JP2003295390A - 熱現像感光材料 - Google Patents
熱現像感光材料Info
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- JP2003295390A JP2003295390A JP2002100876A JP2002100876A JP2003295390A JP 2003295390 A JP2003295390 A JP 2003295390A JP 2002100876 A JP2002100876 A JP 2002100876A JP 2002100876 A JP2002100876 A JP 2002100876A JP 2003295390 A JP2003295390 A JP 2003295390A
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Abstract
最高濃度が高く、熱現像処理後もカブリ悪化の小さい熱
現像感光材料を提供することを目的とする。 【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面上に感光性
ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダ
ーを含有する熱現像感光材料において、該感光性ハロゲ
ン化銀がアニオン性カルコゲニドと金(I)カチオンと
の結合を有し、金―カルコゲンアニオン種を放出する化
学増感剤を含むことを特徴とする熱現像感光材料。
Description
するものである。詳細には、高感度で、カブリが低く、
最高濃度が高く、熱現像処理後もカブリ悪化の小さい熱
現像感光材料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、医療分野において環境保全、省ス
ペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。
そこで、レーザー・イメージセッターまたはレーザー・
イメージャーにより効率的に露光させることができ、高
解像度および鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成する
ことができる医療診断用および写真技術用途の光感光性
熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これ
ら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の
使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理
システムを顧客に対して供給することができる。 【0003】現在、インクジェットプリンター、電子写
真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステム
が一般画像形成システムとして流通しているが、医療用
画像の出力システムとしては、感度、階調、画像色調な
どの要求特性を十分に満足できるものではない。 【0004】一方、有機銀塩を利用した熱画像形成シス
テムが、例えば、米国特許3152904号、同345
7075号の各明細書およびB.シェリー(Shely) によ
る「熱によって処理される銀システム(Thermally Proce
ssed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシー
ズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Mat
erials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウオー
ルワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp) 編集、第2
頁、1996年)に記載されている。特に、熱現像感光
材料は、一般に、感光性ハロゲン化銀、還元剤、還元可
能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御
する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した
感光性層を有している。熱現像感光材料は、画像露光
後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、還元可能な銀
塩と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像
を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン
化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒
色の銀画像は、露光領域に形成される。米国特許291037
7号、特公昭43-4924号をはじめとする多くの文献に開示
され、そして熱現像感光材料による医療用画像形成シス
テムとして富士メディカルドライイメージャーFM−D
P Lが発売されている。 【0005】一方、画像情報がデジタル化され、保存さ
れ、必要によっては画像処理され、ネットワークで送信
され必要な場所で感光材料にレーザー出力される画像形
成システムが広がってきている。画像形成材料として
は、熱現像感光材料が最も好ましく用いられている。
レーザー光源として、アルゴン、ヘリウム−ネオン、ヘ
リウム−カドミウム等のコヒーレント光が用いられてい
る。最近では半導体レーザーの普及が著しい。画像情報
は、1本あるいは複数の本数のレーザー光によってスキ
ャニング露光される。このようなシステムが広がるにつ
れて画像作成速度の高速化が求められてきた。高速化の
ためにはレーザー出力を高める必要があるが、装置の大
型化、高価になってくる問題があり、また高電圧にする
とレーザー寿命が短くなるなどの問題がある。熱現像感
光材料の高感度化も求められたが、従来はかぶりの増大
の問題があり限界があった。さらに、感光性ハロゲン化
銀が熱現像後も感光材料中の残存するため、高感度化す
ると、熱現像後に画像が室内光などに当たって徐々に黒
化してくる問題(本願では「プリントアウトかぶり」と
称する)が悪化してくる問題があった。このため、該感
光性ハロゲン化銀を減量する検討がなされてきた。しか
し、感度と最高濃度を保ちながら、減量することは困難
であった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題点を解決することを課題としている。より具体
的には、本発明が解決しようとする課題は、高感度で、
カブリが低く、最高濃度が高く、熱現像処理後もカブリ
悪化の小さい熱現像感光材料を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の目的は、以下の
熱現像感光材料によって達成された。 1) 支持体の少なくとも一方の面上に感光性ハロゲン
化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダーを含有
する熱現像感光材料において、該感光性ハロゲン化銀が
アニオン性カルコゲニドと金(I)カチオンとの結合を
有し、金―カルコゲンアニオン種を放出する化学増感剤
を含むことを特徴とする熱現像感光材料。 2) 化学増感剤が一般式(PF1)、一般式(PF
2)、一般式(PF3)、および一般式(PF4)で表
される金−カルコゲン化合物より選ばれる化合物である
ことを特徴とする1)の熱現像感光材料。 【0008】 【化1】【0009】式中、ChはS原子、Se原子またはTe原子を
表し、L1はN原子、S原子、Se原子、Te原子またはP原子
を介して金に配位可能な化合物を表す。nは0または1
を表す。A1はO、SまたはNR4を表し、R1〜R4は水
素原子または置換基を表す。R3はR1またはR2と共に
5〜7員環を形成してもよい。X1はO、SまたはNR 5
を表す。Y1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、ヘテロ環基、OR6、SR7、N
(R8)R9を表す。R5〜R9はそれぞれ水素原子、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基また
はヘテロ環基を表す。X 1とY1は互いに結合し環を形成
してもよい。R10、R10'およびR11はそれぞれ独立に
水素原子または置換基を表すが、R10およびR10'のう
ち少なくとも一方は電子求引性基を表す。W1は電子求
引性基を表し、R12〜R14はそれぞれ水素原子または置
換基を表す。W1とR12は互いに結合して環状構造を形
成してもよい。 【0010】3) 該感光性ハロゲン化銀の平均粒子サ
イズが10〜50nmであることを特徴とする1)〜
2)に記載の熱現像感光材料。 4) 該感光性ハロゲン化銀の含有量が、銀量で1m2
当たり10〜100mgであることを特徴とする1)〜
3)に記載の熱現像感光材料。 5) 化学増感剤が一般式(PF1)、一般式(PF
2)、および一般式(PF4)で表される金−カルコゲ
ン化合物より選ばれる化合物であることを特徴とする
1)〜4)の熱現像感光材料。 6) 化学増感剤が一般式(PF1)、一般式(PF
4)で表される金−カルコゲン化合物より選ばれる化合
物であること特徴とする1)〜5)の熱現像感光材料。 7) 化学増感剤が一般式(PF1)で表される金−カ
ルコゲン化合物より選ばれる化合物であること特徴とす
る1)〜6)の熱現像感光材料。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に、本願の熱現像感光材料の
具体的な構成、およびそこに含まれる成分、それを用い
た画像形成方法について詳細に説明する。 【0012】1.熱現像感光材料 本発明の熱現像感光材料は、支持体の少なくとも一方面
上に感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤、
及びバインダーを含有する画像形成層を有し、さらに感
光性ハロゲン化銀は化学増感剤により化学増感されてい
る。また、好ましくは画像形成層の上に中間層や表面保
護層、あるいはその反対面にバック層やバック保護層な
どを有してもよい。これらの各層の構成、およびその好
ましい成分について詳しく説明する。 【0013】1−1.金−カルコゲン化合物 本発明において化学増感剤として使用される金−カルコ
ゲン化合物について説明する。 【0014】本発明の金−カルコゲンアニオン種(Au-C
h-)を放出する化合物とは、カルコゲン原子と金(I)
との結合を有する化合物で、乳剤に添加した際に加水分
解反応や自己分解反応などにより分解して、金−カルコ
ゲンアニオン種(Au-Ch-)を放出する化合物を表す(例
えばこのような化合物を硝酸銀水溶液に添加した場合、
Au-S-放出化合物であれば硫化金銀が、Au-Se-放出化合
物であればセレン化金銀が生成する。)。この化合物に
おけるカルコゲン原子と金(I)との結合は、配位結合
以外の結合様式である場合が好ましい。またここで言う
カルコゲンとは狭義の意味で硫黄、セレン、テルルを表
すが、本発明においては硫黄およびセレンが好ましく、
更に硫黄である場合がより好ましい。 【0015】本発明における金−カルコゲン化合物は一
般式(PF1)、一般式(PF2)、一般式(PF
3)、一般式(PF4)で表される。 【0016】 【化2】【0017】式中、ChはS原子、Se原子またはTe原子を
表し、L1はN原子、S原子、Se原子、Te原子またはP原子
を介して金に配位可能な化合物を表す。nは0または1
を表す。A1はO、SまたはNR4を表し、R1〜R4は水
素原子または置換基を表す。R3はR1またはR2と共に
5〜7員環を形成してもよい。X1はO、SまたはNR 5
を表す。Y1はアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、ヘテロ環基、OR6、SR7、N
(R8)R9を表す。R5〜R9はそれぞれ水素原子、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基また
はヘテロ環基を表す。X 1とY1は互いに結合し環を形成
してもよい。R10、R10'およびR11はそれぞれ独立に
水素原子または置換基を表すが、R10およびR10'のう
ち少なくとも一方は電子求引性基を表す。W1は電子求
引性基を表し、R12〜R14はそれぞれ水素原子または置
換基を表す。W1とR12は互いに結合して環状構造を形
成してもよい。 【0018】式(PF1)〜(PF4)の各基の説明に
おいて、置換基とは例えばハロゲン原子(フッ素原子、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直
鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基で、
ビシクロアルキル基やトリシクロ構造、活性メチン基な
ども包含する)、アルケニル基、アルキニル基、アリー
ル基、ヘテロ環基(N原子、O原子、S原子のうち少なく
とも一つを含む5〜7員環の、置換もしくは無置換の、
飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、単環であっても
良いし、更に他のアリール環もしくはヘテロ環と共に縮
合環を形成しても良い。 【0019】例えばピロリル基、ピロリジニル基、ピリ
ジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、イミダゾリル
基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ト
リアジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、キノ
リル基、イソキノリル基、インドリル基、インダゾリル
基、ベンゾイミダゾリル基、ピラニル基、クロメニル
基、チエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル
基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾオキサゾ
リル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、モルホリ
ニル基など。置換する位置は問わない)、アシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、
ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒ
ドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、
N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカル
バモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイル
カルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基(及び
その塩を含む)、オキサリル基、オキサモイル基、シア
ノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチ
レンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返
し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ
基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、
アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキ
シ基、スルホニルオキシ基、シリルオキシ基、ニトロ
基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ
環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウ
レイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド
基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリー
ルオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ
基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラ
ジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−
(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N
−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ
基、ヒドロキシアミノ基、4級化された窒素原子を含む
ヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キ
ノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミ
ノ基、メルカプト基(及びその塩を含む)、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、(アルキル、
アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまた
はアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリー
ル)スルフィニル基、スルホ基(及びその塩を含む)、
スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−
スルホニルスルファモイル基(及びその塩を含む)、ホ
スフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、
ホスフィニルアミノ基、シリル基などを意味する。 【0020】なおここで塩とはアルカリ金属、アルカリ
土類金属、重金属などの陽イオンやアンモニウムイオ
ン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンとの塩を
意味する。 【0021】これらの置換基は、これらの置換基でさら
に置換されていてもよい。 【0022】式(PF1)〜(PF4)において、Chは
S原子、Se原子もしくはTe原子を表すが、本発明に
おいてはS原子もしくはSe原子が好ましく、S原子で
ある場合がより好ましい。 【0023】式(PF1)〜(PF4)において、L1
はN原子、S原子、Se原子、Te原子もしくはP原子
を介して金に配位可能な化合物を表す。具体的には置換
もしくは無置換のアミン類(好ましくは炭素数1〜30
の、1級、2級、もしくは3級のアルキルアミン、アリ
ールアミンを意味する。)、5ないし6員の含窒素ヘテ
ロ環類(N、O、S及びCの組合せからなる5ないし6
員の含窒素ヘテロ環を意味し、置換基を有していてもよ
い。このヘテロ環は環内のN原子を介して金に配位して
もよいし、置換基を介して金に配位してもよく、例えば
ベンゾトリアゾール、トリアゾール、テトラゾール、イ
ンダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾール、ベン
ゾチアゾール、チアゾール、チアゾリン、ベンゾオキサ
ゾール、ベンゾオキサゾリン、オキサゾール、チアジア
ゾール、オキサジアゾール、トリアジン、ピロール、ピ
ロリジン、イミダゾリジン、モルホリンが挙げられ
る。)、チオール類(好ましくは炭素数1〜30のアル
キルチオール類、または炭素数6〜30のアリールチオ
ール類もしくはN原子、O原子、S原子のうち少なくと
も一つを含む5〜7員環のヘテロ環チオール類)、チオ
エーテル類(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、
アリール基、またはN原子、O原子、S原子のうち少な
くとも一つを含む5〜7員環ヘテロ環基がそれぞれS原
子に結合した化合物であり、対称でも非対称でもよい。 【0024】例えばジアルキルチオエーテル類、ジアリ
ールチオエーテル類、ジヘテロ環チオエーテル類、アル
キル−アリールチオエーテル類、アルキル−ヘテロ環チ
オエーテル類、アリール−ヘテロ環チオエーテル類が挙
げられる。)、ジスルフィド類(好ましくは炭素数1〜
30のアルキル基、アリール基もしくはヘテロ環基がS
原子に結合したジスルフィド化合物であり、対称でも非
対称でもよい。例えばジアルキルジスルフィド類、ジア
リールジスルフィド類、ジヘテロ環ジスルフィド類、ア
ルキル−アリールジスルフィド類、アルキル−ヘテロ環
ジスルフィド類、アリール−ヘテロ環ジスルフィド類が
挙げられる。 【0025】より好ましくは、ジアルキルジスルフィド
類、ジアリールジスルフィド類またはアルキル−アリー
ルジスルフィド類である。)、チオアミド類(チオアミ
ドは環構造の一部であってもよいし、非環式チオアミド
であってもよい。有用なチオアミド類としては、例えば
米国特許4,030,925号、同4,031,127
号、同4,080,207号、同4,245,037
号、同4,255,511号、同4,266,031
号、及び同4,276,364号並びにリサーチ・ディ
スクロージャー(Research Disclosure)第151巻、
1976年11月、15162項、及び同第176巻、
1978年12月、17626項に開示されているもの
から選ぶことができる。 【0026】例えばチオ尿素、チオウレタン、ジチオカ
ルバミン酸エステル、4−チアゾリン−2−チオン、チ
アゾリジン−2−チオン、4−オキサゾリン−2−チオ
ン、オキサゾリジン−2−チオン、2−ピラゾリン−5
−チオン、4−イミダゾリン−2−チオン、2−チオヒ
ダントイン、ローダニン、イソローダニン、2−チオ−
2,4−オキサゾリジンジオン、チオバルビツール酸、
テトラゾリン−5−チオン、1,2,4−トリアゾリン
−3−チオン、1,3,4−チアジアゾリン−2−チオ
ン、1,3,4−オキサジアゾリン−2−チオン、ベン
ズイミダゾリン−2−チオン、ベンズオキサゾリン−2
−チオン及びベンゾチアゾリン−2−チオンであり、こ
れらは置換されてもよい。)、セレノール類(好ましく
は炭素数1〜30のアルキルセレノール類、アリールセ
レノール類、またはN原子、O原子、S原子のうち少な
くとも一つを含む5〜7員環のヘテロ環セレノール類で
ある。)、セレノエーテル類(好ましくは炭素数1〜3
0のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基がSe原子に
結合したセレノエーテル化合物であり、Se原子に対し
て対称置換でも非対称置換でもよく、例えばジアルキル
セレノエーテル類、ジアリールセレノエーテル類、ジヘ
テロ環セレノエーテル類、アルキル−アリールセレノエ
ーテル類、アルキル−ヘテロ環セレノエーテル類、アリ
ール−ヘテロ環セレノエーテル類が挙げられる。 【0027】好ましくはジアルキルセレノエーテル類、
ジアリールセレノエーテル類もしくはアルキル−アリー
ルセレノエーテル類である。)、ジセレニド類(好まし
くは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基もしくは
ヘテロ環基がSe原子に結合したジセレニド化合物であ
り、ジセレニド基に対して対称でも非対称でもよく、例
えばジアルキルジセレニド類、ジアリールジセレニド
類、ジヘテロ環ジセレニド類、アルキル−アリールジセ
レニド類、アルキル−ヘテロ環ジセレニド類、アリール
−ヘテロ環ジセレニド類が挙げられる。好ましくはジア
ルキルジセレニド類、ジアリールジセレニド類もしくは
アルキル−アリールジセレニド類である。)、セレノア
ミド類(前述のチオアミド化合物のS原子をSe原子に
置き換えた化合物が挙げられる。)、テルロール類(前
述のセレノール化合物においてSe原子をTe原子に置
き換えた化合物が挙げられる。)、テルロエーテル類
(前述のセレノエーテル化合物においてSe原子をTe
原子に置き換えた化合物が挙げられる。)、ジテルリド
類(前述のジセレニド化合物においてSe原子をTe原
子に置き換えた化合物が挙げられる。)、テルロアミド
類(前述のチオアミド化合物においてSe原子をTe原
子に置き換えた化合物が挙げられる。)、アルキルホス
フィン類(好ましくは炭素数1〜20の、1級、2級、
もしくは3級のアルキルホスフィン類である。)、アリ
ールホスフィン類(好ましくは炭素数1〜20の、1
級、2級、もしくは3級のアリールホスフィン類であ
る。)等を表す。 【0028】L1は好ましくは5ないし6員の含窒素ヘ
テロ環類、チオール類、チオエーテル類、チオアミド
類、セレノエーテル類、セレノアミド類、アルキルホス
フィン類またはアリールホスフィン類であり、更に好ま
しくは5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、チオール類、
チオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類
またはアリールホスフィン類であり、最も好ましくはチ
オール類、チオエーテル類、チオアミド類、アルキルホ
スフィン類またはアリールホスフィン類である。 【0029】nは0または1を表す。nは0が好まし
い。 【0030】R1、R2は好ましくは水素原子、アルキル
基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ
基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
ヘテロ環チオ基であり、更に好ましくは水素原子、アル
キル基、アリール基、ヘテロ環基であり、最も好ましく
は水素原子またはアルキル基である。 【0031】R3は好ましくは水素原子、アルキル基、
アリール基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキ
ル基、アリール基、ヘテロ環基であり、最も好ましくは
アルキル基もしくはアリール基である。R4は好ましく
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ
基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキ
ル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキ
シカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイ
ル基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、ア
リール基、ヘテロ環基である。 【0032】R3はR1もしくはR2と共に5〜7員の環
構造を形成してもよい。形成される環構造は非芳香族の
含酸素、含硫黄または含窒素のヘテロ環となる。またこ
の環構造は芳香族もしくは非芳香族の炭素環、あるいは
ヘテロ環と縮環を形成していてもよい。本発明において
はR3がR1もしくはR2と共に5〜7員の環状構造を形
成することがより好ましい。 【0033】本発明において、式(PF1)で表される
化合物のうち、好ましくはChがSまたはSeであり、A
1がO、SまたはNR4であり、R1及びR2がそれぞれ水素
原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、R 3
が水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であ
り、R4が水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ
環基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリー
ルスルホニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニ
ル基、アシル基であり、nが0または1である。nが1
の時、L1はチオール類、チオエーテル類、チオアミド
類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフ
ィン類またはアリールホスフィン類を表すものである。 【0034】より好ましくはChがSまたはSeであり、
A1がOまたはSであり、R1及びR 2がそれぞれ水素原
子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、R3
がアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、nが0
または1である。nが1の時、L1はチオール類、チオ
エーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類また
はアリールホスフィン類を表すものである。 【0035】さらに好ましくはChがSを表し、A1がO
またはSを表し、R1及びR2がそれぞれ水素原子、アル
キル基、アリール基であり、R3がアルキル基、アリー
ル基であり、nが0のものである。特に好ましくはR3
がR1またはR2と共に形成した環状構造がグルコピラノ
ース、グルコフラノース、ガラクトピラノース、ガラク
トフラノース、マンノピラノース、リキソピラノースな
どの糖誘導体及びその環状構造中のO原子がS原子に置
き換わった誘導体の場合である。この場合、好ましい化
合物としては例えばチオグルコース金(I)塩、チオマ
ンノース金(I)塩、チオガラクトース金(I)塩、チ
オリキソース金(I)塩、セレノグルコース金(I)
塩、セレノマンノース金(I)塩、セレノガラクトース
金(I)塩、セレノリキソース金(I)塩、テルログル
コース金(I)塩が挙げられる。 【0036】式(PF2)において、X1は好ましくは
OもしくはSであり、より好ましくはOである。Y1は
好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、アリール基またはN原子、O原子、
S原子のうち少なくとも一つを含む5〜7員環のヘテロ
環基、OR6、SR7、またはN(R8)R9を表すが、好
ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、O
R6、SR7、またはN(R8)R9であり、より好ましく
はアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはN(R
8)R9であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基
またはヘテロ環基である。R5〜R9は水素原子、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または
ヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、
アリール基またはヘテロ環基であり、より好ましくはア
ルキル基またはアリール基である。 【0037】式(PF2)において、X1とY1は互いに
結合して環を形成してもよい。この場合に形成される環
は3〜7員の含窒素ヘテロ環であり、例えばピロール
類、インドール類、イミダゾール類、ベンズイミダゾー
ル類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、イソオキサ
ゾール類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、イ
ンダゾール類、プリン類、ピリジン類、ピラジン類、ピ
リミジン類、キノリン類、キナゾリン類が挙げられる。 【0038】式(PF2)で表される化合物のうち、好
ましくはChがSもしくはSeを表し、X1がOまたはS
であり、Y1がアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、
OR6、SR7、N(R8)R9であり、R6〜R9がアルキ
ル基、アリール基またはヘテロ環基であり、nが0また
は1である。nが1の時、L1はチオール類、チオエー
テル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環
類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類
を表す。より好ましくはChがSもしくはSeであり、X
1がOであり、Y1がアルキル基、アリール基、ヘテロ環
基であり、nが0または1である。nが1の時、L1は
チオール類、チオエーテル類、チオアミド類、アルキル
ホスフィン類またはアリールホスフィン類を表す。最も
好ましくはChがSであり、X1がOであり、Y1がアルキ
ル基、アリール基、ヘテロ環基であり、nが0である。 【0039】式(PF3)において、R10およびR10'
の少なくとも一方は電子求引性基を表すが、ここでいう
電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σp値が正の
値である置換基であり、好ましくはσp値が0.2以上
であり、上限としては1.0以下の置換基を表す。σp
値が0.2以上の電子求引性基の具体例としてはアシル
基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、カル
バモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ
カルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホ
ノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル
基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキ
ルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキル
スルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキ
シ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネー
ト基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換した
イミノ基、カルボキシ基(またはその塩)、少なくとも
2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基、少な
くとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ
基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたア
リールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つ以上
のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なく
とも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ
基、σp値が0.2以上の他の電子求引性基で置換され
たアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セ
レノシアネート基などが挙げられる。本発明において、
W1は好ましくはアシル基、ホルミル基、カルバモイル
基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニ
ル基、シアノ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホ
スホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホス
フィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフ
ィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、スルファモイル基、チオカルボニル基、イミノ基、
N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、カルボキシ
基(またはその塩)、少なくとも2つ以上のハロゲン原
子で置換されたアルキル基、σp値が0.2以上の他の
電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基また
はハロゲン原子であり、より好ましくはアシル基、カル
バモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ
カルボニル基、シアノ基、カルボキシ基、少なくとも2
つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基、σp値
が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール
基、ヘテロ環基である。 【0040】式(PF3)において、R10およびR10'
の両方とも電子求引性基を表すのが好ましい。R11とし
て好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテ
ロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オ
キシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、
アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル及びアリー
ルスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル
基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、
より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘ
テロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環
オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。 【0041】式(PF3)において、R10、R10'、R
11は互いに結合して環形成する場合も好ましい。形成さ
れる環は、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であり、
5〜7員環が好ましい。環を形成するR10はアシル基、
カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル
基、スルホニル基が好ましく、R10'はアシル基、カル
バモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、
スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、
アシルアミノ基、カルボニルチオ基が好ましい。 【0042】式(PF3)で表される化合物のうち、好
ましくはChがSまたはSeであり、R10及びR10'が電子
求引性基であり、R11が水素原子、アルキル基、アリー
ル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基であり、
nが0または1である。nが1の時、L1はチオエーテ
ル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環
類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類
である。より好ましくはChがSまたはSeであり、R10
及びR10'が電子求引性基であり、R11が水素原子、ア
ルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、nが0また
は1である。nが1の時、L1はチオエーテル類、チオ
アミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフ
ィン類である。最も好ましくはChがSであり、R10及び
R10'が電子求引性基であり、R11が水素原子、アルキ
ル基、アリール基、ヘテロ環基であり、nが0である。 【0043】また、式(PF3)で表される化合物のう
ち、R10とR10'が非芳香族の5〜7員の環を形成してい
るものも好ましく、この時ChがSまたはSeであり、R
11が水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、
アミノ基、アシルアミノ基であり、nが0または1であ
る。nが1の時、L1がチオエーテル類、チオアミド
類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフ
ィン類またはアリールホスフィン類のものも好ましい。
更に好ましくはR10とR10'とが非芳香族の5〜7員の環
を形成し、ChがSまたはSeを表し、R11が水素原子、
アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、nは0ま
たは1である。n1が1の時、L1はチオエーテル類、チ
オアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホス
フィン類である。最も好ましくはChがSであり、R10と
R10'とが非芳香族の5〜7員の環を形成し、R11が水
素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、
nが0である。 【0044】式(PF4)において、W1が表す電子求
引性基は前述のR10及びR10'が表す電子吸引性基と同義
であり、好ましい範囲も同様である。 【0045】式(PF4)において、R12〜R14として
好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シ
アノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキ
シ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリー
ルスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、ア
ルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリール
オキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバ
モイル基、イミド基であり、より好ましくは水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル
基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシル
アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環
チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル
基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキ
シカルボニル基、カルバモイル基である。 【0046】W1とR12は互いに結合して環を形成して
もよい。形成される環は、非芳香族の炭素環もしくはヘ
テロ環であり、好ましくは5〜7員環である。環を形成
するW1はアシル基、カルバモイル基、オキシカルボニ
ル基、チオカルボニル基、スルホニル基が好ましく、R
12はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環
基が好ましい。 【0047】式(PF4)で表される化合物のうち、好
ましくはChがSまたはSeであり、W1が電子求引性基
であり、R12〜R14が水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテ
ロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、ア
シルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、ア
ルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリール
オキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバ
モイル基であり、nが0または1である。nが1の時、
L1はチオエーテル類、チオアミド類、5ないし6員の
含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフィン類またはアリー
ルホスフィン類である。 【0048】より好ましくはChがSまたはSeであり、
W1が電子求引性基であり、R12〜R14が水素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、
ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ
基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ
基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、ア
リールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、
カルバモイル基であり、nが0または1である。nが1
の時、L1はチオエーテル類、チオアミド類、アルキル
ホスフィン類またはアリールホスフィン類である。 【0049】最も好ましくはChがSまたはSeであり、
W1が電子求引性基であり、R12〜R14が水素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル
基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシル
アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環
チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル
基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキ
シカルボニル基、カルバモイル基であり、nが0であ
る。 【0050】また、式(PF4)で表される化合物のう
ち、W1とR12とが互いに結合して非芳香族の5〜7員
の環を形成しているものも好ましく、この時ChがSまた
はSeを表し、R12がアルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、ヘテロ環基などであり、R13およびR14は水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロ
キシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキ
シ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、
アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘ
テロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホ
ニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アル
コキシカルボニル基、カルバモイル基などであり、nは
0または1である。nが1の時、L1はチオエーテル
類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、
アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表
すものが好ましい。 【0051】更に好ましくはChがSもしくはSeを表
し、W1とR12とが互いに結合して非芳香族の5〜7員
の環を形成し、R13およびR14が水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリー
ル基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボ
キシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オ
キシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ス
ルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル
基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基であり、nが0または1である。
nが1の時、L1はチオエーテル類、チオアミド類、ア
ルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表す
ものでる。 【0052】最も好ましくはChがSを表し、W1とR12
とが互いに結合して非芳香族の5〜7員の環を形成し、
R13およびR14は水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ
環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシ
ルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アル
キル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオ
キシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基であり、nが0である。 【0053】一般式(PF1)〜(PF4)で表される
化合物のうち、好ましくは一般式(PF−1)、(PF
−2)及び(PF−4)で表される化合物であり、より
好ましくは一般式(PF−1)及び(PF−4)で表さ
れる化合物であり、最も好ましくは一般式(PF−1)
で表される化合物である。 【0054】次に一般式(PF1)〜(PF4)で表さ
れる化合物の具体例を以下に示す。但し本発明はこれら
に限定されるものではない。 【0055】 【化3】 【0056】 【化4】【0057】 【化5】【0058】 【化6】【0059】本発明の一般式(PF1)〜(PF4)で
表される化合物は、感光性ハロゲン化銀を含む層に添加
されるか、あるいは隣接層に添加して層内を拡散して感
光性ハロゲン化銀に作用し得る状態を形成できるように
してもよい。好ましいのは感光性ハロゲン化銀と同一の
層に添加することである。これらの化合物の添加量は場
合に応じて広範囲に変わり得るが通常ハロゲン化銀1モ
ルあたり1×10-7〜5×10-3モルであり、好ましく
は5×10-6〜5×10-4モルである。 【0060】一般式(PF1)〜(PF4)で表される
化合物は、水、アルコール類(メタノール、エタノール
など)、ケトン類(アセトンなど)、アミド類(ジメチ
ルホルムアミドなど)、グリコール類(メチルプロピレ
ングリコールなど)及びエステル類(酢酸エチルなど)
などに溶解して添加してもよく、また公知の分散法で固
体分散物(微結晶分散体)として添加してもよい。 【0061】本発明の一般式(PF1)〜(PF4)で
表される化合物の添加は、感光性ハロゲン化銀粒子の形
成時から熱現増感光材料の塗布終了までのどの段階でも
可能であるが、感光性ハロゲン化銀乳剤製造時または塗
布液調製時に添加することが好ましく、特に感光性ハロ
ゲン化銀乳剤製造時のハロゲン化銀粒子形成後から化学
増感工程終了までの間に添加することが更に好ましい。 【0062】1−2.有機銀塩 本発明に用いることのできる有機銀塩は、光に対して比
較的安定であるが、露光された感光性ハロゲン化銀及び
還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場
合に銀イオン供給体として機能し、銀画像を形成せしめ
る銀塩である。有機銀塩は還元剤により還元されうる銀
イオンを供給できる任意の有機物質であってよい。この
ような非感光性の有機銀塩については、特開平10-62899
号の段落番号0048〜0049、欧州特許公開第0803
764A1号の第18ページ第24行〜第19ページ第37
行、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11-349591号、
特開2000-7683号、同2000-72711号等に記載されてい
る。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは1
5〜28の)長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。脂肪
酸銀塩の好ましい例としては、リグノセリン酸、ベヘン
酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸
銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パ
ルミチン酸銀、エルカ酸およびこれらの混合物などを含
む。本発明においては、これら脂肪酸銀の中でも、ベヘ
ン酸銀含有率が好ましくは50モル%以上、より好まし
くは85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上
の脂肪酸銀を用いることが好ましい。 【0063】本発明に用いることができる有機銀塩の形
状としては特に制限はなく、針状、棒状、平板状、りん
片状いずれでもよい。本発明においてはりん片状の有機
銀塩が好ましい。また、長軸と単軸の長さの比が5以下
の短針状、直方体、立方体またはジャガイモ状の不定形
粒子も好ましく用いられる。これらの有機銀粒子は長軸
と単軸の長さの比が5以上の長針状粒子に比べて熱現像
時のカブリが少ないという特徴を有している。特に、長
軸と単軸の比が3以下の粒子は塗布膜の機械的安定性が
向上し好ましい。本明細書において、りん片状の有機銀
塩とは、次のようにして定義する。有機酸銀塩を電子顕
微鏡で観察し、有機酸銀塩粒子の形状を直方体と近似
し、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとし
た(cはbと同じであってもよい。)とき、短い方の数
値a、bで計算し、次のようにしてxを求める。 x=b/a 【0064】このようにして200個程度の粒子について
xを求め、その平均値x(平均)としたとき、x(平
均)≧1.5の関係を満たすものをりん片状とする。好ま
しくは30≧x(平均)≧1.5、より好ましくは20≧x
(平均)≧1.5である。因みに針状とは1≦x(平均)
<1.5である。 【0065】りん片状粒子において、aはbとcを辺と
する面を主平面とした平板状粒子の厚さとみることがで
きる。aの平均は0.01μ 以上0.30μm が好ましく0.1
μm以上0.23μm 以下がより好ましい。c/bの平均
は好ましくは1.0以上6以下、より好ましくは1.0以上4
以下、さらに好ましくは1.0以上3以下、特に好ましく
は1.0以上2以下である。 【0066】有機銀塩の粒子サイズ分布は単分散である
ことが好ましい。単分散とは短軸、長軸それぞれの長さ
の標準偏差を短軸、長軸それぞれで割った値の100分率
が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に
好ましくは50%以下である。有機銀塩の形状の測定方法
としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求め
ることができる。単分散性を測定する別の方法として、
有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法が
あり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)
が好ましくは100%以下、より好ましくは80%以下、更に
好ましくは50%以下である。測定方法としては例えば一
般のレーザー光散乱型粒子サイズ測定装置を用いること
ができる。 【0067】本発明に用いられる有機酸銀の製造及びそ
の分散法は、公知の方法等を適用することができる。例
えば上記の特開平10-62899号、欧州特許公開第0803763A
1、欧州特許公開第0962812A1号、特開平11-349591号、
特開2000-7683号、同2000-72711号、特願平11-348228〜
30号、同11-203413号、特願2000-90093号、同2000-1956
21号、同2000-191226号、同2000-213813号、同2000-214
155号、同2000-191226号等を参考にすることができる。 【0068】なお、有機銀塩の分散時に、感光性銀塩を
共存させると、カブリが上昇し、感度が著しく低下する
ため、分散時には感光性銀塩を実質的に含まないことが
より好ましい。本発明では、分散される水分散液中での
感光性銀塩量は、その液中の有機酸銀塩1molに対し1m
ol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mol%
以下であり、さらに好ましいのは積極的な感光性銀塩の
添加を行わないものである。 【0069】本発明の有機銀塩は所望の量で使用できる
が、ハロゲン化銀も含めた全塗布銀量として0.1〜5.0g/
m2が好ましく、より好ましくは0.3〜3.0g/m2、さらに好
ましくは0.5〜2.0g/m2である。特に、画像保存性を向上
させるためには、全塗布銀量が1.8g/m2以下、より好ま
しくは1.6g/m2であることが好ましい。本発明の好まし
い還元剤を使用すれば、このような低銀量においても十
分な画像濃度を得ることが可能である。 【0070】1−3.還元剤 本発明の熱現像感光材料には有機銀塩のための還元剤を
含む。還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物
質(好ましくは有機物質)であってよい。このような還元
剤の例は、特開平11-65021号の段落番号0043〜00
45や、欧州特許公開第0803764A1号の第7ページ第3
4行〜第18ページ第12行に記載されている。 【0071】本発明において、還元剤としてはフェノー
ル性水酸基のオルト位に置換基を有するいわゆるヒンダ
ードフェノール系還元剤あるいはビスフェノール系還元
剤が好ましく、下記一般式(R)で表される化合物がよ
り好ましい。一般式(R) 【0072】 【化7】 【0073】一般式(R)において、R11およびR11'
は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R12お
よびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン環に置
換可能な置換基を表す。Lは-S-基または-CHR13-基を
表す。R13は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基
を表す。X1およびX1'は各々独立に水素原子またはベ
ンゼン環に置換可能な基を表す。 【0074】各置換基について詳細に説明する。 1)R11およびR11' R11およびR11'は各々独立に置換または無置換の炭素
数1〜20のアルキル基であり、アルキル基の置換基は
特に限定されることはないが、好ましくは、アリール
基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルアミノ基、ス
ルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、アシル
基、カルバモイル基、エステル基、ハロゲン原子等があ
げられる。 【0075】2)R12およびR12'、X1およびX1' R12およびR12'は各々独立に水素原子またはベンゼン
環に置換可能な基を表す。X1およびX1'は、各々独立
に水素原子またはベンゼン環に置換可能な基を表す。そ
れぞれベンゼン環に置換可能な基としては、好ましくは
アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ
基、アシルアミノ基があげられる。 【0076】3)L Lは−S−基または−CHR13−基を表す。R13は水素
原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、アルキ
ル基は置換基を有していてもよい。R13の無置換のアル
キル基の具体例はメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘプチル基、ウンデシル基、イソプロピル基、
1−エチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチ
ル基などがあげられる。 【0077】アルキル基の置換基の例はR11の置換基と
同様で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ
基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシルアミノ
基、スルホンアミド基、スルホニル基、ホスホリル基、
オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル
基などがあげられる。 【0078】4)好ましい置換基 R11およびR11'として好ましくは炭素数3〜15の2
級または3級のアルキル基であり、具体的にはイソプロ
ピル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、
t−オクチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル
基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロプ
ロピル基などがあげられる。R11およびR 11'としてよ
り好ましくは炭素数4〜12の3級アルキル基で、その
中でもt−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロ
ヘキシル基が更に好ましく、t−ブチル基が最も好まし
い。 【0079】R12およびR12'として好ましくは炭素数
1〜20のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t−
ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、1−メチ
ルシクロヘキシル基、ベンジル基、メトキシメチル基、
メトキシエチル基などがあげられる。より好ましくはメ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−
ブチル基である。 【0080】X1およびX1'は、好ましくは水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基で、より好ましくは水素原子
である。 【0081】Lは好ましくは−CHR13−基である。 【0082】R13として好ましくは水素原子または炭素
数1〜15のアルキル基であり、アルキル基としてはメ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,
4,4−トリメチルペンチル基が好ましい。R13として
特に好ましいのは水素原子、メチル基、プロピル基また
はイソプロピル基である。 【0083】R13が水素原子である場合、R12およびR
12'は好ましくは炭素数2〜5のアルキル基であり、エ
チル基、プロピル基がより好ましく、エチル基が最も好
ましい。 【0084】R13が炭素数1〜8の1級または2級のア
ルキル基である場合、R12およびR 12'はメチル基が好
ましい。R13の炭素数1〜8の1級または2級のアルキ
ル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピ
ル基が更に好ましい。 【0085】R11、R11'およびR12、R12'とがいずれ
もメチル基である場合、R13は2級のアルキル基である
ことが好ましい。この場合、R13の2級アルキル基とし
てはイソプロピル基、イソブチル基、1−エチルペンチ
ル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。 【0086】上記還元剤は、R11、R11'およびR12お
よびR12'、およびR13の組合せにより、種々の熱現像
性能が異なる。2種以上の還元剤を種々の混合比率で併
用することによってこれらの熱現像性能を調整すること
ができるので、目的によっては還元剤を2種類以上組み
合わせて使用することが好ましい。 【0087】以下に本発明の一般式(R)で表される化
合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。 【0088】 【化8】【0089】 【化9】【0090】 【化10】【0091】本発明において還元剤の添加量は0.1〜
3.0g/m2であることが好ましく、0.2〜1.5
g/m2であることがより好ましく、さらに好ましくは
0.3〜1.0g/m2である。画像形成層を有する面
の銀1モルに対しては5〜50%モル含まれることが好
ましく、より好ましくは8〜30モル%であり、10〜
20モル%で含まれることがさらに好ましい。 【0092】本発明の還元剤は、有機銀塩、および感光
性ハロゲン化銀を含む画像形成層、およびその隣接層に
添加することができるが、画像形成層に含有させること
がより好ましい。 【0093】本発明の還元剤は溶液形態、乳化分散形
態、固体微粒子分散物形態など、いかなる方法で塗布液
に含有せしめ、感光材料に含有させてもよい。 【0094】よく知られている乳化分散法としては、ジ
ブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリ
セリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなど
のオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶
媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製する方法
が挙げられる。 【0095】また、固体微粒子分散法としては、還元剤
を水等の適当な溶媒中にボールミル、コロイドミル、振
動ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ローラーミ
ルあるいは超音波によって分散し、固体分散物を作成す
る方法が挙げられる。好ましくは、サンドミルを使った
分散方法である。尚、その際に保護コロイド(例えば、
ポリビニルアルコール)、界面活性剤(例えばトリイソ
プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム(3つのイソ
プロピル基の置換位置が異なるものの混合物)などのア
ニオン性界面活性剤)を用いてもよい。水分散物には防
腐剤(例えばベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩)を
含有させることができる。 【0096】特に好ましいのは、還元剤の固体粒子分散
法であり、平均粒子サイズ0.01μm〜10μm、好
ましくは0.05μm〜5μm、より好ましくは0.1
μm〜3μmの微粒子して添加するのが好ましい。本願
においては他の固体分散物もこの範囲の粒子サイズに分
散して用いるのが好ましい。 【0097】上記ミル類では分散媒体としてジルコニア
等のビーズが使われるのが普通であり、これらのビーズ
から溶出するZr等が分散物中に混入することがある。
分散条件にもよるが通常は1ppm〜1000ppmの範囲であ
る。感材中のZrの含有量が銀1g当たり0.5mg以下で
あれば実用上差し支えない。 【0098】水分散物には防腐剤(例えばベンゾイソチ
アゾリノンナトリウム塩)を含有させることが好まし
い。 【0099】1−4.現像促進剤 本発明の熱現像感光材料では、現像促進剤として特開20
00-267222号や特開2000-330234号等に記載の一般式
(A)で表されるスルホンアミドフェノール系の化合
物、特開2001-92075号記載の一般式(II)で表される
ヒンダードフェノール系の化合物、特開平10-62895号や
特開平11-15116号等に記載の一般式(I)、特願2001-0
74278号に記載の一般式(1)で表されるヒドラジン系
の化合物、特願2000-76240号に記載されている一般式
(2)で表されるフェノール系またはナフトール系の化
合物が好ましく用いられる。これらの現像促進剤は還元
剤に対して0.1〜20モル%の範囲で使用され、好ま
しくは0.5〜10モル%の範囲で、より好ましくは1
〜5モル%の範囲である。感材への導入方法は還元剤同
様の方法があげられるが、特に固体分散物または乳化分
散物として添加することが好ましい。乳化分散物として
添加する場合、常温で固体である高沸点溶剤と低沸点の
補助溶剤を使用して分散した乳化分散物として添加する
か、もしくは高沸点溶剤を使用しない所謂オイルレス乳
化分散物として添加することが好ましい。 【0100】本発明においては上記現像促進剤の中で
も、特願2001-074278号に記載の一般式(1)で表され
るヒドラジン系の化合物および特願2000-76240号に記載
されている一般式(2)で表されるフェノール系または
ナフトール系の化合物が特に好ましい。 【0101】以下、本発明の現像促進剤の好ましい具体
例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 【0102】 【化11】 【0103】1−5.水素結合性化合物 本発明では、還元剤の芳香族性の水酸基(−OH)と水
素結合を形成することが可能な基を有する非還元性の化
合物を併用することが好ましい。 【0104】水素結合を形成しうる基としては、ホスホ
リル基、スルホキシド基、スルホニル基、カルボニル
基、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレイド基、
3級アミノ基、含窒素芳香族基などが挙げられる。その
中でも好ましいのはホスホリル基、スルホキシド基、ア
ミド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(Raは
H以外の置換基)のようにブロックされている。)、ウ
レタン基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra(Ra
はH以外の置換基)のようにブロックされている。)、
ウレイド基(但し、>N−H基を持たず、>N−Ra
(RaはH以外の置換基)のようにブロックされてい
る。)を有する化合物である。 【0105】本発明で、特に好ましい水素結合性化合物
は下記一般式(A)で表される化合物である。 【0106】 【化12】 【0107】一般式(A)においてR21ないしR23は各
々独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アミノ基またはヘテロ環基を表し、これ
らの基は無置換であっても置換基を有していてもよい。 【0108】R21ないしR23が置換基を有する場合の置
換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、
アルコキシ基、アミノ基、アシル基、アシルアミノ基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホンアミド基、
アシルオキシ基、オキシカルボニル基、カルバモイル
基、スルファモイル基、スルホニル基、ホスホリル基な
どがあげられ、置換基として好ましいのはアルキル基ま
たはアリール基でたとえばメチル基、エチル基、イソプ
ロピル基、t−ブチル基、t−オクチル基、フェニル
基、4−アルコキシフェニル基、4−アシルオキシフェ
ニル基などがあげられる。 【0109】R21ないしR23のアルキル基としては具体
的にはメチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ド
デシル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル
基、t−オクチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシ
クロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、2−フェ
ノキシプロピル基などがあげられる。 【0110】アリール基としてはフェニル基、クレジル
基、キシリル基、ナフチル基、4−t−ブチルフェニル
基、4−t−オクチルフェニル基、4−アニシジル基、
3,5−ジクロロフェニル基などが挙げられる。 【0111】アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキ
シ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキ
シルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ
基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4−
メチルシクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等が
挙げられる。 【0112】アリールオキシ基としてはフェノキシ基、
クレジルオキシ基、イソプロピルフェノキシ基、4−t
−ブチルフェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキ
シ基等が挙げられる。 【0113】アミノ基としてはジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジオクチルアミノ
基、N−メチル−N−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキ
シルアミノ基、ジフェニルアミノ基、N−メチル−N−
フェニルアミノ基等が挙げられる。 【0114】R21ないしR23としてはアルキル基、アリ
ール基、アルコキシ基、アリールオキシ基が好ましい。
本発明の効果の点ではR21ないしR23のうち少なくとも
一つ以上がアルキル基またはアリール基であることが好
ましく、二つ以上がアルキル基またはアリール基である
ことがより好ましい。また、安価に入手する事ができる
という点ではR21ないしR23が同一の基である場合が好
ましい。 【0115】以下に本発明における一般式(A)の化合
物をはじめとする水素結合性化合物の具体例を示すが、
本発明はこれらに限定されるものではない。 【0116】 【化13】【0117】 【化14】 【0118】水素結合性化合物の具体例は上述の他に特
願2000-192191号、同2000-194811号に記載のものがあげ
られる。 【0119】本発明の水素結合性化合物は、還元剤と同
様に溶液形態、乳化分散形態、固体分散微粒子分散物形
態で塗布液に含有せしめ、感光材料中で使用することが
できるが、固体分散物として使用することが好ましい。
本発明の化合物は、溶液状態でフェノール性水酸基を有
する化合物と水素結合による錯体を形成しており、還元
剤と本発明の一般式(A)の化合物との組み合わせによ
っては錯体として結晶状態で単離することができる。 【0120】このようにして単離した結晶粉体を固体分
散微粒子分散物として使用することは安定した性能を得
る上で特に好ましい。また、還元剤と本発明の水素結合
性化合物を粉体で混合し、適当な分散剤を使って、サン
ドグラインダーミル等で分散時に錯形成させる方法も好
ましく用いることができる。 【0121】本発明の水素結合性化合物は還元剤に対し
て、1〜200モル%の範囲で使用することが好まし
く、より好ましくは10〜150モル%の範囲で、さら
に好ましくは30〜100モル%の範囲である。 【0122】1−6.ハロゲン化銀写真乳剤 1)ハロゲン化銀組成 本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組
成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、
ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀、ヨウ化銀を用いることがで
きる。その中でも臭化銀およびヨウ臭化銀、ヨウ化銀が
好ましい。粒子内におけるハロゲン組成の分布は均一で
あってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したも
のでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。ま
た、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ま
しく用いることができる。構造として好ましいものは2
〜5重構造であり、より好ましくは2〜4重構造のコア/シ
ェル粒子を用いることができる。また塩化銀、臭化銀ま
たは塩臭化銀粒子の表面に臭化銀やヨウ化銀を局在させ
る技術も好ましく用いることができる。 【0123】2)粒子形成方法 感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界ではよく知られ
ており、例えば、リサーチ・ディスクロージャー1978年
6月の第17029号、および米国特許第3,700,458号に記載
されている方法を用いることができる。具体的には有機
酸銀に水溶性ハロゲン塩を反応させて有機酸銀の一部を
ハロゲン化銀に変えるコンバージョン法、有機酸と水溶
性銀塩を反応させる間にハロゲン化銀を混合し有機酸銀
粒子の中にハロゲン化銀を取り込む方法、あるいは有機
酸銀粒子とハロゲン化銀粒子を予め調製してから混合す
る方法がある。本発明では、ゼラチンあるいは他のポリ
マー溶液中に銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添
加することにより感光性ハロゲン化銀を調製し、その後
で有機銀塩と混合する方法を用いるのが好ましい。ま
た、特開平11-119374号の段落番号0217〜0224
に記載されている方法、特願平11-98708号、特開2000-3
47335号記載の方法も好ましい。 【0124】3)粒子サイズ、塗布量 感光性ハロゲン化銀の粒子サイズおよびその塗布量は、
本発明の高い画像の保存安定性を達成するのに重要な要
件である。従来、一般に熱現像感光材料には粒子サイズ
が0.07μm〜0.15μmのハロゲン化銀を有機銀
塩に対して10モル%〜20モル%用いられた。本発明
では、感光性ハロゲン化銀の粒子サイズは、好ましくは
5nm〜70nm、より好ましくは10nm〜50nm
である。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒子
の投影面積(平板粒子の場合は主平面の投影面積)と同
面積の円像に換算したときの直径をいう。 【0125】感光性ハロゲン化銀の塗布量は、感材1m
2当たりの塗布銀量で示して、0.001〜0.60g/m2であるこ
とが好ましく、0.005〜0.30g/m2であることがさらに好
ましく、0.01〜0.10g/m2であることが最も好ましい。 【0126】4)粒子形状 ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、平板
状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ状粒子等を挙
げることができるが、本発明においては特に立方体状粒
子が好ましい。ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった
粒子も好ましく用いることができる。感光性ハロゲン化
銀粒子の外表面の面指数(ミラー指数)については特に
制限はないが、分光増感色素が吸着した場合の分光増感
効率が高い{100}面の占める割合が高いことが好ま
しい。その割合としては50%以上が好ましく、65%
以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。ミラ
ー指数{100}面の比率は増感色素の吸着における
{111}面と{100}面との吸着依存性を利用した
T.Tani;J.Imaging Sci.,29、165(1985年)に記載の方法
により求めることができる。 【0127】5)重金属 本発明においては、六シアノ金属錯体を粒子最表面に存
在させたハロゲン化銀粒子が好ましい。六シアノ金属錯
体としては、[Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-、[Ru(C
N)6]4-、[Os(CN)6]4-、[Co(CN)6]3-、[Rh(CN)6]3-、[Ir
(CN)6]3-、[Cr(CN)6]3 -、[Re(CN)6]3-などが挙げられ
る。本発明においては六シアノFe錯体が好ましい。 【0128】六シアノ金属錯体は、水溶液中でイオンの
形で存在するので対陽イオンは重要ではないが、水と混
和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合してい
るナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオ
ン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ
金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウ
ムイオン(例えばテトラメチルアンモニウムイオン、テ
トラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモ
ニウムイオン、テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオ
ン)を用いることが好ましい。 【0129】六シアノ金属錯体は、水の他に水と混和し
うる適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル
類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類
等)との混合溶媒やゼラチンと混和して添加することが
できる。 【0130】六シアノ金属錯体の添加量は、銀1モル当
たり1×10-5モル以上1×10-2モル以下が好ましく、
より好ましくは1×10-4モル以上1×10-3モル以下で
ある。 【0131】六シアノ金属錯体をハロゲン化銀粒子最表
面に存在させるには、六シアノ金属錯体を、粒子形成に
使用する硝酸銀水溶液を添加終了した後、硫黄増感、セ
レン増感およびテルル増感などのカルコゲン増感や金増
感等の貴金属増感を行う化学増感工程の前までの仕込工
程終了前、水洗工程中、分散工程中、または化学増感工
程の前に直接添加する。ハロゲン化銀微粒子を成長させ
ないためには、粒子形成後速やかに六シアノ金属錯体を
添加することが好ましく、仕込工程終了前に添加するこ
とが好ましい。 【0132】尚、六シアノ金属錯体の添加は、粒子形成
をするために添加する硝酸銀の総量の96質量%を添加
した後から開始してもよく、98質量%添加した後から
開始するのがより好ましく、99質量%添加した後が特
に好ましい。 【0133】これら六シアノ金属錯体を粒子形成の完了
する直前の硝酸銀水溶液を添加した後に添加すると、ハ
ロゲン化銀粒子最表面に吸着することができ、そのほと
んどが粒子表面の銀イオンと難溶性の塩を形成する。こ
の六シアノ鉄(II)の銀塩は、AgIよりも難溶性の塩で
あるため、微粒子による再溶解を防ぐことができ、粒子
サイズが小さいハロゲン化銀微粒子を製造することが可
能となった。 【0134】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、周期
律表(第1〜18族までを示す)の第8族〜第10族の金属
または金属錯体を含有することができる。周期律表の第
8族〜第10族の金属または金属錯体の中心金属として好
ましくは、ロジウム、ルテニウム、イリジウムである。
これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種
金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率
は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3モルの範囲が
好ましい。これらの重金属や金属錯体及びそれらの添加
法については特開平7-225449号、特開平11-65021号段落
番号0018〜0024、特開平11-119374号段落番号0227〜024
0に記載されている。 【0135】さらに本発明に用いられるハロゲン化銀粒
子に含有することのできる金属原子(例えば[Fe(CN)6]
4-)、ハロゲン化銀乳剤の脱塩法や化学増感法について
は特開平11-84574号段落番号0046〜0050、特開平11-650
21号段落番号0025〜0031、特開平11-119374号段落番号0
242〜0250に記載されている。 【0136】6)ゼラチン 本発明に用いる感光性ハロゲン化銀乳剤に含有されるゼ
ラチンとしては、種々のゼラチンが使用することができ
る。感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中で
の分散状態を良好に維持することが必要であり、分子量
は、10,000〜1,000,000の低分子量ゼラチンを使用する
ことが好ましい。また、フタル化処理したゼラチンを用
いることも好ましい。これらのゼラチンは粒子形成時あ
るいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、粒子形
成時に使用することが好ましい。 【0137】7)増感色素 本発明の感光性ロゲン化銀には増感色素を用いて増感し
ても良い。本発明に適用できる増感色素としてはハロゲ
ン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化
銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に
適した分光感度を有する増感色素を有利に選択すること
ができる。増感色素及び添加法については、特開平11-6
5021号の段落番号0103〜0109、特開平10-186572号一般
式(II)で表される化合物、特開平11-119374号の一般式
(I)で表される色素及び段落番号0106、米国特許第5,51
0,236号、同第3,871,887号実施例5に記載の色素、特開
平2-96131号、特開昭59-48753号に開示されている色
素、欧州特許公開第0803764A1号の第19ページ第38行〜
第20ページ第35行、特願2000-86865号、特願2000-10256
0号、特願2000-205399号等に記載されている。これらの
増感色素は単独で用いてもよく、2種以上組合せて用い
てもよい。本発明において増感色素をハロゲン化銀乳剤
中に添加する時期は、脱塩工程後、塗布までの時期が好
ましく、より好ましくは脱塩後から化学熟成が終了する
までの時期である。 【0138】本発明における増感色素の添加量は、感度
やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができる
が、感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モル
が好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1モルである。 【0139】本発明は分光増感効率を向上させるため、
強色増感剤を用いることができる。本発明に用いる強色
増感剤としては、欧州特許公開第587,338号、米国特許
第3,877,943号、同第4,873,184号、特開平5-341432号、
同11-109547号、同10-111543号等に記載の化合物が挙げ
られる。 【0140】8)化学増感 本発明における感光性ハロゲン化銀粒子は、硫黄増感
法、セレン増感法もしくはテルル増感法にて化学増感さ
れていることが好ましい。硫黄増感法、セレン増感法、
テルル増感法に好ましく用いられる化合物としては公知
の化合物、例えば、特開平7-128768号等に記載の化合物
等を使用することができる。特に本発明においてはテル
ル増感が好ましく、特開平11-65021号段落番号0030
に記載の文献に記載の化合物、特開平5-313284号中の一
般式(II),(III),(IV)で示される化合物がより好
ましい。 【0141】本発明で用いられる硫黄、セレンおよびテ
ルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化
学熟成条件等によって変わるが、ハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モ
ル程度を用いる。 【0142】本発明における感光性ハロゲン化銀粒子
は、前記の一般式(PF1)、一般式(PF2)、一般
式(PF3)、一般式(PF4)で表される金−カルコ
ゲン化合物とともに、従来通常用いられる金化合物を併
用することもできる。通常用いられる金化合物の代表的
な例としては塩化金酸、臭化金酸、カリウムクロロオー
レート、カリウムブロロオーレート、オーリックトリク
ロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウ
ムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシド、
アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロ
ロゴールドなどが好ましい。また、米国特許第5858
637号、特願2001−79450号に記載の金増感
剤も好ましく用いられる。 【0143】併用する金増感剤の添加量は種々の条件に
より異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり1
0-7モルから10-3モル、より好ましくは10-6モル〜5×10
-4モルである。 【0144】本発明においては、化学増感は粒子形成後
で塗布前であればいかなる時期でも可能であり、脱塩
後、(1)分光増感前、(2)分光増感と同時、(3)分光増感
後、(4)塗布直前等があり得る。 【0145】本発明における化学増感の条件としては特
に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては
6〜11、温度としては40〜95℃程度である。 【0146】本発明で用いるハロゲン化銀乳剤には、欧
州特許公開第293,917号公報に示される方法により、チ
オスルホン酸化合物を添加してもよい。 【0147】本発明の感光性ハロゲン化銀粒子は、還元
増感してもよい。還元増感剤としては、アスコルビン
酸、二酸化チオ尿素が好ましく、その他に塩化第一錫、
アミノイミノメタンスルホン酸、ヒドラジン誘導体、ボ
ラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用い
ることが好ましい。還元増感剤の添加は結晶成長から塗
布直前の調製工程までの感光乳剤製造工程のどの過程で
も良い。また、乳剤のpHを7以上またpAgを8.3
以下に保持して熟成することにより還元増感することが
好ましく、粒子形成中に銀イオンのシングルアディショ
ン部分を導入することにより還元増感することも好まし
い。 【0148】本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤
は、1光子で2電子を発生させる化合物としてFED増
感剤(Fragmentable elctron d
onating sensitizer)を含有するこ
とが好ましい。FED増感剤としては、米国特許第57
47235号、同5747236号、同6054260
号、同5994051号、特願2001−86161号
に記載の化合物が好ましい。FED増感剤の添加工程と
しては、結晶成長から塗布直前の調製工程までの感光乳
剤製造工程のどの過程でも良い。添加量としては、種々
の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モ
ル当たり10-7〜10-1モル、より好ましくは10-6〜
5×10-2モルである。 【0149】9)ハロゲン化銀の複数併用 本発明に用いられる感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳
剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒
子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶
癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用し
てもよい。感度の異なる感光性ハロゲン化銀を複数種用
いることで階調を調節することができる。これらに関す
る技術としては特開昭57-119341号、同53-106125号、同
47-3929号、同48-55730号、同46-5187号、同50-73627
号、同57-150841号などが挙げられる。感度差としては
それぞれの乳剤で0.2logE以上の差を持たせることが好
ましい。 【0150】10)ハロゲン化銀と有機酸銀の混合、塗
布液との混合 別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方
法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロ
ゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サ
ンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等
で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれ
かのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混
合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効
果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。ま
た、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以
上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の
調節のために好ましい方法である。 【0151】本発明のハロゲン化銀の画像形成層塗布液
中への好ましい添加時期は、塗布する180分前から直
前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混合方法及
び混合条件については本発明の効果が十分に現れる限り
においては特に制限はない。具体的な混合方法としては
添加流量とコーターへの送液量から計算した平均滞留時
間を所望の時間となるようにしたタンクでの混合する方
法やN.Harnby、M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司
訳“液体混合技術”(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8
章等に記載されているスタチックミキサーなどを使用す
る方法がある。 【0152】1−7.バインダー 本発明の有機銀塩含有層のバインダーはいかなるポリマ
ーであってもよく、好適なバインダーは透明又は半透明
で、一般に無色であり、天然樹脂やポリマー及びコポリ
マー、合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィ
ルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン類、ゴム類、ポ
リ(ビニルアルコール)類、ヒドロキシエチルセルロー
ス類、セルロースアセテート類、セルロースアセテート
ブチレート類、ポリ(ビニルピロリドン)類、カゼイ
ン、デンプン、ポリ(アクリル酸)類、ポリ(メチルメ
タクリル酸)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(メタク
リル酸)類、スチレン−無水マレイン酸共重合体類、ス
チレン−アクリロニトリル共重合体類、スチレン−ブタ
ジエン共重合体類、ポリ(ビニルアセタール)類(例え
ば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラ
ール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、
フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(エ
ポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(酢酸ビ
ニル)類、ポリ(オレフィン)類、セルロースエステル
類、ポリ(アミド)類がある。バインダーは水又は有機
溶媒またはエマルションから被覆形成してもよい。 【0153】1)ガラス転移点(Tg) 本発明では、有機銀塩を含有する層のバインダーのガラ
ス転移温度は−20℃以上80℃以下であることが好ま
しく、0℃〜70℃であることがより好ましく、10℃
以上65℃以下であることが更に好ましい。 【0154】なお、本明細書においてTgは下記の式で
計算される。 1/Tg=Σ(Xi/Tgi) 【0155】ここでは、ポリマーはi=1からnまでの
n個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi
番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi
番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温
度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。
尚、各モノマーの単独重合体ガラスの転移温度の値(T
gi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup,
E.H.Immergut著(Wiley-Interscience、1989))の値を採
用した。 【0156】バインダーとなるポリマーは単独種で用い
てもよいし、必要に応じて2種以上を併用しても良い。
また、ガラス転移温度が20℃以上のものとガラス転移
温度が20℃未満のものを組み合わせて用いてもよい。
Tgの異なるポリマーを2種以上ブレンドして使用する
場合には、その重量平均Tgが上記の範囲に入ることが
好ましい。 【0157】2)水系塗布 本発明においては、有機銀塩含有層が溶媒の30質量%
以上が水である塗布液を用いて塗布し、乾燥して形成さ
れる場合に、さらに有機銀塩含有層のバインダーが水系
溶媒(水溶媒)に可溶または分散可能である場合に、特
に25℃60%RHでの平衡含水率が2質量%以下のポ
リマーのラテックスからなる場合に性能が向上する。最
も好ましい形態は、イオン伝導度が2.5mS/cm以
下になるように調製されたものであり、このような調製
法としてポリマー合成後分離機能膜を用いて精製処理す
る方法が挙げられる。 【0158】ここでいう前記ポリマーが可溶または分散
可能である水系溶媒とは、水または水に70質量%以下
の水混和性の有機溶媒を混合したものである。溶媒の水
含有率は50質量%以上がより好ましく、さらに好まし
くは70質量%以上が良い。水混和性の有機溶媒として
は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プ
ロピルアルコール等のアルコール系、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソル
ブ系、酢酸エチル、ジメチルホルミアミドなどを挙げる
ことができる。 【0159】好ましい溶媒組成の具体例を挙げると、水
100の他、水/メチルアルコール=90/10、水/
メチルアルコール=70/30、水/メチルアルコール
/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メチル
アルコール/エチルセロソルブ=85/10/5、水/
メチルアルコール/イソプロピルアルコール=85/1
0/5などがある(数値は質量%)。 【0160】また「25℃60%RHにおける平衡含水
率」とは、25℃60%RHの雰囲気下で調湿平衡にあ
るポリマーの重量W1と25℃で絶乾状態にあるポリマ
ーの重量W0を用いて以下のように表すことができる。
25℃60%RHにおける平衡含水率=[(W1−W0)/
W0]×100(質量%)含水率の定義と測定法について
は、例えば高分子工学講座14、高分子材料試験法(高
分子学会編、地人書館)を参考にすることができる。 【0161】本発明のバインダーポリマーの25℃60
%RHにおける平衡含水率は2質量%以下であることが
好ましいが、より好ましくは0.01質量%以上1.5
質量%以下、さらに好ましくは0.02質量%以上1質
量%以下が望ましい。 【0162】本発明のバインダーは水系溶媒に分散可能
なポリマーが特に好ましい。分散状態の例としては、水
不溶な疎水性ポリマーの微粒子が分散しているラテック
スやポリマー分子が分子状態またはミセルを形成して分
散しているものなどがあるが、いずれも好ましい。分散
粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは
5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒
径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つ
ものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。 【0163】本発明において水系溶媒に分散可能なポリ
マーの好ましい態様としては、アクリル系ポリマー、ポ
リ(エステル)類、ゴム類(例えばSBR樹脂)、ポリ
(ウレタン)類、ポリ(塩化ビニル)類、ポリ(酢酸ビ
ニル)類、ポリ(塩化ビニリデン)類、ポリ(オレフィ
ン)類等の疎水性ポリマーを好ましく用いることができ
る。これらポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分か
れしたポリマーでもまた架橋されたポリマーでもよい
し、単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーで
もよいし、2種類以上のモノマーが重合したコポリマー
でもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーで
も、ブロックコポリマーでもよい。 【0164】これらポリマーの分子量は数平均分子量で
5000〜1000000、好ましくは10000〜2
00000がよい。分子量が小さすぎるものは乳剤層の
力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪
く好ましくない。また、架橋性のポリマーラテックスは
特に好ましく利用される。 【0165】3)ラテックスバインダー 好ましいポリマーラテックスの具体例としては以下のも
のを挙げることができる。以下では原料モノマーを用い
て表し、括弧内の数値は質量%、分子量は数平均分子量
である。多官能モノマーを使用した場合は架橋構造を作
るため分子量の概念が適用できないので架橋性と記載
し、分子量の記載を省略した。Tgはガラス転移温度を
表す。 【0166】P-1;-MMA(70)-EA(27)-MAA(3)-のラテック
ス(分子量37000、Tg61℃) P-2;-MMA(70)-2EHA(20)-St(5)-AA(5)-のラテックス(分
子量40000、Tg59℃) P-3;-St(50)-Bu(47)-MAA(3)-のラテックス(架橋性、Tg-
17℃) P-4;-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス(架橋性、Tg17
℃) P-5;-St(71)-Bu(26)-AA(3)-のラテックス(架橋性,Tg24
℃) P-6;-St(70)-Bu(27)-IA(3)-のラテックス(架橋性) P-7;-St(75)-Bu(24)-AA(1)-のラテックス(架橋性、Tg29
℃) P-8;-St(60)-Bu(35)-DVB(3)-MAA(2)-のラテックス(架橋
性) P-9;-St(70)-Bu(25)-DVB(2)-AA(3)-のラテックス(架橋
性) P-10;-VC(50)-MMA(20)-EA(20)-AN(5)-AA(5)-のラテック
ス(分子量80000) P-11;-VDC(85)-MMA(5)-EA(5)-MAA(5)-のラテックス(分
子量67000) P-12;-Et(90)-MAA(10)-のラテックス(分子量12000) P-13;-St(70)-2EHA(27)-AA(3)のラテックス(分子量130
000、Tg43℃) P-14;-MMA(63)-EA(35)- AA(2)のラテックス(分子量330
00、Tg47℃) P-15;-St(70.5)-Bu(26.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,
Tg23℃) P-16;-St(69.5)-Bu(27.5)-AA(3)-のラテックス(架橋性,
Tg20.5℃) 【0167】上記構造の略号は以下のモノマーを表す。
MMA;メチルメタクリレート、EA;エチルアクリレー
ト、MAA;メタクリル酸、2EHA;2-エチルヘキシルアク
リレート、St;スチレン、Bu;ブタジエン、AA;アクリ
ル酸、DVB;ジビニルベンゼン、VC;塩化ビニル、AN;
アクリロニトリル、VDC;塩化ビニリデン、Et;エチレ
ン、IA;イタコン酸。 【0168】以上に記載したポリマーラテックスは市販
もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。ア
クリル系ポリマーの例としては、セビアンA-4635,471
8,4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx8
11、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)な
ど、ポリ(エステル)類の例としては、FINETEX ES65
0、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、
WD-size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポ
リ(ウレタン)類の例としては、HYDRAN AP10、20、30、
40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム類の例
としては、LACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上
大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx416、410、438C、
2507(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリ(塩化ビニ
ル)類の例としては、G351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、ポリ(塩化ビニリデン)類の例として
は、L502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、ポリ
(オレフィン)類の例としては、ケミパールS120、SA10
0(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることがで
きる。これらのポリマーラテックスは単独で用いてもよ
いし、必要に応じて2種以上ブレンドしてもよい。 【0169】本発明に用いられるポリマーラテックスと
しては、特に、スチレン−ブタジエン共重合体のラテッ
クスが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけ
るスチレンのモノマー単位とブタジエンのモノマー単位
との重量比は40:60〜95:5であることが好まし
い。また、スチレンのモノマー単位とブタジエンのモノ
マー単位との共重合体に占める割合は60〜99質量%
であることが好ましい。好ましい分子量の範囲は前記と
同様である。 【0170】本発明に用いることが好ましいスチレン−
ブタジエン共重合体のラテックスとしては、前記のP-3
〜P-8,14,15、市販品であるLACSTAR-3307B、7132C、Nip
ol Lx416等が挙げられる。 【0171】4)親水性ポリマーの併用 本発明の感光材料の有機銀塩含有層には必要に応じてゼ
ラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。 【0172】これらの親水性ポリマーの添加量は有機銀
塩含有層の全バインダーの30質量%以下、より好まし
くは20質量%以下が好ましい。 【0173】5)バインダー塗布量 本発明の有機銀塩含有層のバインダーの量は、全バイン
ダー/有機銀塩の重量比が1/10〜10/1、更には
1/5〜4/1の範囲が好ましい。 【0174】本発明の画像形成層の全バインダー量は
0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2
の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のため
の架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加し
てもよい。 【0175】1−8.かぶり防止剤 本発明はカブリ防止剤として下記一般式(H)で表され
る化合物を含有するのが好ましい。 一般式(H) 【0176】Q−(Y)n−C(Z1)(Z2)X 【0177】一般式(H)において、Qはアルキル基、
アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは2価の連結基
を表し、nは0または1を表し、Z1およびZ2はハロゲ
ン原子を表し、Xは水素原子または電子求引性基を表
す。 【0178】一般式(H)において、Qは好ましくはア
リール基またはヘテロ環基である。一般式(H)におい
てQがヘテロ環基である場合、窒素原子を1〜2含有す
る含窒素へテロ環基が好ましく、2−ピリジル基、2−
キノリル基が特に好ましい。一般式(H)においてQが
アリール基の場合、Qは好ましくはハメットの置換基定
数σpが正の値をとる電子求引性基で置換されたフェニ
ル基を表す。ハメットの置換基定数に関しては、Journa
l of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207-12
16 等を参考にすることができる。 【0179】このような電子求引性基としては、例えば
ハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素
原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.2
3)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメ
チル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリ
クロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチ
ル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.6
6)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリー
ルもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホ
ニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしく
は複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.5
0)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル
基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族
・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例え
ば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノ
キシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル
基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:
0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、ホスホリル
基等があげられる。σp値としては好ましくは0.2〜
2.0の範囲で、より好ましくは0.4から1.0の範
囲である。 【0180】電子求引性基として好ましいのは、カルバ
モイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニ
ル基、アルキルホスホリル基、カルボキシル基、アルキ
ルまたはアリールカルボニル基、およびアリールスルホ
ニル基であり、特に好ましくはカルバモイル基、アルコ
キシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルホ
スホリル基であり、カルバモイル基が最も好ましい。 【0181】Xは、好ましくは電子求引性基であり、よ
り好ましくはハロゲン原子、脂肪族・アリールもしくは
複素環スルホニル基、脂肪族・アリールもしくは複素環
アシル基、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカル
ボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基であり、
特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中
でも、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であ
り、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好
ましくは臭素原子である。 【0182】Yは好ましくは−C(=O)−、−SO−
または−SO2 −を表し、より好ましくは−C(=O)
−、−SO2 −であり、特に好ましくは−SO2 −であ
る。nは、0または1を表し、好ましくは1である。 【0183】以下に本発明の一般式(H)の化合物の具
体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 【0184】 【化15】【0185】 【化16】【0186】本発明の一般式(H)で表される化合物は
画像形成層の非感光性銀塩1モル当たり、10-4〜1モ
ルの範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1
0-3〜0.5モルの範囲で、さらに好ましくは1×10
-2〜0.2モルの範囲で使用することが好ましい。 【0187】本発明において、一般式(H)で表される
化合物を感光材料に含有せしめる方法としては、前記還
元剤の含有方法に記載の方法が挙げられ、同様に固体微
粒子分散物で添加するのが好ましい。 【0188】一般式(H)で表される化合物の融点は2
00℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは1
70℃以下がよい。 【0189】本発明に用いられるその他の有機ポリハロ
ゲン化物として、特開平11-65021号の段落番号0111〜01
12に記載の特許に開示されているものが挙げられる。特
に特願平11-87297号の式(P)で表される有機ハロゲン
化合物、特開平10-339934号の一般式(II)で表される
有機ポリハロゲン化合物、特願平11-205330号に記載の
有機ポリハロゲン化合物が好ましい。 【0190】1−9.その他のかぶり防止剤 その他のカブリ防止剤としては特開平11-65021号段落番
号0113の水銀(II)塩、同号段落番号0114の安息香酸
類、特開2000-206642号のサリチル酸誘導体、特開2000-
221634号の式(S)で表されるホルマリンスカベンジャ
ー化合物、特開平11-352624号の請求項9に係るトリア
ジン化合物、特開平6-11791号の一般式(III)で表され
る化合物、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,
7−テトラザインデン等が挙げられる。 【0191】本発明に用いることのできるカブリ防止
剤、安定剤および安定剤前駆体特開平10-62899号の段落
番号0070、欧州特許0803764A1号の第20頁第57行〜
第21頁第7行に記載の特許のもの、特開平9-281637号、
同9-329864号記載の化合物が挙げられる。 【0192】本発明における熱現像感光材料はカブリ防
止を目的としてアゾリウム塩を含有しても良い。アゾリ
ウム塩としては、特開昭59-193447号記載の一般式(X
I)で表される化合物、特公昭55-12581号記載の化合
物、特開昭60-153039号記載の一般式(II)で表され
る化合物が挙げられる。アゾリウム塩は感光材料のいか
なる部位に添加しても良いが、添加層としては感光性層
を有する面の層に添加することが好ましく、有機銀塩含
有層に添加することがさらに好ましい。 【0193】アゾリウム塩の添加時期としては塗布液調
製のいかなる工程で行っても良く、有機銀塩含有層に添
加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかな
る工程でも良いが有機銀塩調製後から塗布直前が好まし
い。アゾリウム塩の添加法としては粉末、溶液、微粒子
分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色
素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液とし
て添加しても良い。 【0194】本発明においてアゾリウム塩の添加量とし
てはいかなる量でも良いが、銀1モル当たり1×10-6
モル以上2モル以下が好ましく、1×10-3モル以上
0.5モル以下がさらに好ましい。 【0195】1−10.その他の添加剤 1)メルカプト、ジスルフィド、およびチオン類 本発明には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御する
ため、分光増感効率を向上させるため、現像前後の保存
性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフ
ィド化合物、チオン化合物を含有させることができ、特
開平10-62899号の段落番号0067〜0069、特開平10-18657
2号の一般式(I)で表される化合物及びその具体例と
して段落番号0033〜0052、欧州特許公開第0803764A1号
の第20ページ第36〜56行等に記載されている。そ
の中でも特開平9-297367号、同9-304875号、特開2001-1
00358号特願2001-104213号、同2001-104214号に記載さ
れているメルカプト置換複素芳香族化合物が好ましい。 【0196】2)色調剤 本発明の熱現像感光材料では色調剤の添加が好ましく、
色調剤については、特開平10−62899号の段落番
号0054〜0055、欧州特許0803764A1号
のp.21,23行〜48行、特開2000−3563
17号や特願2000−187298号に記載されてお
り、特に、フタラジノン類(フタラジノン、フタラジノ
ン誘導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)
フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメ
トキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロー1,4−
フタラジンジオン);フタラジノン類とフタル酸類(例
えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタ
ル酸、フタル酸二アンモニウム、フタル酸ナトリウム、
フタル酸カリウムおよびテトラクロロ無水フタル酸)の
組み合わせ;フタラジン類(フタラジン、フタラジン誘
導体もしくは金属塩;例えば4−(1−ナフチル)フタ
ラジン、6−イソプロピルフタラジン、6−t−ブチル
フタラジン、6−クロロフタラジン、5.7−ジメトキ
シフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジン)が
好ましく、特に、ヨウ化銀含有率の高い組成のハロゲン
化銀との組み合わせにおいては、フタラジン類とフタル
酸類の組み合わせが好ましい。 【0197】好ましいフタラジン類の添加量としては、
有機銀塩1モル当たり0.01モル〜0.3モルであ
り、さらに好ましくは0.02〜0.2モル、特に好ま
しくは0.02〜0.1モルである。 【0198】3)可塑剤、潤滑剤 本発明の感光性層に用いることのできる可塑剤および潤
滑剤については特開平11-65021号段落番号0117に記載さ
れている。滑り剤については特開平11-84573号段落番号
0061〜0064や特願平11-106881号段落番号0049〜0062記
載されている。 【0199】4)染料、顔料 本発明の感光性層には色調改良、レーザー露光時の干渉
縞発生防止、イラジエーション防止の観点から各種染料
や顔料(例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blu
e 64、C.I.Pigment Blue 15:6)を用いることができ
る。これらについてはWO98/36322号、特開平10-268465
号、同11-338098号等に詳細に記載されている。 【0200】5)超硬調化剤 印刷製版用途に適した超硬調画像形成のためには、画像
形成層に超硬調化剤を添加することが好ましい。超硬調
化剤やその添加方法及び添加量については、同号公報段
落番号0118、特開平11−223898号公報段落
番号0136〜0193、特願平11−87297号明
細書の式(H)、式(1)〜(3)、式(A)、(B)
の化合物、特願平11−91652号明細書記載の一般
式(III)〜(V)の化合物(具体的化合物:化21
〜化24)、硬調化促進剤については特開平11−65
021号公報段落番号0102、特開平11−2238
98号公報段落番号0194〜0195に記載されてい
る。 【0201】蟻酸や蟻酸塩を強いかぶらせ物質として用
いるには、感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を
有する側に銀1モル当たり5ミリモル以下、さらには1
ミリモル以下で含有させることが好ましい。本発明の熱
現像感光材料で超硬調化剤を用いる場合には五酸化二リ
ンが水和してできる酸またはその塩を併用して用いるこ
とが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸または
その塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸
(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン
酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などを挙げることが
できる。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和し
てできる酸またはその塩としては、オルトリン酸
(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)を挙げることができ
る。具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オル
トリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量
(感光材料1m2あたりの塗布量)は感度やカブリなど
の性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500m
g/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好
ましい。 【0202】1−11.層構成 本発明の画像形成層は、1層でも複数の層から構成され
ても良い。1層で構成する場合、非感光性有機銀塩、感
光性ハロゲン化銀、還元剤およびバインダーよりなり、
必要により色調剤、被覆助剤および他の補助剤などの追
加材料を含むことができる。複数の層で構成する場合、
第1画像形成層(通常は支持体に隣接した層)に有機銀
塩とハロゲン化銀を含み、第2の画像形成層または両層
にいくつかの他の成分を含まなければならない。多色カ
ラー熱現像感光材料の構成は、各色についてこれらの2
層の組合せを含んで良く、また、米国特許第47089
28号に記載のように単一層内に全ての成分を含んでい
ても良い。多色カラー熱現像感光材料の場合、各乳剤層
は、一般に、米国特許第4460681号に記載されて
いるように、各感光性層の間に官能性もしくは非官能性
のバリアー層を使用することにより、互いに区別されて
保持される。 【0203】本発明の熱現像感光材料は、画像形成層に
加えて非感光性層を有することができる。非感光性層
は、その配置から(a)画像形成層の上(支持体よりも
遠い側)に設けられる表面保護層、(b)複数の画像形
成層の間や画像形成層と保護層の間に設けられる中間
層、(c)画像形成層と支持体との間に設けられる下塗
り層、(d)画像形成層の反対側に設けられるバック層
に分類できる。 【0204】また、光学フィルターとして作用する層を
設けることができるが、(a)または(b)の層として設
けられる。アンチハレーション層は、(c)または(d)
の層として感光材料に設けられる。 【0205】1)表面保護層 本発明における熱現像感光材料は画像形成層の付着防止
などの目的で表面保護層を設けることができる。表面保
護層は単層でもよいし、複数層であってもよい。表面保
護層については、特開平11-65021号段落番号0119〜012
0、特願2000-171936号に記載されている。 【0206】本発明の表面保護層のバインダーとしては
ゼラチンが好ましいがポリビニルアルコール(PVA)
を用いる若しくは併用することも好ましい。ゼラチンと
してはイナートゼラチン(例えば新田ゼラチン750)、
フタル化ゼラチン(例えば新田ゼラチン801)など使用
することができる。 【0207】PVAとしては、特開2000-171936号の段
落番号0009〜0020に記載のものがあげられ、完全けん化
物のPVA−105、部分けん化物のPVA−205,
PVA−335、変性ポリビニルアルコールのMP−2
03(以上、クラレ(株)製の商品名)などが好ましく
挙げられる。 【0208】保護層(1層当たり)のポリビニルアルコ
ール塗布量(支持体1m2当たり)としては0.3〜
4.0g/m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がよ
り好ましい。 【0209】表面保護層(1層当たり)の全バインダー
(水溶性ポリマー及びラテックスポリマーを含む)塗布
量(支持体1m2当たり)としては0.3〜5.0g/
m2が好ましく、0.3〜2.0g/m2がより好まし
い。 【0210】2)アンチハレーション層 本発明の熱現像感光材料においては、アンチハレーショ
ン層を感光性層に対して露光光源から遠い側に設けるこ
とができる。アンチハレーション層については特開平11
-65021号段落番号0123〜0124、特開平11-223898号、同9
-230531号、同10-36695号、同10-104779号、同11-23145
7号、同11-352625号、同11-352626号等に記載されてい
る。 【0211】アンチハレーション層には、露光波長に吸
収を有するアンチハレーション染料を含有する。露光波
長が赤外域にある場合には赤外線吸収染料を用いればよ
く、その場合には可視域に吸収を有しない染料が好まし
い。 【0212】可視域に吸収を有する染料を用いてハレー
ション防止を行う場合には、画像形成後には染料の色が
実質的に残らないようにすることが好ましく、熱現像の
熱により消色する手段を用いることが好ましく、特に非
感光性層に熱消色染料と塩基プレカーサーとを添加して
アンチハレーション層として機能させることが好まし
い。これらの技術については特開平11-231457号等に記
載されている。 【0213】消色染料の添加量は、染料の用途により決
定する。一般には、目的とする波長で測定したときの光
学濃度(吸光度)が0.1を越える量で使用する。光学
濃度は、0.2〜2であることが好ましい。このような
光学濃度を得るための染料の使用量は、一般に0.00
1〜1g/m2程度である。 【0214】なお、このように染料を消色すると、熱現
像後の光学濃度を0.1以下に低下させることができ
る。二種類以上の消色染料を、熱消色型記録材料や熱現
像感光材料において併用してもよい。同様に、二種類以
上の塩基プレカーサーを併用してもよい。 【0215】このような消色染料と塩基プレカーサーを
用いる熱消色においては、特開平11-352626号に記載の
ような塩基プレカーサーと混合すると融点を3℃(de
g)以上降下させる物質(例えば、ジフェニルスルホ
ン、4−クロロフェニル(フェニル)スルホン)を併用
することが熱消色性等の点で好ましい。 【0216】3)バック層 本発明に適用することのできるバック層については特開
平11-65021号段落番号0128〜0130に記載されている。 【0217】本発明においては、銀色調、画像の経時変
化を改良する目的で300〜450nmに吸収極大を有
する着色剤を添加することができる。このような着色剤
は、特開昭62-210458号、同63-104046号、同63-103235
号、同63-208846号、同63-306436号、同63-314535号、
特開平01-61745号、特願平11-276751号などに記載され
ている。このような着色剤は、通常、0.1mg/m2
〜1g/m2の範囲で添加され、添加する層としては感
光性層の反対側に設けられるバック層が好ましい。 【0218】4)マット剤 本発明において、搬送性改良のためにマット剤を表面保
護層、およびバック層に添加することが好ましい。マッ
ト剤については、特開平11-65021号段落番号0126〜0127
に記載されている。マット剤は感光材料1m2当たりの
塗布量で示した場合、好ましくは1〜400mg/
m2、より好ましくは5〜300mg/m2である。 【0219】また、乳剤面のマット度は、画像部に小さ
な白抜けが生じ、光漏れが発生するいわゆる星屑故障が
生じなければいかようでも良いが、ベック平滑度が30
秒以上2000秒以下が好ましく、特に40秒以上15
00秒以下が好ましい。ベック平滑度は、日本工業規格
(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による
平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に
求めることができる。 【0220】本発明においてバック層のマット度として
はベック平滑度が1200秒以下10秒以上が好まし
く、800秒以下20秒以上が好ましく、さらに好まし
くは500秒以下40秒以上である。 【0221】本発明において、マット剤は感光材料の最
外表面層もしくは最外表面層として機能する層、あるい
は外表面に近い層に含有されるのが好ましく、またいわ
ゆる保護層として作用する層に含有されることが好まし
い。 【0222】5)ポリマーラテックス 特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像感
光材料を用いる場合には、表面保護層やバック層にポリ
マーラテックスを添加することができる。このようなポ
リマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン
(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(197
8))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖
男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(19
93))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高
分子刊行会発行(1970))」などにも記載され、具
体的にはメチルメタクリレート(33.5質量%)/エ
チルアクリレート(50質量%)/メタクリル酸(1
6.5質量%)コポリマーのラテックス、メチルメタク
リレート(47.5質量%)/ブタジエン(47.5質
量%)/イタコン酸(5質量%)コポリマーのラテック
ス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーの
ラテックス、メチルメタクリレート(58.9質量%)
/2−エチルヘキシルアクリレート(25.4質量%)
/スチレン(8.6質量%)/2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート(5.1質量%)/アクリル酸(2.0質
量%)コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート
(64.0質量%)/スチレン(9.0質量%) /ブ
チルアクリレート(20.0質量%)/2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート(5.0質量%)/アクリル酸
(2.0質量%)コポリマーのラテックスなどが挙げら
れる。 【0223】ポリマーラテックスは、表面保護層、ある
いはバック層の全バインダー(水溶性ポリマーおよびラ
テックスポリマーを含む)の10質量%〜90質量%用
いるのが好ましく、特に20質量%〜80質量%が好ま
しい。 【0224】6)膜面pH 本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理前の膜面pHが
7.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは
6.6以下である。その下限には特に制限はないが、3
程度である。最も好ましいpH範囲は4〜6.2の範囲
である。 【0225】膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有
機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発
性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという
観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗
布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜
面pHを達成する上で好ましい。また、水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性の塩
基とアンモニアを併用することも好ましく用いられる。
なお、膜面pHの測定方法は、特願平11-87297号明細書
の段落番号0123に記載されている。 【0226】7)硬膜剤 本発明の感光性層、保護層、バック層など各層には硬膜
剤を用いても良い。硬膜剤の例としてはT.H.James著"TH
E THEORY OF THE PHOTOGRAPHIC PROCESS FOURTH EDITIO
N"(Macmillan Publishing Co., Inc.刊、1977年刊)77
頁から87頁に記載の各方法があり、クロムみょうば
ん、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジ
ンナトリウム塩、N,N−エチレンビス(ビニルスルフ
ォンアセトアミド)、N,N−プロピレンビス(ビニル
スルフォンアセトアミド)の他、同書78頁など記載の
多価金属イオン、米国特許4,281,060号、特開平6-20819
3号などのポリイソシアネート類、米国特許4,791,042号
などのエポキシ化合物類、特開昭62-89048号などのビニ
ルスルホン系化合物類が好ましく用いられる。 【0227】硬膜剤は溶液として添加され、この溶液の
保護層塗布液中への添加時期は、塗布する180分前か
ら直前、好ましくは60分前から10秒前であるが、混
合方法及び混合条件については本発明の効果が十分に現
れる限りにおいては特に制限はない。 【0228】具体的な混合方法としては添加流量とコー
ターへの送液量から計算した平均滞留時間を所望の時間
となるようにしたタンクでの混合する方法やN.Harnby、
M.F.Edwards、A.W.Nienow著、高橋幸司訳"液体混合技
術"(日刊工業新聞社刊、1989年)の第8章等に記載さ
れているスタチックミキサーなどを使用する方法があ
る。 【0229】8)界面活性剤 本発明に適用できる界面活性剤については特開平11-650
21号段落番号0132に記載されている。本発明においては
フッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。フッ
素系界面活性剤の具体例は特開平10-197985号、特開200
0-19680号、特開2000-214554号等に記載された化合物が
あげられる。また、特開平9-281636号記載の高分子フッ
素系界面活性剤も好ましく用いられる。本発明の熱現像
感光材料においては特願2000-206560号、特願2001-2034
62号、特願2001-242357号および特願2001-264110号記載
のフッ素系界面活性剤の使用が好ましい。特に特願2001
-242357号および特願2001-264110号記載のフッ素系界面
活性剤は水系の塗布液で塗布製造を行う場合、帯電調整
能力、塗布面状の安定性、スベリ性の点で好ましく、特
願2001-264110号記載のフッ素系界面活性剤は帯電調整
能力が高く使用量が少なくてすむという点で最も好まし
い。 【0230】本発明においてフッ素系界面活性剤は乳剤
面、バック面のいずれにも使用することができ、両方の
面に使用することが好ましい。また、前述の金属酸化物
を含む導電層と組み合わせて使用することが特に好まし
い。この場合には導電層を有する面のフッ素系界面活性
剤の使用量を低減もしくは除去しても十分な性能が得ら
れる。 【0231】フッ素系界面活性剤の好ましい使用量は乳
剤面、バック面それぞれに0.1mg/m2〜100mg/m2の範囲
で、より好ましくは0.3mg/m2〜30mg/m2の範囲、さらに
好ましくは1mg/m2〜10mg/m2の範囲である。特に特願200
1-264110号記載のフッ素系界面活性剤は効果が大きく、
0.01〜10mg/m2の範囲が好ましく、0.1〜5mg/m2の範囲が
より好ましい。 【0232】9)帯電防止剤 また、本発明では、公知の種々の金属酸化物あるいは導
電性ポリマーなどの導電性材料を含む帯電防止層を有し
ても良い。好ましい導電性材料は金属酸化物中に酸素欠
陥、異種金属原子を導入して導電性を高めた金属酸化物
が好ましく用いられる。金属酸化物の例としてはZn
O,TiO2,SnO2が好ましく、ZnOに対してはA
l,Inの添加、SnO2に対してはSb,Nb,P,
ハロゲン元素等の添加、TiO2に対しては、Nb,T
a等の添加が好ましい。特に、Sbを添加したSnO2
が好ましい。異種原子の添加量は、0.01〜30モル
%の範囲が好ましく、0.1〜10モル%がより好まし
い。金属酸化物の形状は、球状、針状、板状いずれでも
よいが、導電性付与の点では長軸/短軸比が2.0以
上、好ましくは3.0〜50の針状粒子が良い。金属酸
化物の使用量は、好ましくは1mg/m2〜1000m
g/m2であり、より好ましくは10mg/m2〜500
mg/m2であり、さらに好ましくは20mg/m2〜2
00mg/m2である。 【0233】帯電防止層は、画像形成層側とバック層側
のいずれに設置しても良く、また、前述の下塗り層、バ
ック層、あるいは保護層などと兼ねても良く、また別途
設けてもよい。好ましくは、支持体とバック層との間に
設置される。帯電防止層については、特開平11-65021号
段落番号0135、特開昭56-143430号、同56-143431号、同
58-62646号、同56-120519号、特開平11-84573号の段落
番号0040〜0051、米国特許第5,575,957号、特開平11-22
3898号の段落番号0078〜0084、同7‐295146号、同11−2
23901号に記載の技術を適用することができる。 【0234】10)支持体 本発明の透明支持体としては二軸延伸時にフィルム中に
残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する
熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範
囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテ
レフタレートが好ましく用いられる。 【0235】医療用の熱現像感光材料の場合、透明支持
体は青色染料(例えば、特開平8-240877号実施例記載の
染料-1)で着色されていてもよいし、無着色でもよい。
具体的な支持体の例は、特開平11-65021同号段落番号01
34に記載されている。 【0236】支持体には、特開平11-84574号の水溶性ポ
リエステル、同10-186565号のスチレンブタジエン共重
合体、特開2000-39684号や特願平11-106881号段落番号0
063〜0080の塩化ビニリデン共重合体などの下塗り技術
を適用することが好ましい。 【0237】本発明の熱現像感光材料は、モノシート型
(受像材料のような他のシートをしようせずに、1枚の
熱現像上に画像を形成できる)であることが好ましい。 【0238】11)その他の添加剤 熱現像感光材料には、さらに、酸化防止剤、安定化剤、
可塑剤、紫外線吸収剤あるいは被覆助剤を添加してもよ
い。特開平11-65021号段落番号0133の記載の溶剤を添加
しても良い。各種の添加剤は、感光性層あるいは非感光
性層のいずれかに添加する。それらについてWO98/36322
号、EP803764A1号、特開平10-186567号、同10-18568号
等を参考にすることができる。 【0239】12)塗布液の調製、粘度特性 本発明の画像形成層塗布液の調製温度は30℃以上65
℃以下がよく、さらに好ましい温度は35℃以上60℃
未満、より好ましい温度は35℃以上55℃以下であ
る。また、ポリマーラテックス添加直後の画像形成層塗
布液の温度が30℃以上65℃以下で維持されることが
好ましい。 【0240】本発明における有機銀塩含有層塗布液は、
いわゆるチキソトロピー流体であることが好ましい。こ
の技術については特開平11-52509号を参考にすることが
できる。本発明における有機銀塩含有層塗布液は剪断速
度0.1S-1における粘度は400mPa・s以上10
0,000mPa・s以下が好ましく、さらに好ましく
は500mPa・s以上20,000mPa・s以下で
ある。また、剪断速度1000S-1においては1mPa
・s以上200mPa・s以下が好まく、さらに好まし
くは5mPa・s以上80mPa・s以下である。 【0241】13)塗布方式 本発明における熱現像感光材料はいかなる方法で塗布さ
れても良い。具体的には、エクストルージョンコーティ
ング、スライドコーティング、カーテンコーティング、
浸漬コーティング、ナイフコーティング、フローコーテ
ィング、または米国特許第2,681,294号に記載の種類の
ホッパーを用いる押出コーティングを含む種々のコーテ
ィング操作が用いられ、Stephen F. Kistler、Petert
M. Schweizer著"LIQUID FILM COATING"(CHAPMAN & HAL
L社刊、1997年)399頁から536頁記載のエクストルージ
ョンコーティング、またはスライドコーティング好まし
く用いられ、特に好ましくはスライドコーティングが用
いられる。 【0242】スライドコーティングに使用されるスライ
ドコーターの形状の例は同書427頁のFigure 11b.1に あ
る。また、所望により同書399頁から536頁記載の方法、
米国特許第2,761,791 号および英国特許第837,095号に
記載の方法により2層またはそれ以上の層を同時に被覆
することができる。 【0243】14)包装材料 本発明の熱現像感光材料は、使用される前の保存時に写
真性能の変質を防ぐため、あるいはロール状態の製品形
態の場合にはカールしたり巻き癖が付くのを防ぐため
に、酸素透過率および/または水分透過率の低い包装材
料で密閉包装するのが好ましい。酸素透過率は、25℃
で50ml/atm/m2・day以下であることが好
ましく、より好ましくは10ml/atm/m2・da
y以下であり、さらに好ましくは1.0ml/atm/
m2・day以下である。水分透過率は、10g/at
m/m2・day以下であることが好ましく、より好ま
しくは5g/atm/m2・day以下であり、さらに
好ましくは1g/atm/m2・day以下である。酸
素透過率および/または水分透過率の低い包装材料の具
体例としては、例えば特開平8-254793号、特開2000-206
653号に記載されているものを利用することができる。 【0244】14)その他の利用できる技術 本発明の熱現像感光材料に用いることのできる技術とし
ては、EP803764A1号、EP883022A1号、WO98/36322号、特
開昭56-62648号、同58-62644号、特開平9-43766、同9-2
81637、同9-297367号、同9-304869号、同9-311405号、
同9-329865号、同10-10669号、同10-62899号、同10-690
23号、同10-186568号、同10-90823号、同10-171063号、
同10-186565号、同10-186567号、同10-186569号〜同10-
186572号、同10-197974号、同10-197982号、同10-19798
3号、同10-197985号〜同10-197987号、同10-207001号、
同10-207004号、同10-221807号、同10-282601号、同10-
288823号、同10-288824号、同10-307365号、同10-31203
8号、同10-339934号、同11-7100号、同11-15105号、同1
1-24200号、同11-24201号、同11-30832号、同11-84574
号、同11-65021号、同11-109547号、同11-125880号、同
11-129629号、同11-133536号〜同11-133539号、同11-13
3542号、同11-133543号、同11-223898号、同11-352627
号、同11-305377号、同11-305378号、同11-305384号、
同11-305380号、同11-316435号、同11-327076号、同11-
338096号、同11-338098号、同11-338099号、同11-34342
0号、特願2000-187298号、同2000-10229号、同2000-473
45号、同2000-206642号、同2000-98530号、同2000-9853
1号、同2000-112059号、同2000-112060号、同2000-1121
04号、同2000-112064号、同2000-171936号も挙げられ
る。 【0245】2.画像形成方法 2−1.露光 本発明の感光材料はいかなる方法で露光されても良い
が、露光光源としてレーザー光が好ましい。レーザー光
としては、ガスレーザー(Ar+,He−Ne,He−
Cd)、YAGレーザー、色素レーザー、半導体レーザ
ーなどが好ましい。また、半導体レーザーと第2高調波
発生素子などを用いることもできる。好ましく用いられ
るレーザーは、熱現像感光材料の分光増感色素などの光
吸収ピーク波長に対応して決まるが、赤〜赤外発光のH
e−Neレーザーや半導体レーザー、あるいは青〜緑発
光のAr+,He−Ne,He−Cdレーザー、青色半
導体レーザーである。 【0246】レーザー光は、高周波重畳などの方法によ
って縦マルチに発振していることも好ましく用いられ
る。 【0247】3−2.熱現像 本発明の熱現像感光材料はいかなる方法で現像されても
良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像感光材料
を昇温して現像される。好ましい現像温度としては80
〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃
である。現像時間としては1〜60秒が好ましく、5〜
30秒がさらに好ましく、5〜20秒が特に好ましい。 【0248】熱現像の方式としてはプレートヒーター方
式が好ましい。プレートヒーター方式による熱現像方式
とは特開平11-133572号に記載の方法が好ましく、潜像
を形成した熱現像感光材料を熱現像部にて加熱手段に接
触させることにより可視像を得る熱現像装置であって、
前記加熱手段がプレートヒータからなり、かつ前記プレ
ートヒータの一方の面に沿って複数個の押えローラが対
向配設され、前記押えローラと前記プレートヒータとの
間に前記熱現像感光材料を通過させて熱現像を行うこと
を特徴とする熱現像装置である。プレートヒータを2〜
6段に分けて先端部については1〜10℃程度温度を下
げることが好ましい。例えば、独立に温度制御できる4
組のプレートヒーターを使用し、それぞれ112℃、1
19℃、121℃、120℃になるように制御する例が
挙げられる。 【0249】このような方法は特開昭54-30032号にも記
載されており、熱現像感光材料に含有している水分や有
機溶媒を系外に除外させることができ、また、急激に熱
現像感光材料が加熱されることでの熱現像感光材料の支
持体形状の変化を押さえることもできる。 【0250】3−3.システム 露光部および熱現像部を備えた医療用レーザーイメージ
ャーとして富士メディカルドライイメージャー−FM−
DPLを挙げることができる。該システムは、Fuji
Medical Review No.8,page
39〜55に記載されており、それらの技術を利用する
ことができる。また、DICOM規格に適合したネット
ワークシステムとして富士フィルムメディカル(株)が
提案した「AD network」の中のレーザーイメ
ージャー用の熱現像感光材料としても適用することがで
きる。 【0251】4.本発明の用途 本発明の熱現像感光材料は、銀画像による黒白画像を形
成し、医療診断用の熱現像感光材料、工業写真用熱現像
感光材料、印刷用熱現像感光材料、COM用の熱現像感
光材料として使用されることが好ましい。 【0252】 【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0253】(実施例1) 1.PET支持体の作成、および下塗り 1)製膜 テレフタル酸とエチレングリコ−ルを用い、常法に従い
固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テトラクロルエタン=6
/4(重量比)中25℃で測定)のPETを得た。これ
をペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃
で溶融し下記構造の染料BBを0.04wt%含有させ
た。その後T型ダイから押し出して急冷し、熱固定後の
膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを
作成した。 【0254】 【化17】 【0255】これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3
倍に縦延伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施
した。この時の温度はそれぞれ、110℃、130℃で
あった。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同
じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンタ−のチャ
ック部をスリットした後、両端にナ−ル加工を行い、4
kg/cm2で巻き取り、厚み175μmのロ−ルを得
た。 【0256】2)表面コロナ処理 ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデ
ルを用い、支持体の両面を室温下において20m/分で
処理した。この時の電流、電圧の読み取り値から、支持
体には0.375kV・A・分/m2の処理がなされて
いることがわかった。この時の処理周波数は9.6kH
z、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランスは1.
6mmであった。 【0257】 3)下塗り 3−1)下塗層塗布液の作成 処方(感光層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA-520(30質量%溶液) 59g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5) 10質量%溶液 5.4g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 935ml 【0258】 処方(バック面第1層用) スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス 158g (固形分40質量%、スチレン/ブタジエン重量比=68/32) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム塩 8質量%水溶液 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml 蒸留水 854ml 【0259】 処方(バック面側第2層用) SnO2/SbO (9/1質量比、平均粒径0.038μm、17質量%分散物) 84g ゼラチン(10質量%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製 メトローズTC-5(2質量%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製 MP-1000 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1質量%水溶液 10ml NaOH(1質量%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml 【0260】3−2)下塗り 上記厚さ175μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
ート支持体の両面それぞれに、上記コロナ放電処理を施
した後、片面(感光性層面)に上記下塗り塗布液処方
をワイヤーバーでウエット塗布量が6.6ml/m
2(片面当たり)になるように塗布して180℃で5分
間乾燥し、ついでこの裏面(バック面)に上記下塗り塗
布液処方をワイヤーバーでウエット塗布量が5.7m
l/m2になるように塗布して180℃で5分間乾燥
し、更に裏面(バック面)に上記下塗り塗布液処方を
ワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2にな
るように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持
体を作製した。 【0261】2.バック層 2−1.バック層塗布液の調製 1)塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製 塩基プレカーサー化合物1を1.5kg、デモールN
(商品名、花王(株))225g、ジフェニルスルホン9
37.5g、パラヒドロキシ安息香酸ブチルエステル
(商品名:メッキンス、上野製薬(株))15g、およ
び蒸留水を加えて総量を5.0kgに合わせて混合し、
混合液を横型サンドミル(商品名:UVM−2,アイメ
ックス(株))で分散した。分散条件は、混合液を平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填したUVM−
2機にダイアフラムポンプで送り、内圧50hPa以上
の状態で、所望の分散度に到達するまで分散を続けた。
分散度は、分散液の分光吸収測定によって450nmと
650nmnにおける吸光度比(D450/D650)
を目安にして、その値が2.2以上となるまで分散を行
った。分散後、塩基プレカーサーの濃度が20重量%と
なるように蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルタ
ー(平均細孔径:3μm、材質:ポリプロピレン)でろ
過した。 2)染料固体微粒子分散液(a)の調製 【0262】シアニン染料化合物―1を6.0kg、p
−ドデシルスルホン酸ナトリウム3.0kg、デモール
SMB(商品名、花王(株))0.6kg、サーフィノ
ール104E(商品名、日信化学(株))0.15kg、
および蒸留水を混合して、総液量を60kgとした。混
合液を横型サンドミルUVM−2で、平均直径0.5m
mのジルコニアビーズを用いて分散した。吸光度比(D
650/D750)が5.0以上となるまで分散を行っ
た。分散後、シアニン染料の濃度が6重量%となるよう
に蒸留水で希釈し、ごみ取りのためにフィルター(平均
細孔径:1μm、材質:ポリプロピレン)でろ過した。 【0263】3)ハレーション防止層塗布液の調製 ゼラチン30g、ポリアクリルアミド24.5g、1m
ol/L濃度の苛性ソーダを2.2g、単分散ポリメチ
ルメタクリレート微粒子(平均粒子サイズ8μm、粒径
標準偏差0.4)2.4g、ベンゾイソチアゾリノン
0.08g、上記の染料固体微粒子分散液(a)を3
5.9g、上記の塩基プレカーサーの固体微粒子分散液
(a)74.2g、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム
0.6g、青色染料化合物−1を0.21g、黄色染料
化合物−1を0.15g、アクリル酸/エチルアクリレ
ート共重合ラテックス(共重合比:5/95)を8.3
g、および水を混合し,総量を818mLとして、ハレ
ーション防止層塗布液を調製した。 【0264】4)バック面保護層塗布液の調製 容器を40℃に保温し、ゼラチン40g、流動パラフィ
ン乳化物を流動パラフィンとして1.5g、ベンゾイソ
チアゾリノン35mg、1mol/L濃度の苛性ソーダ
を6.8g、t−オクチルフェノキシエトキシエタンス
ルホン酸ナトリウム0.5g、ポリスチレンスルホン酸
ナトリウム0.27g、N、N−エチレンビス(ビニル
スルホンアセトアミド)2.0g、フッ素系界面活性剤
(F−1)を37mg、フッ素系界面活性剤(F−2)
を150mg、フッ素系界面活性剤(F−3)を64m
g、フッ素系界面活性剤(F−4)を32mg、アクリ
ル酸/エチルアクリレート共重合体(共重合重量比5/
95)6.0g、N,N−エチレンビス(ビニルスルホ
ンアミド)2.0gを混合し、水で1000mlとして
バック面保護層塗布液とした。 【0265】2−2.バック層の塗布 上記下塗り支持体のバック面側に、ハレーション防止層
塗布液をゼラチン塗布量が0.44gとなるように、ま
たバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/
m2となるように同時重層塗布し、乾燥し、バック層を
作成した。 【0266】3.画像形成層、および表面保護層 3−1.塗布用材料の準備 1)ハロゲン化銀乳剤 (ハロゲン化銀乳剤1の調製)蒸留水1421mlに1
質量%臭化カリウム溶液3.1mlを加え、さらに0.
5mol/L濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチ
ン31.7gを添加した液をステンレス製反応壺中で攪
拌しながら、30℃に液温を保ち、硝酸銀2222gに
蒸留水を加え95.4mlに希釈した溶液Aと臭化カリ
ウムを15.3g、ヨウ化カリウム0.8gを蒸留水に
て容量97.4mlに希釈した溶液Bを一定流量で45
秒間かけて全量添加した。その後、3.5質量%の過酸
化水素水溶液を10ml添加し、さらにベンツイミダゾ
ールの10質量%水溶液を10.8ml添加した。 【0267】さらに、硝酸銀51.86gに蒸留水を加
えて317.5mlに希釈した溶液Cと臭化カリウムを
44.2g、ヨウ化カリウム2.2gを蒸留水にて容量
400mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で2
0分間かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維
持しながらコントロールドダブルジェット法で添加し
た。銀1モル当たり1×10-4モルになるよう六塩化イ
リジウム(III)酸カリウム塩を溶液Cおよび溶液D
を添加しはじめてから10分後に全量添加した。また、
溶液Cの添加終了の5秒後に六シアン化鉄(II)カリ
ウム水溶液を銀1モル当たり3×10-4モル全量添加し
た。0.5mol/L濃度の硫酸を用いてpHを3.8
に調整し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程をおこな
った。1mol/L濃度の水酸化ナトリウムを用いてp
H5.9に調整し、pAg8.0のハロゲン化銀分散物
を作成した。 【0268】上記ハロゲン化銀分散物を攪拌しながら38
℃に維持して、0.34質量%の1,2-ベンゾイソチアゾリン
-3-オンのメタノール溶液を5ml加え、40分後に47℃に昇
温した。昇温の20分後にベンゼンチオスルホン酸ナトリ
ウムをメタノール溶液で銀1モルに対して7.6×10-5モル
加え、さらに5分後にテルル増感剤Cをメタノール溶液
で銀1モル当たり2.9×10-4モル加えて91分間熟成した。
その後、分光増感色素Aと増感色素Bのモル比で3:1
のメタノール溶液を銀1モル当たり増感色素AとBの合
計として1.2×10-3モル加え、1分後にN,N'-ジヒドロキ
シ-N"-ジエチルメラミンの0.8質量%メタノール溶液1.3
mlを加え、さらに4分後に、5-メチル-2-メルカプトベン
ゾイミダゾールをメタノール溶液で銀1モル当たり4.8×
10-3モル、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4
-トリアゾールをメタノール溶液で銀1モルに対して5.4
×10-3モルおよび1−(3−メチルウレイド)−5−メ
ルカプトテトラゾールナトリウム塩を水溶液で銀1モル
に対して8.5×10-3モル添加して、ハロゲン化銀乳剤1
を作成した。 【0269】調製できたハロゲン化銀乳剤中の粒子は、
平均球相当径0.042μm、球相当径の変動係数20
%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子で
あった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000個
の粒子の平均から求めた。この粒子の{100}面比率
は、クベルカムンク法を用いて測定して80%であっ
た。 【0270】(ハロゲン化銀乳剤Bの調製)ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温30℃を4
7℃に変更し、溶液Bは臭化カリウム15.9gを蒸留
水にて容量97.4mlに希釈することに変更し、溶液
Dは臭化カリウム45.8gを蒸留水400mlに希釈
することに変更し、溶液Cの添加時間を30分にして、
六シアノ鉄(II)カリウムを除去した以外は同様にし
て、ハロゲン化銀乳剤を調製した。ハロゲン化銀乳剤1
と同様に粒子形成/沈殿/水洗/分散を行った。更に分
光増感色素AとBをモル比で1:1の混合物のメタノー
ル溶液を添加量が分光増感色素AとBの合計モル量で7.
5×10-4モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1モル当たり
5.1×10-5モルに変え、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メル
カプト-1,3,4-トリアゾールをメタノール溶液で銀1モ
ルに対して3.3×10-3モルおよび1−(3−メチルウレ
イド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を水
溶液で銀1モルに対して4.7×10-3モルをした事以外は
乳剤1と同様にして、ハロゲン化銀乳剤Bを得た。ハロ
ゲン化銀乳剤Bの乳剤粒子は、平均球相当径80nm、
球相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子であっ
た。 【0271】(ハロゲン化銀乳剤2の調製)ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、ハロゲン化銀乳剤1と同様に
粒子形成/沈殿/水洗/分散を行った。更に、テルル増
感剤Cの添加量を銀1モル当たり5.2×10-4モルに変え、
テルル増感剤の添加3分後に臭化金酸を銀1モル当たり5.
0×10-4モルとチオシアン酸カリウムを銀1モルに対し
て2.0×10-3モル添加した以外は乳剤1と同様にして、
ハロゲン化銀乳剤2を得た。ハロゲン化銀乳剤2の乳剤
粒子は、平均球相当径35nm、球相当径の変動係数20
%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子で
あった。 【0272】(ハロゲン化銀乳剤3の調製)ハロゲン化
銀乳剤2の調製において、粒子形成時の液温30℃を3
5℃に変更した以外はハロゲン化銀乳剤2と同様にし
て、粒子形成/沈殿/水洗/分散を行った。化学増感に
おいて、テルル増感剤および臭化金酸の代わりに本発明
の一般式(PF-1)の化合物P1-1を銀1モル当たり5×1
0-4モル添加したこと以外はハロゲン化銀乳剤2と同様
にして、ハロゲン化銀乳剤3を得た。得られたハロゲン
化銀乳剤粒子は、平均球相当径55nm、球相当径の変
動係数20%のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭
化銀粒子であった。 【0273】(ハロゲン化銀乳剤4〜10の調製)ハロ
ゲン化銀乳剤2の調製において、ハロゲン化銀乳剤2と
同様にして、粒子形成/沈殿/水洗/分散を行った。化
学増感において、テルル増感剤および臭化金酸の代わり
に表1に示す本発明の一般式(PF-1)〜(PF-4)の化合
物を銀1モル当たり5×10-4モル添加したこと以外は
ハロゲン化銀乳剤2と同様にして、ハロゲン化銀乳剤4
〜10を得た。得られたハロゲン化銀乳剤粒子4〜10
は、平均球相当径35nm、球相当径の変動係数20%
のヨウドを均一に3.5モル%含むヨウ臭化銀粒子であ
った。 【0274】 【表1】 【0275】(塗布液用混合乳剤11〜20の調製)ハ
ロゲン化銀乳剤1〜10を75質量%、ハロゲン化銀乳
剤Bを25質量%溶解した溶液1〜10を調製し、それ
ぞれにベンゾチアゾリウムヨーダイドを1質量%水溶液
にて銀1モル当たり7×10-3モル添加した後、混合乳剤1
kgあたりハロゲン化銀の含有量が銀として38.2gとな
るように水を加えて希釈た。さらに、塗布液用混合乳剤
1kgあたり0.34gとなるように1−(3−メチルウレ
イド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を添
加して、塗布液用混合乳剤11〜20を作成した。 【0276】2)脂肪酸銀分散物の調製 (脂肪酸銀分散物Aの調製)ヘンケル社製ベヘン酸(製
品名Edenor C22-85R)87.6kg、蒸留水423L、
5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、t−ブ
チルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪
拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、
硝酸銀40.4kgの水溶液206.2L(pH4.
0)を用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水
と30Lのt−ブチルアルコールを入れた反応容器を3
0℃に保温し、十分に撹拌しながら先のベヘン酸ナトリ
ウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれ
ぞれ93分15秒と90分かけて添加した。 【0277】このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分
間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあと
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の
添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液の
みが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温
度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コント
ロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の
配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温
し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう
調製した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重
管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘ
ン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位
置は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液
に接触しないような高さに調製した。 【0278】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35
℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後
直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の
伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして
脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないで
ウエットケーキとして保管した。 【0279】得られたベヘン酸銀粒子の形態を電子顕微
鏡撮影により評価したところ、平均値でa=0.14μ
m、b=0.4μm、c=0.6μm、平均アスペクト
比5.2であった(a、b、cは本文の規定)。レーザ
ー光散乱型粒子サイズ測定装置で測定した結果、平均球
相当径0.52μm、球相当径の変動係数15%のりん
片状の結晶であった。 【0280】乾燥固形分260kg相当のウエットケー
キに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−2
17、クラレ(株))19.3kgおよび水を添加し、
全体量を1000kgとしてからディゾルバー羽根でス
ラリー化し、更にパイプラインミキサー(みづほ工業
製:PM−10型)で予備分散した。 【0281】次に予備分散済みの原液を分散機(商品
名:マイクロフルイダイザーM−610、マイクロフル
イデックス・インターナショナル・コーポレーション
製、Z型インタラクションチャンバー使用)の圧力を1
260kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸
銀分散物を得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラ
クションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を
調節することで18℃の分散温度に設定した。 【0282】(脂肪酸銀分散物Bの調製) <再結晶ベヘン酸の調製>ヘンケル社製ベヘン酸(製品
名Edenor C22-85R)100kgを、1200kgのイソ
プロピルアルコールを加えて50℃で溶解し、10μm
のフィルターでろ過した後、30℃に冷却し、再結晶さ
せた。再結晶させる冷却速度は3℃/時間にコントロー
ルした。得られた結晶を遠心ろ過し、100kgのイソ
プルピルアルコールでかけ洗いした後、乾燥した。ベヘ
ン酸の含有率が96質量%で、リグノセリン酸が2質量
%、アラキジン酸が2質量%の高純度ベヘン酸が得られ
た。この組成の分析は、再結晶物をエステル化してから
GC−FID法によって測定することによって行った。 【0283】<脂肪酸銀分散物Bの調製>再結晶ベヘン
酸88kg、蒸留水422L、5mol/L濃度のNa
OH水溶液49.2L、t−ブチルアルコール120L
を混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸
ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4kgの水
溶液206.2L(pH4.0)を用意し、10℃にて
保温した。635Lの蒸留水と30Lのt−ブチルアル
コールを入れた反応容器を30℃に保温し、十分に撹拌
しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水
溶液の全量を流量一定でそれぞれ93分15秒と90分
かけて添加した。 【0284】このとき、硝酸銀水溶液添加開始後11分
間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあと
ベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液の
添加終了後14分15秒間はベヘン酸ナトリウム溶液の
みが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温
度は30℃とし、液温度が一定になるように外温コント
ロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の
配管は、2重管の外側に温水を循環させる事により保温
し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるよう
調製した。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配
管は、2重管の外側に温水を循環させることにより保温
し、添加ノズル先端の出口温度が75℃になるように調
整した。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管
の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン
酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置
は撹拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に
接触しないような高さに調整した。 【0285】ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そ
のままの温度で20分間撹拌放置し、30分かけて35
℃に昇温し、その後210分熟成を行った。熟成終了後
直ちに、遠心濾過で固形分を濾別し、固形分を濾過水の
伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして
脂肪酸銀塩を得た。得られた固形分は、乾燥させないで
ウエットケーキとして保管した。 【0286】得られたベヘン酸銀粒子の形状は、平均値
でa=0.21μm、b=0.4μm、c=0.4μ
m、平均アスペクト比2.1、平均球相当径0.51μ
m、球相当径の変動係数11%の結晶であった。 【0287】乾燥固形分260kg相当のウエットケー
キに対し、ポリビニルアルコールPVA−217を1
9.3kgおよび水を添加し、全体量を1000Kgと
してからディゾルバー羽根でスラリー化し、更にパイプ
ラインミキサーPM−10型で予備分散した。 【0288】次に予備分散済みの原液をマイクロフルイ
ダイザーM−610(Z型インタラクションチャンバー
使用)の圧力を1150kg/cm2に調節して、三回
処理し、ベヘン酸銀分散物Bを得た。冷却操作は蛇管式
熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装
着し、冷媒の温度を調節することで18℃の分散温度に
設定した。 【0289】3)還元剤分散物調製 <還元剤錯体−1分散物の調製>還元剤錯体―1を10
kg、トリフェニルホスフィンオキシドを0.12k
g、および変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)
製、ポバールMP203)の10質量%水溶液16kg
に、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サン
ドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて4時
間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリ
ウム塩0.2gと水を加えて還元剤錯体の濃度が22質
量%になるように調製し、還元剤錯体―1の分散物を得
た。 【0290】こうして得た還元剤錯体分散物に含まれる
還元剤錯体粒子は分散時間を平均粒子サイズがメジアン
径で0.45μmになるように調節した。これらの分散
物の最大粒子径1.4μm以下であった。得られた分散
物を孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにて
ろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。 【0291】<還元剤−2の分散物の調製> 【0292】還元剤―2を10kg、および変性ポリビ
ニルアルコールMP203の10質量%水溶液16kg
に、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとし
た。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均
直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サン
ドミルUVM−2にて3時間30分分散したのち、ベン
ゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて
還元剤の濃度が25質量%になるように調製した。この
分散液を60℃で5時間加熱処理し、還元剤―2の分散
物を得た。 【0293】こうして得た還元剤分散物に含まれる還元
剤粒子は分散時間を平均粒子サイズがメジアン径で0.
40μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られ
た分散物を孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルタ
ーにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。 【0294】4)水素結合性化合物−1分散物の調製 水素結合性化合物−1を10kgと変性ポリビニルアル
コールMP203の10質量%水溶液16kgに、水1
0kgを添加して、良く混合してスラリーとした。この
スラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.
5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミルU
VM−2にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチ
アゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて水素結合
性化合物の濃度が25質量%になるように調製した。こ
の分散物を80℃で1時間加温して、水素結合性化合物
−1分散物を得た。 【0295】こうして得た分散物に含まれる水素結合性
化合物粒子は、平均粒子サイズがメジアン径で0.35
μm、最大粒子径1.5μm以下であった。得られた分
散物を孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターに
てろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。 【0296】5)現像促進剤−1分散物の調製 現像促進剤−1を10kgと変性ポリビニルアルコール
MP203の10質量%水溶液20kgに、水10kg
を添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mm
のジルコニアビーズを充填した横型サンドミルUVM−
2にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリ
ノンナトリウム塩0.2gと水を加えて現像促進剤の濃
度が20質量%になるように調製し、現像促進剤−1分
散物を得た。 【0297】こうして得た現像促進剤-1分散物に含まれ
る現像促進剤粒子はメジアン径0.48μm、最大粒子
径1.4μm以下であった。得られた現像促進剤-1分散
物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにて
ろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。 【0298】6)現像促進剤−2、および色調調整剤−
1の固体分散物 現像促進剤−2および色調調整剤−1の固体分散物につ
いても現像促進剤−1と同様の方法により分散し、20
質量%の分散液を得た。 【0299】7)ポリハロゲン化合物分散物の調製 <有機ポリハロゲン化合物―1分散物>有機ポリハロゲ
ン化合物―1を10kgと変性ポリビニルアルコールM
P203の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロ
ピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶
液0.4kgと、水14kgを添加して、良く混合して
スラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで
送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填
した横型サンドミルUVM−2にて5時間を基本時間と
して分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム
塩0.2gと水を加えて有機ポリハロゲン化合物の濃度
が26質量%になるように調製し、ポリハロゲン化合物
−1分散物を得た。 【0300】こうして得た分散物に含まれる有機ポリハ
ロゲン化合物粒子は、メジアン径0.41μm、最大粒
子径2.0μm以下であった。得られた有機ポリハロゲ
ン化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピレン製
フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収
納した。 【0301】<有機ポリハロゲン化合物―2分散物>有
機ポリハロゲン化合物―2を10kgと変性ポリビニル
アルコールMP203の10質量%水溶液20kgと、
トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの2
0質量%水溶液0.4kgを添加して、良く混合してス
ラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送
液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填し
た横型サンドミルUVM−2にて5時間分散したのち、
ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加
えて有機ポリハロゲン化合物の濃度が30質量%になる
ように調製した。この分散物を40℃で5時間加温し
て、ポリハロゲン化合物−2分散物を得た。 【0302】こうして得た分散物に含まれる有機ポリハ
ロゲン化合物粒子は、平均粒子サイズがメジアン径で
0.40μm、最大粒子径1.3μm以下であった。得
られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μm
のポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等
の異物を除去して収納した。 【0303】8)フタラジン化合物−1溶液の調製 8kgの製変性ポリビニルアルコールMP203を水1
74.57kgに溶解し、次いでトリイソプロピルナフ
タレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液3.1
5kgとフタラジン化合物−1の70質量%水溶液1
4.28kgを添加し、フタラジン化合物−1の5質量
%溶液を調製した。 【0304】9)メルカプト化合物水溶液の調製 <メルカプト化合物−1水溶液>メルカプト化合物−1
を7gを水993gに溶解し、0.7質量%の水溶液と
した。 <メルカプト化合物−2水溶液>メルカプト化合物−2
を20gを水980gに溶解し、2.0質量%の水溶液
とした。 10)一般式(PF1)〜(PF4)の化合物溶液 一般式の化合物を20gをメタノール980gに溶解
し、2.0質量%の水溶液とした。 【0305】11)顔料−1分散物の調製 C.I.Pigment Blue 60を64gとデモールNを6.4
gに水250gを加えて良く混合し、スラリーとした。
平均直径0.5mmのジルコニアビーズ800gをスラ
リーと一緒にベッセルに入れ、1/4Gサンドグライン
ダーミル(アイメックス(株)製)にて25時間分散
し、水を加えて顔料の濃度が5質量%になるように調整
して、顔料−1分散物を得た。得られた分散物中の顔料
の平均粒子サイズは0.21μmであった。 【0306】12)SBRラテックス液の調製 <Tg=22℃のSBRラテックスの合成>重合開始剤
として過硫酸アンモニウム、乳化剤としてアニオン界面
活性剤を使用し、スチレン70.0質量、ブタジエン2
7.0質量およびアクリル酸3.0質量を乳化重合させ
た後、80℃で8時間エージングを行った。その後40
℃まで冷却し、アンモニア水によりpH7.0とし、さ
らに三洋化成(株)製サンデットBLを0.22%にな
るように添加した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液を
添加しpH8.3とし、さらにアンモニア水によりpH
8.4になるように調整した。このとき使用したNa+
イオンとNH4 +イオンのモル比は1:2.3であった。
さらに、この液1kg対してベンゾイソチアゾリンノン
ナトリウム塩7%水溶液を0.15ml添加しSBRラ
テックス液を調製した。 【0307】(SBRラテックス:-St(70.0)-Bu(27.0)
-AA(3.0)-のラテックス)Tg22℃ 平均粒径0.1
μm、濃度43質量%、25℃60%RHにおける平衡
含水率0.6質量%、イオン伝導度4.2mS/cm
(イオン伝導度の測定は東亜電波工業(株)製伝導度計
CM−30S使用し、ラテックス原液(43質量%)を
25℃にて測定)、pH8.4。 【0308】<Tg=20℃のSBRラテックスの合成
>スチレン、ブタジエンの比率を適宜変更し、上記と同
様の方法により調製した。 【0309】3−2)塗布液の調製 1)画像形成層塗布液−1〜10の調製 上記で得た脂肪酸銀分散物Aを1000g、水276m
l、顔料−1分散物33g、有機ポリハロゲン化合物―
1分散物21g、有機ポリハロゲン化合物―2分散物5
8g、フタラジン化合物−1溶液173g、SBRラテ
ックス(Tg:22℃)液1082g、還元剤錯体―1
分散物299g、現像促進剤−1分散物5.7g、メル
カプト化合物−1水溶液9ml、メルカプト化合物−2
水溶液27mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀
混合乳剤11〜20をそれぞれ117g添加し良く混合
した画像形成層塗布液1〜10をそのままコーティング
ダイへ送液し、塗布した。上記乳剤層塗布液1の粘度は
東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ロ
ーター、60rpm)で25[mPa・S]であった。 【0310】レオメトリックスファーイースト株式会社
製RFSフルードスペクトロメーターを使用した25℃
での塗布液1の粘度は剪断速度が0.1、1、10、1
00、1000[1/秒] においてそれぞれ230、6
0、46、24、18[mPa・S]であった。また、塗
布液中のジルコニウム量は銀1gあたり0.38mgで
あった。 【0311】2)画像形成層塗布液−21〜30の調製 上記で得た脂肪酸銀分散物B1000g、水276m
l、顔料−1分散物35g,有機ポリハロゲン化合物−
1分散物32g、有機ポリハロゲン化合物−2分散物4
6g、フタラジン化合物―1溶液173g、SBRラテ
ックス(Tg:20℃)液1082g、還元剤−2分散物15
3g、水素結合性化合物−1分散物55g、現像促進剤
−1分散物4.8g、現像促進剤−2分散物5.2g、
色調調整剤−1分散物2.1g、メルカプト化合物−2
水溶液8mlを順次添加し、塗布直前にハロゲン化銀混
合乳剤11〜20をそれぞれ117g添加し良く混合し
た画像形成層塗布液21〜30をそのままコーティング
ダイへ送液し、塗布した。上記乳剤層塗布液21の粘度
は東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ロータ
ー、60rpm)で40[mPa・s]であった。レオメトリック
スファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロ
メーターを使用した25℃での塗布液21の粘度は剪断速
度が0.1、1、10、100、1000[1/秒] においてそれぞれ53
0、144、96、51、28[mPa・s]であった。 【0312】塗布液中のジルコニウム量は銀1gあたり
0.25mgであった。 【0313】3)中間層塗布液の調製 ポリビニルアルコールPVA−205(クラレ(株)
製)1000g、顔料−1分散物272g、メチルメタ
クリレート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキ
シエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合
重量比64/9/20/5/2)ラテックス19質量%
液4200mlにエアロゾールOT(アメリカンサイア
ナミド社製)の5質量%水溶液を27ml、フタル酸二
アンモニウム塩の20質量%水溶液を135ml、総量
10000gになるように水を加え、pHが7.5にな
るようにNaOHで調整して中間層塗布液とし、9.1
ml/m2になるようにコーティングダイへ送液した。
塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、
60rpm)で58[mPa・S]であった。 【0314】4)表面保護第1層塗布液の調製 イナートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリ
レート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエ
チルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量
比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%
液80g、フタル酸の10質量%メタノール溶液を23
ml、4−メチルフタル酸の10質量%水溶液23m
l、0.5mol/L濃度の硫酸を28ml、エアロゾ
ールOTの5質量%水溶液を5ml、フェノキシエタノ
ール0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加
え、総量750gになるように水を加えて塗布液とし、
4質量%のクロムみょうばん26mlを塗布直前にスタ
チックミキサーで混合したものを18.6ml/m2に
なるようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度
はB型粘度計40℃(No.1ローター、60rpm)
で20[mPa・S]であった。 【0315】5)表面保護第2層塗布液の調製 イナートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリ
レート/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエ
チルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量
比64/9/20/5/2)ラテックス27.5質量%
液102g、フッ素系界面活性剤F−1の5質量%溶液
を3.2ml、フッ素系界面活性剤F−2の2質量%水
溶液を32ml、エアロゾールOTの5質量%溶液を2
3ml、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径
0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート微粒子
(平均粒径4.5μm)21g、4−メチルフタル酸
1.6g、フタル酸4.8g、0.5mol/L濃度の
硫酸44ml、ベンゾイソチアゾリノン10mgに総量
650gとなるよう水を添加して、4質量%のクロムみ
ょうばんと0.67質量%のフタル酸を含有する水溶液
445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合した
ものを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になる
ようにコーティングダイへ送液した。塗布液の粘度はB
型粘度計40℃(No.1ローター,60rpm)で19
[mPa・s]であった。 【0316】3−3.塗布サンプルの作成 1)熱現像感光材料1−1〜1−11の作成 バック面と反対の面に、順に画像形成層塗布液−1〜1
0、および中間層、表面保護第1層、表面保護第2層の
各塗布液を順番でスライドビード塗布方式にて同時重層
塗布し、熱現像感光材料−1を作成した。各塗布液の温
度は、画像形成層と中間層が31℃、保護層第一層は3
6℃に、保護層第二層は37℃に調整した。 【0317】画像形成層の各化合物の塗布量(g/
m2)は以下の通りである。 【0318】 脂肪酸銀分散物A 5.58(脂肪酸銀量として) C.I.Pigment Blue 60 0.036 有機ポリハロゲン化合物−1 0.12 有機ポリハロゲン化合物−2 0.37 フタラジン化合物−1 0.19 SBRラテックス 9.97 還元剤錯体−1 1.41 現像促進剤−1 0.024 メルカプト化合物−1 0.002 メルカプト化合物−2 0.012 ハロゲン化銀(Agとして) 0.080 【0319】但し、試料1−4は、試料1−5に対し
て、画像形成層の塗布量を増やし、ハロゲン化銀の塗布
量が銀量で0.11g/m2になるようにした。 【0320】得られた熱現像感光材料のマット度はベッ
ク平滑度で画像形成層面側が550秒、バック面が13
0秒であった。また、画像形成層面側の膜面のpHを測
定したところ6.0であった。 【0321】2)熱現像感光材料1−12の作成 上記の熱現像感光材料1−1において、画像形成層塗布
液の調製時に本発明の一般式(PF-1)の化合物であるP1
―1をハロゲン化銀中の銀1モル当たり5×10-4モル
添加し、その他は同様にして熱現像感光材料1−12を
作成した。 【0322】得られた試料1−1〜1−12の組成の一
覧を表2に示した。 【0323】4.写真性能の評価 4−1.試料の準備 得られた試料は半切サイズに切断し、25℃50%の環
境下で以下の包装材料に包装し、2週間常温下で保管し
た後、以下の評価を行った。 (包装材料)PET 10μ/PE 12μ/アルミ箔9μ/Ny 15μ/
カーボン3%を含むポリエチレン50μ酸素透過率:0.02ml
/atm・m2・25℃・day、水分透過率:0.10g/atm・m2・25
℃・day 【0324】4−2.露光、熱現像 各試料は富士メディカルドライレーザーイメージャーF
M−DP L(最大60mW(IIIB)出力、波長660nmの半導体
レーザー搭載)にて露光し、4枚のパネルヒータを112
℃−119℃−121℃−121℃に設定して、合計24秒熱現
像した。得られた画像の評価は、Macbeth濃度計
により濃度測定を行い、露光量に対する濃度の特性曲線
を作成した。レーザーが露光されていない部分の濃度を
Fogとし、また最高露光量で露光した部分の濃度をD
maxとした。また、Fog+1.0の濃度を得る露光
量の逆数を感度とし、試料1−1の感度を基準しての相
対値で表記した。 【0325】また、プリントアウト性能を次のように評
価した。熱現像処理後のサンプルを25℃60%の環境
下で、1000ルクスの照度の蛍光灯下で30日間放置
し、かぶりの増加(初期と保存後との差(△Fog))
を測定した。 【0326】 【表2】【0327】表2の結果より、本発明の熱現像感光材料
は、高感度、高Dmaxでプリントアウトかぶりが少なく、
好ましいことがことがわかる。 【0328】実施例2 1)熱現像感光材料2−1〜2−11の作成 実施例1に対して、画像形成層塗布液−1〜10を画像
形成層塗布液−21〜30に変更し、さらにハレーショ
ン防止層から黄色染料化合物−1を除き、バック面保護
層および乳剤面保護層のフッ素系界面活性剤をF−1お
よびF−2からそれぞれF−3およびF−4に変更した
他は実施例1と同様にして熱現像感光材料2−1〜2−
11を作製した。このときの乳剤層の各化合物の塗布量
(g/m2)は以下の通りである。 【0329】 ベヘン酸銀B 5.27 顔料(C.I.Pigment Blue 60) 0.036 ポリハロゲン化合物−1 0.17 ポリハロゲン化合物−2 0.28 フタラジン化合物−1 0.18 SBRラテックス 9.43 還元剤−2 0.77 水素結合性化合物−1 0.28 現像促進剤−1 0.019 現像促進剤−2 0.020 色調調整剤−1 0.008 メルカプト化合物−2 0.003 ハロゲン化銀(銀量として) 0.080 【0330】但し、試料2−4は、試料2−5に対し
て、画像形成層の塗布量を増やして、ハロゲン化銀の塗
布量が銀量で0.11g/m2になるようにした。 【0331】2)熱現像感光材料2−12の作成 上記の熱現像感光材料2−1において、画像形成層塗布
液の調製時に本発明の一般式(PF-1)の化合物であるP1
―1をハロゲン化銀中の銀1モル当たり5×10-4モル
添加し、その他は同様にして熱現像感光材料2−12を
作成した。 【0332】得られた試料1−1〜1−12の組成の一
覧を表3に示した。 【0333】 【表3】【0334】3)写真性能の評価 実施例1と同様に評価を行った。但し、合計の熱現像時
間を14秒に調整した。表3の結果より、本発明の熱現
像感光材料は、高感度、高Dmaxでプリントアウトかぶり
が少なく、好ましいことがことがわかる。 【0335】実施例3 1.試料の作成 1)感光性ハロゲン化銀乳剤の調製 (ハロゲン化銀乳剤21〜25の調製)ハロゲン化銀乳
剤2の調製において、粒子形成時の液温30℃を42℃
に変更し、臭化カリウムとヨウ化カリウムの量をヨウド
を均一に50モル%含むヨウ臭化銀粒子になるように臭
化カリウムとヨウ化カリウムの量を調製する以外は、ハ
ロゲン化銀乳剤2と同様に調製した。更に、化学増感に
おいてハロゲン化銀乳剤21はハロゲン化銀乳剤2と同
様に化学増感を行った。また、ハロゲン化銀乳剤22〜
25はテルル増感剤および臭化金酸の代わりに本発明の
一般式(PF−1)〜(PF−4)の化合物を銀1モル
当たり5×10-4モル表4のように添加したこと以外は乳
剤2と同様にしてハロゲン化銀乳剤21〜25を得た。 【0336】得られたハロゲン化銀乳剤21〜25中の
粒子は、ヨウ化銀含有量50モル%のヨウ臭化銀粒子で
あり、平均球相当径35nm、球相当径の変動係数20
%の粒子であった。この粒子の{100}面比率は、ク
ベルカムンク法を用いて82%と求められた。ヨウ化銀
の結晶構造をもつ部分は直接遷移による光吸収を有して
いた。 【0337】(ハロゲン化銀乳剤26〜30の調製)ハ
ロゲン化銀乳剤2の調製において、粒子形成時以下のよ
うに変更した。蒸留水1420mlに1質量%ヨウ化カ
リウム溶液4.3mlを加え、さらに0.5mol/L
濃度の硫酸を3.5ml、フタル化ゼラチン36.5g
を添加した液をステンレス製反応壺中で撹拌しながら、
42℃に液温を保ち、硝酸銀22.22gに蒸留水を加
え195.6mlに希釈した溶液Aとヨウ化カリウム2
1.8gを蒸留水にて容量218mlに希釈した溶液B
を一定流量で6分間かけて全量添加した。 【0338】その後、3.5質量%の過酸化水素水溶液
を10ml添加し、さらにベンゾイミダゾールの10質
量%水溶液を10.8ml添加した。さらに、硝酸銀5
1.86gに蒸留水を加えて317.5mlに希釈した
溶液Cとヨウ化カリウム60gを蒸留水にて容量600
mlに希釈した溶液Dを、溶液Cは一定流量で60分間
かけて全量添加し、溶液DはpAgを8.1に維持しな
がらコントロールドダブルジェット法で添加した。 【0339】ハロゲン化銀乳剤26はハロゲン化銀乳剤
2と同様に化学増感を行った。また、ハロゲン化銀乳剤
27〜30はテルル増感剤および臭化金酸の代わりに本
発明の一般式(PF−1)〜(PF−4)の化合物を銀
1モル当たり5×10-4モル表4のように添加して化学増
感したこと以外はハロゲン化銀乳剤2と同様に調製し
た。 【0340】得られたハロゲン化銀乳剤26〜30中の
粒子は、平均球相当径35nm、球相当径の変動係数1
8%の純ヨウ化銀粒子であった。この粒子の{100}
面比率は、クベルカムンク法を用いて81%と求められ
た。ヨウ化銀の結晶構造をもつ部分は直接遷移による光
吸収を有していた。 【0341】(ハロゲン化銀乳剤Cの調製)ハロゲン化
銀乳剤21の調製において、粒子形成時の液温42℃を
55℃に変更した以外は同様にして、ハロゲン化銀乳剤
Cの調製を行った。ハロゲン化銀乳剤21と同様に沈殿
/脱塩/水洗/分散を行った。更に分光増感色素Aと分
光増感色素Bのモル比で3:1のメタノール溶液の添加
量を銀1モル当たり増感色素Aと増感色素Bの合計とし
て9.0×10-4モル、テルル増感剤Cの添加量を銀1
モル当たり5.1×10-4モル、1−(3−メチルウレ
イド)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム塩を銀
1モル当たり4.7×10-3モルに変えた以外は乳剤2
1と同様にして分光増感、化学増感を行い、ハロゲン化
銀乳剤Cを得た。ハロゲン化銀乳剤Cの乳剤粒子は、ヨ
ウ化銀含有量50モル%のヨウ臭化銀のハロゲン組成で
あり、平均球相当径80nm、球相当径の変動係数20
%のヨウ臭化銀立方体粒子であった。 【0342】(塗布液用混合乳剤21〜30の調製)ハ
ロゲン化銀乳剤21〜30と乳剤Cを8:2の割合で混
合溶解し、N−メチル−ベンゾチアゾリウムヨーダイド
を1質量%水溶液にて銀1モル当たり7×10-3モル添
加した。さらに塗布液用混合乳剤1kgあたりハロゲン
化銀の含有量が銀として38.2gとなるように加水
し、塗布液用混合乳剤1kgあたり0.34gとなるように
m−メチルウレイド−3−メルカプト−1,3,4,5
−テトラゾールを添加し、塗布液用混合乳剤21〜30
を得た。 【0343】2)熱現像感光材料3−1〜3−10の作
成 熱現像感光材料2−1に対して、ハレーション防止層に
黄色染料化合物−1を405nmの吸光度が0.3にな
るように添加し、ハロゲン化銀混合乳剤1の代わりに混
合乳剤21〜30を用いる他は熱現像感光材料2−1と
同様にして熱現像感光材料3−1〜3−10を作製し
た。試料3−1と3−6は比較例である。 【0344】2.露光、熱現像 1)露光 富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−DP
Lの露光部において半導体レーザー光源に日亜化学工業
のNLHV3000E半導体レーザーを装着し、ビーム
径をしぼることによって、レーザー光の感光材料面照度
を0および1mW/mm2〜1000mW/mm 2 の間で
変化させて10-6秒で感材の露光を行った。レーザー光
の発光波長は405nmであった。 【0345】2)熱現像 露光された試料は以下のようにして熱現像処理を行っ
た。富士メディカルドライレーザーイメージャーFM−
DPLの熱現像部において、4枚あるパネルヒーターを
112℃−115℃―115℃−115℃に設定し、フ
イルム搬送速度を速めることによって合計熱現像時間が
12秒になるように設定して熱現像を行った。試料の評
価は実施例1と同様に評価を行った。試料3−2〜3−
5は試料3−1に対する相対感度で感度を表し、試料3
−7〜3−10は試料3−6に対する相対感度で感度を
表した。実験結果を表4に示した。 【0346】 【表4】 【0347】表4の結果より、本発明の熱現像感光材料
は、高感度、高Dmaxでプリントアウトカブリが良好であ
ることがことがわかる。 【0348】以下に本発明の実施例で用いた化合物の化
学構造を示す。 【0349】 【化18】【0350】 【化19】【0351】 【化20】【0352】 【化21】 【0353】 【化22】【0354】 【発明の効果】本発明により、高感度で、カブリが低
く、最高濃度が高く、熱現像処理後もカブリ悪化の小さ
い熱現像感光材料を提供することができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体の少なくとも一方の面上に感光性
ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及びバインダ
ーを含有する熱現像感光材料において、該感光性ハロゲ
ン化銀がアニオン性カルコゲニドと金(I)カチオンと
の結合を有し、金―カルコゲンアニオン種を放出する化
学増感剤を含むことを特徴とする熱現像感光材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002100876A JP2003295390A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 熱現像感光材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002100876A JP2003295390A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 熱現像感光材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003295390A true JP2003295390A (ja) | 2003-10-15 |
Family
ID=29241540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002100876A Pending JP2003295390A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | 熱現像感光材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003295390A (ja) |
-
2002
- 2002-04-03 JP JP2002100876A patent/JP2003295390A/ja active Pending
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