JP2003279455A - 衝撃解析用物性の取得方法および装置 - Google Patents

衝撃解析用物性の取得方法および装置

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JP2003279455A
JP2003279455A JP2002081286A JP2002081286A JP2003279455A JP 2003279455 A JP2003279455 A JP 2003279455A JP 2002081286 A JP2002081286 A JP 2002081286A JP 2002081286 A JP2002081286 A JP 2002081286A JP 2003279455 A JP2003279455 A JP 2003279455A
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Shizuka Yada
静華 矢田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汎用性の高い面衝撃試験を使用して衝撃解析
用物性データを取得可能にする衝撃解析用物性の取得方
法及び装置を提供する。 【解決手段】 試験片の衝撃解析条件を初期条件として
設定する工程(1) と、試験片の衝撃解析用物性の仮定値
を設定する工程(2) と、該仮定値に基づいて面衝撃解析
を行い反力およびエネルギー値を算出する工程(3) と、
前記反力およびエネルギー値を初期条件と略同一条件で
面衝撃試験を行って得た反力およびエネルギー値と比較
し、解析値と試験値との差異を数値化する工程(4) と、
数値化した差異が所定の許容範囲に縮小されたか否かを
判定する工程(5) とからなり、前記工程(2) の衝撃解析
用物性の仮定値を修正しながら前記工程(5) の判定で上
記差異が許容範囲内に縮小するまで工程(2) 〜(5) を繰
り返すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は衝撃解析用物性の取
得方法及び装置に関し、更に詳しくは、面衝撃試験と面
衝撃解析とを併用することにより数多くの解析用物性デ
ータが取得可能にする衝撃解析用物性の取得方法及び装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の外板材などのように、耐
衝撃性を必要とする部材には金属材料が多く用いられて
いた。しかし、金属材料は重量が重く、加工が困難など
の理由から樹脂材料やこの樹脂材料との複合材料への置
き換えが検討されてきた。
【0003】樹脂材料が耐衝撃部材として受け入れ可能
か選択する試験としては、落球・落錘衝撃試験のような
面衝撃試験が行われてきた。また、数値解析を行う際に
は、成形品への荷重を静荷重に疑似し、静的物性試験で
得られた物性データを使用して解析を行うのが一般的で
あった。
【0004】また、「樹脂物性のひずみ速度依存性を考
慮した構造解析(成形加工第7巻第6号1995)」や「リ
ブ構造を持つ樹脂部品に対する衝突解析技術の研究(自
動車技術会2000年春期大会)」などのように、衝撃荷重
下での高速引張試験で得られた物性データを使用して解
析を行う例が知られている。
【0005】しかし、樹脂材料に限らず高速引張試験で
は駆動方法に限界があるため、応力波の伝播が問題にな
るような速度まで測定することは難しく、せいぜい10
m/s以下の引張速度で試験を行っていることが多い。
また、単位長さ当たりの引張速度をひずみ速度とした場
合、このひずみ速度が高速領域になるほど、試験機自体
の振動が問題になっていた。そのため、高速引張試験を
用いても衝撃解析に十分な物性を取得することができな
いのが現状であった。
【0006】上記「樹脂物性のひずみ速度依存性を考慮
した構造解析(成形加工第7巻第6号1995)」において
も、高速引張試験を物性取得の方法として用いている
が、変形速度が低速範囲の検討のみを行っており、ひず
み速度が高速範囲になった場合の物性データの設定方法
を課題として挙げている。
【0007】一方、面衝撃試験は高速領域の試験を行う
ことができるものの、試験自体は実用的な耐衝撃性判定
の目安として意味があるものとして使用されているこ
と、引張りと曲げの組合わさった複合外力衝撃強さであ
ることなどから、その力学的な意味はあまり明らかでな
く、衝撃解析用の物性を取得する手段としては用いられ
ていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題を面衝撃試験と面衝撃解析とを併用すること
により解消し、汎用性の高い面衝撃試験を使用して衝撃
解析用物性データを取得可能にする衝撃解析用物性の取
得方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の衝撃解析用物性の取得方法は、構造物の衝撃解析用
物性を該構造物と同一材料の試験片を用いて取得する方
法であって、前記試験片の衝撃解析条件を初期条件とし
て設定する工程(1) と、前記試験片の衝撃解析用物性の
仮定値を設定する工程(2) と、前記仮定値に基づいて面
衝撃解析を行い反力およびエネルギー値を算出する工程
(3) と、前記反力およびエネルギー値を前記初期条件と
略同一の条件で面衝撃試験を行って得た反力およびエネ
ルギー値と比較し、それぞれ前記解析値と試験値との差
異を数値化する工程(4) と、前記数値化した差異が所定
の許容範囲に縮小されたか否かを判定する工程(5)とか
らなり、前記工程(2) の衝撃解析用物性の仮定値を修正
しながら前記工程(5) での数値化した差異が前記所定の
許容範囲内に縮小するまで前記工程(2) 〜(5) を繰り返
すことを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の衝撃解析用物性の取得装置
は、構造物の衝撃解析用物性を該構造物と同一材料の試
験片を用いて取得する装置であって、前記試験片の衝撃
解析条件を初期条件として設定する工程(1) と、前記試
験片の衝撃解析用物性の仮定値を設定する工程(2) と、
前記仮定値に基づいて面衝撃解析を行い反力およびエネ
ルギー値を算出する工程(3) と、前記反力およびエネル
ギー値を前記初期条件と略同一の条件で面衝撃試験を行
って得た反力およびエネルギー値と比較し、それぞれ前
記解析値と試験値との差異を数値化する工程(4) と、前
記数値化した差異が所定の許容範囲に縮小されたか否か
を判定する工程(5)とからなり、前記工程(2) の衝撃解
析用物性の仮定値を修正しながら前記工程(5) での数値
化した差異が前記所定の許容範囲内に縮小するまで前記
工程(2) 〜(5) を繰り返すことを特徴とするものであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明について、添付の図面を参
照しながら具体的に説明する。
【0012】図1は、本発明の実施形態からなる衝撃解
析用物性の取得方法を実施するフローチャートを示す。
【0013】まず、ステップS1において、試験片の衝撃
解析条件を初期条件として設定する。ここで試験片の衝
撃解析条件とは、原則として、面衝撃試験を行う際に通
常使用されている諸条件のことである。例えば、構造物
及び試験片を構成する材料、試験片の形状及びサイズ、
試験速度、試験温度、拘束条件、荷重条件などを挙げる
ことができる。
【0014】本発明において、構造物を構成する材料と
しては、特に限定されないが、ここでは衝撃解析用デー
タベースの構築が必要な熱可塑性樹脂が用いられる。好
ましい熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、スチレ
ン系樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカー
ボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィ
ド、液晶性ポリマーなどが挙げられる。これらはポリマ
ーアロイとしたり、また、ガラス繊維等の補強剤、難燃
剤、着色剤、耐候剤などの各種添加剤を加えて用いるこ
ともできる。
【0015】本発明において設定される試験速度は特に
限定されないが、好ましくは、ひずみ速度が10-3〜1
0 /msに相当する範囲であるのがよい。また、本発
明において設定される試験温度は特に限定されないが、
好ましくは、−40℃から80℃の範囲がよい。
【0016】次に、ステップS2において、試験片の衝撃
解析用物性の初期の仮定値を設定する。試験片の衝撃解
析用物性としては、少なくともそれを用いて面衝撃解析
をすることにより、反力およびエネルギー値が算出でき
る物性であり、通常は少なくとも弾性率E、降伏応力σ
y 、破断ひずみεf あるいは降伏ひずみεy の全てが必
要である。このうち弾性率Eについては、例えば、弾性
率Eの代わりにひずみに対する弾性率E(ε) を設定する
ようにしてもよい。
【0017】本発明において、衝撃解析用物性として初
期に設定する上記弾性率E、降伏応力σy 、破断ひずみ
εf 等の仮定値は特に限定されないが、好ましくは、常
温下の静的試験で取得した物性値を用いることが最も簡
便である。ここで常温とは、23℃程度の温度をいう。
【0018】続いてステップS3において、面衝撃解析を
行う。解析用のモデルは、解析対象の形状を微小要素の
集合体で定義する。試験片部分のモデル化方法は特に限
定されないが、好ましくはシェル要素で構成された3次
元モデルとするのがよい。また、要素の大きさは特に限
定されず、変形状態を再現できるものであれば、任意の
大きさの要素を用いることができる。
【0019】また、後述するように、このステップS3に
おいて、ひずみ速度を算出する場合は、試験片内でのひ
ずみ速度が一定になるように調整した大きさ、または試
験片中心部からの距離でひずみ速度が算出できる大きさ
を使用することができる。計算用モデル作成作業には、
汎用の計算用モデル作成ソフト(例えば、MSC社のPA
TRAN)を用いることができる。また衝撃解析には、汎用
の衝撃解析ソフト(例えば、ESI社のPAM-CRASH )を
用いることができる。
【0020】このステップS3で出力データとして得られ
るのは、面衝撃で用いられる錘の変位に対する、試験片
から錘に加わる反力の曲線や、同じく錘の変位に対す
る、錘が吸収したエネルギーの曲線などである。
【0021】次に、ステップS4において、面衝撃試験を
行う。試験片を構成する材料、拘束条件、荷重条件、試
験片寸法などの試験条件は、ステップS1で設定した初期
条件と同一であることが好ましいが、若しくは結果に対
する実質的な影響がないか、許容できる範囲である限り
は、若干の相違があってもよい。
【0022】例えば、試験片を構成する材料において、
添加物の有無によって衝撃解析用物性に実質的に影響を
与えないことが予めわかっている場合は、その添加物の
有無にかかわらず略同一とみなし得る。
【0023】このステップS4で得られる出力データは、
面衝撃で用いられる錘の変位に対する、試験片から錘に
加わる反力の曲線や、同じく錘の変位に対する、錘が吸
収したエネルギーの曲線などなどである。
【0024】ここでステップS2、S3とステップS4とは、
順不同であってよい。なお、面衝撃試験により得られた
反力およびエネルギー値を既に得ている場合には、ステ
ップS1の初期条件を当該面衝撃試験の試験条件に合致さ
せて行うようにすれば、当該面衝撃試験をステップS4と
みなすことができる。
【0025】次にステップS5において、ステップS3の面
衝撃解析より得られた変位−反力曲線、変位−エネルギ
ー曲線と、ステップS4の面衝撃試験より得られた変位−
反力曲線、変位−エネルギー曲線とから、それぞれ反力
とエネルギーの値を抽出する。抽出方法は特に限定しな
いが、例えば、反力の最大値と、反力が最大になった時
点のエネルギー値と、一定変位でのエネルギー値の3つ
の値を抽出する。
【0026】続いてステップS6において、反力とエネル
ギー値の差異を数値化する。数値化方法については特に
限定されないが、好ましくは、ステップS3の面衝撃解析
により得られた最大反力値と、ステップS4の面衝撃試験
により得られた最大反力値との比で表した相関係数A
と、同じくステップS3の面衝撃解析より得られたエネル
ギー値と、ステップS4の面衝撃試験より得られたエネル
ギー値の比で表した相関係数Bを設定するのがよい。解
析結果の最大反力値が試験結果の最大反力値の2倍であ
れば、相関係数Aは A=2となる。
【0027】続いてステップS7において、ステップS6よ
り得られた差異が十分小さいか否かを判定する。差異は
小さいほど好ましく、理想的には0である。
【0028】例えば、差異として上述した相関係数A,
Bを設定した場合には、これら相関係数A,Bが予め設
定した所定の許容範囲α内にあるか否かを判定する。こ
の許容範囲αとしては、α=1±β(β=0〜0.1)を
設定するとよい。すなわち、1−β≦A≦1+β、1−
β≦B≦1+β を満たすか否かを判定するようにす
る。βは0〜0.1の範囲で可及的に小さいほど好まし
いが、その大きさとしては、ステップS4およびS5で得ら
れた反力およびエネルギー値の精度の観点から選定すれ
ばよい。
【0029】ステップS7の判定工程において、相関係数
A,Bが許容範囲αになく、反力とエネルギー値の面衝
撃試験値と面衝撃解析値との差異が十分に縮小されてい
ない場合には、ステップS2の衝撃解析用物性の仮定値を
修正しながら、ステップS7で相関係数A,Bが許容範囲
α内に縮小されたと判定されるまで、上記ステップS2、
S3、S5、S6をこの順序で繰り返すようにする。
【0030】上記ステップS2、S3、S5、S6の繰り返し操
作により、相関係数A,Bが許容範囲αに収束すると、
ステップS8で、最後の繰り返し操作で設定した衝撃解析
用物性の仮定値を、ステップS1で設定した解析用物性値
として決定する。
【0031】上記操作で得られる解析用物性は、ステッ
プS2で仮定した解析用物性であり、ステップS1で設定し
た条件と少なくとも同一温度、同一試験速度下における
弾性率E、降伏応力σy 、破断ひずみεf 或いは降伏ひ
ずみεy であり、好ましくはひずみに対する弾性率E
(ε) である。
【0032】上記のようにステップS7で、ステップS6で
得た差異が十分小さくなっていないと判定された際に再
計算するときの最適化方法としては、例えば相関係数を
設定した場合は、衝撃解析用物性をパラメータとし、ス
テップS7でのβを評価関数として、評価関数βが目的範
囲に入ったときのパラメータを最適とする方法などが考
えられる。評価関数βを用いた最適化の場合は、相関係
数A、Bを目的関数として用いることが考えられる。
【0033】また、最初の判定結果からパラメータを推
測し、再計算によって確認することも考えられる。この
推測の方法としては、例えば弾性率E、降伏応力σy 、
破断ひずみεf などの初期条件について、実験計画法の
3水準直行配列表などを用いて組み合わせを決定し、そ
の組み合わせに基づいて再計算する方法などが挙げられ
る。
【0034】次に、本発明の物性取得方法を実行するた
めの装置について図2を用いて説明する。
【0035】図2において、102はコンピュータであ
る。このコンピュータ102に、衝撃解析用物性値入力
装置101、表示装置104、補助記憶装置107及び
衝撃解析用物性記録装置108が接続されている。ま
た、コンピュータ102のメモリ上には計算用モデル作
成ソフト105、衝撃解析ソフト106が記憶されてい
る。
【0036】衝撃解析用物性値入力装置101で、初期
条件及び弾性率E、降伏応力σy 、破断ひずみεf 或い
は降伏ひずみσy 等の衝撃解析用物性の初期の仮定値を
入力し、コンピュータ102を介して補助記憶装置10
7に格納する。
【0037】計算用モデル作成ソフト105は、面衝撃
の試験片形状を微小な要素に分割した計算用モデルを作
成し、そのデータを補助記憶装置107に格納する。ま
た、衝撃解析ソフト106(面衝撃解析工程)は、計算
用モデルと衝撃解析物性値を読み込み、最大反力値およ
びエネルギー値を算出し、そのデータを補助記憶装置1
07に格納する。
【0038】面衝撃試験装置103(面衝撃試験工程)
は、解析と同条件で試験を行い、最大反力値およびエネ
ルギー値を算出する。なお、予め測定したこれらのデー
タがある場合には、そのデータを参照するようにしても
よい。その場合には、上記衝撃解析用物性値入力装置1
01で入力する初期条件を、上記データの測定条件にあ
わせる。
【0039】そして、コンピュータ102(相関係数設
定工程及び判定)が、解析で得られた最大反力値及びエ
ネルギー値と、実験で得られた最大反力値及びエネルギ
ー値とを、内部のランダムアクセスメモリ(RAM)に
読み込んで差異を算出し、これを、例えば表示装置10
4に表示する。この差異が出来る限り小さくなるまで計
算を繰り返す手段として、例えば表示装置104に表示
された結果を確認した後、オペレータが衝撃解析用物性
の仮定値を修正して再計算を繰り返すようにしてもよ
い。或いは、コンピュータ102に最適化ソフトを記憶
させ、差異が相関係数の場合には1になるまで、相対値
差の場合には0になるまで繰り返す最適化計算を実行さ
せてもよい。
【0040】本発明で得られた衝撃解析用物性は、これ
を用いて面衝撃解析を行うことにより、ひずみ速度を算
出することが可能である。ひずみ速度は、対応する速度
での構造物の衝撃解析に用いることができるため、衝撃
解析をする際の物性選択の作業を簡易化することができ
る。
【0041】一方、試験速度が変化するような場合に
は、構造物の衝撃解析をするために、初期条件の一つと
して通常好ましく用いられる試験速度について、条件を
種々にかえて衝撃解析用物性を取得することが好まし
い。その際に設定すべき試験速度としては特に限定され
ないが、ひずみ速度が10-3〜100 /msに相当する
範囲で、少なくとも低速域、中速域、高速域の3段階に
することが好ましく、特に互いにオーダーの異なる速度
域とすることが好ましい。
【0042】また、試験環境温度が変化するような場合
には、初期条件として試験温度を種々に変えて衝撃解析
用物性を取得することも好ましい。その際に設定すべき
条件も特に限定されないが、好ましくは、−40℃から
80℃の範囲で、少なくとも低温域、中温域、高温域の
3段階で行うことが好ましい。
【0043】上述のように、その材料について種々の試
験温度と試験速度条件下における衝撃解析用物性を求め
ることにより、これらの物性を用いて、ひずみε及びひ
ずみ速度εv に対する弾性率E(ε, εv ) や、ひずみ速
度εv に対する破断ひずみεf(εv )或いは降伏ひずみ
εy (εv )を演算することも可能である。
【0044】本発明において、上記のようにして得られ
た衝撃解析用物性、ひずみ速度及びこれら物性を用いて
衝撃解析して得られる衝撃解析値から選択される一種以
上の物性を、それぞれコンピュータ読み取り可能な記録
媒体に記録することにより、好ましくは上記に加えて各
物性についての試験速度、試験温度などの初期条件の一
部または全部も記録することにより、種々の構造物の衝
撃解析をするためのデータベースとして用いることが可
能になり、かつこれにより、衝撃を受ける構造物に最適
な材料を選定することができる。
【0045】
【実施例】縦×横=80mm×80mm、厚さ=3mm
のナイロン樹脂(ガラス繊維含有率30%)の試験片に
ついて、直径15.9mmの圧子を衝突させる面衝撃試
験と面衝撃解析を、以下のように行って衝撃解析用物性
を取得した。
【0046】図3は、上記試験片と圧子(下半分)の計
算用モデルを示したもので、1,772個の節点と1,
868個の要素で構成されている。
【0047】面衝撃試験と面衝撃解析に共通の初期条件
は、試験片の中心部分、直径50mmの範囲を除く部分
の変位を全拘束と、圧子のZ方向に0.05m/sの並
進である。
【0048】上記面衝撃試験の結果として、図4に示す
反力曲線とエネルギー曲線が得られた。また、衝撃解析
は、解析物性値の設定としてナイロン樹脂(ガラス繊維
含有率30%)の静的物性データを、弾性率E=6.5
GPa、降伏応力σy =140MPa、破断ひずみεf
=0.03を用いて計算した結果、図5に示す反力曲線
とエネルギー曲線を得た。
【0049】上記の面衝撃解析結果と面衝撃試験結果と
からそれぞれ最大反力値とエネルギー値を抽出し、次の
ように相関係数A,Bを算出した。
【0050】解析で得られた最大反力値は530N、5
mm変形時のエネルギー値は3.5Jであり、また、面
衝撃試験から得られた最大反力値は590N、5mm変
形時のエネルギー値は4Jであったので、最大反力につ
いての解析値と試験値の相関係数Aは、A=530/5
90=0.89、エネルギー値についての解析値と試験
値の相関係数Bは、B=3.5/4=0.87である。
いずれの相関係数A,Bも許容範囲αをα=0.9〜
1.1(β=0.1)と設定したとき、この範囲を満足
しない。
【0051】そこで、解析物性値を、弾性率E=6.9
GPa、降伏応力σy =150MPa、破断ひずみεf
=0.025に再設定を行って再計算を行ったところ、
この解析から得られた最大反力値は608N、5mm変
形時のエネルギー値は4.3Jであった。
【0052】したがって、最大反力についての相関係数
Aは、A=608/590=1.03、エネルギー値に
ついての相関係数Bは、B=4.3/4=1.07とな
り、いずれも許容範囲α=0.9〜1.1(β=0.
1)を満足するため、この速度条件下での解析用物性値
を、弾性率E=6.9GPa、降伏応力σy =150M
Pa、破断ひずみεf =0.025と決定した。このと
き、ひずみ速度のオーダーは0.1/sとなる。また、
さらに速度及び温度を変更することにより、このナイロ
ン樹脂に対する衝撃解析用物性が取得できる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、汎
用性の高い面衝撃試験を使用して解析結果と実験結果を
比較することから、低速から高速のひずみ速度に対応す
る衝撃解析用物性データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の衝撃解析用物性の取得方法を実施する
一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の衝撃解析用物性の取得装置の一例を示
すブロック構成図である。
【図3】本発明の衝撃解析用物性の取得方法を実施する
計算用モデルの一例を示す上方斜視図である。
【図4】本発明の衝撃解析用物性の取得方法を実施した
ときの面衝撃試験結果の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の衝撃解析用物性の取得方法を実施した
ときの面衝撃解析結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
101 解析用物性値入力装置 102 コンピュータ 103 面衝撃試験装置 104 表示装置 105 計算用モデル作成ソフト 106 衝撃解析ソフト

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の衝撃解析用物性を該構造物と同
    一材料の試験片を用いて取得する方法であって、 前記試験片の衝撃解析条件を初期条件として設定する工
    程(1) と、 前記試験片の衝撃解析用物性の仮定値を設定する工程
    (2) と、 前記仮定値に基づいて面衝撃解析を行い反力およびエネ
    ルギー値を算出する工程(3) と、 前記反力およびエネルギー値を前記初期条件と略同一の
    条件で面衝撃試験を行って得た反力およびエネルギー値
    と比較し、それぞれ前記解析値と試験値との差異を数値
    化する工程(4) と、 前記数値化した差異が所定の許容範囲に縮小されたか否
    かを判定する工程(5)とからなり、 前記工程(2) の衝撃解析用物性の仮定値を修正しながら
    前記工程(5) での数値化した差異が前記所定の許容範囲
    内に縮小するまで前記工程(2) 〜(5) を繰り返すことを
    特徴とする衝撃解析用物性の取得方法。
  2. 【請求項2】 前記差異として、前記反力については面
    衝撃解析の値と面衝撃試験の値との比で表した相関係数
    Aを、前記エネルギー値については面衝撃解析の値と面
    衝撃試験の値との比で表した相関係数Bとをそれぞれ設
    定し、前記許容範囲の上下限として1±β(β=0〜
    0.1)を設定する請求項1に記載の衝撃解析用物性の
    取得方法。
  3. 【請求項3】 前記衝撃解析用物性として弾性率、降伏
    応力および破断ひずみを用い、かつその初期の仮定値と
    して静的物性値を用いる請求項1又は2に記載の衝撃解
    析用物性の取得方法。
  4. 【請求項4】 前記構造物を構成する材料が熱可塑性樹
    脂である請求項1,2又は3に記載の衝撃解析用物性の
    取得方法。
  5. 【請求項5】 前記初期条件として試験速度を含み、該
    試験速度を少なくとも3段階に設定し、各段階の試験速
    度における衝撃解析用物性を求める請求項1〜4のいず
    れかに記載の衝撃解析用物性の取得方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の衝撃解
    析用物性の取得方法で求めた衝撃解析用物性を用いて面
    衝撃解析を行なってひずみ速度を算出することを特徴と
    するひずみ速度の取得方法。
  7. 【請求項7】 構造物の衝撃解析用物性を該構造物と同
    一材料の試験片を用いて取得する装置であって、 前記試験片の衝撃解析条件を初期条件として設定する工
    程(1) と、 前記試験片の衝撃解析用物性の仮定値を設定する工程
    (2) と、 前記仮定値に基づいて面衝撃解析を行い反力およびエネ
    ルギー値を算出する工程(3) と、 前記反力およびエネルギー値を前記初期条件と略同一の
    条件で面衝撃試験を行って得た反力およびエネルギー値
    と比較し、それぞれ前記解析値と試験値との差異を数値
    化する工程(4) と、 前記数値化した差異が所定の許容範囲に縮小されたか否
    かを判定する工程(5)とからなり、 前記工程(2) の衝撃解析用物性の仮定値を修正しながら
    前記工程(5) での数値化した差異が前記所定の許容範囲
    内に縮小するまで前記工程(2) 〜(5) を繰り返すことを
    特徴とする衝撃解析用物性の取得装置。
  8. 【請求項8】 前記繰り返し操作で得られた衝撃解析用
    物性を蓄積したデータベースを有する請求項7に記載の
    衝撃解析用物性の取得装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で
    得られた衝撃解析用物性および/または請求項6に記載
    の方法で得られたひずみ速度を使用して衝撃解析するこ
    とを特徴とする衝撃解析方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜5のいずれかに記載の方法で
    得られた衝撃解析用物性、請求項5に記載の方法で得ら
    れたひずみ速度および請求項9に記載の方法により得ら
    れた衝撃解析値から選択される少なくとも1種の物性が
    記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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