JP2003279798A - 光ファイバ固定具及びその加工方法 - Google Patents

光ファイバ固定具及びその加工方法

Info

Publication number
JP2003279798A
JP2003279798A JP2002086808A JP2002086808A JP2003279798A JP 2003279798 A JP2003279798 A JP 2003279798A JP 2002086808 A JP2002086808 A JP 2002086808A JP 2002086808 A JP2002086808 A JP 2002086808A JP 2003279798 A JP2003279798 A JP 2003279798A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
ferrule
hole
fixing tool
zirconia
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002086808A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiro Kobayashi
善宏 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2002086808A priority Critical patent/JP2003279798A/ja
Publication of JP2003279798A publication Critical patent/JP2003279798A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mechanical Coupling Of Light Guides (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】水分の存在する高温雰囲気中での耐久性に優れ
た光ファイバ固定具10を得る。 【解決手段】略円筒形状であって軸方向に貫通孔を有す
るジルコニアセラミックス製のフェルール1と該フェル
ール1の貫通孔1aに光ファイバ3を固定してある光フ
ァイバ固定具10において、上記光ファイバ固定具10
が略凸球面状の先端面1dを有するとともに、上記先端
面1dにおける貫通孔1aを中心とした少なくとも直径
250μm以上の範囲において、少なくとも表面に菱面
体晶相を有する。又、軸方向に光ファイバ3を保持する
ための貫通孔1aを有し、全体として略円筒状をなすジ
ルコニアセラミック製のフェルール1の後端部を、支持
体に固定してなる光ファイバ固定具であって、前記フェ
ルール1の先端面1dを略凸球面状に形成するととも
に、該先端面1dにおける、前記貫通孔1aの開口周縁
部に菱面体晶相を有する光ファイバ固定具、或いは、前
記貫通孔1dの開口周縁部に5〜500MPaの残留圧
縮応力を生じさせていることを特徴とする光ファイバ固
定具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、光通信に用いられ
る光ファイバ固定具及びその加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信における情報量の増大に伴
い、光ファイバを用いた光通信が使用されている。この
光通信において、光ファイバ同士の接続、あるいは光フ
ァイバと各種光素子との接続には光コネクタが用いられ
ている。
【0003】該光コネクタに用いられる光ファイバ固定
具10は、図1及び図2に示すようにフェルール1に形
成された貫通孔1aに光ファイバ3の端部を接着剤4に
より保持固定し、一対のフェルール1をスリーブ5の両
端から挿入して、内部で凸球面状に加工した先端面1d
同士を当接させるようにした構造となっている。
【0004】上記フェルール1の材質としてはセラミッ
クス、金属、プラスチック、ガラス等、さまざまなもの
が試作されてきたが、現在は大半がセラミックス製とな
っている。その理由は、セラミックスは加工精度が高い
ため、内径、外径の公差を1μm以下と高精度にするこ
とができ、またセラミックスは摩擦係数が低いため光フ
ァイバの挿入性に優れ、剛性が高く熱膨張係数が低いこ
とから外部応力や温度変化に対して安定であり、耐食性
にも優れているためである。
【0005】さらに、材料をセラミックスとしても、近
年、アルミナからジルコニアに大半が置き代わってき
た。このジルコニア焼結体は、ヤング率がアルミナの約
半分と低いため、2個のフェルールの先端面1d同士を
当接する際に、小さな応力で密着性を高めることがで
き、また強度、靱性が高いことから信頼性を向上するこ
とができる(特公平8−30775号公報参照)。
【0006】上記光フェルール1に用いるジルコニア焼
結体として、ZrO2 を主成分として安定化剤として
2.5〜3.5モル%程度(約4.5〜6.2重量%)
のY23 を含有する原料を成形し、焼成して平均結晶
粒径0.4〜0.6μmとした正方晶の結晶相を主体と
した部分安定化ジルコニア焼結体が提案されている(特
開平6−337327号公報参照)。
【0007】又、ZrO2 を主成分とし、安定化剤とし
てY23 を含有する原料にAl23 を0.2〜0.
3重量%添加した原料を成形し、焼成した正方晶の結晶
相を主体としたフェルール1用の部分安定化ジルコニア
が提案されている(特開平10−260336号公報参
照)。
【0008】更に、ZrO2 を主成分とし、安定化剤と
してY23 を含有するフェルール1に用いるジルコニ
ア焼結体において、正方晶相中のY23 濃度を3.0
モル%以上に保持した部分安定化ジルコニアが提案され
ている(Journal of the Ceramic Society of Japan
誌、1999年9月号参照)。
【0009】上記いずれの組成のジルコニアを用いた場
合においても、フェルール単体を研削加工により先端面
1dを予め球面形状にしておき、そのあと光ファイバ3
を貫通孔1aに挿入し接着剤4を用いて固定した後、先
端面1dを光ファイバ4の先端面とともに仕上げ研磨し
光ファイバ固定具10としていた。
【0010】光ファイバ固定具10の先端面1dを仕上
げる際に、光ファイバ4には加工硬化層が生じることに
より、屈折率が変化し光コネクタとして光ファイバ4同
士を当接させた際に、その屈折率の高い部分から反射戻
り光が発生してしまうために、最終仕上げ研磨をSiO
2 を用いて研磨することにより、高屈折率層を取り除く
ことが出来、しかも光ファイバ3の先端面とフェルール
1の先端面1dとの引き込み量を±50nm以下におさ
えることができた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のいず
れの従来例においても、Y23 を含む部分安定化ジル
コニア焼結体は、水分の存在する高温雰囲気中に曝され
ると、正方晶の結晶が単斜晶に相変態して強度、靱性等
の特性が劣化するという問題があった。
【0012】また、上記の光コネクタは、使用用途によ
っては、悪環境中で長時間使用されることがあるため、
加速試験として、一対のフェルール1をスリーブ5の両
端から挿入して、内部で凸球面状に加工した先端面1d
同士を当接させた状態での光コネクタを80℃の熱水中
に曝す試験が行われることがある。この際に、ジルコニ
ア焼結体からなるフェルール等の光コネクタ用部材は、
上述した相変態により先端面1dの当接した部分が変形
し、フェルール先端面1dの凸球面の曲率半径が大きく
なってしまうという現象が生じ、その結果、接続不良や
過大な接続損失を生じるという問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、上記問
題点に鑑みてなされたものであり、本発明の光ファイバ
固定具によれば、軸方向に光ファイバを保持するための
貫通孔を有し、全体として略円筒状をなすジルコニアセ
ラミック製のフェルールの後端部を、支持体に固定して
なる光ファイバ固定具であって、前記フェルールの先端
面を略凸球面状に形成するとともに、該先端面におけ
る、前記貫通孔の開口周縁部に菱面体晶相を有すること
を特徴とする。
【0014】また、軸方向に光ファイバを保持するため
の貫通孔を有し、全体として略円筒状をなすジルコニア
セラミック製のフェルールの後端部を、支持体に固定し
てなる光ファイバ固定具であって、該先端面における、
前記貫通孔の開口周縁部に5〜500MPaの残留圧縮
応力を生じさせていることを特徴とする。
【0015】そして、前記開口周縁部が前記フェルール
の軸を中心とした少なくとも直径250μmの範囲であ
ることを特徴とする。
【0016】さらに、本発明の光ファイバ固定具の加工
方法によれば、軸方向に貫通孔を有し、全体として略円
筒状をなすジルコニアセラミック製のフェルールの後端
部を、支持体に固定し、前記フェルールの先端面を凸状
に研削加工した後、前記貫通孔内に光ファイバを接着固
定して該光ファイバの先端を前記フェルールの先端面か
ら先方へ突出させ、前記突出させた光ファイバと前記フ
ェルールの先端面をダイヤモンドにて研磨仕上げするこ
とを特徴とする。
【0017】また、軸方向に貫通孔を有し、全体として
略円筒状をなすジルコニアセラミック製のフェルールの
後端部を、支持体に固定し、前記フェルールの先端面を
ダイヤモンドにて凸状に研削加工した後、前記貫通孔内
に光ファイバを接着固定して該光ファイバの先端を前記
フェルールの先端面から先方へ突出させ、前記突出させ
た光ファイバのみを研磨加工することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を説明す
る。
【0019】図1に示すように、本発明の光ファイバ固
定具10は、中央に光ファイバを挿入する貫通孔1aを
有し、該貫通孔1aの後端側には光ファイバの挿入を容
易にするために円錐部1bを備え、外周部1cと略凸球
面状の先端面1dの境界にはスリーブ挿入時にガイド面
となる面取部1eを備えたフェルール1の後方に金属製
の支持体2に接合し、上記貫通孔1aに光ファイバ3を
挿入して接着剤4にて固定した後、先端面1dを曲率半
径7〜25mm程度の凸球面状に研摩する。
【0020】図2に示すように、一対のフェルール1を
スリーブ5の両端から挿入し、バネ等で押圧して先端面
1d同士を当接させることによって、光ファイバ4同士
の接続を行うことができる。
【0021】上記光ファイバ固定具10のフェルール1
を成すジルコニア焼結体は、ZrO 2 を主成分とし、安
定化剤としてY23を含有するもので、正方晶の結晶
を主体とした部分安定化ジルコニアセラミックスを用い
る。又、この様なジルコニアセラミックス製のフェルー
ル1を製造する場合は、上記の原料粉末を用い、押出成
形や射出成形もしくはプレス成形等で所定形状に成形し
た後、焼成することによって得られる。
【0022】このジルコニアセラミックスは平均結晶粒
径が0.1μm〜1.0μmであり、かつ気孔率が3%
以下であるものが適用可能である。ここで結晶粒径が
1.0μmを越えると結晶間の空隙が大きくなり良好な
外周面が得られず、又原料混合時ボールミル等で粉砕を
行う時に安定して0.1μm以下に粒度を調整すること
が困難であり、焼成後は結晶が粒成長するため更に径が
大きくなる為に0.1μm以上とした。気孔率はフェル
ールの個体中に含まれる空隙の割合を百分率であらわし
たもので3%を越えると気孔部分が外周面粗度を悪化さ
せてしまうことになる。
【0023】本発明の光ファイバ固定具10の先端面1
dにおける貫通孔1aの開口周縁部に菱面体晶相を有す
ることを特徴としている。また、開口周縁部に5〜50
0MPaの残留圧縮応力を有することを特徴とする。こ
れら特徴は、一つの光ファイバ固定具が両方を兼ね備え
ていても良い。また、これら特徴は、フェルール1の先
端面1dにダイヤモンド砥石で研削加工を施す際、或い
は、後述のダイヤモンド砥石にて研磨する際に生じるも
のである。そして、これらの特徴により、本発明の光フ
ァイバ固定具は、先端面1dに熱水中での抗変形性を有
することになる。
【0024】図3に、菱面体晶相を格子模型で示す。菱
面体晶相は、各頂点と各面のほぼ中央に位置するジルコ
ニウム(Zr)21とその一部が、イツトリウム(Y)で
置換した副格子と、その内部に、酸素(O)原子22を
頂点に配した副格子とからなる蛍石型構造を基本とした
ものである。該菱面体晶相の格子定数は、a=5.12〜5.
24オングストローム(Å)、α=89.2〜89.8度である。
すなわち、該菱面体晶相の格子体積は、立方晶および正
方晶構造のそれよりも0.5〜3%大きい。
【0025】本発明における菱面体晶相は部分安定化ジ
ルコニアの表面層に機械加工を加えることにより、立方
晶および正方晶構造から加工誘起変態させて生成せしめ
たものである。
【0026】また、上記加工では、フェルール1の先端
面1dに、圧縮の応力が発生する。一般に、ジルコニア
等のセラミツクスは、引張応力に弱く、クラツクを発生
しやすいが、圧縮応力には比較的強い性質がある。
【0027】ここで圧縮応力が5MPa未満であれば、
熱劣化に対抗する応力が小さすぎて、熱劣化に対する効
果が少なく、また500MPaを超えると残留応力が過
大になりすぎて、ジルコニアの破壊につながる恐れがあ
る。
【0028】そのため、引張の機械的荷重が作用して
も、その表面の引張応力が大きくならない。それ故、該
ジルコニアは、その表面からクラツクが発生しにくくな
り、より大きな引張荷重に耐えることが出来る特長を有
する。
【0029】なお、前記貫通孔1aの開口周縁部として
は、フェルール1の軸を中心とする少なくとも直径25
0μmの範囲であることが好ましい。ここで、直径25
0μmとしているのは、一対の光ファイバ固定具10の
フェルール1の先端面1dがスリーブ5内で当接する直
径が約200μmなので、中心ずれ等の余裕を考慮して
250μmとしている。本発明のジルコニア材料の製造
方法は、酸化ジルコニウムとイツトリウムの酸化物とか
らジルコニアを得る工程と、該ジルコニアに研摩、ショ
ットピーニング、サンドブラスト、圧縮加工、研削加工
を加えて、菱面体晶相を誘起せしめる工程とからなる。
つまりジルコニアの表面層に菱面体晶相のジルコニアが
生成するため、該表面層には、圧縮の残留応力が発生
し、該ジルコニアに引張の機械的荷重が作用しても、表
面に容易にクラツクを発生しない性質を保有せしめるこ
とができる。
【0030】したがつて該ジルコニアは、より大きな引
張負荷に耐えることができる。たとえば曲げ強度は10
〜40%向上し、靭性値は2〜3倍向上する。さらに該
強化したジルコニアは、その表面に傷がついたとして
も、該傷がこのジルコニアを破損に至らしめるクラツク
に進展する割合が小さいという特徴を有する。また、該
強化したジルコニアは、切欠き感受性が小さいので、そ
の仕上面粗さを小さくする必要がないという特徴をも有
する。
【0031】従来のジルコニア製のフェルール1は単体
での先端面1dの加工段階で研削加工を行うために先端
面1dには菱面体晶相を形成させていたが、光ファイバ
3を接着剤4で固定後先端面1dをジルコニアと光ファ
イバ4の先端面1dをともに研磨しあげする際に、折角
フェルール1単体の加工時に生じた菱面体晶相を取り除
いてしまい、その結果光ファイバ固定具10を高温高湿
環境に暴露した際に、表面荒れが生じるという熱劣化問
題を生じている。また、光コネクタとして当接させた状
態で高温高湿環境に暴露しておくと、当接した部分が塑
性変形してしまい球面の大きさが大きくなってしまうと
おいう平坦化現象が生じるという熱劣化問題が発生して
しまっている。
【0032】これは、研磨加工時に光ファイバ先端面の
加工変質層が生じ、該加工変質層の屈折率が高いため
に、光ファイバ3伝播中の光がその高屈折率層により反
射戻り光が生じ、該反射戻り光が光通信システムのノイ
ズとなるために、研磨加工時にSiO2 の研磨紙で仕上
げ研磨することにより、高屈折率層である加工変質層を
取り除くことができ、それが、光コネクタでは一般常識
的になっていた。
【0033】しかし、その最終仕上げ研磨により、ジル
コニアの熱劣化を抑制しうる菱面体晶相までも除去して
いたために、上述のフェルール1の熱劣化問題が発生す
ることとなってしまった。
【0034】本発明により、フェルール1の表面の熱劣
化現象は菱面体晶相の存在が大きく影響していることを
明らかにし、更にはフェルール1の表面に菱面体晶相を
形成しておいたままの状態で、光ファイバ3の先端面の
加工変質層は取り除くという加工方法をも提案する。
【0035】ここで、菱面体晶相の存在の確認方法であ
るが、フェルール先端面1dのX線回折を行い、正方晶
と立方晶のピーク位置が重なっているものであるが、ピ
ークの低角度側がブロード(膨らみを持つ)であること
により菱面体晶相の存在を確認できる(ジルコニアセラ
ミックス誌4号31項〜45項参照)。
【0036】また、残留圧縮応力測定方法はX線回折を
採用し、X線ターゲットにはCrを用いて行った。Cr
では正方晶(213)面のピークを用いて、フェルール
先端面1dの法線と格子面法線がつくる角度(ψ)を変
え、7点の測定から次の式を用いて求めた。
【0037】σ=−{Ecotθ0 /2(1+ν)}*
(δ2θ/δsin2 ψ) ここで、EはCrのヤング率で15500Kgf/mm
2 、νはCrのポアッソン比で0.29、θ0 は無負荷
状態でのジルコニアの回折角、δ2θ/δsin 2 ψは
2θ―sin2ψプロット図から求めた傾きをもちい
る。
【0038】以上より、残留圧縮応力を求めることが出
来る。また、ラマン分光分析にて算出する方法でも同様
な結果を得ることが出来る。
【0039】次に、本発明の光ファイバ固定具の加工方
法について詳しく説明する。
【0040】まず、出発原料のZrO2 には不純物とし
てAl23 やSiO2 、TiO2、あるいはCaO、
Na2 O、Fe23 等が含まれているが、この原料を
酸やアルカリ等の薬品で処理したり、あるいは比重差を
利用した重力選鉱等の手法にて精製し純度を高める。そ
して、ZrO2 にY23 を3〜5モル%添加混合し、
中和共沈または加水分解等の方法により反応・固溶させ
る。
【0041】次に、得られた原料を押出成形やプレス成
形や射出成形等により所定形状に成形し、必要があれば
切削等を行った後、大気雰囲気中で焼成する。
【0042】この時に0.5μm以下という小さな平均
結晶粒径を得るために、1200〜1550℃という低
温で焼成し、かつ緻密な焼結体としなければならない
が、これは原料の1次粒子径を小さくして、比表面積を
大きくすることで達成することができる。フェルール1
はこの焼結体をさらに研磨、研削を行うことによって得
ることができる。
【0043】ここで、焼成温度と平均結晶粒径は比例の
関係にあり、焼成温度が高くなるに従い平均結晶粒径も
大きくなる。本発明のジルコニア焼結体においては、焼
成温度1200゜で平均粒径0.12μm、1370゜
で0.23μm、1550゜で0.5μmとなる。
【0044】次に、上記焼結法により製造したジルコニ
アに、機械加工を施して、該ジルコニアの表面層に菱面
体晶相のジルコニアを誘起せしめる。該機械加工として
は、ショットピーニング、サンドブラスト、静水圧、プ
レス圧等の圧縮加工、ペーパー研摩、ダイヤモンド研
削、切削等の加工を使用できる。
【0045】上記加工によつて生ずる菱面体晶相の存在
割合および表面からの深さについては、上記機械加工の
量によつて制御することができる。
【0046】本発明のフェルール1の先端面1dの略凸
球面加工方法は、砥石形状転写型と球面創世型の2通り
の方法がある。
【0047】このうち、砥石形状転写型は図4に示すよ
うに、外周面111に曲率半径10〜25mmの凹部1
12を有する円筒状をした砥石113を500〜200
00rpm程度の速度で回転させ、フェルール1を砥石
113に対して回転比で1/2〜1/100の速度で回
転させ、砥石113に対して垂直に先端面1dを当接さ
せることによりフェルール1の先端面1dには砥石11
3の形状が転写される加工方法である。
【0048】次に、球面創成型は図5に示すように、球
面用カップ砥石115をフェルール1の回転中心に対し
傾斜させて配置し、フェルール1及び球面用カップ砥石
115ともに回転させて先端面1dに凸球面を形成する
加工方法である。
【0049】この2方法いずれにおいても、砥石11
3、116の回転機構とフェルール1の回転機構の剛性
が十分であるものを用い、更に加工中に過負荷が生じた
場合に自動的に負荷を逃がす様な、例えばエアスピンド
ルもしくは過負荷自動制御装置等を用いることによっ
て、チッピングを生じることなく略凸球面を形成するこ
とができる。
【0050】ここで砥石の平均粒径を2μm以下である
ことが望ましく、2μmを越えると貫通孔1aと先端面
1dとの境界部の穴ダレが大きくなり、しかもチッピン
グも生じてくるためである。そして平均粒径2μm以下
のダイヤモンド砥石を用いることによって、先端面1d
の面粗さが0.2μm以下の鏡面とすることができる。
【0051】また、研削加工後にショットピーニング等
の圧縮加工を行うことにより菱面体晶相の存在割合や表
面からの深さを増すことができ、熱劣化にはより安定し
たジルコニアを得ることが出来る。
【0052】たとえば、ショットピーニングの場合には
ショットの材質、形状、寸法、速度等によって制御する
ことが可能である。ショットピーニングは、通常、ばね
鋼等の金属材料に施す方法を、ほとんどそのまま適用す
ることができる。ピーニングが強すぎると、該ジルコニ
アを破壊する恐れがあり、注意する必要がある。
【0053】通常、使用するショットは、鋼線をその直
径とほぼ等しい長さに切断したカットワイヤショットが
よい。この場合、該カットワイヤショットは、その角が
鋭いため、ジルコニア表面に欠け疵がつきやすい。それ
故、あらかじめ、その角をなめらかにしたのち、ジルコ
ニアに適用するのがよい。また、該カットワイヤショッ
トの硬さを金属材料への適用時より若干軟らかくする
と、該ジルコニアの表面に効率よく加工誘起変態が生じ
る。しかし、該ショットの寿命が短くなる欠点がある。
【0054】上記カットワイヤショットの直径として
は、0.5〜1.5mm程度のものが、ショット吹きつ
け速度、すなわち、ショットに持たせる運動量との関係
で都合がよい。通常、ショット打ち出し速度は、30〜
80m/S程度がよい。さらに、使用できるショットと
しては、鋳鋼を水中に落として、固化せしめて製造した
鋳鋼ショットがある。この鋳鋼ショットで実施する場合
は、該ショットの形状が丸みをおびているので、ジルコ
ニアに欠け等が発生しにくい利点がある。
【0055】次に、フェルール1の表面に菱面体晶相を
形成しておいたままの状態で、光ファイバ3の先端面の
加工変質層は取り除くという加工方法について説明す
る。
【0056】フェルール1の貫通孔1dに光ファイバ3
を接着固定した後、光ファイバ3の先端部のみを研磨仕
上げることが大きな特徴であり、具体的には粗研磨にて
光ファイバがフェルール1の先端面1dより突出させて
おき、中研磨及び仕上げ研磨ではその突出した光ファイ
バの部分のみを研磨する方法を行う。光ファイバを突出
させるためには、治具を用いてもよい。
【0057】更に、フェルール1の表面に菱面体晶相を
形成しておいたままの状態で、光ファイバ3の先端面の
加工変質層は取り除くというもう一つの方法加工方法で
あるが、光ファイバ3とフェルール先端面1dを同時に
研磨仕上げして、略球面状の先端面の少なくとも表面に
残留圧縮応力を生じさせる方法がある。
【0058】具体的には、最終仕上げ研磨に用いる研磨
砥粒として、ジルコニアに対して引き欠き傷のつけうる
ものが望ましい。つまりモース硬度9.5以上の研磨砥
粒である必要があり、具体的にはダイヤモンド製等の研
磨紙を用いることが望ましい。ダイヤモンドにより、ジ
ルコニア表面に引き欠き傷をつけることにより表面に菱
面体晶相を形成できる。また、ダイヤモンド砥粒の粒度
は0.5μm以下を用いることが望ましく。0.5μm
を超えると光ファイバ表面に加工硬化層を形成すること
になり、反射戻り光が極端に大きくなってしまうという
問題を生じるからである。
【0059】本発明の光ファイバ固定具10の後部に固
定されている支持体2の材質はステンレス鋼、銅合金に
ニッケルメッキ仕上げしたもの、真鍮にニッケルメッキ
仕上げしたもの、洋白にニッケルメッキ仕上げしたもの
等の金属製を用いることができる。
【0060】本発明の光ファイバ固定具はシングルモ−
ド、マルチモード共に適用できる。
【0061】なお、図2では光ファイバ4同士を接続す
るための光コネクタを示したが、上記フェルール1やス
リーブ2は、レーザダイオードやフォトダイオード等の
光素子と光ファイバを接続する光モジュールに用いるこ
ともできる。
【0062】また、本発明における光ファイバ固定具1
0は、光ファイバ3同士、又は光ファイバ3と各種光素
子との接続に用いるさまざまな部材に適用することがで
き、上述したフェルール1に限らない。例えば、光ファ
イバ3同士を完全に接続するために用いるスプライサ
や、光モジュールに用いるダミーフェルール等にも適用
することができる。
【0063】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。
【0064】ジルコニア製フェルール1を外周部1cの
外径2.500mm、貫通孔1aの内径0.126m
m、内外径の同芯度1μm、長さ10.5mmの標準S
Cフェルールとして作成し、フェルール1の先端面1d
を図5に示す球面創生方法で形成してシングルモード光
ファイバ3を貫通孔1aに挿入しエポキシ系の接着剤4
を用いて固定しサンプルを作成した。
【0065】本発明のフェルール1の先端面1dを研磨
しない方法で光ファイバ3の先端面を仕上げ研磨した光
ファイバ固定具10を本発明の第1実施例とした。次に
本発明である最終仕上げ研磨加工を0.3μmのダイヤ
モンド製の研磨紙を用いて仕上げ加工した光ファイバ固
定具10を本発明の第2実施例とした。更に比較例とし
て従来のSiO2 製の研磨紙で最終仕上げした光ファイ
バ固定具10を従来例としてそれぞれ作成し、Crター
ゲットを用いたX線回折にて残留圧縮応力を測定した。
【0066】その平均値を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】以上より、従来例では残留圧縮応力が検出
されなかったのに対して、本発明の第1実施例では38
7MPa、第2実施例では134MPaと本発明では残
留圧縮応力が検出された。
【0069】次に、そのときの菱面体晶相の存在の確認
をX線回折により行い、その結果を図6に示す。
【0070】図6のa)が本発明第1実施例であり、
b)が第2実施例、そしてc)が従来例である。図中、
m相を単斜晶相、r相を菱面体晶相、立方晶相と正方晶
相をc+t相と表記している。
【0071】以上より、c)に示す従来例ではc+t相
のピークが高く形状も対称形であるため菱面体晶相の存
在が確認できない。それに対し本発明の第1実施例、第
2実施例共にc+t相のピークが低くしかも低角度側が
ブローであるので菱面体晶相(r相)の存在が確認でき
た。
【0072】次に各サンプルを5個づつ準備して、各先
端面1dの曲率半径を測定しておき、図2に示す様に割
スリーブ5を用いて2個の光ファイバ固定具2同士を接
続しておいた状態で、80℃の純水中に14日間浸水し
ておき、取り出した後、再び各サンプルの先端面1dの
曲率半径を測定した。
【0073】試験後の曲率半径から試験前の曲率半径の
値を引いた値を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】以上の結果より、従来例では平均値3.0
84mm、ばらつき1.001であったのに対して、本
発明の第1実施例の光ファイバ固定具10では平均値
0.916mm、ばらつき0.363、本発明の第2実
施例の光ファイバ固定具10では平均値1.108m
m、ばらつき0.206と本発明の光ファイバ固定具は
曲率半径の変化量が大幅に小さい結果となった。
【0076】以上より、少なくとも表面に菱面体晶相を
有することによって、水分の存在する高温雰囲気中での
耐久性に優れた光コネクタ用ジルコニア焼結体を得るこ
とができた。
【0077】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、水分の存
在する高温雰囲気中での耐久性に優れた光ファイバ固定
具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ固定具を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の光ファイバ固定具を用いた光コネクタ
を示す断面図である。
【図3】本発明の菱面体晶相の格子模型を示す図であ
る。
【図4】本発明の光ファイバ固定具に用いるフェルール
の加工方法を示す図である。
【図5】本発明の光ファイバ固定具に用いるフェルール
の加工方法を示す図である。
【図6】(a)、(b)は本発明であり、(c)は従来
例の光ファイバ固定具の先端面のX線回折図である。
【符号の説明】
1:フェルール 1a:貫通孔 1b:円錐部 1c:外周部 1d:先端面 1e:面取部 2:支持体 3:光ファイバ 4:接着剤 5:スリーブ 21:ジルコニウム 22:酸素 111:外周面 112:凹部 113:砥石 115:カップ砥石 116:砥石

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸方向に光ファイバを保持するための貫通
    孔を有し、全体として略円筒状をなすジルコニアセラミ
    ック製のフェルールの後端部を、支持体に固定してなる
    光ファイバ固定具であって、前記フェルールの先端面を
    略凸球面状に形成するとともに、該先端面における、前
    記貫通孔の開口周縁部に菱面体晶相を有することを特徴
    とする光ファイバ固定具。
  2. 【請求項2】軸方向に光ファイバを保持するための貫通
    孔を有し、全体として略円筒状をなすジルコニアセラミ
    ック製のフェルールの後端部を、支持体に固定してなる
    光ファイバ固定具であって、該先端面における、前記貫
    通孔の開口周縁部に5〜500MPaの残留圧縮応力を
    有することを特徴とする光ファイバ固定具。
  3. 【請求項3】前記開口周縁部が前記フェルールの軸を中
    心とした少なくとも直径250μmの範囲であることを
    特徴とする請求項1または2記載の光ファイバ固定具。
  4. 【請求項4】軸方向に貫通孔を有し、全体として略円筒
    状をなすジルコニアセラミック製のフェルールの後端部
    を、支持体に固定し、前記フェルールの先端面を凸状に
    研削加工した後、前記貫通孔内に光ファイバを接着固定
    して該光ファイバの先端を前記フェルールの先端面から
    先方へ突出させ、前記突出させた光ファイバと前記フェ
    ルールの先端面をダイヤモンドにて研磨仕上げすること
    を特徴とする光ファイバ固定具の加工方法。
  5. 【請求項5】軸方向に貫通孔を有し、全体として略円筒
    状をなすジルコニアセラミック製のフェルールの後端部
    を、支持体に固定し、前記フェルールの先端面をダイヤ
    モンドにて凸状に研削加工した後、前記貫通孔内に光フ
    ァイバを接着固定して該光ファイバの先端を前記フェル
    ールの先端面から先方へ突出させ、前記突出させた光フ
    ァイバのみを研磨加工することを特徴とする光ファイバ
    固定具の加工方法。
JP2002086808A 2002-03-26 2002-03-26 光ファイバ固定具及びその加工方法 Pending JP2003279798A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002086808A JP2003279798A (ja) 2002-03-26 2002-03-26 光ファイバ固定具及びその加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002086808A JP2003279798A (ja) 2002-03-26 2002-03-26 光ファイバ固定具及びその加工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003279798A true JP2003279798A (ja) 2003-10-02

Family

ID=29233278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002086808A Pending JP2003279798A (ja) 2002-03-26 2002-03-26 光ファイバ固定具及びその加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003279798A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09512647A (ja) 光ファイバー・フェルール
Yin et al. Polishing of fiber optic connectors
JP2003279798A (ja) 光ファイバ固定具及びその加工方法
JPH07256548A (ja) 光コネクタの製造方法
JP2004029581A (ja) フェルール及びその加工方法
EP1332385B1 (en) Method for polishing optical fiber connectors
JP2003104776A (ja) セラミックス焼結体の製造方法
JP2004175625A (ja) 光コネクタ用部材及びその製造方法
JP2001240468A (ja) 光コネクタ用ジルコニア焼結体及びその製造方法
JP3987863B2 (ja) フランジ付きフェルールおよびその加工方法
JP3318617B2 (ja) 光コネクタ用フェルール
JP2004209556A (ja) 光コネクタフェルール、その製造方法、これに用いるダイヤモンド研磨フィルムおよび光ファイバ固定具
JP3195858B2 (ja) ジルコニア製光ファイバコネクタ部品
JP3881584B2 (ja) 光ファイバ用フェルールの加工方法及び光ファイバピグテイルの加工方法
JP2004026544A (ja) 光コネクタ用部材及びその製造方法
JPH0456287B2 (ja)
JP3694643B2 (ja) 光ファイバ用フェルールおよびその加工方法
JP2003307647A (ja) 光ファイバ用フェルールとその加工方法及びこれを用いた光モジュール用ピグテイル
JP2002156551A (ja) 光コネクタ用フェルールおよびそれを用いた光ファイバ固定具およびその加工方法
JP2003221275A (ja) セラミックス焼結体の製造方法
JP2609054B2 (ja) 光ファイバ端面の加工方法
JP2009086168A (ja) 割スリーブならびにこれを用いた光レセプタクル及び光アダプタ
JP2774782B2 (ja) 光コネクタ用部品
JP2004029353A (ja) フェルール及びその製造方法
JP3906097B2 (ja) 光ファイバ用フェルール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040914

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060215

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060228

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20060428

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060718