JP2003311975A - インクジェットヘッドおよびその製造方法および記録方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびその製造方法および記録方法

Info

Publication number
JP2003311975A
JP2003311975A JP2003042600A JP2003042600A JP2003311975A JP 2003311975 A JP2003311975 A JP 2003311975A JP 2003042600 A JP2003042600 A JP 2003042600A JP 2003042600 A JP2003042600 A JP 2003042600A JP 2003311975 A JP2003311975 A JP 2003311975A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
liquid repellent
repellent material
material layer
inkjet head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003042600A
Other languages
English (en)
Inventor
Norio Okuma
典夫 大熊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2003042600A priority Critical patent/JP2003311975A/ja
Publication of JP2003311975A publication Critical patent/JP2003311975A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料インクや高機能インクを用いた際であっ
てもインクジェットヘッドの撥インク材料として、高い
撥インク性、ワイピングによる拭きやすさ、ワイピング
による耐久性(撥インク能力の維持)、ノズル材との高
い密着力を同時に実現可能とする。 【解決手段】 インクを吐出する吐出口と、該吐出口周
囲に前記インクに対して撥インク性を示す撥インク部
と、を有するインクジェットヘッドにおいて、前記撥イ
ンク部は、フッ素含有基を含むとともに、Si、Al、
Ti、Zrから選ばれる元素Mの加水分解性縮合体から
なる化合物により形成されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッドにおける吐出口面の撥液処理に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、液体を吐出口から小滴として
吐出させ、紙に代表される被記録媒体に付着させ画像記
録を行うインクジェット記録方式においては、記録特性
をより高度なものにするため、より小さい液滴、より高
い駆動周波数、より多い吐出口数といった性能向上に対
する技術開発が続けられている。ここで、吐出口が形成
されている面である吐出口表面を常に同じ表面状態に保
ち、吐出性能を維持するためにその表面処理がますます
重要になってきている。
【0003】従来例として下記公報が挙げられる。特開
平6−246921は、 テフロン(R)微粒子分散の
Ni共析メッキを用いた撥液材を開示している。特開平
6−328698は、環状構造を有するフッ素共重合体
を用いた撥液材を開示している。特開平6−12220
4は、吐出口表面に凹凸を設け、フッ素重合体をコーテ
イングする方法を開示している。
【0004】インクジェット記録ヘッドにおいては、吐
出口表面状態を維持するために、撥液処理を施し、か
つ、定期的にゴムブレードなどで吐出口表面に残存した
インクをワイピングすることが一般的であり、撥液材に
は、高い撥液性能と同時にワイピングの容易さ及びワイ
ピングによる撥液性の劣化が少ないことが求められる。
また、インクジェット記録ヘッドに使用されるインク
は、中性でない場合が多く、このようなインクに対して
撥液性能が劣化しない、流路形成材料に対して十分な密
着力を保持することも求められる。上記要求特性に対し
て、従来の撥液材料は未だ十分なものとは言えない。
【0005】即ち、 テフロン(R)微粒子分散のNi
共析メッキにおいては、メッキで形成するがための加工
上の制約とその撥液能力の絶対値が不足する場合が多
い。
【0006】環状構造を有するフッ素共重合体を用いた
撥液材は、優れた撥液能力を示すものの、流路形成材料
への密着力が十分とは言えない場合がある。
【0007】また、表面に凹凸をつける撥液材料に対し
ては、水のように表面張力の極めて高い物質に対しては
優れた撥液性を有するものの、これは表面に凹凸をつけ
ることで見かけ上の前進接触角を高めているに過ぎず、
後退接触角に対しては高い値を示さないことが多く、こ
のような場合には、ワイピング性が犠牲になる。即ち前
進接触角と後退接触角の差が大きい場合、前進接触角が
高い場合でもワイピングによる拭き取りやすさが低下す
る。上記現象は、特に用いるインクの表面張力が低い場
合(およそ50dyn/cm^以下)に特に顕著とな
る。更に、表面の凹凸構造は、繰り返しワイピングをす
ることで破壊され、撥液性の劣化に結びつく場合が多
い。
【0008】本件発明は、フッ素含有基を有する加水分
解性シラン化合物を吐出口表面の撥液処理に応用するも
のである。フッ素含有基を有する加水分解性シラン化合
物を用いた従来例として下記公報が上げられる。
【0009】特開平6−171094、特開平6−21
0857は、あらかじめ酸化物粒子層を形成した吐出口
表面にフッ素含有基を有する加水分解性シラン化合物を
用いて所謂シランカップリング処理を施す方法を開示し
ている。しかしながら、本方法では、十分なワイピング
耐性が得られない。更に上記方式では、撥液材料に感光
特性を付与することは困難である。
【0010】USP5,910,372、EP B1
778869、特表平10−505870は、フッ素含
有基を有する加水分解性シラン化合物と基板と反応する
基を有するシランが縮合された縮合組成物からなる塗膜
およびインクジェットヘッド材料への応用の可能性を開
示している。ここで基板との反応性を有する基としては
基板の種類に応じてアミノ基、カルボン酸基などがあげ
られている。上記組成においては撥液層に感光特性を付
与することは開示されていない。
【0011】USP6,283,578、EP B1
816094は、光ラジカル重合性基を有するシラン化
合物を吐出口表面の撥液処理に用いることを開示してい
る。上記組成では、撥液層の硬化は、シロキサン骨格の
形成と光ラジカル重合により、また撥液性はシロキサン
骨格そのものに依存する。更に光ラジカル重合により感
光性の付与を開示している。また、上記明細書は、さら
なる撥液性が必要な場合には、前記シロキサン構造の上
に第2の層として、フッ素含有基を有する加水分解性シ
ラン化合物を設けることを開示している。しかしながら
上記2層構成においては、フッ素含有基を有する加水分
解性シラン化合物層自身には感光特性がないため感光特
性を付与できない。
【0012】Jpn.J.Appl.Phys.Vo
l.41(2002)p.3896−3901は、耐ア
ルカリインク性に優れた撥液層として、特定構造を有す
るアリールシランとフッ素含有基を有する加水分解性シ
ラン化合物の縮合物を開示している。しかしながら上記
組成では、感光特性の付与は困難である。
【0013】また、本件出願人は、より高画質なインク
ジェット記録方法として特開平4−10940〜942
号公報記載の方法を提案している。
【0014】更に本件出願人は、前記特開平4−109
40〜942号公報記載のインクジェット記録方法に最
適なインクジェットヘッドの製造方法として特開平6−
286149号公報記載の方法を提案している。前記方
法は、流路形成材料として感光性材料を用い、フォトリ
ソグラフィー技術により精密な流路構造を実現するもの
である。ここで、前述の従来例で示した撥液材料は、感
光特性を付与することが困難であり、フォトリソグラフ
ィー技術を用いた流路の形成には適用することが難しか
った。
【0015】一方、本件出願人は、前記特開平6−28
6149号公報に適用可能な感光特性を付与した撥液材
料として、特開平11−322896号公報、特開平1
1−335440号公報、特開2000−26575号
公報に記載の材料を提案している。前記、撥液材料は、
感光性の付与、高い撥液性、流路形成材料との密着力な
どの点で優れた材料であるものの、より高品位な画像を
高速で出力するために、より高い撥液性、ワイピングに
よる拭きやすさ、ワイピングによる耐久性(撥液能力の
維持)が求められている。
【0016】また、本件発明に使用する撥液材料の組成
については、特表平10−502096号公報に開示さ
れている。しかしながら、前記公表公報は、撥液材料の
組成および製造方法について開示しているに過ぎず、イ
ンクジェット記録ヘッドへの応用もしくはフォトリソグ
ラフィー技術を用いたパターンの形成については言及さ
れていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記諸点に
鑑みなされたものであって、インクジェット記録ヘッド
の撥液材料として高い撥液性、ワイピングによる拭きや
すさ、ワイピングによる耐久性(撥液能力の維持)、流
路形成材料との高い密着力を同時に実現可能し、高品位
な画像記録が可能なインクジェット記録ヘッドを提供す
ることにある。
【0018】更に、本発明においては、上記撥液材料と
しての能力に加えて、感光特性を付与し、高品位な画像
記録が可能なインクジェット記録ヘッドの製造方法を提
供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、インクを吐出する吐出口と、該吐出口周囲に前記
インクに対して撥液性を示す撥液部と、を有するインク
ジェットヘッドにおいて、前記撥液部は、フッ素含有基
を含むとともに、Si、Al、Ti、Zrから選ばれる
元素Mの加水分解性縮合体により形成されていることを
特徴とするインクジェットヘッドによって達成される。
【0020】更に、インクを吐出する吐出口と、該吐出
口形成面に設けられた前記インクに対して撥液性を示す
撥液材料層と、を有するインクジェットヘッドの製造方
法において、前記撥液材料層の形成は、フッ素含有基お
よび光重合可能な官能基を含むとともに、Si、Al、
Ti、Zrから選ばれる元素Mの加水分解性縮合体から
なる化合物を塗布する工程と、該化合物を部分的に露
光、現像する工程と、を有することを特徴とするインク
ジェットヘッドの製造方法によって達成される。
【0021】更に、インクを吐出して記録を行うインク
ジェット記録において、吐出するインクの表面張力が5
0dyn/cm以下であるとともに、ノズル表面の撥
液材料が、Si、Al、Ti、Zrから選ばれる元素M
の加水分解性縮合体からなり、前記化合物は少なくと
も、加水分解性基と、フッ素含有基と、を含むことを特
徴とするインクジェット記録方法によって達成される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。
【0023】撥液材料の撥液性を評価する尺度として
は、接触角を用いるのが一般的である。図1は、You
ngの接触角θの概念を示した図であり、γ=γSL
+γcosθの関係が成立する。(γ:固体の表面
張力 γSL:固液界面張力 γ:液体の表面張力) 従って、接触角θは、液体の表面張力に依存し、液体と
して水を用いた場合その表面張力から想定される接触角
θの限界は、110°となる。上記関係は、撥液材表面
が十分に平滑な場合であり、撥液材表面が適度な凹凸構
造を有する場合、図2に示すWenzelの接触角θw
が適用され、cosθw=rcosθの関係が成立す
る。(r:平滑面1cm^2に対する実際の表面積)近
年、水に対する接触角が150°を超えるようないわゆ
る超撥液面が開発されているが、これは上記原理に基づ
くもので、見かけ上の接触角を上げているに過ぎない。
また、原理的に、θwが高い値を示すためには凹凸を形
成する撥液材料の前記Youngの接触角θが90°以
上の値を有することが必要となる。更に、撥液材表面が
不均一である場合、Cassieの接触角θcが適用さ
れ、 cosθc=Acosθ+Acosθの関係が
成立する。(θ、θは固体1,2[平滑面]に対す
るYoungの接触角、Aは固体1、2が占める
割合) 上述のように、撥液材料表面の接触角は、撥液材料表面
状態(凹凸、不均一性)に大きく依存する。従って、実
際の撥液材料に対する接触角は、上記要因が相関しあっ
て決定されているものと考えられる。インクジェットノ
ズルの表面処理に用いる撥液材料にとっては、前記接触
角はそのメニスカスを安定的に維持するためにより高い
角度が求められる。更に、インクジェット記録ヘッドに
おいては、吐出口表面に付着したインクを定期的にゴム
ブレードなどで拭き取ることが一般的であり、撥液材料
にとっては、付着したインクの拭きやすさも同時に求め
られる。
【0024】ここで前述した、接触角の考え方は液体が
撥液材料に静的に配置された場合の考え方であり、イン
クの拭きやすさについては、後述の前進接触角と後退接
触角を考慮する必要がある。
【0025】図3,4は、前進接触角(θa)と後退接
触角(θr)を示した図であり、図3はブレードでワイ
ピング動作を行った場合の図であり、図4は撥液材料を
傾斜させて液滴を配置した場合の概念図である。θa−
θrは常に正となりθrが高いほど拭きやすいことにな
る。θrは一種のヒステリシスであり、撥液材料の表面
性(平滑度、不均一度)および液体の表面張力に依存す
ると考えられる。
【0026】前記のように撥液材表面に凹凸を設けるこ
とで、θaは比較的容易に高い値を実現できるものの、
θa−θrの差は大きくなる場合が一般的であり、イン
クジェット記録ヘッドに用いる撥液材としては好ましく
無い場合がある。特に、インクジェット記録に用いるイ
ンクは、被記録媒体への浸透性など考慮しおよそ50d
yn/cm^以下に設定される場合が多く、このよう
な表面張力のインクを用いてθrを高く保つことは容易
なことではない。
【0027】本件発明者は、鋭意検討の結果、Si、A
L、Ti、Zrから選ばれる元素Mの加水分解性縮合体
の硬化物を含み、前記化合物は少なくとも 加水分解性基と、 フッ素含有基と、を含む撥液材料よって、上記目的が
達成されることを見出し本発明に至った。
【0028】次いで、前記撥液材料について詳細に説明
する。前記撥液材料の基本的な概念については特表平1
0−502096に開示されており、sol−gel反
応を利用したものである。以下に本発明に使用する際の
工程を示す。
【0029】まず、第1の加水分解可能な基を有するS
i、AL、Ti、Zrから選ばれる元素Mからなる化合
物を水の存在下、適宜触媒、温度、PHをコントロール
しながら加水分解反応させ縮合体を形成する。ついで、
第2のフッ素含有基および加水分解可能な基を有し、S
i、AL、Ti、Zrから選ばれる元素Mからなる化合
物を前記縮合体に添加、更に加水分解反応を起こさせ、
フッ素含有基を前記縮合体に取り込ませることで調整す
る。
【0030】ここで、前記縮合体は、流路形成材料上に
塗布されgel化されて使用される。フッ素含有基の導
入により高い撥液性を示すのと同時に、加水分解で生じ
る縮合体は、流路形成材料料に対して高い密着性を示
す。
【0031】この撥液材料層は、高い撥液性を示すのに
加えて、後退接触角(θr)が高い特性を有する。この
理由については、明確ではないが前記撥液材は、その形
成時に表面張力の低いフッ素含有基が表面に偏析するこ
とに起因すると考えられる。
【0032】上記形態は、最も基本的な形態であり、そ
の使用用途に応じて適宜官能基を導入し、機能性を持た
せることが可能である。
【0033】即ち、第1の加水分解可能な基を有するS
i、AL、Ti、Zrから選ばれる元素Mからなる化合
物と第2のフッ素含有基および加水分解可能な基を有
し、Si、AL、Ti、Zrから選ばれる元素Mからな
る化合物のどちらかまたは両方に目的に応じた官能基を
導入することができる。
【0034】具体的には、流路形成材料上に形成した撥
液材をエキシマレーザーなどで加工する場合には、芳香
族系の官能基を導入することで、エキシマレーザーの発
振波長域(KrFエキシマレーザーの場合248nm)
に強い吸収を有し、その加工性を向上させることができ
る。
【0035】また、光もしくは熱重合性の官能基を導
入、適宜重合開始剤を添加し、流路形成材料上に形成し
た撥液材に光もしくは熱エネルギーを付与することで光
もしくは熱重合反応を起こさせより強固な撥液材料とす
ることができる。インクジェット記録ヘッドに用いる撥
液材料は、定常的にインクに接するために上記の処理を
施すことが好ましい。上記処理により、官能基の重合反
応により有機のネットワークが形成され、加水分解性縮
合体の無機のネットワークとあいまって強靭な膜とする
ことができる。
【0036】重合の形態は、特に限定されるものではな
いが、ラジカル重合、特に好ましくはカチオン重合が適
用される。ラジカル重合の場合には、導入する官能基と
して不飽和二重結合を有するものが用いられ、カチオン
重合には、導入する官能基としてエポキシ基、オキセタ
ン基等が好適に用いられる。
【0037】更に、光重合性の官能基を導入すること
で、パターン露光でパターニングな可能な感光性の撥液
材料とすることが可能で、様々なインクジェット記録ヘ
ッドの製造方法に応用が可能となる。
【0038】更に、流路形成材料料が感光性を有し、パ
ターニングで形成される場合には、流路形成材料料形成
→撥液材料の形成→両材料を一括してパターニングする
ことが可能となる。この場合、両材料の密着力の観点か
ら、流路形成材料料の重合形態と撥液材料の重合形態を
同じにすることが好ましく、例えば流路形成材料料がカ
チオン重合性の組成物で構成される場合、撥液材料もカ
チオン重合性を有することが好ましい。上記形態の場
合、流路形成材料料に重合開始剤を添加しておけば、撥
液材料には、重合開始剤を添加しなくともパターニング
が可能となる場合がある。これは、重合開始剤、特にカ
チオン重合開始剤は、オニウム塩からなる化合物が多
く、溶解性に乏しいために前記手法は有用である。更
に、カチオン重合反応の場合、その重合開始種はブレン
ステッド酸であり、撥液材料中のカチオン重合可能な可
能な官能基の重合を開始させるのと同時に、加水分解性
縮合体の縮合を促進させる効果も有る。
【0039】ここで、本発明の優位点として一つの撥液
材料層で撥液性、流路形成材料に対する密着性、必要に
応じて感光特性等を付与できる事にあり、様々な流路の
製造方法に容易に対応できる。即ち、複雑な工程を経ず
に、安価に精度良く流路を形成する事が可能である。
【0040】次いで、インクジェット記録ヘッドの製造
方法を参照しつつ本発明を説明する。
【0041】図5(a)〜(d)は、本発明によるイン
クジェット記録ヘッドの製造方法を示す概念図である。
【0042】まず図5(a)は、樹脂もしくはSUS板
などで形成された流路形成板(オリフィスプレート)1
に対して撥液材料層2を形成した図である。撥液材料層
2の形成は、適宜デッピング、スピンコーティング、ス
プレイ塗布などで形成することが可能であり、その使用
形態により適宜膜厚は決定されるがおよそ0.1−2μ
mの範囲が好ましい。撥液材料層2は、流路形成板1上
に形成後、加熱処理、あるいは重合性の官能基を含有さ
せてある場合には、適宜光もしくは熱エネルギーを付与
して硬化させることができる。次いで、撥液材料層2が
形成された流路形成板1に対して、エキシマレーザー加
工、パルスレーザー加工、放電加工などの手法によりイ
ンク吐出口3を形成する(図5(b))。無論、撥液材
料層2の硬化は、インク吐出口3形成後に行っても構わ
ない。更に、インク吐出口3加工に際して適宜撥液材料
層2上に保護膜などを配置しても構わない。
【0043】上記手法によれば、流路形成板1と撥液材
料層2が一括で加工できるためにノズル内に撥液材料の
入り込みなどが発生せず好ましい形態である。
【0044】次いで、インク吐出圧力発生素子5、流路
部材6が形成された基板4を用意し(図5(c))、イ
ンク吐出口を形成した流路形成板と必要に応じて接着剤
層7を介して接着することでインクジェット記録ヘッド
を完成させる。
【0045】次いで、前述の特開平6−286149号
公報記載の本発明の最も有用な形態でのインクジェット
記録ヘッドの製造方法を説明する。
【0046】図6(a)〜(a)は、本発明によるイン
クジェット記録ヘッドの製造方法を示す概念図である。
図6(a)は、インク吐出圧力発生素子が形成された基
板の斜視図である。図6(b)〜(k)は、図6(a)
のB−B’断面図における工程断面図である。
【0047】まず、図6(b)のようにインク吐出圧力
発生素子12が設けられた基板11を用意する。
【0048】ついで、前記基板11に対して、溶解可能
な樹脂にてインク流路パターン13を形成する(図6
(c))。
【0049】このインク流路パターン13は好適にはポ
ジ型レジスト、特に後工程で流路形成材料を積層時に型
崩れがおきないように、分子量が比較的高い光分解型の
ポジレジストが用いられる。
【0050】次いで、インク流路パターン13上に感光
性流路形成材料14を配置し(図6(d))、更に感光
性流路形成材料14上に感光性撥液材料層15を形成す
る(図6(e))。
【0051】ここで、上記流路形成材料14、感光性撥
液材料15は、適宜スピンコーティング、ダイレクトコ
ーティングに等で形成可能である。感光性撥液材料15
は、未硬化の流路形成材料14上に形成されるため、両
者が必要以上に相溶しないことが求められるが、本発明
による感光性撥液材料層15は基本的に加水分解反応で
形成されるためその反応溶媒(塗布溶媒)は、水と相溶
可能なアルコール系の溶媒である。一方、感光性流路形
成材料14は一般的に非水系の溶媒を用いて成膜される
ために、両者の相溶がおきにくく好都合である。
【0052】感光性流路形成材料14には、カチオン重
合性組成物が用いられ、その場合には、感光性撥液材料
層15にはカチオン重合可能な官能基を含有させておく
ことが好ましい。感光性流路形成材料15には、光重合
開始剤を必須成分として含むが、感光性撥液材料15に
は、前述のごとく必ずしも光重合開始剤を含む必要はな
く、流路形成材料14の硬化に発生する重合開始剤で反
応、硬化させても構わない。
【0053】次いで、図6(f)に示すように、マスク
17を介してパターン露光を行い、現像処理を施して、
図6(g)に示すように吐出口16を形成する。
【0054】本発明による撥液材料層15は前述のごと
く高い撥液性と拭き性を有しており、ブレードで拭き動
作を行う場合、インク液滴が転がるように除去されるた
めに、除去されるべきインク滴が吐出口に引き込まれる
ことで不吐出となる場合がある。この現象を防止するた
めには、吐出口表面に撥液領域と非撥液領域を設けるこ
とが有効である。
【0055】図6(h)、(i)は限界解像度以下のマ
スクパターンを有するマスク17aを用いて、感光性撥
液材料層15のみを部分的に除去した非撥液領域部15
aを形成した様子を示す。
【0056】ここで、露光に使用するマスクパターンお
よび露光条件を適宜設定することで、吐出口16以外の
部分で感光性撥液材料15のみを部分的に除去すること
ができる。即ち、マスクパターンに限界解像度以下のパ
ターンを配置し、部分的に感光性撥液材料15のみを除
去する。ここで言う限界解像度とは、流路形成材料14
が基板11まで現像されないパターンを言う。このよう
にして、前述のごとく部分的に撥液材層が存在しないパ
ターンを容易に形成でき、インク不吐出を防止すること
ができる。
【0057】次いで、基板11に対してインク供給口を
適宜形成し(図6(j))、インク流路パターンを溶出
させることによりインク流路19を形成する。最後に必
要に応じて、加熱処理を施し、流路形成材料14および
感光性撥液材料15を完全に硬化させ、インクジェット
ヘッドを完成させる(図6(k))。
【0058】こうして得られたインクジェットヘッド
は、高い撥液性と容易なワイピング性を有し、更に流路
形成材料に対する密着性、インクに対する耐性を兼備
し、高品位な画像記録が長期に渡り可能となる。
【0059】<装置本体の概略説明>図7は、インクジ
ェットプリンタIJRAの構成の概要を示す外観斜視図
である。図7において、駆動モータ5013の正逆回転
に連動して駆動力伝達ギア5009〜5011を介して
回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に
対して係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有
し、ガイドレール5003に支持されて矢印a,b方向
を往復移動する。キャリッジHCには、記録ヘッドIJ
HとインクタンクITとを内蔵した一体型インクジェッ
トカートリッジIJCが搭載されている。
【0060】5002は紙押え板であり、キャリッジH
Cの移動方向に亙って記録用紙Pをプラテン5000に
対して押圧する。5007,5008はフォトカプラ
で、キャリッジのレバー5006のこの域での存在を確
認して、モータ5013の回転方向切り換え等を行うた
めのホームポジション検知器である。
【0061】5016は記録ヘッドIJHの前面をキャ
ップするキャップ部材5022を支持する部材で、50
15はこのキャップ内を吸引する吸引器で、キャップ内
開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。5
017はクリーニングブレードで、5019はこのブレ
ードを前後方向に移動可能にする部材であり、本体支持
板5018にこれらが支持されている。ブレードは、こ
の形態でなく周知のクリーニングブレードが本例に適用
できることは言うまでもない。
【0062】また、5021は、吸引回復の吸引を開始
するためのレバーで、キャリッジと係合するカム502
0の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がク
ラッチ切り換え等の公知の伝達機構で移動制御される。
【0063】これらのキャッピング、クリーニング、吸
引回復は、キャリッジがホームポジション側の領域に来
た時にリードスクリュー5005の作用によってそれら
の対応位置で所望の処理が行えるように構成されている
が、周知のタイミングで所望の動作を行うようにすれ
ば、本例にはいずれも適用できる。
【0064】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
顔料インクや高機能インクを用いた際であっても高い撥
液性、ワイピングによる拭きやすさ、ワイピングによる
耐久性(撥液能力の維持)、流路形成材との高い密着力
を同時に実現可能し、高品位な画像記録が可能なインク
ジェットヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触角の概念を示す図である。
【図2】接触角の概念を示す図である。
【図3】接触角の概念を示す図である。
【図4】接触角の概念を示す図である。
【図5】本発明によるインクジェットヘッドの製造方法
の一例を示す図である。
【図6】本発明によるインクジェットヘッドの製造方法
の一例を示す図である。
【図7】インクジェットプリンタIJRAの構成の概要
を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1 ノズル板 2 撥液材料層 3 インク吐出口 4 基板 5 インク吐出圧力発生素子 6 流路部材 7 接着剤層 11 基板 12 インク吐出圧力発生素子 13 インク流路パターン 14 ノズル材料 15 撥液材料層 16 吐出口 17 マスク 18 インク供給口 19 インク流路 100 液体 101 撥液材表面 102 ブレード

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出する吐出口と、該吐出口周
    囲に前記インクに対して撥液性を示す撥液部と、を有す
    るインクジェットヘッドにおいて、 前記撥液部は、フッ素含有基を含むとともに、Si、A
    l、Ti、Zrから選ばれる元素Mの加水分解性縮合体
    により形成されていることを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記縮合体は、加水分解可能な基を有す
    るSi、AL、Ti、Zrから選ばれる元素Mからなる
    第1の化合物と、フッ素含有基および加水分解可能な基
    を有し、Si、AL、Ti、Zrから選ばれる元素Mか
    らなる第2の化合物と、を用いて形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記第1または第2、もしくは両方の化
    合物が、光重合可能な官能基を含むことを特徴とする請
    求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記光重合可能な官能基が、カチオン重
    合可能な官能基であることを特徴とする請求項2記載の
    インクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記光重合可能な官能基が、ラジカル重
    合可能な官能基であることを特徴とする請求項2記載の
    インクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記カチオン重合可能な官能基が、エポ
    キシ基もしくはオキセタン基であることを特徴とする請
    求項4記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 前記Si、Al、Ti、Zrから選ばれ
    る元素Mの加水分解性縮合体が前駆体として調整され、
    硬化されたものであることを特徴とする請求項1記載の
    インクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】 前記インクジェットヘッドは、端部に前
    記吐出口を有するノズルを備えており、該ノズルは、前
    記化合物からなる撥液材料層と該撥液材料層に密着する
    基材層との積層体に形成されていることを特徴とする請
    求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェットヘ
    ッド。
  9. 【請求項9】 前記撥液材料層および基材層のいずれに
    もカチオン重合可能な官能基を有することを特徴とする
    請求項8記載のインクジェットヘッド。
  10. 【請求項10】 前記インクジェットヘッドは、前記撥
    液材料層が部分的に除去されて形成された非撥液領域部
    を有することを特徴とする請求項8記載のインクジェッ
    トヘッド。
  11. 【請求項11】 インクを吐出する吐出口と、該吐出口
    形成面に設けられた前記インクに対して撥液性を示す撥
    液材料層と、を有するインクジェットヘッドの製造方法
    において、 前記撥液材料層の形成は、 フッ素含有基および光重合可能な官能基を含むととも
    に、Si、Al、Ti、Zrから選ばれる元素Mの加水
    分解性縮合体からなる化合物を塗布する工程と、 該化合物を部分的に露光、現像する工程と、を有するこ
    とを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記化合物は、さらに光重合開始材を
    含むことを特徴とする請求項11に記載のインクジェッ
    トヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記インクジェットヘッドの製造方法
    は、さらに、インク吐出圧力発生素子が形成された基体
    上に溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成する
    工程と、 インク流路壁を形成するための常温にて固体状の光重合
    可能な被覆樹脂を前記溶解可能な樹脂層上に積層するこ
    とにより被覆樹脂層を形成する工程と、 前記被覆樹脂層上に前記撥液材料層を形成する工程と、 前記インク吐出圧力発生素子上方の前記被覆樹脂層およ
    び撥液材料層にインク吐出口を形成する工程と、 前記溶解可能な樹脂層を溶出してインク流路を形成する
    工程と、を有することを特徴とする請求項12に記載の
    インクジェットヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記被覆樹脂層および撥液材料層の光
    重合がいずれもカチオン重合であることを特徴とする請
    求項13記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記インクジェットヘッドは、前記撥
    液材料層が部分的に除去されて形成された非撥液領域部
    を有することを特徴とする請求項13記載のインクジェ
    ットヘッドの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記撥液性を有する感光性撥液材層を
    除去する部分は、ノズルを形成する感光性樹脂層の限界
    解像度以下のパターン露光によって形成することを特徴
    とする請求項15記載のインクジェットヘッドの製造方
    法。
  17. 【請求項17】 インクを吐出して記録を行うインクジ
    ェット記録において、吐出するインクの表面張力が50
    dyn/cm以下であるとともに、ノズル表面の撥液
    材料がSi、Al、Ti、Zrから選ばれる元素Mの加
    水分解性縮合体からなり、前記化合物は少なくとも 加水分解性基 フッ素含有基 を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
JP2003042600A 2002-02-20 2003-02-20 インクジェットヘッドおよびその製造方法および記録方法 Withdrawn JP2003311975A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003042600A JP2003311975A (ja) 2002-02-20 2003-02-20 インクジェットヘッドおよびその製造方法および記録方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002-43162 2002-02-20
JP2002043162 2002-02-20
JP2003042600A JP2003311975A (ja) 2002-02-20 2003-02-20 インクジェットヘッドおよびその製造方法および記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003311975A true JP2003311975A (ja) 2003-11-06

Family

ID=29551737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003042600A Withdrawn JP2003311975A (ja) 2002-02-20 2003-02-20 インクジェットヘッドおよびその製造方法および記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003311975A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006159762A (ja) * 2004-12-09 2006-06-22 Canon Inc パターン形成方法及びインクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2010162881A (ja) * 2008-12-19 2010-07-29 Canon Inc 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2013018272A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Canon Inc 記録ヘッドの製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006159762A (ja) * 2004-12-09 2006-06-22 Canon Inc パターン形成方法及びインクジェット記録ヘッドの製造方法
JP4667028B2 (ja) * 2004-12-09 2011-04-06 キヤノン株式会社 構造体の形成方法及びインクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2010162881A (ja) * 2008-12-19 2010-07-29 Canon Inc 液体吐出ヘッドの製造方法
JP2013018272A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Canon Inc 記録ヘッドの製造方法
US8481249B2 (en) 2011-07-14 2013-07-09 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing recording head

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1100674C (zh) 喷墨头的生产方法
JP4424750B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP3061944B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド、その製造方法及び記録装置
US8870345B2 (en) Method of making superoleophobic re-entrant resist structures
JP3679668B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP2009119650A (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JPH05116309A (ja) インクジエツト記録ヘツド
EP1251151B1 (en) Epoxy resin composition, method of improving surface of substrate, ink jet recording head and ink jet recording apparatus
JPH05116325A (ja) インクジエツト記録ヘツドの製造方法
JP2003311975A (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法および記録方法
JP2012081602A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP6961470B2 (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
JPH05124205A (ja) 液体噴射記録ヘツド、その製造方法、及び同ヘツドを具備した記録装置
JPH05330046A (ja) 液体記録ヘッド及び液体記録ヘッドの製造方法
JPH06191033A (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JP2781466B2 (ja) 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び液体噴射記録ヘッドを備えた記録装置
JP2003020323A (ja) エポキシ樹脂組成物、基材の表面改質方法、インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
JPH0924613A (ja) 液体噴射記録ヘッド、液体噴射装置および液体噴射記録ヘッドキット
JPH05124208A (ja) 液体噴射記録ヘツドの製造方法および液体噴射記録ヘツド
JP2003089207A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JPH06191037A (ja) 液体噴射記録ヘッド、それを用いた液体噴射記録装置および該ヘッドの製造方法
JPH04310750A (ja) 液体噴射記録ヘッド、その製造方法、及び液体噴射記録ヘッドを備えた記録装置
JP2005125577A (ja) 液体噴射記録ヘッド及びその製造方法
JPH06312507A (ja) 液体噴射記録ヘッド、液体噴射記録ヘッドの製造方法並びにこの液体噴射記録ヘッドを備えた記録装置
JP3592014B2 (ja) 液体噴射記録ヘッドの製造方法、該方法によって製造される液体噴射記録ヘッド及び該記録ヘッドを具備する記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060509