JP2003279947A - 光偏向素子、光路切替デバイスおよび画像表示装置 - Google Patents

光偏向素子、光路切替デバイスおよび画像表示装置

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JP2003279947A
JP2003279947A JP2002081903A JP2002081903A JP2003279947A JP 2003279947 A JP2003279947 A JP 2003279947A JP 2002081903 A JP2002081903 A JP 2002081903A JP 2002081903 A JP2002081903 A JP 2002081903A JP 2003279947 A JP2003279947 A JP 2003279947A
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Hidenori Tomono
英紀 友野
Hitoshi Kondo
均 近藤
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光依存性がなく、高速に動作し、3つ以上
の方向に光を偏向させる。 【解決手段】 光偏向素子は、高分子マトリックス中に
液晶材料を分散保持した液晶/高分子複合体10とその
表面に配された透明電極13、14とを有する。出射面
12は、入射面11に対して傾斜するように構成され、
入射光は、偏向角度θをもって出射する。透明電極1
3、14による電圧の制御によって液晶/高分子複合体
10の屈折率を変化させることにより、出射光の偏向角
度θが変化する。透明電極14は、傾斜領域の傾斜方向
に分割した複数の電極として設けられ、各透明電極14
に独立に電圧を印加する。これにより、液晶/高分子複
合体10に印加する電界強度を精密に制御することが可
能となり、出射光の角度分散を小さくすることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気信号によって
光の方向を変える光偏向素子、光路切替デバイスおよび
該光偏向素子または光路切替デバイスを用いた画像表示
装置に関し、プロジェクションディスプレイ、ヘッドマ
ウントディスプレイなどの電子ディスプレイ装置に応用
可能な光路切替素子および光路切替デバイスおよびこれ
らを用いた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気信号などの外部からの信号により光
の光路を偏向、すなわち入射光に対して出射光の光軸を
平行にシフトさせるか、ある角度をもって回転させる
か、あるいはその両者を組み合わせて光路を切り替える
ことが可能な光偏向素子として、従来、KH2PO4(K
DP),NH42PO4(ADP),LiNbO3,Li
TaO3,GaAs,CdTeなど1次の電気光学効果
(ポッケルス効果)の大きな材料や、KTN,SrTi
3,CS2,ニトロベンゼン等の2次の電気光学効果の
大きな材料を用いた電気光学デバイスや、ガラス,シリ
カ,TeO2などの材料を用いた音響光学デバイスが知
られている(例えば、青木昌治編;「オプトエレクトロ
ニックデバイス」、昭晃堂)。これらは、一般的に、十
分大きな光偏向量を得るためには光路長を長く取る必要
があり、また、材料が高価であるため用途が制限されて
いる。一方で、液晶材料を用いた光偏向素子なる光学素
子も各種提案されており、その数例を挙げると、以下に
示すような提案例がある。
【0003】例えば、特開平6−18940号公報によ
れば、光空間スイッチの光の損失を低減することを目的
に、人工複屈折板からなる光ビームシフタが提案されて
いる。内容的には、2枚のくさび形の透明基板を互いに
逆向きに配置し、該透明基板間に液晶層を挟んだ光ビー
ムシフタ、及びマトリクス形偏向制御素子の後面に前記
光ビームシフタを接続した光ビームシフタが提案され、
併せて、2枚のくさび形の透明基板を互いに逆向きに配
置し、該透明基板間にマトリクス駆動が可能で、入射光
ビームを半セルシフトする液晶層を挟んだ光ビームシフ
タを半セルずらして多段接続した光ビームシフタが提案
されている。しかし特開平6−18940号公報例にお
いては、液晶材料にネマチック液晶を用いているため、
応答速度をサブミリ秒にまで速めることは困難であり、
高速なスイッチングが必要な用途には用いることはでき
ない。
【0004】また、特開平9−133904号公報によ
れば、大きな偏向を得ることが可能で、偏向効率が高
く、しかも、偏向角と偏向距離とを任意に設定すること
ができる光偏向スイッチが提案されている。具体的に
は、2枚の透明基板を所定の間隔で対向配置させ、対向
させた面に垂直配向処理を施し、透明基板間にスメクチ
ックA相の強誘電性液晶を封入し、前記透明基板に対し
て垂直配向させ、スメクチック層と平行に交流電界を印
加できるように電極対を配置し、電極対に交流電界を印
加する駆動装置を備えた液晶素子である。即ち、スメク
チックA相の強誘電性液晶による電傾効果を用い、液晶
分子の傾斜による複屈折によって、液晶層に入射する偏
光の屈折角と変位する方向を変化できるようにしたもの
である。しかし特開平9−133904号公報において
は、スメクチックA相の強誘電性液晶を用いているが、
スメクチックA相は自発分極を持たないため、高速動作
は望めない。
【0005】次に、ピクセルシフト素子に関して従来提
案されている技術を数例挙げて説明する。ここでいうピ
クセルシフト素子とは、少なくとも画像情報にしたがっ
て光を制御可能な複数の画素を二次元的に配列した画像
表示素子と画像表示素子を照明する光源と、画像表示素
子に表示した画像パターンを観察するための光学部材
と、画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィ
ールドごとに画像表示素子と光学部材との間の光路を偏
向する光偏向手段とを有し、光偏向手段によりサブフィ
ールドごとの光路の偏向に応じて表示位置がずれている
状態の画像パターンを表示させることで、画像表示素子
の見かけの画素数を倍増して表示する画像表示装置にお
ける光偏向手段を意味する。
【0006】例えば、特許第2939826号公報に示
されるように、表示素子に表示された画像を投影光学系
により、スクリーン上に拡大投影する投影表示装置にお
いて、前記表示素子から前記スクリーンに至る光路の途
中に透過光の偏光方向を旋回できる光学素子を少なくと
も一つ以上と、複屈折効果を有する透明素子を少なくと
も一つ以上有してなる投影画像をシフトする手段と、前
記表示素子の開口率を実効的に低減させ、表示素子の各
画素の投影領域が前記スクリーン上で離散的に投影され
る手段とを備えた投影表示装置がある。
【0007】同公報の例では、偏光方向を旋回できる光
学素子(旋光素子と呼ぶ)を少なくとも一つ以上と複屈
折効果を有する透明素子(複屈折素子と呼ぶ)を少なく
とも一つ以上有してなる投影画像シフト手段(ピクセル
シフト手段)によりピクセルシフトを行っているが、問
題点として、旋光素子と複屈折素子とを組み合わせて使
用するため、光量損失が大きいこと、光の波長によりピ
クセルシフト量が変動し解像度が低下しやすいこと、旋
光素子と複屈折素子との光学特性のミスマッチから、本
来、画像が形成されないピクセルシフト外の位置に漏れ
光によるゴーストなどの光学ノイズが発生しやすいこ
と、素子化のためのコストが大きいことが挙げられる。
特に、複屈折素子に前述したようなKH2PO(DK
P)、NH 2PO(ADP)、LiNbO、L
iTaO、GaAs、CdTeなど一次の電気光学効
果(ポッケルス効果)の大きな材料を使用した場合に顕
著である。
【0008】また、特開平5−313116号公報に示
される投影機においては、制御回路により、画像蓄積回
路に蓄積した本来表示すべき画像を市松状に画像選択回
路へサンプリングして順次空間光変調器に表示し、投影
させ、さらに、制御回路により、この表示に対応させて
パネル揺動機構を制御して空間光変調器の隣接画素ピッ
チ距離を整数分の一ずつ移動させることで、本来表示す
べき画像を時間的な合成により再現するようにしてい
る。これにより、空間光変調器の画素の整数倍の分解能
で画像を表示可能にするとともに、画素の粗い空間光変
調器と簡単な光学系を用いて安価に投影機を構成可能と
している。
【0009】ところが、同公報の例では、画像表示用素
子自体を画素ピッチよりも小さい距離だけ高速に揺動さ
せるピクセルシフト方式が記載されており、この方式で
は、光学系は固定されているので諸収差の発生が少ない
が、画像表示素子自体を正確かつ高速に平行移動させる
必要があるため、可動部の制度や耐久性が要求され、振
動や音が問題となる。
【0010】さらに、特開平6−324320号公報に
よれば、LCDなどの画像表示装置の画素数を増加させ
ることなく、表示画像の解像度を見かけ上向上させるた
め、縦方向および横方向に配列された複数個の画素のお
のおのが、表示画素パターンに応じて発光することによ
り画像が表示される画像表示装置と、観測者またはスク
リーンとの間に光路をフィールドごとに偏向する光学部
材を配し、また、フィールドごとに、前記光路の偏向に
応じて表示位置がずれている状態の表示画素パターンを
画像表示装置に表示させるようにしている。ここに、屈
折率が異なる部位が画像情報のフィールドごとに交互に
画像表示装置と観測者またはスクリーンとの間の光路中
に現れるようにすることで、前記光路の偏向が行われる
ものである。
【0011】同公報の例では、光路を偏向する手段とし
て、電気光学素子と複屈折材料との組み合わせ機構、レ
ンズシフト機構、バリアングルプリズム、回転ミラー、
回転ガラスなどが記述されており、上記旋光素子と複屈
折素子を組み合わせてなる方式の他に、ボイスコイル、
圧電素子などによりレンズ、反射板、複屈折板などの光
学素子を変位(平行移動または傾斜)させて光路を切り
替える方式が提案されているが、この方式では、光学素
子を駆動するために構成が複雑となり、コストが高くな
る。
【0012】また、特開平10−133135号公報に
よれば、回転機械要素を不要化でき、全体の小型化、高
精度・高分解能化を実現でき、しかも外部からの振動の
影響を受けにくい光ビーム偏向装置が提案されている。
具体的には光ビームの進行路上に配置される透光性の圧
電素子と、この圧電素子の表面に設けられた透明の電極
と、圧電素子の光ビーム入射面Aと光ビーム出射面Bと
の間の光路長を変化させて光ビームの光軸を偏向させる
ために電極を介して圧電素子に電圧を印加する電圧印加
手段とを備えている。
【0013】同公報の例では、透光性の圧電素子を透明
の電極で挟み、電圧を印加することで厚みを変化させて
光路をシフトさせる方式が提案されているが、比較的大
きな透明圧電素子を必要とし装置コストがアップするな
ど、前述の特開平6−324320号公報の場合と同様
の問題点がある。
【0014】本発明者らは、上記の従来技術では不充分
であった高速性を改善し、構成の簡素化と低コスト化を
目的に、先に透明な一対の基板と、これら基板間に充填
された液晶/高分子複合体と、一対の前記基板と前記液
晶/高分子複合体との間に形成された電極対による電界
印加手段とを備え、光の入射方向が基板面法線方向と異
なる方向に設定されている光偏向素子および、透明な一
対の基板と、これらの基板間に充填された液晶/高分子
複合体と、少なくとも一組以上の電界印加手段とを備
え、前記液晶/高分子複合体を挟む前記両基板面が光偏
向方向に対応して傾斜して対向する光偏向素子および、
光進行方向上に所定距離を隔てて上記の光偏向素子を二
組備える光路切替デバイスを提供した。
【0015】上記本発明者らが提供した光偏向素子およ
び光路切替デバイスでは、液晶/高分子複合体を用いて
いるので上記従来技術と比べて高速なスイッチングが可
能であるが、電極間隔が非平行なため、液晶/高分子複
合体に印加される電界強度は均一ではなかった。そのた
め入射した光を角度分散なく偏向させるには、電界を印
加せず液晶分子がランダムな方向を向いている状態か、
充分強い電界を印加して液晶分子の配向が光の入射領域
全体にわたって飽和している状態の二つの状態で切り替
えることしかできなかった。すなわち、光の偏向方向と
しては2値しか取ることができなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決し、3つ以上の方向に光を偏向させる高速な光偏向
素子、光路切替デバイスおよび該光偏向素子または光路
切替デバイスを用いた画像表示装置を提供することを目
的とする。より具体的には、(1)偏光依存性がなく、
高速に動作し3つ以上の方向に光を偏向させる簡易な構
成の光偏向素子を提供すること(請求項1)、(2)光
偏向方向を精密に制御できる光偏向素子を提供すること
(請求項2)、(3)簡易な駆動回路で駆動することが
できる光偏向素子を提供すること(請求項3)、(4)
簡易な構造の光偏向素子を提供すること(請求項4)、
(5)上記に加え、さらに、高速で動作する光偏向素子
を提供すること(請求項5)、(6)光偏向角の大きな
光偏向素子を提供すること(請求項6)、(7)上記に
加えて大面積でも光路シフトが可能であり、低電圧で駆
動可能な光偏向素子を提供すること(請求項7)、
(8)安定性の高い光偏向素子を提供すること(請求項
8)、(9)光路を平行に偏向させる光路切替デバイス
を提供すること(請求項9)、(10)低コストな光路
切替デバイスを提供すること(請求項10)、(11)
入射光の波長が変化しても一定の光路シフト量が得られ
る光路切替デバイスを提供すること(請求項11)、
(12)入射光の波長が変化しても一定の光路シフト量
が得られる光路切替デバイスを提供すること(請求項1
2)、(13)光路を直交する二方向にシフトさせるこ
とができる光路切替装置を提供すること(請求項1
3)、(14)画素数の少ない画像表示素子を用いて、
見かけ上高精細で光利用効率の高い画像表示装置を提供
すること(請求項14)、をその目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、高分
子マトリクス中に液晶材料を分散保持した液晶/高分子
複合体と、該液晶/高分子複合体の屈折率を変化させる
ための電圧を印加する光透過性の電極とを有し、該液晶
/高分子複合体の屈折率の変化に応じて入射光に対する
出射光の偏向角度が変化する光偏向素子であって、前記
液晶/高分子複合体は、光路上で対向する二面におい
て、一方の面が他方の面に対して所定の角度で傾斜する
傾斜領域を有し、前記電極は、前記対向する二面の表面
に配されている光偏向素子において、前記液晶/高分子
複合体に概略均一な強度の電界を印加する手段を有する
ことを特徴としたものである。
【0018】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電界を
印加する手段として、前記傾斜領域における前記対向す
る二面の少なくとも一方の面に、傾斜方向に分割した複
数の透明電極を設け、前記各透明電極に独立に電圧を印
加することを特徴としたものである。
【0019】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、前記液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電界を
印加する手段として、前記傾斜領域における前記対向す
る二面の少なくとも一方の面に、傾斜方向に分割した複
数の透明電極を設け、該透明電極に対して共通に配され
た抵抗の高い透明電極によって個々の前記透明電極に電
圧を印加することを特徴としたものである。
【0020】請求項4の発明は、請求項1の発明におい
て、前記液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電界を
印加する手段として、抵抗の高い透明電極を入射光が入
射する入射領域の全面に形成し、該抵抗の高い透明電極
の傾斜方向の両端部に電圧を印加することを特徴とした
ものである。
【0021】請求項5の発明は、請求項1乃至4のいず
れか1の発明において、液晶が入射光の波長程度以下の
粒径を有するドロップレットであることを特徴としたも
のである。
【0022】請求項6の発明は、請求項1乃至5のいず
れか1の発明において、電圧無印加時に全ての液晶分子
が概略一方向に配列していることを特徴としたものであ
る。
【0023】請求項7の発明は、請求項1乃至6のいず
れか1の発明において、前記傾斜領域における対向する
二面のうちの一方は、断面が鋸歯形状の周期構造を有す
ることを特徴としたものである。
【0024】請求項8の発明は、請求項1乃至7のいず
れか1の発明において、前記液晶/高分子複合体の前記
対向する二面の表面に保持基板を設けることを特徴とし
たものである。
【0025】請求項9の発明は、請求項1乃至8のいず
れか1の発明において、二つ有する光路切替デバイスで
あって、第一の光偏向素子で偏向された光が、一定間隔
をおいて設置された第二の光偏向素子によって入射光と
平行になるように該第一の光偏向素子および該第二の光
偏向素子が配置されていることを特徴としたものであ
る。
【0026】請求項10の発明は、請求項9の発明にお
いて、前記光偏向素子を前記第一の光偏向素子と前記第
二の光偏向素子として請求項8に記載の前記第一の光偏
向素子の出射側保持基板と前記第二の光偏向素子の入射
側保持基板とが一枚の基板によって一体に構成されてい
ることを特徴としたものである。
【0027】請求項11の発明は、請求項9または10
の発明において、入射光の波長に応じて前記第一の光偏
向素子と前記第二の光偏向素子に印加する電圧を制御す
る電圧制御機構を有することを特徴としたものである。
【0028】請求項12の発明は、請求項9または11
の発明において、入射光の波長に応じて前記第一の光偏
向素子と前記第二の光偏向素子との間隔を変動させる変
動機構を有することを特徴としたものである。
【0029】請求項13の発明は、請求項9乃至12の
いずれか1の発明において、2つ有する光路切替装置で
あって、第一の光路切替デバイスの前記傾斜領域の最大
傾斜方向と、第二の光路切替デバイスの前記傾斜領域の
最大傾斜方向とがおおむね直交するように配置されてな
ることを特徴としたものである。
【0030】請求項14の発明は、少なくとも、画像情
報にしたがって光を制御することが可能な複数の画素を
二次元的に配列した画像表示素子と、該画像表示素子を
照明する光源と、前記画像表示素子に表示した画像パタ
ーンを観察するための光学部材と、画像フィールドを時
間的に分割した複数のサブフィールドごとに前記画像表
示素子と前記光学部材の間の光路を偏向する請求項9乃
至12のいずれか1に記載の光路切替デバイスまたは請
求項13に記載の光路切替装置による光路切替手段とを
備えることを特徴としたものである。
【0031】なお、本明細書において、平行でない所定
の角度で対応する二面のうち、いずれかまたは両方の面
内の領域を傾斜領域とし、上記所定の角度をもって二面
が傾斜する方向を傾斜方向として説明する。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、高分子マトリク
ス中に液晶材料を分散保持した液晶/高分子複合体の対
向する二面が所定の角度で対向するような傾斜領域を有
し、前記対向する二面の表面に光透過性の電極を設けて
なる光偏向素子において、液晶/高分子複合体に概略均
一な強度の電界を印加することを特徴とする光偏向素子
にある(請求項1)。
【0033】光が液晶/高分子複合体の所定の角度(α
とする)で対向する二面のうちの一面(入射面と記す)
から入射して、対向する面(出射面と記す)から出射す
るとすると、この二面は所定の角度で対向しているの
で、入射光は液晶/高分子複合体の屈折率と空気の屈折
率および入射時の入射角で決まる角度だけ偏向する。い
ま、入射光が入射面に垂直に入射する場合を考えると、
次の式(1)の関係がある。 n・sinα=sin(θ+α)・・・(1)
【0034】ここでnは液晶/高分子複合体の屈折率、
θは入射光に対する出射光の偏向角である。式(1)か
らわかるように、液晶/高分子複合体の屈折率が変化す
ると偏向角θが変化する。後述するように、液晶/高分
子複合体は光路に対して垂直に電界を印加する場合には
入射光の偏光状態に依存せずに高速で屈折率を変えるこ
とができる。液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電
界を印加することで、光の入射領域全体にわたって屈折
率が概略一定となるので出射光を角度の分散なく偏向さ
せることが可能となる。
【0035】液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電
界を印加する手段としては、傾斜領域の傾斜方向に分割
した複数の透明電極を設け、各透明電極に独立に電圧を
印加することが好ましい(請求項2)。傾斜領域の傾斜
方向に分割して設けた複数の透明電極に独立に電圧を印
加することで、液晶/高分子複合体に印加する電界強度
を精密に制御することが可能となり、出射光の角度分散
を小さくすることができる。
【0036】また、液晶/高分子複合体に概略均一な強
度の電界を印加する手段として、傾斜領域の傾斜方向に
分割した複数の透明電極を設け、該透明電極に対して抵
抗の高い透明電極によって分割された電圧を印加するこ
とが好ましい(請求項3)。分割した透明電極には液晶
/高分子複合体の厚さに応じた電圧を印加しなければな
らないが、各透明電極へ印加する電圧の調整は高抵抗透
明電極による電圧降下によって自動的に行われる。した
がって、光偏向素子へは高抵抗透明電極の両端に印加す
る電圧を供給するだけでよく、簡易な駆動回路で光偏向
素子を駆動することができる。
【0037】液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電
界を印加する手段として、抵抗の高い透明電極を入射領
域全面に形成し、該透明電極の傾斜方向の両端部に電圧
を印加することが好ましい(請求項4)。透明電極とし
ては抵抗の高い透明電極を光入射領域全面に形成すれば
よいので簡易な構造で作製が容易となる。
【0038】液晶/高分子複合体としては、例えば液晶
材料を高分子被膜で包含した微小なカプセルをバインダ
ー樹脂を用いて接合したものや、液晶材料と高分子材料
(あるいはその前駆体)の混合体から液晶材料を相分離
させた、いわゆる高分子分散液晶などがある。いずれに
してもその構造は液晶ドロップレットを高分子マトリク
ス中に分散したものとなり、その応答速度は液晶ドロッ
プレットの粒径を小さくするにつれて速くなることが実
験的にわかっており、特に入射光の波長程度以下の粒径
にすることが、散乱が減少し光透過率が高くなる、すな
わち光損失が著しく小さくなることから好ましい(請求
項5)。
【0039】液晶は電圧無印加時に全ての液晶分子が概
略一方向に配列していることが好ましい。この方向を電
圧印加時に液晶分子が揃う方向(電界方向)とほぼ直交
させることにより大きな屈折率差が得られるため、偏向
角の変化量を大きくすることが可能となる(請求項
6)。
【0040】前記の傾斜領域は、断面が鋸歯形状の周期
構造であることが望ましい。これにより、傾斜領域が大
きくなっても入射面と出射面との面間隔がほぼ一定とな
るので、大面積の光偏向素子を形成することが容易とな
る(請求項7)。
【0041】さらに、光路となる前記液晶/高分子複合
体の対向する二面の表面に保持基板を設けることで液晶
/高分子複合体の保持性および表面の面精度が向上した
り、液晶/高分子複合体が保護されるため、高信頼性が
得られる(請求項8)。
【0042】本発明の別の形態は、上記の光偏向素子を
二つ用いて、第一の光偏向素子で偏向された光が一定間
隔をおいて設置された第二の光偏向素子に入射し、第二
の光偏向素子を出射した光が元の入射光と平行になるよ
うに第一の光偏向素子と第二の光偏向素子が配置されて
いることを特徴とする光路切替デバイスである(請求項
9)。これによって、光路を平行に切り替えることが可
能となる。
【0043】さらに、上記光路切替デバイスのうち、保
持基板を設けた光偏向素子を用いた光路切替デバイスに
おいて、第一の光偏向素子の出射側保持基板と第二の光
偏向素子の入射側保持基板とが一枚の基板で一体的に構
成されていることを特徴としている(請求項10)。こ
れにより、低コストな光路切替デバイスを提供すること
ができる。
【0044】また、別の形態は、上記光路切替デバイス
で、入射光の波長に応じて第一の光偏向素子と第二の光
偏向素子に印加する電圧を制御する電圧制御機構を有す
ることを特徴としている(請求項11)。これにより、
入射光の波長が変化しても一定の光路シフト量が得られ
る光路切替デバイスを提供することができる。
【0045】さらにべつの形態では、上記光路切替デバ
イスで、入射光の波長に応じて前記第一の光偏向素子と
前記第二の光偏向素子との間隔を変動させる変動機構を
有することを特徴としている(請求項12)。これによ
り、入射光の波長が変化しても一定の光路シフト量が得
られる光路切替デバイスを提供することができる。
【0046】本発明のさらに別の形態は、上記の光路切
替デバイスを二つ用いて、第一の光路切替デバイスの傾
斜領域の最大傾斜方向と、第二の光路切替デバイスの傾
斜領域の最大傾斜方向とがおおむね直交するように配置
されてなることを特徴とする光路切替装置である(請求
項13)。これにより、直交する二方向に独立に光路を
切り替えることが可能となる。
【0047】さらに、二次元の画像表示素子の画像を、
上記の光路切替デバイスまたは光路切替装置を用いて、
画像フィールドを時間分割した複数のサブフィールドご
とに光路切替を行うことで、画像表示素子の画素数以上
の画像を形成することが可能となる(請求項14)。画
像表示素子は画素数が多くなると歩留まりその他の問題
などで、製作することが困難となってくる。しかし、本
発明を用いることで、比較的容易に画素数を増大するこ
とが可能となる。
【0048】実施の形態1(請求項1、請求項2、請求
項5の発明) 図1は、本発明の第1の実施の形態を説明するための図
である。入射面11および出射面12が所定の角度αを
もって対向している液晶/高分子複合体10の入射面1
1に光線15を入射する。前述の式(1)に示したよう
に、光線15は出射面12で液晶/高分子複合体10の
屈折率nとその周りの雰囲気(通常は空気)の屈折率お
よび入射面11と出射面12とのなす角αで決まる角度
θだけ、入射光に対して偏向される。液晶/高分子複合
体10の屈折率が変化するとそれに応じて偏向角θが変
化する。液晶/高分子複合体10の屈折率を変化させる
ために、入射面11全面に透明電極13、出射面12の
傾斜方向に分割した複数の透明電極14が設けられてい
る。なお、図では出射面側に分割した透明電極を設けて
いるが、出射面に全面ベタの透明電極、入射面に分割し
た透明電極を設けても構わない。
【0049】本発明の液晶/高分子複合体10は、液晶
材料を高分子マトリクス中に分散保持した液晶/高分子
複合体であり、より具体的には図2に示すように液晶ド
ロップレット16をポリマー17中に分散した高分子分
散液晶である。以下に高分子分散液晶についてさらに詳
しく述べる。
【0050】液晶材料としてはネマティック液晶、スメ
クティック液晶、コレステリック液晶等を用いることが
でき、単一もしくは2種類以上の液晶性化合物や液晶性
化合物以外の物質も含んだ混合物であってもよい。高分
子マトリクス材料としては透明なポリマーが好ましく、
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれで
あってもよい。高分子分散液晶の製法としては、(1)
液晶と熱あるいは光硬化(重合)性モノマーやオリゴマ
ーもしくはプレポリマーで溶液を作り、重合によって相
分離させる重合相分離法、(2)液晶と高分子と溶剤で
溶液を作り、溶剤を蒸発させることによって相分離させ
る溶媒蒸発相分離法、(3)液晶と熱可塑性高分子を加
熱溶解させた後、冷却によって相分離させる熱相分離法
などを用いることができる。
【0051】ポリマーとしては、製造工程の容易さ、液
晶相との分離性等の点から紫外線硬化型の樹脂を用いる
のが好ましい。具体的な例として紫外線硬化性アクリル
系樹脂が例示され、特に紫外線照射によって重合硬化す
るアクリルモノマー、アクリルオリゴマーを含有するも
のが好ましい。このようなモノマーまたはオリゴマーと
しては(ポリ)エステルアクリレート、(ポリ)ウレタ
ンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリブタジエ
ンアクリレート、シリコーンアクリレート、メラミンア
クリレート、(ポリ)ホスファゼンメタクリレート等が
ある。その他の例として、チオール−エン系も光硬化速
度が速いことから好適に使用できる。
【0052】重合を速やかに行うために光重合開始剤を
用いてもよく、この例としてジクロロアセトフェノンや
トリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類、1-ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノ
ン、ミヒラーケトン、ベンゾイル、ベンゾインアルキル
エーテル、ベンジルジメチルケタール、モノサルファイ
ド、チオキサントン類、アゾ化合物、ジアリルヨードニ
ウム塩、トリアリルスルフォニウム塩、ビス(トリクロ
ロメチル)トリアジン化合物等を挙げることができる。
【0053】透明電極13、14には、金属の薄膜蒸着
膜やITOなど公知の材料を用いることができる。図2
(A)に示すように、電界を印加していない場合には、
液晶/高分子複合体10中の液晶ドロップレット16
は、液晶分子のダイレクタがランダムな方向を向いてお
り、全体としては無配向の状態、すなわち屈折率は等方
的となっている。図2(B)に示すように電界18を印
加すると、液晶ドロップレット16中の液晶分子のダイ
レクタはほぼ一方向に配列する。図2では電界方向に配
列する液晶の例を示している。このとき屈折率は液晶ダ
イレクタの配向した方向には大きく、液晶ダイレクタと
垂直な方向には小さくなる。いま、電界18と平行に光
路を取るとすると、光路に垂直な面内の屈折率は等方的
に小さくなる。
【0054】以上のように、電界と平行な方向に光路を
取ると、液晶/高分子複合体10に電界を印加すること
で、光の偏光に依存することなく屈折率を変化させるこ
とができる。液晶/高分子複合体10の成形は、紫外線
透過性の型に充填して紫外線を照射することで、型の形
状を転写してもよいし、後加工で所望の形状に加工して
も構わない。
【0055】高分子分散液晶における液晶ドロップレッ
トの大きさは、プレポリマーの組成、液晶の混合濃度、
硬化時の紫外線強度等を変えることによって変化させる
ことができる。図3は、液晶ドロップレットサイズと応
答速度との関係を示したものである。液晶材料として、
E7およびBL24(メルク社)、プレポリマーとし
て、NOA60,65および81(ノーランド社)を適
宜用いた。応答速度の測定は図4に示す装置を用いて、
試料24にパルス電圧(200V)を印加した時の光出
力の立ち上がり時間(Ton)と立ち下がり時間(To
ff)を測定した。ただし、図3には、液晶ドロップレ
ットのサイズの影響をより顕著に受ける立ち下がり時間
(電圧をオンからオフにしたときの時間)だけを示して
いる。なお、図4において、21はレーザ、22は偏光
子、23、24はレンズ、25はAu電極、26は高分
子分散液晶層、27はSi基板、28は試料、29は検
光子、30はパワーメータである。立ち上がり時間(電
圧をオフからオンにした時の時間)は主に電界強度に依
存し、本光偏向素子を駆動する電界強度では立ち上がり
時間は立ち下がり時間よりも速いため、立ち下がり時間
で本光偏向素子の応答特性を表すことができる。なお、
試料28は高分子分散液晶層の厚さを20μm、光路長
を1mmとした。高分子分散液晶に電界が印加されてい
ない時と印加されている時の様子は前述したように図2
に示すとおりである。
【0056】高分子分散液晶に電界が印加されていない
時には液晶ドロップレットの向きはランダムであるの
で、x軸、y軸、z軸方向の屈折率はどれも等しく、層
全体が光学的に等方な媒体になっている。z軸方向に電
界を印加すると、液晶分子の分子軸がこの方向にそろう
ため、z軸方向の屈折率は大きくなり、x軸およびy軸
方向の屈折率はお互いに等しいまま、その大きさが小さ
くなる。図4のように光が電界方向とは垂直のx軸方向
から入射される場合、yz平面に複屈折が生じるために
偏光状態を変化させることができ、検光子を通した光出
力が変化する。本発明ではこのような複屈折現象は利用
しないが、電界印加時の液晶分子の挙動とそれに伴う屈
折率変化を利用するので、図3の応答速度は本発明にお
いても同様に適用できる。図3から液晶ドロップレット
サイズが小さくなるにつれて応答速度が速くなることが
わかる。
【0057】さらには、液晶ドロップレットの粒径を入
射光の波長程度以下、より望ましくは1/2以下にする
ことが光透過率の観点から好ましい。以下にレイリー散
乱理論から光透過率を計算した結果を示す。体積Vの球
形散乱体が数密度Nで存在する場合、厚さLの媒体の光
透過率Tは下記式(2)のように表される。 T=exp(-NRL),R=24π3((m2-1)/(m2+2))2V24 …(2)
【0058】ここで、Rは散乱断面積、mは散乱体の屈
折率と媒体の屈折率の比、λは使用する光の波長であ
る。m=1.05、L=3μmとした時の透過率Tを散
乱体すなわち液晶ドロップレットの粒径d、体積分率
(=NV)および波長λをパラメータとして計算した。
式からわかるようにdが大きくなる(すなわちVが大き
くなる)ほど、またλが小さくなるほどTが減少する。
また、透過率としては、80%(T=0.8)以上であ
ることが光利用効率の点から好ましい。図5はT=0.
8となる粒径を体積分率が10%(d(0.1))、3
0%(d(0.3))および50%(d(0.5))の場
合について、波長に対してプロットしたものである。体
積分率が小さいと屈折率変化量が小さく偏向角が小さく
なるので、体積分率は10%以上が好ましく、30〜5
0%程度がより好ましい。これ以上の体積分率では作製
が極めて困難になる。この観点から、図5より、光偏向
素子として適用される可視〜赤外領域の波長に対して
は、dが波長λ程度以下であるのが好ましく(d(0.
1)の時)、λ/2以下であることがより好ましい(d
(0.5)の時)ことがわかる。なお、この計算ではm
およびLを固定したが、実デバイスにおいてはこれより
小さい値であると考えられるため、上記の粒径範囲であ
れば問題はない。
【0059】具体的な例を示す。ネマティック液晶BL
24(no=1.513,ne=1.717,メルク社)
を紫外線硬化性プレポリマーNOA81(ノーランド
社)に溶解(液晶重量濃度45%)し、紫外線(400
mW/cm2)を照射したもの(液晶ドロップレットの
平均粒径は約60nm)を用いて、液晶/高分子複合体
の厚さは薄い部分で3μm、厚い部分で6μm、入射面
と出射面とのなす角が1°の光偏向素子を形成した。透
明電極は出射側の傾斜面に幅30μm、間隔5μmで5
本設けた。
【0060】無偏光のレーザ光(He−Neレーザ:波
長0.6328μm)を入射したところ、電界を印加し
ていないときには、偏向角は0.57°だった。また、
液晶/高分子複合体の厚さの厚い側の電極から順に90
V、79V、68V、56V、45Vの電圧(電界強度
15V/μm)を印加したときには偏向角が0.54°
となった。さらに液晶/高分子複合体の厚さの厚い側の
電極から順に42V、37V、32V、26V、21V
の電圧(電界強度7V/μm)を印加したときには偏向
角が0.555°となった。以上のように印加する電界
強度によって3方向に光を偏向することができた。ま
た、このとき光路偏向に要した時間は10μsのオーダ
ーであり、非常に高速に光路偏向を行うことができた。
さらに、偏光子を使って入射光を偏光とし、偏光方向を
様々な方向に変えて入射させても、無偏光光を入射させ
た場合と同様に光路偏向を行うことができた。なお、本
例では3方向の偏向制御を示したが、液晶/高分子複合
体に印加する電界強度を制御することで、4方向以上の
偏向制御も可能である。
【0061】実施の形態2(請求項3の発明) 図6及び図7は、本発明の第2の実施の形態を説明する
ための図である。本実施の形態は、図6に示すように分
割して設けた透明電極14の両端部に高抵抗の透明電極
31を設け、高抵抗透明電極31の両端部に電圧を印加
するように構成する。このような構成により、図7に示
すように、分割した透明電極14に対して電圧降下に応
じた電圧が印加される。なお図6では分割して設けた透
明電極14の両端に高抵抗透明電極31を設けている
が、分割して設けた透明電極14の片側の端部だけに高
抵抗透明電極31を設けても構わない。
【0062】具体例を示す。第一の実施の形態と同じ材
料および方法で、光偏向素子を作製した。液晶/高分子
複合体10の厚さは薄い部分で3μm、厚い部分で6μ
m、入射面11と出射面12とのなす角が1°の光偏向
素子を形成した。透明電極14は出射側の傾斜面に幅3
0μm、間隔5μmで5本設け、その両端部に高抵抗の
透明電極31を設けた。抵抗値は厚さを薄くすることで
高抵抗化し、電圧印加端子(A)32と電圧印加端子
(B)33の間の抵抗値が9kΩとなるようにした。
【0063】無偏光のレーザ光(He−Neレーザ:波
長0.6328μm)を入射したところ、電界を印加し
ていないときには、偏向角は0.57°だった。また、
液晶/高分子複合体10の厚さの厚い側の電圧印加端子
(電圧印加端子(B)33)に90V、液晶/高分子複
合体10の厚さの薄い側の電圧印加端子(電圧印加端子
(A)32)に45Vの電圧を印加したときには液晶/
高分子複合体10には15V/μmのほぼ均一な強度の
電界が印加され、偏向角が0.54°となった。さらに
電圧印加端子(B)33に42V、電圧印加端子(A)
32に21Vを印加したときには液晶/高分子複合体1
0には7V/μmの強度の電界が印加され、偏向角が
0.555°となった。以上のように第一の実施の形態
の場合と同じように印加する電圧によって3つの方向に
光を偏向することができた。
【0064】実施の形態3(請求項4の発明) 図8は、本発明の第3の実施の形態を説明するための図
である。本実施の形態は、出射側の傾斜面に高抵抗の透
明電極34を形成し、液晶/高分子複合体10の厚さの
厚い側と薄い側の端部に低抵抗の透明電極35を形成す
る。低抵抗透明電極35は高抵抗透明電極34の傾斜面
に垂直な方向に均一に電圧を印加するために設けてあ
る。低抵抗の透明電極35間に電圧を印加すると高抵抗
の透明電極34には電圧勾配が発生する。印加する電圧
を調整することで、液晶/高分子複合体10を挟んで対
向する透明電極13との間に印加される電界を概略均一
にすることができる。
【0065】具体例を示す。第1の実施の形態と同じ材
料および方法で、光偏向素子を作製した。液晶/高分子
複合体の厚さは薄い部分で3μm、厚い部分で6μm、
入射面と出射面とのなす角が1°の光偏向素子を形成し
た。高抵抗の透明電極34は電圧印加端子間の抵抗値が
9kΩとなるようにした。
【0066】無偏光のレーザ光(He−Neレーザ:波
長0.6328μm)を入射したところ、電界を印加し
ていないときには、偏向角は0.57°だった。また、
液晶/高分子複合体10の厚さの厚い側の電圧印加端子
(電圧印加端子(B)33)に90V、液晶/高分子複
合体10の厚さの薄い側の電圧印加端子(電圧印加端子
(A)32)に45Vの電圧を印加したときには液晶/
高分子複合体10には15V/μmのほぼ均一な強度の
電界が印加され、偏向角が0.54°となった。さらに
電圧印加端子(B)33に42V、電圧印加端子(A)
32に21Vを印加したときには液晶/高分子複合体1
0には7V/μmの強度の電界が印加され、偏向角が
0.555°となった。以上のように第一の実施の形態
の場合と同じように印加する電圧によって3つの方向に
光を偏向することができた。
【0067】実施の形態4(請求項6の発明) 図9は、本発明の第4の実施の形態を説明するための図
である。本実施の形態は、液晶/高分子複合体10中の
液晶ドロップレット16に含まれる液晶分子が概略一方
向に配列している(図9(A))。この配列方向は電界
印加時(図9(B))に液晶分子が揃う方向(電界方
向)とほぼ直交する方向にする。図9(A)では光路に
垂直で紙面に平行な方向に配向させている(図のz方
向)。
【0068】このとき液晶/高分子複合体10の屈折率
は光路に垂直な方向に大きく、光路方向は小さい値とな
る。電界を印加すると(図9(A))液晶分子は電界方
向(図のx方向)に配向する。このときの液晶/高分子
複合体10の屈折率は光路方向に大きく、光路に垂直な
方向には小さくなる。したがって、入射光を直線偏光と
し、偏光方向を電圧を印加していないときの液晶分子の
配向方向(図のz方向)にすると、電界のオン・オフに
よる入射光に対する屈折率変化は実施の形態1の場合よ
りも大きな値となるので、偏向角θの変化量を大きくす
ることができる。
【0069】具体的な例を示す。第一の実施の形態と同
じ材料および処方の高分子液晶を用いて、紫外線を照射
して重合するときに図のz方向に電界を印加することで
図9(A)のように液晶ドロップレット16内の液晶分
子を配向させた。電極の構成は第一の実施の形態と同じ
とした。z方向に偏光したレーザ光(He−Neレー
ザ、波長0.6328μm)を入射したところ、電界を
印加していないときには偏向角は0.61°であり、第
一の実施の形態と同様に電界強度15V/μmの電界を
印加したときには偏向角が0.54°、電界強度7V/
μmの電界を印加した時には0.575°となり、印加
する電界強度によって3つの方向に光を偏向することが
できた。
【0070】実施の形態5(請求項7の発明) 図10は、本発明の第5の実施の形態を説明するための
図で、光偏向素子の異なる構成例を各々図10(A),
図10(B)に示すものである。入射面11を基準とし
たとき、基準面と該基準面に対して傾斜して設けられる
傾斜面(ここでは出射面12)とのなす角をα、基準面
と平行な方向における上記傾斜面の長さをL、傾斜面に
おける基準面からの距離の差の最大値を最大段差dとす
るとき、傾斜領域を形成する方法として図10(A)に
示したように一つの斜面で形成する場合には、最大段差
dはLtanαとなり、傾斜領域の長さLが長くなると
最大段差dも大きくなってしまう。液晶/高分子複合体
10に電界を印加する電極は液晶/高分子複合体10の
表面に設けているため、最大段差dが大きくなると電界
強度が低くなり液晶/高分子複合体10の屈折率変化量
が小さくなって屈折率変化量が不足する。あるいは充分
な屈折率変化を得るために非常に高い電圧を印加しなけ
ればならなくなる。また、電極間隔が場所によって変わ
るので、印加電界の強度が場所によって変わってしま
い、屈折率変化に分布が発生してしまう。そこでより低
電圧で均一に電界を印加するために図10(B)に示す
ように断面が鋸歯形状の周期構造を設ける。これにより
大面積になっても最大段差を小さくすることができるの
で、低電圧で駆動することが可能となる。
【0071】具体例を示す。実施の形態1と同様の材料
および方法で厚い部分が2μm、薄い部分が1μm、鋸
歯形状のピッチが57μm、入射面11と出射面12の
なす角が1°の光偏向素子を形成した。電極の構成は実
施の形態2と同じにした。液晶/高分子複合体10への
印加電界強度が0V/μm、7V/μm、15V/μm
となるように電圧を印加したところ、実施の形態2と同
様に3方向への光の偏向を行うことができた。
【0072】実施の形態6(請求項8の発明) 図11は、本発明の第6の実施の形態を説明するための
図である。本実施の形態では、液晶/高分子複合体10
の入射面11および出射面12の表面に保持基板40を
設けている。これにより液晶/高分子複合体10の保持
性が向上し、入射面11および出射面12の面精度が向
上して光線の方向性が安定する。また、液晶/高分子複
合体10を保護することにもなるので、信頼性が向上す
る。
【0073】具体例を示す。光学ガラスBK7(屈折
率:nd=1.517)の表面を深さ1μm、傾斜角1
°、ピッチ57μmの鋸歯形状にエッチングした。その
後、鋸歯形状の表面にITOを蒸着し、1μmのスペー
サーで周辺部を保持して別のITO付きBK7の平板と
張り合わせた。透明電極13、14の構成は実施の形態
3と同じにした。内部にできた空間に実施の形態1と同
様の材料を注入し、実施の形態1の条件で紫外線を照射
して光偏向素子を形成した。実施の形態3と同様に液晶
/高分子複合体10に印加される電界強度を0V/μ
m、7V/μm、15V/μmとすることで3つの方向
へ光を偏向させることができた。また保持基板40が設
けられているので、取り扱いが容易で、光路の偏向量の
信頼性も実施の形態3の場合に較べて良好であった。
【0074】実施の形態7(請求項9の発明) 図12は、本発明の第7の実施の形態を説明するための
図である。本実施の形態は、実施の形態6で示した光偏
向素子を二つ用意し、第一の光偏向素子50に入射して
偏向された光が第二の光偏向素子51を通ることで、第
一の偏向素子50への入射光と平行に出射するように、
第二の光偏向素子51を配置する。具体的には第二の光
偏向素子51は、入射面が第一の光偏向素子50とは逆
の面(例えば、第一の光偏向素子50が平面側を入射面
に取った場合には、第二の光偏向素子51は鋸歯形状側
を入射面とする)で、傾斜領域の傾斜方向が第一の光偏
向素子と同じ方向になるように設ける。二つの光偏向素
子50、51間の距離は、必要な光路シフト量が得られ
るように設定する。光路シフト量をΔ、第一の光偏向素
子50の傾斜領域と第二の光偏向素子51の傾斜領域と
の平均距離をD、第一の光偏向素子50での偏向角をθ
1およびθ2とすると次の式のようになる。 Δ=D(tanθ2−tanθ1)・・・(3)
【0075】偏向角θ1およびθ2は式(1)によって液
晶/高分子複合体10の屈折率と関係づけられているの
で、式(1)および式(3)によって必要な光路シフト
量から光偏向素子の間隔を決めることが可能となる。以
上のように構成した光路切替デバイスは第一の光偏向素
子50と第二の光偏向素子51の両方に同時に同じ電圧
を印加する。これによって第一の光偏向素子50で偏向
された光が、第二の光偏向素子51を通ることで入射光
と平行になり、平行な光路シフト素子を実現できる。具
体例を示す。実施の形態6の光偏向素子を図12の配置
でD=19mmとなるように設置した。二つの光偏向素
子に同時に0V/μm、7V/μm、15V/μmの電
界強度を印加することで、5μmおよび10μmの光路
シフトが得られた。
【0076】実施の形態8(請求項10の発明) 図13は、第8の実施の形態を説明するための図であ
る。本実施の形態の液晶/高分子複合体10は実施の形
態7と同様に設けられているが、実施の形態7に示され
ている第一の光偏向素子と第二の光偏向素子との間に一
つの中間基板60が一体的に設けられている。すなわち
第一の光偏向素子の出射側保持基板と第二の光偏向素子
の入射側保持基板とを一つの中間基板60によって共有
するように構成してある。
【0077】光路シフト量をΔ、中間基板60の長さを
D’、第一の光偏向素子での偏向角をθ1およびθ2とす
ると次の式のようになる。 Δ=D’(tanθ2−tanθ1)・・・(4) 偏向角θ1およびθ2は式(1)によって液晶/高分子複
合体10の屈折率と関係づけられているので、式(1)
および式(4)によって必要な光路シフト量から中間基
板の厚さを決めることが可能となる。
【0078】具体例を示す。厚さ29mmの光学ガラス
BK7(屈折率:nd=1.517)の板の両面に図1
3に示す中間基板60の形状(深さ1μm、傾斜角1
°、ピッチ57μmの鋸歯形状)にエッチングした。そ
の後、鋸歯形状の表面にITOを蒸着し、1μmのスペ
ーサーで周辺部を保持して別のITO付きBK7の平板
を中間基板60の両面に張り合わせた。透明電極13、
14の構成は実施の形態2と同じとした。内部にできた
空間に実施の形態1と同様の材料を注入し、実施の形態
1の条件で紫外線を照射して光路切替デバイスを形成し
た。二つの液晶/高分子複合体10に同時に0V/μ
m、7V/μm、15V/μmの電界を印加すること
で、5μmおよび10μmの光路シフトが得られた。
【0079】実施の形態9(請求項11の発明) 図14は、本発明の第9の実施の形態を説明するための
図である。本実施の形態は、入射光の波長に応じて電圧
を制御できる電圧制御機構61を介して、実施の形態8
に示した光路切替デバイスに電圧を印加する。一般に液
晶/高分子複合体10や保持基板40及び中間基板6
0、空気などはその屈折率が光の波長によって異なるの
で、実施の形態8に示した構成では入射光の波長が変化
すると偏向角が変化し、そのため光路シフト量Δが波長
によって変わってしまうおそれがある。電圧制御機構6
1はこの波長による光路シフト量Δのずれを補正するよ
うに液晶/高分子複合体の屈折率を制御することで、常
に一定の光路シフト量が得られるようにする。なお、上
記のような電圧制御構成は、実施の形態7の構成にも適
用できるのは明らかである。
【0080】実施の形態10(請求項12の発明) 図15は、本発明の第10の実施の形態を説明するため
の図である。本実施の形態は、実施の形態7に示した光
路切替デバイスで、第一の光偏向素子50に、第一の光
偏向素子50と第二の光偏向素子51との間隔Dを変動
させるための変動機構52を設けている。この変動機構
52は、入射光15の波長に応じて第一の光偏向素子5
0と第二の光偏向素子51との間隔Dを変化させる。変
動機構52は、波長による光路シフト量Δのずれを補償
するように光偏向素子間隔Dを変動させることで、常に
一定の光路シフト量が得られるようにする。変動機構5
2としては、静電気力による方式、磁気による方式、電
歪や磁歪による方式など様々な既存の方法を挙げること
ができる。
【0081】実施の形態11(請求項13の発明) 図16は、本発明の第11の実施の形態を説明するため
の図である。本実施の形態は、上述の光路切替デバイス
を二つ用意し、第一の光路切替デバイス70の傾斜領域
の最大傾斜方向と、第二の光路切替デバイス71の傾斜
領域の最大傾斜方向とがおおむね直交するように配置す
る。入射光15は、第一の光路切替デバイス70によっ
て、縦方向の光路シフトを受け、第二の光路切替デバイ
ス71によって、横方向の光路シフトを受ける。これに
よってX、Y両方向の光路シフトを実現できる。
【0082】具体例を示す。実施の形態8の光路切替デ
バイスを二つ、図16に示すように配置し、図17に示
すシーケンスで各光路切替デバイス70、71に電圧を
印加する。このとき、図中のA〜Iのタイミングでは図
18に示すような光路シフトが行われ、二次元の光路シ
フトが実現できた。
【0083】実施の形態12(請求項14の発明) 図19は、本発明の第12の実施の形態を説明するため
の図で、画像表示装置80の構成を概略的に示すもので
ある。図19において、81はLEDランプを2次元ア
レイ状に配列した光源であり、この光源81からスクリ
ーン82に向けて発せられる光の進行方向には拡散板8
3、コンデンサレンズ84、画像表示素子としての透過
型液晶パネル85、画像パターンを観察するための光学
部材としての投射レンズ86が順に配設されている。8
7は光源81に対する光源ドライブ部、88は透過型液
晶パネル85に対する液晶パネルドライブ部である。
【0084】ここに、透過型液晶パネル85と投射レン
ズ86との間の光路上にはピクセルシフト素子として機
能する光路切替手段89が介在されており、ドライブ部
90に接続されている。このような光路切替手段89と
しては、前述の実施の形態で例示したような光路切替デ
バイスもしくは光路切替装置が用いられる。
【0085】光源ドライブ部87で制御されて光源81
から放出された照明光は、拡散板83により均一化され
た照明光となり、コンデンサレンズ84により液晶パネ
ルドライブ部88で照明光源と同期して制御されて透過
型液晶パネル85をクリティカル照明する。この透過型
液晶パネル85で空間光変調された照明光は、画像光と
して光路切替手段89に入射し、この光路切替手段89
によって画像光が画素の配列方向に任意の距離だけシフ
トされる。この光は投射レンズ86で拡大されスクリー
ン82上に投射される。
【0086】ここに、光路切替手段89により画像フィ
ールドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎の光
路の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パタ
ーンを表示させることで、透過型液晶パネル85の見掛
け上の画素数を増倍して表示する。このように光路切替
手段89によるシフト量は透過型液晶パネル85の画素
の配列方向に対して3倍の画像増倍を行うことから、画
素ピッチの1/3に設定される。光路シフト量に応じて
透過型液晶パネル85を駆動する画像信号をシフト量分
だけ補正することで、見掛け上高精細な画像を表示する
ことができる。この際、光路切替手段89として、前述
した各実施の形態のような光路切替デバイスまたは光路
切替装置を用いているので、光の利用効率を向上させ、
光源の負荷を増加することなく観察者により明るく高品
質の画像を提供できる。また、本発明の光路切替手段は
入射光として無偏光光を用いることができるため、画像
表示素子として上述の透過型液晶パネルに限らず、光散
乱型液晶パネルやDMD(デジタルマイクロミラーデバ
イス)など、あらゆる画像表示素子をそのまま利用する
ことが可能となる。
【0087】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の光偏向素子によれば、高分子マトリクス中に液晶材料
を分散保持した液晶/高分子複合体の対向する二面が所
定の角度で対向するような傾斜領域を有し、対向する二
面の表面に光透過性の電極を設けてなる光偏向素子にお
いて、液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電界を印
加することにより、偏光依存性がなく、高速に動作し3
つ以上の方向に光を偏向させる簡易な構成の光偏向素子
を提供することができる。また、液晶/高分子複合体に
概略均一な強度の電界を印加する手段として、傾斜領域
の傾斜方向に分割した複数の透明電極を設け、各透明電
極に独立に電圧を印加することにより、光偏向方向を精
密に制御できる光偏向素子を提供することができる。
【0088】また、液晶/高分子複合体に概略均一な強
度の電界を印加する手段として、傾斜領域の傾斜方向に
分割した複数の透明電極を設け、該透明電極に抵抗の高
い透明電極によって分割された電圧を印加することによ
り、簡易な駆動回路で駆動することができる光偏向素子
を提供することができる。また、液晶/高分子複合体に
概略均一な強度の電界を印加する手段として、抵抗の高
い透明電極を入射領域全面に形成し、該透明電極の傾斜
方向の両端部に電圧を印加することにより、簡易な構造
の光偏向素子を提供することができる。さらに、液晶が
入射光の波長程度以下の粒径を有するドロップレットと
することにより、上記に加えて、さらに、高速で動作す
る光偏向素子を提供することができる。
【0089】また、電圧無印加時に全ての液晶分子が概
略一方向に配列しているようにすることにより、上記に
加え偏向角の変化量が大きな光偏向素子を提供すること
ができる。また、傾斜領域の断面を鋸歯形状の周期構造
とすることにより、上記に加えて大面積でも光路シフト
が可能であり、低電圧で駆動可能な光偏向素子を提供す
ることができる。また、液晶/高分子複合体の対向する
二面の表面に保持基板を設けることにより、安定性の高
い光偏向素子を提供することができる。
【0090】また、上記光偏向素子を二つ有し、第一の
光偏向素子で偏向された光が、一定間隔をおいて設置さ
れた第二の光偏向素子によって入射光と平行になるよう
に第一の光偏向素子および第二の光偏向素子を配置する
ことにより、光路を平行にシフトさせる光路切替デバイ
スを提供することができる。また、保持基板を設けた光
偏向素子を第一の光偏向素子と第二の光偏向素子として
用いる上記光路切替デバイスにおいて、第一の光偏向素
子の出射側保持基板と第二の光偏向素子の入射側保持基
板とを一枚の基板で一体的に構成することにより、低コ
ストな光路切替デバイスを提供することができる。
【0091】また、入射光の波長に応じて第一の光偏向
素子と第二の光偏向素子に印加する電圧を変化させる電
圧制御機構を有することにより、入射光の波長が変化し
ても一定の光路シフト量が得られる光路切替デバイスを
提供することができる。また、入射光の波長に応じて前
記第一の光偏向素子と前記第二の光偏向素子との間隔を
変動させる変動機構を有することにより、入射光の波長
が変化しても一定の光路シフト量が得られる光路切替デ
バイスを提供することができる。
【0092】また、上記光路切替デバイスを2つ有し、
第一の光路切替デバイスの傾斜領域の最大傾斜方向と、
第二の光路切替デバイスの傾斜領域の最大傾斜方向とが
おおむね直交するように配置することにより、光路を直
交する二方向にシフトさせることができる光路切替装置
を提供することができる。
【0093】また、少なくとも、画像情報にしたがって
光を制御することが可能な複数の画素を二次元的に配列
した画像表示素子と、該画像表示素子を照明する光源
と、前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察す
るための光学部材と、画像フィールドを時間的に分割し
た複数のサブフィールドごとに前記画像表示素子と前記
光学部材の間の光路を偏向する上記光路切替デバイスま
たは光路切替装置による光路切替手段とを備えることに
より、画素数の少ない画像表示素子を用いて、見かけ上
高精細で光利用効率の高い画像表示装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を説明するための
図である。
【図2】 電界方向に配列する液晶の例を示す図であ
る。
【図3】 液晶ドロップレットサイズと応答速度との関
係を示す図である。
【図4】 応答速度の測定を示す図である。
【図5】 T=0.8となる粒径を体積分率が10%、
30%および50%の場合について、波長に対してプロ
ットを示す図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態を説明するための
図である。
【図7】 本発明の第2の実施の形態を説明するための
他の図である。
【図8】 本発明の第3の実施の形態を説明するための
図である。
【図9】 本発明の第4の実施の形態を説明するための
図である。
【図10】 本発明の第5の実施の形態を説明するため
の図である。
【図11】 本発明の第6の実施の形態を説明するため
の図である。
【図12】 本発明の第7の実施の形態を説明するため
の図である。
【図13】 本発明の第8の実施の形態を説明するため
の図である。
【図14】 本発明の第9の実施の形態を説明するため
の図である。
【図15】 本発明の第10の実施の形態を説明するた
めの図である。
【図16】 本発明の第11の実施の形態を説明するた
めの図である。
【図17】 光路切替デバイスに印加する電圧のシーケ
ンスの例を示す図である。
【図18】 図17のシーケンスに対応する光路シフト
について説明するための図である。
【図19】 本発明の第12の実施の形態を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
10…液晶/高分子複合体、11…入射面、12…出射
面、13,14…透明電極、15…光線、16…液晶ド
ロップレット、17…ポリマー、18…電界、21…レ
ーザ、22…偏光子、23,24…レンズ、25…Au
電極、26…高分子分散液晶層、27…Si基板、28
…試料、29…検光子、30…パワーメータ、31…高
抵抗透明電極、32…電圧印加端子(A)、33…電圧
印加端子(B)、34,35…透明電極、40…保持基
板、50…第一の光偏向素子、51…第二の光偏向素
子、52…変動機構、60…中間基板、61…電圧制御
機構、70…第一の光路切替デバイス、71…第二の光
路切替デバイス、80…画像表示装置、81…光源、8
2…スクリーン、83…拡散板、84…コンデンサレン
ズ、85…透過型液晶パネル、86…投射レンズ、87
…光源ドライブ部、88…液晶パネルドライブ部、89
…光路切替手段、90…ドライブ部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 EA45 EA47 GA10 JA04 MA06 MA10 MA11 MA16 MA18 2H089 HA04 JA04 KA08 KA15 QA05 QA11 QA12 QA14 QA15 RA04 UA05

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子マトリクス中に液晶材料を分散保
    持した液晶/高分子複合体と、該液晶/高分子複合体の
    屈折率を変化させるための電圧を印加する光透過性の電
    極とを有し、該液晶/高分子複合体の屈折率の変化に応
    じて入射光に対する出射光の偏向角度が変化する光偏向
    素子であって、前記液晶/高分子複合体は、光路上で対
    向する二面において、一方の面が他方の面に対して所定
    の角度で傾斜する傾斜領域を有し、前記電極は、前記対
    向する二面の表面に配されている光偏向素子において、
    前記液晶/高分子複合体に概略均一な強度の電界を印加
    する手段を有することを特徴とする光偏向素子。
  2. 【請求項2】 前記液晶/高分子複合体に概略均一な強
    度の電界を印加する手段として、前記傾斜領域における
    前記対向する二面の少なくとも一方の面に、傾斜方向に
    分割した複数の透明電極を設け、各前記透明電極に独立
    に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の光
    偏向素子。
  3. 【請求項3】 前記液晶/高分子複合体に概略均一な強
    度の電界を印加する手段として、前記傾斜領域における
    前記対向する二面の少なくとも一方の面に、傾斜方向に
    分割した複数の透明電極を設け、該透明電極に対して共
    通に配された抵抗の高い透明電極によって個々の前記透
    明電極に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記
    載の光偏向素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶/高分子複合体に概略均一な強
    度の電界を印加する手段として、抵抗の高い透明電極を
    入射光が入射する入射領域の全面に形成し、該抵抗の高
    い透明電極の傾斜方向の両端部に電圧を印加することを
    特徴とする請求項1に記載の光偏向素子。
  5. 【請求項5】 液晶が入射光の波長程度以下の粒径を有
    するドロップレットであることを特徴とする請求項1乃
    至4のいずれか1に記載の光偏向素子。
  6. 【請求項6】 電圧無印加時に全ての液晶分子が概略一
    方向に配列していることを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれか1に記載の光偏向素子。
  7. 【請求項7】 前記傾斜領域における対向する二面のう
    ちの一方は、断面が鋸歯形状の周期構造を有することを
    特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の光偏向
    素子。
  8. 【請求項8】 前記液晶/高分子複合体の前記対向する
    二面の表面に保持基板を設けることを特徴とする請求項
    1乃至7のいずれか1に記載の光偏向素子。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1に記載の光
    偏向素子を二つ有する光路切替デバイスであって、第一
    の光偏向素子で偏向された光が、一定間隔をおいて設置
    された第二の光偏向素子によって入射光と平行になるよ
    うに該第一の光偏向素子および該第二の光偏向素子が配
    置されていることを特徴とする光路切替デバイス。
  10. 【請求項10】 前記光偏向素子を前記第一の光偏向素
    子と前記第二の光偏向素子として請求項8に記載の光偏
    向素子を用い、前記第一の光偏向素子の出射側保持基板
    と前記第二の光偏向素子の入射側保持基板とが一枚の基
    板によって一体に構成されていることを特徴とする請求
    項9に記載の光路切替デバイス。
  11. 【請求項11】 入射光の波長に応じて前記第一の光偏
    向素子と前記第二の光偏向素子に印加する電圧を制御す
    る電圧制御機構を有することを特徴とする請求項9また
    は10に記載の光路切替デバイス。
  12. 【請求項12】 入射光の波長に応じて前記第一の光偏
    向素子と前記第二の光偏向素子との間隔を変動させる変
    動機構を有することを特徴とする請求項9または11に
    記載の光路切替デバイス。
  13. 【請求項13】 請求項9乃至12のいずれか1に記載
    の光路切替デバイスを2つ有する光路切替装置であっ
    て、第一の光路切替デバイスの前記傾斜領域の最大傾斜
    方向と、第二の光路切替デバイスの前記傾斜領域の最大
    傾斜方向とがおおむね直交するように配置されてなるこ
    とを特徴とする光路切替装置。
  14. 【請求項14】 少なくとも、画像情報にしたがって光
    を制御することが可能な複数の画素を二次元的に配列し
    た画像表示素子と、該画像表示素子を照明する光源と、
    前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するた
    めの光学部材と、画像フィールドを時間的に分割した複
    数のサブフィールドごとに前記画像表示素子と前記光学
    部材の間の光路を偏向する請求項9乃至請求項12のい
    ずれか1に記載の光路切替デバイスまたは請求項13に
    記載の光路切替装置による光路切替手段とを備えること
    を特徴とする画像表示装置。
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