JP2003293112A - 溶射皮膜を有する炭素部材及びその製造方法 - Google Patents

溶射皮膜を有する炭素部材及びその製造方法

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JP2003293112A
JP2003293112A JP2002097066A JP2002097066A JP2003293112A JP 2003293112 A JP2003293112 A JP 2003293112A JP 2002097066 A JP2002097066 A JP 2002097066A JP 2002097066 A JP2002097066 A JP 2002097066A JP 2003293112 A JP2003293112 A JP 2003293112A
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coating
nickel
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JP2002097066A
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Takeshi Itsukaichi
剛 五日市
Satoru Osawa
悟 大澤
Munetoshi Okumura
宗敏 奥村
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Fujimi Inc
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SHINKO METARIKON KK
Fujimi Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材をブラスト処理せずとも、基材の上に設
けられる金属酸化物からなる溶射皮膜の密着性を向上さ
せることができる溶射皮膜を有する炭素部材及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 炭素材料からなる基材と、該基材の上に
設けられた金属酸化物からなる溶射皮膜(第2の溶射皮
膜)との間に、クロムカーバイドとニッケルが少なくと
も含まれた溶射皮膜(第1の溶射皮膜)を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黒鉛、炭素繊維強
化プラスチック(CFPR)、カーボンコンポジットな
どの炭素材料からなる基材の上に金属酸化物からなる溶
射皮膜が設けられてなる溶射皮膜を有する炭素部材及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素材料からなる炭素部材は一般に、軽
量、非酸化性雰囲気下での熱的安定性に優れる、熱伝導
性及び電気伝導性に優れる、高温環境下での機械的強度
に優れるといった特徴を有することから、広範な分野で
様々な用途に用いられている。しかしその一方で、酸化
性雰囲気下での熱的安定性に劣るなどの欠点があるた
め、用途によっては上記欠点を解消するべく金属酸化物
からなる溶射皮膜で表面を被覆することが行なわれてい
る。
【0003】ところが、炭素部材の表面に直接、金属酸
化物を溶射して溶射皮膜を設けた場合には、金属酸化物
からなる溶射皮膜と基材(炭素部材)との間の密着強度
が低いために前記溶射皮膜が容易に剥離するという問題
がある。
【0004】そこで、特開平5−70268号公報で
は、炭素材料からなる基材を予めブラスト処理するとと
もに、該基材の表面に、炭素に対する線膨張係数比が
0.73〜1.44であるクロム等の金属からなる溶射
皮膜を設けることが行われている。こうして基材の表面
に設けられるクロム等の金属からなる溶射皮膜の表面に
金属酸化物を溶射すれば、金属酸化物からなる溶射皮膜
を基材の上に高い密着性をもって設けることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載の炭素部材の場合、金属酸化物からなる溶射皮
膜の密着性の向上は、クロム等の金属からなる溶射皮膜
に因るよりも、むしろブラスト処理によるアンカー効果
に因る部分が大きく、ブラスト処理を行なわないと満足
いく密着性が得られないという問題があった。
【0006】本発明は、上記のような従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、基材をブラスト処理せずとも、基材の上に
設けられる金属酸化物からなる溶射皮膜の密着性を向上
させることができる溶射皮膜を有する炭素部材及びその
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、炭素材料からなる基材
の上に、金属酸化物からなる溶射皮膜が設けられてなる
溶射皮膜を有する炭素部材において、前記基材と前記溶
射皮膜の間に、クロムカーバイドとニッケルが少なくと
も含まれた溶射皮膜を設けたことを要旨とする。
【0008】請求項2に記載の発明は、炭素材料からな
る基材の表面に、クロムカーバイドとニッケルが少なく
とも含まれた溶射材料を溶射して第1の溶射皮膜を設
け、続いて該第1の溶射皮膜の表面に、金属酸化物から
なる溶射材料を溶射して第2の溶射皮膜を設けることを
要旨とする。
【0009】請求項3に記載の発明は、炭素材料からな
る基材の表面に、クロムとニッケルが少なくとも含まれ
た溶射材料を溶射して第1の溶射皮膜を設け、続いて該
第1の溶射皮膜の表面に、金属酸化物からなる溶射材料
を溶射して第2の溶射皮膜を設けた後に、これを加熱し
て前記第1の溶射皮膜に含まれるクロムを前記基材の炭
素と反応させてクロムカーバイドに変化させることを要
旨とする。
【0010】請求項4に記載の発明は、炭素材料からな
る基材の表面に、クロムとニッケルが少なくとも含まれ
た溶射材料を溶射して第1の溶射皮膜を設け、続いてこ
れを非酸化性雰囲気下で加熱して前記第1の溶射皮膜に
含まれるクロムを前記基材の炭素と反応させてクロムカ
ーバイドに変化させた後に、該第1の溶射皮膜の表面
に、金属酸化物からなる溶射材料を溶射して第2の溶射
皮膜を設けることを要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
具体化した第1実施形態について説明する。
【0012】本実施形態における溶射皮膜を有する炭素
部材は、炭素材料からなる基材と、該基材の上に設けら
れた金属酸化物からなる溶射皮膜(第2の溶射皮膜)と
の間に、クロムカーバイド(Cr32、Cr73、Cr
236)とニッケルが少なくとも含まれた溶射皮膜(第
1の溶射皮膜)が設けられてなるものである。
【0013】第1の溶射皮膜に含まれるクロムカーバイ
ド及びニッケルの各量は、下限については15重量%以
上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、40重
量%以上が最も好ましい。一方、上限については85重
量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、
60重量%以下が最も好ましい。
【0014】また、第1の溶射皮膜に含まれるクロムカ
ーバイドとニッケルを合わせた量は80重量%以上が好
ましい。第1の溶射皮膜の膜厚は、下限については20
μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、4
0μm以上が最も好ましい。一方、上限については20
0μm以下が好ましく、150μm以下がより好まし
く、120μm以下が最も好ましい。
【0015】第2の溶射皮膜を構成する金属酸化物とし
ては、Al23、TiO2、ZrO2、MgO、Y23
Cr23、SiO2、CeO2、CaO、ZnOなどが挙
げられる。この第2の溶射皮膜は、複数種類の金属酸化
物からなるものであっても、一種類の金属酸化物のみか
らなるものであってもよい。
【0016】第2の溶射皮膜の膜厚は、下限については
50μm以上が好ましく、100μm以上がより好まし
く、150μm以上が最も好ましい。一方、上限につい
ては500μm以下が好ましく、400μm以下がより
好ましく、300μm以下が最も好ましい。
【0017】次に、上記溶射皮膜を有する炭素部材の製
造方法について説明する。本実施形態では、溶射皮膜を
有する炭素部材は次のようにして製造される。すなわ
ち、炭素材料からなる基材の表面に、クロムカーバイド
(Cr32、Cr73、Cr236)とニッケルの複合
化物(サーメット)である第1の溶射材料を溶射して第
1の溶射皮膜を設け、続いて該第1の溶射皮膜の表面
に、金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して第2
の溶射皮膜を設ける。
【0018】第1の溶射材料及び第2の溶射材料を溶射
する際の溶射方法としてはプラズマ溶射法が好ましい。
また、第1の溶射材料に含まれるクロムカーバイド及び
ニッケルの各量は、下限については15重量%以上が好
ましく、30重量%以上がより好ましく、40重量%以
上が最も好ましい。一方、上限については85重量%以
下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、60重
量%以下が最も好ましい。
【0019】加えて、第1の溶射材料に含まれるクロム
カーバイドとニッケルを合わせた量は80重量%以上が
好ましい。第1の溶射材料の形態は何ら限定されない
が、粉末状の形態である場合には、その粒度分布の下限
値は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好まし
い。一方、第1の溶射材料の粒度分布の上限値は106
μm以下が好ましく、53μm以下がより好ましい。ち
なみに粉末状の形態を有する第1の溶射材料を製造する
手法としては、造粒−焼結法、焼結―粉砕法、溶融−粉
砕法などがあるが、いずれの手法で製造されたものを用
いてもよい。
【0020】また、第2の溶射材料の形態も何ら限定さ
れないが、粉末状の形態である場合には、その粒度分布
の下限値は5μm以上が好ましく、10μm以上がより
好ましい。一方、第2の溶射材料の粒度分布の上限値は
106μm以下が好ましく、53μm以下がより好まし
い。
【0021】第2の溶射材料を構成する金属酸化物とし
ては、Al23、TiO2、ZrO2、MgO、Y23
Cr23、SiO2、CeO2、CaO、ZnOなどが挙
げられる。この第2の溶射材料は、複数種類の金属酸化
物からなるものであっても、一種類の金属酸化物のみか
らなるものであってもよい。
【0022】本実施形態によって得られる効果について
以下に記載する。 (1)クロムカーバイドは炭素に対して高い化学的親和
性を有している。このため、クロムカーバイドを含む第
1の溶射皮膜は、炭素材料からなる基材に対して高い化
学的親和性を有しており、その結果、第1の溶射皮膜と
基材は高い密着強度をもって接合されている。
【0023】また、第1の溶射皮膜はニッケルを含んで
いることから高い靭性を有している。このため、第1の
溶射皮膜の表面に金属酸化物からなる第2の溶射材料を
溶射したときには、金属酸化物が第1の溶射皮膜に突き
刺さることになる。従って、第1の溶射皮膜と第2の溶
射皮膜は、アンカー効果に基づく高い密着強度をもって
接合されている。
【0024】以上のことから、第2の溶射皮膜は、基材
と第2の溶射皮膜の間に設けられた第1の溶射皮膜によ
って高い密着強度をもって基材の上に設けられているの
で、基材をブラスト処理せずとも第2の溶射皮膜の密着
性を向上させることができるといえる。
【0025】(2)第1の溶射皮膜に含まれるクロムカ
ーバイドの量を15重量%以上とすれば、クロムカーバ
イドに基づく基材に対する第1の溶射皮膜の化学的親和
性が高まるので、基材と第1の溶射皮膜との間の密着強
度を高めることができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着
性を向上させることができる。また、この量を30重量
%以上とすれば上記の効果を一段と高めることができ、
40重量%以上とすれば上記の効果をさらに高めること
ができる。
【0026】(3)第1の溶射皮膜に含まれるニッケル
の量を85重量%以下とすれば、相対的にクロムカーバ
イドの量が増えるので、クロムカーバイドに基づく基材
に対する第1の溶射皮膜の化学的親和性が高まる。従っ
て、基材と第1の溶射皮膜との間の密着強度を高めるこ
とができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着性を向上させ
ることができる。また、この量を70重量%以下とすれ
ば上記の効果を一段と高めることができ、60重量%以
下とすれば上記の効果をさらに高めることができる。
【0027】(4)第1の溶射皮膜に含まれるニッケル
の量を15重量%以上とすれば、第1の溶射皮膜の内部
に比較的軟質である金属相(ニッケル)が多く確保され
ることになるので、溶射直後の基材との密着性が高くな
り、基材と第1の溶射皮膜の界面に微小な空隙が多数生
じるおそれが小さくなる。従って、その空隙に起因する
第1の溶射皮膜と基材との間の密着強度の低下を抑制す
ることができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着性が低下
するのを抑制することができる。また、この量を30重
量%以上とすれば上記の効果を一段と高めることがで
き、40重量%以上とすれば上記の効果をさらに高める
ことができる。
【0028】(5)第1の溶射皮膜に含まれるクロムカ
ーバイドの量を85重量%以下とすれば、相対的にニッ
ケルの量が増えるので、第1の溶射皮膜の内部に比較的
軟質である金属相(ニッケル)が多く確保されることに
なる。従って、溶射直後の基材との密着性が高くなり、
基材と第1の溶射皮膜の界面に微小な空隙が多数生じる
おそれが小さくなり、その空隙に起因する第1の溶射皮
膜と基材との間の密着強度の低下を抑制することがで
き、ひいては第2の溶射皮膜の密着性が低下するのを抑
制することができる。また、この量を70重量%以下と
すれば上記の効果を一段と高めることができ、60重量
%以下とすれば上記の効果をさらに高めることができ
る。
【0029】(6)第1の溶射皮膜に含まれるクロムカ
ーバイドとニッケルを合わせた量を80重量%以上とす
れば、第1の溶射皮膜によって第2の溶射皮膜の密着性
を確実に向上させることができる。
【0030】(7)第1の溶射皮膜の膜厚を20μm以
上とすれば、第1の溶射皮膜内に存在する貫通気孔の割
合が小さくなるので、第2の溶射皮膜が直接基材に接す
るのを抑制することができる。従って、第2の溶射皮膜
が直接基材に接することに起因して第2の溶射皮膜の密
着性が低下するのを抑制することができる。また、この
膜厚を30μm以上とすれば上記の効果を一段と高める
ことができ、40μm以上とすれば上記の効果をさらに
高めることができる。
【0031】(8)第1の溶射皮膜の膜厚を200μm
以下とすれば、第1の溶射皮膜に発生する引張残留応力
を十分低い状態に抑制することができる。従って、その
引張残留応力によって第1の溶射皮膜が剥離するのを抑
制することができ、ひいては第2の溶射皮膜の剥離を抑
制することができる。また、この膜厚を150μm以下
とすれば上記の効果を一段と高めることができ、120
μm以下とすれば上記の効果をさらに高めることができ
る。
【0032】(9)第2の溶射皮膜の膜厚を50μm以
上とすれば、第2の溶射皮膜に貫通気孔が存在する割合
が小さくなるので、第1の溶射皮膜が外部雰囲気に直接
触れるのを抑制することができる。従って、第1の溶射
皮膜が外部雰囲気に直接触れることに起因して、基材と
第1の溶射皮膜との間の密着強度が低下するのを抑制す
ることができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着性が低下
するのを抑制することができる。また、この膜厚を10
0μm以上とすれば上記の効果を一段と高めることがで
き、150μm以上とすれば上記の効果をさらに高める
ことができる。
【0033】(10)第2の溶射皮膜の膜厚を500μ
m以下とすれば、第2の溶射皮膜に発生する引張残留応
力を十分低い状態に抑制することができる。従って、そ
の引張残留応力によって第2の溶射皮膜が剥離するのを
抑制することができる。また、この膜厚を400μm以
下とすれば上記の効果を一段と高めることができ、30
0μm以下とすれば上記の効果をさらに高めることがで
きる。
【0034】(11)第1の溶射材料を溶射する際の溶
射方法としてプラズマ溶射法を採用すれば、溶射材料を
非常に高温に加熱することができるので、良質かつ均一
な第1の溶射皮膜を得ることができ、ひいては第2の溶
射皮膜の密着性を向上させることができる。また、高速
フレーム溶射等に比べ、溶射機から放出される粒子の飛
行速度も比較的小さいので、基材をえぐって損傷するお
それを少なくできる。
【0035】(12)第2の溶射材料を溶射する際の溶
射方法としてプラズマ溶射法を採用すれば、溶射材料を
非常に高温に加熱することができるので、良質かつ均一
な第2の溶射皮膜を得ることができ、第2の溶射皮膜の
密着性を向上させることができる。
【0036】(13)第1の溶射材料に含まれるクロム
カーバイドの量を15重量%以上、30重量%以上又は
40重量%以上とすれば、上記(2)と同様の効果が得
られる。
【0037】(14)第1の溶射材料に含まれるニッケ
ルの量を85重量%以下、70重量%以下又は60重量
%以下とすれば、上記(3)と同様の効果が得られる。 (15)第1の溶射材料に含まれるニッケルの量を15
重量%以上、30重量%以上又は40重量%以上とすれ
ば、上記(4)と同様の効果が得られる。
【0038】(16)第1の溶射材料に含まれるクロム
カーバイドの量を85重量%以下、70重量%以下又は
60重量%以下とすれば、上記(5)と同様の効果が得
られる。
【0039】(17)第1の溶射材料に含まれるクロム
カーバイドとニッケルを合わせた量を80重量%以上と
すれば、上記(6)と同様の効果が得られる。 (18)第1の溶射材料が粉末状の形態である場合、そ
の粒度分布の下限値を5μm以上とすれば、第1の溶射
材料を溶射機へ安定して供給させることができるので、
良質かつ均一な第1の溶射皮膜を得ることができ、ひい
ては第2の溶射皮膜の密着性を向上させることができ
る。また、この粒度分布の下限値を10μm以上とすれ
ば、上記の効果を一段と高めることができる。
【0040】(19)第1の溶射材料が粉末状の形態で
ある場合、その粒度分布の上限値を106μm以下とす
れば、第1の溶射材料を軟化溶融しやすいものにするこ
とができるので、良質かつ均一な第1の溶射皮膜を得る
ことができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着性を向上さ
せることができる。また、この粒度分布の上限値を53
μm以下とすれば、上記の効果を一段と高めることがで
きる。
【0041】(20)第2の溶射材料が粉末状の形態で
ある場合、その粒度分布の下限値を5μm以上とすれ
ば、第2の溶射材料を溶射機へ安定して供給させること
ができるので、良質かつ均一な第2の溶射皮膜を得るこ
とができ、第2の溶射皮膜の密着性を向上させることが
できる。また、この粒度分布の下限値を10μm以上と
すれば、上記の効果を一段と高めることができる。
【0042】(21)第2の溶射材料が粉末状の形態で
ある場合、その粒度分布の上限値を106μm以下とす
れば、第1の溶射材料を軟化溶融しやすいものにするこ
とができるので、良質かつ均一な第1の溶射皮膜を得る
ことができ、第2の溶射皮膜の密着性を向上させること
ができる。また、この粒度分布の上限値を53μm以下
とすれば、上記の効果を一段と高めることができる。
【0043】(第2実施形態)以下、本発明を具体化し
た第2実施形態について説明する。なお、この第2実施
形態における溶射皮膜を有する炭素部材は、前記第1実
施形態における溶射皮膜を有する炭素部材とその製造方
法でのみ相違するので、以下、その製造方法における相
違点を中心にして説明する。
【0044】本実施形態では、溶射皮膜を有する炭素部
材は次のようにして製造される。すなわち、炭素材料か
らなる基材の表面に、ニッケルクロム合金からなる第1
の溶射材料を溶射して第1の溶射皮膜を設け、続いて該
第1の溶射皮膜の表面に、金属酸化物からなる第2の溶
射材料を溶射して第2の溶射皮膜を設ける。そしてその
後、少なくとも基材の表面部及び第1の溶射皮膜を加熱
して、第1の溶射皮膜に含まれるクロムを基材の炭素と
反応させてクロムカーバイドに変化させる。そうする
と、基材と、該基材の上に設けられた金属酸化物からな
る溶射皮膜(第2の溶射皮膜)との間に、クロムカーバ
イドとニッケルからなる溶射皮膜(第1の溶射皮膜)が
設けられてなる溶射皮膜を有する炭素部材が得られる。
【0045】第1の溶射材料に含まれるクロムの量は、
下限については15重量%以上が好ましく、25重量%
以上がより好ましく、35重量%以上が最も好ましい。
一方、上限については75重量%以下が好ましく、65
重量%以下が好ましく、55重量%以下が最も好まし
い。
【0046】第1の溶射材料に含まれるニッケルの量
は、下限については25重量%以上が好ましく、35重
量%以上がより好ましく、45重量%以上が最も好まし
い。一方、上限については85重量%以下が好ましく、
75重量%以下がより好ましく、65重量%以下が最も
好ましい。
【0047】また、第1の溶射材料に含まれるクロムと
ニッケルを合わせた量は80重量%以上が好ましい。基
材の表面部及び第1の溶射皮膜を加熱する際の加熱温度
は、下限については1000℃以上が好ましく、上限に
ついては1400℃以下が好ましい。また、基材の表面
部及び第1の溶射皮膜を加熱する際の昇降温速度は、下
限については100℃/h以上が好ましく、150℃/
h以上がより好ましい。一方、上限については300℃
/h以下が好ましく、200℃/h以下がより好まし
い。
【0048】以上説明した第2実施形態によれば、先に
第1実施形態の説明の中で記載した(1)〜(12)及
び(18)〜(21)の効果が得られるほかに、以下の
効果が得られる。
【0049】(22)第1の溶射材料に含まれるクロム
の量を15重量%以上とすれば、クロムカーバイドに基
づく基材に対する第1の溶射皮膜の化学的親和性が高ま
るので、基材と第1の溶射皮膜との間の密着強度を高め
ることができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着性を向上
させることができる。また、この量を25重量%以上と
すれば上記の効果を一段と高めることができ、35重量
%以上とすれば上記の効果をさらに高めることができ
る。
【0050】(23)第1の溶射材料に含まれるニッケ
ルの量を85重量%以下とすれば、相対的にクロムカー
バイドの量が増えるので、クロムカーバイドに基づく基
材に対する第1の溶射皮膜の化学的親和性が高まる。従
って、基材と第1の溶射皮膜の間の密着強度を高めるこ
とができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着性を向上させ
ることができる。また、この量を75重量%以下とすれ
ば上記の効果を一段と高めることができ、65重量%以
下とすれば上記の効果をさらに高めることができる。
【0051】(24)第1の溶射材料に含まれるニッケ
ルの量を25重量%以上とすれば、第1の溶射皮膜の内
部に比較的軟質である金属相(ニッケル)が多く確保さ
れることになるので、溶射直後の基材との密着性が高く
なり、基材と第1の溶射皮膜の界面に微小な空隙が多数
生じるおそれが小さくなる。従って、その空隙に起因す
る第1の溶射皮膜と基材との間の密着強度の低下を抑制
することができ、ひいては第2の溶射皮膜の密着性が低
下するのを抑制することができる。また、この量を35
重量%以上とすれば上記の効果を一段と高めることがで
き、45重量%以上とすれば上記の効果をさらに高める
ことができる。
【0052】(25)第1の溶射材料に含まれるクロム
の量を85重量%以下とすれば、相対的にニッケルの量
が増えるので、第1の溶射皮膜の内部に比較的軟質であ
る金属相(ニッケル)が多く確保されることになる。従
って、溶射直後の基材との密着性が高くなり、基材と第
1の溶射皮膜の界面に微小な空隙が多数生じるおそれが
小さくなり、その空隙に起因する第1の溶射皮膜と基材
との間の密着強度の低下を抑制することができ、ひいて
は第2の溶射皮膜の密着性が低下するのを抑制すること
ができる。また、この量を75重量%以下とすれば上記
の効果を一段と高めることができ、65重量%以下とす
れば上記の効果をさらに高めることができる。
【0053】(26)第1の溶射材料に含まれるクロム
とニッケルを合わせた量を80重量%以上とすれば、第
1の溶射皮膜によって第2の溶射皮膜の密着性を確実に
向上させることができる。
【0054】(27)基材の表面部及び第1の溶射皮膜
を加熱する際の加熱温度を1000℃以上とすれば、第
1の溶射皮膜に含まれるクロムを基材の炭素と確実に反
応させてクロムカーバイドに変化させることができ、ひ
いては第2の溶射皮膜の密着性を向上させることができ
る。
【0055】(28)基材の表面部及び第1の溶射皮膜
を加熱する際の加熱温度を1400℃以下とすれば、第
1及び第2の溶射皮膜と基材の熱膨張の差がそれほど大
きくならないので、第1及び第2の溶射皮膜にクラック
が生じるおそれを少なくでき、ひいては第2の溶射皮膜
の密着性を向上させることができる。
【0056】(29)基材の表面部及び第1の溶射皮膜
を加熱する際の昇降温速度を100℃/h以上とすれ
ば、加熱処理に要する時間やエネルギーが無用に増大し
て不経済となるのを防ぐことができ、150℃/h以上
とすれば、上記の効果を一段と高めることができる。
【0057】(30)基材の表面部及び第1の溶射皮膜
を加熱する際の昇降温速度を300℃/h以下とすれ
ば、急激な熱膨張・収縮によって第1及び第2の溶射皮
膜にクラックが生じるのを防ぐことができ、ひいては第
2の溶射皮膜の密着性を向上させることができる。ま
た、この昇降温速度を200℃/h以下とすれば、上記
の効果を一段と高めることができる。
【0058】(31)本実施形態では第1の溶射皮膜の
表面に第2の溶射皮膜を設けた後に基材の表面部及び第
1の溶射皮膜を加熱するので、必ずしも非酸化性雰囲気
下で加熱を行わなくとも、第1の溶射皮膜に含まれるク
ロムを酸化させることなく基材の炭素と反応させてクロ
ムカーバイドに変化させることができる。従って、コス
ト的に有利である。
【0059】(第3実施形態)以下、本発明を具体化し
た第3実施形態について説明する。なお、この第3実施
形態における溶射皮膜を有する炭素部材は、前記第1実
施形態における溶射皮膜を有する炭素部材とその製造方
法でのみ相違するので、以下、その製造方法における相
違点を中心にして説明する。
【0060】本実施形態では、溶射皮膜を有する炭素部
材は次のようにして製造される。すなわち、まずはじめ
に、炭素材料からなる基材の表面に、ニッケルクロム合
金からなる第1の溶射材料を溶射して第1の溶射皮膜を
設ける。続いて、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲
気下あるいは真空雰囲気下などの非酸化性雰囲気下で、
基材の表面部及び第1の溶射皮膜を加熱して、第1の溶
射皮膜に含まれるクロムを基材の炭素と反応させてクロ
ムカーバイドに変化させる。そして最後に、第1の溶射
皮膜の表面に、金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶
射して第2の溶射皮膜を設ける。そうすると、基材と、
該基材の上に設けられた金属酸化物からなる溶射皮膜
(第2の溶射皮膜)との間に、クロムカーバイドとニッ
ケルからなる溶射皮膜(第1の溶射皮膜)が設けられて
なる溶射皮膜を有する炭素部材が得られる。
【0061】以上説明した第3実施形態によれば、先に
第1及び第2実施形態の説明の中で記載した(1)〜
(12)及び(18)〜(30)の効果が得られる。な
お、前記実施形態を次のように変更して構成することも
できる。
【0062】・ 前記第1実施形態において、第2の溶
射皮膜の形成に先立って、あるいは第2の溶射皮膜を設
けた後に、基材の表面部及び第1の溶射皮膜を加熱する
ようにしてもよい。
【0063】・ 前記各実施形態の第1の溶射皮膜は、
必ずしもクロムカーバイドとニッケルからなるものでな
くてもよく、少なくともクロムカーバイドとニッケルを
含んでいればよい。
【0064】・ 前記第1実施形態の第1の溶射材料
は、必ずしもクロムカーバイドとニッケルの複合化物で
なくてもよく、少なくともクロムカーバイドとニッケル
を含んでいればよい。すなわち、クロムカーバイドとニ
ッケルの複合化物及びその他の成分からなる混合物であ
ってもよい。あるいは、クロムカーバイドとニッケル含
有合金の複合化物であってもよいし、クロムカーバイド
とニッケル含有合金の複合化物及びその他の成分からな
る混合物であってもよい。あるいは、クロムカーバイド
及びニッケル(又はニッケル含有合金)からなる混合物
であってもよいし、クロムカーバイド、ニッケル(又は
ニッケル含有合金)及びその他の成分からなる混合物で
あってもよい。
【0065】・ 前記第2及び第3実施形態の第1の溶
射材料は、必ずしもニッケルクロム合金でなくてもよ
く、少なくともクロムとニッケルを含んでいればよい。
すなわち、ニッケルクロム合金及びその他の成分からな
る混合物であってもよい。あるいは、ニッケルクロム合
金と非金属成分の複合化物であってもよいし、ニッケル
クロム合金と非金属成分の複合化物及びその他の成分か
らなる混合物であってもよい。あるいは、クロムとニッ
ケルとそれ以外の金属の合金であってもよいし、クロム
とニッケルとそれ以外の金属の合金及びその他の成分か
らなる混合物であってもよい。あるいは、クロム(又は
クロム含有合金)及びニッケル(又はニッケル含有合
金)からなる混合物であってもよいし、クロム(又はク
ロム含有合金)、ニッケル(又はニッケル含有合金)及
びその他の成分からなる混合物であってもよい。
【0066】・ 前記各実施形態の溶射皮膜を有する炭
素部材は、必ずしも基材の表面全体に第1の溶射皮膜及
び第2の溶射皮膜が設けられている必要はなく、基材の
表面の一部に設けられているものであってもよい。
【0067】・ 前記各実施形態において、第1の溶射
皮膜の形成に先立って、基材の表面をブラスト処理して
もよい。このようにすれば、基材と第1の溶射皮膜との
間の密着強度を高めることができ、ひいては第2の溶射
皮膜の密着性を向上させることができる。
【0068】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。 (実施例1〜4,6,7,11〜15,17〜20)基
材(黒鉛質押出材PSG−332;株式会社エスイーシ
ー製)の表面に、クロムカーバイドとニッケル(又はニ
ッケル基合金)の複合化物である第1の溶射材料を溶射
して第1の溶射皮膜を設け、続いて第1の溶射皮膜の表
面に、金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して第
2の溶射皮膜を設けた。ただし、実施例4においては、
第1の溶射材料の溶射に先立って基材をブラスト処理し
た。
【0069】(実施例5)基材(同上)の表面に、クロ
ムカーバイドとニッケルの混合物である第1の溶射材料
を溶射して第1の溶射皮膜を設け、続いて第1の溶射皮
膜の表面に、金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射
して第2の溶射皮膜を設けた。
【0070】(実施例8〜10,16)基材(同上)の
表面に、クロムカーバイドとニッケルの複合化物である
第1の溶射材料を溶射して第1の溶射皮膜を設け、続い
て非酸化性雰囲気下で加熱した後に、第1の溶射皮膜の
表面に、金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して
第2の溶射皮膜を設けた。
【0071】(比較例1,2)基材(同上)の表面に、
金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して第2の溶
射皮膜を設けた。ただし、比較例2においては、第2の
溶射皮膜を設けた後に、非酸化性雰囲気下で加熱を行な
った。
【0072】(比較例3,4)基材(同上)の表面に、
クロムカーバイドからなる第1の溶射材料を溶射して第
1の溶射皮膜を設け、続いて第1の溶射皮膜の表面に、
金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して第2の溶
射皮膜を設けた。ただし、比較例4においては、第1の
溶射皮膜の形成後に第2の溶射材料の溶射に先立って、
非酸化性雰囲気下で加熱を行なった。
【0073】(比較例5,6)基材(同上)の表面に、
クロムカーバイドとコバルトの複合化物である第1の溶
射材料を溶射して第1の溶射皮膜を設け、続いて第1の
溶射皮膜の表面に、金属酸化物からなる第2の溶射材料
を溶射して第2の溶射皮膜を設けた。ただし、比較例6
においては、第1の溶射皮膜の形成後に第2の溶射材料
の溶射に先立って、非酸化性雰囲気下で加熱を行なっ
た。
【0074】(実施例21〜35)基材(同上)の表面
に、クロムとニッケルが含まれた第1の溶射材料を溶射
して第1の溶射皮膜を設け、続いて第1の溶射皮膜の表
面に、金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して第
2の溶射皮膜を設けた。その後、非酸化性雰囲気下で加
熱して第1の溶射皮膜に含まれるクロムを基材の炭素と
反応させてクロムカーバイドに変化させた。ただし、実
施例23においては、第1の溶射材料の溶射に先立って
基材をブラスト処理した。
【0075】(比較例7)基材(同上)の表面に、ニッ
ケルクロム合金からなる第1の溶射材料を溶射して第1
の溶射皮膜を設け、続いて第1の溶射皮膜の表面に、金
属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して第2の溶射
皮膜を設けた。
【0076】(比較例8)基材(同上)の表面に、ニッ
ケルクロム合金からなる第1の溶射材料を溶射して第1
の溶射皮膜を設け、続いて大気下(酸化性雰囲気下)で
加熱した後に、第1の溶射皮膜の表面に、金属酸化物か
らなる第2の溶射材料を溶射して第2の溶射皮膜を設け
た。
【0077】(比較例9)基材(同上)の表面に、ニッ
ケルクロム合金からなる第1の溶射材料を溶射して第1
の溶射皮膜を設け、続いて非酸化性雰囲気下で加熱した
後に、第1の溶射皮膜の表面に、金属酸化物からなる第
2の溶射材料を溶射して第2の溶射皮膜を設けた。
【0078】(比較例10〜14)基材(同上)の表面
に、クロム及びニッケルの一方又は両方が含まれない第
1の溶射材料を溶射して第1の溶射皮膜を設け、続いて
非酸化性雰囲気下で加熱した後に、第1の溶射皮膜の表
面に、金属酸化物からなる第2の溶射材料を溶射して第
2の溶射皮膜を設けた。
【0079】<密着強度の測定>上記の実施例1〜35
及び比較例1〜14の各例で得られる溶射皮膜を有する
炭素部材について、第2の溶射皮膜の密着強度を以下の
測定条件で測定した。そして、密着強度の値が1.0k
gf/mm2(≒9.8N/mm2)以上のものを◎、
0.5〜1.0kgf/mm2(≒4.9〜9.8N/
mm2)のものを○、0.5kgf/mm2(≒4.9N
/mm2)以下のものを×と評価した。この密着強度の
測定値〔kgf/mm2〕と評価を下記表1,2に示
す。なお、表中、密着強度が≧1.00と記載されてい
るものは、測定値が1.00kgf/mm 2を超えたと
ころで第2の溶射皮膜の剥離よりも先に基材内部に剥離
が生じ、実際の密着強度が測定できなかったことを意味
する。
【0080】<密着強度の測定条件> 試験機:オートグラフAGS−10kNG(株式会社島
津製作所製)、移動速度:0.5mm/min、接着面
積:24.0mm2(4.0×6.0mm)、接着剤:
アロンアルファハイスピードEX(東亞合成株式会社
製)、接着条件:塗布後クランプし、常温にて4時間静
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】 なお、実施例21〜35及び比較例7〜9の各例で得ら
れた溶射皮膜を有する炭素部材を切断し、第1の溶射皮
膜の構造をX線回折装置で測定したところ、実施例21
〜35ではクロムカーバイドが確認されたが、比較例7
〜9ではクロムカーバイドが確認されなかった。
【0083】また、表1,2中の溶射条件の欄に示すA
〜Eは次の通りである。 <溶射条件A> 溶射機:Sulzer Metco社製プラズマ溶射機
9MB、溶射材料供給量:4.5kg/h、Arガス
圧:80psi(≒0.55MPa)、Heガス圧:1
5psi(≒0.1MPa)、電力:33.5kW、溶
射距離:100mm <溶射条件B> 溶射機:Browning Engineering
Co.製フレーム溶射機PLAZJET−II200、溶
射材料供給量:10kg/h、N2流量:265l/
h、H2流量:110l/h、電力:205kW <溶射条件C> 溶射機:Sulzer Metco社製プラズマ溶射機
9MB、溶射材料供給量:7.3kg/h、Arガス
圧:150psi(≒1MPa)、Heガス圧:5ps
i(≒34kPa)、電力:32.5kW、溶射距離:
100mm <溶射条件D> 溶射機:Sulzer Metco社製溶線式フレーム
溶射機12E、溶射材料供給量:3.5kg/h、アセ
チレンガス圧:65psi(≒0.45MPa)、酸素
ガス圧:50psi(≒0.34MPa)、溶射距離:
120mm <溶射条件E> 溶射機:PRAXAIR/TAFA社製アーク溶射機M
−9000、溶射材料供給量:10kg/h、電流:2
00A、電圧:30V、一次エアー圧:60psi(≒
0.41MPa)、二次エアー圧:60psi(≒0.
41MPa)、酸素ガス圧:50psi(≒0.34M
Pa)、溶射距離:120mm 次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について
以下に記載する。
【0084】・ 炭素材料からなる基材の表面に、クロ
ムカーバイドとニッケルが少なくとも含まれた溶射皮膜
が設けられてなることを特徴とする溶射皮膜を有する炭
素部材。このように構成すれば、基材をブラスト処理せ
ずとも、金属酸化物からなる溶射皮膜を高い密着性をも
って基材の上に設けることができる。
【0085】・ 炭素材料からなる基材の表面に、クロ
ムカーバイドとニッケルが少なくとも含まれた溶射材料
を溶射して溶射皮膜を設けることを特徴とする溶射皮膜
を有する炭素部材の製造方法。このように構成すれば、
基材をブラスト処理せずとも、金属酸化物からなる溶射
皮膜を高い密着性をもって基材の上に設けることができ
る。
【0086】・ 炭素材料からなる基材の表面に、クロ
ムとニッケルが少なくとも含まれた溶射材料を溶射して
溶射皮膜を設けた後に、非酸化性雰囲気下で加熱して前
記溶射皮膜に含まれるクロムを前記基材の炭素と反応さ
せてクロムカーバイドに変化させることを特徴とする溶
射皮膜を有する炭素部材の製造方法。このように構成す
れば、基材をブラスト処理せずとも、金属酸化物からな
る溶射皮膜を高い密着性をもって基材の上に設けること
ができる。
【0087】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
ため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明
によれば、基材をブラスト処理せずとも、基材の上に設
けられる金属酸化物からなる溶射皮膜の密着性を向上さ
せることができる。
【0088】請求項2から請求項4に記載の発明によれ
ば、基材をブラスト処理せずとも、金属酸化物からなる
溶射皮膜を高い密着性をもって基材の上に設けることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五日市 剛 愛知県西春日井郡西枇杷島町地領2丁目1 番地の1 株式会社フジミインコーポレー テッド内 (72)発明者 大澤 悟 愛知県西春日井郡西枇杷島町地領2丁目1 番地の1 株式会社フジミインコーポレー テッド内 (72)発明者 奥村 宗敏 滋賀県甲賀郡甲西町大字吉永405番地 株 式会社シンコーメタリコン内 Fターム(参考) 4K031 AA08 AB03 AB07 BA01 CB02 CB08 CB09 CB11 CB14 CB18 CB21 CB22 CB42 CB43 CB45 DA01 DA04 FA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素材料からなる基材の上に、金属酸化
    物からなる溶射皮膜が設けられてなる溶射皮膜を有する
    炭素部材において、 前記基材と前記溶射皮膜の間に、クロムカーバイドとニ
    ッケルが少なくとも含まれた溶射皮膜を設けたことを特
    徴とする溶射皮膜を有する炭素部材。
  2. 【請求項2】 炭素材料からなる基材の表面に、クロム
    カーバイドとニッケルが少なくとも含まれた溶射材料を
    溶射して第1の溶射皮膜を設け、続いて該第1の溶射皮
    膜の表面に、金属酸化物からなる溶射材料を溶射して第
    2の溶射皮膜を設けることを特徴とする溶射皮膜を有す
    る炭素部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭素材料からなる基材の表面に、クロム
    とニッケルが少なくとも含まれた溶射材料を溶射して第
    1の溶射皮膜を設け、続いて該第1の溶射皮膜の表面
    に、金属酸化物からなる溶射材料を溶射して第2の溶射
    皮膜を設けた後に、これを加熱して前記第1の溶射皮膜
    に含まれるクロムを前記基材の炭素と反応させてクロム
    カーバイドに変化させることを特徴とする溶射皮膜を有
    する炭素部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 炭素材料からなる基材の表面に、クロム
    とニッケルが少なくとも含まれた溶射材料を溶射して第
    1の溶射皮膜を設け、続いてこれを非酸化性雰囲気下で
    加熱して前記第1の溶射皮膜に含まれるクロムを前記基
    材の炭素と反応させてクロムカーバイドに変化させた後
    に、該第1の溶射皮膜の表面に、金属酸化物からなる溶
    射材料を溶射して第2の溶射皮膜を設けることを特徴と
    する溶射皮膜を有する炭素部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011132560A (ja) * 2009-12-22 2011-07-07 Toyota Motor Corp 多孔質構造体の製造方法および多孔質構造体

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