JP2003307641A - 光帯域光ファイバ、その心線、コード、及び、コネクタ付き光ファイバ心線、コード - Google Patents

光帯域光ファイバ、その心線、コード、及び、コネクタ付き光ファイバ心線、コード

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JP2003307641A
JP2003307641A JP2003109663A JP2003109663A JP2003307641A JP 2003307641 A JP2003307641 A JP 2003307641A JP 2003109663 A JP2003109663 A JP 2003109663A JP 2003109663 A JP2003109663 A JP 2003109663A JP 2003307641 A JP2003307641 A JP 2003307641A
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coating layer
polymer
core
broadband optical
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Seiji Fukuda
誠司 福田
Hisaaki Kobayashi
久晃 小林
Seishiro Taneichi
正四郎 種市
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
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Toray Industries Inc
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】通信用に好適な広帯域を有し、圧着式コネクタ
を十分な圧着力となるようにかしめ圧着させてもファイ
バ割れや欠けの発生を防止でき、圧着による損失が小さ
く軸整合の精度が高く接続損失を低くでき、しかも、光
ファイバ径125μmという既存の石英GI型光ファイ
バとの接合が容易であって、その既存石英GI型光ファ
イバとの互換性にも優れる広帯域光ファイバを提供す
る。 【解決手段】屈折率分布を有する石英系ガラスからなる
コア(1)、該コアの外周に密着して設けられた石英系
ガラスからなるクラッド(2)、該クラッドの外周に密
着して設けられたポリマ被覆層(3)から構成される屈
折率分布型光ファイバであって、前記ポリマ被覆層が、
D55以上のショア硬度を有する紫外線硬化された硬質
ポリマからなり、かつ、厚さが5μm以上であることを
特徴とする。その外周に密着して1次被覆層(4)及び
2次被覆層(5)を設けて光ファイバ心線とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速の信号伝送が
可能であることを活かし、音声、映像、データなどの情
報通信分野における光伝送用として好適に使用できる屈
折率分布型光ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速で大容量のデータリンク等を構築す
る通信用光ファイバとしては、コア及びクラッドに石英
系ガラスを使用した石英系マルチモード光ファイバと石
英系シングルモード光ファイバがあり、日本工業規格
(JIS)のC6832、6835あるいは6831に
それらの規格が定められている。これらの光ファイバ心
線では、石英ガラスクラッドの外側に隣接させて紫外線
(UV)硬化樹脂あるいはシリコン樹脂などの1次被覆
層が、さらにその外側にポリアミド樹脂などの2次被覆
層が形成されている。
【0003】高速の光信号伝送が可能な光ファイバ(例
えば200MHz・km以上の帯域を持つ光ファイバ)
は、石英系マルチモード光ファイバのうちの屈折率分布
(グレーデッドインデックス)型光ファイバ(以下、石
英GI型光ファイバという)、及び石英系シングルモー
ド光ファイバである。
【0004】石英GI型光ファイバでは、伝送帯域を制
限する要因となるモード分散を小さくするようにコア領
域内の屈折率分布が制御されており、そのコア径は通常
50〜100μm(特に50μm、62.5μm)であ
る。
【0005】この石英GI型光ファイバの場合、コア及
びクラッドが石英系ガラスから構成されるので、ポリマ
からなる1次被覆層及び2次被覆層を取り除いて圧着式
コネクタをかしめて圧着させると、光ファイバの割れや
欠けが生じる。また、1次被覆層あるいは2次被覆層を
残したままで圧着式コネクタをかしめて圧着させると、
コアの軸ずれを生じ、実用に耐えないほどの大きな接続
損失が発生する。
【0006】従って、これら問題を回避するために、従
来は、ポリマからなる1次被覆層及び2次被覆層を取り
除いた上で、熱硬化性、紫外線硬化性、熱可塑性あるい
は二液混合硬化性の接着剤を用いてコネクタの中心を固
定する接着式コネクタを取り付けることが必要であっ
た。
【0007】しかし、接着式コネクタは、コネクタ取付
け作業に時間がかかるという問題があり、コスト及び手
間の点において望ましいものではない。
【0008】これに対し、圧着式コネクタは接着式コネ
クタに比べはるかに容易にかつ短時間で取付けを行うこ
とができるという利点があり、ポリマクラッド石英光フ
ァイバ(以下、PCFという)やプラスチック系光ファ
イバにおいて使用されている。
【0009】PCFは、コアが石英系ガラス、クラッド
がプラスチックという構成の光ファイバで、通常200
μm以上のコア径を有するものであり、石英ガラス系ク
ラッドを有する石英GI型光ファイバと比べると帯域が
小さい。PCFにも、コアに屈折率分布をつけたGI型
光ファイバが知られている(特開平3−245108号
公報)が、それでも帯域は60〜90MHz・km程度
と十分でない。
【0010】即ち、PCFは圧着式コネクタを使用でき
る利点はあるものの、帯域が上述のように狭いために、
例えば、光ファイバを利用したコンピュータ間の通信規
格のFDDI(Fiber Distributed
Data Interface)用に用いても十分な伝
送距離が得られないという問題があった。
【0011】また、ショア硬度D65以上の熱可塑性弗
化アクリレート樹脂という硬質ポリマからなる被覆層を
石英ファイバのクラッドの外周に密着させて設けること
によって、圧着式コネクタのかしめ圧着を可能にしよう
とする試みが、特開平2−151821号公報において
提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この特開の方
法は、光ファイバのクラッド径を125μmとし硬質樹
脂の被覆径を140μm以上の太径とした光ファイバ心
線の場合にはかしめ圧着のためにかなり有効であるが、
このような太径にすると、光ファイバ径125±3μm
という規格で統一されている既存の石英GI型光ファイ
バとの接合が困難であり、さらに、既存の石英GI型光
ファイバと互換性をもたせることが困難という問題があ
る。
【0013】また、上記特開のように硬質樹脂の被覆径
を140μm以上とした太径の光ファイバ心線であれ
ば、硬質樹脂での被覆なしの既存125μm径の石英G
I型光ファイバ心線に比して伝送損失は若干悪化するも
のの遜色のないレベルである。ところが、硬質樹脂の被
覆径が125±3μmとなるようにクラッド層の厚みを
薄くして行った場合、伝送損失が急激に悪化する等の問
題が生じ、実用化困難であった。
【0014】従って、硬質樹脂の被覆径を石英GI型光
ファイバの一般的な外径と同等の125±3μmあるい
はそれ以下としても、損失悪化が小さく、かつ圧着式コ
ネクタをかしめ圧着させてもファイバ割れや欠けの発生
を起こさないばかりでなく、圧着力を大きくかつ圧着損
失を小さくすることが求められてきていた。
【0015】そこで、本発明は、上記のような従来技術
の欠点を解消し、通信用に好適な広帯域を有し、圧着式
コネクタを十分な圧着力となるようにかしめ圧着させて
もファイバ割れや欠けの発生を防止でき、圧着による損
失が小さく軸整合の精度が高く接続損失を低くでき、し
かも、光ファイバ径125μmという既存の石英GI型
光ファイバとの接合が容易であって、その既存石英GI
型光ファイバとの互換性にも優れる広帯域光ファイバを
提供することを主な目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の広帯域光ファイバは、屈折率分布を有する
石英系ガラスからなるコア、該コアの外周に密着して設
けられた石英系ガラスからなるクラッド、該クラッドの
外周に密着して設けられたポリマ被覆層から構成される
屈折率分布型光ファイバであって、前記ポリマ被覆層
が、D55以上のショア硬度を有する紫外線硬化された
硬質ポリマからなり、かつ、厚さが5μm以上であるこ
とを特徴とするものであり、特に、ポリマ被覆層の外径
を128μm以下(125±3μmあるいはそれ以下)
とする場合に有効である。
【0017】ここで、ポリマ被覆層を構成する硬質ポリ
マとしては、屈折率1.50以上でかつ弗素を含まない
紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
【0018】また、本発明の広帯域光ファイバ心線は、
上記広帯域光ファイバのポリマ被覆層の外周に密着させ
て、1又は複数の層からなる1次被覆層を設け、さらに
その外周に2次被覆層を密着させて設けてなる光ファイ
バ心線であって、かつ、1次被覆層のうちの少なくとも
最内層が軟質ポリマからなることを特徴とする。
【0019】さらに、本発明の広帯域光ファイバコード
は、上記広帯域光ファイバ心線の外周にポリマシース層
を設けてなることを特徴とする。
【0020】さらにまた、本発明のコネクタ付き光ファ
イバ心線あるいはコードは、前記広帯域光ファイバ心線
あるいはコードの片端又は両端に、1次被覆層及び2次
被覆層あるいはさらにポリマシース層を剥し、かつポリ
マ被覆層を剥さない状態で圧着コネクタが取付けられて
なることを特徴とする。
【0021】本発明においては、ガラスコア、ガラスク
ラッド及びその外周に密着して設けられた硬質ポリマの
ポリマ被覆層のみからなる光ファイバが、ガラスコア及
びガラスクラッドのみからなる従来の裸光ファイバと同
様に取扱われるものであるから、上記光ファイバを、以
下、裸光ファイバ或いは単に光ファイバという。光ファ
イバ心線は、その裸光ファイバの外周に1次被覆層を形
成してなる光ファイバ素線を、単心又は複数心でさらに
2次被覆層を形成してなる物である。また、光ファイバ
コードは、その光ファイバ心線の外周にさらにプラスチ
ックシース層を形成し抗張力性を高めた物であり、必要
に応じ抗張力体を介在させてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明において、石英系ガラスか
らなるコアは、入射された光パワーが閉じ込められて伝
送される光ファイバの中心部分であり、ドーパントによ
って屈折率分布が形成された石英ガラスからなる。クラ
ッドは、コアの外周を取囲み、コアより屈折率の低い部
分であり、石英系ガラスからなる。
【0023】そのクラッド径とはクラッドの外表面を最
もよく近似する円の直径であり、コア径とはコア領域を
最もよく近似する円の直径である。コア領域とは、次の
式で示される屈折率nを持つ領域であり、光ファイバの
内部を占める。
【0024】n1≧n≧n2+0.05×(n1−n2) (ここで、n1=コアの最大屈折率、n2=クラッドの屈
折率である。)。
【0025】このように、屈折率分布型石英系ガラスコ
ア及び石英系ガラスクラッドから構成される光ファイバ
は、所望の屈折率分布をもつ前駆体石英ガラスロッドを
加熱線引きすることにより得ればよい。前駆体石英ガラ
スロッドは、ケイ素化合物からなるガラス主原料とゲル
マニウム化合物よりなるガラスドープ原料を気相反応さ
せることにより製造することができ、その製造法として
は、気相軸付法を始め種々の方法が知られているが、適
切な屈折率分布と低損失が得られれば特に限定されな
い。例えば、特公昭56−31291号公報、特公昭5
6−33327号公報、特公昭58−44619号公
報、特公昭59−6260号公報、特公昭59−134
51号公報、特公昭59−27728号公報、特開昭6
2−123038号公報などの方法を使用して製造すれ
ばよい。
【0026】本発明における石英系ガラスコアは、1.
8〜2.2の屈折率分布パラメータαを有することが、
信号伝送帯域150MHz・kmを実現するために好ま
しく、特に1.9〜2.1の範囲であることが信号伝送
帯域をさらに広くするために好ましい。
【0027】本発明におけるコア径は、既存の石英系G
I型光ファイバとの整合性・互換性を確保するという点
から65.5μm以下であることが好ましく、特に、5
0±3μmあるいは62.5±3μmが好ましい。ま
た、クラッド径は、硬質ポリマからなるポリマ被覆層の
外径及び厚さを所望の値とするという点から118μm
以下、特に97〜118μmとすることが好ましい。
【0028】なお、光ファイバの開口数(NA)は、コ
アの最大屈折率及びクラッドの屈折率から次式により算
出されるが、この開口数は、0.30以下、特に0.1
8〜0.29とすることが、十分な広帯域を得るために
好ましい。
【0029】NA=(n1 2−n2 2)1/2 (ただし、n1:コアの最大屈折率、n2:クラッドの屈
折率 である。)。
【0030】なかでも、既存の石英系GI型光ファイバ
との整合性・互換性を確保するという点からすると、日
本工業規格(JIS)のC6832に規定された開口数
(即ち、コア径/裸光ファイバ径=50/125μmで
はNA=0.20±0.02、コア径/裸光ファイバ径
=62.5/125μmではNA=0.275±0.0
15)と同程度とすることが好ましい。
【0031】本発明では、クラッドの外周に密着させ
て、特定の硬質ポリマからなるポリマ被覆層を形成す
る。即ち、この硬質ポリマは、D55以上のショア硬度
を持つ紫外線硬化された樹脂であることが必要である。
なお、ポリマ被覆層の外径は、ポリマ被覆層の外側表面
を最もよく近似する円の直径である。
【0032】これに対し、熱可塑性樹脂は、石英クラッ
ドの外周に溶融被覆するか、あるいは溶媒に溶かした溶
液として被覆後乾燥する必要があるが、クラッドとの密
着性が良くない、線径の安定化が難しい、また、マイク
ロベンド損失が大きい、さらには、光ファイバを応力破
断する場合に鏡面破断が困難である等の問題があるの
で、使用できない。
【0033】紫外線硬化された樹脂の中でもアクリレー
ト系の紫外線硬化樹脂が硬化速度が早い点等から好まし
い。他の紫外線硬化樹脂では硬化速度が十分でないの
で、所望の硬度まで十分に硬化させるためには線引き速
度を遅くしなければならないという問題があり、好まし
くない。
【0034】そのアクリレート系の紫外線硬化樹脂とす
るための硬化性モノマ(組成物)は、アクリロイル基及
び/又はメタクリロイル基という紫外線硬化可能な二重
結合を有する硬化性モノマを主体とする物であり、硬化
後にD55以上のショア硬度とできれば、単一モノマか
らなっていても混合モノマからなっていてもよく、ま
た、その分子内の二重結合の数はいずれでもよく、さら
にまた、分子内にアミド基、イミド基、ウレタン基、エ
ステル基、エーテル基、エポキシ基、水酸基、カーボネ
ート基、ケトン基、スルホン基、スルフィド基、メラミ
ン結合、シロキサン基などの結合を有するものであって
もよい。
【0035】また、樹脂中にハロゲン原子を含有するこ
とも可能である。しかし、弗素原子を含有すると、表面
摩擦が小さくなってコネクタのかしめ圧着力が低下した
り、かしめ圧着時の接続損失が大きくなり易いので好ま
しくない。さらに、樹脂中の弗素含有量が多いと屈折率
が低くなって、好ましい屈折率水準を得ることが難しく
なるので好ましくない。さらに、この硬質ポリマには、
石英系クラッドとの密着性を強化することができるシラ
ンカップリング剤などが含有されていてもよい。
【0036】また、D55以上という高いショア硬度を
持つことが必要である。このような高硬度とすれば、圧
着式コネクタをかしめて取付けた場合の接続損失を小さ
く抑えることができると同時に、コア軸ずれを小さくす
ることができ、さらに、光ファイバ切断時や研磨時に綺
麗な切断面や研磨面とすることができる。
【0037】ショア硬度DはASTM−D2240のD
法によって測定される値であるが、硬質ポリマのショア
硬度は、それのみを光ファイバ製造時と同一硬化条件で
板状に硬化させてポリマ板としこのポリマ板の硬度を上
記方法で測定することによって求めてもよい。
【0038】ポリマ被覆層が最外層として存在する裸光
ファイバの場合、そのポリマ被覆層の硬度は、ダイヤモ
ンド圧子押込みによるダイナミック硬さ(微小圧縮試験
機((株)島津製作所製MCTE−500)を用い、ダ
イヤモンド製正三角錘圧子(稜間隔=115°)を使用
圧子に用いて測定)あるいはマイクロビッカース硬さに
よって測定することができる。そして、このようにして
測定したダイナミック硬さあるいはマイクロビッカース
硬さの値と、ショア硬度Dとの間には、図3に示すよう
にほぼ比例関係が存在する。従って、ポリマ被覆層を構
成する硬質ポリマのショア硬度D55以上の硬度水準
は、ダイナミック硬さあるいはマイクロビッカース硬さ
の5以上に相当するのである。
【0039】ポリマ被覆層の硬質ポリマはクラッドをな
す石英ガラスよりも十分に高い屈折率を有することが好
ましい。即ち、クラッドの石英ガラスが一般的に1.4
58の屈折率を有することから、硬質ポリマの屈折率は
1.50以上であることが好ましい。屈折率がこれより
低い場合は、ポリマ被覆層の内表面でも伝送光の内部へ
の反射が生じて異なるモードが生じるので帯域が狭くな
り易く好ましくない。また、この硬質ポリマは、線膨脹
係数(ASTM・D696により測定)が0.6×10
-4〜2.0×10-4/degであることが好ましい。
0.6×10-4/degより小さいと脆過ぎるので光フ
ァイバ切断時や研磨時に欠け易く、綺麗な切断面や研磨
面を得るために好ましくない。逆に2.0×10-4/d
egより大きいとマイクロベンド損失が大きくなり易
い。
【0040】この硬質ポリマからなるポリマ被覆層は、
5μm以上の厚さを有することが必要であり、特に5〜
15μmが好ましい。圧着式コネクタをかしめによって
取付ける際、かしめの力による応力集中を防ぎガラスク
ラッドあるいはガラスコアの部分に割れや欠けを生じさ
せないためには5μm以上の厚さが必要である。また、
ポリマ被覆層が厚いほど上記した効果は高まるが、厚く
し過ぎると、128μm以下という細径を維持するため
にクラッドが薄くなり過ぎてマイクロベンド損失が増大
したり、ポリマ被覆層やコアの軸ずれの増加が生じ易く
なるので、厚くとも15μm以下とすることが好まし
い。
【0041】本発明では、1次被覆層及び2次被覆層を
除去しかつポリマ被覆層を残したままの状態の光ファイ
バに、圧着式のコネクタを取付けるので、そのコネクタ
取付けの点から、そのポリマ被覆層の外径や形状の精度
を高めておくことが好ましく、例えば、その外径の偏差
を±6%以下に、さらに外径の非円率を4%以下に制御
することが好ましい。特に、その外径の偏差を±3%以
下、外径の非円率を2%以下とすることが好ましい。
【0042】なお、この外径の偏差は、ポリマ被覆層の
公称の外径と実際の外径との差を公称外径に対する百分
率でもって表した値である。また、その非円率は、ポリ
マ被覆層の外表面を最もよく近似する円の中心を円の中
心とし、かつ、ポリマ被覆層の外表面に内接する又は外
接する円をそれぞれ描き、その2つの円の直径の差をポ
リマ被覆層の外径に対する百分率でもって表した値であ
る。
【0043】従って、そのポリマ被覆層の外径は、12
8μm以下とすること、特に125±3μmとすること
が好適である。このような細径にすると、光ファイバ径
125±3μmという規格で統一されている既存の石英
GI型光ファイバとの接合が容易であり、さらに、既存
の石英GI型光ファイバと互換性をもたせることができ
る。即ち、既存の石英系GI型光ファイバとの整合性・
互換性を確保することが容易になる。
【0044】上述したポリマ被覆層は次の方法で形成す
ればよい。
【0045】石英ガラスコア及び石英ガラスクラッドを
有するGI型石英母材を線引きする工程に続き、ポリマ
被覆層の硬質ポリマ用の未硬化状態の硬化性組成物を、
線引きされた光ファイバ基体の表面に所定の厚さで塗布
し、続いて、紫外線を照射して所望の硬度及び屈折率と
なるまで硬化させてポリマ被覆層を形成する。さらに、
このポリマ被覆層の外周に密着させて1次被覆層を、さ
らにその外周に密着させて2次被覆層を設ける。1次被
覆層は、0℃〜−40℃のような低温度領域において2
次被覆層が柔軟性を喪失した場合でも光ファイバ心線の
伝送損失が増加しないように抑制するために必要であ
る。この1次被覆層は1つの層でも複数の層でもよい
が、少なくともそのうちの最内層は、軟質ポリマから構
成されることが必要である。その最内層に軟質ポリマ被
覆を含まないとマイクロベンド損失が大きくなるという
問題が生じる。
【0046】ここで用いる軟質ポリマはD35以下のシ
ョア硬度を有するポリマであればよく、既存の石英GI
型光ファイバにおいて1次被覆層として用いられている
アクリレート系あるいはシリコン系の紫外線硬化樹脂が
好適である。この軟質ポリマからなる1次被覆の最内層
の外周には、より硬質のポリマを1次被覆の第2層とし
て被覆させてもよい。この場合のポリマは前述したポリ
マ被覆層の硬質ポリマの中から選択してもよく、ポリマ
被覆層として用いた硬質ポリマと同じポリマとしてもよ
い。なお、これらの1次被覆層の外径は、用途や要求特
性等に応じて任意に選択すればよいが、一般的には25
0〜500μm程度が適当である。
【0047】1次被覆層の外側に2次被覆層を施してな
る光ファイバ心線は、単心あるいは2心に2次被覆を施
したものでもよく、3心以上の複数心に2次被覆を施し
たテープ状のものでもよい。2次被覆の材質としては、
テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共
重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン
/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などの
耐熱性の弗素樹脂;ナイロン11、ナイロン12などの
ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂あるいは紫外線硬化樹
脂などを用いることができ、用途や要求特性等に応じて
任意に選択すればよい。
【0048】この光ファイバ心線に、さらにポリマシー
ス層を形成し抗張力を持たせることで、実際に使用され
る状態の光ファイバコードとする。抗張力を持たせるた
めには、スチール繊維やアラミド繊維のような抗張力体
を介在させてもよいし、銅電線とともに複合ケーブルと
してもよい。
【0049】このような本発明の光ファイバ心線や光フ
ァイバコードは、従来の石英GI型光ファイバ心線やコ
ードと同様、使用時には、その端末にコネクタが取付け
られるが、そのコネクタとしては、かしめ圧着ができる
圧着型コネクタを用いることが好ましい。
【0050】即ち、光ファイバ心線の場合は、コネクタ
を取付けようとする端末部分の1次被覆層及び2次被覆
層を剥し、かつポリマ被覆層を剥さない状態で、圧着コ
ネクタを挿着させ、かしめによって固定させ、その後、
必要に応じて接続端面処理を通常の方法で行えばよい。
【0051】また、光ファイバコードの場合は、コネク
タを取付けようとする端末部分の1次被覆層、2次被覆
層及びポリマシース層を剥し、かつポリマ被覆層を剥さ
ない状態で圧着コネクタを挿着させ、かしめによって固
定させ、その後、必要に応じて接続端面処理を通常の方
法で行えばよい。
【0052】このように、本発明では、圧着コネクタの
取付け時に、ポリマ被覆層を残した状態とし、その上に
圧着コネクタをかしめによって取付けるものである。
【0053】従って、接着型コネクタの取付けに比べて
短時間での組立てが可能となり、しかも、接着剤を使用
せずに取付けできるので、光ファイバ心線、コードある
いはケーブルを敷設する際に、その施設現場で行うコネ
クタ取付け作業が大幅に簡便となる。
【0054】本発明では特定の硬質樹脂からなるポリマ
被覆層を設けているので、光ファイバコードに圧着型コ
ネクタを取付けた後の接続端面処理は、応力破断による
端面形成だけでも十分に綺麗な鏡面とできるが、端面研
磨を行ってもよい。応力破断による端面形成は、簡便性
の点で優れているし、研磨による端面形成は接続損失の
低減化及び再現性の点で優れている。その端面研磨は平
面研磨でもよいし球面研磨でもよい。
【0055】本発明で特定した各物性値は、次の方法に
より測定される値である。
【0056】ポリマのショア硬度D: ASTM−D2
240のD法に基いて測定される値であり、その際に
は、ポリマ被覆層形成用の硬化性組成物を、ポリマ被覆
層の形成時と同じ硬化条件で硬化させて作った厚さ1m
mのポリマ板のサンプルを用いて測定すればよい。な
お、1次被覆層の軟質ポリマの場合は、そのポリマ形成
用の硬化性組成物を、1次被覆層の形成時と同じ硬化条
件で硬化させて作ったポリマ板をサンプルとすればよ
い。
【0057】石英系ガラスコアの屈折率分布パラメータ
α: 光ファイバを輪切りにした薄片試料について干渉
顕微鏡を用いて干渉縞を測定して屈折率分布を算出する
という薄片干渉法によって、常法により実用波長におけ
る屈折率分布パラメータαを求める。
【0058】コネクタを取付けた光ファイバの平均軸ず
れ量(μm): 石英ガラスクラッドの外径の中心の、
コネクタフェルールに対する偏心量として顕微鏡観察に
より測定し、測定回数10回の平均値とする。
【0059】フェルールかしめ損失(dB): 無接
着、無かしめでコネクタを片端に取付けた試料長3mの
光ファイバについて850nmLEDで測定した透過光
量を初期光量とする。次いで、他方の片端にコネクタを
かしめによってコネクタからの光ファイバの引抜き力が
2kgfとなるように調整しながら取付け、その状態で
の透過光量を上記と同様に測定する。その透過光量の値
と初期光量との差を求め、測定回数3の平均値をフェル
ールかしめ損失とする。
【0060】光ファイバ端面の平均鏡面面積比率
(%): 光ファイバを応力破断した後、コア破断面に
おける鏡面部分の断面積を光学顕微鏡により測定し、こ
の鏡面部分断面積のコア全体断面積に対する比率を求
め、測定回数10の平均値で表す。
【0061】
【実施例】[実施例1]コア径62.5μm、クラッド
径125μmの屈折率分布型光ファイバとするために、
気相軸付法により製造された石英系GI型ガラス母材
を、ガラス化して石英ガラスロッドとした。これを22
00℃の加熱炉に連続的に供給し、クラッド径が100
μmとなるように線引きし、光ファイバ基体とした。こ
のときのコア径は50μmであった。
【0062】一方、硬化後にショア硬度D77、屈折率
1.460となる紫外線硬化型弗化アクリレート樹脂用
の硬化性組成物を、0.1μmのフィルタで濾過させて
コーティングダイへと供給する。
【0063】線引きされた光ファイバ基体の表面に、コ
ーティングダイの硬化性組成物を塗布させた後、続い
て、360nmの中心波長を有する紫外線ランプからの
光を照射させて硬化させ、ローラによってボビン上に一
定速度で巻取り、ポリマ被覆層の外径が125μmであ
る裸光ファイバを製造した。得られた裸光ファイバは、
開口数(NA)が0.20、ポリマ被覆層の外径の偏差
が1%、非円率が0.8%のものであった。
【0064】得られた裸光ファイバに、1次被覆用の紫
外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂の2種(それぞれ
軟質、硬質)をそれぞれ外径250μm及び400μm
となるように塗布及び硬化させ、さらに、2次被覆用の
ナイロン12を外径900μmとなるように溶融被覆さ
せて、光ファイバ心線とした。この心線を外径4mmの
ポリマシース層で覆い、光ファイバコードとした。得ら
れた光ファイバコードの850nmにおける伝送損失及
び伝送帯域の値は、それぞれ2.7dB/km、250
MHz・kmであり、伝送損失及び伝送帯域ともに優れ
た光ファイバであった。
【0065】得られた光ファイバコードの端部について
1次被覆までの外層を除去して外径125μmの裸光フ
ァイバとし、この裸光ファイバ部分に、PCF用圧着型
コネクタ((株)東芝製;モデルTOCP101QK;
クラッド径230μm用)と同一構造で、クラッド径1
25μm用に改造したコネクタを、ポリマ被覆層のみを
かしめて圧着させ、コネクタから突出しているファイバ
端部分をファイバカッターにて応力破断させ、端面出し
を行った。
【0066】コネクタを取付けた光ファイバの軸ずれ量
は平均1.8μmと小さく、圧着による光ファイバの損
傷はなく、フェルールかしめ損失は0.10dBと小さ
く、さらに、鏡面面積比率は平均82%と高く、優れた
ものであった。
【0067】[実施例2〜6及び比較例1〜5]表1、
表2に示す条件となるように、線引き条件、硬質ポリマ
の種類、その被覆条件を変えた以外は、実施例1と同様
にして光ファイバコードを作製した。さらに、同様にし
て圧着型コネクタを取付けて評価した。その結果は表
1、表2のとおりであった。
【0068】表1、2に示されるように、実施例2〜6
の場合は、実施例1と同様に、伝送損失及び伝送帯域が
ともに優れ、しかも、かしめによるコネクタ取付けによ
っても軸整合の精度が高く、光ファイバの損傷がなく、
かしめ損失も小さく、しかも、切断端面の鏡面性も優れ
たものであった。
【0069】これに対し、比較例1、5は硬質ポリマの
ショア硬度が低いので軸ずれ量が大きく、かしめ損失が
大きく、さらに、鏡面面積比率が小さかった。また、熱
可塑性弗化アクリレート樹脂を用いた比較例2、3の場
合、鏡面面積比率が小さく、さらに、クラッド径125
μm、ポリマ被覆層径140μmの比較例3では伝送損
失、かしめ損失は問題とならない水準であったが、クラ
ッド径100μm、ポリマ被覆層径125μmと細くし
た比較例2では伝送損失、かしめ損失が悪化し、問題で
あった。さらに、比較例4の場合、ポリマ被覆層の厚み
が薄過ぎるので、圧着によるファイバの損傷を防止でき
ず、かしめ損失も大きかった。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、ポリマ被覆層を形成し
た石英GI型裸光ファイバの径を128μm以下と細く
しても、伝送損失も伝送帯域もともに優れ、しかも、圧
着型コネクタを十分な圧着力となるようにかしめ圧着さ
せてもファイバ割れや欠けが発生せず、圧着による損失
が小さくコアの軸整合の精度が高く接続損失を低くする
ことができる。
【0073】従って、石英GI型の広帯域光ファイバ
(心線、コード)でも、光ファイバ特性に悪影響を及ぼ
すことなしに圧着コネクタを取付けることが可能とな
る。
【0074】また、規格化されている既存の石英GI型
光ファイバと同じ外径の裸ファイバとしても、優れた特
性のコネクタ付き光ファイバ心線、コードとすることが
できるので、既存の石英GI型光ファイバとの接合が容
易であって、互換性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の屈折率分布型光ファイバ心線の一例を
模式的に示す横断面図である。
【図2】従来の石英GI型光ファイバ心線を模式的に示
す横断面図である。
【図3】本発明でポリマ被覆層に用いた硬質ポリマのシ
ョア硬度とダイナミック硬さとの相関関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1:屈折率分布を有する石英ガラスからなるコア、 2:石英系ガラスからなるクラッド、 3:硬質ポリマからなるポリマ被覆層、 4:1次被覆層、 5:2次被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 哲也 愛知県名古屋市西区堀越1丁目1番1号 東レ株式会社愛知工場内 Fターム(参考) 2H050 AA11 AB03Z AC05 AC06 AC36 AC71 AC72 AC76 AD01 BB07Q BB08Q BC04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屈折率分布を有する石英系ガラスからなる
    コア、該コアの外周に密着して設けられた石英系ガラス
    からなるクラッド、該クラッドの外周に密着して設けら
    れたポリマ被覆層から構成される屈折率分布型光ファイ
    バであって、前記ポリマ被覆層が、D55以上のショア
    硬度を有する紫外線硬化された硬質ポリマからなり、か
    つ、厚さが5μm以上であることを特徴とする広帯域光
    ファイバ。
  2. 【請求項2】ポリマ被覆層の外径が128μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の広帯域光ファイバ。
  3. 【請求項3】硬質ポリマが、屈折率1.50以上でかつ
    弗素原子を含まない紫外線硬化型アクリレート系樹脂で
    あることを特徴とする請求項1記載の広帯域光ファイ
    バ。
  4. 【請求項4】ポリマ被覆層の厚さが5〜15μmである
    ことを特徴とする請求項1記載の広帯域光ファイバ。
  5. 【請求項5】コアの屈折率分布パラメータαが1.8〜
    2.2であることを特徴とする請求項1記載の広帯域光
    ファイバ。
  6. 【請求項6】コアの最大屈折率n1及びクラッドの屈折
    率n2から次式、 NA=(n1 2−n2 21/2 により求められる開口数(NA)が0.30以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の広帯域光ファイバ。
  7. 【請求項7】開口数(NA)が0.18〜0.29であ
    ることを特徴とする請求項6記載の広帯域光ファイバ。
  8. 【請求項8】コアの径が65.5μm以下、クラッドの
    外径が118μm以下であることを特徴とする請求項2
    記載の広帯域光ファイバ。
  9. 【請求項9】コアの径が50±3μmあるいは62.5
    ±3μm、クラッドの外径が97〜118μm、かつ、
    ポリマ被覆層の外径が125±3μmであること特徴と
    する請求項8記載の広帯域光ファイバ。
  10. 【請求項10】請求項1記載の広帯域光ファイバのポリ
    マ被覆層の外周に密着させて、1又は複数の層からなる
    1次被覆層を設け、さらにその外周に2次被覆層を密着
    させて設けてなる光ファイバ心線であって、かつ、1次
    被覆層のうちの少なくとも最内層が軟質ポリマからなる
    ことを特徴とする広帯域光ファイバ心線。
  11. 【請求項11】請求項10記載の広帯域光ファイバ心線
    の外周にポリマシース層を設けてなることを特徴とする
    広帯域光ファイバコード。
  12. 【請求項12】請求項10記載の広帯域光ファイバ心線
    の片端又は両端に、1次被覆層及び2次被覆層を剥し、
    かつポリマ被覆層を剥さない状態で圧着コネクタが取付
    けられてなることを特徴とするコネクタ付き光ファイバ
    心線。
  13. 【請求項13】請求項11記載の広帯域光ファイバコー
    ドの片端又は両端に、1次被覆層、2次被覆層及びポリ
    マシース層を剥し、かつポリマ被覆層を剥さない状態で
    圧着コネクタが取付けられてなることを特徴とするコネ
    クタ付き光ファイバコード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1862825A1 (en) * 2005-03-24 2007-12-05 The Furukawa Electric Co., Ltd. Light transmitting body and optical interconnection system
JP2008026903A (ja) * 2006-07-20 2008-02-07 Furukawa Electric North America Inc クリンプおよびクリーブコネクタ用の拡張帯域光ファイバ

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