JP2003279422A - 熱量積算表示ラベル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】温度管理を必要とする物体の中には、単なる時
間毎の温度変化や瞬間的な温度情報だけではなく、対象
物体が経時的に受ける熱の総量を知りたい場合もある
が、低いコストでこれを知ることが出来る手段は存在し
ていなかった。 【解決手段】長手方向一端から他端に行くに従って横幅
が漸減したテーパ状平面形状を有する短冊形ワックス吸
収体１の幅広側端部にあらかじめ設定された温度で融解
を開始するワックスに顔料を分散せしめた顔料入りワッ
クス２を重畳し、これらワックス吸収体１と顔料入りワ
ックス２の表面全体を透明フィルム５で被覆せしめた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は熱量積算表示ラベル、
詳しくは対象物体が経時的に受ける熱の総量を積算して
表示する機能を持つ熱量積算表示ラベルに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】温度管理を必要とする物体の中には、単
なる時間毎の温度変化やある瞬間瞬間における温度情報
だけではなく、対象物体が経時的に受けた熱の総量（積
算値）を知る必要がある場合もある。たとえば、油入変
圧器の場合、継続的な稼動により、変圧器内に発生した
熱の総量（積算量）が一定値を越えた場合、絶縁性能が
劣化した可能性があるとして精密検査することが行われ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
おいては、油入変圧器など経時的に受けた熱の総量（積
算値）を簡単に知ることはできず、稼働時間、発熱値の
変化状況などから計算によって推定するしかなかった。
対象物体の温度変化を逐次記録できる記録機能を持った
温度測定装置を油入変圧器などの対象物体に付設すれ
ば、経時的な熱の総量を積算することは可能であるが、
装置単価が高く、設備費が高額となり、コスト的には到
底採用することは出来なかった。

【０００４】本発明者は、機械装置や電気機器等各種対
象物体の所望箇所の温度を可逆的あるいは不可逆的に感
知表示する為に広く用いられている感温ラベルを改良す
ることによって、対象物体の受ける経時的な熱量の積算
値を低コストで記録できる様にすべく鋭意研究を行った
結果、今回全く新しい熱量積算表示ラベルを開発するこ
とに成功し、本発明としてここに提案するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】長手方向一端から他端に
行くに従って横幅が漸減したテーパ状平面形状を有する
短冊形ワックス吸収体１の幅広側端部にあらかじめ設定
された温度で融解を開始するワックスに顔料を分散せし
めた顔料入りワックス２を重畳し、これらワックス吸収
体１と顔料入りワックス２の表面全体を透明フィルム５
で被覆せしめて熱量積算表示ラベルを構成することによ
り、上記課題を解決せんとするものである。

【０００６】

【実施の形態】図１はこの発明に係る熱量積算表示ラベ
ルの一実施形態の平面図、図２はその断面図である。

【０００７】図１はシート状をした基材３上に重畳され
た短冊型をなしたワックス吸収体であり、図１に示す様
に長手方向一端から他端に行くに従って横幅が漸減した
テーパ状平面形状をなしており、融解したワックスが染
み込みやすい性質を持った素材である和紙や吸い取り
紙、濾紙等からなっている。

【０００８】そして、このワックス吸収体１の幅広側端
部には、予め設定された温度で融解を開始するワックス
の中に顔料を分散させた顔料入りワックス２が重畳され
ており、これら顔料入りワックス２及びワックス吸収体
１の表面側全体は透明フィルム５で覆われ、基板３の裏
面には粘着材層４が形成されている。

【０００９】この実施の形態は上記の通りの構成を有す
るものであり、基板３の裏面の粘着材層４を利用して油
入変圧器など温度検知すべき対象物体の所望部位に貼付
して使用するものである。そして、対象物体があらかじ
め設定されて温度に達すると、顔料入りワックス２は融
解し始め、ワックス吸収体１に染み込む。顔料入りワッ
クス２は横幅が漸減したテーパ状のワックス吸収体１の
幅広側端部に位置しているので、時間の経過と共に融解
した顔料入りワックス２はワックス吸収体１の長手方向
他端に向って染み込み、その面積を増して行き、それに
伴い、図３に示す様に、ワックス吸収体１の発色部分１
２は増大する。

【００１０】なお、一般に、顔料入りワックス２の原位
置（図１及び図２において左端）から離れるに従って、
融解した顔料入りワックス２のワックス吸収体１への浸
透スピードは低下するが、この実施の形態においては、
ワックス吸収体１はその横幅がテーパ状に漸減している
ので、顔料入りワックス２の見掛け上の浸透スピードは
低下しない。つまり、顔料入りワックス１の浸透面積
も、その原位置から離隔するに従って小さくなっている
ので、発色部分１２の拡大スピードは温度に比例してほ
ぼ一定となっている。この様に、ワックス吸収体１の横
幅のテーパ角度を調整することにより、熱量積算値と発
色量との関係を自由に変更できるのである。対象物体の
温度が設定温度以下に低下すると、顔料入りワックス２
は固化し、ワックス吸収体１への浸透は一時停止される
が、対象物体の温度が再び設定温度を超えると、顔料入
りワックス２は再び融解し、ワックス吸収体１の染み込
み面積は増大し、発色部分１２も拡大する。

【００１１】この様にして、対象物体の温度が設定温度
を超すたびごとに、ワックス吸収体１の顔料入りワック
ス２の浸透面積つまり発色部分１２は拡大し続ける。こ
の際、顔料入りワックス２は単に融解するだけではな
く、温度が高くなるに従ってその粘度は低下するので対
象物体の温度が高いとき程、顔料入りワックス２の浸透
スピードは早くなる。

【００１２】従って、ワックス吸収体１の発色部分１２
の大きさと対象物体に経時的に加えられた熱の総量とは
相関関係を持ち、発色部分１２の大きさから経時的に加
えられた熱の積算値を知ることが出来る。

【００１３】この熱量積算表示ラベルは、このままでも
使用可能であるが図４に示す様に、設定温度（たとえば
７０℃）で特定時間（たとえば４０時間）経過の際に発
色する部分、同じく８０時間経過の際に発色する部分な
どに開口窓６を設けた不透明板材７をその上に重畳して
も良く、この場合には開口窓６の発色の有無を見るだけ
で熱量の積算値を即座に知ることが出来る。なお、この
図４の場合は、対象物体が７０℃以上で４０時間経過し
たことを示している。

【００１４】又、図５に示す様に、ワックス吸収体１に
重なるスリット状の窓８を設け、この窓８に沿って熱量
積算値を数値で示した示標９を付記した不透明板材１０
を重畳し、棒グラフ式に熱量積算値を示す様にしても良
い。

【００１５】更に、図６に示す様に、不可逆的に設定温
度超過の事実を表示する既存の各種不可逆的感温ラベル
１３と組合せて使用しても良く、この場合には設定温度
超過の事実と熱量積算値の両方を知ることが出来、より
適切な温度管理が可能となる。

【００１６】

【発明の効果】この発明に係る熱量積算表示ラベルは上
記の通りの構成を有するものであり、対象物体に加えら
れた熱量の積算値を簡単に知ることができ、各種機器類
の温度管理用として極めて有効である。又、ワックス吸
収体には横幅方向にテーパが形成されているので、熱量
積算値と発色量との相関関係を自由に調整することがで
き、対象物体の特性に応じ、よりチェックしやすい表示
ラベルとすることができる。更に、構造も極めて簡単
で、耐久性にも富み、低コストで生産でき、高い実用的
価値を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る熱量積算表示ラベルの一実施形
態の平面図。

【図２】同じくその断面図。

【図３】同じくその使用状態の平面図。

【図４】この発明に係る熱量積算表示ラベルの一応用例
の平面図。

【図５】同じく、他の応用例の平面図。

【図６】同じく、更に他の応用例の平面図。

【符号の説明】

１ ワックス吸収体 ２ 顔料入りワックス ３ 基板 ４ 粘着材層 ５ 透明フィルム ６ 窓 ７ 不透明板材 ８ 窓 ９ 示標 １０ 不透明板材 １１ 不可逆的感温ラベル １２ 発色部分 １３ 不可逆的感温ラベル

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向一端から他端に行くに従って横
   幅が漸減したテーパ状平面形状を有する短冊形ワックス
   吸収体１の幅広側端部にあらかじめ設定された温度で融
   解を開始するワックスに顔料を分散せしめた顔料入りワ
   ックス２を重畳し、これらワックス吸収体１と顔料入り
   ワックス２の表面全体を透明フィルム５で被覆せしめた
   ことを特徴とする熱量積算表示ラベル。
2. 【請求項２】 ワックス吸収体１が和紙であることを特
   徴とする請求項１記載の熱量積算表示ラベル。
3. 【請求項３】 ワックスが直鎖状炭化水素を主体とする
   ことを特徴とする請求項１記載の熱量積算表示ラベル。