JP2003291117A - 木質系成形体、木質系成形体の製造方法、木質系成形助剤 - Google Patents

木質系成形体、木質系成形体の製造方法、木質系成形助剤

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JP2003291117A
JP2003291117A JP2002101086A JP2002101086A JP2003291117A JP 2003291117 A JP2003291117 A JP 2003291117A JP 2002101086 A JP2002101086 A JP 2002101086A JP 2002101086 A JP2002101086 A JP 2002101086A JP 2003291117 A JP2003291117 A JP 2003291117A
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Hirokazu Ito
弘和 伊藤
Tomohiko Otsuka
智彦 大塚
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Yamaha Living Tech Co Ltd
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Yamaha Living Tech Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的性能を向上と耐水性の向上のために
は、樹脂添加量を増やさざるを得ず、結局、樹脂添加量
と製品の質とは相反するものとなっていた。 【解決手段】 木粉材に自己融着性加工を施し、かかる
加工を施していない木粉材と熱可塑性樹脂に対して所定
の配合比以上とすることにより、耐水性および強度にお
いて極めて顕著な優位性を持つ木質系成形体を提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木質系成形体、木
質系成形体の製造方法、木質系成形助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、木粉材を再成形するために熱
可塑性樹脂を加熱下で混合し、加圧成形した木質系成形
体が利用されている。この木質系成形体は、熱可塑性樹
脂の量と木粉材の量に応じた特性が生じる。木粉材が多
いと、温度変化による変形が少なく、木質感が向上し、
製品の質が向上する。しかし、樹脂が少ないために木粉
材同士を強く固着させることができないので、機械的性
能が大きくないし、木質材料が多いことによって耐水性
が劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の木質系
成形体においては、機械的性能を向上と耐水性の向上の
ためには、樹脂添加量を増やさざるを得ず、結局、樹脂
添加量と製品の質とは相反するものとなっていた。本発
明は、上記課題にかんがみてなされたもので、樹脂添加
量を多くすることなく、機械的性能の向上と耐水性の向
上を図ることが可能な木質系成形体、木質系成形体の製
造方法および木質系成形助剤の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1にかかる発明は、熱可塑性樹脂と木粉材と
からなる主原料を加熱下で混合して加圧成形する木質系
成形体において、上記主原料に自己融着性加工を施した
木粉材を加えて成形した構成としてある。上記のように
構成した請求項1にかかる発明においては、同量の熱可
塑性樹脂を使用するものとしても、木粉材のうちの自己
融着性加工を施した木粉材が熱可塑性樹脂のように融着
性を有しているため、熱可塑性樹脂量を実質的に補う役
目を果たし、木粉材同士をより強固に固着させる。これ
により、熱可塑性樹脂量を減らして木粉材の量が多くな
ったときにも熱可塑性樹脂量を減らす前と比較して必要
な機械的性能を保持することができる。
【0005】自己融着性加工を施した木粉材は、それ自
身で木粉材としての性能と、熱可塑性樹脂が有する木粉
材同士を固着する性能とを備えると考えられる。このよ
うに木粉材同士を固着する性能を向上させることによ
り、機械的性能を向上させることができ、その一例とし
て、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の木質系
成形体において、上記自己融着性加工を施した木粉材
は、粒径が500ミクロン以下となるように構成してあ
る。
【0006】上記のように構成した請求項2にかかる発
明においては、自己融着性加工を施した木粉材が微粉化
され、他の木粉材の間に入り込みやすく、自己融着性を
有しない木粉材同士を固着させることになる。また、自
己融着性を有しない木粉材に対して十分に混ぜ合わされ
ることが好ましいと考えられ、その一例として、請求項
3にかかる発明は、上記自己融着性加工を施した木粉材
は、予め加熱溶融混合処理した主原料に対して添加する
構成としてある。
【0007】上記のように構成した請求項3にかかる発
明においては、主原料である木粉材と熱可塑性樹脂とが
予め溶融して混合されており(加熱溶融混合処理)、こ
の状態で自己融着性加工を施した木粉材を加えるので、
同木粉材が偏って混合されてしまうことを防止される。
この結果、自己融着性加工を施した木粉材が均等に分散
され、自己融着性を有しない木粉材間に入り込み、機械
的性能を向上させる。
【0008】木粉材をより強固に固着させるためには、
熱可塑性樹脂や自己融着性加工を施した木粉材以外のも
のによってもよい。その一例として、請求項4にかかる
発明は、水熱条件化で上記加圧成形する構成としてあ
る。上記のように構成した請求項4にかかる発明におい
ては、木粉材が水熱条件下に晒されることによってヘミ
セルロースが分解し、低分子化して接着性を有するよう
になり、木粉材同士を固着させる。
【0009】また、熱可塑性樹脂や自己融着性を有する
木粉材を加えても、木粉材自体との接着性が劣ると全体
としての機械的性能も向上しにくくなってしまう。この
ため、請求項5にかかる発明は、マレイン酸変成樹脂を
混合する構成としてある。上記のように構成した請求項
5にかかる発明においては、熱可塑性樹脂が疎水性であ
るとしても、親水基を有するマレイン酸変成樹脂が熱可
塑性樹脂と木粉材との架橋をなし、全体としての機械的
性能を向上させる。
【0010】さらに、請求項6にかかる発明は、上記自
己融着性加工を施した木粉材は、木材チップを、水熱条
件下で加熱加圧後、急激減圧処理して生成される木粉材
で構成してある。上記のように構成した請求項6にかか
る発明においては、木材チップを水熱条件下で加熱加圧
後、急激減圧させると、軟化した細胞壁に対して凝縮水
の気化に伴う爆発的な体積膨張が作用し、木材チップは
粉砕される。また、粉砕に伴って加工前の木材のヘミセ
ルロースが分解し、疎水性のフルフラールおよびヒドロ
キシメチルフルフラールを生成する。このフルフラール
およびヒドロキシメチルフルフラールは接着剤の効果を
なすので木粉材に自己融着性を持たせることになる。さ
らに、フェノール性水酸基を有するリグニンも低分子化
し、疎水性の接着剤と木粉材との間の架橋剤として働
き、固着力を高める。
【0011】上記のような自己融着性加工を施した木粉
材と主原料との混合割合の一例として、請求項7にかか
る発明は、上記主原料の木粉材は、94%未満であり、
上記主原料の熱可塑性樹脂は5%以上であり、上記自己
融着性加工を施した木粉材は、1%以上となる構成とし
てある。また、より好適な一例として、請求項8にかか
る発明は、上記主原料の木粉材は、65%〜85%であ
り、上記主原料の熱可塑性樹脂は5%以上であり、上記
自己融着性加工を施した木粉材は、10%〜30%とな
る構成としてある。
【0012】このように、自己融着性加工を施した木粉
材を主原料に添加して機械的性能を向上させる手法は必
ずしも成形体自体に限られる必要はなく、その製造方法
としても機能することは容易に理解できる。このため、
請求項10にかかる発明は、熱可塑性樹脂と木粉材とか
らなる主原料を加熱下で混合して加圧成形する木質系成
形体製造方法において、上記主原料に自己融着性加工を
施した木粉材を加えて成形する構成としてある。
【0013】すなわち、必ずしも実体のある成形体に限
らず、その製造方法としても有効であることに相違はな
い。なお、自己融着性加工を施した木粉材は、同加工を
施していない原料と予め混合しておくも可能である。そ
の一例として、請求項11にかかる発明は、木粉材に自
己融着性加工を施した木粉材を混合し、木質系成形助剤
としている。この場合の原料の割合の一例として、請求
項12にかかる発明では、上記木粉材は、90%未満で
あり、上記自己融着性加工を施した木粉材は、10%以
上としてある。
【0014】また、自己融着性加工を施した木粉材は、
熱可塑性樹脂と予め混合しておくも可能である。その一
例として、請求項13にかかる発明は、熱可塑性樹脂に
自己融着性加工を施した木粉材を混合し、木質系成形助
剤としている。これらは、助剤として主原料の木粉材に
加えたり、主原料の熱可塑性樹脂として加えることがで
きる。なお、自己融着性によって十分な接着力を得るこ
とができる場合は、請求項9にかかる発明のように、木
粉材に加えて自己融着性加工を施した木粉材を加えて加
熱下で混合して加圧成形するようにしてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、同等の樹
脂量で機械的性能を向上させることができるので、結果
的に樹脂量を減らして木質材を多くしても必要な機械的
性能を確保でき、質の高い木質系成形体を提供すること
ができる。特に、樹脂を含ませて防水性が向上している
ので、従来であれば木製品を使用できなかった湿度の高
い部分、例えば浴室や、キッチンなど水回りや、外装に
ついても使用できるようになる。
【0016】また、樹脂量を抑えつつも強度を向上させ
ているので、構造体としての用途も可能となる。さら
に、木粉材として木製品を製造する際に生じる廃材を用
いた場合であっても、相対的な強度の向上を得られるの
で、廃材によって変動する強度の最低値を増加させ、製
品性能の安定化を図ることができる。また、請求項2に
かかる発明によれば、微粉化させることによって木粉材
の隙間に入り込みやすくなり、強度を向上させることが
できる。
【0017】さらに、請求項3にかかる発明によれば、
予め木粉材と熱可塑性樹脂が混合されているので、自己
融着性加工を施した木粉材が均等に混合されやすく、強
度を向上させることができる。さらに、請求項4にかか
る発明によれば、主原料の木粉材にも接着性が生じやす
く、強度を向上させることができる。さらに、請求項5
にかかる発明によれば、熱可塑性樹脂と木粉材とを架橋
することができ、強度を向上させることができる。
【0018】さらに、請求項6にかかる発明によれば、
自己融着性加工の一例を提供することができる。さら
に、請求項7にかかる発明によれば、強度と質の高い木
質系成形体を提供することができる。さらに、請求項8
にかかる発明によれば、強度と質の高い木質系成形体を
提供することができる。さらに、請求項9にかかる発明
によれば、熱可塑性樹脂を混合しない木質系成形体を提
供することができる。
【0019】さらに、請求項10にかかる発明によれ
ば、上記のような特徴を有する木質系成形体を製造する
ことができる。さらに、請求項11お〜請求項13にか
かる発明によれば、木質系成形体を製造する際に添加し
て強度と質を高くすることが可能な木質系成形体の製造
方法を提供することができる。すなわち、最終製品の木
質系成形体としての実現のみならず、樹脂の少ない場合
での成形助剤としての利用も可能となる。
【0020】
【実施例】まず、本発明の実施例の製造工程について説
明する。 (1)自己融着性加工 木材チップを圧力反応釜の中に入れ、180〜230℃
の水蒸気下で適当な時間の間さらし、圧力反応釜のバル
ブを開いて急激に放出する。いわゆる、爆砕処理を実行
する。粉砕される物理的作用は3つあるとされている。
1つ目は、水熱条件下に晒されることにより、細胞壁自
体が軟化することである。
【0021】2つ目は、軟化した細胞壁は凝縮水の気化
に伴う急激な体積膨張によって物理的に破壊されるとい
うことである。3つ目は、圧力反応釜のノズルからの高
速噴射による機械的な破壊である。なお、この破壊によ
って、木粉材の粒径を500ミクロン以下となるように
微粉化させた。微粉化により、この木粉材が、主原料の
木粉材同士の間や木粉材と熱可塑性樹脂との間により入
り込みやすくなる。
【0022】ところで、以上のような物理的な粉砕のみ
ならず、化学的な変性も生じている。まず、圧力反応釜
の中では高温・高圧の水蒸気に木材チップが晒されるこ
とになる。このような、いわゆる水熱条件下では、ヘミ
セルロース中のアセチル基が遊離し、pH3以下に低下
する。その結果、ヘミセルロースは部分加水分解を受け
て低分子化する。ヘミセルロースの低分子下によって生
成される疎水性のフルフラールおよびヒドロキシメチル
フルフラールがフラン樹脂化し、接着剤の効果を発生す
る。このように接着剤の効果を発生するので、木粉材自
体に自己融着性を持たせる加工を施したことになる。
【0023】また、リグニンは、アリルエーテル結合の
開裂によって低分子化する。このリグニンはフェノール
性水酸基を有しているので、疎水性の接着剤と親水性の
木粉との架橋剤になり、さらに低分子かすることでより
架橋効果を発生しやすくなる。そして、リグニンの変質
によりセルロースが露出する。 (2)主原料(木粉材と熱可塑性樹脂)の加熱溶融混合
化 主原料に対して、上記自己融着性加工を施した木粉材を
添加する場合、これらの原料を一度に混合する方法こと
も可能であるが、主原料だけを予め溶融混合させ、加熱
溶融混合化しておき、この主原料に対してさらに自己融
着性加工を施した木粉材を混合することも可能である。
【0024】加熱溶融混合化は、主原料の木粉材に対し
て所定量の熱可塑性樹脂を加熱混合する。加熱混合は最
終成形に利用するコニカル型二軸押出機などを利用して
ペレット化する。この予備処理としての加熱溶融混合化
の段階では、自己融着性加工を施した木粉材を添加して
いないので、重量比としての木粉材の量が減る。従っ
て、絶対量は変わらないものの樹脂量の相対量が増し、
低樹脂量であっても成形が可能である。すなわち、本発
明では自己融着性加工を施した木粉材を加えることによ
って最終製品としての樹脂量を低下させることができる
ものの、最初から樹脂量で少ないと木粉材と混合させる
ことに均等に行き渡らせる際にさらなる配慮が必要とな
りえる。しかし、前処理としての加熱溶融混合化を行な
っておけば、相対的に樹脂量を多くできるので、混合時
の均等さを向上させることができる。
【0025】むろん、前処理としての加熱溶融混合化
は、この加熱溶融混合化時に自己融着性加工を施した木
粉材を加えることを禁じる主旨ではなく、主原料として
の木粉材と自己融着性加工を施した木粉材の一部とを加
えた上で、熱可塑性樹脂と加熱溶融混合化しておいても
良い。 (3)加圧押出成形 主原料と、自己融着性加工を施した木粉材とを混合して
所定形状にする際、樹脂量が少ないので、流動性が低
く、加圧押出機の中でも比較的高圧のものを利用する。
その一例として、本実施例では、コニカル型二軸押出機
を利用した。
【0026】このようい高圧の押出機を利用する場合、
加熱溶融筒内部では高温高圧となる上、木粉材内の水分
が気化して水蒸気が発生するので、水熱条件と同様とな
り、この過程においてもヘミセルロースの低分子化が起
こり、フラン樹脂化して接着剤の効果を発生することが
同時に起こると考えられる。 (4)比較結果 以下の試料を作成した。なお、自己融着性加工を施した
木粉材については、単に加工木粉材として示している。
この加工木粉剤の添加方法は、前処理としての加熱溶融
混合化時に既に一部を混合しておいたものの配分量を、
加熱溶融混合化と示しており、後で添加したものと後添
加と示している。 試料1 木粉材:建材集塵廃材 83.3% 熱可塑性樹脂:PP 14.7% 添加剤:マレイン酸変成樹脂 2.0% 加工木粉材 0% 試料2 木粉材:建材集塵廃材 78.4% 熱可塑性樹脂:PP 14.7% 添加剤:マレイン酸変成樹脂 2.0% 加工木粉材 加熱溶融混合化 4.9% 試料3 木粉材:建材集塵廃材 67.3% 熱可塑性樹脂:PP 14.4% 添加剤:マレイン酸変成樹脂 4.0% 加工木粉材 加熱溶融混合化 4.8% 後添加 9.5% 以上の試料1〜試料4について、1)比重、2)吸水
率、3)曲げ強度、4)曲げヤング率、5)ビス保持強
度についてそれぞれ物性試験を行った結果を図1〜図8
に示す。
【0027】加工木粉材が0%および約5%の試料1,
2と、同加工木粉材が約15%となる試料3とでは、
2)吸水率、3)曲げ強度、5)ビス保持強度において
顕著な差異が見られる。以下、順次、図面を参照しつつ
比較結果を考察する。図2は、1)比重を示している。
ここでは加工木粉材の添加は大きな影響を与えていな
い。図3は、2)吸水率を示している。図からも明らか
なように、2)吸水率については、24時間経過後にお
いて、試料1,2が7.32%と8.98%であったも
のが、試料3においては1.59%となっている。この
ように、試料3においては大きな改善が見られる。
【0028】図4は、3)曲げ強度を示している。3)
曲げ強度については、試料1,2が22.1Mpaと2
0.9Mpaであったものが、試料3においては51.
6Mpaとなっている。試料3において大きな改善が見
られる。図5は、6)曲げヤング率を示している。ここ
では加工木粉材の添加は大きな影響を与えていない。図
6は、5)ビス保持強度を示している。5)ビス保持強
度については、試料1,2が39.4N/本と31.1
N/本であったものが、試料3においては77.8N/
本となっている。試料3において大きな改善が見られ
る。 (5)考察 以上の比較から、加工木粉材を14.3%配合した試料
3については、同加工木粉材が0%の試料1および同木
粉材を含んでいるとしても約5%の試料2と比較したと
きに、遙かに性能向上していることが分かる。
【0029】また、性能向上の程度については、加工木
粉材が0%の試料1と同木粉材を約5%の試料2との間
に大きな性能差は見られない。むしろ、試料2は試料1
よりも僅かながら数値は悪くなっている。それにもかか
わらず、試料3においては、強度および耐水性の面で向
上し、かつ、その向上程度も試料1の2倍に近い値を示
している。これは、加工木粉材が単に備えている接着性
だけの作用によるものでなく、主原料に加えて加工木粉
材をある配合比以上としたときに表れた顕著な現象とい
える。
【0030】そして、試料2において顕著性が表れず、
試料3において顕著性が表現化していることに基づけ
ば、概ね配合比で10%以上において顕著性が表現化す
ると予測し得る。また、さらに好ましく12%以上程度
が必要と考えられる。以上より、少なくとも熱可塑性樹
脂の配合比は5%以上において、上記加工木粉材を加え
た木質系成形体を実現しうることが予測される。また、
好ましくは7%程度以上であれば十分と考える。この
際、上述したように前処理としての加熱溶融混合化の際
に木粉材の配合比を少なくしておくことにより、低樹脂
量においても均等な混合溶融を実現でき、その後の処理
として加工木粉材を加えた混合および加圧成形時にも均
等な配合を実現できる。
【0031】むろん、最終製品として上記配合比からな
る成形体を製造するため、あらかじめ自己融着性加工を
施した木粉材を、通常の木粉材に加えた成形助剤として
も利用できるし、あるいは、熱可塑性樹脂に加えて自己
融着性加工を施した木粉材を加えた成形助剤としても利
用できる。さらに、押出成形のみならず、所定形状の金
型内でプレスによる加圧成形を行うようにしても良い。
このように、木粉材に自己融着性加工を施し、かかる加
工を施していない木粉材と熱可塑性樹脂に対して所定の
配合比以上とすることにより、耐水性および強度におい
て極めて顕著な優位性を持つ木質系成形体を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】物性試験結果を示す図である。
【図2】比重の対比を示す図である。
【図3】吸水率の対比を示す図である。
【図4】曲げ強度の対比を示す図である。
【図5】曲げヤング率の対比を示す図である。
【図6】ビス保持力の対比を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B260 AA20 BA02 BA15 BA18 DA01 DA18 4F204 AA11 AA20J AB11 AC04 FA01 FB01 FF01 FF06

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と木粉材とからなる主原料
    を加熱下で混合して加圧成形する木質系成形体におい
    て、 上記主原料に自己融着性加工を施した木粉材を加えて成
    形したことを特徴とする木質系成形体。
  2. 【請求項2】 上記自己融着性加工を施した木粉材は、
    粒径が500ミクロン以下であることを特徴とする上記
    請求項1に記載の木質系成形体。
  3. 【請求項3】 上記自己融着性加工を施した木粉材は、
    予め加熱溶融混合処理した主原料に対して添加すること
    を特徴とする上記請求項1または請求項2のいずれかに
    記載の木質系成形体。
  4. 【請求項4】 水熱条件化で上記加圧成形することを特
    徴とする上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の木
    質系成形体。
  5. 【請求項5】 マレイン酸変成樹脂を混合することを特
    徴とする上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の木
    質系成形体。
  6. 【請求項6】 上記自己融着性加工を施した木粉材は、
    木材チップを、水熱条件下で加熱加圧後、急激減圧処理
    して生成される木粉材であることを特徴とする上記請求
    項1〜請求項5のいずれかに記載の木質系成形体。
  7. 【請求項7】 上記主原料の木粉材は、94%未満であ
    り、上記主原料の熱可塑性樹脂は5%以上であり、上記
    自己融着性加工を施した木粉材は、1%以上であること
    を特徴とする上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載
    の木質系成形体。
  8. 【請求項8】 上記主原料の木粉材は、65%〜85%
    であり、上記主原料の熱可塑性樹脂は5%以上であり、
    上記自己融着性加工を施した木粉材は、10%〜30%
    であることを特徴とする上記請求項1〜請求項5のいず
    れかに記載の木質系成形体。
  9. 【請求項9】 木粉材に加えて自己融着性加工を施した
    木粉材を加えて加熱下で混合して加圧成形することを特
    徴とする木質系成形体。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂と木粉材とからなる主原
    料を加熱下で混合して加圧成形する木質系成形体の製造
    方法において、 上記主原料に自己融着性加工を施した木粉材を加えて成
    形することを特徴とする木質系成形体の製造方法。
  11. 【請求項11】 木粉材に自己融着性加工を施した木粉
    材を混合したことを特徴とする木質系成形助剤。
  12. 【請求項12】 上記木粉材は、90%未満であり、上
    記自己融着性加工を施した木粉材は、10%以上である
    ことを特徴とする上記請求項11に記載の木質系成形助
    剤。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂に自己融着性加工を施し
    た木粉材を混合したことを特徴とする木質系成形助剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009018542A (ja) * 2007-07-13 2009-01-29 Yamaha Livingtec Corp 木質系成形品の製造方法及び木質系成形品

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