JP2003314340A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

蒸発燃料処理装置

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JP2003314340A
JP2003314340A JP2002121902A JP2002121902A JP2003314340A JP 2003314340 A JP2003314340 A JP 2003314340A JP 2002121902 A JP2002121902 A JP 2002121902A JP 2002121902 A JP2002121902 A JP 2002121902A JP 2003314340 A JP2003314340 A JP 2003314340A
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gas
fuel
canister
air
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Tsugufumi Aikawa
嗣史 藍川
Susumu Kojima
進 小島
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は蒸発燃料処理装置に関し、蒸発燃料
を凝縮するための分離膜の状態を、容易に、かつ、精度
良く判断することを目的とする。 【解決手段】 燃料タンク内で生じた蒸発燃料を吸着す
るキャニスタから流出するキャニスタ出ガスを、高濃度
の処理ガスと、低濃度のキャニスタ入ガスとに分離する
第1および第2分離膜36,46を設ける。キャニスタ
入ガスを内燃機関の吸気系に供給するための低濃度ガス
パージ通路58および制御弁59を設ける。排気空燃比
に基づいて算出される空燃比フィードバック係数FAFを
用いて混合気が理論空燃比に維持されるように燃料噴射
量を補正する。キャニスタ入ガスが吸気系に供給されて
いる際のFAFに基づいて、キャニスタ入ガスの濃度を推
定する。推定された濃度に基づいて第1および第2分離
膜36,46の状態を判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸発燃料処理装置
に係り、特に、内燃機関の燃料タンク内で発生する蒸発
燃料を大気に放出させることなく処理するうえで好適な
蒸発燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平10−274106
号公報に開示されるように、燃料タンク内で生じた蒸発
燃料を吸着するためのキャニスタを備える蒸発燃料処理
装置が知られている。この装置は、キャニスタに吸着さ
れている蒸発燃料を空気の流れによりパージさせる機構
と、パージガス中から蒸発燃料を分離する分離膜とを備
えている。このような蒸発燃料処理装置によれば、燃料
タンク内で発生した蒸発燃料を、キャニスタを含む閉じ
た系の中で処理することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の装置において、蒸発燃料を処理するためには、分離
膜が適正な状態を維持していることが必要である。従っ
て、装置の機能を維持するうえでは、分離膜の異常が速
やかに検出できることが望ましい。
【0004】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、蒸発燃料を凝縮するための分離膜
の状態を、容易に、かつ、精度良く判断することのでき
る蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
燃料タンク内で生じた蒸発燃料を吸着するキャニスタを
備える蒸発燃料処理装置であって、前記キャニスタから
流出するキャニスタ出ガスを、高濃度で蒸発燃料を含む
高濃度処理ガスと、低濃度で蒸発燃料を含む低濃度処理
ガスとに分離する分離膜と、前記高濃度処理ガスおよび
前記低濃度処理ガスのうち一方のガスを内燃機関の吸気
系に供給する第1ガス供給手段と、内燃機関の吸気通路
を流れる吸気ガス中の燃料濃度、内燃機関で燃焼に付さ
れる混合気の空燃比、およびその空燃比を所望の値に維
持するための燃料噴射量補正係数のうち少なくとも1つ
を、空燃比特性値として検出する空燃比特性値検出手段
と、前記一方のガスが前記吸気系に供給されている際に
検出された空燃比特性値に基づいて、前記一方のガスの
燃料濃度を第1濃度として推定する第1濃度推定手段
と、前記燃料濃度の推定値に基づいて前記分離膜の状態
を判断する分離膜状態判断手段と、を備えることを特徴
とする。
【0006】請求項2記載の発明は、請求項1記載の蒸
発燃料処理装置であって、前記高濃度処理ガスおよび前
記低濃度処理ガスのうち他方のガスの燃料濃度を第2濃
度として取得する第2濃度取得手段を備えると共に、前
記分離膜状態判断手段は、前記第1濃度と前記第2濃度
とに基づいて、前記分離膜の状態を判断することを特徴
とする。
【0007】請求項3記載の発明は、前記請求項2記載
の蒸発燃料処理装置であって、前記第2濃度取得手段
は、前記他方のガスの燃料濃度を検出する第2濃度検出
センサを含むことを特徴とする。
【0008】請求項4記載の発明は、請求項2記載の蒸
発燃料処理装置であって、前記第2濃度取得手段は、前
記一方のガスが前記吸気系に供給されていない状況下で
前記他方のガスを前記吸気系に供給する第2ガス供給手
段と、前記他方のガスが前記吸気系に供給されている際
に検出された空燃比特性値に基づいて、前記他方のガス
の燃料濃度を第2濃度として推定する第2濃度推定手段
と、を含むことを特徴とする。
【0009】請求項5記載の発明は、請求項1乃至3の
何れか1項記載の蒸発燃料処理装置であって、前記低濃
度処理ガスを、蒸発燃料をパージさせるためのガスとし
て前記キャニスタに還流させるキャニスタ入ガス通路
と、前記キャニスタ出ガスと前記キャニスタ入ガスとの
差分に相当する大気を、前記キャニスタに流入させる大
気供給手段とを備え、前記一方のガスは、前記低濃度処
理ガスであることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態について説明する。尚、各図において共通す
る要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略す
る。
【0011】実施の形態1. [本実施形態の装置の構成の説明]図1は、本発明の実
施の形態1の蒸発燃料処理装置の構成を説明するための
図である。図1に示すように、本実施形態の装置は燃料
タンク10を備えている。燃料タンク10の内部には低
圧フィードポンプ12(以下、単に「フィードポンプ1
2」と称す)が配置されている。フィードポンプ12に
は、燃料タンク10内の燃料を吸引するための吸引管1
4が連通していると共に、図示しない内燃機関に燃料を
フィードするための燃料管16が連通している。
【0012】燃料タンク10には、ベーパ通路18を介
してキャニスタ20が連通している。キャニスタ20
は、その内部に活性炭を有している。燃料タンク10の
内部で発生する蒸発燃料は、ベーパ通路18を通ってキ
ャニスタ20に流入し、その活性炭に吸着される。
【0013】キャニスタ20の内部には、活性炭と共に
ヒータ22が配置されている。ヒータ22によれば、活
性炭を適当に加熱することができる。キャニスタ20
は、また、大気口24を備えている。大気口24には、
キャニスタ20の内部に過大な圧力が生ずるのを防止す
るための過圧防止弁26が設けられている。過圧防止弁
26は、キャニスタ20の内部から流出する流体の流れ
のみを許容する一方向弁であり、図示しないエアクリー
ナを介して大気に開放されている。
【0014】キャニスタ20には、パージ通路28が連
通している。パージ通路28は、負圧調整弁30を備え
ており、その調整弁30の下流においてパージガス循環
ポンプ32の吸入口に連通している。負圧調整弁30
は、キャニスタ20からパージガス循環ポンプ32へ向
かう流体の流れのみを許容する一方向弁であり、パージ
ガス循環ポンプ32の作動時に、その吸入口付近に所定
の負圧を発生させるために設けられている。
【0015】パージガス循環ポンプ32の吐出口には、
高濃度用分離ユニット34が連通している。高濃度用分
離ユニット34は、第1の分離膜36を備えていると共
に、第1の分離膜36により隔絶されている上室38お
よび下室40を備えている。上述したパージガス循環ポ
ンプ32は、より具体的には、高濃度用分離ユニット3
4の上室38に連通している。一方、高濃度用分離ユニ
ット34の下室40には、切替弁41を介して処理ガス
通路42と、処理ガス循環通路43が連通している。
【0016】切替弁41は、高濃度用分離ユニット34
の下室40を選択的に処理ガス通路42または処理ガス
循環通路43に導通させる切替弁である。処理ガス通路
42は、燃料タンク10の内部において、吸引管14
に、すなわち、フィードポンプ12の吸引口に連通して
いる。一方、処理ガス循環通路43は、負圧調整弁30
の下流においてパージ通路28に連通している。つま
り、処理ガス循環通路43は、パージガス循環ポンプ3
2の吸引口に連通している。
【0017】高濃度用分離ユニット34の上方には、中
濃度用分離ユニット44が配置されている。中濃度用分
離ユニット44は、第2分離膜46を備えていると共
に、第2分離膜46により隔絶されている第1室48お
よび第2室50を備えている。中濃度用分離ユニット4
4の第1室48は、連通路52を介して高濃度用分離ユ
ニット34の第1室38と連通している。
【0018】中濃度用分離ユニット44の第1室48に
は、キャニスタ入ガス通路54が連通している。キャニ
スタ入ガス通路54は、上述したキャニスタ20に連通
する通路であり、中濃度用分離ユニット44から流出し
てくるガスをキャニスタ入ガスとしてキャニスタ20に
還流させることができる。
【0019】キャニスタ入ガス通路54は、中濃度用分
離ユニット44側の端部の近傍に調圧弁56を備えてい
ると共に、キャニスタ20側の端部の近傍に負圧防止弁
57を備えている。調圧弁56は、中濃度用分離ユニッ
ト44からキャニスタ20へ向かう流体の流れのみを許
容する一方向弁であり、その上流側に、より具体的に
は、パージガス循環ポンプ32から調圧弁56に至る経
路内に、所定の正圧を発生させるために設けられてい
る。一方、負圧防止弁57は、図示しないエアクリーナ
を介して大気に連通しており、キャニスタ入ガス通路5
4への大気の流入のみを許容する一方向弁である。負圧
防止弁57は、キャニスタ入ガス通路54の内部、乃至
はキャニスタ20の内部に不当に大きな負圧が生ずるの
を防ぐために設けられている。
【0020】また、キャニスタ入ガス通路54は、中濃
度用分離ユニット44と調圧弁56との間において、低
濃度ガスパージ通路58に連通している。低濃度ガスパ
ージ通路58は、その導通状態を制御する制御弁59を
備えていると共に、図示されない端部において内燃機関
の吸気通路に連通している。
【0021】中濃度用分離ユニット44の第2室50に
は、循環ガス通路60が連通している。循環ガス通路6
0は、負圧調整弁30の下流においてパージ通路28に
連通している。従って、循環ガス通路60によれば、中
濃度用分離ユニット44の第2室50と、パージガス循
環ポンプ32の吸入口とを導通状態にすることができ
る。
【0022】図1に示す通り、本実施形態の装置は、高
濃度用分離ユニット34の下室40で生成される処理ガ
スの濃度を測定するための濃度センサ61を備えてい
る。また、本実施形態の装置は、上述したヒータ22や
パージガス循環ポンプ32を制御するための制御コンピ
ュータ62を備えている(以下、ECU:Electronic Cont
rol Unitと称す)。
【0023】ECU62には、燃料噴射弁64が接続され
ている。燃料噴射弁64は、図示しない吸気ポートに配
置されており、燃料管16によりフィードされてくる燃
料を、内燃機関の個々の気筒に噴射することができる。
ECU62には、更に、燃料噴射弁64から噴射する燃料
の量、すなわち、燃料噴射量を演算するために必要な各
種データを検出するためのセンサが接続されている。
【0024】具体的には、ECU62には、エアフロメー
タ66、回転数センサ68、スロットルセンサ70、お
よび排気Oセンサ72などが接続されている。エアフ
ロメータ66は、内燃機関の吸気通路に吸入される吸入
空気量Gaを検出するためのセンサである。回転数センサ
68は、機関回転数NEを検出するためのセンサである。
スロットルセンサ70は、吸気通路に配置されたスロッ
トルバルブの開度を検出するセンサである。また、排気
Oセンサ72は、内燃機関の排気通路に配置され、排
気空燃比がリッチであるかリーンであるかを検出するセ
ンサである。
【0025】[パージ動作の説明]次に、本実施形態の
装置がキャニスタ20内の蒸発燃料をパージする際の動
作について説明する。本実施形態において、ECU62
は、所定のパージ条件が成立する場合にパージガス循環
ポンプ32を作動させる。パージ条件は、キャニスタ出
ガスの燃料濃度が所定値以上(例えば15%以上)であ
る場合に限り、その成立が判定される。従って、パージ
ガス循環ポンプ32は、キャニスタ出ガスの燃料濃度が
15%以上である場合にのみ作動する。
【0026】パージガス循環ポンプ32が作動すると、
その吸引口側に生ずる負圧がキャニスタ20に導かれ、
パージ通路28にキャニスタ出ガスが流出する。また、
パージガス循環ポンプ32が発生する負圧は、循環ガス
通路60を介して中濃度用分離ユニット44の第2室5
0にも導かれる。このため、パージガス循環ポンプ32
は、定常状態では、パージ通路28から供給されるキャ
ニスタ出ガスと、循環ガス通路60から供給される循環
ガスとの混合ガスを圧縮して高濃度用分離ユニット34
の第1室38に供給する。
【0027】パージガス循環ポンプ32が上記の如く作
動している場合、ポンプ32の吐出口から調圧弁56ま
での系にはポンプの吐出圧が作用する。一方、高濃度用
分離ユニット34の下室40には、切替弁の状態に応じ
て、燃料タンク内圧、またはポンプ32の発する負圧が
導かれる。また、中濃度用分離ユニット44の下室50
にはポンプ32の発する負圧が導かれる。従って、この
場合、高濃度用分離ユニット34の第1分離膜36の両
側、および中濃度用分離ユニット44の第2分離膜46
の両側には、何れも、第1室38,48側が第2室4
0,50側に比して高圧となるような差圧が発生する。
【0028】第1分離膜36および第2分離膜46は、
ポリイミドなどの高分子材料で構成された薄膜であり、
空気と燃料を含むガスに晒された場合に、膜に対する空
気の溶解度と燃料の溶解度との違いにより、両者を分離
する特性を示す。より具体的には、第1分離膜36およ
び第2分離膜46は、一方の面に蒸発燃料を含むガスが
導かれ、かつ、その面の側が高圧となるように膜の両側
に差圧が与えられた場合に、膜の低圧側に蒸発燃料濃度
の高められた凝縮ガスを通過させる特性を有している。
【0029】このため、ポンプ32の作動に伴って、高
濃度用分離ユニット34の第1室38に混合ガスが流入
し、かつ、第1分離膜36の両側に第1室38が高圧と
なるような差圧が発生すると、混合ガス中の蒸発燃料が
第2室40側に凝縮される。その結果、第1室38内の
混合ガスは流入時に比して燃料濃度の低いガス(以下、
「中濃度ガス」と称す)となり、また、第2室40内に
は、高濃度の処理ガスが生成される。
【0030】高濃度用分離ユニット34の第1室38か
ら流出する中濃度ガスは、中濃度用分離ユニット44の
第1室48に流入する。中濃度用分離ユニット44は、
第1室48に中濃度ガスが流入すると、第2分離膜46
により中濃度ガス中の蒸発燃料を凝縮して、中濃度ガス
に比して濃度の高い循環ガスを第2室50において生成
する。生成された循環ガスは、循環ガス通路60を通っ
てパージガス循環ポンプ32の吸入口に供給される。
【0031】本実施形態の装置は、キャニスタ出ガスの
濃度が15%である場合に、定常状態で循環ガスの濃度
が65%程度となるように設けられている。この場合、
混合ガスの濃度は60%程度となる。そして、高濃度用
分離ユニット34は、60%程度の混合ガスが供給され
た場合に、その混合ガスを95%以上の処理ガスと40
%程度の中濃度用ガスとに分離できるように設計されて
いる。更に、中濃度用分離ユニット44は、40%程度
の中濃度ガスが供給された場合に、その中濃度ガスを6
5%程度の循環ガスと5%未満のキャニスタ入ガスとに
分離できるように設計されている。このため、本実施形
態の装置によれば、定常状態では、95%以上の処理ガ
スと、5%未満のキャニスタ入ガスとを生成することが
できる。
【0032】フィードポンプ12は、燃料を300kPa
程度に過圧する能力を有している。フィードポンプ12
に吸入された処理ガスは、このような圧力で加圧される
と液体燃料となる。この際、処理ガスに多量の空気が含
まれていると、フィードポンプ12のベーパーロックや
異音の発生といった不都合が生ずる。これに対して、処
理ガスに含まれている空気が少量であれば、処理ガスの
加圧に伴って空気が燃料に溶解することからそれらの問
題は生じない。
【0033】ベーパーロックや異音を生じさせることの
ない空気の比率は、フィードポンプ12の能力、すなわ
ち、フィードポンプ12が発生させる燃料流量および燃
料圧力に応じて決定される。一般的に車両に搭載される
フィードポンプでは、処理ガス中の空気濃度が5%未満
であれば、つまり、処理ガスの燃料濃度が95%以上で
あればベーパーロックや異音の問題が生ずることはな
い。このため、本実施形態のシステムによれば、車両に
搭載される一般的なフィードポンプ12との組み合わせ
において、ベーパーロックや異音の問題を生じさせるこ
となく、処理ガスを燃料タンク10に還流させることが
できる。
【0034】本実施形態の装置において、キャニスタ入
ガスは、キャニスタ20に吸着されている蒸発燃料をパ
ージさせるためのガスとして再利用される。キャニスタ
20に吸着されている蒸発燃料は、キャニスタ20内部
を、十分に濃度の低いガスが流通することでパージされ
る。本実施形態の装置では、既述の通り、キャニスタ入
ガスの燃料濃度が5%以下に抑えられている。更に、本
実施形態の装置は、蒸発燃料のパージ中は、ヒータ22
によりキャニスタ20を加熱することとしている。キャ
ニスタ20に吸着されている蒸発燃料は、キャニスタ2
0の温度が上昇することで脱離し易い状態となる。この
ため、本実施形態の装置によれば、キャニスタ入ガスに
より、効率的に蒸発燃料をパージさせることができる。
【0035】本実施形態の装置は、既述の如く、混合ガ
スの濃度が60%程度となる定常状態においては、処理
ガスの濃度を95%以上とすることができる。しかしな
がら、パージガス循環ポンプ32の作動開始直後など
は、60%を大幅に下回る低濃度の混合ガスが高濃度用
分離ユニット34に流入することがある。この場合、高
濃度用分離ユニット34の下室40には、95%より濃
度の低い処理ガスが生成される。
【0036】95%より濃度の低い処理ガスが処理ガス
通路42を通ってフィードポンプ12に供給されると、
フィードポンプ12のベーパーロックや異音の発生、更
には、噴射燃料への気泡の混入に伴う噴射量誤差の増大
といった不都合が発生する。そこで、本実施形態の装置
は、濃度センサ61の出力に基づいて処理ガスの濃度を
検出し、その濃度が目標濃度(95%)より低い場合に
は、処理ガスが処理ガス循環通路43に流入するように
切替弁41を切り換えることとしている。このため、本
実施形態の装置によれば、高濃度用分離ユニット34に
流入する混合ガスの濃度が定常時の濃度に比して十分に
低い場合にも、ベーパーロックの発生や異音の発生を有
効に防止することができる。
【0037】[燃料噴射量制御の説明]次に、本実施形
態の装置が、燃料噴射量を制御する手法について説明す
る。本実施形態において、ECU62は、エアフロメータ
66や回転数センサ68の出力に基づいて1回転当たり
の吸入空気量Ga/NEを検出する。そして、ECU62は、そ
の吸入空気量Ga/NEに対して所望の空燃比(例えば理論
空燃比)を実現する燃料噴射量を基本燃料噴射量として
算出する。ECU62は、このようにして算出された基本
燃料噴射量に、各種の補正を施すことで最終的な燃料噴
射量を算出している。
【0038】ECU62は、燃料噴射量を補正するための
制御として、排気Oセンサ72の出力に基づく空燃比
フィードバック制御を実行している。空燃比フィードバ
ック制御では、基本燃料噴射量を補正するための補正係
数として、空燃比フィードバック係数FAFが算出され
る。空燃比フィードバック係数FAFは、排気Oセンサ7
2によってリッチな排気空燃比が検出されている間は減
少方向に更新され、一方、リーンな排気空燃比が検出さ
れている間は増加方向に更新される。このように更新さ
れるFAFを用いて基本燃料噴射量を補正すると、排気空
燃比がリッチである間は、燃料噴射量を徐々に減少させ
ることができ、排気空燃比がリーンである間は燃料噴射
量を徐々に増加させることができる。このため、空燃比
フィードバック制御によれば、排気空燃比が理論空燃比
近傍に維持されるように、燃料噴射量を増減させること
ができる。
【0039】[キャニスタ入ガスのパージ、およびその
パージの影響の説明]本実施形態の装置は、既述した通
り、キャニスタ入ガス通路54を内燃機関の吸気通路に
連通させる低濃度ガスパージ通路58を備えている。キ
ャニスタ入ガス通路54の内部には、調圧弁56の設定
圧に相当する正圧が生じている。一方、内燃機関の吸気
通路には吸気負圧が生じている。このため、本実施形態
の装置によれば、制御弁59を開けることにより、キャ
ニスタ入ガスを低濃度ガスパージ通路58を介して内燃
機関の吸気通路にパージさせることができる。
【0040】キャニスタ入ガスには、少なくとも5%程
度の蒸発燃料が含まれている。従って、キャニスタ入ガ
スが吸気通路にパージされると、内燃機関において燃焼
に付される混合気の空燃比は、キャニスタ入ガスがパー
ジされる以前に比してリッチとなる。空燃比フィードバ
ック制御の実行中に、このような空燃比変化が生ずる
と、その空燃比を理論空燃比に近づけるために空燃比フ
ィードバック係数FAFが減少方向に更新される。その
後、空燃比フィードバック補正係数FAFには、パージに
より供給されている蒸発燃料の量に応じた値ΔFAFだけ
変化が生ずる。
【0041】[変化量ΔFAFに基づくキャニスタ入ガス
濃度の算出手法の説明]上記の如く、本実施形態の装置
では、キャニスタ入ガスが吸気通路にパージされると、
その後、空燃比フィードバック補正係数FAFに、パージ
により供給されている蒸発燃料の量に応じた変化量ΔFA
Fが生ずる。この場合、ECU62は、変化量ΔFAFに基づ
いて、パージにより供給されている燃料の量を検出する
ことができる。
【0042】一方、吸気通路にパージされるキャニスタ
入ガスの流量は、低濃度ガスパージ通路58の両側に生
じている圧力差、およびその通路58の流通抵抗により
決定される。キャニスタ入ガス通路54の圧力は固定値
(調圧弁56の設定圧)として扱い得ることから、低濃
度ガスパージ通路58の両側に生じている圧力差は、吸
気負圧に基づいて検出することができる。吸気負圧は、
図示しない吸気圧センサを用いた実測や、吸入空気量Ga
などに基づく推定などの公知手法で検知することができ
る。従って、ECU62は、低濃度ガスパージ通路58の
両側に生じている圧力差を公知の手法で検知することが
できる。更に、低濃度ガスパージ通路58の流通抵抗
は、制御弁59の状態に応じて一義的に決まる値であ
る。このため、ECU62は、公知の手法で検知された圧
力差と、制御弁59の状態により決定される流通抵抗と
に基づいて、パージされるキャニスタ入ガスの流量を算
出することができる。
【0043】パージにより供給されている燃料の量と、
パージされているガスの流量とが判れば、そのパージガ
スの濃度を算出することができる。従って、ECU62
は、パージの開始後に空燃比フィードバック係数FAFに
生じた変化量ΔFAFに基づいて、キャニスタ入ガスの燃
料濃度を算出(推定)することができる。
【0044】図2は、上記の手法でキャニスタ入ガスの
濃度を推定するためにECU62が実行する制御ルーチン
のフローチャートを示す。図2に示すルーチンでは、先
ず、キャニスタ入ガスの濃度を推定すべき条件が成立し
ているか否かが判別される(ステップ100)。上述し
た手法でキャニスタ入ガス濃度を推定するためには、キ
ャニスタ入ガスを吸気通路に吸入させる必要がある。こ
のため、その推定が実行できるのは、適当な吸気負圧が
生じている場合に限られる。また、キャニスタ入ガスの
パージ中は、空燃比荒れを防ぐために、そのパージ分が
相殺されるように燃料噴射量を減量する必要がある。従
って、濃度の推定ができるのは、減量後の燃料噴射量
が、燃料噴射弁64の最小燃料噴射量(制御の可能な最
小の噴射量)より多量である場合に限られる。以上の理
由より、本ステップ100では、例えば、所定の吸気負
圧が生じていること、減量後の燃料噴射量が最小燃料噴
射量以上であること、などが濃度の推定条件として判別
される。
【0045】尚、内燃機関が成層運転と均質運転とを切
り換えて実行する機能を有している場合において、成層
運転の実行中にキャニスタ入ガスがパージされると、気
筒内での成層が崩れて所望の燃焼性が得られない事態が
生ずる。このため、このような内燃機関においては、上
記ステップ100で判別される推定条件に、「内燃機関
が均質運転中であること」を含めることが適切である。
【0046】上記ステップ100の処理は、キャニスタ
入ガス濃度の推定条件が成立すると判別されるまで繰り
返し実行される。そして、その条件が成立すると判別さ
れた場合は、次に、制御弁59が開弁状態とされる(ス
テップ102)。
【0047】次に、空燃比の収束期間が経過したか否か
が判別される(ステップ104)。上記ステップ102
において制御弁59が開弁されると、内燃機関の吸気通
路には、低圧ガスパージ通路58の流通抵抗や吸気負圧
の大きさに応じた流量でキャニスタ入ガスがパージされ
始める。キャニスタ入ガスのパージが開始されると、空
燃比のずれを小さくするために空燃比フィードバック係
数FAFが更新され始める。その後、適当な期間が経過す
る過程で、FAFの値は、パージの影響を相殺する値に更
新される。上記の収束期間は、FAFがそのようにして適
正値に収束するのに要する時間である。従って、本ステ
ップ104で収束期間が終了していないと判別される場
合は、未だパージの影響が完全にはFAFに反映されてい
ない可能性があると判断することができる。一方、収束
期間が終了していると判別される場合は、パージの影響
が完全にFAFに反映されたと判断することができる。
【0048】図2に示すルーチンにおいて、上記ステッ
プ104の処理は、収束期間が経過したとの判別がなさ
れるまで繰り返し実行される。そして、収束期間が経過
したとの判別がなされると、次に、パージの開始後に所
定の空燃比特性値に生じた変化量、具体的には、空燃比
フィードバック係数FAFに生じた変化量ΔFAFが検出され
る(ステップ106)。
【0049】パージの開始後に生じた変化量ΔFAFは、
既述した通り、パージにより供給されている燃料の量と
相関を有している。そして、本実施形態において、ECU
62は、そのΔFAFに基づいて、キャニスタ入ガスの燃
料濃度を推定することができる。図2に示すルーチンで
は、上記ステップ106に次いで、キャニスタ入ガスの
濃度を推定する処理が実行される(ステップ108)。
【0050】以上説明した通り、図2に示すルーチンに
よれば、中濃度用分離ユニット44で生成された低濃度
のキャニスタ入ガスの濃度を、その濃度と相関を有する
ΔFAFに基づいて精度良く推定することができる。空燃
比フィードバック係数FAFを算出するための基礎デー
タ、すなわち、排気空燃比を検出するための排気O
ンサ72は、内燃機関に元々備わっているセンサであ
る。このため、本実施形態のシステムによれば、大きな
コストアップを伴うことなくキャニスタ入ガスの濃度を
容易に、かつ精度良く推定することができる。
【0051】ところで、上述した実施の形態1において
は、排気通路に配置するセンサを、排気Oセンサ72
(リッチまたはリーンを検出するセンサ)としている
が、本発明はこれに限定されるものではない。すなわ
ち、排気通路に配置するセンサは、排気空燃比の値に応
じた出力を発する排気空燃比センサであってもよい。
【0052】また、上述した実施の形態1においては、
キャニスタ入ガスのパージ中に空燃比フィードバック制
御を実行し、その間に生じた変化量ΔFAFに基づいてキ
ャニスタ入ガスの濃度を推定することとしているが、そ
の推定の手法はこの方法に限定されるものではない。す
なわち、排気空燃比センサを用いる場合は、空燃比フィ
ードバック制御の非実行中にパージを行えば、パージの
影響で生ずる排気空燃比の変化量ΔA/Fを直接測定する
ことができる。この場合、その変化量ΔA/Fは、キャニ
スタ入ガスの濃度と相関を有する値であるから、キャニ
スタ入ガスの濃度はΔA/Fに基づいて推定することとし
てもよい。
【0053】また、上述した実施の形態1においては、
内燃機関の吸気通路に燃料濃度検出センサが配置されて
いない場合を前提としているが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。すなわち、内燃機関が、その吸気通
路に、吸気通路中を流れるガス中の燃料濃度を検出する
ための燃料濃度センサ(空燃比センサ、或いはHCセン
サ)を備えている場合は、その燃料濃度センサにより検
出される吸気通路中の空燃比(燃料濃度)に基づいて、
パージされてくるキャニスタ入ガスの濃度を推定(算
出)することとしてもよい。
【0054】[分離膜の状態判定の説明]本実施形態の
装置は、既述した通り、高濃度用分離ユニット34で生
成された処理ガスの濃度を検出する濃度センサ61を備
えている。従って、本実施形態の装置によれば、中濃度
用分離ユニット44から流出するキャニスタ入ガスの濃
度が推定できると共に、高濃度用分離ユニット34で生
成された処理ガスの濃度を実測することができる。
【0055】キャニスタ入ガスの濃度と、処理ガスの濃
度との間には、装置が正常である場合には所定の相関が
認められる。そして、装置に異常が生ずると、特に、第
1の分離膜36または第2の分離膜46に劣化や破れな
どの異常が生ずると、両者の関係は、適正な関係から外
れたものとなる。このため、本実施形態の装置において
は、キャニスタ入ガス濃度の推定値と、処理ガス濃度の
実測値が、適正な関係を満たしているか否かを見ること
で、第1の分離膜36および第2の分離膜46の状態を
精度良く判断することができる。
【0056】図3は、上記の機能を実現するためにECU
62が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。
図3に示すルーチンによれば、先ず、キャニスタ入ガス
の濃度推定が既に終了しているか否かが判別される(ス
テップ110)。
【0057】上記ステップ110の処理は、濃度推定が
終了しているとの判別がなされるまで、繰り返し実行さ
れる。その結果、上記の条件が成立すると、次に、濃度
センサ61の出力に基づいて、処理ガスの濃度が実測さ
れる(ステップ112)。
【0058】図3に示すルーチンでは、次に、上記図2
に示すルーチンにより推定されたキャニスタ入ガスの濃
度と、上記ステップ112で実測された処理ガスの濃度
との相関が適正であるか否かが判別される(ステップ1
14)。より具体的には、両者の差が、第1の分離膜3
6および第2の分離膜46の双方が正常であることを前
提とした適正な範囲に収まっているか否かが判別され
る。ECU62には、上記の差が適正であるか否かを判断
するための判定値(固定値)、或いは、そのような判定
値を処理ガス濃度(またはキャニスタ入ガス濃度)との
関係で定めたマップが記憶されている。本ステップ11
4では、上記の固定値、または上記のマップから読み出
された判定値に基づいて、キャニスタ入ガスの濃度と処
理ガスの濃度とが適正な関係にあるかが判別される。
【0059】図3に示すルーチンでは、上記ステップ1
14において、2つの濃度の関係が適正であると判別さ
れた場合は、分離膜が正常であるとの判断、すなわち、
第1の分離膜36および第2の分離膜46の双方が正常
であるとの判断がなされる(ステップ116)。
【0060】一方、上記ステップ114において、2つ
の濃度の関係が適正でないと判別された場合は、分離膜
が正常でないとの判断、つまり、第1の分離膜36およ
び第2の分離膜46の少なくとも一方に劣化或いは破れ
などの異常が生じているとの判断がなされる(ステップ
116)。
【0061】以上説明した通り、図3に示すルーチンに
よれば、変化量ΔFAFに基づいて推定されたキャニスタ
入ガスの濃度と、濃度センサ61により実測された処理
ガスの濃度とに基づいて、第1の分離膜36および第2
の分離膜46の何れかに異常が生じているか否かを精度
良く判断することができる。このため、本実施形態の装
置によれば、それらの分離膜36,46の異常を速やか
に検知することができる。
【0062】上述した通り、本実施形態の蒸発燃料処理
装置は、中濃度用分離ユニット44から流出する低濃度
のガス、すなわち、キャニスタ20内の蒸発燃料のパー
ジに利用されるキャニスタ入ガスを内燃機関の吸気通路
に引き込むこととしている。キャニスタ入ガスが吸気通
路に吸引されると、キャニスタ出ガスに対するキャニス
タ入ガスの不足分が多量となり、負圧防止弁57からキ
ャニスタ20に流入する大気量が多量となる。
【0063】キャニスタ20に吸着されている蒸発燃料
を脱離させるうえでは、キャニスタ20に流入するガス
中の燃料濃度は低いことが望ましい。キャニスタ入ガス
が少量となり、その分キャニスタ20に流入する大気量
が増えれば、キャニスタ内を流通するガス中の燃料濃度
はより低くなる。このため、本実施形態の装置によれ
ば、キャニスタ入ガスを吸気通路にパージしている間に
キャニスタ20内の多量の蒸発燃料を脱離させることが
でき、優れたパージ能力を実現することができる。
【0064】ところで、上述した実施の形態1において
は、変化量ΔFAFに基づいて推定したキャニスタ入ガス
の濃度と、濃度センサ61により実測した処理ガスの濃
度との比較に基づいて第1分離膜36および第2分離膜
46の状態を判断することとしているが、その判断の手
法はこれに限定されるものではない。すなわち、例え
ば、第1分離膜36および第2分離膜46の双方が劣化
しているような場合は、キャニスタ入ガスが、不当に高
い濃度となることがある。この場合、分離膜の異常は、
2つの濃度を比較するまでもなく、ΔFAFに基づいて推
定した濃度のみに基づいて検知することができる。従っ
て、第1分離膜36および第2分離膜46の状態判定
は、ΔFAFに基づいて推定された濃度のみに基づいて判
断することとしてもよい。
【0065】また、上述した実施の形態1においては、
処理ガスの濃度を実測し、キャニスタ入ガスの濃度を推
定することとしているが、第1分離膜36および第2分
離膜46の状態を判断するための手法はこれに限定され
るものではない。すなわち、上記の判断は、処理ガスの
濃度およびキャニスタ入ガスの濃度の双方を濃度センサ
で実測したうえで行うこととしてもよい。また、上記の
判断は、処理ガスの濃度を推定し、キャニスタ入ガスの
濃度を実測したうえで行っても良い。更には、キャニス
タ入ガスに代えて処理ガスを低濃度ガスパージ通路58
に導くための切り換え弁を設けて、処理ガスの濃度およ
びキャニスタ入ガスの濃度の双方を推定により求めたう
えで上記の判断を行うこととしてもよい。
【0066】また、上述した実施の形態1においては、
第1分離膜36の状態と第2分離膜46の状態の双方を
判断するために、高濃度用分離ユニット34の第2室4
0内の濃度(処理ガスの濃度)と、キャニスタ入ガス通
路54を流れるガス中の濃度を取得することとしている
が、本発明はこれに限定されるものではない。すなわ
ち、高濃度用分離ユニット34の第1室38内の濃度と
第2室40内の濃度を取得して、第1の分離膜36の状
態のみを判断することとしてもよい。或いは、中濃度用
分離ユニット44の第1室48内の濃度と第2室50内
の濃度を取得して、第2の分離膜46の状態のみを判断
することとしてもよい。更には、高濃度用分離ユニット
34の第1室38内の濃度と、高濃度用分離ユニット3
4の第2室40内の濃度(中濃度用分離ユニット44の
第1室48内の濃度)と、中濃度用分離ユニット44の
第2室50内の濃度とを取得して、第1の分離膜36の
状態と、第2の分離膜46の状態とを、それぞれ独立に
判断することとしてもよい。
【0067】また、上述した実施の形態1においては、
濃度を推定すべきガス(具体的にはキャニスタ入ガス)
を、その濃度を推定するためにだけ内燃機関の吸気通路
にパージしているが、本発明はこれに限定されるもので
はない。すなわち、濃度を推定すべきガスは、その濃度
を推定すべき場合の他、蒸発燃料のパージに適した状態
で内燃機関が運転している場合に、蒸発燃料の処理を目
的として吸気通路にパージしてもよい。
【0068】尚、上述した実施の形態1においては、第
1の分離膜36および第2の分離膜46が前記請求項1
記載の「分離膜」に、キャニスタ入ガスが前記請求項1
記載の「一方のガス」に、低濃度ガスパージ通路58お
よび制御弁59が前記請求項1記載の「第1ガス供給手
段」にそれぞれ相当している。また、空燃比フィードバ
ック係数FAF、排気空燃比センサにより検出される排気
空燃比(変形例)、または燃料濃度センサにより検出さ
れる吸気通路内の空燃比(燃料濃度)が前記請求項1記
載の「空燃比特性値」に相当していると共に、ECU62
が、それらを算出または検出することにより前記請求項
1記載の「空燃比特性値検出手段」が実現される。更
に、上述した実施の形態1においては、キャニスタ入ガ
スの濃度が前記請求項1記載の「第1濃度」に相当して
いると共に、ECU62が、上記ステップ102〜108
の処理を実行することにより前記請求項1記載の「第1
濃度推定手段」が、上記ステップ114〜118の処理
を実行することにより前記請求項1記載の「分離膜状態
判断手段」が、それぞれ実現されている。
【0069】また、上述した実施の形態1においては、
処理ガスが前記請求項2記載の「他方のガス」に、処理
ガスの濃度が前記請求項2記載の「第2濃度」に、濃度
センサ61が前記請求項2記載の「第2濃度取得手段」
および前記請求項3記載の「第2濃度検出センサ」に、
それぞれ相当している。
【0070】また、上述した実施の形態1においては、
キャニスタ入ガスに代えて処理ガスを低濃度ガスパージ
通路58に導く機構を設けることで前記請求項4記載の
「第2ガス供給手段」を実現することができ、処理ガス
が吸気通路に導かれている状況下でECU62に上記ステ
ップ102〜108の処理を実行させることにより前記
請求項4記載の「第2濃度推定手段」を実現することが
できる。
【0071】また、上述した実施の形態1においては、
大気口24および負圧防止弁57が、前記請求項5記載
の「大気供給手段」に相当している。
【0072】
【発明の効果】この発明は以上説明したように構成され
ているので、以下に示すような効果を奏する。請求項1
記載の発明によれば、分離膜で処理された高濃度処理ガ
スおよび低濃度処理ガスのうち一方のガスの濃度(第1
濃度)を、空燃比特性値に基づいて推定することができ
る。高濃度処理ガスおよび低濃度処理ガスの濃度は、何
れも分離膜の状態と相関を有している。このため、本発
明によれば、推定された第1濃度に基づいて、容易に、
かつ精度良く分離膜の状態を判断することができる。
【0073】請求項2記載の発明によれば、一方の処理
ガスの濃度(第1濃度)に加えて、他方の処理ガスの濃
度、すなわち、第2濃度を取得することができる。第1
濃度と第2濃度との差には、分離膜の状態が反映され
る。従って、本発明によれば、それら2つの濃度に基づ
いて、分離膜の状態を精度良く判断することができる。
【0074】請求項3記載の発明によれば、第2濃度は
センサによる実測により取得することができる。センサ
によれば、第2濃度を短時間で取得(検出)することが
できる。このため、本発明によれば、分離膜の状態を短
時間で速やかに検出することができる。
【0075】請求項4記載の発明によれば、他方の処理
ガスの濃度(第2濃度)も、一方の処理ガスの濃度(第
1濃度)と同様に、空燃比特性値に基づいて検出するこ
とができる。従って、本発明によれば、処理ガスの濃度
を検出するためのセンサを用いることなく、分離膜の状
態を精度良く判断することができる。
【0076】請求項5記載の発明によれば、低濃度処理
ガス(キャニスタ入ガス)と大気を、蒸発燃料をパージ
させるためのガスとしてキャニスタに流入させることが
できる。また、本発明によれば、低濃度処理ガスを内燃
機関の吸気系に供給することができる。低濃度処理ガス
(キャニスタ入ガス)が吸気系に供給されれば、キャニ
スタ入ガスとキャニスタ出ガスとの差分が大きくなり、
キャニスタに流入する大気の量が増大する。このため、
本発明によれば、キャニスタに吸着されている蒸発燃料
を、大気を用いて、効率的にパージさせることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の蒸発燃料処理装置の
構成を説明するための図である。
【図2】 実施の形態1の装置においてキャニスタ入ガ
スの濃度を推定するための実行されるルーチンのフロー
チャートである。
【図3】 実施の形態2の装置において分離膜の状態を
判断するために実行されるルーチンのフローチャートで
ある。
【符号の説明】
10 燃料タンク 20 キャニスタ 28 パージ通路 30 負圧調整弁 32 パージガス循環ポンプ 34 高濃度用分離ユニット 36 第1分離膜 38 第1室 40 第2室 42 処理ガス通路 44 中濃度用分離ユニット 46 第2分離膜 54 キャニスタ入ガス通路 60 循環ガス通路 62 ECU(Electronic Control Unit)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 25/08 F02M 25/08 K 301 301J Fターム(参考) 3G044 BA16 DA08 EA23 FA10 FA20 FA27 FA28 GA23 GA28 GA29 GA30 3G084 BA13 BA27 EB12 FA07 FA10 FA14 FA29 FA33 3G301 HA14 JA20 LB02 MA11 ND01 PA01Z PA11Z PD03A PE01Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンク内で生じた蒸発燃料を吸着す
    るキャニスタを備える蒸発燃料処理装置であって、 前記キャニスタから流出するキャニスタ出ガスを、高濃
    度で蒸発燃料を含む高濃度処理ガスと、低濃度で蒸発燃
    料を含む低濃度処理ガスとに分離する分離膜と、 前記高濃度処理ガスおよび前記低濃度処理ガスのうち一
    方のガスを内燃機関の吸気系に供給する第1ガス供給手
    段と、 内燃機関の吸気通路を流れる吸気ガス中の燃料濃度、内
    燃機関で燃焼に付される混合気の空燃比、およびその空
    燃比を所望の値に維持するための燃料噴射量補正係数の
    うち少なくとも1つを、空燃比特性値として検出する空
    燃比特性値検出手段と、 前記一方のガスが前記吸気系に供給されている際に検出
    された空燃比特性値に基づいて、前記一方のガスの燃料
    濃度を第1濃度として推定する第1濃度推定手段と、 前記燃料濃度の推定値に基づいて前記分離膜の状態を判
    断する分離膜状態判断手段と、 を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】 前記高濃度処理ガスおよび前記低濃度処
    理ガスのうち他方のガスの燃料濃度を第2濃度として取
    得する第2濃度取得手段を備えると共に、 前記分離膜状態判断手段は、前記第1濃度と前記第2濃
    度とに基づいて、前記分離膜の状態を判断することを特
    徴とする請求項1記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 【請求項3】 前記第2濃度取得手段は、前記他方のガ
    スの燃料濃度を検出する第2濃度検出センサを含むこと
    を特徴とする前記請求項2記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 【請求項4】 前記第2濃度取得手段は、 前記一方のガスが前記吸気系に供給されていない状況下
    で前記他方のガスを前記吸気系に供給する第2ガス供給
    手段と、 前記他方のガスが前記吸気系に供給されている際に検出
    された空燃比特性値に基づいて、前記他方のガスの燃料
    濃度を第2濃度として推定する第2濃度推定手段と、 を含むことを特徴とする請求項2記載の蒸発燃料処理装
    置。
  5. 【請求項5】 前記低濃度処理ガスを、蒸発燃料をパー
    ジさせるためのガスとして前記キャニスタに還流させる
    キャニスタ入ガス通路と、 前記キャニスタ出ガスと前記キャニスタ入ガスとの差分
    に相当する大気を、前記キャニスタに流入させる大気供
    給手段とを備え、 前記一方のガスは、前記低濃度処理ガスであることを特
    徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の蒸発燃料処
    理装置。
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JP2014092058A (ja) * 2012-11-02 2014-05-19 Honda Motor Co Ltd 燃料分離装置

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