JP2003301002A - キトサンを基材とした複合型糖鎖多価結合体 - Google Patents
キトサンを基材とした複合型糖鎖多価結合体Info
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- JP2003301002A JP2003301002A JP2002106001A JP2002106001A JP2003301002A JP 2003301002 A JP2003301002 A JP 2003301002A JP 2002106001 A JP2002106001 A JP 2002106001A JP 2002106001 A JP2002106001 A JP 2002106001A JP 2003301002 A JP2003301002 A JP 2003301002A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 インフルエンザウィルスの持つ赤血球凝集素
の阻害によるウィルスの細胞への感染防止等、医薬、医
療へ応用されるアスパラギン結合型シアロ糖タンパク質
糖鎖多価結合キトサン誘導体の製造方法。 【解決手段】 アスパラギン結合型糖タンパク質の糖鎖
部分の還元末端に位置するアルデヒド基をキトサンの少
なくとも1つ以上のアミノ基に還元縮合させた、非還元
末端側にシアリルラクトサミン構造を有する糖タンパク
質糖鎖を多価に結合させたキトサン誘導体を製造する。
の阻害によるウィルスの細胞への感染防止等、医薬、医
療へ応用されるアスパラギン結合型シアロ糖タンパク質
糖鎖多価結合キトサン誘導体の製造方法。 【解決手段】 アスパラギン結合型糖タンパク質の糖鎖
部分の還元末端に位置するアルデヒド基をキトサンの少
なくとも1つ以上のアミノ基に還元縮合させた、非還元
末端側にシアリルラクトサミン構造を有する糖タンパク
質糖鎖を多価に結合させたキトサン誘導体を製造する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複合型糖タンパク質
糖鎖を有するキトサン誘導体に関する。インフルエンザ
ウィルスはその外膜にシアリダーゼと赤血球凝集素を有
し、これらが感染過程において必須となっている。
糖鎖を有するキトサン誘導体に関する。インフルエンザ
ウィルスはその外膜にシアリダーゼと赤血球凝集素を有
し、これらが感染過程において必須となっている。
【0002】NeuAcα2→6Galβ1→4GlcNAc(式1)
(式1)の3糖構造(シアリルラクトサミン)はヒト型イ
ンフルエンザウィルスの赤血球凝集素のレセプター構造
であり、この構造を持つ糖鎖を生体内に導入する事でウ
ィルスの赤血球凝集阻害作用が期待できる。ただし、Ne
uAcはN-アセチルノイラミン酸、 GalはD-ガラクトー
ス、GlcNAcはN-アセチル-D-グルコサミンを示す。
ンフルエンザウィルスの赤血球凝集素のレセプター構造
であり、この構造を持つ糖鎖を生体内に導入する事でウ
ィルスの赤血球凝集阻害作用が期待できる。ただし、Ne
uAcはN-アセチルノイラミン酸、 GalはD-ガラクトー
ス、GlcNAcはN-アセチル-D-グルコサミンを示す。
【0003】
【従来の技術】しかしながら、単体の糖鎖のみを持つ化
合物ではウィルスとの相互作用による充分な阻害効果を
得る事が出来ない。また、(式1)で示した構造を有す
る糖鎖を化学合成により調製する事は保護脱保護の手順
が煩雑で容易ではない。
合物ではウィルスとの相互作用による充分な阻害効果を
得る事が出来ない。また、(式1)で示した構造を有す
る糖鎖を化学合成により調製する事は保護脱保護の手順
が煩雑で容易ではない。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】(式1)で示されるシ
アリルラクトサミン構造を有する糖質を簡便に導きだ
し、これを集合した状態かつ多価でポリマーに縮合する
事で、当モル比の単体より強い生物活性を有した化合物
を導く。
アリルラクトサミン構造を有する糖質を簡便に導きだ
し、これを集合した状態かつ多価でポリマーに縮合する
事で、当モル比の単体より強い生物活性を有した化合物
を導く。
【0005】
【課題を解決しようとする手段】本発明者らは、基材と
なるポリマーとして安価で生理活性の期待できるキトサ
ンを用い、インフルエンザウィルスの赤血球凝集の阻害
部位としては鶏卵黄に比較的大量に含まれるシアル酸含
有糖蛋白質を原料とした誘導体を用いて、これを多価に
ポリマーに縮合付加することで本発明に到達した。本発
明は糖鎖の還元末端側に位置するアルデヒド基がキトサ
ンの少なくとも一つ以上のアミノ基に還元縮合したこと
を特徴とするアスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖含有
キトサン誘導体である。
なるポリマーとして安価で生理活性の期待できるキトサ
ンを用い、インフルエンザウィルスの赤血球凝集の阻害
部位としては鶏卵黄に比較的大量に含まれるシアル酸含
有糖蛋白質を原料とした誘導体を用いて、これを多価に
ポリマーに縮合付加することで本発明に到達した。本発
明は糖鎖の還元末端側に位置するアルデヒド基がキトサ
ンの少なくとも一つ以上のアミノ基に還元縮合したこと
を特徴とするアスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖含有
キトサン誘導体である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず本発明方法の材料となるキトサン、糖タンパク質糖
鎖には何ら制限はない。周知の糖誘導体を使用できる。
糖タンパク質糖鎖としてはNeuAcα2→6Galβ1→4GlcNAc
の3糖構造を有する複合型糖鎖が好ましい。
まず本発明方法の材料となるキトサン、糖タンパク質糖
鎖には何ら制限はない。周知の糖誘導体を使用できる。
糖タンパク質糖鎖としてはNeuAcα2→6Galβ1→4GlcNAc
の3糖構造を有する複合型糖鎖が好ましい。
【0007】本発明は酵素法を併用する。糖タンパク質
をエンド型N-アセチルグルコサミニダーゼ、もしくはN-
グリカナーゼを作用させて糖タンパク質糖鎖を切り出
す、もしくは合成した末端アルデヒド基含有N-アセチル
-D-グルコサミニドもしくは同様のグルコシドに周知の
エンド型N-アセチルグルコサミニダーゼを作用させて糖
鎖を転移付加させ、それぞれをキトサンと縮合を行う事
でアスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖含有キトサン誘
導体へと導く事ができる。
をエンド型N-アセチルグルコサミニダーゼ、もしくはN-
グリカナーゼを作用させて糖タンパク質糖鎖を切り出
す、もしくは合成した末端アルデヒド基含有N-アセチル
-D-グルコサミニドもしくは同様のグルコシドに周知の
エンド型N-アセチルグルコサミニダーゼを作用させて糖
鎖を転移付加させ、それぞれをキトサンと縮合を行う事
でアスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖含有キトサン誘
導体へと導く事ができる。
【0008】酵素糖転移反応における糖受容体としては
アルデヒドを有する還元末端保護基が存在する化合物が
望ましい。直鎖型ホルミルアルキルN-アセチル-D-グル
コサミニド、もしくは同様のグルコシド、並びにp-ホル
ミルフェニルN-アセチル-D-グルコサミニド、もしくは
同様のグルコシドが挙げられる。糖転移反応ではなく、
単純にエンド型酵素にて加水分解反応を行い、得られた
糖鎖の還元末端をそのままキトサンへと縮合する事も可
能である。但しこの場合には活性に問題はないが、還元
末端糖は開裂している。
アルデヒドを有する還元末端保護基が存在する化合物が
望ましい。直鎖型ホルミルアルキルN-アセチル-D-グル
コサミニド、もしくは同様のグルコシド、並びにp-ホル
ミルフェニルN-アセチル-D-グルコサミニド、もしくは
同様のグルコシドが挙げられる。糖転移反応ではなく、
単純にエンド型酵素にて加水分解反応を行い、得られた
糖鎖の還元末端をそのままキトサンへと縮合する事も可
能である。但しこの場合には活性に問題はないが、還元
末端糖は開裂している。
【0009】アルデヒド基を縮合させるキトサンは周知
の物を使用できる。グルコサミンの重合度は高い方が望
ましいが、溶解性の問題も有るのでn=100前後のものが
好ましい。
の物を使用できる。グルコサミンの重合度は高い方が望
ましいが、溶解性の問題も有るのでn=100前後のものが
好ましい。
【0010】アルデヒド基とキトサンの縮合法は周知の
方法を使用できる。方法としては、光延反応による還元
アミノ化等が挙げられる。
方法を使用できる。方法としては、光延反応による還元
アミノ化等が挙げられる。
【0011】反応は緩衝液等の水中で行われる。キトサ
ンのアミノ基部分の水素結合の影響により水溶性が著し
く悪化するため、弱酸性条件という周知の方法にて分子
間水素結合を切断する事によりキトサンを溶解し反応を
進める。この時、反応試薬として用いる還元剤が分解す
る事が知られているので、使用量は供与体比で10倍当
量、pHは4付近でキトサンを溶解させた後に6付近に調
整して反応を行う。
ンのアミノ基部分の水素結合の影響により水溶性が著し
く悪化するため、弱酸性条件という周知の方法にて分子
間水素結合を切断する事によりキトサンを溶解し反応を
進める。この時、反応試薬として用いる還元剤が分解す
る事が知られているので、使用量は供与体比で10倍当
量、pHは4付近でキトサンを溶解させた後に6付近に調
整して反応を行う。
【0012】得られた糖タンパク質糖鎖導入型キトサン
は糖タンパク質糖鎖の縮合度の差を特定する事なく、混
合物として単離できる。精製は糖タンパク質糖鎖とキト
サンの分子量の差が大きく、キトサンは高分子体に位置
する透析にて、目的生成物を容易に単離することが可能
である。構造確認は1H-NMRが有効であるが、1次元より
2次元での計測が好ましい。
は糖タンパク質糖鎖の縮合度の差を特定する事なく、混
合物として単離できる。精製は糖タンパク質糖鎖とキト
サンの分子量の差が大きく、キトサンは高分子体に位置
する透析にて、目的生成物を容易に単離することが可能
である。構造確認は1H-NMRが有効であるが、1次元より
2次元での計測が好ましい。
【0013】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をより詳細に説
明するが、単なる例示であり、これに限定されるもので
はない。
明するが、単なる例示であり、これに限定されるもので
はない。
【0014】
【実施例1】常法より調製したN-アセチルグルコサミン
ブロミドのトリアセテート体(1g)を酢酸エチル(10mL)に
溶解しp-ヒドロキシベンツアルデヒドを2当量(593mg)
加えた。1Mに調節した炭酸水素ナトリウムと硫酸水素テ
トラ-n-ブチルアンモニウム1当量(826mg)を加えた水溶
液を反応溶媒に加え、常温にて1時間撹拌を行ない、TLC
(シンレイヤークロマトグラフィー)にて反応の進行を
確認後、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。得ら
れた残渣はカラムクロマトグラフィー(Wako gel C-30
0, 流出溶媒AcOEt:Hex=4:1)にて単離精製を行い、p-ホ
ルミルフェニルN-アセチルグルコサミニドのトリアセテ
ート体(623mg, 57%)を得た。構造は1H-NMR(CDCl3)にて
確認を行った。
ブロミドのトリアセテート体(1g)を酢酸エチル(10mL)に
溶解しp-ヒドロキシベンツアルデヒドを2当量(593mg)
加えた。1Mに調節した炭酸水素ナトリウムと硫酸水素テ
トラ-n-ブチルアンモニウム1当量(826mg)を加えた水溶
液を反応溶媒に加え、常温にて1時間撹拌を行ない、TLC
(シンレイヤークロマトグラフィー)にて反応の進行を
確認後、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。得ら
れた残渣はカラムクロマトグラフィー(Wako gel C-30
0, 流出溶媒AcOEt:Hex=4:1)にて単離精製を行い、p-ホ
ルミルフェニルN-アセチルグルコサミニドのトリアセテ
ート体(623mg, 57%)を得た。構造は1H-NMR(CDCl3)にて
確認を行った。
【0015】δ9.89(s,1H,CHO), 7.81(d, 2H, J=8.66 H
z, H-2 and H-6 of Ph), 7.09(d, 2H, J=8.67 Hz, H-3
and H-5 of Ph)、5.90(d, 1H, JNH,2=8.61 Hz, NH), 5.
45(d, 1H, J1,2=8.17 Hz, H-1), 5.45(dd, 1H, J=8.66
Hz, H-4), 5.13(t, 1H, J2,3=J3,4=9.61 Hz, H-3), 4.2
7(dd, 1H, J5,6a =5.63, J6a,6b=12.31 Hz, H-6a), 4.1
6(dd, 1H, J5,6b=2.43, J6a,6b=12.28 Hz, H-6b), 4.13
(m, 1H, H-2), 3.95(m, 1H, H-5), 2.06x2, 2.04(3s, 9
H, 3AcO) and 1.93(s, 3H, AcN)。
z, H-2 and H-6 of Ph), 7.09(d, 2H, J=8.67 Hz, H-3
and H-5 of Ph)、5.90(d, 1H, JNH,2=8.61 Hz, NH), 5.
45(d, 1H, J1,2=8.17 Hz, H-1), 5.45(dd, 1H, J=8.66
Hz, H-4), 5.13(t, 1H, J2,3=J3,4=9.61 Hz, H-3), 4.2
7(dd, 1H, J5,6a =5.63, J6a,6b=12.31 Hz, H-6a), 4.1
6(dd, 1H, J5,6b=2.43, J6a,6b=12.28 Hz, H-6b), 4.13
(m, 1H, H-2), 3.95(m, 1H, H-5), 2.06x2, 2.04(3s, 9
H, 3AcO) and 1.93(s, 3H, AcN)。
【0016】続いて、p-ホルミルフェニルN-アセチルグ
ルコサミニドのトリアセテート体(250mg)をメタノール
(5mL)に溶解し、0℃に冷やした後にソジウムメトキシ
ドを触媒量添加し、3時間撹拌を行った。TLCにて反応を
確認後、陽イオン交換樹脂[Amberlite IR-120(H+)]にて
反応液を中和した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣
はゲル濾過(Sephadex LH-20, 流出溶媒H2O)にて単離
精製を行い、p-ホルミルフェニルN-アセチルグルコサミ
ニド (165mg, 92%)を得た。構造は1H-NMR(D2O)にて確認
を行った。
ルコサミニドのトリアセテート体(250mg)をメタノール
(5mL)に溶解し、0℃に冷やした後にソジウムメトキシ
ドを触媒量添加し、3時間撹拌を行った。TLCにて反応を
確認後、陽イオン交換樹脂[Amberlite IR-120(H+)]にて
反応液を中和した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣
はゲル濾過(Sephadex LH-20, 流出溶媒H2O)にて単離
精製を行い、p-ホルミルフェニルN-アセチルグルコサミ
ニド (165mg, 92%)を得た。構造は1H-NMR(D2O)にて確認
を行った。
【0017】δ9.64(s,1H,CHO), 7.76(d, 2H, J=8.68 H
z, H-2 and H-6 of Ph), 7.04(d, 2H, J=8.68 Hz, H-3
and H-5 of Ph)、5.14(d, 1H, J1,2=8.41 Hz, H-1), an
d 1.86(s, 3H, AcN)。
z, H-2 and H-6 of Ph), 7.04(d, 2H, J=8.68 Hz, H-3
and H-5 of Ph)、5.14(d, 1H, J1,2=8.41 Hz, H-1), an
d 1.86(s, 3H, AcN)。
【0018】
【実施例2】pH=6.0のリン酸カリウム緩衝液200μLに実
施例1で合成したp-ホルミルフェニルアルデヒド(2μmo
l)と、鶏卵黄より抽出したシアログリコペプチド(0.5μ
mol)をそれぞれ100mMおよび25mMとなるように濃度調節
を行いながら溶解させ、Mucorhiemalis由来のエンド-β
-N-アセチルグルコサミニダーゼ(Endo-M)による糖転移
反応に供した。24mUのEndo-Mで、37℃、4時間反応させ
た後、反応液からODS系高速液体クロマトグラフィーに
より糖転移生成物を単離した(5.5mg, 48%)。糖転移生成
物の構造は1H-NMR(D2O)にて確認を行った。
施例1で合成したp-ホルミルフェニルアルデヒド(2μmo
l)と、鶏卵黄より抽出したシアログリコペプチド(0.5μ
mol)をそれぞれ100mMおよび25mMとなるように濃度調節
を行いながら溶解させ、Mucorhiemalis由来のエンド-β
-N-アセチルグルコサミニダーゼ(Endo-M)による糖転移
反応に供した。24mUのEndo-Mで、37℃、4時間反応させ
た後、反応液からODS系高速液体クロマトグラフィーに
より糖転移生成物を単離した(5.5mg, 48%)。糖転移生成
物の構造は1H-NMR(D2O)にて確認を行った。
【0019】δ9.71(s,1H,CHO), 7.83(d, 2H, J=8.77 H
z, H-2 and H-6 of Ph), 7.09(d, 2H, J=8.78 Hz, H-3
and H-5 of Ph)、2.55(2dd, 2H, H-3eq of 2Neu5Ac),
1.89,1.91x2, 1.95x2, 1.99(6s, 18H, AcN) and 1.60(2
t, 2H, Jgem=J3ax,4=12.19 Hz H-3ax of 2Neu5Ac)。
z, H-2 and H-6 of Ph), 7.09(d, 2H, J=8.78 Hz, H-3
and H-5 of Ph)、2.55(2dd, 2H, H-3eq of 2Neu5Ac),
1.89,1.91x2, 1.95x2, 1.99(6s, 18H, AcN) and 1.60(2
t, 2H, Jgem=J3ax,4=12.19 Hz H-3ax of 2Neu5Ac)。
【0020】
【実施例3】グルコサミン重合度、n=50〜150の市
販品のキトサン(2mg)を1%酢酸水溶液(1mL)に充分溶解
させた後、水酸化ナトリウム水溶液にてpHを6付近に調
整した。なおpHは試験紙によって計測を行った。これ
に、化学-酵素法により鶏卵黄由来のアスパラギン結合
型糖ペプチドとp-ホルミルフェニル N-アセチル-D-グル
コサミニド体を原料として、実施例2で合成した糖蛋白
質糖鎖類縁体(3mg)を加え溶解後、メタノールを加えて
容積比で5倍となるように希釈した。希釈後、反応溶液
にNaBH3CNを対応するアルデヒド基に対して10倍当量(0.
82mg)加えて、室温にて2日間撹拌した。TLC(シンレイ
ヤークロマトグラフィー)にてアルデヒド体の消失を確
認した後、反応溶液をダイアリシスメンブラン(サイズ2
7)に移し、透析を2日間行うことで、試薬類、並びにシ
アロオリゴ糖鎖由来の副反応物の除去を行った。透析液
画分は凍結乾燥を行い、アモルファス体を3.5mg得た。
なお、この条件ではTLC上にアルデヒド体由来の副反応
物を確認する事はなかった。
販品のキトサン(2mg)を1%酢酸水溶液(1mL)に充分溶解
させた後、水酸化ナトリウム水溶液にてpHを6付近に調
整した。なおpHは試験紙によって計測を行った。これ
に、化学-酵素法により鶏卵黄由来のアスパラギン結合
型糖ペプチドとp-ホルミルフェニル N-アセチル-D-グル
コサミニド体を原料として、実施例2で合成した糖蛋白
質糖鎖類縁体(3mg)を加え溶解後、メタノールを加えて
容積比で5倍となるように希釈した。希釈後、反応溶液
にNaBH3CNを対応するアルデヒド基に対して10倍当量(0.
82mg)加えて、室温にて2日間撹拌した。TLC(シンレイ
ヤークロマトグラフィー)にてアルデヒド体の消失を確
認した後、反応溶液をダイアリシスメンブラン(サイズ2
7)に移し、透析を2日間行うことで、試薬類、並びにシ
アロオリゴ糖鎖由来の副反応物の除去を行った。透析液
画分は凍結乾燥を行い、アモルファス体を3.5mg得た。
なお、この条件ではTLC上にアルデヒド体由来の副反応
物を確認する事はなかった。
【0021】構造は1H-NMRにて確認を行った。アルデヒ
ドプロトン由来のピーク(δ=10ppm付近のシングレット)
の消失、並びにフェニル体由来のダブレットのピークを
2個δ7.37(d, 2H, J=8.58 Hz, H-2 and H-6 of Ph)、
7.13(d, 2H, J=8.58 Hz, H-3 and H-5 of Ph)、シアロ
糖鎖の3位エカトリアルδ2.68(2dd, 2H, H-3eq of 2Ne
uAc)、並びにアキシャルδ1.73(2t, 2H, Jgem=J3ax,4=1
2.03 Hz, H-3ax of 2NeuAc)、由来ピークをそれぞれ確
認し、これにより複合型糖タンパク質糖鎖のキトサンへ
の導入を確認できた。
ドプロトン由来のピーク(δ=10ppm付近のシングレット)
の消失、並びにフェニル体由来のダブレットのピークを
2個δ7.37(d, 2H, J=8.58 Hz, H-2 and H-6 of Ph)、
7.13(d, 2H, J=8.58 Hz, H-3 and H-5 of Ph)、シアロ
糖鎖の3位エカトリアルδ2.68(2dd, 2H, H-3eq of 2Ne
uAc)、並びにアキシャルδ1.73(2t, 2H, Jgem=J3ax,4=1
2.03 Hz, H-3ax of 2NeuAc)、由来ピークをそれぞれ確
認し、これにより複合型糖タンパク質糖鎖のキトサンへ
の導入を確認できた。
【0022】
【発明の効果】本発明化合物であるキトサンを基材とし
た複合型糖タンパク質糖鎖多価結合体はインフルエンザ
感染阻害剤として、また抗原変異性が高いことが原因で
その年々の流行型の予想が困難とされるワクチンの補助
剤として、その医薬的応用が期待できる。
た複合型糖タンパク質糖鎖多価結合体はインフルエンザ
感染阻害剤として、また抗原変異性が高いことが原因で
その年々の流行型の予想が困難とされるワクチンの補助
剤として、その医薬的応用が期待できる。
Claims (5)
- 【請求項1】アグリコン部分にホルミル基を有するグリ
コシドのアルデヒド基がキトサンの少なくとも一つ以上
のアミノ基に還元縮合したことを特徴とするアスパラギ
ン結合型糖タンパク質糖鎖含有キトサン誘導体。 - 【請求項2】アグリコン部分にホルミル基を有するグリ
コシドがp-ホルミルフェニルグリコシドである請求項
1に記載の化合物。 - 【請求項3】アスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖が Ne
uAc-Gal-GlcNAc構造を含む複合型糖鎖であることを特徴
とする請求項1あるいは2に記載の糖鎖多価結合型キト
サン。ただし、NeuAcはN-アセチルノイラミン酸、 Gal
はD-ガラクトース、GlcNAcはN-アセチル-D-グルコサミ
ンを示す。 - 【請求項4】アグリコン部分にホルミル基を有するグリ
コシドが(NeuAc-Gal-GlcNAc)2-Man3-GlcNAc-GlcNAcβ1-
p-ホルミルフェニルからなるグリコシドである請求項2
乃至3に記載の糖鎖多価結合型キトサン誘導体。ただ
し、ManはD-マンノースを示す。 - 【請求項5】アグリコン部分にホルミル基を有するグリ
コシドのアルデヒド基を還元アミノ化反応でキトサンの
アミノ基に還元縮合することを特徴とする請求項1乃至
4に記載のアスパラギン結合型糖タンパク質糖鎖含有キ
トサンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002106001A JP2003301002A (ja) | 2002-04-09 | 2002-04-09 | キトサンを基材とした複合型糖鎖多価結合体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002106001A JP2003301002A (ja) | 2002-04-09 | 2002-04-09 | キトサンを基材とした複合型糖鎖多価結合体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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JPWO2006059670A1 (ja) * | 2004-12-01 | 2008-08-21 | 国立大学法人 北海道大学 | キトサン複合体 |
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