JP2003306158A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

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JP2003306158A
JP2003306158A JP2002112273A JP2002112273A JP2003306158A JP 2003306158 A JP2003306158 A JP 2003306158A JP 2002112273 A JP2002112273 A JP 2002112273A JP 2002112273 A JP2002112273 A JP 2002112273A JP 2003306158 A JP2003306158 A JP 2003306158A
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Japan
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steering
angular velocity
signal
velocity signal
steering angular
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JP2002112273A
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English (en)
Inventor
Shigeki Nagase
茂樹 長瀬
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動パワーステアリング装置における粘性補
償電流を不必要に増大させることなく舵抜け感の発生を
防止する。 【解決手段】 粘性補償部において、HPF102とL
PF104によりゲイン曲線がヨーレートの共振周波数
近傍でピークを持つ周波数特性のフィルタ部110は、
ヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分が強調された
操舵角速度信号ωcを生成する。一方、不感帯処理信号
生成部120は、入力操舵角速度信号ωの値が0近傍の
所定範囲内であるときには“0”となり、当該所定範囲
外であるときには“1”となる不感帯処理信号Dωを生
成する。乗算器130は、フィルタ処理後の操舵角速度
信号ωcと不感帯処理信号Dωとの乗算により、粘性補
償用の操舵角速度信号ωvを生成する。粘性補償電流演
算部140は、粘性補償用の操舵角速度信号ωvと車速
信号Vsとに応じて粘性補償電流値Ivcを決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両操舵のための
操作に応じて電動モータを駆動することにより当該車両
のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワース
テアリング装置に関し、更に詳しくは、そのような電動
パワーステアリング装置における粘性補償制御に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、運転者がハンドル(ステアリ
ングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータ
を駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を
与える電動パワーステアリング装置が用いられている。
この電動パワーステアリング装置では、操舵のための操
作手段であるハンドルに加えられる操舵トルクを検出す
るトルクセンサが設けられており、そのトルクセンサで
検出される操舵トルクに基づき電動モータに流すべき電
流の目標値としての電流指令値が設定される。そして、
この電流指令値と電動モータに実際に流れる電流値との
偏差に基づき、電動モータの駆動手段に与えるべき電圧
指令値が生成される。電動モータの駆動手段は、例え
ば、その電圧指令値に応じたデューティ比のパルス幅変
調信号(PWM信号)を生成するPWM信号生成回路
と、そのPWM信号のデューティ比に応じてオン/オフ
するパワートランジスタを用いて構成されるモータ駆動
回路とから成り、そのデューティ比に応じた電圧すなわ
ち電圧指令値に応じた電圧を電動モータに印加する。こ
の電圧印加によって電動モータに流れる電流は電流検出
器によって検出され、この検出値と上記電流指令値との
差が上記電圧指令値を生成するための偏差として使用さ
れる。電動パワーステアリング装置では、このようにし
て、操舵トルクに基づき設定される目標値(電流指令
値)の電流が電動モータに流れるようにフォードバック
制御が行われる。
【0003】また、上記のような電動パワーステアリン
グ装置においては、走行時の車両挙動の収斂性を確保す
るために粘性補償制御(「ダンピング制御」とも呼ばれ
る)が従来より行われている。この粘性補償制御では、
操舵角速度と粘性補償電流との関係を与えるテーブル
(「粘性補償電流マップ」と呼ばれる)を予め設定して
おき、その粘性補償電流マップに基づき各時点の操舵角
速度に応じた粘性補償電流値をモータに流すべき電流値
に対する補正量として決定するという方式が採用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の旋回
速度は、車速および舵角が同じであってもハンドルを切
る速度すなわち操舵角速度によって変化する。これは、
舵角に対するヨーレート出力が周波数特性を有している
ことを意味する。このような舵角に対するヨーレート出
力の周波数特性を示すゲイン曲線がピークを有する場
合、そのピークに対応する周波数(以下「ヨーレートの
共振周波数」といい、例えば約1〜2Hzである)に相
当する操舵角速度でハンドル操作が行われると、そのハ
ンドル操作において手応えが無くなるという現象が生じ
る。すなわち、ヨーレートの共振周波数付近では舵抜け
感が生じるという問題がある。これに対し、粘性補償電
流の値を増大させることにより、このような舵抜け感の
発生を抑えることができる。しかし、この方法は、粘性
補償電流を必要以上に増大させることになるので、操舵
フィーリングを悪化させるという問題を有している。
【0005】そこで本発明では、粘性補償電流を不必要
に増大させることなく舵抜け感が生じないようにした電
動パワーステアリング装置を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の
発明は、車両操舵のための操作手段による操作に応じて
電動モータを駆動することにより当該車両のステアリン
グ機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装
置であって、前記操作手段による操作量の変化速度を示
す操舵角速度信号に基づき、前記電動モータに流すべき
電流を前記車両挙動の収斂性を確保するために補正する
粘性補償手段を備え、前記粘性補償手段は、前記操作量
を示す舵角に対する前記車両のヨーレート出力の周波数
特性に応じて、前記操舵角速度信号における特定の周波
数成分を強調する信号強調手段と、前記信号強調手段に
よって前記特定の周波数成分が強調された前記操舵角速
度信号に応じて、前記粘性補償手段によって補正すべき
前記電流の補正量である粘性補償電流値を決定する粘性
補償電流演算手段とを含むことを特徴とする。
【0007】このような第1の発明によれば、舵角に対
するヨーレート出力の周波数特性に応じて特定の周波数
成分の強調された操舵角速度信号が得られ、その操舵角
速度信号に応じて粘性補償電流値が決定される。ところ
で、繰り返し操舵が行われた場合には、舵角の変化は操
舵角速度の変化にも現れる(図5参照)。したがって、
この場合において、ヨーレートの共振周波数近傍の周波
数に相当する速度でハンドル操作が行われたときには従
来よりも粘性補償電流値が増大し、ヨーレートの共振周
波数から離れた周波数に相当する速度でハンドル操作が
行われたときには粘性補償電流値は従来と同様となる。
これにより、粘性補償電流値を不必要に増大させること
なく舵抜け感の発生を防止することができる。
【0008】第2の発明は、第1の発明において、前記
信号強調手段は、前記操作量の変化速度を示す操舵角速
度信号のうち前記ヨーレートの共振周波数近傍の周波数
成分を強調することを特徴とする。
【0009】このような第2の発明によれば、ヨーレー
トの共振周波数近傍の周波数成分が強調された操舵角速
度信号が得られ、その操舵角速度信号に応じて粘性補償
電流値が決定される。したがって、繰り返し操舵が行わ
れた場合において、ヨーレートの共振周波数近傍の周波
数に相当する速度でハンドル操作が行われたときには従
来よりも粘性補償電流値が増大し、ヨーレートの共振周
波数から離れた周波数に相当する速度でハンドル操作が
行われたときには粘性補償電流値は従来と同様となる。
これにより、粘性補償電流値を不必要に増大させること
なく舵抜け感の発生を防止することができる。
【0010】第3の発明は、第2の発明において、前記
信号強調手段は、高域通過フィルタと低域通過フィルタ
とを縦続接続してなるフィルタ手段であって、前記ヨー
レートの共振周波数または当該共振周波数近傍において
ピークを持つ周波数特性を有するフィルタ手段を含み、
前記粘性補償電流演算手段は、前記フィルタ手段を通過
した後の前記操舵角速度信号に応じて前記粘性補償電流
値を決定することを特徴とする。
【0011】このような第3の発明によれば、フィルタ
手段によってヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分
の強調された操舵角速度信号が得られ、その操舵角度信
号に応じて粘性補償電流値が決定されるので、第2の発
明と同様、粘性補償電流値を不必要に増大させることな
く舵抜け感の発生を防止することができる。
【0012】第4の発明は、第3の発明において、前記
信号強調手段は、前記フィルタ手段を通過する前の前記
操舵角速度信号の絶対値がゼロ近傍の所定値よりも小さ
いときに、前記フィルタ手段を通過した後の前記操舵角
速度信号の値を強制的にゼロとする不感帯処理を施す不
感帯処理手段を含み、前記粘性補償電流演算手段は、前
記不感帯処理の施された前記操舵角速度信号に応じて前
記粘性補償電流値を決定することを特徴とする。
【0013】このような第4の発明によれば、フィルタ
手段における高域通過フィルタによりフィルタ手段通過
後の操舵角速度信号において生じうる不要な信号変化部
分を、不感帯処理によって除去することができる。
【0014】第5の発明は、第1から第4までの発明の
いずれかにおいて、前記信号強調手段は、前記車両の速
度に応じて前記操舵角速度信号における前記特定の周波
数成分の強調度合いを調整することを特徴とする。
【0015】このような第5の発明によれば、操舵角速
度信号におけるヨーレートの共振周波数に対応する周波
数成分の強調度合いが車両の速度に応じて調整されるの
で、ヨーレート出力の周波数特性の車速への依存性が粘
性補償電流値の決定に反映される。これにより、舵抜け
感の発生をより確実に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明する。 <1.全体構成>図1は、本発明の一実施形態に係る電
動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車
両構成と共に示す概略図である。この電動パワーステア
リング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル
(ステアリングホイール)100に一端が固着されるス
テアリングシャフト102と、そのステアリングシャフ
ト102の他端に連結されたラックピニオン機構104
と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフ
ト102に加えられる操舵トルクを検出するトルクセン
サ3と、ハンドル操作(操舵操作)における運転者の負
荷を軽減するための操舵補助力を発生させる電動モータ
6と、そのモータ6の発生する操舵補助力をステアリン
グシャフト102に伝達する減速ギヤ7と、車載バッテ
リ8から電源の供給を受けてトルクセンサ3や車速セン
サ4からのセンサ信号に基づきモータ6の駆動を制御す
る電子制御ユニット(ECU)5とを備えている。この
ような電動パワーステアリング装置を搭載した車両にお
いて運転者がハンドル100を操作すると、その操作に
よる操舵トルクがトルクセンサ3によって検出され、そ
の操舵トルクを示す操舵トルク信号Tsと車速センサに
よって検出された車速を示す車速信号Vsとに基づき、
ECU5によりモータ6が駆動される。これによりモー
タ6は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速ギヤ
7を介してステアリングシャフト102に加えられるこ
とにより、操舵操作における運転者の負荷が軽減され
る。すなわち、ハンドル操作によって加えられる操舵ト
ルクとモータ6の発生する操舵補助力によるトルクとの
和が、出力トルクTbとして、ステアリングシャフト1
02を介してラックピニオン機構104に与えられる。
これによりピニオン軸が回転すると、その回転がラック
ピニオン機構104によってラック軸の往復運動に変換
される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナックルア
ームから成る連結部材106を介して車輪108に連結
されており、ラック軸の往復運動に応じて車輪108の
向きが変わる。
【0017】<2.制御装置の構成>図2は、上記電動
パワーステアリング装置におけるECU5のハードウェ
ア構成を示すブロック図である。ECU5は、マイクロ
コンピュータ(以下「マイコン」という)10と、PW
M信号生成回路32と、モータ駆動回路34と、電流検
出器36と、電圧検出器37とから構成され、マイコン
10には、トルクセンサ3から操舵トルク信号Tsが、
車速センサ4から車速信号Vsがそれぞれ入力される。
このECU5において、電流検出器36は、モータ6に
供給される電流すなわちモータ電流を検出して、その検
出結果を電流検出値Imとして出力し、電圧検出器37
は、モータ6の端子間電圧を検出して、その検出結果を
電圧検出値Vmとして出力する。これら電流検出値Im
および電圧検出値Vmも、マイコン10に入力される。
マイコン10は、その内部のメモリに格納されたプログ
ラムを実行することによりモータ制御部として機能す
る。すなわち、操舵トルク信号Ts、車速信号Vs、電
流検出値Imおよび電圧検出値Vmに基づき、モータ6
が操舵トルクおよび車速に応じて適切な操舵補助力を発
生させるようにモータ6に印加すべき電圧の値である電
圧指令値Vdを算出する。PWM信号生成回路32は、
その電圧指令値Vdに応じてデューティ比の変化するP
WM信号を生成し、モータ駆動回路34に供給する。モ
ータ駆動回路34は、スイッチング素子としての複数個
のパワートランジスタを用いて構成され、それらのスイ
ッチング素子は、PWM信号生成回路32で生成された
PWM信号によってオン/オフされる。これにより、モ
ータ駆動回路34は、電圧指令値Vdに応じた電圧を発
生させ、これをモータ6に印加する。
【0018】図3は、上記ECU5の機能的構成を示す
ブロック図である。ECU5は、機能面から見ると、位
相補償部12と、微分器14と、アシスト電流設定部1
6と、粘性補償部18と、慣性補償部20と、過熱保護
部22と、電流指令値演算部24と、電流リミッタ26
と、フィードバック制御部30とから構成される。これ
らの構成要素は、マイコン10によって実行されるソフ
トウェアとモータ駆動回路34等のハードウェアとによ
って実現される。
【0019】上記ECU5において、トルクセンサ3か
ら入力される操舵トルク信号Tsは、位相補償部12に
より位相補償が施された後、アシスト電流設定部16に
入力される。また、車速センサ4から入力される車速信
号Vsは、アシスト電流設定部16に入力されると共
に、粘性補償部18および慣性補償部20に入力され
る。さらに、ECU5では、電圧検出値Vmおよび電流
検出値Imに基づき、モータ6の回転角速度を示す信号
である回転角速度信号ωmが算出され、この回転角速度
信号ωmは、粘性補償部18に入力されると共に、微分
器14によって微分され、回転角加速度信号dωm/d
tとして慣性補償部20に入力される。さらにまた、電
流検出値Imは、過熱保護部22およびフィードバック
制御部30に入力される。
【0020】アシスト電流設定部16は、操舵トルク信
号Tsと車速信号Vsとに基づき、適切な操舵補助力を
発生させるためにモータ6に供給すべき電流値であるア
シスト電流値Iaを算出する。具体的には、適切な操舵
補助力を発生させるためにモータ6に供給すべきアシス
ト電流の値と操舵トルクとの関係を車速に応じて示すテ
ーブル(「アシストテーブル」と呼ばれる)がアシスト
電流設定部16内に予め保持されており、このアシスト
テーブルを参照してアシスト電流値Iaを決定する。ま
た、粘性補償部18は、車両挙動の収斂性を確保すべ
く、操舵補助力に相当するアシストトルクと逆方向のト
ルクを発生させるための粘性補償電流値Ivcを算出す
る。さらにまた、慣性補償部20は、モータ6自体やモ
ータ6に接続された減速ギヤ7等の慣性のアシストトル
ク(操舵補助力)への影響を除去するためにアシスト電
流値Iaに加算すべき慣性補償電流値Iicを算出する。
【0021】このようにして得られたアシスト電流値I
a、粘性補償電流値Ivc、および慣性補償電流値Iicは
電流指令値演算部24に入力され、電流指令値演算部2
4は、これらの電流値Ia、Ivc、Iicから、モータ6
に供給すべき電流の値である電流指令値Idを算出す
る。
【0022】一方、過熱保護部22は、モータ電流の積
算による過熱からモータ駆動回路34やモータ6を保護
するために、電流検出値Imに基づきモータ電流の制限
値Ilimを決定する。この制限値Ilimは電流リミッタ2
6に入力され、電流リミッタ26は、電流指令値演算部
24によって算出された電流指令値Idがその制限値I
limを越えないようにリミッタ処理を行う。このリミッ
タ処理後の電流指令値(以下、単に「電流指令値」とい
う)Idlはフィードバック制御部30に入力される。
【0023】フィードバック制御部30は、マイコン1
0が実行する前記ソフトウェアとPWM信号生成回路3
2およびモータ駆動回路34等のハードウェアとによっ
て実現され、電流指令値Idlに等しい電流がモータ6に
流れるようにフィードバック制御を行う。すなわち、電
流指令値Idlと電流検出値Imとの偏差に基づく制御演
算(通常は比例積分演算)によって電圧指令値Vdを算
出し、その電圧指令値Vdに応じたデューティ比のPW
M信号を生成する。そして、フィードバック制御部30
におけるモータ駆動回路34のスイッチング素子をその
PWM信号によってオン/オフさせることで、電圧指令
値Vdに応じた電圧を生成し、これをモータ駆動信号と
してモータ6に印加する。このような電圧印加によって
モータ6に電流が流れ、モータ6はこの電流に応じたト
ルクを発生する。このときのモータ電流は、既述のよう
に電流検出器36によって検出され、その検出結果であ
る電流検出値Imを用いて上記制御演算が行われる。
【0024】<3.粘性補償部の構成>図4は、上記E
CU5における粘性補償部18の構成を示すブロック図
である。この粘性補償部18は、フィルタ部110と、
不感帯処理信号生成部120と、乗算器130と、粘性
補償電流演算部140とを備えている。既述のように、
この粘性補償部18にはモータ6の回転角速度信号ωm
が入力されるが、この回転角速度信号ωmの示す角速度
は、減速ギヤ7の減速比による違いを除けば操舵角速度
と同一視できるので、その回転角速度信号ωmは、操舵
角速度信号ωとしてフィルタ部110および不感帯処理
信号生成部120に入力される。
【0025】フィルタ部110は、舵角を示す信号のう
ちヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分を強調する
ために導入された構成要素であって、舵角に対するヨー
レート出力の周波数特性に応じた周波数特性を持つよう
に、すなわち、ヨーレートの共振周波数またはその近傍
においてピークを持つ周波数特性を有するように、図6
に示すボード線図(ゲイン曲線(a)および位相曲線
(b))に相当する伝達関数を持つ構成とされる。とこ
ろで、ハンドル100が左右方向に交互に切られるよう
な繰り返し操舵が行われる場合には、図5に示すよう
に、舵角の変化は操舵角速度ωの変化にも現れる。そこ
で本実施形態では、上述のようにフィルタ部110には
操舵角速度信号ωが入力され、フィルタ部110は、そ
の操舵角速度信号ωのうちヨーレートの共振周波数近傍
の周波数成分が強調されるような周波数特性を有するよ
うに、As/(1+Bs)という伝達関数で表現される
高域通過フィルタ(以下「HPF」という)102に、
1/(1+Cs)という伝達関数で表現される低域通過
フィルタ(以下「LPF」という)が縦続接続された構
成となっている。そして、フィルタ部110の伝達関数
が図6のボード線図に相当する伝達関数にほぼ等しくな
るように、HPF102の伝達関数における定数A、B
およびLPF104の伝達関数における定数Cが設定さ
れる。例えば、定数A、B、Cとして次のような値が設
定される。A=1、B=1、C=0.0227
【0026】上記のような周波数特性を有するフィルタ
部110を通過した後の操舵角速度信号(以下「フィル
タ処理後の操舵角速度信号」といい、符号“ωc”で表
現するものとする)は、乗算器130に入力される。
【0027】一方、不感帯処理信号生成部120は、そ
れに入力された操舵角速度信号ωに基づき、上記フィル
タ処理後の操舵角速度信号ωcに対して不感帯処理を施
すための信号を生成する。すなわち、不感帯処理信号生
成部120は、その操舵角速度信号ωが0近傍の所定範
囲内の値、例えば−ε<ω<ε(εは予め決められた比
較的小さな正の値であり、以下において「不感帯処理用
閾値」という)であるときには、“0”を出力し、その
操舵角速度信号ωが0近傍の所定範囲を外れた値、例え
ば|ω|≧εであるときには、“1”を出力する。この
ような不感帯処理信号生成部120からの出力信号は、
不感帯処理信号Dωとして乗算器130に入力される。
【0028】乗算器130は、上記フィルタ処理後の操
舵角速度信号ωcと不感帯処理信号Dωとを乗算し、そ
の乗算結果を粘性補償用の操舵角速度信号ωvとして出
力する。すなわち乗算器130は、粘性補償部18に入
力された操舵角速度信号ωの絶対値が不感帯処理用閾値
εよりも小さいときに上記フィルタ処理後の操舵角速度
信号ωcを強制的に“0”とする不感帯処理の施された
操舵角速度信号を、粘性補償用の操舵角速度信号ωvと
して出力する。
【0029】この粘性補償用の操舵角速度信号ωvは、
粘性補償電流演算部140に入力される。粘性補償電流
演算部140は、この粘性補償用の操舵角速度信号ωv
と車速センサ4からの車速信号Vsとに基づき、粘性補
償電流値Ivcを算出する。具体的には、粘性補償電流演
算部140は、車両挙動の収斂性を確保するための適切
な粘性補償電流値と操舵角速度との関係を車速をパラメ
ータとして示すテーブルを粘性補償マップとして内部に
予め保持しており、この粘性補償マップを参照すること
により、粘性補償用の操舵角速度信号ωvおよび車速信
号Vsに応じた粘性補償電流値Ivcを決定する。この粘
性補償電流値Ivcは、既述のように、電流指令値演算部
24に入力され、そこで粘性補償電流値Ivcを反映させ
た電流指令値Idが算出される。
【0030】<4.粘性補償部の動作>上記のように構
成された粘性補償部18において、フィルタ部110
は、ヨーレートの共振周波数またはその近傍においてピ
ークを持つ周波数特性(図6(a)のゲイン曲線参照)
を有しているので、このフィルタ部110を操舵角速度
信号ωが通過することにより、その操舵角速度信号ωの
うちヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分が強調さ
れる。すなわち、フィルタ処理後の操舵角速度信号ωc
として、ヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分が強
調された操舵角速度信号が得られる。ただし、フィルタ
部110がHPF102を含んでいることから、フィル
タ処理後の操舵角速度信号ωcには、アンダーシュート
等の不要な信号変化が現れることがある。例えば、粘性
補償部18に入力される操舵角速度信号(以下、「入力
操舵角速度信号」という)ωの波形が図7(a)に示す
ような波形である場合、フィルタ処理後の操舵角速度信
号ωcには、図7(b)に示すように、アンダーシュー
トに相当する不要な変化部分w1が現れる。
【0031】しかし、上記の粘性補償部18では、不感
帯処理信号生成部120によって入力操舵角速度信号ω
から不感帯処理信号Dωが生成され、この不感帯処理信
号Dωと上記フィルタ処理後の操舵角速度信号ωcとが
乗算されることにより、粘性補償用の操舵角速度信号ω
vが得られる。したがって、入力操舵角速度信号ωの波
形が図7(a)に示すような波形である場合、不感帯処
理用閾値を例えばε=0.2とすると、不感帯処理信号
Dωは、時刻1[s]から2[s]までの期間でのみ
“1”となり、その他の期間では“0”となるので、粘
性補償用の操舵角速度信号ωvの波形は、図7(c)に
示すようになる。すなわち、フィルタ処理後の操舵角速
度信号ωcに含まれていた不要な変化部分w1は、粘性
補償用の操舵角速度信号ωvでは除去される。そして、
その粘性補償用の操舵角速度信号ωvに基づき、粘性補
償電流演算部140により粘性補償電流値Ivcが決定さ
れる。
【0032】<5.効果>上記のような本実施形態によ
れば、ヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分が強調
された操舵角速度信号ωcが生成され、その操舵角速度
信号ωcに基づいて粘性補償電流値Ivcが決定される。
このため、繰り返し操舵を前提とすると、ヨーレートの
共振周波数近傍の周波数に相当する速度でハンドル操作
が行われた場合には、従来よりも粘性補償電流値Ivcが
増大するので、モータ6が発生する操舵補助力がそれに
応じて低減される。一方、ヨーレートの共振周波数から
離れた周波数に相当する速度でハンドル操作が行われた
場合には、粘性補償電流値Ivcは従来と同様の値とな
る。したがって、粘性補償電流値を不必要に増大させる
ことなく、ヨーレートの共振周波数に起因する舵抜け感
の発生を防止することができる。
【0033】なお、操舵角速度信号ωにおいてヨーレー
トの共振周波数近傍の周波数成分を強調する手段とし
て、本実施形態のようにHPF102とLPF104と
からなるフィルタ部110を使用した場合には、フィル
タ処理後の操舵角速度信号ωcに、アンダーシュート等
に相当する不要な信号変化部分が現れることがある。し
かし、この変化部分は、フィルタ処理後の操舵角速度信
号ωcに不感帯処理信号Dωを乗算するという不感帯処
理によって除去されるので、粘性補償電流値Ivcには影
響を与えない。
【0034】<6.変形例>上記実施形態では、操舵角
速度信号ωにおいてヨーレートの共振周波数近傍の周波
数成分を強調するために、HPF102とLPF104
とからなるフィルタ部110が使用されているが、本発
明はこれに限定されるものではなく、他の信号強調手段
によってヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分が強
調された操舵角速度信号を生成し、その操舵角速度信号
に応じて粘性補償電流値を決定するようにしてもよい。
なお、ヨーレートの共振周波数近傍の周波数成分を強調
するための信号強調手段を上記のフィルタ部110以外
の構成により実現した場合、不感帯処理信号Dωによる
不感帯処理は必ずしも必要ではない。
【0035】ところで、舵角に対するヨーレート出力の
周波数特性は車速によって変化し、車速が大きくなるに
したがって共振周波数でのヨーレートの値は大きくな
る。したがって、フィルタ部110等の信号強調手段に
より、操舵角速度信号ωにおけるヨーレートの共振周波
数近傍の周波数成分の強調を車速に応じて行うようにす
るのが好ましい。すなわち、車速が大きくなるにしたが
って当該周波数成分の強調度合いが大きくなるように、
例えばフィルタ部110におけるHPF102およびL
PF104の伝達関数の定数A、B、Cを車速信号Vs
に応じて変更する構成とするのが好ましい。このように
操舵角速度信号ωにおける上記周波数成分の強調度合い
が車速に応じて調整されると、ヨーレート出力の周波数
特性の車速への依存性が粘性補償電流値の決定に反映さ
れることになるので、より確実に舵抜け感の発生を防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリ
ング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概
略図である。
【図2】上記実施形態に係る電動パワーステアリング装
置における制御装置であるECUのハードウェア構成を
示すブロック図である。
【図3】上記実施形態に係る電動パワーステアリング装
置におけるECUを機能的観点から見た構成を示すブロ
ック図である。
【図4】上記実施形態における粘性補償部の構成を示す
ブロック図である。
【図5】繰り返し操舵が行われた場合における舵角の変
化と操舵角速度の変化との関係を示す信号波形図であ
る。
【図6】上記実施形態における粘性補償部に設けられた
フィルタ部の周波数応答を表すボード線図(ゲイン曲線
および位相曲線)である。
【図7】上記実施形態における粘性補償部の動作を説明
するための信号波形図である。
【符号の説明】
3 …トルクセンサ 4 …車速センサ 5 …電子制御ユニット(ECU) 6 …モータ 16 …アシスト電流設定部 18 …粘性補償部 24 …電流指令値演算部 30 …フィードバック制御部 32 …PWM信号生成回路 34 …モータ駆動回路 36 …電流検出器 37 …電圧検出器 102…高域通過フィルタ(HPF) 104…低域通過フィルタ(LPF) 120…不感帯処理信号生成部 130…乗算器 140…粘性補償電流演算部 Ts …操舵トルク信号 Vs …車速信号 Im …電流検出値 Vm …電圧検出値 Ia …アシスト電流値 Ivc …粘性補償電流値 Id …電流指令値 Idl …(リミッタ処理後の)電流指令値 Vd …電圧指令値 ωc …フィルタ処理後の操舵角速度信号 ωv …粘性補償用の操舵角速度信号 Dω …不感帯処理信号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両操舵のための操作手段による操作に
    応じて電動モータを駆動することにより当該車両のステ
    アリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリ
    ング装置であって、 前記操作手段による操作量の変化速度を示す操舵角速度
    信号に基づき、前記電動モータに流すべき電流を前記車
    両挙動の収斂性を確保するために補正する粘性補償手段
    を備え、 前記粘性補償手段は、 前記操作量を示す舵角に対する前記車両のヨーレート出
    力の周波数特性に応じて、前記操舵角速度信号における
    特定の周波数成分を強調する信号強調手段と、 前記信号強調手段によって前記特定の周波数成分が強調
    された前記操舵角速度信号に応じて、前記粘性補償手段
    によって補正すべき前記電流の補正量である粘性補償電
    流値を決定する粘性補償電流演算手段とを含むことを特
    徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 前記信号強調手段は、前記操作量の変化
    速度を示す操舵角速度信号のうち前記ヨーレートの共振
    周波数近傍の周波数成分を強調することを特徴とする、
    請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 前記信号強調手段は、高域通過フィルタ
    と低域通過フィルタとを縦続接続してなるフィルタ手段
    であって、前記ヨーレートの共振周波数または当該共振
    周波数近傍においてピークを持つ周波数特性を有するフ
    ィルタ手段を含み、 前記粘性補償電流演算手段は、前記フィルタ手段を通過
    した後の前記操舵角速度信号に応じて前記粘性補償電流
    値を決定することを特徴とする、請求項2に記載の電動
    パワーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 前記信号強調手段は、前記フィルタ手段
    を通過する前の前記操舵角速度信号の絶対値がゼロ近傍
    の所定値よりも小さいときに、前記フィルタ手段を通過
    した後の前記操舵角速度信号の値を強制的にゼロとする
    不感帯処理を施す不感帯処理手段を含み、 前記粘性補償電流演算手段は、前記不感帯処理の施され
    た前記操舵角速度信号に応じて前記粘性補償電流値を決
    定することを特徴とする、請求項3に記載の電動パワー
    ステアリング装置。
  5. 【請求項5】 前記信号強調手段は、前記車両の速度に
    応じて、前記操舵角速度信号における前記特定の周波数
    成分の強調度合いを調整することを特徴とする、請求項
    1から4までのいずれか1項に記載の電動パワーステア
    リング装置。
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