μmか
ら約200μmの分布を持つ微粒子(例えばダイシング
屑)をCMPの排水に混入しても良い。これにより固形
物から成る第2のフィルタ上に捕獲されてできる膜は、
第2のフィルタと同様な隙間を持ち、被除去物の捕獲
性、流体の透過率性を維持できるメリットを有する。
【0141】CMP用の砥粒は、シリカ系、アルミナ
系、酸化セリウム系、ダイヤモンド系が主にあり、他に
酸化クロム系、酸化鉄系、酸化マンガン系、BaCO4
系、酸化アンチモン系、ジルコニア系、イットリア系が
ある。シリカ系は、半導体の層間絶縁膜、P−Si、S
OI等の平坦化、Al・ガラスディスクの平坦化に使用
されている。アルミナ系は、ハードディスクのポリッシ
ング、金属全般、Si酸化膜等の平坦化に使用されてい
る。また酸化セリウムは、ガラスのポリッシング、Si
酸化物のポリッシングとして、酸化クロムは、鉄鋼の鏡
面研磨に使用されている。また酸化マンガン、BaCO
4は、タングステン配線のポリッシングに使用されてい
る。
【0142】更には、酸化物ゾルと呼ばれ、このゾル
は、シリカ、アルミナ、ジルコニア等、金属酸化物また
は一部水酸化物から成るコロイドサイズの微粒子が水ま
たは液体中に均一に分散されているモノで、半導体デバ
イスの層間絶縁膜やメタルの平坦化に使用され、またア
ルミ・ディスク等の情報ディスクにも検討されている。
【0143】これらの砥粒も図14a、bと同様な粒径
サイズであり、もちろんこれらが被除去物として入った
排水の濾過、砥粒の捕獲も可能であることは言うまでも
ない。
【0144】次に濾過により得られる被除去物を含む濃
縮水の処理について説明する。図13に於いて、原水タ
ンクは、時間とともに被除去物が濃縮されてくる。そし
て所望の濃度になった場合、濾過作業を停止し、凝集沈
殿させて放置する。するとタンクの中の原水は、だいた
い層状に分かれる。つまり上層から下層に従い、やや透
明な流体から全く非透明な流体に分布される。これらを
バルブ61〜64を使い分けて回収している。
【0145】例えば、やや透明で被除去物の少ない原水
は、第2のバルブ61を開けて、濾過装置66を介して
回収する。続いてバルブ62、63を順次開けて流体を
回収する。最後には、原水タンクの底に貯まった濃縮ス
ラリーをバルブ64を開けて回収する。
【0146】先にバルブ64を開けると、原水の自重に
よりいっきに濃縮スラリーが流れ、しかも上方の流体も
出て制御が難しい。そのため、ここでは、61、62、
63、64の順にバルブを開けて回収している。
【0147】また図13の下中央(点線で囲んだ図)に
は、原水タンクの原水レベル検査手段80が図示されて
いる。これは原水タンク50の側面に、L字型のパイプ
81が取り付けられ、また原水のレベルによりパイプ8
2が少なくとも一つ取り付けられている。このパイプ8
2は、外径がパイプ81の内径と一致し、勘合されるよ
うになっている。
【0148】例えば、バルブ63の取り付けられている
高さよりもちょっと高い位置に原水のレベルが成った
ら、このパイプ82を取り付け、上方にのびたパイプ8
2に透明ののぞき窓を付けることで、原水のレベルを確
認することができる。従って、こののぞき窓を介して原
水レベルを確認しながら、濃縮スラリー以外の原水をぎ
りぎりまで取り除くことができる。
【0149】またこのパイプ自身をガラス等の透明材で
構成すれば、別途のぞき窓を取り付ける事無く原水のレ
ベルを確認することができる。またこの検査手段は予め
取り付けられていても良い。
【0150】一方、図13下左には、濃縮スラリーの上
方の上水をぎりぎりまで採取するための手段が示されて
いる。つまり原水タンク50の内側に、図のようにL字
型パイプ81を取り付けておく。決まった期間で被除去
物の量が特定されていたり、また濃縮スラリーの量が特
定されていれば、パイプ81の頭部の高さが予め決めら
れる。従って濃縮スラリーの上層よりも若干高い所にパ
イプ81や82の頭部を配置させれば、自動的にこの高
さまで原水を濾過装置66に流出させることができる。
また誤ってバルブ63を開けっ放しにしても、このパイ
プ81や82の頭部のレベルで原水の流出を止めること
ができる。またこの濃縮スラリーのレベルが増減した場
合、パイプ82の取り外しで、原水の採取レベルが調整
できる。もちろんパイプ82は、いくつも用意され、レ
ベルにより何段も取り付けられて良い。
【0151】なお、濃縮水を凝集沈殿法で回収する方法
を説明したが、これに限ることはない。例えば、原水5
2がある濃度になったら、別の濾過装置66(FD)に
移しても良い。例えば、CMPは、薬品と0.1μm以
下の砥粒が含まれたスラリーを使う。そしてポリッシン
グの時に水が流され、排水としては前記スラリーよりも
濃度の薄いものが排出される。しかし排出された原液が
濾過されるに従い濃度が濃くなると同時に粘性も出てく
る。そして濾過装置と濾過装置の間隔が狭いと気泡は濾
過装置の間に入りづらくなり、気泡が固形物や被除去物
に外力を与えなくなる。しかも図14bのように被除去
物が非常に微細であると、濾過能力の低下が早い。その
ため、所定の濃度になったら、その原液を別の濾過装置
FDに移すことが好ましい。例えば、図13右下のよう
に、フィルタFTの上層に原水を流し込み、ポンプPで
原水を真空吸引する濾過装置を採用しても良い。またこ
の濾過装置FDを濃縮回収パイプに取り付けて回収して
も良い。
【0152】ここでは、フィルタFTを介して濾過し、
高濃度の原液がある程度の固まりに成るまで吸引してい
る。一方、濾過装置FDに原液を移すことで原水タンク
50の原水レベルが下がるが、パイプ51からは濃度の
薄い原水が供給されている。そして原水の濃度が薄くな
り、原水がフィルタを完全に浸すようになったら、再度
濾過が始まるように設定すれば、原水の粘度も下がり、
気泡が濾過装置の間に入り込み固形物に外力を与えるよ
うになる。
【0153】また濾過装置FDや66を被除去物の回収
装置として用いても良い。例えば被除去物が入った原水
タンク50が所定の濃度になったら、凝集沈殿を行わ
ず、濾過装置66(FD)で分離しても良い。例えば、
シリコン屑を濾過する場合、分離されたシリコン屑は、
凝集沈殿で使用される薬品と反応していないため、比較
的純度の高いものであり、再度溶融してウェハ用のSi
のインゴットにしても良い。また瓦の材料、セメント、
コンクリートの材料等と、色々な分野に再利用が可能で
ある。
【0154】以上述べたように、図13のシステムで
は、原水タンク50、濾過装置(浸漬・吸引)53、小
型ポンプ57で構成され、特に第1のフィルタが目詰ま
りしない様に、低圧で吸引しているため、ポンプ57は
小型でよいメリットを有する。また従来は、原液がポン
プを通過するため、ポンプ内部が摩耗し、寿命が非常に
短かった。しかし本構成は、濾過流体がポンプ57を通
過するため、その寿命もはるかに長くなった。従ってシ
ステムの規模が小さくでき、ポンプ57を稼働するため
の電気代は節約でき、更にはポンプの取り替え費用も大
幅に抑えられ、イニシャルコストも、ランニングコスト
も削減できた。
【0155】またフィルタ膜は、ポリオリフィン系の膜
で、落としても割れず機械的強度が高く、酸・アルカリ
等の薬品に対して耐性が高いものである。そのため、原
水濃度は、高濃度まで対応でき、フィルタ膜を付けた状
態で、凝集沈殿も可能となった。
【0156】また別のタンクで凝集沈殿するのではな
く、原水タンクを利用して凝集沈殿させるので、余分な
配管やポンプ等が不要となり、省資源型の濾過システム
が可能となった。
【0157】また濾過装置は、吸引濾過で、低流速・低
圧力で濾過するため、更には第2のフィルタ膜の形成に
より、前述した第1のフィルタ膜の細孔への固形物また
は被除去物の入り込みを防止でき、濾過性能を向上させ
ることが可能となった。またエアーバブリング等の外力
発生手段により連続的に濾過が可能となった。また濾過
速度、濾過圧力は、第1のフィルタ膜が破壊や変形する
事により、第2のフィルタ膜が破壊される事のない範囲
内で設定され、濾過速度は、0.01〜5メートル/D
ay、濾過圧力は、0.01kg/cm2〜1.03Kgf/
cm2(1気圧)までは実質可能である。
【0158】一方、濾過膜内部への固形物または被除去
物の付着が、防止でき、従来必要とされた逆洗浄は、殆
ど不要となった。
【0159】以上、固形物としてSiウェハから発生す
るシリコン屑、被除去物としてCMPから発生する砥
粒、被研磨物(研削物)で説明してきたが、本発明は、
色々な分野で活用が可能である。
【0160】つまり固形物として、図2aに示すような
粒度分布を別途他の材料で用意しても良い。例えばアル
ミナ、ゼオライト、ケイソウ土等、セラミック、金属材
料等の無機物でこの分布を作り第2のフィルタ膜を形成
しても良い。またピークに関しては、図2aでは2つあ
るが、基本的には大きい粒径と小さい粒径の固形物が〜
数500μmの範囲で分布すれば、濾過は可能である。
更に固形物は、異なる材料が混ざっていても何ら問題は
ない。また被除去物は、本質的には固形物であれば全て
のものが濾過できる。
【0161】排水は地球環境に何らかの害を与えていた
が、本発明は、実施例の最初に説明したように、色々な
分野で活用が可能であり、本発明を採用することにより
その害を大幅に低減させることができるものである。
【0162】特に、ダイオキシンを有する物質を発生す
るごみ焼却所、放射能発生物質を精製しているウラン精
製工場、また有害物質が含まれた粉体を発生させる工場
があるが、これらは本発明の採用により有害物質を持っ
ている屑が大きなモノから小さなモノまで限りなく取り
除くことできる。
【0163】また被除去物が、周期表の中で、2a族〜
7a族、2b族〜7b族の元素のうち少なくとも一つを
含む無機固形物であれば、これらのものは本発明を採用
することにより殆ど取り除くことができる。
【0164】続いて図15を参照して被除去物の回収を
説明をする。
【0165】まずパイプ51を介して被除去物(例えば
CMPの排水)を流し込み、濾過を開始する。ここでも
濾過流体の被除去物の混入率を確認し、所望の混入率よ
りも高い場合は、循環させ、所望の混入率よりも低い事
を確認して濾過を開始すうる。濾過が開始される時は、
第1のバルブ58によりパイプ59からパイプ60に切
り替えられる。気泡発生装置54は、少なくともこの時
から始動する。尚、符号70は、パイプ56を通過する
濾過流体の圧力を検知する圧力計であり、符号71は、
流量計である。
【0166】そして連続して濾過が続けられ、原水タン
ク50の排水の濃度が所定の濃度を超えたら、バルブ6
1〜64のいずれかを開けて、原水52を濾過装置FD
に流し込む。濾過装置53は、原水タンク52の中に何
十枚と平行に配置されている。ところが粘度が高くなる
と、濾過装置53の間に気泡が浸入しづらくなり、第2
のフィルタ膜表面への気泡の通過が抑制されてしまう。
よって排水が所定の濃度を越えたら、排水の濃度を低下
させるために、排水の少なくとも一部を濾過装置FDに
移し、パイプ51から流れてくる排水でその濃度を低下
させている。
【0167】この濾過装置FDは、第1の槽72と第2
の槽73に分けられ、この2つの槽72、73の間に
は、第1のフィルタ膜よりも目の粗い孔を持ったフィル
タFTが配置されている。そしてパイプ74をポンプ等
で吸引することにより、強制的に原液を第2の槽73に
移している。
【0168】濾過装置FDで濾過をすることにより、フ
ィルタFTの上に、被除去物の固まりである回収物75
を生成し、この回収物を容器76に入れて回収してい
る。また回収物は乾燥すると飛散するため、容器は、密
閉されるものが良い。
【0169】そしてこの回収を続ける内に原水タンク5
0のレベルは下がるが、濾過装置FDの濾過流体が再度
原水タンク50に戻されたり、パイプ51から排水が供
給されるため、原水タンク50内の原水濃度が低下し、
また濾過が開始できるようになる。排水のレベルにより
ポンプを止めたり、始動したりするタイミングは、レベ
ルセンサFSで検知されている。
【0170】更に、CMP排水の中の砥粒、被研磨物
(研削物)を取り除いた濾過流体を再利用する方法を図
16を参照して説明する。
【0171】符号80で示すCMP装置は、一般的には
図20のようにシステムとなって配置されているが、図
面の都合上、図19のCMP装置を示した。このCMP
装置を除いた他の構成は、図13、図15と同様であ
る。
【0172】符号252は、回転定盤250に設けられ
た半導体ウェハであり、253はスラリーである。また
図示されていないがウェハ252および回転定盤250
をシャワーリングするシャワーも設けられている。
【0173】このCMP装置の下方、ウェハ洗浄機構部
には、排水を受ける容器BLがあり、容器BLの一部に
原水タンク50へとつながるパイプ51が取り付けられ
ている。尚詳細は、図19、図20で説明しているの
で、ここでは省略する。
【0174】排水は、スラリー原液(希釈剤、pH調整
剤および砥粒が主として含まれている)の他に、粒状の
被研磨物または被研削物、半導体ウェハの構成物質から
成るイオン、および水が混入され、濾過装置53によ
り、スラリーに混入される砥粒および被研磨物(または
被研削物)の実質殆どが捕獲される。従ってパイプ60
を通過する流体は、砥粒を除いたスラリー原液(例えば
調整剤であるKOHまたはNH3と希釈剤)、水および
イオンが含まれているので、例えばパイプ71の間に、
前記水とイオンを取り除く精製装置が取り付けられれ
ば、濾過流体は再利用できる。そして精製されたスラリ
ー原液の中に再度砥粒が混入されて撹拌されれば、CM
P装置用のスラリーとして再利用できる。
【0175】またパイプ72を介して別のタンクに前記
濾過流体を移送し、これを精製メーカーに渡し、精製し
てもらっても良い。このようなシステムにすることによ
り、大量に廃棄されるCMPの排水を再利用することが
できる。
【0176】続いて、実際純水製造システムとの関係を
図17を参照して説明する。
【0177】まず工業用水タンク101に、工業用水が
貯められる。この工業用水は、ポンプP1でフィルタ1
02、103を介して濾過水タンク104へ輸送され
る。フィルタ102は、カーボンフィルタであり、ゴ
ミ、有機物が取り除かれる。またフィルタ103は、フ
ィルタ102から発生するカーボンを取り除くものであ
る。
【0178】続いて濾過流体は、ポンプP2で、逆浸透
濾過装置105を介して純水タンク106へ輸送され
る。この濾過装置105は、逆浸透膜を使ったものであ
り、ここで0.1μm以下の屑(ゴミ)が取り除かれ
る。そして純水タンク106の純水は、UV殺菌装置1
07、吸着装置108,109および純水の抵抗値を下
げる装置110を介して純水タンク111に輸送され
る。
【0179】UV殺菌装置107は、字の如く紫外線に
より純水を殺菌し、符号108、符号109は、イオン
交換し、イオンを除去する装置である。また符号110
は、純水の中に炭酸ガスを混入させるものである。これ
は、純水の抵抗値が高いと、ブレード等にチャージアッ
プが発生する等問題が発生するため、故意的にその抵抗
値を下げている。
【0180】そしてポンプP3を使いCMP装置の洗浄
用として純水を供給している。符号112は、約0.2
2μm以上の屑(ゴミ)を再度取り除いている。
【0181】続いてCMP装置で発生した排水は、ポン
プP4を使って原水タンク113に貯められ、前で述べ
た濾過装置114で濾過される。これは、図9、10に
述べたものと同様のものである。そして濾過装置114
で濾過された濾過流体は、パイプ120と接続された精
製装置121により精製され、分離された水は濾過水タ
ンク104に戻される。また精製装置で精製された流体
には、砥粒が混入され再度CMPのスラリーとして再利
用されても良い。
【0182】ここで濾過装置114において、濾過流体
に被除去物が混入した場合は、原水タンク113に戻さ
れ循環されることはいうまでもない。
【0183】
【発明の効果】一般に、CMPのスラリーに混入される
砥粒のように0.1μmクラスの粒体を取り除くには、
この粒体よりも小さな孔のフィルタ膜を採用するのが一
般的である。しかし本発明は、被除去物と同程度および
これよりもサイズの大きな固形物を第2のフィルタ膜と
して積層し、第2のフィルタ膜に形成される数多くの隙
間を流体の通過路として活用しているため、第2のフィ
ルタ膜が形成された濾過装置を排水中に浸漬させるだけ
で、0.1μmクラスの流体を取り除くことができた。
従って第2のフィルタ膜が形成された濾過装置、ポン
プ、タンクでシステムを組め、設備費が安く、ランニン
グコストも低減された高精度濾過装置の実現が可能とな
った。
【0184】しかも第2のフィルタ膜自身が固形物の集
合体であることから、目詰まりの原因となる被除去物お
よび固形物を第2のフィルタ膜から離間させることがで
き、濾過装置の濾過能力を長期に渡り維持することも実
現できた。更には循環通過させることにより排水内の被
除去物および/または固形物が第2のフィルタ膜として
構成されて成長し、所定の粒径まで捕獲できる濾過性能
を持った第2のフィルタ膜として形成することができ、
また第2のフィルタ膜の自己修復も可能となった。よっ
て、従来の濾過装置よりもメインテナンスが大幅に低減
できる濾過装置が実現できた。
【0185】更に具体的には、第1のフィルタに、積層
物を形成することにより、流体や排水の通路を第1のフ
ィルタよりも多く確保して目詰まりの防止を抑制し、し
かも凹凸を有した形状とするため、外力を与えても、積
層物の極表面に位置する固形物が遊離するだけで、また
は積層物にトラップされた屑だけが遊離するだけで、第
1のフィルタに直接付着した積層物は離間せずに付着し
ている。これは積層物も含めたフィルタの表面に外力を
与えることによりリフレッシュを可能にし、長時間の濾
過が可能となる。よって排水の屑の濃度を高めることが
でき、屑の回収を行う際、その効率は大幅に向上する。
CMPの排水は、各層毎に施され、その排水は膨大であ
るが、屑を高濃縮することができるので、廃棄処理量を
大幅に削減することができる。
【0186】また、吸引力が非常に小さいため、積層物
の固形物を離間させることができる。
【0187】また、CMPの排水は、粘度が上昇する。
それによって気泡が積層物の表面に当接しにくくなる。
またフィルタのリフレッシュ機能が低下する。よって所
定の粘度になったら、排水の一部を原水タンクから移
し、製造現場から供給される排水により薄められる。よ
ってその粘度を低下させることができ、そのリフレッシ
ュ機能も向上させることができる。
【0188】更には、積層物の形成を、原水タンクと別
のタンクで形成しても良い。別のタンクで形成すること
により、予め積層物の付いたフィルタを用意でき、距離
的に離れた所への移送が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るフィルタ膜を説明す
る図である。
【図2】 ダイシング時に発生する排水中のシリコン屑
の粒度分布、形状を説明する図である。
【図3】 本発明の実施形態に係るフィルタ膜を説明す
る図である。
【図4】 本発明の実施形態に係るフィルタ膜を説明す
る図である。
【図5】 固形物または固形物と被除去物から成るフィ
ルタを形成する方法を説明する図である。
【図6】 濾過装置の第1のフィルタ膜に第2のフィル
タ膜を形成する方法を説明する図である。
【図7】 フィルタ膜を準備する方法を説明する図であ
る。
【図8】 フィルタ膜を持った濾過装置を準備する方法
を説明する図である。
【図9】 本発明に採用する濾過装置を説明する図であ
る。
【図10】 本発明に採用する濾過装置を説明する図で
ある。
【図11】 図9、図10の濾過動作を説明する図であ
る。
【図12】 図9、図10の濾過動作を説明する図であ
る。
【図13】 本発明の濾過方法を説明するシステム図で
ある。
【図14】 CMPの砥粒の粒径分布、および濾過前と
濾過後の光の透過率を説明する図である。
【図15】 本発明の濾過方法を説明するシステム図で
ある。
【図16】 本発明の濾過方法を説明するシステム図で
ある。
【図17】 本発明の濾過方法をCMP装置に応用した
システムを説明する図である。
【図18】 従来の濾過システムを説明する図である。
【図19】 CMP装置を説明する図である。
【図20】 CMP装置のシステムを説明する図であ
る。
【符号の説明】
10 第1のフィルタ 11 フィルタ孔 12 金属屑 13 第2のフィルタ 20 原水タンク 21 フィルタ膜 23 濾過水 24 ポンプ 25 切り替えバルブ 30 枠 31、32 第1のフィルタ 34 パイプ 50 原水タンク 52 原水 53 濾過装置 54 気泡発生装置 67 センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 特許法第30条第1項適用申請有り 平成11年9月1日 工業調査会発行の「電子材料 Vol.38,No.9」 に発表

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水パイプから流入された排水が貯留さ
    れたタンクに、個別に分離可能な粒体が集められて成る
    濾材が積層されたフィルタを浸漬し、前記排水を前記フ
    ィルタを介して濾過する排水の濾過方法に於いて、 水流又は気泡から成る外力を前記濾材に与えて、前記濾
    材を離間させながら前記タンクに流入される前記排水を
    濾過することを特徴とする排水の濾過方法。
  2. 【請求項2】 前記外力を連続して与えて前記フィルタ
    の目詰まりを防止することを特徴とする請求項1記載の
    排水の濾過方法。
  3. 【請求項3】 前記外力を間欠的に与えることを特徴と
    する請求項1記載の排水の濾過方法。
  4. 【請求項4】 前記排水に含まれる被除去物は、無機固
    形物または有機物であることを特徴とする請求項1記載
    の排水の濾過方法。
  5. 【請求項5】 個々に離間可能な粒体が集められて成る
    フィルタを排水中に設置して前記排水を濾過する排水の
    濾過方法に於いて、 前記フィルタの表面に水流を与えて前記粒体を離間させ
    ることにより、前記フィルタの目詰まりを防止すること
    を特徴とする排水の濾過方法。
  6. 【請求項6】 前記水流を間欠的に与えることを特徴と
    する請求項5記載の排水の濾過方法。
  7. 【請求項7】 前記水流を連続して与えることを特徴と
    する請求項5記載の排水の濾過方法。
  8. 【請求項8】 前記排水に含まれる被除去物は、無機固
    形物または有機物であることを特徴とする請求項5記載
    の排水の濾過方法。
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