JP2003293175A - リン酸ジルコニウム積層分子防食膜及び製品 - Google Patents

リン酸ジルコニウム積層分子防食膜及び製品

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JP2003293175A
JP2003293175A JP2002101716A JP2002101716A JP2003293175A JP 2003293175 A JP2003293175 A JP 2003293175A JP 2002101716 A JP2002101716 A JP 2002101716A JP 2002101716 A JP2002101716 A JP 2002101716A JP 2003293175 A JP2003293175 A JP 2003293175A
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zirconium
molecular
phosphoric acid
treated
zirconium phosphate
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JP2002101716A
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Masanobu Yomogihara
正伸 蓬原
Hiroyuki Sugimura
博之 杉村
Osamu Takai
治 高井
Azusa Shida
あづさ 志田
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロム、マンガン、フッ素等の人体、環境に
悪影響を及ぼす物質を含まず、副生成物やスラッジの発
生を抑制し、耐食性、塗膜密着性に優れたリン酸ジルコ
ニウム積層分子防食膜を提供する。 【解決手段】 リン酸基及び/又はリン酸誘導体からな
るリン酸分子層、及び、ジルコニウムからなるジルコニ
ウム分子層により形成されてなることを特徴とするリン
酸ジルコニウム積層分子防食膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン酸ジルコニウ
ム積層分子防食膜及び製品に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム金属、アルミニウム合金、
マグネシウム金属、マグネシウム合金、チタン金属、チ
タン合金等の軽金属材料の表面を処理して、耐食性や塗
膜密着性を向上させたり、光学特性や生体親和性を付与
したりすることが種々行われている。
【0003】アルミニウム金属、アルミニウム合金、マ
グネシウム金属、マグネシウム合金の耐食性、塗膜密着
性を向上させる目的で行われる表面処理の方法として
は、従来から、陽極酸化、化成処理等が行われている。
【0004】化成処理として最も一般的に用いられてい
る方法は、クロメート処理であり、特に6価クロムを含
有する処理剤を用いるクロメート処理は、適応できる製
品の範囲が広範であり、部材、部品を表面処理すること
によって優れた耐食性と塗膜密着性とを付与することが
できるものであるが、6価クロムは、人体や環境に重大
な悪影響を与えるため、その使用は近い将来禁止されよ
うとしており、6価クロムを用いない化成処理、いわゆ
るノンクロム化成処理の開発が行われている。
【0005】現在開発されているノンクロム化成処理と
しては、リン酸処理、リン酸クロム処理、リン酸マンガ
ン処理、マンガン処理、リン酸ジルコニウム処理、ジル
コニウム処理、リン酸チタニウム処理及びチタニウム処
理等を挙げることができる。これらのノンクロム化成処
理は、部材、部品表面をリン酸化合物、水酸化物、酸化
物等からなる複合被膜に変換し、耐食性や塗膜密着性を
向上させるものであり、用いられる部材、部品の腐食環
境によっては、これらで充分な場合もある。
【0006】しかしながら、上述したノンクロム化成処
理は、6価クロメート処理と比較すると耐食性、塗膜密
着性に劣るものであるため、化成処理を施した基材の用
途、適応範囲は、制限されてしまう。
【0007】また、これらのノンクロム化成処理は、一
般的に、浸積法、スプレー法で行われており、化成処理
を長期にわたって行うと、処理浴組成、pH等が変化す
るため、浴組成を管理する必要がある。
【0008】更に、化成処理に際しては、通常は、副生
成物やスラッジが生成することとなり、生成した副生成
物やスラッジは産業廃棄物の発生原因となるため、処理
コストや環境負荷の上昇につながってしまう。既存のジ
ルコニウムやチタンをベースとする化成処理では、これ
らの副生成物等を処理浴中で安定に存在させるために、
人体、環境に悪影響を及ぼすフッ素を含有する処理剤を
用いる必要があり、また、マンガンをベースとする化成
処理でも、マンガンを含有することが問題となる。
【0009】チタン金属、チタン合金の表面処理として
は、陽極酸化やスパッタリング等のドライプロセスを挙
げることができる。これらの表面処理は、光学特性や生
体親和性の付与を目的として行われることが多く、耐食
性、塗膜密着性の付与を目的として行われる例は、比較
的少ない。
【0010】チタン金属、チタン合金は、非常に耐食性
が優れているため、金属の溶解反応で皮膜を形成する化
成処理法によって皮膜形成を行うことは、一般的には困
難であるが、将来的には、一般的な部品、部材等に用い
られる可能性があり、塗装が必要となる場合には、簡便
な前処理技術が必要になると考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、クロム、マンガン、フッ素等の人体、環境に悪影
響を及ぼす物質を含まず、副生成物やスラッジの発生を
抑制し、耐食性、塗膜密着性に優れたリン酸ジルコニウ
ム積層分子防食膜を提供することを目的とするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、リン酸基及び
/又はリン酸誘導体からなるリン酸分子層、及び、ジル
コニウムからなるジルコニウム分子層により形成されて
なることを特徴とするリン酸ジルコニウム積層分子防食
膜である。上記リン酸ジルコニウム積層分子防食膜は、
更に、アミノシラン化合物からなるアミノシラン分子層
により形成されてなるものであることが好ましい。
【0013】本発明は、被処理物をリン酸誘導体からな
る溶液と接触させることにより、リン酸分子層を形成す
る工程(2)、及び、上記リン酸分子層が形成された被
処理物をジルコニウム誘導体からなる溶液と接触させる
ことにより、ジルコニウム分子層を形成する工程(3)
を行うことにより形成されてなるものであることを特徴
とするリン酸ジルコニウム積層分子防食膜である。
【0014】上記リン酸ジルコニウム積層分子防食膜
は、工程(2)を行う前に、更に、アミノシラン分子層
を形成する工程(1)を行うことにより形成されてなる
ものであることが好ましい。上記工程(1)は、気相蒸
着法により行われるものであることが好ましい。
【0015】上記リン酸誘導体は、リン酸イオン又は亜
リン酸イオンの供給源となる化合物、及び、炭素鎖の数
が4〜18のジフォスフォン酸誘導体からなる群より選
択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】本発明は、被処理物上に、上記リン酸ジル
コニウム積層分子防食膜を有するものであることを特徴
とする製品である。上記被処理物は、アルミニウム金
属、アルミニウム合金、マグネシウム金属、マグネシウ
ム合金、チタン金属又はチタン合金であることが好まし
い。上記被処理物は、脱脂工程及び酸エッチング工程を
行ったアルミニウム金属、アルミニウム合金、マグネシ
ウム金属、マグネシウム合金、チタン金属又はチタン合
金であることが好ましい。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0017】本発明のリン酸ジルコニウム積層分子防食
膜は、リン酸基及び/又はリン酸誘導体からなるリン酸
分子層、及び、ジルコニウムからなるジルコニウム分子
層により形成されてなるものである。
【0018】上記リン酸分子層は、リンを含有し、分子
レベルの厚さで形成される層である。これにより、リン
を含有するリン酸ジルコニウム積層分子防食膜を得るこ
とができ、耐食性、塗膜密着性を向上させることができ
る。
【0019】上記リン酸分子層は、例えば、上記工程
(2)を行うことにより形成することができる層であ
る。即ち、被処理物をリン酸誘導体からなる溶液と接触
させることにより、形成することができる分子レベルの
厚さの層である。
【0020】上記リン酸誘導体としては、リンを含有す
る化合物であれば特に限定されないが、耐食性、塗膜密
着性に優れ、比較的容易に膜厚の制御をすることができ
る観点から、リン酸イオン又は亜リン酸イオンの供給源
となる化合物、炭素鎖の数が4〜18のジフォスフォン
酸誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を用
いることが好ましい。
【0021】上記リン酸イオン又は亜リン酸イオンの供
給源となる化合物としては特に限定されず、例えば、オ
キシ塩化リン酸、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸
アルカリ金属塩等リン酸塩化合物を挙げることができ
る。なかでも、水溶性が高いという観点から、オキシ塩
化リン酸であることが好ましい。
【0022】上記炭素鎖の数が4〜18のジフォスフォ
ン酸誘導体としては特に限定されないが、アルキル基の
直鎖が長く優れた耐食性が得られるという観点から、
1,12ドデシルジフォスフォン酸が好ましい。
【0023】上記リン酸誘導体からなる溶液は、上記リ
ン酸誘導体が溶媒に溶解されている溶液である。上記溶
媒としては、リン酸誘導体を溶解するものであれば特に
限定されず、例えば、水、水及びメタノール、エタノー
ル等のアルコールの混合溶液、アセトニトリル等を挙げ
ることができる。
【0024】上記リン酸誘導体からなる溶液中のリン含
有量としては特に限定されず、被処理物やリン酸誘導体
の種類等により適宜設定することができるが、通常、下
限0.1mmol/L、上限30mmol/L程度であ
ることが好ましい。0.1mmol/L未満であると、
充分な被覆率を得るのに長時間を要したり、充分な被覆
率を得ることができないおそれがあり、30mmol/
Lを超えると、溶剤に溶解できなかったり、凝集物が生
成する等の不具合が生じるおそれがある。上記下限は、
0.2mmol/Lであることがより好ましく、1mm
ol/Lであることが更に好ましい。上記上限は、20
mmol/Lであることがより好ましく、10mmol
/Lであることが更に好ましい。
【0025】上記工程(2)において、上記リン酸誘導
体からなる溶液の温度は、好ましい下限は25℃、好ま
しい上限は80℃であり、より好ましい下限は35℃、
より好ましい上限は50℃である。25℃未満である
と、充分な被覆率を得るのに長時間を要したり、充分な
被覆率を得ることができないおそれがあり、80℃を超
えると、エネルギーのロスが大きくなるおそれがある。
【0026】上記工程(2)において、上記リン酸誘導
体からなる溶液の処理時間は、溶液の濃度や温度により
適宜設定することができるが、通常、下限1分、上限6
0分程度で充分である。1分未満であると、充分な被覆
率を得るのに長時間を要したり、充分な被覆率を得るこ
とができないおそれがあり、60分を超えると、被覆率
の向上がなく効果の向上が期待できない。
【0027】上記リン酸イオン又は亜リン酸イオンの供
給源となる化合物としてオキシ塩化リン酸を用いる場合
には、上記溶媒としては、溶解性の観点から、水、水及
びメタノール、エタノール等のアルコールの混合溶液、
アセトニトリルが好ましい。
【0028】上記リン酸イオン又は亜リン酸イオンの供
給源となる化合物としてオキシ塩化リン酸を用いる場合
において、上記リン酸誘導体からなる溶液中のリンの含
有量は、下限10mmol/L、上限1000mmol
/Lであることが好ましい。10mmol/L未満であ
ると、充分な被覆率を得るのに長時間を要したり、充分
な被覆率を得ることができないおそれがあり、1000
mmol/Lを超えると、特に効果の改善がみられない
だけでなく、基板のエッチングが生じる等の不具合が生
じるおそれがある。上記下限は、50mmol/Lであ
ることがより好ましく、100mmol/Lであること
が更に好ましい。上記上限は、500mmol/Lであ
ることがより好ましく、300mmol/Lであること
が更に好ましい。
【0029】上記リン酸イオン又は亜リン酸イオンの供
給源となる化合物としてオキシ塩化リン酸を用いる場合
の上記工程(2)において、上記リン酸誘導体からなる
溶液の温度は、好ましい下限は15℃、好ましい上限は
80℃である。15℃未満であると、充分な被覆率を得
るのに長時間を要したり、充分な被覆率を得ることがで
きないおそれがあり、80℃を超えると、エネルギーの
ロスが大きくなるおそれがある。上記下限は、20℃で
あることがより好ましく、25℃であることが更に好ま
しい。上記上限は、60℃であることがより好ましく、
40℃であることが更に好ましい。
【0030】上記リン酸誘導体として炭素鎖の数が4〜
18のジフォスフォン酸誘導体を用いる場合には、上記
溶媒としては、溶解性、環境保全の観点から、水、水と
アルコールとの混合溶液を用いることができる。
【0031】上記炭素鎖の数が4〜18のジフォスフォ
ン酸誘導体として、1,12ドデシルジフォスフォン酸
を用いる場合には、上記溶媒として水を好適に用いるこ
とができる。
【0032】上記1,12ドデシルジフォスフォン酸か
らなる溶液を上記リン酸誘導体からなる溶液として用い
る場合において、上記リン酸誘導体からなる溶液中のリ
ンの含有量としては特に限定されず、溶解度の範囲内で
含有させることができるが、下限0.1mmol/L、
上限10mmol/Lであることが好ましい。0.1m
mol/L未満であると、充分な被覆率を得るのに長時
間を要したり、充分な被覆率を得ることができないおそ
れがあり、10mmol/Lを超えると、充分に溶解せ
ず、凝集物が生成する等の不具合が生じるおそれがあ
る。溶解度の範囲内で、溶解度付近の1〜5mmol/
Lで用いることがより好ましい。
【0033】上記炭素鎖の数が4〜18のジフォスフォ
ン酸誘導体として、1,12ドデシルジフォスフォン酸
を用いる場合の上記工程(2)において、上記リン酸誘
導体からなる溶液の温度は、好ましい下限は15℃、好
ましい上限は90℃である。15℃未満であると、充分
な被覆率を得るのに長時間を要したり、充分な被覆率を
得ることができないおそれがあり、90℃を超えると、
エネルギーのロスが大きくなるおそれがある。上記下限
は、20℃であることがより好ましく、25℃であるこ
とが更に好ましい。上記上限は、70℃であることがよ
り好ましく、60℃であることが更に好ましい。
【0034】上記リン酸誘導体からなる溶液の溶媒が水
である場合には、溶液のpHは、4〜5であることが好
ましい。
【0035】上記工程(2)において、上記被処理物を
上記リン酸誘導体からなる溶液と接触させる方法として
は特に限定されず、例えば、リン酸誘導体からなる溶液
中に被処理物を浸漬する方法、リン酸誘導体からなる溶
液を被処理物に噴射(スプレー)する方法等を挙げるこ
とができ、これらを組み合わせて行うこともできる。な
かでも、被処理物全体を均一に溶解させることができる
観点から、浸漬する方法が好ましい。
【0036】上記工程(2)の後、必要に応じて、水洗
処理を行うことができる。上記水洗処理は、1回又はそ
れ以上により行うことができる。この場合、最終の水洗
は、純水で行われることが適当である。この水洗処理に
おいては、スプレー水洗又は浸漬水洗のどちらでもよ
く、これらの方法を組み合わせて水洗することもでき
る。
【0037】上記工程(2)において、上記被処理物と
しては、表面が自然酸化膜で被覆されている金属及び/
又は合金であれば特に限定されず、例えば、塑性加工、
ダイキャスト法やチクソモールド法等で作製されるアル
ミニウム金属、アルミニウム合金、マグネシウム金属、
マグネシウム合金、チタン金属、チタン合金等の部材、
部品等を挙げることができる。また、被処理物の素材自
体が酸化物であってもよい。
【0038】上記アルミニウム合金としては特に限定さ
れず、例えば、アルミダイキャストAC−4C、アルミ
ダイキャストAC−4CH、5000番系アルミニウム
合金、6000番系アルミニウム合金等を挙げることが
できる。
【0039】上記マグネシウム合金としては、特に限定
されず、例えば、AZ31、AZ91、AZ91D、A
M60、AM50、AZ31B等を挙げることができ
る。ここで、表記のAZやAMは、添加されている金属
元素を示す。Aはアルミニウムであり、Mはマンガン、
Zは亜鉛である。これら表記に続く数字は、これら添加
元素の添加濃度を表しており、例えば、AZ91であれ
ば、アルミニウムが9質量%であり、亜鉛が1質量%で
あることを示している。また、上記表記法において、M
が0とはMnの含有量が1質量%未満という意味であ
る。
【0040】上記被処理物として用いられる金属及び/
又は合金が、離型剤や防錆油等で汚染されている場合
は、脱脂工程及び酸エッチング工程を行ったものである
ことが好ましい。上記被処理物がこれらの工程を行うこ
とにより表面を清浄にしたものである場合には、洗浄後
の被処理物を上記リン酸誘導体からなる溶液と接触させ
ることにより、耐食性、塗膜密着性に優れたリン酸ジル
コニウム積層分子防食膜を得ることができる。また、上
記脱脂工程を行う前に、必要に応じて、脱スマット工程
を行うこともできる。これにより、より表面を洗浄する
ことができる。
【0041】上記脱脂工程は、被処理物表面にゆるく付
着した機械油や離型剤等の油分を除去し、酸性水溶液の
被処理物への濡れ性を向上させることを目的として行わ
れる工程である。上記脱脂工程に使用される脱脂剤とし
ては、例えば、界面活性剤を含むアルカリ性洗浄剤等の
従来公知のものを用いることができる。
【0042】上記脱脂工程は、通常30〜80℃におい
て数分間程度の浸漬処理がなされるものである。所望に
より、脱脂工程の前に、予備脱脂工程を行うこともでき
る。上記脱脂工程後には、脱脂工程後の脱脂剤を水洗す
るために、大量の水洗水によって1回又はそれ以上でス
プレー処理により水洗処理を行うことができる。
【0043】上記酸エッチング工程は、酸性水溶液を用
いて上記被処理物をエッチングして溶解せしめ、金属、
合金内部に浸透した離型剤等の油分を除去することによ
り、優れた耐食性、塗膜密着性を被処理物に付与するこ
とを目的として行われる工程である。
【0044】上記酸エッチング工程における酸性水溶液
としては、上記被処理物中の金属成分に対して溶解性を
示す酸性の水溶液を用いることができる。上記酸性水溶
液に使用する酸としては特に限定されず、例えば、リン
酸、硝酸、硫酸、フッ酸、ケイフッ化水素酸等の無機
酸;シュウ酸、酢酸等の有機酸等を挙げることができ
る。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよいが、上述した酸のうちから少なくとも2種類以
上の適切な組み合わせの混酸として用いることが好まし
い。
【0045】上記酸エッチング工程を行う方法として
は、上記被処理物が酸性水溶液に接触する方法であれば
特に限定されず、例えば、酸性水溶液中に被処理物を浸
漬する方法、酸性水溶液を被処理物に噴射(スプレー)
する方法等を挙げることができ、これらを組み合わせて
行うこともできる。
【0046】上記酸エッチング工程において、酸性水溶
液の温度は、室温から沸点の範囲で用いることができ、
通常、30〜70℃程度で行うことができる。また、酸
性水溶液の処理時間としては特に限定されず、酸性水溶
液の種類、濃度、pH、被処理物の種類等により適宜設
定すればよく、通常、20秒〜5分程度で行うことがで
きる。
【0047】上記酸エッチング工程後には、酸エッチン
グ工程後の酸性水溶液を水洗するために、大量の水洗水
によって1回又はそれ以上でスプレー処理により水洗処
理を行うことができる。
【0048】上記脱スマット工程は、アルカリ性水溶液
を用いて被処理物を溶解し、付着している離型剤の除
去、金属、合金表面に偏析したもの除去等を目的として
行われる工程である。
【0049】上記脱スマット工程におけるアルカリ性水
溶液としては、アルカリ性化合物の水溶液を用いること
ができる。上記脱スマット工程使用するアルカリ性化合
物としては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、
アンモニア等の従来公知のものを挙げることができる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。
【0050】上記脱スマット工程を行う方法としては、
上記被処理物がアルカリ性水溶液に接触する方法であれ
ば特に限定されず、例えば、アルカリ性水溶液中に被処
理物を浸漬する方法、アルカリ性水溶液を被処理物に噴
射(スプレー)する方法等を挙げることができ、これら
を組み合わせて行うこともできる。
【0051】上記脱スマット工程において、アルカリ性
水溶液の温度は、室温から沸点の範囲で用いることがで
き、通常、30〜80℃程度で行うことができる。ま
た、アルカリ性水溶液の処理時間としては特に限定され
ず、アルカリ性水溶液の種類、濃度、pH、被処理物の
種類等により適宜設定すればよく、通常、2〜5分程度
で行うことができる。
【0052】上記脱スマット工程後には、脱スマット工
程後のアルカリ性水溶液を水洗するために、大量の水洗
水によって1回又はそれ以上でスプレー処理により水洗
処理を行うことができる。
【0053】上記脱脂工程、酸エッチング工程、脱スマ
ット工程の前処理の方法は、被処理物として用いられる
部材、部品の汚染の程度等により、適宜設定することが
できるものであり、上述した条件に特に限定されるもの
ではなく、また、用いられる脱脂剤、酸性水溶液、アル
カリ性水溶液の濃度も適宜設定することができる。
【0054】上記ジルコニウム分子層は、ジルコニウム
の供給源となるジルコニウム化合物により供給されるジ
ルコニウムを含有し、分子レベルの厚さで形成され、上
記リン酸分子層と接触している層である。これにより、
ジルコニウムを含有するリン酸ジルコニウム積層分子防
食膜を得ることができ、耐食性、塗膜密着性を向上させ
ることができる。
【0055】上記ジルコニウム分子層は、例えば、上記
工程(3)を行うことにより形成することができる層で
ある。即ち、上記工程(2)を行うことで得られた上記
リン酸分子層が形成された被処理物をジルコニウム誘導
体からなる溶液と接触させることにより、形成すること
ができる分子レベルの厚さの層である。
【0056】上記ジルコニウム誘導体としては、ジルコ
ニウムを含有する化合物であれば特に限定されないが、
水、アルコール等の非水溶媒等に容易に溶解させること
できることから、ジルコニウムメトキシド、ジルコニウ
ムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウ
ムブトキシド等のジルコニウムアルコキシド;塩化ジル
コニル、フッ化ジルコニウム酸等のジルコニウムの無機
化合物を用いることが好ましい。
【0057】上記ジルコニウム誘導体からなる溶液は、
上記ジルコニウム誘導体が溶媒に溶解されている溶液で
ある。上記溶媒としては、ジルコニウム誘導体を溶解す
るものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコー
ル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を挙げるこ
とができる。
【0058】上記ジルコニウム誘導体からなる溶液中の
ジルコニウム含有量としては特に限定されず、被処理物
やジルコニウム誘導体の種類等により適宜設定すること
ができるが、通常、下限10mmol/L、上限500
mmol/L程度であることが好ましい。10mmol
/L未満であると、充分な被覆率を得るのに長時間を要
したり、充分な被覆率を得ることができないおそれがあ
り、500mmol/Lを超えると、ジルコニウムの加
水分解等により酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム
が生成し、層構造とならない場合がある。上記下限は、
100mmol/Lであることがより好ましく、上記上
限は、300mmol/Lであることがより好ましい。
【0059】上記工程(2)において、上記ジルコニウ
ム誘導体からなる溶液の温度は、好ましい下限は20
℃、好ましい上限は80℃である。20℃未満である
と、充分な被覆率を得るのに長時間を要するため不適で
あり、80℃を超えても、ジルコニウムの基材への移動
速度の増加も期待できないため、熱源の確保等、無駄と
なるおそれがある。Zrの移動の確保。吸着速度が上が
らない。
【0060】上記工程(2)において、上記ジルコニウ
ム誘導体からなる溶液の処理時間は、溶液の濃度や温度
により適宜設定することができるが、通常、下限5分、
上限120分程度で充分である。5分未満であると、充
分な被覆が得られないために、充分な性能が得られない
おそれがある。120分を超えると、熱源の確保等、無
駄となるおそれがある。
【0061】上記ジルコニウム誘導体としてジルコニウ
ムアルコキシドを用いる場合には、上記溶媒としては、
加水分解を抑制するという観点から、アルコール等の非
水溶媒を用いることが好ましい。
【0062】上記ジルコニウム誘導体としてジルコニウ
ムアルコキシドを用いる場合において、上記ジルコニウ
ム誘導体から供給される溶液中のジルコニウムの含有量
は、下限0.1mmol/L、上限500mmol/L
であることが好ましい。0.1mmol/L未満である
と、充分な被覆率を得るのに長時間を要したり、充分な
被覆率を得ることができないおそれがあり、500mm
ol/Lを超えると、層構造とならない場合がある。上
記下限は、1mmol/Lであることがより好ましく、
10 mmol/Lであることが更に好ましい。上記上
限は、300mmol/Lであることがより好ましく、
100 mmol/Lであることが更に好ましい。
【0063】上記ジルコニウム誘導体としてジルコニウ
ムアルコキシドを用いる場合の上記工程(3)におい
て、上記ジルコニウム誘導体からなる溶液の温度は、好
ましい下限は20℃、好ましい上限は90℃である。2
0℃未満であると、充分な被覆率を得るのに長時間を要
したり、充分な被覆率を得ることができないおそれがあ
り、90℃を超えると、層構造とならない場合がある。
上記下限は、25℃であることがより好ましく、35℃
であることが更に好ましい。上記上限は、70℃である
ことがより好ましく、50℃であることが更に好まし
い。
【0064】上記ジルコニウム誘導体としてジルコニウ
ムの無機化合物を用いる場合には、上記溶媒としては、
安全、環境保全の観点から、水を用いることが好まし
い。
【0065】上記ジルコニウム誘導体として塩化ジルコ
ニルを用いる場合において、上記ジルコニウム誘導体か
らなる溶液中のジルコニウムの含有量は、下限0.1m
mol/L、上限100mmol/Lであることが好ま
しい。0.1mmol/L未満であると、充分な被覆率
を得るのに長時間を要したり、充分な被覆率を得ること
ができないおそれがあり、100mmol/Lを超える
と、ジルコニウムの加水分解等により酸化ジルコニウ
ム、水酸化ジルコニウムが生成し、層構造とならない場
合がある。上記下限は、0.5mmol/Lであること
がより好ましく、3mmol/Lであることが更に好ま
しい。上記上限は、50mmol/Lであることがより
好ましく、10mmol/Lであることが更に好まし
い。
【0066】上記ジルコニウム誘導体として塩化ジルコ
ニルを用いる場合の上記工程(3)において、上記ジル
コニウム誘導体からなる溶液の温度は、好ましい下限は
15℃、好ましい上限は90℃である。15℃未満であ
ると、充分な被覆率を得るのに長時間を要したり、充分
な被覆率を得ることができないおそれがあり、90℃を
超えると、ジルコニウムの加水分解等により酸化ジルコ
ニウム、水酸化ジルコニウムが生成し、層構造とならな
い場合がある。上記下限は、20℃であることがより好
ましく、25℃であることが更に好ましい。上記上限
は、70℃であることがより好ましく、50℃であるこ
とが更に好ましい。
【0067】上記ジルコニウム誘導体からなる溶液は、
フッ素を含有しないものであることが好ましい。これに
より、人体、環境へ悪影響を及ぼすことを抑制すること
ができる。
【0068】上記ジルコニウム誘導体からなる溶液の溶
媒が水である場合には、溶液のpHは、4.0〜5.0
であることが好ましい。これにより、被処理物の表面に
おける金属溶解反応を抑制することができ、副生成物や
スラッジの発生を抑制することができる。
【0069】上記工程(3)において、上記リン酸分子
層が形成された被処理物をジルコニウム誘導体からなる
溶液と接触させる方法としては特に限定されず、例え
ば、ジルコニウム誘導体からなる溶液中に被処理物を浸
漬する方法、ジルコニウム誘導体からなる溶液を被処理
物に噴射(スプレー)する方法等を挙げることができ、
これらを組み合わせて行うこともできる。なかでも、被
処理物全体を均一に溶解させることができる観点から、
浸漬する方法が好ましい。
【0070】上記工程(3)の後、必要に応じて、水洗
処理を行うことができる。上記水洗処理は、1回又はそ
れ以上により行うことができる。この場合、最終の水洗
は、純水で行われることが適当である。この水洗処理に
おいては、スプレー水洗又は浸漬水洗のどちらでもよ
く、これらの方法を組み合わせて水洗することもでき
る。上記工程(3)の後は、公知の方法に従って、必要
に応じて乾燥され、その後、電着塗装や粉体塗装を行う
ことができる。
【0071】上記リン酸分子層及び上記ジルコニウム分
子層により形成されてなる層は、複数層形成されていて
もよい。この場合、例えば、上記工程(2)と上記工程
(3)とからなる工程を複数回行うことにより形成する
ことができる。複数回行うことにより、膜厚を増加させ
たり、被覆率を向上させたりすることができることか
ら、耐食性、塗膜密着性をより向上させることができ
る。このため、上記工程(2)と上記工程(3)とを、
必要に応じて繰り返すことにより、激しい腐食環境で使
用される部材、部品の場合にも、充分な耐食性や塗膜密
着性を付与することができる。
【0072】本発明のリン酸ジルコニウム積層分子防食
膜は、上記リン酸誘導体からなるリン酸分子層、及び、
ジルコニウムからなるジルコニウム分子層と、更に、ア
ミノシラン化合物からなるアミノシラン分子層により形
成されてなるものであることが好ましい。特に、被処理
物の表面の金属自然酸化膜が塩基性を示すものでない場
合には、上記アミノシラン化合物からなるアミノシラン
分子層を被処理物上に形成して、金属自然酸化膜表面を
アミノ基で高密度に終端して、金属自然酸化膜表面を塩
基性に変換することにより、得られた塩基性表面上に、
上記リン酸分子層中のリン酸誘導体を化学吸着させるこ
とができることになる。また、上記アミノシラン分子層
で金属自然酸化膜表面を被覆することにより、耐食性を
付与することができることから、各種の金属及び/又は
合金表面に、先ずアミノシラン分子層が形成され、更
に、形成されたアミノシラン分子層上に、リン酸分子
層、及び、ジルコニウム分子層が形成されてなるリン酸
ジルコニウム積層分子防食膜を得ることにより、優れた
耐食性、塗膜密着性を得ることができる。
【0073】上記アミノシラン分子層は、各種金属及び
/又は合金に形成することができ、形成されたアミノシ
ラン分子層に上記リン酸分子層を形成することができる
ものであるが、アルミニウム金属、アルミニウム合金上
の金属自然酸化膜のように塩基性である場合は、金属酸
化自然膜上に、直接リン酸分子層を形成することができ
ることから、高耐食性が要求されない環境でアルミニウ
ム金属、アルミニウム合金を使用する場合には、上記ア
ミノシラン分子層を形成しなくてもよい。本発明のリン
酸ジルコニウム積層分子防食膜に、上記アミノシラン分
子層を形成することが好ましいか否かは、金属自然酸化
膜の等電点により判断することができる。なお、表面を
塩基性に変換でき、かつ、金属自然酸化膜に吸着できる
分子であれば、アミノシラン分子の代わりに用いること
ができる。
【0074】上記アミノシラン分子層は、アミノシラン
化合物により分子レベルの厚さで形成される層である。
これにより、被処理物上の金属自然酸化膜を塩基性に変
換することができる。
【0075】上記アミノシラン分子層は、例えば、上記
工程(1)を行うことにより形成することができる層で
ある。上記工程(1)を行う方法としては特に限定され
ず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、アミ
ノシラン化合物の蒸気を充満させた気体と被処理物とを
接触させること(気相蒸着法)、アミノシラン化合物を
溶解させた溶液と被処理物とを接触させること等によ
り、金属自然酸化膜を分子レベルの厚さのアミノシラン
分子層で被覆することができる。なかでも、形成される
層を分子レベルの厚さで制御することができることか
ら、気相蒸着法であることが好ましい。
【0076】上記アミノシラン化合物としては特に限定
されず、例えば、アルキル鎖の末端がアミノ基で終端さ
れているシランカップリング剤を用いることができる。
上記アルキル鎖の末端がアミノ基で終端されているシラ
ンカップリング剤としては特に限定されず、例えば、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロ
ピルジメチルエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−ア
ミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)−3アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0077】上記アミノシラン化合物の蒸気を充満させ
た気体と被処理物とを接触させる方法(気相蒸着法)と
しては、例えば、密閉された空間に被処理物及びアミノ
シラン化合物を導入して、適切な温度に加熱することに
より、アミノシラン分子層を被処理物上に形成すること
ができる。気体空間中における反応温度、アミノシラン
化合物の使用量は、用いるアミノシラン化合物の飽和蒸
気圧及び密閉空間の体積により適宜設定することができ
る。原理的には、アミノシラン化合物が蒸発可能であ
り、分解温度以下の温度であればよいが、アミノシラン
分子層の被覆率と反応時間とを考慮すれば、分圧がなる
べく高くなる条件で成膜を行うことが好ましい。
【0078】上記気相蒸着法において、反応温度は、通
常、下限50℃、上限200℃で行うことができる。上
記アミノシラン化合物として、例えば、N−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを
用いる場合には、下限100℃、上限150℃で行うこ
とが好ましい。また、アミノシラン化合物及び被処理物
を入れて密閉する反応容器の圧力は、略大気圧である。
【0079】上記気相蒸着法において、反応時間は通
常、下限10分間、上限30時間程度である。この反応
時間は、気相蒸着法に代えて溶液法や液相吸着法でアミ
ノシラン分子層を形成する場合に比較すると短いもので
あり、短時間で層形成ができるものである。
【0080】上記アミノシラン化合物の反応系内に導入
する量は、反応容器の体積、反応温度、用いる分子の飽
和蒸気圧等により適宜設定することができる。N−(2
−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ランを用いた場合に、例えば、容器の体積が1Lであ
り、反応温度が120℃であれば、下限5×10−3
mol、上限1mmolであることが好ましい。5×1
−3mmol未満であると、アミノシランの分圧が低
く充分な被覆率を得るのに長時間を要するだけでなく、
充分な被覆率が得られないおそれがあり、1mmolを
超えると、被覆率の向上、皮膜生成速度の向上の効果が
見られないおそれがある。上記下限は、10 −2mmo
lであることがより好ましく、上記上限は、0.5mm
olであることがより好ましい。成膜時間は、通常、1
0〜30分程度である。
【0081】上記アミノシラン化合物を溶解させた溶液
と被処理物とを接触させる方法としては特に限定され
ず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、刷毛
塗り、ディッピング、スプレー等を挙げることができ
る。処理温度、処理時間等の処理条件は、適宜設定する
ことができる。
【0082】本発明のリン酸ジルコニウム積層分子防食
膜の特徴的な点は、上記リン酸分子層及び上記ジルコニ
ウム分子層からなる場合には、これら分子レベルの厚さ
の層の界面が化学的結合により結ばれていることであ
り、また、上記アミノシラン分子層、上記リン酸分子層
及び上記ジルコニウム分子層からなる場合にも、上記ア
ミノシラン分子層と上記リン酸分子層との界面、上記リ
ン酸分子層と上記ジルコニウム分子層との界面が化学的
結合により結ばれていることである。これにより、優れ
た耐食性、塗膜密着性を付与することができ、また、上
記リン酸分子層、及び上記ジルコニウム分子層を必要に
応じて、複数層形成することにより、必要な耐食性、塗
膜密着性を付与することができる。
【0083】また、従来から公知のノンクロム化成処理
により形成される化成皮膜と比べて、膜厚を分子レベル
で制御することができることも特徴的な点である。即
ち、このような従来の化成処理方法は、被処理物とリン
酸マンガン、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム等
の化成処理剤とを接触させることにより、処理剤と被処
理物との界面において、被処理物の金属表面における溶
解反応が起こり、これにより界面におけるpHが変化し
て、ジルコニウム、チタンの水酸化物、酸化物やリン酸
化合物等が生成し、被処理物の表面に付着、固化して、
化成皮膜が形成されるものであるが、本発明のリン酸ジ
ルコニウム積層分子防食膜は、このような金属の溶解反
応により形成される化成皮膜と異なり、被処理物の金属
自然酸化膜と、リン酸分子層又はアミノシラン分子層と
の間の化学吸着により、膜形成されるものであるため、
膜厚を分子レベルで制御することができるものである。
【0084】更に、従来の化成処理は、金属溶解反応に
より化成皮膜を形成する方法であるため、リン酸マンガ
ン、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム等の副生成
物やスラッジが発生してしまうが、本発明のリン酸ジル
コニウム積層分子防食膜は、金属溶解反応により形成さ
れるものではなく、化学吸着により結合されているもの
であることから、これらの副生成物やスラッジが発生す
ることを抑制することもできる。
【0085】本発明のリン酸ジルコニウム積層分子防食
膜が、化学吸着により被処理物上に吸着し膜形成を行っ
ていることは、光電子分光分析法(XPS)で確認する
ことができる。例えば、アルミニウム合金上に、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキ
シシランを用いて形成したリン酸ジルコニウム積層分子
防食膜をXPSで測定した結果を示す。N1s軌道から
の光電子スペクトルは、401.5eV及び400.7
eVに2つのピークを持つ。前者は、リン酸基とアミノ
基との間に結合が形成していることを示し、後者は、ア
ミノシラン化合物の窒素と炭素との結合に由来するピー
クである。ジルコニウムの3d5/2軌道からの光電子
スペクトルは、183eVに1つのピークを持つことが
確認されている。これは、リン酸基とジルコニウムが化
学結合を形成していることを示している。なお、アミノ
シラン化合物は、アルミニウム自然酸化膜に化学吸着す
ることは、従来から公知であり、このことから、本発明
のリン酸ジルコニウム積層は、アルミニウム等の金属自
然酸化膜に、化学吸着により形成され、金属自然酸化膜
上に強固に固着していると判断することができる。
【0086】上記リン酸ジルコニウム積層分子防食膜の
厚さは、エリプソメトリーやX線回析法で測定すること
ができる。アミノシラン分子層がN−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランにより形
成され、リン酸分子層が1,12ドデシルスルフォン酸
により形成され、更に、ジルコニウム分子層が形成され
るものであり、リン酸分子層を形成する工程(2)とジ
ルコニウム分子層を形成する工程(3)とを10回繰り
返して形成されたリン酸ジルコニウム積層分子防食膜
を、表面が平坦なアルミニウム蒸着膜に形成して、エリ
プソメトリーで膜厚を測定したところ、膜厚は、20〜
25nmであった。これにより、本発明のリン酸ジルコ
ニウム積層分子防食膜の各層は、単分子レベルの厚さに
あると推察される。
【0087】上記被処理物上に、上記リン酸ジルコニウ
ム積層分子防食膜を有する製品は、耐食性、塗膜密着性
に優れるものであり、このような製品も本発明の1つで
ある。また、上記製品において、上記被処理物は、アル
ミニウム金属、アルミニウム合金、マグネシウム金属、
マグネシウム合金、チタン金属又はチタン合金であるこ
とが好ましく、脱脂工程及び酸エッチング工程を行った
アルミニウム金属、アルミニウム合金、マグネシウム金
属、マグネシウム合金、チタン金属又はチタン合金であ
ることがより好ましい。これにより、より優れた耐食
性、塗膜密着性を付与することができる。
【0088】本発明のリン酸ジルコニウム積層分子防食
膜は、リン酸誘導体からなるリン酸分子層及びジルコニ
ウムからなるジルコニウム分子層、更に必要に応じて、
アミノシラン化合物からなるアミノシラン分子層により
形成されてなるものであり、各層の界面は、化学結合に
より結ばれており、また、アミノシラン分子層又はリン
酸分子層は、被処理物の金属自然酸化膜への化学吸着に
より結ばれているものである。従って、上記リン酸ジル
コニウム積層分子防食膜膜厚を分子レベルで制御するこ
とができ、耐食性、塗膜密着性に優れ、また、副生成物
やスラッジの発生を抑制することができるものである。
更に、クロム、マンガン、フッ素等の人体、環境に悪影
響を及ぼす物質を含まないものである。これにより、ア
ルミニウム金属、アルミニウム合金、マグネシウム金
属、マグネシウム合金、チタン金属又はチタン合金等の
被処理物に、好適に優れた耐食性、塗膜密着性を有する
リン酸ジルコニウム積層分子防食膜を得ることができ
る。
【0089】上記アミノシラン化合物からなるアミノシ
ラン分子層、上記リン酸誘導体からなるリン酸分子層及
び上記ジルコニウムからなるジルコニウム分子層より形
成されてなるリン酸ジルコニウム積層分子防食膜形成機
構を説明する。
【0090】被処理物表面の金属自然酸化膜には、OH
基が存在し、また、OH基とともに吸着水が存在する。
このような状態にある被処理物、例えば、アルミニウム
合金に、3−アミノプロピルトリエトキシシランを気相
蒸着すると、3−アミノプロピルトリエトキシシランの
Si−OCとOH基との反応によりオキサン結合
(Si−O−Al)が形成され、更に、吸着水との反応
により二次元的に3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ンの吸着が進行してSAM(Self Assembl
ed Monolayer;自己組織化単分子膜)が形
成される。
【0091】次に、上記3−アミノプロピルトリエトキ
シシランの吸着層が形成された被処理物をオキシ塩化リ
ン酸のアセトニトリル溶液に浸漬することにより、オキ
シ塩化リン酸のPが被処理物表面に形成されている3−
アミノプロピルトリエトキシシランの吸着層のアミノ基
と反応し、−NH−POが形成される。更に、−NH
−POが形成された被処理物を塩化ジルコニルの水溶
液に浸漬することにより、塩化ジルコニルのZrが形成
されている−POと反応し、PO−Zr−PO
形成される。この一連の処理によって形成されるリン酸
ジルコニウム積層分子防食膜の模式図を図1に示す。な
お、図中のALは、アルミニウム合金を示す。
【0092】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り
「質量部」を意味する。
【0093】実施例1 板厚1mmの圧延アルミニウム合金(JIS1100
P)試験板に、以下に示した条件で、脱脂、水洗、酸エ
ッチング、リン酸ジルコニウム積層分子防食膜形成、塗
装を行った。水洗は、水道水シャワーで行い、他の前処
理工程は、全てディップ方式で処理を行った。上記リン
酸積層分子防食膜形成において、アミノシラン分子層
は、気相蒸着法で形成し、リン酸分子層を形成する工程
及びジルコニウム分子層を形成する工程は、浸積法でそ
れぞれ1回行うことにより形成した。塗装は、エポキシ
系溶剤塗料を用いて行った。
【0094】(A)脱脂 処理液:3質量%サーフクリーナー322N8(日本ペ
イント社製) 処理温度:70℃ 処理時間:1.5分間
【0095】(B)酸エッチング 処理液:10%硫酸、5%硝酸に溶解したFe3+(1
g/L)水溶液(日本ペイント社製) 処理温度:65℃ 処理時間:1分間
【0096】(C)リン酸ジルコニウム積層分子防食膜
形成 C−1 アミノシラン分子層形成 アミノシラン化合物:N−(2−アミノエチル)−3−
アミノプロピルトリメトキシシラン アミノシラン化合物量:1g 反応容器:1Lガラス製密閉容器 反応温度:120℃ 成膜時間:10分 C−2 リン酸分子層形成 リン酸化合物:オキシ塩化リン酸 リン含有量:200mmol/L 溶媒:アセトニトリル 温度:室温(20〜25℃) 処理時間:20分 C−3 ジルコニウム分子層形成 ジルコニウム化合物:塩化ジルコニル ジルコニウム含有量:5mmol/L 溶媒:水とエタノールとの混合溶液 温度:室温(20〜25℃) 処理時間:20分
【0097】(D)塗装 塗料:アルミニウムプレコート用プライマー塗料(日本
ペイント製) 塗装膜厚:20μm 焼き付け:120℃、5分
【0098】得られた試験板を用いて、下記方法で、未
塗装耐食性、塗膜密着性を評価し、結果を表1に示した。 〔評価〕 (未塗装耐食性)塩水噴霧試験:上記工程(C)を行っ
た後の試験片に5%食塩水を35℃で噴霧し、120時
間後の腐食発生率を目視で観察した腐食面積の割合で評
価した。 (塗膜密着性) 塗装直後:上記工程(D)を行った後の塗装した試験板
に1mm間隔の碁盤目を100個作り、粘着テープを貼
り付けて剥離した。残存した碁盤目の数を測定し評価し
た。 温水浸漬後:上記工程(D)を行った後の塗装した試験
板を120時間、50℃の温水に浸積した。その後、取
り出した試験板に1mm間隔の碁盤目を100個作り、
粘着テープを貼り付けて剥離した。残存した碁盤目の数
を測定し評価した。
【0099】実施例2 実施例1の(C)リン酸ジルコニウム積層分子防食膜形
成において、リン酸分子層とジルコニウム分子層との形
成をそれぞれ3回繰り返して、形成した以外は、実施例
1と同様にして、試験板を作製した。次いで、実施例1
と同様にして評価し、得られた結果を表1に示した。
【0100】実施例3 実施例1の(C)リン酸ジルコニウム積層分子防食膜形
成において、リン酸分子層の形成方法を以下のように変
更した以外は、実施例1と同様にして、試験板を作製し
た。次いで、実施例1と同様にして評価し、得られた結
果を表1に示した。 C−2 リン酸分子層形成 リン酸化合物:1,12ドデシルジフォスフォン酸 溶媒:50%アセトン、50%水 リン含有量:2mmol/L 温度:室温(20〜25℃) 浸漬時間:10分
【0101】実施例4 実施例3の(C)リン酸ジルコニウム積層分子防食膜形
成において、リン酸分子層とジルコニウム層との形成と
の形成をそれぞれ3回繰り返して、形成した以外は、実
施例3と同様にして、試験板を作製した。次いで、実施
例1と同様にして評価し、得られた結果を表1に示し
た。
【0102】実施例5 実施例3の(C)リン酸ジルコニウム積層分子防食膜形
成において、リン酸分子層とジルコニウム層との形成と
の形成をそれぞれ3回繰り返して、形成した以外は、実
施例3と同様にして、試験板を作製した。次いで、実施
例1と同様にして評価し、得られた結果を表1に示し
た。
【0103】実施例6 実施例3の(C)リン酸ジルコニウム積層分子防食膜形
成において、アミノシラン分子層の形成を行わなかった
以外は、実施例3と同様にして、試験板を作製した。次
いで、実施例1と同様にして評価し、得られた結果を表
1に示した。
【0104】比較例1 実施例1における(C)リン酸ジルコニウム積層分子防
食膜形成を市販のリン酸ジルコニウム処理剤アルサーフ
440(日本ペイント社製)の5%水溶液を使用し、6
0℃で1分間浸漬処理することに変更した以外は、実施
例1と同様にして、試験板を作製した。次いで、実施例
1と同様にして評価し、得られた結果を表1に示した。
【0105】
【表1】
【0106】表1より、アルミニウム合金に対して、実
施例により形成したリン酸ジルコニウム積層分子防食膜
は、市販リン酸ジルコニウムにより形成した皮膜に比べ
て、優れた耐食性と塗膜密着性とを示すものであった。
【0107】
【発明の効果】本発明のリン酸ジルコニウム積層分子防
食膜は、上述した構成よりなるので、クロム、マンガ
ン、フッ素等の人体、環境に悪影響を及ぼす物質を含ま
ず、副生成物やスラッジの発生を抑制し、耐食性、塗膜
密着性に優れたものである。これにより、人体や環境へ
の影響を大幅に低減することができ、また、化学的結合
を介する分子レベルの厚さの分子積層膜であるため、金
属自然酸化膜表面を高密度に被覆することができるもの
である。従って、高い塗膜密着性と耐食性とを必要とす
るパソコン筐体、携帯電話筐体等の電子機器の部材、部
品、オーディオ機器等の家電製品、自動車部材、部品、
飲料缶等の食缶やチタン合金等により製造される生体材
料、その他複雑な形状をした製品の処理にも好適に用い
ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム合金に形成されているリン酸ジル
コニウム積層分子防食膜の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 502120158 志田 あづさ 神奈川県横浜市都筑区南山田1−3−6− 302 (72)発明者 蓬原 正伸 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 杉村 博之 愛知県名古屋市北区名城3−1 名城住宅 9−609 (72)発明者 高井 治 愛知県名古屋市千種区鹿子殿16−4−35 (72)発明者 志田 あづさ 神奈川県横浜市都筑区南山田1−3−6− 302 Fターム(参考) 4K062 AA08 BA08 BA14 BB14 BB25 BB30 FA16 GA03 GA10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸基及び/又はリン酸誘導体からな
    るリン酸分子層、及び、ジルコニウムからなるジルコニ
    ウム分子層により形成されてなることを特徴とするリン
    酸ジルコニウム積層分子防食膜。
  2. 【請求項2】 更に、アミノシラン化合物からなるアミ
    ノシラン分子層により形成されてなる請求項1記載のリ
    ン酸ジルコニウム積層分子防食膜。
  3. 【請求項3】 被処理物をリン酸誘導体からなる溶液と
    接触させることにより、リン酸分子層を形成する工程
    (2)、及び、前記リン酸分子層が形成された被処理物
    をジルコニウム誘導体からなる溶液と接触させることに
    より、ジルコニウム分子層を形成する工程(3)を行う
    ことにより形成されてなるものであることを特徴とする
    リン酸ジルコニウム積層分子防食膜。
  4. 【請求項4】 工程(2)を行う前に、更に、アミノシ
    ラン分子層を形成する工程(1)を行うことにより形成
    されてなるものである請求項3記載のリン酸ジルコニウ
    ム積層分子防食膜。
  5. 【請求項5】 工程(1)は、気相蒸着法により行われ
    るものである請求項4記載のリン酸ジルコニウム積層分
    子防食膜。
  6. 【請求項6】 リン酸誘導体は、リン酸イオン又は亜リ
    ン酸イオンの供給源となる化合物、及び、炭素鎖の数が
    4〜18のジフォスフォン酸誘導体からなる群より選択
    される少なくとも1種である請求項1、2、3、4又は
    5記載のリン酸ジルコニウム積層分子防食膜。
  7. 【請求項7】 被処理物上に、請求項1、2、3、4、
    5又は6記載のリン酸ジルコニウム積層分子防食膜を有
    するものであることを特徴とする製品。
  8. 【請求項8】 被処理物は、アルミニウム金属、アルミ
    ニウム合金、マグネシウム金属、マグネシウム合金、チ
    タン金属又はチタン合金である請求項7記載の製品。
  9. 【請求項9】 被処理物は、脱脂工程及び酸エッチング
    工程を行ったアルミニウム金属、アルミニウム合金、マ
    グネシウム金属、マグネシウム合金、チタン金属又はチ
    タン合金である請求項7又は8記載の製品。
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