JP2005091960A - 偏光選択層、光学フィルム、偏光形成方法、偏光形成装置及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 偏光板及び液晶表示装置の光利用効率の向上に寄与する偏光選択層を提供する。
【手段】【請求項1】 所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に反射する偏光選択層であって、螺旋構造を有する液晶相を配向固定してなり、該螺旋構造の螺旋軸方位が層平面の略法線方向にあり、記液晶の複屈折が0.20以上であり、且つ螺旋構造の螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位のなす角が5°〜85°である偏光選択層である。
【選択図】 なし
【手段】【請求項1】 所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に反射する偏光選択層であって、螺旋構造を有する液晶相を配向固定してなり、該螺旋構造の螺旋軸方位が層平面の略法線方向にあり、記液晶の複屈折が0.20以上であり、且つ螺旋構造の螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位のなす角が5°〜85°である偏光選択層である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に反射又は散乱する偏光選択層、並びにそれを用いた光学フィルム、偏光形成方法、偏光形成装置及び液晶表示装置に関する。
太陽光のような自然光やランプのような通常の人為的光源からの光は無偏光(ランダム偏光)であるが、偏光板を用いることで偏光(直線偏光、円偏光、楕円偏光)成分を取り出すことができる。取り出した偏光は、様々な光学機器に利用できる。現在広く普及している液晶表示装置は、偏光の性質を利用して画像を表示する装置であるとも言える。図4に、一般的な液晶表示装置の模式図を示す。図4に示す一般的な液晶表示装置では、光源として最裏面にエッジライト方式のバックライト光源21と、裏面より順にバックライトの光を上方に出射させる反射板22および導光板23とからなる板状発光体が配置されている。光源の上方には両側を2枚の従来の光吸収型偏光板24および25により挟持されてなる液晶セル26が配置され、この構成により画像表示機能を有する。
図4の光吸収型偏光板24および25としては、一般にポリビニルアルコール系フィルムからなる光吸収型偏光板が用いられている。ポリビニルアルコール系偏光板は、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸し、ヨウ素または二色性染料を吸着することにより製造することができる。偏光板の透過軸(偏光軸)は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。光吸収型偏光板は、偏光軸に平行な偏光成分のみを透過して、それと直交方向の偏光成分を吸収する。従って、光の利用効率は理論的に50%以下(実際にはさらに低い値)であり、図4の液晶表示装置でも、光源から出射された光は下側光吸収型偏光板24によって、少なくとも50%吸収されるため、この構成では理論上50%以上の光の利用効率は得られない。
この様に、従来の液晶表示装置では、光吸収型の偏光板を使用していることが、光の利用効率を低下させ、表示画像の輝度を低下させる一因になっている。従って、液晶表示装置等、種々の光学装置において、自然光や無偏光を所望の直線偏光に効率良く変換し、光の利用効率を高める技術の開発が強く求められている。偏光板の光の利用効率を向上させるため、光吸収型偏光板に代えて、または光吸収型偏光板に加えて、光反射型偏光板を使用することが提案されている。光反射型偏光板としては2種類に大別できる。一つは屈折率の異なる層を多数積層した方式が提案されている(特許文献1及び2)。しかしながらこの方法では積層膜の作成が難しいこと、他の機能性フィルムとの張り合わせによる高機能化や加工が難しいという問題があった。またコレステリック液晶の選択反射を利用した方式が開示されている(特許文献3、4及び5)。この方式の光反射方偏光板では、先ほどの問題の多くは解決されているが、入射する光の角度依存性が大きく、また可視域全体にわたって均一な反射特性を得ることが難しいという問題があった。またコレステリック液晶の多くは温度による螺旋ピッチの変動が大きく、それに伴って選択反射の波長域が変動するために製造時の温度管理を精密に行う必要があるという問題があった。
特表平9−506985号公報
特表平9−507308号公報
特開平8−271892号公報
特開平8−271837号公報
特開2000−281629号公報
本発明は、光利用効率の向上に寄与し、その反射特性の制御が容易であり、大面積にわたって均一かつ優れた反射特性を示し、他の機能性フィルムとの積層による高機能化が容易で、且つ製造適性に優れた偏光選択層、並びにこれを用いた光学フィルム、偏光形成方法、偏光形成装置及び液晶表示装置を提供することを課題とする。さらに、本発明は光利用率の高い偏光形成方法、偏光板および液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記のコレステリック液晶を用いた光反射型反射偏光板の問題点を解決するため、キラルスメクチック相を呈する液晶性化合物を種々探索した結果、高い複屈折性を示す化合物群を見いだし、本発明に到達した。すなわち本発明の目的は以下の方法により達成された。
[1] 所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に反射する偏光選択層であって、螺旋構造を有する液晶相を配向固定してなり、該螺旋構造の螺旋軸方位が層平面の略法線方向にあり、前記液晶の複屈折が0.20以上であり、且つ螺旋構造の螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位のなす角が5°〜85°である偏光選択層。
[2] 前記液晶が、下記一般式(1)で表わされる[1]に記載の偏光選択層。
(式中、R1及びR2はそれぞれアルキル基を表し、L1及びL2はそれぞれ単結合、−C≡C−、−C(R3)=C(R4)−、−O−、−S−、−CO2−、−OCO−、-CON(R5)−、−C(=O)−又は−N(R6)CO−を表し、R3、R4、R5及びR6は水素原子又はアルキル基を表す。Ar1、Ar2及びAr3はそれぞれ二価の芳香族炭化水素基又は芳香族ヘテロ環基を表し、l、m及びnはそれぞれ1、2又は3を表し、sは0、1又は2を表す。)
[3] 前記螺旋構造を有する液晶相がキラルスメクチック相である[1]または[2]に記載の偏光選択層。
[4] 透明支持体と、[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光選択層とを有する光学フィルム。
[1] 所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に反射する偏光選択層であって、螺旋構造を有する液晶相を配向固定してなり、該螺旋構造の螺旋軸方位が層平面の略法線方向にあり、前記液晶の複屈折が0.20以上であり、且つ螺旋構造の螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位のなす角が5°〜85°である偏光選択層。
[2] 前記液晶が、下記一般式(1)で表わされる[1]に記載の偏光選択層。
[3] 前記螺旋構造を有する液晶相がキラルスメクチック相である[1]または[2]に記載の偏光選択層。
[4] 透明支持体と、[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光選択層とを有する光学フィルム。
[5] 螺旋構造を有する液晶相が配向固定されてなり、該螺旋構造の螺旋軸方位が層平面の略法線方向にあり、前記液晶の複屈折が0.20以上であり、且つ螺旋構造の螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位のなす角が5°〜85°である偏光選択層を介して、入射光における所定の円偏光を透過させると共に所定外の円偏光を反射させ、その反射光を偏光変換層を兼ねる反射層を介して再び前記偏光選択層に入射させ、該偏光選択層より出射した円偏光を位相差層を介して出射させ、少なくとも入射光より直線偏光成分が多い出射光とすることを特徴とする偏光形成方法。
[6] 一方の面側に光を出射する板状発光層と、該板状発光層の光出射側に位置する[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光選択層と、該偏光選択層の前記板状発光層が位置するのと反対側の面上に位置する位相差板とを有する偏光形成装置。
[7] 前記板状発光層が、側面に光源と底面に反射層とを有する導光板からなり、前記位相差板が、100〜200nmの位相差を与える層を少なくとも一層有する[6]に記載の偏光形成装置。
[8] 透明電極、画素電極を有する一対の基板と、その基板間に液晶性化合物が封入された液晶セルと、その外側に配置された前面側及び背面側の一対の偏光板と、前記背面側の偏光板のさらに外側に前記液晶セルに光を入射するためのバックライトとを有する液晶表示装置であって、前記背面側偏光板と前記バックライトとの間に[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光選択層を有する液晶表示装置。
[9] バックライト、背面側偏光板、液晶セル、及び前面側偏光板がこの順に積層された液晶表示装置であって、前記背面側偏光板が、[1]〜[3]のいずれかに記載の光反射型偏光選択層と、所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に吸収する光吸収型偏光層とを有する偏光板であり、前記光反射型偏光選択層が、その層平面に垂直な偏光面において、最大の全光線透過率が75%以上であり、最小の全光線透過率が60%未満であり、且つ全光線透過率が最大となる偏光面を有する軸と光吸収型偏光選択層の透過軸とが実質的に平行であることを特徴とする液晶表示装置。
[6] 一方の面側に光を出射する板状発光層と、該板状発光層の光出射側に位置する[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光選択層と、該偏光選択層の前記板状発光層が位置するのと反対側の面上に位置する位相差板とを有する偏光形成装置。
[7] 前記板状発光層が、側面に光源と底面に反射層とを有する導光板からなり、前記位相差板が、100〜200nmの位相差を与える層を少なくとも一層有する[6]に記載の偏光形成装置。
[8] 透明電極、画素電極を有する一対の基板と、その基板間に液晶性化合物が封入された液晶セルと、その外側に配置された前面側及び背面側の一対の偏光板と、前記背面側の偏光板のさらに外側に前記液晶セルに光を入射するためのバックライトとを有する液晶表示装置であって、前記背面側偏光板と前記バックライトとの間に[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光選択層を有する液晶表示装置。
[9] バックライト、背面側偏光板、液晶セル、及び前面側偏光板がこの順に積層された液晶表示装置であって、前記背面側偏光板が、[1]〜[3]のいずれかに記載の光反射型偏光選択層と、所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に吸収する光吸収型偏光層とを有する偏光板であり、前記光反射型偏光選択層が、その層平面に垂直な偏光面において、最大の全光線透過率が75%以上であり、最小の全光線透過率が60%未満であり、且つ全光線透過率が最大となる偏光面を有する軸と光吸収型偏光選択層の透過軸とが実質的に平行であることを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、光利用効率が高く、その反射特性の制御が容易であり、かつ大面積にわたって均一かつ大きな反射特性を示し、他の機能性フィルムとの積層による高機能化が容易で、製造適性に優れた偏光選択層を得ることができる。本発明の偏光選択層を利用することにより、光利用効率の高い偏光形成方法、偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の偏光選択層は、螺旋構造を有する液晶相が配向固定されてなり、前記螺旋構造の螺旋軸方位は層平面の略法線方向にある。このような性質を単独の液晶で発現してもよいし、複数の液晶の混合もしくは液晶と非液晶性化合物との混合によりこのような性質を発現してもよい。このような液晶相としてはスメクチック相等が挙げられる。さらにこれらの液晶相が光学活性体によりキラルスメクチック相を示すものが螺旋構造をとる点で好ましい。キラルスメクチック相の中でも好ましくはキラルスメクチックC相、キラルスメクチックF相、キラルスメクチックI相が挙げられ、特に好ましくはキラルスメクチックC相である。ただし、螺旋構造をとるために光学活性であることは必須ではなく、たとえば、J.Mat.Chem.,7巻、1307頁(1997年)にあるような光学活性部位を持たずに螺旋構造をとる液晶を用いてもよい。
本発明の偏光選択層の形成に用いられる前記液晶材料としては、上記のごとき液晶物質にキラル剤を配合又は光学活性単位を導入したものが、所望の螺旋構造を有するスメクチック液晶相を呈するうえで好ましい。例えばスメクチックC相、スメクチックI相、スメクチックF相等を呈する液晶物質に、キラル剤を配合するか、又は光学活性単位を当該液晶物質に導入することにより、キラルスメクチックC相、キラルスメクチックI相、キラルスメックチックF相等の、より螺旋構造を呈しやすいキラルスメクチック相を呈しうる液晶物質とすることができる。このようなキラル剤の配合量、光学活性単位の導入量、光学純度、配向させる際の温度条件等を適宜調節することによって、螺旋ピッチを調節することができ、さらにはフィルムの特性、例えば選択反射素子として用いる場合には、選択反射波長を調節することができる。
螺旋構造が右螺旋になるか左螺旋になるかは、使用するキラル剤や光学活性単位の掌性に依存するので、どちらの掌性のものを選択するかで右螺旋及び左螺旋いずれの構造のものも作製することができる。選択反射の波長域が広いことが液晶層の膜厚を薄くするために有効である。そのような性能は液晶化合物の複屈折や液晶の螺旋構造の螺旋軸方位と該液晶分子の長軸方位のなす角を大きくすることが有効である。本発明では、用いる液晶の複屈折は、0.20以上であり、好ましくは0.25以上であり、更に好ましくは0.27以上である。液晶の複屈折が0.20未満であると、光の反射効率が低下する、選択反射の波長域が狭くなる等の問題が大きくなる。一方、液晶の複屈折は大きいほど好ましいが、大きくなると液晶自体が着色する傾向にあるため0.80以下、さらには0.60以下が好ましい。
液晶の螺旋構造の螺旋軸方位と該液晶分子の長軸方位のなす角は、5°〜85°であり、20°〜85°であるのが好ましく、30°〜85°であるのがより好ましい。
本発明で使用する液晶としては、下記一般式(1)で表わされるものが好ましい。
式中、R1及びR2はそれぞれ、アルキル基(メチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等)を表わし、炭素数として好ましくは炭素数1〜30、更に好ましくは炭素数3〜20である。これらは更に置換基を有していてもよく、好ましい置換基としてはハロゲン原子(フッ素、塩素等)、R7CO2−基(アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、アセトキシ等)、ビニル基、R7O−基、−CO2R7基、R7CO−基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。ここでR7はアルキル基、アリール基又はビニル基を表わす。置換基として更に好ましくは、ビニル基又はエポキシ基を有する置換基である。またこれら置換基は更に置換基を有していてもよい。
L1及びL2はそれぞれ、単結合、−C≡C−、−C(R3)=C(R4)−、−O−、−S−、−CO2−、−OCO−、-CON(R5)−、−C(=O)−又は−N(R6)CO−を表す。ここで式の左側はR1と、右側は(Ar1)lと結合する。R3、R4、R5及びR6はそれぞれ、水素原子又はアルキル基を表す。R3及びR4として好ましくは、水素原子、メチル基又はエチル基であり、特に好ましくは水素原子である。R5及びR6として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
Ar1、Ar2及びAr3はそれぞれ、二価の芳香族炭化水素基又は芳香族ヘテロ環基を表す。芳香族炭化水素基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
これらのうちで好ましくは、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、2、6−アントリレン基又は2、7−フェナントリレン基であり、更に好ましくは1,4−フェニレン基である。
Ar1、Ar2及びAr3が二価の芳香族ヘテロ環基を表すとき、芳香族ヘテロ環基としては芳香族5員ヘテロ環基又は芳香族6員ヘテロ環基が好ましく、その具体例としては以下のものが挙げられる。
Ar1、Ar3及びAr3でそれぞれ表される基は、さらに置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(フッ素、塩素等)、シアノ基、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル等)、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜6)のアルケニル基(ビニル、プロペニル、ヘキセニル等)、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜6)のアルキニル基(エチニル、プロピニル、ヘキシニル等)、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6)のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ等)、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6)のアルキルチオ基(メチルチオ、ブチルチオ、ヘキシルチオ、デシルチオ等)、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜7)のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等)、炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜7)のアシルオキシ基(アセチルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ等)等が挙げられる。可能な限りの数の置換基を有していてもよいが、置換基の数は好ましくは0〜3個であり、更に好ましくは0〜2個である。またこれら置換基は更に置換されていてもよい。
l、m及びnはそれぞれ、1、2又は3を表わし、好ましくは1又は2である。sは0、1又は2を表わし、好ましくは1である。
以下に一般式(1)で表わされ、且つ複屈折が0.20以上の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、Macromolecules、26巻、5840頁(1993年)や特開平2000−198755号公報に記載の方法に準じて合成することができる。以下に、前記一般式(I)で表される化合物の具体的な合成例を示す。
(4−a、83.5mmol)とアセトニトリル(170ml)、トリメチルシリルアセチレン(92mmol)、ピペリジン(334mmol)、トリフェニルフォスフィン(以下TPPと呼ぶ、1.25mmol)、CuI(0.3mmol)及びビストリフェニルフォスフィンパラジウムジクロライド(以下TPCと呼ぶ、0.25mmol)からなる混合物を窒素雰囲気下、70℃で2時間反応させた。その後、TPC(0.25mmol)とトリメチルシリルアセチレン(36mmol)を追加し、更に5時間反応させた。室温に冷却後、酢酸エチル(300ml)を加え、有機層を1規定の塩酸で2回洗浄した後に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサン)にて精製した。得られた物質をメタノール(140ml)に入れ、そこに炭酸カリウム(82.5mmol)を加えた後に室温で5時間撹拌した。酢酸エチル(300ml)を加え、1規定塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、濃縮することにより、例示化合物(4−b)を76%の収率で得た。
(4−b、7mmol)と2、5−ジブロモピリジン(3.5mmol)とをアセトニトリル(10ml)中で混合した。窒素雰囲気下、ピペリジン(14mmol)とTPP(0.105mmol)、CuI(0.025mmol)及びTPC(0.021mmol)を加え、80℃で2.5時間反応させた。室温に冷却後、結晶を濾取し、該結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:塩化メチレン/ヘキサン=1/1)にて精製した。得られた結晶を更にイソプロピルアルコールから再結晶することにより例示化合物(4)を70%の収率で得た。得られた化合物の相転移温度は、Cr 77.0 Sc 164.5 Isoであった。また、複屈折Δn=0.36であった、また、この液晶を配向させた液晶相の螺旋構造の螺旋軸方位と該液晶分子の長軸方位のなす角は41.7°であった。
(15−a、0.131mol)のN,N−ジメチルアセトアミド(260ml)溶液に、炭酸カリウム(0.196mol)と(15−b、0.137mol)とを加え、90℃で6時間反応させた。その後、酢酸エチル(300ml)を加え、不溶物を濾過で除いた。濾液を1規定塩酸で洗浄後、濃縮し、定量的に(15−c)を得た。
(15−c、0.08mol)とトリメチルシリルアセチレン(0.16mol)とをアセトニトリル(160ml)中で混合し、さらにピペリジン(0.32mol)とTPP(4.80mmol)、CuI(1.13mmol)及びTPC(0.96mmol)を加え、窒素雰囲気下80℃で4時間反応させた。その後、酢酸エチル(200ml)を加え、反応液を1規定塩酸で洗浄及び濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/7、体積比)にて精製することにより、(15−d)を66.6%の収率で得た。
(15−d、0.04mol)をメタノール(100ml)に混ぜ、そこに炭酸カリウム(0.096mol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、酢酸エチル(200ml)を加え、不溶分を濾過で除いた。濾液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=3/7、体積比)にて精製することにより、(15−e)を定量的に得た。
(15−e、0.068mol)と2、5−ジブロモピリジン(0.034mol)をアセトニトリル(140ml)中で混ぜ、そこにTPP(2.04mmol)、CuI(0.48mmol)、TPC(0.41mmol)を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間反応させた。室温に冷却後、析出した結晶を濾取し、さらにアセトンから再結晶することにより(15−f)を68.2%の収率で得た。
(15−f、0.8mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)と混ぜ、そこにN,N−ジメチルアニリン(1.9mmol)を加えた。60℃に加熱後、アクリル酸クロライド(1.9mmol)を加え、さらに1時間反応させた。室温に冷却後、水(100ml)を加え、結晶を濾取し、氷冷したアセトニトリルで結晶を洗浄した。得られた結晶を更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:アセトニトリル/塩化メチレン=1/100、体積比)にて精製することにより、例示化合物(17)を72%の収率で得た。得られた化合物の相転移温度は、Cr 75.5 Sc 108.8 SA 117.3 N 120.0 Isoであった。また、複屈折Δn=0.27であった。また、この化合物を配向させた液晶相の螺旋構造の螺旋軸方位と該液晶分子の長軸方位のなす角は31°であった。
(15−e、0.068mol)と2、5−ジブロモピリジン(0.034mol)をアセトニトリル(140ml)中で混ぜ、そこにTPP(2.04mmol)、CuI(0.48mmol)、TPC(0.41mmol)を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間反応させた。室温に冷却後、析出した結晶を濾取し、さらにアセトンから再結晶することにより(15−f)を68.2%の収率で得た。
(15−f、0.8mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)と混ぜ、そこにN,N−ジメチルアニリン(1.9mmol)を加えた。60℃に加熱後、アクリル酸クロライド(1.9mmol)を加え、さらに1時間反応させた。室温に冷却後、水(100ml)を加え、結晶を濾取し、氷冷したアセトニトリルで結晶を洗浄した。得られた結晶を更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:アセトニトリル/塩化メチレン=1/100、体積比)にて精製することにより、例示化合物(17)を72%の収率で得た。得られた化合物の相転移温度は、Cr 75.5 Sc 108.8 SA 117.3 N 120.0 Isoであった。また、複屈折Δn=0.27であった。また、この化合物を配向させた液晶相の螺旋構造の螺旋軸方位と該液晶分子の長軸方位のなす角は31°であった。
本発明の偏光選択層は、種々の方法により製造可能であるが、前記液晶材料をプラスチック基板上に展開させる方法が一般的である。液晶材料を展開するプラスチック基板としては、特に限定されないが、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、高分子液晶等のプラスチックフィルム基板、上記基板上に他の被膜、例えばポリイミド膜、ポリアミド膜、ポリビニルアルコール膜、シリコーン膜の薄膜を設けたものや、シランカップリング剤、クロム等の金属錯体、レシチンやCTAB(cetyltrimethylammonium bromide)等で表面処理したプラスチック基板等が挙げられる。また複数のプラスチック基板の間に液晶を挟んで製造する場合、複数のプラスチック基板は同種の組合せでも、異種のプラスチック基板の組合せでもよい。
また、これらのプラスチック基板は、ラビング等に代表される配向処理をしていても、していなくてもよい。
前記液晶材料を前記プラスチック基板上には、溶媒を使用せずに液晶材料を直接塗布してもよいし、また、液晶材料を適当な溶媒に溶解させて溶液とし、該溶液を塗布した後、溶媒を蒸発させてもよい。前記溶媒としては、前記液晶材料の種類、組成等に応じて適宜適切なものを選択することができるが、通常はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼン等の芳香族炭化水素類;イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類;グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、及びこれらの混合溶媒等が用いられる。
また前記溶媒には、溶液の表面張力を調整し、塗工性を向上させる等のために、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。
前記溶液中の前記液晶材料の濃度は、用いる液晶材料の種類や溶解性、製造するフィルムの膜厚等に応じて適宜調節することができるが、通常3〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の範囲とすることができる。
塗布方法は、特に限定されないが、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、ドクターブレード法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、リップコート法、スプレーコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等の方法を利用できる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。塗布後、必要に応じて溶媒を除去し、前記液晶材料を、均一な層とすることができる。
本発明の偏光選択層の作製方法は、液晶性分子を配向させて、所望の螺旋構造の液晶相とする工程を含む。前記液晶性分子を配向させる方法は特に限定されないが、例えば、前記液晶材料が螺旋構造を有するスメクチック液晶相をとり得る温度において展開を行った場合、展開と同時に螺旋構造を有するスメクチック液晶相が得られる場合がある。また、展開された液晶材料を一度加熱し、螺旋構造を有するスメクチック液晶相よりも高い温度で発現する相、例えばスメクチックA相、キラルネマチック相、等方相等を呈させてから、螺旋構造を有するスメクチック液晶相が発現する温度に冷却することにより配向させることもできる。なお、前記加熱は、前述のプラスチック基板の貼り合わせと同時又は別々に、2枚のプラスチック基板で狭持した液晶材料を2本の加熱されたロール間を通過させることや熱処理炉を通過させること等により行うこともできる。
前記偏光選択層をプラスチックフィルム等の透明支持体上に形成する場合は、前記偏光選択層は、フィルムの全面に形成されていてもよいし、フィルムの一部のみに形成されてもよい。
前記展開の工程において、又はその後の任意の段階、例えば前記配向の工程等において、必要に応じて、界面間に展開した液晶材料に磁場や電場、ずり応力、流動、延伸、温度勾配等を作用させることができる。このような操作を行うことにより、螺旋軸方位をフィルム面に略垂直に配向させる工程を、より短時間で達成できる場合がある。
本発明の液晶フィルムが経時、熱等での性能変動を抑える必要がある場合、液晶の配向を固定することにより改良することができる。配向を固定する工程としては、(A)配向させた前記液晶材料を冷却してガラス状態とする工程;又は(B)配向させた前記液晶材料の配向を保持したまま重合する工程等を含むことができる。
前記工程(A)は、前記液晶材料として、前記高分子液晶物質を主成分とするもの等の、ガラス転移温度以上の温度において所望の螺旋構造を有するスメクチック液晶相を呈し、冷却することによってガラス状態となり得る液晶材料を用いる場合に行うのが好ましい。前記工程(A)を実施する場合は、前記液晶材料のガラス転移温度以上の温度において液晶を配向させた後、配向させた前記液晶材料を冷却し、ガラス状態となる温度まで降温させることにより、前記液晶材料を結晶状態とすることなく、ガラス状態として配向を固定することができる。前記冷却の手段は、特に制限はなく、展開又は配向の工程における加熱雰囲気中からガラス転移点以下の雰囲気中、例えば室温中に移動させるだけで固定化に十分な所望の冷却を行うことができる。また、生産の効率等を高めるために、空冷、水冷等の強制冷却を行ってもよい。
また前記工程(B)は、前記液晶材料として、紫外光や可視光、電子線、熱等によって反応し得る置換基を有する物質を含むものを用いて行うことができる。前記置換基としては、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、シンナモイル基、アリル基、アセチレニル基、クロトニル基、アジリジニル基、エポキシ基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、カルボン酸基、アシル基、ハロカルボニル基、アルデヒド基、スルホン酸基、シラノール基等を挙げることができ、中でも好ましくは、多重結合を有する基、エポキシ基、アジリジニル基等を挙げることができ、より好ましくはアクリル基、メタクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、シンナモイル基等を挙げることができる。重合後、熱等による各種性能の変動を小さくする点では、2以上のエチレン性不飽和重合性基を含む化合物を用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和重合性基を含む化合物の例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリアクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。これら置換基は前記液晶物質、非液晶物質及び添加剤のうちの1種以上のいずれに含まれていてもよく、2種以上の物質の場合、同種及び/又は異種の置換基が含まれていてもよい。また、1種類の物質中に同種及び/又は異種の置換基が2つ以上含まれていてもよい。
前記工程(B)では、配向させた前記液晶材料の配向を保持したまま重合させる。重合法としては特に制限はないが、熱重合や光重合、γ線等の放射線重合、電子線重合、重縮合、重付加等の反応を用いることができる。中でも反応制御が容易で、製造上有利な可視光や紫外光を利用した光重合あるいは電子線重合を利用することが好ましい。配向を固定する工程としては、好ましくは前記工程(B)の重合による固定であり、用いる液晶として好ましくは重合性基を有する化合物である。
本発明の偏光選択層の層厚は、実用性の観点から好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.2〜25μm、さらに好ましくは0.3〜15μmである。但し、この範囲に限定されるものではない。
本発明の偏光選択層を透明支持体上に形成した光学フィルムは、そのまま一部材として、液晶表示装置に組み込むことができ、液晶表示装置の光利用効率の向上に寄与する。また、吸収型の直線偏光膜と一体化させる等、他の部材と一体化した状態で、液晶表示装置に組み込むこともできる。
以下においては、本発明の偏光形成方法、偏光形成装置及び液晶表示装置につき、断面模式図を用いて説明する。なお、以下の図において、偏光選択層及び位相差板の各部品は、積層一体化されていてもよいし、分離状態にあってもよい。配置位置は、板状発光体の光出射側と位相差板との間に偏光選択性層が介在する状態とされる。
図1は、本発明の偏光選択膜を含む偏光選択性光学フィルムを用いた最も基本的な液晶表示装置の構成を示す模式図である。液晶表示装置20は、バックライト光源21と、裏面より順にバックライトの光を表面に出射させる反射板22と、導光板23とを含む板状に発光する光源を備えている。光源の上方には、本発明の偏光選択性光学フィルム31と、位相差板30と、2枚の光吸収型偏光板24及び25により挟持されてなる液晶セル26とが、この順序で配置されている。位相差板30と光吸収型偏光板24及び25とは、位相差板30から出射する直線偏光の透過率が最大となる様に、光吸収型偏光板24および25の位置が決定されている。
バックライト光源21からの光は、反射板22によって反射され、導光板23により導かれて、上方に配置された偏光選択性光学フィルム31に入射する。入射した光のうち所定の円偏光は、本発明の偏光選択性光学フィルム31を透過し、位相差板30を介して出射する。一方、所定外の円偏光は、偏光選択性光学フィルム31で反射され、その反射光は、導光板等で偏光解消されて反射板で反射し、再び偏光選択性光学フィルム31に戻って再利用される。
偏光選択性光学フィルム31による反射光は、反射板22で反射される際に偏光状態が変化させられ、一部又は全部の反射光が偏光選択性光学フィルム31を透過し得る所定の円偏光となる。従って前記の反射光は、偏光選択性光学フィルム31を透過し得る所定の円偏光となるまで偏光選択性光学フィルム31と反射板22との間に閉じ込められて反射を繰り返す。一方、偏光選択性光学フィルム31より出射した円偏光は、位相差板30に入射して位相変化を受け、その位相変化が1/4波長に相当する波長の光は直線偏光に変換され、その他の波長の光は楕円偏光に変換される。その楕円偏光は、前記の直線偏光に変換された光の波長に近いほど扁平な楕円偏光となる。かかる結果、光吸収型偏光板24を透過し得る直線偏光成分を、元々バックライト光源21から発せられた光よりも多く含む状態の光が位相差板30より出射され、位相差板30から出射した光は、光吸収型偏光板24および25に挟持される液晶セル26に入射して画像表示に利用される。このように、液晶表示装置20では、従来の構成の液晶表示装置(例えば図4の液晶表示装置)と比較して画像表示に用いられる光の利用効率が格段に高くなっている。
液晶表示装置20では、偏光選択性光学フィルム31による反射光を偏光変換による出射光として再利用することで反射ロスを防止し、さらにその出射光を位相差板30を介し位相制御して、光吸収型偏光板24及び25を透過可能な直線偏光成分を多く含む光状態に変換することで、光吸収型偏光板24および25による吸収ロスを防止し、光利用効率を向上させている。
さらに、液晶表示装置20では、バックライト光源21と反射板22と導光板23とからなる板状発光体、偏光選択性光学フィルム31、および位相差板30からなる構成を、偏光形成装置として利用している。偏光形成装置は、高い光利用効率で、偏光板を透過しやすい偏光を形成するものである。大面積化等も容易であることより液晶表示装置以外にも、種々の装置のバックライトシステムなどとして好ましく適用することができる。
図2は、本発明の偏光選択層を有するフィルムを偏光板の保護膜として用いた液晶表示装置の模式図である。図2の液晶表示装置20’では、光吸収型偏光板24に、位相差フィルム30’及び本発明の偏光選択性光学フィルム31’を貼り合せた構成になっている。偏光選択性光学フィルム31’及び位相差フィルム30’は、図1中の偏光選択性光学フィルム31及び位相差フィルム30と同様の機能をそれぞれ有するとともに、光吸収型偏光板24の保護膜としても機能する。図1の液晶表示装置では、偏光選択性光学フィルム31の偏光選択層と反対側の面、位相差フィルム30、光吸収型偏光板24及び25の表面で反射があるため光の利用効率が約10%減少するが、図2の液晶表示装置20’では、偏光選択性光学フィルム31’、位相差フィルム30’及び光吸収型偏光板24が貼り合わされているので上記反射面が無く、光の利用効率が図1の液晶表示装置と比較して約10%増加する。
さらに、液晶装置20’は、半透明なシートである散乱シート33および集光性フィルム34を備えている。バックライト光源21から出射された光は、散乱シート33により面内で輝度が均一化され、光を所定方向に集光する機能を有する集光フィルム34により正面方向に集光される。その結果、光の利用効率がさらに向上する。
図3は、本発明の偏光選択層を有する偏光選択性光学フィルム又は偏光板の輝度向上機能を更に良化した液晶表示装置の構成例である。図3の液晶表示装置20”では、図2の液晶表示装置20’に加えて、偏光選択性光学フィルム31’の偏光選択層の表面に、反射防止層35が貼り合わせられている。反射防止層35は偏光選択層31’に直接貼り合わせられていても、他の層を介して貼り合わせられていてもよい。反射防止層35を貼り合わすことにより、図2の液晶表示装置20’よりさらに偏光選択層表面における反射を減少させ、偏光選択層内に入射する光量を増加させている。反射防止層35としては、例えば日本写真学会誌,29巻,P.137(1966)に記載されているような、低屈折率層と高屈折率層の積層体でも、低屈折率層を1層のみ設けたものでもよい。さらに、反射防止層35と集光性フィルム34との間に、λ/4板36を用いることにより、後方に戻された光が、液晶セルに26再び入射するまでに、2回λ/4板36を通過することになり、所望の偏光面を有する偏光に回転され、光の利用効率をさらに向上させることができる。
図2及び図3の液晶表示装置20’および20”では、偏光選択性光学フィルム31’と、位相差板30’と、光吸収型偏光板24とをこの順序で積層した光反射型偏光板32及び32’をそれぞれ利用している。偏光選択性光学フィルム31’及び位相差板30’を通過することにより、光吸収型偏光板24に入射する光は、光吸収型偏光板24を通過可能な直線偏光成分に変換されているので、偏光選択性光学フィルム31’に入射し、光吸収型偏光板24から出射する光の損失は、単に光吸収型偏光板24のみを透過させた場合と比較して、格段に低減されている。従って、偏光板32及び32’を用いれば、入射光を高い利用効率で特定の偏光に変換できる。
本発明の偏光選択層を液晶表示装置に用いることにより、光の利用効率が高くなり、結果としてディスプレイの輝度が上昇する。輝度を上昇させるためには、全光線透過率が最大となる偏光面での透過率Tmaxが75%以上、最小となる偏光面での透過率Tminが60%以下であることが好ましく、Tmaxが80%以上、Tminが50%以下であることがより好ましく、Tmaxが85%以上、Tminが40%以下であることが特に好ましい。また、本発明の偏光選択層又は光散乱型偏光板は、特開平2−160204号公報や特登2587398号公報に記載されているような視野角補償フィルムと併用することもできる。
なお、図1〜図3では、光源として、側面にバックライト光源を、底面に反射板を有する導光板から構成された板状発光体を用いたが、本発明に用いる光源は、板状に発光し、偏光変換層としても機能する反射層を有する限り、特にこの構成に限られない。例えば、導光板を用いない直下型バックライトを使用することもできる。
本発明の偏光選択層は、分離性能の均一化等の点より平坦な層として形成されていることが好ましく、2層以上の重畳層として形成されている場合でも各層は平坦なものであることが好ましい。偏光選択膜は、前記の如く2層以上の重畳層として形成することもできる。重畳化は、分離機能の広波長域化や斜め入射光の波長シフトに対処する点等より有利であり、その場合には所定外の円偏光として反射する光の中心波長が異なる組合せで重畳することが好ましい。
本発明の偏光選択層が、スメクチック液晶層を固定した層である場合、その液晶相に基づく選択反射の中心波長が300〜900nmのものを、同じ偏光方向の円偏光を反射する組合せで、且つ選択反射の中心波長がそれぞれ50nm以上異なる組合せで用い、その2〜6種類を重畳することで広い波長域をカバー可能な偏光選択層を効率的に形成することができる。スメクチック液晶層の重畳には、製造効率や薄膜化などの点より液晶ポリマーの使用が特に有利である。
偏光選択層と板状発光体等の光源とは、偏光選択層が所定外の円偏光として反射し得る光の波長域が、光源の出射光の波長域と可及的に一致した組み合わせで用いるのが好ましい。光源の出射光に輝線スペクトル等の主波長がある場合には、その1種又は2種以上の主波長にと、偏光選択層を構成するスメクチック液晶相等に基づく反射光の波長とが一致しているのが、偏光選択の効率性等の点より好ましく、必要重畳数の減少化等による偏光選択層の薄層化にも有利である。その場合、反射光の波長の一致の程度は、光源の1種又は2種以上の主波長光に対してそれぞれ20nm以内の範囲とすることが好ましい。
前記において、偏光選択層をスメクチック液晶相が重畳された層として形成する場合、同じ偏光方向の円偏光を反射するものの組合せで用いることを指摘した。これは、各層で反射される円偏光の位相状態を揃えて各波長域で異なる偏光状態となることを防止し、利用できる状態の偏光の増量を目的とする。
なお、重畳層の形成に用いられるスメクチック液晶としては、適宜なものを用いてよく、特に限定はない。位相差の大きいスメクチック液晶分子ほど選択反射の波長域が広くなり、重畳層数の軽減や大視野角時の波長シフトに対する余裕などの点より好ましく用いうる。スメクチック液晶層の形態は、例えば低分子量体をガラスや樹脂等の透明基材で挾持したセル形態、高分子による膜形態などの適宜な形態とすることができる。高分子を用いる方式が重さや自立性等の点より好ましい。
スメクチック液晶層は、強度や操作性などに応じて1層又は2層以上の支持体で保持することができる。2層以上の支持体を用いる場合には、偏光の状態変化を防止する点などより例えば無配向のフィルムや、配向しても複屈折の小さいトリアセテートフィルムなどの如く位相差が可及的に小さいものが好ましく用いうる。
本発明の偏光選択層とともに用いられる位相差板は、上記の如く偏光選択層より出射した円偏光の位相を変化させて直線偏光成分の多い状態に変換し、偏光板を透過しやすい光とするのに寄与するものであるのが好ましい。従って位相差板としては、偏光選択層より出射した円偏光を、1/4波長の位相差に相当して直線偏光を多く形成し得るとともに、他の波長の光を前記直線偏光と可及的にパラレルな方向に長径方向を有し、且つ可及的に直線偏光に近い扁平な楕円偏光に変換し得るものが好ましい。前記の如き位相差板を用いることにより、その出射光の直線偏光方向や楕円偏光の長径方向が偏光板の透過軸と可及的に平行になるように配置して、偏光板を透過し得る直線偏光成分の多い状態の光を得ることができる。
位相差板は、適宜な材質で形成でき、透明で均一な位相差を与えるものが好ましい。位相差板の位相差は、偏光選択層より出射される円偏光の波長域などに応じて適宜に決定しうる。ちなみに可視光域では波長特性や実用性等の点より、殆どの位相差板がその材質特性より正の複屈折の波長分散を示すものであることも加味して、その位相差が小さいもの、具体的には、100〜200nmの位相差を与えるものが好ましく用いうる場合が多い。
位相差板は、1層又は2以上の層として形成することができる。1層からなる位相差板の場合には、複屈折の波長分散が小さいものほど波長毎の偏光状態の均一化をはかることができて好ましい。一方、位相差板の重畳層化は、波長域における波長特性の改良に有効であり、その組合せは波長域などに応じて適宜に決定してよい。
上記した100〜200nmの位相差を与える位相差板の場合、左円偏光が入射する場合は、偏光板の偏光軸を基準(0°)として位相差板の進相軸の配置角度を0〜90°、好ましくは35〜55°、特に45°とすることで偏光板透過光を向上させることができる。一方、右円偏光が入射する場合には、位相差板の遅相軸に基づいて前記の角度設定をすることにより偏光板透過光を向上させることができる。2層以上の位相差板からなる場合、特にその外部側表面層を100〜200nmの位相差を与える層が占める場合にはその層に基づいて、当該配置角度に設定することが好ましい。
なお可視光域を対象に2層以上の位相差板とする場合、上記の如く100〜200nmの位相差を与える層を1層以上の奇数層として含ませることが直線偏光成分の多い光を得る点より好ましい。100〜200nmの位相差を与える層以外の層は、通例200〜400nmの位相差を与える層で形成することが波長特性の改良等の点より好ましいが、これに限定するものではない。
上記のように本発明は、偏光選択層による反射光を偏光変換による出射光として再利用することで反射ロスを防止ししている。さらに、その出射光を位相差板を介し位相制御して、偏光板透過性の直線偏光成分をリッチに含む光状態に変換することで偏光板による吸収ロスを防止し、光利用効率の向上を図るものである。
本発明の偏光形成装置は、前記の如く光の利用効率に優れて偏光板を透過しやすい光を提供し、大面積化等も容易であることより液晶表示装置等におけるバックライトシステムなどとして種々の装置に好ましく適用することができる。
以下、実施例にて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例ではコレステリック液晶とキラルスメクチック液晶の選択反射波長の角度依存性を比較し、キラルスメクチック相を利用する本発明の優位性を明らかにする。
(透過率測定)
円偏光選択反射の測定には島津製作所製分光光度計UV−3100PCを用いた。測定系としては光源、吸収型直線偏光板(サンリッツ製HLC−5618S)、λ/4板(帝人製ピュアエースWR,W−159)、サンプル、受光器の順に配置した。サンプルの代わりにガラス板を置いてベースラインをとり、右回り円偏光を選択反射させるサンプルを配置し左回り円偏光を入射させたときの透過率をもって透過側透過率とし、右回り円偏光を選択反射させるサンプルを配置し右回り円偏光を入射させたときの透過率をもって遮光側透過率とした。また左回り円偏光を選択反射させるサンプルの場合には、右回り円偏光を入射させたときの透過率をもって透過側透過率とし、左回り円偏光を入射させたときの透過率をもって遮光側透過率とした。入射させる右回り円偏光と左回り円偏光は、吸収型直線偏光板の次に配置したλ/4板の遅相軸を90度回転させることで作り出した。
[実施例1]
本実施例ではコレステリック液晶とキラルスメクチック液晶の選択反射波長の角度依存性を比較し、キラルスメクチック相を利用する本発明の優位性を明らかにする。
(透過率測定)
円偏光選択反射の測定には島津製作所製分光光度計UV−3100PCを用いた。測定系としては光源、吸収型直線偏光板(サンリッツ製HLC−5618S)、λ/4板(帝人製ピュアエースWR,W−159)、サンプル、受光器の順に配置した。サンプルの代わりにガラス板を置いてベースラインをとり、右回り円偏光を選択反射させるサンプルを配置し左回り円偏光を入射させたときの透過率をもって透過側透過率とし、右回り円偏光を選択反射させるサンプルを配置し右回り円偏光を入射させたときの透過率をもって遮光側透過率とした。また左回り円偏光を選択反射させるサンプルの場合には、右回り円偏光を入射させたときの透過率をもって透過側透過率とし、左回り円偏光を入射させたときの透過率をもって遮光側透過率とした。入射させる右回り円偏光と左回り円偏光は、吸収型直線偏光板の次に配置したλ/4板の遅相軸を90度回転させることで作り出した。
(円偏光素子の作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、例示化合物(15)(複屈折率Δn=0.27)と、該例示化合物(15)に対して下記キラル剤(CH−1)を15質量%混合した混合物の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは2μmであった。次に、温度を125℃まで上昇させた後に、65℃まで−5℃/分の速度で降温させ、UV照射により液晶を固定化することによって、キラルスメクチックC相からなる円偏光素子(H−1)を作製した。比較サンプルとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にコレステリック相を形成する液晶(大日本インキ製DON−103の85質量%と市販のキラル剤15質量%混合物)の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは2μmであった。次に、温度を120℃まで上昇させた後に、室温まで−5℃/分の速度で降温させて、コレステリック相からなる円偏光素子(R−1)を作製した。
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、例示化合物(15)(複屈折率Δn=0.27)と、該例示化合物(15)に対して下記キラル剤(CH−1)を15質量%混合した混合物の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは2μmであった。次に、温度を125℃まで上昇させた後に、65℃まで−5℃/分の速度で降温させ、UV照射により液晶を固定化することによって、キラルスメクチックC相からなる円偏光素子(H−1)を作製した。比較サンプルとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にコレステリック相を形成する液晶(大日本インキ製DON−103の85質量%と市販のキラル剤15質量%混合物)の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは2μmであった。次に、温度を120℃まで上昇させた後に、室温まで−5℃/分の速度で降温させて、コレステリック相からなる円偏光素子(R−1)を作製した。
(直線偏光素子の作製)
作製した円偏光素子(H−1)とλ/4板(帝人製ピュアエースWR, W−159)を貼りあわせることで直線偏光素子(HA−1)を作製した。比較サンプルとして円偏光素子(R−1)とλ/4板(帝人製)を貼り合わせることで直線偏光素子(RA−1)を作製した。
作製した円偏光素子(H−1)とλ/4板(帝人製ピュアエースWR, W−159)を貼りあわせることで直線偏光素子(HA−1)を作製した。比較サンプルとして円偏光素子(R−1)とλ/4板(帝人製)を貼り合わせることで直線偏光素子(RA−1)を作製した。
(透過率の入射角依存性の評価)
本発明の直線偏光素子(HA−1)の偏光素子面に対して垂直に光を入射させたとき、波長450nmで透過率の極小値を、偏光素子面に対して45°方向から光を入射させたとき、波長390nmで透過率の極小値をそれぞれ示した。一方、比較サンプルとして作製した直線偏光素子(RA−1)を用いた実験では、偏光素子面に対して垂直に光を入射させたとき、波長450nmで透過率の極小値を、偏光素子面に対して45°方向から光を入射させたとき、波長350nmで透過率の極小値を示した。このことより本発明のキラルスメクチック相を利用した方式は、コレステリック相を利用した方式に比べて透過率の入射角依存性が小さいことがわかった。実際に液晶ディスプレイに搭載する際には、全可視域を覆う必要があり、入射角依存性が大きいと、長波側に関してより広く確保する必要があり、膜厚が大きくなり、コストが増えるなどのデメリットが発生する。この点から入射角依存性が小さいキラルスメクチック相を利用する方式が優れていることは明らかである。
本発明の直線偏光素子(HA−1)の偏光素子面に対して垂直に光を入射させたとき、波長450nmで透過率の極小値を、偏光素子面に対して45°方向から光を入射させたとき、波長390nmで透過率の極小値をそれぞれ示した。一方、比較サンプルとして作製した直線偏光素子(RA−1)を用いた実験では、偏光素子面に対して垂直に光を入射させたとき、波長450nmで透過率の極小値を、偏光素子面に対して45°方向から光を入射させたとき、波長350nmで透過率の極小値を示した。このことより本発明のキラルスメクチック相を利用した方式は、コレステリック相を利用した方式に比べて透過率の入射角依存性が小さいことがわかった。実際に液晶ディスプレイに搭載する際には、全可視域を覆う必要があり、入射角依存性が大きいと、長波側に関してより広く確保する必要があり、膜厚が大きくなり、コストが増えるなどのデメリットが発生する。この点から入射角依存性が小さいキラルスメクチック相を利用する方式が優れていることは明らかである。
[実施例2]
本実施例では本発明の偏光選択層を有するフィルムを、液晶ディスプレイ(LCD)に実装し、輝度向上効果を明らかにする。
(円偏光素子の作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、例示化合物(15)と、該例示化合物(15)に対して下記キラル剤(CH−1)を15質量%混合した混合物の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは10μmであった。次に温度を125℃まで上昇させた後に、65℃まで−5℃/分の速度で降温させ、UV照射により液晶を固定化することによって円偏光素子を作製した。得られたフィルムにおいて、例示化合物(15)(の硬化物)の長軸方位と螺旋軸方位のなす角は32°であった(該液晶の複屈折Δn=0.27の値と、作製した円偏光素子の選択反射スペクトルを下に傾斜角を算出した)。
本実施例では本発明の偏光選択層を有するフィルムを、液晶ディスプレイ(LCD)に実装し、輝度向上効果を明らかにする。
(円偏光素子の作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、例示化合物(15)と、該例示化合物(15)に対して下記キラル剤(CH−1)を15質量%混合した混合物の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは10μmであった。次に温度を125℃まで上昇させた後に、65℃まで−5℃/分の速度で降温させ、UV照射により液晶を固定化することによって円偏光素子を作製した。得られたフィルムにおいて、例示化合物(15)(の硬化物)の長軸方位と螺旋軸方位のなす角は32°であった(該液晶の複屈折Δn=0.27の値と、作製した円偏光素子の選択反射スペクトルを下に傾斜角を算出した)。
(直線偏光素子の作製)
作製した円偏光素子とλ/4板(帝人製ピュアエースWR,W−159)を貼り合わせることで直線偏光素子を作製した。この直線偏光素子を片側の保護層として、次にヨウ素/PVAの吸収型偏光層、さらにトリアセチルセルロースフィルムによる保護層を積層した吸収型偏光層一体化直線偏光素子を作製した。
作製した円偏光素子とλ/4板(帝人製ピュアエースWR,W−159)を貼り合わせることで直線偏光素子を作製した。この直線偏光素子を片側の保護層として、次にヨウ素/PVAの吸収型偏光層、さらにトリアセチルセルロースフィルムによる保護層を積層した吸収型偏光層一体化直線偏光素子を作製した。
(透過率測定)
この吸収型偏光層一体化直線偏光素子に、波長450nmの右回り円偏光を入射したところ、94%の透過率が得られた。また、波長450nmの左回り円偏光を入射したところ、39%の透過率が得られた。
この吸収型偏光層一体化直線偏光素子に、波長450nmの右回り円偏光を入射したところ、94%の透過率が得られた。また、波長450nmの左回り円偏光を入射したところ、39%の透過率が得られた。
(LCD実装)
LCセルの光源側の偏光板として、吸収型偏光層一体化直線偏光素子を用いてSHARP製液晶表示装置に実装した。この吸収型偏光層一体化直線偏光子を用いたときの正面方向の波長450nm強度を、TOPCON製分光放射輝度計SR−2で測定したところ、通常の吸収型偏光板を用いたときの輝度と比較して1.29倍の強度が得られた。この結果より、本発明の偏光選択層を有するフィルムがLCD用の輝度向上膜として機能することが確認できた。
LCセルの光源側の偏光板として、吸収型偏光層一体化直線偏光素子を用いてSHARP製液晶表示装置に実装した。この吸収型偏光層一体化直線偏光子を用いたときの正面方向の波長450nm強度を、TOPCON製分光放射輝度計SR−2で測定したところ、通常の吸収型偏光板を用いたときの輝度と比較して1.29倍の強度が得られた。この結果より、本発明の偏光選択層を有するフィルムがLCD用の輝度向上膜として機能することが確認できた。
[実施例3]
(円偏光素子の作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、例示化合物(13)(複屈折率Δn=0.25)と、該例示化合物(13)に対して下記キラル剤(CH−1)を15質量%混合した混合物の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは10μmであった。次に温度を120℃まで上昇させた後に、75℃まで−5℃/分の速度で降温させ、UV照射により液晶を固定化することによって円偏光素子を作製した。得られた円偏光素子において、例示化合物(13)の長軸方位と螺旋軸方位のなす角は31°(Δn=0.25)であった。
(円偏光素子の作製)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、例示化合物(13)(複屈折率Δn=0.25)と、該例示化合物(13)に対して下記キラル剤(CH−1)を15質量%混合した混合物の10質量%クロロホルム溶液を塗布し、乾燥させた。乾燥後の液晶層の厚みは10μmであった。次に温度を120℃まで上昇させた後に、75℃まで−5℃/分の速度で降温させ、UV照射により液晶を固定化することによって円偏光素子を作製した。得られた円偏光素子において、例示化合物(13)の長軸方位と螺旋軸方位のなす角は31°(Δn=0.25)であった。
その後、実施例2と同様に吸収型偏光層一体化直線偏光素子を作製し、SHARP製液晶表示装置に実装した。この吸収型偏光層一体化直線偏光子を用いたときの正面方向の波長450nm強度を、TOPCON製分光放射輝度計SR−2で測定したところ、通常の吸収型偏光板を用いたときの輝度と比較して1.26倍の強度が得られた。この結果より、本発明の偏光選択層を有するフィルムが、LCD用の輝度向上膜として機能することが確認できた。
20、20’、20” 液晶表示装置
21 バックライト光源
22 反射板
23 導光板
24 下側光吸収型偏光板
25 上側光吸収型偏光板
26 液晶セル
30、30’ 位相差層
31、31’ 偏光選択性光学フィルム(本発明)
32、32’ 光散乱型偏光板(本発明)
33 散乱シート
34 集光性フィルム
35 反射防止層
36 λ/4板
21 バックライト光源
22 反射板
23 導光板
24 下側光吸収型偏光板
25 上側光吸収型偏光板
26 液晶セル
30、30’ 位相差層
31、31’ 偏光選択性光学フィルム(本発明)
32、32’ 光散乱型偏光板(本発明)
33 散乱シート
34 集光性フィルム
35 反射防止層
36 λ/4板
Claims (9)
- 所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に反射する偏光選択層であって、螺旋構造を有する液晶相を配向固定してなり、該螺旋構造の螺旋軸方位が層平面の略法線方向にあり、前記液晶の複屈折が0.20以上であり、且つ螺旋構造の螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位のなす角が5°〜85°である偏光選択層。
- 前記螺旋構造を有する液晶相がキラルスメクチック相である請求項1または2に記載の偏光選択層。
- 透明支持体と、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光選択層とを有する光学フィルム。
- 螺旋構造を有する液晶相が配向固定されてなり、該螺旋構造の螺旋軸方位が層平面の略法線方向にあり、前記液晶の複屈折が0.20以上であり、且つ螺旋構造の螺旋軸方位と液晶分子の長軸方位のなす角が5°〜85°である偏光選択層を介して、入射光における所定の円偏光を透過させると共に所定外の円偏光を反射させ、その反射光を偏光変換層を兼ねる反射層を介して再び前記偏光選択層に入射させ、該偏光選択層より出射した円偏光を位相差層を介して出射させ、少なくとも入射光より直線偏光成分が多い出射光とする偏光形成方法。
- 一方の面側に光を出射する板状発光層と、該板状発光層の光出射側に位置する請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光選択層と、該偏光選択層の前記板状発光層が位置するのと反対側の面上に位置する位相差板とを有する偏光形成装置。
- 前記板状発光層が、側面に光源と底面に反射層とを有する導光板からなり、前記位相差板が、100〜200nmの位相差を与える層を少なくとも一層有する請求項6に記載の偏光形成装置。
- 透明電極、画素電極を有する一対の基板と、その基板間に液晶性化合物が封入された液晶セルと、その外側に配置された前面側及び背面側の一対の偏光板と、前記背面側の偏光板のさらに外側に前記液晶セルに光を入射するためのバックライトとを有する液晶表示装置であって、前記背面側偏光板と前記バックライトとの間に請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光選択層を有する液晶表示装置。
- バックライト、背面側偏光板、液晶セル、及び前面側偏光板がこの順に積層された液晶表示装置であって、前記背面側偏光板が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光反射型偏光選択層と、所定の偏光を選択的に透過し、他の偏光を選択的に吸収する光吸収型偏光層とを有する偏光板であり、前記光反射型偏光選択層が、その層平面に垂直な偏光面において、最大の全光線透過率が75%以上であり、最小の全光線透過率が60%未満であり、且つ全光線透過率が最大となる偏光面を有する軸と光吸収型偏光選択層の透過軸とが実質的に平行であることを特徴とする液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003327136A JP2005091960A (ja) | 2003-09-19 | 2003-09-19 | 偏光選択層、光学フィルム、偏光形成方法、偏光形成装置及び液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003327136A JP2005091960A (ja) | 2003-09-19 | 2003-09-19 | 偏光選択層、光学フィルム、偏光形成方法、偏光形成装置及び液晶表示装置 |
Publications (1)
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Family
ID=34457081
Family Applications (1)
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JP2003327136A Pending JP2005091960A (ja) | 2003-09-19 | 2003-09-19 | 偏光選択層、光学フィルム、偏光形成方法、偏光形成装置及び液晶表示装置 |
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JP (1) | JP2005091960A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008026781A (ja) * | 2006-07-25 | 2008-02-07 | Sony Corp | 液晶表示装置 |
JPWO2012005310A1 (ja) * | 2010-07-08 | 2013-09-05 | 旭硝子株式会社 | 含フッ素芳香族化合物、有機半導体材料および有機薄膜デバイス |
JP5672391B2 (ja) * | 2011-11-15 | 2015-02-18 | Dic株式会社 | 強誘電性液晶組成物及び強誘電性液晶表示素子 |
-
2003
- 2003-09-19 JP JP2003327136A patent/JP2005091960A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008026781A (ja) * | 2006-07-25 | 2008-02-07 | Sony Corp | 液晶表示装置 |
JPWO2012005310A1 (ja) * | 2010-07-08 | 2013-09-05 | 旭硝子株式会社 | 含フッ素芳香族化合物、有機半導体材料および有機薄膜デバイス |
JP5672391B2 (ja) * | 2011-11-15 | 2015-02-18 | Dic株式会社 | 強誘電性液晶組成物及び強誘電性液晶表示素子 |
JPWO2013073572A1 (ja) * | 2011-11-15 | 2015-04-02 | Dic株式会社 | 強誘電性液晶組成物及び強誘電性液晶表示素子 |
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