JP2003315803A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2003315803A JP2002213739A JP2002213739A JP2003315803A JP 2003315803 A JP2003315803 A JP 2003315803A JP 2002213739 A JP2002213739 A JP 2002213739A JP 2002213739 A JP2002213739 A JP 2002213739A JP 2003315803 A JP2003315803 A JP 2003315803A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広視野角特性および高い配向安定性を有し、
表示品位の高い液晶表示装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 第1および第2基板と、これらの間に設
けられた垂直配向型の液晶層と、第1および第2基板を
介して互いに対向し、偏光軸が互いに略直交するように
配置された一対の偏光板を備え、複数の絵素領域を有す
る。第1基板は、複数の絵素領域のそれぞれ内に、それ
ぞれが電圧印加状態において放射状傾斜配向状態をとる
複数の液晶ドメインを液晶層に形成するように配向規制
力を発現する配向規制構造を有し、且つ、第2基板は、
複数の液晶ドメインの少なくとも1つの液晶ドメインに
対応する領域に、液晶層側に突き出た凸部を有する。凸
部の第2基板の基板面に沿った断面形状は、一対の偏光
板の一方の偏光軸に略平行な辺および略直交する辺のみ
から実質的に構成された形状である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に関
し、特に、広視野角特性を有し、高品位の表示を行う液
晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータのディス
プレイや携帯情報端末機器の表示部に用いられる表示装
置として、薄型軽量の液晶表示装置が利用されている。
しかしながら、従来のツイストネマチック型(TN
型)、スーパーツイストネマチック型(STN型)液晶
表示装置は、視野角が狭いという欠点を有しており、そ
れを解決するために様々な技術開発が行われている。
【0003】TN型やSTN型の液晶表示装置の視野角
特性を改善するための代表的な技術として、光学補償板
を付加する方式がある。他の方式として、基板の表面に
対して水平方向の電界を液晶層に印加する横電界方式が
ある。この横電界方式の液晶表示装置は、近年量産化さ
れ、注目されている。また、他の技術としては、液晶材
料として負の誘電率異方性を有するネマチック液晶材料
を用い、配向膜として垂直配向膜を用いるDAP(defor
mation of vertical aligned phase)がある。これは、
電圧制御複屈折(ECB:electrically controlled bire
fringence)方式の一つであり、液晶分子の複屈折性を利
用して透過率を制御する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、横電界
方式は広視野角化技術として有効な方式の1つではある
ものの、製造プロセスにおいて、通常のTN型に比べて
生産マージンが著しく狭いため、安定な生産が困難であ
るという問題がある。これは、基板間のギャップむらや
液晶分子の配向軸に対する偏光板の透過軸(偏光軸)方
向のずれが、表示輝度やコントラスト比に大きく影響す
るためであり、これらを高精度に制御して、安定な生産
を行うためには、さらなる技術開発が必要である。
【0005】また、DAP方式の液晶表示装置で表示ム
ラの無い均一な表示を行うためには、配向制御を行う必
要がある。配向制御の方法としては、配向膜の表面をラ
ビングすることにより配向処理する方法がある。しかし
ながら、垂直配向膜にラビング処理を施すと、表示画像
中にラビング筋が発生しやすく量産には適していない。
【0006】一方、ラビング処理を行わずに配向制御を
行う方法として、電極にスリット(開口部)を形成する
ことによって、斜め電界を発生させ、その斜め電界によ
って液晶分子の配向方向を制御する方法も考案されてい
る(例えば、特開平6−301036号公報および特開
2000−47217号公報)。しかしながら、本願発
明者が検討した結果、上記公報に開示されている方法で
は、電極の開口部に対応する液晶層の領域の配向状態が
規定されておらず、液晶分子の配向の連続性が十分でな
く、安定した配向状態を絵素の全体に亘って得ることが
困難な結果、ざらついた表示となる。
【0007】そこで、本願発明者は、他の者とともに、
液晶層を介して対向する一対の電極の一方に開口部と中
実部とからなる所定の電極構造を形成し、開口部のエッ
ジ部に生成される斜め電界によって、これらの開口部お
よび中実部に、放射状傾斜配向をとる複数の液晶ドメイ
ンを形成する手法を提案している(AM−LCD’0
1,p101−p102)。この手法を用いると、放射
状傾斜配向を有する液晶ドメインが安定に、高い連続性
を有するように形成されるので、視野角特性および表示
品位を向上させることができる。
【0008】しかしながら、液晶表示装置の普及に伴
い、液晶表示装置への要求特性は次第に厳しくなってお
り、液晶表示装置の用途によっては、より高い配向安定
性が要求される。例えば、液晶パネルに応力が印加され
うる状況下で使用される液晶表示装置においては、応力
の印加による液晶層の配向乱れが残像現象として視認さ
れることがあるので、広視野角特性だけでなく、より高
い配向安定性を有し、応力による表示品位の低下が抑制
された液晶表示装置が求められている。
【0009】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたもので、広視野角特性および高い配向安定性を有
し、表示品位の高い液晶表示装置を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による液晶表示装
置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第
2基板との間に設けられた垂直配向型の液晶層と、前記
第1および第2基板を介して互いに対向し、偏光軸が互
いに略直交するように配置された一対の偏光板とを備
え、前記第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極
と、前記第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層
を介して対向する第2電極とによって、それぞれが規定
される複数の絵素領域を有し、前記第1基板は、前記複
数の絵素領域のそれぞれ内に、それぞれが電圧印加状態
において放射状傾斜配向状態をとる複数の液晶ドメイン
を前記液晶層に形成するように配向規制力を発現する配
向規制構造を有し、前記第2基板は、前記複数の液晶ド
メインの少なくとも1つの液晶ドメインに対応する領域
に、前記液晶層側に突き出た凸部を有し、前記凸部の前
記第2基板の基板面に沿った断面形状は、前記一対の偏
光板の一方の偏光軸に略平行な辺および前記一方の偏光
軸に略直交する辺のみから実質的に構成された形状であ
り、そのことによって上記目的が達成される。
【0011】前記凸部の前記第2基板の基板面に沿った
断面形状は、略矩形である構成としてもよく、前記凸部
の前記第2基板の基板面に沿った断面形状は、略正方形
である構成としてもよい。
【0012】また、前記凸部の前記第2基板の基板面に
沿った断面形状は、略十字形であってもよい。
【0013】前記凸部は、前記少なくとも1つの液晶ド
メイン内の液晶分子を放射状傾斜配向させる配向規制力
を発現することが好ましい。
【0014】前記凸部は、前記少なくとも1つの液晶ド
メインの中央付近に対応する領域に設けられていること
が好ましい。
【0015】前記少なくとも1つの液晶ドメイン内にお
いて、前記凸部による配向規制方向は、前記配向規制構
造による放射状傾斜配向の方向と整合することが好まし
い。
【0016】前記凸部は、前記液晶層の厚さを規定する
スペーサとしても機能してもよい。
【0017】前記凸部は、前記第2基板の基板面と90
°未満の角をなす側面を有することが好ましい。
【0018】前記第1電極は複数の単位中実部を有し、
前記配向規制構造は、前記複数の単位中実部によって構
成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印
加されたときに、前記複数の単位中実部の周辺に斜め電
界を生成することによって、前記複数の単位中実部に対
応する領域に、前記複数の液晶ドメインを形成する構成
としてもよい。
【0019】前記複数の単位中実部のそれぞれの形状
は、回転対称性を有することが好ましい。また、複数の
単位中実部は絵素領域内で回転対称性を有するように配
置されていることが好ましい。
【0020】前記複数の単位中実部のそれぞれは、角部
が鋭角化された形状を有してもよい。
【0021】前記第1電極は、少なくとも1つの開口部
と中実部とを有し、前記配向規制構造は、前記第1電極
の前記少なくとも1つの開口部および中実部によって構
成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印
加されたときに、前記第1電極の前記少なくとも1つの
開口部のエッジ部に斜め電界を生成することによって、
前記少なくとも1つの開口部および中実部に対応する領
域に、前記複数の液晶ドメインを形成する構成としても
よい。
【0022】前記第1基板は、前記第1電極の前記液晶
層とは反対側に設けられた誘電体層と、前記誘電体層を
介して前記第1電極の前記少なくとも1つの開口部の少
なくとも一部に対向する第3電極とを更に有する構成と
してもよい。
【0023】前記少なくとも1つの開口部は、実質的に
等しい形状で等しい大きさを有する複数の開口部を含
み、前記複数の開口部の少なくとも一部は、回転対称性
を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を
形成する構成とすることが好ましい。また、前記複数の
開口部の前記少なくとも一部の開口部のそれぞれの形状
は、回転対称性を有することが好ましい。
【0024】前記凸部は、前記複数の液晶ドメインのう
ち、前記第1電極の前記中実部に対応する領域に形成さ
れる液晶ドメインに対応する領域にのみ設けられている
構成としてもよい。
【0025】あるいは、本発明による液晶表示装置は、
第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板
との間に設けられた垂直配向型の液晶層と、前記第1お
よび第2基板を介して互いに対向し、偏光軸が互いに略
直交するように配置された一対の偏光板とを備え、前記
第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記
第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介して
対向する第2電極とによって、それぞれが規定される複
数の絵素領域を有し、前記第1基板は、前記複数の絵素
領域のそれぞれ内に、それぞれが電圧印加状態において
放射状傾斜配向状態をとる複数の液晶ドメインを前記液
晶層に形成するように配向規制力を発現する配向規制構
造を有し、 前記複数の絵素領域のそれぞれ内におい
て、前記複数の液晶ドメインの少なくとも1つの液晶ド
メインに対応する領域に設けられたスペーサを有し、前
記スペーサは、前記少なくとも1つの液晶ドメイン内の
液晶分子を放射状傾斜配向させる配向規制力を発現し、
前記スペーサの前記第1および第2基板の基板面に沿っ
た断面形状は、前記一対の偏光板の一方の偏光軸に略平
行な辺および前記一方の偏光軸に略直交する辺のみから
実質的に構成された形状であり、そのことによって上記
目的が達成される。
【0026】前記スペーサの前記第1および第2基板の
基板面に沿った断面形状は、略矩形である構成としても
よく、前記スペーサの前記第1および第2基板の基板面
に沿った断面形状は、略正方形である構成としてもよ
い。
【0027】また、前記スペーサの前記第1および第2
基板の基板面に沿った断面形状は、略十字形であっても
よい。
【0028】あるいは、本発明による液晶表示装置は、
第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板
との間に設けられた垂直配向型の液晶層と、前記第1お
よび第2基板を介して互いに対向し、偏光軸が互いに略
直交するように配置された一対の偏光板とを備え、前記
第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記
第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介して
対向する第2電極とによって、それぞれが規定される複
数の絵素領域を有し、前記第1電極は、前記複数の絵素
領域のそれぞれ内に、複数の開口部と、それぞれが前記
複数の開口部の少なくとも一部の開口部に包囲された複
数の単位中実部とを有し、前記第2基板は、前記複数の
単位中実部および前記複数の開口部のうち、少なくとも
1つの単位中実部に対応する領域に、前記液晶層側に突
き出た凸部を有し、前記凸部の前記第2基板の基板面に
沿った断面形状は、前記一対の偏光板の一方の偏光軸に
略平行な辺および前記一方の偏光軸に略直交する辺のみ
から実質的に構成された形状であり、そのことによって
上記目的が達成される。
【0029】
【発明の実施の形態】まず、本発明の液晶表示装置が有
する各構成要素の基本的な機能を説明する。
【0030】本発明の液晶表示装置において、垂直配向
型の液晶層を挟持するように配置された一対の基板のう
ちの一方の基板は、それぞれの絵素領域内に、それぞれ
が電圧印加状態において放射状傾斜配向状態(軸対称配
向とも言う。)をとる複数の液晶ドメインを形成するよ
うに配向規制力を発現する配向規制構造を有し、且つ、
他方の基板は、複数の液晶ドメインの少なくとも1つの
液晶ドメインに対応する領域に、液晶層側に突き出た凸
部を有する。凸部は、液晶ドメイン内の液晶分子を放射
状傾斜配向させる配向規制力を発現する。従って、少な
くとも電圧印加状態において、一方の基板に設けられた
配向規制構造と他方の基板に設けられた凸部とによる配
向規制力が液晶分子に作用するので、配向規制構造のみ
を有する構成よりも、液晶層に形成される液晶ドメイン
の放射状傾斜配向が安定する。また、本発明の液晶表示
装置において、他方の基板に設けられる凸部の基板面に
沿った断面形状は、クロスニコル状態に配置(遅相軸が
互いに略直交するように配置)された一対の偏光板の一
方の偏光軸に対して略平行な辺および略直交する辺のみ
で実質的に構成された形状である。従って、凸部の配向
規制力によって放射状傾斜配向する液晶分子は、偏光板
の偏光軸に対して略平行または略垂直な方位角方向に配
向するので、黒表示時の光漏れの発生が抑制される。そ
のため、コントラスト比の高い表示が実現される。
【0031】本発明の液晶表示装置が有する好適な配向
規制構造は、絵素領域の液晶層に電圧を印加する一対の
電極の内の一方の電極構造によって構成されている。一
方の電極は、複数の単位中実部を有し、一対の電極間に
電圧が印加されたときに、複数の単位中実部の周辺に斜
め電界を生成することによって、複数の単位中実部に対
応する領域に、複数の液晶ドメインを形成する。すなわ
ち、一対の電極間に電圧を印加したときに、一方の電極
の周辺に斜め電界を生成し、放射状傾斜配向をとる複数
の液晶ドメインを形成するように、一方の電極の外形が
規定されている。
【0032】なお、電極の内で導電膜が存在する部分を
中実部と称し、中実部の内で1つの液晶ドメインを形成
する電界を発生する部分を「単位中実部」と称する。中
実部は、典型的には、連続した導電膜から形成されてい
る。
【0033】複数の単位中実部のそれぞれの形状は、回
転対称性を有する構成とすることが好ましい。単位中実
部の形状が回転対称性を有すると、形成される液晶ドメ
インの放射状傾斜配向も回転対称性を有する配向、すな
わち軸対称配向となり、視野角特性が向上する。
【0034】本発明の液晶表示装置が有する他の好適な
配向規制構造は、絵素領域の液晶層に電圧を印加する一
対の電極の内の一方が少なくとも1つの開口部(電極の
内で導電膜が存在しない部分)と中実部(電極の内で開
口部以外の部分、導電膜が存在する部分)とを有する電
極構造である。中実部は典型的には、上記の単位中実部
を含む。一方の電極に開口部を設けることによって、1
つの絵素領域により、2次元的に配列された単位中実部
(例えば4つ)を形成することができるので、電極に開
口部を形成することなく、電極の外形を所定の形状に規
定することによって単位中実部(例えば2つ)を形成す
るよりも、多くの液晶ドメインを形成することが可能に
なる。
【0035】なお、後述するように、放射状傾斜配向を
とる液晶ドメインを電極の開口部に対応する領域にも形
成するように、開口部を形成することができるが、必ず
しもこのようにする必要はない。中実部(単位中実部)
に対応して放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが形成さ
れれば、開口部に対応して形成される液晶ドメインが放
射状傾斜配向をとらなくとも、絵素領域内の液晶分子の
配向の連続性は得られるので、中実部に対応して形成さ
れる液晶ドメインの放射状傾斜配向は安定する。特に、
開口部の面積が小さい場合には、表示に対する寄与も少
ないので、開口部に対応する領域に放射状傾斜配向をと
る液晶ドメインが形成されなくても、表示品位の低下は
問題にならない。
【0036】液晶層は電圧無印加状態において垂直配向
状態をとり、且つ、電圧印加状態においては、電極の開
口部のエッジ部に生成される斜め電界によって、放射状
傾斜配向状態をとる複数の液晶ドメインを形成する。垂
直配向型液晶層は、電圧無印加状態で基板面に対して液
晶分子が実質的に垂直に配向する液晶層であり、典型的
には、負の誘電異方性を有する液晶材料からなり、その
両側に設けられた垂直配向膜によって配向規制されてい
る。
【0037】上記一対の電極に電圧を印加すると垂直配
向型液晶に斜め電界が生成され、この斜め電界によって
形成される液晶ドメインは、電極の開口部および中実部
に対応する領域に形成される。これらの液晶ドメインの
配向状態が電圧に応じて変化することによって表示を行
う。それぞれの液晶ドメインは放射状傾斜配向(軸対称
配向)をとるので、表示品位の視角依存性が小さく、広
視角特性を有する。
【0038】さらに、開口部に形成される液晶ドメイン
および中実部に形成される液晶ドメインは、開口部のエ
ッジ部に生成される斜め電界によって形成されるので、
これらは互いに隣接して交互に形成され、且つ、隣接す
る液晶ドメイン間の液晶分子の配向は本質的に連続であ
る。従って、開口部に形成される液晶ドメインと中実部
に形成される液晶ドメインとの間にはディスクリネーシ
ョンラインは生成されず、それによる表示品位の低下も
なく、液晶分子の配向の安定性も高い。
【0039】上記の電極構造を採用すると、電極の中実
部に対応する領域だけでなく、開口部に対応する領域に
も、液晶分子が放射状傾斜配向をとるので、上述した従
来の液晶表示装置に比べ、液晶分子の配向の連続性が高
く、安定した配向状態が実現され、ざらつきのない均一
な表示が得られる。特に、良好な応答特性(速い応答速
度)を実現するために、液晶分子の配向を制御するため
の斜め電界を多くの液晶分子に作用させる必要があり、
そのためには、開口部(エッジ部)を多く形成する必要
がある。本発明の液晶表示装置においては開口部に対応
して、安定な放射状傾斜配向を有する液晶ドメインが形
成されるので、応答特性を改善するために開口部を多く
形成しても、それに伴う表示品位の低下(ざらつきの発
生)を抑制することができる。
【0040】複数の開口部の少なくとも一部の開口部
が、実質的に、等しい形状で等しい大きさを有し、回転
対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位
格子を形成する構成とすることによって、単位格子を単
位として、複数の液晶ドメインを高い対称性で配置する
ことができるので、表示品位の視角依存性を向上するこ
とができる。さらに、絵素領域の全体を単位格子に分割
することによって、絵素領域の全体に亘って、液晶層の
配向を安定化することができる。例えば、それぞれの開
口部の中心が、正方格子を形成するように、開口部を配
列する。なお、1つの絵素領域が、例えば補助容量配線
のように不透明な構成要素のよって分割される場合に
は、表示に寄与する領域毎に単位格子を配置すればよ
い。
【0041】複数の開口部の少なくとも一部の開口部
(典型的には単位格子を形成する開口部)のそれぞれの
形状を回転対称性を有する形状とすることによって、開
口部に形成される液晶ドメインの放射状傾斜配向の安定
性を高めることができる。例えば、それぞれの開口部の
形状(基板法線方向から見たときの形状)を円形や正多
角形(例えば正方形)とする。なお、絵素の形状(縦横
比)等に応じて、回転対称性を有しない形状(例えば楕
円)等の形状としてもよい。また、開口部に実質的に包
囲される中実部の領域(「単位中実部」)の形状が回転
対称性を有することによって、中実部に形成される液晶
ドメインの放射状傾斜配向の安定性を高めることができ
る。例えば、開口部を正方格子状に配置する場合、開口
部の形状を略星形や十字形などとし、中実部の形状を略
円形や略正方形等の形状としてもよい。勿論、開口部お
よび開口部によって実質的に包囲される中実部の形状を
ともに略正方形としてもよい。
【0042】電極の開口部に形成される液晶ドメインの
放射状傾斜配向を安定化させるためには、開口部に形成
される液晶ドメインは略円形であることが好ましい。逆
にいうと、開口部に形成される液晶ドメインが略円形と
なるように、開口部の形状を設計すればよい。
【0043】勿論、電極の中実部に形成される液晶ドメ
インの放射状傾斜配向を安定化させるためには、開口部
によって実質的に包囲される中実部の領域は略円形であ
ることが好ましい。連続した導電膜から形成される中実
部に形成される或る1つの液晶ドメインは、複数の開口
部によって実質的に包囲される中実部の領域(単位中実
部)に対応して形成される。従って、この中実部の領域
(単位中実部)の形状が略円形となるように、開口部の
形状およびその配置を決めればよい。
【0044】上述したいずれの場合においても、絵素領
域のそれぞれにおいて、電極に形成される開口部の面積
の合計が、中実部の面積より小さいことが好ましい。中
実部の面積が大きいほど、電極によって生成される電界
の影響を直接的に受ける液晶層の面積(基板法線方向か
ら見たときの平面内に規定される)が大きくなるので、
液晶層の電圧に対する光学特性(例えば透過率)が向上
する。
【0045】開口部が略円形となる構成を採用するか、
単位中実部が略円形となる構成を採用するかは、どちら
の構成において、中実部の面積を大きくできるかによっ
て決めることが好ましい。いずれの構成が好ましいか
は、絵素のピッチに依存して適宜選択される。典型的に
は、ピッチが約25μmを超える場合、中実部が略円形
となるように、開口部を形成することが好ましく、約2
5μm以下の場合には開口部を略円形とすることが好ま
しい。
【0046】上述した一対の電極のうちの一方に開口部
を設けた電極構造では、開口部に対応する領域の液晶層
に十分な電圧が印加されず、十分なリタデーション変化
が得られないために、光の利用効率が低下するという問
題が発生することがある。そこで、開口部を設けた電極
の液晶層とは反対側に誘電体層を設け、この誘電体層を
介して電極の開口部の少なくとも一部に対向するさらな
る電極を設ける(2層構造電極)ことによって、開口部
に対応する液晶層に十分な電圧を印加することができ、
光の利用効率や応答特性を向上することができる。
【0047】上記の電極構造(すなわち配向規制構造)
を一方の基板に設けただけでは、液晶層に応力が印加さ
れて放射状傾斜配向が乱れると、乱れた配向状態が電界
効果によって維持され、残像現象として視認されること
があるが、本願発明の液晶表示装置は、配向規制構造に
加え、他方の基板に液晶層側に突き出た凸部を有してお
り、少なくとも電圧印加状態においては、一方の基板に
設けられた配向規制構造と他方の基板に設けられた凸部
とによる配向規制力が液晶ドメイン内の液晶分子に作用
するので、配向規制構造のみを有する構成よりも、液晶
ドメインの放射状傾斜配向が安定化され、応力による表
示品位の低下が抑制される。凸部は、電圧無印加状態に
おいても配向規制力を発揮するので、印加電圧の大きさ
に関わらず配向を安定化できる。
【0048】また、本発明の液晶表示装置においては、
他方の基板に設けられる凸部の基板面に沿った断面形状
は、クロスニコル状態に配置(遅相軸が互いに略直交す
るように配置)された一対の偏光板の一方の偏光軸に対
して略平行な辺および略直交する辺のみで実質的に構成
された形状である。従って、凸部の配向規制力によって
放射状傾斜配向(基板面法線に対して傾斜した方向に配
向)する液晶分子は、偏光板の偏光軸に対して略平行ま
たは略垂直な方位角方向に配向するので、凸部近傍の液
晶分子は、液晶層に入射する光に対してほとんど位相差
を与えない。そのため、黒表示時の光漏れの発生が抑制
され、その結果、コントラスト比の高い表示が実現され
る。これに対して、例えば凸部の断面形状が略円形であ
ると、凸部の配向規制力によって放射状傾斜配向する液
晶分子は、全方位角方向に同等の確率で配向する。従っ
て、凸部近傍において、偏光板の偏光軸に対して傾斜し
た方位角方向に配向する液晶分子の存在確率が比較的高
い。偏光軸に対して傾斜した方位角方向に配向している
液晶分子は、液晶層を通過する光に対して位相差を与え
るので、黒表示時の光漏れの原因となり、コントラスト
比が低下することがある。
【0049】凸部を、配向規制構造によって形成される
放射状傾斜配向をとる液晶ドメインの中央付近に対応す
る領域に設けることによって、放射状傾斜配向の中心軸
の位置を固定することができるので、放射状傾斜配向の
応力に対する耐性が効果的に向上する。
【0050】凸部による配向規制方向は、配向規制構造
(例えば上述した電極構造)による放射状傾斜配向の方
向と整合するように設定すると、配向の連続性および安
定性が増し、表示品位および応答特性が向上する。
【0051】また、凸部による配向規制力は、配向規制
構造によって形成される放射状傾斜配向をとる液晶ドメ
イン内の液晶分子にだけ及べば、液晶ドメインの放射状
傾斜配向を安定化することができる。特に、凸部を液晶
ドメインの中央付近に対応する領域に設けると、放射状
傾斜配向の中心軸の位置を固定する効果も得られる。凸
部は、配向規制構造による配向規制力よりも弱い配向規
制力を発現するだけでよい。
【0052】配向規制構造として、上述した開口部を有
する電極構造を採用すると、液晶ドメインは、開口部お
よび中実部の両方に形成されるが、中実部に対応して形
成される液晶ドメインに対してのみ凸部を設ければよ
い。
【0053】また、このとき、凸部を全ての中実部に対
応して設けることが好ましいが、電極構造(開口部の数
や配置)によっては、一部の中実部に対して設けるだけ
で、実用的な配向安定性が得られる場合もある。これ
は、本発明の液晶表示装置の液晶層に形成される放射状
傾斜配向は本質的に連続しているからである。
【0054】また、応力に対する耐性をさらに向上する
ために、液晶層の液晶分子に対して、上述の斜め電界に
よる配向規制方向と同じ方向の配向規制力を有する側面
を備えたさらなる凸部を、電極の開口部の内側に設けて
もよい。この凸部の基板の面内方向の断面形状は、開口
部の形状と同じであり、上述した開口部の形状と同様
に、回転対称性を有することが好ましい。ただしこの凸
部の側面の配向規制力によって配向が規制される液晶分
子は電圧に対して応答し難い(電圧によるリタデーショ
ンの変化が小さい)ので、表示のコントラスト比を低下
させる要因となる。従って、凸部の大きさ、高さや数
は、表示品位を低下させないように設定することが好ま
しい。
【0055】本発明による液晶表示装置の配向規制構造
として機能する電極構造のうち、上述した開口部を有す
る電極は、例えば、絵素領域毎にTFTなどのスイッチ
ング素子を備えるアクティブマトリクス型液晶表示装置
におけるスイッチング素子に接続された絵素電極であ
り、他方の電極は、複数の絵素電極に対向する少なくと
も1つの対向電極である。このように、液晶層を介して
互いに対向するように設けられる一対の電極の内の一方
にだけ、開口部を設けるだけで、安定した放射状傾斜配
向を実現することができる。すなわち、公知の製造方法
において、導電膜を絵素電極の形状にパターニングする
際に、所望の形状の開口部が所望の配置で形成されるよ
うに、フォトマスクを修正するだけで、配向規制構造を
有する液晶表示装置を製造することができる。勿論、対
向電極に複数の開口部を形成してもよい。また、上述し
た2層構造電極も公知の方法で製造することができる。
【0056】また、本発明による液晶表示装置が備える
凸部も、公知の方法で製造することができる。
【0057】以下、図面を参照しながら、本発明による
実施形態の液晶表示装置を説明する。
【0058】(配向規制構造)まず、本発明の液晶表示
装置の好適な配向規制構造である電極構造とその作用と
を説明する。
【0059】本発明による液晶表示装置は、優れた表示
特性を有するので、アクティブマトリクス型液晶表示装
置に好適に利用される。以下では、薄膜トランジスタ
(TFT)を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装
置について、本発明の実施形態を説明する。本発明はこ
れに限られず、MIMを用いたアクティブマトリクス型
液晶表示装置や単純マトリクス型液晶表示装置に適用す
ることができる。また、以下では、透過型液晶表示装置
を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに
限られず、反射型液晶表示装置や、さらに、後述する透
過反射両用型液晶表示装置に適用することができる。
【0060】なお、本願明細書においては、表示の最小
単位である「絵素」に対応する液晶表示装置の領域を
「絵素領域」と呼ぶ。カラー液晶表示装置においては、
R,G,Bの「絵素」が1つの「画素」に対応する。ア
クティブマトリクス型液晶表示装置においては、絵素電
極と絵素電極に対向する対向電極とが絵素領域を規定す
る。また、単純マトリクス型液晶表示装置においては、
ストライプ状に設けられる列電極と列電極と直交するよ
うに設けられる行電極とが互いに交差するそれぞれの領
域が絵素領域を規定する。なお、ブラックマトリクスが
設けられる構成においては、厳密には、表示すべき状態
に応じて電圧が印加される領域のうち、ブラックマトリ
クスの開口部に対応する領域が絵素領域に対応すること
になる。
【0061】図1(a)および(b)を参照しながら、
本発明による配向規制構造を備える液晶表示装置100
の1つの絵素領域の構造を説明する。以下では、説明の
簡単さのためにカラーフィルタやブラックマトリクスを
省略する。また、以下の図面においては、液晶表示装置
100の構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素
を同じ参照符号で示し、その説明を省略する。図1
(a)は基板法線方向から見た上面図であり、図1
(b)は図1(a)中の1B−1B’線に沿った断面図
に相当する。図1(b)は、液晶層に電圧を印加してい
ない状態を示している。
【0062】液晶表示装置100は、アクティブマトリ
クス基板(以下「TFT基板」と呼ぶ。)100aと、
対向基板(「カラーフィルタ基板」とも呼ぶ)100b
と、TFT基板100aと対向基板100bとの間に設
けられた液晶層30とを有している。液晶層30の液晶
分子30aは、負の誘電率異方性を有し、TFT基板1
00aおよび対向基板100bの液晶層30側の表面に
設けられた垂直配向層としての垂直配向膜(不図示)に
よって、液晶層30に電圧が印加されていないとき、図
1(b)に示したように、垂直配向膜の表面に対して垂
直に配向する。このとき、液晶層30は垂直配向状態に
あるという。但し、垂直配向状態にある液晶層30の液
晶分子30aは、垂直配向膜の種類や液晶材料の種類に
よって、垂直配向膜の表面(基板の表面)の法線から若
干傾斜することがある。一般に、垂直配向膜の表面に対
して、液晶分子軸(「軸方位」とも言う。)が約85°
以上の角度で配向した状態が垂直配向状態と呼ばれる。
【0063】液晶表示装置100のTFT基板100a
は、透明基板(例えばガラス基板)11とその表面に形
成された絵素電極14とを有している。対向基板100
bは、透明基板(例えばガラス基板)21とその表面に
形成された対向電極22とを有している。液晶層30を
介して互いに対向するように配置された絵素電極14と
対向電極22とに印加される電圧に応じて、絵素領域ご
との液晶層30の配向状態が変化する。液晶層30の配
向状態の変化に伴い、液晶層30を透過する光の偏光状
態や量が変化する現象を利用して表示が行われる。
【0064】液晶表示装置100が有する絵素電極14
は、複数の開口部14aと中実部14bとを有してい
る。開口部14aは、導電膜(例えばITO膜)から形
成される絵素電極14の内の導電膜が除去された部分を
指し、中実部14bは導電膜が存在する部分(開口部1
4a以外の部分)を指す。開口部14aは1つの絵素電
極ごとに複数形成されているが、中実部14bは、基本
的には連続した単一の導電膜から形成されている。
【0065】複数の開口部14aは、その中心が正方格
子を形成するように配置されており、1つの単位格子を
形成する4つの格子点上に中心が位置する4つの開口部
14aによって実質的に囲まれる中実部(「単位中実
部」と称する。)16b’は、略円形の形状を有してい
る。それぞれの開口部14aは、4つの4分の1円弧状
の辺(エッジ)を有し、且つ、その中心に4回回転軸を
有する略星形である。なお、絵素領域の全体に亘って配
向を安定させるために、絵素電極14の端部まで単位格
子を形成することが好ましい。従って、図示したよう
に、絵素電極14の端部は、開口部14aの約2分の1
(辺に対応する領域)および開口部14aの約4分の1
(角に対応する領域)に相当する形状にパターニングさ
れていることが好ましい。なお、図1(a)中に実線で
示した正方形(正方格子の集合)は、単一の導電層から
形成された従来の絵素電極に対応する領域(外形)を示
している。
【0066】絵素領域の中央部に位置する開口部14a
は実質的に同じ形状で同じ大きさを有している。開口部
14aによって形成される単位格子内に位置する単位中
実部14b’は略円形であり、実質的に同じ形状で同じ
大きさを有している。互いに隣接する単位中実部14
b’は互いに接続されており、実質的に単一の導電膜と
して機能する中実部14bを構成している。
【0067】上述したような構成を有する絵素電極14
と対向電極22との間に電圧を印加すると、開口部14
aのエッジ部に生成される斜め電界によって、それぞれ
が放射状傾斜配向を有する複数の液晶ドメインが形成さ
れる。液晶ドメインは、それぞれの開口部14aに対応
する領域と、単位格子内の中実部14b’に対応する領
域とに、それぞれ1つずつ形成される。
【0068】ここでは、1つの絵素領域に複数の開口部
14aを有する構成を例示したが、1つの開口部を設け
るだけで、1つの絵素領域に複数の液晶ドメインを形成
することもできる。例えば、図1(a)に示した破線で
分割された4つの単位で構成される正方形の領域に注目
し、これを1つの絵素電極と見なすと、この絵素電極
は、1つの開口部14aとその周辺に配置されている4
つの単位中実部14b’で構成されているが、電圧印加
時には、放射状傾斜配向をとる5つの液晶ドメインを形
成する。
【0069】さらに、開口部14aを形成しなくても、
1つの絵素領域に複数の液晶ドメインを形成することも
できる。例えば、互いに隣接する2つの単位に注目し、
これを1つの絵素電極と考えると、この絵素電極は、2
つの単位中実部14b’で構成され、開口部14aを有
しないが、電圧印加時には、放射状傾斜配向をとる2つ
の液晶ドメインを形成する。このように、絵素電極が、
少なくとも、電圧印加時に放射状傾斜配向をとる複数の
液晶ドメインを形成するような単位中実部を有していれ
ば(言い換えると、そのような外形を有していれば)、
絵素領域内の液晶分子の配向の連続性は得られるので、
単位中実部14b’に対応して形成される液晶ドメイン
の放射状傾斜配向は安定する。
【0070】また、ここでは、正方形の絵素電極14を
例示しているが、絵素電極の14の形状はこれに限られ
ない。絵素電極14の一般的な形状は、矩形(正方形と
長方形を含む)に近似されるので、開口部14aを正方
格子状に規則正しく配列することができる。絵素電極1
4が矩形以外の形状を有していても、絵素領域内の全て
の領域に液晶ドメインが形成されるように、規則正しく
(例えば例示したように正方格子状に)開口部14aを
配置すれば、本発明の効果を得ることができる。
【0071】上述した斜め電界によって液晶ドメインが
形成されるメカニズムを図2(a)および(b)を参照
しながら説明する。図2(a)および(b)は、それぞ
れ図1(b)に示した液晶層30に電圧を印加した状態
を示しており、図2(a)は、液晶層30に印加された
電圧に応じて、液晶分子30aの配向が変化し始めた状
態(ON初期状態)を模式的に示しており、図2(b)
は、印加された電圧に応じて変化した液晶分子30aの
配向が定常状態に達した状態を模式的に示している。図
2(a)および(b)中の曲線EQは等電位線EQを示
す。
【0072】絵素電極14と対向電極22とが同電位の
とき(液晶層30に電圧が印加されていない状態)に
は、図1(a)に示したように、絵素領域内の液晶分子
30aは、両基板11および21の表面に対して垂直に
配向している。
【0073】液晶層30に電圧を印加すると、図2
(a)に示した等電位線EQ(電気力線と直交する)E
Qで表される電位勾配が形成される。この等電位線EQ
は、絵素電極14の中実部14bと対向電極22との間
に位置する液晶層30内では、中実部14bおよび対向
電極22の表面に対して平行であり、絵素電極14の開
口部14aに対応する領域で落ち込み、開口部14aの
エッジ部(開口部14aの境界(外延)を含む開口部1
4aの内側周辺)EG上の液晶層30内には、傾斜した
等電位線EQで表される斜め電界が形成される。
【0074】負の誘電異方性を有する液晶分子30aに
は、液晶分子30aの軸方位を等電位線EQに対して平
行(電気力線に対して垂直)に配向させようとするトル
クが作用する。従って、エッジ部EG上の液晶分子30
aは、図2(a)中に矢印で示したように、図中の右側
エッジ部EGでは時計回り方向に、図中の左側エッジ部
EGでは反時計回り方向に、それぞれ傾斜(回転)し、
等電位線EQに平行に配向する。
【0075】ここで、図3を参照しながら、液晶分子3
0aの配向の変化を詳細に説明する。
【0076】液晶層30に電界が生成されると、負の誘
電率異方性を有する液晶分子30aには、その軸方位を
等電位線EQに対して平行に配向させようとするトルク
が作用する。図3(a)に示したように、液晶分子30
aの軸方位に対して垂直な等電位線EQで表される電界
が発生すると、液晶分子30aには時計回りまたは反時
計回り方向に傾斜させるトルクが等しい確率で作用す
る。従って、互いに対向する平行平板型配置の電極間に
ある液晶層30内には、時計回り方向のトルクを受ける
液晶分子30aと、反時計回りに方向のトルクを受ける
液晶分子30aとが混在する。その結果、液晶層30に
印加された電圧に応じた配向状態への変化がスムーズに
起こらないことがある。
【0077】図2(a)に示したように、本発明による
液晶表示装置100の開口部14aのエッジ部EGにお
いて、液晶分子30aの軸方位に対して傾斜した等電位
線EQで表される電界(斜め電界)が発生すると、図3
(b)に示したように、液晶分子30aは、等電位線E
Qと平行になるための傾斜量が少ない方向(図示の例で
は反時計回り)に傾斜する。また、液晶分子30aの軸
方位に対して垂直方向の等電位線EQで表される電界が
発生する領域に位置する液晶分子30aは、図3(c)
に示したように、傾斜した等電位線EQ上に位置する液
晶分子30aと配向が連続となるように(整合するよう
に)、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30
aと同じ方向に傾斜する。図3(d)に示したように、
等電位線EQが連続した凹凸形状を形成する電界が印加
されると、それぞれの傾斜した等電位線EQ上に位置す
る液晶分子30aによって規制される配向方向と整合す
るように、平坦な等電位線EQ上に位置する液晶分子3
0aが配向する。なお、「等電位線EQ上に位置する」
とは、「等電位線EQで表される電界内に位置する」こ
とを意味する。
【0078】上述したように、傾斜した等電位線EQ上
に位置する液晶分子30aから始まる配向の変化が進
み、定常状態に達すると、図2(b)に模式的に示した
配向状態となる。開口部14aの中央付近に位置する液
晶分子30aは、開口部14aの互いに対向する両側の
エッジ部EGの液晶分子30aの配向の影響をほぼ同等
に受けるので、等電位線EQに対して垂直な配向状態を
保ち、開口部14aの中央から離れた領域の液晶分子3
0aは、それぞれ近い方のエッジ部EGの液晶分子30
aの配向の影響を受けて傾斜し、開口部14aの中心S
Aに関して対称な傾斜配向を形成する。この配向状態
は、液晶表示装置100の表示面に垂直な方向(基板1
1および21の表面に垂直な方向)からみると、液晶分
子30aの軸方位が開口部14aの中心に関して放射状
に配向した状態にある(不図示)。そこで、本願明細書
においては、このような配向状態を「放射状傾斜配向」
と呼ぶことにする。また、1つの中心に関して放射状傾
斜配向をとる液晶層の領域を液晶ドメインと称する。
【0079】開口部14aによって実質的に包囲された
単位中実部14b’に対応する領域においても、液晶分
子30aが放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが形成さ
れる。単位中実部14b’に対応する領域の液晶分子3
0aは、開口部14aのエッジ部EGの液晶分子30a
の配向の影響を受け、単位中実部14b’の中心SA
(開口部14aが形成する単位格子の中心に対応)に関
して対称な放射状傾斜配向をとる。
【0080】単位中実部14b’に形成される液晶ドメ
インにおける放射状傾斜配向と開口部14aに形成され
る放射状傾斜配向は連続しており、いずれも開口部14
aのエッジ部EGの液晶分子30aの配向と整合するよ
うに配向している。開口部14aに形成された液晶ドメ
イン内の液晶分子30aは、上側(基板100b側)が
開いたコーン状に配向し、単位中実部14b’に形成さ
れた液晶ドメイン内の液晶分子30aは下側(基板10
0a側)が開いたコーン状に配向する。このように、開
口部14aに形成される液晶ドメインおよび単位中実部
14b’に形成される液晶ドメインに形成される放射状
傾斜配向は、互いに連続であるので、これらの境界にデ
ィスクリネーションライン(配向欠陥)が形成されるこ
とがなく、それによって、ディスクリネーションライン
の発生による表示品位の低下は起こらない。
【0081】液晶表示装置の表示品位の視角依存性を全
方位において改善するためには、それぞれの絵素領域内
において、全ての方位角方向のそれぞれに沿って配向す
る液晶分子の存在確率が回転対称性を有することが好ま
しく、軸対称性を有することがさらに好ましい。すなわ
ち、絵素領域の全体に亘って形成される液晶ドメインが
回転対称性、さらには軸対称性を有するように配置され
ていることが好ましい。但し、絵素領域の全体に亘って
回転対称性を有する必要は必ずしも無く、回転対称性
(または軸対称性)を有するように配列された液晶ドメ
イン(例えば、正方格子状に配列された複数の液晶ドメ
イン)の集合体として絵素領域の液晶層が形成されれば
よい。従って、絵素領域に形成される複数の開口部14
aの配置も絵素領域の全体に亘って回転対称性を有する
必要は必ずしも無く、回転対称性(または軸対称性)を
有するように配列された開口部(例えば正方格子状に配
列された複数の開口部)の集合体として表せればよい。
勿論、複数の開口部14aに実質的に包囲される単位中
実部14b’の配置も同様である。また、それぞれの液
晶ドメインの形状も回転対称性さらには軸対称性を有す
ることが好ましいので、それぞれの開口部14aおよび
単位中実部14b’の形状も回転対称性さらには軸対称
性を有することが好ましい。
【0082】なお、開口部14aの中央付近の液晶層3
0には十分な電圧が印加されず、開口部14aの中央付
近の液晶層30が表示に寄与しない場合がある。すなわ
ち、開口部14aの中央付近の液晶層30の放射状傾斜
配向が多少乱れても(例えば、中心軸が開口部14aの
中心からずれても)、表示品位が低下しないことがあ
る。従って、少なくとも単位中実部14b’に対応して
形成される液晶ドメインが回転対称性、さらには軸対称
性を有するように配置されていればよい。
【0083】図2(a)および(b)を参照しながら説
明したように、本発明による液晶表示装置100の絵素
電極14は複数の開口部14aを有しており、絵素領域
内の液晶層30内に、傾斜した領域を有する等電位線E
Qで表される電界を形成する。電圧無印加時に垂直配向
状態にある液晶層30内の負の誘電異方性を有する液晶
分子30aは、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶
分子30aの配向変化をトリガーとして配向方向を変化
し、安定な放射状傾斜配向を有する液晶ドメインが開口
部14aおよび中実部14bに形成される。液晶層に印
加される電圧に応じて、この液晶ドメインの液晶分子の
配向が変化することによって、表示が行われる。
【0084】液晶表示装置100が有する絵素電極14
が有する開口部14aの形状(基板法線方向から見た形
状)およびその配置について説明する。
【0085】液晶表示装置の表示特性は、液晶分子の配
向状態(光学的異方性)に起因して、方位角依存性を示
す。表示特性の方位角依存性を低減するためには、液晶
分子が全ての方位角に対して同等の確率で配向している
ことが好ましい。また、それぞれの絵素領域内の液晶分
子が全ての方位角に対して同等の確率で配向しているこ
とがさらに好ましい。従って、開口部14aは、それぞ
れの絵素領域内の液晶分子30aがすべての方位角に対
して同等の確率で配向するように、液晶ドメインを形成
するような形状を有していることが好ましい。具体的に
は、開口部14aの形状は、それぞれの中心(法線方
向)を対称軸とする回転対称性(好ましくは2回回転軸
以上の対称性)を有することが好ましく、また、複数の
開口部14aが回転対称性を有するように配置されてい
ることが好ましい。また、これらの開口部によって実質
的に包囲される単位中実部14b’の形状も回転対称性
を有することが好ましく、単位中実部14bも回転対称
性を有するように配置されることが好ましい。
【0086】但し、開口部14aや単位中実部14bが
絵素領域全体に亘って回転対称性を有するように配置さ
れる必要は必ずしも無く、図1(a)に示したように、
例えば正方格子(4回回転軸を有する対称性)を最小単
位とし、それらの組合せによって絵素領域が構成されれ
ば、絵素領域全体に亘って液晶分子がすべての方位角に
対して実質的に同等の確率で配向させることができる。
【0087】図1(a)に示した、回転対称性を有する
略星形の開口部14aおよび略円形の単位中実部14b
が正方格子状に配列された場合の液晶分子30aの配向
状態を図4(a)〜図4(c)を参照しながら説明す
る。
【0088】図4(a)〜(c)は、それぞれ、基板法
線方向から見た液晶分子30aの配向状態を模式的に示
している。図4(b)および(c)など、基板法線方向
から見た液晶分子30aの配向状態を示す図において、
楕円状に描かれた液晶分子30aの先が黒く示されてい
る端は、その端が他端よりも、開口部14aを有する絵
素電極14が設けられている基板側に近いように、液晶
分子30aが傾斜していることを示している。以下の図
面においても同様である。ここでは、図1(a)に示し
た絵素領域の内の1つの単位格子(4つの開口部14a
によって形成される)について説明する。図4(a)〜
図4(c)中の対角線に沿った断面は、図1(b)、図
2(a)および(b)にそれぞれ対応し、これらの図を
合わせて参照しながら説明する。
【0089】絵素電極14および対向電極22が同電位
のとき、すなわち液晶層30に電圧が印加されていない
状態においては、TFT基板100aおよび対向基板1
00bの液晶層30側表面に設けられた垂直配向層(不
図示)によって配向方向が規制されている液晶分子30
aは、図4(a)に示したように、垂直配向状態を取
る。
【0090】液晶層30に電界を印加し、図2(a)に
示した等電位線EQで表される電界が発生すると、負の
誘電率異方性を有する液晶分子30aには、軸方位が等
電位線EQに平行になるようなトルクが発生する。図3
(a)および(b)を参照しながら説明したように、液晶
分子30aの分子軸に対して垂直な等電位線EQで表さ
れる電場下の液晶分子30aは、液晶分子30aが傾斜
(回転)する方向が一義的に定まっていないため(図3
(a))、配向の変化(傾斜または回転)が容易に起こ
らないのに対し、液晶分子30aの分子軸に対して傾斜
した等電位線EQ下に置かれた液晶分子30aは、傾斜
(回転)方向が一義的に決まるので、配向の変化が容易
に起こる。従って、図4(b)に示したように、等電位
線EQに対して液晶分子30aの分子軸が傾いている開
口部14aのエッジ部から液晶分子30aが傾斜し始め
る。そして、図3(c)を参照しながら説明したよう
に、開口部14aのエッジ部の傾斜した液晶分子30a
の配向と整合性をとるように周囲の液晶分子30aも傾
斜し、図4(c)に示したような状態で液晶分子30a
の軸方位は安定する(放射状傾斜配向)。
【0091】このように、開口部14aが回転対称性を
有する形状であると、絵素領域内の液晶分子30aは、
電圧印加時に、開口部14aのエッジ部から開口部14
aの中心に向かって液晶分子30aが傾斜するので、エ
ッジ部からの液晶分子30aの配向規制力が釣り合う開
口部14aの中心付近の液晶分子30aは基板面に対し
て垂直に配向した状態を維持し、その回りの液晶分子3
0aが開口部14aの中心付近の液晶分子30aを中心
に放射状に液晶分子30aが連続的に傾斜した状態が得
られる。
【0092】また、正方格子状に配列された4つの略星
形の開口部14aに包囲された略円形の単位中実部14
b’に対応する領域の液晶分子30aも、開口部14a
のエッジ部に生成される斜め電界で傾斜した液晶分子3
0aの配向と整合するように傾斜する。エッジ部からの
液晶分子30aの配向規制力が釣り合う単位中実部14
b’の中心付近の液晶分子30aは基板面に対して垂直
に配向した状態を維持し、その回りの液晶分子30aが
単位中実部14b’の中心付近の液晶分子30aを中心
に放射状に液晶分子30aが連続的に傾斜した状態が得
られる。
【0093】このように、絵素領域全体に亘って、液晶
分子30aが放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが正方
格子状に配列されると、それぞれの軸方位の液晶分子3
0aの存在確率が回転対称性を有することになり、あら
ゆる視角方向に対して、ざらつきのない高品位の表示を
実現することができる。放射状傾斜配向を有する液晶ド
メインの視角依存性を低減するためには、液晶ドメイン
が高い回転対称性(2回回転軸以上が好ましく、4回回
転軸以上がさらに好ましい。)を有することが好まし
い。また、絵素領域全体の視角依存性を低減するために
は、絵素領域に形成される複数の液晶ドメインが、高い
回転対称性(2回回転軸以上が好ましく、4回回転軸以
上がさらに好ましい。)を有する単位(例えば単位格
子)の組合せで表される配列(例えば正方格子)を構成
することが好ましい。
【0094】なお、液晶分子30aの放射状傾斜配向
は、図5(a)に示したような単純な放射状傾斜配向よ
りも、図5(b)および(c)に示したような、左回り
または右回りの渦巻き状の放射状傾斜配向の方が安定で
ある。この渦巻き状配向は、通常のツイスト配向のよう
に液晶層30の厚さ方向に沿って液晶分子30aの配向
方向が螺旋状に変化するのではなく、液晶分子30aの
配向方向は微小領域でみると、液晶層30の厚さ方向に
沿ってほとんど変化していない。すなわち、液晶層30
の厚さ方向のどこの位置の断面(層面に平行な面内での
断面)においても、図5(b)または(c)と同じ配向
状態にあり、液晶層30の厚さ方向に沿ったツイスト変
形をほとんど生じていない。但し、液晶ドメインの全体
でみると、ある程度のツイスト変形が発生している。
【0095】負の誘電異方性を有するネマチック液晶材
料にカイラル剤を添加した材料を用いると、電圧印加時
に、液晶分子30aは、開口部14aおよび単位中実部
14b’を中心に、図5(b)および(c)に示した、
左回りまたは右回りの渦巻き状放射状傾斜配向をとる。
右回りか左回りかは用いるカイラル剤の種類によって決
まる。従って、電圧印加時に開口部14a内の液晶層3
0を渦巻き状放射状傾斜配向させることによって、放射
状傾斜している液晶分子30aの、基板面に垂直に立っ
ている液晶分子30aの周りを巻いている方向を全ての
液晶ドメイン内で一定にすることができるので、ざらつ
きの無い均一な表示が可能になる。さらに、基板面に垂
直に立っている液晶分子30aの周りを巻いている方向
が定まっているので、液晶層30に電圧を印加した際の
応答速度も向上する。
【0096】カイラル剤を添加すると、更に、通常のツ
イスト配向のように、液晶層30の厚さ方向に沿って液
晶分子30aの配向が螺旋状に変化するようになる。液
晶層30の厚さ方向に沿って液晶分子30aの配向が螺
旋状に変化しない配向状態では、偏光板の偏光軸に対し
て垂直方向または平行方向に配向している液晶分子30
aは、入射光に対して位相差を与えないため、この様な
配向状態の領域を通過する入射光は透過率に寄与しな
い。これに対し、液晶層30の厚さ方向に沿って液晶分
子30aの配向が螺旋状に変化する配向状態において
は、偏光板の偏光軸に垂直方向または平行方向に配向し
ている液晶分子30aも、入射光に対して位相差を与え
るとともに、光の旋光性を利用することもできる。従っ
て、この様な配向状態の領域を通過する入射光も透過率
に寄与するので、明るい表示が可能な液晶表示装置を得
ることができる。
【0097】図1(a)では、開口部14aが略星形を
有し、単位中実部14b’が略円形を有し、これらが正
方格子状に配列された例を示したが、開口部14aおよ
び単位中実部14b’の形状ならびにこれらの配置は、
上記の例に限られない。
【0098】図6(a)および(b)に、異なる形状の
開口部14aおよび単位中実部14b’を有する絵素電
極14Aおよび14Bの上面図をそれぞれ示す。
【0099】図6(a)および(b)にそれぞれ示した
絵素電極14Aおよび14Bの開口部14aおよび単位
中実部14b’は、図1(a)に示した絵素電極の開口
部14aおよび単位中実部14b’が若干ひずんだ形を
有している。絵素電極14Aおよび14Bの開口部14
aおよび単位中実部14b’は、2回回転軸を有し(4
回回転軸は有しない)、長方形の単位格子を形成するよ
うに規則的に配列されている。開口部14aは、いずれ
も歪んだ星形を有し、単位中実部14b’は、いずれも
略楕円形(歪んだ円形)を有している。絵素電極14A
および14Bを用いても、表示品位が高い、視角特性に
優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0100】さらに、図7(a)および(b)にそれぞ
れ示すような絵素電極14Cおよび14Dを用いること
もできる。
【0101】絵素電極14Cおよび14Dは、単位中実
部14b’が略正方形となるように、略十字の開口部1
4aが正方格子状に配置されている。勿論、これらを歪
ませて、長方形の単位格子を形成するように配置しても
よい。このように、略矩形(矩形は正方形と長方形を含
むとする。)の単位中実部14b’を規則正しく配列し
ても、表示品位が高い、視角特性に優れた液晶表示装置
を得ることができる。
【0102】但し、開口部14aおよび/または単位中
実部14b’の形状は、矩形よりも円形または楕円形の
方が放射状傾斜配向を安定化できるので好ましい。これ
は、開口部14aの辺が連続的に(滑らかに)変化する
ので、液晶分子30aの配向方向も連続的に(滑らか
に)変化するためと考えられる。
【0103】上述した液晶分子30aの配向方向の連続
性の観点から、図8(a)および(b)に示す絵素電極
14Eおよび14Fも考えられる。図8(a)に示した
絵素電極14Eは、図1(a)に示した絵素電極14の
変形例で、4つの円弧だけからなる開口部14aを有し
ている。また、図8(b)に示した絵素電極14Fは、
図7(b)に示した絵素電極14Dの変形例で、開口部
14aの単位中実部14b’側が円弧で形成されてい
る。絵素電極14Eおよび14Fが有する開口部14a
ならびに単位中実部14b’は、いずれも4回回転軸を
有しており、且つ、正方格子状(4回回転軸を有する)
に配列されているが、図6(a)および(b)に示した
ように、開口部14aの単位中実部14b’の形状を歪
ませて2回回転軸を有する形状とし、長方形の格子(2
回回転軸を有する)を形成するように配置してもよい。
【0104】また、応答速度の観点から、図9(a)お
よび(b)にそれぞれ示すような絵素電極14Gおよび
14Hを用いてもよい。図9(a)に示した絵素電極1
4Gは、図7(a)に示した略正方形状の単位中実部1
4b’を有する絵素電極14Cの変形例であり、絵素電
極14Gの単位中実部14b’の形状は、角部が鋭角化
された歪んだ正方形状である。また、図9(b)に示し
た絵素電極14Hの単位中実部14b’の形状は、8つ
の辺(エッジ)を有し、且つ、その中心に4回回転軸を
有する略星形であり、4つの角部のそれぞれが鋭角化さ
れている。なお、角部を鋭角化するとは、90°未満の
角または曲線で角部を構成することをいう。
【0105】開口部14aのエッジ部に生成される斜め
電界によって液晶分子30aの配向が制御される液晶表
示装置においては、液晶層30に電圧が印加されると、
まず、エッジ部上の液晶分子30aから傾斜し、その
後、周辺の領域の液晶分子30aが傾斜し、放射状傾斜
配向となる。そのため、液晶層に電圧が印加されたとき
に絵素電極上の液晶分子が一斉に傾斜するような表示モ
ードの液晶表示装置と比べると、応答速度が遅いことが
ある。
【0106】図9(a)および(b)に示したように、
単位中実部14b’が、角部が鋭角化された形状を有し
ていると、斜め電界を生成するエッジ部がより多く形成
されるので、より多くの液晶分子30aに斜め電界を作
用させることができる。従って、電界に応答して最初に
傾斜し始める液晶分子30aの数がより多くなり、絵素
領域全域にわたって放射状傾斜配向が形成されるのに要
する時間が短くなるので、液晶層30に電圧を印加した
際の応答速度が向上する。
【0107】例えば、単位中実部14b’の一辺の長さ
が約40μmである液晶表示装置においては、単位中実
部14b’の形状が図9(a)に示した歪んだ正方形状
で、図10(a)に示すように角部を構成する辺のなす
角θaが90°未満である場合には、単位中実部14
b’の形状が図8(b)に示した略正方形状で、図10
(b)に示すように角部を構成する辺のなす角θaが9
0°である場合よりも、液晶層30に電圧を印加した際
の応答速度を約60%短くすることができる。勿論、単
位中実部14b’の形状を図9(b)に示したような略
星形としても同様に応答速度を短くすることができる。
【0108】また、単位中実部14b’の形状を角部が
鋭角化された形状とすると、単位中実部14b’の形状
が略円形や略矩形である場合に比べて、特定の方位角方
向に沿って配向する液晶分子30aの存在確率を高く
(あるいは低く)することができる。すなわち、全ての
方位角方向のそれぞれに沿って配向する液晶分子30a
の存在確率により高い指向性をもたせることができる。
そのため、偏光板を備え、直線偏光を液晶層30に入射
させるモードの液晶表示装置において、単位中実部14
b’の角部を鋭角化すると、偏光板の偏光軸に対して垂
直方向または平行方向に配向している液晶分子30a、
すなわち、入射光に対して位相差を与えない液晶分子3
0aの存在確率をより低くすることができる。従って、
光の透過率を向上させ、より明るい表示を実現すること
ができる。
【0109】略正方形状の単位中実部14b’を有する
図8(b)に示した絵素電極14Fを備えた液晶表示装
置、および、略星形の単位中実部14b’を有する図9
(b)に示した絵素電極14Hを備えた液晶表示装置に
おいて、偏光板の偏光軸の角度を変化させたときの透過
率を図11(a)に示す。図11(a)中の実線51
は、図8(b)に示した絵素電極14Fを備えた液晶表
示装置の電圧印加時の透過率を示し、破線52は、図9
(b)に示した絵素電極14Hを備えた液晶表示装置の
電圧印加時の透過率を示している。なお、図11(a)
においては、図11(b)に示すように、観察者側の偏
光板の偏光軸(実線矢印61で示されている)が表示面
上下方向(紙面上下方向に対応)に沿っており、背面側
の偏光軸(破線矢印62で示されている)が表示面左右
方向(紙面左右方向に対応)に沿っているときの角度を
ゼロとし、この状態から偏光軸を反時計回りに回転させ
たときの角度を正、時計回りに回転させたときの角度を
負としている。
【0110】図11(a)に示したように、単位中実部
14b’の角部が鋭角化された絵素電極14Hを備えた
液晶表示装置の透過率(破線52)の最大値は、略正方
形状の単位中実部14’を有する絵素電極14Fを備え
た液晶表示装置の透過率(実線51)の最大値よりも大
きい。このように、単位中実部14b’の角部が鋭角化
されていると、透過率を向上させることができ、より明
るい表示を行うことができる。
【0111】なお、上述したように単位中実部14b’
の角部を鋭角化すると、応答速度を向上させたり、透過
率を向上させたりすることができるものの、放射状傾斜
配向の安定が悪くなることがある。例えば単位中実部1
4b’の形状が略円形である場合と比較すると、角部が
鋭角化されている場合には、開口部14aの辺は、単位
中実部14b’の形状が略円形である場合ほど滑らかに
は変化しないので、液晶分子30aの配向方向の変化の
連続性が悪い。そのため、放射状傾斜配向の安定性が悪
くなることがあるが、後述する凸部を組み合わせると、
実用上十分な配向安定性を得ることができる。
【0112】図6、図7、図8および図9においては、
1つの絵素領域に複数の開口部14aを有する構成を例
示したが、図1を参照しながら説明したように、1つの
開口部を設けるだけで、1つの絵素領域に複数の液晶ド
メインを形成することもできるし、さらに、開口部14
aを形成しなくても、1つの絵素領域に複数の液晶ドメ
インを形成することもできる。また、絵素電極の開口部
14aに対応する領域にも放射状傾斜配向をとる液晶ド
メインを形成する必要は必ずしもなく、中実部14b
(単位中実部14b’)に対応して放射状傾斜配向をと
る液晶ドメインが形成されれば、開口部14aに対応し
て形成される液晶ドメインが放射状傾斜配向をとらなく
とも、絵素領域内の液晶分子の配向の連続性は得られる
ので、中実部14bに対応して形成される液晶ドメイン
の放射状傾斜配向は安定する。特に、図7(a)および
(b)に示したように、開口部14aの面積が小さい場
合には、表示に対する寄与も少ないので、開口部に対応
する領域に放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが形成さ
れなくても、表示品位の低下は問題にならない。
【0113】上述の例では、略星形や略十字形の開口部
14aを形成し、単位中実部14b’の形状を略円形、
略楕円形、略正方形(矩形)および角の取れた略矩形と
した構成を説明した。これに対して、開口部14aと単
位中実部14b’との関係をネガ−ポジ反転させてもよ
い。例えば、図1(a)に示した絵素電極14の開口部
14aと単位中実部14bとをネガ−ポジ反転したパタ
ーンを有する絵素電極14Iを図12に示す。このよう
に、ネガ−ポジ反転したパターンを有する絵素電極14
Iも図1に示した絵素電極14と実質的に同様の機能を
有する。なお、図13(a)および(b)にそれぞれ示
す絵素電極14Jおよび14Kのように、開口部14a
および単位中実部14b’がともに略正方形の場合に
は、ネガ−ポジ反転しても、もとのパターンと同じパタ
ーンとなるものもある。
【0114】図12に示したパターンのように、図1
(a)に示したパターンをネガ−ポジ反転させた場合に
も、絵素電極14のエッジ部に、回転対称性を有する単
位中実部14b'が形成されるように、開口部14aの
一部(約2分の1または約4分の1)を形成することが
好ましい。このようなパターンとすることによって、絵
素領域のエッジ部においても、絵素領域の中央部と同様
に、斜め電界による効果が得られ、絵素領域の全体に亘
って安定した放射状傾斜配向を実現することができる。
【0115】次に、図1(a)の絵素電極14と、絵素
電極14の開口部14aと単位中実部14b’のパター
ンをネガ−ポジ反転させたパターンを有する図12に示
した絵素電極14Iを例に、ネガ−ポジパターンのいず
れを採用すべきかを説明する。
【0116】ネガ−ポジいずれのパターンを採用して
も、開口部14aの辺の長さはどちらのパターンも同じ
である。従って、斜め電界を生成するという機能におい
ては、これらのパターンによる差はない。しかしなが
ら、単位中実部14b’の面積比率(絵素電極14の全
面積に対する比率)は、両者の間で異なり得る。すなわ
ち、液晶層の液晶分子に作用する電界を生成する中実部
16(実際に導電膜が存在する部分)の面積が異なり得
る。
【0117】開口部14aに形成される液晶ドメインに
印加される電圧は、中実部14bに形成される液晶ドメ
インに印加される電圧よりも低くなるので、例えば、ノ
ーマリブラックモードの表示を行うと、開口部14aに
形成された液晶ドメインは暗くなる。すなわち、開口部
14aの面積比率が高くなると表示輝度が低下する傾向
になる。従って、中実部14bの面積比率が高い方が好
ましい。
【0118】図1(a)のパターンと図12のパターン
とのいずれにおいて中実部14bの面積比率が高くなる
かは、単位格子のピッチ(大きさ)に依存する。
【0119】図14(a)は、図1(a)に示したパタ
ーンの単位格子を示し、図14(b)は、図9に示した
パターンの単位格子(但し、開口部14aを中心とす
る。)を示している。なお、図14(b)においては、
図12における単位中実部14b’の相互に接続する役
割を果たしている部分(円形部から四方に延びる枝部)
を省略している。正方単位格子の一辺の長さ(ピッチ)
をpとし、開口部14aまたは単位中実部14b’と単
位格子との間隙の長さ(片側のスペース)をsとする。
【0120】ピッチpおよび片側スペースsの値が異な
る種々の絵素電極14を形成し、放射状傾斜配向の安定
性などを検討した。その結果、まず、図14(a)に示
したパターン(以下、「ポジ型パターン」と称する。)
を有する絵素電極14を用いて、放射状傾斜配向を得る
ために必要な斜め電界を生成するためには、片側スペー
スsが約2.75μm以上必要であることを見出した。
一方、図14(b)に示したパターン(以下、「ネガ型
パターン」と称する。)を有する絵素電極14につい
て、放射状傾斜配向を得るための斜め電界を生成するた
めに、片側スペースsが約2.25μm以上必要である
ことを見出した。片側スペースsをそれぞれこの下限値
として、ピッチpの値を変化させたときの中実部14b
の面積比率を検討した。結果を表1および図14(c)
に示す。
【0121】 〔表1〕 ピッチp(μm) 中実部面積比率(%) ポジ型(a) ネガ型(b) 20 41.3 52.9 25 47.8 47.2 30 52.4 43.3 35 55.8 40.4 40 58.4 38.2 45 60.5 36.4 50 62.2 35.0 表1および図14(c)から分かるように、ピッチpが
約25μm以上のときにはポジ型(図14(a))パタ
ーンの方が中実部14bの面積比率が高くなり、約25
μmよりも短くなるとネガ型(図14(b))の方が中
実部14bの面積比率が大きくなる。従って、表示輝度
および配向の安定性の観点から、ピッチpが約25μm
を境にして、採用すべきパターンが変わる。例えば、幅
75μmの絵素電極14の幅方向に、3個以下の単位格
子を設ける場合には、図14(a)に示したポジ型パタ
ーンが好ましく、4個以上の単位格子を設ける場合に
は、図14(b)に示したネガ型パターンが好ましい。
例示したパターン以外の場合においても、中実部14b
の面積比率が大きくなるように、ポジ型またはネガ型の
何れかを選択すればよい。
【0122】単位格子の数は、以下のようにして求めら
れる。絵素電極14の幅(横または縦)に対して、1つ
または2以上の整数個の単位格子が配置されるように、
単位格子のサイズを計算し、それぞれの単位格子サイズ
について中実部面積比率を計算し、中実部面積比率が最
大となる単位格子サイズを選ぶ。但し、ポジ型パターン
の場合には単位中実部14b’の直径が15μm未満、
ネガ型パターンの場合には開口部14aの直径が15μ
m未満になると、斜め電界による配向規制力が低下し、
安定した放射状傾斜配向が得られ難くなる。なお、これ
ら直径の下限値は、液晶層30の厚さが約3μmの場合
であり、液晶層30の厚さがこれよりも薄いと、単位中
実部14b’および開口部14aの直径は、上記の下限
値よりもさらに小さくとも安定な放射状傾斜配向が得ら
れ、液晶層30の厚さがこれよりも厚い場合に安定な放
射状傾斜配向を得るために必要な、単位中実部14b’
および開口部14aの直径の下限値は、上記の下限値よ
りも大きくなる。
【0123】なお、後述するように、開口部14aの内
側に凸部(図38参照)を形成することによって、放射
状傾斜配向の安定性を高めることができる。上述の条件
は、いずれも、凸部を形成していない場合についてであ
る。
【0124】上述した液晶表示装置100の構成は、絵
素電極14が開口部14aを有する電極であること以外
は、公知の垂直配向型液晶表示装置と同じ構成を採用す
ることができ、公知の製造方法で製造することができ
る。
【0125】なお、典型的には、負の誘電異方性を有す
る液晶分子を垂直配向させるために、絵素電極14およ
び対向電極22の液晶層30側表面には垂直配向層(不
図示)が形成されている。
【0126】液晶材料としては、負の誘電異方性を有す
るネマチック液晶材料が用いられる。また、負の誘電異
方性を有するネマチック液晶材料に2色性色素添加する
ことによって、ゲスト−ホストモードの液晶表示装置を
得ることもできる。ゲスト−ホストモードの液晶表示装
置は、偏光板を必要としない。
【0127】(凸部)次に、凸部の具体的な構造と作用
を説明する。これまでの説明にそって、配向規制構造が
TFT基板に設けられ、凸部が対向基板に設けられてい
る場合について説明する。本発明による液晶表示装置
は、液晶分子を基板面に対して垂直配向させるための構
成(例えば一対の基板の液晶層側に設けられた垂直配向
膜)に加え、上述したような液晶分子を放射状傾斜配向
させるための配向規制構造と、後述するように配向規制
構造と協同的に液晶分子を放射状傾斜配向させる(放射
状傾斜配向状態を安定化させる)ための凸部とを有して
いる。
【0128】図15(a)および(b)を参照しなが
ら、対向基板200bに設けられた凸部28Aの構造と
その作用とを説明する。図15(a)は、液晶層30側
に突き出た凸部28Aを有する対向基板200bを模式
的に示す断面図であり、図15(b)は、凸部28Aを
模式的に示す上面図である。上述の液晶表示装置と実質
的に同じ構成要素には共通の参照符号を付して、その説
明をここでは省略する。
【0129】凸部28Aは、図15(a)および(b)
に示したように、その側面28sが凸面化された略正四
角錐状であり、対向基板200bの基板面に対して傾斜
した側面28sと、略正方形状の底面とを有している。
凸部28Aは、ここでは、対向電極22上に形成されて
いる。凸部28Aは、図15(b)に示したように、略
正方形状の底面の辺が、クロスニコル状態に配置された
一対の偏光板(TFT基板100aおよび対向基板20
0bの外側に設けられている)の偏光軸(図15(b)
中に矢印PAで示している。)に略平行または略垂直と
なるように配置されている。言い換えると、凸部28A
の断面形状(対向基板200bの基板面に沿った断面形
状)は、一対の偏光板の一方の偏光軸に略平行な辺およ
び略直交する辺のみから実質的に構成された形状であ
る。
【0130】凸部28Aの表面は、垂直配向性を有して
おり(典型的には、凸部28Aを覆うように垂直配向膜
(不図示)が形成されている。)、図15(a)に示し
たように、液晶分子30aは、傾斜側面28sのアンカ
リング効果によって、これらに対してほぼ垂直に配向す
る。凸部28Aの対向基板200bの基板面に沿った断
面形状は、略正方形であるので、凸部28Aの周辺の液
晶分子30aは、凸部28Aを中心に放射状に傾斜配向
する。
【0131】つまり、凸部28Aは、その表面(垂直配
向性を有する)の形状効果によって、液晶分子30aを
放射状に傾斜配向させるように作用する。凸部28Aに
よる液晶分子の傾斜方向は、配向規制構造によって絵素
電極14の単位中実部14b’(例えば図1参照)に対
応する領域に形成される液晶ドメインの放射状傾斜配向
の配向方向と整合する。凸部28Aは、電圧の印加無印
加に関わらず、配向規制力を発現するので、全ての表示
階調において安定した放射状傾斜配向が得られ、応力に
対する耐性にも優れている。
【0132】凸部28Aを形成する材料に特に制限はな
いが、樹脂などの誘電体材料を用いて容易に形成するこ
とができる。また、熱によって変形する樹脂材料を用い
ると、パターニングの後の熱処理によって、図15
(a)に示したような、なだらかな丘上の断面形状を有
する凸部28Aを容易に形成できるので好ましい。図示
したように、頂点を有するなだらかな形状(基板面の法
線に沿った断面形状)を有する凸部28Aや図16
(a)および(b)に示すような略正四角錐状の形状を
有する凸部28Bは、放射状傾斜配向の中心位置を固定
する効果に優れている。勿論、凸部は、頂面を有してい
てもよく、例えば、略四角錐台状であってもよい。
【0133】上述した、配向規制構造および凸部28A
を備える液晶表示装置200を図17(a)および
(b)に示す。図17(a)は上面図であり、図17
(b)は、図17(a)中の17B−17B’線に沿っ
た断面図に相当する。
【0134】液晶表示装置200は、配向規制構造を構
成する開口部14aを有する絵素電極14を有するTF
T基板100aと、液晶層30側に突き出た凸部28A
を有する対向基板200bとを有している。なお、配向
規制構造は、ここで例示する構成に限られず、前述した
種々の構成を適宜用いることができる。また、液晶表示
装置200は、一対の基板100aおよび200bを介
して互いに対向し、偏光軸(図17(a)中に矢印PA
で示す。)が互いに略直交するように配置された一対の
偏光板70aおよび70bを備えており、ノーマリブラ
ックモードで表示を行う液晶表示装置である。
【0135】液晶表示装置200の対向基板200bに
設けられている凸部28Aは、絵素電極14の中実部1
4bに対向する領域に設けられており、より具体的に
は、中実部14bに対向する領域の中央付近に設けられ
ている。
【0136】このように配置することによって、液晶層
30に電圧を印加した状態、すなわち、絵素電極14と
対向電極22との間に電圧を印加した状態において、配
向規制構造によって形成される放射状傾斜配向の方向
と、凸部28Aによって形成される放射状傾斜配向の方
向が整合し、放射状傾斜配向が安定化する。この様子を
図18(a)〜(c)に模式的に示している。図18
(a)は電圧無印加時を示し、図18(b)は電圧印加
後に配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を示し、
図18(c)は電圧印加中の定常状態を模式的に示して
いる。
【0137】凸部28Aによる配向規制力は、図18
(a)に示したように、電圧無印加状態においても、近
傍の液晶分子30aに作用し、放射状傾斜配向を形成す
る。
【0138】電圧を印加し始めると、図18(b)に示
したような等電位線EQで示される電界が発生し(配向
規制構造による)、開口部14aおよび中実部14bに
対応する領域に液晶分子30aが放射状傾斜配向した液
晶ドメインが形成され、図18(c)に示したような定
常状態に達する。このとき、中実部14bに対応する領
域に形成される液晶ドメイン内の液晶分子30aの傾斜
方向は、対応する領域に設けられた凸部28Aの配向規
制力による液晶分子30aの傾斜方向と一致する。
【0139】定常状態にある液晶表示装置200に応力
が印加されると、液晶層30の放射状傾斜配向は一旦崩
れるが、応力が取り除かれると、配向規制構造および凸
部28Aによる配向規制力が液晶分子30aに作用して
いるので、放射状傾斜配向状態に復帰する。従って、応
力による残像の発生が抑制される。
【0140】凸部28Aによる配向規制力は、配向規制
構造によって形成される放射状傾斜配向の安定化および
中心軸位置を固定する効果を有せばいいので、それほど
強い配向規制力は必要ない。例えば、直径が約30μm
〜約50μmの単位中実部14b’に対して、それぞれ
直径が約15μmで高さ(厚さ)が約1μmの凸部28
Aを形成すれば、十分な配向規制力が得られる。
【0141】また、液晶表示装置200が備える凸部2
8Aの断面形状(対向基板200bの基板面に沿った断
面形状)は、図15(b)および図17(a)に示した
ように、一対の偏光板70aおよび70bの一方の偏光
軸に対して略平行な辺および略垂直な辺のみで実質的に
構成された形状である。つまり、凸部28Aの断面形状
を構成する辺は、偏光板70aおよび70bの偏光軸に
略平行であるか、または略直交している。従って、電圧
無印加時に凸部28Aの配向規制力を受けて放射状傾斜
配向する液晶分子30aは、図17(a)に示したよう
に、偏光板70aおよび70bの偏光軸に対して略平行
または略垂直な方位角方向に配向する。そのため、凸部
28A近傍の液晶分子(凸部の側面による配向規制力に
より基板面法線に対して傾斜する液晶分子)30aは、
液晶層30に入射する光に対してほとんど位相差を与え
ない。そのため、黒表示時の光漏れの発生が抑制され、
その結果、コントラスト比の高い表示が実現される。
【0142】比較例として、断面形状が略円形である凸
部1028を備えた液晶表示装置1000における、凸
部1028近傍の液晶分子30aの配向の様子を図19
に示す。液晶表示装置1000においても、凸部102
8の近傍の液晶分子30aは、凸部1028の側面に垂
直に配向し、基板面法線方向に対して傾斜して配向して
いるが、凸部1028の断面形状が略円形であるため、
この傾斜配向する液晶分子30aは、図19に示したよ
うに全方位角方向に対して同等の確率で配向する。従っ
て、偏光板の偏光軸に対して傾斜した方位角方向に配向
している液晶分子30aの存在確率が比較的高く、この
ような液晶分子30aは、液晶層30を通過する光に対
して位相差を与えるので、図19中に楕円で囲んだ領域
LLにおいて光漏れが発生し、そのため、コントラスト
比が低下してしまう。凸部1028の外周を小さくする
ことによって、凸部1028の配向規制力により放射状
傾斜配向する液晶分子30aの存在確率を低くし、その
ことによって光漏れを抑制することもできるが、その場
合には、当然ながら、配向規制力を発現する凸部102
8の側面の面積が小さくなるので、液晶ドメインに対す
る配向規制力が低下し、放射状傾斜配向の中心固定効果
が低下してしまう。
【0143】これに対して、本発明の液晶表示装置20
0においては、図20に示すように、電圧無印加時に放
射状傾斜配向する液晶分子30aのうち、偏光板70a
および70bの偏光軸にほぼ平行またはほぼ垂直な方位
角方向に配向する液晶分子30aの割合が高い。図20
に示したように、凸部28Aの角部近傍(図20中の楕
円で囲まれた領域)においては偏光軸に対して傾斜した
液晶分子30aが存在することもあるが、その存在確率
は、凸部の断面形状が略円形である場合に比べて遙かに
小さく、光漏れの程度は遙かに軽微である。そのため、
本発明によると、凸部による配向規制効果を低下させる
ことなく、高コントラスト比の表示を行うことができ
る。つまり、高い耐応力性と、高い表示品位を有する液
晶表示装置が提供される。
【0144】上述したように、本発明による液晶表示装
置200においては、凸部28Aの断面形状が、一対の
偏光板70aおよび70bの一方の偏光軸に対して略平
行な辺および略直交する辺のみで実質的に構成された形
状であるので、コントラスト比の低下が抑制・防止さ
れ、そのため、高品位の表示を行うことができる。
【0145】凸部の断面形状は、偏光軸に略平行な辺お
よび略直交する辺のみで実質的に構成された形状であれ
ばよく、図15(b)に示した略正方形や、略長方形な
どの略矩形としてもよいし、略十字型としてもよい。ま
た、凸部の断面形状は、視野角依存性を低減する観点か
らは、高い回転対称性を有することが好ましく、このよ
うな観点からは略長方形よりも略正方形の方が好まし
い。
【0146】なお、製造プロセスの制約上、図15
(b)などに示したように、凸部の角部が丸く形成され
てしまい、凸部の断面形状が厳密には偏光軸に略平行な
辺および略直交する辺のみでは構成されないこともある
が、偏光軸に略平行な辺および略直交する辺のみで実質
的に構成されていれば、十分高品位の表示を行うことが
できる。例えば、断面形状を構成する辺の長さの合計
(外周)に対して、偏光軸に略平行な辺および略直交す
る辺の長さが占める割合が50%以上であれば、偏光軸
に略平行な辺および略直交する辺のみで実質的に構成さ
れているといえる。
【0147】図21(a)および(b)に、配向規制構
造および凸部を備える他の液晶表示装置200Aを示
す。図21(a)は、基板法線方向から見た上面図であ
り、図21(b)は図21(a)中の21B−21B’
線に沿った断面図に相当する。液晶表示装置200A
は、スペーサとしても機能する凸部28Cを備えている
点において液晶表示装置200と異なる。
【0148】図21(a)および(b)に示したよう
に、液晶表示装置200Aにおいては、凸部28Cは、
TFT基板100aと対向基板300bとの間にこれら
の間隔を保持するように(つまりTFT基板100aお
よび対向基板300bの両方に接するように)設けられ
ており、液晶層30の厚さを規定するスペーサとしても
機能する。
【0149】液晶表示装置200Aにおいても、図22
(a)〜(c)に模式的に示すように、液晶層30に電
圧を印加した状態、すなわち、絵素電極14と対向電極
22との間に電圧を印加した状態において、配向規制構
造によって形成される放射状傾斜配向の方向と、凸部2
8Cによって形成される放射状傾斜配向の方向が整合す
るので、放射状傾斜配向が安定化する。
【0150】また、液晶表示装置200Aは、絵素電極
14の中実部14b’に対向する領域の中央付近に設け
られた凸部28Cによって液晶層30の厚さが規定され
ている。従って、このような構成を採用すると、液晶層
30の厚さを規定するスペーサを別途に設ける必要がな
く、製造プロセスを簡略化することができる利点があ
る。
【0151】ここでは、凸部28Cは、図21(a)お
よび(b)に示したように略正四角錐台状であり、凸部
28Cの断面形状は、略正方形である。さらに、凸部2
8Cは、略正方形の断面形状を構成する辺が、クロスニ
コル状態に配置された一対の偏光板の偏光軸(図21
(a)中に矢印PAで示している。)に略平行または略
垂直になるように配置されている。すなわち、凸部28
Cの断面形状は、偏光板の偏光軸に略平行な辺および略
直交する辺のみで実質的に構成された形状である。従っ
て、液晶表示装置200Aにおいても、黒表示時の光漏
れの発生が抑制され、その結果、コントラスト比の低下
が抑制・防止される。
【0152】上述した光漏れを抑制する効果は、図17
(b)などに示したように凸部28Aの高さが低く、凸
部28Aがスペーサとしては機能しない構成においてよ
りも、図21(b)に示したように凸部28Cの高さが
高く、凸部28Cがスペーサとしても機能する構成にお
いての方が高い。つまり、本発明は、凸部がスペーサと
しても機能する構成において特に好適に用いられる。凸
部の高さが高いと、配向規制力を発現する側面の面積も
大きいので、凸部の配向規制力を受けて電圧無印加時に
放射状傾斜配向する液晶分子の存在確率も高いからであ
る。勿論、凸部の外周を小さくすることによっても、放
射状傾斜配向する液晶分子の存在確率を低くすることは
できるが、その場合には、液晶ドメインに対する配向規
制力が低下するので、放射状傾斜配向の中心固定効果が
低下してしまう。また、スペーサとして機能するには凸
部は所定の高さに形成されている必要があり、外周が小
さな凸部は、外周が大きな凸部に比べて、所定の高さに
形成する場合にプロセス上の困難さを伴うことが多い。
【0153】本願発明者は、図21(a)および(b)
に示したように略正四角錐台状の凸部28Cを備えた液
晶表示装置200Aと、図23(a)および(b)に示
すように略円錐台状の凸部1128を備えた比較例とし
ての液晶表示装置1100を実際に試作して検討した。
その結果、比較例の液晶表示装置1100のコントラス
ト比が約300であったのに対して、本発明による液晶
表示装置200Aのコントラスト比は約450であり、
コントラスト比が大幅に向上していることが確認され
た。
【0154】図21(b)に示したようなスペーサとし
ても機能する凸部28Cの側面28sは、基板21の基
板面に対して90°未満のテーパ角θで傾斜しているこ
とが好ましい。側面28sが基板面に対して90°未満
の角度で傾斜していると、凸部28Cの側面28sは、
液晶層30の液晶分子30aに対して、斜め電界による
配向規制方向と同じ方向の配向規制力を有することにな
り、放射状傾斜配向を安定させるように作用する。勿
論、側面28sが基板面に対して90°以上の角度で傾
斜していてもよいが、放射状傾斜配向を安定化させる観
点からは、側面28sのテーパ角θが90°を大きく超
えないことが好ましく、90°未満であることがさらに
好ましい。テーパ角θが90°を超える場合であって
も、90°に近ければ(90°を大きく超えなけれ
ば)、凸部28Cの傾斜側面28s近傍の液晶分子30
aは、基板面に対してほぼ水平な方向に傾斜しているの
で、若干の捩れを発生させるだけで、エッジ部の液晶分
子30aの傾斜方向と整合をとりながら放射状傾斜配向
する。ただし、図24に示す凸部28Dのように、側面
28sが90°を大きく超えて傾斜していると、側面2
8sは、液晶層30の液晶分子30aに対して、斜め電
界による配向規制方向と逆方向の配向規制力を有するこ
とになるので、放射状傾斜配向が不安定となることがあ
る。
【0155】また、スペーサとして機能する凸部の側面
は、図25に示すように曲面であってもよい。図25に
示した凸部28Eにおいては、側面28sの基板面に対
するテーパ角が液晶層30の厚さ方向に沿って変化する
が、液晶層30の厚さ方向のどこの位置においても側面
28sの傾斜角は90°未満であるため、このような凸
部28Eも放射状傾斜配向を安定させる凸部として好適
に用いることができる。
【0156】なお、上述したように上下の基板(TFT
基板および対向基板)に接し、液晶層30の厚さを規定
するスペーサとしても機能する凸部は、液晶表示装置の
製造プロセスにおいては、上下のいずれの基板に形成さ
れてもよい。いずれの基板に形成されていても、上下の
基板が貼り合わされると、凸部は両方の基板に接し、ス
ペーサとして機能するとともに、液晶ドメインの放射状
傾斜配向を安定化させる。
【0157】上述の説明では、図19および図23に示
した液晶表示装置1000および1100において光漏
れが発生してコントラスト比が低下することを述べた
が、本願発明者が凸部の断面形状と表示品位との関係に
ついて詳細な検討を行ったところ、凸部の断面形状が略
円形であると、以下の2つの問題も発生することがわか
った。
【0158】1つは、正面方向(表示面法線方向)から
観察したときの階調輝度特性と斜め方向(表示面法線か
ら傾斜した方向)から観察したときの階調輝度特性との
差が大きく、違和感のある表示となってしまうという問
題である。
【0159】この問題は、以下の理由によって発生す
る。凸部の断面形状が略円形であると、液晶ドメイン内
の液晶分子の配向方位の指向性が低く、液晶ドメイン内
の液晶分子は、電圧印加時には全ての方位角方向に沿っ
てほぼ等しい確率で傾斜配向する。そのため、液晶ドメ
イン内の液晶分子のうち、特定の方位に配向する液晶分
子が、斜め方向から観察したときの表示特性に悪影響を
与える。例えば、一対の偏光板のうちの一方の偏光軸に
沿って視角を倒したとき、この偏光軸に沿った方位に配
向する液晶分子は表示に寄与しないものの、他方の偏光
軸に沿った方位に配向する液晶分子は斜め方向から観察
したときの表示特性に影響を与える。具体的には、一方
の偏光軸に沿って視角を倒したとき、他方の偏光軸に沿
った方位に配向する液晶分子は、中間調表示に対応した
電圧で透過率が最大となるような電圧−透過率特性を示
す。そのため、斜め方向から観察したときの階調輝度特
性は、中間調での階調つぶれや白階調での階調反転を示
す。
【0160】また、もう1つは、凸部の断面形状が略円
形であると、十分に速い応答速度が得られないために、
電圧印加直後の透過率の過渡的な増大が残像として視認
されるという問題である。
【0161】この問題は、以下の理由によって発生す
る。液晶層を構成する液晶材料にカイラル剤が添加され
ている場合、液晶層の液晶分子は、電圧が印加された直
後には図5(a)に示したような単純な放射状傾斜配向
をとるが、配向安定時(定常状態)においては、図5
(b)および(c)に示したような渦巻き状の放射状傾
斜配向をとる。この配向状態の変化に伴って、消光領域
(偏光板の偏光軸に沿って液晶分子が配向しているため
に位相差を与えない領域)の面積が典型的には増加する
ので、電圧印加直後に比べて、定常状態においては透過
率が低くなる。つまり、電圧印加直後に過渡的に透過率
が高くなる。このように過渡的に透過率が極大値を有す
るので、応答速度が十分に速くない場合には残像が視認
されてしまう。
【0162】上述した2つの問題の発生は、凸部の断面
形状(基板面に沿った断面形状)を略十字形とすること
によって抑制・防止される。
【0163】図26に、断面形状が略十字形の凸部28
Fを備えた液晶表示装置300を示す。図26に示した
ように、液晶表示装置300は、対向基板上に断面形状
が略十字形の凸部28Fを有している。凸部28Fは、
絵素電極14が有する複数の単位中実部14b’のそれ
ぞれに対応して設けられており、互いに略直交する2つ
の方向に沿って延びる略十字形の断面形状を有してい
る。十字の延びる方向は、偏光板の偏光軸(図26中に
矢印PAで示している。)と一致しており、凸部28F
の断面形状は、偏光板の偏光軸に略平行な辺および略直
交する辺のみで構成された形状である。
【0164】液晶表示装置300においても、凸部28
Fの断面形状が偏光軸に略平行な辺および略直交する辺
のみで構成されているので、液晶表示装置200と同様
に、黒表示時の光漏れの発生が抑制され、コントラスト
比の低下が抑制・防止される。
【0165】さらに、液晶表示装置300では、凸部2
8Fの断面形状が略十字形であるので、液晶分子の配向
方位に指向性をもたせることができる。すなわち、全て
の方位角方向のそれぞれに沿って配向する液晶分子の存
在確率に指向性をもたせることができる。具体的には、
凸部28Fの断面形状が略十字形であると、電圧印加時
には、十字の延びる方向(偏光軸と一致)に対して45
°傾斜した方向に配向する液晶分子の存在確率が高く、
十字の延びる方向に沿って配向する液晶分子の存在確率
が低い。言い換えると、配向指向性を偏光軸に対して4
5°傾斜した方向に偏らせている。そのため、斜め方向
の表示特性に悪影響を与える、特定の方位に配向する液
晶分子(例えば偏光軸に沿って配向する液晶分子)の存
在確率を低くすることができ、そのことによって、正面
方向と斜め方向との階調輝度特性の差を少なくし、違和
感のない自然な表示を実現することができる。
【0166】この効果を検証するために、図27
(a)、(b)、(c)および(d)に示す凸部と単位
中実部との組み合わせについて、視野角特性を評価し
た。図27(a)は、略円形の凸部1028と略円形の
単位中実部14b’との組み合わせを示し、図27
(b)は、略円形の凸部1028と樽形(角部が円弧状
の略正方形)の単位中実部14b’との組み合わせを示
す。また、図27(c)は、略十字形の凸部28Fと略
円形の単位中実部14b’との組み合わせを示し、図2
7(d)は、略十字形の凸部28Fと樽形の単位中実部
14b’との組み合わせを示す。なお、図中では、単位
中実部14b’の相互に接続する役割を果たしている部
分(四方に延びる枝部)を省略している。
【0167】図27(a)、(b)、(c)および
(d)に示した組み合わせについての視野角特性の評価
結果を図28、図29、図30および図31にそれぞれ
示す。図28、図29、図30および図31は、横軸に
最大階調電圧(ここでは6.4V)で規格化した印加電
圧(V/Vmaxと表記する)を示し、縦軸に最大階調
電圧での透過率で規格化した各視角方向の輝度(L/L
(Vmax)と表記する。)を示すグラフである。図
中、上、右上、右、右下、下、左下、左、左上で示す視
角方向は、極角(正面方向からの傾斜角度)が60°で
あり、方位角(表示面を時計の文字盤に見立てたときに
12時方向を0度として定義される表示面内の角度)が
それぞれ0°、45°、90°、135°、180°、
225°、270°、315°である。これらのグラフ
においては、各視角方向の階調輝度特性が、直線であら
わされる正面方向の階調輝度特性に近いほど、より違和
感の少ない表示が得られるといえる。
【0168】図27(a)および(b)に示したように
略円形の凸部1028を用いた場合には、図28および
図29に示したように、正面から観察したときの階調輝
度特性と、斜め方向から観察したときの階調輝度特性と
の差が大きく、斜め方向の階調輝度特性において中間調
での階調つぶれや白階調での階調反転がみられる。
【0169】これに対して、図27(c)および(d)
に示したように略十字形の凸部28Fを用いた場合に
は、図30および図31に示したように、正面から観察
したときの階調輝度特性と、斜め方向から観察したとき
の階調輝度特性との差が小さく、斜め方向の階調輝度特
性において中間調での階調つぶれや白階調での階調反転
が抑制されている。従って、違和感のない表示が実現さ
れる。
【0170】参考までに、図28、図29、図30およ
び図31に示した視野角特性の評価結果を、より一般的
な電圧−輝度特性を示すグラフとして図32、図33、
図34および図35に示す。図32、図33、図34お
よび図35は、横軸に印加電圧(V)を示し、縦軸に最
大階調電圧での透過率で規格化した各視角方向の輝度
(L/L(Vmax))を示すグラフである。
【0171】図32および図33と、図34および図3
5とを比較すると、凸部の断面形状を略十字形とするこ
とで、斜め方向から観察したときの表示特性と正面方向
から観察したときの表示特性との差が小さくなってお
り、そのことによって違和感のない表示が得られている
ことがわかる。
【0172】また、断面形状が略十字形の凸部28F
は、断面形状が略円形で同程度の面積を占める凸部に比
べ、液晶分子に対して配向規制力を及ぼす傾斜側面の面
積が大きく、また、液晶ドメイン内のより広範な範囲に
亘って配向規制力を及ぼすことができる。従って、液晶
分子に対してより大きな配向規制力を効果的に及ぼすこ
とができる。そのため、断面形状が略十字形の凸部28
Fを備えた液晶表示装置300においては、電圧を印加
した際の応答速度が向上し、液晶層30の液晶分子30
aはより短い時間で定常状態に達する。その結果、残像
の発生が抑制された表示が実現される。
【0173】図27(a)に示した略円形の凸部102
8および略円形の単位中実部14b’の組み合わせと、
図27(c)に示した略十字形の凸部28Fおよび略円
形の単位中実部14b’の組み合わせについての応答速
度特性を図36に示す。また、図27(b)に示した略
円形の凸部1028および樽形の単位中実部14b’の
組み合わせと、図27(d)に示した略十字形の凸部2
8Fおよび樽形の単位中実部14b’の組み合わせにつ
いての応答速度特性を図37に示す。図36および図3
7は、横軸に電圧印加後の時間(ms)を示し、縦軸に
配向安定時の透過輝度にたいする輝度比(%)を示すグ
ラフである。
【0174】凸部の断面形状が略円形である場合には、
図36および図37中に○を付した実線で示したよう
に、電圧印加後に過渡的に透過率が高くなり、残像が発
生する。これに対して、凸部の断面形状が略十字形であ
る場合には、図36および図37中に+を付した実線で
示したように、透過率が過渡的に極大値を持つことがな
く、残像が発生しない。
【0175】上述したように、凸部の断面形状を略十字
形とすることによって、違和感がなく、かつ、残像の発
生が抑制された高品位の表示が実現される。
【0176】なお、ここまでは、凸部として、偏光軸に
略平行な辺および略直交する辺のみから実質的に構成さ
れた断面形状の凸部のみを備える構成を示したが、この
ような断面形状の凸部と、断面形状がこのような形状で
はない凸部とが同一基板上に混在する構成としてもよ
い。例えば、表示に悪影響を与える不要な電界が発生し
やすい領域(バスライン近傍など)に、配向規制力を向
上する観点から断面形状が略十字形の凸部を設け、他の
領域には断面形状が略円形の凸部を設けてもよい。勿
論、断面形状が略矩形の凸部と、断面形状が略円形の凸
部とが混在する構成としてもよい。
【0177】(他の実施形態)以下、配向規制構造の改
変例について説明する。これまでの説明にそって、配向
規制構造がTFT基板に設けられ、凸部が対向基板に設
けられている場合について説明するが、説明の簡単さの
ために、対向基板に設けられている凸部の図示および説
明を省略する。また、一対の基板の外側に設けられる一
対の偏光板についても図示を省略する。
【0178】図38(a)および(b)を参照しなが
ら、本発明による配向規制構造を備える他の液晶表示装
置400の1つの絵素領域の構造を説明する。また、以
下の図面においては、液晶表示装置100の構成要素と
実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号で示
し、その説明を省略する。図38(a)は基板法線方向
から見た上面図であり、図38(b)は図38(a)中
の38B−38B’線に沿った断面図に相当する。図3
8(b)は、液晶層に電圧を印加していない状態を示し
ている。
【0179】図38(a)および(b)に示したよう
に、液晶表示装置400は、TFT基板400aが、絵
素電極14の開口部14aの内側に凸部40を有する点
において、図1(a)および(b)に示した液晶表示装
置100と異なっている。凸部40の表面には、垂直配
向膜(不図示)が設けられている。
【0180】凸部40の基板11の面内方向の断面形状
は、図38(a)に示したように、開口部14aの形状
と同じであり、ここでは略星形である。但し、隣接する
凸部40は互いに繋がっており、単位中実部14b’を
略円形に完全に包囲するように形成されている。この凸
部40の基板11に垂直な面内方向の断面形状は、図3
8(b)に示したように台形である。すなわち、基板面
に平行な頂面40tと基板面に対してテーパ角θ(<9
0°)で傾斜した側面40sとを有している。凸部40
を覆うように垂直配向膜(不図示)が形成されているの
で、凸部40の側面40sは、液晶層30の液晶分子3
0aに対して、斜め電界による配向規制方向と同じ方向
の配向規制力を有することになり、放射状傾斜配向を安
定化させるように作用する。
【0181】この凸部40の作用を図39(a)〜
(d)、および図40(a)および(b)を参照しなが
ら説明する。
【0182】まず、図39(a)〜(d)を参照しなが
ら、液晶分子30aの配向と垂直配向性を有する表面の
形状との関係を説明する。
【0183】図39(a)に示したように、水平な表面
上の液晶分子30aは、垂直配向性を有する表面(典型
的には、垂直配向膜の表面)の配向規制力によって、表
面に対して垂直に配向する。このように垂直配向状態に
ある液晶分子30aに液晶分子30aの軸方位に対して
垂直な等電位線EQで表される電界が印加されると、液
晶分子30aには時計回りまたは反時計回り方向に傾斜
させるトルクが等しい確率で作用する。従って、互いに
対向する平行平板型配置の電極間にある液晶層30内に
は、時計回り方向のトルクを受ける液晶分子30aと、
反時計回りに方向のトルクを受ける液晶分子30aとが
混在する。その結果、液晶層30に印加された電圧に応
じた配向状態への変化がスムーズに起こらないことがあ
る。
【0184】図39(b)に示したように、傾斜した表
面に対して垂直に配向している液晶分子30aに対し
て、水平な等電位線EQで表される電界が印加される
と、液晶分子30aは、等電位線EQと平行になるため
の傾斜量が少ない方向(図示の例では時計回り)に傾斜
する。また、水平な表面に対して垂直に配向している液
晶分子30aは、図39(c)に示したように、傾斜し
た表面に対して垂直に配向している液晶分子30aと配
向が連続となるように(整合するように)、傾斜した表
面上に位置する液晶分子30aと同じ方向(時計回り)
に傾斜する。
【0185】図39(d)に示したように、断面が台形
の連続した凹凸状の表面に対しては、それぞれの傾斜し
た表面上の液晶分子30aによって規制される配向方向
と整合するように、頂面および底面上の液晶分子30a
が配向する。
【0186】液晶表示装置400は、このような表面の
形状(凸部)による配向規制力の方向と、斜め電界によ
る配向規制方向とを一致させることによって、放射状傾
斜配向を安定化させる。
【0187】図40(a)および(b)は、それぞれ図
38(b)に示した液晶層30に電圧を印加した状態を
示しており、図40(a)は、液晶層30に印加された
電圧に応じて、液晶分子30aの配向が変化し始めた状
態(ON初期状態)を模式的に示しており、図40
(b)は、印加された電圧に応じて変化した液晶分子3
0aの配向が定常状態に達した状態を模式的に示してい
る。図40(a)および(b)中の曲線EQは等電位線
EQを示す。
【0188】絵素電極14と対向電極22とが同電位の
とき(液晶層30に電圧が印加されていない状態)に
は、図38(b)に示したように、絵素領域内の液晶分
子30aは、両基板11および21の表面に対して垂直
に配向している。このとき、凸部40の側面40sの垂
直配向膜(不図示)に接する液晶分子30aは、側面4
0sに対して垂直に配向し、側面40sの近傍の液晶分
子30aは、周辺の液晶分子30aとの相互作用(弾性
体として性質)によって、図示したように、傾斜した配
向をとる。
【0189】液晶層30に電圧を印加すると、図40
(a)に示した等電位線EQで表される電位勾配が形成
される。この等電位線EQは、絵素電極14の中実部1
4bと対向電極22との間に位置する液晶層30内で
は、中実部14bおよび対向電極22の表面に対して平
行であり、絵素電極14の開口部14aに対応する領域
で落ち込み、開口部14aのエッジ部(開口部14aの
境界(外延)を含む開口部14aの内側周辺)EG上の
液晶層30内には、傾斜した等電位線EQで表される斜
め電界が形成される。
【0190】この斜め電界によって、上述したように、
エッジ部EG上の液晶分子30aは、図40(a)中に
矢印で示したように、図中の右側エッジ部EGでは時計
回り方向に、図中の左側エッジ部EGでは反時計回り方
向に、それぞれ傾斜(回転)し、等電位線EQに平行に
配向する。この斜め電界による配向規制方向は、それぞ
れのエッジ部EGに位置する側面40sによる配向規制
方向と同じである。
【0191】上述したように、傾斜した等電位線EQ上
に位置する液晶分子30aから始まる配向の変化が進
み、定常状態に達すると、図40(b)に模式的に示し
た配向状態となる。開口部14aの中央付近、すなわ
ち、凸部40の頂面40tの中央付近に位置する液晶分
子30aは、開口部14aの互いに対向する両側のエッ
ジ部EGの液晶分子30aの配向の影響をほぼ同等に受
けるので、等電位線EQに対して垂直な配向状態を保
ち、開口部14a(凸部40の頂面40t)の中央から
離れた領域の液晶分子30aは、それぞれ近い方のエッ
ジ部EGの液晶分子30aの配向の影響を受けて傾斜
し、開口部14a(凸部40の頂面40t)の中心SA
に関して対称な傾斜配向を形成する。また、開口部14
aおよび凸部40によって実質的に包囲された単位中実
部14b’に対応する領域においても、単位中実部14
b’の中心SAに関して対称な傾斜配向を形成する。
【0192】このように、液晶表示装置400において
も、液晶表示装置100と同様に、放射状傾斜配向を有
する液晶ドメインが開口部14aおよび単位中実部14
b’に対応して形成される。凸部40は単位中実部14
b’を略円形に完全に包囲するように形成されているの
で、液晶ドメインは凸部40で包囲された略円形の領域
に対応して形成される。さらに、開口部14aの内側に
設けられた凸部40の側面は、開口部14aのエッジ部
EG付近の液晶分子30aを、斜め電界による配向方向
と同じ方向に傾斜させるように作用するので、放射状傾
斜配向を安定化させる。
【0193】斜め電界の配向規制力は、当然のことなが
ら、電圧印加時にしか作用せず、その強さは電界の強さ
(印加電圧の大きさ)に依存する。したがって、電界強
度が弱い(すなわち、印加電圧が低い)と、斜め電界に
よる配向規制力は弱く、液晶パネルに応力が加わると、
液晶材料の流動によって放射状傾斜配向が崩れることが
ある。一旦、放射状傾斜配向が崩れると、十分に強い配
向規制力を発揮する斜め電界を生成するだけの電圧が印
加されないと、放射状傾斜配向は復元されない。これに
対し、凸部40の側面40sによる配向規制力は、印加
電圧に関係なく作用し、配向膜のアンカリング効果とし
て知られているように、非常に強い。従って、液晶材料
の流動が生じて、一旦放射状傾斜配向が崩れても、凸部
40の側面40sの近傍の液晶分子30aは放射状傾斜
配向のときと同じ配向方向を維持している。従って、液
晶材料の流動が止まりさえすれば、放射状傾斜配向が容
易に復元される。
【0194】この様に、液晶表示装置400は、応力に
対して強いという特徴を有している。従って、液晶表示
装置400は、応力が印加されやすい、携帯して使用さ
れる機会の多いPCやPDAに好適に用いられる。
【0195】なお、凸部40を透明性の高い誘電体を用
いて形成すると、開口部14aに対応して形成される液
晶ドメインの表示への寄与率が向上するという利点が得
られる。一方、凸部40を不透明な誘電体を用いて形成
すると、凸部40の側面340sによって傾斜配向して
いる液晶分子30aのリタデーションに起因する光漏れ
を防止できるという利点が得られる。いずれを採用する
かは、液晶表示装置の用途などに応じて決めればよい。
いずれの場合にも、感光性樹脂を用いると、開口部14
aに対応してパターニングする工程を簡略化できる利点
がある。
【0196】また、ここでは断面形状が略星形の凸部4
0を例示したが、凸部40の断面形状は勿論これに限定
されない。凸部40の断面形状(TFT基板100の基
板面に沿った断面形状)が、偏光板の偏光軸に対して略
平行な辺および略直交する辺のみで実質的に構成された
形状であると、対向基板側の凸部28Aなどについて図
19および図20を参照しながら説明したのと同様に、
光漏れの発生が抑制・防止されるので、コントラスト比
の低下が抑制・防止され、高品位の表示を行うことがで
きる。
【0197】上述したように、液晶表示装置400は、
絵素電極14の開口部14aの内側に凸部40を有し、
凸部40の側面40sは、液晶層30の液晶分子30a
に対して、斜め電界による配向規制方向と同じ方向の配
向規制力を有する。側面40sが斜め電界による配向規
制方向と同じ方向の配向規制力を有するための好ましい
条件を図41(a)〜(c)を参照しながら説明する。
【0198】図41(a)〜(c)は、それぞれ液晶表
示装置400A、400Bおよび400Cの断面図を模
式的に示し、図40(a)に対応する。液晶表示装置4
00A、400Bおよび400Cは、いずれも開口部4
0の内側に凸部を有するが、1つの構造体としての凸部
40全体と開口部40との配置関係が液晶表示装置40
0と異なっている。
【0199】上述した液晶表示装置400においては、
図40(a)に示したように、構造体としての凸部40
の全体が開口部40aの内側に形成されており、且つ、
凸部40の底面は開口部40aよりも小さい。図41
(a)に示した液晶表示装置400Aにおいては、凸部
40Aの底面は開口部14aと一致しており、図41
(b)に示した液晶表示装置400Bにおいては、凸部
40Bは開口部14aよりも大きい底面を有し、開口部
14aの周辺の中実部(導電膜)14bを覆うように形
成されている。これらの凸部40、40Aおよび40B
のいずれの側面40s上にも中実部14bが形成されて
いない。その結果、それぞれの図に示したように、等電
位線EQは、中実部14b上ではほぼ平坦で、そのまま
開口部14aで落ち込む。従って、液晶表示装置400
Aおよび400Bの凸部40Aおよび40Bの側面40
sは、上述した液晶表示装置400の凸部40と同様
に、斜め電界による配向規制力と同じ方向の配向規制力
を発揮し、放射状傾斜配向を安定化する。
【0200】これに対し、図41(c)に示した液晶表
示装置400Cの凸部40Cの底面は開口部14aより
も大きく、開口部14aの周辺の中実部14bは凸部4
0Cの側面40s上に形成されている。この側面40s
上に形成された中実部14bの影響で、等電位線EQに
山が形成される。等電位線EQの山は、開口部14aで
落ち込む等電位線EQと反対の傾きを有しており、これ
は、液晶分子30aを放射状傾斜配向させる斜め電界と
は逆向きの斜め電界を生成していることを示している。
従って、側面40sが斜め電界による配向規制方向と同
じ方向の配向規制力を有するためには、側面40s上に
中実部(導電膜)14bが形成されていないことが好ま
しい。
【0201】次に、図42を参照しながら、図38
(a)に示した凸部40の42A−42A’線に沿った
断面構造を説明する。
【0202】上述したように、図38(a)に示した凸
部40は、単位中実部14b’を略円形に完全に包囲す
るように形成されているので、隣接する単位中実部14
b’の相互に接続する役割を果たしている部分(円形部
から四方に延びる枝部)は、図42に示したように、凸
部40上に形成される。従って、絵素電極14の中実部
14bを形成する導電膜を堆積する工程において、凸部
40上で断線が生じたり、あるいは、製造プロセスの後
工程で剥離が生じる危険性が高い。
【0203】そこで、図43(a)および(b)に示す
液晶表示装置400Dのように、開口部14a内に、そ
れぞれ独立した凸部40Dが完全に含まれるように形成
すると、中実部14bを形成する導電膜は、基板11の
平坦な表面に形成されるので断線や剥離が起こる危険性
が無くなる。なお、凸部40Dは、単位中実部14b’
を略円形に完全に包囲するようには形成されていない
が、単位中実部14b’に対応した略円形の液晶ドメイ
ンが形成され、先の例と同様に、その放射状傾斜配向は
安定化される。
【0204】開口部14a内に凸部40を形成すること
によって、放射状傾斜配向を安定化させる効果は、例示
したパターンの開口部14aに限られず、先に説明した
全てのパターンの開口部14aに対して同様に適用で
き、同様の効果を得ることができる。なお、凸部40に
よる応力に対する配向安定化効果を十分に発揮させるた
めには、凸部40のパターン(基板法線方向から見たと
きにパターン)は、できるだけ広い領域の液晶層30を
包囲する形状であることが好ましい。従って、例えば、
円形の開口部14aを有するネガ型パターンよりも、円
形の単位中実部14b’を有するポジ型パターンの方
が、凸部40による配向安定化効果が大きい。
【0205】対向基板側の凸部を設けずに、凸部40に
よって、液晶パネルに応力が印加されても応力による残
像が視認されない程度に十分な配向規制力を得るために
は、凸部40の高さは、液晶層30の厚さが約3μmの
場合、約0.5μm〜約2μmの範囲にあることが好ま
しい。一般に、凸部40の高さは、液晶層30の厚さの
約1/6〜約2/3の範囲内にあることが好ましい。し
かしながら、凸部40の側面の配向規制力によって配向
が規制される液晶分子は電圧に対して応答し難い(電圧
によるリタデーションの変化が小さい)ので、表示のコ
ントラスト比を低下させる要因となる。従って、凸部4
0の大きさ、高さや数は、表示品位を低下させないよう
に設定することが好ましい。
【0206】上述した一対の電極のうちの一方に開口部
を設けた電極構造では、開口部に対応する領域の液晶層
に十分な電圧が印加されず、十分なリタデーション変化
が得られないために、光の利用効率が低下するという問
題が発生することがある。そこで、開口部を設けた電極
(上層電極)の液晶層とは反対側に誘電体層を設け、こ
の誘電体層を介して電極の開口部の少なくとも一部に対
向するさらなる電極(下層電極)を設ける(2層構造電
極)ことによって、開口部に対応する液晶層に十分な電
圧を印加することができ、光の利用効率や応答特性を向
上することができる。
【0207】図44に、下層電極12と、上層電極14
と、これらの間に設けられた誘電体層13とを有する絵
素電極(2層構造電極)15を備える液晶表示装置50
0の一絵素領域の断面構造を模式的に示す。絵素電極1
5の上層電極14は、上述した絵素電極14と実質的に
等価で、上述した種々の形状、配置の開口部および中実
部を有する。以下では、2層構造を有する絵素電極15
の機能を説明する。
【0208】液晶表示装置500の絵素電極15は、複
数の開口部14a(14a1および14a2を含む)を
有する。図44(a)は、電圧が印加されていない液晶
層30内の液晶分子30aの配向状態(OFF状態)を
模式的に示している。図44(b)は、液晶層30に印
加された電圧に応じて、液晶分子30aの配向が変化し
始めた状態(ON初期状態)を模式的に示している。図
44(c)は、印加された電圧に応じて変化した液晶分
子30aの配向が定常状態に達した状態を模式的に示し
ている。なお、図44では、開口部14a1および14
a2に誘電体層13を介して対向するように設けられた
下層電極12は、開口部14a1および14a2のそれ
ぞれと重なり、且つ、開口部14a1および14a2と
の間の領域(上層電極14が存在する領域)にも存在す
るように形成された例を示したが、下層電極12の配置
はこれに限られず、開口部14a1および14a2のそ
れぞれに対して、下層電極12の面積=開口部14aの
面積、または、下層電極12の面積<開口部14aの面
積としてもよい。すなわち、下層電極12は、誘電体層
13を介して開口部14aの少なくとも一部と対向する
ように設けられていればよい。但し、下層電極12が開
口部14a内に形成された構成においては、基板11の
法線方向から見た平面内に、下層電極12および上層電
極14のいずれもが存在しない領域(隙間領域)が存在
し、この隙間領域に対向する領域の液晶層30に十分な
電圧が印加されないことがあるので、液晶層30の配向
を安定化するように、この隙間領域の幅を十分に狭くす
ることが好ましく、典型的には、約4μmを越えないこ
とが好ましい。また、誘電体層13を介して上層電極1
4の導電層が存在する領域と対向する位置に形成された
下層電極12は、液晶層30に印加される電界に実質的
に影響しないので、特にパターニングする必要はない
が、パターニングしてもよい。
【0209】図44(a)に示したように、絵素電極1
5と対向電極22が同電位のとき(液晶層30に電圧が
印加されていない状態)には、絵素領域内の液晶分子3
0aは、両基板11および21の表面に対して垂直に配
向している。ここでは、簡単のために、絵素電極15の
上層電極14と下層電極12の電位は互いに等しいとす
る。
【0210】液晶層30に電圧を印加すると、図44
(b)に示した等電位線EQで表される電位勾配が形成
される。絵素電極15の上層電極14と対向電極22と
の間に位置する液晶層30内には、上層電極14および
対向電極22の表面に対して平行な等電位線EQで表さ
れる、均一な電位勾配が形成される。上層電極14の開
口部14a1および14a2の上に位置する液晶層30
には、下層電極12と対向電極22との電位差に応じた
電位勾配が形成される。このとき、液晶層30内に形成
される電位勾配が、誘電体層13による電圧降下の影響
を受けるので、液晶層30内に形成される等電位線EQ
は、開口部14a1および14a2に対応する領域で落
ち込む(等電位線EQに複数の「谷」が形成される)。
誘電体層13を介して開口部14a1および14a2に
対向する領域に下層電極12が形成されているので、開
口部14a1および14a2のそれぞれの中央付近上に
位置する液晶層30内にも、上層電極14および対向電
極22の面に対して平行な等電位線EQで表される電位
勾配が形成される(等電位線EQの「谷の底」)。開口
部14a1および14a2のエッジ部(開口部の境界
(外延)を含む開口部の内側周辺)EG上の液晶層30
内には、傾斜した等電位線EQで表される斜め電界が形
成される。
【0211】図44(b)と図2(a)との比較から明
らかなように、液晶表示装置500は下層電極12を有
するので、開口部14aに対応する領域に形成される液
晶ドメインの液晶分子にも十分な大きさの電界を作用さ
せることができる。
【0212】負の誘電異方性を有する液晶分子30aに
は、液晶分子30aの軸方位を等電位線EQに対して平
行に配向させようとするトルクが作用する。従って、エ
ッジ部EG上の液晶分子30aは、図44(b)中に矢
印で示したように、図中の右側エッジ部EGでは時計回
り方向に、図中の左側エッジ部EGでは反時計回り方向
に、それぞれ傾斜(回転)し、等電位線EQに平行に配
向する。
【0213】図44(b)に示したように、液晶表示装
置500の開口部14a1および14a2のエッジ部E
Gにおいて、液晶分子30aの軸方位に対して傾斜した
等電位線EQで表される電界(斜め電界)が発生する
と、図3(b)に示したように、液晶分子30aは、等
電位線EQと平行になるための傾斜量が少ない方向(図
示の例では反時計回り)に傾斜する。また、液晶分子3
0aの軸方位に対して垂直方向の等電位線EQで表され
る電界が発生する領域に位置する液晶分子30aは、図
3(c)に示したように、傾斜した等電位線EQ上に位
置する液晶分子30aと配向が連続となるように(整合
するように)、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶
分子30aと同じ方向に傾斜する。
【0214】上述したように、傾斜した等電位線EQ上
に位置する液晶分子30aから始まる配向の変化が進
み、定常状態に達すると、図44(c)に模式的に示し
たように、開口部14a1および14a2のそれぞれの
中心SAに関して対称な傾斜配向(放射状傾斜配向)を
形成する。また、隣接する2つの開口部14a1および
14a2との間に位置する上層電極14の領域上の液晶
分子30aも、開口部14a1および14a2のエッジ
部の液晶分子30aと配向が連続となるように(整合す
るように)、傾斜配向する。開口部14a1および14
a2のエッジの中央に位置する部分上の液晶分子30a
は、それぞれのエッジ部の液晶分子30aの影響を同程
度に受けるので、開口部14a1および14a2の中央
部に位置する液晶分子30aと同様に、垂直配向状態を
維持する。その結果、隣接する2つの開口部14a1と
14a2との間に上層電極14上の液晶層も放射状傾斜
配向状態となる。但し、開口部14a1および14a2
内の液晶層の放射状傾斜配向と開口部14a1と14a
2との間の液晶層の放射状傾斜方向とでは、液晶分子の
傾斜方向が異なる。図44(c)に示した、それぞれの
放射状傾斜配向している領域の中央に位置する液晶分子
30a付近の配向に注目すると、開口部14a1およb
14a2内では、対向電極に向かって広がるコーンを形
成するように液晶分子30aが傾斜しているのに対し、
開口部間では、上層電極14に向かって広がるコーンを
形成するように液晶分子30が傾斜している。なお、い
ずれの放射状傾斜配向もエッジ部の液晶分子30aの傾
斜配向と整合するように形成されているので、2つの放
射状傾斜配向は互いに連続している。
【0215】上述したように、液晶層30に電圧を印加
すると、上層電極14に設けた複数の開口部14a1お
よび14a2それぞれのエッジ部EG上の液晶分子30
aから傾斜し始め、その後周辺領域の液晶分子30aが
エッジ部EG上の液晶分子30aの傾斜配向と整合する
ように傾斜することによって、放射状傾斜配向が形成さ
れる。従って、1つの絵素領域内に形成する開口部14
aの数が多いほど、電界に応答して最初に傾斜し始める
液晶分子30aの数が多くなるので、絵素領域全体に亘
って放射状傾斜配向が形成されるのに要する時間が短く
なる。すなわち、絵素領域毎に絵素電極15に形成する
開口部14aの数を増やすことによって、液晶表示装置
の応答速度を改善することができる。また、絵素電極1
5を上層電極14と下層電極12とを有する2層構造電
極とすることによって、開口部14aに対応する領域の
液晶分子にも十分な電界を作用させることができるの
で、液晶表示装置の応答特性が向上する。
【0216】絵素電極15の上層電極14と下層電極1
2との間に設けられた誘電体層13が、上層電極14の
開口部14a内に穴(孔)または凹部を有する構成とし
てもよい。すなわち、2層構造の絵素電極15は、上層
電極14の開口部14a内に位置する誘電体層13の全
部が除去された(穴が形成された)構造または一部が除
去された(凹部が形成された)構造を有してもよい。
【0217】まず、図45を参照しながら、誘電体層1
3に穴が形成された絵素電極14を備える液晶表示装置
600の構造と動作を説明する。以下では、簡単さのた
めに、上層電極14に形成された1つの開口部14aに
対して説明する。
【0218】液晶表示装置600は、絵素電極15の上
層電極14が開口部14aを有するとともに、下層電極
12と上層電極14との間に設けられている誘電体層1
3が、上層電極14が有する開口部14aに対応して形
成された開口部13aを有している開口部13a内に下
層電極12が露出されている。誘電体層13の開口部1
3の側壁は、一般にテーパ状に形成されている。液晶表
示装置600は、誘電体層13が開口部13aを有して
いることを除いて、液晶表示装置500と実質的に同じ
構造を有しており、2層構造の絵素電極15は、実質的
に液晶表示装置500の絵素電極15と同じように作用
し、電圧印加時に液晶層30に放射状傾斜配向状態をと
る液晶ドメインを形成する。
【0219】液晶表示装置600の動作を図45(a)
〜(c)を参照しながら説明する。図45(a)〜
(c)は、液晶表示装置100についての図1(a)〜
(c)にそれぞれ対応する。
【0220】図45(a)に示したように、電圧無印加
時(OFF状態)には、絵素領域内の液晶分子30a
は、両基板11および21の表面に対して垂直に配向し
ている。ここでは、簡単さのために、開口部13aの側
壁による配向規制力は無視して説明する。
【0221】液晶層30に電圧を印加すると、図45
(b)に示した等電位線EQで表される電位勾配が形成
される。等電位線EQが上層電極14の開口部14aに
対応する領域でが落ち込んでいる(「谷」が形成されて
いる。)ことから分かるように、液晶表示装置600の
液晶層30にも図45(b)に示した電位勾配と同様
に、傾斜電界が形成されている。しかしながら、絵素電
極15の誘電体層13が、上層電極14の開口部14a
に対応する領域に開口部13aを有するので、開口部1
4a内(開口部13a内)に対応する領域の液晶層30
に印加される電圧は、下層電極12と対向電極22との
電位差そのものであり、誘電体層13による電圧降下
(容量分割)が発生しない。すなわち、上層電極14と
対向電極22との間に図示した7本の等電位線EQは、
液晶層30全体に亘って7本であり(図44(b)で
は、5本の等電位線EQのうちの1本が誘電体層13中
に侵入しているのに対し)、絵素領域全体に亘って一定
の電圧が印加される。
【0222】このように、誘電体層13に開口部13a
を形成することによって、開口部13aに対応する液晶
層30にも、その他の領域に対応する液晶層30と同じ
電圧を印加することできる。しかしながら、電圧が印加
される液晶層30の厚さが絵素領域内の場所によって異
なるので、電圧印加時のリタデーションの変化が場所に
よって異なり、その程度が著しく大きいと、表示品位が
低下するという問題が発生する。
【0223】図45に示した構成においては、上層電極
(開口部14a以外の中実部)14上の液晶層30の厚
さd1と、開口部14a(および穴13a)内に位置す
る下層電極12上の液晶層30の厚さd2とは、誘電体
層13の厚さ分だけ異なる。厚さd1の液晶層30と厚
さd2の液晶層30とを同じ電圧範囲で駆動すると、液
晶層30の配向変化に伴うリタデーションの変化量は、
それぞれの液晶層30の厚さの影響を受けて互いに異な
る。印加電圧と液晶層30のリタデーション量との関係
が場所によって著しく異なると、表示品位を重視した設
計においては透過率が犠牲になり、透過率を重視すると
白表示の色温度がシフトし表示品位が犠牲になるという
問題が発生する。したがって、液晶表示装置600を透
過型液晶表示装置として用いる場合には、誘電体層13
の厚さは薄い方が良い。
【0224】次に、絵素電極の誘電体層が凹部を有する
液晶表示装置700の一絵素領域の断面構造を図46に
示す。
【0225】液晶表示装置700の絵素電極15を構成
する誘電体層13は、上層電極14の開口部14aに対
応する凹部13bを有している。その他の構造は、図4
5に示した液晶表示装置600と実質的に同じ構造を有
している。
【0226】液晶表示装置700においては、絵素電極
15が有する上層電極14の開口部14a内に位置する
誘電体層13は完全に除去されていないので、開口部1
4a内に位置する液晶層30の厚さd3は、液晶表示装
置700における開口部14a内に位置する液晶層30
の厚さd2よりも、凹部13b内の誘電体層13の厚さ
分だけ薄い。また、開口部14a内に位置する液晶層3
0に印加される電圧は、凹部13b内の誘電体層13に
よる電圧降下(容量分割)を受けるので、上層電極(開
口部14aを除く領域)14上の液晶層30に印加され
る電圧よりも低くなる。したがって、凹部13b内の誘
電体層13の厚さを調整することによって、液晶層30
の厚さの違いに起因するリタデーション量の違いと、液
晶層30に印加される電圧の場所による違い(開口部1
4a内の液晶層に印加される電圧の低下量)との関係を
制御し、印加電圧とリタデーションとの関係が絵素領域
内の場所に依存しないようにすることができる。より厳
密には、液晶層の複屈折率、液晶層の厚さ、誘電体層の
誘電率および誘電体層の厚さ、誘電体層の凹部の厚さ
(凹部の深さ)を調整することによって、印加電圧とリ
タデーションとの関係を絵素領域内の場所で均一にする
ことができ、高品位な表示が可能となる。特に、表面が
平坦な誘電体層を有する透過型表示装置と比較し、上層
電極14の開口部14aに対応する領域の液晶層30に
印加される電圧の低下による透過率の減少(光の利用効
率の低下)が抑制される利点がある。
【0227】上述の説明は、絵素電極15を構成する上
層電極14と下層電極12とに同じ電圧を供給した場合
について説明したが、下層電極12と上層電極14とに
異なる電圧を印加する構成とすれば、表示むらの無い表
示が可能な液晶表示装置の構成のバリエーションを増や
すことができる。例えば、上層電極14の開口部14a
内に誘電体層13を有する構成においては、上層電極1
4に印加する電圧よりも、誘電体層13による電圧降下
分だけ高い電圧を下層電極12に印加することによっ
て、液晶層30に印加される電圧が絵素領域内の場所に
よって異なることを防止することができる。
【0228】2層構造の絵素電極15を有する液晶表示
装置は、透過型や反射型だけでなく、透過反射両用型の
液晶表示装置(例えば、特開平11−101992号公
報参照)を構成することができる。
【0229】透過反射両用型液晶表示装置(以下、「両
用型液晶表示装置」と略す)は、絵素領域内に、透過モ
ードで表示を行う透過領域Tと、反射モードで表示を行
う反射領域Rとを有する液晶表示装置を指す(図44
(a)参照)。透過領域Tおよび反射領域Rは、典型的
には、透明電極および反射電極によって規定される。反
射電極に代えて、反射層と透明電極との組み合わせた構
造によって、反射領域を規定することもできる。
【0230】この両用型液晶表示装置は、反射モードと
透過モードとを切り替えて表示すること、または同時に
両方の表示モードで表示することもできる。したがっ
て、例えば、周囲光が明るい環境下では反射モードの表
示を、暗い環境では透過モードの表示を実現することが
できる。また、両方のモードの表示を同時に行うと、透
過モードの液晶表示装置を周囲光が明るい環境下(蛍光
灯の光や太陽光が直接特定の角度で表示面に入射する状
態)で使用したときに見られるコントラスト比の低下を
抑制することができる。このように、透過型液晶表示装
置の欠点を補うことができる。なお、透過領域Tと反射
領域Rとの面積の比率は、液晶表示装置の用途に応じて
適宜設定され得る。また、専ら透過型として用いる液晶
表示装置においては、反射モードでの表示ができない程
度にまで反射領域の面積比率を小さくしても、上述した
透過型液晶表示装置の欠点を補うことができる。
【0231】図44(a)に示したように、例えば、液
晶表示装置500の上層電極14を反射電極とし、下層
電極12を透明電極とすることによって、両用型液晶表
示装置を得ることができる。両用型液晶表示装置は、こ
の例に限られず、上述した液晶表示装置において、上層
電極14および下層電極12の内のいずれか一方を透明
導電層とし、他方を反射導電層とすることによって得ら
れる。但し、反射モードと透過モードの表示の電圧−透
過率特性を互いに整合させるためには、反射領域Rの液
晶層30の厚さ(例えば図45(a)のd1)が、透過
領域Tの液晶層30の厚さ(例えば図45(a)のd
2)の約半分となるように構成することが好ましい。勿
論、液晶層の厚さを調整する代わりに、上層電極14に
印加する電圧と、下層電極12に印加する電圧とを調整
してもよい。
【0232】図47(a)、(b)および(c)に、配
向規制構造および凸部を備える液晶表示装置の一例を示
す。図47(a)、(b)および(c)は、配向規制構
造および凸部を備える液晶表示装置800を模式的に示
す断面図である。図47(a)は電圧無印加時を示し、
図47(b)は電圧印加後に配向が変化し始めた状態
(ON初期状態)を示し、図47(c)は電圧印加中の
定常状態を模式的に示している。
【0233】液晶表示装置800は、絵素電極14の開
口部14aの内側に、図40に示した凸部40を備えて
いる。また、絵素電極14の中実部14bに対向する領
域の中央付近に、図15に示した凸部28Aを備えてい
る。
【0234】液晶表示装置800においては、TFT基
板400aの電極構造による配向規制力に加えて、凸部
40の側面40sによる配向規制力と、凸部28Aの表
面による配向規制力とによって、放射状傾斜配向が安定
化される。上述した凸部40および凸部28Aの形状効
果による配向規制力は、印加電圧に関係なく放射状傾斜
配向状態を安定させるので、液晶表示装置800は、良
好な耐応力性を備えている。
【0235】なお、上述した全ての液晶表示装置に、必
要に応じて、位相差補償素子(典型的には位相差板)を
設けてもよい。
【0236】
【発明の効果】本発明によると、放射状傾斜配向を有す
る液晶ドメインが安定に、高い連続性を有するように形
成されるので、従来の広視角特性を有する液晶表示装置
の表示品位をさらに向上することができる。また、配向
規制構造と凸部とによって放射状傾斜配向を安定化さ
せ、さらに、放射状傾斜配向の中心軸の位置を固定する
こともできるので、液晶パネルに応力が印加された場合
に残像が発生することが抑制される。さらに、凸部の基
板面に沿った断面形状が、クロスニコル状態に配置され
た一対の偏光板の偏光軸に略平行な辺および略直交する
辺のみから実質的に構成された形状であるので、黒表示
時の光漏れの発生が抑制・防止され、高コントラスト比
の表示が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1配向規制構造を備える液晶表
示装置100の一つの絵素領域の構造を模式的に示す図
であり、(a)は上面図、(b)は(a)中の1B−1
B’線に沿った断面図である。
【図2】液晶表示装置100の液晶層30に電圧を印加
した状態を示す図であり、(a)は、配向が変化し始め
た状態(ON初期状態)を模式的に示し、(b)は、定
常状態を模式的に示している。
【図3】(a)〜(d)は、電気力線と液晶分子の配向
の関係を模式的に示す図である。
【図4】(a)〜(c)は、液晶表示装置100におけ
る、基板法線方向から見た液晶分子の配向状態を模式的
に示す図である。
【図5】(a)〜(c)は、液晶分子の放射状傾斜配向
の例を模式的に示す図である。
【図6】(a)および(b)は、本発明による液晶表示
装置に用いられる他の絵素電極を模式的に示す上面図で
ある。
【図7】(a)および(b)は、本発明による液晶表示
装置に用いられるさらに他の絵素電極を模式的に示す上
面図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明による液晶表示
装置に用いられるさらに他の絵素電極を模式的に示す上
面図である。
【図9】(a)および(b)は、本発明による液晶表示
装置に用いられるさらに他の絵素電極を模式的に示す上
面図である。
【図10】(a)および(b)は、本発明による液晶表
示装置に用いられる絵素電極の単位中実部の角部を模式
的に示す上面図である。
【図11】(a)は、図8(b)に示す絵素電極を備え
た液晶表示装置および図9(b)に示す絵素電極を備え
た液晶表示装置において、偏光板の偏光軸の角度に対す
る透過率の変化を示すグラフであり、(b)は、0度に
対応する偏光軸の配置を模式的に示す図である。
【図12】本発明による液晶表示装置に用いられるさら
に他の絵素電極を模式的に示す上面図である。
【図13】(a)および(b)は、本発明による液晶表
示装置に用いられるさらに他の絵素電極を模式的に示す
上面図である。
【図14】(a)は、図1(a)に示したパターンの単
位格子を模式的に示す図であり、(b)は、図12に示
したパターンの単位格子を模式的に示す図であり、
(c)はピッチpと中実部面積比率との関係を示すグラ
フである。
【図15】(a)は、凸部28Aを有する対向基板20
0bを模式的に示す断面図であり、(b)は、凸部28
Aを模式的に示す上面図である。
【図16】(a)は、凸部28Bを有する対向基板20
0bを模式的に示す断面図であり、(b)は、凸部28
Bを模式的に示す上面図である。
【図17】配向規制構造および凸部28Aを備える液晶
表示装置200を模式的に示す図であり、(a)は上面
図であり、(b)は(a)中の17B−17B’線に沿
った断面図である。
【図18】液晶表示装置200の一絵素領域の断面構造
を模式的に示す図であり、(a)は電圧無印加状態を示
し、(b)は配向が変化し始めた状態(ON初期状態)
を示し、(c)は定常状態を示している。
【図19】断面形状が略円形である凸部1028を備え
た比較例としての液晶表示装置1000における、凸部
1028近傍の液晶分子の配向の様子を模式的に示す図
である。
【図20】凸部28Aを備えた液晶表示装置200にお
ける、凸部28A近傍の液晶分子の配向の様子を模式的
に示す図である。
【図21】配向規制構造および凸部28Cを備える液晶
表示装置200Aを模式的に示す図であり、(a)は上
面図であり、(b)は(a)中の21B−21B’線に
沿った断面図である。
【図22】液晶表示装置200Aの一絵素領域の断面構
造を模式的に示す図であり、(a)は電圧無印加状態を
示し、(b)は配向が変化し始めた状態(ON初期状
態)を示し、(c)は定常状態を示している。
【図23】配向規制構造および凸部1128を備える比
較例としての液晶表示装置1100を模式的に示す図で
あり、(a)は上面図であり、(b)は(a)中の23
B−23B’線に沿った断面図である。
【図24】基板面に対する傾斜角が90°を大きく超え
る側面を有する凸部28Dを模式的に示す断面図であ
る。
【図25】スペーサとしても機能する凸部の改変例であ
る凸部28Eを模式的に示す断面図である。
【図26】断面形状が略十字形の凸部28Fを備えた、
本発明による液晶表示装置300を模式的に示す上面図
である。
【図27】(a)、(b)、(c)および(d)は、凸
部と単位中実部との組み合わせの例を示す上面図であ
る。
【図28】図27(a)に示した略円形の凸部と略円形
の単位中実部との組み合わせを用いたときの視野角特性
の評価結果を示すグラフである。
【図29】図27(b)に示した略円形の凸部と樽形の
単位中実部との組み合わせを用いたときの視野角特性の
評価結果を示すグラフである。
【図30】図27(c)に示した略十字形の凸部と略円
形の単位中実部との組み合わせを用いたときの視野角特
性の評価結果を示すグラフである。
【図31】図27(d)に示した略十字形の凸部と樽形
の単位中実部との組み合わせを用いたときの視野角特性
の評価結果を示すグラフである。
【図32】図27(a)に示した略円形の凸部と略円形
の単位中実部との組み合わせを用いたときの電圧−輝度
特性を示すグラフである。
【図33】図27(b)に示した略円形の凸部と樽形の
単位中実部との組み合わせを用いたときの電圧−輝度特
性を示すグラフである。
【図34】図27(c)に示した略十字形の凸部と略円
形の単位中実部との組み合わせを用いたときの電圧−輝
度特性を示すグラフである。
【図35】図27(d)に示した略十字形の凸部と樽形
の単位中実部との組み合わせを用いたときの電圧−輝度
特性を示すグラフである。
【図36】図27(a)に示した略円形の凸部および略
円形の単位中実部の組み合わせと、図27(c)に示し
た略十字形の凸部および略円形の単位中実部の組み合わ
せを用いたときの応答速度特性を示すグラフである。
【図37】図27(b)に示した略円形の凸部および樽
形の単位中実部の組み合わせと、図27(d)に示した
略十字形の凸部および樽形の単位中実部の組み合わせに
ついての応答速度特性を示すグラフである。
【図38】本発明による配向規制構造を備える液晶表示
装置400の一つの絵素領域の構造を模式的に示す図で
あり、(a)は上面図、(b)は(a)中の38B−3
8B’線に沿った断面図である。
【図39】(a)〜(d)は、液晶分子30aの配向と
垂直配向性を有する表面の形状との関係を説明するため
の模式図である。
【図40】液晶表示装置400の液晶層30に電圧を印
加した状態を示す図であり、(a)は、配向が変化し始
めた状態(ON初期状態)を模式的に示し、(b)は、
定常状態を模式的に示している。
【図41】(a)〜(c)は、開口部と凸部との配置関
係が異なる、液晶表示装置400A、400Bおよび4
00Cの模式的な断面図である。
【図42】液晶表示装置400の断面構造を模式的に示
す図であり、図38(a)中の42A−42A’線に沿
った断面図である。
【図43】液晶表示装置400Dの一つの絵素領域の構
造を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は
(a)中の43B−43B’線に沿った断面図である。
【図44】2層構造電極を備える液晶表示装置500の
一絵素領域の断面構造を模式的に示す図であり、(a)
は電圧無印加状態を示し、(b)は配向が変化し始めた
状態(ON初期状態)を示し、(c)は定常状態を示し
ている。
【図45】2層構造電極を備える他の液晶表示装置40
0の一絵素領域の断面構造を模式的に示す図であり、
(a)は電圧無印加状態を示し、(b)は配向が変化し
始めた状態(ON初期状態)を示し、(c)は定常状態
を示している。
【図46】2層構造電極を備える他の液晶表示装置70
0の一絵素領域の断面構造を模式的に示す図である。
【図47】配向規制構造および凸部を備えるさらに他の
液晶表示装置800の一絵素領域の断面構造を模式的に
示す図であり、(a)は電圧無印加状態を示し、(b)
は配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を示し、
(c)は定常状態を示している。
【符号の説明】
11、21 透明絶縁性基板 12 下層電極 13 誘電体層 14、14A、14B、14C、14D、14E、14
F 絵素電極 14G、14H、14I 絵素電極 14a、14a1、14a2 開口部 14b 中実部(導電膜) 14b’ 単位中実部 15 絵素電極(2層構造電極) 22 対向電極 28A、28B、28C、28D、28E 凸部 28s 凸部の側面 30 液晶層 30a 液晶分子 40、40A、40B、40C、40D 凸部 40s 凸部の側面 40t 凸部の頂面 100、100’、100’’ 液晶表示装置 200、200A、300、400、500 液晶表示
装置 600、700、800 液晶表示装置 100a TFT基板 100b 対向基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荻島 清志 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 内田 歳久 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 久保 真澄 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H088 FA02 HA03 HA08 HA18 JA10 KA27 MA02 MA07 2H089 LA06 QA15 QA16 RA08 TA04 TA09 2H090 LA02 LA04 MA01 MA15 MA16 2H091 FA07X FA07Z GA06 KA10 LA19 LA30

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1基板と、第2基板と、前記第1基板
    と前記第2基板との間に設けられた垂直配向型の液晶層
    と、前記第1および第2基板を介して互いに対向し、偏
    光軸が互いに略直交するように配置された一対の偏光板
    とを備え、 前記第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、
    前記第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介
    して対向する第2電極とによって、それぞれが規定され
    る複数の絵素領域を有し、 前記第1基板は、前記複数の絵素領域のそれぞれ内に、
    それぞれが電圧印加状態において放射状傾斜配向状態を
    とる複数の液晶ドメインを前記液晶層に形成するように
    配向規制力を発現する配向規制構造を有し、 前記第2基板は、前記複数の液晶ドメインの少なくとも
    1つの液晶ドメインに対応する領域に、前記液晶層側に
    突き出た凸部を有し、前記凸部の前記第2基板の基板面
    に沿った断面形状は、前記一対の偏光板の一方の偏光軸
    に略平行な辺および前記一方の偏光軸に略直交する辺の
    みから実質的に構成された形状である、液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記凸部の前記第2基板の基板面に沿っ
    た断面形状は、略矩形である請求項1に記載の液晶表示
    装置。
  3. 【請求項3】 前記凸部の前記第2基板の基板面に沿っ
    た断面形状は、略正方形である請求項2に記載の液晶表
    示装置。
  4. 【請求項4】 前記凸部の前記第2基板の基板面に沿っ
    た断面形状は、略十字形である請求項1に記載の液晶表
    示装置。
  5. 【請求項5】 前記凸部は、前記少なくとも1つの液晶
    ドメイン内の液晶分子を放射状傾斜配向させる配向規制
    力を発現する、請求項1から4のいずれかに記載の液晶
    表示装置。
  6. 【請求項6】 前記凸部は、前記少なくとも1つの液晶
    ドメインの中央付近に対応する領域に設けられている、
    請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 前記少なくとも1つの液晶ドメイン内に
    おいて、前記凸部による配向規制方向は、前記配向規制
    構造による放射状傾斜配向の方向と整合する、請求項1
    から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 前記凸部は、前記液晶層の厚さを規定す
    るスペーサとしても機能する、請求項1から7のいずれ
    かに記載の液晶表示装置。
  9. 【請求項9】 前記凸部は、前記第2基板の基板面と9
    0°未満の角をなす側面を有する、請求項1から8のい
    ずれかに記載の液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 前記第1電極は複数の単位中実部を有
    し、前記配向規制構造は、前記複数の単位中実部によっ
    て構成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧
    が印加されたときに、前記複数の単位中実部の周辺に斜
    め電界を生成することによって、前記複数の単位中実部
    に対応する領域に、前記複数の液晶ドメインを形成す
    る、請求項1から9のいずれかに記載の液晶表示装置。
  11. 【請求項11】 前記第1電極は、少なくとも1つの開
    口部と中実部とを有し、 前記配向規制構造は、前記第1電極の前記少なくとも1
    つの開口部および中実部によって構成され、前記第1電
    極と前記第2電極との間に電圧が印加されたときに、前
    記第1電極の前記少なくとも1つの開口部のエッジ部に
    斜め電界を生成することによって、前記少なくとも1つ
    の開口部および中実部に対応する領域に、前記複数の液
    晶ドメインを形成する、請求項1から9のいずれかに記
    載の液晶表示装置。
  12. 【請求項12】 第1基板と、第2基板と、前記第1基
    板と前記第2基板との間に設けられた垂直配向型の液晶
    層と、前記第1および第2基板を介して互いに対向し、
    偏光軸が互いに略直交するように配置された一対の偏光
    板とを備え、 前記第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、
    前記第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介
    して対向する第2電極とによって、それぞれが規定され
    る複数の絵素領域を有し、 前記第1基板は、前記複数の絵素領域のそれぞれ内に、
    それぞれが電圧印加状態において放射状傾斜配向状態を
    とる複数の液晶ドメインを前記液晶層に形成するように
    配向規制力を発現する配向規制構造を有し、 前記複数の絵素領域のそれぞれ内において、前記複数の
    液晶ドメインの少なくとも1つの液晶ドメインに対応す
    る領域に設けられたスペーサを有し、 前記スペーサは、前記少なくとも1つの液晶ドメイン内
    の液晶分子を放射状傾斜配向させる配向規制力を発現
    し、前記スペーサの前記第1および第2基板の基板面に
    沿った断面形状は、前記一対の偏光板の一方の偏光軸に
    略平行な辺および前記一方の偏光軸に略直交する辺のみ
    から実質的に構成された形状である、液晶表示装置。
  13. 【請求項13】 前記スペーサの前記第1および第2基
    板の基板面に沿った断面形状は、略矩形である請求項1
    2に記載の液晶表示装置。
  14. 【請求項14】 前記スペーサの前記第1および第2基
    板の基板面に沿った断面形状は、略正方形である請求項
    13に記載の液晶表示装置。
  15. 【請求項15】 前記スペーサの前記第1および第2基
    板の基板面に沿った断面形状は、略十字形である請求項
    12に記載の液晶表示装置。
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