JP2003312462A - 車両のブレーキ装置 - Google Patents

車両のブレーキ装置

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JP2003312462A
JP2003312462A JP2002123912A JP2002123912A JP2003312462A JP 2003312462 A JP2003312462 A JP 2003312462A JP 2002123912 A JP2002123912 A JP 2002123912A JP 2002123912 A JP2002123912 A JP 2002123912A JP 2003312462 A JP2003312462 A JP 2003312462A
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pressure
negative pressure
brake
cylinder
wheel
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Hajime Fukumori
肇 福森
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ABS制御装置を具える、車両のブレーキ装
置において、制動開始から停止までの間、ほぼ一定のス
リップ率を保持させて、この間、高い路面μ維持させ
て、車両を制動させることのできるブレーキ装置を提供
する。 【解決手段】 ブレーキ装置の油圧回路4において、ブ
ースタシリンダ20の負圧室の負圧を制御する負圧制御
手段をなすリニアレギュレータ28を設け、このリニア
レギュレータ28をABS制御装置5からの信号で制御
する。このことにより、マスタシリンダ11の油圧を減
圧し、ホイールシリンダ12の圧力変動を抑制すること
ができ、これに起因して発生していたスリップ率の変動
を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のABS(ア
ンチロックブレーキシステム)を制御するアンチロック
制御装置(以下「ABS制御装置」という)と、ブレーキ
ペダルの押圧力を増幅するブースタシリンダを有するブ
レーキ装置に関し、特には、そのブレーキ性能を格段に
向上させたブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ABSの性能を高め、短い制動距離、制
動時間で車両を停止させるためは、制動中、タイヤと路
面間で発生する摩擦係数(以下、「路面μ」という)を高
い状態に維持するが重要であり、このため、ABSを具
えるブレーキ装置は、一般的に、以下に示すように制御
されている。
【0003】図3は、縦軸に、路面μを、横軸にスリッ
プ率をとって、スリップ率と路面μとの関係を示す概念
図である。ここで、スリップ率ρは、車体速度(m/
s)をV、車輪角速度(rad/s)をω、車輪有効半
径(m)をrとしたとき、式(1)で定義されるもので
ある。 ρ=(V−ω・r)/V (1)
【0004】ABS制御装置は、スリップ率を、図3に
示すS1とS2との間に維持してブレーキ装置を制御す
るものであり、このことにより、路面μをμ1以上に保
って、ブレーキ装置を作動させることができる。
【0005】図4は、このようなABS制御装置を具え
た一般的なブレーキ装置を示すブロック線図である。こ
のブレーキ装置100は、車輪101を制動するブレー
キ本体102、ブレーキ本体102に油圧を加えてこれ
を作動させる油圧回路104、運転者が油圧回路を操作
するためのブレーキペダル103、ブレーキペダルの操
作力を増幅するブースタシリンダ120、および、車輪
の角速度を検知する車輪速センサ106を含む車両状態
や外部環境に関する情報を検出する外部センサからの信
号を取りこみ、これらの信号に基づいて、油圧回路10
4を制御するABS制御装置105を具えて構成されて
いる。
【0006】油圧回路104は、ブレーキペダル103
の操作により、油圧の元圧を上下するマスタシリンダ1
11、マスタシリンダ111の油圧に応じて、複数の車
輪101のブレーキ本体102に油圧を加えるそれぞれ
のホイールシリンダ112、ABS制御装置105から
の信号に基づいて、マスタシリンダ111とホイールシ
リンダ112との間の油圧の連通を断接する流入側切替
弁113、ホイールシリンダ112の油圧を排出して圧
力を低下させる流出側切替弁114、排出された油を集
めるパン116およびこの油を油圧ラインに回収する油
圧ポンプ115を具えている。
【0007】図5は、ブースタシリンダ120の構造を
示す略線断面図であり、ブースタシリンダ120は、負
圧室126、大気圧室127、これら両室を隔壁するパ
ワーピストン122ならびにダイヤフラム123、およ
び、パワーピストン122に取り付けられた弁体124
を具え、負圧室126は、チェック弁125を介してエ
ンジンのインテークマニホールドに連通されている。
【0008】また、ブレーキペダル103は、固定ピン
103a、固定ピン103aの回りに揺動するペダルリ
ンク103d、ペダルリンク103dの先端に取り付け
られ運転者の操作力を受けるペダルプレート103b、
および、ペダルリンク103dの揺動中心の近くに取り
付けられた中間ピン103cを具え、一方、マスタシリ
ンダ111は、その油圧を昇圧するための油圧ピストン
111aを有していて、油圧ピストン111aと、ブレ
ーキペダル103の中間ピン103cとは、ロッド12
1によって連結されている。そして、ブースタシリンダ
120のパワーピストン122は、このロッド121に
固定されている。また、ロッド121が大気圧室127
の外壁を貫通する部分には、大気圧が流入するための隙
間121aが設けられていて、弁体124は、これが移
動することによってこの隙間121aを開放したり閉止
したりすることができる。
【0009】負圧室126は負圧を発生させるインテー
クマニホールドに連通されており、しかもチェック弁1
25の作用によりいったん負圧になった後はもこの負圧
が逆流することはないので、負圧室は、常に負圧の状態
を維持している。ブレーキペダルが踏まれていないとき
は、大気圧室127は、負圧室126と力がバランスす
るよう負圧状態になっている。同時にこのとき、弁体1
24は隙間121aを閉止するとともに、ロッド121
は油圧ピストン111aをもっとも引いた位置に位置さ
せ、よってマスタシリンダ111の油圧をゼロに保持す
る。
【0010】運転者がペダルプレート103bを踏む
と、この力は、ペダルプレート103bおよび中間ピン
103cの、固定ピン103aからのそれぞれの距離の
比に反比例して増幅され、ロッド121を押す。ロッド
121が押されると、これに固定されたパワーピストン
122および弁体124も移動し、隙間121aが開放
されて、隙間121aから大気圧が流入する。大気圧が
大気圧室127に流入すると、負圧室126とのバラン
スが崩れ、パワーピストン122を負圧室126の側に
押す力が発生する。そして、このことにより、いった
ん、隙間121aが開放する位置までロッド121が移
動すると、パワーピストン122を固定するロッド12
1には、ブレーキペダル103の中間ピン103bから
の力以外に、このパワーピストン122が受ける押圧力
が加わって、油圧ピストン111aの押圧力を増幅し、
マスタシリンダ111内の油圧を大きく上昇させる。
【0011】このように、ブースタシリンダ120は、
運転者のブレーキ操作力を増幅する働きをするものであ
り、これによって、運転者の操作力は、ブレーキペダル
103のレバー比に反比例した倍率、例えば四倍に増幅
され、これが、ブースタシリンダ120によって、さら
に、例えば五倍増幅されるので、これらを掛け合わせた
二十倍の力でマスタシリンダ111を加圧することがで
きる。
【0012】以上のように構成されたブレーキ装置の作
動を以下に説明する。ブレーキをかけずに走行している
とき、マスタシリンダの圧力はゼロであり、また、流入
側切替弁113は開放し、流出側切替弁114は閉止し
てので、ホイールシリンダ112の圧力はゼロに保持さ
れ、ブレーキ本体102は作動していない状態を維持
し、よって、車輪101はスリップせずに転動して、式
(1)のスリップ率ρは、ほぼゼロである。
【0013】運転者がブレーキペダル103を踏んで、
ブレーキをかけると、マスタシリンダ111の圧力は大
きく上昇する。このとき、流入側切替弁113は開放
し、流出側切替弁114は閉止したまま保持されている
ので、マスタシリンダ111に連通するホイールシリン
ダ112の圧力も上昇し、その結果、ブレーキ本体10
2が作動する。ブレーキ本体102が作動すると、車輪
101が滑り始めスリップ率ρが上昇してゆく。
【0014】図3において、このスリップ率ρがS1に
達すると、ABS制御装置105は、流入側切替弁11
3を閉止して、ホイールシリンダ112の圧力の上昇を
停止させる。さらに、スリップ率が上昇し、これがS2
に達するとABS制御装置105は流出側切替弁114
を開放し、ホイールシリンダ112の油圧を下げ、ブレ
ーキ本体102の作動を停止する。このとき、油圧ポン
プ115は、流出側切替弁114に連動して、パン11
6からの油を油圧ラインに回収する。
【0015】ブレーキ本体102の作動の停止に伴っ
て、スリップ率ρは低下し、これが図3のS1に戻る
と、再び、流入側切替弁113を開放するとともに流出
側切替弁114を閉止して、ホイールシリンダ112を
昇圧し、ブレーキ本体102を再作動させる。このよう
に、ABS制御装置105を具える従来のブレーキ装置
100は、一旦、ABS制御装置105が機能し始める
と、スリップ率ρをS1とS2の間の値を往復させて、
路面μをμ1以上に維持して、制動距離の短いブレーキ
作動を行わせことを狙って設計されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このブ
レーキ装置100を詳細に調査したところ、以下に述べ
る問題があることが判明した。図6は、実際に1800
ccクラスの車両を80km/hのスピードで走行さ
せ、駆動を停止し、ブレーキをかける実験を行った際
の、車体速度V、車輪周速度Z、マスタシリンダの圧力
P1およびホイールシリンダの圧力P2を、制動後の経
過時間tを横軸にとって示したグラフである。なお、車
輪周速度Zは車輪角速度ωと車輪有効半径rとを掛け合
わせたものである。
【0017】図6に示すように、車体速度Vは一定の割
合で低下しているものの、車輪周速度Zは大きく変動し
ながら低下している。高い路面μを保持させながら車両
を制動するためには、スリップ率を一定の範囲に保つ必
要があることは前述した通りであるが、この一定のスリ
ップ率を達成させる理想の車輪周速度を、本実験の場合
に当てはめて計算した。それを図6に直線Z0で示し
た。図6から明らかなように、実際の車輪周速度Zはこ
の理想直線Z0と時々交わりながら大きく上下しながら
低下していることが分かる。
【0018】車輪周速度Zが理想直線Z0から大きく外
れる部分では、低い路面μで制動を働かせていることを
意味し、この部分で無駄に制動時間を費やしていること
が分かった。本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、実際の車輪周速度を大きく変動させな
いで、スリップ率を一定の範囲に保持し、高い路面μを
維持して車両を制動することのできるブレーキ装置を提
供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はなされたものであり、その要旨構成ならび
に作用を以下に示す。
【0020】請求項1に記載のブレーキ装置は、ABS
制御装置と、負圧によりブレーキペダルの押圧力を増幅
するブースタシリンダとを具えた車両のブレーキ装置に
おいて、ブースタシリンダに、前記負圧を制御する負圧
制御手段を設けてなるものである。
【0021】従来のブレーキ装置における、制動時の車
輪周速度の大きな変動の要因を調査したところ、図6に
示すように、車輪周速度の変動は、油圧回路のホイール
シリンダの圧力P2が変動することが原因であり、路面
μが一定の場合、この圧力P2を一定に保てば、車輪周
速度を上下変動させることはなく、車両を一定の割合で
減速度で減速させられることが分かった。そして、ホイ
ールシリンダの圧力P2を変動させる要因は、ABS制
御装置からの制御信号に対する、流入側切替弁の遅れを
含むブレーキシステム全体の系の不安定さによるもので
あることも分かり、これを改良する方法として、ABS
制御装置を作動させているときは、マスタシリンダの圧
力P1を低くすることにより、系の不安定さの、ホイー
ルシリンダの圧力P2に対する影響を軽減することに想
到し、本発明はなされたものである。
【0022】この車両のブレーキ装置によれば、ブース
タシリンダに、前記負圧室の負圧を制御する負圧制御手
段を設けたので、この負圧を下げる、すなわち、大気圧
との差を小さくすることによってマスタシリンダのピス
トンの押圧力を下げ、よって、マスタシリンダ圧力P1
を低減することができ、その結果、ホイールシリンダの
圧力P2を安定させ、スリップ率を所定の範囲に保持す
ることができる。
【0023】請求項2に記載のブレーキ装置は、請求項
1に記載するところにおいて、ABS制御装置に、車両
状態および外部環境に応じて、負圧制御手段をリアルタ
イムに制御する制御回路を設けてなるものである。
【0024】一般に用いられるABS制御装置は、時々
刻々変化する路面μに応じて、例えば、路面がウェット
の状態では車両をロックさせないため、ドライの状態に
比べて、ブレーキ本体に加えるホイールシリンダの圧力
を下げよう流入側切替弁と流出側切替弁とをリアルタイ
ムに制御している。この従来のアンチロック制御装置
は、さらに、図3に示すように、路面μ以外にも、車体
速度、車輪周速度、減速度、天候、車間距離、ブレーキ
トルク、外気温、舵角、ヨーレート、横方向加速度、等
の車両状態および外部環境に関する検出値のすべて、も
しくは一部も取りこんで、これらの切替弁をリアルタイ
ムに制御している。
【0025】ブレーキ本体にかけるホイールシリンダの
圧力を、路面μ等の状況によりこのようにリアルタイム
に変化させている状況下で、マスタシリンダの圧力P1
とホイールシリンダの圧力P2との差をいつも小さく保
ってホイールシリンダ圧力P2を安定させるためには、
マスタシリンダの圧力P1も、状況に応じてこれをリア
ルタイムに制御する必要がある。
【0026】このブレーキ装置によれば、ABS制御装
置に、負圧制御手段をリアルタイムに制御する制御回路
を設けているので、負圧制御手段を制御してマスタシリ
ンダのピストンの油圧を低く保つよう調整することがで
きる。
【0027】請求項3に記載のブレーキ装置は、請求項
2に記載するところにおいて、前記制御回路に、マスタ
シリンダの圧力がホイールシリンダの圧力より常に一定
圧だけ高くなるよう、負圧制御手段を制御する回路部分
を設けてなるものである。
【0028】本発明によれば、マスタシリンダの圧力を
ホイールシリンダの圧力より常に一定圧だけ高くするよ
う制御するので、前述のとおり、好適なブレーキ装置を
実現することができる。
【0029】請求項4に記載のブレーキ装置は、請求項
1〜3のいずれかに記載するところにおいて、マスタシ
リンダの圧力を検出する圧力センサを設けてなるもので
ある。
【0030】本ブレーキ装置は、マスタシリンダの圧力
を検出する圧力センサを設けているので、マスタシリン
ダの圧力を監視して、警報を出して運転者に危険の予兆
を知らせたり、あるいは、この検出された圧力を負圧制
御手段への制御信号にフィードバックして、マスタシリ
ンダの圧力をより精度よく制御したりすることができ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るブ
レーキ装置10を示すブロック線図である。このブレー
キ装置10は、車輪1を制動するブレーキ本体2と、運
転者がブレーキ操作をするためのブレーキペダル3と、
ブレーキ本体2に油圧を加えて、これを作動させる油圧
回路4と、車輪の角速度を検知する車輪速センサ6や図
示しない車体速度を検出するセンサからの信号を取りこ
み、これらに基づいて、油圧回路4を制御するABS制
御装置5とを具えて構成されている。
【0032】油圧回路4は、ブレーキペダル3の操作に
より、元圧を上下するマスタシリンダ11、複数の車輪
1のブレーキ本体2に油圧を加えるそれぞれのホイール
シリンダ12、ABS制御装置5からの信号に基づい
て、マスタシリンダ11とホイールシリンダ12との間
の油圧の連通を断接する流入側切替弁13、ホイールシ
リンダ12の油圧を排出して圧力を低下させる流出側切
替弁14、排出された油を集めるパン16およびこの油
を油圧ラインに回収する油圧ポンプ15を具えている。
【0033】図2は、ブースタシリンダ20の構造を示
す略線断面図であり、ブースタシリンダ20は、負圧室
26、大気圧室27、これら両室を隔壁するパワーピス
トン22ならびにダイヤフラム23、および、パワーピ
ストン22に取り付けられた弁体24を具え、負圧室2
6は、負圧センサ29、リニアレギュレータ28および
チェック弁25を介してエンジンのインテークマニホー
ルドに連通されている。
【0034】また、ブレーキペダル3は、固定ピン3
a、固定ピン3aの回りに揺動するペダルリンク3d、
ペダルリンク3dの先端に取り付けられ運転者の操作力
を受けるペダルプレート3b、および、ペダルリンク3
dの揺動の中心近くに取り付けられた中間ピン3cを具
え、一方、マスタシリンダ11は、その油圧を昇圧する
ための油圧ピストン11aを有していて、油圧ピストン
11aと、ブレーキペダル3の中間ピン3cとは、ロッ
ド21によって連結されている。そして、ブースタシリ
ンダ20のパワーピストン22は、このロッド21に固
定されている。また、ロッド21が大気圧室27の外壁
を貫通する部分には、大気圧が流入するための隙間21
aが設けられていて、弁体24は、これが移動すること
によってこの隙間21aを開放したり閉止したりするこ
とができる。
【0035】負圧室26は負圧を発生させるインテーク
マニホールドに連通されており、チェック弁25の作用
により、チェック弁25とリニアレギュレータ28との
間の部分は、ここがいったん負圧になった後はこの負圧
が逆流することはないので、常に負圧の状態を維持する
ことができる。
【0036】リニアレギュレータ28は、負圧室26の
負圧を制御するための負圧制御手段を構成するものであ
り、このリニアレギュレータ28は、負圧がさらに必要
なときは、この流入口を開いてインテークマニホールド
からの負圧を導入するとともに、負圧を小さくしたいと
きは、図示しないポートから大気圧を直接注入すること
ができ、これらの制御はABS制御装置5からの信号に
基づいて行えるように構成されている。また、負圧セン
サ29は、負圧室26の負圧の制御に必要な、負圧の現
在値を検出するためのものである。なお、インテークマ
ニホールドから導入する負圧を確保ためには、チェック
弁25とリニアレギュレータ28との間の部分に負圧の
容量を保持するリザーバを設けるのがよい。
【0037】この実施形態では、負圧制御手段としてリ
ニアレギュレータ28を用いたが、この代わりに、イン
テークマニホールドに連通する負圧導入側オンオフ弁と
大気圧に連通する大気圧導入側オンオフ弁とを用いて、
これらのオンオフをタイミングよく行わせることにより
負圧室26の負圧を制御してもよい。
【0038】次に、このブレーキ装置10の作動につい
て説明する。ブレーキペダル3が踏まれていないとき
は、大気圧室27は、負圧室26と力がバランスするよ
う負圧状態になっている。同時にこのとき、弁体24は
隙間21aを閉止するとともに、ロッド21は油圧ピス
トン11aをもっとも引いた位置に位置させ、よってマ
スタシリンダ11の油圧をゼロに保持する。このとき、
流入側切替弁13を開放させ、流出側切替弁14を閉止
させている点は、従来のブレーキ装置と同様である。
【0039】運転者がペダルプレート3bを踏むと、こ
の力は、ペダルプレート3bおよび中間ピン3cの、固
定ピン3aからのそれぞれの距離の比に反比例して増幅
され、ロッド21を押す。ロッド21が押されると、こ
れに固定されたパワーピストン22および弁体24も移
動し、隙間21aが開放されて、隙間21aから大気圧
が流入する。大気圧が大気圧室27に流入すると、負圧
室26のバランスが崩れ、パワーピストン22を負圧室
26の側に押す力が発生する。そして、このことによ
り、いったん、隙間21aが開放する位置までロッド2
1が移動すると、パワーピストン27を固定するロッド
21には、ブレーキペダル3の中間ピン3bからの力以
外に、このパワーピストン22が受ける押圧力が加わっ
て、油圧ピストン11aの押圧力を増幅し、マスタシリ
ンダ11内の油圧を大きく上昇させる。
【0040】マスタシリンダ11の圧力が上昇すると、
流入側切替弁13は開放したままで、流出側切替弁14
も閉止したままなので、ホイールシリンダ12の圧力も
上昇し、その結果ブレーキ本体2を作動させる。ブレー
キ本体2が作動すると、車輪1が滑り始めスリップ率が
上昇してゆく。
【0041】このスリップ率が、図3に示すS2に達す
ると、ABS制御装置5はその機能を開始し、流入側切
替弁13に、これを閉止する信号を出力すると同時に、
流出側切替弁14に、これを開放する信号を出力して、
ホイールシリンダ12の圧力を低下させる。このとき、
油圧ポンプ15は、流出側切替弁14と連動して、パン
16からの油を油圧ラインに回収する。
【0042】次いで、ホイールシリンダ12の圧力の低
下に伴ってスリップ率も低下し、これがS1に達する
と、ABS制御装置5は再び、流入側切替弁13に、こ
れを開放する信号を出力すると同時に、流出側切替弁1
4に、これを閉止する信号を出力して、ホイールシリン
ダ12の圧力を上昇させる。このブレーキ装置10は、
このように、路面μが一定の場合、ホイールシリンダ1
2の圧力を一定の圧力範囲に制御するが、これは、従来
のABS制御装置を具えたブレーキ装置も同様である。
【0043】このブレーキ装置10が、従来のブレーキ
装置と異なる点は、スリップ率がS2に達し、ABS制
御装置5がその機能を開始し、流入側切替弁13に閉止
信号を、流出側切替弁14に開放信号を出力すると同時
に、ABS制御装置5は、リニアレギュレータ28に対
しても、負圧室26の負圧に関する目標値を出力し、そ
して、リニアレギュレータ28は、負圧室26の負圧を
この目標値に近づけるよう制御を開始するという点であ
る。
【0044】また、この実施形態では、このリニアレギ
ュレータ28に出力する負圧目標値は、マスタシリンダ
11の圧力が、常に所定の差圧だけホイールシリンダ1
2より高くなるように与えられる。
【0045】すなわち、このブレーキ装置10のABS
制御装置5は、時々刻々変化する路面μに応じて、ホイ
ールシリンダ12の圧力をリアルタイムに変えている点
では、従来のABS制御装置と同様であるが、このブレ
ーキ装置10が従来のものと異なる点は、ABS制御装
置5が、リニアレギュレータ28に対しても同時に、マ
スタシリンダ11の圧力を、ホイールシリンダ12の圧
力よりいつも所定差圧だけ高い圧力に保って変化するよ
う、圧力の指令信号を出力していることである。その結
果、システムの不安定さに起因するホイールシリンダ圧
力の変動を抑制することができる。
【0046】なお、圧力センサ19は、マスタシリンダ
の圧力を検出し、ABS制御装置は、この検出値が所定
の設定範囲外に外れた場合、この外れた度合いに基づい
てリニアレギュレータ28への指令信号を修正させてい
る。
【0047】また、この実施形態では、流入側切替弁1
3と、流出側切替弁14とはいつも逆の作動を行わせて
ホイールシリンダ12の圧力を一定の圧力範囲に制御し
ているが、このほかに、流入側切替弁13と流出側切替
弁14とを同時に閉止する状態も組み合わせて、ホイー
ルシリンダ12の圧力を制御することもできる。
【0048】
【実施例】前述の、従来のブレーキ装置を搭載した18
00ccクラスの車両の実験を従来例とし、従来のブレ
ーキ装置の代わりに、本発明に係る実施形態のブレーキ
装置を搭載した車両を、従来例と同様の条件80km/
hのスピードで走行させ、駆動を停止し、ブレーキをか
ける実験を行い、これを実施例として、従来例と制動距
離の比較を行った。
【0049】実施例の制動距離の測定結果を、表1に、
従来例の制動距離を100とした指標で示す。表1にお
いて、数値が小さいほうが、制動距離が短く、優れてい
ることを意味している。なお、ここで、制動距離とは、
運転者の反応遅れや、ブレーキ系の遅れに起因する空走
距離を含まない距離である。
【表1】
【0050】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明によれば、ブースタシリンダの負圧室の負圧を制
御する負圧制御手段を設けたので、油圧回路内の系の不
安定さに起因するホイールシリンダの圧力変動を抑制す
ることができ、高い路面μを維持して車両を制動するこ
とができ、制御距離、制御時間を大幅に短縮することが
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるブレーキ装置を示すブロック
線図である。
【図2】 ブースタシリンダの構造を示す略線断面図で
ある。
【図3】 スリップ率と路面μとの関係を示す概念図で
ある。
【図4】 従来のブレーキ装置の油圧回路を示すブロッ
ク線図である。
【図5】 従来のブースタシリンダの構造を示す略線断
面図である。
【図6】 従来のブレーキ装置による制動時の、車体速
度と車輪周速度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 車輪 2 ブレーキ本体 3 ブレーキペダル 3a 固定ピン 3b ペダルプレート 3c ペダルプレート 3d ペダルリンク 4 油圧回路 5 ABS制御装置 6 車輪速センサ 10 ブレーキ装置 11 マスタシリンダ 11a 油圧ピストン 12 ホイールシリンダ 13 流入側切替弁 14 流出側切替弁 15 油圧ポンプ 16 パン 19 圧力センサ 20 ブースタシリンダ 21 ロッド 21a 隙間 22 パワーピストン 23 ダイヤフラム 24 弁体 25 チェック弁 26 負圧室 27 大気圧室 28 リニアレギュレータ 29 負圧センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンチロック制御装置と、負圧によりブ
    レーキペダルの押圧力を増幅するブースタシリンダとを
    具えた車両のブレーキ装置において、 ブースタシリンダに、前記負圧を制御する負圧制御手段
    を設けてなるブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 アンチロック制御装置に、車両状態およ
    び外部環境に応じて、負圧制御手段をリアルタイムに制
    御する制御回路を設けてなる請求項1に記載のブレーキ
    装置。
  3. 【請求項3】 前記制御回路に、マスタシリンダの圧力
    がホイールシリンダの圧力より常に一定圧だけ高くなる
    よう、負圧制御手段を制御する回路部分を設けてなる請
    求項2に記載のブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 マスタシリンダの圧力を検出する圧力セ
    ンサを設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載のブレ
    ーキ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103101528A (zh) * 2011-11-14 2013-05-15 现代自动车株式会社 用于车辆的制动加力器的真空压力控制方法

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