JP2003321392A - 粘膜免疫ワクチン用アジュバント - Google Patents

粘膜免疫ワクチン用アジュバント

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JP2003321392A
JP2003321392A JP2002128674A JP2002128674A JP2003321392A JP 2003321392 A JP2003321392 A JP 2003321392A JP 2002128674 A JP2002128674 A JP 2002128674A JP 2002128674 A JP2002128674 A JP 2002128674A JP 2003321392 A JP2003321392 A JP 2003321392A
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adjuvant
mucosal
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protein
amino acid
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Masabumi Yamamoto
正文 山本
Mari Hoshino
真理 星野
Hiroshi Kiyono
宏 清野
Yoshikazu Yuki
義和 幸
Yoshifumi Takeda
美文 竹田
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Nihon University
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Nihon University
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新たな粘膜免疫ワクチン用アジュバントを提
供することを目的とする。 【解決手段】 ベロ毒素1のBサブユニットの5量体を
粘膜アジュバントとしてタンパク抗原とともに経鼻投与
することにより、粘膜系および全身系組織の両者におい
てタンパク抗原に特異的な抗体産生の誘導が著しく増強
される。従って、ベロ毒素1のBサブユニットの5量体
は粘膜アジュバントとして極めて有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘膜免疫ワクチン
と共に用いることができるアジュバントに関する。更に
詳細には、ベロ毒素1のBサブユニット、特にBサブユニ
ットの5量体からなる粘膜免疫ワクチン用のアジュバン
トに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、粘膜面における免疫機構が次々に
解明されてきており、それに伴って有効性の高い粘膜免
疫ワクチンの開発が進められている。粘膜免疫ワクチン
の場合には、口腔、鼻腔などへの抗原の経粘膜投与によ
り、唾液などの粘膜系組織中に分泌型IgA抗体が産生さ
れ、他方、歯肉溝浸出液などの全身系組織中に血清由来
のIgG抗体が産生される。従って、抗原を経粘膜投与す
ることにより、粘膜系と全身系の両方で免疫応答を誘導
することができる。このような試みとしては、Haemophi
lus influenzaeの細胞膜蛋白質を抗原としてマウスに経
鼻投与することにより、鼻腔洗浄液中にIgA抗体が、血
清中にIgG抗体が産生され、粘膜系および全身系の両方
で免疫応答が誘導されたことが報告されている(Kuron
o, Y. et al.,J. Immunol. 161:4115-4121, 1998)。更
には、う蝕の病原菌であるStreptococcus mutansの外膜
蛋白質をマウスに経鼻投与することにより、粘膜系およ
び全身系の両方で免疫応答が誘導されたことも報告され
ている(Saito, M. et al., J.Infect. Dis. 183:823-8
26, 2001)。これらの粘膜免疫ワクチンは、病原性微生
物に対して粘膜系および全身系の両方で免疫応答を誘導
できるため、新たなワクチンとして臨床への応用が期待
されている。
【0003】しかしながら、粘膜免疫ワクチンは注射に
よるワクチンに比較して多量の抗原が必要となる。ま
た、抗原の多量投与は免疫応答の不応答化(粘膜誘導型
寛容)を引き起こす(Weiner, H.L. et al., Annu. Re
v. Immunol., 12:809, 1994)。これらの点から、粘膜
面に効果的な免疫応答を誘導するために粘膜免疫調節因
子つまり粘膜アジュバントが必要不可欠となる。粘膜ア
ジュバントとしては、コレラ毒素(cholera toxin)と
毒素原性大腸菌の易熱性毒素(heat-labile enterotoxi
n)についてこれまでに多くの報告がなされている。コ
レラ毒素をタンパク抗原とともに経口あるいは経鼻投与
すると、全身系と粘膜系組織の両方に抗原特異的Th2型
サイトカイン反応が誘導され、血清中にIgG1とIgA、粘
膜面に分泌型IgA抗体が誘導されることが報告されてい
る(Xu-Amano, J. et al., J. Exp. Med., 178: 1309,
1993; Ymamoto, S. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A., 94:6267, 1997; Marinaro, M. et al., J.Imm
unol. 155: 4621, 1995)。また、粘膜アジュバントと
しての毒素原性大腸菌の易熱性毒素は、Th1型とTh2型の
両方のサイトカインを誘導し粘膜面における分泌型IgA
とともに血清中にIgG1とIgG2aを誘導することも報告さ
れている(Takahashi, I. et al., J. Infect. Dis. 17
3: 627, 1996)。
【0004】一方、腸管出血性大腸菌(O-157)が産生
する毒素としてベロ毒素があり、べロ毒素は出血性大腸
炎、溶血性尿毒症の原因物質とされている。ベロ毒素に
は、そのアミノ酸配列および抗原性が異なるベロ毒素1
とベロ毒素2の二種類があり、ベロ毒素1は志賀赤痢菌
が産生する志賀毒素と類似のものである。ベロ毒素は約
70kDaの分子であり、約32kDaのAサブユニットと約7.7k
DaのBサブユニットからなり、Aサブユニットは真核生物
リボソームの28S rRNA中の保存された塩基配列のうちア
デニンを脱プリン化することでタンパク質合成を阻害
し、Bサブユニットは5量体を形成して糖脂質の一種で
ある細胞膜上の受容体と結合する機能を有している(En
do Y. et al., Eur. J. Biochem., 1988; 171: 45-50;
SaxenaSK et al., J. Biol. Chem., 1989; 264: 596-
601; Samuel JE et al., Infect. Immun. 1990; n58:
611-618)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ベロ毒素1について
は、粘膜アジュバントとしてのコレラ毒素とともにベロ
毒素1のBサブユニットを経鼻免疫することにより、血
清中にベロ毒素1のBサブユニットに対するIgGが、粘膜
面にベロ毒素1のBサブユニットに対する分泌型IgA抗体
が誘導されることが報告されている(Youngjin Byun et
al., Vaccine 19,2001, 2061-2070)。しかしながら、
ベロ毒素1のBサブユニット自体を粘膜アジュバントと
して用いて、その粘膜アジュバントとしての機能につい
て検討した報告はまだなされていない。従って、本発明
の目的は、ベロ毒素1のBサブユニットからなる粘膜免
疫ワクチン用アジュバントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ベロ毒素1
のBサブユニットの粘膜アジュバントとしての機能につ
いて鋭意研究した結果、タンパク抗原である鶏卵アルブ
ミンと共にベロ毒素1のBサブユニットの5量体をマウ
スに経鼻投与したところ、粘膜系および全身系の両者に
おいて鶏卵アルブミンに特異的な抗体の産生が著しく増
強されることが明らかになり、従って、ベロ毒素1のB
サブユニットは粘膜免疫ワクチン用のアジュバントとし
て極めて有効であることを見出し本発明を完成させた。
従って、本発明は、ベロ毒素1のBサブユニットからな
る粘膜免疫ワクチン用アジュバントである。
【0007】
【発明の実施の態様】本発明の粘膜免疫ワクチン用のア
ジュバントは、ベロ毒素1のBサブユニットからなる。
ベロ毒素1は志賀赤痢菌の産生する志賀毒素と類似のも
のであり、志賀毒素様毒素1とも呼ばれるものである。
本発明では、ベロ毒素1のBサブユニットの5量体をア
ジュバントとして用いるのが好ましい。ベロ毒素1のB
サブユニットの構造およびそのアミノ酸配列については
既に報告されており(Kozlov YV et al., Gene 1988; 6
7: 213-221; O’Brien AD et al., J. Infect. Dis.,1
982; 146: 763-769)、具体的には、ベロ毒素1のBサブ
ユニットは、配列表の配列番号1に示す1〜69番目のア
ミノ酸配列からなる蛋白質である。本発明においては、
アジュバントとして用いる蛋白質としては、配列番号1
の1〜69番目のアミノ酸配列において1個もしくは数個
のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したア
ミノ酸配列を有する蛋白質であって配列番号1に示す1
〜69番目のアミノ酸配列からなる蛋白質と同様の機能を
有する蛋白質を用いることもできる。ここで同様の機能
を有する蛋白質とは、配列番号1に示す1〜69番目のア
ミノ酸配列からなる蛋白質と同様の粘膜アジュバントと
しての機能を有し、粘膜免疫ワクチンと共に経粘膜投与
した時に、ワクチンとしてのタンパク抗原に対する特異
的抗体の産生を粘膜系および全身系の両者において増強
することのできるものである。
【0008】上記したアジュバントとして用いられる蛋
白質は、それをコードする遺伝子を用いたそれ自体周知
の組換えDNA法により製造することができる。即ち、配
列番号1に示す1〜69番目のアミノ酸配列をコードする
遺伝子を含む発現ベクターを構築して適用な宿主細胞に
導入し培養することによって製造することができる。配
列番号1の1〜69番目のアミノ酸配列において1個もし
くは数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付
加したアミノ酸配列を有する蛋白質であって配列番号1
に示す1〜69番目のアミノ酸配列からなる蛋白質と同様
の機能を有する蛋白質である変異蛋白質は、配列番号1
の1〜69番目のアミノ酸配列をコードする遺伝子に対し
て、例えば部位特異的突然変異誘発法などを適用するこ
とにより、変異蛋白質をコードする遺伝子を得、その遺
伝子を用いて同様に周知の組換えDNA法により製造する
ことができる。これらの製造については、具体的にはMo
lecular Clonin 2nd Edt., Cold Spring Harbor Labora
tory Press (1989)等の基本書を参考にして容易に行う
ことができる。具体的には、配列番号1の1〜69番目の
アミノ酸配列をコードする遺伝子が組み込まれたベクタ
ーpNU212-VT1BをBacillus brevisに導入して培養するこ
とにより、ベロ毒素1のBサブユニットの5量体を製造
することが報告されており(Youngjin Byun et al., Va
ccine 19, 2001, 2061-2070)、従って、この方法を利
用して本発明のアジュバントを製造することができる。
あるいは、上記したアジュバントとして用いる蛋白質
は、そのアミノ酸配列に基づいて化学的に合成すること
により製造することもできる。
【0009】本発明のアジュバントは、粘膜免疫ワクチ
ンとして用いられるタンパク抗原であれば、いずれのタ
ンパク抗原とも一緒に粘膜アジュバントとして用いるこ
とができる。タンパク抗原としては、例えば、Haemophi
lus influenzaeの細胞膜蛋白質(Kurono, Y. et al.,
J. Immunol. 161:4115-4121, 1998)、う蝕の病原菌で
あるStreptococcus mutansの外膜蛋白質(Saito, M. et
al., J. Infect. Dis.183:823-826, 2001)、歯周病の
病原菌であるPorphyromonas gingivalisの外膜蛋白質
(Abiko, Y. et al., Arch. Oral. Biol. 35: 686-695,
1990)などが挙げられる。また、百日せきワクチン、
麻疹ワクチン、風疹ワクチン、マイコプラズマワクチン
などに通常使用されるタンパク抗原などと一緒に本発明
のアジュバントを用いることもできる。
【0010】本発明のアジュバントは、通常、経粘膜投
与用ワクチンとして用いられるタンパク抗原と一緒に、
経鼻投与あるいは経口投与により投与される。特に経鼻
投与により投与するのが好ましい。本発明のアジュバン
トはタンパク抗原と共に、通常、液状あるいは粉末状の
形態で、鼻腔内あるいは口腔内に滴下、噴霧あるいはス
プレーすることにより投与される。このようにして投与
される本発明のアジュバントの剤型としては、例えば、
液剤、懸濁剤、粉末剤などが挙げられる。液剤として
は、タンパク抗原と一緒に精製水、緩衝液などに溶解し
たものなどが挙げられる。懸濁剤としては、メチルセル
ロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロ
リドン、ゼラチン、カゼインなどと共に精製水、緩衝液
などに懸濁させたものなどが挙げられる。粉末剤として
は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどとともによく
混合したものなどが挙げられる。これらの製剤には、通
常使用されている吸収促進剤、界面活性剤、保存剤、安
定化剤、防湿剤、保湿剤、溶解剤などを必要に応じて添
加することができる。
【0011】本発明のアジュバントは、投与する対象、
投与方法、投与形態等によって異なるが、タンパク抗原
と同時に、通常成人1人当たり一回につき100μg〜1,00
0μgの範囲、好ましくは100μg〜500μgの範囲で投与す
る。本発明のアジュバントを粘膜免疫ワクチンと共に、
経鼻投与などの経粘膜投与することにより、唾液、鼻腔
液等および血清の双方にワクチンとして用いたタンパク
抗原に特異的な抗体の産生が著しく増強され、従って、
本発明のアジュバントは、各種の粘膜免疫ワクチン用の
アジュバントとして極めて有効である。
【0012】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定される
ものではない。なお、以下の実施例では、ベロ毒素1の
Bサブユニットの5量体を、Stx1-BまたはVT1Bと略記す
る。従って、Stx1-BとVT1Bは同一のベロ毒素1のBサブ
ユニットの5量体を意味する。 実施例1本発明のStx1-Bをアジュバントとして用いた鶏卵アルブ
ミンの経鼻免疫による全身系および粘膜系組織における
免疫応答誘導能の測定 (1)材料と方法 a) マウス マウス(C57BL/6)8週齢雌は、日本SLCから購入した。 b) 抗原 鶏卵アルブミンを用いた。 c) アジュバントとして用いるVT1Bの発現及び精製 以下に説明するように、Youngjin Byun et al., Vaccin
e 19, 2001, 2061-2070に記載された方法に従って、配
列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子が組み込ま
れたベクターpNU212-VT1Bを構築してBacillus brevisに
導入して培養することにより、ベロ毒素1のBサブユニ
ットの5量体であるVT1Bを製造した。DNAサーマルサイ
クラー(Perkin-Elmer Cetus Corp、Norwalk, CT)中
で、大腸菌O157:H7染色体DNAから次のプライマーを用い
てPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を30サイクル(それぞ
れ94℃で30秒、60℃で30秒、及び72℃で2分間持続)実施
した。 フォーファードプライマー: 5’CTCCCATGGCTTTCGCTACGCCTGAT TGTGTAACT (1個のNco I部位を有するB.brevis 47菌の中央壁タンパク質(MWP)シグナルペ プチドのカルボキシル末端をコードする配列に癒合させたVT1Bのアミノ末端部分 をコードする配列) リバースプライマー: 5’ATTTTATGAAGCTTCGCCTGCTA (1個のHind III部分を取り付けた、VTBの終止コドンから下流に位置する配列に 相補的な配列)
【0013】得られたPCR産物を、pT7Bblueベクター(N
ovagen Inc. Madison, WI)中にクローニングした。こ
のプラスミドを大腸菌NovaBlueコンピテント細胞(Nova
gen)中に導入して形質転換した。細菌を37℃にて1時間
増殖させ、25μg/mLのアンピシリン、35μLの25μg/ml
X-gal、及び20μlの10mM IPTGを含有するLBプレート上
に播種した。YT1B遺伝子を含んだ数個の株を37℃で16時
間増殖させ、プラスミドをアルカリ抽出法(Birnboim H
C (1983) Methods in Enzymol 100:243-255)で精製し
た。Nco IとHind IIIで消化した後、プラスミドをアガ
ロースゲル上で分画し、次いで270塩基対のVT1B断片
を、GENECLEAN(Bio101, Vista, CA)により精製した。pN
U212中へライゲートした後、このVT1B遺伝子を含んだプ
ラスミドDNAをB.brevis47K中へエレクトロポレーション
法(Okamoto et al(1997)Biosci.Biotech. Biochem61:2
02-203)でGene Pulser IIシステム(BioRad Laborator
ies, Hercules, CA)を用いて導入した。pNU212-VT1Bを
有するB.brevis47Kを30℃にて、3日間、1L(pH7.0)あ
たり40gのSoytone(Difoco, Detroit, MI)、10gの酵母
エキス(Difco)、30gのグルコース(Sigma Chemical C
o. St. Louis, MO)、0.1gのCaCl22H2O、0.1gのMgCl2・
7H2O及び0.1gのウラシル(Sigma)を含有するSU2培地中
で増殖させた。培養上清をAmicon(Beverly, MA)の撹
拌セル及びPM10膜で、濃縮した後、組換えVT1Bを硫安ア
ンモニウム(80%飽和)で沈殿させた。沈殿物を、0.05M
トリス塩酸緩衝液(pH7.3)中に溶解させ、同緩衝液に
対して透析した。遠心(20分、20,000g)の後、透析液
を、同緩衝液にて平衡化させたDEAE-sephaorose(Phamc
iaBiotech,Alameda,CA)カラム(5×30cm)にチャージ
した。同緩衝液で洗浄後、次いで0.2MNaClを含む0.05M
トリス塩酸緩衝液(pH7.3)で溶出させた。活性分画を
集めて、Amiconセルで濃縮し、次いでPBS(pH7.4)で平衡
化させたSephadex G-100(Phamacia Biotech)カラム
(2×95cm)にチャージした。この方法で1LのB.brevis4
7K培養上清から90mgのベロ毒素1のBサブユニットの5
量体である組換えVT1Bが得られた。
【0014】d) 免疫方法 C57BL/6マウスに、鶏卵アルブミン(100μg/10μl)と
Stx1-B(5μg/10μl)を溶解したリン酸緩衝液をマウ
スの鼻腔に片鼻5μlずつ滴下して経鼻投与した。また、
抗原およびアジュバント投与は、週1回、計3回行った。
【0015】e) 鶏卵アルブミン特異的抗体の検出 Stx1-Bをアジュバントとして鶏卵アルブミンを経鼻免疫
したマウスの唾液、鼻腔洗浄液における抗原特異的IgA
抗体価、また、血清における抗原特異的IgAおよびIgG抗
体価をEnzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法
を用いて測定した。抗体価は、免疫群とコントロール群
を段階希釈して各ウェルごとの吸光度を比較し、値の差
が0.1以上を示したウェルの最大希釈濃度とした。抗原
特異的な抗体産生細胞数は、Enzyme-linked Immunospot
(ELISPOT)法を用いて測定した。各ウェルのスポット
数を顕微鏡(OLIMPUS SZH Zoom Stereo Microscope Syt
em)にて算定した。
【0016】f) 唾液腺、鼻腔粘膜からのリンパ球の分
離調整 免疫したマウスの脾臓よりメッシュを用いて脾細胞を分
離し、2%牛新生児血清(以下2%NBS)を含むRPMI164
0(免疫生物研究所)に浮遊させ、400×g、8分間で遠
心沈殿した。次に、脾細胞中の赤血球を破壊した後、40
0×g、8分間で洗浄した。得られたリンパ球浮遊液にト
リパンブルー(Life Technologies,Inc)を加え、血球
算定板にてリンパ球数を測定した。また、マウスから摘
出した唾液腺を、コラゲナーゼ(0.3mg/ml)を含むRPM
I 1640で37℃、20分、3回処理し、得られた細胞浮遊液
を400×g、8分間遠心沈殿した。次に、100%Percoll溶
液(Pharmacia)を2%NBSを含むRPMI1640で希釈し、50
% Percoll溶液に調整して細胞を浮遊させた。また、75
% Percoll溶液を調整した後、75% Percoll溶液に50%
Percoll溶液を重層し、20℃で600×g、20分間遠心沈殿
させた。その後、75% Percoll溶液と50% Percoll溶液
の間の層からリンパ球を分離、洗浄し、トリパンブルー
を加え、血球算定板にてリンパ球を測定した。鼻腔粘膜
リンパ球は、マウスから顎骨を切断後、鼻腔部分の組織
を掻爬し分離した。得られたリンパ球は、2%NBSを含
むRPMI 1640に浮遊させ400×g、8分間遠心沈殿した。
洗浄後、血球算定板にてリンパ球数を測定した。
【0017】(2)結果 a) 粘膜組織における鶏卵アルブミン特異的抗体産生能 Stx1-Bを粘膜アジュバントとした鶏卵アルブミンの経鼻
免疫により、粘膜系で鶏卵アルブミン特異的な免疫応答
が効果的に誘導されているかを測定するために、鶏卵ア
ルブミンとStx1-Bを週1回、計3回経鼻投与し、最終投
与の1週間後、鼻腔内洗浄液および唾液中の鶏卵アルブ
ミン特異的なIgA抗体価をELISA法を用いて測定した結果
を図1Aに示した。図1Aから分かるように、鶏卵アル
ブミンのみをマウスに経鼻免疫した群では、鼻腔内洗浄
液、唾液ともに抗体価の上昇は認められなかった。しか
しながら、鶏卵アルブミンを粘膜アジュバントのStx1-B
とともに免疫した群では、鼻腔洗浄液中、唾液中に顕著
な鶏卵アルブミン特異的IgA抗体価が検出された。鶏卵
アルブミンとStx1-Bの経鼻免疫によって得られた唾液中
のIgA抗体が唾液腺由来の抗体産生細胞から誘導された
ものであるか、あるいは血清からのコンタミネーション
であるかを明確にするために、鶏卵アルブミンとStx1-B
を週1回、計3回経鼻投与し、最終投与の1週間後、唾
液腺、鼻腔組織の鶏卵アルブミン特異的抗体産生細胞数
の測定をELISPOT法により行った結果を図1Bに示し
た。図1Bから分かるように、鶏卵アルブミンとStx1-B
とともに経鼻免疫した群の唾液腺と鼻腔組織内に、顕著
な数の抗原特異的IgA抗体産生細胞が検出された。な
お、図1Aおよび図1Bは、1群5−6匹のマウスを用
いて計3回行った時の平均値および標準誤差を示してお
り、NDは検出限界以下であることを示している。
【0018】b) 血清中における鶏卵アルブミン特異的
抗体価の測定 経鼻免疫したマウスの血清中の鶏卵アルブミン特異的抗
体価の測定結果を図2Aに示した。図2Aから分かるよ
うに、血清中に抗原特異的IgM、IgG、IgA抗体価の上昇
が認められた。即時型アレルギーはIgE抗体によって誘
導されることが知られている。そこで、粘膜アジュバン
トのStx1-BのIgE抗体誘導能を測定した結果を図2Bに
示した。図2Bからわかるように、鶏卵アルブミンとSt
x1-Bとを免疫しても、鶏卵アルブミンのみで免疫した群
と比較してIgE抗体量の統計学的に有意な上昇は認めら
れなかった。この結果はStx1-Bをアジュバントとして使
用してもアレルギーの危険性が増加しないことを示唆し
ている。なお、図2は、1群5−6匹のマウスを用いて
計3回行った時の平均値および標準誤差を示している。
【0019】
【発明の効果】以上に記載した通り、Stx1-Bを粘膜アジ
ュバントとしてタンパク抗原とともにマウスに経鼻投与
することにより、粘膜系および全身系組織の両者におい
てタンパク抗原に特異的な抗体産生が誘導が著しく増強
されることが示された。従って、Stx1-Bは粘膜アジュバ
ントとして極めて有効である。
【0020】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Nihon University <120> Adjuvant for Mucosal Immune Vaccine <130> DA-03308 <160> 1 <210> 1 <211> 69 <212> PRT <213> Shiga shigella <400> 1 Thr Pro Asp Cys Val Thr Gly Lys Val Glu Tyr Thr Lys Tyr Asn Asp 1 5 10 15 Asp Asp Thr Phe Thr Val Lys Val Gly Asp Lys Glu Leu Phe Thr Asn 20 25 30 Arg Trp Asn Leu Gln Ser Leu Leu Leu Ser Ala Gln Ile Thr Gly Met 35 40 45 Thr Val Thr Ile Lys Thr Asn Ala Cys His Asn Gly Gly Gly Phe Ser 50 55 60 Glu Val Ile Phe Arg 65
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、唾液、鼻腔洗浄液中の鶏卵アルブミン
特異的分泌型IgA抗体応答(A)および唾液腺、鼻腔組織
の鶏卵アルブミン特異的IgA抗体産生細胞数(B)の測定
結果を示すグラフである。
【図2】図2は、鶏卵アルブミン特異的IgM、IgG、IgA
抗体価(A)およびIgE抗体量(B)の測定結果を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清野 宏 兵庫県芦屋市松ノ内町3−7−204 (72)発明者 幸 義和 千葉県千葉市稲毛区弥生町1丁目170 東 大職員宿舎2−301号 (72)発明者 竹田 美文 東京都小金井市貫井北町2−1−3 Fターム(参考) 4C085 AA03 AA38 BA21 BA43 CC07 DD21 DD62 EE06 FF13 FF19 4H045 AA10 BA09 CA11 EA31 FA74 GA06 GA10 GA22 GA23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベロ毒素1のBサブユニットからなる粘
    膜免疫ワクチン用アジュバント。
  2. 【請求項2】 Bサブユニットの5量体からなる請求項
    1のアジュバント。
  3. 【請求項3】 Bサブユニットが、配列表の配列番号1
    に示す1〜69番目のアミノ酸配列からなる蛋白質、ある
    いは配列番号1の1〜69番目のアミノ酸配列において1
    個もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/ま
    たは付加したアミノ酸配列を有する蛋白質であって配列
    番号1に示す1〜69番目のアミノ酸配列からなる蛋白質
    と同様の機能を有する蛋白質である請求項1または2の
    アジュバント。
  4. 【請求項4】 経鼻投与用である請求項1から3のいず
    れかのアジュバント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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