JP2003290602A - 物質結晶化装置 - Google Patents

物質結晶化装置

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JP2003290602A
JP2003290602A JP2002099835A JP2002099835A JP2003290602A JP 2003290602 A JP2003290602 A JP 2003290602A JP 2002099835 A JP2002099835 A JP 2002099835A JP 2002099835 A JP2002099835 A JP 2002099835A JP 2003290602 A JP2003290602 A JP 2003290602A
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JP2002099835A
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Koichi Osuge
康一 大菅
Masaru Uemura
勝 植村
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重力方向が経時的に変化しても、1つの容器
の中で組成の異なる複数の溶液が混合することなく、気
体を介してそれぞれの溶液の蒸気を混合して、溶液内の
物質を結晶化する装置およびその方法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 互いに組成の異なる2種以上の溶液を容
器の内壁に、重力の方向にかかわらず移動しないよう
に、互いに離間しつつ保持し、容器内の気相を介して前
記各溶液からの蒸気が混合できるように密閉された容器
2と、該容器を回転する回転装置1とを含む物質結晶化
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物質結晶化装置お
よびその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、生体高分子、医薬品、アミノ酸、
ヌクレオチド、ヌクレオシド、有機金属錯体およびタン
パク質などのファインケミカルの構造をX線回折などの
ような解析方法により特定するために、ファインケミカ
ル物質を結晶化することが重要性を増している。
【0003】ファインケミカル物質を結晶化する方法と
して、静置条件下で結晶化する方法(静置バッチ法、液
−液(自由界面)拡散法、微量透析法など)がある。フ
ァインケミカル物質の溶解度を減少させて結晶化する方
法では、ファインケミカル物質溶液と、沈殿剤を含む緩
衝液とが同一の容器に封入される。緩衝液からファイン
ケミカル物質溶液に対して、気相を介して沈殿剤が拡散
すると、ファインケミカル物質の溶解度を減少させて、
ファインケミカル物質を結晶化する。
【0004】このとき、ファインケミカル物質の結晶を
等方的に成長させることは、重力の問題があり難しい。
ここで、重力の方向を経時的に変化させ、等方的にする
ことにより重力の結晶化に対する影響を小さくする手段
が講じられている。しかし、重力方向を変化させると
き、2種以上の溶液を混合しないように保持しつつ、そ
の溶液の蒸気を混合させることが難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は重力方向が経
時的に変化しても、1つの容器の中で組成の異なる複数
の溶液が混合することなく、気体を介してそれぞれの溶
液の蒸気を混合できる手段を用いて、溶液内の物質を結
晶化する装置およびその方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る物質結晶化装置は、互いに組成の異な
る2種以上の溶液を容器の内壁に、重力の方向にかかわ
らず移動しないように、互いに離間しつつ保持し、保持
される溶液の少なくとも1種に結晶化させる物質を含
み、容器内の気相を介して前記各溶液からの蒸気が混合
できるように密閉された容器を含む。
【0007】本発明に係る物質結晶化装置は、別の態様
として、互いに組成の異なる2種以上の溶液を容器の内
壁に、重力の方向にかかわらず移動しないように、互い
に離間しつつ保持し、保持される溶液の少なくとも1種
に結晶化させる物質を含み、容器内の気相を介して前記
各溶液からの蒸気が混合できるように密閉された容器
と、該容器を回転する回転装置とを含む。
【0008】前記2種以上の溶液のいずれか1種以上を
前記容器の内壁に保持するために、表面張力を用いるこ
とが好適である。前記2種以上の溶液のいずれか1種以
上を前記容器の内壁に保持するために、前記溶液を吸収
材に保持し、該吸収材を前記容器の内壁に保持すること
が好適である。
【0009】前記吸収材が、脱脂綿等のセルロース繊維
材、または吸収性高分子樹脂材によりできていることが
好適である。前記回転装置が、前記容器を第1軸の回り
に回転する第1回転装置と、前記第1回転装置を第2軸
の回りに回転する第2回転装置とを含む。前記第1回転
装置と前記第2回転装置とは、前記容器に重力が等方的
に印可されるように、回転することができる。
【0010】本発明は別の態様として物質結晶化方法を
提供し、互いに組成の異なる2種以上の溶液を容器の内
壁に、重力の方向にかかわらず移動しないように、互い
に離間しつつ保持し、保持される溶液の少なくとも1種
に結晶化させる物質を含ませ、該容器内の気相を介して
前記各溶液からの蒸気が混合できるように、該容器を密
閉し、該容器の重力方向を変化させ、該物質を結晶化さ
せることを含むことができる。
【0011】さらに、本発明に係る物質結晶化方法は、
互いに組成の異なる2種以上の溶液を容器の内壁に、重
力の方向にかかわらず移動しないように、互いに離間し
つつ保持し、保持される溶液の少なくとも1種に結晶化
させる物質を含ませ、該容器内の気相を介して前記各溶
液からの蒸気が混合できるように、該容器を密閉させ、
該容器の重力方向を変化させるように、該容器を回転
させることにより該物質を結晶化させることを含む。
【0012】前記2種以上の溶液のいずれか1種以上を
前記容器の内壁に保持するために、表面張力を用いるこ
とができる。前記2種以上の溶液のいずれか1種以上を
前記容器の内壁に保持するために、前記溶液を吸収材に
保持し、該吸収材を前記容器の内壁に保持することがで
きる。前記吸収材が、脱脂綿等のセルロース繊維材、ま
たは吸収性高分子樹脂材によりできていることが望まし
い。
【0013】なお、前記物質が、結晶化できる物質なら
ば、すべて広く含む。例えば、前記物質が、タンパク
質、糖、糖タンパク質、アミノ酸、ヌクレオチド、ヌク
レオシド、医薬品などの有機化合物、その他の生体高分
子、無機化合物、有機金属錯体等の有機金属化合物を含
む。さらには、本発明において物質には、結晶化するこ
とができるウィルスも広く含むものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る物質結晶化
装置の実施の形態を図を用いながら詳細に説明する。本
発明において、結晶化の対象となる物質ならば、すべて
幅広く含むものとする。例えば、この物質が、タンパク
質、糖、糖タンパク質、アミノ酸、ヌクレオチド、ヌク
レオシド、医薬品などの有機化合物、その他の生体高分
子、無機化合物、有機金属錯体等の有機金属化合物を含
む。さらには、本発明において物質は、結晶化すること
ができるウィルスも広く含むものとする。
【0015】図1は、本発明に係る物質結晶化装置につ
いて、一実施の形態を示す。物質結晶化装置は、回転装
置である三次元クリノスタット1と容器2とを備えてい
る。容器2の内部で、目的とする物質結晶が成長する。
【0016】三次元クリノスタット1は、本体3、モー
タ4、外側フレーム5、モータ6、内側フレーム7およ
び容器保持部8を含む。本体3は、基部3aと脚3b、
3cを含む。基部3aには、脚3b、3cが接続されて
いる。脚3bには、モータ4が設けられている。モータ
4には、外側フレーム5が接続されている。モータ4
は、軸4aを回転軸として外側フレーム5を回転する。
外側フレーム5には、モータ6が設けられている。
【0017】モータ6には、内側フレーム7が接続され
ている。モータ6は、軸6aを回転軸として、内側フレ
ーム7を回転する。回転軸である軸6aは、軸4aと概
ね直交する。内側フレーム7には、容器保持部8が接続
されている。容器保持部8は、内側フレーム7と同体に
回転する。容器保持部8は、前述の容器2を保持する。
外側フレーム5と内側フレーム7とがそれぞれ回転され
ると、容器2は、2軸回転することになる。このとき、
容器2は、回転軸である軸4aと軸6aとの交点の近傍
に位置する。
【0018】図2は、容器2の構成を示す。図2(a)
〜(c)は、さまざまな実施の形態の容器2の断面図で
ある。なお、図2(a)〜(c)に示す容器2の実施の
形態は、互いに組成の異なる2種類の溶液を用いる例を
示しているが、図に示さないが、3種類以上の溶液を用
いるようにしてもよい。
【0019】図2(a)は、組成の異なる2種類の溶液
(溶液A21、溶液B22)の体積が小さい場合であ
る。溶液の体積が小さい場合とは、溶液が表面張力によ
り容器20の内壁に付着し、容易に動かないような体積
であり、例えば、2μlから20μlである。容器20
の形状は、複数の溶液が容器を移動あるいは回転しても
混合することなく個別に保持でき、しかも、各液体の蒸
気が気相23を介して混合できれば、容器の形状は任意
である。
【0020】容器20の内壁面に、互いに組成の異なる
溶液A21と溶液B22を溶液の表面張力を利用して保
持させる。例えば、溶液A21には結晶化させたい物質
と、この物質を沈殿させる沈殿剤が溶解し、溶液B22
にはこの物質を沈殿させる沈殿剤が溶解していることと
する。ここで、溶液A21よりも溶液B22には高い濃
度の沈殿剤を溶解しておくことが必要である。
【0021】沈殿剤の種類として無機塩、ポリエチレン
グリコール、有機溶媒に大別できる。無機塩の例として
は、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩
化アンモニウム、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、ク
エン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、酢酸ナトリ
ウム、酢酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸マグ
ネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸リ
チウムセチルトリメチルアンモニウム塩、リン酸ナトリ
ウム、リン酸カリウムが、ポリエチレングリコールの例
としては、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレン
グリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエ
チレングリコール10000が、有機溶媒としては、アセト
ニトリル、アセトン、イソプロパノール、エタノール、
ジオキサン、ジメチルスルホオキシド、ブタノール、1,
3-ブチロラクトン、1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサ
ンジオール、メタノール、2-メチル-2,4ペンタンジオー
ル(MPD)がそれぞれ挙げられる。また最初に試してみる
べき組み合わせとしては、沈殿剤として、50%〜80
%飽和の硫安(pH=5.0)、50%〜80%飽和の
硫安(pH=5.5)、0.5〜2.5Mのリン酸カリ
ウム(pH=7.5)、0.5〜2.5Mのクエン酸ナ
トリウム、50〜200mMリン酸カリウム(pH=
7.8)が添加された15〜60%のMPD、0.1M
のTris(pH=7.5)が添加された10〜40%
(w/v)のPEG4000、0.2M酢酸アンモニウ
ムが添加された10〜30%(w/v)のPEG800
0が挙げられる。
【0022】つぎに、溶液A21と溶液B22を互いに
離間して、溶液A21と溶液B22が混合しないよう
に、容器20の内壁に保持する。容器20を閉鎖して密
閉にする。容器20を密閉にすることにより、容器A2
1から蒸気拡散により気相23を介して、溶液B22に
向かって溶媒の移動が起こる。すると、溶液A21中の
結晶化させたい物質の濃度が上昇する。この濃度の上昇
と、沈殿剤の相乗効果により、最終的に結晶化させたい
物質が溶液A21中に溶解できなくなったところで、沈
殿あるいは結晶が生じる。
【0023】つぎに、図2(b)に、組成の異なる2種
類の溶液(溶液A31、溶液B32)のうち、一方が体
積が大きいときの容器の一実施の形態を示す。一方の溶
液の体積が大きいとは、表面張力だけでは容器30の内
壁に保持することができないくらいの体積をいい、例え
ば、0.1ml〜1.0mlのようなときを示す。図2
(b)の容器30において、一方の溶液A31は、表面
張力によって、容器30の内壁面に保持する。
【0024】もう一方の溶液B32は体積が大きいの
で、脱脂綿等のセルロース繊維材、または吸収性高分子
樹脂材などの吸収材を用いて、溶液B32を吸収させ、
この吸収材を内壁に保持する。例えば、溶液A31には
結晶化させたい物質が溶解し、溶液B32にはこの物質
を沈殿させる沈殿剤が溶解していることとする。ここ
で、溶液A31よりも溶液B32には高い濃度の沈殿剤
を溶解しておくことが必要である。つぎに、溶液A31
と溶液B32を互いに離間して、溶液A31と溶液B3
2が混合しないように、容器30の内壁に保持する。
【0025】そして、容器30を閉鎖して密閉にする。
この密閉状態において、容器A31から蒸気拡散により
気相33を介して、溶液B32に向かって溶媒の移動が
起こる。すると、溶液A31中の結晶化させたい物質の
濃度が上昇する。この濃度の上昇と、沈殿剤の相乗効果
により、最終的に結晶化させたい物質が溶液A31中に
溶解できなくなったところで、沈殿あるいは結晶が生じ
る。
【0026】つぎに、図2(c)に、組成の異なる2種
類の溶液(溶液A41、溶液B42)のうち、2種類の
溶液が体積が大きいときの容器の一実施の形態を示す。
溶液の体積が大きいとは、表面張力だけでは容器40の
内壁に保持することができないくらいの体積をいい、例
えば、0.1ml〜1.0mlのようなときを示す。
【0027】図2(c)の容器40において、溶液A4
1と溶液B42は体積が大きいので、脱脂綿等のセルロ
ース繊維材、または吸収性高分子樹脂材などの吸収材を
用いて、溶液(A41、B42)を吸収させ、この吸収
材を内壁に保持する。なお、吸収性高分子の例として
は、酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体のケン化
物、ポリアクリル酸ソーダ架橋物、ポリウレタンなどが
ある。例えば、溶液A41には結晶化させたい物質が溶
解し、溶液B42にはこの物質を沈殿させる沈殿剤が溶
解していることとする。ここで、溶液A41よりも溶液
B42には高い濃度の沈殿剤を溶解しておくことが必要
である。
【0028】つぎに、溶液A41と溶液B42を互いに
離間して、溶液A41と溶液B42が混合しないよう
に、容器40の内壁に保持する。容器40を閉鎖して密
閉にする。容器40を閉鎖することにより、容器A41
から蒸気拡散により気相43を介して、溶液B42に向
かって溶媒の移動が起こる。すると、溶液A41中の結
晶化させたい物質の濃度が上昇する。この濃度の上昇
と、沈殿剤の相乗効果により、最終的に結晶化させたい
物質が溶液A41中に溶解できなくなったところで、沈
殿あるいは結晶が生じる。
【0029】続いて、物質結晶を成長する手順を説明す
る。まず、図1の容器2に結晶化させたい物質を含む溶
液である溶液Aと、沈殿液溶液である溶液Bとを、図2
(a)〜(c)のいずれかの形態で、容器2の内壁に保
持する。そして、容器2を密閉する。さらに続いて、容
器2を容器保持部8に取りつける。
【0030】その後、外側フレーム5と内側フレーム7
とがそれぞれモータ4、モータ6により、1〜40rp
mで回転される。容器2は、2軸回転する。容器2が回
転されている間、容器2の内部では、溶液Bから沈殿剤
が蒸発する。蒸発した沈殿剤は、溶液Aの物質溶液に拡
散する。沈殿剤が物質溶液に拡散すると、物質溶液の溶
解度が減少し、物質が溶液A中で結晶化する。このと
き、物質が結晶化されている間に容器2が回転されてい
ることにより、物質結晶は、等方的に成長する。
【0031】容器2が回転されていることにより、物質
結晶が等方的に成長するのは、以下の2つの理由による
と推定される。第1の理由は、溶液Aの物質溶液が緩や
かに移動され、物質濃度が均一になることであると推定
される。物質結晶が等方的に成長するためには、溶液A
の物質溶液中の物質濃度が、均一であることが必要であ
る。容器2が回転されることにより、溶液Aの物質溶液
が緩やかに移動され、物質濃度が均一になる。これによ
り、物質結晶がより等方的に成長すると推定される。
【0032】第2の理由は、成長しつつある物質結晶
が、溶液Aの物質溶液を収容する容器2の底部に沈殿し
たり、壁面に付着することがないためであると推定され
る。物質結晶が容器2に沈殿し、または壁面に付着する
と、接触面における結晶成長が阻害され、これにより物
質結晶の等方的な成長が阻害される。容器2が回転され
ることにより、物質結晶の沈殿と壁面への付着とが防止
され、物質結晶の等方的な成長が実現されたと推定され
る。
【0033】さらに、容器2が回転されていることによ
り、より大きな物質結晶が得られる。この理由は、必ず
しも明らかではない。しかし、容器2の回転がなされる
と、物質結晶の一部の結晶核のみが選択的に成長し、そ
の一部の結晶核が大きな物質結晶に成長することが理由
であると推定される。モータ4とモータ6は、回転する
容器2に重力が等方的に印加されるように、それぞれ外
側フレーム5と内側フレーム7とを回転することが好ま
しい。
【0034】即ち、容器2が充分に長時間(例えば、2
日間から2週間程度)回転されたときに、容器2は、全
方向から均一に重力が印加されることが好ましい。これ
により、物質結晶がより等方的に成長する。モータ4と
モータ6とは、以下に述べられているように外側フレー
ム5と内側フレーム7とを回転することが好ましい。軸
4aに垂直な任意の一の方向と外側フレーム5がなす角
をφとする。さらに、軸6aに垂直な任意の一の方向と
内側フレーム5がなす角をθとする。このとき、φとθ
とが下記微分方程式を満足するように外側フレーム5と
内側フレーム7とは回転される。
【数1】 但し、φとθの初期値は任意である。さらに、AとBと
は、A:B=n:mとなる最小のn、mに対して2m/
nが整数にならないように選ばれる。
【0035】微分方程式(1)を満足するようにφとθ
とが定められると、容器2には重力が等方的に印加され
る。その理由は、同一出願人に係る特許出願の公開特許
公報2000−79900号に記載されている。
【0036】[他の実施の形態]本発明に係る物質結晶
化装置において、上述した容器2の図2(a)、
(b)、(c)によって示される形態は、ハンギングド
ロップの形式を用いる蒸気拡散方法による結晶化方法で
ある。、ハンギングドロップの形式を用いる蒸気拡散方
法のほかにも、さらに「ミクロシーディングした蒸気拡
散」、「プレートまたはスライドガラス上での蒸気拡
散」、「pHを変化させた蒸気拡散」などのような蒸気
拡散方法も行なってもよい。
【0037】
【実施例】続いて、本実施の形態の物質結晶化装置によ
って、結晶化させたい物質の例としてタンパク質の結晶
を成長させた実施例を示す。
【0038】[クリノスタットを利用したタンパク質結
晶化への適用例]本実施例では、図2(b)の容器30
のように、液体Aの体積と、液体Bの体積とが異なると
きの形態で行なった。
【0039】(前準備)容器30の上面の溶液A31が
保持される面は、洗浄され、シリコーンコート処理が行
なわれたカバーガラスを用いた。シリコーンコート処理
は、市販のシリコーンコート処理溶液を用いた。カバー
ガラスは溶液Aが直接触れるので、可能な限り洗浄し、
表面の凹凸をなくしておく必要がある。
【0040】(カバーガラスの洗浄)カバーガラスは、
1N−NaOHおよび12N−HClに順番に、1枚1
枚投入し、超音波洗浄後、おのおのの溶液に一昼夜つけ
て洗浄した。その後、蒸留水で十分洗浄し、蒸留水を替
えながら10分程度の超音波洗浄を2回繰り返した。清
浄な吸湿紙でカバーガラスの水分を吸い取り、アルミ箔
を広げたガラス板に、カバーガラスを重ならないように
並べ、120℃にした乾熱オーブン中で1から2時間焼
いた。
【0041】(撥水処理)冷めたカバーガラスを先平ピ
ンセットで端をつまみ、十分量の市販シリコーンシート
剤sigmacote(Sigma社)の原液に1枚1
枚くぐらせた。カバーガラスはただちに蒸留水中に移
し、余分のsigmacote溶液を取り除いた。カバ
ーガラスは水分を除いた後、室内を換気しながら、12
0℃に設定した乾熱オーブン中で2時間焼き付けた。冷
却後、中性洗剤溶液に一昼夜つけ、蒸留水で洗浄した
後、超音波洗浄し乾燥した。
【0042】(結晶母液である液晶A31の準備)液体
A31には、タンパク質と、タンパク質の溶解度を下げ
るために用いる沈殿剤として、リン酸カリウム(pH
7.0)を水に溶解した。液体A31中の沈殿剤の濃度
は、0.8mol/lにした。液体A31は、容量とし
て、4μlを用いた。
【0043】液体B32には、沈殿剤である硫酸ナトリ
ウムのみが水に溶解している。液体B32中の沈殿剤の
濃度は、液体A31の沈殿剤濃度よりも高いことが必要
である。例えば、液体B32中の沈殿剤の濃度は、1.
6mol/lに調整した。
【0044】そして、図1に示すような三次元クリノス
タット1を運転し、直交する2つの軸(4a、6a)を
回転させることにより、搭載した容器2を1rpmで回
転させた。容器2内では、溶液A31と溶液B32の沈
殿剤の濃度差により、溶液A31から蒸気拡散により空
気を介して溶液B32に向かって水の移動が起こり、溶
液A31のタンパク質の濃度が上昇した。これにより、
溶液A31では、タンパク質が溶解できなくなったとこ
ろで結晶が生じた。結晶化の過程では、本発明により三
次元クリノスタット1が回転しても溶液A31と溶液B
32とが混合することなく、また、気相33を介して蒸
気が移動できた。従来、タンパク質結晶化は、従来は地
上の静置で行なわれるため、複数の液体の混合が問題に
ならなかった。しかし、本実施例のようなクリノスタッ
トに搭載する場合や宇宙のような微小重力環境下では、
重力方向が変化してしまうが、本発明に係る容器2(2
0、30、40)を用いることにより、地上の静置以外
の環境でもタンパク質の結晶化を行うことができた。
【0045】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本
発明に係る物質結晶化装置およびその方法によれば、重
力方向が経時的に変化しても、1つの容器の中で組成の
異なる複数の溶液が混合することなく、気体を介してそ
れぞれの溶液の蒸気を混合でき、溶液内の物質を結晶化
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る物質結晶化装置の一実施の形態を
示す斜視図である。
【図2】本発明に係る物質結晶化装置の容器の実施の形
態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 三次元クリノスタット 2 容器 3 本体 4 モータ 5 外側フレーム 6 モータ 7 内側フレーム 8 容器保持部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 603 B01D 9/02 603Z 605 605 607 607Z 608 608Z 609 609Z 610 610Z 618 618B 621 621 622 622

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに組成の異なる2種以上の溶液を容
    器の内壁に、重力の方向にかかわらず移動しないよう
    に、互いに離間しつつ保持し、保持される溶液の少なく
    とも1種に結晶化させる物質を含み、容器内の気相を介
    して前記各溶液からの蒸気が混合できるように密閉され
    た容器を含む物質結晶化装置。
  2. 【請求項2】 互いに組成の異なる2種以上の溶液を容
    器の内壁に、重力の方向にかかわらず移動しないよう
    に、互いに離間しつつ保持し、保持される溶液の少なく
    とも1種に結晶化させる物質を含み、容器内の気相を介
    して前記各溶液からの蒸気が混合できるように密閉され
    た容器と、 該容器を回転する回転装置とを含む物質結晶化装置。
  3. 【請求項3】 前記2種以上の溶液のいずれか1種以上
    を前記容器の内壁に保持するために、表面張力を用いる
    ことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の物質
    結晶化装置。
  4. 【請求項4】 前記2種以上の溶液のいずれか1種以上
    を前記容器の内壁に保持するために、前記溶液を吸収材
    に保持し、該吸収材を前記容器の内壁に保持することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の物質結晶化
    装置。
  5. 【請求項5】 前記吸収材が、脱脂綿等のセルロース繊
    維材、または吸収性高分子樹脂材によりできていること
    を特徴とする請求項4に記載の物質結晶化装置。
  6. 【請求項6】 前記回転装置が、 前記容器を第1軸の回りに回転する第1回転装置と、 前記第1回転装置を第2軸の回りに回転する第2回転装
    置とを含む請求項2〜5のいずれかに記載の物質結晶化
    装置。
  7. 【請求項7】 前記第1回転装置と前記第2回転装置と
    は、前記容器に重力が等方的に印可されるように、回転
    することを特徴とする請求項6に記載の物質結晶化装
    置。
  8. 【請求項8】 互いに組成の異なる2種以上の溶液を容
    器の内壁に、重力の方向にかかわらず移動しないよう
    に、互いに離間しつつ保持し、 保持される溶液の少なくとも1種に結晶化させる物質を
    含ませ、 該容器内の気相を介して前記各溶液からの蒸気が混合で
    きるように、該容器を密閉し、 該容器の重力方向を変化させ、該物質を結晶化させるこ
    とを含む物質結晶化方法。
  9. 【請求項9】 互いに組成の異なる2種以上の溶液を容
    器の内壁に、重力の方向にかかわらず移動しないよう
    に、互いに離間しつつ保持し、保持される溶液の少なく
    とも1種に結晶化させる物質を含ませ、 該容器内の気相を介して前記各溶液からの蒸気が混合で
    きるように、該容器を密閉させ、 該容器の重力方向を変化させるように、該容器を回転さ
    せることにより該物質を結晶化させることを含む物質結
    晶化方法。
  10. 【請求項10】 前記2種以上の溶液のいずれか1種以
    上を前記容器の内壁に保持するために、表面張力を用い
    ることを特徴とする請求項8または9に記載の物質結晶
    化方法。
  11. 【請求項11】 前記2種以上の溶液のいずれか1種以
    上を前記容器の内壁に保持するために、前記溶液を吸収
    材に保持し、該吸収材を前記容器の内壁に保持すること
    を特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の物質結
    晶化方法。
  12. 【請求項12】 前記吸収材が、脱脂綿等のセルロース
    繊維材、または吸収性高分子樹脂材によりできているこ
    とを特徴とする請求項11に記載の物質結晶化方法。
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