JP2003310344A - シームレス塗布具及びその製造方法 - Google Patents

シームレス塗布具及びその製造方法

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JP2003310344A JP2002119257A JP2002119257A JP2003310344A JP 2003310344 A JP2003310344 A JP 2003310344A JP 2002119257 A JP2002119257 A JP 2002119257A JP 2002119257 A JP2002119257 A JP 2002119257A JP 2003310344 A JP2003310344 A JP 2003310344A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前記筋状部がなく、化粧料等の塗
布に好適に使用することができる塗布具を簡易な工程に
よって製造することのできるシームレス塗布具及びその
製造方法を提供すること。 【解決手段】 軟質発泡性樹脂から一体成形され
た塗布具用樹脂材を加熱圧縮して形成されることを特徴
とするシームレス塗布具及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シームレス塗布
具及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、使用しや
すく、特に化粧料の塗布に好適なシームレス塗布具及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化粧料を塗布する場合には、スポンジ状
の塗布具を使用する場合が多い。例えば、ケーキ型アイ
シャドー等の塗布には、スポンジ状の塗布具を支持棒の
先端に装着したアプリケータを使用するのが一般的であ
る。
【0003】従来の前記塗布具の製造方法は、以下のよ
うであった。まず、平板状のスポンジ状合成樹脂材料を
2枚重ね、これに加熱した打ち抜き用型を押し付けて、
所定の形状を有する前記スポンジ状合成樹脂材料の小片
2枚を打ち抜くと同時に、その2枚の小片の周辺部を加
熱融着させて、前記2枚の小片がその周辺部で融着して
成るスポンジ材料融着体を製造する。そして、前記スポ
ンジ材料融着体を構成する前記2枚の小片をそれぞれ二
分するように、前記スポンジ材料融着体を切断すること
により、その切断して形成される面に開口を備えた袋状
構造を有する塗布具が製造される。また、その塗布具の
前記開口からその塗布具の中に支持棒を挿入することに
より、スポンジ状の塗布具を支持棒の先端に装着して成
るアプリケータが製造される。
【0004】この従来の塗布具の製造方法においては、
前記2枚の小片を加熱融合させることから、前記塗布具
には、その加熱融合された部分に筋状部が形成される。
この筋状部は、前記スポンジ状合成樹脂材料が加熱融着
して成る部分であるから、もはやスポンジ状構造を有し
ておらず、他のスポンジ状構造を有する部分に比較して
硬い。
【0005】この従来の塗布具の製造方法によって製造
された塗布具を有するアプリケータを使用してアイシャ
ドーを塗布する場合には、通常、前記塗布具の筋状部以
外の柔らかいスポンジ部分にアイシャドーを付着させ
て、アイシャドーをまぶたに塗布する。
【0006】しかし、このとき、アイシャドーを塗布す
るまぶた上の部位によっては、前記筋状部がまぶたに触
れる場合がある。前述のようにこの筋状部は硬いので、
前記筋状部がまぶたに触れると、使用者は不快感を覚え
る。また、前記筋状部には、アイシャドーが付着しにく
いので、前記筋状部がまぶたに触れると、前記筋状部が
触れたまぶた上の部分にはアイシャドーが充分には付着
せず、結果としてまぶたにアイシャドーをきれいに塗布
することができない。さらに、前記筋状部がまぶたに触
れないようにアイシャドーを塗布しなければならないの
で、このアプリケータの使用者は、アプリケータの持ち
方、又はアプリケータをまぶたに当てる角度等が制約さ
れ、アイシャドーを塗布しにくい。
【0007】以上のように、従来の塗布具の製造方法に
よって製造された塗布具は、その構造上の特徴から様々
な欠点を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来の塗
布具の製造方法が有する欠点を解消することを目的とす
る。すなわち、この発明の目的は、前記筋状部がなく、
化粧料等の塗布に好適に使用することができるシームレ
ス塗布具を提供すること、及びそのシームレス塗布具を
簡易な工程によって製造することのできるシームレス塗
布具の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
のこの発明は、軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布
具用樹脂材を加熱圧縮して形成されることを特徴とする
シームレス塗布具であり、前記シームレス塗布具の好適
な態様として、前記軟質発泡性樹脂は、軟質ポリウレタ
ンフォーム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NB
R)、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPD
M)又はシリコーンスポンジゴムである。
【0010】また、他の発明は、軟質発泡性樹脂から一
体成形された塗布具用樹脂材を加熱圧縮することを特徴
とするシームレス塗布具の製造方法であり、他の発明
は、軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布具用樹脂材
を所定の形状に切削成形した後、加熱圧縮することを特
徴とするシームレス塗布具の製造方法であり、他の発明
は、軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布具用樹脂材
に、支持具装着用凹陥部を設け、所定の形状に切削成形
した後、加熱圧縮することを特徴とするシームレス塗布
具の製造方法であり、他の発明は、軟質発泡性樹脂から
一体成形された塗布具用樹脂材に、支持具装着用凹陥部
を設け、その支持具装着用凹陥部に支持具を装着し、さ
らに所定の形状に切削成形し、前記支持具を取り外した
後、加熱圧縮することを特徴とするシームレス塗布具の
製造方法であり、前記シームレス塗布具の製造方法の好
適な態様として、前記塗布具用樹脂材は、前記軟質発泡
性樹脂から打抜切断、押出成形、又は射出成形により形
成され、前記軟質発泡性樹脂は、軟質ポリウレタンフォ
ーム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エ
チレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)又は
シリコーンスポンジゴムである。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明に係るシームレス塗布具
の製造方法における一連の工程の一具体例を図1に示
す。図1に示したシームレス塗布具の製造方法は、工程
(a)〜(e)から構成され、軟質発泡性樹脂材料1を
打ち抜いて得られた塗布具用打抜体2に、支持具装着用
凹陥部4を設け、その支持具装着用凹陥部4に支持具6
を装着し、さらに所定の形状に切削成形し、支持具6を
取り外した後、加熱圧縮する、化粧用のシームレス塗布
具8の製造方法である。
【0012】(1)工程(a)について 図1に示した工程(a)は、軟質発泡性樹脂材料1を打
ち抜いて、塗布具用樹脂材である塗布具用打抜体2を製
造する工程である。
【0013】軟質発泡性樹脂材料1は、シームレス塗布
具8を製造するときの出発材料である。
【0014】軟質発泡性樹脂材料1の種類としては、所
定の形状に打ち抜き切断することができ、加熱圧縮可能
であれば特に制限はなく、例えば、軟質ポリウレタンフ
ォーム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、
エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)及
びシリコーンスポンジゴムを挙げることができる。これ
ら樹脂の中で、その樹脂により形成される軟質発泡性樹
脂材料の打ち抜き性及び成形性、並びに、この方法によ
って製造されるシームレス塗布具の化粧料の保有性及び
肌触りが良好になること等の理由からポリウレタンが最
も好適である。
【0015】前記軟質ポリウレタンフォームの好適な密
度は、15〜140kg/mであり、前記軟質ポリウ
レタンフォームの好適な硬さは、2〜50kgfであ
り、前記軟質ポリウレタンフォームの好適な伸びは、1
00〜500%であり、前記軟質ポリウレタンフォーム
の好適な引張り強さは、0.5〜3kg/cmであ
り、前記軟質ポリウレタンフォームの好適な引裂き強さ
は、0.3〜1.7kg/mであり、前記軟質ポリウレ
タンフォームの好適な圧縮残留歪は、2〜10%であ
る。前記軟質ポリウレタンフォームの性質が上記のよう
であると、軟質発泡性樹脂材料1の打ち抜き性及び成形
性、並びに、この方法によって製造されるシームレス塗
布具における化粧料の保有性及び肌触り等の性質が特に
良好になる。
【0016】この方法に使用される前記軟質ポリウレタ
ンフォームの好適な市販品としては、例えば株式会社ブ
リジストン製の「エバーライト」及び東洋ポリマー株式
会社製の「ルビセル」を挙げることができる。
【0017】また、軟質発泡性樹脂材料1が有する気泡
の形式は、独立気泡及び連続気泡のいずれであってもよ
く、目的とする塗布具の種類に応じて適宜選択すること
ができる。
【0018】軟質発泡性樹脂材料1の形状は、板状体で
ある。軟質発泡性樹脂材料1が板状体であると、打ち抜
き切断が容易である点で好適である。ただし、この発明
に係るシームレス塗布具の製造方法においては、軟質発
泡性樹脂材料の形状は、板状体には制限されず、抜き打
ち切断が可能であればその他の形状であっても構わな
い。軟質発泡性樹脂材料1の大きさは、塗布具の製造上
支障がなければ特に制限はなく、製造条件又は塗布具の
大きさ等に基づいて適宜決定することができる。
【0019】軟質発泡性樹脂材料1を打ち抜き切断する
方法は、例えば、図1に示したような抜型3をプレス機
(図示せず)に取り付けて、これをテーブル上に載置さ
れた軟質発泡性樹脂材料1に押し付ける方法を挙げるこ
とができる。この方法によると、抜型3の形状に応じた
形状を有する塗布具用打抜体2を製造することができ
る。図1に示した抜型3は、円筒状の形状を有するの
で、これを用いて軟質発泡性樹脂材料1を抜き打ち切断
して得られる塗布具用打抜体2の形状は円柱状である。
【0020】ただし、この発明に係るシームレス塗布具
の製造方法における前記の打ち抜き切断する方法として
は、軟質発泡性樹脂材料を所定の形状に打ち抜き切断す
ることができれば、上記の方法に制限されることはな
く、例えば、金属板、紙、又は革を打ち抜き切断するの
に用いられる方法と同様の方法を使用することができ
る。
【0021】塗布具用打抜体2の形状は、前述のように
円柱状であるが、この発明に係るシームレス塗布具の製
造方法においては、塗布具用打抜体の形状は、円柱状に
は制限されず、目的とする塗布具の形状及び種類等に応
じて適宜選択することができ、例えば角柱状又は板状で
あってもよい。前記塗布具用打抜体の形状は、前記抜型
の形状若しくは前記軟質発泡性樹脂材料の形状を適宜選
択することにより、又は前記軟質発泡性樹脂材料を打ち
抜き切断する方法を適宜選択することにより、目的に応
じて変更可能である。塗布具用打抜体2の大きさは、塗
布具が製造可能でありさえすれば特に制限はなく、塗布
具の大きさ等に基づいて適宜決定することができる。
【0022】(2)工程(b)について 図1に示した工程(b)は、塗布具用打抜体2に支持具
装着用凹陥部4を設けて、凹部形成打抜体5を作成する
工程である。支持具装着用凹陥部4は、支持具6を塗布
具用打抜体2に装着するための穴である。
【0023】支持具装着用凹陥部4は、塗布具用打抜体
2の一底面から、塗布具用打抜体2の軸線上に円柱状に
設けられている。支持具装着用凹陥部4の直径及び長さ
については、支持具装着用凹陥部4の中に支持具6を嵌
挿することができ、さらに、シームレス塗布具の製造時
及び使用時に凹部形成打抜体5等が支持具6から離脱し
ない程度に、凹部形成打抜体5等の弾性力によって凹部
形成打抜体5等が支持具6に結合することができれば特
に制限はなく、支持具6の大きさ、シームレス塗布具8
の大きさ、又はシームレス塗布具8の使用目的等に応じ
て、適宜決定することができる。
【0024】支持具装着用凹陥部4を塗布具用打抜体2
に設ける方法としては、前記のような支持具装着用凹陥
部4を形成することができれば特に制限はないが、ドリ
ルを用いた穴あけが最も簡易であって、好適である。
【0025】ただし、この発明に係るシームレス塗布具
の製造方法においては、支持具装着用凹陥部の形状とし
ては、前記のような機能を確保することができれば特に
制限されず、円柱状の他、例えば角柱状、又は板状であ
ってもよい。前記支持具装着用凹陥部の形状をこのよう
な形状にする場合には、その形状に応じて、前記支持具
装着用凹陥部を前記塗布具用打抜体に設ける方法を適宜
選択することができる。
【0026】(3)工程(c)について 図1に示した工程(c)は、凹部形成打抜体5に支持具
6を装着する工程である。支持具6は、凹部形成打抜体
5の切削成形時に、凹部形成打抜体5を切削成形可能な
ように、凹部形成打抜体5を支える部材であり、また、
シームレス塗布具8に装着されて、アプリケータを形成
する部材である。
【0027】支持具6は、凹部形成打抜体5に設けられ
た支持具装着用凹陥部4に嵌挿することにより凹部形成
打抜体5に装着される。
【0028】支持具6は、円柱体である。支持具6は、
支持具装着用凹陥部4に嵌挿可能であって、嵌挿後に、
支持具装着用凹陥部4の弾性力により、前記機能を発揮
することができる程度に支持具装着用凹陥部4を保持可
能な直径を有している。支持具6の長さは、支持具6が
前記機能を発揮することができれば特に制限はなく、目
的に応じて適宜決定することができる。支持具6の材料
は、支持具6が前記機能を発揮することができれば特に
制限はなく、例えば、合成樹脂、金属、及び木材を挙げ
ることができる。
【0029】また、この発明に係るシームレス塗布具の
製造方法における支持具の形状は、前記支持具装着用凹
陥部の形状に応じて適宜決定可能であって、円柱体の
他、例えば角柱体、又は板体にすることもできる。
【0030】(4)工程(d)について 図1に示した工程(d)は、凹部形成打抜体5を所定の
形状に切削成形して切削成形打抜体7を作成する工程で
ある。
【0031】工程(d)で使用する切削成形法は、公知
の切削成形法でよく、これらの方法の中から、軟質発泡
性樹脂材料1の種類及び切削成形打抜体7の形状等に応
じて適宜選択することができる。
【0032】凹部形成打抜体5は、凹部形成打抜体5が
有する支持具装着用凹陥部4に挿入された支持具6によ
って保持されながら、前記切削成形法によって所定の形
状に切削成形されて、切削成形打抜体7になる。なお、
工程(d)において、凹部形成打抜体5を支持具6によ
って保持しなくても所定の切削成形を実施することがで
きるならば、支持具6を凹部形成打抜体5から外した状
態で前記切削成形を行ってもよい。
【0033】切削成形打抜体7の形状は、回転楕円体状
である。図1における〔A〕は、支持具6を装着した状
態における切削成形打抜体7の正面図を示し、図1にお
ける〔B〕は、支持具6を装着した状態における切削成
形打抜体7の底面図を示す。ただし、この発明に係るシ
ームレス塗布具の製造方法においては、切削成形打抜体
の形状は、回転楕円体状には制限されず、目的とするシ
ームレス塗布具の形状及び種類等に応じて適宜決定する
ことができ、例えば球状又は瓢箪状にすることもでき
る。
【0034】(5)工程(e)について 図1に示した工程(e)は、切削成形打抜体7を加熱圧
縮成形して、シームレス塗布具8を作成する工程であ
る。
【0035】工程(e)における加熱圧縮成形法は、以
下のようにして行われる。図2及び図3に、前記加熱圧
縮成形法の概要を示す。前記加熱圧縮成形法は、切削成
形打抜体7を所定の形状に成形可能な圧縮用凹部9を有
する2体の金型10と、加圧成形機(図示せず)を用い
て行われる。切削成形打抜体7に装着されていた支持具
6を切削成形打抜体7から取り外す。図2に示すよう
に、2体の金型10におけるそれぞれの圧縮用凹部9を
備えた面を向かい合わせにして2体の金型10を対置さ
せ、その2体の金型10の間に切削成形打抜体7を置
く。金型10を加熱しながら、図3に示すように、前記
加圧成形機により2体の金型10を相互に押し付け、切
削成形打抜体7に所定の圧力が加わるように、所定の時
間、切削成形打抜体7を圧縮する。その後、前記加圧成
形機により2体の金型10を相互に引き離し、切削成形
打抜体7が前記のように加熱圧縮成形されることにより
形成されたシームレス塗布具8を金型10から取り外
す。
【0036】前記加熱圧縮工程においては、切削成形打
抜体7の材料、すなわち軟質発泡性樹脂材料1が、例え
ば軟質ポリウレタンフォームのような熱硬化性材料であ
ると、加熱圧縮の進行に従って切削成形打抜体7が硬化
し、一定の形状に成形される点で好適である。
【0037】このように製造されたシームレス塗布具8
を図1の〔C〕及び〔D〕に示す。図1における〔C〕
は、シームレス塗布具8の正面図を示し、図1における
〔D〕は、シームレス塗布具8の底面図を示す。シーム
レス塗布具8は、正面方向から見た形状も、底面方向か
ら見た形状も楕円形である。
【0038】工程(e)においては、金型10によって
切削成形打抜体7に加える圧力を調整することによっ
て、シームレス塗布具8の圧縮度等を変更することがで
き、これによって、目的に適合した形状及び気泡密度を
有するシームレス塗布具8を製造することができる。つ
まり、前記圧力を大きくすれば、扁平率の大きい、気泡
密度の小さいシームレス塗布具8を得ることができ、前
記圧力を小さくすれば、扁平率の小さい、気泡密度の大
きいシームレス塗布具8を得ることができる。また、シ
ームレス塗布具8は、気泡密度が大きいほど化粧料の保
持量が大きく、気泡密度が小さいほど化粧料の保持量が
小さくなるので、この方法においては、工程(e)にお
ける前記圧力を調節することにより、シームレス塗布具
8の化粧保持能を調節することができ、目的に適合した
化粧料保持能を有するシームレス塗布具8を製造するこ
とができる。
【0039】たとえば、シームレス塗布具8が多量の化
粧料を塗布することを目的として使用される場合には、
工程(e)における前記圧力を小さくすることにより、
気泡密度が大きく、化粧料保持能の大きいシームレス塗
布具を製造することができ、一方、シームレス塗布具8
が少量の化粧料を塗布することを目的として使用される
場合には、工程(e)における前記圧力を大きくするこ
とにより、気泡密度が小さく、化粧料保持能の小さいシ
ームレス塗布具を製造することができる。
【0040】前記圧力は、軟質発泡性樹脂材料1の種
類、切削成形打抜体7の大きさ、及びシームレス塗布具
8の形状等に応じて適宜決定されるが、通常の化粧用シ
ームレス塗布具の製造において、軟質発泡性樹脂材料1
として軟質ポリウレタンフォームを使用した場合には、
切削成形打抜体7の圧縮方向の長さが20〜80%にな
るような圧力であると、化粧料を塗布し易い化粧用シー
ムレス塗布具を製造することができる点で好適である。
【0041】工程(e)においては、切削成形打抜体7
を圧縮するときの金型10の温度を調整することによっ
て、シームレス塗布具8の硬さ等を変更することが可能
であり、これによって、目的に適合した物性を有するシ
ームレス塗布具8を製造することができる。
【0042】前記温度は、軟質発泡性樹脂材料1の種類
及びシームレス塗布具8の形状等に応じて適宜決定可能
であるが、通常の化粧用シームレス塗布具の製造におい
て、軟質発泡性樹脂材料1として軟質ポリウレタンフォ
ームを使用した場合には、通常は60〜150℃である
と、化粧料を塗布し易い化粧用シームレス塗布具を製造
することができる点で好適である。
【0043】従来の塗布具の製造方法においては、2枚
の合成樹脂材料を加熱融着させる工程を有するので、従
来の塗布具の製造方法によって製造される塗布具は、加
熱融着により形成される硬い筋状部を有するのに対し、
図1に示した塗布具の製造方法においては、加熱融着さ
せる工程を有しないので、この塗布具の製造方法によっ
て製造される塗布具には、前記のような硬い筋状部が形
成されない。
【0044】このために、シームレス塗布具8は前記筋
状部を有していないので、シームレス塗布具8を使用し
て化粧料の塗布を行えば、従来の塗布具の製造方法によ
って製造された塗布具を使用して化粧料の塗布をする場
合と異なり、前記筋状部が皮膚に触れることにより使用
者が不快感を覚えるという不都合がなく、使用者は快適
に化粧料の塗布を行うことができるという利点があり、
また、前記筋状部に化粧料が保持されにくいことによ
り、化粧料が部分的に皮膚に塗布されないという不都合
がなく、化粧料をきれいに均一に塗布することができる
という利点があり、さらに、前記筋状部が皮膚に触れな
いようにするために、塗布具の持ち方等について制約を
受けるという不都合がなく、塗布具の使い勝手が良好に
なるという利点がある。
【0045】工程(e)において使用される加熱圧縮成
形法は、上記の方法には制限されず、前記軟質発泡性樹
脂材料の種類及び前記シームレス塗布具の種類等に応じ
て、公知の加熱圧縮成形法の中から適宜選択可能であ
る。
【0046】なお、図1に示した工程(f)は、この発
明に係る前記シームレス塗布具の製造方法における工程
(a)〜(e)によって製造されたシームレス塗布具8
の支持具装着用凹陥部4に支持具6を挿入する工程を示
し、この工程(f)によって、支持具6とその先端に装
着されたシームレス塗布具8とを有して成るアプリケー
タ11が製造される。
【0047】この発明に係るシームレス塗布具の製造方
法は、工程(a)〜(e)を有する前記シームレス塗布
具の製造方法には制限されず、前記シームレス塗布具の
製造方法を以下のように変更することも可能である。
【0048】この発明における塗布具用樹脂材は、軟質
発泡性樹脂から一体成形されていれば、その製造方法
は、工程(a)に示された方法に制限されることはな
い。「一体成形される」とは、軟質発泡性樹脂から形成
された複数の材料から成形されるのではなく、軟質発泡
性樹脂から形成された1つ材料から成形されることを意
味する。
【0049】前記塗布具用樹脂材を製造する方法として
は、工程(a)に示された方法以外に、例えば軟質発泡
性樹脂材料から押出成形又は射出成形により製造する方
法を挙げることができる。いずれの方法であっても円柱
体等の所定の形状を有する塗布具用樹脂材を製造するこ
とができる。また、いずれの方法で製造した塗布具用樹
脂材であっても、上記工程(b)〜(e)と同様の工程
に従ってシームレス塗布具を製造することができる。こ
れらの方法において使用される好適な軟質発泡性樹脂材
料の種類は、前述の軟質発泡性樹脂材料1と同様であ
る。
【0050】前記シームレス塗布具の製造方法の工程
(e)では、切削成形打抜体7から支持具6を外した後
に加熱圧縮を行っているが、この発明に係るシームレス
塗布具の製造方法においては、切削成形打抜体7に支持
具6を装着したまま加熱圧縮を行ってもよい。
【0051】工程(e)のように、切削成形打抜体7か
ら支持具6を外した状態で切削成形打抜体7を加熱圧縮
すると、切削成形打抜体7における支持具6を加圧方向
から挟む部分が支持具装着用凹陥部4方向に移動可能で
あるので、その部分が受ける圧力が減少するのに対し、
切削成形打抜体7に支持具6を装着したまま切削成形打
抜体7を加熱圧縮すると、切削成形打抜体7における前
記部分は、支持具装着用凹陥部4に挿入された支持具6
の存在により支持具装着用凹陥部4方向に移動すること
ができないので、切削成形打抜体7から支持具6を外し
た状態で加熱圧縮する場合よりも、その部分が受ける圧
力が大きくなる。このために、切削成形打抜体7に支持
具6を装着したまま加熱圧縮すると、切削成形打抜体7
から支持具6を外した状態で加熱圧縮を行う場合より
も、切削成形打抜体7は強く圧縮されることになり、シ
ームレス塗布具8よりも気泡密度の小さいシームレス塗
布具を製造することができる。
【0052】図1に示したシームレス塗布具の製造方法
では、工程(d)において、凹部形成打抜体5に支持具
6を装着した状態で凹部形成打抜体5を切削成形してい
るが、この発明に係るシームレス塗布具の製造方法にお
いては、所定の形状に切削成形することができれば、凹
部形成打抜体5に支持具6を装着しないで凹部形成打抜
体5を切削成形してもよい。また、この場合には、塗布
具用打抜体2に支持具装着用凹陥部4を設けることな
く、塗布具用打抜体2を所定の形状に切削成形して、こ
のようにして得られた切削成形打抜体に支持具装着用凹
陥部を設けてもよい。
【0053】塗布具に支持棒を装着する必要がなく、ま
た被切削体を支持棒で保持しなくても被切削体を切削成
形可能であるときには、塗布具用打抜体に支持具装着用
凹陥部を設ける必要はなく、塗布具用打抜体を所定の形
状に切削成形し、このようにして得られた切削成形打抜
体を加熱圧縮して、塗布具を製造することもできる。
【0054】また、この発明に係るシームレス塗布具の
製造方法においては、切削成形を行うことなく加熱圧縮
することによって、目的とする塗布具を製造することが
できる場合には、切削成形の工程はなくてもよい。した
がって、塗布具用打抜体をそのまま加熱圧縮してシーム
レス塗布具を製造してもよく、塗布具用打抜体に支持具
装着用凹陥部を設けて凹部形成打抜体とし、この凹部形
成打抜体に支持棒を装着して、前記凹部形成打抜体を加
熱圧縮してシームレス塗布具を製造してもよく、また、
前記凹部形成打抜体に支持棒を装着することなく、前記
凹部形成打抜体を加熱圧縮してシームレス塗布具を製造
してもよい。
【0055】従来のスポンジ状化粧用塗布具の製造方法
により製造された塗布具は、その表面部に加熱融合によ
り形成される筋状部を有していたが、前述のように製造
されたこの発明に係るシームレス塗布具は、その製造工
程に加熱融合を含まないので、その表面部に前記筋状部
を有していない。このため、この発明に係るシームレス
塗布具は以下のように作用する。
【0056】前記シームレス塗布具により例えば化粧料
を塗布するときには、シームレス塗布具で化粧料を掻き
取るなどしてシームレス塗布具に化粧料を付着させる。
従来の前記筋状部を有する塗布具でこれと同様のことを
すると、前記筋状部が前記筋状部以外のスポンジ部分よ
りも多くの化粧料を掻き取ったり、又は前記筋状部に化
粧料が付着されなかったりすることにより、塗布具に化
粧料を均一に付着させることが困難であるが、この発明
に係るシームレス塗布具は、前記筋状部がないので、シ
ームレス塗布具全体に化粧料を均一に付着させることが
容易である。
【0057】シームレス塗布具に付着させた化粧料を顔
等に塗布する。従来の前記筋状部を有する塗布具でこれ
と同様のことをすると、硬い前記筋状部が皮膚に触れる
ことにより使用者は不快感を覚えることがある。この発
明に係るシームレス塗布具は、前記筋状部がないので、
塗布時に使用者がこのような不快感を覚えることはな
く、快適に化粧料の塗布を行うことができる。
【0058】従来の前記筋状部を有する塗布具において
は、前述のように塗布具に化粧料が均一に付着していな
い場合が多いので、従来の前記塗布具で化粧料を顔等に
塗布したときに、均一に化粧料を顔等に付着させるのが
困難である。これに対し、この発明に係るシームレス塗
布具では、前述のようにシームレス塗布具塗布具全体に
化粧料を均一に付着させること容易であるので、使用者
の意図通りに均一にきれいに化粧料を塗布することが容
易である。
【0059】また、従来の前記筋状部を有する塗布具に
おいては、前述のような事情から、前記筋状部が皮膚に
触れないように化粧料を塗布しなければならないので、
使用者は、塗布具の持ち方及び塗布具を皮膚に当てる角
度等に制約を受け、化粧料の塗布を行いにくい。一方、
この発明に係るシームレス塗布具では、前記持ち方及び
角度等についての制約がないので、使用者は自由に快適
に化粧料の塗布を行うことができる。
【0060】この発明に係るシームレス塗布具及びその
製造方法は、例えば、化粧用塗布具、医療用塗布具、又
は塗装用塗布具の分野において利用することができ、特
に、化粧用塗布具の分野において好適に使用することが
できる。
【0061】
【発明の効果】この発明に係るシームレス塗布具の製造
方法は、加熱融着工程を含まないので、この製造方法に
よって製造されるシームレス塗布具には、加熱融着によ
って生ずる硬い筋状部がない。したがって、この発明に
係るシームレス塗布具の製造方法によって製造されるシ
ームレス塗布具を使用した化粧料の塗布においては、前
記筋状部が皮膚に触れることにより使用者が不快感を覚
えるという不都合がなく、使用者は快適に化粧料の塗布
を行うことができ、前記筋状部に化粧料が保持されにく
いことにより、化粧料が部分的に皮膚に塗布されないと
いう不都合がなく、化粧料をきれいに均一に塗布するこ
とができ、また前記筋状部が皮膚に触れないようにする
ために、塗布具の持ち方等について制約を受けるという
不都合がなく、塗布具の使い勝手が良好になる。
【0062】また、この発明に係るシームレス塗布具の
製造方法においては、加熱圧縮処理の条件を適宜設定す
ることにより、シームレス塗布具の気泡密度を調節する
ことができ、目的に適合した化粧料保持能を有するシー
ムレス塗布具を製造することができる。
【0063】この発明に係るシームレス塗布具の製造方
法は、工程が簡易であり、特殊な材料及び特殊な操作を
必要としないので、既存の設備部で実施することがで
き、低コストで実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係るシームレス塗布具の製
造方法における一連の工程の一具体例を示す説明図であ
る。また、図1中、〔A〕は、支持具6を装着した状態
における切削成形打抜体7の正面図を示し、〔B〕は、
支持具6を装着した状態における切削成形打抜体7の底
面図を示し、〔C〕は、シームレス塗布具8の正面図を
示し、〔D〕は、シームレス塗布具8の底面図を示す。
【図2】図2は、この発明に係るシームレス塗布具の製
造方法における加熱圧縮処理において、2体の金型10
を対置させ、その間に切削成形打抜体7を置いた状態を
示す説明図である。
【図3】図3は、この発明に係るシームレス塗布具の製
造方法における加熱圧縮処理において、2体の金型10
で切削成形打抜体7を圧縮した状態を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1・・軟質発泡性樹脂材料、2・・塗布具用打抜体、3
・・抜型、4・・支持具装着用凹陥部、5・・凹部形成
打抜体、6・・支持具、7・・切削成形打抜体、8・・
シームレス塗布具、9・・圧縮用凹部、10・・金型、
11・・アプリケータ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布
    具用樹脂材を加熱圧縮して形成されることを特徴とする
    シームレス塗布具。
  2. 【請求項2】 前記軟質発泡性樹脂は、軟質ポリウレタ
    ンフォーム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NB
    R)、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPD
    M)又はシリコーンスポンジゴムである請求項1に記載
    のシームレス塗布具。
  3. 【請求項3】 軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布
    具用樹脂材を加熱圧縮することを特徴とするシームレス
    塗布具の製造方法。
  4. 【請求項4】 軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布
    具用樹脂材を所定の形状に切削成形した後、加熱圧縮す
    ることを特徴とするシームレス塗布具の製造方法。
  5. 【請求項5】 軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布
    具用樹脂材に、支持具装着用凹陥部を設け、所定の形状
    に切削成形した後、加熱圧縮することを特徴とするシー
    ムレス塗布具の製造方法。
  6. 【請求項6】 軟質発泡性樹脂から一体成形された塗布
    具用樹脂材に、支持具装着用凹陥部を設け、その支持具
    装着用凹陥部に支持具を装着し、さらに所定の形状に切
    削成形し、前記支持具を取り外した後、加熱圧縮するこ
    とを特徴とするシームレス塗布具の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記塗布具用樹脂材は、前記軟質発泡性
    樹脂から打抜切断、押出成形、又は射出成形により形成
    される請求項3〜6のいずれか1項に記載のシームレス
    塗布具の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記軟質発泡性樹脂は、軟質ポリウレタ
    ンフォーム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NB
    R)、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPD
    M)又はシリコーンスポンジゴムである請求項3〜7の
    いずれか1項に記載のシームレス塗布具の製造方法。
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