JP2003320247A - 貴金属の吸着剤及び貴金属の吸着方法 - Google Patents

貴金属の吸着剤及び貴金属の吸着方法

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JP2003320247A JP2002130830A JP2002130830A JP2003320247A JP 2003320247 A JP2003320247 A JP 2003320247A JP 2002130830 A JP2002130830 A JP 2002130830A JP 2002130830 A JP2002130830 A JP 2002130830A JP 2003320247 A JP2003320247 A JP 2003320247A
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granular
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Yuko Yamada
優子 山田
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貴金属を選択的に吸着することができる新規な
貴金属の吸着剤及び貴金属の吸着方法を提供する。 【解決手段】スケトウダラ等の魚卵から分離した魚卵膜
を乾燥させ、粉状の吸着剤を得る。魚卵膜を銅アンモニ
ア溶液に溶解させることで、様々な形状の吸着剤を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は貴金属の吸着剤及び
貴金属の吸着方法関する。更に詳しくは、貴金属を選択
的に吸着することができる新規な吸着剤及び貴金属の吸
着方法に関する。
【0002】
【従来技術】金、白金、パラジウム等の貴金属の吸着剤
は、メッキ加工廃液や廃触媒抽出液から貴金属を回収す
る手段として有用である。貴金属の吸着剤としては、例
えばキレート樹脂等のイオン交換樹脂(本明細書では、
単に「樹脂」と称することもある)が実用化されてい
る。
【0003】通常、イオン交換樹脂を用いた貴金属の回
収は、以下のような工程で行われている。樹脂を貴金属
を含む溶液と接触させて、貴金属を樹脂に吸着させる。
吸着させた樹脂を焼成する。次いで、焼成した樹脂を硝
酸等に溶解させて、樹脂に吸着した貴金属以外の他の重
金属を硝酸中に溶出させ分離する。その後、焼成した残
渣中に含まれる目的とする貴金属を王水等に溶出させ、
貴金属を精製・回収する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
のイオン交換樹脂を用いた吸着方法では、その吸着のメ
カニズムから、貴金属以外の目的としない銅等の他の重
金属までもが混在して吸着されてしまう。このため、貴
金属を回収するにあたって、吸着後の溶離・精製工程が
複雑になり、コスト高を招く結果となっていた。
【0005】更に、イオン交換樹脂は化学的に合成され
た物質であるため、焼成処理によってダイオキシン等の
有毒ガスが発生する恐れもあり、また樹脂使用後の廃棄
によって二次公害が発生する可能性も高い。
【0006】そこで本発明者らは、上記した課題を解決
することができる新規な吸着剤を得るべく、鋭意研究開
発に努めた。その結果、魚卵の卵膜(本明細書では「魚
卵膜」と称することもある)に金属イオンの移動を制御
する機能があることに着目し、この魚卵膜を貴金属の吸
着剤に応用したところ、魚卵膜が貴金属に対して優れた
選択吸着性を示すことを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0007】(発明の目的)本発明の目的は、貴金属を
選択的に吸着することができる新規な貴金属の吸着剤及
び貴金属の吸着方法を提供することにある。本発明の他
の目的は、貴金属吸着後の溶離・精製が容易であり、貴
金属を低コストで回収することができる新規な貴金属の
吸着剤及び貴金属の吸着方法を提供することにある。本
発明の他の目的は、貴金属の回収時または廃棄処分時に
焼成処理をしても、ダイオキシン等の有毒ガスが発生し
ない新規な貴金属の吸着剤及び貴金属の吸着方法を提供
することにある。本発明の他の目的は、カラム法による
貴金属の回収を良好に行うことができる貴金属の吸着剤
を提供することにある。本発明の他の目的は、貴金属を
より高い回収率で回収することができる貴金属の吸着方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明
にあっては、貴金属を吸着する物質として、魚類の卵膜
を用いた、または魚類の卵膜を含むことを特徴とする、
貴金属の吸着剤である。
【0009】第2の発明にあっては、粉状、粒状または
球状にしたことを特徴とする、第1の発明に係る吸着剤
である。
【0010】第3の発明にあっては、魚類の卵膜がスケ
トウダラの卵膜であることを特徴とする、第1または第
2の発明に係る吸着剤である。
【0011】第4の発明にあっては、酸性の条件下で貴
金属を含む溶液に、魚類の卵膜を用いた吸着剤または魚
類の卵膜を含む吸着剤を接触させることを特徴とする、
貴金属の吸着方法である。
【0012】本発明に係る吸着剤によれば、魚類の卵膜
を用いることにより、貴金属を選択的に吸着することが
できる。したがって、貴金属以外の他の重金属までも吸
着してしまう従来の吸着剤と比べ、貴金属吸着後の溶離
・精製が容易である。また本発明では、カツオなど魚種
によってはその大部分が廃棄される魚卵を有効に利用す
ることができるので、天然資源を無駄にすることなく、
吸着剤を安価に製造することができる。
【0013】本発明に係る吸着剤は生体由来の魚卵膜を
用いているので、化学的に合成されたイオン交換樹脂と
相違して、貴金属の回収時または廃棄処分時に焼成処理
をししてもダイオキシン等の有毒ガスの発生がない。ま
た、使用後の吸着剤は土中で生分解させることができる
ので、廃棄による二次公害も発生しにくい。更に、例え
ば海中に廃棄した場合でも魚の卵と同様、最終的に自然
分解し、環境に悪影響を及ぼすことはない。
【0014】また本発明に係る吸着剤は、常温・常圧の
環境下で十分な吸着性能を発揮できるので、貴金属の回
収に要するコストも安価に抑えることができる。
【0015】本発明に係る吸着剤は、酸性の条件下の溶
液で、貴金属に対し高い選択吸着性を示すので、貴金属
をより高い回収率で回収することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本実施の形態に係る吸着剤は、魚
類の卵膜を用いた、または魚類の卵膜を含んでいる。吸
着剤は、魚類の卵膜を単独で使用して製造することもで
きるし、他の配合剤と組み合わせて製造することもでき
る。魚卵膜の魚種は、特に限定するものではなく、例え
ばスケトウダラ、カツオ、タイ等の海水魚や、コイやフ
ナ等の淡水魚を挙げることができる。
【0017】このうち、スケトウダラの卵は、たらこや
辛子明太子等の塩蔵品に使用されているため、安定した
入手が可能であり、更に塩蔵品として利用できない規格
外の卵(通常は廃棄されるもの)の利用も見込めること
から、吸着剤の原料として好適に使用できる。
【0018】吸着剤は、例えば魚卵から分離した魚卵膜
を乾燥させることで得られる。魚卵膜は、例えば卵粒を
食塩水中で破壊し、卵粒の内部成分を食塩水中に溶解さ
せることで得られる。使用する食塩水の濃度は1〜6重量
%が好ましく、さらに好ましくは3〜4重量%である。
食塩水の濃度が1重量%未満であれば、魚卵膜が柔軟化
して破壊しやすく、その上、魚卵内部の成分が白濁し、
卵膜の洗浄が困難となるので好ましくない。食塩水の濃
度が6重量%を超えると魚卵が収縮しやすく、それに伴
って魚卵膜も変形して破壊し、同時に魚卵の内部の成分
が沈殿し、魚卵膜の分離に支障を来すので好ましくな
い。食塩以外のナトリウム塩でも、食塩と同様の作用を
得られる。この際、ナトリウムイオンに換算して0.4〜
2.5重量%が好ましい。
【0019】魚卵膜を銅アンモニア溶液に溶解させるこ
とで、粒状または球状(ビーズ状)、フィルム状または
シート状、棒状や板状等の様々な形状の吸着剤を得るこ
とができる。なお、銅アンモニア溶液で処理した吸着剤
は、酸(例えば2重量%の希硫酸)で中和後、水で洗浄
し、乾燥させる。
【0020】例えば、吸着剤を粒状または球状に成形す
る方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、Span
80(商標名)、レオドールMO-60(商標名)等の界面活
性剤を溶解させた有機溶媒(例えばケロシン、キシレン
等)中に、魚卵膜を溶解させた銅アンモニア溶液を滴下
する。これにより、油中水滴(W/O)型エマルションを作
製して、吸着剤となる粒状体を成形する。この粒状体を
酸で中和後、洗浄・乾燥することで、目的とする粒状ま
たは球状の吸着剤が得られる。吸着剤を粒状または球状
に成形した場合でも、魚卵膜の化学組織が変化していな
いことは、FT−IRによる測定で確認できる。
【0021】また、銅アンモニア溶液に溶解させた魚卵
膜を、例えばガラス板上に流して薄く広げると、フィル
ム状またはシート状の吸着剤を得ることができ、分離膜
として使用が可能である。
【0022】吸着剤の接触方法としては、吸着剤と貴金
属を含む溶液を容器に入れて撹拌し接触させるバッチ法
や、吸着剤を充填したカラムに貴金属を含む溶液を通す
カラム法等を採用することができるが、特にこれに限定
するものではない。また、カラム法を採用する場合は、
吸着剤をカラムに均一に充填でき、貴金属を含む溶液を
吸着剤にむらなく接触させることができるので、粒状ま
たは球状の吸着剤を用いることが好ましい。
【0023】吸着可能な貴金属としては、金、銀、白金
族(Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)等を挙げることができる。
【0024】吸着させた貴金属は、チオ尿素溶液、メル
カプトエタノール等の溶離液で溶離し、回収することが
できる。溶離液で処理した吸着剤を土中や海中で生分解
させて廃棄する場合は、環境保護の観点から、前処理と
して吸着剤を中和させることが望ましい。なお、上記し
たように、使用後の吸着剤は焼却して廃棄することもで
きる。
【0025】貴金属を吸着させた吸着剤を焼成処理する
ことで、有機物である魚卵膜を焼却し、無機物である貴
金属を焼却後の残渣として回収することもできる。
【0026】原料として、カツオなど魚種によってその
大部分が廃棄される魚卵を使用すれば、吸着剤を安価に
生産することができる。よって、比較的高価格であるた
め、再生使用されるイオン交換樹脂と相違して、必ずし
も吸着剤を再利用する必要はない。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】[実施例1] (粉末状の吸着剤の製造)魚卵としてスケトウダラの卵
を使用した。冷凍保存されたスケトウダラの卵巣1腹を
25℃の4重量%の食塩水に浸漬し、解凍した。
【0029】解凍した卵巣の卵巣膜をハサミで切って開
き、中の卵粒を取り出した。この卵粒を木綿の布で包
み、次いでその布を上記した食塩水中で絞り、卵粒を圧
縮した。この操作により、卵粒を破壊して卵粒の内部成
分を食塩水中に溶解させ、外側の魚卵膜のみを採取し
た。なお、使用した木綿の布の目付は105g/m2(平均孔
径約0.3mm)である。
【0030】次いで、採取した魚卵膜に付着した食塩を
蒸留水で洗浄した後、魚卵膜を60℃で真空乾燥し、目的
とする粉末状の吸着剤(本明細書では「粉状吸着剤」と
称することもある)を得た。得られた粉状吸着剤は白色
を呈していた。
【0031】(Au、Pt、Pd及びCuの吸着)上記
のようにして得られた粉状吸着剤を使用し、Au
(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)及びCu
(銅)の吸着をそれぞれ行った。なお、貴金属を含むメ
ッキ加工廃液や廃触媒抽出液には塩酸が共存している場
合が多いため、吸着剤が実際の廃液処理に用いることが
できるかを、塩酸系の溶液中で確認した。
【0032】テトラクロロ金酸、ヘキサクロロ白金酸、
塩化パラジウム、塩化銅のうちの何れかをそれぞれ含む
0.1mol/Lの各塩酸水溶液15mLに、上記した粉状吸着剤50
mgをそれぞれ加えた。塩酸水溶液中の各金属の初期濃度
は1mmol/Lである。
【0033】粉状吸着剤を含む各水溶液を、30℃の水浴
中で24時間振とうした。振とう後、粉状吸着剤を濾過
し、得られた濾液中の金属濃度を原子吸光光度計(日立
製作所製Z-8000)により定量した。そして、各金属の初
濃度と吸着後の濃度から、粉状吸着剤1g当たりの吸着量
及び吸着率を算出した。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1の結果から、粉状吸着剤は貴金属であ
るAu、Pt、Pdを効率良く吸着し、貴金属ではない
Cuは吸着しないことが明らかとなった。
【0036】[実施例2] (粒状の吸着剤の成形)実施例1で得られた粉状吸着剤
14gを、銅アンモニア溶液100mLに溶解させた。一方、ケ
ロシン1Lに界面活性剤であるSpan80(商標名)10gを加
え溶解させた。この溶液を150rpmの回転数で撹拌しなが
ら、上記した銅アンモニア溶液を少量ずつ滴下した。そ
して、滴下後、撹拌を1時間続け、油中水滴(W/O)型エマ
ルションを作製し、吸着剤となる粒状体を成形した。な
お、ケロシンの代わりに、キシレン等の他の有機溶媒を
使用することもできる。
【0037】この粒状体をエタノール−水混合液を溶媒
とした0.005mol/L硫酸で中和した後、エタノールで洗浄
し、更に蒸留水で洗浄した。次いで、洗浄した粒子体を
60℃で真空乾燥し、目的とする粒状の吸着剤(本明細書
では「粒状吸着剤」と称することもある)を得た。
【0038】得られた粒状吸着剤は、黒みがかった濃い
茶色を呈していた。また、電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、粒状吸着剤はほぼ真球状であった。
【0039】上記のようにして得られた粒状吸着剤と、
実施例1で得られた粉状吸着剤をFT−IRによって測
定したところ、得られた赤外吸収スペクトルは良く一致
していた。即ち、粉状吸着剤を粒状に成形しても、吸着
剤が化学組織的に変化していないことが確認された。
【0040】(Au及びCuの吸着)上記のようにして
得られた粒状吸着剤を使用し、Au及びCuの吸着をそ
れぞれ行った。なお、使用した金属を含有した水溶液、
金属の吸着方法及び吸着量の測定方法は、実施例1と同
じであるので、説明を省略する。これについては、後述
する他の実施例についても同様である。
【0041】また比較例として、貴金属の吸着剤として
代表的なイオン交換樹脂であるレバチット(Lewatit)
TP214、及び重金属の吸着剤として代表的なイオン
交換樹脂であるレバチット(Lewatit)TP207(共
にバイエル株式会社製)をそれぞれ50mg使用し、同様に
Au及びCuの吸着をそれぞれ行った。その結果を表2
に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2の結果から、粒状吸着剤は、Auの吸
着剤として代表的なレバチットTP214よりも優れた
Au吸着能を有していることが明らかになった。また、
粒状吸着剤はCuを0.37mg/gと殆ど吸着しておらず、レ
バチットTP214(Cuを8.379mg/g吸着)と比べ
て、Auに対する優れた選択吸着性を有していることが
明らかになった。
【0044】なお、レバチットTP214のCu吸着量
8.38mg/gは、Cuを含む一般的な重金属の吸着剤として
市販されているレバチットTP207のCu吸着量7.75
mg/gと同程度の値である。つまり、貴金属回収用のレバ
チットTP214ではAuの吸着に際し、Cuが混在し
て吸着されやすく、この点からも粒状吸着剤がAuに対
する優れた選択吸着性を有していることが分かった。
【0045】(Auの溶離)以下のようにして、粒状吸
着剤にAuを吸着させ、その溶離試験を行った。テトラ
クロロ金酸を含む0.1mol/Lの塩酸水溶液15mLに、粒状吸
着剤50mgを加えた。塩酸水溶液中のAuの初期濃度は0.
5mmol/Lである。実施例1と同様に、Auを吸着させ、
吸着量を算出した。
【0046】吸着後の粒状吸着剤を濾過した後、蒸留水
で洗浄し、濾紙で水分を取り除いた。次いで、水分を取
り除いた粒状吸着剤を、溶離液(溶離剤)である1mol/L
のチオ尿素溶液15mLに加え、30℃の水浴中で24時間振と
うした。振とう後、濾過し、得られた濾液中の金属濃度
を原子吸光光度計(日立製作所製Z-8000)により定量し
た。そして、チオ尿素溶液中のAu濃度から吸着剤1g当
たりのAuの溶離量を算出した。また、吸着量と溶離量
からAuの回収率(%)を算出した。
【0047】比較例として、既に説明したレバチットT
P214及びレバチットTP207をそれぞれ50mg使用
し、同様に、Auの吸着及び溶離試験を行った。各吸着
剤のAuの吸着量、溶離量及び回収率を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】表3の結果から明らかなとおり、粒状吸着
剤は、Auの吸着剤として代表的なレバチットTP21
4と同等またはそれ以上の高い回収率でAuを回収でき
ることが分かった。
【0050】また、Cuを含む一般的な重金属の吸着剤
であるレバチットTP207は、Auの吸着量が19.61m
g/gであり、粒状吸着剤やレバチットTP214と比べ
ても低い値ではない。しかしながら、Auの回収率は5
8.06%と低く、また表2に示したように、Auだけでな
くCu等の他の重金属も同時に吸着してしまうため、貴
金属の吸着剤としての使用は困難である。
【0051】以上のようなことから、粒状吸着剤は、市
販されているレバチットTP207やレバチットTP2
14と比べても、Auに対して優れた分離性能を有して
いることが分かった。
【0052】[実施例3] (粉状吸着剤及び粒状吸着剤におけるAu吸着量のpH
依存性)以下のようにして、テトラクロロ金酸を含む硝
酸アンモニウム溶液のpHを変化させ、Au吸着量のp
H依存性を調べた。なお、pH依存性の確認は、以下に
示すように硝酸系の溶液中で行った。
【0053】テトラクロロ金酸を含む1mol/Lの硝酸アン
モニウム溶液15mLを、pH1.0〜7.0にそれぞれ変化させ
て調製した。Auの初期濃度は1mmol/Lである。各硝酸
アンモニウム溶液15mLに、粉状吸着剤(実施例1と同
じ)または粒状吸着剤(実施例2と同じ)をそれぞれ50
mgずつ加え、Auの吸着を行った。
【0054】また比較例として、既に説明したレバチッ
トTP214及びレバチットTP207をそれぞれ50mg
使用し、同様にAuの吸着を行った。
【0055】図1に粉状吸着剤及び粒状吸着剤によるA
u吸着量及びCu吸着量のpH依存性を示し、図2にレ
バチットTP214及びレバチットTP207によるA
u吸着量及びCu吸着量のpH依存性を示す。
【0056】また、粉状吸着剤及び粒状吸着剤では、p
HによってAuの吸着量に大きな差が生じた。即ち、酸
性の条件下の溶液ではAuの吸着量が高く、Cuは殆ど
吸着されておらず、Auに対する高い選択吸着性が確認
された。
【0057】これに対し、図2で示すように、レバチッ
トTP214及びレバチットTP207では、Au,C
uは共にほぼ同様な吸着挙動を示すため、分離は非常に
困難である。
【0058】なお、本明細書で使用している用語と表現
はあくまで説明上のものであって、限定的なものではな
く、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するもの
ではない。
【0059】
【発明の効果】(a)本発明に係る吸着剤によれば、魚
類の卵膜を用いることにより、貴金属を選択的に吸着す
ることができる。したがって、貴金属以外の他の重金属
までも吸着してしまう従来の吸着剤と比べ、貴金属吸着
後の溶離・精製が容易であり、結果的に貴金属を低コス
トで回収することができる。また本発明では、カツオな
ど魚種によってはその大部分が廃棄される魚卵を有効に
利用することができるで、天然資源を無駄にすることな
く、吸着剤を安価に製造することができる。
【0060】(b)本発明に係る吸着剤は生体由来の魚
卵膜を用いているので、貴金属の回収時または廃棄処分
時に焼成処理をしても、ダイオキシン等の有毒ガスの発
生はない。また、使用後の吸着剤を土中や海中に廃棄し
た場合でも、最終的に自然分解し、環境に悪影響を及ぼ
すことはない。
【0061】(c)吸着剤を粒状または球状にしたもの
では、吸着剤をカラムに均一に充填でき、貴金属を含む
溶液を吸着剤にむらなく接触させることができるので、
カラム法による貴金属の回収を良好に行うことができ
る。
【0062】(d)本発明に係る吸着剤は、酸性の条件
下の溶液で貴金属に対し高い選択吸着性を示す。したが
って、 酸性の条件下の溶液で吸着を行うことで、貴金
属をより高い回収率で回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 粉状吸着剤及び粒状吸着剤によるAu吸着量
及びCu吸着量のpH依存性を示すグラフ。
【図2】 レバチットTP214及びレバチットTP2
07によるAu吸着量及びCu吸着量のpH依存性を示
すグラフ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属を吸着する物質として、魚類の卵
    膜を用いた、または魚類の卵膜を含むことを特徴とす
    る、 貴金属の吸着剤。
  2. 【請求項2】 粉状、粒状または球状にしたことを特徴
    とする、 請求項1記載の吸着剤。
  3. 【請求項3】 魚類の卵膜がスケトウダラの卵膜である
    ことを特徴とする、 請求項1または2記載の吸着剤。
  4. 【請求項4】 酸性の条件下で貴金属を含む溶液に、魚
    類の卵膜を用いた吸着剤または魚類の卵膜を含む吸着剤
    を接触させることを特徴とする、 貴金属の吸着方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008127604A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Kyushu Univ 貴金属元素の回収方法
CN110282698A (zh) * 2019-06-14 2019-09-27 中南林业科技大学 一种处理低浓度重金属/有机物复合废水的方法

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