JP4212410B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、広視野角特性を有し、高品位の表示を行う液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータのディスプレイや携帯情報端末機器の表示部に用いられる表示装置として、薄型軽量の液晶表示装置が利用されている。しかしながら、従来のツイストネマチック型(TN型)、スーパーツイストネマチック型(STN型)液晶表示装置は、視野角が狭いという欠点を有しており、それを解決するために様々な技術開発が行われている。
【0003】
TN型やSTN型の液晶表示装置の視野角特性を改善するための代表的な技術として、光学補償板を付加する方式がある。他の方式として、基板の表面に対して水平方向の電界を液晶層に印加する横電界方式がある。この横電界方式の液晶表示装置は、近年量産化され、注目されている。また、他の技術としては、液晶材料として負の誘電率異方性を有するネマチック液晶材料を用い、配向膜として垂直配向膜を用いるDAP(deformation of vertical aligned phase)がある。これは、電圧制御複屈折(ECB:electrically controlled birefringence)方式の一つであり、液晶分子の複屈折性を利用して透過率を制御する。
【0004】
しかしながら、横電界方式は広視野角化技術として有効な方式の1つではあるものの、製造プロセスにおいて、通常のTN型に比べて生産マージンが著しく狭いため、安定な生産が困難であるという問題がある。これは、基板間のギャップむらや液晶分子の配向軸に対する偏光板の透過軸(偏光軸)方向のずれが、表示輝度やコントラスト比に大きく影響するためであり、これらを高精度に制御して、安定な生産を行うためには、さらなる技術開発が必要である。
【0005】
また、DAP方式の液晶表示装置で表示ムラの無い均一な表示を行うためには、配向制御を行う必要がある。配向制御の方法としては、配向膜の表面をラビングすることにより配向処理する方法がある。しかしながら、垂直配向膜にラビング処理を施すと、表示画像中にラビング筋が発生しやすく量産には適していない。
【0006】
そこで、本願発明者は、他の者とともに、液晶層を介して対向する一対の電極の一方に開口部と中実部とからなる所定の電極構造を形成し、開口部のエッジ部に生成される斜め電界によって、これらの開口部および中実部に、放射状傾斜配向をとる複数の液晶ドメインを形成する手法を提案している(特許文献1)。この手法を用いると、放射状傾斜配向を有する液晶ドメインが安定に、高い連続性を有するように形成されるので、視野角特性および表示品位を向上させることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−043525号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶表示装置の普及に伴い、液晶表示装置に要求される表示特性は高まってきており、さらなる明るさの向上や応答速度の向上など、表示特性のいっそうの向上が望まれている。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、広視野角特性を有し、表示特性に優れた液晶表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による液晶表示装置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層とを有し、前記第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介して対向する第2電極とによって、それぞれが規定される複数の絵素領域を有し、前記複数の絵素領域のそれぞれにおいて、前記第1電極は、複数の単位中実部を含む中実部を有し、前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されていないときに垂直配向状態をとり、且つ、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されたときに、前記第1電極の前記複数の単位中実部のそれぞれの周辺に生成される斜め電界によって、前記複数の単位中実部のそれぞれに対応する領域に、放射状傾斜配向状態をとる液晶ドメインを形成する液晶表示装置であって、前記複数の単位中実部のそれぞれは、鋭角化された4つの角部を有し、前記4つの角部はそれぞれ表示面の上側、下側、右側および左側を向いており、そのことによって上記目的が達成される。
【0011】
ある好適な実施形態において、本発明による液晶表示装置は、前記液晶層を介して互いに対向する一対の偏光板をさらに有し、前記一対の偏光板の一方の透過軸は表示面の上下方向に略平行であり、前記一対の偏光板の他方の透過軸は表示面の左右方向に略平行である。
【0012】
前記複数の単位中実部のそれぞれの形状は、回転対称性を有することが好ましい。
【0013】
ある好適な実施形態において、前記複数の単位中実部のそれぞれの形状は、4回回転対称性を有する略星形である。
【0014】
前記複数の単位中実部は、実質的に、等しい形状で等しい大きさを有し、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を形成することが好ましい。
【0015】
前記第1電極の前記中実部は、それぞれが前記複数の単位中実部のそれぞれの一部分と実質的に同じ形状を有する複数のサブ単位中実部をさらに含み、前記複数のサブ単位中実部は、前記複数の絵素領域のそれぞれの端部に配置されていることが好ましい。
【0016】
ある好適な実施形態において、前記複数のサブ単位中実部は、前記複数の単位中実部のそれぞれの略2分の1に相当する形状を有する少なくとも1つの第1のサブ単位中実部を含んでいる。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記複数のサブ単位中実部は、前記複数の単位中実部のそれぞれの略4分の1に相当する形状を有する少なくとも1つの第2のサブ単位中実部を含んでいる。
【0018】
前記複数のサブ単位中実部は、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を、前記複数の単位中実部の少なくとも一部の単位中実部と相補的に形成することが好ましい。
【0019】
前記複数のサブ単位中実部は、前記複数の単位中実部のそれぞれと同じ形状を整数個相補的に形成することが好ましい。
【0020】
前記第2基板は、前記複数のサブ単位中実部のそれぞれに対応する領域に、少なくとも前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加された状態において前記液晶層の液晶分子に対して配向規制力を発現する配向規制構造を有し、前記配向規制構造による配向規制方向は、前記複数のサブ単位中実部のそれぞれの周辺に生成される斜め電界による配向規制方向と整合することが好ましい。
【0021】
前記配向規制構造は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されていない状態においても配向規制力を発現することが好ましい。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記配向規制構造は、前記第2基板の前記液晶層側に突き出た凸部である。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記複数の絵素領域のそれぞれにおいて、前記第1電極は、少なくとも1つの開口部をさらに有し、前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されたときに、前記斜め電界によって、前記少なくとも1つの開口部に対応する領域にも放射状傾斜配向状態をとる液晶ドメインを形成する。
【0024】
前記少なくとも1つの開口部は、実質的に等しい形状で等しい大きさを有する複数の開口部を含み、前記複数の開口部の少なくとも一部の開口部は、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を形成することが好ましい。
【0025】
前記複数の開口部の前記少なくとも一部の開口部のそれぞれの形状は、回転対称性を有することが好ましい。
【0026】
前記第1基板は、前記第1電極の前記液晶層とは反対側に設けられた誘電体層と、前記誘電体層を介して前記第1電極の前記少なくとも1つの開口部の少なくとも一部に対向する第3電極とを更に有する構成としてもよい。
【0027】
ある好適な実施形態において、前記第1基板は、前記複数の絵素領域のそれぞれに対応して設けられたスイッチング素子をさらに有し、前記第1電極は、前記複数の絵素領域毎に設けられ、前記スイッチング素子によってスイッチングされる絵素電極であり、前記第2電極は、前記複数の絵素電極に対向する少なくとも1つの対向電極である。
【0028】
あるいは、本発明による液晶表示装置は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層とを有し、前記第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介して対向する第2電極とによって、それぞれが規定される複数の絵素領域を有し、前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されていないときに垂直配向状態をとる液晶表示装置であって、前記複数の絵素領域のそれぞれにおいて、前記第1電極は、それぞれが鋭角化された4つの角部を有する略星形の複数の導電部を含み、前記複数の導電部のそれぞれが有する前記4つの角部は、それぞれ表示面の上側、下側、右側および左側を向いており、そのことによって上記目的が達成される。
【0029】
ある好適な実施形態において、前記液晶層を介して互いに対向する一対の偏光板をさらに有し、前記一対の偏光板の一方の透過軸は表示面の上下方向に略平行であり、前記一対の偏光板の他方の透過軸は表示面の左右方向に略平行である。
【0030】
以下、本発明の作用を説明する。
【0031】
本発明による液晶表示装置においては、絵素領域の液晶層に電圧を印加する一対の電極の内の一方が、複数の単位中実部を含む中実部を有している。液晶層は、電圧無印加状態において垂直配向状態をとり、且つ、電圧印加状態においては、複数の単位中実部のそれぞれの周辺に生成される斜め電界によって、放射状傾斜配向状態をとる複数の液晶ドメインを形成する。すなわち、一対の電極間に電圧を印加したときに、単位中実部の周辺に斜め電界を生成し、放射状傾斜配向をとる液晶ドメインを形成するように、一方の電極の外形が規定されている。液晶層は、典型的には、負の誘電異方性を有する液晶材料からなり、その両側に設けられた垂直配向層(例えば垂直配向膜)によって配向規制されている。
【0032】
この斜め電界によって形成される液晶ドメインは、単位中実部に対応する領域に形成され、液晶ドメインの配向状態が電圧に応じて変化することによって表示が行われる。それぞれの液晶ドメインは放射状傾斜配向をとり、高回転対称性の配向状態をとるので、表示品位の視角依存性が小さく、広視角特性が実現される。
【0033】
なお、電極の内で導電膜が存在する部分を中実部と称し、中実部の内で1つの液晶ドメインを形成する電界を発生する部分を「単位中実部」と称する。中実部は、典型的には、連続した導電膜から形成されている。
【0034】
本発明による液晶表示装置においては、複数の単位中実部のそれぞれが鋭角化された4つの角部を有しているので、すべての方位角方向のそれぞれに沿って配向する液晶分子の存在確率に高い回転対称性を持たせたまま、特定の方位角方向に沿って配向する液晶分子の存在確率を高く(あるいは低く)することができる。すなわち、液晶分子の存在確率に高い指向性をもたせることができる。
【0035】
具体的には、鋭角化された4つの角部はそれぞれ表示面の上側、下側、右側および左側を向いているので、これらの方向に平行に配向している液晶分子、すなわち、表示面の上下方向または左右方向に平行に配向している液晶分子の存在確率を相対的に低くすることができ、また、これらの間の方向に平行に配向している液晶分子、すなわち、表示面の右上―左下方向または右下―左上方向に平行に配向している液晶分子の存在確率を相対的に高くすることができる。なお、本願明細書では、表示面を時計の文字盤に見立てたときの12時方向を「上側」、6時方向を「下側」、3時方向を「右側」、9時方向を「左側」と呼ぶ。
【0036】
そのため、液晶層を介して互いに対向する一対の偏光板を、一方の透過軸が表示面の上下方向に略平行、他方の透過軸が表示面の左右方向に略平行となるように配置した場合に、明るい表示を実現できる。上述したように液晶分子の存在確率は高い指向性をもっており、そのことによって、透過軸に略平行または略垂直に配向する液晶分子、すなわち入射光に対してほとんど位相差を与えない液晶分子の存在確率が相対的に低く、透過軸から45°傾斜した方向に略平行に配向する液晶分子、すなわち入射光に対して大きな位相差を与える液晶分子の存在確率が相対的に高くなるからである。
【0037】
一対の偏光板の一方の透過軸を表示面の上下方向に沿って配置し、他方の透過軸を表示面の左右方向に沿って配置した構成は、斜め視角方向から観察したときの黒表示の品位低下が小さい。従って、本発明によると、斜め視角方向から観察したときの表示品位の低下を抑制しつつ、明るい表示を実現することが可能になる。
【0038】
さらに、単位中実部の4つの角部が鋭角化されていることにより、斜め電界を生成するための電極の辺を多く形成することが容易となるので、より多くの液晶分子に斜め電界を作用させることができ、速い応答速度が得られる。また、4つの角部が鋭角化されていると、電極の辺から単位中実部内の液晶分子までの距離を短くすることができるので、単位中実部内の液晶分子の配向規制を効果的に行うことができ、この点からも優れた応答特性が得られる。なお、本願明細書では、「鋭角化された角部」は、2直線が90°未満の角をなしている角部だけでなく、曲線と直線あるいは2曲線が90°未満の角をなしている(交点における接線が90°未満の角をなしている)角部も含み、さらには頂点を有しない角部も含む。
【0039】
既に述べたように、液晶層を介して互いに対向する一対の偏光板を、一方の透過軸が表示面の上下方向に略平行、他方の透過軸が表示面の左右方向に略平行となるように配置すると、斜め視角方向(表示面法線から傾斜した方向)から観察したときの黒表示の品位低下を小さくすることができる。斜め視角方向から観察したときの黒表示の品位低下(具体的には光漏れの発生)は、クロス二コル状態に配置された一対の偏光板を斜め視角方向から観察したときに透過軸が直交関係からずれる(透過軸のなす角が90°を超える)ことに起因しているが、表示面を観察するときには上下方向または左右方向に沿って視角を倒すことが多く、上述したように透過軸を配置すると上下方向や左右方向に視角を倒しても透過軸が直交関係からずれないからである。
【0040】
単位中実部の形状(基板法線方向から見たときの形状)が回転対称性を有することによって、単位中実部に対応した領域に形成される液晶ドメインの放射状傾斜配向の安定性を高めることができる。液晶ドメインの視角依存性を低減するためには、単位中実部の形状が高い回転対称性(2回回転対称性以上が好ましく、4回回転対称性以上がさらに好ましい。)を有することが好ましい。
【0041】
単位中実部の形状は、例えば、略星形であり、矩形をその辺が内側に屈曲または湾曲するように変形させた形状である。略星形の単位中実部は、2回回転対称性を有する(4回回転対称軸を有する)ことが好ましく、4回回転対称性を有する(4回回転対称軸を有する)ことがさらに好ましい。
【0042】
複数の単位中実部が、実質的に、等しい形状で等しい大きさを有し、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を形成する構成とすることによって、単位格子を単位として、複数の液晶ドメインを高い対称性で配置することができるので、表示品位の視角依存性を向上することができる。さらに、絵素領域の全体を単位格子に分割することによって、絵素領域の全体に亘って、液晶層の配向を安定化することができる。例えば、それぞれの単位中実部の中心が正方格子を形成するように、複数の単位中実部を配列する。なお、1つの絵素領域が、例えば補助容量配線のように不透明な構成要素によって分割される場合には、表示に寄与する領域毎に単位格子を配置すればよい。
【0043】
複数の単位中実部を含む中実部を有する電極は、さらに、少なくとも1つの開口部を有してもよい。電極に開口部を設けることによって、電極の外形を規定することのみによって単位中実部を形成するよりも、多くの単位中実部を形成することが容易になり、絵素領域内に多くの液晶ドメインを容易に形成することができる。
【0044】
開口部を設けると、単位中実部の周辺すなわち開口部のエッジ部に生成される斜め電界によって、開口部に対応した領域にも放射状傾斜配向状態をとる液晶ドメインを形成することができる。単位中実部に形成される液晶ドメインおよび開口部に形成される液晶ドメインは、上記斜め電界によって形成されるので、これらは互いに隣接して交互に形成され、且つ、隣接する液晶ドメイン間の液晶分子の配向は本質的に連続である。従って、開口部に形成される液晶ドメインと中実部に形成される液晶ドメインとの間にはディスクリネーションラインは生成されず、それによる表示品位の低下もなく、液晶分子の配向の安定性も高い。
【0045】
電極の中実部に対応する領域だけでなく、開口部に対応する領域においても液晶分子が放射状傾斜配向をとると、液晶分子の配向の連続性が高く、安定した配向状態が実現され、ざらつきのない均一な表示が得られる。特に、良好な応答特性(速い応答速度)を実現するためには、液晶分子の配向を制御するための斜め電界を多くの液晶分子に作用させることが好ましく、そのためには、開口部(エッジ部)を多く形成することが好ましい。開口部に対応して、安定な放射状傾斜配向を有する液晶ドメインが形成されると、応答特性を改善するために開口部を多く形成しても、それに伴う表示品位の低下(ざらつきの発生)を抑制することができる。
【0046】
なお、中実部(単位中実部)に対応して放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが形成されれば、開口部に対応して形成される液晶ドメインが放射状傾斜配向をとらなくとも、絵素領域内の液晶分子の配向の連続性は得られるので、中実部に対応して形成される液晶ドメインの放射状傾斜配向は安定する。特に、開口部の面積が小さい場合には、表示に対する寄与も少ないので、開口部に対応する領域に放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが形成されなくても、表示品位の低下は問題にならない。
【0047】
複数の開口部の少なくとも一部の開口部が、実質的に、等しい形状で等しい大きさを有し、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を形成する構成とすることによって、単位格子を単位として、複数の液晶ドメインを高い対称性で配置することができるので、表示品位の視角依存性を向上することができる。さらに、絵素領域の全体を単位格子に分割することによって、絵素領域の全体に亘って、液晶層の配向を安定化することができる。例えば、それぞれの開口部の中心が、正方格子を形成するように、開口部を配列する。なお、1つの絵素領域が、例えば補助容量配線のように不透明な構成要素によって分割される場合には、表示に寄与する領域毎に単位格子を配置すればよい。
【0048】
複数の開口部の少なくとも一部の開口部(典型的には単位格子を形成する開口部)のそれぞれの形状(基板法線方向から見たときの形状)が回転対称性を有することによって、開口部に形成される液晶ドメインの放射状傾斜配向の安定性を高めることができる。液晶ドメインの視角依存性を低減するためには、開口部の形状が高い回転対称性(2回回転対称性以上が好ましく、4回回転対称性以上がさらに好ましい。)を有することが好ましい。
【0049】
開口部の形状は、例えば、略十字形や略ひし形である。あるいは、2つの円弧(典型的には劣弧)状の辺を組み合わせた略円弧二角形(いわゆるアーモンド形)であってもよい。
【0050】
上述した一対の電極のうちの一方に開口部を設けた電極構造では、開口部に対応する領域の液晶層に十分な電圧が印加されず、十分なリタデーション変化が得られないために、光の利用効率が低下するという問題が発生することがある。そこで、開口部を設けた電極の液晶層とは反対側に誘電体層を設け、この誘電体層を介して電極の開口部の少なくとも一部に対向するさらなる電極を設ける(2層構造電極)ことによって、開口部に対応する液晶層に十分な電圧を印加することができ、光の利用効率や応答特性を向上することができる。
【0051】
絵素領域の形状は、一般的には、表示面の上下方向に平行な辺と、表示面の左右方向に平行な辺とから構成される矩形状である。そのため、単位中実部の鋭角化された4つの角部が表示面の上下左右を向いていると、絵素領域の端部に絵素領域の中央部と同じ密度で単位中実部を配置することが難しく、絵素領域の端部にまで中実部に対応した液晶ドメインを高密度で形成することは難しい。
【0052】
電極の中実部が、それぞれが単位中実部の一部分と実質的に同じ形状を有する複数のサブ単位中実部を有し、これらのサブ単位中実部が絵素領域の端部に配置されている構成を採用すると、液晶層に電圧が印加されたときに、サブ単位中実部の周辺にも斜め電界が生成され、この斜め電界によって、サブ単位中実部に対応する領域にも液晶ドメインを形成することができる。そのため、絵素領域の全体にわたって安定な配向状態が得られる。また、絵素領域の端部にサブ単位中実部が配置されているので、絵素領域における中実部の面積比率を高くすることができる。従って、電極によって生成される電界の影響を直接的に受ける液晶層の面積(基板法線方向から見たときの平面内に規定される)を大きくすることができ、実効開口率(透過率)を向上することができる。そのため、より明るい表示を行うことができる。このように、絵素領域の端部にサブ単位中実部を配置することによって、絵素領域の端部にも高密度で中実部に対応した液晶ドメインを形成することができるので、絵素領域の全体にわたって配向状態を安定化させるとともに、より明るい表示を実現することができる。
【0053】
複数のサブ単位中実部は、単位中実部の略2分の1に相当する形状のサブ単位中実部を含んでもよいし、単位中実部の略4分の1に相当する形状のサブ単位中実部を含んでもよい。単位中実部の略2分の1に相当する形状のサブ単位中実部は、絵素領域の辺に対応する領域に好適に配置できる。また、単位中実部の略4分の1に相当する形状のサブ単位中実部は、絵素領域の角に対応する領域に好適に配置できる。
【0054】
表示品位の視角依存性を低減するためには、絵素領域の全体に亘って液晶ドメインが回転対称性を有するように配置されていることが好ましく、絵素領域の端部に形成される液晶ドメインも、絵素領域の中央部に形成される液晶ドメインとともに回転対称性を有するように配置されていることが好ましい。つまり、複数のサブ単位中実部は、複数の単位中実部の少なくとも一部の単位中実部とともに回転対称性を有するように配列(例えば相補的に少なくとも1つの単位格子を形成するように配列)されていることが好ましい。
【0055】
また、表示品位の視角依存性を低減するためには、絵素領域内の複数のサブ単位中実部が、単位中実部と同じ形状を整数個相補的に形成することが好ましい。
【0056】
ただし、サブ単位中実部の形状は、単位中実部の一部分に相当する形状であるので、サブ単位中実部に対応して形成される液晶ドメインは、単位中実部に対応して形成される液晶ドメインに比べて配向安定性が十分ではないことがある。
【0057】
中実部を含む電極を備えた基板に対向する基板が、サブ単位中実部に対応した領域に、少なくとも電圧印加状態において液晶層の液晶分子に配向規制力を発現する配向規制構造を有し、この配向規制構造による配向規制方向が斜め電界による配向規制方向と整合する構成とすることによって、サブ単位中実部に形成される液晶ドメインの配向安定性を向上することができる。
【0058】
配向規制構造は、少なくとも電圧印加状態において配向規制力を発現すれば、配向を安定化する効果が得られるが、電圧無印加状態においても配向規制力を発現する構成を採用すると、印加電圧の大きさに関わらず配向を安定化できる利点が得られる。
【0059】
配向規制構造は、例えば、液晶層側に突き出た凸部である。凸部は、電圧無印加状態においても配向規制力を発現することができる。また、このような凸部は、簡単なプロセスで製造することができるので、生産効率の観点からも好ましい。
【0060】
本発明による液晶表示装置は、例えば、絵素領域毎にTFTなどのスイッチング素子を備えるアクティブマトリクス型液晶表示装置であって、上述した単位中実部を有する電極は、スイッチング素子によってスイッチングされる絵素電極であり、他方の電極は、複数の絵素電極に対向する少なくとも1つの対向電極である。このように、液晶層を介して互いに対向するように設けられる一対の電極の内の一方にだけ、単位中実部を設けるだけで、安定した放射状傾斜配向を実現することができる。すなわち、公知の製造方法において、導電膜を絵素電極の形状にパターニングする際に、所望の形状の単位中実部が所望の配置で形成されるように、フォトマスクを修正するだけで、本発明による液晶表示装置を製造することができる。勿論、対向電極に複数の単位中実部を形成してもよい。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0062】
まず、本発明の液晶表示装置が有する電極構造とその作用とを説明する。本発明による液晶表示装置は、優れた表示特性を有するので、アクティブマトリクス型液晶表示装置に好適に利用される。以下では、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置について、本発明の実施形態を説明する。本発明はこれに限られず、MIMを用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置や単純マトリクス型液晶表示装置に適用することができる。また、以下では、透過型液晶表示装置を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限られず、反射型液晶表示装置や、さらに、後述する透過反射両用型液晶表示装置に適用することができる。
【0063】
なお、本願明細書においては、表示の最小単位である「絵素」に対応する液晶表示装置の領域を「絵素領域」と呼ぶ。カラー液晶表示装置においては、R,G,Bの「絵素」が1つの「画素」に対応する。アクティブマトリクス型液晶表示装置においては、絵素電極と絵素電極に対向する対向電極とが絵素領域を規定する。また、単純マトリクス型液晶表示装置においては、ストライプ状に設けられる列電極と列電極に直交するように設けられる行電極とが互いに交差するそれぞれの領域が絵素領域を規定する。なお、ブラックマトリクスが設けられる構成においては、厳密には、表示すべき状態に応じて電圧が印加される領域のうち、ブラックマトリクスの開口部に対応する領域が絵素領域に対応することになる。
【0064】
図1(a)および(b)を参照しながら、本実施形態における液晶表示装置100の1つの絵素領域の構造を説明する。以下では、説明の簡単さのためにカラーフィルタやブラックマトリクスを省略する。また、以下の図面においては、液晶表示装置100の構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号で示し、その説明を省略する。図1(a)は基板法線方向から見た上面図であり、図1(b)は図1(a)中の1B−1B’線に沿った断面図に相当する。図1(b)は、液晶層に電圧を印加していない状態を示している。
【0065】
液晶表示装置100は、アクティブマトリクス基板(以下「TFT基板」と呼ぶ。)100aと、対向基板(「カラーフィルタ基板」とも呼ぶ)100bと、TFT基板100aと対向基板100bとの間に設けられた液晶層30とを有している。液晶層30の液晶分子30aは、負の誘電率異方性を有し、TFT基板100aおよび対向基板100bの液晶層30側の表面に設けられた垂直配向層としての垂直配向膜(不図示)によって、液晶層30に電圧が印加されていないとき、図1(b)に示したように、垂直配向膜の表面に対して垂直に配向する。このとき、液晶層30は垂直配向状態にあるという。但し、垂直配向状態にある液晶層30の液晶分子30aは、垂直配向膜の種類や液晶材料の種類によって、垂直配向膜の表面(基板の表面)の法線から若干傾斜することがある。一般に、垂直配向膜の表面に対して、液晶分子軸(「軸方位」とも言う。)が約85°以上の角度で配向した状態が垂直配向状態と呼ばれる。
【0066】
液晶表示装置100のTFT基板100aは、透明基板(例えばガラス基板)11とその表面に形成された絵素電極14とを有している。対向基板100bは、透明基板(例えばガラス基板)21とその表面に形成された対向電極22とを有している。液晶層30を介して互いに対向するように配置された絵素電極14と対向電極22とに印加される電圧に応じて、絵素領域ごとの液晶層30の配向状態が変化する。液晶層30の配向状態の変化に伴い、液晶層30を透過する光の偏光状態や量が変化する現象を利用して表示が行われる。
【0067】
液晶表示装置100は、液晶層30を介して互いに対向し、それぞれの透過軸(図1(a)中に矢印PAで示している)が互いに直交するように(すなわちクロスニコル状態に)配置された一対の偏光板40aおよび40bを有し、ノーマリブラックモードで表示を行う。つまり、垂直配向した液晶層30と、クロスニコル状態に配置された一対の偏光板40aおよび40bとによって黒表示を行う。従って、液晶表示装置100の黒表示を表示面法線方向から観察すると良好な黒表示であるが、表示面法線から傾斜した方向(以下、「斜め視角方向」ということにする。)から観察すると光漏れが発生し黒表示の品位が低下することがある。
【0068】
この斜め視角方向における光漏れの原因の1つは、クロスニコル状態に配置された一対の偏光板40aおよび40bの透過軸を斜め視角方向から観察すると、互いに直交した関係からずれる(透過軸がなす角が90°を超える)ことである。この光漏れによる表示品位の低下は、図1(a)中に示すように、偏光板40aおよび40bを、一方の偏光軸PAが表示面の上下方向に略平行、他方の偏光軸PAが表示面の左右方向に略平行となるように配置することによって抑制することができる。表示面を観察するときには、表示面の上下方向または左右方向に沿って視角を倒すことが多く、このような配置とすると、上下方向または左右方向に沿って視角を倒したときに透過軸が直交関係からずれないからである。なお、本願明細書では、表示面を時計の文字盤に見立てた場合の12時方向を「上側」、6時方向を「下側」、3時方向を「右側」、9時方向を「左側」と呼ぶ。
【0069】
液晶表示装置100が有する絵素電極14は、複数の開口部14aと中実部14bとを有している。開口部14aは、導電膜(例えばITO膜)から形成される絵素電極14の内の導電膜が除去された部分を指し、中実部14bは導電膜が存在する部分(開口部14a以外の部分)を指す。開口部14aは1つの絵素電極ごとに複数形成されているが、中実部14bは、基本的には連続した単一の導電膜から形成されている。
【0070】
複数の開口部14aは、その中心が正方格子を形成するように配置されており、1つの単位格子を形成する4つの格子点上に中心が位置する4つの開口部14aによって実質的に囲まれる中実部(「単位中実部」と称する。)14b’は、4つの頂点を有し、その中心に4回回転軸を有する(すなわち4回回転対称性を有する)略星形の形状を有している。また、各開口部14aは、その中心に4回回転軸を有する略十字形であり、これらの開口部14aは、実質的に同じ形状で同じ大きさを有している。なお、図1(a)中に実線で示した正方形は、単一の導電層から形成された従来の絵素電極に対応する領域(外形)を示している。
【0071】
上述した構成を有する絵素電極14と対向電極22との間に電圧を印加すると、単位中実部14b’の周辺(外周近傍)、すなわち、開口部14aのエッジ部に生成される斜め電界によって、それぞれが放射状傾斜配向を有する複数の液晶ドメインが形成される。液晶ドメインは、それぞれの開口部14aに対応する領域と、単位格子内の単位中実部14b’に対応する領域とに、それぞれ1つずつ形成される。
【0072】
また、絵素電極14は、開口部14aによって実質的に囲まれた単位中実部14b’以外にもそれと実質的に同じ大きさで同じ形状の部分が中実部14bに存在するようにその外形が規定されており、これらの部分のそれぞれに対応する領域にも、液晶ドメインが形成される。本願明細書では、これらの部分も単位中実部と称する。つまり、中実部14bの内で1つの液晶ドメインを形成する電界を発生する部分を「単位中実部」と称する。
【0073】
従って、絵素電極14の中実部14bは、複数の単位中実部14b’を含んでおり、より具体的には、開口部14aによって実質的に囲まれた単位中実部14b’と、TFT基板100aの開口領域(絵素電極14の周囲に存在する導電層が形成されていない領域)15によって実質的に囲まれた中実部14b’と、開口領域15および開口部14aによって実質的に囲まれた中実部14b’とを含んでいる。
【0074】
これらの単位中実部14b’は略星形であり、実質的に同じ形状で同じ大きさを有している。つまり、絵素電極14は、それぞれが略星形の複数の導電部を有している。互いに隣接する単位中実部14b’は互いに接続されており、実質的に単一の導電膜として機能する中実部14bを構成している。
【0075】
ここでは、1つの絵素領域に複数の開口部14aを有する構成を例示したが、1つの開口部を設けるだけで、1つの絵素領域に複数の液晶ドメインを形成することもできる。例えば、図1(a)に示した破線で分割された4つの単位で構成される正方形の領域に注目し、これを1つの絵素電極と見なすと、この絵素電極は、1つの開口部14aとその周辺に配置されている4つの単位中実部14b’で構成されているが、電圧印加時には、放射状傾斜配向をとる5つの液晶ドメインを形成する。
【0076】
さらに、開口部14aを形成しなくても、1つの絵素領域に複数の液晶ドメインを形成することもできる。例えば、互いに隣接する2つの単位に注目し、これを1つの絵素電極と考えると、この絵素電極は、2つの単位中実部14b’で構成され、開口部14aを有しないが、電圧印加時には、放射状傾斜配向をとる2つの液晶ドメインを形成する。このように、絵素電極が、少なくとも、電圧印加時に放射状傾斜配向をとる複数の液晶ドメインを形成するような単位中実部を有していれば(言い換えると、そのような外形を有していれば)、絵素領域内の液晶分子の配向の連続性は得られるので、単位中実部14b’に対応して形成される液晶ドメインの放射状傾斜配向は安定する。
【0077】
上述した斜め電界によって液晶ドメインが形成されるメカニズムを図2(a)および(b)を参照しながら説明する。図2(a)および(b)は、それぞれ図1(b)に示した液晶層30に電圧を印加した状態を示しており、図2(a)は、液晶層30に印加された電圧に応じて、液晶分子30aの配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を模式的に示しており、図2(b)は、印加された電圧に応じて変化した液晶分子30aの配向が定常状態に達した状態を模式的に示している。図2(a)および(b)中の曲線EQは等電位線EQを示す。
【0078】
絵素電極14と対向電極22とが同電位のとき(液晶層30に電圧が印加されていない状態)には、図1(a)に示したように、絵素領域内の液晶分子30aは、両基板11および21の表面に対して垂直に配向している。
【0079】
液晶層30に電圧を印加すると、図2(a)に示した等電位線EQ(電気力線と直交する)EQで表される電位勾配が形成される。この等電位線EQは、絵素電極14の中実部14bと対向電極22との間に位置する液晶層30内では、中実部14bおよび対向電極22の表面に対して平行であり、絵素電極14の開口部14aに対応する領域で落ち込み、開口部14aのエッジ部(開口部14aの境界(外延)を含む開口部14aの内側周辺)EG上の液晶層30内には、傾斜した等電位線EQで表される斜め電界が形成される。
【0080】
負の誘電異方性を有する液晶分子30aには、液晶分子30aの軸方位を等電位線EQに対して平行(電気力線に対して垂直)に配向させようとするトルクが作用する。従って、エッジ部EG上の液晶分子30aは、図2(a)中に矢印で示したように、図中の右側エッジ部EGでは時計回り方向に、図中の左側エッジ部EGでは反時計回り方向に、それぞれ傾斜(回転)し、等電位線EQに平行に配向する。
【0081】
ここで、図3を参照しながら、液晶分子30aの配向の変化を詳細に説明する。
【0082】
液晶層30に電界が生成されると、負の誘電率異方性を有する液晶分子30aには、その軸方位を等電位線EQに対して平行に配向させようとするトルクが作用する。図3(a)に示したように、液晶分子30aの軸方位に対して垂直な等電位線EQで表される電界が発生すると、液晶分子30aには時計回りまたは反時計回り方向に傾斜させるトルクが等しい確率で作用する。従って、互いに対向する平行平板型配置の電極間にある液晶層30内には、時計回り方向のトルクを受ける液晶分子30aと、反時計回りに方向のトルクを受ける液晶分子30aとが混在する。その結果、液晶層30に印加された電圧に応じた配向状態への変化がスムーズに起こらないことがある。
【0083】
図2(a)に示したように、本発明による液晶表示装置100の開口部14aのエッジ部EGにおいて、液晶分子30aの軸方位に対して傾斜した等電位線EQで表される電界(斜め電界)が発生すると、図3(b)に示したように、液晶分子30aは、等電位線EQと平行になるための傾斜量が少ない方向(図示の例では反時計回り)に傾斜する。また、液晶分子30aの軸方位に対して垂直方向の等電位線EQで表される電界が発生する領域に位置する液晶分子30aは、図3(c)に示したように、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aと配向が連続となるように(整合するように)、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aと同じ方向に傾斜する。図3(d)に示したように、等電位線EQが連続した凹凸形状を形成する電界が印加されると、それぞれの傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aによって規制される配向方向と整合するように、平坦な等電位線EQ上に位置する液晶分子30aが配向する。なお、「等電位線EQ上に位置する」とは、「等電位線EQで表される電界内に位置する」ことを意味する。
【0084】
上述したように、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aから始まる配向の変化が進み、定常状態に達すると、図2(b)に模式的に示した配向状態となる。開口部14aの中央付近に位置する液晶分子30aは、開口部14aの互いに対向する両側のエッジ部EGの液晶分子30aの配向の影響をほぼ同等に受けるので、等電位線EQに対して垂直な配向状態を保ち、開口部14aの中央から離れた領域の液晶分子30aは、それぞれ近い方のエッジ部EGの液晶分子30aの配向の影響を受けて傾斜し、開口部14aの中心SAに関して対称な傾斜配向を形成する。この配向状態は、液晶表示装置100の表示面に垂直な方向(基板11および21の表面に垂直な方向)からみると、液晶分子30aの軸方位が開口部14aの中心に関して放射状に配向した状態にある(不図示)。そこで、本願明細書においては、このような配向状態を「放射状傾斜配向」と呼ぶことにする。また、1つの中心に関して放射状傾斜配向をとる液晶層の領域を液晶ドメインと称する。
【0085】
開口部14aによって実質的に包囲された単位中実部14b’に対応する領域においても、液晶分子30aが放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが形成される。単位中実部14b’に対応する領域の液晶分子30aは、開口部14aのエッジ部EGの液晶分子30aの配向の影響を受け、単位中実部14b’の中心SA(開口部14aが形成する単位格子の中心に対応)に関して対称な放射状傾斜配向をとる。また、液晶層30に電圧が印加されると、開口領域15のエッジ部にも、開口部14aのエッジ部EGと同様に斜め電界が発生するので、開口領域15によって実質的に包囲された単位中実部14b’や、開口領域15と開口部14aとによって実質的に包囲された単位中実部14b’に対応する領域においても、液晶分子30aが放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが形成される。
【0086】
単位中実部14b’に形成される液晶ドメインにおける放射状傾斜配向と開口部14aに形成される放射状傾斜配向は連続しており、いずれも開口部14aのエッジ部EGの液晶分子30aの配向と整合するように配向している。開口部14aに形成された液晶ドメイン内の液晶分子30aは、上側(基板100b側)が開いたコーン状に配向し、単位中実部14b’に形成された液晶ドメイン内の液晶分子30aは下側(基板100a側)が開いたコーン状に配向する。このように、開口部14aに形成される液晶ドメインおよび単位中実部14b’に形成される液晶ドメインに形成される放射状傾斜配向は、互いに連続であるので、これらの境界にディスクリネーションライン(配向欠陥)が形成されることがなく、それによって、ディスクリネーションラインの発生による表示品位の低下は起こらない。
【0087】
液晶表示装置の表示品位の視角依存性を全方位において改善するためには、それぞれの絵素領域内において、全ての方位角方向のそれぞれに沿って配向する液晶分子の存在確率が回転対称性を有することが好ましい。すなわち、絵素領域の全体に亘って形成される液晶ドメインが回転対称性を有するように配置されていることが好ましい。但し、絵素領域の全体に亘って回転対称性を有する必要は必ずしも無く、回転対称性を有するように配列された液晶ドメイン(例えば、正方格子状に配列された複数の液晶ドメイン)の集合体として絵素領域の液晶層が形成されればよい。従って、絵素領域に形成される複数の開口部14aの配置も絵素領域の全体に亘って回転対称性を有する必要は必ずしも無く、回転対称性を有するように配列された開口部(例えば正方格子状に配列された複数の開口部)の集合体として表せれればよい。勿論、複数の開口部14aに実質的に包囲される単位中実部14b’の配置も同様である。また、それぞれの液晶ドメインの形状も回転対称性を有することが好ましいので、それぞれの開口部14aおよび単位中実部14b’の形状も回転対称を有することが好ましい。
【0088】
なお、開口部14aの中央付近の液晶層30には十分な電圧が印加されず、開口部14aの中央付近の液晶層30が表示に寄与しない場合がある。すなわち、開口部14aの中央付近の液晶層30の放射状傾斜配向が多少乱れても(例えば、中心軸が開口部14aの中心からずれても)、表示品位が低下しないことがある。従って、少なくとも単位中実部14b’に対応して形成される液晶ドメインが回転対称性を有するように配置されていればよい。
【0089】
図2(a)および(b)を参照しながら説明したように、本発明による液晶表示装置100の絵素電極14は複数の開口部14aを有しており、絵素領域内の液晶層30内に、傾斜した領域を有する等電位線EQで表される電界を形成する。電圧無印加時に垂直配向状態にある液晶層30内の負の誘電異方性を有する液晶分子30aは、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aの配向変化をトリガーとして配向方向を変化し、安定な放射状傾斜配向を有する液晶ドメインが開口部14aおよび中実部14bに形成される。液晶層に印加される電圧に応じて、この液晶ドメインの液晶分子の配向が変化することによって、表示が行われる。
【0090】
本実施形態の液晶表示装置100が有する絵素電極14が有する開口部14aの形状(基板法線方向から見た形状)およびその配置について説明する。
【0091】
液晶表示装置の表示特性は、液晶分子の配向状態(光学的異方性)に起因して、方位角依存性を示す。表示特性の方位角依存性を低減するためには、液晶分子が全ての方位角に対してほぼ同等の確率で配向していることが好ましい。また、それぞれの絵素領域内の液晶分子が全ての方位角に対してほぼ同等の確率で配向していることがさらに好ましい(なお、後述するように、本発明による液晶表示装置100では、液晶分子30aをすべての方位角に対して全く同じ確率で配向させるわけではない。)。従って、開口部14aは、それぞれの絵素領域内の液晶分子30aがすべての方位角に対してほぼ同等の確率で配向するように、液晶ドメインを形成するような形状を有していることが好ましい。具体的には、開口部14aの形状は、それぞれの中心(法線方向)を対称軸とする回転対称性(好ましくは2回回転対称性以上の対称性)を有することが好ましく、また、複数の開口部14aが回転対称性を有するように配置されていることが好ましい。また、単位中実部14b’の形状も回転対称性を有することが好ましく、単位中実部14b’も回転対称性を有するように配置されることが好ましい。
【0092】
但し、開口部14aや単位中実部14bが絵素領域全体に亘って回転対称性を有するように配置される必要は必ずしも無く、図1(a)に示したように、例えば正方格子(4回回転軸を有する対称性)を最小単位とし、それらの組合せによって絵素領域が構成されれば、絵素領域全体に亘って液晶分子がすべての方位角に対して実質的に同等の確率で配向させることができる。
【0093】
図1(a)に示した、回転対称性を有する略十字形の開口部14aおよび略星形の単位中実部14bが正方格子状に配列された場合の液晶分子30aの配向状態を図4(a)〜図4(c)を参照しながら説明する。
【0094】
図4(a)〜(c)は、それぞれ、基板法線方向から見た液晶分子30aの配向状態を模式的に示している。図4(b)および(c)など、基板法線方向から見た液晶分子30aの配向状態を示す図において、楕円状に描かれた液晶分子30aの先が黒く示されている端は、その端が他端よりも、開口部14aを有する絵素電極14が設けられている基板側に近いように、液晶分子30aが傾斜していることを示している。以下の図面においても同様である。ここでは、図1(a)に示した絵素領域の内の1つの単位格子(4つの開口部14aによって形成される)について説明する。図4(a)〜図4(c)中の対角線に沿った断面は、図1(b)、図2(a)および(b)にそれぞれ対応し、これらの図を合わせて参照しながら説明する。
【0095】
絵素電極14および対向電極22が同電位のとき、すなわち液晶層30に電圧が印加されていない状態においては、TFT基板100aおよび対向基板100bの液晶層30側表面に設けられた垂直配向層(不図示)によって配向方向が規制されている液晶分子30aは、図4(a)に示したように、垂直配向状態を取る。
【0096】
液晶層30に電界を印加し、図2(a)に示した等電位線EQで表される電界が発生すると、負の誘電率異方性を有する液晶分子30aには、軸方位が等電位線EQに平行になるようなトルクが発生する。図3(a)および(b)を参照しながら説明したように、液晶分子30aの分子軸に対して垂直な等電位線EQで表される電場下の液晶分子30aは、液晶分子30aが傾斜(回転)する方向が一義的に定まっていないため(図3(a))、配向の変化(傾斜または回転)が容易に起こらないのに対し、液晶分子30aの分子軸に対して傾斜した等電位線EQ下に置かれた液晶分子30aは、傾斜(回転)方向が一義的に決まるので、配向の変化が容易に起こる。従って、図4(b)に示したように、等電位線EQに対して液晶分子30aの分子軸が傾いている開口部14aのエッジ部から液晶分子30aが傾斜し始める。そして、図3(c)を参照しながら説明したように、開口部14aのエッジ部の傾斜した液晶分子30aの配向と整合性をとるように周囲の液晶分子30aも傾斜し、図4(c)に示したような状態で液晶分子30aの軸方位は安定する(放射状傾斜配向)。
【0097】
このように、開口部14aが回転対称性を有する形状であると、絵素領域内の液晶分子30aは、電圧印加時に、開口部14aのエッジ部から開口部14aの中心に向かって液晶分子30aが傾斜するので、エッジ部からの液晶分子30aの配向規制力が釣り合う開口部14aの中心付近の液晶分子30aは基板面に対して垂直に配向した状態を維持し、その回りの液晶分子30aが開口部14aの中心付近の液晶分子30aを中心に放射状に液晶分子30aが連続的に傾斜した状態が得られる。
【0098】
また、略星形の単位中実部14b’に対応する領域の液晶分子30aも、開口部14aおよび/または開口領域15のエッジ部に生成される斜め電界で傾斜した液晶分子30aの配向と整合するように傾斜する。エッジ部からの液晶分子30aの配向規制力が釣り合う単位中実部14b’の中心付近の液晶分子30aは基板面に対して垂直に配向した状態を維持し、その回りの液晶分子30aが単位中実部14b’の中心付近の液晶分子30aを中心に放射状に液晶分子30aが連続的に傾斜した状態が得られる。
【0099】
このように、絵素領域全体に亘って、液晶分子30aが放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが正方格子状に配列されると、それぞれの軸方位の液晶分子30aの存在確率が回転対称性を有することになり、あらゆる視角方向に対して、ざらつきのない高品位の表示を実現することができる。放射状傾斜配向を有する液晶ドメインの視角依存性を低減するためには、液晶ドメインが高い回転対称性(2回回転軸以上が好ましく、4回回転軸以上がさらに好ましい。)を有することが好ましい。また、絵素領域全体の視角依存性を低減するためには、絵素領域に形成される複数の液晶ドメインが、高い回転対称性(2回回転軸以上が好ましく、4回回転軸以上がさらに好ましい。)を有する単位(例えば単位格子)の組合せで表される配列(例えば正方格子)を構成することが好ましい。
【0100】
上述したように、液晶表示装置100では、放射状傾斜配向をとる液晶ドメインが安定に、高い連続性を有するように形成されるので、視野角特性が高い。
【0101】
さらに、本発明による液晶表示装置100では、絵素電極14の単位中実部14b’のそれぞれが、図1(a)に示すように、鋭角化された4つの角部14cを有しており、各単位中実部14b’が有する4つの角部14cは、1つが表示面の上側を向き、他の1つが表示面の下側を向き、さらに他の1つが表示面の右側を向き、そして残りの1つが表示面の左側を向いている。
【0102】
単位中実部14b’が鋭角化された4つの角部14cを有していると、すべての方位角方向のそれぞれに沿って配向する液晶分子30aの存在確率に高い回転対称性をもたせたまま、特定の方位角方向に沿って配向する液晶分子30aの存在確率を高く(あるいは低く)することができる。例えば、単位中実部14b’の形状が略円形や略矩形である場合に比べて、特定の方位角方向に沿って配向する液晶分子30aの存在確率を高く(あるいは低く)することができる。すなわち、全ての方位角方向のそれぞれに沿って配向する液晶分子30aの存在確率に高い指向性をもたせることができる。
【0103】
具体的には、鋭角化された4つの角部14cはそれぞれ表示面の上側、下側、右側および左側を向いているので、これらの方向に平行に配向する液晶分子30a、すなわち、表示面の上下方向(12時―6時方向)に平行に配向する液晶分子30aおよび表示面の左右方向(3時―9時方向)に平行に配向する液晶分子30aの存在確率を相対的に低くすることができる。また、これらの間の方向に平行に配向している液晶分子30a、表示面の右上―左下方向(1時半―7時半方向)に平行に配向する液晶分子30aおよび表示面の右下―左上方向(4時半―10時半方向)に平行に配向する液晶分子30aの存在確率を相対的に高くすることができる。
【0104】
そのため、偏光板40aおよび40bの一方の透過軸が表示面の上下方向に略平行に配置され、他方の透過軸が表示面の左右方向に平行に配置されている構成において、明るい表示を実現することができる。上述したように液晶分子30aの存在確率が高い指向性をもっているので、光入射側の偏光板の透過軸に対して略垂直または略平行に配向する液晶分子30aすなわち入射光に対して位相差をほとんど与えない液晶分子30aの存在確率を相対的に低くすることができ、また、光入射側の偏光板の透過軸に対して45°傾斜した方向に略平行に配向する液晶分子30aすなわち入射光に対して大きな位相差を与える液晶分子30aの存在確率を相対的に高くすることができるからである。
【0105】
なお、一般的な矩形状の絵素電極では、絵素電極の4つの角部はそれぞれ表示面の右上、右下、左上および左下を向いているが、これと同様に、鋭角化された4つの角部14cをそれぞれ表示面の右上、右下、左上および左下に向けると、図1(a)に示した透過軸設定ではかえって暗い表示になってしまう。これに対して、本発明による液晶表示装置100では、鋭角化された4つの角部14cがそれらの方向(表示面の右上、右下、左上、左下)から略45°傾いていることによって、図1(a)の透過軸設定(視角を傾けたときの表示品位の低下が抑制される)において、明るい表示を行うことができる。
【0106】
図5に、偏光板の透過軸と角部14cが向いている方向との関係を変化させたときの光透過率(白表示状態の透過率)の変化を示す。なお、図5に示す透過軸角度は、図6に示すように角部14cの向いている方向と偏光板40aの透過軸とが45°の角度をなしている状態を0°とし、その状態から透過軸を時計回りに回転させたときを正、反時計回りに回転させたときを負としている。また、図5では、最大の透過率を1とした透過率比を示しており、比較のために、樽形(角部が円弧状の略矩形)の単位中実部(図6中に破線で示している)1014b’を用いた場合の透過率を破線で示している。
【0107】
図5からわかるように、単位中実部が樽形である場合には、透過軸の角度がほぼ0°で最大の透過率が得られる。つまり、角部が向いている方向と透過軸とが45°の角度をなしている場合に明るい表示が実現される。
【0108】
これに対して、本実施形態のように、角部14cが鋭角化されている場合には、透過軸の角度が45°、−45°でほぼ最高の透過率が得られ、透過軸の角度0°付近では低い透過率しか得られないことがわかる。つまり、角部14cが向いている方向と透過軸とがほぼ一致していると、明るい表示を実現することがわかる。従って、一対の偏光板の一方の透過軸が表示面の上下方向、他方の透過軸軸が左右方向に略平行な場合には、鋭角化された4つの角部14cをそれぞれ表示面の上側、下側、右側および左側を向いていることによって高い透過率が得られることがわかる。
【0109】
なお、図5において透過率が最大となる角度が45°、−45°から若干ずれているのは、図5に透過率を示した液晶表示装置においては、液晶分子30aの放射状傾斜配向が、図7(a)に示すような単純な放射状傾斜配向ではなく、図7(b)および(c)に示すような、左回りまたは右回りの渦巻き状の放射状傾斜配向であるからである。
【0110】
図7(a)に示すような単純な放射状傾斜配向の場合、透過率は45°、−45°でほぼ最大となる。図7(b)および(c)に示すような、左回りまたは右回りの渦巻き状の放射状傾斜配向は、図7(a)に示す単純な放射状傾斜方向よりも安定である。この渦巻き状配向は、通常のツイスト配向のように液晶層30の厚さ方向に沿って液晶分子30aの配向方向が螺旋状に変化するのではなく、液晶分子30aの配向方向は微小領域でみると、液晶層30の厚さ方向に沿ってほとんど変化していない。すなわち、液晶層30の厚さ方向のどこの位置の断面(層面に平行な面内での断面)においても、図7(b)または(c)と同じ配向状態にあり、液晶層30の厚さ方向に沿ったツイスト変形をほとんど生じていない。但し、液晶ドメインの全体でみると、ある程度のツイスト変形が発生している。
【0111】
負の誘電異方性を有するネマチック液晶材料にカイラル剤を添加した材料を用いると、電圧印加時に、液晶分子30aは、開口部14aおよび単位中実部14b’を中心に、図7(b)および(c)に示した、左回りまたは右回りの渦巻き状放射状傾斜配向をとる。右回りか左回りかは用いるカイラル剤の種類によって決まる。従って、電圧印加時に開口部14a内の液晶層30を渦巻き状放射状傾斜配向させることによって、放射状傾斜している液晶分子30aの、基板面に垂直に立っている液晶分子30aの周りを巻いている方向を全ての液晶ドメイン内で一定にすることができるので、ざらつきの無い均一な表示が可能になる。さらに、基板面に垂直に立っている液晶分子30aの周りを巻いている方向が定まっているので、液晶層30に電圧を印加した際の応答速度も向上する。また、カイラル剤を十分に多く添加すると、電圧を十分に印加した状態で液晶層30の厚さ方向に沿ったツイスト変形が発生するので、中間調で観察される十字状の消光模様が消え、透過率が向上する。
【0112】
また、本発明による液晶表示装置100では、単位中実部14b’の角部14cが鋭角化されていることによって、応答特性も向上する。以下、その理由を説明する。
【0113】
図8(a)に示すように、単位中実部14b’の角部14cが鋭角化されていると、図8(b)に示すように直角の角部1014c’を有している場合よりも、斜め電界を生成するための電極の辺がより多く形成されるので、より多くの液晶分子30aに斜め電界を作用させることができる。そのため、電界に応答して最初に傾斜し始める液晶分子30aの数がより多くなり、絵素領域全域にわたって放射状傾斜配向が形成されるのに要する時間が短くなるので、応答速度が向上する。
【0114】
また、角部14cが鋭角化されていると、電極の辺から単位中実部14b’内の液晶分子30aまでの距離を短くすることができるので、単位中実部14b’内の液晶分子30aの配向規制をより効果的に行うことができる。そのため、この点からも優れた応答特性が得られる。例えば、単位中実部が略矩形状の場合、対向する角部同士を結ぶ対角線付近の液晶分子は、電極の辺からの距離が遠いので、エッジ部周辺に発生する斜め電界の影響を受けにくく、応答するのが遅い。これに対して、単位中実部14b’の角部14cが鋭角化されていると、電極の辺と対角線付近の液晶分子30aとの距離が近くなるので、対角線付近の液晶分子30aの応答が速くなり、そのことによって応答速度が速くなる。
【0115】
なお、ここでは、鋭角化された4つの角部14cを有する単位中実部14b’が実質的に直線からのみ構成されている場合を例示したが、単位中実部14b’の形状はこれに限定されない。単位中実部14b’は、図9(a)および(b)に示すように、曲線を含んで構成されてもよく、「鋭角化された角部」は、2直線が90°未満の角をなしている角部だけでなく、曲線と直線あるいは2曲線が90°未満の角をなしている(交点における接線が90°未満の角をなしている)角部も含んでいる。また、図9(c)に示すように、単位中実部14b’の角部14cが頂点を有しなくてもよい。
【0116】
また、隣接する単位中実部14b’同士を電気的に接続する枝部(接続電極)の位置は、図1(a)に示すものに限定されない。図1(a)では、単位中実部14b’の内側に凹んだ部分同士を接続するように枝部が設けられているが、図10に示すように、隣接する単位中実部14b’同士が角部14cで接続されていてもよい。この場合、開口部14aの形状は略ひし形となる。また、図9(b)に示す単位中実部14b’を角部14cで接続する場合には、開口部の形状は2つの円弧(典型的には劣弧)状の辺を組み合わせた略円弧二角形(いわゆるアーモンド形)となる。
【0117】
上述した液晶表示装置100の構成は、絵素電極14が複数の単位中実部14b’を有する電極であること以外は、公知の垂直配向型液晶表示装置と同じ構成を採用することができ、公知の製造方法で製造することができる。
【0118】
なお、典型的には、負の誘電異方性を有する液晶分子を垂直配向させるために、絵素電極14および対向電極22の液晶層30側表面には垂直配向層(不図示)が形成されている。液晶材料としては、負の誘電異方性を有するネマチック液晶材料が用いられる。
【0119】
次に、図11を参照しながら、本発明による他の液晶表示装置200を説明する。図1に示す液晶表示装置100の中実部14b’が単位中実部14b’のみを含んでいるのに対して、液晶表示装置200の中実部14は、絵素領域の端部に、単位中実部14b’の一部分と実質的に同じ形状を有するサブ単位中実部14dを有している。なお、図11では、絵素電極14をスイッチングするスイッチング素子に電気的に接続された走査配線2および信号配線4も併せて示している。
【0120】
図11に示すように、液晶表示装置200では、絵素電極14の中実部14bは、単位中実部14b’に加えて、単位中実部14b’の略2分の1に相当する形状のサブ単位中実部14d1と、単位中実部14b’の略4分の1に相当する形状のサブ単位中実部14d2とを有している。サブ単位中実部14d1は、絵素領域の辺に対応する領域に設けられており、サブ単位中実部14d2は、絵素領域の角に対応する領域に設けられている。
【0121】
液晶層30に電圧が印加されると、サブ単位中実部14dの周辺にも斜め電界が生成され、この斜め電界によって、各サブ単位中実部14dに対応する領域にも液晶ドメインが形成される。そのため、液晶表示装置200では、絵素領域の全体にわたって安定な配向状態が得られる。
【0122】
さらに、液晶表示装置200では、絵素領域の端部にサブ単位中実部14dが配置されているので、絵素領域における中実部14bの面積比率を高くすることができる。従って、絵素電極14によって生成される電界の影響を直接的に受ける液晶層30の面積(基板法線方向から見たときの平面内に規定される)を大きくすることができ、実効開口率(透過率)を向上することができる。そのため、より明るい表示を行うことができる。
【0123】
一般的には、絵素領域の形状は、表示面の上下方向に平行な辺と、表示面の左右方向に平行な辺とから構成される矩形状である。そのため、鋭角化された4つの角部14cを表示面の上下左右に向ける場合、中実部14bを単位中実部14bのみから構成すると、絵素領域の端部に絵素領域の中央部と同じ密度で単位中実部14b’を配置することはできず、絵素領域の端部にまで中実部14に対応した液晶ドメインを高密度で形成することは難しい。
【0124】
これに対して、図11に示すように、絵素領域の端部にサブ単位中実部14dを配置すると、絵素領域の端部にも高密度で中実部14bに対応した液晶ドメインを形成することができるので、絵素領域の全体にわたって配向状態を安定化させるとともに、より明るい表示を実現することができる。
【0125】
表示品位の視角依存性を低減する観点からは、絵素領域の全体に亘って液晶ドメインが回転対称性を有するように配置されていることが好ましく、絵素領域の端部に形成される液晶ドメインも、絵素領域の中央部に形成される液晶ドメインとともに回転対称性を有するように配置されていることが好ましい。つまり、複数のサブ単位中実部14dは、複数の単位中実部14b’の少なくとも一部の単位中実部14b’とともに回転対称性を有するように配列(例えば相補的に少なくとも1つの単位格子を形成するように配列)されていることが好ましい。
【0126】
また、同様の観点から、各絵素領域内の複数のサブ単位中実部14dが、単位中実部14b’と同じ形状を整数個相補的に形成することが好ましい。液晶表示装置200の場合、1つの絵素領域内に、図11に示したように、単位中実部14b’の略2分の1に相当する形状のサブ単位中実部14d1が13個、単位中実部14b’の略4分の1に相当する形状のサブ単位中実部14d2が2個配置されているので、これらのサブ単位中実部14dは、単位中実部14b’と同じ形状を相補的に7個形成される。そのため、優れた視野角特性が得られる。
【0127】
勿論、サブ単位中実部14dを絵素領域の端部に配置することによって上記の効果が得られるのは、図11に示した形状の絵素電極14に限定されない。例えば、図10に示した形状についても、図12に示すようにサブ単位中実部14dを絵素領域の端部に配置することによって、同様の効果が得られる。
【0128】
図12に示した絵素電極14を備えている場合の絵素領域の配向状態をあらわす偏光顕微鏡写真を図13(a)および(b)に示す。図13(a)は白表示状態(6.2V印加状態)、図13(b)は中間調表示状態(3.0V印加状態)に相当する。なお、偏光板の透過軸は表示面の上下方向および左右方向に沿っている(以下では「+配置」とも称する。)。
【0129】
図13(a)および(b)からわかるように、単位中実部14b’に対応した領域だけでなく、絵素領域の端部のサブ単位中実部14dに対応した領域にも液晶ドメインが形成されている。
【0130】
比較のために、図14(a)および(b)に、図12に示した絵素電極14を備えている場合に偏光板の透過軸を右上―左下方向、左上―右下方向に沿って配置(以下では「×配置」とも称する。)したときの偏光顕微鏡写真を示す。
【0131】
図13(a)および(b)と、図14(a)および(b)との比較からわかるように、鋭角化された4つの角部14cを表示面の上下左右に向ける場合には、「×配置」よりも「+配置」の方が明るい表示が実現されている。
【0132】
また、図15に示すように鋭角化された4つの角部をそれぞれ表示面の右上、右下、左下および右下に向けた比較例の絵素電極1014を用いたときの偏光顕微鏡写真を図16(a)および(b)と図17(a)および(b)とに示す。図16(a)および(b)は、偏光板の透過軸を「+配置」とした場合、図17(a)および(b)は、偏光板の透過軸を「×配置」とした場合に相当する。
【0133】
図16(a)および(b)と図17(a)および(b)との比較からわかるように、4つの角部をそれぞれ表示面の右上、右下、左下および右下に向けた比較例の絵素電極1014の場合には、「+配置」は「×配置」よりも暗い表示となってしまう。
【0134】
上述したように、絵素領域の端部にサブ単位中実部14dを配置することによって表示特性を向上することができるが、サブ単位中実部14dの形状は、単位中実部14b’の一部分に相当する形状であるので、サブ単位中実部14dに対応して形成される液晶ドメインは、単位中実部14b’に対応して形成される液晶ドメインに比べて配向安定性が十分ではないことがある。
【0135】
対向基板のサブ単位中実部14dに対応する領域に配向規制構造を設けることによって、サブ単位中実部14dに形成される液晶ドメインの配向安定性を向上することができる。
【0136】
図18に、対向基板上に配向規制構造28を備えた液晶表示装置300を模式的に示す。液晶表示装置300の対向基板は、図18に示すように、絵素電極14の単位中実部14b’に対応する領域とサブ単位中実部14dに対応する領域とにそれぞれ配向規制構造28を備えている。
【0137】
配向規制構造28を有する対向基板300bを図19(a)〜(d)に模式的に示す。図19(a)〜(d)に示した配向規制構造28は、少なくとも絵素電極14と対向電極22との間に電圧が印加された状態において液晶層30の液晶分子に対して配向規制力を発現し、液晶層30の液晶分子30aを放射状傾斜配向させるように作用する。配向規制構造28による配向規制方向は、単位中実部14b’やサブ単位中実部14dの周辺に生成される斜め電界による配向規制方向と整合する。
【0138】
図19(a)に示した配向規制構造28は、対向電極22の開口部22aによって構成されている。なお、対向基板300bの液晶層30側の表面には垂直配向膜(不図示)が設けられている。
【0139】
この配向規制構造28は、電圧印加時にのみ配向規制力を発現する。配向規制構造28は、絵素電極14の中実部14bによって形成される液晶ドメイン内の液晶分子に対して配向規制力を作用すればよいので、開口部22aの大きさは、絵素電極14に設けられる開口部14aよりも小さく、また、単位中実部14b’(例えば図1(a)参照)よりも小さい。例えば、開口部14aや単位中実部14b’の面積の半分以下で十分な効果を得ることができる。対向電極22の開口部22aを絵素電極14の単位中実部14b’の中央部に対向する位置に設けることによって、液晶分子の配向の連続性が高くなり、且つ、放射状傾斜配向の中心軸の位置を固定することができる。
【0140】
このように、配向規制構造として、電圧印加時にのみ配向規制力を発現する構造を採用すると、電圧無印加状態において液晶層30のほとんど全ての液晶分子30aが垂直配向状態をとるので、ノーマリブラックモードを採用した場合に、黒表示状態において光漏れがほとんど発生せず、良好なコントラスト比の表示を実現できる。
【0141】
但し、電圧無印加状態に配向規制力が発生しないので放射状傾斜配向が形成されず、また、印加電圧が低いときには配向規制力が小さいので、あまり大きな応力が液晶パネルに印加されると、残像が視認されることがある。
【0142】
図19(b)〜(d)に示した配向規制構造28は、電圧の印加無印加に関わらず、配向規制力を発現するので、全ての表示階調において安定した放射状傾斜配向が得られ、応力に対する耐性にも優れている。
【0143】
まず、図19(b)に示した配向規制構造28は、対向電極22上に液晶層30側に突き出た凸部22bを有する。凸部22bを形成する材料に特に制限はないが、樹脂などの誘電体材料を用いて容易に形成することができる。なお、対向基板300bの液晶層30側の表面には垂直配向膜(不図示)が設けられている。凸部22bは、その表面(垂直配向性を有する)の形状効果によって、液晶分子30aを放射状に傾斜配向させる。また、熱によって変形する樹脂材料を用いると、パターニングの後の熱処理によって、図19(b)に示したような、なだらかな丘上の断面形状を有する凸部22bを容易に形成できるので好ましい。図示したように、頂点を有するなだらかな断面形状(例えば球の一部)を有する凸部22bや円錐状の形状を有する凸部は、放射状傾斜配向の中心位置を固定する効果に優れている。
【0144】
図19(c)に示した配向規制構造28は、対向電極22の下(基板21側)に形成された誘電体層23に設けられた開口部(凹部でもよい)23a内の液晶層30側の水平配向性表面によって構成されている。ここでは、対向基板300bの液晶層30側に形成される垂直配向膜24を、開口部23a内にだけ形成しないことで、開口部23a内の表面を水平配向性表面としている。これに代えて、図19(d)に示したように、開口部23a内にだけ、水平配向膜25を形成してもよい。
【0145】
図19(d)に示した水平配向膜は、例えば、一旦対向基板300bの全面に垂直配向膜24を形成し、開口部23a内に存在する垂直配向膜24に選択的に紫外線を照射するなどして、垂直配向性を低下させることよって形成してもよい。配向規制構造28を構成するために必要な水平配向性は、TN型液晶表示装置に用いられている配向膜のようにプレチルト角が小さい必要はなく、例えば、プレチルト角が45°以下であればよい。
【0146】
図19(c)および(d)に示したように、開口部23a内の水平配向性表面上では、液晶分子30aが基板面に対して水平に配向しようとするので、周囲の垂直配向膜24上の垂直配向している液晶分子30aの配向と連続性を保つような配向が形成され、図示したような放射状傾斜配向が得られる。
【0147】
対向電極22の表面に凹部(誘電体層23の開口部によって形成される)を設けずに、対向電極22の平坦な表面上に、水平配向性表面(電極の表面または水平配向膜など)を選択的に設けるだけでも放射状傾斜配向が得られるが、凹部の形状効果によって、放射状傾斜配向をさらに安定化することができる。
【0148】
対向基板300bの液晶層30側の表面に凹部を形成するために、例えば、誘電体層23として、カラーフィルタ層やカラーフィルタ層のオーバーコート層を用いると、プロセスが増加することが無いので好ましい。また、図19(c)および(d)に示した構造は、図19(a)に示した構造のように、凸部22bを介して液晶層30に電圧が印加される領域が存在しないので、光の利用効率の低下が少ない。
【0149】
上述した配向規制構造28を備える液晶表示装置300の断面構成を図20(a)に示す。図20(a)は、図18中の20A−20A’線に沿った断面図に相当する。
【0150】
液晶表示装置300は、中実部14bを含む絵素電極14を有するTFT基板100aと、配向規制構造28を有する対向基板300bとを有している。ここでは、配向規制構造28として、電圧無印加時にも配向規制力を発現するもの(図19(b)〜(d))を例示するが、図19(a)に示したものを用いることもできる。また、図20(a)では、単位中実部14b’に対応した領域に設けられた配向規制構造28を示しているが、サブ単位中実部14dに対応した領域に設けられた配向規制構造28についてもその説明に変わるところはない。
【0151】
対向基板300bに設けられている配向規制構造28は、絵素電極14の単位中実部14b’に対応する領域と、サブ単位中実部14dに対応する領域とに配置されている。
【0152】
このように配置することによって、液晶層30に電圧を印加した状態、すなわち、絵素電極14と対向電極22との間に電圧を印加した状態において、中実部14bの周辺に生成される斜め電界による配向規制方向と、配向規制構造28が発現する配向規制力による配向規制方向とが整合し、放射状傾斜配向が安定化する。この様子を図20(a)〜(c)に模式的に示している。図14(a)は電圧無印加時を示し、図20(b)は電圧印加後に配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を示し、図20(c)は電圧印加中の定常状態を模式的に示している。
【0153】
配向規制構造(図19(b)〜(d))による配向規制力は、図20(a)に示したように、電圧無印加状態においても、近傍の液晶分子30aに作用し、放射状傾斜配向を形成する。
【0154】
電圧を印加し始めると、図20(b)に示したような等電位線EQで示される電界が発生し(中実部14bによる)、開口部14aおよび中実部14bに対応する領域に液晶分子30aが放射状傾斜配向した液晶ドメインが形成され、図20(c)に示したような定常状態に達する。このとき、それぞれの液晶ドメイン内の液晶分子30aの傾斜方向は、対応する領域に設けられた配向規制構造28の配向規制力による液晶分子30aの傾斜方向と一致する。
【0155】
このように、対向基板300b上に配向規制構造28を設けることによって、絵素電極14によって形成される放射状傾斜配向状態をより安定化することができる。なお、ここでは、サブ単位中実部14dに対応した領域だけでなく、単位中実部14b’に対応した領域にも配向規制構造28を設ける構成を説明したが、単位中実部14b’に対応した領域に設ける配向規制構造28を省略してもよい。少なくともサブ単位中実部14dに対応した領域に配向規制構造28を設けることによって十分に安定な配向状態を実現できる。なお、単位中実部14b’に対応して設けられる配向規制構造28は、単位中実部14b’に対向した領域の中央付近に設けられることが好ましいが、サブ単位中実部14dに対応して設けられる配向規制構造28は、必ずしもサブ単位中実部14dに対向する領域内にそのすべてが含まれる必要はない。図12に示したようにその一部(例えば略2分の1あるいは略4分の1)がサブ単位中実部14dに対向した領域内に含まれていれば、サブ単位中実部14dに形成される液晶ドメインの配向を安定化することができる。
【0156】
また、単位中実部14b’に対応した領域にも配向規制構造28を設けることによって、さらに安定な配向状態を実現でき、液晶セルへの応力の印加などに起因した表示品位の低下を抑制できる。
【0157】
定常状態にある液晶表示装置300に応力が印加されると、液晶層30の放射状傾斜配向は一旦崩れるが、応力が取り除かれると、絵素電極14および配向規制構造28による配向規制力が液晶分子30aに作用しているので、放射状傾斜配向状態に復帰する。従って、応力による残像の発生が抑制される。配向規制構造28による配向規制力が強すぎると、電圧無印加時にも放射状傾斜配向によるリタデーションが発生し、表示のコントラスト比を低下するおそれがあるが、配向規制構造28による配向規制力は、絵素電極14によって形成される放射状傾斜配向の安定化および中心軸位置を固定する効果を有せばいいので、強い配向規制力は必要なく、表示品位を低下させるほどのリタデーションを発生させない程度の配向規制力で十分である。
【0158】
例えば、図13(b)に示した凸部22bを採用する場合、直径が約30μm〜約35μmの単位中実部14b’に対して、それぞれ直径が約15μmで高さ(厚さ)が約1μmの凸部22を形成すれば、十分な配向規制力が得られ、且つ、リタデーションによるコントラスト比の低下も実用上問題の無いレベルに抑えられる。
【0159】
なお、配向規制構造28と組み合わせて用いることができる絵素電極14の形状は、図11や図12に例示したものに限定されず、図9や図10に示した形状の絵素電極14を用いてもよい。
【0160】
また、絵素電極に開口部を設けた構成では、開口部に対応する領域の液晶層に十分な電圧が印加されず、十分なリタデーション変化が得られないために、光の利用効率が低下するという問題が発生することがある。そこで、開口部を設けた電極(上層電極)の液晶層とは反対側に誘電体層を設け、この誘電体層を介して電極の開口部の少なくとも一部に対向するさらなる電極(下層電極)を設ける(すなわち2層構造電極とする)ことによって、開口部に対応する液晶層に十分な電圧を印加することができ、光の利用効率や応答特性を向上することができる。
【0161】
図21(a)〜(c)に、下層電極12と、上層電極14と、これらの間に設けられた誘電体層13とを有する絵素電極(2層構造電極)16を備える液晶表示装置400の1つの絵素領域の断面構造を模式的に示す。絵素電極16の上層電極14は、上述した絵素電極14と実質的に等価で、上述した種々の形状、配置の開口部および中実部を有する。以下では、2層構造を有する絵素電極16の機能を説明する。
【0162】
液晶表示装置400の絵素電極16は、複数の開口部14a(14a1および14a2を含む)を有する。図21(a)は、電圧が印加されていない液晶層30内の液晶分子30aの配向状態(OFF状態)を模式的に示している。図21(b)は、液晶層30に印加された電圧に応じて、液晶分子30aの配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を模式的に示している。図21(c)は、印加された電圧に応じて変化した液晶分子30aの配向が定常状態に達した状態を模式的に示している。なお、図21では、開口部14a1および14a2に誘電体層13を介して対向するように設けられた下層電極12は、開口部14a1および14a2のそれぞれと重なり、且つ、開口部14a1および14a2の間の領域(上層電極14が存在する領域)にも存在するように形成された例を示したが、下層電極12の配置はこれに限られず、開口部14a1および14a2のそれぞれに対して、下層電極12の面積=開口部14aの面積、または、下層電極12の面積<開口部14aの面積としてもよい。すなわち、下層電極12は、誘電体層13を介して開口部14aの少なくとも一部と対向するように設けられていればよい。但し、下層電極12が開口部14a内に形成された構成においては、基板11の法線方向から見た平面内に、下層電極12および上層電極14のいずれもが存在しない領域(隙間領域)が存在し、この隙間領域に対向する領域の液晶層30に十分な電圧が印加されないことがあるので、液晶層30の配向を安定化するように、この隙間領域の幅を十分に狭くすることが好ましく、典型的には、約4μmを越えないことが好ましい。また、誘電体層13を介して上層電極14の導電層が存在する領域と対向する位置に形成された下層電極12は、液晶層30に印加される電界に実質的に影響しないので、特にパターニングする必要はないが、パターニングしてもよい。
【0163】
図21(a)に示したように、絵素電極16と対向電極22が同電位のとき(液晶層30に電圧が印加されていない状態)には、絵素領域内の液晶分子30aは、両基板11および21の表面に対して垂直に配向している。ここでは、簡単のために、絵素電極16の上層電極14と下層電極12の電位は互いに等しいとする。
【0164】
液晶層30に電圧を印加すると、図21(b)に示した等電位線EQで表される電位勾配が形成される。絵素電極16の上層電極14と対向電極22との間に位置する液晶層30内には、上層電極14および対向電極22の表面に対して平行な等電位線EQで表される、均一な電位勾配が形成される。上層電極14の開口部14a1および14a2の上に位置する液晶層30には、下層電極12と対向電極22との電位差に応じた電位勾配が形成される。このとき、液晶層30内に形成される電位勾配が、誘電体層13による電圧降下の影響を受けるので、液晶層30内に形成される等電位線EQは、開口部14a1および14a2に対応する領域で落ち込む(等電位線EQに複数の「谷」が形成される)。誘電体層13を介して開口部14a1および14a2に対向する領域に下層電極12が形成されているので、開口部14a1および14a2のそれぞれの中央付近上に位置する液晶層30内にも、上層電極14および対向電極22の面に対して平行な等電位線EQで表される電位勾配が形成される(等電位線EQの「谷の底」)。開口部14a1および14a2のエッジ部(開口部の境界(外延)を含む開口部の内側周辺)EG上の液晶層30内には、傾斜した等電位線EQで表される斜め電界が形成される。
【0165】
図21(b)と図2(a)との比較から明らかなように、液晶表示装置400は下層電極12を有するので、開口部14aに対応する領域に形成される液晶ドメインの液晶分子にも十分な大きさの電界を作用させることができる。
【0166】
負の誘電異方性を有する液晶分子30aには、液晶分子30aの軸方位を等電位線EQに対して平行に配向させようとするトルクが作用する。従って、エッジ部EG上の液晶分子30aは、図21(b)中に矢印で示したように、図中の右側エッジ部EGでは時計回り方向に、図中の左側エッジ部EGでは反時計回り方向に、それぞれ傾斜(回転)し、等電位線EQに平行に配向する。
【0167】
図21(b)に示したように、液晶表示装置400の開口部14a1および14a2のエッジ部EGにおいて、液晶分子30aの軸方位に対して傾斜した等電位線EQで表される電界(斜め電界)が発生すると、図3(b)に示したように、液晶分子30aは、等電位線EQと平行になるための傾斜量が少ない方向(図示の例では反時計回り)に傾斜する。また、液晶分子30aの軸方位に対して垂直方向の等電位線EQで表される電界が発生する領域に位置する液晶分子30aは、図3(c)に示したように、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aと配向が連続となるように(整合するように)、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aと同じ方向に傾斜する。
【0168】
上述したように、傾斜した等電位線EQ上に位置する液晶分子30aから始まる配向の変化が進み、定常状態に達すると、図21(c)に模式的に示したように、開口部14a1および14a2のそれぞれの中心SAに関して対称な傾斜配向(放射状傾斜配向)を形成する。また、隣接する2つの開口部14a1および14a2との間に位置する上層電極14の領域上の液晶分子30aも、開口部14a1および14a2のエッジ部の液晶分子30aと配向が連続となるように(整合するように)、傾斜配向する。開口部14a1および14a2のエッジの中央に位置する部分上の液晶分子30aは、それぞれのエッジ部の液晶分子30aの影響を同程度に受けるので、開口部14a1および14a2の中央部に位置する液晶分子30aと同様に、垂直配向状態を維持する。その結果、隣接する2つの開口部14a1と14a2との間の上層電極14上の液晶層も放射状傾斜配向状態となる。但し、開口部14a1および14a2内の液晶層の放射状傾斜配向と開口部14a1と14a2との間の液晶層の放射状傾斜方向とでは、液晶分子の傾斜方向が異なる。図21(c)に示した、それぞれの放射状傾斜配向している領域の中央に位置する液晶分子30a付近の配向に注目すると、開口部14a1およb14a2内では、対向電極に向かって広がるコーンを形成するように液晶分子30aが傾斜しているのに対し、開口部間では、上層電極14に向かって広がるコーンを形成するように液晶分子30が傾斜している。なお、いずれの放射状傾斜配向もエッジ部の液晶分子30aの傾斜配向と整合するように形成されているので、2つの放射状傾斜配向は互いに連続している。
【0169】
上述したように、液晶層30に電圧を印加すると、上層電極14に設けた複数の開口部14a1および14a2それぞれのエッジ部EG上の液晶分子30aから傾斜し始め、その後周辺領域の液晶分子30aがエッジ部EG上の液晶分子30aの傾斜配向と整合するように傾斜することによって、放射状傾斜配向が形成される。従って、1つの絵素領域内に形成する開口部14aの数が多いほど、電界に応答して最初に傾斜し始める液晶分子30aの数が多くなるので、絵素領域全体に亘って放射状傾斜配向が形成されるのに要する時間が短くなる。すなわち、絵素領域毎に絵素電極16に形成する開口部14aの数を増やすことによって、液晶表示装置の応答速度を改善することができる。また、絵素電極16を上層電極14と下層電極12とを有する2層構造電極とすることによって、開口部14aに対応する領域の液晶分子にも十分な電界を作用させることができるので、液晶表示装置の応答特性が向上する。
【0170】
絵素電極16の上層電極14と下層電極12との間に設けられた誘電体層13が、上層電極14の開口部14a内に穴(孔)または凹部を有する構成としてもよい。すなわち、2層構造の絵素電極15は、上層電極14の開口部14a内に位置する誘電体層13の全部が除去された(穴が形成された)構造または一部が除去された(凹部が形成された)構造を有してもよい。
【0171】
まず、図22を参照しながら、誘電体層13に穴が形成された絵素電極16を備える液晶表示装置500の構造と動作を説明する。以下では、簡単さのために、上層電極14に形成された1つの開口部14aに対して説明する。
【0172】
液晶表示装置500は、絵素電極16の上層電極14が開口部14aを有するとともに、下層電極12と上層電極14との間に設けられている誘電体層13が、上層電極14が有する開口部14aに対応して形成された開口部13aを有し、この開口部13a内に下層電極12が露出されている。誘電体層13の開口部13aの側壁は、一般にテーパ状に形成されている。液晶表示装置500は、誘電体層13が開口部13aを有していることを除いて、液晶表示装置400と実質的に同じ構造を有しており、2層構造の絵素電極16は、実質的に液晶表示装置400の絵素電極16と同じように作用し、電圧印加時に液晶層30に放射状傾斜配向状態をとる液晶ドメインを形成する。
【0173】
液晶表示装置500の動作を図22(a)〜(c)を参照しながら説明する。図22(a)〜(c)は、液晶表示装置400についての図21(a)〜(c)にそれぞれ対応する。
【0174】
図22(a)に示したように、電圧無印加時(OFF状態)には、絵素領域内の液晶分子30aは、両基板11および21の表面に対して垂直に配向している。ここでは、簡単さのために、開口部13aの側壁による配向規制力は無視して説明する。
【0175】
液晶層30に電圧を印加すると、図22(b)に示した等電位線EQで表される電位勾配が形成される。等電位線EQが上層電極14の開口部14aに対応する領域でが落ち込んでいる(「谷」が形成されている。)ことから分かるように、液晶表示装置500の液晶層30にも図22(b)に示した電位勾配と同様に、傾斜電界が形成されている。しかしながら、絵素電極16の誘電体層13が、上層電極14の開口部14aに対応する領域に開口部13aを有するので、開口部14a内(開口部13a内)に対応する領域の液晶層30に印加される電圧は、下層電極12と対向電極22との電位差そのものであり、誘電体層13による電圧降下(容量分割)が発生しない。すなわち、上層電極14と対向電極22との間に図示した7本の等電位線EQは、液晶層30全体に亘って7本であり(図21(b)では、5本の等電位線EQのうちの1本が誘電体層13中に侵入しているのに対し)、絵素領域全体に亘って一定の電圧が印加される。
【0176】
このように、誘電体層13に開口部13aを形成することによって、開口部13aに対応する液晶層30にも、その他の領域に対応する液晶層30と同じ電圧を印加することできる。しかしながら、電圧が印加される液晶層30の厚さが絵素領域内の場所によって異なるので、電圧印加時のリタデーションの変化が場所によって異なり、その程度が著しく大きいと、表示品位が低下するという問題が発生する。
【0177】
図22に示した構成においては、上層電極(開口部14a以外の中実部)14上の液晶層30の厚さd1と、開口部14a(および穴13a)内に位置する下層電極12上の液晶層30の厚さd2とは、誘電体層13の厚さ分だけ異なる。厚さd1の液晶層30と厚さd2の液晶層30とを同じ電圧範囲で駆動すると、液晶層30の配向変化に伴うリタデーションの変化量は、それぞれの液晶層30の厚さの影響を受けて互いに異なる。印加電圧と液晶層30のリタデーション量との関係が場所によって著しく異なると、表示品位を重視した設計においては透過率が犠牲になり、透過率を重視すると白表示の色温度がシフトし表示品位が犠牲になるという問題が発生する。したがって、液晶表示装置500を透過型液晶表示装置として用いる場合には、誘電体層13の厚さは薄い方が良い。
【0178】
次に、絵素電極の誘電体層が凹部を有する液晶表示装置600の一絵素領域の断面構造を図23に示す。
【0179】
液晶表示装置600の絵素電極16を構成する誘電体層13は、上層電極14の開口部14aに対応する凹部13bを有している。その他の構造は、図22に示した液晶表示装置500と実質的に同じ構造を有している。
【0180】
液晶表示装置600においては、絵素電極16が有する上層電極14の開口部14a内に位置する誘電体層13は完全に除去されていないので、開口部14a内に位置する液晶層30の厚さd3は、液晶表示装置600における開口部14a内に位置する液晶層30の厚さd2よりも、凹部13b内の誘電体層13の厚さ分だけ薄い。また、開口部14a内に位置する液晶層30に印加される電圧は、凹部13b内の誘電体層13による電圧降下(容量分割)を受けるので、上層電極(開口部14aを除く領域)14上の液晶層30に印加される電圧よりも低くなる。したがって、凹部13b内の誘電体層13の厚さを調整することによって、液晶層30の厚さの違いに起因するリタデーション量の違いと、液晶層30に印加される電圧の場所による違い(開口部14a内の液晶層に印加される電圧の低下量)との関係を制御し、印加電圧とリタデーションとの関係が絵素領域内の場所に依存しないようにすることができる。より厳密には、液晶層の複屈折率、液晶層の厚さ、誘電体層の誘電率および誘電体層の厚さ、誘電体層の凹部の厚さ(凹部の深さ)を調整することによって、印加電圧とリタデーションとの関係を絵素領域内の場所で均一にすることができ、高品位な表示が可能となる。特に、表面が平坦な誘電体層を有する透過型表示装置と比較し、上層電極14の開口部14aに対応する領域の液晶層30に印加される電圧の低下による透過率の減少(光の利用効率の低下)が抑制される利点がある。
【0181】
上述の説明は、絵素電極16を構成する上層電極14と下層電極12とに同じ電圧を供給した場合について説明したが、下層電極12と上層電極14とに異なる電圧を印加する構成とすれば、表示むらの無い表示が可能な液晶表示装置の構成のバリエーションを増やすことができる。例えば、上層電極14の開口部14a内に誘電体層13を有する構成においては、上層電極14に印加する電圧よりも高い電圧を下層電極12に印加することによって、液晶層30に印加される電圧の大きさの絵素領域内でのばらつきを抑制することができる。但し、誘電体層13による電圧降下分だけ高い電圧を印加することで、上層電極14上の液晶層と下層電極12上の誘電体層13上の液晶層とに同じ強度の電界が発生すると、上層電極14のエッジ部において斜め電界が発生しないため、配向制御が出来ない。つまり、上層電極14上の液晶層に作用する電界の強度>下層電極12上の誘電体層13上の液晶層に作用する電界の強度、である必要がある。
【0182】
2層構造の絵素電極16を有する液晶表示装置は、透過型や反射型だけでなく、透過反射両用型の液晶表示装置(例えば、特開平11−101992号公報参照)を構成することができる。
【0183】
透過反射両用型液晶表示装置(以下、「両用型液晶表示装置」と略す)は、絵素領域内に、透過モードで表示を行う透過領域Tと、反射モードで表示を行う反射領域Rとを有する液晶表示装置を指す(図21(a)参照)。透過領域Tおよび反射領域Rは、典型的には、透明電極および反射電極によって規定される。反射電極に代えて、反射層と透明電極との組み合わせた構造によって、反射領域を規定することもできる。
【0184】
この両用型液晶表示装置は、反射モードと透過モードとを切り替えて表示すること、または同時に両方の表示モードで表示することもできる。したがって、例えば、周囲光が明るい環境下では反射モードの表示を、暗い環境では透過モードの表示を実現することができる。また、両方のモードの表示を同時に行うと、透過モードの液晶表示装置を周囲光が明るい環境下(蛍光灯の光や太陽光が直接特定の角度で表示面に入射する状態)で使用したときに見られるコントラスト比の低下を抑制することができる。このように、透過型液晶表示装置の欠点を補うことができる。なお、透過領域Tと反射領域Rとの面積の比率は、液晶表示装置の用途に応じて適宜設定され得る。また、専ら透過型として用いる液晶表示装置においては、反射モードでの表示ができない程度にまで反射領域の面積比率を小さくしても、上述した透過型液晶表示装置の欠点を補うことができる。
【0185】
図21(a)に示したように、例えば、液晶表示装置400の上層電極14を反射電極とし、下層電極12を透明電極とすることによって、両用型液晶表示装置を得ることができる。両用型液晶表示装置は、この例に限られず、上述した液晶表示装置において、上層電極14および下層電極12の内のいずれか一方を透明導電層とし、他方を反射導電層とすることによって得られる。但し、反射モードと透過モードの表示の電圧−透過率特性を互いに整合させるためには、反射領域Rの液晶層30の厚さ(例えば図22(a)のd1)が、透過領域Tの液晶層30の厚さ(例えば図22(a)のd2)の約半分となるように構成することが好ましい。勿論、液晶層の厚さを調整する代わりに、上層電極14に印加する電圧と、下層電極12に印加する電圧とを調整してもよい。
【0186】
【発明の効果】
本発明によると、広視野角特性を有し、表示特性に優れた液晶表示装置が提供される。
【0187】
本発明によると、放射状傾斜配向を有する液晶ドメインが安定に、高い連続性を有するように形成されるので、従来の広視野角特性を有する液晶表示装置の表示品位をさらに向上することができる。
【0188】
また、各絵素領域内で、複数の単位中実部(導電部)のそれぞれが鋭角化された4つの角部を有しているので、液晶分子の存在確率に高い指向性をもたせることができ明るい表示を実現することが可能になる。鋭角化された4つの角部は、表示面の上下左右を向いているので、斜め視角方向から観察したときの黒表示品位の低下が小さい偏光板配置において、明るい表示を実現できる。さらに、4つの角部が鋭角化されていることにより、応答特性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示装置100の一つの絵素領域の構造を模式的に示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)中の1B−1B’線に沿った断面図である。
【図2】液晶表示装置100の液晶層30に電圧を印加した状態を示す図であり、(a)は、配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を模式的に示し、(b)は、定常状態を模式的に示している。
【図3】(a)〜(d)は、電気力線と液晶分子の配向の関係を模式的に示す図である。
【図4】(a)〜(c)は、液晶表示装置100における、基板法線方向から見た液晶分子の配向状態を模式的に示す図である。
【図5】偏光板の透過軸角度と透過率比との関係を示すグラフである。
【図6】偏光軸の角度と単位中実部の角部が向いている方向との関係を示す図である。
【図7】(a)〜(c)は、液晶分子の放射状傾斜配向の例を模式的に示す図である。
【図8】(a)および(b)は、単位中実部の角部を鋭角化することによる作用を説明するための図である。
【図9】(a)〜(c)は、本発明による液晶表示装置に用いられる単位中実部の例を模式的に示す上面図である。
【図10】本発明による液晶表示装置に用いられる他の絵素電極を模式的に示す上面図である、
【図11】本発明による他の液晶表示装置200の一つの絵素領域の構造を模式的に示す上面図である。
【図12】液晶表示装置200に用いられる他の絵素電極を模式的に示す上面図である。
【図13】(a)および(b)は、図12に示す絵素電極を備えた液晶表示装置の絵素領域の偏光顕微鏡写真である。(a)は白表示状態(6.2V印加状態)、(b)は中間調表示状態(3.0V印加状態)に相当する。
【図14】(a)および(b)は、比較例の液晶表示装置の絵素領域の偏光顕微鏡写真である。(a)は白表示状態(6.2V印加状態)、(b)は中間調表示状態(3.0V印加状態)に相当する。
【図15】比較例の液晶表示装置の絵素電極を模式的に示す上面図である。
【図16】(a)および(b)は、比較例の液晶表示装置の絵素領域の偏光顕微鏡写真である。(a)は白表示状態(6.2V印加状態)、(b)は中間調表示状態(3.0V印加状態)に相当する。
【図17】(a)および(b)は、比較例の液晶表示装置の絵素領域の偏光顕微鏡写真である。(a)は白表示状態(6.2V印加状態)、(b)は中間調表示状態(3.0V印加状態)に相当する。
【図18】本発明によるさらに他の液晶表示装置300の一つの絵素領域の構造を模式的に示す上面図である。
【図19】(a)〜(d)は、配向規制構造28を有する対向基板300bを模式的に示す図である。
【図20】液晶表示装置300の一絵素領域の断面構造を模式的に示す図であり、(a)は電圧無印加状態を示し、(b)は配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を示し、(c)は定常状態を示している。
【図21】2層構造電極を備える液晶表示装置400の一絵素領域の断面構造を模式的に示す図であり、(a)は電圧無印加状態を示し、(b)は配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を示し、(c)は定常状態を示している。
【図22】2層構造電極を備える他の液晶表示装置500の一絵素領域の断面構造を模式的に示す図であり、(a)は電圧無印加状態を示し、(b)は配向が変化し始めた状態(ON初期状態)を示し、(c)は定常状態を示している。
【図23】2層構造電極を備える他の液晶表示装置600の一絵素領域の断面構造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
11、21 透明絶縁性基板
12 下層電極
13 誘電体操
14 絵素電極
14a、14a1、14a2 開口部
14b 中実部(導電膜)
14b’ 単位中実部
14c 単位中実部の角部
14d サブ単位中実部
15 開口領域
16 絵素電極(2層構造電極)
22 対向電極
22b 凸部
28 配向規制構造
30 液晶層
30a 液晶分子
100、200、300 液晶表示装置
100a TFT基板
100b、300b 対向基板
400、500、600 液晶表示装置
Claims (16)
- 第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層とを有し、
前記第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介して対向する第2電極とによって、それぞれが規定される複数の絵素領域を有し、
前記複数の絵素領域のそれぞれにおいて、前記第1電極は、複数の単位中実部を含む中実部を有し、前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されていないときに垂直配向状態をとり、且つ、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されたときに、前記第1電極の前記複数の単位中実部のそれぞれの周辺に生成される斜め電界によって、前記複数の単位中実部のそれぞれに対応する領域に、放射状傾斜配向状態をとる液晶ドメインを形成する液晶表示装置であって、
前記複数の単位中実部のそれぞれは、鋭角化された4つの角部を有し、前記4つの角部はそれぞれ表示面の上側、下側、右側および左側を向いており、
前記第1電極の前記中実部は、前記複数の単位中実部のそれぞれの略2分の1に相当する形状を有する少なくとも1つの第1のサブ単位中実部、および、前記複数の単位中実部のそれぞれの略4分の1に相当する形状を有する少なくとも1つの第2のサブ単位中実部を含む複数のサブ単位中実部をさらに含み、
前記複数のサブ単位中実部は、前記複数の絵素領域のそれぞれの端部に配置されている、液晶表示装置。 - 前記液晶層を介して互いに対向する一対の偏光板をさらに有し、前記一対の偏光板の一方の透過軸は表示面の上下方向に略平行であり、前記一対の偏光板の他方の透過軸は表示面の左右方向に略平行である、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記複数の単位中実部のそれぞれの形状は、回転対称性を有する、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 前記複数の単位中実部のそれぞれの形状は、4回回転対称性を有する略星形である、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記複数の単位中実部は、実質的に、等しい形状で等しい大きさを有し、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を形成する、請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記複数のサブ単位中実部は、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を、前記複数の単位中実部の少なくとも一部の単位中実部と相補的に形成する、請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記複数のサブ単位中実部は、前記複数の単位中実部のそれぞれと同じ形状を整数個相補的に形成する、請求項1から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記第2基板は、前記複数のサブ単位中実部のそれぞれに対応する領域に、少なくとも前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加された状態において前記液晶層の液晶分子に対して配向規制力を発現する配向規制構造を有し、
前記配向規制構造による配向規制方向は、前記複数のサブ単位中実部のそれぞれの周辺に生成される斜め電界による配向規制方向と整合する、請求項1から7のいずれかに記載の液晶表示装置。 - 前記配向規制構造は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されていない状態においても配向規制力を発現する、請求項8に記載の液晶表示装置。
- 前記配向規制構造は、前記第2基板の前記液晶層側に突き出た凸部である、請求項8または9に記載の液晶表示装置。
- 前記複数の絵素領域のそれぞれにおいて、前記第1電極は、少なくとも1つの開口部をさらに有し、前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されたときに、前記斜め電界によって、前記少なくとも1つの開口部に対応する領域にも放射状傾斜配向状態をとる液晶ドメインを形成する、請求項1から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記少なくとも1つの開口部は、実質的に等しい形状で等しい大きさを有する複数の開口部を含み、前記複数の開口部の少なくとも一部の開口部は、回転対称性を有するように配置された少なくとも1つの単位格子を形成する、請求項11に記載の液晶表示装置。
- 前記複数の開口部の前記少なくとも一部の開口部のそれぞれの形状は、回転対称性を有する、請求項12に記載の液晶表示装置。
- 前記第1基板は、前記複数の絵素領域のそれぞれに対応して設けられたスイッチング素子をさらに有し、
前記第1電極は、前記複数の絵素領域毎に設けられ、前記スイッチング素子によってスイッチングされる絵素電極であり、前記第2電極は、前記複数の絵素電極に対向する少なくとも1つの対向電極である請求項1から13のいずれかに記載の液晶表示装置。 - 第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層とを有し、
前記第1基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記第2基板に設けられ前記第1電極に前記液晶層を介して対向する第2電極とによって、それぞれが規定される複数の絵素領域を有し、
前記液晶層は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されていないときに垂直配向状態をとる液晶表示装置であって、
前記複数の絵素領域のそれぞれにおいて、前記第1電極は、それぞれが鋭角化された4つの角部を有する略星形の複数の単位中実部を含む中実部を有し、
前記複数の単位中実部のそれぞれが有する前記4つの角部は、それぞれ表示面の上側、下側、右側および左側を向いており、
前記第1電極の前記中実部は、前記複数の単位中実部のそれぞれの略2分の1に相当する形状を有する少なくとも1つの第1のサブ単位中実部、および、前記複数の単位中実部のそれぞれの略4分の1に相当する形状を有する少なくとも1つの第2のサブ単位中実部を含む複数のサブ単位中実部をさらに含み、
前記複数のサブ単位中実部は、前記複数の絵素領域のそれぞれの端部に配置されている、液晶表示装置。 - 前記液晶層を介して互いに対向する一対の偏光板をさらに有し、前記一対の偏光板の一方の透過軸は表示面の上下方向に略平行であり、前記一対の偏光板の他方の透過軸は表示面の左右方向に略平行である、請求項15に記載の液晶表示装置。
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