JP2003292659A - ポリプロピレン系樹脂発泡シート及び容器 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡シート及び容器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低発泡倍率で表面平滑性が良好で寸法
精度が良好であり、且つ優れた耐衝撃性を合わせ持った
発泡シート、及び大型の電子部品等の搬送用等に有用
発泡成形体を提供する。 【解決手段】 特定組成範囲の高溶融張力ポリプロピレ
ン系樹脂(A)、直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂
(B)、及びスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン
ブロック共重合体(C)を含有し、密度が180kgm
-3以上850kgm-3未満であるポリプロピレン系樹脂
発泡シート及び容器。(C)成分としてはスチレン含有
量が10〜40%のものが好ましい。又、(A)、
(B)成分としては特定のMFRおよび配合組成である
樹脂を用いることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝撃に対する吸収
や緩和を必要とする用途に適用でき、特に電子部品の包
装材料として好適な、耐衝撃性に優れ、且つ寸法精度が
良好であり、表面平滑性の高い熱可塑性樹脂発泡シート
及び該シートを熱成形してなる熱可塑性樹脂発泡成形体
に関する。尚、本発明において樹脂組成物の組成を表す
「%」、「部」及び配合割合は質量基準の値であり、特
に断らない限りは、樹脂成分の合計を100としたとき
の値で表す。
【0002】
【従来の技術】従来、内容物や堆積物等を衝撃などから
保護する緩衝用素材としては、断熱性、保温性、及び緩
衝性等に優れ、且つ軽量である熱可塑性樹脂発泡シート
(以下単に「発泡シート」と略す)を、特定の形状に熱
成形した容器等の熱可塑性樹脂発泡成形体(以下「発泡
成形体」と略す)が多用されている。前記の特性に優れ
た発泡シートの具体例として、ポリプロピレン系樹脂発
泡シートは、耐熱性において優れた性能を有しており、
その特性を生かし、自動車内装材、家庭用品、食品包装
材料、電子包装材料等の分野で様々な用途開発がなされ
つつある素材である。
【0003】これら用途の中で、特に電子部品の包装材
料や、精密機械部品等の包装材料においては、移送や保
管の際の衝撃から内容物を保護するために、高い緩衝性
能を有すると共に、発泡シートを熱成形して得られる発
泡成形体が、高い寸法精度を有すること、更に表面破泡
等による凹凸がなく、表面平滑性が高く外観に優れるこ
とが要求される。即ち、内容物をしっかりと固定し、輸
送中の振動等の衝撃から内容物を保護すると同時に、該
発泡成形体と内容物がこすれて、発泡成形体から微細な
摩耗粉が発生するのを最小限に押さえることが必要であ
る。
【0004】高い緩衝特性を有する発泡成形体を得る方
法としては、発泡シートの見掛け密度(比重)を低く
し、比較的厚みの大きな高発泡成形体とすることが一般
的に行われているが、この方法では、発泡シートを被包
装体を収納する発泡成形体に熱成形する際に発泡シート
の賦形性が悪く、所望の形状を有する発泡成形体を得る
ことが困難となり、高い寸法精度が要求される電子部品
等の包装には適さない。又、移送、保管等の為に緩衝用
発泡シートを複数枚重ねておくことが多々あり、この様
な場合に高発泡で肉厚の素材は嵩張るため、多数の内容
物を収納するに十分なスペースを確保できない等の問題
点が挙げられる。
【0005】一方で発泡倍率の低い発泡体では、寸法精
度は比較的良好であるが、緩衝性能が十分でない場合が
あり、その問題を改善するために耐衝撃性の改良とし
て、例えば特開平6−212007号公報に、ポリプロ
ピレン系ブロック共重合体にエチレン・α−オレフィン
共重合体および高密度ポリエチレンを添加する方法が提
案されている。しかしながら、これらの発泡成形体であ
ってもその耐衝撃性が十分でなく、例えば大型液晶パネ
ルのように、被包装物の形状が大きくその重量が大きな
ものでは、その搬送時に誤って落下したときのように、
外部から大きな衝撃が加わった際に、発泡成形体に割れ
が生じ被包装物に損傷を与えるか、又はその機能に影響
を与えることがあり、その改善が求められていた。
【0006】この発泡倍率の低い発泡体の耐衝撃性を更
に向上させる手段として、高溶融張力を有するポリプロ
ピレン系樹脂を主成分として独立気泡率を高め、更に耐
衝撃性改良のために熱可塑性エラストマー等を添加する
方法が考えられるが、このような方法では、得られた発
泡シートの耐衝撃性等の特性は改善されるものの、この
発泡シートの製造工程において、押出機の連続運転時
に、押出機先端に設けられた金口であるダイスのリップ
部に目ヤニが発生しやすく、そのメンテナンスが必要と
なるため、生産性が低いという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するものであり、比較的低発泡倍率で表面平滑
性が良好で寸法精度が良好であり、且つ優れた耐衝撃性
を合わせ持った発泡シート及びその成形体である発泡容
器を提供することであり、特に前記の要求の高い電子部
品等の包装用に好適に用いられる発泡容器を提供するも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を鋭
意検討した結果本発明に至った。即ち、高溶融張力ポリ
プロピレン系樹脂(A)、直鎖状の結晶性ポリプロピレ
ン系樹脂(B)及びスチレン−エチレン・ブチレン−ス
チレンブロック共重合体(C)を含有し、下記の1から
3の要件を満たすポリプロピレン系樹脂発泡シートであ
る。 1.(A)成分が、200℃における溶融張力が4.0
g以上の高溶融張力ポリプロピレン系樹脂である。 2.(C)成分の含有量が10〜30%である。 3.発泡シートの密度が180kgm-3以上850kg
-3未満である。スチレン−エチレン・ブチレン−スチ
レンブロック共重合体(C)のスチレン含有量は、10
〜40%であることが好ましい。又、高溶融張力ポリプ
ロピレン系樹脂(A)および直鎖状の結晶性ポリプロピ
レン系樹脂(B)として、230℃におけるMFRが共
に2.0〜5.0g/10分である樹脂を用い、(A)
成分と(B)成分の合計を100とした場合の組成比
(A)/(B)が、50/50〜90/10であること
が好ましい。更に本発明は、前記のポリプロピレン系樹
脂発泡シートからなる容器を含む。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記のように高溶融張力ポリプロピレン系樹
脂と直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂からなるポリ
プロピレン系樹脂と、特定量のスチレン−エチレン・ブ
チレン−スチレンブロック共重合体を主成分とする樹脂
組成物を、比較的低発泡倍率の特定の密度範囲に発泡さ
せることによって得られた発泡シートである。
【0010】本発明においてポリプロピレン系樹脂と
は、プロピレンモノマーを主成分として重合してなる単
独重合体又は共重合体であり、例えばプロピレン系単独
重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−
エチレン−ジエン共重合体等のポリプロピレンを主とす
る重合体である。
【0011】本発明でいう(A)高溶融張力ポリプロピ
レン系樹脂とは、200℃における溶融張力が4.0g
以上である前記のポリプロピレン系樹脂である。溶融張
力が4.0gより小さいと、押出発泡の際にシート内に
気泡を維持することが困難となり、表面平滑性の高い良
好な発泡シートを得るのが難しい。また熱成形のシート
加熱時に表面破泡が起きやすくなり、表面に凹凸が生じ
成形後の発泡成形体の外観が低下する傾向にある。ここ
で、本発明に記載の溶融張力は、(株)東洋精機製作所
製キャピログラフを用いて、装置のバレル内にてポリプ
ロピレンを200℃で5分間加熱して溶融し、溶融した
ポリプロピレンを直径2.095mm、長さ8mm、L
/D=3.8のキャピラリーから15mm/分の速度で
大気中に押出してストランドとし、このストランドを
2.0m/分の速度で引き取る際の張力を測定した値で
ある。
【0012】本発明でいう直鎖状の結晶性ポリプロピレ
ン系樹脂(B)とは、前記のポリプロピレン系樹脂であ
って、プロピレン以外のエチレンやブテン等の単量体の
ユニットを有するものも含まれるが、その分子構造が実
質的に直鎖状であり且つ結晶性を有する樹脂のことであ
る。
【0013】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シート
は、ポリプロピレン系樹脂として、前記の高溶融張力ポ
リプロピレン系樹脂(A)および直鎖状の結晶性ポリプ
ロピレン系樹脂(B)を用いる。また、本発明の効果に
影響しない範囲で少量であれば前記の(A)及び(B)
以外のポリプロピレン系樹脂及び/又は混和性が良好な
他の樹脂を混合したものでも差し支えなく、このような
樹脂の例としてポリエチレン系樹脂、エチレン酢酸ビニ
ル共重合樹脂、エチレンプロピレンランダム共重合樹
脂、エチレン・ブテン・プロピレン共重合樹脂エチレン
・プロピレンゴム等がある。
【0014】本発明において、スチレン−エチレン・ブ
チレン−スチレンブロック共重合体(C)は、スチレン
重合体ブロックとブタジエン重合体ブロックとからなる
共重合体のブタジエンブロック部分に水添して得られる
樹脂であって、一般的にSEBS樹脂として市販されて
いるものである。この共重合体においてスチレン含有量
が10〜40%のものが好適に用いられる。スチレン含
有量が10%を下回るとスチレン−エチレン・ブチレン
−スチレンブロック共重合体中のスチレン成分の分散粒
径が微細となり、耐衝撃性の改善効果が不十分となる。
また、スチレン含有量が40%を上回るとスチレン成分
の増加のためにポリプロピレン系樹脂との相溶性が低下
し、耐衝撃性の改善効果が不十分となり、いずれも好ま
しくない。
【0015】本発明において、発泡シート中のスチレン
−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体
(C)の含有量は10〜30%である。(C)成分が1
0%を下回ると衝撃強度の改善が十分でなく、一方、3
0%を上回ると、発泡体としての主成分であるポリプロ
ピレン系樹脂の割合が低下するために樹脂成分の溶融張
力が低下し、シート表面での破泡のためにシート外観が
損なわれる。
【0016】高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)と
直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)の230℃
におけるMFRは共に2.0〜5.0g/10分である
樹脂を用いることが好ましい。MFRが2.0g/10
分より小さいと、流動性が低下する影響により押出性が
不安定となり、また、5.0g/10分より大きくなる
と、押出性は安定するが、粘度が低くなる影響により気
泡を均一に成形させることが困難となり、又気泡の成長
を抑制できず気泡壁が破れやすくなり、シート表面に凹
凸が発生し、表面外観が低下するために好ましくない。
【0017】高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)と
直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)からなるポ
リプロピレン系樹脂成分の配合割合は、(A)成分と
(B)成分の合計を100とした場合の組成比(A)/
(B)が、50/50〜90/10であることが好まし
い。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)の配合割合
が50より小さいと、発泡シートの製膜時に気泡の連通
化および発泡ガスの散逸が起こり好ましくない。直鎖状
の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)の配合割合が10
より小さいと、発泡シートの製膜時の押出安定性が低下
し、押出機の連続運転時に押出機先端に設けられた金口
であるダイスのリップ部に目ヤニが発生しやすくなり好
ましくない。
【0018】高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)と
直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)およびスチ
レン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体
(C)の混合方法は特に限定されないが、発泡シート押
出時に押出機に攪拌混合した原料を直接投入する方法、
または攪拌混合した原料を単軸または二軸押出機にて溶
融混合してペレット化し、発泡押出時に使用する方法等
を用いることができる。
【0019】本発明における発泡剤には化学発泡剤、又
は物理発泡剤として炭酸ガスが用いられる。化学発泡剤
としては、重曹とクエン酸の混合物が好適に用いられ、
発生する発泡ガスは炭酸ガスである。化学発泡剤の添加
方法は特に限定するものではないが、ポリプロピレン系
樹脂の樹脂組成物にドライブレンドする方法や、押出機
のホッパー中で定量フィーダーを使用して添加する方
法、或いはポリプロピレン系樹脂やポリエチレン樹脂等
のポリオレフィン系樹脂をベースとするマスターバッチ
を作成し添加する方法のいずれであっても良い。化学発
泡剤の添加量は所望の発泡倍率を得られる範囲でありそ
の具体的な量は発泡剤の種類によっても異なるが、樹脂
組成成分合計100%のとき、0.1〜3.0部添加す
ることが好ましい。添加量が0.1部未満では所望の発
泡倍率を得ることが出来ず、3.0部を超えて添加した
場合は、押出機中における発泡剤の均一分散及び十分な
分解が進行せず、良好な発泡シートを得ることが出来な
い場合がある。
【0020】一方で物理発泡剤としては、押出設備にお
いて防爆設備が不要であり、不活性ガスで安全性に優れ
る炭酸ガスが好適に用いられる。物理発泡剤の添加方法
としては、タンデム押出機の1段目押出機の溶融樹脂の
圧力を低くすべく設定された位置から直接炭酸ガスを注
入する方法、または二軸押出機の同じく圧力を低く設定
させた位置に供給する方法等が挙げられる。物理発泡剤
の添加量は所望の発泡倍率を得られる範囲であり、0.
1〜3.0部であることが好ましい。添加量が0.1部
未満では所望の発泡倍率を得ることが出来ず、3.0部
を超えて添加した場合は、独立気泡率が低下する場合が
ある。又、該発泡シートの気泡径を適宜の大きさにコン
トロールするために、必要に応じて、重曹とクエン酸の
混合物又はタルクなどの発泡核剤を併用してもよい。
【0021】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シート
の密度は180kgm-3以上850kgm-3未満であ
り、更に300kgm-3以上600kgm-3未満である
ことが好ましい。密度が180kgm-3より低い場合、
発泡セルの独立気泡率が低下し、容器を成形した場合に
成形品の表面外観性が低下する。また、密度が850k
gm-3以上であると十分な緩衝性及び軽量性が得られな
い。また、独立気泡率は40%以上であることが好まし
い。独立気泡比率が40%より低いと熱成形時のシート
加熱時に垂れ下がりが大きくなると共に、表面破泡が起
きやすくなり、成形体である容器の外観が低下する傾向
がある。
【0022】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シート
は、その表面での帯電による静電気の発生を抑制するた
めに一般的に用いられる帯電防止剤を練り込むことや、
表面に塗布することができる。また、表面に帯電防止性
や導電性の印刷を行って用いることもできる。さらに、
片面もしくは両面に、表面保護や装飾の目的でフィルム
ラミといった一般的な方法で、非発泡層を積層した積層
シートとして用いることもできる。
【0023】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シート
の製造方法としては、前記の高溶融張力ポリプロピレン
系樹脂(A)、直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂
(B)、及びスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン
ブロック共重合体(C)との混合物を発泡剤としては化
学発泡剤または物理発泡剤である炭酸ガスを用いて公知
の押出発泡法が用いられる。例えば、単軸押出機、二軸
押出機、タンデム押出機などの押出機内にて溶融軟化さ
れた樹脂を直線上の金口を有したダイス(T型ダイス)
から押出し、次いで内部に冷却媒体を流通させた金属製
の冷却ロールに接触させ冷却する方法、若しくは環状の
押出機金口(サーキュラーダイス)より押出した後に円
筒環状の冷却装置に接触させ冷却し、ある一定のライン
にて切り開きシート状物とする方法が挙げられるが、特
にこれに限定されるものではない。
【0024】ポリプロピレン系樹脂発泡シートを製造す
る際に、ポリプロピレン系樹脂発泡層にシートの物性を
阻害しない範囲で、適宜の気泡調整剤、架橋剤、発泡助
剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、顔量等を混合するこ
とができる。
【0025】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シート
は、成形して容器として用いる。その成形方法としては
熱成形が好ましい。熱成形の際のシートの加熱方法とし
ては、ヒーターによる間接加熱方法と熱板にシートを接
触させて加熱させる直接加熱方法と熱風により加熱する
方法等があり、成形方法としては、真空成形や圧空成形
があり、より細かくは例えば、ストレート真空成形、ス
トレート圧空成形、ドレープ真空成形、ドレープ圧空成
形、プラグアシスト成形、ドレープアンドプラグアシス
ト成形、プラグアシスト圧空成形、プラグアシストリバ
ースドロー成形、エアクション成形、プラグアシストエ
アストリップ成形、マッチモールド(プレス)成形など
があげられ、本発明はこれらのいずれも用いることがで
きる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0027】以下の実施例及び比較例において用いた測
定方法は下記の方法にて行った。 (シート密度) ミラージュ貿易社製電子比重計(MD
−200S)にて測定した。 (シート外観) シートの外観を以下の基準で評価し
た。 ○:良好なシート外観を示す。 ×:表面破泡によるざらつきが見られる。 (シート押出性) ○:24時間の連続運転で押出性に問題なし。 ×:24時間の連続運転でダイスのリップ部に目ヤニの
発生が顕著となる。
【0028】(デュポン衝撃強度) 東洋精機社製デュ
ポン衝撃試験機にて1/2インチ半球状衝撃芯、荷重2
00g、環境温度23℃において発泡シートのデュポン
衝撃強度を測定した。結果はJIS−K7211に準拠
して計算を行い50%衝撃破壊エネルギー値(単位:
J)で示した。
【0029】(実用落下試験) 発泡シートを図1及び
図2に示す形状の容器(縦400mm、横300mm、
深さ45mm)に真空成形機にて成形し、その中に30
0mm×200mm×厚さ10mm、重量700gの金
属板を入れ、それを10段重ねた状態で段ボールに入れ
た。トレイ10段を詰めた段ボール箱を、高さ900m
mから段ボールの1角及び稜角3箇所、更に6面を一回
ずつ落とし容器の破損状態を評価した。評価基準:○=
破損なし、×破損有り。
【0030】(実施例1〜5、比較例1〜5)表1に示
す配合組成物を用いて東芝機械製の90mmの第1押出
機(L/D=28)と115mm第2押出機(L/D=
20)を単管にて接続したタンデム押出機にてシリンダ
ー温度230〜150℃、165M/Mサーキュラーダ
イス(設定温度180℃)により発泡押出を行い各シー
トを製膜し、前記の評価試験に供した。
【0031】
【表1】
【0032】(A)高溶融張力PP:MFR=4.0g
/10分(チッソ社製、FH3500) (B)直鎖状の結晶性PP:MFR=3.4g/10分
(チッソ社製、A5014) (C)SEBS=スチレン−エチレン・ブチレン−スチ
レンブロック共重合体スチレン含有量18%(旭化成社
製、タフテックH1062) 発泡剤種:CF=化学発泡剤(クラリアント社、CF4
0E−J) 炭酸ガス=物理発泡剤 MFR:230℃測定値(JIS−K6758法)
【0033】表1に得られた発泡シートのシート密度、
シート厚み、シート外観、シート押出性、デュポン衝撃
強度、及び実用落下試験の測定結果を示す。
【0034】各実施例のシートは、シート表面外観、シ
ート押出性に優れると共に、実用落下試験における発泡
シート成形体である容器の破損がみられないことから、
耐衝撃性に優れ、電子部品の包装材料として優れた性能
を有している。また、比較例1および2においては耐衝
撃性のレベルが低く、実使用に耐えない。比較例3はシ
ート外観や耐衝撃性は良好であるが、連続運転時の目ヤ
ニの発生があり押出性に劣るものであった。比較例4お
よび5は耐衝撃性は高いものの、シート外観が劣り表面
破泡のために成形性および商品性に劣る。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、比較的低発泡倍率で表
面平滑性が良好で寸法精度が良好であり、且つ優れた耐
衝撃性を合わせ持った発泡シート及び発泡成形体である
容器が得られ、大型の電子部品等の搬送用等に有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の容器(一例)の断面図である。
【図2】 本発明の容器(一例)の平面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA10 BA16 CA03 DA08 DD01 FA04 4F074 AA13B AA24 AA98 AB02 AB05 BA01 BA32 BA95 CA22 DA02 DA08 DA23 DA33 DA34 4J002 BB111 BB112 BP013 FD320 GG01 GG02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高溶融張力ポリプロピレン系樹脂
    (A)、直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)及
    びスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共
    重合体(C)を含有し、下記の1から3の要件を満たす
    ポリプロピレン系樹脂発泡シート。 1.(A)成分が、200℃における溶融張力が4.0
    g以上の高溶融張力ポリプロピレン系樹脂である。 2.(C)成分の含有量が10〜30%である。 3.発泡シートの密度が180kgm-3以上850kg
    -3未満である。
  2. 【請求項2】 前記スチレン−エチレン・ブチレン−ス
    チレンブロック共重合体(C)のスチレン含有量が10
    〜40%であることを特徴とする請求項1記載のポリプ
    ロピレン系樹脂発泡シート。
  3. 【請求項3】 高溶融張力ポリプロピレン系樹脂(A)
    と直鎖状の結晶性ポリプロピレン系樹脂(B)の230
    ℃におけるMFRが共に2.0〜5.0g/10分であ
    る樹脂を用い、(A)成分と(B)成分の合計を100
    とした場合の組成比(A)/(B)が、50/50〜9
    0/10である請求項1又は請求項2に記載のポリプロ
    ピレン系樹脂発泡シート。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポ
    リプロピレン系樹脂発泡シートからなる容器。
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