JP2003282887A - 構造体及びその製造方法 - Google Patents

構造体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003282887A
JP2003282887A JP2002088256A JP2002088256A JP2003282887A JP 2003282887 A JP2003282887 A JP 2003282887A JP 2002088256 A JP2002088256 A JP 2002088256A JP 2002088256 A JP2002088256 A JP 2002088256A JP 2003282887 A JP2003282887 A JP 2003282887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon layer
etching
hollow portion
upper silicon
beam portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002088256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4150530B2 (ja
Inventor
Shinichi Deo
晋一 出尾
Hiroshi Oji
浩 大路
Kazuhiko Tsutsumi
和彦 堤
Patrick J French
パトリック・ジェイ・フレンチ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2002088256A priority Critical patent/JP4150530B2/ja
Publication of JP2003282887A publication Critical patent/JP2003282887A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4150530B2 publication Critical patent/JP4150530B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pressure Sensors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 梁部と、梁部を支持する基板とを同一材料か
ら形成した構造体を提供する。 【解決手段】 中空部上に梁部が配置された構造体にお
いて、比抵抗が略0.0001Ω・cm以上で略1Ω・
cm以下のp型シリコンからなる下部シリコン層と、下
部シリコン層上に設けられ、比抵抗が略2Ω・cm以上
で略300000Ω・cm以下のp型シリコンからなる
上部シリコン層とを含み、上部シリコン層の表面を弗化
水素を含むエッチング溶液に接触させて上部シリコン層
を貫通する略平行な孔部と、下部シリコン層に形成され
隣接する一組の孔部の双方に繋った中空部とが形成さ
れ、一組の孔部に挟まれ、中空部の上に残された上部シ
リコン層を梁部とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン基板に形
成された中空部の上に梁部が設けられた構造体及びその
製造方法に関し、特に、可動な梁部を有する構造体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、特開平05−304303号公
報に記載された、全体が800で表される加速度センサ
の製造工程の一断面である。加速度センサ800は、表
面加工法を用いて製造される。即ち、表面加工法を用い
た製造方法では、単結晶シリコン基板81上に絶縁膜で
ある酸化シリコン膜82を介して単結晶シリコン層83
を形成する。続いて、単結晶シリコン層83を薄層化し
加工する。更に、単結晶シリコン層83を支持する酸化
シリコン膜82を部分的に除去することにより、単結晶
シリコン層83の一部が中空に浮いた片持ち梁(梁部)
84となる。片持ち梁84の膜厚は十分に薄いため、単
結晶シリコン基板81の表面に平行な方向に可動となっ
ている。
【0003】また、図9は、特開平06−273441
号公報に記載された、全体が900で表される加速度セ
ンサであり、図9(a)は加速度センサ900の上面
図、図9(b1)〜(b3)は、A−A方向に見た場合
の断面の製造工程であり、また、図9(c1)〜(c
3)は、B−B方向に見た場合の断面の製造工程であ
る。加速度センサ900は、バルク加工法を用いて製造
される。即ち、バルク加工法を用いた製造方法では、酸
化シリコン等の絶縁層93を介して導体パターン99が
表面に形成されたガラス基板91と、裏面に溝部98が
形成されたシリコン基板92を準備する(図9(b1)
(c1))。続いて、導体パターン99の上にシリコン
基板92を固定する(図9(b2)(c2))。最後
に、溝部98の位置でシリコン基板92を切断し、導体
パターン99で片方が支持された片持ち梁97を形成す
る(図9(b3)(c3))。片持ち梁97の先端は所
定の質量を有する質量部94となり、ガラス基板91に
対して可動となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図8の
加速度センサ800では、酸化シリコン膜82と、その
上に形成された単結晶シリコン層83との間の熱膨張係
数の違いにより、片持ち梁84の反り等が発生し、加速
度センサとしての特性に影響を与えるという問題があっ
た。また、単結晶シリコン基板81と片持ち梁84との
間隔は、酸化シリコン膜82の膜厚で決まるが、膜応力
が発生すために酸化シリコン膜82は厚くできない。こ
のため、製造工程において、片持ち梁84の先端が単結
晶シリコン基板81の表面に固着するという問題があっ
た。
【0005】一方、図9の加速度センサ900でも、ガ
ラス基板91と、片持ち梁97を形成するシリコン基板
92との熱膨張率係数の違いにより、片持ち梁97の反
り等が発生するという問題があった。
【0006】そこで、本発明は、梁部と、梁部を支持す
る基板とを同一材料から形成した構造体及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、中空部上に梁
部が配置された構造体であって、比抵抗が略0.000
1Ω・cm以上で略1Ω・cm以下のp型シリコンから
なる下部シリコン層と、該下部シリコン層上に設けら
れ、比抵抗が略2Ω・cm以上で略300000Ω・c
m以下のp型シリコンからなる上部シリコン層とを含
み、該上部シリコン層の表面を弗化水素を含むエッチン
グ溶液に接触させて該上部シリコン層を貫通する略平行
な孔部と、該下部シリコン層に形成され隣接する一組の
該孔部の双方に繋った中空部とが形成され、一組の該孔
部に挟まれ、該中空部の上に残された該上部シリコン層
を梁部としたことを特徴とする構造体である。かかる構
造体では、梁部が基板と同じシリコンから形成されるた
め、両者の熱膨張係数は略同一となる。このため、両者
の熱膨張係数の違いによる機械的特性の劣化、例えば、
梁部の反り等が防止できる。
【0008】上記梁部の両端は、上記下部シリコン層の
上面に固定されたものであっても良い。
【0009】上記梁部の一の端部は、上記中空部上方の
中空に保持され、上記下部シリコン層に対する該端部の
位置が可動であっても良い。
【0010】また、本発明は、上記梁部の一部に、n型
シリコン領域が形成された構造体でもある。かかる構造
を用いることにより、構造体を加速度センサに適用する
ことができる。
【0011】また、本発明は、上記梁部の側面と、上記
孔部を挟み該梁部の側面と対向する上記上部シリコン層
の側面に、導電膜と、該導電層上に積層された絶縁膜と
が、それぞれ形成された構造体でもある。かかる構造を
用いることにより、構造体を加速度センサに適用するこ
とができる。
【0012】また、本発明は、中空部上に梁部が配置さ
れた構造体の製造方法であって、比抵抗が略0.000
1Ω・cm以上で略1Ω・cm以下のp型シリコンから
なる下部シリコン層と、該下部シリコン層上に設けら
れ、比抵抗が略2Ω・cm以上で略300000Ω・c
m以下のp型シリコンからなる上部シリコン層とを有す
るシリコン基板を準備する工程と、該上部シリコン層の
表面を弗化水素を含むエッチング溶液に接触させ、か
つ、該エッチング溶液に対して該シリコン基板を高電位
に保持するエッチング条件の設定工程と、該エッチング
条件の下で、該上部シリコン層をエッチングして、該上
部シリコン層を貫通し略平行に配置された少なくとも一
組の孔部を形成し、更に、該孔部の底面に露出した該下
部シリコン層をエッチングして、一組の該孔部の双方に
繋った中空部を該下部シリコン層に形成し、一組の該孔
部に挟まれ、該中空部の上に残された該上部シリコン層
から梁部を形成する工程とを含むことを特徴とする構造
体の製造方法でもある。かかる製造方法を用いることに
より、中空部と、中空部上に支持された梁部とが、一回
のエッチング工程で形成できる。このため、構造体の製
造工程の簡略化が可能となる。特に、可動な梁部を形成
する場合に、中空部のエッチング量を調整することによ
り、梁部と下部シリコン層との固着を防止できる。
【0013】上記設定工程に先立って、上記上部シリコ
ン層の表面の、上記孔部が形成される領域に、予め凹部
を形成する工程を含むものであっても良い。かかる凹部
を形成することにより、凹部を出発点として、上部シリ
コン層の表面に略垂直な孔部を形成することができる。
【0014】上記上部シリコン層のエッチングが、該上
部シリコン層の表面に対して略垂直方向に上記孔部を形
成する異方性エッチングからなり、上記下部シリコン層
のエッチングが、該孔部の底面に露出した該下部シリコ
ン層を、該底面から等方的にエッチングして上記中空部
を形成する等方性エッチングからなることが好ましい。
このように、異方性エッチングと等方性エッチングとを
組み合わせることにより、一回のエッチングで孔部と中
空部の形成が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、全体が100で表され
る、本発明の実施の形態にかかる可動部を有する構造体
であり、図1(a)に斜視図を、図1(b)に図1
(a)のI−I方向に見た場合の断面図を示す。構造体
100は、下部シリコン層1と上部シリコン層2とを含
む。下部シリコン層1の抵抗率は略0.1Ω・cm、上
部シリコン層2の抵抗率は略20Ω・cmである。かか
るシリコン層1、2は、共にp型の単結晶シリコンから
なり、表面が(100)面となっている。下部シリコン
層1には中空部3が形成され、その上に上部シリコン層
2からなる片持ち梁(梁部)4が形成されている。片持
ち梁4の両側には、溝部5が設けられている。片持ち梁
4は、中空部3の上方で可動であり、かかる構造体10
0は、例えば加速度センサに使用される。
【0016】次に、図2を参照しながら、構造体100
の製造方法について説明する。かかる製造方法では、ま
ず、図2(a)に示すように、抵抗率が略0.1Ω・c
mのp型の下部シリコン層1と、抵抗率が略20Ω・c
mのp型の上部シリコン層2からなるシリコン基板10
を準備する。
【0017】次に、図2(b)に示すように、上部シリ
コン層2の上面にエッチングマスク層16を形成する。
エッチングマスク層16は、後述する電気化学エッチン
グ工程において耐性のある材料であればよい。好適に
は、酸化シリコン、窒化シリコンから形成される。
【0018】次に、図2(c)に示すように、一般的な
フォトリソグラフィ技術を用いてエッチングマスク層1
6を加工して、エッチングマスク6を形成する。続い
て、アルカリ溶液を用いて上部シリコン層2のエッチン
グを行う。これにより、上部シリコン層2の表面に、ス
トライプ状の凹部7が形成される。凹部7は、後に行わ
れるエッチングの開始点を規定する。凹部7の開口幅は
略2μmで、隣接する凹部7の間隔は略5μmである。
なお、凹部7の形成には、上述のようなアルカリ溶液を
用いたエッチングに代えて、プラズマエッチングを用い
ても良い。
【0019】次に、図2(d)に示すように、上部シリ
コン層2のエッチングを行う。エッチング工程は、図3
に示すエッチング装置30を用いて行われる。エッチン
グ装置30は、容器31を含む。容器31には、フッ化
水素酸を15g、ジメチルホルムアミドを270g、水
を15g、テトラブチルアンモニウムパーコレートを3
0g含むエッチング溶液32が満たされている。シリコ
ン基板10は、銅ホルダ33に取り付けられ、上部シリ
コン層2の表面がエッチング溶液32に接触するように
配置される。シリコン基板10と容器31との間は、例
えばOリング34によりシールされる。また、シリコン
基板10の裏面には、電位が均一に印加できるようにア
ルミニウム膜が形成されている。エッチング溶液32中
には、更に白金電極35が設けられ、銅ホルダ33と白
金電極35との間が外部電源36を介して接続される。
シリコン基板10の表面と白金電極35との間隔は略3
cmである。外部電極36により、シリコン基板10が
白金電極35に対して略0.8V高電位に保持される。
かかる状態で、上部シリコン層2を電気化学エッチング
(電解エッチング)すると、凹部7の先端部分近傍に正
孔が吸引され、かかる部分でエッチングが進行する。こ
の結果、図2(d)に示すように、エッチング開始点よ
り表面に対して略垂直方向にエッチングが進行し、上部
シリコン層2に第1エッチング孔15が形成される。
【0020】更に、電気化学エッチングを続けると、図
2(e)に示すように、下部シリコン層1に第2エッチ
ング孔13が形成される。下部シリコン層1では、第1
エッチング孔5の底面を起点として、等方的にエッチン
グが進行する。エッチング時間を適当に調整することに
より、第2エッチング孔13が繋がって中空部3とな
る。中空部3の上方に残された上部シリコン層2は片持
ち梁4となる。下部シリコン層1のエッチング中は、上
部シリコン層2のエッチングは殆ど進行しない。
【0021】このように、本実施の形態にかかる構造体
の製造方法では、中空部3と、中空部3の上に支持され
た可動部である片持ち梁4とが、一回のエッチング工程
で形成できる。また、下部シリコン層1の等方エッチン
グの時間を制御することにより、中空部3の厚み(深
さ)を制御でき、片持ち梁4がシリコン基板に固着する
のを防止できる。なお、下部シリコン層1をエッチング
する等方性エッチングの時間を変化させても第1エッチ
ング孔15(溝部5)の幅は変化しないため、中空部3
のエッチング時間によらず、一定の幅の片持ち梁4が形
成できる。
【0022】また、本実施の形態にかかる構造体では、
可動部である片持ち梁4を含む構造体全体がシリコン基
板より形成されているため、熱膨張係数の違いによる機
械的特性の劣化が防止できる。
【0023】次に、比較例として、シリコン基板10と
は比抵抗の異なるシリコン基板11を用いた構造体の製
造方法について説明する。比較例では、下部シリコン層
1の比抵抗を1Ω・cmとし、上部シリコン層2の比抵
抗を2Ω・cmとした。それぞれの層は、p型シリコン
であり、表面は(100)面である。このような比抵抗
を有するシリコン基板11を用いる以外は、上述の実施
の形態と同様の製造工程を適用して構造体を作製した。
比較例として作製した構造体では、溝部15の幅が、上
述のシリコン基板10を用いた場合より広がり、片持ち
梁4の幅D(図1参照)が、シリコン基板10を用いた
場合の略3分の1となった。また、下部シリコン層1の
エッチング速度は、シリコン基板10の場合の方が、シ
リコン基板11の場合の、略1.5倍と速かった。
【0024】このように、比較例に用いたシリコン基板
11の下部シリコン層1、上部シリコン層2では、電気
化学エッチング工程において、異方性エッチングと等方
性エッチングとが混在するため、エッチング形状やエッ
チング速度の制御が、シリコン基板10を用いた場合に
比べて困難となる。従って、比較例のようなシリコン基
板11を用いた場合であっても、図1のような構造体の
形成は可能であるが、片持ち梁4の機械的強度や、製造
プロセスの迅速性を考慮した場合、シリコン基板10の
ように、下部シリコン層1と上部シリコン層2との比抵
抗の差が大きいシリコン基板を用いた方が好ましい。
【0025】次に、シリコン基板の比抵抗(抵抗率)
と、エッチング形状の関係について説明する。ここで
は、比抵抗が0.1Ω・cmから100.0Ω・cmの
7種類のシリコン基板を用いて、電気化学エッチングを
行い、その断面形状を調べた。シリコン基板のエッチン
グは、上述の図3に示すエッチング装置30を用いて行
った。エッチングに使用したシリコン基板はp型の単一
層からなり、シリコン基板内の比抵抗は略均一とした。
また、エッチング溶液32は、ジメチルホルムアミド溶
液270g、フッ化水素酸15g、テトラブチルアンモ
ニウムパーコレート30g、水45gの組成とした。他
のエッチング条件は、上述のシリコン基板10のエッチ
ング条件と同様とした。以下の表1に、エッチングに用
いたシリコン基板の比抵抗とエッチング形状との関係を
示す。また、図4には、エッチングしたシリコン基板の
断面図を示す。
【0026】
【表1】
【0027】図4において、図4(a)は、エッチング
前のシリコン基板50の断面図であり、表面にはエッチ
ング開始点である凹部7が形成されている。図4(b)
〜(d)は、このような凹部7を形成したシリコン基板
50をエッチングした場合の断面図である。図4(b)
(c)(d)は、比抵抗が高いシリコン基板(100Ω
・cm)、低いシリコン基板(0.1Ω・cm)、及び
それらの中間の抵抗率の基板(1.5Ω・cm)を用い
た場合の断面形状である。
【0028】図4(b)に示すように、比抵抗の高い
(100.0Ω・cm)シリコン基板50を用いた場
合、エッチング開始点である凹部7からシリコン基板5
0の表面に対して略垂直にエッチングが進行し、溝状の
エッチング部51が形成された。これに対して、図4
(c)に示すように、比抵抗の低い(0.1Ω・cm)
シリコン基板50では、凹部から等方的にエッチングが
進み、シリコン基板50の表面がエッチングされ、あた
かもシリコン基板50の表面が研磨されたようなエッチ
ング部52となった。また、比抵抗がこれらの中間
(1.5Ω・cm)であるシリコン基板50を用いた場
合、図4(d)に示すように、垂直異方性と等方性が混
在したエッチング形状のエッチング部53が形成され
た。
【0029】表1に示すように、シリコン基板50の比
抵抗によりエッチング部の形状が異なり、シリコン基板
50の比抵抗が1.5Ω・cm近傍の場合に垂直異方性
と等方性とが混在する。シリコン基板50の比抵抗が
1.0Ω・cmより小さく(低く)なると、エッチング
は等方性となる。一方、シリコン基板50の比抵抗が
2.0Ω・cmより大きく(高く)なると、エッチング
は垂直異方性となる。
【0030】表1に示す実験結果から明らかなように、
シリコン基板を、比抵抗が1Ω・cm以下の下部シリコ
ン層と、比抵抗が2Ω・cm以上の上部シリコン層とか
ら形成し、上述の電気化学エッチングを行うことによ
り、上部シリコン層では垂直異方性エッチングとなり、
下部シリコン層では等方性エッチングとなる。この結
果、一回のエッチング工程で、中空部上に、可動な片持
ち梁を有する構造体の作製が可能となる。
【0031】ここで、シリコン層の比抵抗は、シリコン
層内の不純物濃度を変えることにより調整できる。上部
シリコン層における比抵抗の上限値は、不純物をドーピ
ングしない真性半導体の比抵抗である。即ち、室温にお
けるシリコンの真性半導体の比抵抗である、3×10
Ω・cmとなる。かかる比抵抗のシリコン層であって
も、同様のエッチング特性(垂直異方性エッチング)が
得られる。また、下部シリコン層の比抵抗の下限値は、
不純物添加による結晶の歪みを考慮して、不純物濃度が
略1021cm−3の場合の比抵抗1.0×10−4Ω
・cmとなる。
【0032】図5は、全体が110で表される、本実施
の形態にかかる他の構造体であり、図5(a)は斜視
図、図5(b)は、図5(a)の構造体110をV−V
方向に見た場合の断面図である、図中、図1と同一符号
は同一又は相当箇所を示す。構造体110では、中空部
3の上方に梁部14が形成されているが、かかる梁部1
4は両端が固定されており、可動部にはなっていない。
構造体110は、比抵抗の小さい下部シリコン層1と、
比抵抗の大きな上部シリコン層2とからなるシリコン基
板10に、図2に示す製造工程を適用して作製する。こ
の場合、図2(c)の工程で形成した凹部7は、図5
(a)に示す溝部5に対応する位置、即ち、上部シリコ
ン基板2の一部のみに形成する。これにより、梁部14
の両端が固定され、その下方に中空部3が設けられた構
造体110が作製できる。
【0033】このように、本実施の形態にかかる製造方
法では、両端が固定された梁部14を有する構造体11
0を、一回のエッチング工程で作製できる。
【0034】また、かかる構造体110では、構造体全
体がシリコン基板より形成されているため、熱膨張係数
の違いによる機械的特性の劣化が防止できる。
【0035】
【実施例1】図6は、全体が200で表される加速度セ
ンサの製造工程の断面図である。図6中、左側に上面
図、右側に図6(a)のVI−VI方向に見た場合の断面図
を示す。
【0036】加速度センサ200の製造工程では、ま
ず、図6(a)に示すように、下部シリコン層61の比
抵抗が略0.1Ω・cm、上部シリコン層62の比抵抗
が略20Ω・cmであるp型のシリコン基板を準備す
る。続いて、上部シリコン層62の上に、窒化シリコン
膜63を形成し、一般的なフォトリソグラフィ技術でパ
ターニングを行い、開口部64を形成する。
【0037】次に、図6(b)に示すように、例えばリ
ンイオンを注入イオンに用いたイオン注入により、開口
部64中の上部シリコン層62にn型領域65を形成す
る。即ち、窒化シリコン膜63で覆われていない上部シ
リコン層62に、n型領域65が形成される。
【0038】次に、図6(c)に示すように、エッチン
グマスク層を形成する。エッチングマスク層の材料は、
後述する電気化学エッチングに対して耐性のある材料で
あれば良い。好適には、酸化シリコン膜や窒化シリコン
膜である。続いて、一般的なフォトリソグラフィ法を用
いてエッチングマスク層を加工してエッチングマスク6
6を形成する。更に、エッチングマスク66を用いて、
アルカリ溶液によるシリコン基板60のエッチングを行
う。これにより、上部シリコン層62の表面に、微小な
凹部67が形成される。凹部67は、後のエッチング工
程において、エッチングの開始点となる。なお、凹部6
7の形成には、アルカリ溶液を用いたエッチングのほ
か、プラズマを用いたエッチングを適用しても良い。
【0039】次に、図3に示したエッチング装置30を
用いてシリコン基板60のエッチング工程を行う。エッ
チング工程では、フッ化水素酸を15g、ジメチルホル
ムアミドを270g、水を15g、テトラブチルアンモ
ニウムパーコレートを30g含むエッチング溶液を上部
シリコン層62に接触させる。更に、エッチング溶液中
に、シリコン基板から略3cm離して白金電極を配置
し、白金電極に対してシリコン基板が略0.8V高電位
となるように電圧を印加する。これにより、上部シリコ
ン層62の電気化学エッチングを行う。図6(d)に示
すように、かかるエッチング工程では、エッチング開始
点から表面に対して垂直にエッチングが進行し、上部シ
リコン層62に溝部68が形成される。
【0040】更に、電気化学エッチングを続けると、溝
部68の底面に露出した下部シリコン層61のエッチン
グが始まる。下部シリコン層61のエッチングは等方的
に進み、図6(e)に示すような中空部69が形成され
る。また、中空部69の上方には、上部シリコン層62
からなる可動部70が形成される。このように、本実施
例では、一回の電気化学エッチングで、溝部68と中空
部69とが形成できる。なお、上面図に示すように、可
動部70は、一端が固定部72に固定された片持ち梁か
らなる。
【0041】次に、図6(f)に示すように、エッチン
グマスク66を除去する。続いて、図6(g)に示すよ
うに、n型領域65に接触するように、可動部70およ
び固定部71の上に、金属電極72を形成する。以上の
工程で、加速度センサ200が完成する
【0042】加速度センサ200では、n型領域65が
歪みゲージとして機能する。従って、加速度センサ20
0に加速度が加わり可動部70が撓むと、n型領域65
が、撓みにより生じた歪みを検知する。金属電極72を
介してこれを電気信号として取り出すことにより、加速
度を検知することができる。
【0043】
【実施例2】図7は、全体が300で表される他の加速
度センサの製造工程の断面図である。図7中、左側に上
面図、右側に図7(a)のVII−VII方向に見た場合の断
面図を示す。図中、図6と同一符号は、同一又は相当箇
所を示す。
【0044】加速度センサ300の製造工程では、ま
ず、図7(a)に示すように、実施例い1と同様に、下
部シリコン層61と上部シリコン層62からなるp型の
シリコン基板60を準備する。続いて、上部シリコン層
62の上に、酸化シリコンや窒化シリコンからなるエッ
チングマスク層を形成し、更に、エッチングマスク層を
パターニングして、図7(b)に示すエッチングマスク
73を形成する。
【0045】次に、実施例1と同様に、エッチングマス
ク73を用いて上部シリコン層62の表面をエッチング
し、凹部67を形成する(図7(b))。
【0046】次に、実施例1と同様に、図3に示すエッ
チング装置30を用いて、上部シリコン層62、下部シ
リコン層61をエッチングする(図7(c)(d))。
これにより、中空部69と、中空部69の上方に設けら
れた可動部70が形成される。可動部70は、一端が固
定部71に固定された片持ち梁からなる。
【0047】次に、図7(e)に示すように、化学気相
成長法によりシリコン基板60の表面に、酸化シリコン
等の絶縁膜74を形成する。
【0048】次に、図7(f)に示すように、蒸着法や
スパッタリング法により、シリコン基板60の上面、及
び溝部68の側面に導電膜75を形成する。このとき、
図7(f)に示すように、中空部69の底面の一部に導
電膜75が形成されても構わない。以上の工程で、加速
度センサ300が完成する。
【0049】加速度センサ300では、可動部70の側
面に形成された導電膜75と、溝部68を挟んで固定部
71の側面に形成された導電膜75とが、間に挟まれた
空気層を誘電体層としたキャパシタを形成する。キャパ
シタの容量は、可動部70と固定部71との距離により
変化する。加速度が加わって可動部70が撓むと、キャ
パシタの容量が変化するため、かかるキャパシタの容量
を読み出すことにより、加速度を検知することができ
る。
【0050】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる構造体の製造方法では、中空部と、中空部上に
支持された梁部とが、一回のエッチング工程で形成でき
る。
【0051】また、可動な梁部を形成する場合、梁部と
基板とが固着するのを防止できる。
【0052】また、本発明かかる構造体では、梁部が基
板と同じ材料から形成されるため、両者の熱膨張係数の
違いによる機械的特性の劣化が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかる構造体である。
【図2】 本発明の実施の形態にかかる構造体の製造工
程の断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態にかかる構造体の製造工
程に用いるエッチング装置の概略図である。
【図4】 シリコン基板の断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態にかかる他の構造体であ
る。
【図6】 実施例1にかかる加速度センサの製造工程の
断面図である。
【図7】 実施例2にかかる加速度センサの製造工程の
断面図である。
【図8】 従来の加速度センサの製造工程の断面図であ
る。
【図9】 従来の加速度センサの製造工程の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 下部シリコン層、2 上部シリコン層、3 中空
部、4 片持ち梁、5溝部、6 エッチングマスク、7
凹部、10 シリコン基板、13 第2エッチング
孔、15 第1エッチング孔、16 エッチングマスク
層、100 構造体。
フロントページの続き (72)発明者 堤 和彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 パトリック・ジェイ・フレンチ オランダ2625カーエス、デルフト、クート ラーン40番 Fターム(参考) 4M112 AA02 BA01 BA07 CA21 CA22 CA23 CA25 CA28 DA04 DA08 DA09 DA15 EA03 EA06 EA07 FA08 FA20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空部上に梁部が配置された構造体であ
    って、 比抵抗が略0.0001Ω・cm以上で略1Ω・cm以
    下のp型シリコンからなる下部シリコン層と、 該下部シリコン層上に設けられ、比抵抗が略2Ω・cm
    以上で略300000Ω・cm以下のp型シリコンから
    なる上部シリコン層とを含み、 該上部シリコン層の表面を弗化水素を含むエッチング溶
    液に接触させて該上部シリコン層を貫通する略平行な孔
    部と、該下部シリコン層に形成され隣接する一組の該孔
    部の双方に繋った中空部とが形成され、一組の該孔部に
    挟まれ、該中空部の上に残された該上部シリコン層を梁
    部としたことを特徴とする構造体。
  2. 【請求項2】 上記梁部の両端が、上記下部シリコン層
    の上面に固定されたことを特徴とする請求項1に記載の
    構造体。
  3. 【請求項3】 上記梁部の一の端部が、上記中空部上方
    の中空に保持され、上記下部シリコン層に対する該端部
    の位置が可動であることを特徴とする請求項1に記載の
    構造体。
  4. 【請求項4】 上記梁部の一部に、n型シリコン領域が
    形成されたことを特徴とする請求項3に記載の構造体。
  5. 【請求項5】 上記梁部の側面と、上記孔部を挟み該梁
    部の側面と対向する上記上部シリコン層の側面に、導電
    膜と、該導電層上に積層された絶縁膜とが、それぞれ形
    成されたことを特徴とする請求項3に記載の構造体。
  6. 【請求項6】 中空部上に梁部が配置された構造体の製
    造方法であって、 比抵抗が略0.0001Ω・cm以上で略1Ω・cm以
    下のp型シリコンからなる下部シリコン層と、該下部シ
    リコン層上に設けられ、比抵抗が略2Ω・cm以上で略
    300000Ω・cm以下のp型シリコンからなる上部
    シリコン層とを有するシリコン基板を準備する工程と、 該上部シリコン層の表面を弗化水素を含むエッチング溶
    液に接触させ、かつ、該エッチング溶液に対して該シリ
    コン基板を高電位に保持するエッチング条件の設定工程
    と、 該エッチング条件の下で、該上部シリコン層をエッチン
    グして、該上部シリコン層を貫通し略平行に配置された
    少なくとも一組の孔部を形成し、更に、該孔部の底面に
    露出した該下部シリコン層をエッチングして、一組の該
    孔部の双方に繋った中空部を該下部シリコン層に形成
    し、一組の該孔部に挟まれ、該中空部の上方に残された
    該上部シリコン層から梁部を形成する工程とを含むこと
    を特徴とする構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記設定工程に先立って、上記上部シリ
    コン層の表面の、上記孔部が形成される領域に、予め凹
    部を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6に記
    載の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記上部シリコン層のエッチングが、該
    上部シリコン層の表面に対して略垂直方向に上記孔部を
    形成する異方性エッチングからなり、上記下部シリコン
    層のエッチングが、該孔部の底面に露出した該下部シリ
    コン層を、該底面から等方的にエッチングして上記中空
    部を形成する等方性エッチングからなることを特徴とす
    る請求項6に記載の製造方法。
JP2002088256A 2002-03-27 2002-03-27 構造体の製造方法 Expired - Fee Related JP4150530B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002088256A JP4150530B2 (ja) 2002-03-27 2002-03-27 構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002088256A JP4150530B2 (ja) 2002-03-27 2002-03-27 構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003282887A true JP2003282887A (ja) 2003-10-03
JP4150530B2 JP4150530B2 (ja) 2008-09-17

Family

ID=29234171

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002088256A Expired - Fee Related JP4150530B2 (ja) 2002-03-27 2002-03-27 構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4150530B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005172432A (ja) * 2003-12-05 2005-06-30 Toyota Central Res & Dev Lab Inc マイクロ構造体とその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005172432A (ja) * 2003-12-05 2005-06-30 Toyota Central Res & Dev Lab Inc マイクロ構造体とその製造方法
JP4529431B2 (ja) * 2003-12-05 2010-08-25 株式会社豊田中央研究所 マイクロ構造体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4150530B2 (ja) 2008-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5032501B2 (ja) Memsセンサおよびmemsセンサの製造方法
JP3508025B2 (ja) マイクロメカニカルのシリコン・オン・ガラス音叉ジャイロスコープの製造方法
CN201976248U (zh) 微电子机械系统传声器
CA1202196A (en) Capacitive humidity sensor and method for the manufacture of same
KR19980018478A (ko) 레이트 센서 제조 방법
US5148079A (en) Planar type cold cathode with sharp tip ends and manufacturing method therefor
JP2005512330A (ja) 太陽電池用の薄いシリコンシートを製造する方法
EP1655610A2 (en) Method of manufacturing an external force detection sensor
JP2000031488A5 (ja)
JP3194594B2 (ja) 構造体の製造方法
US5403752A (en) Method for manufacturing a pyrodetector apparatus
JP3198922B2 (ja) 静電容量型センサの製造方法
JP2003282887A (ja) 構造体及びその製造方法
US6702637B2 (en) Method of forming a small gap and its application to the fabrication of a lateral FED
JP4193232B2 (ja) 力学量センサ
US6165835A (en) Method for producing a silicon capacitor
JPS622438B2 (ja)
EP0191052B1 (en) Platinum resistance thermometer and method for forming a platinum resistance thermometer
JP4569167B2 (ja) 外力検知センサの製造方法
JP3424550B2 (ja) 半導体力学量センサの製造方法
JP3128313U (ja) インピーダンスプローブ
JP5026632B2 (ja) マイクロメカニズムの構成部材を製造するための方法
SU1013155A1 (ru) Способ пайки полупроводниковых кристаллов с корпусами приборов
JPH1140820A (ja) 半導体力学量センサの製造方法
CN113562688A (zh) 微机电系统传感器芯片制备方法及其制备的传感器芯片

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080408

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080512

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080624

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080630

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees