JP2003275225A - 上顎歯牙既成トレー - Google Patents
上顎歯牙既成トレーInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 精密歯型の製作作業の能率を向上させること
ができ、また、印象精度を高めることができ、更に、印
象採得時の患者苦痛を軽減させることができる上顎歯牙
既成トレーを提供する。 【解決手段】 上顎歯牙の印象を採得するための上顎歯
牙既成トレーにおいて、平面視が馬蹄形状の底壁部と該
底壁部の外周側に設けられる外周壁部と前記底壁部の内
周側に設けられる内周壁部とで印象材保持部を形成し、
該印象材保持部の奥歯側の端部を奥壁部により閉塞し、
前記内周壁部及び前記奥壁部の上端縁を上記上顎歯牙近
くの顎堤粘膜の表面形状と合致するように湾曲させ、前
記内周壁部で囲まれる部分を口蓋回避のための空間部と
し、前記印象材保持部を前記上顎歯牙に被せて前記内周
壁部及び前記奥壁部の上端縁を前記顎堤粘膜に合致させ
ることにより前記印象材保持部が位置決めされることを
特徴とするものである。
ができ、また、印象精度を高めることができ、更に、印
象採得時の患者苦痛を軽減させることができる上顎歯牙
既成トレーを提供する。 【解決手段】 上顎歯牙の印象を採得するための上顎歯
牙既成トレーにおいて、平面視が馬蹄形状の底壁部と該
底壁部の外周側に設けられる外周壁部と前記底壁部の内
周側に設けられる内周壁部とで印象材保持部を形成し、
該印象材保持部の奥歯側の端部を奥壁部により閉塞し、
前記内周壁部及び前記奥壁部の上端縁を上記上顎歯牙近
くの顎堤粘膜の表面形状と合致するように湾曲させ、前
記内周壁部で囲まれる部分を口蓋回避のための空間部と
し、前記印象材保持部を前記上顎歯牙に被せて前記内周
壁部及び前記奥壁部の上端縁を前記顎堤粘膜に合致させ
ることにより前記印象材保持部が位置決めされることを
特徴とするものである。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、上顎歯牙の印象採
得用の上顎歯牙既成トレーに関するものである。
得用の上顎歯牙既成トレーに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】上顎歯牙模型を作る場合、従来の既成ト
レーでは、印象が変形して大まかな歯型しか採れないの
で、既製トレーから研究模型（スタディモデル）を製作
し、この研究模型を基にして個人トレーを製作するよう
にしている。かかる個人トレーを用いれば、印象材の層
を薄く均一にでき個人に合った精密な印象採得が可能に
なる。
レーでは、印象が変形して大まかな歯型しか採れないの
で、既製トレーから研究模型（スタディモデル）を製作
し、この研究模型を基にして個人トレーを製作するよう
にしている。かかる個人トレーを用いれば、印象材の層
を薄く均一にでき個人に合った精密な印象採得が可能に
なる。
【０００３】しかし、既成トレーと個人トレーとを使用
することにより患者負担が大きくなり、また、精密印象
の採得工程が複雑化するという問題があった。
することにより患者負担が大きくなり、また、精密印象
の採得工程が複雑化するという問題があった。
【０００４】また、図１１に示すように、従来の上顎用
既成トレー１００は、上顎歯牙及び口蓋粘膜の印象採得
のために印象材保持部１０１の他に口蓋プレート１０２
を設け、印象採得時には、図１２のように口蓋プレート
１０２にも印象材１０３を盛り、口腔内での上顎用既成
トレー１００の位置を適当に決めた後に印象材１０３を
口蓋１０４に付着させるようにしていた。
既成トレー１００は、上顎歯牙及び口蓋粘膜の印象採得
のために印象材保持部１０１の他に口蓋プレート１０２
を設け、印象採得時には、図１２のように口蓋プレート
１０２にも印象材１０３を盛り、口腔内での上顎用既成
トレー１００の位置を適当に決めた後に印象材１０３を
口蓋１０４に付着させるようにしていた。
【０００５】しかし、印象材の盛り付け量が多くなった
場合には、印象材が喉の方向に流れ込み嘔吐反射を頻発
し苦痛の原因になっていた。
場合には、印象材が喉の方向に流れ込み嘔吐反射を頻発
し苦痛の原因になっていた。
【０００６】また、既成トレー１００を強く圧接したと
きには既成トレー１００が歯牙に当たって正確な印象を
採得することが困難であった。
きには既成トレー１００が歯牙に当たって正確な印象を
採得することが困難であった。
【０００７】また、印象材硬化後に印象材を上顎から剥
がす際に、口蓋１０４にも印象材１０３が付着している
ことから引き離しが困難になり、大きな力で剥がそうと
すると印象が変形するという問題があった。
がす際に、口蓋１０４にも印象材１０３が付着している
ことから引き離しが困難になり、大きな力で剥がそうと
すると印象が変形するという問題があった。
【０００８】また、歯牙修復物を製作する場合に、口蓋
１０４の印象も採得されるので精密模型の製作能率が低
下するという問題もある。
１０４の印象も採得されるので精密模型の製作能率が低
下するという問題もある。
【０００９】更に、印象採得の際に、既成トレー１００
の後端開放部１０５から印象材が漏れて喉に流れ込まな
いようにするには、図１３のように印象材を盛った既成
トレー１００後端を上にした状態で最後臼歯１０６の奥
へもって行き、そこから図１２のように既成トレー１０
０を後端開放部１０５を中心に上方に回転させて印象材
を前方に流すことにより印象を採得するが、前歯１０７
が前方に傾いているので、該前歯１０７に引っ掛かって
回転できなくなるという問題があった。
の後端開放部１０５から印象材が漏れて喉に流れ込まな
いようにするには、図１３のように印象材を盛った既成
トレー１００後端を上にした状態で最後臼歯１０６の奥
へもって行き、そこから図１２のように既成トレー１０
０を後端開放部１０５を中心に上方に回転させて印象材
を前方に流すことにより印象を採得するが、前歯１０７
が前方に傾いているので、該前歯１０７に引っ掛かって
回転できなくなるという問題があった。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑みてなされたものであって、精密歯型の製作作業の能
率を向上させることができ、また、印象精度を高めるこ
とができ、更に、印象採得時の患者苦痛を軽減させるこ
とができる上顎歯牙既成トレーを提供する。
鑑みてなされたものであって、精密歯型の製作作業の能
率を向上させることができ、また、印象精度を高めるこ
とができ、更に、印象採得時の患者苦痛を軽減させるこ
とができる上顎歯牙既成トレーを提供する。
【００１１】
【課題を解決するための手段】本発明の上顎歯牙既成ト
レーは、前記課題を解決するために、上顎歯牙の印象を
採得するための上顎歯牙既成トレーにおいて、平面視が
馬蹄形状の底壁部と該底壁部の外周側に設けられる外周
壁部と前記底壁部の内周側に設けられる内周壁部とで印
象材保持部を形成し、該印象材保持部の奥歯側の端部を
奥壁部により閉塞し、前記内周壁部及び前記奥壁部の上
端縁のうちの適所を湾曲させて上記上顎歯牙近くの顎堤
粘膜の表面形状と合致する係合縁を形成し、前記内周壁
部で囲まれる部分を口蓋回避のための空間部とし、前記
印象材保持部を前記上顎歯牙に被せて前記内周壁部及び
前記奥壁部の上端縁を前記顎堤粘膜に合致させることに
より前記印象材保持部が位置決めされることを特徴とす
る。
レーは、前記課題を解決するために、上顎歯牙の印象を
採得するための上顎歯牙既成トレーにおいて、平面視が
馬蹄形状の底壁部と該底壁部の外周側に設けられる外周
壁部と前記底壁部の内周側に設けられる内周壁部とで印
象材保持部を形成し、該印象材保持部の奥歯側の端部を
奥壁部により閉塞し、前記内周壁部及び前記奥壁部の上
端縁のうちの適所を湾曲させて上記上顎歯牙近くの顎堤
粘膜の表面形状と合致する係合縁を形成し、前記内周壁
部で囲まれる部分を口蓋回避のための空間部とし、前記
印象材保持部を前記上顎歯牙に被せて前記内周壁部及び
前記奥壁部の上端縁を前記顎堤粘膜に合致させることに
より前記印象材保持部が位置決めされることを特徴とす
る。
【００１２】前記内周壁部及び前記奥壁部の上端縁の全
長にわたって前記係合縁を形成するのが望ましい。
長にわたって前記係合縁を形成するのが望ましい。
【００１３】また、前記内周壁部の上端縁にのみ前記係
合縁を形成しても良く、前記奥壁部の上端縁にのみ係合
縁を形成しても良い。
合縁を形成しても良く、前記奥壁部の上端縁にのみ係合
縁を形成しても良い。
【００１４】また、前記外周壁部の前歯側を前歯の傾き
に合わせて傾斜させるのが望ましい。
に合わせて傾斜させるのが望ましい。
【００１５】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
て図面を参照して説明する。
【００１６】図１は全顎型の上顎歯牙既成トレーの全体
斜視図であり、図２及び図３は上顎歯牙既成トレーを上
顎歯牙Ａ（上顎歯列弓）及び顎堤粘膜Ｂに被せたときの
全体図を示し、図４乃至図６は上顎歯牙既成トレー１を
上顎歯牙Ａ及び顎堤粘膜Ｂに被せたときの部分断面図を
示し、図７は上顎歯牙既成トレー１を上顎歯牙Ａ及び顎
堤粘膜Ｂに被せたときの全体断面図を示している。
斜視図であり、図２及び図３は上顎歯牙既成トレーを上
顎歯牙Ａ（上顎歯列弓）及び顎堤粘膜Ｂに被せたときの
全体図を示し、図４乃至図６は上顎歯牙既成トレー１を
上顎歯牙Ａ及び顎堤粘膜Ｂに被せたときの部分断面図を
示し、図７は上顎歯牙既成トレー１を上顎歯牙Ａ及び顎
堤粘膜Ｂに被せたときの全体断面図を示している。
【００１７】上顎歯牙既成トレー１は、図１に示すよう
に、印象材が盛り付けされる印象材保持部２を備え、該
印象材保持部２は、平面視が馬蹄形状の底壁部３と、該
底壁部３の外周側に設けられる外周壁部４と、底壁部３
の内周側に設けられる内周壁部５とで形成され、該印象
材保持部２の奥歯側の端部は、印象材のストッパーとし
て機能する奥壁部６により閉塞されている。
に、印象材が盛り付けされる印象材保持部２を備え、該
印象材保持部２は、平面視が馬蹄形状の底壁部３と、該
底壁部３の外周側に設けられる外周壁部４と、底壁部３
の内周側に設けられる内周壁部５とで形成され、該印象
材保持部２の奥歯側の端部は、印象材のストッパーとし
て機能する奥壁部６により閉塞されている。
【００１８】内周壁部５及び奥壁部６の上端縁は口蓋Ｃ
と連続する顎堤粘膜Ｂ１（Ｂ）の表面形状と合致するよ
うに湾曲することにより前記上端縁を係合縁７（図３で
は太線で示す）としている。この係合縁７は上顎歯牙既
成トレー１のストッパーとして機能し、図２乃至７のよ
うに、印象材保持部２を上顎歯牙Ａ及び顎堤粘膜Ｂに被
せて内周壁部５及び奥壁部６の係合縁７を顎堤粘膜Ｂ１
に合致させることにより、上顎歯牙既成トレー１の前方
向及び左右両側方向への動きが規制されて上顎歯牙既成
トレー１が位置決めされる。
と連続する顎堤粘膜Ｂ１（Ｂ）の表面形状と合致するよ
うに湾曲することにより前記上端縁を係合縁７（図３で
は太線で示す）としている。この係合縁７は上顎歯牙既
成トレー１のストッパーとして機能し、図２乃至７のよ
うに、印象材保持部２を上顎歯牙Ａ及び顎堤粘膜Ｂに被
せて内周壁部５及び奥壁部６の係合縁７を顎堤粘膜Ｂ１
に合致させることにより、上顎歯牙既成トレー１の前方
向及び左右両側方向への動きが規制されて上顎歯牙既成
トレー１が位置決めされる。
【００１９】また、係合縁７を顎堤粘膜Ｂ１のどの場所
で合致させるかによって印象採得域は変動するが、歯頚
部Ａ２から５ｍｍ前後離れた距離Ｌの範囲内に印象採得
域が収まるように該合致位置は設定されるものである。
また、このように係合縁７が顎堤粘膜Ｂ１に合致したと
きには、印象材保持部２の内壁面と上顎歯牙Ａ及び顎堤
粘膜Ｂとの間には図４乃至図６のように隙間Ｑ（隙間幅
は３ｍｍ前後）が形成されるようにようになっている。
で合致させるかによって印象採得域は変動するが、歯頚
部Ａ２から５ｍｍ前後離れた距離Ｌの範囲内に印象採得
域が収まるように該合致位置は設定されるものである。
また、このように係合縁７が顎堤粘膜Ｂ１に合致したと
きには、印象材保持部２の内壁面と上顎歯牙Ａ及び顎堤
粘膜Ｂとの間には図４乃至図６のように隙間Ｑ（隙間幅
は３ｍｍ前後）が形成されるようにようになっている。
【００２０】また、該印象材保持部２の内周壁部５で囲
まれる部分には、印象材保持部２を上顎歯牙Ａ及び顎堤
粘膜Ｂに被せたときに口蓋Ｃが位置するが、該部分には
口蓋Ｃを回避するための空間部８が形成されている。
まれる部分には、印象材保持部２を上顎歯牙Ａ及び顎堤
粘膜Ｂに被せたときに口蓋Ｃが位置するが、該部分には
口蓋Ｃを回避するための空間部８が形成されている。
【００２１】また、図５に示すように、外周壁部４の前
歯側を前歯Ａ１の傾きに合わせて傾斜させて前歯Ａ１の
前面側の印象厚を必要最小限となるように設定すること
により、印象厚が大きくなり易い前歯Ａ１の印象精度を
高めている。なお、図中の符号９は取手である。
歯側を前歯Ａ１の傾きに合わせて傾斜させて前歯Ａ１の
前面側の印象厚を必要最小限となるように設定すること
により、印象厚が大きくなり易い前歯Ａ１の印象精度を
高めている。なお、図中の符号９は取手である。
【００２２】上顎の形状には個人差があるが、サイズの
異なる複数種類の上顎歯牙既成トレー１を用意すること
により、各人の上顎サイズに合った上顎歯牙既成トレー
１を用いて該上顎歯牙既成トレー１の係合縁７を顎堤粘
膜Ｂに上述のように合致させることができ、全ての人に
対して精密印象の採得が可能になる。即ち、図３に示す
上顎歯牙既成トレー１の幅寸法ａ、奥行き寸法ｂ、歯冠
長に対応する印象材保持部２の深さ寸法及び幅寸法ｃ，
ｄ，ｅについては、日本人用のものであれば日本人の上
顎歯列弓等の各部のサイズの最大値と最小値との間で複
数種類の寸法のものが用意される。例えば、上顎歯列の
最大幅寸法ａは、日本人平均で最小値が５５ｍｍ、最大
値が８０ｍｍであるので、上顎歯牙既成トレー１のサイ
ズ間隔を５ｍｍ、上顎歯牙既成トレー１の左右の印象材
厚をＴ１（前記隙間幅に対応）を３ｍｍとすることによ
り、上顎歯牙既成トレー１の最大幅寸法は、６１ｍｍ、
６６ｍｍ、７１ｍｍ、７６ｍｍ、８１ｍｍ、８６ｍｍと
なる。また、上顎歯列の奥行き寸法ｂは、日本人平均で
最小値を５０ｍｍ、最大値を７５ｍｍであるので、上顎
歯牙既成トレー１のサイズ間隔を５ｍｍ、上顎歯牙既成
トレー１の前後の印象材厚Ｔ２，Ｔ３（前記隙間幅に対
応）を３ｍｍとすることにより、上顎歯牙既成トレー１
の奥行き寸法は、５６ｍｍ、６１ｍｍ、６６ｍｍ、７１
ｍｍ、７６ｍｍ、８１ｍｍとなる。この結果、例えば、
図８のようなサイズの上顎歯牙既成トレー１が用意され
る。なお、上顎歯列は下顎歯列よりも大きいので、上顎
歯牙既成トレー１もこれに適応するように製作する。
異なる複数種類の上顎歯牙既成トレー１を用意すること
により、各人の上顎サイズに合った上顎歯牙既成トレー
１を用いて該上顎歯牙既成トレー１の係合縁７を顎堤粘
膜Ｂに上述のように合致させることができ、全ての人に
対して精密印象の採得が可能になる。即ち、図３に示す
上顎歯牙既成トレー１の幅寸法ａ、奥行き寸法ｂ、歯冠
長に対応する印象材保持部２の深さ寸法及び幅寸法ｃ，
ｄ，ｅについては、日本人用のものであれば日本人の上
顎歯列弓等の各部のサイズの最大値と最小値との間で複
数種類の寸法のものが用意される。例えば、上顎歯列の
最大幅寸法ａは、日本人平均で最小値が５５ｍｍ、最大
値が８０ｍｍであるので、上顎歯牙既成トレー１のサイ
ズ間隔を５ｍｍ、上顎歯牙既成トレー１の左右の印象材
厚をＴ１（前記隙間幅に対応）を３ｍｍとすることによ
り、上顎歯牙既成トレー１の最大幅寸法は、６１ｍｍ、
６６ｍｍ、７１ｍｍ、７６ｍｍ、８１ｍｍ、８６ｍｍと
なる。また、上顎歯列の奥行き寸法ｂは、日本人平均で
最小値を５０ｍｍ、最大値を７５ｍｍであるので、上顎
歯牙既成トレー１のサイズ間隔を５ｍｍ、上顎歯牙既成
トレー１の前後の印象材厚Ｔ２，Ｔ３（前記隙間幅に対
応）を３ｍｍとすることにより、上顎歯牙既成トレー１
の奥行き寸法は、５６ｍｍ、６１ｍｍ、６６ｍｍ、７１
ｍｍ、７６ｍｍ、８１ｍｍとなる。この結果、例えば、
図８のようなサイズの上顎歯牙既成トレー１が用意され
る。なお、上顎歯列は下顎歯列よりも大きいので、上顎
歯牙既成トレー１もこれに適応するように製作する。
【００２３】次に、上顎歯牙既成トレー１を用いた上顎
歯牙Ａの印象採得について説明する。
歯牙Ａの印象採得について説明する。
【００２４】印象材保持部２に印象材Ｄを盛り付けた上
顎歯牙既成トレー１を水平にして口腔内に入れた後、上
顎歯牙既成トレー１を水平のまま前歯Ａ１の傾斜角度に
対応させて斜め奥方に移動させることにより、図４から
図７に示すように印象材保持部２の内周壁部５及び奥壁
部６の係合縁７を顎堤粘膜Ｂに合致させ、上顎歯牙既成
トレー１が確実に位置決めされた状態で印象採得を行
う。また、上顎歯牙既成トレー１の空間部８により上顎
歯牙既成トレー１と口蓋Ｃとの接触は回避され、上顎歯
牙既成トレー１の奥歯側の端部から漏れ出ようとする印
象材Ｄは、奥壁部６によって堰き止められ、喉の方向に
流れ込むのが防止される。
顎歯牙既成トレー１を水平にして口腔内に入れた後、上
顎歯牙既成トレー１を水平のまま前歯Ａ１の傾斜角度に
対応させて斜め奥方に移動させることにより、図４から
図７に示すように印象材保持部２の内周壁部５及び奥壁
部６の係合縁７を顎堤粘膜Ｂに合致させ、上顎歯牙既成
トレー１が確実に位置決めされた状態で印象採得を行
う。また、上顎歯牙既成トレー１の空間部８により上顎
歯牙既成トレー１と口蓋Ｃとの接触は回避され、上顎歯
牙既成トレー１の奥歯側の端部から漏れ出ようとする印
象材Ｄは、奥壁部６によって堰き止められ、喉の方向に
流れ込むのが防止される。
【００２５】印象材Ｄが硬化した後は、該印象材Ｄを上
顎歯牙Ａ及び顎堤粘膜Ｂから剥がして上顎歯牙既成トレ
ー１を口腔の外に出して精密印象を得る。そして、該精
密印象に模型材（石膏）を流し込み、硬化した模型材を
精密印象から取り出して精密模型を得る。なお、歯頚部
Ａ２から５ｍｍの範囲内の顎堤粘膜Ｂの印象採得によ
り、上顎歯牙Ａの周囲の顎堤粘膜Ｂの状態を確認でき、
歯牙修復物の製作の参考とされるが、それ以外の顎堤粘
膜Ｂに関する不要な印象は採得されない。
顎歯牙Ａ及び顎堤粘膜Ｂから剥がして上顎歯牙既成トレ
ー１を口腔の外に出して精密印象を得る。そして、該精
密印象に模型材（石膏）を流し込み、硬化した模型材を
精密印象から取り出して精密模型を得る。なお、歯頚部
Ａ２から５ｍｍの範囲内の顎堤粘膜Ｂの印象採得によ
り、上顎歯牙Ａの周囲の顎堤粘膜Ｂの状態を確認でき、
歯牙修復物の製作の参考とされるが、それ以外の顎堤粘
膜Ｂに関する不要な印象は採得されない。
【００２６】図９は印象材保持部２の内周壁部５の上端
縁のみを係合縁７Ａ（太線で示す）とした上顎歯牙既成
トレー１の他の実施形態を示し、図１０は印象材保持部
２の奥壁部６の上端縁のみを係合縁７Ｂ（太線で示す）
とした上顎歯牙既成トレー１の他の実施形態を示す。
縁のみを係合縁７Ａ（太線で示す）とした上顎歯牙既成
トレー１の他の実施形態を示し、図１０は印象材保持部
２の奥壁部６の上端縁のみを係合縁７Ｂ（太線で示す）
とした上顎歯牙既成トレー１の他の実施形態を示す。
【００２７】なお、係合縁７、７Ａ、７Ｂは壁部（内周
壁部５、奥壁部６）の上端縁全長にわたって形成する必
要はない。
壁部５、奥壁部６）の上端縁全長にわたって形成する必
要はない。
【００２８】
【発明の効果】本発明の上顎歯牙既成トレーによれば、
前記印象材保持部を前記上顎歯牙に被せて前記係合縁を
前記顎堤粘膜に合致させることにより前記印象材保持部
が位置決めされるので、口腔内での正確な位置決め手段
がない従来のトレーに較べて口腔内での位置決め精度が
飛躍的に向上する。また、口蓋プレートも不要になり、
従来のトレーのように広い範囲にわたって粘膜部の印象
が採得されることなくなる。更に、前記印象材保持部の
位置決め精度の向上により、適正な印象厚が確保され
る。この結果、既成トレーにも拘わらず、精密印象の採
得が可能になり、個人トレーの製作が不要となり、歯牙
修復物の低コスト化が図れる。
前記印象材保持部を前記上顎歯牙に被せて前記係合縁を
前記顎堤粘膜に合致させることにより前記印象材保持部
が位置決めされるので、口腔内での正確な位置決め手段
がない従来のトレーに較べて口腔内での位置決め精度が
飛躍的に向上する。また、口蓋プレートも不要になり、
従来のトレーのように広い範囲にわたって粘膜部の印象
が採得されることなくなる。更に、前記印象材保持部の
位置決め精度の向上により、適正な印象厚が確保され
る。この結果、既成トレーにも拘わらず、精密印象の採
得が可能になり、個人トレーの製作が不要となり、歯牙
修復物の低コスト化が図れる。
【００２９】また、前記内周壁部で囲まれる部分を口蓋
回避用の空間部とすることにより、印象材硬化後に上顎
からの引き離しが容易になって印象精度を一層高めるこ
とができる。また、口蓋部の印象がなくなることによ
り、石膏を流す部分が減少して石膏を節約できると共
に、技工士の模型製作の手間を大幅に削減できる。ま
た、印象採得時の嘔吐反応が誘発され難くなり患者負担
が軽減される。更に、印象材の使用量を大幅に削減でき
る。
回避用の空間部とすることにより、印象材硬化後に上顎
からの引き離しが容易になって印象精度を一層高めるこ
とができる。また、口蓋部の印象がなくなることによ
り、石膏を流す部分が減少して石膏を節約できると共
に、技工士の模型製作の手間を大幅に削減できる。ま
た、印象採得時の嘔吐反応が誘発され難くなり患者負担
が軽減される。更に、印象材の使用量を大幅に削減でき
る。
【００３０】また、前記印象材保持部の奥歯側の端部を
奥壁部により閉塞して上顎歯牙既成トレーの奥歯側から
印象材が漏れるのを防止したので、印象採得時には上顎
歯牙既成トレーを水平にして口腔内の挿入でき、患者負
担が一層軽減される。
奥壁部により閉塞して上顎歯牙既成トレーの奥歯側から
印象材が漏れるのを防止したので、印象採得時には上顎
歯牙既成トレーを水平にして口腔内の挿入でき、患者負
担が一層軽減される。
【００３１】また、前記内周壁部及び前記奥壁部の上端
縁の全長にわたって係合縁を形成すれば、前記印象材保
持部の位置決め精度を一層向上させることができる。
縁の全長にわたって係合縁を形成すれば、前記印象材保
持部の位置決め精度を一層向上させることができる。
【００３２】また、前記外周壁部の前歯側を前歯の傾き
に合わせて傾斜させれば、上顎歯牙既成トレーを水平の
まま前歯の傾斜角度に対応させて斜め奥方に移動させる
ことにより、無理なく印象採得が可能になり、前歯の適
正な印象厚も確保できる。
に合わせて傾斜させれば、上顎歯牙既成トレーを水平の
まま前歯の傾斜角度に対応させて斜め奥方に移動させる
ことにより、無理なく印象採得が可能になり、前歯の適
正な印象厚も確保できる。
【図１】本発明の実施の形態１の上顎歯牙既成トレーを
示す斜視図である。
示す斜視図である。
【図２】同上顎歯牙既成トレーの使用状態を示す斜視図
である。
である。
【図３】同上顎歯牙既成トレーの使用状態を示す平面図
である。
である。
【図４】図３のＸ−Ｘ断面図である。
【図５】図３のＹ−Ｙ断面図である。
【図６】図３のＺ−Ｚ断面図である。
【図７】図２のＸ−Ｘ断面図である。
【図８】上顎歯牙既成トレーの複数種類のサイズを示す
図である。
図である。
【図９】本発明の実施の形態２の上顎歯牙既成トレーを
示す平面図である。
示す平面図である。
【図１０】本発明の実施の形態３の上顎歯牙既成トレー
を示す平面図である。
を示す平面図である。
【図１１】従来の既成トレーを示す斜視図である。
【図１２】従来の既成トレーの使用状態を示す断面図で
ある。
ある。
【図１３】従来の既成トレーを使用状態を示す斜視図で
ある。
ある。
Ａ 上顎歯牙
Ｂ 顎堤粘膜
Ｃ 口蓋
１ 上顎用個人トレー
２ 印象材保持部
３ 底壁部
４ 外周壁部
５ 内周壁部
６ 奥壁部
７ 係合縁
８ 空間部
Claims (5)
- 【請求項１】 上顎歯牙の印象を採得するための上顎歯
牙既成トレーにおいて、 平面視が馬蹄形状の底壁部と該底壁部の外周側に設けら
れる外周壁部と前記底壁部の内周側に設けられる内周壁
部とで印象材保持部を形成し、該印象材保持部の奥歯側
の端部を奥壁部により閉塞し、前記内周壁部及び前記奥
壁部の上端縁のうちの適所を湾曲させて上記上顎歯牙近
くの顎堤粘膜の表面形状と合致する係合縁を形成し、前
記内周壁部で囲まれる部分を口蓋回避のための空間部と
し、前記印象材保持部を前記上顎歯牙に被せて前記内周
壁部及び前記奥壁部の上端縁を前記顎堤粘膜に合致させ
ることにより前記印象材保持部が位置決めされることを
特徴とする上顎歯牙既成トレー。 - 【請求項２】 前記内周壁部及び前記奥壁部の上端縁の
全長にわたって前記係合縁を形成したことを特徴とする
請求項１に記載の上顎歯牙既成トレー。 - 【請求項３】 前記内周壁部の上端縁にのみ前記係合縁
を形成したことを特徴とする請求項１に記載の上顎歯牙
既成トレー。 - 【請求項４】 前記奥壁部の上端縁にのみ前記係合縁を
形成したことを特徴とする請求項１に記載の上顎歯牙既
成トレー。 - 【請求項５】 前記外周壁部の前歯側を前歯の傾きに合
わせて傾斜させたことを特徴とする請求項１から３のい
ずれかに記載の上顎歯牙既成トレー。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002084787A JP2003275225A (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 上顎歯牙既成トレー |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002084787A JP2003275225A (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 上顎歯牙既成トレー |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003275225A true JP2003275225A (ja) | 2003-09-30 |
| JP2003275225A5 JP2003275225A5 (ja) | 2005-09-15 |
Family
ID=29207059
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002084787A Pending JP2003275225A (ja) | 2002-03-26 | 2002-03-26 | 上顎歯牙既成トレー |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003275225A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6174829B1 (ja) * | 2017-02-09 | 2017-08-02 | 栄二 山口 | 採得器具 |
| KR20190090983A (ko) | 2018-01-26 | 2019-08-05 | 이료우호우징샤당 세이쇼우카이 | 아래턱 어금니용 인상 트레이 |
-
2002
- 2002-03-26 JP JP2002084787A patent/JP2003275225A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6174829B1 (ja) * | 2017-02-09 | 2017-08-02 | 栄二 山口 | 採得器具 |
| WO2018147157A1 (ja) * | 2017-02-09 | 2018-08-16 | 栄二 山口 | 採得器具 |
| KR20190090983A (ko) | 2018-01-26 | 2019-08-05 | 이료우호우징샤당 세이쇼우카이 | 아래턱 어금니용 인상 트레이 |
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Legal Events
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