JP2003276400A - 転写箔の定位置貼付方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 箔押し機を用いて基材上に転写箔を転写する
工程において、貼付したい場所に、高い位置精度で転写
箔を転写することを可能とする。 【解決手段】 用紙１上に、転写箔３を貼付する箔貼付
予定位置としての第１の領域Ａを設け、前記第１の領域
全体に正確に転写箔を貼付するために必要な箔押し機の
大きさを、箔押し機の位置ずれマージンを考慮した大き
さとし、前記箔押し機の位置ずれマージンを加えた以上
の大きさで、かつ前記第１の領域を除いた領域を第２の
領域とし、前記第２の領域を撥性、剥離性を有する印刷
インキで印刷し、少なくとも前記第１の領域を覆うよう
に転写箔を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、銀行券、株券、有
価証券、パスポート、商品券、通行券又はカード等の複
写を防止する必要のある貴重印刷物等に貼付されるホロ
グラム等の転写箔を適正な位置に転写するための転写箔
の定位置貼付方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】銀行券、株券、有価証券、パスポート、
商品券、通行券又はカード等の貴重印刷物は、その性質
上偽造や改ざんがされないことが要求される。この防止
策として、貴重印刷物の表面にホログラム等の回折格子
パターンやアルミ箔等を表面に貼り付けた転写箔等を貼
付して真偽判別を行っている。これら転写箔は、複写防
止、複製防止の観点から、特に有効な偽造防止エレメン
トの一つであるため、多くの貴重印刷物に適用されてい
る。

【０００３】転写箔の貼付工程は、通常印刷工程と箔貼
付工程は別の装置で行っており、特に大量生産を前提と
した場合、印刷物上の貼付位置に高い精度を求めること
は困難であった。そこで、箔と印刷模様が重ならないよ
うに、箔の周りに箔貼付の暴れに対するマージンを考慮
した空白部分を確保する必要があるなど、印刷物のデザ
インに制限が生じていた。

【０００４】特開２０００−２０３１８２号公報は、剥
離剤を混合した有色印刷インキを用いて有価証券基材上
に文字、柄等の下地絵柄部を設け、該下地絵柄部上に回
折格子パターン転写箔を転写することにより、前記転写
箔の領域中に前記下地絵柄部とマッチした回折格子パタ
ーン転写箔を有するようにしたことで、デザインに制限
されない技術を開示している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題
点に鑑み、箔押し機を用いて印刷物等に転写箔を転写す
る工程において、貼付したい場所に、高い位置精度で転
写箔を基材上に転写することを可能とすることである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の転写箔の定位置
貼付方法は、基材上に、少なくともベースと剥離層と金
属蒸着層と接着層とから成る転写箔を貼付する箔貼付予
定位置としての第１の領域を設け、前記第１の領域全体
に正確に転写箔を貼付するために必要な箔押し機の大き
さを、箔押し機の位置ずれマージンを考慮した大きさと
し、前記箔押し機の大きさに箔押し機の位置ずれマージ
ン分を加えた大きさ以上で、かつ前記第１の領域を除い
た領域を第２の領域とし、前記第２の領域を撥性、剥離
性を有する印刷インキで印刷し、少なくとも前記第１の
領域を覆うように転写箔を配置し、前記箔押し機を用い
て、転写箔を基材側に加熱、押圧し、前記加熱、押圧に
より、箔貼付予定位置の第１の領域にのみ転写箔が転写
され、基材上の定位置に転写箔を貼付することを特徴と
している。これにより、前記第１の領域には箔押し機か
ら伝わる熱及び圧力で、基材上に転写箔が接着され、箔
押し機を押圧状態から解放すると、箔押し機を前記第１
の領域より大きくしており、また前記第２の領域を撥
性、剥離性の印刷インキで印刷してあるので、箔押し時
に多少の位置ずれが生じたとしても、前記第１の領域全
体に箔が接着されるとともに、前記第２の領域では未接
着となることにより、転写箔が定位置（転写箔貼付予定
位置）に貼付される。

【０００７】また、本発明の転写箔の定位置貼付方法に
よれば、前記撥性、剥離性有する印刷インキが、シリコ
ーン系又はワックス系であることを特徴としている。こ
れにより、箔押しに際して、多少の位置ずれが生じても
第２の領域には接着されないので、高い位置精度で転写
することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明は、基材上の箔貼付予定位
置である第１の領域と、前記第１の領域の外側に前記第
１の領域に転写箔を貼付するに際しての位置ずれマージ
ン分として第２の領域を設け、前記第２の領域を撥性、
剥離性を有する印刷インキで印刷しておく。箔押し機の
大きさは、箔押し機の大きさに箔押し機の位置ずれマー
ジン分を考慮した大きさとし、なおかつ、前記第２の領
域の外周を超えない大きさとしているので、基材上に転
写箔を貼付した時に、前記撥性、剥離性を有する印刷イ
ンキで印刷した第２の領域の部分では転写箔が未接着と
なるため、箔貼付予定位置である第１の領域にのみ転写
箔が貼付されるので、高い位置精度で転写箔の貼付を行
うことができる。

【０００９】このことは、印刷インキに、例えば、撥
性、剥離性を有するシリコーン系又はワックス系が混合
されているので、この印刷インキが印刷された部分には
転写箔を転写しても接着しないので、箔の貼付予定位置
及び形状よりはみ出して貼付されても、その部分は接着
しないので、高い位置精度で貼付することが可能とな
る。

【００１０】以下、図面に基づき本発明を詳細に説明す
る。図１は、本発明の一実施例に係る、基材と転写箔と
箔押し機の位置関係を示す図であり、基材上に貼付する
直前の状態を示す図である。基材としては、転写箔の貼
付が可能なものなら材質を問わないが、本実施例におい
ては、基材として紙を用いた場合を例に説明する。ま
た、本実施例に用いる転写箔としては、一般的な金属蒸
着フィルムのアルミ箔を用いて説明する。このアルミ箔
は、図４に示すような、ベース５と剥離層６とアルミ層
７と接着層８とから成っている。

【００１１】用紙１上に、転写箔３を貼付する箔貼付予
定位置である第１の領域Ａを除いた部分、又は前記第１
の領域Ａを含む用紙１全面に、公知の印刷方法で模様や
文字等を印刷した後に、前記第１の領域Ａを除いた外側
に前記第１の領域に転写箔を貼付するに際しての位置ず
れマージン分として第２の領域Ｂを設け、この第２の領
域Ｂを、撥性、剥離性を有する印刷インキ２で印刷す
る。前記印刷インキ２として、例えば、ＵＶ ＦＩＬス
クリーンインキ、（帝国インキ製造（株）製）を用いて
印刷する。箔押し機４の大きさは、前記第１の領域Ａに
位置ずれマージン分を加えた大きさ以上であり、なおか
つ位置ずれマージン分を加えても前記第２の領域Ｂの外
周を超えない大きさとする。

【００１２】図２は、転写箔３を用紙１上に貼付した直
後の状態を示す図である。箔押し機４を用いて転写箔３
の貼付を行うには、第２の領域Ｂを撥性、剥離性を有す
る印刷インキ２で印刷した用紙１の第１の領域Ａを覆う
ように転写箔３をのせ、前記箔押し機４を転写箔３の上
から押印することにより、前記第１の領域Ａには箔押し
機４から伝わる熱及び圧力で、用紙１上に箔３が接着さ
れる。箔押し機４を押圧状態から解放すると、用紙１上
に接着したアルミ層がベースから剥離されて用紙１上に
転写され、前記第１の領域Ａよりはみ出した箔押し機分
は、前記第２の領域Ｂが撥性、剥離性を有する印刷イン
キ２で印刷してあるので、転写箔は未接着となることに
より前記箔貼付予定位置である第１の領域Ａにのみ転写
箔が貼付される。

【００１３】図３は、箔貼付予定位置である第１の領域
Ａ、第２の領域Ｂ、箔押し機４の関係の一例を示した図
である。例えば、箔貼付予定位置である第１の領域Ａを
直径２０ｍｍの円形とし、箔押し機の位置ずれマージン
を２ｍｍとすると、箔押し機４のサイズは第１の領域Ａ
に位置ずれマージンを加えた以上の大きさであり、この
場合は第１の領域Ａより半径を２ｍｍ大きくした直径２
４ｍｍの円形が箔押し機に必要な最小サイズとなる。こ
の例では箔押し機４は、直径２４ｍｍの円形としてい
る。第２の領域Ｂは、箔押し機の大きさに位置ずれマー
ジンを加えた以上の大きさを外周とし、同時に第１の領
域Ａを除いた領域であり、箔押し機を直径２４ｍｍの円
形とすると、第２の領域Ｂの外周は、箔押し機の大きさ
に位置ずれマージンを加えた直径２８ｍｍの円形が第２
の領域Ｂの外周に必要な最小サイズとなる。この例で第
２の領域Ｂは、箔貼付予定位置である第１の領域Ａ部分
を除いた内径が直径２０ｍｍで外径が直径２８ｍｍのド
ーナツ型としている。このようにすれば、箔貼付予定位
置である第１の領域Ａより半径を位置ずれマージン分で
ある２ｍｍ大きくした箔押し機４で貼付を行っているの
で、第１の領域Ａ全体に転写箔が貼付されようとし、同
時に前記第２の領域Ｂの外径を箔押し機４よりも半径を
２ｍｍ大きくしているので、箔押し機４による箔貼付の
暴れが±２ｍｍ以内である限り、箔貼付予定位置である
第１の領域Ａだけに転写箔が貼付されることになる。

【００１４】図５は、本発明の転写箔の定位置貼付方法
を利用せずに、従来からの公知の方法で転写箔を貼付し
た場合の例を示した図である。公知の転写箔貼付方法で
は、箔貼付予定位置９を直径２０ｍｍの円形とすると、
箔貼付予定位置９と同じ大きさである直径２０ｍｍの箔
押し機で貼付を行う。しかし箔押し機による箔貼付には
暴れが生じるため、箔貼付の暴れを最大±２ｍｍとする
と、転写箔が貼付される可能性がある範囲１１は直径２
４ｍｍの円形となり、実際の箔貼付位置１０は、転写箔
が貼付される可能性がある範囲１１の中で、箔貼付予定
位置から最大±２ｍｍずれた位置となるため、箔貼付予
定位置９に正確に転写箔が貼付される可能性が低い。こ
のような位置ずれを低減させるための技術が開示されて
いるが、いずれも位置ずれを完全に無くすことができな
い。

【００１５】

【発明の効果】本発明は、箔貼付予定位置としての第１
の領域と、前記第１の領域の外側に、箔押し機の大きさ
に位置ずれマージンを加えた以上の大きさを外周とし、
なおかつ第１の領域を除いた第２の領域を設け、前記第
２の領域を撥性、剥離性を有する印刷インキで印刷し、
前記箔貼付予定位置を覆うように箔を配置し、前記箔貼
付予定位置としての第１の領域に箔を貼付するに際して
の位置ずれマージン分を加えた大きさの箔押し機により
転写箔を転写した時に、前記撥性、剥離性を有する印刷
インキで印刷した第２の領域の部分では転写箔が未接着
となるため、箔貼付予定位置及び形状にのみ転写箔を貼
付することができるので、貼付に際して多少の暴れが生
じても箔貼付部分以外にはみ出すことがないので、高い
位置精度で転写箔の貼付を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における転写箔を基材上に貼付
する直前の状態を示す図である。

【図２】本発明の実施例における転写箔を基材上に貼付
した直後の状態を示す図である。

【図３】箔貼付予定位置である第１の領域、箔押し機、
第２の領域の関係の一例を示す図である。

【図４】本発明の一実施例における箔の構造を示す図で
ある。

【図５】公知の方法で転写箔を貼付した場合の例を示す
図である。

【符号の説明】

１ 用紙 ２ 撥性、剥離性を有する印刷インキ ３ 転写箔 ４ 箔押し機 ５ ベース ６ 剥離層 ７ アルミ層 ８ 接着層 ９ 箔貼付予定位置 １０ 実際の箔貼付位置 １１ 転写箔が貼付される可能性がある範囲

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材上に、少なくともベースと剥離層と
   金属蒸着層と接着層とから成る転写箔を貼付する箔貼付
   予定位置としての第１の領域を設け、前記第１の領域全
   体に正確に転写箔を貼付するために必要な箔押し機の大
   きさを、箔押し機の位置ずれマージンを考慮した大きさ
   とし、前記箔押し機の大きさに箔押し機の位置ずれマー
   ジン分を加えた大きさ以上で、かつ前記第１の領域を除
   いた領域を第２の領域とし、前記第２の領域を撥性、剥
   離性を有する印刷インキで印刷し、少なくとも前記第１
   の領域を覆うように転写箔を配置し、前記箔押し機を用
   いて、転写箔を基材側に加熱、押圧し、前記加熱、押圧
   により、箔貼付予定位置の第１の領域にのみ転写箔が転
   写され、基材上の定位置に転写箔を貼付することを特徴
   とする転写箔の定位置貼付方法。
2. 【請求項２】 前記撥性、剥離性有する印刷インキが、
   シリコーン系又はワックス系である請求項１に記載の転
   写箔の定位置貼付方法。