JP2003277754A - 液晶組成物、それを用いた偏光選択膜および偏光選択性光学フィルム - Google Patents

液晶組成物、それを用いた偏光選択膜および偏光選択性光学フィルム

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JP2003277754A
JP2003277754A JP2002082395A JP2002082395A JP2003277754A JP 2003277754 A JP2003277754 A JP 2003277754A JP 2002082395 A JP2002082395 A JP 2002082395A JP 2002082395 A JP2002082395 A JP 2002082395A JP 2003277754 A JP2003277754 A JP 2003277754A
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Masaki Noro
正樹 野呂
Atsuhiro Okawa
敦裕 大川
Michio Nagai
道夫 永井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定的に螺旋構造を形成し、所望の光学特性
を発現し得る液晶組成物および偏光板の光利用効率の向
上に寄与する新規な偏光選択膜を提供する。 【手段】 下記一般式(I)で表される光学活性な化合
物を含有する液晶組成物であって、螺旋軸方位と液晶の
分子の長軸方位とのなす角が5°〜85°である螺旋構
造を形成し得る液晶組成物である。また、螺旋軸方位が
膜平面の略法線方向にある前記液晶組成物からなり、所
定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に反射す
る偏光選択膜である。式中、Xは光学活性部位を有する
基を表し、Mは芳香族炭素環または芳香族複素環を少な
くとも一つ有する基を表し、Y1およびY2はそれぞれ独
立に所定の連結基を表す。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、螺旋構造を形成
し、種々の光学フィルムに利用可能な液晶組成物、該液
晶組成物を利用した、所定の偏光を選択的に透過し、他
の偏光を選択的に反射する偏光選択膜および偏光選択性
光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光のような自然光やランプのような
通常の人為的光源からの光は無偏光(ランダム偏光)で
あるが、偏光板を用いることで偏光(直線偏光、円偏
光、楕円偏光)成分を取り出すことができる。取り出し
た偏光は、様々な光学機器に利用できる。現在広く普及
している液晶表示装置は、偏光の性質を利用して画像を
表示する装置であるとも言える。図4に、一般的な液晶
表示装置の模式図を示す。図4に示す一般的な液晶表示
装置では、光源として最裏面にエッジライト方式のバッ
クライト光源11と、裏面より順にバックライトの光を
上方に出射させる反射板12および導光板13とからな
る板状発光体が配置されている。光源の上方には両側を
2枚の従来の光吸収型偏光板14および15により挟持
されてなる液晶セル16が配置され、この構成により画
像表示機能を有する。
【0003】図4の光吸収型偏光板14および15とし
ては、一般にポリビニルアルコール系フィルムからなる
光吸収型偏光板が用いられている。ポリビニルアルコー
ル系偏光板は、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸
し、ヨウ素または二色性染料を吸着することにより製造
することができる。偏光板の透過軸(偏光軸)は、フィ
ルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。光吸収型偏光
板は、偏光軸に平行な偏光成分のみを透過して、それと
直交方向の偏光成分を吸収する。従って、光の利用効率
は理論的に50%以下(実際にはさらに低い値)であ
り、図4の液晶表示装置でも、光源から出射された光は
下側光吸収型偏光板14によって、少なくとも50%吸
収されるため、この構成では理論上50%以上の光の利
用効率は得られない。この様に、従来の液晶表示装置で
は、光吸収型の偏光板を使用していることが、光の利用
効率を低下させ、表示画像の輝度を低下させる一因にな
っている。従って、液晶表示装置等、種々の光学装置に
おいて、自然光や無偏光を所望の直線偏光に効率良く変
換し、光の利用効率を高める技術の開発が強く求められ
ている。
【0004】偏光板の光の利用効率を向上させるため、
光吸収型偏光板に代えて、または光吸収型偏光板に加え
て、光反射型偏光板を使用することが提案されている。
光反射型偏光板としては2種類に大別できる。一つは屈
折率の異なる層を多数積層した方式が、特表平9−50
6985号、同9−507308号各公報等に提案され
ている。しかしながらこの方法では積層膜の作成が難し
いこと、他の機能性フィルムとの張り合わせによる高機
能化や加工が難しいという問題があった。またコレステ
リック液晶の選択反射を利用した方式が特開平8−27
1892号公報および、同8−271837号公報等に
開示されている。この方式では先ほどの問題の多くは解
決されているが、この方式では光反射型偏光板に入射す
る光の角度依存性が大きく、また可視域全体にわたって
均一な反射特性を得ることが難しいという問題があっ
た。またコレステリック液晶の多くは温度による螺旋ピ
ッチの変動が大きく、それに伴って選択反射の波長域が
変動するために製造時の温度管理を精密に行う必要があ
るという問題があった。
【0005】ネマチック相を示す液晶組成物に対して光
学活性な化合物を添加すると螺旋構造を有するコレステ
リック相が誘起されることがよく知られている。このよ
うにもともと光学活性で無い化合物からなる液晶組成物
に添加して螺旋構造を誘起する光学活性な化合物をキラ
ル剤と呼ぶ。その螺旋構造のピッチ長はキラル剤の濃度
が高くなるにつれ短くなり、また異なる種類のキラル剤
を同じ濃度添加した組成物のピッチ長は、キラル剤の構
造によって変化する。キラル剤を同じ濃度添加した場
合、誘起される螺旋構造のピッチ長が短い程、そのキラ
ル剤のねじり力(helIcal twIstIng power:htp)が
強くなる傾向がある。ねじり力(β)は一般にβ=1/
(c×P)で表される。ここで、cはキラル剤の分率を
表し、Pはピッチ長を表す。従って、キラル剤のねじり
力が大きいと少量の添加で短いピッチ長を有する螺旋構
造を誘起できることになり、液晶組成物の物性を制御す
る上で好ましい。
【0006】スメクチックC相の様な液晶化合物の長軸
方向がスメクチック層法線から傾いている相において
も、光学活性な化合物を用いることにより、または光学
活性でない化合物と光学活性な化合物を混合することに
より螺旋構造を有する液晶組成物が形成されることが知
られている。例えば、特開平7−118202号、特開
平8−120271号および特開平8−291148号
の各公報にはスメクチックC相を示す液晶組成物に対し
て、キラル剤を添加して螺旋構造を有するキラルスメク
チックC相を誘起できることが開示されている。しか
し、本発明の目的に利用できるように可視域の光を反射
させることができる様な組成物に関しては開示されてい
ない。特表平9−506088号、特開平10−158
268号、特開平11−193287号および特表20
00―515496号などの各公報、またZ.Natu
rforsch.44a巻、675−679ページ(1
989年)には、コレステリック相を誘起するためのキ
ラル剤として炭水化物誘導体が開示されているが、コレ
ステリック相以外の相については言及されていない。
Z.Naturforsch.43a巻、1119−1
125ページ(1988年)には、炭水化物誘導体を含
有するキラルスメクチックC相に関して記述があるが、
その選択反射の利用に関しては言及されていない。ま
た、ねじり力が小さいキラル剤は多量に添加する必要が
あるため、液晶組成物の物性調節の自由度が制限されて
しまうという問題点がある。更に、コレステリック相に
おいてねじり力が大きくても、スメクチック相の液晶に
添加すると相溶性がなかったり、スメクチック相を不安
定化するものもあった。従って、液晶組成物として様々
な要求性能を満たすために、コレステリック相以外の液
晶相においてねじり力が大きいキラル剤や、そのような
キラル剤を少量含有してピッチ長が可視光を選択反射で
きるほど十分短い螺旋構造を有する液晶組成物が求めら
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記諸問題に
鑑みなされたものであって、安定的に螺旋構造を形成
し、所望の光学特性を発現し得る液晶組成物を提供する
ことを課題とする。また、本発明は、偏光板の光利用効
率の向上に寄与する新規な偏光選択膜および偏光選択膜
性光学フィルムを提供することを課題とする。特に偏光
選択膜の反射特性の制御が容易であり、かつ大面積にわ
たって均一かつ大きな反射特性を示し、他の機能性フィ
ルムとの積層による高機能化が容易で、製造適性に優れ
た新規な偏光選択膜および偏光選択性光学フィルムを提
供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。 (1) 螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位とのなす角が
5°〜85°である螺旋構造を形成し得る液晶組成物で
あって、下記一般式(I)で表される光学活性な化合物
を含有する液晶組成物。
【0009】
【化2】
【0010】式中、Xは光学活性部位を有する基を表
し、Mは芳香族炭素環または芳香族複素環を少なくとも
一つ有する基を表し、Y1およびY2はそれぞれ独立に、
−O−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)
−、−OC(=O)O−、−C(=O)N(R1)−、
−N(R1)C(=O)−、−(CR23mO−、−S
2N(R1)−、−N(R1)SO2−、−S(=O)p
−を表し、R1、R2およびR 3はそれぞれ独立に水素原
子または置換基を有していてもよいアルキル基を表し、
mは1〜12のいずれかの整数を表し、pは0〜2のい
ずれかの整数を表す。m1およびm2はそれぞれ独立して
0または1を表し、m1およびm2がそれぞれ0の時、M
とXおよびMとRはそれぞれ直接結合する。Rは置換基
を有していてもよいアルキル基を表し、nは2〜6のい
ずれかの整数を表す。なお、(1)に記載の液晶組成物
において、前記液晶分子は前記一般式(I)で表される
光学活性な化合物の分子および/または別途添加される
液晶性化合物の分子を意味する。
【0011】(2) さらに、液晶性化合物を含有する
(1)に記載の液晶組成物。 (3) 前記一般式(I)で表される光学活性な化合物
を含有し、キラルスメクチック相を示す液晶組成物。 (4) 前記一般式(I)中、Xが、2個以上の光学活
性部位を有する環状の基を表す(1)〜(3)のいずれ
かに記載の液晶組成物。 (5) 前記一般式(I)中、Xが、下記群から選ばれ
る光学活性部位を有する環状の基を表す(1)〜(3)
のいずれかに記載の液晶組成物。
【0012】
【化3】
【0013】(6) 前記一般式(I)中、Mが下記一
般式(II)で表される基である(1)〜(5)のいずれ
かに記載の液晶組成物。
【0014】
【化4】
【0015】式中、T1およびT2はそれぞれ独立して、
芳香族炭素環、芳香族複素環または脂肪族炭素環を表
し、少なくとも1つは芳香族炭素環または芳香族複素環
を表す。Y3は互いに独立して−O−、−C(=O)O
−、−OC(=O)−、−CH2O−、−OCH2−、−
CH=N−または−N=CH−を表し、m3は0または
1を表す。m3が0の時、T1とT2は直接結合する。r
は0〜3のいずれかの整数を表す。
【0016】(7) 前記螺旋構造がキラルスメクチッ
ク相による螺旋構造である(1)〜(6)のいずれかに
記載の液晶性組成物。 (8) 可視域の波長の光を選択反射する(1)〜
(7)のいずれかに記載の液晶組成物。
【0017】(9) (1)〜(8)のいずれかに記載
の液晶組成物を、螺旋軸方位が膜平面の略法線方向にあ
る螺旋構造に配向させてなり、所定の偏光を選択的に透
過し、他の偏光を選択的に反射する偏光選択膜。 (10) 膜面に垂直な偏光面における最大の全光線透
過率が75%以上、最小の全光線透過率が60%未満で
ある(9)に記載の偏光選択膜。 (11) 透明支持体上に(9)または(10)に記載
の偏光選択膜を層状の偏光選択層として形成した偏光選
択性光学フィルム。
【0018】(12) (11)に記載の偏光選択性光
学フィルムに光を入射し、該入射光中の所定の円偏光を
透過させると共に所定外の円偏光を反射させ、その反射
光を偏光変換層を兼ねる反射板により反射して再び前記
偏光選択性光学フィルムに入射させ、該偏光選択性光学
フィルムより出射した円偏光を位相差層を介して直線偏
光に変換する偏光形成方法。 (13) 板状発光体、偏光選択性光学フィルムおよび
位相差板がこの順序で配置された偏光形成装置におい
て、該板状発光体が側面に光源を、底面に反射層を有す
る導光板から構成され、該偏光選択性光学フィルムが
(11)に記載の偏光選択性光学フィルムであり、該位
相差板の位相差が100〜200nmである偏光形成装
置。 (14) (11)に記載の偏光選択性光学フィルム、
位相差が100〜200nmである位相差板および光吸
収型偏光板がこの順に積層された偏光板であり、該偏光
選択性光学フィルムの全光線透過率が最大となる偏光面
を有する方向と、光吸収型偏光板の透過軸方向とが実質
的に平行である偏光板。
【0019】(15) バックライト、偏光選択性光学
フィルム、位相差板および一対の光吸収型偏光板に挟持
された液晶セルがこの順序で配置された液晶表示装置に
おいて、該バックライトが側面に光源を、底面に反射層
を有する導光板から構成され、該偏光選択性光学フィル
ムが(11)に記載の偏光選択性光学フィルムであり、
該位相差板の位相差が100〜200nmであり、該偏
光選択性光学フィルムの全光線透過率が最大となる偏光
面を有する方向と、該液晶セルのバックライト側光吸収
型偏光板の透過軸方向とが実質的に平行である液晶表示
装置。 (16) 該偏光選択性光学フィルム、該位相差板およ
び該液晶セルのバックライト側の光吸収型偏光板が一体
化されていることを特徴とする(15)に記載の液晶表
示装置。 (17) 該バックライトと、該偏光選択性光学フィル
ムの間に散乱シート、集光フィルムが配置されたことを
特徴とする(15)または(16)に記載の液晶表示装
置。
【0020】(18) 該偏光選択性光学フィルムが、
バックライト側に反射防止層を有する(15)〜(1
7)のいずれかに記載の液晶表示装置。 (19) 偏光選択性光学フィルムの全光線透過率が最
大となる偏光面を有する方向と、該液晶セルのバックラ
イト側光吸収型偏光板の透過軸方向とが実質的に平行で
ある(15)〜(18)のいずれかに記載の液晶表示装
置。 (20) 所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選
択的に反射する偏光選択膜の製造方法であって、(1)
〜(8)のいずれかに記載の液晶組成物を支持体上に展
開する工程と、展開した前記液晶組成物を配向させて、
螺旋軸方位が膜平面の略法線方向にある螺旋構造を形成
する工程とを含む、偏光選択膜の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [液晶組成物]本発明の液晶組成物は、下記一般式
(I)で表される光学活性な化合物を含有し、螺旋軸方
位と液晶分子の長軸方位とのなす角が5°〜85°であ
る螺旋構造を形成し得る。本発明の液晶組成物の一態様
は、前記螺旋構造が、下記一般式(I)で表される光学
活性な化合物単独で発現される液晶組成物である。この
態様では、下記一般式(I)で表される光学活性な化合
物は、液晶性化合物として配向し、螺旋構造を形成す
る。また、本発明の液晶組成物の他の態様は、非光学活
性な液晶性化合物および/または光学活性な液晶性化合
物と前記一般式(I)で表される光学活性な化合物との
混合物であり、前記螺旋構造が液晶性化合物と前記光学
活性な化合物との混合により発現される液晶組成物であ
る。この態様では、下記一般式(I)で表される光学活
性な化合物はキラル剤として、液晶性化合物とともに螺
旋構造を形成する。
【0022】本発明の液晶組成物の好ましい態様は、非
光学活性な液晶性化合物と前記一般式(I)で表される
光学活性な化合物とを含有する液晶組成物である。この
態様では、光学活性な化合物の配合量、光学活性単位の
導入量、光学純度、配向させる際の温度条件等を適宜調
節することによって、螺旋ピッチを容易に調節すること
ができる。その結果、光学フィルムの形成等に用いた場
合に、フィルムの特性、例えば選択反射素子として用い
る場合には、選択反射波長の調節等が容易なので好まし
い。
【0023】本発明の液晶組成物は、螺旋軸方位と前記
液晶性化合物分子の長軸方位とのなす角が、5°〜85
°(好ましくは15°〜80°、より好ましくは20°
〜80°)である螺旋構造を形成し得る。本発明の液晶
組成物が形成可能な螺旋構造は、スメクチック相による
螺旋構造であるのが好ましく、特にキラルスメクチック
相による螺旋構造であるのが好ましい。キラルスメクチ
ック相は、キラルスメクチックC相、キラルスメクチッ
クF相およびキラルスメクチックI相のいずれでもよい
が、特にキラルスメクチックC相が好ましい。なお、螺
旋構造が右螺旋になるか左螺旋になるかは、使用するキ
ラル剤や光学活性単位の掌性に依存するので、どちらの
掌性のものを選択するかで右螺旋、左螺旋いずれの構造
のものも調製することができる。
【0024】次に、下記一般式(I)で表される光学活
性な化合物について詳細に説明する。上述した様に、本
発明の液晶組成物において、下記一般式(I)で表され
る光学活性な化合物は、主にキラル剤としておよび/ま
たは液晶性化合物として機能する。
【0025】
【化5】
【0026】式中、Xは光学活性部位を有する基を表
し、Mは芳香族炭素環または芳香族複素環を少なくとも
一つ有する基を表し、Y1およびY2はそれぞれ独立に、
−O−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)
−、−OC(=O)O−、−C(=O)N(R1)−、
−N(R1)C(=O)−、−(CR23mO−、−S
2N(R1)−、−N(R1)SO2−または−S(=
O)p−を表し、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水
素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表
し、mは1〜12のいずれかの整数を表し、pは0〜2
のいずれかの整数を表す。m1およびm2はそれぞれ独立
して0または1を表し、m1およびm2がそれぞれ0の
時、MとXおよびMとRはそれぞれ直接結合する。式
中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
nは2〜6のいずれかの整数を表し、2〜4のいずれか
の整数であることが好ましく、2または3であることが
より好ましい。
【0027】一般式(I)中、Xは光学活性部位を有す
る基を表す。Xに含まれる光学活性部位は1つであって
も2つ以上であってもよい。入手性も加味すると糖、光
学活性な2価以上のアルコール類、2価以上のカルボン
酸類、ヒドロキシカルボン酸類、アミノ酸類、ビナフチ
ル誘導体およびビフェニル誘導体が好ましく、特表平9
−506088号公報中に、Xの好ましい例として挙げ
られている構造も同様に好ましい。その他に好ましい例
としては下記構造が挙げられる。
【0028】
【化6】
【0029】また、Xとしては、前記例示した構造が更
に置換されたものであってもよい。該置換基としては、
水酸基、ハロゲン原子(例えばCl、Br、F、I)、
シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素
数1〜20の鎖状または環状のアルキル基(例えばメチ
ル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシ
ル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシ
エチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、
2−ジエチルアミノエチル)、炭素数1〜20のアルケ
ニル基(例えばビニル、アリル、2−ヘキセニル)、炭
素数2〜20のアルキニル基(例えばエチニル、1−ブ
チニル、3−ヘキシニル)、炭素数7〜12のアラルキ
ル基(例えばベンジル、フェネチル)、炭素数6〜10
のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−カルボ
キシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタン
スルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−
カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、
4−メタンスルホンアミドフェニル、4−ブタンスルホ
ンアミドフェニル)、炭素数1〜10のアシル基(例え
ばアセチル、ベンゾイル、プロパノイル、ブタノイ
ル)、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基(例え
ばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、炭素数
7〜12のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキ
シカルボニル、ナフトキシカルボニル)、炭素数1〜1
0のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル、
メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニル
カルバモイル)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例え
ばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、メトキシエトキ
シ)、炭素数6〜12のアリーロキシ基(例えばフェノ
キシ、4−カルボキシフェノキシ、3−メチルフェノキ
シ、ナフトキシ)、炭素数2〜12のアシルオキシ基
(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数1〜
12のスルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオ
キシ、フェニルスルホニルオキシ)、炭素数0〜10の
アミノ基(例えば無置換のアミノ、ジメチルアミノ、ジ
エチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ)、炭素数
1〜10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド、ベン
ズアミド)、炭素数1〜20のスルホニルアミノ基(例
えばメチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミ
ノ、ブチルスルホニルアミノ、n−オクチルスルホニル
アミノ)、炭素数1〜10のウレイド基(例えばウレイ
ド、メチルウレイド)、炭素数2〜10のウレタン基
(例えばメトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニ
ルアミノ)、炭素数1〜12のアルキルチオ基(例えば
メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜
12のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチル
チオ)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(例え
ばメチルスルフォニル、ブチルスルホニル)、炭素数7
〜12のアリールスルホニル基(例えばフェニルスルホ
ニル、2−ナフチルスルホニル)、炭素数0〜20のス
ルファモイル基(例えば無置換スルファモイル、メチル
スルファモイルなど)、複素環基(例えば、4−ピリジ
ル、ピペリジノ、2−フリル、フルフリル、2−チエニ
ル、2−ピロリル、2−キノリルモルホリノ)等を挙げ
ることができる。
【0030】中でも、Xは下記構造の基を表すのがより
好ましい。
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】式中、B1およびB2はそれぞれ独立して、
置換もしくは−O−を含んでいてもよい(即ちアルコキ
シ基で置換されていてもよい)炭素数1〜4のアルキル
基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていて
もよいカルボキシル基を表す。
【0034】また、Xは光学活性部位を有する下記環状
の基がさらに好ましい。
【化9】
【0035】前記一般式(I)中、Mは芳香族炭素環ま
たは芳香族複素環を少なくとも一つ有する基を表す。前
記芳香族炭素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、
アントラセン環またはフェナンスレン環が好ましく、ベ
ンゼン環またはナフタレン環が更に好ましく、ベンゼン
環が最も好ましい。Mがベンゼン環またはナフタレン環
を有する基を表す場合、MとY1およびY2それぞれとの
結合位置は、Y1とY2が直線上に並ぶ様な位置が好まし
く、ベンゼン環では1,4位、ナフタレン環では2,6
位にY 1およびY2がそれぞれ結合しているのが好まし
い。前記芳香族複素環としては、1〜3の窒素原子を含
有する6員環(例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピ
リミジン環、ピラジン環、トリアジン環など);N原
子、O原子またはS原子を含む5員環(例えばピロール
環、イミダゾール環、フラン環、オキサゾール環、1,
3,4−オキサジアゾール環、チオフェン環、チアゾー
ル環、1,3,4−チアジアゾール環など);が好まし
い。ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジ
ン環、1,3,4−オキサジアゾール環、チオフェン
環、1,3,4−チアジアゾール環がより好ましく、ピ
リジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環が
更に好ましい。Mが芳香族複素環を有する基を表す場合
も、MとY1およびY2それぞれとの結合位置は、Y1
2が直線上に並ぶ様な位置が好ましく、ピリジン環、
ピリミジン環、ピラジン環、1,3,4−オキサジアゾ
ール環、チオフェン環および1,3,4−チアジアゾー
ル環においては、2,5位にY1およびY2がそれぞれ結
合していることが好ましい。またこれらの芳香族炭素環
または芳香族複素環は置換基を有していてもよく、該置
換基としてはXの置換基として挙げた例と同様なものが
挙げられる。
【0036】また、Mは下記一般式(II)で表される基
であるのが好ましい。
【0037】
【化10】
【0038】前記一般式(II)中、T1およびT2はそれ
ぞれ独立して、芳香族炭素環、芳香族複素環または脂肪
族炭素環を表し、少なくとも1つは芳香族炭素環または
芳香族複素環を表す。T1およびT2がそれぞれ表す芳香
族炭素環および芳香族複素環については、Mが有する芳
香族炭素環および芳香族複素環とそれぞれ同義であり、
好ましい範囲も同様である。前記脂肪族炭素環としては
シクロヘキサン環およびデカヒドロナフタレン環が好ま
しい。Y3は互いに独立して−O−、−C(=O)O
−、−OC(=O)−、−CH2O−、−OCH2−、−
CH=N−または−N=CH−を表し、m3は0または
1を表す。m3が0の時、T1とT2は直接結合する。
【0039】前記一般式(II)中、rは0〜3のいずれ
かの整数を表し、0〜2であるのがより好ましく、0ま
たは1であるのが更に好ましい。
【0040】前記一般式(I)中、Y1およびY2はそれ
ぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)O−、−O
C(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)N
(R1)−、−N(R1)C(=O)−、−(CR23
mO−、−SO2N(R1)−、−N(R1)SO2−、−
S(=O)p−を表す。m1およびm2はそれぞれ独立し
て0または1を表し、m1およびm2がそれぞれ0の時、
MとXおよびMとRはそれぞれ直接結合する。
【0041】R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素
原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表
す。R1は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を
表すのが好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアル
キル基を表すのがより好ましい。R2およびR3はそれぞ
れ、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表すの
が好ましく、水素原子を表すのがより好ましい。mは1
〜12のいずれかの整数を表し、1〜6のいずれかであ
るのが好ましく、1〜4のいずれかであるのが更に好ま
しく、1または2であるのが最も好ましい。pは0〜2
のいずれかの整数を表し、0または2であることが好ま
しい。
【0042】前記一般式(I)中、Rは置換基を有して
いてもよいアルキル基を表す。アルキル鎖は分岐してい
てもよく、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)な
どを含んでていもよい(即ち、アルコキシ基またはアル
キルスルファニル基で置換されていてもよい)。前記置
換基としては、Xの置換基として挙げたものと同様のも
のが挙げられる。Rに含まれる炭素数は、1〜30が好
ましく、6〜20がより好ましく、6〜15が更に好ま
しい。またアクリロイルオキシ基やメタクロイルオキシ
基のような重合性基を有していてもよい。
【0043】以下に、前記一般式(I)で表される化合
物の具体例を示すが、本発明に用いられる光学活性な化
合物は、下記の具体例に限定されるものではない。
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】前記一般式(I)で表される化合物は、例
えばドイツ国特許(DE−A)第3917196号、特
表平9−506088号、特表2000−515496
号などの各公報に記載の方法により合成することができ
る。
【0049】本発明の液晶組成物では、上述した様に、
前記一般式(I)で表される光学活性な化合物を単独で
用いてもよいし、光学活性でない化合物とともに用いて
もよいし、また、他の光学活性な化合物とともに用いて
もよい。また、前記一般式(I)で表される化合物は、
2種類以上を併用してもよい。前記一般式(I)で表さ
れる光学活性化合物と併用する材料としては、(キラ
ル)スメクチック相を示す液晶性化合物およびキラル剤
が好ましい。これらについては、“強誘電性液晶ディス
プレイと材料”(シーエムシー発行、福田敦夫監修、1
992年)や“液晶便覧“(丸善、液晶便覧編集委員会
編、2000年、267〜330ページ)に記載されて
いるもの等が挙げられる。螺旋構造のピッチ長や液晶分
子の複屈折と選択反射スペクトルの中心波長と半値幅と
の関係は「フォトニクスシリーズ9強誘電性液晶の構造
と物性」(福田敦夫・竹添秀男著、コロナ社、1990
年)の285ページに記載されており、反射スペクトル
の半値幅は液晶組成物の複屈折が大きいほど広くなる。
本発明の目的においては、できるだけ広い波長域を選択
反射させることが望ましいので、本発明に用いる液晶化
合物としては複屈折が1.5以上であるものが好まし
く、1.8以上であるものがより好ましく、2.0以上
であるものが更に好ましい。
【0050】以下に、本発明に使用可能な液晶性化合物
およびキラル剤の例を挙げるが、本発明に用いられる材
料は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0051】
【化15】
【0052】
【化16】
【0053】前記一般式(I)で表される光学活性な化
合物は、キラル剤のねじり力が大きく、少量の添加で短
いピッチ長を有する螺旋構造を誘起でき、所望の偏光選
択性を発現することができる。前記一般式(I)で表さ
れる光学活性な化合物を非光学活性な液晶性化合物と併
用する場合は、前記光学活性な化合物を非光学活性な液
晶性化合物に対して、1〜20質量%程度添加すれば、
偏光選択性を示す螺旋構造を誘起させることができる。
但し、前記一般式(I)で表される光学活性な化合物を
前記範囲を超えて添加することを妨げるものではなく、
本発明において、前記一般式(I)で表される光学活性
な化合物を液晶性化合物と併用する場合、その含有量は
通常、1〜30質量%程度がましい。
【0054】本発明の液晶組成物は、偏光選択膜、偏光
選択性光学フィルム、偏光板および表示装置の作製に用
いることができる。以下、本発明の液晶組成物を利用し
た、偏光選択膜、偏光選択性光学フィルム、偏光板およ
び表示装置について説明する。
【0055】[偏光選択膜および偏光選択性光学フィル
ム]本発明の偏光選択膜は、所定の偏光を選択的に透過
し、他の偏光を選択的に反射する偏光選択膜であって、
前記一般式(I)で表される光学活性な液晶性化合物を
含有する液晶組成物からなる。本発明の偏光選択膜は、
前記液晶組成物が、螺旋軸方位が膜平面の略法線方向に
ある螺旋構造を形成してなる。また、本発明の偏光選択
性光学フィルムは、透明支持体上に、前記偏光選択膜を
層状の偏光選択層として形成した偏光選択性光学フィル
ムである。
【0056】本発明の偏光選択膜および偏光選択性光学
フィルムは、該膜面に垂直な偏光面における最大の全光
線透過率が75%以上であるのが好ましく、85%以上
であるのがより好ましい。この値が75%未満であると
膜の透過率が低いことにより大幅な輝度向上効果は得ら
れない。また該膜面に垂直入射させた遮光側の円偏光の
最大の全光線透過率が60%未満であることが好まし
く、40%未満であるのがより好ましい。この値が60
%以上であると、本来透過させずに後方に戻すべき光を
透過させたことになり、この場合にも大幅な輝度向上効
果は得られなくなる。
【0057】本発明の偏光選択膜は、種々の方法により
製造可能であるが、ガラスやプラスチックフィルム等の
基板上に前記液晶組成物を展開し、乾燥後剥ぎ取る等の
方法により製造することができる。また本発明の偏光選
択性光学フィルムは、プラスチック基板等の透明支持体
上に前記液晶組成物を展開し、乾燥させることにより製
造することができる。
【0058】前記プラスチック基板としては、特に限定
されないが、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポ
リエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、トリアセチルセ
ルロース等のセルロース系プラスチックス、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、高分子液晶等のプラスチックフィ
ルム基板、上記基板上に他の被膜、例えばポリイミド
膜、ポリアミド膜、ポリビニルアルコール膜、シリコー
ン膜の薄膜を設けたものや、シランカップリング剤、ク
ロム等の金属錯体、レシチンやCTAB(cetyltrImeth
ylammonIum bromIde)等で表面処理したプラスチック基
板等が挙げられる。また複数のプラスチック基板の間に
液晶を挟んで製造する場合、複数のプラスチック基板は
同種の組合せでも、異種のプラスチック基板の組合せで
も良い。これらのプラスチック基板の中では、フィルム
状の基板を用いることが好ましい。
【0059】また、これらのプラスチック基板は、ラビ
ング等に代表される配向処理をしていても、していなく
ても良い。
【0060】前記液晶組成物を前記プラスチック基板上
に展開する方法としては、溶媒を使用せずに直接、液晶
組成物を塗布してもよいし、また、適当な溶媒に前記液
晶組成物を溶解させ、該溶液を塗布した後、溶媒を蒸発
させてもよい。
【0061】前記溶媒としては、前記液晶性化合物、光
学活性な化合物等の材料の種類、組成等に応じて適宜適
切なものを選択することができるが、通常はクロロホル
ム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テ
トラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロ
エチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェ
ノール等のフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼン等の
芳香族炭化水素類、イソプロピルアルコール、tert
−ブチルアルコール等のアルコール類、グリセリン、エ
チレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコ
ール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソル
ブ、ブチルセルソルブ等のグリコールエーテル類、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン、酢酸エチル、2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミ
ン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニト
リル、ブチロニトリル、二硫化炭素、およびこれらの混
合溶媒等が用いられる。
【0062】また前記溶媒には、溶液の表面張力を調整
し、塗工性を向上させる等のために、必要に応じて界面
活性剤を添加してもよい。
【0063】前記溶液中の材料の濃度は、その種類、溶
解性、製造するフィルムの膜厚等に応じて適宜調節する
ことができる。前記溶液中において、前記液晶組成物の
濃度は、0.5〜70質量%であるのが好ましく、1〜
50質量%であるのがより好ましい。
【0064】前記塗布の方法は特に限定されないが、ス
ピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き
上げ法、カーテンコート法、マイヤーバーコート法、ド
クターブレード法、ナイフコート法、ダイコート法、グ
ラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセッ
トグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート
法やエクストルージョンコート法(米国特許26812
94号明細書)等を利用することができる。二以上の層
を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、
米国特許2761791号、同2941898号、同3
508947号、同3526528号の各明細書および
原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店
(1973)に記載がある。塗布後、必要に応じて溶媒
を除去し、前記液晶材料を均一な層とすることができ
る。
【0065】本発明の偏光選択膜および偏光選択性光学
フィルムの製造においては、透明支持体上に展開した液
晶組成物を配向させて、前記螺旋構造を形成する工程を
含む。液晶組成物を配向させる方法については特に制限
はないが、例えば、前記液晶組成物が螺旋構造を有する
スメクチック液晶相をとり得る温度において展開を行っ
た場合、展開と同時に螺旋構造を有するスメクチック液
晶相が得られる場合がある。また、展開された液晶組成
物を一度加熱し、螺旋構造を有するスメクチック液晶相
よりも高い温度で発現する相、例えばスメクチックA
相、キラルネマチック相、等方相等を呈させてから、螺
旋構造を有するスメクチック液晶相が発現する温度に冷
却することにより配向させることもできる。なお、加熱
は、プラスチック基板の貼り合わせと同時にまたは別々
に、2枚のプラスチック基板で狭持した液晶組成物を2
本の加熱されたロール間を通過させることや熱処理炉を
通過させること等により行うこともできる。
【0066】上記配向処理は、偏光選択膜および偏光選
択性光学フィルムの全面に施されてもよいし、一部のみ
に施されてもよい。
【0067】前記展開の工程において、またはその後の
任意の段階、例えば前記配向の工程等において、必要に
応じて、界面間に展開した液晶材料に磁場や電場、ずり
応力、流動、延伸、温度勾配等を作用させることができ
る。このような操作を行うことにより、螺旋軸方位を偏
光選択膜および偏光選択性光学フィルム面に略垂直に配
向させる工程を、より短時間で行うことができる。
【0068】本発明の偏光選択膜および偏光選択性光学
フィルムが経時または熱等により、性能変動するのを抑
える必要がある場合、液晶性化合物分子の配向を固定化
するのが好ましい。配向を固定化するには、例えば、
(A)配向させた前記液晶分子を冷却してガラス状態と
する工程;または(B)配向させた前記液晶分子の配向
を保持したまま重合する工程等を実施することができ
る。
【0069】前記工程(A)は、前記液晶分子として、
前記高分子液晶物質を主成分とするもの等の、ガラス転
移温度以上の温度において所望の螺旋構造を有するスメ
クチック液晶相を呈し、冷却することによってガラス状
態となりうる液晶分子を用いて行うことができる。
【0070】前記工程(A)では、前記液晶分子のガラ
ス転移温度以上の温度まで加熱した後、配向させた前記
液晶分子を冷却しガラス状態となる温度まで降温させる
ことにより、前記液晶分子を結晶状態とすることなく、
ガラス状態として配向を固定化することができる。前記
冷却の手段は、特に制限はなく、展開または配向の工程
における加熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気
中、例えば室温中に出すだけで固定化に十分な所望の冷
却を行うことができる。また、生産の効率等を高めるた
めに、空冷、水冷等の強制冷却を行ってもよい。
【0071】また前記工程(B)は、前記液晶分子とし
て、紫外光や可視光、電子線、熱等によって反応しうる
置換基を有する物質を含むものを用いて行うことができ
る。前記置換基としては、ビニル基、アクリル基、メタ
クリル基、ビニルエーテル基、シンナモイル基、アリル
基、アセチレニル基、クロトニル基、アジリジニル基、
エポキシ基、イソシアネート基、チオイソシアネート
基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、カルボン酸基、
アシル基、ハロカルボニル基、アルデヒド基、スルホン
酸基、シラノール基等を挙げることができ、好ましくは
これらのうち多重結合を有する基やエポキシ基、アジリ
ジニル基等を挙げることができ、より好ましくはアクリ
ル基、メタクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エ
ポキシ基、シンナモイル基等を挙げることができる。重
合後、熱等による各種性能の変動を小さくする点では2
以上のエチレン性不飽和重合性基を含む化合物を用いる
ことが好ましい。2以上のエチレン性不飽和重合性基を
含む化合物の例としては、多価アルコールと(メタ)ア
クリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、
1,3,5−シクロヘキサントリオールトリアクリレー
ト、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリ
アクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体
(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸
−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニル
シクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルス
ルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリル
アミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。これら
置換基は前記液晶物質および/または非液晶物質および
/または添加剤の1種以上のいずれに含まれていてもよ
く、2種以上の物質の場合、同種および/または異種の
置換基が含まれていてもよい。また、1種類の物質中に
同種および/または異種の置換基が2つ以上含まれてい
てもよい。
【0072】前記工程(B)では、配向させた前記液晶
分子の配向を保持したまま重合させる。重合法としては
特に制限はないが、熱重合や光重合、γ線等の放射線重
合、電子線重合、重縮合、重付加等の反応を用いること
ができる。中でも反応制御が容易で、製造上有利な可視
光や紫外光を利用した光重合あるいは電子線重合を利用
することが好ましい。
【0073】本発明の偏光選択膜(偏光選択性光学フィ
ルムにおいては偏光選択層)の膜厚は、特に限定されな
いが、実用性の観点から0.1〜50μmであるのが好
ましく、0.2〜25μmであるのがより好ましく、
0.3〜15μmであるのがさらに好ましい。
【0074】本発明の偏光選択膜は、分離性能の均一化
等の点より平坦な層として形成されていることが好まし
く、2層以上の重畳層として形成されている場合でも各
層は平坦なものであることが好ましい。偏光選択膜は、
前記の如く2層以上の重畳層として形成することもでき
る。重畳化は、分離機能の広波長域化や斜め入射光の波
長シフトに対処する点等より有利であり、その場合には
所定外の円偏光として反射する光の中心波長が異なる組
合せで重畳することが好ましい。例えば、同じ偏光方向
の円偏光を反射し、選択反射の中心波長が300〜90
0nmの範囲にあり、かつ選択反射の中心波長がそれぞ
れ50nm以上異なる2〜6種類の液晶層を重畳するこ
とで、広い波長域をカバーできる偏光選択膜を効率的に
形成することができる。液晶層を重畳する場合は、製造
効率や薄膜化などの観点から、液晶ポリマーを使用する
のが特に有利である。
【0075】以下においては、本発明の偏光選択膜およ
び偏光選択性光学フィルムを利用した偏光形成方法、偏
光板および液晶表示装置につき、模式図を用いて説明す
る。なお、以下の図において、偏光選択性光学フィルム
及び位相差板の各部品は、積層一体化されていてもよい
し、分離状態にあってもよい。配置位置は、板状発光体
の光出射側と位相差板との間に偏光選択性光学フィルム
が介在する状態とされる。図1は、本発明の偏光選択膜
を含む偏光選択性光学フィルムを用いた最も基本的な液
晶表示装置の構成を示す模式図である。液晶表示装置1
0は、バックライト光源11と、裏面より順にバックラ
イトの光を表面に出射させる反射板12と、導光板13
とを含む板状に発光する光源を備えている。光源の上方
には、偏光選択性光学フィルム18、位相差板17およ
び2枚の光吸収型偏光板14および15により挟持され
てなる液晶セル16とがこの順序で配置されている。位
相差板17と光吸収型偏光板14および15とは、位相
差板17から出射する直線偏光の透過率が最大となるよ
うに、光吸収型偏光板14および15を配置されてい
る。
【0076】バックライト光源11からの光は、反射板
12によって反射され、導光板13により導かれて、上
方に配置された偏光選択性光学フィルム18に入射す
る。入射した光のうち所定の円偏光は、本発明の偏光選
択性光学フィルム18を透過し位相差板17を介して外
部に透過する。一方、所定外の円偏光は、偏光選択性光
学フィルム18で反射され、その反射光は、導光板等で
偏光解消されて反射板で反射し、再び偏光選択性光学フ
ィルム18に戻って再利用される。
【0077】偏光選択性光学フィルム18による反射光
は、反射板12で反射される際に偏光状態が変化させら
れ、一部又は全部の反射光が偏光選択性光学フィルム1
8を透過しうる所定の円偏光となる。従って前記の反射
光は、偏光選択性光学フィルム18を透過しうる所定の
円偏光となるまで偏光選択性光学フィルム18と反射板
12との間に閉じ込められて反射を繰り返す。一方、偏
光選択性光学フィルム18より出射した円偏光は、位相
差板17に入射して位相変化を受け、その位相変化が1
/4波長に相当する波長の光は直線偏光に変換され、そ
の他の波長の光は楕円偏光に変換される。その楕円偏光
は、前記の直線偏光に変換された光の波長に近いほど扁
平な楕円偏光となる。かかる結果、光吸収型偏光板14
を透過しうる直線偏光成分を多く含む状態の光が位相差
板17より出射され、位相差板17から出射した光は、
光吸収型偏光板14および13に挟持される液晶セル1
6に入射して画像表示に利用される。このように、液晶
表示装置10では、従来の構成の液晶表示装置(例えば
図4の液晶表示装置)と比較して画像表示に用いられる
光の利用効率が格段に高くなっている。
【0078】液晶表示装置10では、偏光選択性光学フ
ィルム18による反射光を偏光変換による出射光として
再利用することで反射ロスを防止し、さらにその出射光
を位相差板17を介し位相制御して、光吸収型偏光板1
4および15を透過可能な直線偏光成分を多く含む光状
態に変換することで、光吸収型偏光板14および15に
よる吸収ロスを防止し、光利用効率を向上させている。
【0079】さらに、液晶表示装置10では、バックラ
イト光源11と反射板12と導光板13とからなる板状
発光体、偏光選択性光学フィルム18、および位相差板
17からなる構成を、偏光形成装置として利用してい
る。偏光形成装置19は、上述の如く、高い光利用効率
で、偏光板を透過しやすい偏光を形成するものである。
大面積化等も容易であることより液晶表示装置以外に
も、種々の装置のバックライトシステムなどとして好ま
しく適用することができる。
【0080】図2は、本発明の偏光選択性光学フィルム
を偏光板の保護膜として用いた液晶表示装置の模式図で
ある。図2の液晶表示装置10’では、光吸収型偏光板
14に偏光選択性光学フィルム18’および位相差フィ
ルム17’を貼り合せた構成になっている。偏光選択性
光学フィルム18’および位相差フィルム17’は、図
1中の偏光選択性光学フィルム18および位相差フィル
ム17と同様にそれぞれ機能するとともに、光吸収型偏
光板14の保護膜としても機能する。図1の液晶表示装
置では、偏光選択性光学フィルム18の偏光選択層と反
対側の面および位相差フィルム17、光吸収型偏光板1
4および15の表面で反射があるため光の利用効率が約
10%減少するが、図2の液晶表示装置10’では、偏
光選択性光学フィルム18’、位相差フィルム17’お
よび光吸収型偏光板14が貼り合わされているので上記
反射面が無く、光の利用効率が図1の液晶表示装置と比
較して約10%増加する。
【0081】さらに、液晶装置10’は、散乱シート2
1および集光性フィルム22を備えている。散乱シート
21は、半透明なシートであり、板状発光体からの入射
光を拡散して、面全体を均一に明るくするのに主に寄与
する。さらに、集光性フィルム22は、入射光を集光し
て、光の利用効率をさらに向上するのに寄与する。
【0082】図3は、本発明の偏光選択性光学フィルム
あるいは偏光板の輝度向上機能を更に良化した液晶表示
装置の構成例である。図3の液晶表示装置10’’で
は、図2の液晶表示装置10’に加えて、偏光選択性光
学フィルム18’の偏光選択層の表面に、直接または他
の層を介して反射防止層21が貼り合わせられている。
反射防止層21を貼り合わすことにより、図2の液晶表
示装置10’よりさらに偏光選択層表面における反射を
減少させ、偏光選択層内に入射する光量を増加させるこ
とができる。反射防止層19としては、例えば日本写真
学会誌,29巻,P.137(1966)に記載されて
いるような、低屈折率層と高屈折率層の積層体でも、低
屈折率層を1層のみ設けたものでもよい。
【0083】図2および図3の液晶表示装置10’およ
び10’’では、偏光選択性光学フィルム18’と、位
相差板17’と、光吸収型偏光板14とをこの順序で積
層した積層体20および20’を、偏光板として利用し
ている。偏光選択性光学フィルム18’および位相差板
17’を通過することにより、光吸収型偏光板14に入
射する光は、光吸収型偏光板14を通過可能な直線偏光
成分に変換されているので、偏光選択性光学フィルム1
8’に入射し、光吸収型偏光板14から出射する光の損
失は、単に光吸収型偏光板14のみを透過させた場合と
比較して、格段に低減されている。従って、偏光板20
および20’では、入射光を高い利用効率で特定の偏光
に変換できる。
【0084】本発明の偏光選択性光学フィルムを液晶表
示装置に用いることにより、光の利用効率が高くなり、
結果としてディスプレイの輝度が上昇する。輝度を上昇
させるためには、全光線透過率が最大となる偏光面での
透過率Tmaxが75%以上、最小となる偏光面での透
過率Tminが60%未満であることが好ましく、Tm
axが80%以上、Tminが50%以下であることが
より好ましく、Tmaxが85%以上、Tminが40
%以下であることが特に好ましい。また、本発明の偏光
選択性光学フィルムは、特開平2−160204号公報
や特登2587398号に記載されているような視野角
補償フィルムと併用することもできる。
【0085】図1〜3では、光源として、側面にバック
ライト光源を、底面に反射板を有する導光板から構成さ
れた板状発光体を用いたが、本発明に用いる光源は、板
状に発光し、偏光変換層としても機能する反射層を有す
る限り、特にこの構成に限られない。例えば、導光板を
用いない直下型バックライトを使用することもできる。
【0086】本発明において、偏光選択性光学フィルム
が所定外の円偏光として反射する光の波長域は、併用す
る光源である板状発光体に基づく出射光の波長域と、実
質的に一致しているのが好ましい。当該出射光に輝線ス
ペクトル等の主波長がある場合には、その1種又は2種
以上の主波長と、偏光選択性光学フィルムのスメクチッ
ク液晶相等に基づく反射光の波長とを一致させること
が、偏光選択の効率性等の点でより有利となる。偏光選
択膜を積層構造にすることにより、広い波長域の光に対
応することもできるが、要重畳数を減少化させることが
でき、偏光選択層の薄層化にも有利である。なお、反射
光の波長の一致の程度は、板状発光体の1種又は2種以
上の主波長光に対してそれぞれ20nm以内の範囲とす
ることが好ましい。
【0087】本発明において、偏光選択性光学フィルム
の上方に配置する位相差板は、上記の如く偏光選択性光
学フィルムより出射した円偏光の位相を変化させて直線
偏光成分の多い状態に変換し、偏光板を透過しやすい光
とすることを目的とする。従って位相差板としては、偏
光選択性光学フィルムより出射した円偏光を、1/4波
長の位相差に相当して直線偏光を多く形成しうると共
に、他の波長の光を前記直線偏光と可及的にパラレルな
方向に長径方向を有し、かつ可及的に直線偏光に近い扁
平な楕円偏光に変換しうるものが好ましく用いうる。前
記の如き位相差板を用いることにより、その出射光の直
線偏光方向や楕円偏光の長径方向が偏光板の透過軸と可
及的に平行になるように配置して、偏光板を透過しうる
直線偏光成分の多い状態の光を得ることができる。
【0088】本発明に用いられる位相差板は、適宜な材
質で形成でき、透明で均一な位相差を与えるものが好ま
しい。位相差板の位相差は、偏光選択性光学フィルムよ
り出射される円偏光の波長域などに応じて適宜に決定し
うる。ちなみに可視光域では波長特性や実用性等の点よ
り、殆どの位相差板がその材質特性より正の複屈折の波
長分散を示すものであることも加味して、その位相差が
小さいもの、具体的には100〜200nmの位相差を
与えるものが好ましく用いうる場合が多い。
【0089】位相差板は、1層又は2層以上形成するこ
とができる。1層からなる位相差板の場合には、複屈折
の波長分散が小さいものほど波長毎の偏光状態の均一化
をはかることができて好ましい。一方、位相差板の重畳
層化は、波長域における波長特性の改良に有効であり、
その組合せは波長域などに応じて適宜に決定してよい。
【0090】上記した100〜200nmの位相差を与
える位相差板の場合、左円偏光が入射するときには、偏
光板の偏光軸を基準(0°)として位相差板の進相軸の
配置角度を0〜90°、好ましくは35〜55°、特に
45°とすることで偏光板透過光を向上させることがで
きる。一方、右円偏光が入射する場合には位相差板の遅
相軸に基づいて前記の角度設定をすることにより偏光板
透過光を向上させることができる。2層以上の位相差板
からなる場合、特にその外部側表面層を100〜200
nmの位相差を与える層が占める場合にはその層に基づ
いて、当該配置角度に設定することが好ましい。
【0091】なお可視光域を対象に2層以上の位相差板
とする場合、上記の如く100〜200nmの位相差を
与える層を1層以上の奇数層として含ませることが直線
偏光成分の多い光を得る点より好ましい。100〜20
0nmの位相差を与える層以外の層は、通例200〜4
00nmの位相差を与える層で形成することが波長特性
の改良等の点より好ましいが、これに限定するものでは
ない。
【0092】
【実施例】以下、実施例にて本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】[実施例1]本実施例では、前記一般式(I)
で表される化合物を含有する液晶組成物がキラルスメク
チック相を呈し、且つ該相が選択反射性を示すことを明
らかにする。例示化合物(108)と(109)と(1
10)とを等質量含む混合物に対して、例示化合物
(1)、例示化合物(3)、比較化合物1(構造下記)お
よび比較化合物2(BDH社製、CE7)をそれぞれ、
5質量%の含率となる量だけ混合して液晶組成物A、
B、CおよびDをそれぞれ調製した。
【0094】
【化17】
【0095】これらの液晶組成物をそれぞれ等方性液体
になる温度まで加熱し、それから−5℃/分の速度で降
温したところ、液晶組成物AおよびBにおいてはキラル
スメクチックC相において選択反射が観測された。また
液晶組成物Cにおいては相分離したテクスチャが観察さ
れ、液晶組成物Dでは選択反射を示さなかった。次に、
比較化合物2を30質量%含む以外は液晶組成物Dと同
様にして、液晶組成物Eを調製した。この液晶組成物E
を等方性液体になる温度まで加熱し、それから−5℃/
分の速度で降温したところ、選択反射が観察された。従
って、例示化合物(1)および(3)は、スメクチック
相と良く相溶し、かつ5質量%という少量添加で可視光
の光を選択反射するほどの短いピッチの螺旋構造を誘起
することが明らかとなった。
【0096】また、液晶組成物AおよびBをそれぞれ、
ITO電極を有するセルギャップ7μmの水平配向セル
に注入し、その組成物がキラルスメクチックC相をとる
温度に加熱した。直流電圧をセル平面の法線方向に印加
し、電場の向きを反転させた時に消光位が回転する角度
から液晶の長軸方位と螺旋方位のなす角は両者とも22
〜30°であった。
【0097】[実施例2]本実施例では本発明の液晶組
成物を用いた光学フィルムを液晶ディスプレイ(LC
D)に実装し、輝度向上フィルムとして有用であること
を明らかにする。 (円偏光素子の作製)ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム上に上記液晶組成物Aの10質量%クロロホルム溶
液をそれぞれ塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚
みは10μmであった。次に温度を120℃まで上昇さ
せた後に室温まで−5℃/分の速度で降温させて円偏光
素子Aを作製した。また液晶組成物Aの代わりに液晶組
成物Bを使用した以外は、全く同様にして円偏光素子B
を作製した。
【0098】(直線偏光素子の作製)作製した円偏光素
子AおよびBに対してそれぞれλ/4板(帝人製ピュア
エースWR, W−159)を貼りあわせることで直線
偏光素子AおよびBを作製した。この直線偏光素子Aお
よびBを片側の保護層として、次にそれぞれヨウ素/P
VAの吸収型偏光層、さらにトリアセチルセルロースフ
ィルムによる保護層を積層した吸収型偏光層一体化直線
偏光素子AおよびBを作製した。
【0099】(透過率測定)この吸収型偏光層一体化直
線偏光素子AおよびBに波長450nmの右回り円偏光
を入射したところ、それぞれ91%および90%の透過
率が得られた。また、波長450nmの左回り円偏光を
入射したところ、それぞれ34%および33%の透過率
が得られた。
【0100】(LCD実装)LCセルの光源側の偏光板
として、吸収型偏光層一体化直線偏光素子AおよびBを
それぞれSHARP製液晶表示装置に実装した。この吸
収型偏光層一体化直線偏光子を用いたときの正面方向の
波長450nm強度を、TOPCON製分光放射輝度計
SR−2で測定したところ、通常の吸収型偏光板を用い
たときの輝度と比較して直線偏光素子Aでは1.09
倍、直線偏光素子Bでは1.10倍の強度が得られ、本
発明の光学フィルムがLCD用の輝度向上膜として機能
することを確認した。
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、安定的に螺旋構造を形
成し、所望の光学特性を発現し得る液晶組成物を提供す
ることができる。また、本発明によれば、偏光板の光利
用効率の向上に寄与する新規な偏光選択膜および偏光選
択膜性光学フィルムを提供することができる。特に偏光
選択膜の反射特性の制御が容易であり、かつ大面積にわ
たって均一かつ大きな反射特性を示し、他の機能性フィ
ルムとの積層による高機能化が容易で、製造適性に優れ
た新規な偏光選択膜および偏光選択性光学フィルムを提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偏光選択性光学フィルムを利用した
液晶表示装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】 本発明の偏光選択性光学フィルムを利用した
液晶表示装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図3】 本発明の偏光選択性光学フィルムを利用した
液晶表示装置の他の実施形態を示す模式図である。
【図4】 従来の液晶表示装置の構成を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
10、10’、10’’ 液晶表示装置 11 バックライト光源 12 反射板 13 導光板 14 下側光吸収型偏光板 15 上側光吸収型偏光板 16 液晶セル 17、17’ 位相差層 18、18’ 偏光選択性光学フィルム(本発明) 19 偏光形成装置(本発明) 20 偏光板(本発明) 21 散乱シート 22 集光性フィルム 23 反射防止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 道夫 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA03 BA05 BA07 BA27 BA43 BB03 BB33 BB43 BB44 BC22 2H091 FA08 FB02 LA30 4H027 BA06 BD14 DF01 DH01 DH07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位とのな
    す角が5°〜85°である螺旋構造を形成し得る液晶組
    成物であって、下記一般式(I)で表される光学活性な
    化合物を含有する液晶組成物。 【化1】 (式中、Xは光学活性部位を有する基を表し、Mは芳香
    族炭素環または芳香族複素環を少なくとも一つ有する基
    を表し、Y1およびY2はそれぞれ独立に、−O−、−S
    −、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=
    O)O−、−C(=O)N(R1)−、−N(R1)C
    (=O)−、−(CR23mO−、−SO2N(R1
    −、−N(R1)SO2−、−S(=O)p−を表し、
    1、R2およびR 3はそれぞれ独立に水素原子または置
    換基を有していてもよいアルキル基を表し、mは1〜1
    2のいずれかの整数を表し、pは0〜2のいずれかの整
    数を表す。m1およびm2はそれぞれ独立して0または1
    を表し、m1およびm2がそれぞれ0の時、MとXおよび
    MとRはそれぞれ直接結合する。Rは置換基を有してい
    てもよいアルキル基を表し、nは2〜6のいずれかの整
    数を表す。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液晶組成物を、螺旋軸
    方位が膜平面の略法線方向にある螺旋構造に配向させて
    なり、所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的
    に反射する偏光選択膜。
  3. 【請求項3】 透明支持体上に請求項2に記載の偏光選
    択膜を層状の偏光選択層として形成したことを特徴とす
    る偏光選択性光学フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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