JP2003314154A - カーテンウォール工法における窓構造ならびにその使用方法 - Google Patents

カーテンウォール工法における窓構造ならびにその使用方法

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Toru Ajisaka
徹 鰺坂
Yamato Kano
大和 狩野
Yoshihiko Tanaka
良彦 田中
Shigeaki Tokita
重明 時田
Kazuo Fujii
和夫 藤井
Takao Suzuki
孝雄 鈴木
Kazuhiko Iwagami
和彦 岩上
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Nihon Kentetsu Co Ltd
Mitsubishi Jisho Sekkei Inc
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Nihon Kentetsu Co Ltd
Mitsubishi Jisho Sekkei Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアフローシステムおよびダブルスキン構造
両者の問題点を解消して省エネルギーを達成する。 【解決手段】 二重窓のカーテンウォールにおいて下枠
11および上枠12の内部を二重窓の内側に導通させるとと
もに、下枠11および上枠12に室内側通気口41、42および
室外側通気口61、62を設け、下枠11および上枠12の内部
にこれらを室内側または室外側の一方を選択して閉塞
し、他方を二重窓の内側に導通させる切換扉13、17を設
けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中高層ビルの外壁
として使用するカーテンウォールに、ガラス窓から侵入
する日射熱による熱負荷を軽減する省エネルギー対策を
付与したカーテンウォール工法における窓構造ならびに
その使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、中高層ビルにはカーテンウォール
工法がひろく採用されている。カーテンウォール工法
は、四辺形上の枠体にガラス、腰壁用パネル等を組み付
けたカーテンウォールを外壁とし、これを鉄骨や鉄筋コ
ンクリート等の躯体に取り付けてビルを構築するもの
で、透明ガラスとブラインドの組み合わせによる透明感
あふれるファサードが、デザイン上好まれている。
【0003】しかしガラス窓を通じてビル内に入射され
る日射熱は、夏季においては冷房の負荷を増大させる。
とくにオフィスビルにおいては、照明やパソコンをはじ
めとするOA機器使用等により、住宅に比較すると内部
発熱が大きい。このため、省エネルギーや環境改善を目
的として窓ガラスに熱線反射ガラス等を採用することも
ある。しかしこのガラスは表面に金属を蒸着させた構造
のものであるため、日光の反射による周辺への光公害
や、テレビへの電波障害などを生じるおそれがあり、使
用できない場合も多い。
【0004】こうした背景から、デザイン面の要求に応
え、透明ガラスを多用しながら熱的性能を改善すること
が種々試みられている。例えばエアフローシステムと呼
ばれるものがそのひとつである。図6によりこれを簡単
に説明する。この図はカーテンウォール構造のS造ビル
の外壁部分を示す断面図で、1は枠体、11は枠体のうち
の水平方向の下枠、12は同じく水平方向の上枠、2は二
重窓構造の窓部、21はそのうちのガラスを嵌めた室内側
障子、22は同じくガラスを嵌めた室外側障子、3は腰
壁、4は室内側に開口する通気口で41は下枠11付近に設
けられた下部通気口、42は上枠12付近に設けられた上部
通気口、5は二重窓の中間に設けられた電動等のブライ
ンド、7は上枠12付近から天井に沿って設けられた排気
ダクトで、図示しない排気ファンに接続されている。8
は床、9は天井、Lは太陽光である。
【0005】日差しの強い夏季の昼間を例にとると、太
陽光Lは室外側障子22を透過して室内に到達するが、開
閉可能なブラインド5を調整してこれを遮ることにより
室内側障子21は透過しないようにすることができる。ブ
ラインド5は太陽光により加熱される。しかし室内側障
子21の下部通気口41から吸い込まれた室内の空気を二重
窓内側の空間内を通過させることによりブラインド5の
熱はこの気流ととも排気ダクト7を通って室外へ排出さ
れる。
【0006】すなわち、室内の空気は矢印aで示すよう
に下部通気口41から二重窓の内側の空間内に入り、矢印
b、cのように上昇しながら熱を吸収して排気ダクト7
に入り、矢印dのように排出される。冬季には、この熱
を回収して暖房に利用することもできる。エアフローは
二重窓の内部、つまり室内側障子21と室内との温度差を
小さくする効果を持つので、室内側障子21が完全に室温
となれば窓部と室内との熱移動がなくなり、高い断熱効
果を示すことになる。
【0007】しかし春秋など外気温がむしろ室内よりも
低い場合においては、照明やOA機器が暖房として働く
ため室内の温度が上昇するので、中和させるために室外
空気を直接室内に取り込む方が温度調節としては効果的
であり、排気ファンの動力分だけエネルギー的には不利
な状況となる。一方、同じ二重窓のカーテンウォールに
対して、ダブルスキンと呼ばれる換気構造がある。図7
によりこれを説明する。この図は図6と同じくカーテン
ウォール構造のS造ビルの外壁部分を示す断面図で、図
6と共通するものは同じ符号を使用する。6は室外側に
開口する通気口で61は下枠11付近に設けられた下部通気
口、62は上枠12付近に設けられた上部通気口である。
【0008】日差しの強い夏季の昼間を例にとると、太
陽光Lは室外側障子22を透過して室内に到達するが、ブ
ラインド5を調整してこれを遮ることにより室内側障子
21は透過しないようにすることができる。ブラインド5
は太陽光により加熱され、二重窓の内側の空気は温めら
れて高温になり、一種の煙突効果によって上昇気流が発
生し、室外側障子22の下部通気口61から外気を吸い込
み、内部の空気は上部通気口62から屋外に排出される。
すなわち、屋外の空気は矢印eで示すように下部通気口
61から二重窓の内側の空間内に入り、矢印fのように上
昇しながら熱を吸収して上部通気口62から矢印gのよう
に排出される。
【0009】この気流は日射熱によって生じるものであ
るから、エアフローシステムのような排気ファンの動力
による換気を必要としない利点がある一方、二重窓内を
流通する空気が室外側のものであるため二重窓であって
も断熱性能上は一重窓と同じであり、冬季など外気温度
が低いとき、矢印hのように上部通気口62から二重窓内
に進入した外気が矢印iのように下降し、下部通気口61
から排出されるようなこともあり、室内を暖房している
ような状態においては好ましいシステムとはいえない。
【0010】なお、このようなダブルスキン構造で上下
の通気口に開閉装置を設けたカーテンウォールの窓部が
特開2000−274152号公報に記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上説明し
たようなエアフローシステム、ダブルスキンシステムそ
れぞれの問題点を解消すると同時に長所を活かし、環境
により適宜両者を切り換えて選択使用できるようにした
新規な窓構造を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のカーテンウォー
ル工法における窓構造は、透明ガラスを嵌めた室内側障
子ならびに同じく透明ガラスを嵌めた室外側障子よりな
る二重窓構造のカーテンウォールにおいて、前記二重窓
を囲む枠体のうち下枠および上枠の内部を前記二重窓の
内側部分と導通させるとともに、これら下枠および上枠
に室内側通気口および室外側通気口を設け、前記下枠お
よび上枠の内部に、前記室内側通気口および室外側通気
口の一方を選択的に閉塞し、他方を前記二重窓の内側部
分と導通させる切換扉を備えたことを特徴とし、望まし
くは上枠に設けられた室内側通気口が排気ダクトに接続
されており、また室内側障子と室外側障子の中間に開閉
可能なブラインドを配置したものである。
【0013】また本発明のカーテンウォール工法におけ
る窓構造の使用方法は、透明ガラスを嵌めた室内側障子
ならびに同じく透明ガラスを嵌めた室外側障子よりなる
二重窓構造のカーテンウォールにおいて、前記二重窓を
囲む枠体のうち下枠および上枠の内部を前記二重窓の内
側部分と導通させるとともに、これら下枠および上枠に
室内側通気口および室外側通気口を設け、前記下枠およ
び上枠の内部に切換扉を備えて、前記室内側通気口およ
び室外側通気口の一方を選択的に閉塞し、他方を前記二
重窓の内側部分と導通させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】図1はこの窓構造のビルのファサ
ードを示す部分正面図、図2はその部分縦断面図で、こ
れまでのものと共通する部分については同じ符号を使用
する。Pは縦柱にかぶせた化粧板、Sは躯体で、これら
は本発明に特に関係はない。図1、図2に示すカーテン
ウォール工法による中高層ビルにおいて、下枠11、上枠
12はそれぞれ室内側、室外側へのスリット状の開口を有
し、その内部に室内側障子21、室外側障子22で構成され
る二重窓部分の内部と、これら室内、室外いずれか一方
の開口とが導通するように切り換える切換扉を設けてあ
る。二重窓部分のガラスは熱線反射ガラス等ではなく通
常の透明ガラスである。
【0015】図3は図2のA部を拡大して示す下枠付近
の部分断面図で、13は下枠11内部に設けられた切換扉、
14はその回転軸、15、16はシール部材、19は小鳥等の窓
部への進入を防止するための防鳥網、31は腰壁の耐火ボ
ード、32はアルミ合金生の幅木である。下枠11には、二
重窓部分を支持する上側の部分と腰壁部分を支持する下
側の部分との中間に室内に開口するスリット状の下部通
気口41と、室外に開口する同じくスリット状の下部通気
口61とが形成されており、その中間に回転軸14で回転自
在に支持された切換扉13が設けられている。図3は切換
扉13が右側に倒れて、室内に開口する下部通気口41を塞
ぎ、二重窓の内部空間と室外側とが導通した状態を実線
で示している(以下この状態を「開放」と呼ぶ)が、図
示しないハンドル等の操作により2点鎖線で示したよう
に切換扉13を左側に倒せば、室外側に開口する下部通気
口61が塞がれ(これを「閉鎖」と呼ぶ)、二重窓の内部
空間と室内側とが導通する。切換扉13が左右いずれの側
に倒れた場合でも倒れた側の気流を完全に遮断するた
め、当たり面にはゴム等のシール部材15、16が配置され
る。
【0016】図4は図2のB部を拡大して示す上枠付近
の部分断面図で、17は上枠12内部に設けられた切換扉、
18はその回転軸、15、16はシール部材である。室内側障
子21、室外側障子22との中間に、開閉可能なブラインド
5を配置してある。上枠12には、二重窓部分を上端で支
持する下側の部分と腰壁部分を支持する上側の部分との
中間に室内側の排気ダクト7に接続する上部通気口42
と、室外に開口する下部通気口62とが形成されており、
その中間に回転軸18で回転自在に支持された上部の切換
扉17が設けられている。図4は実線で切換扉17が右側に
倒れて開放状態となり、室内に開口する上部通気口42が
塞がれ、二重窓の内部空間と室外側とが導通した状態を
示しているが、2点鎖線で示したように切換扉17が左側
に倒れて閉鎖状態となると、室外側に開口する上部通気
口62が塞がれ、二重窓の内部空間と室内側とが導通す
る。
【0017】つづいて本発明の窓構造における使用方法
を説明する。本発明の窓構造は上記のように構成されて
いるので、まず図5(a)に示すように(図3、図4の
2点鎖線と同じ)下部および上部の切換扉をいずれも室
外側に倒して下枠11、上枠12の開口をそれぞれ閉鎖状態
とすれば、二重窓内は上下とも室内側と導通してエアフ
ロー構造となる。また、(b)に示すように下部および
上部の切換扉をいずれも室内側に倒して下枠11、上枠12
の開口をいずれも開放状態に切り換えれば窓全体は前記
したダブルスキン構造となる。
【0018】さらに上下を必ずしも同じ状態とする必要
はなく、例えば(c)に示すように下枠11を閉鎖状態、
上枠12を開放状態とすれば、外気を室内に直接取り込ん
で自然換気を行うことも可能であり、環境の変化に応じ
て最も適切な換気パターンを任意に選択することが可能
である。例えばビルが無人となった夜間に空気を入れ換
えるナイトパージなどは、この機能によって簡単に実現
できる。
【0019】また、室内側障子21をヒンジ等により開閉
する構造とし、下枠11あるいは上枠12を開放状態として
室内側障子21を室内に向けて開放すれば、自然換気を行
うことができる。なお、本発明において使用するガラス
は前記のとおり通常の透明ガラスであるから、周辺への
光公害や電波障害の発生がない。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、エアフローシステム、
ダブルスキンシステムそれぞれの長所を活かし、環境に
より適宜両者を切り換えて選択使用できるようにした新
規な窓構造が実現し、ビルの熱負荷を軽減して省エネル
ギーを達成するという、すぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窓構造のビルのファサードを示す部分
正面図である。
【図2】図1の部分の縦断面図である。
【図3】図2のA部を拡大して示す部分断面図である。
【図4】図2のB部を拡大して示す部分断面図である。
【図5】本発明の窓構造の使用方法例を示す説明図であ
る。
【図6】本発明に係わるエアフローシステムを説明する
説明図である。
【図7】本発明に係わるダブルスキン構造を説明する説
明図である。
【符号の説明】
1 枠体 2 窓部 3 腰壁 4 室内側通気口 5 ブラインド 6 室外側通気口 7 排気ダクト 8 床 9 天井 11 下枠(枠体) 12 上枠(枠体) 13、17 切換扉 14、18 回転軸 15、16 シール部材 21 室内側障子 22 室外側障子 31 耐火ボード 32 幅木 41 下部通気口(室内側通気口) 42 上部通気口(室内側通気口) 61 下部通気口(室外側通気口) 62 上部通気口(室外側通気口) L 太陽光 P 化粧板 S 躯体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 狩野 大和 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 株 式会社三菱地所設計内 (72)発明者 田中 良彦 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 株 式会社三菱地所設計内 (72)発明者 時田 重明 千葉県船橋市山手一丁目1番1号 日本建 鐵株式会社内 (72)発明者 藤井 和夫 千葉県船橋市山手一丁目1番1号 日本建 鐵株式会社内 (72)発明者 鈴木 孝雄 千葉県船橋市山手一丁目1番1号 日本建 鐵株式会社内 (72)発明者 岩上 和彦 千葉県船橋市山手一丁目1番1号 日本建 鐵株式会社内 Fターム(参考) 2E039 AA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明ガラスを嵌めた室内側障子(21)な
    らびに同じく透明ガラスを嵌めた室外側障子(22)より
    なる二重窓構造のカーテンウォールにおいて、前記二重
    窓を囲む枠体(1)のうち下枠(11)および上枠(12)
    の内部を前記二重窓の内側部分と導通させるとともに、
    これら下枠(11)および上枠(12)に室内側通気口(4
    1、42)および室外側通気口(61、62)を設け、前記下
    枠(11)および上枠(12)の内部に、前記室内側通気口
    (41、42)および室外側通気口(61、62)の一方を選択
    的に閉塞し、他方を前記二重窓の内側部分と導通させる
    切換扉(13、17)を備えたことを特徴とするカーテンウ
    ォール工法における窓構造。
  2. 【請求項2】 上枠(12)に設けられた室内側通気口
    (42)が排気ダクト(7)に接続されている請求項1に
    記載のカーテンウォール工法における窓構造。
  3. 【請求項3】 室内側障子(21)と室外側障子(22)の
    中間に開閉可能なブラインド(5)を配置した請求項1
    または2に記載のカーテンウォール工法における窓構
    造。
  4. 【請求項4】 透明ガラスを嵌めた室内側障子ならびに
    同じく透明ガラスを嵌めた室外側障子よりなる二重窓構
    造のカーテンウォールにおいて、前記二重窓を囲む枠体
    のうち下枠および上枠の内部を前記二重窓の内側部分と
    導通させるとともに、これら下枠および上枠に室内側通
    気口および室外側通気口を設け、前記下枠および上枠の
    内部に切換扉を備えて、前記室内側通気口および室外側
    通気口の一方を選択的に閉塞し、他方を前記二重窓の内
    側部分と導通させることを特徴とするカーテンウォール
    工法における窓構造の使用方法。
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