JP2003312119A - 光沢画像形成方法 - Google Patents

光沢画像形成方法

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JP2003312119A
JP2003312119A JP2002118606A JP2002118606A JP2003312119A JP 2003312119 A JP2003312119 A JP 2003312119A JP 2002118606 A JP2002118606 A JP 2002118606A JP 2002118606 A JP2002118606 A JP 2002118606A JP 2003312119 A JP2003312119 A JP 2003312119A
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image
gloss
ink
treatment liquid
glossiness
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JP2002118606A
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English (en)
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Yuukenshi Nagano
裕見子 永野
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット方式による印画物の光沢性を
向上させる。 【解決手段】 インクジェットプリンタ100で画像2
を形成し、該画像2にジルコニウム塩の水性液からなる
光沢処理液を塗布して光沢付与層1を形成することによ
り、画像の光沢度を、JIS Z8741で規定される
60度白色鏡面光沢度で5%以上向上させる。光沢処理
液の塗布は、画像を形成したインクジェットプリンタ1
00で、ラインヘッド120等のプリントヘッドから光
沢処理液Sを吐出することにより行うことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット方
式による印画物に高い光沢性を付与する光沢処理液と、
その光沢処理液を用いたインクジェット方式による画像
形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット方式は、微細な圧電素子
(ピエゾ素子)の圧力によって、或いはサーマルヘッド
の加熱により発生するエアーの圧力(バブルジェット
(登録商標))によって、染料、顔料、樹脂、添加剤等
を水とアルコールの混合溶剤に溶解して調製したインク
をノズルから噴出させ、記録用シートに付着させること
により画像を形成する方法である。
【0003】インクジェットプリンタは、コンピュータ
ー等のOA機器によって作成した文字、記号、図形、画
像等の視覚的情報を迅速にアウトプットできるので、ビ
ジネスから個人での趣味用途まで広く利用されており、
近年では、デジタルカメラ等で記録した高画質の画像デ
ータをインクジェットプリンタで出力することが急速に
普及している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高画質の画像データの
出力に際しては、銀塩系写真のような高光沢の画像が望
まれる場合が多い。そこで、本発明は、インクジェット
方式による印画物の光沢性を向上させることを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明は、ジルコニウム塩の水性液からなり、イン
クジェット方式で形成された画像に塗布されて光沢付与
層を形成することにより、画像の光沢度を、JIS Z
8741で規定される60度白色鏡面光沢度で5%以上
向上させることのできる光沢処理液を提供する。
【0006】また、この光沢処理液を用いた光沢画像の
形成方法として、インクジェット方式で画像を形成し、
該画像にジルコニウム塩の水性液からなる光沢処理液を
塗布して光沢付与層を形成することにより、画像の光沢
度を、JIS Z8741で規定される60度白色鏡面
光沢度で5%以上向上させる光沢画像形成方法を提供す
る。
【0007】さらに、この光沢画像形成方法を実施する
のに好適な装置として、インクジェット方式によりイン
クを吐出させるノズルと、ジルコニウム塩の水性液から
なる光沢処理液を吐出させるノズルを備え、インクによ
る画像上に光沢付与層が形成された画像を出力するプリ
ンタを提供する。
【0008】本発明の光沢画像形成方法によれば、イン
クジェット方式で形成した画像上にジルコニウム塩の水
性液からなる光沢処理液を塗布し、光沢付与層を形成す
る。この光沢付与層は、電子顕微鏡によれば、一次粒径
が略10nm以下のジルコニウム塩の析出層からなり、
印画物の光沢性を、JIS Z8741で規定される6
0度白色鏡面光沢度で5%以上向上させることができ
る。また、印画物の耐光性、耐水性、塗膜強度等の保存
特性も向上させることができる。
【0009】特に、インクジェットプリンタで画像形成
のためにインクを吐出した後、そのインクジェットプリ
ンタでプリントヘッドから光沢処理液を吐出することに
より光沢付与層を形成すると、インクジェットプリンタ
に用紙を装填してからインクにより画像を形成し、印画
物を排出するまでの一連の作業内で、光沢処理液により
印画物を被覆し、印画物の光沢性を向上させることが可
能となる。
【0010】さらに本発明の光沢画像形成方法におい
て、インクによる画像の階調に応じて光沢処理液の塗布
量を調整すると、画像の高階調域に比して光沢性が低い
画像の低階調域では光沢処理液の塗布量を多くし、その
部分の光沢性を大きく高めることができるので、画像全
体としての光沢性を均一化することができる。
【0011】また、光沢処理液の塗布により形成した光
沢付与層は、鉛筆、水性・油性ペン、万年筆等による筆
記性が劣るところ、画像のうち写真画像又はグラフィッ
ク画像形成域に選択的に光沢付与層を形成すると、写真
画像又はグラフィック画像に光沢を付与すると共に、そ
れ以外の領域で筆記性を確保することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の光沢処理液は、主成分と
してジルコニウム塩を水に溶解させてなる水性液であ
り、この乾燥塗膜は光沢付与層となる。
【0013】ここで、ジルコニウム塩としては、常温で
水に溶解できるものであればよく、例えば、酸塩化ジル
コニウム、Zr23Cl2等のハロゲン化物塩類、酢酸
ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸
ジルコニル、ラウリル酸ジルコニル等の有機酸塩類、炭
酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウ
ム、炭酸ジルコニウムアンモニウム等の酸素酸塩類が挙
げられる。これらは一種または二種以上の混合物として
使用することができる。なお、非水溶性のジルコニウム
塩は、光沢付与能が不十分であり、さらに光沢付与層の
塗膜強度も不十分であるため好ましくない。
【0014】光沢処理液におけるジルコニウム塩の含有
量は、その固形分をZrO2 に換算した重量%で0.1
〜20%、特に0.1〜10%とすることが好ましい。
ジルコニウム塩の含有量が少なすぎると、光沢付与層と
して、一次粒径が略10nm以下のジルコニウム塩の析
出層を形成し、印画物の光沢性を、JIS Z8741
で規定される60度白色鏡面光沢度で5%以上とするこ
とが困難となる。反対に、ジルコニウム塩の含有量が多
すぎると光沢付与層が脆くなり、塗膜強度が低下する。
【0015】また、光沢処理液の粘度は、1〜10mP
a・sに調整することが好ましい。これにより、インク
ジェットプリンタのプリントヘッドを用いて光沢処理液
を吐出させる場合の、吐出特性を最適化することができ
る。即ち、光沢処理液の粘度が低すぎると液滴として不
完全となり、反対に高すぎるとプリントヘッドから吐出
された光沢処理液の飛翔速度が低下し易くなる。
【0016】粘度を上述の範囲に調整するためには、例
えば、添加する溶媒量を加減したり、また、使用する溶
媒種を選択すればよい。
【0017】光沢処理液をインクジェットプリンタのプ
リントヘッド等から吐出させて使用する場合に、プリン
トヘッド等での目詰まりを防止するため、光沢処理液に
は水溶性有機溶剤を添加することが好ましい。かかる、
水溶性有機溶剤としては、脂肪族一価アルコール、多価
アルコール、環状ケトン等の少なくとも一種を用いるこ
とができる。ここで、脂肪族一価アルコールとしては、
エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロ
ピルアルコール等を用いることが好ましい。多価アルコ
ールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール等のグリコールや、その誘導
体を用いることが好ましい。環状ケトンとしては、2−
ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロ
ラクトン、炭酸プロピレン等を用いることができる。
【0018】水溶性有機溶剤の含有量は、光沢処理液全
重量の1〜40重量%とすることが好ましく、5〜20
重量%とすることがより好ましい。水溶性有機溶剤の含
有量が1重量%未満であると、この光沢処理液を吐出す
るインクジェットプリンタのノズルに目詰まりが起こる
おそれがある。一方、水溶性有機溶剤の含有量が40重
量%を上回ると、光沢処理液が高粘度化し、ノズルから
吐出された光沢処理液の飛翔速度が低下するおそれがあ
る。
【0019】光沢性の向上に寄与し、インクによる画像
に悪影響を及ぼさない限り、光沢処理液には、必要に応
じて、顔料、樹脂、各種添加剤等を含有させることがで
きる。ここで、添加剤としては、酸化防止剤、防カビ
剤、防腐剤、紫外線吸収剤、架橋剤、耐水性を向上する
ためのカチオン性樹脂等、界面活性剤、消泡剤、pH調
整剤等をあげることができる。
【0020】光沢処理液の塗布量は、該光沢処理液のジ
ルコニウム塩の含有量等にもよるが、光沢処理液の乾燥
塗膜である光沢付与層の層厚が2μm〜3μmとなるよ
うにすることが好ましい。
【0021】光沢処理液の塗布方法には、特に制限はな
く、画像を形成するインクジェットプリンタ内に、イン
クの吐出機構に準じて、光沢処理液のタンクと光沢処理
液を吐出するノズルを設け、そのノズルから光沢処理液
を吐出し、画像上に光沢付与層が形成されるようにする
方法、またはスプレーなどによりノズルから噴霧し、画
像上に光沢層を形成する方法等をあげることができる。
【0022】光沢処理液の塗布態様としては、図1に示
すように、インクジェット記録用の用紙Pにインクジェ
ット方式により画像2を形成した後、光沢処理液により
形成される光沢付与層1が用紙Pの表面全体を覆うよう
にしてもよく、図2に示すように、画像2の形成部分の
みを覆うようにしてもよく、さらに、後述するように画
像の階調あるいは種類(写真又はグラフィックか、テキ
ストか等)等に応じて光沢付与層1の形成域を定めても
よい。図中、符号3は用紙Pを構成する支持体であり、
符号4はインク吸収層である。
【0023】なお、画像形成前に予め光沢処理液を用紙
に塗布しておくことは、用紙Pにおけるインクの吸収性
が劣る場合があるので好ましくない。
【0024】光沢処理液の塗布態様としては、単独の光
沢処理液を画像上に塗布してもよく、成分、濃度等の異
なる複数種の光沢処理液を重ねて塗布してもよい。
【0025】また、光沢処理液は、インクによる画像形
成が完了した印画物に塗布してもよく、インクによる画
像形成に対して逐次的に光沢処理液を塗布してもよい。
上述したように、画像を形成するインクを吐出するノズ
ルと光沢処理液を吐出するノズルとを併せ持つインクジ
ェットプリンタを使用して光沢処理液を塗布する場合
に、この塗布方法は特に有効であり、インクジェットプ
リンタの給紙部に用紙を装填してからインクにより画像
を形成し、印画物を排出するまでの一連の作業内で、印
画物に光沢を付与することができるので好ましい。
【0026】インクを吐出するノズルと光沢処理液を吐
出するノズルとを併せ持つインクジェットプリンタのプ
リントヘッドの態様としては、インクを吐出するノズル
のプリントヘッドと光沢処理液を吐出するノズルのプリ
ントヘッドとを別個独立のプリントヘッドとして構成し
てもよく、あるいはこれらを一体とし、一つのプリント
ヘッドに光沢処理液を吐出するノズルとインクを吐出す
るノズルとを併設してもよい。
【0027】また、インクを吐出するノズルと光沢処理
液を吐出するノズルとを併設したプリントヘッドは、シ
リアルタイプのヘッドとしてもよくラインタイプのヘッ
ドとしてもよい。さらに、プリントヘッドは、光沢処理
液のチップタイプのタンクを着脱自在に装着するもので
もよく、光沢処理液のタンクと一体になったカートリッ
ジタイプのものでもよい。
【0028】同一のインクジェットプリンタで画像形成
と共に光沢処理液の塗布を行う場合、インクによって形
成される画像の階調に応じて光沢処理液の吐出量が調整
され、画像全体の光沢性が均一化されるようにしたもの
が好ましい。例えば、高階調の画像域は、通常の階調の
画像形成域に対して光沢性があるので、その部分の光沢
処理液の塗布量を減らすことにより、画像全体としての
光沢性を均一化する。
【0029】また、同一のインクジェットプリンタで画
像形成と共に光沢処理液の塗布を行う場合、インクによ
って形成される画像のうち写真画像又はグラフィック画
像形成域に選択的に光沢処理液を吐出してもよい。これ
により、写真画像又はグラフィック画像には、選択的に
光沢性を付与することができる。一方、光沢処理液の塗
布により、写真画像又はグラフィック画像形成域におけ
る、鉛筆、水性・油性ペン、万年筆等による筆記性は低
下するが、写真画像又はグラフィック画像形成域以外の
部分には光沢処理液が塗布されないので、その部分の筆
記性を確保することができる。
【0030】なお、本発明に使用するインクジェット記
録用の用紙としては、インクジェット方式により画像を
形成できる限り、特に制限はない。
【0031】以下、本発明の光沢画像形成方法を実現す
るインクジェットプリンタの具体的な態様を図面に基づ
いて詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又
は同等の構成要素に基づいている。
【0032】(プリンタの態様1)図3は、本発明の一
態様のインクジェットプリンタ100の全体構成を示す
一部断面斜視図、図4は、その断面側面図である。
【0033】このインクジェットプリンタ100の筐体
110は直方体状に形成されており、その内部には、ラ
インヘッド120、紙送り部130、給紙部140、ペ
ーパートレイ150、電気回路部160等が配設されて
いる。
【0034】筐体110の一端側面には用紙Pの排紙口
111が設けられ、他端側面にはペーパートレイ150
のトレイ出入口112が設けられている。
【0035】ラインヘッド120は、インクの液滴を吐
出する駆動素子として図示しない発熱素子を有し、用紙
Pの略幅寸法の記録範囲を有している。また、このライ
ンヘッド120は、インクの液滴の数でドットの径の変
調を行うPNM(Pulse Number Modulation)変調機能
を有する。
【0036】ラインヘッド120は、シアン(C)、マ
ゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色
分と、光沢処理液(S)のラインヘッドを備えており、
図示しないノズルが下方を向くようにして、排紙口11
1側の端部上方に配設されている。したがって、このイ
ンクジェットプリンタ100では、CMYKインクによ
り記録紙P上に画像を形成後、上記光沢処理液Sを用紙
Pの表面全体又は画像形成部分に吐出し、記録された画
像に光沢性を付与する。よって、このインクジェットプ
リンタ100によれば、光沢紙等の専用紙を用い無くと
も、出力画像に対して光沢性を付与することが可能とな
る。
【0037】ところで、写真画像等の階調性を有する画
像を出力する場合には、ユーザーから印画物に光沢が求
められることが多い。そこで、このインクジェットプリ
ンタ100では、後述するように、PNM制御を用い
て、高階調性を維持しつつ、光沢性も付与できるように
している。
【0038】紙送り部130は、紙送りガイド131、
紙送りローラ132、133、紙送りモータ134、プ
ーリ135、136、ベルト137、138を備えてお
り、排紙口111側の端部下方に配設されている。紙送
りガイド131は、平板状に形成されており、ラインヘ
ッド120の下方に所定の間隔をあけて配設されてい
る。各紙送りローラ132、133は、それぞれ互いに
接触した一対のローラからなり、紙送りガイド131の
両側、即ちトレイ出入口112側と排紙口111側に配
設されている。紙送りモータ134は、紙送りガイド1
31の下方に配設されており、プーリ135、136と
ベルト137、138を介して各紙送りローラ132、
133に連結されている。
【0039】給紙部140は、給紙ローラ141、給紙
モータ142、ギヤ143を備えており、紙送り部13
0のトレイ出入口112側に配設されている。給紙ロー
ラ141は、略半円筒形状に形成されており、トレイ出
入口112側の紙送りローラ132に近接して配設され
ている。給紙モータ142は、給紙ローラ141の上方
に配設されており、ギヤ143を介して給紙ローラ14
1に連結されている。
【0040】ペーパートレイ150は、例えばA4サイ
ズの用紙Pを複数枚重ねて収納可能な箱状に形成され、
底面の一端部には、ばね151で係止された紙支え15
2が設けられており、給紙部140の下方からトレイ出
入口112にかけて配設されている。
【0041】電気回路部160は、各部の駆動を制御す
る部位であり、ベーパトレイ150の上方に配設されて
いる。
【0042】このインクジェットプリンタ100は、概
略、次のように動作する。
【0043】ユーザが、ペーパートレイ150をトレイ
出入口112から引き出し、ペーパートレイ150内に
所定枚数の用紙Pを収納して押し入れた状態でインクジ
ェットプリンタ100の電源を入れ、外部からプリント
信号が入力されると、ばね151の作用により紙支え1
52が用紙Pの一端部を持ち上げ、給紙ローラ141に
押し付ける。そして、給紙モータ142の駆動により給
紙ローラ141が回転し、1枚の用紙Pをペーパートレ
イ150から紙送りローラ132へ送り出す。
【0044】続いて、紙送りモータ134の駆動により
各紙送りローラ132、133が回転し、送り出されて
きた用紙Pを紙送りローラ132が紙送りガイド131
へ送り出す。すると、ラインヘッド120が所定のタイ
ミングで動作して、ノズルからインクの液滴を吐出して
用紙P上に着弾させ、ドットからなる文字や写真等の画
像を記録する。つづいて、光沢処理液が用紙Pの表面全
体又は画像形成部分に吐出され、光沢性を付与する。そ
して、送り出されてきた用紙Pを紙送りローラ133が
排紙口111から排紙する。
【0045】次に、このインクジェットプリンタ100
の制御機構について、詳細に説明する。
【0046】図5は、電気回路部160の記録及び制御
系を示すブロック図である。
【0047】CPUやDSP構成としてソフトウェアで
処理する信号処理・制御回路161には、予め決められ
た補正データがROMマップ方式で格納されている補正
回路162、ラインヘッド120を駆動するためのヘッ
ドドライブ回路163、モータ駆動その他を制御する各
種制御回路164及びラインバッファメモリや1画面メ
モリ等のメモリ165が接続されている。
【0048】記録データ等の信号は、信号入力部166
から信号処理・制御回路161に入力されて記録順番に
揃えられ、補正回路162に送られてγ補正、色補正、
各ノズルのばらつき補正等の補正処理が施される。そし
て、補正後の記録データ等の信号は、外部条件、例えば
ノズル番号、温度、入力信号等に応じて信号処理・制御
回路161に取り出され、駆動信号としてヘッドドライ
ブ回路163及び各種制御回路164に送られる。
【0049】ヘッドドライブ回路163は、駆動信号に
基づいてラインヘッド120を駆動制御する。各種制御
回路164は、駆動信号に基づいて紙送りモータ13
4、給紙モータ142、ラインヘッド120のクリーニ
ング等を駆動制御する。更に、ヘッドドライブ回路16
3は、駆動信号が入力されると、一連の画像形成動作に
加えて、光沢処理液の吐出駆動も制御する。例えば、各
色インクの吐出後に、光沢処理液を用紙Pの表面全体又
は画像形成部分に吐出する駆動制御を行う。尚、記録デ
ータ等の信号は、必要に応じてメモリ165に一旦記録
されてから取り出されるようになっている。
【0050】図6は、図5のヘッドドライブ回路163
とラインヘッド120の詳細を示すブロック図である。
【0051】ヘッドドライブ回路163は、インクと光
沢処理液のそれぞれについて、PNM変調と時分割駆動
による吐出制御を行う構成となっており、階調カウンタ
163a、コンパレータ163b、シリアル/パラレル
変換部163c及びデータ読み出し部163dを備えて
いる。
【0052】階調カウンタ163aは、4色分のインク
に対しては、図7に示すように、PNMのパルス数まで
進むカウンタとなっている。コンパレータ163bは、
階調カウンタ163aのカウント値とデータ読み出し部
163dの記録データとを比較して、記録データがカウ
ント値以上の場合、「H」を出力するようになってい
る。
【0053】一方、光沢処理液に対しては、上記データ
読み出し部163dにおいて、光沢処理液用データを生
成し、その光沢処理液用データと階調カウンタ163a
のカウント値との比較をコンパレータ163bで行う。
ここで、データ読み出し部163dは、光沢処理液用に
予め所定の階調数となるようにデータを生成するように
設定されている。従って、コンパレータ163bは、常
に一定レベルの「H」を出力する。この所定の階調数
は、インクジェットプリンタ100本体が有するコント
ロールパネル(不図示)からユーザーが設定しても良い
し、パーソナルコンピュータ等の外部装置におけるプリ
ンタドライバ等のアプリケーションで設定しても良い。
無論、製造時に、所定の一定値に設定されていても良
い。ユーザーが上記光沢処理液用階調数を設定可能とす
れば、ユーザーが任意に用紙Pの光沢度を変更できると
いうメリットを得られる。また、この構成において光沢
処理液用階調数がインク画像の階調に応じて設定される
ようにすると、画像全体としての光沢ムラをなくすこと
ができる。 続いて、シリアル/パラレル変換部163cは、図8に
示すように、1階調の間に、時分割駆動の分割数だけ、
同時に駆動する発熱素子のデータ処理を、シリアルデー
タで処理した後にパラレルデータに変換するようになっ
ている。
【0054】従って、この態様1のインクジェットプリ
ンタ100においては、4色分インクと、光沢処理液を
同じ駆動方法で制御しており、データ読み出し部163
dが、光沢処理液用階調数を生成する以外は、4色分イ
ンク用の制御回路を用いて、光沢処理液の吐出を制御す
ることが可能となっている。尚、データ読み出し部16
3dは、光沢処理液用階調生成を、4色分インクの処理
が終了した後に行う。これにより、用紙P表面に各色イ
ンクが付着して画像を形成し、その後に、用紙Pに光沢
処理液が吐出し、画像に光沢性を付与する。
【0055】次に、ラインヘッド120の説明をする。
【0056】ラインヘッド120は、1ヘッドチップ1
21内に時分割駆動1ブロックを構成したものが、複数
個タイリングされている。分割駆動フェーズ発生回路1
21aは、全フェーズ数の出力を持っており、発熱素子
121b、スイッチング素子121c、ゲート回路12
1dと一対になっている。ゲート回路121dは、分割
駆動フェーズ発生回路121aの各信号とシリアル/パ
ラレル変換部163cからのデータとの「アンドゲー
ト」となっており、フェーズとデータが共に「H」の
時、スイッチング素子121cをONにして発熱素子1
21bを駆動し、インクを吐出させるようになってい
る。
【0057】図9(A)、(B)は、図1のインクジェ
ットプリンタ100の1色分のラインヘッド120の構
造を示す平面図及び底面図、図10(A)、(B)は、
図9(B)のA−A線断面側面図及びB−B線断面側面
図、図11は、底面側から見た部分斜視図である。尚、
本実施例では、光沢処理液用ラインヘッドも同様の構成
を有している。
【0058】ラインヘッド120のライン状のヘッドフ
レーム122には、中央にスリット状のインク供給孔1
22aが形成されている。ヘッドフレーム122の一方
の面には、Si基板で形成された複数個のヘッドチップ
121が貼り付けられている。ヘッドチップ121は、
ヘッドフレーム122上のインク供給孔122 aの両
側に千鳥状に配列されている。そして、図12にも示す
ように、ヘッドチップ121上のインク供給孔122a
側には、複数個の発熱素子121bが一列に配列され、
反対側には、発熱素子121bに対応した接続端子12
1eが一列に配列されている。
【0059】この例では、発熱素子121bは、例えば
600dpiで配列されている。そして、発熱素子12
1bと接続端子121eの間には、ヘッドチップ121
(発熱素子121b)の時分割駆動を行うためのスイッ
チング回路121cとゲート(ロジック)回路121f
がそれぞれレイアウトされている。このヘッドチップ1
21は、吐出動作により温度上昇するが、ヘッドチップ
121の上面と側面はインクに浸されているので、イン
クで直接水冷されるようになっている。尚、発熱素子1
21bの配列間隔は、4色インク分と光沢処理液分とで
同じ600dpiに構成しても良いが、光沢処理液分の
みを4色インク分より低解像度、例えば、240dpi
若しくは300dpi等に設定することもできる。
【0060】ヘッドチップ121上には、図13にも示
すように、複数個のインクの液室123aと流路123
bを形成するための部材123を介して複数個のノズル
124aを有するノズルプレート124が配設されてい
る。部材123は、所謂ドライフィルムフォトレジスト
等の感光性樹脂により、各液室123aがヘッドチップ
121に配列された各発熱素子121bに対応し、かつ
各流路123bが各液室123aからヘッドチップ12
1の端部まで延びるように形成されている。
【0061】ノズルプレート124は、ニッケル又はニ
ッケルを主成分とする材料の電鋳により作成され、イン
クによる腐食を防ぐため、金あるいはパラジウム等で耐
触メッキされており、インク供給孔122aを塞ぎ、か
つ各ノズル124aが各発熱素子121bに一対一で対
応するように形成されている。即ち、各液室123a
は、部材123に形成された流路123b及びノズルプ
レート124に形成されたノズル124aに連通されて
いる。
【0062】ヘッドフレーム122の他方の面には、フ
ィルタ125を介してインクタンク126が貼り付けら
れている。フィルタ125は、インク供給孔122aを
覆うように貼り付けられており、インクタンク126か
らのごみやインク成分の凝集物等がノズル124a側に
混入することを防止する役目を果たす。インクタンク1
26は、袋126aと外筐126bの二重構造になって
いる。
【0063】袋126aと外筐126bの間には、袋1
26aを外側に拡げるように働くバネ部材126cが入
っている。これにより、インクには負圧が掛かるように
なり、インクがノズル124aから自然に漏れ出すこと
を防止することができる。また、この負圧はノズル12
4aの毛細管力よりは小さくなるよう設定されているた
め、インクがノズル124aから引き込まれてしまうこ
とを防止することができる。
【0064】そして、ヘッドチップ121上からヘッド
フレーム122の外側を通ってインクタンク126の外
周面に至る部分には、いわゆるFPC(フレキシブルプ
リント基板)からなる電気配線127が貼り付けられて
いる。電気配線127は、ヘッドチップ121に電源や
電気信号を供給するためのものであり、ヘッドチップ1
21の接続端子121eに接続されている。
【0065】以上のような構成において、インク(光沢
処理液も同様)は、インクタンク126からインク供給
孔122aに供給され、流路123bを通って液室12
3aに供給される。ここで、ノズル124aは円形状に
形成されており、ノズル先端ではインクの負圧によりイ
ンク面の中央部が凹んだ、いわゆるメニスカスが形成さ
れる。そして、発熱素子121bに駆動電圧がかかり、
発熱素子121b表面に気泡が発生すると、ノズル12
4aからインクの粒子が吐出される。
【0066】前述したようにヘッドチップ121は千鳥
状に配列されているため、1つのヘッドチップ121に
対応する複数のノズル124a(以下、ノズル群とい
う)の配列もこれに応じて千鳥状になる。尚、千鳥状配
列は、4色インク分のみから形成し、光沢処理液分のノ
ズルは、直線状に形成してもかまわない。光沢処理液用
プリントヘッドは用紙P上に光沢処理液を塗布すること
が目的であるので、画像形成を目的とする他のプリント
ヘッドのようにノズル位置の精度を高くする必要は無
い。
【0067】尚、本態様のヘッドチップ121では、図
14に示すように、ノズル群124Aとノズル群124
Bのつなぎ目に、オーバーラップ部124Cを設けてあ
る。このオーバーラップ部124Cでは、一方のノズル
群124Aと他方のノズル群124Bの各ノズル124
aを例えば横方向、縦方向共に交互に用いるようにす
る。これにより、図15に示すように、ノズル群124
Aとノズル群124Bのつなぎ目に生じやすいバンディ
ングを低減、緩和することができる。
【0068】次に、PNMについて説明する。PNM
は、1画素内に連続的に打ち込むインクの液滴の数(パ
ルス数)でドットのサイズを変調して階調印画する方法
である。この方法は、ディジタル的に階調表現する場合
に有利な方法であり、光沢性を必要とする写真画像の出
力に好適である。
【0069】図16は、PNMの原理を示す概念図であ
る。
【0070】用紙Pに着弾したインクの液滴Iが乾燥す
る前に次のインクの液滴Iを着弾させ、インクのにじみ
を利用してドットDの径を変調する。用紙Pはラインヘ
ッドに対して相対的に連続して移動しているため、着弾
の位置も用紙Pの移動と共に少しずつずれていく。
【0071】着弾の周期がある程度以下に短かければ、
インクは等方的ににじむので、ドットDとしては真円に
近い形となる。また、着弾の周期が長くなると、ドット
Dとしては用紙Pの移動方向に長軸をもつ楕円になる。
着弾の周期とドットDの径の縦横比の関係は、インク及
び用紙Pの物性(用紙Pへのインクの吸収特性)により
変化する。
【0072】ここで、シリアルヘッドでは、往復走査す
る際に同じ箇所を複数回重ね打ちして階調数を増やすこ
とが可能であるが、記録時間が重ね打ち回数倍長くなる
難点がある。一方、ラインヘッドでは、1回の走査で記
録が完了するため、記録時間を著しく短縮することがで
きる。例えば600dpiの解像度で10kHzの画素
(ライン)記録周波数とすると、A4サイズの用紙Pの
縦をスキャンするのにかかる時間は、1色当たり0.7
秒となる。
【0073】しかし、インクの乾燥時間を考慮すると、
記録時間は例えば10秒程度が妥当と考えられ、この場
合、画素(ライン)記録周波数は、例えば解像度300
dpi、600dpi、1200dpiでそれぞれ35
0Hz、700Hz、1.4kHz程度となり、通常の
シリアルヘッドに比べて画素(ライン)記録周波数を低
くすることができる。これを利用して画素(ライン)記
録周期内でPNMを行うことが可能であり、PNMはラ
インヘッドに適した階調表現方法であると考えられる。
【0074】本実施形態の設計仕様は下記の通りであ
る。
【0075】記録幅:8.5インチ(最大)、解像度:
600dpi、ノズル数:5100(1色当たり)、吐
出量:3pl、パルス数:8パルス(最大)、レベル
数:9レベル、吐出周波数:4.8kHz、ライン記録
周波数:600Hz
【0076】この設計仕様では、600dpiの画素に
対して、最大8パルスのインクの液滴を打ち込む。1パ
ルスは3plであり、1画素に対しては最大24plと
なる。このときのドットの径は、1パルスで約40μ
m、8パルスで約80μmである。600dpiの画素
ピッチは42.3μmであり、理想ドット径はその√2
倍で約60μmである。本実施形態では、上記用紙にお
いて20μmのドットずれマージンをとっている。着弾
位置ずれの問題は、このマージンにより対応している。
【0077】高画質を得るためには、ノズル毎の特性ば
らつきを極小化することが必要である。本実施形態で
は、PNMを利用した印画濃度のばらつき補正を行って
いる。この方法では、ノズル毎の吐出量のばらつき、即
ち印画濃度のばらつきを補正することができる。
【0078】例えば目標のパルス吐出量3plに対し
て、2.5plのノズルがあったとする。8パルスで記
録するので、8レベルの吐出量は本来それぞれ3pl、
6pl、9pl、12pl、15pl、18pl、21
pl、24plである。しかし、パルス吐出量が2.5
plになると、それぞれ2.5p1、5pl、7.5p
l、10pl、12.5pl、15pl、17.5p
l、20plとなる。誤差は、それぞれのレベルで−
0.5pl、−1pl、−1.5pl、−2pl、−
2.5pl、−3pl、−3.5pl、−4plであ
る。
【0079】ここで、パルス吐出量2.5plの場合
に、記録パルスを1パルス、2パルス、4パルス、5パ
ルス、6パルス、7パルス、8パルス、10パルスにす
れば、吐出量は2.5pl、5pl、10pl、12.
5pl、15pl、17.5pl、20pl、25pl
となる。誤差は、それぞれのレベルで−0.5pl、−
1pl、+1pl、+0.5pl、0pl、−0.5p
l、−1pl、+1plとなり、誤差を最大1pl以内
に抑えることができる。
【0080】また、パルス吐出量3.5plのノズルが
あったとする。8レベルの吐出量は、それぞれ3.5p
l、7pl、10.5pl、14pl、17.5pl、
21pl、24.5pl、28plとなる。それぞれの
レベルで誤差は、+0.5pl、+1pl、+1.5p
l、+2pl、+2.5pl、+3pl、+3.5p
l、+4plである。
【0081】ここで、記録パルスを1パルス、2パル
ス、3パルス、3パルス、4パルス、5パルス、6パル
ス、7パルスにすれば、吐出量は、3.5pl、7p
l、10.5pl、10.5pl、14pl、17.5
pl、21pl、24.5plとなる。この場合の誤差
は、+0.5p l、+1pl、+1.5pl、−1.
5pl、−1pl、−0.5pl、0pl、+0.5p
lとなり、誤差を最大1.5pl以内に抑えることがで
きる。
【0082】このように、そのノズルの吐出量に応じて
パルス数を補正することで、画素当たりの吐出量の誤差
を抑えることができる。上記補正は、無論、光沢処理液
に対しても有効であり、これにより、光沢性のムラが生
じることを回避することが出来る。
【0083】図17(A)、(B)は、ノズルの吐出量
に応じてパルス数を補正する前と補正した後の階調レベ
ルに対する吐出量の関係を示すグラフである。
【0084】各ノズルの吐出量は、4色分の全ノズルの
吐出テストを行い、各ドットの径を見て測定する。吐出
量とドットの径の関係は別に検量線グラフを作成してお
く。ドットの径の測定は、顕微鏡と画像処理装置を用い
た図18に示すような自動測定装置により行う。
【0085】自動ステージ11上の用紙Pに記録された
ドットを顕微鏡12を使用して画像処理装置13で読み
取り、そのドットの径から吐出量をコンピュータ14を
使用して算出し、各ノズルに対応して記録パルス数の補
正テーブルを作成する。そして、記録時は補正テーブル
に基づき、各ノズルの記録パルス数を決定して記録す
る。
【0086】ここで、補正されたパルス数は、本実施形
態の標準の最大パルス数である8パルスを超える場合が
ある。このため、予め記録できる最大パルス数を多めに
設定しておく必要があり、この最大パルス数は、吐出量
のばらつきに応じて決めればよい。例えば、前述の例の
ように、ばらつきが3±0.5plの範囲であれば、最
小パルス吐出量は2.5plであるので、最大パルス数
は10パルスとすればよい。この場合、ライン記録周波
数600Hzに対応するには、吐出周波数6kHz以上
となる。上記補正テーブルは、無論、光沢処理液に対し
ても作成することが出来る。但し、光沢処理液は透明で
あるので、補正テーブル作成用に、別途、着色した光沢
処理液を調製し、これを用いて補正テーブルを作成すれ
ばよい。
【0087】上記説明した、PNM制御及び時分割駆動
により、用紙P表面にカラー画像を印刷でき、カラー画
像形成後に、ヘッドドライブ回路163が光沢処理液吐
出を制御することで、用紙Pに光沢性を付与することが
できる。
【0088】さらに、PNMにより画素内での多値化が
可能なため、より低い解像度で高画質を得ることがで
き、写真画像等の印刷に最適であり、更に、光沢処理液
を用紙P表面に吐出することで、銀塩写真並の光沢性と
階調性を有する高画質な出力を提供することができる。
【0089】(プリンタの態様2)上述の態様1では、
カラー画像形成後、用紙Pの表面全体又は画像形成部分
に光沢処理液を吐出したが、用紙Pの表面において写真
画像形成域以外の文字形成域等に筆記性を付与するため
には、その文字形成域等には光沢処理液を塗布しない方
が好ましい。そこで、本態様2では、図19に示すよう
に、データ読み出し部163dに画像解析部200を接
続し、記録データが、写真又はグラフィックデータと、
テキストデータとのどちらかの種類を解析している。
【0090】画像解析部200は、2ライン以上のメモ
リを有し、記録データの階調数をデータ読み出し部16
3dで読み出すと共に、画像解析部200が有するメモ
リに蓄積する。画像解析部200は、内蔵メモリに蓄積
された記録データの階調数を基に、ヘッドドライブ回路
163が、現時点で処理している記録データの種類を解
析する。例えば、階調数が0〜8以内で変動するデータ
が連続する場合は、写真又はグラフィックデータと判断
し、また、階調数が、0、若しくは8の連続、又は両者
の周期的な若しくは不周期な繰り返しの場合は、テキス
トデータと判断する。この画像解析を少なくとも各ヘッ
ドチップ121に送信される1ライン分の4色分の記録
データ毎に行う。即ち、CMYKの記録データに対して
処理を行い、この中で、1色でも階調数が0〜8以内で
変動するデータが連続する場合は、写真又はグラフィッ
クデータと判断し、また、階調数が、0、若しくは8の
連続、又は両者の周期的な、若しくは不周期な繰り返し
の場合は、テキストデータと判断する。この画像解析結
果をもとに、画像解析部200は、光沢処理液用データ
を生成し、これを、データ読み出し部163dへ送信す
る。ここで、画像解祈部200は、光沢処理液用データ
として、テキストデータに対応するドットに対しては、
階調数0とし、写真又はグラフィックデータに対して
は、階調数8とする。これにより、ヘッドドライブ回路
163は、光沢処理液用ヘッドに対し、テキスト領域は
不吐出、写真又はグラフィック領域には、8回の吐出を
行うよう信号を生成することが出来る。なお、画像解析
部200で決定する写真又はグラフィックデータの階調
数は、前述の態様1の様に、可変であっても無論かまわ
ない。
【0091】(プリンタの態様3)上述の態様2におい
ては、記録データが、写真又はグラフィックであるか、
あるいはテキストであるかの違いにより、光沢処理液の
階調数を決定していたが、本態様では、画像のインクの
色に基づいて光沢処理液の階調数を決定する。
【0092】例えば、態様2の画像解析部200におい
て、K色インクのみからなる領域に対しては、たとえ、
記録データが階調を有していても、光沢処理液を打たな
いように制御する。テキスト等は、黒で書かれる場合が
多いからである。
【0093】(プリンタの態様4)本態様4において
は、上述の態様2において画像解析部200による記録
データの解析結果が単色の場合には、それが多階調であ
っても、当該領域に対しては、光沢処理液を打たないよ
うに制御する。
【0094】本態様によれば、カラー写真、カラーグラ
フィック画像に対してのみ、光沢性を付与することが可
能となり、単色テキスト領域、単色グラフィック領域等
に対しては、光沢処理液が塗布されないので、単色領域
には、画像形成後にユーザーが筆記することが可能とな
る。
【0095】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
これらの実施例において、特にことわりのない限り
「%」は「重量%(固形分換算)」を意味する。また、
ジルコニウム塩の添加量は、全てZrO2 に換算した重
量である。
【0096】実施例1〜9、比較例1 (1)光沢処理液の調製 表1の成分を混合溶解し、それをポアサイズが0.8μ
mのメンブレンフィルタ(商品名:フロロポアフィル
タ、住友電気工業株式会社)にて加圧濾過することによ
り9種の光沢処理液を得た(実施例1〜9)。
【0097】(2)評価 インクジェット用記録シート(GP−301、キャノン
社)に、インクジェットプリンタ(BJ−F600、キ
ャノン社)を用いて、後述するように所定の画像を形成
し、ひきつづきその画像上に、同じインクジェットプリ
ンタを用いて、上記の9種の光沢処理液をそれぞれベタ
印画し、乾燥膜厚2〜3μmの光沢付与層を形成し、
(a)光沢度、(b)耐光性、(c)耐水性、(d)耐オゾン性、
(e)塗膜強度について、それぞれ次のように評価した
(実施例1〜9)。また、比較のため、画像上に何ら光
沢付与層を形成しないものについても同様に評価した
(比較例1)。結果を表1に示す。
【0098】(a)光沢度 JIS Z8741−1997に従って、インクジェッ
ト記録シートの白地部分(画像の内部分)に対して光沢
度計VG2000(日本電色工業社)を用いて60度白色鏡面
光沢度を7点ずつ測定し、次の評価基準で判定した。 A:60°光沢度が70%以上である場合 B:60°光沢度が50%以上で70%未満である場合 C:60°光沢度が30%以上で50%未満である場合 D:60°光沢度が30%未満である場合
【0099】(b)耐光性 キセノンフェードメーター(アトラス社:Ci35A)を
用いて、55℃、60%RH環境中で62時間照射し、
その初期濃度に対する濃度残存率を測定し、次の評価基
準で判定した。尚、評価は、インクジェット記録シート
に対してマゼンタインクで16階調印画を行い、初期濃
度がマクベス濃度計で1.0になる部分を選定して測定
した。 A:濃度残存率が90%以上である場合 B:濃度残存率が80%以上で90%未満である場合 C:濃度残存率が70%以上で80%未満である場合 D:濃度残存率が70%未満である場合
【0100】(c)耐水性 インクジェット記録シートに、イエロー、マゼンタ、シ
アン、及びブラックの各色のベタ印画を行い、このイン
クジェット記録シートを純水中に5分間浸漬して印画物
上の染料の水への再溶出の状態を観察し、次の評価基準
で判定した。 A:全く、溶出が認められなかった場合 B:僅かに、溶出が認められるが実用上問題の無い場合 C:溶出が認められ、非記録部に再染着が認められた場
合 D:溶出が著しく、記録部の濃度低下が認められた場合
【0101】(d)耐オゾン性 オゾン濃度が0.5〜0.6ppmの環境下で24時間曝
露した後、その初期濃度に対する濃度残存率を測定し、
次の評価基準で判定した。尚、評価は、インクジェット
記録シートに対してシアンインクで16階調印画を行
い、初期濃度がマクベス濃度計で1.0になる部分を選
定して測定した。 A:濃度残存率が90%以上である場合 B:濃度残存率が80%以上で90%未満である場合 C:濃度残存率が70%以上で80%未満である場合 D:濃度残存率が70%未満である場合
【0102】(e)塗膜強度 市販のセロハンテープを、画像を形成した記録シートの
最表面に貼り付け、5分後に剥離させたときの光沢付与
層またはインク吸収層の剥がれ具合を観察し、次の基準
で判定した。 A:光沢付与層またはインク吸収層が全く剥がれなかっ
た場合 B:光沢付与層またはインク吸収層が剥がれるが、実用
上問題ない場合 C:光沢付与層またはインク吸収層が光沢付与層の全塗
布面積の10%以上で剥離しているが、実用上問題がな
い場合 D:光沢付与層またはインク吸収層の剥がれが著しく、
実用上問題がある場合
【0103】
【表1】 実施例 比較例 光沢処理液組成 (重量%) 炭酸シ゛ルコニウムアンモニウム 20 18 10 5 1 0.1 − − − − 硝酸シ゛ルコニウム − − − − − − 5 − − − 酢酸シ゛ルコニウム − − − − − − − 5 − − 酸塩化シ゛ルコニウム − − − − − − − − 5 − イソフ゜ロヒ゜ルアルコール (*1) 5 5 5 5 5 5 5 5 5 − ク゛リセリン (*2) 5 5 5 5 5 5 5 5 5 − 水 70 72 80 85 89 89.9 85 85 85 − 粘度 (mPa・s) 12 4 3 2.5 1.5 1.5 2.5 2.5 1.5 − 評価 光沢度 C C B A A B B B B D 耐光性 A A A C C C C C C D 耐水性 A A A A A A A A A B 耐オゾン性 A A A A A A A A A B 塗膜強度 B B A A A A A A A D 吐出適性 ▲ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ (*1)関東化学社、特級 (*2)関東化学社
【0104】表1の結果から、インクジェット方式で記
録インクによって形成した印画物上に光沢処理液を塗布
し、その上にジルコニウム塩を含む光沢付与層を形成し
た本発明の実施例1〜9によれば、かかる光沢付与層を
形成しない比較例1に比して、光沢性が向上すること、
特に、光沢処理液中のジルコニウム塩の添加量をZrO
2 に換算した重量%で0.1%〜10%とした実施例3
〜9によれば、光沢度の改善効果が高いこと、また、本
発明の各実施例によれば、耐光性、耐水性、耐オゾン性
等の画像保存性や、塗膜強度も向上することがわかる。
【0105】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット方式に
より形成した画像上にジルコニウム塩の水性液からなる
光沢処理液を塗布し、光沢付与層を形成するので、印画
物の光沢性を向上させることができる。
【0106】特に、インクジェットプリンタのプリント
ヘッドからインクを吐出させて画像を形成後、そのイン
クジェットプリンタでプリントヘッドから光沢処理液を
吐出させることにより光沢付与層を形成すると、画像を
形成する一連の作業内で画像に光沢も付与できるので好
ましい。さらにこの場合において、画像の階調に応じて
光沢処理液の吐出量を調整すると、画像全体の光沢性を
均一化することができる。また、画像のうち写真画像又
はグラフィック画像形成域に選択的に光沢処理液を吐出
して光沢付与層を形成すると、写真画像又はグラフィッ
ク画像形成域以外の用紙表面には筆記性を確保すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 画像を用紙に形成後、その用紙の表面全域に
光沢付与層を形成したものの断面図である。
【図2】 画像を用紙に形成後、その画像形成域上に光
沢付与層を形成したものの断面図である。
【図3】 本発明のインクジェットプリンタの全体構成
を示す一部断面斜視図である。
【図4】 本発明のインクジェットプリンタの断面側面
図である。
【図5】 電気回路部の記録及び制御系を示すブロック
図である。
【図6】 ヘッドドライブ回路とラインヘッドのブロッ
ク図である。
【図7】 PNM処理の説明図である。
【図8】 シリアル/パラレル変換部の作用の説明図で
ある。
【図9】 1色分のラインヘッドの構造を示す平面図
(A)及び底面図(B)である。
【図10】 図9(B)のA−A線断面側面図及びB−
B線断面側面図である。
【図11】 ラインヘッドの底面側から見た部分斜視図
である。
【図12】 ヘッドチップの平面図である。
【図13】 ラインヘッドのノズル付近の部分斜視図で
ある。
【図14】 ノズル群の配列状態の説明図である。
【図15】 ノズル群の配列により形成されるドットの
説明図である。
【図16】 PNMの原理を示す概念図である。
【図17】 吐出量に応じてパルス数を補正する前の階
調レベルと吐出量との関係図(A)、及び同補正後の階
調レベルと吐出量との関係図(B)である。
【図18】 ドットの径の自動測定装置のブロック図で
ある。
【図19】 ヘッドドライブ回路とラインヘッドのブロ
ック図である。
【符号の説明】
1…光沢付与層、 2…画像、 3…支持体、 4…イ
ンク吸収層、 100…インクジェットプリンタ、 1
20…ラインヘッド、 121…ヘッドチップ、 12
2…ヘッドフレーム、 124a…ノズル、 140…
給紙部、 160…電気回路部、 161…信号処理・
駆動回路、 163…ヘッドドライブ回路、 163a
…階調カウンタ、 163b…コンパレータ、 163
c…シリアル/パラレル変換部、 163d…データ読
み出し部、 D…ドット、 I…インクの液滴、 P…
用紙、 S…光沢処理液

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニウム塩の水性液からなり、イン
    クジェット方式で形成された画像に塗布されて光沢付与
    層を形成することにより、画像の光沢度を、JIS Z
    8741で規定される60度白色鏡面光沢度で5%以上
    向上させることのできる光沢処理液。
  2. 【請求項2】 粘度が1〜10mPa・s(測定方法:
    回転粘度計)である請求項1記載の光沢処理液。
  3. 【請求項3】 インクジェット方式で画像を形成し、該
    画像にジルコニウム塩の水性液からなる光沢処理液を塗
    布して光沢付与層を形成することにより、画像の光沢度
    を、JIS Z8741で規定される60度白色鏡面光
    沢度で5%以上向上させる光沢画像形成方法。
  4. 【請求項4】 インクジェットプリンタで画像形成のた
    めにインクを吐出した後、該インクジェットプリンタで
    プリントヘッドから光沢処理液を吐出することにより光
    沢付与層を形成する請求項3記載の光沢画像形成方法。
  5. 【請求項5】 インクによる画像の階調に応じて光沢処
    理液の塗布量を調整し、画像全体の光沢性を均一化する
    請求項3記載の画像形成方法。
  6. 【請求項6】 写真画像又はグラフィック画像形成域に
    選択的に光沢付与層を形成する請求項3記載の光沢画像
    形成方法。
  7. 【請求項7】 インクジェット方式によりインクを吐出
    させるノズルと、ジルコニウム塩の水性液からなる光沢
    処理液を吐出させるノズルを備え、インクによる画像上
    に光沢付与層が形成された画像を出力するプリンタ。
  8. 【請求項8】 インクによる画像の階調に応じて光沢処
    理液を吐出する機構を備えた請求項7記載のプリンタ。
  9. 【請求項9】 写真画像又はグラフィック画像形成域に
    選択的に光沢処理液を吐出する機構を備えた請求項7記
    載のプリンタ。
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