JP2003307842A - 平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版原版

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JP2003307842A
JP2003307842A JP2002115055A JP2002115055A JP2003307842A JP 2003307842 A JP2003307842 A JP 2003307842A JP 2002115055 A JP2002115055 A JP 2002115055A JP 2002115055 A JP2002115055 A JP 2002115055A JP 2003307842 A JP2003307842 A JP 2003307842A
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JP2002115055A
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Eiichi Kato
栄一 加藤
Ippei Nakamura
一平 中村
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線を放射する固体レーザ等を用いた記録
により、コンピュータ等のデジタルデータから直接記録
可能であり、感度及び画像部強度の優れた記録層を有
し、良好な印刷物が多数枚得られる耐刷性に優れた平版
印刷版原版を提供する。 【解決手段】 親水性支持体上に下記一般式(I)又は(I
I)で表される化合物を含有する画像記録層を設けてな
る。式中Z1、Z2は各々5員若しくは6員の複素環又は5員
若しくは6員の複素環を含む縮合環を形成するのに必要
な原子群を、p及びqは0又は1を、R1及びR2は各々脂肪族
基を表す。R3、R4、R5は各々水素原子等を、Wは酸素原
子等を、Lはメチン基を、n及びmは各々0,1,2又は3を表
す。但しmとnが同時に0になることはない。A-は電荷の
中和が必要な場合に存在する対アニオンを表す。但しr
は1〜5の整数である。B+は電荷の中和が必要な場合に存
在するオニウムカチオンを表す。但しsは1〜3の整数で
ある。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータ等の
デジタル信号に基づいて赤外線レーザを走査することに
より直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能な平
版印刷版原版に関する。 【0002】 【従来の技術】近年におけるレーザーの発展は目覚まし
く、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ固
体レーザーや半導体レーザーでは、高出力・小型化が進
んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデ
ータから直接製版する際の露光光源として、これらのレ
ーザーは非常に有用である。このような、赤外線レーザ
により記録可能な平版印刷版原版は、例えば、特開平7
−285275号公報に記載のものが挙げられる。この
発明は、アルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収し熱を
発生する物質と、キノンジアジド化合物類等のようなポ
ジ型感光性化合物を添加した画像記録材料であり、画像
部ではポジ型感光性化合物が、アルカリ可溶性樹脂の溶
解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画
像部では、発生した熱により分解して溶解阻止能を発現
しなくなり、現像液より除去され得るようになって画像
を形成する。国際公開WO97/39894号パンフレ
ットには、水系現像液に溶解するポリマーと、該ポリマ
ーの現像液への溶解性を低下させるが、熱により溶解性
が向上する赤外線吸収剤を含有し、赤外線を照射するこ
とによりポジ型に画像形成する画像形成材料が開示され
ている。ここに用いられる赤外線吸収剤は、ポリマーの
現像液への溶解性を抑制する機能を有するものである。 【0003】このようなポジ型画像を形成する画像形成
材料においては、通常、レーザー光を吸収し、熱に変換
する物質としてシアニン系赤外線吸収色素が主に使用さ
れてきたが、これらは感度が高いものの、光や熱により
劣化しやすく、保存安定性に問題があった。 【0004】一方、ネガ型平版印刷版原版として、例え
ば、特開平10−39509号公報、特開2000−3
47393公報、同2000−347393公報に開示
されている如き、熱により発生した酸を開始剤として、
酸による架橋反応を生起させて露光部の画像記録層を硬
化させて画像部を形成する方法、或いは、特開2001
−125260公報に開示されている如き、熱により発
生したラジカルを開始剤として重合反応を生起させて露
光部の画像記録層を硬化させて画像部を形成する方式が
提案されている。 【0005】このようなネガ型の平版印刷版原版は、赤
外線レーザ照射のエネルギーにより画像記録層の可溶化
を起こさせるポジ型に比較して画像形成性が低く、架橋
或いは重合などの硬化反応を促進させて強固な画像部を
形成するため、現像工程後にバーニング処理或いはベー
キング処理と呼ばれる加熱処理を行うのが一般的であ
る。特に、上述の画像記録層を備える平版印刷版原版
に、アルミニウム支持体を用いる場合には、赤外線レー
ザ照射によるエネルギーが熱伝導性の高い支持体に拡散
して、画像形成のために効率よく利用されず、充分な感
度及び画像部強度が得られないという問題があった。ま
た、画像記録層中には、通常、赤外線レーザの照射光を
熱に変換する赤外線吸収剤が含まれるが、かかる赤外線
吸収剤として用いられる色素の安定性が悪いと、画像記
録層中において、色素が分解し、その光熱変換能が低下
してしまい、画像形成反応が促進されず、感度及び画像
部強度に対し大きな影響を及ぼす懸念があった。 【0006】一方、近年の製版、印刷業界では製版作業
の合理化が進められており、上記のような湿式の現像処
理を行なうことなしに、露光後に現像処理することなく
印刷機に装着して印刷できる現像不要の平版印刷版原版
が研究され、例えば、熱エネルギーの供給により画像記
録層の加熱領域のみが極性変換(疎水性が親水性に、或
いは、親水性が疎水性にそれぞれ変化)することで、疎
水性と親水性のオン/オフを形成する方法が提案されて
いる。具体的には、例えば、特開平7−186562号
公報には熱と酸によりカルボン酸を発生するポリマーを
用いる方法が、特開平10−282672号公報には熱
によりスルホン酸を発生するポリマーを用いる方法が開
示されている。他の方法としては、例えば、特許第29
38397号公報や、国際公開WO99/10186パ
ンフレット等に記載の、親水性バインダー中に疎水性熱
可塑性ポリマー粒子を分散させた画像形成層を設け、赤
外線レーザ露光による疎水性熱可塑性ポリマー粒子の熱
融着により疎水性の画像部を形成させた後、印刷機のシ
リンダーに版を装着し、インク及び/又は湿し水により
機上現像する技術、特開2001−293971公報、
同2001−27742公報等に記載の親水性バインダ
ーマトリックス中に、熱反応性の官能基を有する化合物
を内包した熱可塑性樹脂微粒子或いはマイクロカプセル
を分散させた画像型記録層を有する平版印刷版等が提案
されている。このような機上現像型、或いは、完全無処
理型の平版印刷版原版の画像記録層においても光熱変換
物質が重要であり、赤外線レーザ光への感応性に優れ、
記録層中において経時により劣化しない、安定性が良好
なものが望まれている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
考慮してなされたものであり、本発明の目的は、赤外線
を放射する固体レーザ及び半導体レーザを用いて記録す
ることにより、コンピューター等のデジタルデータから
直接記録可能であると共に、感度及び画像部強度の優れ
た画像記録層を有し、良好な印刷物が多数枚得られる耐
刷性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、赤外線レー
ザによる照射光を効率よく熱に変換するために用いられ
る赤外線吸収剤に着目し、鋭意検討の結果、経時安定性
に優れた特定構造の色素を赤外線吸収剤として使用する
ことにより上記目的が達成できることを見出し、本発明
を完成するに至った。即ち、本発明の赤外線レーザ対応
平版印刷版原版は、親水性支持体上に、下記一般式
(I)又は一般式(II)で表される化合物を含有する
画像記録層を設けてなり、赤外線レーザーを用いて記録
可能であることを特徴とする。 【0009】 【化3】 【0010】一般式(I)中、Z1及びZ2は、各々独立
に、5員若しくは6員の複素環又は5員若しくは6員の
複素環を含む縮合環を形成するのに必要な原子群を表
す。p及びqは、0又は1を表す。R1及びR2は、各々
独立に、脂肪族基を表す。R3、R4、及びR5は、各々
独立に、水素原子、又は水素原子を除く一価の非金属原
子団を表し、R3とR4、R3とR5、及びR4とR5の少な
くとも一つが縮合して6員環を形成していてもよい。W
は、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lは、メチン基又は
置換メチン基を表す。n及びmは、各々独立に、0、
1、2又は3を表す。但し、mとnが同時に0になるこ
とはない。A-は、電荷の中和が必要な場合に存在する
対アニオンを表す。但し、rは1〜5の整数である。 【0011】 【化4】【0012】一般式(II)中、Z1、Z2、R1、R2
3、R4、R5、W、L、n、m、p、及びqは、前記
一般式(I)と同義である。B+は、電荷の中和が必要
な場合に存在するオニウムカチオンを表す。但し、sは
1〜3の整数である。 【0013】一般式(I)で表される化合物において、
-による電荷の中和が必要でない場合には、A-を除く
部分の分子内に存在するアニオンとベンゾピリリウムイ
オンとで分子内塩が形成されている構造を有する。な
お、A-を除く部分の分子内に存在するアニオンとして
は、−SO3H、−COOH、−PO32、−OPO3
2、−P(=O)(OR)OH、−OP(=O)(O
R)OH、SO2Hから選ばれる少なくとも一種の酸性
基が解離することで発生するアニオンであることが好ま
しい。なお、Rは、炭素数1〜12の置換されてもよい
脂肪族基を表す。一方、前記一般式(I)で表される化
合物において、A-による電荷の中和が必要である場合
には、A-とベンゾピリリウムイオンとで分子内塩が形
成されている構造を有する。 【0014】一般式(II)で表される化合物におい
て、B+による電荷の中和が必要でない場合には、B+
除く部分の分子内に存在するアニオンとベンゾピリリウ
ムイオンとで分子内塩が形成され、更に、B+を除く部
分の分子内に存在するアニオンとカチオンとで分子内塩
が形成されている構造を有する。一方、一般式(II)
で表される化合物において、B+による電荷の中和が必
要である場合には、B+を除く部分の分子内に存在する
アニオンとベンゾピリリウムイオンとで分子内塩が形成
され、更に、B+を除く部分の分子内に存在するアニオ
ンとB+とで分子内塩が形成されている構造を有する。
なお、B+を除く部分の分子内に存在するアニオンとし
ては、−SO3H、−COOH、−PO32、−OPO3
2、−P(=O)(OR)OH、−OP(=O)(O
R)OH、SO2Hから選ばれる少なくとも一種の酸性
基が解離することで発生するアニオンであることが好ま
しい。なお、酸性基中のRは、炭素数1〜12の置換さ
れてもよい脂肪族基を表す。ここで、B+で表されるオ
ニウムカチオンとしては、ヨードニウムイオン、スルホ
ニウムイオン、ホスホニウムイオン、ジアゾニウムイオ
ン、カルボニウムイオン、トリハロゲンメチル基置換の
オキザゾリウムイオン又はS−トリアジニウムイオンが
好ましい。 【0015】本発明の作用は明確ではないが、赤外線吸
収剤である一般式(I)又は一般式(II)で表される
化合物は、経時安定性がよいため記録層中における安定
性も良好であり、更に、赤外線レーザの照射光をより効
率よく熱に変換することが可能であるため、記録層の感
度が上昇する。また、化合物の構造に起因する何らかの
相互作用が、強固な画像部の形成にも寄与すると推測さ
れる。特に、ネガ型画像記録層に適用した場合には、重
合や架橋反応が促進され、強固な画像部を形成すること
が可能であると推測される。また、一般式(I)又は一
般式(II)で表される化合物を記録層中に含有させる
ことで、記録層中で共存する成分との間で、かかる化合
物の構造に起因する何らかの相互作用が形成され、耐ア
ルカリ現像性が向上し、これが耐刷性の向上に寄与して
いると考えられる。従って、このような画像記録層を備
える平版印刷版原版により得られる平版印刷版によれ
ば、良好な印刷物が多数枚得られ、かつ耐刷性にも優れ
る。また、上述のように、一般式(II)で表される化
合物において、B+で表されるオニウムカチオンと、B+
を除く部分の分子内に存在するアニオンと、で分子内塩
が形成されている場合、B+で表されるオニウムカチオ
ンが、熱又は光により酸或いはラジカルを発生する機能
を有するため、後述する重合硬化系或いは酸架橋系のネ
ガ型画像記録層に適用した場合に、特に優れた感度向上
効果を得ることできると考えられる。より詳細には、B
+で表されるオニウムカチオンの有するラジカル発生機
能により、赤外線レーザ露光により光熱変換剤が発生し
た熱が分子内、即ち極めて近傍に存在する前記官能基に
作用して架橋反応や酸分解反応の生起に必要な酸やラジ
カルの発生を効率よく行うことができるため、このよう
な化合物を含有するネガ型記録層において、感度向上が
可能になったと推測される。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 〔(A)赤外線吸収剤〕本発明において使用される
(A)赤外線吸収剤としては、特定の波長領域(赤色光
乃至赤外線領域)に吸収を有する特定構造の色素であ
り、下記一般式(I)又は一般式(II)で表される化
合物であることを要する。なお、以下においては、一般
式(I)又は一般式(II)で表される化合物を、適宜
「特定の赤外線吸収剤」と総称する場合がある。 【0017】 【化5】【0018】一般式(I)中、Z1及びZ2は、各々独立
に、5員若しくは6員の複素環又は5員若しくは6員の
複素環を含む縮合環を形成するのに必要な原子群を表
す。p及びqは、0又は1を表す。R1及びR2は、各々
独立に、脂肪族基を表す。R3、R4、及びR5は、各々
独立に、水素原子、又は水素原子を除く一価の非金属原
子団を表し、R3とR4、R3とR5、及びR4とR5の少な
くとも一つが縮合して6員環を形成していてもよい。W
は、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lは、メチン基又は
置換メチン基を表す。n及びmは、各々独立に、0、
1、2又は3を表す。但し、mとnが同時に0になるこ
とはない。A-は、電荷の中和が必要な場合に存在する
対アニオンを表す。但し、rは1〜5の整数である。 【0019】 【化6】 【0020】一般式(II)中、Z1、Z2、R1、R2
3、R4、R5、W、L、n、m、p、及びqは、前記
一般式(I)と同義である。B+は、電荷の中和が必要
な場合に存在するオニウムカチオンを表す。但し、sは
1〜3の整数である。 【0021】本発明の平版印刷版原版は、その画像記録
層として赤外線を発するレーザで画像記録可能な構成の
ものを備える。このような画像記録層(以下、適宜、
「記録層」又は「感光層」と称する場合がある。)に、
本発明に係る特定の赤外線吸収剤を用いることにより、
高感度な画像形成反応を行なうことができる。即ち、本
発明に係る特定の赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱
に変換する機能を有しており、この際発生した熱によ
り、画像形成反応が生起、進行するものである。 【0022】以下、一般式(I)及び一般式(II)で
表される化合物について詳細に説明する。一般式(I)
において、Z1及びZ2は、各々独立に、置換されてもよ
い、5員若しくは6員の複素環又は5員若しくは6員の
複素環を含む縮合環を形成するのに必要な原子群を表
す。Z1及びZ2において、形成される複素環としては、
例えば、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチ
アゾール環(例えば、ナフト〔2,1−d〕チアゾール
環、ナフト〔1,2−d〕チアゾール環等)、チオナフ
テン〔7,6−d〕環、ベンゾオキサゾール環、ナフト
オキサゾール環(例えば、ナフト〔2,1−d〕オキサ
ゾール環等)、セレナゾール環、べンゾセレナゾール
環、ナフトセレナゾール環(例えば、ナフト〔2,1−
d〕セレナゾール環、ナフト〔1,2−d〕セレナゾー
ル環等)、オキサゾリン環、セレナゾリン環、チアゾリ
ン環、ピリジン環、キノリン環(例えば、2−キノリン
環、4−キノリン環、ベンゾ〔t〕キノリン環等)、イ
ソキノリン環(例えば、1−イソキノリン環、3−イソ
キノリン環、ベンゾイソキノリン環、)アクリジン環、
3,3−ジアルキルインドレニン環、3,3−ジアルキ
ルベンゾインドレニン環、3,3−ジアルキル〔1,
7〕ジアゾ−2−インデン環、ペンゾイミダゾール環、
ナフトラクタム環等が挙げられる。 【0023】Z1及びZ2における置換基としては、例え
ば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、
ヨウ素原子等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、
カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基、オキシホスホノ
基、−OR01基、−SR01基、−COR01基、−COO
01基、−OCOR01基、−SO201基、−CON
(R02)(R03)基、−SO2N(R01)(R02)基、
−N(R01)CO−R01基、−N(R02)SO2−R01
基、−NHCONH−R01基、−NHCOOR01基、−
Si(R043基、−P(=O)(R012基、−OP
(=O)(R012基、炭素数1〜22の置換されても
よいアルキル基、炭素数2〜22の置換されてもよいア
ルケニル基、炭素数2〜22の置換されてもよいアルキ
ニル基、炭素数5〜22の置換されてもよい脂環式炭化
水素基、炭素数6〜18の置換されてもよいアリール
基、酸素原子、窒素原子、及びイオウ原子から選ばれる
少なくとも1つのヘテロ原子を有する置換されてもよい
複素環基が挙げられる。 【0024】ここで、Z1及びZ2における置換基中の
(R01)は、脂肪族基、アリール基又は、複素環基を表
す。これら1価の有機残基は、置換基を含有してもよ
い。 【0025】前記(R01)で表される脂肪族基として
は、炭素数1〜22の分岐状若しくは直鎖状アルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、
トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オク
タデシル基)、炭素数2〜18の直鎖状若しくは分岐状
のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブ
テニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル
基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘ
キサデセニル基、オクタデセニル基等)、炭素数2〜1
8の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、ア
セチレニル基、プロピニル基、ブチイル基、ペンテイル
基、ヘキセイル基、オクテイル基、デセイル基、ドデセ
イル基、オクタデセイル基等)、炭素数5〜10の脂環
式炭化水素基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキ
シル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロヘ
キセニル基、シクロオクテニル基、トリシクロデシル
基、トリシクロデセニル基、イソボニル基、アダマンチ
ル基等)、等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子
数1〜12までの直鎖状、炭素原子数3〜12までの分
岐状、ならびに炭素原子数5〜10までの環状の脂肪族
基がより好ましい。 【0026】前記(R01)で表されるアリール基として
は、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えばフ
ェニル基、ナフチル基、ジヒドロナフチル基、テトラニ
ル基、インデニル基、インダニル基、ベンゾシクロブテ
ニル基、ベンゾシクロヘプテニル基、アントラル基、等
が挙げられる。 【0027】前記(R01)で表される複素環基として
は、酸素原子、イオウ原子、窒素原子から選ばれる少な
くとも1つのヘテロ原子を有する5員もしくは6員の複
素環あるいは、これらの複素環を含む多環構造から成る
複素環の一価の置換基が挙げられる。上記複素環基の具
体例としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジヒドロ
フラン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾー
ル、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダ
ゾリン、イミダゾリジン、トリアゾール、トリアゾリ
ン、トリアゾリジン、テトラゾール、テトラゾリン、テ
トラゾリジン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、テト
ラヒドロチオフェン、イソオキサゾール、イソオキサゾ
リン、イソオキサゾリジン、オキサゾール、オキサゾリ
ン、オキサゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリ
ン、イソチアゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チア
ゾリジン、ピリジン、ヒドロピリジン、ピペリジン、ヒ
ドロピリダシン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、
ピラン、ヒドロピラン、チオピラン、ヒドロチオピラ
ン、オキサジン、モルホリン、アゼピン、ヒドロアゼピ
ン、オキセピン、チエピン、イソインドール、インドリ
ン、インドール、イソインドリン、カルバゾール、イン
ダゾール、ベンゾイミダゾール、ヒドロベンゾイミダゾ
ール、ベンゾトリアゾール、インベンゾフラン、ジベン
ゾフラン、ヒドロベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、
ベンゾチオフェン、ベンゾジチオール、ベンゾオキサゾ
ール、ヒドロベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾ
ール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベン
ゾオキサチオール、キノリン、イソキノリン、アクリジ
ン、フェナントリジン、キナゾリン、フェナジン、ベン
ゾピラン、キサンテン、ベンゾチオピラン、ヒドロベン
ゾピラン、ベンゾオキサジン、ベンゾチアジン、チオキ
サンテン、フェノキサジン、フェノチアジン、ベンゾア
ゼピン、ベンゾジアゼピン、ピロリジン、ピロリジジ
ン、キノリジン、キノリジジン、イソドノジン、ピロリ
ジジン、プリン、イソクロマン、クロマン、ビピリジ
ン、ビテオフェン、キヌクリジン、ピペラジン等が挙げ
られる。 【0028】これら前記(R01)で表される脂肪族基、
アリール基、及び複素環基は、置換されてもよく、置換
基としては、前記の「Z1及びZ2における置換基」と同一
の内容のものが挙げられる。 【0029】Z1及びZ2における置換基中の(R02)及
び(R03)は、水素原子、脂肪族基、アリール基、又は
複素環基を表し、(R02)と(R03)とは、窒素原子を
含めて環構造を形成してもよい。ここで(R02)及び
(R03)が水素原子を除く一価の有機残基である場合と
しては、前記(R01)と同一の内容を表す。 【0030】Z1及びZ2における置換基である−Si
(R043基中の−R04基は、炭素数1〜22の炭化水
素基又は−OR01基を表す。ここで炭素数1〜22の炭
化水素基としては、前記(R01)と同様の各々置換され
てもよい脂肪族基、アリール基及び複素環基から選ばれ
る基を表す。−OR01基中のR01は、前記R01と同一で
ある。前記−Si(R043基が−OR01基を表す場合
において、(R01)の少なくとも1つは炭化水素基を含
むことが好ましく、2つ以上が炭化水素基を含むことが
より好ましい。 【0031】Z1及びZ2における置換基として挙げられ
る、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂環式
炭化水素基、アリール基、複素環基の具体例としては、
各々、前記(R01)において挙げられたものと同様のも
のが挙げられる。 【0032】一般式(I)において、R1及びR2は、各
々独立に、置換されてもよい脂肪族基を表す。かかる脂
肪族基としては、炭素数1〜22の直鎖状又は分岐状の
置換されてもよいアルキル基、炭素数2〜22の置換さ
れてもよいアルケニル基、炭素数2〜22の置換されて
もよいアルキニル基、炭素数5〜22の置換されてもよ
い脂環式炭化水素基が好ましい。これらの脂肪族基、及
びこれらに導入される置換基の具体例としては、Z1
導入可能な置換基として挙げた脂肪族基と同義である。 【0033】一般式(I)において、Lは、メチン基又
は置換メチン基を表す。n及びmは、各々独立に、0、
1、2又は3を表す。但し、mとnが同時に0になるこ
とはない。一般式(I)において、−(L=L)n−又は
=(L−L)m=を含むポリメチン鎖としては、炭素鎖長
3〜11のポリメチン鎖が好ましく、ペンタメチン、ヘ
プタメチン又はノナメチンがより好ましいが、赤外線に
対する波長適性と安定性の点からヘプタメチンであるこ
とが特に好ましい。 【0034】また、Lは、各々独立に、ハロゲン原子、
カルボキシ基、置換されてもよいアルキル基、置換され
てもよいアリール基、−OR10基、−SR10基、−N
(R11)(R12)基、置換若しくは無置換のイミニウム
イオン基、下記式(1)で表される置換基より選択され
る基で置換されていてもよいこれら置換基上の置換基と
しては、前記したZ1に導入可能な置換基として挙げた
ものと同様のものが挙げられる。これらの中でも、L上
の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル
基、フェニル基等のアリール基、塩素原子等のハロゲン
原子、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基、フ
ェニルチオ基等のアリールチオ基が挙げられ、ハロゲン
原子、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基、及
びフェニルチオ基等のアリールチオ基が特に好ましい。 【0035】 【化7】 【0036】式(1)中のR11及びR12は、各々独立
に、水素原子、炭素数1〜8の置換されてもよいアルキ
ル基、又は炭素数6〜10の置換されてもよいアリール
基を表す。Y1は、酸素原子又は硫黄原子を表す。置換
基としては、前記一般式(I)におけるR1と同一の内
容のものが挙げられる。また、メチレン基間でトリメチ
レン基で架橋しメチレン鎖上に炭素5員環若しくは6員
環を形成するのも好ましい。 【0037】一般式(I)において、R3、R4、及びR
5は、各々独立に、水素原子、又は水素原子を除く一価
の非金属原子団を表す。該非金属原子団は置換されてい
てもよく、置換基としては、前記したZ1における置換
基と同一の内容のものが挙げられる。また、R3とR4
3とR5、及びR4とR5の少なくとも一つが縮合して6
員環を形成していてもよい。 【0038】一般式(I)において、Wは、酸素原子又
は硫黄原子を表す。 【0039】一般式(I)において、A-は電荷の中和
が必要な場合に存在する対アニオンを表す。かかる対ア
ニオンとしては、無機或いは有機のアニオンである。こ
こで、rは1〜5の整数であり、1又は2であることが
好ましい。対アニオンとして、具体的には以下のものが
挙げられるが、これらに限定されるものではない。例え
ば、Cl-、F-、Br-、I-、ClO4 -、BrO4 -、S
bF6 -、PF6 -、ボレートアニオン(例えば、BF4 -
テトラフェニルボレートアニオン、ブチル−トリフェニ
ルボレートアニオン、ブチル−トリス(2,4,6−ト
リメチルフェニル)ボレートアニオン、ブチル−メチル
−ジフェニルボレートアニオン、ブチル−トリス(フル
オロフェニル)ボレートアニオン、ブチル−トリス(メ
トキシフェニル)ボレートアニオン、テトラ(クロロフ
ェニル)ボレートアニオン等)スルホン酸アニオン(例
えば、アルカンスルホン酸アニオン(アルカンスルホン
酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プ
ロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、アリルスルホン
酸、フェニルメタンスルホン酸、ヒドロキシプロパン
酸、2−クロロエタンスルホン酸、10−カンファース
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフル
オロエタンスルホン酸等)芳香族スルホン酸アニオン
(芳香族スルホン酸としては、ベンゼンスルホン酸、ト
ルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ヒド
ロキシベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン
酸、ニトロベンゼンスルホン酸、アセチルベンゼンスル
ホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、ロースル
ホベンゼンカルボン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタ
レンスルホン酸、ナルタレンジスルホン酸、ナフトール
スルホン酸、アントラキノンスルホン酸、モノリンスル
ホン酸等)、ホスホン酸アニオン(具体的には、上記ス
ルホン酸アニオンで例示した脂肪族化合物、芳香族化合
物にスルホン酸基の代わりにホスホン酸が各々少なくと
も1種置換された化合物が例示される)等が挙げられ
る。 【0040】一般式(I)で表される化合物において、
-による電荷の中和が必要でない場合には、A-を除く
部分の分子内に存在するアニオンとベンゾピリリウムイ
オンとで分子内塩が形成されている構造を有する。な
お、A-を除く部分の分子内に存在するアニオンとして
は、−SO3H、−COOH、−PO32、−OPO3
2、−P(=O)(OR)OH、−OP(=O)(O
R)OH、SO2Hから選ばれる少なくとも一種の酸性
基が解離することで発生するアニオンであることが好ま
しい。前記酸性基の中でも、−SO3H、−COOH、
−PO32、−OPO32のいずれか1種を有すること
がより好ましい。なお、Rは、炭素数1〜12の置換さ
れてもよい脂肪族基を表す。これらの脂肪族基、及びこ
れらに導入される置換基の具体例としては、前記した一
般式(I)におけるZ1に導入可能な置換基として挙げ
た脂肪族基と同義である。一方、一般式(I)で表され
る化合物において、A-による電荷の中和が必要である
場合には、上記A-で表される対アニオンとベンゾピリ
リウムイオンとで分子内塩が形成されている構造を有す
る。 【0041】次に、一般式(II)において、各置換基
として好ましくは、以下のものを挙げることができる。
一般式(II)中、Z1、Z2、R1、R2、R3、R4、R
5、W、L、n、m、p、及びqは、前記一般式(I)
と同義である。B+は、電荷の中和が必要な場合に存在
するオニウムカチオンを表す。但し、sは1〜3の整数
である。 【0042】一般式(II)で表される化合物におい
て、B+による電荷の中和が必要でない場合には、B+
除く部分の分子内に存在するアニオンとベンゾピリリウ
ムイオンとで分子内塩が形成され、更に、B+を除く部
分の分子内に存在するアニオンとカチオンとで分子内塩
が形成されている構造を有する。一方、一般式(II)
で表される化合物において、B+による電荷の中和が必
要である場合には、B+を除く部分の分子内に存在する
アニオンとベンゾピリリウムイオンとで分子内塩が形成
され、更に、B+を除く部分の分子内に存在するアニオ
ンとB+とで分子内塩が形成されている構造を有する。
なお、B+を除く部分の分子内に存在するアニオンとし
ては、−SO3H、−COOH、−PO32、−OPO3
2、−P(=O)(OR)OH、−OP(=O)(O
R)OH、SO2Hから選ばれる少なくとも一種の酸性
基が解離することで発生するアニオンであることが好ま
しい。前記酸性基の中でも、−SO3H、−COOH、
−PO32、−OPO32のいずれか1種を有すること
がより好ましい。なお、Rは、炭素数1〜12の置換さ
れてもよい脂肪族基を表す。これらの脂肪族基、及びこ
れらに導入される置換基の具体例としては、前記一般式
(I)におけるZ1に導入可能な置換基として挙げた脂
肪族基と同義である。ここで、B+で表されるオニウム
カチオンとしては、ヨードニウムイオン、スルホニウム
イオン、ホスホニウムイオン、ジアゾニウムイオン、カ
ルボニウムイオン、トリハロゲンメチル基置換のオキザ
ゾリウムイオン又はS−トリアジニウムイオンが好まし
い。具体的には、後述する「(B)ラジカル発生剤」と
して挙げられるオニウム塩中のカチオン部が好ましい。 【0043】本発明に用いられる一般式(I)及び一般
式(II)で表される化合物の具体例(I−1〜I〜1
8及びD−1〜D−7)を以下に示すが、これらに限定
されるものではない。 【0044】 【表1】 【0045】 【表2】【0046】 【表3】 【0047】 【表4】【0048】 【表5】 【0049】 【表6】 【0050】 【表7】 【0051】画像記録層中における、前記特定の赤外線
吸収剤の含有量は、画像記録層の特性により、適宜決定
される。各画像記録層における好ましい含有量は以下に
画像記録層の他の構成成分と共に説明する。前記特定の
赤外線吸収剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。また、本発明に用いられる前記特定の
赤外線吸収剤は、従来公知の方法により用いて合成する
ことができる。合成法に関する詳細としては、例えば、
特公平5−60868号公報に記載のものを挙げること
ができる。 【0052】さらに、本発明の効果を損なわない範囲に
おいて、前記特定の赤外線吸収剤に加えて、この分野に
汎用の公知の赤外線吸収剤を併用することもできるが、
その場合には、併用する汎用の赤外線吸収剤の含有量は
赤外線吸収剤全固形分中、40質量%以下であることが
好ましい。 【0053】併用可能な赤外線吸収剤としては、記録に
使用する光エネルギー照射線を吸収し、熱を発生する物
質であれば特に吸収波長域の制限はなく用いることがで
きるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点か
ら波長800nm〜1200nmに吸収極大を有する赤
外線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる。 【0054】染料としては、市販の染料及び例えば「染
料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の
文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、例えば、特開平10−39509号公報の段落番
号[0050]〜[0051]に記載のものを挙げるこ
とができる。これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、有機金属錯体(例えば、ジチオレート系錯体など)
が挙げられる。 【0055】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。 【0056】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。これらの顔料の詳細
は、特開平10−39509号公報の段落番号[005
2]〜[0054]に詳細に記載されており、これらを
本発明にも適用することができる。これらの顔料のうち
好ましいものはカーボンブラック、アニリンブラック、
ニグロシンブラック、シアニンブラック、チタンブラッ
ク等が挙げられる。 【0057】〔画像記録層の構成〕本発明の平版印刷版
原版に適用し得る画像記録層は、赤外線露光により記録
可能なものであれば、特に制限はなく、赤外線レーザ露
光によりアルカリ水溶液に対する可溶性が変化する材料
を用いるネガ型或いはポジ型の画像記録層、インク受容
性領域を形成し得る疎水化前駆体を含有し、赤外線レー
ザ露光部において疎水化領域が形成される画像記録層、
支持体上にインク受容層と親水層とが順次積層され、赤
外線レーザ露光領域において赤外線吸収剤由来の熱によ
り、いずれかの層に急激な発熱、膨張、爆発等が生じて
親水層が剥離され、インク受容層が露出して画像部が形
成される画像記録層など、公知の画像記録方式が任意に
選択される。 【0058】まず、ポジ型或いはネガ型の画像記録層に
ついて述べる。このような画像記録層は、赤外線レーザ
による像様露光の後、アルカリ水溶液で現像処理され、
アルカリ現像性が活性光線の照射により低下し、照射
(露光)部が画像部領域となるネガ型と、逆に現像性が
向上し、照射(露光)部が非画像部領域となるポジ型の
2つに分けられる。 【0059】ネガ型の記録層としては、公知の酸触媒架
橋系(カチオン重合も含む)記録層、重合硬化系記録層
が挙げられる。これらは、光照射や加熱により発生する
酸が触媒となり、記録層を構成する化合物が架橋反応を
起こし硬化して画像部を形成するもの、或いは、光照射
や加熱により生成するラジカルにより重合性化合物の重
合反応が進行し、硬化して画像部を形成するものであ
る。 【0060】またポジ型の記録層としては、公知の酸触
媒分解系、o−キノンジアジド化合物含有系、相互作用
解除系(感熱ポジ)記録層等が挙げられる。これらは光
照射や加熱により発生する酸や熱エネルギーそのものに
より、層を形成していた高分子化合物の結合が解除され
るなどの働きにより水やアルカリ水に可溶となり、現像
により除去されて非画像部を形成するものである。以
下、それぞれの記録層について詳細に説明する。 【0061】1.ネガ型画像記録層 1−1.重合硬化層 ネガ型記録層の1つとして、重合硬化層が挙げられる。
この重合硬化層には、(A)赤外線吸収剤と(B)ラジ
カル発生剤(ラジカル重合開始剤)と発生したラジカル
により重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合
性化合物とを含有し、好ましくは(D)バインダーポリ
マーを含有する。赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に
変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジ
カル重合開始剤が分解し、ラジカルを発生する。ラジカ
ル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和
二重結合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくと
も1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、
発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬
化する。 【0062】1−2.酸架橋層 また、記録層の他の態様としては、酸架橋層が挙げられ
る。酸架橋層には、(E)光又は熱により酸を発生する
化合物(以下、酸発生剤と称する)と、(F)発生した
酸により架橋する化合物(以下、架橋剤と称する)とを
含有し、更に、これらを含有する層を形成するための、
酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ水可溶
性高分子化合物を含む。この酸架橋層においては、光照
射又は加熱により、酸発生剤が分解して発生した酸が、
架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士或いは架橋剤とバイ
ンダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成され、こ
れにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤に不溶と
なる。このとき、赤外線レーザのエネルギーを効率よく
使用するため、記録層中には(A)赤外線吸収剤が配合
される。 【0063】ネガ型画像記録層に用いられる各化合物に
ついて以下に述べる。 [(A)赤外線吸収剤]ネガ型画像記録層は、赤外線を
発するレーザで画像記録可能な構成を有する。このよう
な画像記録層(以下、適宜、記録層と称する)に、本発
明に係る赤外線吸収剤を用いることにより、高感度な画
像形成反応を行なうことができる。 【0064】記録層中における、赤外線吸収剤の総含有
量としては、記録層の全固形分重量に対し、0.01〜
50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ま
しく、0.5〜10質量%が最も好ましい。この範囲に
おいて、高感度な記録が可能であり、非画像部における
汚れの発生もなく、高画質の画像形成が可能である。な
お、これらの赤外線吸収剤のなかで、本発明における特
定の赤外線吸収剤が占める割合は60質量%を超えるこ
とが好ましいのは先に述べた通りである。 【0065】[(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開
始剤)]ラジカル発生剤は、光、熱、或いはその両方の
エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基
を有する化合物の重合を開始、促進させる化合物を指
す。本発明に適用可能なラジカル発生剤としては、公知
の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有
する化合物などを選択して使用することができ、例え
ば、ジアゾニウム塩(S.I.Schlesinge
r,Photogr.Sci.Eng.,18,387
(1974)、T.S.Bal etal,Polym
er,21,423(1980)等に記載)、アンモニ
ウム塩(米国特許第4,069,055号明細書、特開
平4−365049号公報等に記載)、ホスホニウム塩
(米国特許第4,069,055号、同4,069,0
56号の各明細書等に記載)、ヨードニウム塩(欧州特
許第104,143号、米国特許第339,049号、
同第410,201号の各明細書、特開平2−1508
48号、特開平2−296514号の各公報等に記
載)、スルホニウム塩(欧州特許第370,693号、
同390,214号、同233,567号、同297,
443号、同297,442号、米国特許第4,93
3,377号、同161,811号、同410,201
号、同339,049号、同4,760,013号、同
4,734,444号、同2,833,827号、独国
特許第2,904,626号、同3,604,580
号、同3,604,581号の各明細書等に記載)、ア
ルソニウム塩(C.S.Wen etal,Teh,P
roc.Conf.Rad.Curing ASIA,
p478 Tokyo,Oct(1988)等に記
載)、セレノニウム塩(J.V.Crivello e
tal,Macromorecules,10(6),
1307(1977)、J.V.Crivello e
tal,J.Polymer Sci.,Polyme
r Chem.Ed.,17,1047(1979)等
に記載)等のオニウム塩、 【0066】イミノスルフォネート(欧州特許第19
9,672号、同84,515号、同44,115号、
同101,122号、米国特許第4,618,564
号、同4,371,605号、同4,431,774号
の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−2
45756号、特開平4−365048号の各公報等に
記載)、o−ニトロベンジル型保護基を有するエステル
化合物(欧州特許第290,750号、同46,083
号、同156,535号、同271,851号、同38
8,343号、米国特許第3,901,701号、同
4,181,531号の各明細書、特開昭60−198
538号、特開昭53−133022号の各公報等に記
載)、ヘキサアリールビイミダゾール(特公昭47−2
528号、特開昭54−155292号の各公報等に記
載)、環状シス−α−ジカルボニル化合物(特開昭48
−84183号公報等に記載)、環状トリアジン(特開
昭54−151024号公報等に記載)、ビイミダゾー
ル(特開昭59−140203号公報等に記載)、有機
過酸化物(特開昭59−1504号、同59−1402
03号、同59−189340号、同62−17420
3号、特公昭62−1641号の各公報、米国特許第
4,766,055号明細書等に記載)、有機ハロゲン
化合物(特開昭63−258903号、特開平2−63
054号の各公報等に記載)、有機金属/有機ハロゲン
化合物(特開平2−161445号公報等に記載)、 【0067】ボレート化合物(特開昭62−14304
4号、同62−150242号、同、64−13140
号、同64−13141号、同64−13142号、同
64−13143号、同64−13144号、同64−
17048号、特開平1−229003号、同1−29
8348号、同1−138204号、同11−8464
7号の各公報等に記載)、チオール化合物(特開昭59
−140203号公報等に記載)、ジスルホン化合物
(特開昭61−166544号公報等に記載)、チタノ
セン化合物(特開昭59−152396号、同61−1
51197号、特開平4−219756号、同4−22
1958号、同6−295061号、同8−33489
7号、特開2000−147763号、同2000−4
2524号の各公報等に記載)、鉄−アレーン鋳体(特
開平1−304453号、同1−152109号の各公
報等に記載)、有機ホウ酸化合物(特開平62−143
044号、同62−150242号、同64−1314
0号、同64−13141号、同64−13142号、
同64−13143号、同64−13144号、同64
−17048号、特開平1−229003、同1−29
8348号、同1−138204号、同11−8464
7号の各公報等に記載)、 【0068】有機ホウ素スルホニウム錯体又は有機ホウ
素オキソスルホニウム錯体(特開平6−157623
号、同6−175564号、同6−175561号の各
公報等に記載)、有機ホウ素ヨードニウム錯体(特開平
6−175554号、同6−175553号の各公報等
に記載)、有機ホウ素ホスホニウム錯体(特開平9−1
88710号公報等に記載)、有機ホウ素遷移金属配位
錯体(特開平6−348011号、同7−128785
号、同7−140589号、同7−306527号、同
7−292014号の各公報等に記載)等が挙げられ、
これらのラジカルを発生する官能基又は化合物を、ポリ
マーの主鎖若しくは側鎖に導入した化合物も好適に挙げ
ることができ、例えば、米国特許第3,849,137
号、独国特許第3,914,407号の各明細書、特開
昭63−26653号、同55−164824号、同6
2−69263号、同63−146037号、同63−
163452号、同62−153853号、同63−1
46029号の各公報等に記載の化合物が挙げられる。 【0069】本発明において、特に好適に用いられるラ
ジカル発生剤としては、オニウム塩、中でも、下記一般
式(i)〜(iii)で表されるオニウム塩が挙げられ
る。 【0070】 【化8】 【0071】式(i)中、Ar1とAr2は、それぞれ独
立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下
のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する
場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ
基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数1
2個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下の
アリールオキシ基が挙げられる。Z1-は、無機アニオン
又は有機アニオンを表す。 【0072】式(ii)中、Ar3は、置換基を有して
いてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。
好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭
素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以
下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオ
キシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭
素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数
12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個
以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z2-はZ1-
同義の対イオンを表す。 【0073】式(iii)中、R1、R2及びR3は、そ
れぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有してい
てもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好
ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素
原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下
のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリール
オキシ基が挙げられる。Z3-はZ1-と同義の対イオンを
表す。 【0074】前記一般式(i)〜(iii)中のZ1-
2-、Z3-は無機アニオン若しくは、有機アニオンを表
すが、無機アニオンとしては、ハロゲンイオンF-、C
-、Br-、I-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、過
ホウ素酸イオン(BrO4 -)、テトラフルオロボレート
イオン(BF4 -)、SbF6 -、PF6 -等が挙げられ、有
機アニオンとしては、有機ボレートアニオン、スルホン
酸イオン、ホスホン酸イオン、カルボン酸イオン、R4
−SO2 -、R4−SO2-、R4−SO2-−Y−R4
オン(ここで、R4は炭素原子数1〜20のアルキル
基、又は、炭素原子数6〜20のアリール基を表し、Y
は単結合、−CO−、−SO2−、を表す。)、及び、
下記一般式(iv)で表される5配位シラン化合物イオ
ン等が挙げられる。ここで、R4は環構造を有していて
もよく、アルキル基、アリール基は更に置換基を有して
いてもよい。ここで導入可能な置換基としては、具体的
には、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル
基、アルキニル基、アミノ基、シアノ基、水酸基、ハロ
ゲン原子、アミド基、エステル基、カルボニル基、カル
ボキシ基等が挙げられ、これらは、更に上記のような置
換基を有するものであってもよい。更に、2以上の置換
基が互いに結合して環を形成してもよく、環構造は窒素
原子や硫黄原子などを含むヘテロ環構造であってもよ
い。中でも、合成適性の観点からは、R4がアリール基
であることが好ましい。 【0075】有機ボレートアニオンとしては、特開平9
−188685号公報に記載の一般式(I)及び一般式
(I’)で示される化合物が挙げられる。スルホン酸イ
オンとしては、特開平11−143064号公報の段落
番号[0025]〜[0027]に記載の化合物が挙げ
られる。ホスホン酸イオンとしては、脂肪族ホスホン酸
イオン(脂肪族としては、例えば、メタン、エタン、プ
ロパン、ブタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、2−エトキシエタン、シクロヘキサン、2−フェニ
ルメタン、など)、芳香族ホスホン酸イオン(芳香族と
しては、ベンゼン、ナフタレン、メチルベンゼン、メト
キシベンゼン、フロロベンゼン、など)等の化合物が挙
げられる。カルボン酸イオンは、脂肪族カルボン酸或い
は芳香族カルボン酸であり、モノカルボン酸或いはポリ
カルボン酸のいずれでもよい。具体的には、特開200
1−34374号公報の段落番号[0048]〜[00
57]等に記載の化合物が挙げられる。 【0076】 【化9】 【0077】一般式(iv)中、A、B、C、D、Eは
互いに独立した一価の非金属原子(団)を表す。式中、
A、B、C、D、Eは互いに独立した一価の非金属原子
(団)を表すが、好ましくは、それぞれ水素原子、炭素
数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール
基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェ
ノキシ基、アミノ基、ビニル基、アリル基、シアノ基又
はハロゲン原子を表す。なお、これらの基は更に1つ或
いは2つ以上の置換基を有していてもよく、好ましい置
換基の例としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8の
直鎖状或いは分岐のアルキル基、アリール基、アルケニ
ル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アセ
チル基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、ア
ミノ基、又はこれらを2種以上組み合わせたものが挙げ
られる。A、B、C、D、Eのうち隣り合う2以上の非
金属原子(団)は互いに連結して環を形成してもよい。
これらの5配位シラン化合物イオンのうち、好ましいも
のとしては、A、B、C、D、Eのいずれかがハロゲン
原子、又はアリール基、アルコキシ基であるものが挙げ
られ、更に好ましいものとして、A、B、C、D、Eの
うちいずれか1以上がフッ素原子である化合物イオンが
挙げられる。 【0078】本発明において、好適に用いることのでき
るオニウム塩の具体例としては、特開2001−133
696号公報の段落番号[0030]〜[0033]に
記載されたものを挙げることができる。 【0079】本発明において用いられるラジカル発生剤
は、極大吸収波長が400nm以下であることが好まし
く、更に360nm以下であることが好ましい。このよ
うに吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷
版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。 【0080】これらのラジカル発生剤は、1種のみを用
いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのラ
ジカル発生剤は、記録層塗布液の全固形分に対し0.1
〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好
ましくは1〜20質量%の割合で添加することができ
る。添加量が上記範囲において、高感度な記録が達成さ
れ、また、印刷時における非画像部の汚れ発生が抑制さ
れる。また、これらのラジカル発生剤は必ずしも画像記
録層に添加されなくてもよく、画像記録層に隣接して設
けられる別の層へ添加してもよい。 【0081】[(C)ラジカル重合性化合物]本態様に
おける記録層に使用されるラジカル重合性化合物は、少
なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジ
カル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を
少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から
選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広
く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に
限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノ
マー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリ
ゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体な
どの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例
としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が
あげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。 【0082】また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メル
カプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エ
ステル、アミド類と単官能若しくは多官能イソシアネー
ト類、エポキシ類との付加反応物、単官能若しくは、多
官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用さ
れる。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子
性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル又はアミド
類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類
及びチオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やト
シルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン
酸エステル又はアミド類と、単官能若しくは多官能のア
ルコール類、アミン類及びチオール類との置換反応物も
好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボ
ン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き
換えた化合物群を使用することも可能である。 【0083】不飽和カルボン酸とエステルモノマーを形
成する脂肪族多価アルコール化合物の具体例としては、
エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3
−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、テトラ
メチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロ
ールエタン、ヘキサンジオ、1,4−シクロヘキサンジ
オール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトー
ル、ソルビトール、トリ(2−ヒドロキシエチル)イソ
シアヌレート、ビス〔p−(3−ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(3−ヒド
ロキシエチルオキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙
げられる。但し、3価以上のアルコール化合物は、分子
内に少なくとも2つ以上の重合性不飽和基が含有されて
いれば、いずれを用いてもよい。具体例としては、特開
2001−133696号公報の段落番号[0037]
〜[0042]等に記載されたものを挙げることができ
る。 【0084】不飽和カルボン酸とアミノモノマーを形成
する脂肪族多価アミン化合物の具体例としては、メチレ
ンジアミン、エタンジアミン、プロパンジアミン、テト
ラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、キシリレンジアミン、シクロヘキサン
ジメチルアミン等が挙げられる。 【0085】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号公報、特公昭51−47334
号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪
族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号
公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226
149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開
平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有する
もの等も好適に用いられる。 【0086】また、その他の好ましいアミド系モノマー
の例としては、特公昭54−21726号公報に記載の
シクロへキシレン構造を有すものをあげることができ
る。 【0087】その他の例としては、特開昭48−417
08号公報に記載されいている1分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、
ヒドロキシ基を有するビニルモノマーを不可せしめた1
分子中に2個以上の重合性ビニル基を有するビニルウレ
タン化合物、特開昭51−37193号公報及び特公平
2−32293号公報に記載されているようなウレタン
アクリレート類、特公昭58−49860号、特公昭5
6−17654号、特公昭62−39417号、特公昭
62−39418号の各公報に記載のエチレンオキサイ
ド系骨格を有するウレタン化合物類、特開昭48−64
183号、特公昭49−43191号、特公昭52−3
0490号の各公報に記載されているようなポリエステ
ルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸
とを反応させたエポキシアクリレート類等の多官能の
(メタ)アクリレートを挙げることができる。更に、日
本接着協会誌Vol.20,No.7,p.300−3
08(1984)に光硬化性モノマー及びオリゴマーと
して紹介されているものも使用することができる。 【0088】これらのラジカル重合性化合物について、
どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用する
か、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終
的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定でき
る。例えば、次のような観点から選択される。感度の点
では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好まし
く、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像
部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以
上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基
を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合
物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物
等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方
を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物
や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、
現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく
無い場合がある。また、記録層中の他の成分(例えばバ
インダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分
散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は
重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2
種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうるこ
とがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性
を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり
得る。画像記録層中のラジカル重合性化合物の配合比に
関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場
合には、好ましく無い相分離が生じたり、画像記録層の
粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の
転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出
が生じる等の問題を生じうる。 【0089】これらの観点から、ラジカル重合性化合物
の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対し
て5〜80質量%、好ましくは20〜75質量%であ
る。また、これらは単独で用いても2種以上併用しても
よい。そのほか、ラジカル重合性化合物の使用法は、酸
素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率
変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加
量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗
りといった層構成・塗布方法も実施しうる。 【0090】[(D)バインダーポリマー]このような
画像記録層においては、記録層の膜性向上の観点から更
にバインダーポリマーを使用することが好ましく、バイ
ンダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好まし
い。このような「線状有機ポリマー」としては、どれを
使用しても構わない。好ましくは水現像或いは弱アルカ
リ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水可
溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。
線状有機ポリマーは、記録層を形成するための皮膜形成
剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤
現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、
水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。
このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン
酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44
615号、特公昭54−34327号、特公昭58−1
2577号、特公昭54−25957号、特開昭54−
92723号、特開昭59−53836号、特開昭59
−71048号に記載されているもの、すなわち、メタ
クリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共
重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部
分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に
側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体があ
る。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付
加させたものなどが有用である。 【0091】特にこれらの中で、ベンジル基又はアリル
基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリル
樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れてお
り、好適である。 【0092】また、特公平7−12004号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特開平11−352691号等に記載される酸基を含有
するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に
優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。 【0093】更に、この他に水溶性線状有機ポリマーと
して、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド
等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにア
ルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリ
エーテル等も有用である。 【0094】本発明で使用されるポリマーの重量平均分
子量については好ましくは5,000以上であり、更に
好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量に
ついては好ましくは1,000以上であり、更に好まし
くは2,000〜25万の範囲である。多分散度(重量
平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に
好ましくは1.1〜10の範囲である。 【0095】これらのポリマーは、ランダムポリマー、
ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよ
い。 【0096】本発明で使用されるバインダーポリマーは
単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマー
は、記録層塗布液の全固形分に対し20〜95質量%、
好ましくは30〜90質量%の割合で記録層中に添加さ
れる。添加量が20質量%未満の場合は、画像形成した
際、画像部の強度が不足する。また添加量が95質量%
を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合
可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状
有機ポリマーは、重量比で1/9〜7/3の範囲とする
のが好ましい。 【0097】次に、酸架橋層の構成成分について説明す
る。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前記本発明に係
る(A)赤外線吸収剤と同様のものを用いることができ
る。好ましい含有量は、記録層の全固形分重量に対し、
0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%
がより好ましく、更に0.5〜10質量%が最も好まし
い。前記含有量の範囲において、高感度な記録が達成で
き、更に、得られる平版印刷用の非画像部における汚れ
の発生が抑制される。 【0098】[(E)酸発生剤]本実施の形態におい
て、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、200
〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃以
上に加熱することにより、酸を発生する化合物をいう。
前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光
ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色
剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知
の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化合
物及びそれらの混合物等が挙げられる。 【0099】例えば、オニウム塩、ヘキサアリールビイ
ミダゾール化合物、有機ハロゲン化合物、有機金属/有
機ハロゲン化合物、有機ホウ酸化合物、o−ニトロベン
ジル型保護基含有エステル化合物、イミノスルフォネー
ト化合物、ジスルホン化合物、有機ホウ酸/オニウム塩
錯体等の化合物、或いはこれらの酸を発生する基又は化
合物を、ポリマーの主鎖若しくは側鎖に導入した化合物
等が挙げられる。具体的には、前記(B)ラジカル発生
剤の説明において記載した公知資料と同様の化合物が挙
げられる。 【0100】上述の酸発生剤のうち、下記一般式(1)
〜(5)で表される化合物が好ましい。 【0101】 【化10】 【0102】前記一般式(1)〜(5)中、R1、R2
4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、置換基を
有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。
3は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素
数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキ
シ基を表す。Ar1、Ar2は、同一でも異なっていても
よく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリ
ール基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素
数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の
整数を表す。前記一般式(1)〜(5)中、R1、R2
4及びR5は、炭素数1〜14の炭化水素基が好まし
い。 【0103】前記一般式(1)〜(5)で表される酸発
生剤の好ましい態様は、本発明者らが先に提案した特開
2001−142230号公報の段落番号[0197]
〜[0222]に一般式(I)〜(V)の化合物として
詳細に記載されている。 【0104】また、(E)酸発生剤として、オニウム塩
も好ましく用いることができる。オニウム塩の中でも、
好ましくは、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾ
ニウム塩が挙げられる。このようなオニウム塩は、特開
平10−39509号公報の段落番号[0010]〜
[0035]に一般式(I)〜(III)の化合物とし
て記載されている。 【0105】酸発生剤の添加量としては、記録層の全固
形分重量に対し0.01〜50質量%が好ましく、0.
1〜25質量%がより好ましく、0.5〜20質量%が
最も好ましい。前記添加量が、0.01質量%未満であ
ると、画像が得られないことがあり、50質量%を超え
ると、平版印刷用原版とした時の印刷時において非画像
部に汚れが発生することがある。上述の酸発生剤は単独
で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用しても
よい。 【0106】[(F)架橋剤]次に、架橋剤について説
明する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基
で置換された芳香族化合物 (ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチ
ル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物 (iii)エポキシ化合物 【0107】以下、前記(i)〜(iii)の化合物に
ついて詳述する。前記(i)ヒドロキシメチル基若しく
はアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物として
は、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル
基、若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている
芳香族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レ
ゾール樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類
とを塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含ま
れる。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポ
リ置換された芳香族化合物、又は複素環化合物のうち、
中でも、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチ
ル基又はアルコキシメチル基を有する化合物が好まし
い。また、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族
化合物又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチ
ル基が炭素数18以下の化合物が好ましい。具体的に
は、例えば、特開2000−267265号公報の段落
番号[0077]〜[0083]に記載されいている一
般式(8)〜(11)の化合物が挙げられる。 【0108】前記(ii)N−ヒドロキシメチル基、N
−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチ
ル基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、
「EP−A」と示す。)第0,133,216号、西独
特許第3,634,671号、同第3,711,264
号の各明細書に記載されている、単量体及びオリゴマー
−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホル
ムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号
明細書に記載されているアルコキシ置換化合物等が挙げ
られる。中でも、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒ
ドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくは
N−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムア
ルデヒド誘導体が好ましく、N−アルコキシメチル誘導
体が最も好ましい。 【0109】前記(iii)エポキシ化合物としては、
1以上のエポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オ
リゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物が挙げられ、例
えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応
生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂と
エピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。そ
の他、米国特許第4,026,705号、英国特許第
1,539,192号の各明細書に記載されているエポ
キシ樹脂を挙げることができる。 【0110】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の
化合物を用いる場合の添加量としては、記録層の全固形
分重量に対し5〜80質量%が好ましく、10〜75質
量%がより好ましく、20〜70質量%が最も好まし
い。前記添加量が、5質量%未満であると、得られる画
像記録材料の記録層の耐久性が低下することがあり、8
0質量%を超えると、保存時の安定性が低下することが
ある。 【0111】本発明においては、架橋剤として、特開2
000−267265号公報の段落番号[0088]〜
[0097]に記載されている一般式(12)で表され
るフェノール誘導体も好適に使用することができる。 【0112】[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]
本発明に適用可能な架橋層に使用可能なアルカリ水可溶
性高分子化合物としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒド
ロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。前
記ノボラック樹脂としては、フェノール類とアルデヒド
類を酸性条件下で縮合させた樹脂が挙げられる。 【0113】中でも、例えば、フェノールとホルムアル
デヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールと
ホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−ク
レゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹
脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノ
ボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒド
から得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾー
ルとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フ
ェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p
−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の
混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂
や、フェノールとパラホルムアルデヒドとを原料とし、
触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応させて得られる
オルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好まし
い。前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜
300,000で、数平均分子量が400〜60,00
0のものの中から、目的に応じて好適なものを選択して
用いればよい。 【0114】また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を
有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシ
アリール基としては、OH基が1以上結合したアリール
基が挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナント
レニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性
の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。側
鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーの具体例と
しては、特開2000−142230号公報の段落番号
[0130]〜[0163]に詳細に記載されいている
ものが挙げられる。これたのアルカリ水可溶性高分子化
合物は、1種類のみで使用してもよいし、2種類以上を
組合わせて使用してもよい。 【0115】アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量と
しては、記録層の全固形分に対し5〜95質量%が好ま
しく、10〜95質量%がより好ましく、20〜90質
量%が最も好ましい。アルカリ水可溶性樹脂の添加量
が、この範囲にあると、記録層の耐久性、及び画像形成
性が良好に保たれる。 【0116】また、本発明における方法が適用できる公
知の記録材料としては、特開平8−276558号公報
に記載のフェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材
料、特開平7−306528号公報に記載のジアゾニウ
ム化合物を含有するネガ型記録材料、特開平10−20
3037号公報に記載されている環内に不飽和結合を有
する複素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による
架橋反応を利用したネガ型画像形成材料などが挙げら
れ、これらに記載の記録層を本発明におけるネガ型記録
層としての酸架橋層に適用することができる。 【0117】[その他の成分]このようなネガ型の画像
記録層には、更に必要に応じてこれら以外に種々の化合
物を添加してもよい。例えば、可視光域に大きな吸収を
持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。
また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブ
ラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることがで
きる。これらの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像
部の区別がつきやすいので、添加する方が好ましい。な
お、添加量は、記録層塗布液全固形分に対し、0.01
〜10質量%の割合である。 【0118】また、本発明においては、記録層が重合硬
化層である場合、塗布液の調製中或いは保存中において
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する
化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防
止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤と
しては、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p
−クレゾール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニル
ヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱
重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.
01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じ
て、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベ
ヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、
塗布後の乾燥の過程で記録層の表面に偏在させてもよ
い。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.1
質量%〜約10質量%が好ましい。 【0119】また、本発明における記録層塗布液中に
は、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開
昭62−251740号や特開平3−208514号に
記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59
−121044号、特開平4−13149号に記載され
ているような両性界面活性剤を添加することができる。 【0120】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が
挙げられる。 【0121】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。 【0122】上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性
剤の記録層塗布液中に占める割合は、0.05〜15質
量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%であ
る。 【0123】更に、本発明における記録層塗布液中に
は、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑
剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、ク
エン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチ
ル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられ
る。 【0124】本発明の平版印刷版原版を製造するには、
通常、記録層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かし
て、適当な支持体上に塗布すればよい。溶媒中の上記成
分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜
50質量%である。 【0125】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記
録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版
印刷版原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/
2が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、見かけ
の感度は大になるが、画像記録の機能を果たす記録層の
皮膜特性は低下する。 【0126】2.ポジ型画像記録層 ポジ型の画像記録層としては、相互作用解除系(感熱ポ
ジ)、o−キノンジアジド化合物含有系等が挙げられ
る。以下順に述べる。 2−1.相互作用解除系(感熱ポジ) 相互作用解除系は以下で述べる(H)水不溶性、かつア
ルカリ水可溶性高分子、及び前記(B)ラジカル発生剤
において好ましい化合物として詳述した(B’)オニウ
ム塩化合物、及び、前記本発明に係る(A)赤外線吸収
剤と含む。このような記録層では、(B’)オニウム塩
化合物と(H)水不溶性かつアルカリ可溶性樹脂中のア
ルカリ可溶性基との相互作用により、記録層中にアルカ
リ水溶液に対する耐溶解性が発現するが、露光部(非画
像部)領域では、(A)赤外線吸収剤由来の熱による
(B’)オニウム塩化合物の分解により、その相互作用
が解除され、アルカリ水溶液に対する溶解性が向上して
画像が形成される。 【0127】[(H)水不溶性かつアルカリ可溶性樹
脂]ポジ型の記録層に使用できる(H)水不溶性かつア
ルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ水可溶性樹脂
と称する。)としては、高分子中の主鎖及び/又は側鎖
に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又は
これらの混合物を包含する。中でも、下記(1)〜
(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中
に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の
点、溶解抑制能発現の点で好ましい。 【0128】(1)フェノール基 (2)スルホンアミド基 (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。) 〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CON
HSO2R〕 (4)カルボン酸基 (5)スルホン酸基 (6)リン酸基 【0129】上記(3)中、Rは、置換基を有してもよ
い炭素数1〜20の脂肪族基(例えば、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基、リノレイル基、ベン
ジル基、フェネチル基、シクロヘキシル基、シクロデカ
ン基等)、置換基を有してもよい炭素数6〜14の芳香
族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル
基等)、置換基を有してもよい、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環
式若しくは多環式の環構造を有する複素環基(例えば、
チエニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピラジル基、イ
ミダゾール基、カルバゾール基、チアゾール基、ベンゾ
オキサゾール基、インドイル基等)を表す。これらは更
に置換基を有してもよく、その置換基としては、特に限
定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、ア
ルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、
シアノ基、水酸基、アミド基、エステル基、カルボキシ
基、アシル基等が挙げられる。 【0130】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性樹脂の中でも、(1)フェノー
ル基、(2)スルホンアミド基及び(3)活性イミド基
を有するアルカリ水可溶性樹脂が好ましく、アルカリ性
現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十
分に確保する点から最も好ましい。 【0131】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性樹脂としては、例えば、以下の
ものを挙げることができる。 (1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性樹脂とし
ては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、又はm−
/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの
縮重合体等のノボラック樹脂、及びピロガロールとアセ
トンとの縮重合体を挙げることができる。更に、フェノ
ール基を側鎖に有する化合物(例えば、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、メタクリル酸エステル、アクリ
ル酸エステル、クロトン酸エステル等の誘導体)を共重
合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェ
ノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体
を用いることもできる。 【0132】アルカリ水可溶性樹脂の重量平均分子量
は、5.0×102〜2.0×104で、数平均分子量が
2.0×102〜1.0×104のものが、画像形成性の
点で好ましい。また、これらの樹脂を単独で用いるのみ
ならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組
み合わせる場合には、t−ブチルフェノールとホルムア
ルデヒドとの縮重合体、炭素数3〜8のアルキル基を置
換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体(米国特許第4123279号明細書等に記
載)、芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造
を有するアルカリ水可溶性高分子(特開2000−24
1972号公報等に記載)などを併用してもよい。 【0133】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
水可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有
する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とし
て構成される重合体を挙げることができる。上記のよう
な化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原
子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基
と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられ
る。中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキ
シ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置
換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合
物が好ましい。このような化合物としては、例えば、特
開平8−123029号公報において一般式(I)〜
(V)で示される化合物が挙げられる。 【0134】本発明におけるポジ型平版印刷用材料で
は、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレー
ト、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリル
アミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリ
ルアミド等を好適に使用することができる。 【0135】(3)活性イミド基を有するアルカリ水可
溶性樹脂としては、例えば、特開平11−84657号
公報に記載されている活性イミド基を有する化合物に由
来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重
合体を挙げることができる。上記のような化合物として
は、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な
不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を
挙げることができる。 【0136】 【化11】 【0137】具体的には、N−(p−トルエンスルホニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。 【0138】(4)カルボン酸基、(5)スルホン酸
基、又は(6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性樹脂
としては、例えば、1分子中に、これらの酸性基と、重
合可能な不飽和基と、をそれぞれ1以上有する化合物に
由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙
げることができる。 【0139】ポジ型記録層に用いるアルカリ水可溶性樹
脂を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基
を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要は
なく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、
又は異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重
合させたものを用いることもできる。 【0140】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。また、化合物を共重合してア
ルカリ水可溶性樹脂を共重合体として用いる場合、共重
合させる化合物として、前記(1)〜(6)の酸性基を
含まない他の化合物を用いることもできる。アルカリ水
可溶性樹脂としては、特に、赤外線レーザー等による露
光での画像形成性に優れる点で、米国特許第4,12
3,279号明細書等に記載されいているフェノール性
ヒドロキシ基を有するノボラック樹脂類、ピロガロール
アセトン樹脂が好ましい。 【0141】アルカリ可溶性樹脂は、その重量平均分子
量が500以上であることが画像形成性の点で好まし
く、1,000〜700,000であることがより好ま
しい。また、その数平均分子量が500以上であること
が好ましく、750〜650,000であることがより
好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は
1.1〜10であることが好ましい。 【0142】ポジ型画像記録層におけるアルカリ可溶性
樹脂は、それぞれを単独で、又は2種以上含有してもよ
く、その合計の含有量が、記録層全固形分中、30〜9
8質量%が好ましく、40〜95質量%がより好まし
い。含有量が上記範囲にあると、耐久性、感度、画像形
成性ともに優れた画像記録層が得られる。 【0143】[(A)赤外線吸収剤]このようなポジ型
画像記録層においては、効率的な相互作用の解除を達成
するため、(A)赤外線吸収剤を用いることが重要とな
る。相互作用解除系ポジ型画像記録層における赤外線吸
収剤は、その合計の含有量が、記録層全固形分中、0.
01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がよ
り好ましい。含有量が上記範囲にあると、感度、画像形
成性ともに優れた画像記録層となる。 【0144】2−2.o−キノンジアジド化合物含有系 o−キノンジアジド化合物含有系としては、特開平5−
246171号公報や特開平6−230582号公報に
記載されている、o−キノンジアジド化合物を感光性成
分として含有するポジ型記録層が挙げられる。 【0145】〔その他の成分〕このようなポジ型画像記
録層の他の成分としては、赤外線などの活性放射線で記
録可能な公知の種々の画像記録材料の成分を適宜選択し
て用いることができる。本発明の平版印刷版原版の記録
層には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することが
できる。例えば、他のオニウム塩、芳香族スルホン化合
物、芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化
合物等を添加すると、アルカリ水可溶性高分子の現像液
への溶解阻止機能を向上させることができるので好まし
い。 【0146】また、更に感度を向上させる目的で、環状
酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することも
できる。環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の記
録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好まし
く、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましく
は0.1〜10質量%である。また、これら以外にも、
エポキシ化合物、ビニルエーテル類、更には、特開平8
−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有
するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフ
ェノール化合物、及び、本発明者らが先に提案した特開
平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制
作用を有する架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加
することができる。 【0147】本発明における記録層塗布液中には、現像
条件に対する処理の安定性を広げるため、ネガ型画像記
録層におけるのと同様の各種界面活性剤、シロキサン系
化合物、フッ素含有のモノマー共重合体などを添加する
ことができる。また、露光による加熱後直ちに可視像を
得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔
料など加えることができるのも前記ネガ型記録層と同様
である。 【0148】ポジ型記録層の形成はネガ型記録層と同様
に、記録層塗布液を所望の溶媒に溶かして、適当な支持
体上に塗布することにより製造することができる。溶媒
中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ま
しくは1〜50質量%である。また、塗布、乾燥後に得
られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般的に0.5
〜5.0g/m2が好ましい。塗布量が少なくなるにつ
れて、見かけの感度は大になるが、記録層の皮膜特性は
低下する。 【0149】[ネガ型或いはポジ型の記録層を有する平
版印刷版原版の製造]本発明の平版印刷版原版を製造す
るには、通常、前記したネガ型或いはポジ型各々の記録
層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、適当な
支持体上に塗布すればよい。ここで使用する溶媒は、具
体的には、例えば、アルコール類(メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、テトラヒドロフルフリルアル
コール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1
−メトキシ−2−プロパノール等)、炭化水素類(トル
エン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(エ
チレンクロライド等)、ケトン類(アセトン、アセチル
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、
乳酸メチル、乳酸エチル、2−メトキシエチルアセテー
ト、1−メトキシ−2−プロピルアセテート等)、エー
テル類(エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコー
ルジエチルエーテル等)、アミド類(ジメチルアセトア
ミド、ジメチルホルムアルデヒド、N−メチルピロリド
ン等)、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルオキシド、
水、及びこれらの溶液の混合物から適切に選択して使用
することができる。 【0150】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記
録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、ネガ
型、或いはポジ型の平版印刷版原版の画像記録層につい
ては、前記した通りである。塗布する方法としては、公
知の種々の塗布方法を適用することができるが、例え
ば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。 【0151】[支持体]本発明の平版印刷版原版におい
て前記ネガ型、或いはポジ型の画像記録層を塗布可能な
支持体としては、寸度的に安定な板状物が挙げられ、例
えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、
金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラス
チックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セ
ルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、
酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロ
ピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール
等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された
紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい
支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウ
ム板が挙げられる。 【0152】本発明の平版印刷版原版に使用する支持体
としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れた
アルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に
供されるアルミニウム材質としては、JIS 1050
材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−M
g系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合
金、Al−Zr系合金。Al−Mg−Si系合金などが
挙げられる。 【0153】アルミニウム板は表面に粗面化処理等の表
面処理を行い、記録層を塗布して平版印刷版原版とする
ことができる。粗面化処理には、機械的粗面化、化学的
粗面化、電気化学的粗面化が単独又は組み合わせて行わ
れる。また、表面のキズ付き難さを確保するための陽極
酸化処理を行ったり、親水性を増すための処理を行うこ
とも好ましい。 【0154】以下に支持体の表面処理について説明す
る。アルミニウム板を粗面化するに先立ち、必要に応
じ、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、
有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行
われてもよい。アルカリの場合、次いで酸性溶液で中
和、スマット除去などの処理を行ってもよい。 【0155】次いで支持体と記録層の密着性を良好に
し、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面
を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理がなされてい
る。この砂目立て処理法の具体的手段としては、サンド
ブラスト等の機械的砂目立て方法があり、またアルカリ
又は酸或いはそれらの混合物からなるエッチング剤で表
面を粗面化処理する化学的砂目立て方法がある。また、
電気化学的砂目立て方法、支持体材料に、粒状体を接着
剤又はその効果を有する方法で接着させて表面を粗面化
する方法や、微細な凹凸を有する連続帯やロールを支持
体材料に圧着させて凹凸を転写する粗面化方法等公知の
方法を適用できる。 【0156】これらのような粗面化方法は複数を組み合
わせて行ってもよく、その順序、繰り返し数などは任意
に選択することができる。前述のような粗面化処理すな
わち砂目立て処理して得られた支持体の表面には、スマ
ットが生成しているので、このスマットを除去するため
に適宜水洗或いはアルカリエッチング等の処理を行うこ
とが一般的に好ましい。 【0157】本発明に用いられるアルミニウム支持体の
場合には、前述のような前処理を施した後、通常、耐摩
耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化
によって支持体に酸化皮膜を形成させる。 【0158】アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば
いかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、
リン酸、蓚酸、クロム酸或いはこれらの混酸が用いられ
る。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜
決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解
質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、電流密
度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間1
0秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化皮膜の
量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましく
は2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜
が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分であった
り、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷
時に傷の部分にインクが付着するいわゆる「傷汚れ」が
生じ易くなる。 【0159】このようなアルミニウム支持体は、陽極酸
化処理後に、有機酸又はその塩による処理、又は記録層
塗布の下塗りを適用して用いることができる。 【0160】なお、支持体と記録層との密着性を高める
ための中間層を設けてもよい。密着性の向上のために
は、一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウ
ムに吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の
厚さは任意であり、露光した時に、上層の記録層と均一
な結合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通
常、乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよ
く、5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中に
おけるジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好ま
しくは60〜100%である。 【0161】支持体表面に以上のような処理或いは、下
塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じ
てバックコートが設けられる。かかるバックコートとし
ては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合
物及び特開平6−35174号記載の有機又は無機金属
化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物
からなる被覆層が好ましく用いられる。 【0162】平版印刷版原版の支持体として好ましい特
性としては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmで
ある。この範囲において、記録層との密着性及び印刷時
の汚れ性が良好となるためである。更には、支持体の表
面形状を微細に制御する、例えば、支持体表面に、大中
小の3重凹凸構造を有し、大凹凸構造の波長が3〜10
μmであり、中凹凸構造が前記ピットであり、小凹凸構
造が前記ピットの前記微細凹凸構造を有するものが好ま
しい。また、支持体表面が、平均開口径0.5〜5μm
の中波構造と平均開口径0.01〜0.2μmの小波構
造とを重畳した構造の砂目形状を有するものが好まし
い。これらの支持体を用いることにより、記録層との密
着性が向上し、記録層の強度保持と、印刷時の耐汚れ性
が優れたものとなる。また、支持体の色濃度が、反射濃
度値として0.15〜0.65の範囲であることが好ま
しい。この範囲において、画像露光時のハレーションに
よる画像形成への障害がなく、かつ、現像後の検版作業
を問題なく行うことができるためである。 【0163】以上のようにして、本発明におけるネガ
型、或いは、ポジ型の記録層を有する平版印刷版原版を
作成することができる。この平版印刷版原版は、赤外線
レーザで記録できる。また、紫外線ランプやサーマルヘ
ッドによる熱的な記録も可能である。本発明において
は、波長760nmから1200nmの赤外線を放射す
る固体レーザ及び半導体レーザにより画像露光されるこ
とが好ましい。レーザの出力は100mW以上が好まし
く、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバ
イスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露
光時間は20μ秒以内であることが好ましい。記録材料
に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2
あることが好ましい。 【0164】3.無処理型画像記録層 前記のネガ型、或いはポジ型画像記録層は、製版工程に
おいて、通常、アルカリ現像液などによる現像処理を必
要とする。一方、画像記録層として、画像露光された
後、特段の湿式現像処理なしに印刷機に装着して、湿し
水とインクとを供給して印刷を実施しうるものがあり、
これを無処理型画像記録層と称する。とりわけ画像露光
された後、湿式現像処理なしに印刷機に装着して湿し水
若しくはインクにより現像することを、機上現像とも称
する。このような無処理型画像記録層を有する平版印刷
版原版は、それを印刷機に取り付けた後に、印刷機上で
レーザー露光し、そのまま印刷することもできる。いず
れの場合においても、インクと湿し水を用いて印刷を開
始すると、印刷の初期の段階で、表面親水性領域、表面
疎水性領域にそれぞれ湿し水とインクとが受容された
り、或いは、不要な感熱記録層や感光層が速やかに除去
され、露出した親水性支持体表面に湿し水が、残存した
記録層部分であるインク受容領域にインクが着肉して、
それぞれ印刷が開始されることになる。 【0165】本発明の平版印刷版原版に適用し得る無処
理型画像記録層としては、加熱又は輻射線の照射によ
り、(3−1)画像記録層の疎水性/親水性の極性が変
化し、例えば、照射部分が特定の酸性基(ホスホ基、ス
ルホ基、カルボキシ基)を発生して親水性となるポリマ
ーを用いる極性変換型画像記録層、(3−2)照射部分
が疎水性領域を形成しうる化合物(以下、適宜、疎水化
前駆体と称する)を含有する親水性ポリマーマトリック
スからなる感熱記録層、或いは、(3−3)インク受容
層、親水層が順次積層され、赤外線レーザ露光領域にお
いて親水層が剥離されてインク受容層が露出することで
画像形成される画像記録層(後述する界面剥離方式記録
層)などが挙げられる。 【0166】3−1.極性変換型画像記録層 無処理型画像記録のうち、記録層表面の極性が親水性か
ら疎水性、或いは、疎水性から親水性に変換する画像記
録層として、例えば、加熱又は輻射線の照射により、照
射部分が特定の酸性基(ホスホ基、スルホ基、カルボキ
シ基)を発生して親水化或いは可溶化するポリマーを有
する画像記録層が挙げられる。 【0167】特定の酸性基を発生して親水化或いは可溶
化するポリマーとしては、スルホン酸発生系のものが好
ましく、例えば、特開平10−282672号公報に記
載されているスルホン酸エステル、ジスルホン酸基、又
はsec−若しくはtert−スルホンアミド基を側鎖
に有するポリマー等を挙げることができる。 【0168】3−2.疎水化前駆体含有画像記録層 別の無処理型画像記録層としては、照射部分が疎水化前
駆体を含有する親水性ポリマーマトリックスからなる感
熱記録層が挙げられる。熱エネルギーにより照射部分が
疎水化する感熱記録層に含有される疎水化前駆体として
は、(a)疎水性の微粒子ポリマー、又は(b)熱反応
性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルが
挙げられる。これらは、加熱により、互いに融着した
り、或いは、内包物が熱により化学反応を起こしたりし
て、画像部領域、即ち、疎水性領域(親インク領域)を
形成する化合物を含有し、これらは好ましくは、親水性
のバインダー中に分散されているので、画像形成(露
光)後は、印刷機シリンダー上に平版印刷版原版を取付
け、湿し水及び/又はインクを供給することで、特段の
現像処理を行なうことなく、機上現像できることが可能
となる。 【0169】(a)疎水性の微粒子ポリマーとしては、
熱可塑性微粒子ポリマー、熱硬化性微粒子ポリマー、熱
反応性微粒子ポリマーが挙げられる。(a)疎水性の微
粒子ポリマーは、平均粒子径が0.01〜20μmであ
ることがが好ましく、0.05〜5.0μmであること
がより好ましい。この範囲において、高精細な画像形成
が可能となり、また、粒子の経時安定性が良好である。 【0170】熱可塑性微粒子ポリマーとしては、Res
each DisclosureNo.33303(1
991年1月)、特開平9−123387、同9−13
1850号、同9−171249号、同9−17125
0号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明
細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーを好適
なものとしてあげることができる。熱硬化性微粒子ポリ
マーとしては、フェノール骨格を有する樹脂、尿素系樹
脂(例えば、尿素又はメトキシメチル化尿素などの尿素
誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド類により樹
脂化したもの)、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、特に好ましいものとして、フェノール
骨格を有する樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びエポキ
シ樹脂が挙げられる。 【0171】これらの微粒子ポリマーの中でも、特に好
ましいものは、熱反応性官能基を有する熱反応性微粒子
ポリマーである。熱反応性微粒子ポリマーに用いられる
熱反応性官能基としては、重合反応を行うエチレン性不
飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、
ビニル基、アリル基、ビニルオキシ基等);付加反応を
行うイソシアネート基又はそのブロック体、その反応相
手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ
碁、ヒドロキシ基、カルボキシ基等);付加反応を行う
エポキシ基、その反応相手であるアミノ基、カルボキシ
基又はヒドロキシ基;縮合反応を行うカルボキシ基とヒ
ドロキシ基又はアミノ基;開環付加反応を行う酸無水物
とアミノ基又はヒドロキシ基等を挙げることができる。
しかし、加熱により化学結合が形成される機能を有する
ものであれば、どのような反応を行う官能基でもよい。 【0172】このような熱反応性官能基を有する微粒子
ポリマーとしては、アクリロイル基、メタクリルロイル
基、ビニル基、アリル基、ビニルオキシ基、エポキシ
基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イソシア
ネート基、酸無水物基、及びそれらを保護した基を有す
るものを挙げることができる。これらの基のポリマー粒
子への導入は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分
子反応を利用して行ってもよい。重合時に導入する場合
は、これらの基を有するモノマーを乳化重合し、又は懸
濁重合するのが好ましい。また、熱反応性官能基の導入
を重合後に行う場合に用いる高分子反応としては、例え
ば、国際公開第96/34316号パンフレットに記載
されている高分子反応を挙げることができる。 【0173】これらの基を有するモノマーの具体例とし
て、例えば特開2001−293971号公報の段落番
号[0018]〜[0035]に記載の化合物が挙げら
れるが、本発明は、これらに限定されない。これらのモ
ノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有しないモノ
マーとしては、例えば、スチレン、アルキルアクリレー
ト、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸
ビニル等を挙げることができるが、熱反応性官能基を有
しないモノマーであれば、これらに限定されない。熱反
応性官能基を有する微粒子ポリマーの凝固温度は、70
℃以上であるのが好ましいが、経時安定性を考えるとl
00℃以上であるのがより好ましい。 【0174】(a)疎水性の微粒子ポリマーの含有量
は、感熱記録層の全固形分に対して、50質量%以上で
あることが好ましく、60質量%以上であることがより
好ましい。 【0175】重合反応を行うエチレン性不飽和基(重合
性不飽和基)を有する化合物の具体例としては、不飽和
カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタ
コン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸
等)、そのエステル及びアミドが挙げられ、好ましく
は、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエス
テル及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミ
ドが挙げられる。また、ヒドロキシ基、アミノ基、メル
カプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エ
ステル又は不飽和力ルボン酸アミドと、単官能若しくは
多官能イソシアネート又はエポキシドとの付加反応物、
及び、単官能又は多官能のカルボン酸との脱水縮合反応
物等も好適に挙げられる。また、イソシアネート基、エ
ポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸
エステル又はアミドと、単官能又は多官能のアルコー
ル、アミン及びチオールとの付加反応物、更に、ハロゲ
ン基、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和
カルボン酸エステル又はアミドと、単官能又は多官能ア
ルコール、アミン及びチオールとの置換反応物も好適に
挙げられる。また、別の好適な例として、上記の不飽和
カルボン酸を、不飽和ホスホン駿又はクロロメチルスチ
レンに置き換えた化合物が挙げられる。 【0176】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである、重合性不飽和基を有する化合物の
モノマーの具体例としては、フォトポリマータイプの記
録層に用いられるエチレン性不飽和結合含有化合物とし
て知られている、各アクリル酸エステル、各メタクリル
酸エステル、各イタコン酸エステル、各クロトン酸エス
テル、各イソクロトン酸エステル及び各マレイン酸エス
テルが挙げられる。これらの具体的な化合物例として、
例えば特開2001−293971号公報の段落番号
[0021]〜[0030]に記載のものが挙げられ
る。 【0177】その他の重合性不飽和基を有する化合物の
例としては、上述したネガ型記録層の1つである重合硬
化層の(C)ラジカル重合性化合物に例示したのと同様
のものが挙げられる。 【0178】(a)疎水性の微粒子ポリマーは、その表
面が親水性で水に分散する自己水分散型微粒子であるこ
とが特に好ましい。自己水分散性を保持することから、
記録層塗布液中で、容易にかつ均一に分散され、塗布乾
燥後の乾膜層中でも、親水性ポリマーマトックスからな
る記録層中で粒子同志が凝集することなく均一に分散さ
れて存在する。これのより、本発明の効果は一層向上す
る。 【0179】好適な自己水分散性型微粒子として、
(1)分子内に親油性樹脂の構造部分と親水性基を有す
る構造部分とを有する樹脂を、特開平3−221137
号や特開平5−66600号の各公報に記載されている
ような転相乳化法によって、乳化剤や保護コロイドなし
に水に分散した樹脂微粒子、(2)コア/シェル構造を
有し、コア部は親油性樹脂、シェル部は親水性の成分か
らなる樹脂で構成される微粒子、(3)疎水性物質を内
包し、その表面を親水性の壁材料で保護したマイクロカ
プセル微粒子が挙げられる。 【0180】微粒子の表面を親水性にする方法は、例え
ば、特開2001−315452号公報の段落番号[0
052]〜[0056]に記載されているのと同一の内
容のものが挙げられる。しかし、その方法は、これらに
限定されるものではない。 【0181】(b)熱反応性官能基を有する化合物を内
包するマイクロカプセルは、上記の熱反応生官能基を有
する化合物を内包する。この熱反応性官能基を有する化
合物としては、重合性不飽和基、ヒドロキシ基、カルボ
キシ基、カルポキシラート基、酸無水物、アミノ基、エ
ポキシ基及びイソシアネート基ならびにそのブロック体
から選ばれた少なくとも一個の官能基を有する化合物を
挙げることができる。 【0182】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタ
クリロイル基、ビニル基、アリル基等を少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この
ような化合物群は当該産業分野において広く知られるも
のであり、本発明においては、これらを特に限定なく用
いることができる。これらの化学的形態としては、モノ
マー、プレポリマー、即ち、2量体、3量体及びオリゴ
マー若しくはそれらの混合物又はそれらの共重合体が挙
げられる。具体的な化合物としては、例えば特開200
1−277742号公報の段落番号[0016]〜[0
032]に記載のものが挙げられる。 【0183】エチレン性不飽和結合を有する化合物の共
重合体としては、アリルメタクリレートの共重合体が好
適に挙げられる。具体的には、アリルメタクリレート/
メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチル
メタクリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチ
ルメタクリレート共重合体等を挙げることができる。 【0184】(b)熱反応性官能基を有する化合物を内
包するマイクロカプセルの製造方法としては、カプセル
膜を作る異面重合法、in−situ法、コンプレック
スコアセルベート法、有機溶媒系からの相分離法等の公
知の方法が適用できる。具体的には、例えば、特開20
01−293971号公報の段落番号[0036]に記
載の方法等を用いることができる。 【0185】(b)熱反応性官能基を有する化合物を内
包するマイクロカプセルに用いられるマイクロカプセル
壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を
有するものであるのが好ましい。この観点から、マイク
ロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、又はこれら
の混合物が好ましく、中でも、ポリウレア及び/又はポ
リウレタンがより好ましい。また、このマイクロカプセ
ル壁には、上記の熱反応性官能基を有する化合物を導入
してもよい。 【0186】(b)熱反応性官能基を有する化合物を内
包するマイクロカプセルは、マイクロカプセル同士が熱
により合体するものであってもよいし、合体しないもの
であってもよい。要は、マイクロカプセル内包物のう
ち、塗布時にカプセル表面又はマイクロカプセル外に滲
み出したもの、又は、マイクロカプセル壁に浸入したも
のが、熱により化学反応を起こせばよい。また、添加さ
れた親水性樹脂、又は、添加された低分子化合物と反応
してもよい。また、2種以上のマイクロカプセルに、そ
れぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基を
もたせることによって、マイクロカプセル同士を反応さ
せてもよい。従って、熱によってマイクロカプセル同士
が、熱で溶融合体することは画像形成上好ましいことで
あるが、必須ではない。 【0187】感熱記録層における(b)熱反応性官能基
を有する化合物を内包するマイクロカプセルの含有量
は、記録層の全固形分に対して、10〜60質量%であ
るのが好ましく、15〜40質量%であるのがより好ま
しい。上記範囲内であると、良好な機上現像性と同時
に、良好な感度及び耐刷性が得られる。 【0188】(b)熱反応性官能基を有する化合物を内
包するマイクロカプセルを感熱記録層に含有させる場
合、内包物を溶解させることができ、かつ、壁材を膨潤
させることができる溶剤をマイクロカプセル分散媒中に
添加することができる。このような溶剤によって、内包
された熱反応性官能基を有する化合物のマイクロカプセ
ル外への拡散が促進される。このような溶剤の選択は、
マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、
壁厚及び内包物に依存するが、多くの市販されている溶
剤から容易に選択することができる。例えば、架橋ポリ
ウレアやポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプ
セルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール
類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド
類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。 【0189】具体的には、前記したネガ型或いはポジ
型、各々の記録層塗布液に用いたものと同様の溶媒が挙
げられるが、本発明は、これらに限られない。また、こ
れらの溶剤を2種類以上用いてもよい。 【0190】また、マイクロカプセル分散液には溶解し
ないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いるこ
とができる。その添加量は、素材の組み合わせにより決
まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成
が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化す
る。通常、塗布液の5〜95質量%であるのが有効であ
り、10〜90質量%であるのが好ましく、15〜85
質量%であるのがより好ましい。 【0191】疎水化前駆体含有画像記録層が、熱反応性
官能基を有する微粒子ポリマー及び/又は(b)熱反応
性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを
含有する場合には、必要に応じて、これらの反応を開始
又は促進させる化合物を添加してもよい。反応を開始又
は促進させる化合物としては、熱によりラジカル又はカ
チオンを発生するような化合物を挙げることができる。
例えば、ロフィンダイマー、トリハロメチル化合物、過
酸化物、アゾ化合物、オニウム塩(ジアゾニウム塩、ジ
フェニルヨードニウム塩等)、アシルホスフィン、イミ
ドスルホナート等が挙げられる。具体的には、(B)ラ
ジカル発生剤として例示したもの、或いは、(E)酸発
生剤として例示したものと同様の化合物が挙げられる。 【0192】これらの化合物の添加量は、記録層の全固
形分に対して、1〜20質量%であるのが好ましく、3
〜10質量%であるのがより好ましい。上記範囲内であ
ると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効果又は
反応促進効果が得られる。 【0193】(親水性樹脂)本発明における疎水化前駆
体含有画像記録層には、親水性樹脂を添加してもよい。
親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好とな
るばかりか、記録層自体の皮膜強度も向上する。親水性
樹脂としては、例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、
ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミ
ノエチル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親
水基を有するものが好ましい。 【0194】親水性樹脂の具体例として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテ
ート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸
コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポ
リアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及
びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモ
ポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレー
トのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピル
メタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロ
キシプロピルアクリレー卜のホモポリマー及びコポリマ
ー、ヒドロキシプチルメタクリレートのホモポリマー及
びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポ
リマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒ
ドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール
類、並びに加水分解度が少なくとも60質量%、好まし
くは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテ
ート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、
ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー
及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及び
ポリマー、N―メチロールアクリルアミドのホモポリマ
ー及びコポリマー等を挙げることができる。 【0195】親水性樹脂の記録層への添加量は、記録層
固形分の1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%が
更に好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と皮膜
強度が得られる。 【0196】更に、他の好ましい態様の記録層として、
上記のような(a)疎水性の微粒子ポリマーなどの疎水
化化合物及び光熱変換化合物を、水不溶性の高次架橋構
造の親水性ポリマーマトリックス中に含有させて、熱エ
ネルギー照射により、照射領域を疎水化した後、現像処
理をすることなしに、直ちに印刷版として用いることが
可能な架橋系疎水化前駆体含有画像記録層が挙げられ
る。 【0197】このタイプの記録層においては、上記の親
水性樹脂及び膜中で架橋硬化させうる化合物を組合わせ
て用いることが好ましい。親水性樹脂の含有量は、記録
層の全固形分に対して、5〜70質量%であるのが好ま
しく、10〜55質量%であるのがより好ましい。上記
範囲内であると、良好な皮膜強度と保水性が得られる。
架橋剤としては、通常架橋剤として用いられる化合物を
挙げることができる。具体的には、山下晋三、金子東助
編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)、高
分子学会編「高分子データハンドブック、基礎編」培風
館(1986年)等に記載されている化合物を用いるこ
とができる。より具体的な化合物例としては、例えば、
特開2002−36745号公報の段落番号[005
3]に記載の化合物等が挙げられる。その他に、塩化ア
ンモニウム、シランカップリング剤、チタネートカップ
リング剤等の架橋触媒をも併用することができる。 【0198】このような架橋系疎水化前駆体含有画像記
録層においては、親水性樹脂の中でも、ゾルゲル変換系
結着樹脂を用いるのが好ましい。以下、詳細に説明す
る。好適に用いられるゾルゲル変換系結着樹脂として
は、多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網
目状構造を形成し、かつ、多価元素が未結合のヒドロキ
シ基、アルコキシ基等も有していて、これらが混在した
樹脂状構造となっている高分子体であって、ヒドロキシ
基、アルコキシ基等が多い段階ではゾル状態であり、エ
ーテル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂構造が
強固となるような高分子体が挙げられる。 【0199】ゾルゲル変換系結着樹脂は、樹脂組織の親
水性度が変化する性質に加えて、ヒドロキシ基等の一部
が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面
を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持ってい
る。ゾルゲル変換を行うヒドロキシ基、アルコキシ基等
を有する多価元素は、アルミニウム、ケイ素、チタン、
ジルコニウム等が挙げられる。中でも、ケイ素を用いる
シロキサン結合によるゾルゲル変換系が好ましい。以
下、シロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明
するが、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等を用い
るゾルゲル変換系は、下記の説明のケイ素をそれぞれの
元素に置き換えて実施することができる。シロキサン結
合によるゾルゲル変換系は、ゾルゲル変換が可能な、少
なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物を含
む系である。 【0200】ゾルゲル変換によって形成される無機親水
性結着樹脂は、好ましくはシロキサン結合及びシラノー
ル基を有する樹脂である。架橋系疎水化前駆体含有画像
記録層は、少なくとも1個のシラノール基を有するシラ
ン化合物を含むゾルの系である塗布液を支持体に塗布
し、塗布後、シラノール基の加水分解縮合が進んでシロ
キサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進行することに
よって形成される。また、このゾルゲル変換系によって
形成される記録層は、膜強度、柔軟性等の物理的性能の
向上や、塗布性の改良等を目的として、後述する有機親
水性ポリマー、架橋剤等を含有することもできる。 【0201】ゲル構造を形成するシロキサン樹脂及び少
なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物の具
体的な例としては、特開2002−6504号公報の段
落番号[0054]〜[0057]に記載されている化
合物が挙げられる。 【0202】無機親水性結着樹脂の形成には、上記シラ
ン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等の
ゾルーゲル変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化
合物を併用することができる。このような金属化合物と
しては、例えば、Ti(OR’)4、TiCl4、Zn
(OR’)2、Zn(CH3COCHCOCH32、Sn
(OR’)4、Sn(CH3COCHCOCH34、Sn
(OCOR’)4、SnCl4、Zr(OR’) 4、Zr
(CH3COCHCOCH34、Al(OR’)3、Al
(CH3COCHCOCH33等が挙げられる。 【0203】更に、上記シラン化合物、及び、それと併
用することができる上記金属化合物の加水分解反応及び
重縮合反応を促進するために、従来公知の無機酸、炭
酸、カルボン酸等の酸性触媒又はアンモニア、有機アミ
ン類等の塩基性触媒を併用することが好ましい。触媒
は、酸若しくは塩基性化合物をそのままで、又は、水、
アルコール等の溶媒に溶解させた状態として用いること
ができる(以下、酸を用いるものを「酸性触媒」、塩基
性化合物を用いるものを「塩基性触媒」という。)。溶
媒に溶解させる場合の濃度は、特に限定されないが、濃
度が濃い方が加水分解反応及び重縮合反応の速度が速く
なる傾向がある。ただし、濃度の濃い塩基性触媒を用い
ると、ゾル溶液中で沈殿物が生成することがあるため、
塩基性触媒の濃度(水溶液での濃度換算)はlN以下で
あるのが好ましい。 【0204】上述したように、架橋系疎水化前駆体含有
画像記録層としては、ゾル−ゲル法によって作成される
記録層(親水性樹脂としてゾルゲル変換系結着樹脂を含
有させた記録層)が好ましい。上記ゾル−ゲル法の詳細
は、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風
社(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法に
よる機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1
992年)等の成書等に詳細に記載されている。 【0205】架橋系疎水化前駆体含有画像記録層には、
必要に応じて、上述した成分以外に、種々の化合物を含
有することができる。例えば、耐刷性を一層向上させる
ために多官能モノマーを記録層のポリマーマトリックス
中に含有させることができる。このような多官能モノマ
ーとしては、マイクロカプセル中に内包されるモノマー
として例示したものを用いることができる。特に好まし
いモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアク
リレートを挙げることができる。更に、架橋系疎水化前
駆体含有画像記録層は、必要に応じて、塗膜の柔軟性等
を付与するために可塑剤を含有することができる。可塑
剤としては、上記の記録層塗布液中に加えられる可塑剤
と同様の化合物が例示される。 【0206】また、架橋系疎水化前駆体含有画像記録層
は、無機或いは有機の微粒子(例えば、シリカ、アルミ
ナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等)を含有す
ることができる。特に、好ましくは、平均粒径1〜50
nmの親水性ゾル状粒子である。これらの微粒子の含有
量は、記録層の全国形分に対して、1.0〜70質量%
であるのが好ましく、5.0〜50質量%であるのがよ
り好ましい。この範囲において、記録層の膜強度を十分
に保持することができ、また、レーザー光等により露光
して製版し、平版印刷版として印刷したときに、非画像
部へのインクの付着汚れを生じない、極めて親水性に優
れたものになるという効果が得られる。 【0207】前記親水性ゾル状粒子としては、例えば、
シリカゾル、アルミナゾル、酸化マグネシウムゾル、炭
酸マグネシウムゾル、アルギン酸カルシウムゾルが好適
に挙げられる。中でも、シリカゾル、アルミナゾル、ア
ルギン酸カルシウムゾル又はこれらの混合物が好まし
い。これらの親水性ゾル状粒子は、いずれも、市販品と
して容易に入手することができる。 【0208】[(A)赤外線吸収剤]このような熱応答
性の画像記録層を、赤外線レーザ光の走査露光等により
画像形成するため、前記本発明に係る(A)赤外線吸収
剤を画像記録層に含有させる。好ましい添加量は、記録
層塗布液全固形分中、1〜30質量%が好ましく、5〜
25質量%がより好ましい。含有量が上記範囲にある
と、感度、画像形成性ともに優れた画像記録層となる。
ここで、架橋系疎水化前駆体含有画像記録層の場合に
は、(A)赤外線吸収剤と上記親水性ゾル状粒子との存
在割合は、質量比で、100/0〜30/70であるこ
とが好ましく、100/0〜40/60であることがよ
り好ましい。更に、(A)赤外線吸収剤、疎水化前駆
体、及び上記親水性ゾル状粒子の合計の含有量は、記録
層の全固形分に対して、2〜95質量%であることが好
ましく、5〜85質量%であることがより好ましい。 【0209】疎水化前駆体含有画像記録層は、必要な上
記各成分を、前記したネガ型或いはポジ型各々の記録層
塗布液に用いたものと同様の溶媒に溶解、若しくは分散
し、塗布液を調製し、前記支持体の親水性表面上に塗布
される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質
量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の記
録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般
的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲より
塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画
像記録の機能を果たす感熱記録層の皮膜特性は低下す
る。 【0210】3−3.インク受容層、親水層が順次積層
され、赤外線レーザ露光領域において親水層が剥離され
てインク受容層が露出することで画像形成される画像記
録層(界面剥離方式記録層) 無処理型画像記録層の一態様である界面剥離方式記録層
は、インク受容層と親水層の少なくとも2つの層からな
り、いずれかの層に本発明の赤外線吸収剤を含有する
か、前記2層の間に赤外線吸収剤を含有する感光性層を
設ける構成をとることができる。このような層構成の画
像記録層においては、赤外線吸収剤を含有する層の赤外
線レーザ露光部において、急激な発熱、溶融、膨張、爆
発、分解等が生じてインク受容層上の親水層が剥離さ
れ、これを本発明においては界面剥離と称する。この界
面剥離により親水層が除去され、インク受容層が露出し
て画像部を形成し、未露光部において残存した親水層が
非画像部となり、画像形成が行なわれる。このような界
面剥離方式を利用した画像形成方法においては、特段の
現像液による現像処理を行なうことなく、画像を形成で
きる利点がある。 【0211】[インク受容層]インク受容層は、親油性
の被膜形成能を有するポリマーを含有する。インク受容
層を基体上に塗布溶剤に溶解させて塗設する場合には、
該ポリマーがインク受容層の塗布溶媒に可溶性であるこ
とが必要だが、後述する上層の親水層の塗布溶媒には不
溶であることが、界面における相溶を防止し、2つの層
の均一性を保持するという観点からは望ましい。しか
し、親油性ポリマーの一部が親水層の塗布溶媒に膨潤す
るものが、上層との接着性に優れ望ましい場合もある。
そのような構成をとる場合には、インク受容層の溶剤に
よる損傷、膜厚の不均一化、インク受容性の低下などを
防止するため、予め架橋剤を添加する等の工夫をして親
油性ポリマー皮膜を硬化させておくことが望ましい。 【0212】本発明のインク受容層を構成する親油性ポ
リマーは、上述したように親水層との相溶性、或いは、
後述する界面剥離の生じやすさと、塗膜の安定性とを両
立させるために、重量平均分子量の異なる2種以上を選
択し、組合せて用いることもできる。即ち、界面剥離を
生じやすく、記録時の高感度を発現できる低分子量ポリ
マーと、プレートクリーナー耐性、或いは、親水層の溶
剤に対する耐性に優れる高分子量ポリマーとをブレンド
することで、バランスのよい界面剥離性及び感度と、耐
溶剤性とを有するポリマーが得られる。好適には、重量
平均分子量500〜3000の低分子量ポリマーと重量
平均分子量3000〜100000の高分子量ポリマー
とをブレンドすることが好適であり、その組成比率は重
量で、低分子量ポリマー/高分子量ポリマーが、5/9
5〜50/50、より好ましくは、10/90〜40/
60の範囲である。なお、インク受容層を構成する親油
性ポリマーとしては100%上記組成になるものが好ま
しいが、そこに上記特性を阻害しない範囲で、他の、よ
り高分子量のポリマーをブレンドしても差し支えないこ
とは勿論である。 【0213】インク受容層に有用な親油性ポリマーとし
ては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリ
イミド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、フェノキ
シ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド
樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ポ
リビニルアセテート、アクリル樹脂及びその共重合体、
ポリビニルフェノール、ポリビニルハロゲン化フェノー
ル、メタクリル樹脂及びその共重合体、アクリルアミド
共重合体、メタクリルアミド共重合体、ポリビニルフォ
ルマール、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリス
チレン、セルロースエステル樹脂、ポリ塩化ビニルやポ
リ塩化ビニリデン等を挙げることができる。これらの中
で、より好ましい化合物として、側鎖にヒドロキシ基、
カルボキシ基、エポキシ基、スルホンアミド基やトリア
ルコキシシリル基を有する樹脂が支持体基板や隣接する
親水層との接着性に優れ、かつ場合によって架橋剤で容
易に硬化するので望ましい。その他、アクロニトリル共
重合体、ポリウレタン、側鎖にスルホンアミド基を有す
る共重合体や側鎖にヒドロキシ基を有する共重合体をジ
アゾ樹脂によって光硬化させたものが好ましい。 【0214】その他、フェノール、クレゾール(m−ク
レゾール、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、
フェノール/クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾ
ール、m/p混合クレゾール)、フェノール変性キシレ
ン、tert−ブチルフェノール、オクチルフェノー
ル、レゾルシノール、ピロガロール、カテコール、クロ
ロフェノール(m−Cl、p−Cl)、ブロモフェノー
ル(m−Br、p−Br)、サリチル酸、フロログルシ
ノールなどのホルムアルデヒドとの縮合のノボラック樹
脂及びレゾール樹脂、さらに上記フェノール類化合物と
アセトンとの縮合樹脂などが有用である。 【0215】その他の好適なポリマーとして、特開20
00−335131公報の段落番号[0083]〜[0
086]に記載のものが挙げられる。これらのモノマー
のうち、1種又は2種以上をその構成単位として含んで
いてもよく、また、これら以外のモノマーを構成単位と
して有していてもよいが、その含有量は40モル%以下
であることが好ましい。 【0216】インク受容層への、本発明に係る赤外線吸
収剤の添加量は、インク受容層の全固形分量の1〜40
質量%が好適で、特に好ましくは、5〜20質量%であ
る。添加量が上記範囲であれば、高感度な記録とインク
受容層の耐久性とをともに達成することができる。 【0217】インク受容層には、親油性ポリマーおよび
赤外線吸収剤の他に、インク受容層の膜質を良化させた
り、外観を良くするために、架橋剤、接着助剤、着色
剤、無機あるいは有機の微粒子、塗布面状改良剤又は可
塑剤を添加することができる。さらに、露光後のプリン
トアウト画像を形成させるための加熱発色系或いは消色
系が添加されてもよい。 【0218】ポリマーを架橋させる架橋剤として、例え
ば、山下 晋三 金子 東助偏「架橋剤ハンドブッ
ク」、大成社刊(1981)等に記載の化合物が挙げら
れる。具体的には、ジアゾ樹脂、芳香族アジド化合物、
エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシ
アネート化合物、テトラアルコキシ珪素の初期加水分解
縮合物、金属キレート化合物、グリオキザール、アルデ
ヒド化合物やメチロール化合物を挙げることができる。
接着助剤としては、上記のジアゾ樹脂が基板及び親水層
との接着に優れるが、この他にシランカップリング剤、
イソシアネート化合物、チタン系カップリング剤も有用
である。 【0219】着色剤としては、通常の染料や顔料が用い
られ、先にネガ型の画像記録層において述べたのと同様
の化合物を使用することができる。上記色素は、インク
受容層中に添加される場合は受容層の全固形分に対し、
通常、約0.02〜10質量%、より好ましくは約0.
1〜5質量%の割合ある。 【0220】インク受容層に用いることができる無機又
は有機の微粉末としては、10nmから100nmまで
のコロイダルシリカやコロイダルアルミニウム、更には
これらのコロイドより大きい粒径の不活性粒子、例え
ば、シリカ粒子、表面疎水化したシリカ粒子、アルミナ
粒子、二酸化チタン粒子、その他重金属粒子、クレーや
タルク等を挙げることができる。これらの無機又は有機
の微粉末をインク受容層中に添加することによって、上
層の親水層との接着性を改良し、印刷における耐刷力を
増加させる効果がある。インク受容層中におけるこれら
の微粉末の添加割合は、全量の80質量%以下で好まし
くは40質量%以下である。 【0221】更に、インク受容層中には露光したとき画
像部と非画像部を鮮明にするため発色系又は消色系の化
合物が添加されることが好ましい。例えば、ジアゾ化合
物やジフェニルヨードニウム塩のような熱酸発生剤と共
にロイコ染料(ロイコマラカイトグリーン、ロイコクリ
スタルバイオレット、クリスタルバイオレットのラクト
ン体等)やPH変色染料(例えば、エチルバイオレッ
ト、ビクトリアプアーブルーBOH等の染料)が用いら
れる。その他、EP897134号明細書に記載されて
いるような、酸発色染料と酸性バインダーの組合わせも
有効である。この場合、加熱によって染料を形成してい
る会合状態の結合が切れ、ラクトン体が形成して有色か
ら無色に変化する。これらの発色系の添加割合は受容層
中の全量に対し10質量%以下、好ましくは5質量%以
下である。 【0222】また、インク受容層塗布液の調製にあたっ
ては、塗布面状改良剤としてよく知られた化合物である
フッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤を添加した
り、塗膜の柔軟性等を付与するための可塑剤を添加する
ことができ、これらは先に述べた他の画像記録層と同様
のものを用いることができる。 【0223】インク受容層を塗布する際に用いる溶媒と
しては、前記したネガ型或いはポジ型各々の記録層塗布
液に用いたものと同様の溶媒が挙げられる。これらの溶
媒は単独或いは混合状態で使用される。塗布液を調製す
る場合、溶媒中の上記インク受容層構成成分(添加剤を
含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%で
ある。その他、上記のような有機溶媒からの塗布ばかり
でなく、水性エマルジョンからも被膜を形成させること
ができる。この場合の濃度は5〜50質量%が好まし
い。 【0224】本発明でのインク受容層の塗布乾燥後の重
量は、特に限定的ではないが0.05g/m2以上あれ
ばよく、好ましくは、0.1g/m2以上である。上限
値には特に制限はないが、膜強度の観点から、一般的に
は30g/m2以下であることが好ましい。なお、アル
ミニウムの如き金属板を支持体に用いる場合には断熱層
としての機能を果たすことが感度向上の観点から好まし
いため、塗布量は0.4g/m2以上であることが望ま
しい。一方、親油性のプラスチックフィルムを支持体基
板として使用する場合には、その塗布量は金属板の時よ
り少なくてもよく、0.05g/m2以上あればよく、
0.1〜30g/m2の範囲が好ましい。上記各々の範
囲内において、膜の耐久性と感度が良好となる。 【0225】[親水層]界面剥離方式記録層の他の層で
ある親水層は、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコ
ニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から
選択された少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物
のコロイドを含有する溶液を塗布して形成される。ここ
で用いられるコロイドの酸化物又は水酸化物を構成する
元素のうち好ましいものとして、アルミニウム、珪素、
チタン及びジルコニウムを挙げることができ、特に好ま
しくは珪素である。 【0226】コロイドの粒子は一般的には2nmから5
00nmであり、シリカの場合5nmから100nmの
球形のものが本発明では好適である。10nmから50
nmの球状粒子が50nmから400nmの長さに連な
ったパールネック状のコロイドも用いることができる。
更には、アルミニウムのコロイドのように100nm×
10nmのような羽毛状のものも有効である。これらの
コロイドは、上記元素のハロゲン化物やアルコキシ化合
物の加水分解あるいは上記元素の水酸化物の縮合など種
々の公知の方法で作ることができる。これらのコロイド
の分散物は、日産化学工業(株)などの市販品を購入す
ることもできる。 【0227】親水層塗布液には、更に親水性樹脂を含有
することが好ましく、親水性樹脂としては、前記疎水性
前駆体画像記録層で用いたものと同様のものが挙げられ
る。 【0228】これらの親水性樹脂の添加割合は親水層全
固形分の1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%が
特に好ましい。この範囲において十分な耐刷力と汚れ防
止性が発揮される。添加量が少なすぎると膜強度が低下
して耐刷性が不充分となる傾向があり、あまり多すぎる
場合は親水層の除去性が低下し、親水層の残存に起因す
る印刷汚れが発生しやすくなる傾向にある。 【0229】親水層には上記のコロイド及び親水性樹脂
の他に、耐刷力を高めるため、コロイドの架橋を促進す
る架橋剤、及び/又は、親水性樹脂の架橋剤を添加して
もよい。具体的には、前記の「疎水化前駆体含有画像記
録層」において例示したものと同様のものが挙げられ
る。他の好ましい親水層の親水性樹脂としては、前記ゾ
ルゲル変換系結着性樹脂類と同様のものが挙げられる。 【0230】本態様においては、親水層に赤外線吸収剤
を添加することができる。親水層への、本発明に係る赤
外線吸収剤の添加量は、親水層の全固形分量の0.01
〜50質量%が好適で、特に好ましくは、0.1〜20
質量%である。添加量が上記範囲であれば、高感度な記
録と層の耐久性とをともに達成することができる。 【0231】親水層塗布液には、塗布の面状を良化させ
るため、良く知られたフッ素系界面活性剤、シリコン系
界面活性剤、ポリオキシエチレン系界面活性剤などを添
加しても良い。 【0232】親水層の塗布乾燥後の重量は、0.1g/
2から3g/m2であることが好ましい。より好ましく
は、0.4g/m2から2g/m2である。この範囲にお
いて、良好な感度と、印刷性能(耐地汚れ、高耐刷性)
が得られる。一般的な市販の半導体レーザを用いて描画
した場合に、約0.5g/m2の厚さで300〜400
mJ/cm2のエネルギーを、約1.5g/m2の厚さで
400〜500mJ/cm2のエネルギーを要する。 【0233】界面剥離方式の感光層を用いる場合、前記
親水層とインク受容層との間に赤外線吸収剤含有層を設
けることもできる。このような構成をとる場合、露光に
より、赤外線吸収剤含有層の露光領域において急激な発
熱が生じ、インク受容層と親水層との密着性が低下し、
上層である親水層が容易に剥離可能となり、画像形成が
行なわれる。赤外線吸収剤含有層は、赤外線吸収剤と適
切なバインダー成分とを含めばよく、赤外線吸収剤含有
層中の赤外線吸収剤の含有量は、層の全固形分中、0.
05〜30質量%程度であることが好ましい。また、赤
外線吸収剤含有層の好ましい塗布量は、乾燥後の塗布量
で、0.1g/m2〜5g/m2の範囲であることが好ま
しく、より好ましくは、0.2g/m2〜4g/m2であ
る。 【0234】これら無処理型画像記録層を用いた平版印
刷版原版についても、前記ネガ型或いはポジ型の記録層
を用いた平版印刷版原版と同様の支持体を用いることが
できる。 【0235】<オーバーコート層>本発明における記録
層上には必要に応じてオーバーコート層を設けることが
できる。本発明において用いられるオーバーコート層
は、水溶性層であり、現像処理又は印刷時に容易に除去
されるものである。オーバーコート層は、平版印刷版原
版を積み重ねて保存した場合における、くっつきを防止
するために、離型性を有することが好ましい。 【0236】オーバーコート層の主成分は、水溶性の有
機又は無機の高分子化合物であり、その水溶液等を塗布
し、乾燥させることによって形成される皮膜がフィルム
形成のを有するものである。具体的には、例えば、特開
2001−162961公報の段落番号[0011]に
記載されている水溶性樹脂、特開2002−19315
公報に記載されているセルロース類等が挙げられる。 【0237】また、オーバーコート層は、その他の添加
物を必要に応じて含有していてもよい。例えば、離型性
を増加させるために、水溶性又は水分散性のフッ素原子
及び/又はケイ素原子を含有する化合物を含有すること
が好ましい。更に、光熱変換物質を含有することが好ま
しい。光熱変換物質としては、例えば、特開2001−
162961公報に記載されている化合物が好適に挙げ
られる。 【0238】オーバーコート層は、表面の動摩擦係数
(μk)が2.5以下であることが好ましく、0.03
〜2.0であることがより好ましい。表面の動摩擦係数
が上記範囲にあると、平版印刷版原版の搬送性が良好で
あり、かつ、アルカリ現像性又は機上現像性と、耐刷性
が良好となる。ここで、表面の「動摩擦係数」は標準A
STMD1894に従った測定法により測定したもので
ある。即ち、下にある材料の表面が上にある材料の裏面
と接触しているように平版印刷版原版が置かれる。「裏
面」とは、支持体の上に画像記録層及びオーバーコート
層が設けられていない面を意味し、「表面」とは、支持
体の上に画像記録層及びオーバーコート層が設けられて
いる面を意味する。動摩擦係数は、平版印刷版原版を
3,000枚積み重ねて、35℃、75%の条件で3日
間放置した後、1番下のサンプルを測定して求めること
ができる。 【0239】このような好ましい態様のオーバーコート
層は、水溶性樹脂等の種類や、離型性を増加させるフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する化合物の種類及
び添加量を、適宜、組み合せることで得ることができ
る。例えば、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含有す
る化合物のオーバーコート層の全固形分に対する割合
を、0.05〜5.0質量%とすることが好ましく、
0.1〜3質量%とすることがより好ましい。 【0240】<バックコート層>このようにして、支持
体上に、各種の画像記録層を設け得られた本発明の平版
印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合にお
ける画像記録層の傷つきを防止するために、有機高分子
化合物からなる被覆層(以下、「バックコート層」と称
する)を設けることができる。バックコート層の主成分
としては、ガラス転移点20℃以上の飽和共重合ポリエ
ステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂及び塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれ
る少なくとも1種の樹脂が好適に用いられる。飽和共重
合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオー
ルユニットとからなる。ジカルボン酸ユニットとして
は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブ
ロムフタル酸、テトラクロルフタル酸等の芳香族ジカル
ボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シュウ
酸、スペリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸等
が挙げられる。 【0241】バックコート層は、更に、着色のための染
料、顔料等;支持体との密着性を向上させるためのシラ
ンカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ樹
脂、有機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン性ポリマー
等;滑り剤として通常用いられる、ワックス、高級脂肪
酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンよりなるシ
リコーン化合物、変性ジメチルシロキサン、ポリエチレ
ン粉末等を、適宜、含有することができる。 【0242】バックコート層の厚さは、基本的には、合
紙がなくとも画像記録層を傷つけにくい程度であればよ
く、0.01〜8μmであることが好ましい。厚さが
0.01μm未満であると、平版印刷版原版を重ねて取
り扱った場合の画像記録層の擦れキズを防ぐことが困難
となる。厚さが8μmを超えると、印刷中、平版印刷版
の周辺で用いられる薬品によってバックコート層が膨潤
して厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させ
ることがある。 【0243】バックコート層を平版印刷版原版の裏面に
被覆するには、種々の方法を適用することができる。例
えば、上記各成分を適当な溶媒の溶液にして、又は乳化
分散液にして、塗布し乾燥させる方法、予めフィルム状
に成形したものを接着剤や熱で貼り合わせる方法、溶融
押し出し機で溶融皮膜を形成し、貼り合わせる方法等が
挙げられる。中でも、上述した塗布量(厚み)を確保す
る上で好ましいのは、溶液にして塗布し乾燥させる方法
である。溶媒としては、特開昭62−251739号公
報に記載されているような有機溶媒が単独で又は混合し
て用いられる。塗布の方式及び条件としては、画像記録
層を塗布する方式及び条件の多くを利用することができ
る。即ち、コーティングロッドを用いる方法、エクスト
ルージョン型コーターを用いる方法、スライドビードコ
ーターを用いる方法が利用できる。バックコート層は、
画像記録層を設ける前に設けてもよく、設けた後に設け
てもよく、画像記録層と同時に設けてもよい。 【0244】本発明の平版印刷版原版は、このような構
成を有するため、さまざまな画像記録層を用いても、記
録感度に優れ、且つ、耐刷性に優れ、良好な印刷物を多
数枚得ることができる。 【0245】 【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0246】<サーマルネガ型平版印刷版原版> (実施例N−1) [支持体Aの作製]99.5%以上のアルミニウムと、
Fe0.30%、Si0.10%、Ti0.02%、C
u0.013%を含むJIS A 1050合金の溶湯
に清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯
中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理
し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳
造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの
鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化
してしまわないように550℃で10時間均質化処理を
行った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中
で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、
板厚0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロ
ールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線
表面粗さ(Ra)を0.2μmに制御した。その後、平
面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。 【0247】次に、平版印刷版原版用の支持体とするた
めの表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧
延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で5
0℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50
℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。次いで、
支持体と記録層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保
水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆ
る、砂目立て処理を行った。1%の硝酸と0.5%の硝
酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェ
ブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密
度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形で
アノード側電気量240C/dm2を与えることで電解
砂目立てを行った。その後10%アルミン酸ソーダ水溶
液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸
水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行っ
た。 【0248】更に、耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上
させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形
成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用
い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電
セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うこと
で2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。この後、
印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケ
ート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶
液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒とな
るよう通搬し、更に水洗した。Siの付着量は10mg
/m2であった。以上により作成した支持体Aの中心線
表面粗さ(Ra)は0.25μmであった。 【0249】[下塗り]次に、このアルミニウム支持体
Aに下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾
燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被
服量は10mg/m2であった。 <下塗り液> ・エチルメタクリレートと2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスル ホン酸ナトリウム塩とのモル比75:15の共重合体 ・・・0.1g ・2−アミノエチルホスホン酸 ・・・0.1g ・メタノール ・・・50g ・イオン交換水 ・・・50g 【0250】[記録層の形成]次に、下記記録層塗布液
[N−1]を調整し、上記の下塗り済みのアルミニウム
支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置
にて115℃で45秒間乾燥してネガ型平版印刷版原版
[N−1]を得た。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g
/m2の範囲内であった。 【0251】 <記録層塗布液[N−1]> ・赤外線吸収剤[特定色素:例示化合物(I−4)] ・・・0.08g ・重合開始剤[O−1(下記構造)] ・・・0.30g ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・1.00g ・アリルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体 ・・・1.00g (モル比80:20、重量平均分子量12万) ・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 ・・・0.04g ・フッ素系界面活性剤 ・・・0.01g (メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン ・・・9.0g ・メタノール ・・・10.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・8.0g 【0252】 【化12】 【0253】[露光]得られたネガ型平版印刷版原版
[N−1]を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載
したCreo社製Trendsetter3244VF
Sにて出力13.5W、外面ドラム回転数210rp
m、版面エネルギー150mJ/cm2、解像度240
0dpiの条件で露光した。 【0254】[現像処理]露光後、富士写真フイルム
(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理
した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイ
ルム(株)製DN−3Cの1:1水希釈液を用いた。現
像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、
富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液を
用いた。 【0255】[印刷]次に、平版印刷版[N−1]を、
小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて
印刷した。 【0256】[評価] 1.感度評価 上記露光工程において、出力を2〜20Wまで約40%
毎に変化させて、感度を求めた。ここで、感度とは、露
光部が現像により濃度低下を起こし始める最小エネルギ
ー量と定義し、そのエネルギー量(E)は以下の式で表
される。 E=W×2350/rpm(W:出力、rpm:回転
数) 結果は表8に示す。 【0257】2.耐刷性評価 上記印刷工程において、どれだけの枚数が充分なインク
濃度を保って印刷できるかを目視にて評価した。結果は
表8に示す。 【0258】3.経時安定性評価 未露光のネガ型平版印刷版原版[N−1]を、室温環境
下で3ヶ月間放置した。放置後のネガ型平版印刷版原版
を上記と同様にして、1.感度評価、及び、2.耐刷性
評価を行った。結果は表8に併記する。 【0259】 【表8】 【0260】(比較例1)実施例N−1において、記録
層塗布液[N−1]中の赤外線吸収剤を、特定色素:例
示化合物(I−4)から下記に示す構造を有する色素に
変更した他は同様にして、比較例1のネガ型平版印刷版
原版[NR−1]を作製した。その後、実施例N−1と
同様にして露光、現像及び印刷を行い、1.感度評価、
2.耐刷性評価、及び、3.経時安定性評価を評価し
た。結果は表8に併記する。 【0261】 【化13】 【0262】(実施例N−2) [支持体Bの作成]厚さ0.30mmのアルミニウム板
(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄して脱脂し
た後、ナイロンブラシと400メッシュのパミストン−
水懸濁液を用い、その表面を砂目立てし、よく水で洗浄
した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液
に9秒間浸漬してエッチングを行い水洗後、更に、2%
硝酸に20秒間浸漬して水洗した。この時の砂目立て表
面のエッチング量は約3g/m2であった。次に、この
板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dm2
3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗乾燥
し、支持体Bを得た。 【0263】[下塗り]次に、このアルミニウム支持体
Bに下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾
燥装置を用いて80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被
覆量は10mg/m2であった。 <下塗り液> ・β−アラニン ・・・0.1g ・フェニルホスホン酸 ・・・0.05g ・メタノール ・・・40g ・純水 ・・・60g 【0264】[記録層の形成]次に、下記記録層塗布液
[N−2]を調整し、上記の下塗り済みのアルミニウム
支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置
にて100℃で1分間乾燥してネガ型平版印刷版原版
[N−2]を得た。乾燥後の被覆量は1.5g/m2
あった。 【0265】 <記録層塗布液[N−2]> ・ノニルフェノール(異性体混合物、Aldrich社製)・・・0.05g ・酸発生剤[SH−1(下記構造)] ・・・0.3g ・架橋剤[KZ−1(下記構造)] ・・・0.5g ・バインダーポリマー:ポリ(p−ヒドロキシスチレン) ・・・1.5g (マルカ リンカーM S−4P、丸善石油化学社製) ・赤外線吸収剤[特定色素:例示化合物(I−6)] ・・・0.07g ・AIZEN SPILON BLUE C−RH ・・・0.035g (保土ヶ谷化学(株)製) ・フッ素系界面活性剤 ・・・0.01g (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン ・・・12g ・メチルアルコール ・・・10g ・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・8g 【0266】記録層塗布液[N−2]に用いた酸発生剤
[SH−1]の構造を以下に示す。 【化14】【0267】記録層塗布液[N−2]に用いた架橋剤
[KZ−1]の合成法及び構造を以下に示す。 <架橋剤[KZ−1]の合成>1−[α−メチル−α−
(4−ヒドロキシフェニル)エチル]―4―[α、α−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを、
水酸化カリウム水溶液中で、ホルマリンと反応させた。
反応溶液を硫酸で酸性とし晶析させ、更に、メタノール
から再結晶することにより、下記構造の架橋剤[KZ−
1]を得た。逆相HPLCにより純度を測定したとこ
ろ、92%であった。 【0268】 【化15】 【0269】[露光]得られたネガ型平版印刷版原版
[N−2]を、実施例N−1と同様の条件で露光した。 【0270】[現像処理]露光後、富士写真フイルム
(株)製自動現像機スタブロン900NPを用い現像処
理した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フ
イルム(株)製DP−4の1:8水希釈液を用いた。現
像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、
富士写真フイルム(株)製FP−2Wの1:1水希釈液
を用いた。 【0271】[印刷]次に、露光、現像により得られた
平版印刷版[N−2]を、実施例N−1と同様にして印
刷した。 【0272】[評価]実施例N−1と同様にして、1.
感度評価、2.耐刷性評価、及び、3.経時安定性評価
を行った。結果は表8に併記する。 【0273】(比較例2)実施例N−2において、記録
層塗布液[N−2]中の赤外線吸収剤を、特定色素:例
示化合物(I−6))から下記に示す構造を有する色素
に変更した他は同様にして、比較例2のネガ型平版印刷
版原版[NR−2]を作製した。その後、実施例N−2
と同様にして露光、現像及び印刷を行い、1.感度評
価、2.耐刷性評価、及び、3.経時安定性評価を評価
した。結果は表8に併記する。 【0274】 【化16】 【0275】表8に明らかなように、本発明の平版印刷
版原版(実施例N−1及びN−2の平版印刷版原版N−
1及びN−2)は、製版において良好な感度を示し、地
汚れのない鮮明な印刷画質の印刷物が5万枚以上得られ
た。更に、それら平版印刷版原版は、製版直後と、経時
後と、に耐刷性の変化は見られず、経時安定性が高いこ
とがわかった。一方、比較例の平版印刷版原版NR−1
及びNR−2は、製版における感度及び耐刷性が低く、
更に、製版直後と、経時後と、では耐刷性が大きく低下
し、著しく性能が劣化していることが判明した。 【0276】(実施例N−3〜N−8)実施例N−1に
おいて、記録層塗布液[N−1]中の赤外線吸収剤を、
特定色素:例示化合物(I−4)から下記表9に示す例
示化合物にそれぞれ代えた他は、実施例N−1と同様に
して、実施例N−3〜N−8のネガ型平版印刷版原版
[N−3]〜[N−8]を作製した。その後、実施例N
−1と同様にして露光、現像及び印刷を行い、評価し
た。 【0277】 【表9】 【0278】実施例N−3〜N−8のネガ型平版印刷版
原版[N−3]〜[N−8]は、それぞれ、実施例N−
1のネガ型平版印刷版原版[N−1]と同等の性能を示
し、感度、耐刷性、経時安定性のいずれも良好であっ
た。 【0279】(実施例N−9〜N−17)実施例N−1
において、記録層塗布液[N−1]中の赤外線吸収剤及
び重合開始剤が、特定色素:例示化合物I−4;0.0
8g、重合開始剤[O−1];0.30gであったもの
を、下記表10に示す例示化合物;0.09g及び重合
開始剤;0.30gにそれぞれ代えた他は、実施例N−
1と同様にして、実施例N−9〜N−17のネガ型平版
印刷版原版[N−9]〜[N−17]を作製した。その
後、実施例N−1と同様にして露光、現像及び印刷を行
い、評価した。 【0280】 【表10】 【0281】実施例N−9〜N−17のネガ型平版印刷
版原版[N−9]〜[N−17]は、それぞれ、実施例
N−1のネガ型平版印刷版原版[N−1]と同等の性能
を示し、感度、耐刷性、経時安定性のいずれも良好であ
った。 【0282】(実施例N−18) [記録層の形成]下記記録層塗布液[N−3]を調整
し、上記実施例N−2において用いられたものと同じ下
塗り済みのアルミニウム支持体に、ワイヤーバーを用い
て塗布し、温風式乾燥装置にて100℃で1分間乾燥し
てネガ型平版印刷版原版[N−18を得た。乾燥後の被
覆量は1.6g/m2であった。 【0283】 <記録層塗布液[N−3]> ・赤外線吸収剤[特定色素:例示化合物(I−7)] ・・0.10g ・酸発生剤[SH−2(下記構造)] ・・・0.15g ・架橋剤[KZ−2(下記構造)] ・・・0.50g ・クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂 (メタ:パラ=8:2、重量平均分子量5800) ・・・1.1g ・ビスフェノールAとホルムアルデヒドから得られるレゾール樹脂 (重量平均分子量1600) ・・・1.0g ・フッ素系界面活性剤 ・・・0.06g (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン ・・・20g ・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・7g 【0284】記録層塗布液[N−3]に用いた酸発生剤
[SH−2]の構造を以下に示す。 【化17】【0285】記録層塗布液[N−3]に用いた架橋剤
[KZ−2]の構造を以下に示す。 【化18】 【0286】[露光、現像処理、及び印刷]得られたネ
ガ型平版印刷版原版[N−18]を、実施例N−1と同
様の方法で、露光、現像処理、及び印刷した。 【0287】[評価]実施例N−1と同様にして、1.
感度評価、2.耐刷性評価、及び、3.経時安定性評価
を行った。 【0288】実施例N−18のネガ型平版印刷版原版
[N−18]は、実施例N−2の平版印刷版原版[N−
2]と同等の性能を示し、感度、耐刷性、経時安定性の
いずれも良好であった。 【0289】(実施例N−19)実施例N−1におい
て、記録層用塗布液[N−1]の赤外線吸収剤(I−
4)0.08g及び重合開始剤[O−1]0.30gの
代わりに、赤外線吸収剤の例示化合物(D−2)0.4
5gを用いた他は、実施例N−1と同様にして、ネガ型
平版印刷用原版[N−19]を得た。得られた原版を、
実施例[N−1]と同様にして、製版・現像して印刷し
た所、実施例N−1の平版印刷用原版[N−1]と同等
以上の良好な結果を得た。 【0290】(実施例N−20)実施例N−19におい
て、赤外線吸収剤(D−2)0.45gの代わりに、赤
外線吸収剤の例示化合物(D−3)0.48gを用いた
他は、実施例(N−1)と同様にして、画像記録層を塗
設した。次いで、この上に、下記内容のオーバーコート
層用の塗布液を、バーコートを用いて、乾燥後の塗布重
量が0.70g/m2となる様にして、塗布・乾燥し、
ネガ型平版印刷用原版[N−20]を作製した。 【0291】 <オーバーコート層用塗布液(OC−1)> ・PVA205(クラレ(株)製) 5.0g ・メガファックF171(大日本インキ化学工業(株)製) 1.0g ・水 95g 【0292】得られた原版を、実施例N−1と同様にし
て、製版・現像して印刷した所、実施例(N−1)の平
版印刷用原版[N−1]と同等以上の良好な結果を得
た。 【0293】<サーマルポジ型平版印刷版原版> [下塗り]実施例N−1と同じアルミニウム支持体B
に、下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾
燥装置を用いて90℃で1分間乾燥した。乾燥後の被覆
量は10mg/m2であった。 <下塗り液の組成> ・β−アラニン ・・・0.5g ・メタノール ・・・95g ・水 ・・・5g 【0294】[感光層(画像記録層)の形成]下記感光
層塗布液[P−1]を調整し、上記下塗り済みのアルミ
ニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布量が1.8g
/m2になるように塗布し、100℃で1分間乾燥して
ポジ型平版印刷版用原版[P−1]を得た。 【0295】 <感光層塗布液[P−1]> ・m,p−クレゾールノボラック ・・・1.0g (m/p=6/4、重量平均分子量3500、未反応クレゾール0.5質量% 含有) ・赤外線吸収剤[特定色素:例示化合物(I−1)] ・・・0.3g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 ・・・0.02g ・フッ素系界面活性剤 ・・・0.05g (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・γ−ブチロラクトン ・・・3g ・メチルエチルケトン ・・・8g ・1−メトキシ−2プロパノール ・・・7g 【0296】[露光]得られたポジ型平版印刷版用原版
[P−1]を、実施例N−1と同様の条件で露光した。 【0297】[現像処理]露光後、非還元糖と塩基とを
組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムK2Oより
なるカリウム塩5.0質量%及びオルフィンAK−02
(日信化学社製)0.015質量%を含有する水溶液1
Lに所定の化合物を添加したアルカリ現像液を用いて現
像処理を行った。現像処理は、現像湿度25℃、時間1
2秒の条件で行った。 【0298】[印刷]次に、露光、現像により得られた
平版印刷版[P−1]を、実施例N−1と同様にして印
刷した。 【0299】[評価]実施例N−1と同様にして、2.
耐刷性評価、及び、3.経時安定性評価(6ヶ月間)を
行った。結果は表11に示す。 【0300】 【表11】 【0301】(比較例3)実施例P−1において、感光
層塗布液[P−1]中の赤外線吸収剤を、特定色素:例
示化合物(I−1)から、前記比較例1で用いた色素に
変更した他は同様にして、比較例3のポジ型平版印刷版
原版[PR−1]を作製した。その後、実施例P−1と
同様にして露光、現像及び印刷を行い、2.耐刷性評
価、及び、3.経時安定性評価(6ヶ月間)を評価し
た。結果は表11に併記する。 【0302】表11に明らかなように、本発明の平版印
刷版原版[P−1]は、地汚れのない鮮明な画像の印刷
物を8万枚以上得られた。また、6ヶ月間放置した後で
も、に耐刷性の低下は見られず、経時安定性が高いこと
がわかった。一方、比較例3の平版印刷版原版[PR−
1]は、製版における耐刷性が低く、更に、経時後では
地汚れが発生してしまった。 【0303】(実施例P−2〜P−5) [感光層(画像記録層)の形成]下記感光層塗布液[P
−2]を調整し、実施例N−1で用いたものと同じ上記
下塗り済みのアルミニウム支持体に、ワイヤーバーを用
いて塗布し、温風式乾燥装置にて100℃で1分間乾燥
してネガ型平版印刷版原版[P−2]〜[P−5]を得
た。乾燥後の被覆量は1.6g/m2であった。 【0304】 <感光層塗布液[P−2]> ・赤外線吸収剤[特定色素:下記表12に記載の例示化合物]・・0.12g ・ナフトキノン−1,2−ジアジド−スルホニルクロリドとピロガロール−アセ トン樹脂とのエステル化物(米国特許第3,635,709号明細書実施例1に 記載されているもの) ・・・1.00g ・クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂 (メタ:パラ=6:4、重量平均分子量1800) ・・・2.00g ・p−オクチルフェノール−ホルムアルデヒドノボラック・ ・・0.02g ・ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド ・0.01g ・テトラヒドロ無水フタル酸 ・・・0.05g ・4−(p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル)−2 ,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン ・・・0.02g ・4−(p−N−(p−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル)−2,6−ビ ス(トリクロロメチル)−s−トリアジン ・・・0.02g ・エテルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸 にした染料 ・・・0.02g ・メガファックF−177 ・・・0.06g (大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系界面活性剤) ・メチルエチルケトン ・・・20g ・メチルアルコール ・・・7g 【0305】 【表12】 【0306】[露光、現像処理、及び印刷]得られたポ
ジ型平版印刷版原版[P−2]〜[P−5]を、実施例
P−1と同様の方法で、露光、現像処理、及び印刷し
た。 【0307】[評価]実施例P−2と同様にして、2.
耐刷性評価、及び、3.経時安定性評価を行った。 【0308】実施例P−2〜P−11のポジ型平版印刷
版原版[P−2]〜[P−5]は、それぞれ、実施例P
−1の平版印刷版原版[P−1]と同等の性能を示し、
耐刷性、経時安定性のいずれも良好であった。 【0309】<無処理型平版印刷用原版> (実施例M−1) [熱反応性マイクロカプセルの合成]油相成分としてキ
シリレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロ
パンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブ
チルメタクリレートの共重合体(モル比60/40)1
0g、パイオニンA41C(竹本油脂(株)製)10g
を酢酸エチル60gに溶解した。水相成分として、PV
A205(クラレ(株)製)の4%水溶液120gを調
製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用い
て10000rpmで乳化した。その後、水を40g添
加し、室温で30分、更に40℃で3時間攪拌した。こ
のようにして得られたマイクロカプセル分散液の固形分
濃度は20%であり、マイクロカプセルの平均粒径は
0.5μmであった。 【0310】[親水層を有する支持体Cの作製]下記組
成物1Aを、ペイントシェーカー(東洋精機(株))を
用いてガラスビーズと共に室温で10分間分散した後、
更に、下記組成物1Bを33g添加し、室温で1分間分
散した後、カラスビーズを濾別して親水層用分散組成物
を得た。 【0311】 <組成物1A> ・チタン酸ストロンチウム ・・・35g (和光純薬工業(株)製、平均粒径2μm) ・ポリビニルアルコール5%水溶液 ・・・60g (クラレ(株)製PVA117) ・コロイダルシリカ20%水溶液 ・・・55g (日産化学工業(株)製スノーテックスC) 【0312】 <組成物1B> ・テトラエトキシシラン ・・・92g ・エタノール ・・・163g ・水 ・・・163g ・硝酸 ・・・0.1g 【0313】次に、上記親水層用分散組成物をコロナ処
理を施したポリエチレンテレフタレート支持体(東レ
(株)製、厚さ180μm)上に、ワイヤーバーを用い
て乾燥後の塗布量が5g/m2になるように添付し、オ
ーブンで100℃、10分間乾燥し親水層を有する支持
体Cを作製した。 【0314】[画像記録層の形成]以下に組成を示した
画像記録層塗布液[ML−1]を調製後、親水層を有す
る基板C上にバー塗布し、オーブンで90℃120秒間
乾燥して、無処理型平版印刷用原板[M−1]を作製し
た。画像記録層の乾燥塗布量は0.5g/m2であっ
た。 【0315】 <画像記録層塗布液[ML−1]> ・水 ・・・70g ・前記熱反応性マイクロカプセル(固形分換算で) ・・・5g ・ポリヒドロキシエチルアクリレート ・・・0.5g ・p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 ・・・0.3g ・赤外線吸収剤[特定色素:例示化合物(I−1)] ・・・0.3g 【0316】[露光及び印刷]得られた無処理型平版印
刷用原板[M−1]を、水冷式40W赤外線半導体レー
ザを搭載したCreo社製Trendsetter32
44VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210r
pm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度24
00dpiの条件にて露光した後、、処理することな
く、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダー
に取り付け、湿し水を供給した後、インクを供給し、さ
らに紙を供給して印刷を行った。問題なく機上現像する
ことができ、印刷可能であった。 【0317】[評価]印刷10枚目の印刷物を20倍の
ルーペを用いて評価したところ、地汚れはなく、ベタ画
像部の濃度の均一性は極めて良好であった。更に、印刷
を継続したところ、細線や細文字の欠落及びベタ画像濃
度のムラがなく、非画像部の汚れも発生せず、良好な印
刷物が20,000枚以上得られた。 【0318】(実施例M−2)実施例N−1と同じ支持
体Aを用い、その上に、調整した下記画像記録層用塗布
液[M−2]を、乾燥後の塗布重量が1.2g/m2
なる様に、塗布・乾燥した。次に、下記内容のオーバー
コート層用塗布液[OC−2]を、乾燥後の重量が、
0.75g/m2となるように塗布・乾燥して、平版印
刷版原版[M−2]を作製した。 【0319】<疎水性化微粒子の作製>油相成分とし
て、エピコ―ト1004(油化シエルエポキシ(株)製
エポキシ樹脂)6.0g、本発明の赤外線吸収剤(D−
5)2.0g及びアニオン界面活性剤バイオニンA−4
1C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル18.
0gに溶解した後、水相成分のポリビニルアルコール
(クラレ(株)製PVA205)4%水溶液36.0g
に混合し、ホモジナイザーで10000rpmで10分
間乳化分散させた。その後、水を24g追加し、60℃
で90分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得
られた微粒子分散液の固形分濃度は12.5重量%であ
った。また平均粒径は0.22μmであった。 【0320】 <画像記録層用塗布液[M−2]> ・上記疎水性化微粒子層(固形分量として) ・・・5g ・ポリアクリル酸(重量平均分子量2.5×104) ・・・0.5g ・水 ・・・60g 【0321】 <オーバーコート層塗布液[OC−2]> ・アラビアガム ・・・2.2g ・前記赤外線吸収剤(I−2) ・・・0.4g ・フッ素系界面活性剤サーフロンS−141(旭硝子製) ・・・0.04g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル ・・・0.04g ・水 ・・・42g 【0322】得られた無処理型平版印刷用原版[M−
2]を、実施例M−1と同様にして性能評価した所、実
施例M−1の平版印刷用原版[M−1]と同等以上の良
好な結果が得られた。 【0323】(実施例M−3)実施例N−1と同じ支持
体Aを用い、その上に、調整した下記画像記録層塗布液
[M−3]を乾燥後の塗布重量が1.2g/m2となる
様に、塗布・乾燥してた。次に、下記内容のオーバーコ
ート層用塗布液[OC−3]を、乾燥後の重量が0.7
5g/m2となる様に塗布・乾燥して、平版印刷用原版
[M−3]を作成した。 【0324】<疎水性化微粒子の作製>油相成分として
キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロ
パンジアクリレート10g,アリルメタクリレートとブ
チルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10
g、赤外線吸収剤(D−4)5.5g、パイオニンA4
1C(竹本油脂製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解
した。水相成分として、PVA205(クラレ製)の4
%水溶液を120g作製した。油相成分および水相成分
をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化し
た。その後、水を40g添加し、室温で30分、さらに
40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイ
クロカプセル液の固形分濃度は20%であり、平均粒径
は0.5μmであった。 【0325】 <画像記録層塗布液[M−3]> ・上記疎水性化微粒子(固形分量として) ・・・40g ・コロイダルシリカ20質量%水分散物 ・・・200g ・下記内容のゾルゲル変換系接着樹脂調整液 ・・・33g ・水 ・・・320g 【0326】<ゾルゲル変換系接着樹脂調整液> ・下記組成の液を室温で2時間熟成してゾルゲル調製液
を調製した。 ・テトラメトキシシラン(信越シリコーン(株)製LS540・・・8.47g ・メタノール ・・・1.82g ・水 ・・・14.5g ・0.1モル/リットルりん酸 ・・・0.28g 【0327】 <オーバーコート層用塗布液OC−3> ・セロゲン5A(第1工業(株)製) ・・・5.0g ・メガファックスF171(大日本インキ化学工業(株)製) ・・・1.0g ・前記赤外線吸収剤(I−2) ・・・0.3g ・水 ・・・95g 【0328】得られた平版印刷用原版[M−3]を、実
施例[M−1]と同様にして、性能評価した所、実施例
M−1の平版印刷用原版[M−1]と同等以上の良好な
結果が得られた。 【0329】 【発明の効果】本発明の平版印刷版原版は、赤外線レー
ザを用いて記録することにより、コンピューター等のデ
ジタルデータから直接記録可能であると共に、感度及び
画像部強度の優れた記録層を有し、良好な印刷物が多数
枚得られ、耐刷性に優れるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AA13 AB03 AC08 AD01 AD03 CC11 FA17 2H096 AA06 BA01 BA09 CA03 EA04 GA08

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 親水性支持体上に、少なくとも、下記一
    般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を含有
    する画像記録層を設けてなる赤外線レーザー対応平版印
    刷版原版。 【化1】 一般式(I)中、Z1及びZ2は、各々独立に、5員若し
    くは6員の複素環又は5員若しくは6員の複素環を含む
    縮合環を形成するのに必要な原子群を表す。p及びq
    は、0又は1を表す。R1及びR2は、各々独立に、脂肪
    族基を表す。R3、R4、及びR5は、各々独立に、水素
    原子、又は水素原子を除く一価の非金属原子団を表し、
    3とR4、R3とR5、及びR4とR5の少なくとも一つが
    縮合して6員環を形成していてもよい。Wは、酸素原子
    又は硫黄原子を表す。Lは、メチン基又は置換メチン基
    を表す。n及びmは、各々独立に、0、1、2又は3を
    表す。但し、mとnが同時に0になることはない。A-
    は、電荷の中和が必要な場合に存在する対アニオンを表
    す。但し、rは1〜5の整数である。 【化2】 一般式(II)中、Z1、Z2、R1、R2、R3、R4、R
    5、W、L、p、及びqは、一般式(I)と同義であ
    る。B+は、電荷の中和が必要な場合に存在するオニウ
    ムカチオンを表す。但し、sは1〜3の整数である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107045260A (zh) * 2017-04-12 2017-08-15 安徽强邦印刷材料有限公司 一种热敏阳图ctp版的感光层

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